(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20250115BHJP
【FI】
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2024133162
(22)【出願日】2024-08-08
【審査請求日】2024-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524065479
【氏名又は名称】株式会社博報堂テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 久在
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-086624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0188858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送された複数の広告のそれぞれの広告効果を、前記複数の広告に共通の指標に基づき評価する評価装置であって、
広告ごとに、前記広告の放送前の第1期間及び前記広告の放送後の第2期間における前記指標の計測値を取得するように構成される取得部と、
前記広告ごとに、前記第1期間における前記指標の前記計測値に基づき、前記指標の基準値を設定するように構成される設定部と、
前記広告ごとに、前記第2期間に含まれる複数の区間のそれぞれにおける前記計測値の前記基準値からの増分の合計を、前記広告効果の評価値として算出するように構成される算出部と、
を備え、
前記算出部は、
前記複数の広告に、前記第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、
前記第1広告の放送後の前記第2期間及び前記第2広告の放送後の前記第2期間のうち、前記第1広告と前記第2広告との間で重複する重複期間に
対応する1つ以上の区間である重複時刻区間のそれぞれに関して、
前記第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間、及び、前記第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間を特定し、
前記複数の広告のうち、前記第1広告及び前記第2広告の双方を除く少なくとも1つの広告の前記増分の時間変化に基づいて、前記第1経過時間に対応する第1基準寄与度と、前記第2経過時間に対応する第2基準寄与度と、を特定し、
前記重複期間における前記重複時刻区間のそれぞれに対応する前記増分を、前記第1基準寄与度と前記第2基準寄与度との比率に基づき割り振り、
前記第1広告及び前記第2広告のそれぞれについての前記広告効果の評価値を、前記重複期間に対応する前記1つ以上の区間に対しては、割り振られた前記増分を用いて算出するように構成され、
前記少なくとも1つの広告
は、
前記少なくとも1つの広告を除く前記複数の広告の、いずれの前記第2期間とも重複する期間がない前記第2期間を有する広告である、
又は、
前記複数の広告のうち、放送分数が同じであり、かつ、放送開始時刻の差が1分以内である2つ以上の広告であって、前記第2期間が前記第1広告及び前記第2広告の双方の前記第2期間と重複しない2つ以上の広告である、
評価装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の評価装置であって、
前記算出部は、
前記第1基準寄与度を前記第1広告の視聴量に基づいて補正
した第1寄与度を算出し、
前記第2基準寄与度を前記第2広告の視聴量に基づいて補正
した第2寄与度を算出
し、
前記重複期間における前記重複時刻区間のそれぞれに対応する前記増分を、前記第1基準寄与度と前記第2基準寄与度との比率の代わりに、前記第1寄与度と前記第2寄与度との比率に基づき割り振るように構成される、評価装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の評価装置であって、
前記算出部は、
前記第1基準寄与度を前記第1広告のエリアカバー率に基づいて更に補正することにより、前記第1寄与度を算出し、
前記第2基準寄与度を前記第2広告の前記エリアカバー率に基づいて更に補正することにより、前記第2寄与度を算出するように構成され、
前記エリアカバー率は、所定の地域の全世帯に対する、当該所定の地域において前記広告が放送された世帯の割合である、評価装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の評価装置であって、
前記所定の地域は、都道府県単位であらかじめ定められる地域である、評価装置。
【請求項5】
請求項
3に記載の評価装置であって、
前記第1寄与度は、前記第1基準寄与度と、前記第1広告の視聴量と、前記第1広告の前記エリアカバー率と、の積で算出され、
前記第2寄与度は、前記第2基準寄与度と、前記第2広告の視聴量と、前記第2広告の前記エリアカバー率と、の積で算出される、評価装置。
【請求項6】
請求項
2から請求項5までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記少なくとも1つの広告は、2つ以上の広告を含み、
前記重複期間における前記1つ以上の区間のそれぞれに関して、前記第1基準寄与度及び前記第2基準寄与度のそれぞれは、前記2つ以上の広告のそれぞれの前記対応する区間における前記増分を合計することによって算出される、評価装置。
【請求項7】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記広告の放送後の前記第2期間は、前記広告の放送前の前記第1期間における前記計測値と、前記広告の放送後の前記計測値とに基づいて設定される、評価装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の評価装置であって、
前記広告の放送後の前記第2期間は、前記広告の放送前の前記第1期間における前記計測値の平均値と、前記広告の放送後の前記計測値との差分に基づいて設定される、評価装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の評価装置であって、
前記広告の放送後の前記第2期間は、前記広告の放送開始時刻から、前記広告の前記指標の前記計測値が極大となった以降に前記差分がなくなる時刻までの期間に基づいて設定される、評価装置。
【請求項10】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記基準値は、前記第1期間における前記計測値の平均値に基づいて設定される、評価装置。
【請求項11】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記設定部は、前記複数の広告に、第3広告及び第4広告であって、前記第3広告の後に放送された前記第4広告の前記第1期間が前記第3広告の前記第2期間と重複する期間を有する前記第3広告及び前記第4広告が存在する場合、前記第4広告の前記基準値を前記第3広告の前記基準値と同一値に設定するように構成される、評価装置。
【請求項12】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記少なくとも1つの広告は、前記第1広告及び前記第2広告の双方よりも過去に放送された1つ以上の広告である、評価装置。
【請求項13】
放送された複数の広告のそれぞれの広告効果を、前記複数の広告に共通の指標に基づき評価する評価方法であって、
コンピュータが、
広告ごとに、前記広告の放送前の第1期間及び前記広告の放送後の第2期間における前記指標の計測値を取得することと、
前記広告ごとに、前記第1期間における前記指標の前記計測値に基づき、前記指標の基準値を設定することと、
前記広告ごとに、前記第2期間に含まれる複数の区間のそれぞれにおける前記計測値の前記基準値からの増分の合計を、前記広告効果の評価値として算出することと、
を含み、
前記算出することは、
前記複数の広告に、前記第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、
前記第1広告の放送後の前記第2期間及び前記第2広告の放送後の前記第2期間のうち、前記第1広告と前記第2広告との間で重複する重複期間
に対応する1つ以上の区間である重複時刻区間のそれぞれに関して、
前記第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間、及び、前記第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間を特定し、
前記複数の広告のうち、前記第1広告及び前記第2広告の双方を除く少なくとも1つの広告の前記増分の時間変化に基づいて、前記第1経過時間に対応する第1基準寄与度と、前記第2経過時間に対応する第2基準寄与度と、を特定し、
前記重複期間における前記重複時刻区間のそれぞれに対応する前記増分を、前記第1基準寄与度と前記第2基準寄与度との比率に基づき割り振り、
前記第1広告及び前記第2広告のそれぞれについての前記広告効果の評価値を、前記重複期間に対応する前記1つ以上の区間に対しては、割り振られた前記増分を用いて算出することを含み、
前記少なくとも1つの広告
は、
前記少なくとも1つの広告を除く前記複数の広告の、いずれの前記第2期間とも重複する期間がない前記第2期間を有する広告である、
又は、
前記複数の広告のうち、放送分数が同じであり、かつ、放送開始時刻の差が1分以内である2つ以上の広告であって、前記第2期間が前記第1広告及び前記第2広告の双方の前記第2期間と重複しない2つ以上の広告である、
評価方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の評価方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやインターネット等の放送媒体において、広告が放送されることがある。広告は、例えば、消費者による商品購入又はサービス利用を訴求する目的で放送される。放送媒体において放送された広告(以下、単に広告ともいう。)は、当該広告を視聴した視聴者の一部に、例えば訴求目的に対応する行動等の当該広告に関連する行動(以下、単にアクションともいう。)を引き起こし得る効果を有する。このような放送された広告の効果である広告効果を測定する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、広告によって引き起こされたと推定された視聴者のアクションの数に基づいて広告効果を測定する広告効果測定装置が開示されている。
特許文献1の広告効果測定装置は、当該広告の放送直後に当該広告と関連する他の広告の放送があった場合に、測定した広告効果を当該広告と当該他の広告とに割り振るように構成される。広告効果の割振りは、広告の放送時刻とアクションの発生時刻との差分を、当該広告及び当該他の広告のそれぞれにおいて算出し、これらの差分の比率に基づいて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているような装置において、広告効果を割り振る際に、各広告の放送時刻とアクションの発生時刻との差分を考慮するだけでは、放送された広告の広告効果を高精度に算出することが難しかった。
【0006】
本開示の一局面は、放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、放送された複数の広告のそれぞれの広告効果を、複数の広告に共通の指標に基づき評価する評価装置であって、取得部と、設定部と、算出部と、を備える。取得部は、広告ごとに、広告の放送前の第1期間及び広告の放送後の第2期間における指標の計測値を取得するように構成される。設定部は、広告ごとに、第1期間における指標の計測値に基づき、指標の基準値を設定するように構成される。算出部は、広告ごとに、第2期間に含まれる複数の区間のそれぞれにおける計測値の基準値からの増分の合計を、広告効果の評価値として算出するように構成される。
【0008】
算出部は、複数の広告に、第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、第1広告の放送後の第2期間及び第2広告の放送後の第2期間のうち、第1広告と第2広告との間で重複する重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける増分を、第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間及び第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間と、複数の広告のうち、第1広告及び第2広告の双方を除く少なくとも1つの広告の第2期間における増分の時間変化と、に基づく割合で、第1広告及び第2広告のそれぞれに割り振る。算出部は、第1広告及び第2広告のそれぞれについての広告効果の評価値を、重複期間に含まれる1つ以上の区間に対しては、割り振られた増分を用いて算出するように構成される。少なくとも1つの広告の第2期間は、第1広告及び第2広告の双方の第2期間と重複しない。
【0009】
このような構成によれば、複数の広告のそれぞれの放送からの経過時間に基づいて、各広告の広告効果の評価値を算出することができる。このため、放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様では、算出部は、重複期間における1つ以上の区間のそれぞれに関して、対応する区間における増分に対する、第1広告が増分の大きさに寄与する度合いである第1寄与度及び第2広告が増分の大きさに寄与する度合いである第2寄与度を、第1経過時間及び第2経過時間と、少なくとも1つの広告の増分の時間変化と、に基づいて決定してもよい。算出部は、第1寄与度及び第2寄与度の比率に基づいて、増分を、第1広告及び第2広告に割り振るように構成されてもよい。
【0011】
このような構成によれば、複数の広告のそれぞれが増分の大きさに寄与する度合いの比率に基づいて、各広告の広告効果の評価値を算出することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様では、算出部は、第1経過時間と、少なくとも1つの広告の増分の時間変化と、に基づいて第1基準寄与度を算出してもよい。算出部は、第2経過時間と、少なくとも1つの広告の増分の時間変化と、に基づいて第2基準寄与度を算出してもよい。算出部は、第1基準寄与度を第1広告の視聴量に基づいて補正することにより、第1寄与度を算出してもよい。算出部は、第2基準寄与度を第2広告の視聴量に基づいて補正することにより、第2寄与度を算出してもよい。
【0013】
このような構成によれば、第1広告及び第2広告の視聴量を加味して、第1寄与度及び第2寄与度を算出することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0014】
本開示の一態様では、算出部は、第1基準寄与度を第1広告のエリアカバー率に基づいて更に補正することにより、第1寄与度を算出してもよい。第2基準寄与度を第2広告のエリアカバー率に基づいて更に補正することにより、第2寄与度を算出するように構成されてもよい。エリアカバー率は、所定の地域の全世帯に対する、当該所定の地域において広告が放送された世帯の割合であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、第1広告及び第2広告のエリアカバー率を加味して、第1広告及び第2広告のそれぞれの広告効果の評価値を算出することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0016】
本開示の一態様では、所定の地域は、都道府県単位であらかじめ定められる地域であってもよい。
本開示の一態様では、第1寄与度は、第1基準寄与度と、第1広告の視聴量と、第1広告のエリアカバー率と、の積で算出されてもよい。第2寄与度は、第2基準寄与度と、第2広告の視聴量と、第2広告のエリアカバー率と、の積で算出されてもよい。
【0017】
このような構成によれば、第1広告及び第2広告の視聴量及びエリアカバー率を加味して、第1基準寄与度及び第2基準寄与度を算出することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0018】
本開示の一態様では、重複期間における1つ以上の区間のそれぞれに関して、第1基準寄与度及び第2基準寄与度のそれぞれは、少なくとも1つの広告の第2期間の、対応する区間における増分に基づき算出されてもよい。
【0019】
本開示の一態様では、少なくとも1つの広告は、2つ以上の広告を含んでもよい。重複期間における1つ以上の区間のそれぞれに関して、第1基準寄与度及び第2基準寄与度のそれぞれは、2つ以上の広告のそれぞれの対応する区間における増分を合計することによって算出されてもよい。
【0020】
このような構成によれば、他の広告における増分に基づいて、広告効果の評価値を算出することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
本開示の一態様では、広告の放送後の第2期間は、広告の放送前の第1期間における計測値と、当該広告の放送後の計測値とに基づいて設定されてもよい。
【0021】
本開示の一態様では、広告の放送後の第2期間は、広告の放送前の第1期間における計測値の平均値と、当該広告の放送後の計測値との差分に基づいて設定されてもよい。
本開示の一態様では、広告の放送後の第2期間は、広告の放送開始時刻から、広告の指標の計測値が極大となった以降に差分がなくなる時刻までの期間に基づいて設定されてもよい。
【0022】
このような構成によれば、第1期間の計測値に基づいて第2期間を設定することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
本開示の一態様では、基準値は、第1期間における計測値の平均値に基づいて設定されてもよい。
【0023】
このような構成によれば、第1期間の計測値の平均値に基づいて、計測値の増分を算出することができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
本開示の一態様では、設定部は、複数の広告に、第3広告及び第4広告であって、第3広告の後に放送された第4広告の第1期間が第3広告の第2期間と重複する期間を有する第3広告及び第4広告が存在する場合、第4広告の基準値を第3広告の基準値と同一値に設定するように構成されてもよい。
【0024】
このような構成によれば、他の広告の第2期間と重複する期間を含まない第1期間に基づいて、基準値を算出することができる。このため、放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0025】
本開示の一態様では、少なくとも1つの広告は、第1広告及び第2広告の双方よりも過去に放送された1つ以上の広告であってもよい。
このような構成によれば、第1広告及び第2広告の広告効果の影響を受けていない過去の広告の第2期間における増分の時間変化に基づいて、重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける増分を第1広告及び第2広告のそれぞれに割り振ることができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0026】
本開示の一態様では、少なくとも1つの広告のそれぞれの第2期間は、複数の広告のうちの他の広告のいずれの第2期間とも重複しなくてもよい。
このような構成によれば、他の広告の広告効果から受ける影響が抑制された広告の第2期間における増分の時間変化に基づいて、重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける増分を第1広告及び第2広告のそれぞれに割り振ることができる。このため、広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0027】
本開示の一態様は、放送された複数の広告のそれぞれの広告効果を、複数の広告に共通の指標に基づき評価する評価方法であって、コンピュータが、広告ごとに、広告の放送前の第1期間及び広告の放送後の第2期間における指標の計測値を取得することと、広告ごとに、第1期間における指標の計測値に基づき、指標の基準値を設定することと、広告ごとに、第2期間に含まれる複数の区間のそれぞれにおける計測値の基準値からの増分の合計を、広告効果の評価値として算出することと、を含む。算出することは、複数の広告に、第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、第1広告の放送後の第2期間及び第2広告の放送後の第2期間のうち、第1広告と第2広告との間で重複する重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける増分を、第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間及び第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間と、複数の広告のうち、第1広告及び第2広告の双方を除く少なくとも1つの広告の第2期間における増分の時間変化と、に基づく割合で、第1広告及び第2広告のそれぞれに割り振ることを含む。また、算出することは、第1広告及び第2広告のそれぞれについての広告効果の評価値を、重複期間に含まれる1つ以上の区間に対しては、割り振られた増分を用いて算出することを含む。少なくとも1つの広告の第2期間は、第1広告及び第2広告の双方の第2期間と重複しない。
【0028】
この評価方法によれば、上述した評価装置と同様の効果を奏する。
本開示の一態様では、上述した評価方法を少なくとも部分的に、コンピュータにより実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】複数の区間における評価指標の増分を説明する図である。
【
図4】短期間に複数の広告の放送があった場合の、基準値の評価方法を説明する図である。
【
図5】評価装置の処理を表すフローチャートである。
【
図6】短期間に2つの広告の放送があった場合の、評価指標の計測値の推移の一例を説明する図である。
【
図7】重複期間における都道府県ごとの評価指標の計測値を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
[1-1-1.全体構成]
図1に示す評価装置1は、テレビやインターネット等の放送媒体において放送された広告の広告効果を評価する装置である。評価装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末に搭載される。
【0031】
評価装置1は、プロセッサ10と、メモリ20と、ストレージ30と、ユーザインタフェース40と、通信インタフェース50と、を備える。
プロセッサ10は、ストレージ30に記録されたコンピュータプログラムに従う処理を実行するように構成される。
【0032】
メモリ20は、プロセッサ10による処理実行時に作業領域として使用される。メモリ20の一例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等がある。
【0033】
ストレージ30は、コンピュータプログラムと、コンピュータプログラムに従う処理の実行時に使用されるデータと、を記録する。スマートフォンやタブレット端末等におけるストレージ30の一例として、eMMC(embedded Multi Media Card)、UFS(Universal Flash Storage)等がある。パーソナルコンピュータにおけるストレージ30の一例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等がある。
【0034】
ユーザインタフェース40は、ユーザからの各種の入力操作を受け付けるためのインタフェースと、ユーザに対して各種情報を出力するためのインタフェースとの総称である。ユーザインタフェース40の一例として、キーボード、マウス、タッチパネル、ディスプレイ等がある。
【0035】
通信インタフェース50は、所定の規格に従って各種データを他の機器と通信可能なインタフェースである。
[1-1-2.広告効果]
図2に示すように、一つの広告に関して、当該広告の放送による広告効果の評価値Vは、放送前の期間及び放送後の期間を含む所定の期間において計測された所定の評価指標の計測値Mに基づいて算出される。評価値Vの算出のために、広告の放送前の期間における評価指標の計測値Mに基づいて、基準値BLが設定される。基準値BLは、広告ごとに設定される。広告効果の評価値Vは、当該広告の放送後の期間における計測値Mの基準値BLからの増分の合計として算出される。以下、評価指標の計測値Mを、単に計測値Mともいう。広告効果の評価値Vを、単に評価値Vともいう。
【0036】
評価指標は、広告効果に関する指標である。複数の広告のそれぞれの広告効果は、複数の広告に共通の評価指標に基づき評価される。評価指標は、例えば広告による訴求対象の商品又はサービスに関する消費者の行動の大きさを、数値化して表現され得る。評価指標の一例として、広告による訴求対象の商品又はサービスに関するWebサイトの来訪数、PV(Page View)数、アプリのダウンロード数、検索エンジンによる検索数等がある。
【0037】
所定の期間は、基準期間BTと有効期間ETとを含む。
有効期間ETは、広告の放送後の期間である。有効期間ETは、広告効果が有効な期間を表す。広告効果が有効な期間は、広告効果が継続する期間であると理解されてもよい。例えば、有効期間ETが10分に設定された場合、広告効果は、広告の放送後から10分間持続することを意味する。本実施形態では一例として、有効期間ETは10分に設定されているが、有効期間ETは10分に限らず他の値をとり得る。例えば、有効期間ETは、20分に設定されてもよい。
【0038】
有効期間ETは、複数の区間を含む。複数の区間は、有効期間ETを分割して定義される。各区間の長さは特に限定されないが、本実施形態では一例として、有効期間ETは、1分ごとに、合計10個の区間S1~S10に分割されている。
【0039】
区間S1は、広告の放送からの経過時間が0分から1分までの区間(換言すれば、広告の放送後の最初の1分間)である。区間S2は、広告の放送からの経過時間が1分から2分までの区間(換言すれば、区間S1の次の1分間)である。以下同様に、1から10までの整数iについて、区間Siは、広告の放送後(i-1)分からi分までの区間(換言すれば、区間S(i-1)の次の1分間)である。
【0040】
基準期間BTは、広告の放送前の期間である。基準期間BTは、当該広告の放送による広告効果が及ばない期間である。本実施形態では一例として、基準期間BTの長さは、有効期間ETの長さと同じである。ただし、基準期間BTの長さは、有効期間ETの長さと異なっていてもよい。
【0041】
基準値BLは、基準期間BTにおける計測値Mの合計値を、基準期間BTの長さで割った値である。すなわち、基準値BLは、基準期間BTにおける計測値Mの平均値である。
図3に示すように、有効期間ETの評価値Vは、有効期間ETに含まれる複数の区間のそれぞれにおける計測値Mの、基準値BLからの増分Lの合計である。各区間における増分Lは、各区間における計測値Mと基準値BLとの差分である。ただし、計測値Mが基準値BLよりも小さい区間においては、増分Lは、負の値ではなく代わりに零である。本実施形態では一例として、区間Siにおける増分Lを増分Liという。広告効果の評価値Vは、複数の区間における増分Liの合計によって表される。以下において評価値Vの期間について明示しないとき、評価値Vは、有効期間ETの評価値Vであると理解されてよい。評価値Vの期間が明示されるとき、評価値Vは、明示された期間における増分の積分値に対応する。上述のように、有効期間ETにおける増分Lが区間ごとの離散値として表されるとき、計測値Mと基準値BLとの差分の積分値は、当該期間における区間ごとの増分Lの総和に対応する。
【0042】
図3において、基準値BLは「2.1」である。区間S2における計測値Mは「7」であり、区間S2における増分L2は、計測値Mと基準値BLとの差分である「4.9」である。
【0043】
一方、区間S5における計測値Mは「1」であり、計測値Mと基準値BLとの差分は負の値「-1.1」であるため、増分L5は「0.0」である。
共通の評価指標に基づき広告効果が評価される広告が短期間に複数回放送された場合、複数の広告の基準値BLはいずれも、複数の広告放送のうち、他の広告放送の有効期間ETと重複する期間を含まない基準期間BTを有する広告放送に対し、当該広告放送の基準期間BTにおける計測値Mの合計値を、基準期間BTの長さで割った値である。
【0044】
例えば、
図4に示すように、広告としての第1広告60及び第2広告70について、第1広告60の放送後に第2広告70の放送があった場合を考える。第1広告60及び第2広告70の広告効果は、共通の評価指標に基づき評価される。
【0045】
このとき、第1広告60の基準期間BT1は、第2広告70の有効期間ET2と重複する期間を含まない。一方、第2広告70の基準期間BT2は、第1広告60の有効期間ET1と重複する期間を含む。このため、第1広告60の基準値BL及び第2広告70の基準値BLはいずれも、基準期間BT1における計測値Mの合計値を、基準期間BT1の長さで割った値である。換言すれば、第1広告60の基準値BLは、第2広告70の基準値BLとしても設定される。
【0046】
広告が複数の放送エリアで放送された場合、基準値BLは、それぞれの放送エリアごとに設定される。放送エリアの一例として、関東や東海のような地域単位、東京都や神奈川県のような都道府県単位がある。
【0047】
[1-2.処理]
以下では、第1広告60の放送直後に第2広告70の放送があった場合に、各広告の広告効果を算出するためにプロセッサ10が実行する一連の処理について、
図5のフローチャート、
図6、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0048】
第1広告60及び第2広告70は、同じキャンペーンにおいて、同じ放送エリアで放送される広告である。第1広告60及び第2広告70の広告効果は、共通の評価指標に基づき評価される。第1広告60及び第2広告70の内容は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1広告60及び第2広告70の放送時刻は、互いに異なる。
【0049】
プロセッサ10は、ユーザインタフェース40を通じてユーザからの指示が入力されると、
図5に示す処理を開始する。
まず、S100で、プロセッサ10は、第1広告60及び第2広告70の広告情報を取得する。広告情報は、広告の放送時刻、視聴量P、放送する媒体社、放送エリア、及びエリアカバー率Cを含む。プロセッサ10は、あらかじめストレージ30に保存されている広告情報を取得してもよく、通信インタフェース50を介して評価装置1の外部から広告情報を取得してもよい。
【0050】
視聴量Pは、視聴率又は視聴率に関連するパラメータを表す。視聴率は、リアルタイム視聴率であり、タイムシフト視聴率を含まない。視聴量Pは、例えば、世帯別の延べ視聴率を表すGRP(Gross Rating Point)であってもよく、個人別の延べ視聴率を表すTRP(Target Rating Point)であってもよい。
【0051】
エリアカバー率Cは、所定の地域の全世帯に対する、当該所定の地域において広告が放送された世帯の割合である。本実施形態では、一例として、エリアカバー率Cは、対象の都道府県の全世帯数に対する、対象の媒体社が広告を放送する世帯の割合である。例えば、対象の媒体社が東京都の全世帯に広告を放送する場合、東京都のエリアカバー率Cは100%である。
【0052】
図6に第1広告60及び第2広告70の広告情報の一例を示す。
第1広告60について、放送時刻は「09:00」である。第1広告60の第1視聴量Paは「4.3」である。媒体社は「XXX局」である。放送エリアは「東海」である。第1広告60の第1エリアカバー率Caは、愛知、岐阜、及び三重のいずれにおいても「100%」である。
【0053】
第2広告70について、放送時刻は「09:07」である。第2広告70の第2視聴量Pbは「3.1」である。媒体社は「YYY局」である。放送エリアは「東海」である。第2広告70の第2エリアカバー率Cbについて、愛知は「100%」である。岐阜は「80%」である。三重は「90%」である。
【0054】
続いて、S102で、プロセッサ10は、第1広告60及び第2広告70が放送されるキャンペーン期間における、当該広告の広告効果に関する評価指標の計測値Mを取得する。プロセッサ10は、あらかじめストレージ30に保存されている評価指標の計測値Mを取得してもよく、通信インタフェース50を介して評価装置1の外部から評価指標の計測値Mを取得してもよい。
【0055】
評価指標の計測値Mは、キャンペーン期間における一定時間ごとの計測値Mを表す。例えば、プロセッサ10は、キャンペーン期間の開始から1分ごとの評価指標の計測値Mを取得する。計測値Mは、例えば、1分間におけるWebサイトの来訪数、PV数、アプリのダウンロード数、又は検索エンジンによる検索数である。
図6には、経過時間に対する評価指標の計測値Mの推移が実線で示されている。
【0056】
続いて、S104で、プロセッサ10は、有効期間ET及び基準期間BTを所定の値に設定する。
本実施形態では一例として、有効期間ETは10分に設定される。すなわち、第1広告60の有効期間ET1及び第2広告70の有効期間ET2は、いずれも10分に設定される。
【0057】
本実施形態では一例として、基準期間BTは、有効期間ETと同じ値に設定される。すなわち、第1広告60の基準期間BT1及び第2広告70の基準期間BT2は、いずれも10分に設定される。
【0058】
続いて、S106で、プロセッサ10は、第1広告60及び第2広告70のそれぞれの基準値BLを設定する。
本実施形態では、第1広告60の放送後に第2広告70の放送がある。第1広告60の基準期間BT1は、第2広告70の有効期間ET2と重複する期間を含まない。一方、第2広告70の基準期間BT2は、第1広告60の有効期間ET1と重複する期間を含む。このため、第1広告60の基準値BLは、第2広告70の基準値BLとしても設定される。
【0059】
プロセッサ10は、基準期間BT1における計測値Mの合計値を基準期間BT1の長さで割った値を、第1広告60及び第2広告70の基準値BLとして設定する。すなわち、基準値BLは、基準期間BT1における計測値Mの平均値である。
【0060】
続いて、S108で、プロセッサ10は、第1広告60及び第2広告70について、それぞれの有効期間ETのうち、他の広告の有効期間ETと重複していない期間である非重複期間NTがあるか否かを判定する。プロセッサ10は、S108で非重複期間NTがないと判定した場合には(S108:NO)、S110をスキップし、S112に移行する。
【0061】
一方、プロセッサ10は、S108で非重複期間NTがあると判定した場合には(S108:YES)、S110へ移行し、非重複期間NTにおける、第1広告60及び第2広告70のそれぞれの広告効果の評価値Vを算出する。すなわち、有効期間ET1のうち、非重複期間NT1における第1広告60の広告効果は、非重複期間NT1における評価値Vである。有効期間ET2のうち、非重複期間NT2における第2広告70の広告効果は、非重複期間NT2における評価値Vである。
【0062】
具体的には、プロセッサ10は、放送エリアごとに非重複期間NTにおける評価値Vを算出する。プロセッサ10は、全放送エリアの非重複期間NTにおける評価値Vの合計を、非重複期間NTにおける評価値Vとして算出する。
【0063】
図6において、第1広告60の有効期間ET1は、「9:00」から「9:10」までの10分間である。第2広告70の有効期間ET2は、「9:07」から「9:17」までの10分間である。
【0064】
すなわち、第1広告60は、「9:00」から「9:07」までの非重複期間NT1を有する。第2広告70は、「9:10」から「9:17」までの非重複期間NT2を有する。
【0065】
このため、第1広告60の非重複期間NT1における評価値Vは、「9:00」から「9:07」までの期間における区間ごとの増分Lの総和を、全放送エリアについて合計した値である。同様に、第2広告70の非重複期間NT2における評価値Vは、「9:10」から「9:17」まで期間における区間ごとの増分Lの総和を、全放送エリアについて合計した値である。
【0066】
続いて、S112で、プロセッサ10は、第1広告60及び第2広告70について、それぞれの有効期間ETのうち、他の広告の有効期間ETと重複している期間である重複期間OTがあるか否かを判定する。プロセッサ10は、S112で重複期間OTがないと判定した場合には(S112:NO)、非重複期間NT1の評価値Vを、第1広告60の有効期間ET1における広告効果の評価値Vとして出力する。さらに、プロセッサ10は、非重複期間NT2の評価値Vを、第2広告70の有効期間ET2における広告効果の評価値Vとして出力する。その後、
図5の処理を終了する。
【0067】
一方、プロセッサ10は、S112で重複期間OTがあると判定した場合には(S112:YES)、S114へ移行する。本実施形態では、第1広告60と有効期間ETが重複する他の広告は、第2広告70である。同様に、第2広告70と有効期間ETが重複する他の広告は、第1広告60である。
【0068】
プロセッサ10は、重複期間OTにおける、放送エリアごとの評価値Vを算出する。この段階では、評価値Vには、第1広告60及び第2広告70の双方の広告効果が反映されている。
【0069】
本実施形態では、第1広告60及び第2広告70の放送エリアは、いずれも「東海」である。放送エリア「東海」は、都道府県の「愛知」、「岐阜」、及び「三重」を含む。このため、プロセッサ10は、「愛知」、「岐阜」、及び「三重」のそれぞれの、重複期間OTにおける評価値Vを算出する。
図7には、重複期間OTに相当する「9:07」から「9:10」までの期間における、「愛知」、「岐阜」、及び「三重」のそれぞれの評価値Vが表されている。
【0070】
続いて、S116で、プロセッサ10は、第1広告60及び第2広告70の基準寄与度Wを決定する。基準寄与度Wは、キャンペーンごとに決定される。すなわち、第1広告60の基準寄与度Wと第2広告70の基準寄与度Wとは、同じである。
【0071】
図8に示すように、基準寄与度Wは、複数の区間に分割された有効期間ETについて、区間ごとに決定される。換言すれば、基準寄与度Wは、広告の放送からの経過時間に基づいて決定される。本実施形態では一例として、有効期間ETは、1分ごとに分割される。有効期間ETにおける複数の区間のうちi番目(iは1以上の整数)の区間Siは、(i-1)分からi分までの区間である。具体的には、1番目の区間S1は0分から1分までの区間であり、2番目の区間S2は1分から2分までの区間である。例えば、有効期間ETが10分の場合、有効期間ETは、1分ごとに、合計10個の区間S1~S10に分割される。
【0072】
基準寄与度Wは、キャンペーン期間に放送される複数の広告のうち、第1広告60及び第2広告70の双方を除く少なくとも1つの広告の有効期間ETにおける増分Lの時間変化に基づいて決定される。本実施形態では、基準寄与度Wは、第1広告60及び第2広告70の双方よりも過去に放送された1つ以上の広告に関して、各広告の有効期間ETに含まれる区間ごとの増分Lに基づいて、区間ごとに決定される。
【0073】
例えば、キャンペーン期間において、第1広告60よりも前に、キャンペーンに係る広告が3回放送されていた場合、区間Siに対応する基準寄与度Wiは、当該3回の放送のそれぞれにおける区間Siの増分Liを合計した値である。基準寄与度Wiは、当該3回の放送のそれぞれにおける区間Siの増分Liを合計した値を、放送回の数で割った値(すなわち平均値)であってもよい。
【0074】
ただし、基準寄与度Wを決定するために用いる少なくとも1つの広告の放送回(以下、決定用放送回という。)として、キャンペーン期間において当該放送の有効期間ETに重複期間OTがない放送回が用いられる。すなわち、少なくとも1つの広告の有効期間ETは、少なくとも第1広告60及び第2広告70の双方の有効期間ETと重複しない。
【0075】
キャンペーン期間において重複期間OTがない放送回が存在しない場合、決定用放送回として、同時刻に放送された複数の広告の放送回が用いられる。具体的には、放送分数が同じであり、かつ、放送開始時刻の差が1分以内である複数の広告は、同時刻に放送された放送回とみなされ、決定用放送回として用いられる。
【0076】
キャンペーン期間において同時刻に放送された複数の広告の放送回が存在しない場合、決定用放送回として、日ごとにランダムに1つ選択した放送回が複数用いられる。
図8には、上述した処理で決定された、区間S1~S10のそれぞれにおける基準寄与度Wが示されている。例えば、区間S2における基準寄与度W2は、「2000」である。
【0077】
続いて、S118で、プロセッサ10は、重複期間OTに含まれる各区間に対応する、第1広告60の第1寄与度Taと、第2広告70の第2寄与度Tbと、の比率に基づいて増分Lを割り振ることにより、第1広告60及び第2広告70のそれぞれの、重複期間OTにおける評価値Vを算出する。
【0078】
第1寄与度Taは、第1広告60が増分Lの大きさに寄与する度合いである。第1寄与度Taは、対象の区間に対応する第1広告60の第1基準寄与度Waと、第1広告60の第1視聴量Paと、第1広告60の第1エリアカバー率Caと、に基づいて決定される。本実施形態では、第1寄与度Taは、第1基準寄与度Waと第1視聴量Paと第1エリアカバー率Caとの積である。
【0079】
第2寄与度Tbは、第2広告70が増分Lの大きさに寄与する度合いである。第2寄与度Tbは、対象の区間に対応する第2広告70の第2基準寄与度Wbと、第2広告70の第2視聴量Pbと、第2広告70の第2エリアカバー率Cbと、に基づいて決定される。本実施形態では、第2寄与度Tbは、第2基準寄与度Wbと第2視聴量Pbと第2エリアカバー率Cbとの積である。
【0080】
したがって、第1寄与度Ta及び第2寄与度Tbは、次の式(1),(2)により決定することができる。
【0081】
【0082】
【0083】
以下、一例として、
図7において、「9:08」から「9:09」までの区間における、岐阜エリアの増分Lgを、第1広告60の増分Lgaと第2広告70の増分Lgbとに割り振る方法を説明する。
【0084】
「9:08」から「9:09」までの区間について、第1広告60の放送からの経過時間は、8分から9分である。このため、当該区間における第1広告60の第1基準寄与度Waは、
図8の「8-9分」の基準寄与度Wに対応する「400」である。
【0085】
同様に、第2広告70の放送からの経過時間は、1分から2分である。このため、当該区間における第2広告70の第2基準寄与度Wbは、
図8の「1-2分」の基準寄与度Wに対応する「2000」である。
【0086】
第1視聴量Pa、第1エリアカバー率Ca、第2視聴量Pb、及び第2エリアカバー率Cbは、S100で取得される。
図6によれば、第1視聴量Paは「4.3」である。第1エリアカバー率Caは「100%」である。第2視聴量Pbは「3.1」である。第2エリアカバー率Cbは「80%」である。
図7によれば、「9:08」から「9:09」までの区間における、岐阜エリアの増分Lgは「60」である。
【0087】
これらの値と、第1基準寄与度Wa及び第2基準寄与度Wbの値とを用いた場合、次の式(3)により、第1広告60の増分Lgaは「15.4」である。次の式(4)により、第2広告70の増分Lgbは「44.6」である。すなわち、「9:08」から「9:09」までの区間における、岐阜エリアの増分Lg「60」は、第1寄与度Ta及び第2寄与度Tbの比率に基づいて、第1広告60の増分Lga「15.4」と、第2広告70の増分Lgbは「44.6」とに割り振られる。
【0088】
【0089】
【0090】
上述した処理を、重複期間OTに含まれる各区間に対して行うことにより、各区間の増分Lを、第1広告60と第2広告70とで割り振ることができる。
その後、プロセッサ10は、
図5の処理を終了する。
【0091】
このようにして、プロセッサ10は、重複期間OTに含まれる各区間に対応する、第1広告60の第1寄与度Taと、第2広告70の第2寄与度Tbと、の比率に基づいて増分Lを割り振る。
【0092】
[1-3.効果]
以上に説明した実施形態によれば、以下の作用及び効果が得られる。
(1a)第1広告60及び第2広告70について、それぞれの有効期間ETのうち、他の広告の有効期間ETと重複している期間である重複期間OTがある場合、当該重複期間OTにおける1つ以上の区間のそれぞれに関して、各区間の増分Lは、第1広告60の第1寄与度Taと第2広告70の第2寄与度Tbとの比率に基づいて割り振ることにより算出される。重複期間OTにおける第1広告60及び第2広告70のそれぞれの広告効果の評価値Vは、各区間において割り振られた第1広告60及び第2広告70のそれぞれの増分Lを合計することにより算出される。
【0093】
第1寄与度Taは、第1基準寄与度Waに基づいて決定される。第2寄与度Tbは、第2基準寄与度Wbに基づいて決定される。第1基準寄与度Wa及び第2基準寄与度Wbは、キャンペーン期間に放送される複数の広告のうち、第1広告60及び第2広告70の双方を除く少なくとも1つの広告の有効期間ETにおける増分Lの時間変化に基づいて決定される。
【0094】
このような処理によれば、重複期間OTにおける各区間の第1広告60及び第2広告70のそれぞれの増分Lは、キャンペーン期間に放送される他の広告の増分Lの実績値に基づいた重み付けにより割り振られる。このため、放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0095】
(1b)複数の区間のうちi番目(iは1以上の整数)の区間に対応する基準寄与度Wは、少なくとも1回の放送回における当該i番目の区間の増分Lを合計した値に基づいて決定される。
【0096】
このような処理によれば、広告が放送されてからの経過時間の差による、広告効果の差異を低減することができる。このため、より適切な基準寄与度Wを決定することができる。
(1c)基準寄与度Wを決定するために用いる少なくとも1つの広告の放送回(換言すれば、決定用放送回。)として、キャンペーン期間において当該放送の有効期間ETに重複期間OTがない放送回が用いられる。
【0097】
このような決定用放送回は、他の広告の広告効果の影響を受けにくいため、重複期間OTがある有効期間ETの広告の放送回を含めるよりも、適切な基準寄与度Wを決定することができる。
【0098】
キャンペーン期間において重複期間OTがない放送回が存在しない場合、決定用放送回として、同時刻に放送された複数の広告の放送回が用いられる。
このような決定用放送回は、複数の広告が放送される時間の差による、広告効果の差異を低減することができる。このため、より適切な基準寄与度Wを決定することができる。
【0099】
キャンペーン期間において同時刻に放送された複数の広告の放送回が存在しない場合、決定用放送回として、日ごとにランダムに1つ選択した放送回が複数用いられる。
このような処理によれば、決定用放送回の偏りが抑制されるため、適切な基準寄与度Wを決定することができる。
【0100】
(1d)増分Lは、有効期間ETに含まれる複数の区間のそれぞれにおける、評価指標の計測値Mと基準値BLとの差分である。基準値BLは、基準期間BTにおける計測値Mの平均値である。基準期間BTは、広告の放送前における期間であるため、当該広告の放送による広告効果が及ばない期間である。
【0101】
このような構成によれば、広告の放送によって、評価指標が広告の放送前に比べてどの程度上昇したかを増分Lとして算出することができる。このため、増分Lに基づいて広告効果の評価値Vを算出することができる。
【0102】
(1e)
図4に示すように、第1広告60の放送後に第2広告70の放送があった場合、第1広告60の基準値BL及び第2広告70の基準値BLはいずれも、第1広告60の基準期間BT1における計測値Mの合計値を、基準期間BT1の長さで割った値である。換言すれば、第1広告60の基準値BLは、第2広告70の基準値BLとしても設定される。
【0103】
このような処理によれば、各広告の基準値BLは、他の広告の有効期間ETと重複する期間を含まない基準期間BTに基づいて算出される。このため、放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0104】
(1f)第1寄与度Taは、第1基準寄与度Waと第1視聴量Paと第1エリアカバー率Caとの積である。第2寄与度Tbは、第2基準寄与度Wbと第2視聴量Pbと第2エリアカバー率Cbとの積である。
【0105】
重複期間OTにおける第1広告60及び第2広告70のそれぞれの広告効果の評価値Vは、重複期間OTに含まれる各区間に対応する増分Lを、第1広告60の第1寄与度Taと、第2広告70の第2寄与度Tbと、の比率に基づいて割り振ることにより算出される。
【0106】
このような処理によれば、視聴量P及びエリアカバー率Cの実績値に基づいた重み付けにより、広告効果を割り振ることができる。このため、放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させることができる。
【0107】
[1-4.用語間の対応関係]
上記実施形態では、評価指標は複数の広告に共通の指標の一例に相当し、基準期間BTは第1期間の一例に相当し、有効期間ETは第2期間の一例に相当する。第1広告60は第3広告の一例に相当し、第1広告60の放送後に放送された第2広告70は第4広告の一例に相当する。
【0108】
S102の処理が取得部として実行される処理の一例に相当し、S106の処理が設定部として実行される処理の一例に相当し、S110からS118までの処理が算出部として実行される処理の一例に相当する。
【0109】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0110】
(2a)上記実施形態では、S104で、有効期間ETは、10分に設定される。しかし、有効期間ETは、10分以外の値に設定されてもよく、他の方法によって設定されてもよい。有効期間ETは、S104で設定された後、他の方法によって再設定されてもよい。
【0111】
例えば、有効期間ETは、広告の放送前の所定期間における計測値Mと、当該広告の放送後の計測値Mとに基づいて設定されてもよい。具体的には、有効期間ETは、基準値BLが設定された後に、広告の放送後の計測値Mと基準値BLとの差分に基づいて設定されてもよい。
【0112】
あるいは、有効期間ETは、広告の放送開始時刻から、広告の放送後における経過時間に対する当該広告の計測値Mの値が極大となった以降に、広告の放送後の計測値Mと基準値BLとの差分がなくなる時刻までの期間に基づいて設定されてもよい。
【0113】
(2b)上記実施形態では、基準寄与度Wは、第1広告60及び第2広告70の双方よりも過去に放送された1つ以上の広告に基づいて決定される。しかし、基準寄与度Wは、第1広告60及び第2広告70の双方の有効期間ETと重複しない有効期間ETを有する1つ以上の広告に基づいて決定されればよい。すなわち、基準寄与度Wを求めるために用いる広告が、第1広告60及び第2広告70の放送前に放送された広告であるか、第1広告60及び第2広告70の放送後に放送された広告であるかは、問わない。
【0114】
(2c)上記実施形態では、第1寄与度Taは、対象の区間に対応する第1広告60の第1基準寄与度Waと、第1広告60の第1視聴量Paと、第1広告60の第1エリアカバー率Caと、に基づいて決定される。第2寄与度Tbは、対象の区間に対応する第2広告70の第2基準寄与度Wbと、第2広告70の第2視聴量Pbと、第2広告70の第2エリアカバー率Cbと、に基づいて決定される。
【0115】
しかし、第1寄与度Taは、第1視聴量Pa及び第1エリアカバー率Caの少なくとも一方を用いずに、第1基準寄与度Waに基づいて決定されてもよい。第2寄与度Tbは、第2視聴量Pb及び第2エリアカバー率Cbの少なくとも一方を用いずに、第2基準寄与度Wbに基づいて決定されてもよい。換言すれば、数式(1),(2)において、第1視聴量Pa=第2視聴量Pb、第1エリアカバー率Ca=第2エリアカバー率Cbとしてもよい。
【0116】
(2d)上記実施形態では、第1広告60及び第2広告70について、それぞれの有効期間ETのうち、有効期間ETが重複期間OTを含む場合、重複期間OTにおける第1広告60及び第2広告70のそれぞれの広告効果の評価値Vは、重複期間OTに含まれる各区間に対応する増分Lを、第1広告60の第1寄与度Taと、第2広告70の第2寄与度Tbと、の比率に基づいて割り振ることにより算出される。
【0117】
第1寄与度Taは、第1基準寄与度Waに基づいて決定され得る。第2寄与度Tbは、第2基準寄与度Wbに基づいて決定され得る。
第1基準寄与度Wa及び第2基準寄与度Wbは、キャンペーン期間に放送される複数の広告のうち、第1広告60及び第2広告70の双方を除く少なくとも1つの広告の、有効期間ETに含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける増分Lに基づいて決定される。
【0118】
第1基準寄与度Wa及び第2基準寄与度Wbは、重複期間OTに含まれる区間ごとに決定される。換言すれば、第1基準寄与度Waは、第1広告60の放送からの経過時間である第1経過時間に基づいて決定される。第2基準寄与度Wbは、第2広告70の放送からの経過時間である第2経過時間に基づいて決定される。
【0119】
したがって、重複期間OTに含まれる各区間に対応する増分Lは、第1経過時間及び第2経過時間に基づく割合で、第1広告60及び第2広告70のそれぞれに割り振られてもよい。
【0120】
(2e)上記実施形態では、第1広告60及び第2広告70の2つの広告について、それぞれの有効期間ETが重複する期間である重複期間OTがある場合の、増分Lを割り振る処理を説明した。しかし、有効期間ETが重複する広告の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0121】
N個の広告(Nは2以上の整数)の各有効期間ETが互いに重複する重複期間OTがある場合、当該重複期間OTにおける1つ以上の区間のそれぞれに関して、各区間の増分Lは、各広告の寄与度Tj(jは1以上N以下の整数)の比率に基づいて割り振ることにより算出されてもよい。重複期間OTにおける各広告の広告効果の評価値Vjは、各区間において各広告に割り振られた増分Ljを合計することにより算出されてもよい。
【0122】
寄与度Tjは、N個の広告のうちのj番目の広告が増分Lの大きさに寄与する度合いである。例えば、各区間の増分Lを、各広告の寄与度Tjの比率に基づいて各広告に割り振った増分Ljは、次の式(5)により決定することができる。
【0123】
【0124】
各広告の寄与度Tjは、各広告の基準寄与度Wjに基づいて決定されてもよい。各広告の基準寄与度Wjは、各広告の視聴量Pj及びエリアカバー率Cjの少なくとも一方に基づいて補正されてもよい。例えば、各広告の寄与度Tjは、各広告の基準寄与度Wjに、各広告の視聴量Pj及びエリアカバー率Cjの少なくとも一方を乗算することにより算出されてもよい。
【0125】
例えば、各広告の寄与度Tjが、各広告の基準寄与度Wjに、各広告の視聴量Pj及びエリアカバー率Cjの双方を乗算することにより算出される場合、各広告に割り振られる増分Ljは、次の式(6)により決定することができる。
【0126】
【0127】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0128】
(2g)本開示は、上述した評価装置の他、種々の形態で実現することができる。例えば、当該評価装置を構成要素とするシステム、当該評価装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、評価方法等の形態で実現することができる。
【0129】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
放送された複数の広告のそれぞれの広告効果を、前記複数の広告に共通の指標に基づき評価する評価装置であって、
広告ごとに、前記広告の放送前の第1期間及び前記広告の放送後の第2期間における前記指標の計測値を取得するように構成される取得部と、
前記広告ごとに、前記第1期間における前記指標の前記計測値に基づき、前記指標の基準値を設定するように構成される設定部と、
前記広告ごとに、前記第2期間に含まれる複数の区間のそれぞれにおける前記計測値の前記基準値からの増分の合計を、前記広告効果の評価値として算出するように構成される算出部と、
を備え、
前記算出部は、
前記複数の広告に、前記第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、
前記第1広告の放送後の前記第2期間及び前記第2広告の放送後の前記第2期間のうち、前記第1広告と前記第2広告との間で重複する重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける前記増分を、前記第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間及び前記第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間と、前記複数の広告のうち、前記第1広告及び前記第2広告の双方を除く少なくとも1つの広告の前記第2期間における前記増分の時間変化と、に基づく割合で、前記第1広告及び前記第2広告のそれぞれに割り振り、
前記第1広告及び前記第2広告のそれぞれについての前記広告効果の評価値を、前記重複期間に含まれる前記1つ以上の区間に対しては、割り振られた前記増分を用いて算出するように構成され、
前記少なくとも1つの広告の前記第2期間は、前記第1広告及び前記第2広告の双方の前記第2期間と重複しない、評価装置。
【0130】
[項目2]
項目1に記載の評価装置であって、
前記算出部は、
前記重複期間における前記1つ以上の区間のそれぞれに関して、対応する区間における前記増分に対する、前記第1広告が前記増分の大きさに寄与する度合いである第1寄与度及び前記第2広告が前記増分の大きさに寄与する度合いである第2寄与度を、前記第1経過時間及び前記第2経過時間と、前記少なくとも1つの広告の前記増分の時間変化と、に基づいて決定し、
前記第1寄与度及び前記第2寄与度の比率に基づいて、前記増分を、前記第1広告及び前記第2広告に割り振るように構成される、評価装置。
【0131】
[項目3]
項目2に記載の評価装置であって、
前記算出部は、
前記第1経過時間と、前記少なくとも1つの広告の前記増分の時間変化と、に基づいて第1基準寄与度を算出し、
前記第2経過時間と、前記少なくとも1つの広告の前記増分の時間変化と、に基づいて第2基準寄与度を算出し、
前記第1基準寄与度を前記第1広告の視聴量に基づいて補正することにより、前記第1寄与度を算出し、
前記第2基準寄与度を前記第2広告の視聴量に基づいて補正することにより、前記第2寄与度を算出するように構成される、評価装置。
【0132】
[項目4]
項目3に記載の評価装置であって、
前記算出部は、
前記第1基準寄与度を前記第1広告のエリアカバー率に基づいて更に補正することにより、前記第1寄与度を算出し、
前記第2基準寄与度を前記第2広告の前記エリアカバー率に基づいて更に補正することにより、前記第2寄与度を算出するように構成され、
前記エリアカバー率は、所定の地域の全世帯に対する、当該所定の地域において前記広告が放送された世帯の割合である、評価装置。
【0133】
[項目5]
項目4に記載の評価装置であって、
前記所定の地域は、都道府県単位であらかじめ定められる地域である、評価装置。
【0134】
[項目6]
項目4又は項目5に記載の評価装置であって、
前記第1寄与度は、前記第1基準寄与度と、前記第1広告の視聴量と、前記第1広告の前記エリアカバー率と、の積で算出され、
前記第2寄与度は、前記第2基準寄与度と、前記第2広告の視聴量と、前記第2広告の前記エリアカバー率と、の積で算出される、評価装置。
【0135】
[項目7]
項目3から項目6までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記重複期間における前記1つ以上の区間のそれぞれに関して、
前記第1基準寄与度及び前記第2基準寄与度のそれぞれは、前記少なくとも1つの広告の前記第2期間の、対応する区間における前記増分に基づき算出される、評価装置。
【0136】
[項目8]
項目7に記載の評価装置であって、
前記少なくとも1つの広告は、2つ以上の広告を含み、
前記重複期間における前記1つ以上の区間のそれぞれに関して、前記第1基準寄与度及び前記第2基準寄与度のそれぞれは、前記2つ以上の広告のそれぞれの前記対応する区間における前記増分を合計することによって算出される、評価装置。
【0137】
[項目9]
項目1から項目8までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記広告の放送後の前記第2期間は、前記広告の放送前の前記第1期間における前記計測値と、前記広告の放送後の前記計測値とに基づいて設定される、評価装置。
【0138】
[項目10]
項目1から項目9までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記広告の放送後の前記第2期間は、前記広告の放送前の前記第1期間における前記計測値の平均値と、前記広告の放送後の前記計測値との差分に基づいて設定される、評価装置。
【0139】
[項目11]
項目10に記載の評価装置であって、
前記広告の放送後の前記第2期間は、前記広告の放送開始時刻から、前記広告の前記指標の前記計測値が極大となった以降に前記差分がなくなる時刻までの期間に基づいて設定される、評価装置。
【0140】
[項目12]
項目1から項目11までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記基準値は、前記第1期間における前記計測値の平均値に基づいて設定される、評価装置。
【0141】
[項目13]
項目1から項目12までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記設定部は、前記複数の広告に、第3広告及び第4広告であって、前記第3広告の後に放送された前記第4広告の前記第1期間が前記第3広告の前記第2期間と重複する期間を有する前記第3広告及び前記第4広告が存在する場合、前記第4広告の前記基準値を前記第3広告の前記基準値と同一値に設定するように構成される、評価装置。
【0142】
[項目14]
項目1から項目13までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記少なくとも1つの広告は、前記第1広告及び前記第2広告の双方よりも過去に放送された1つ以上の広告である、評価装置。
【0143】
[項目15]
項目1から項目14までのいずれか一項に記載の評価装置であって、
前記少なくとも1つの広告のそれぞれの前記第2期間は、前記複数の広告のうちの他の広告のいずれの前記第2期間とも重複しない、評価装置。
【0144】
[項目16]
放送された複数の広告のそれぞれの広告効果を、前記複数の広告に共通の指標に基づき評価する評価方法であって、
コンピュータが、
広告ごとに、前記広告の放送前の第1期間及び前記広告の放送後の第2期間における前記指標の計測値を取得することと、
前記広告ごとに、前記第1期間における前記指標の前記計測値に基づき、前記指標の基準値を設定することと、
前記広告ごとに、前記第2期間に含まれる複数の区間のそれぞれにおける前記計測値の前記基準値からの増分の合計を、前記広告効果の評価値として算出することと、
を含み、
前記算出することは、
前記複数の広告に、前記第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、
前記第1広告の放送後の前記第2期間及び前記第2広告の放送後の前記第2期間のうち、前記第1広告と前記第2広告との間で重複する重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける前記増分を、前記第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間及び前記第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間と、前記複数の広告のうち、前記第1広告及び前記第2広告の双方を除く少なくとも1つの広告の前記第2期間における前記増分の時間変化と、に基づく割合で、前記第1広告及び前記第2広告のそれぞれに割り振り、
前記第1広告及び前記第2広告のそれぞれについての前記広告効果の評価値を、前記重複期間に含まれる前記1つ以上の区間に対しては、割り振られた前記増分を用いて算出することを含み、
前記少なくとも1つの広告の前記第2期間は、前記第1広告及び前記第2広告の双方の前記第2期間と重複しない、評価方法。
【0145】
[項目17]
項目16に記載の評価方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0146】
1…評価装置、10…プロセッサ、60…第1広告、70…第2広告、BL…基準値、BT…基準期間、ET…有効期間、M…計測値、L…増分、V…評価値、S1~S10,Si…区間。
【要約】
【課題】放送された広告の広告効果を算出する精度を向上させる。
【解決手段】評価装置は、複数の広告に、広告の放送後の第2期間が少なくとも部分的に重複する第1広告及び第2広告が含まれる場合、第1広告の第2期間及び第2広告の第2期間のうち、第1広告と第2広告との間で重複する重複期間に含まれる1つ以上の区間のそれぞれにおける指標の計測値の、基準値からの増分を、第1広告の放送からの経過時間である第1経過時間及び第2広告の放送からの経過時間である第2経過時間に基づく割合で、第1広告及び第2広告のそれぞれに割り振る。評価装置は、第1広告及び第2広告のそれぞれについての広告効果の評価値を、重複期間に含まれる1つ以上の区間に対しては、割り振られた増分を用いて算出するように構成される。
【選択図】
図5