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  • 特許-飲料抽出用バック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】飲料抽出用バック
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20250116BHJP
   A47J 31/02 20060101ALI20250116BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
A47J31/06 101
A47J31/02
B65D85/804 100
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021037821
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022111006
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】505343952
【氏名又は名称】株式会社トイスピリッツ
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 厚
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-148521(JP,A)
【文献】特開2013-048897(JP,A)
【文献】特開2019-209085(JP,A)
【文献】実開昭62-127241(JP,U)
【文献】実開平06-021526(JP,U)
【文献】特開2006-288503(JP,A)
【文献】特許第4079041(JP,B2)
【文献】特開2012-187278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0319004(US,A1)
【文献】中国実用新案第207075833(CN,U)
【文献】実開昭48-011918(JP,U)
【文献】実開昭48-055924(JP,U)
【文献】実公昭49-010411(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/02
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常には香りを放出しない袋に折り畳まれた状態で格納され、使用時には折り畳まれた各部位を開口する事で飲料用カップ淵の二か所に掛け止めることが可能な飲料抽出用バックであって、この飲料抽出用バックを、
開口した際に筒状となり下方に対向する一対の掛け止め部を有してなる筒状部材と、
前記筒状部材の淵に両側端部を折り畳み可能に連結するとともに左右に二つ折りとなるよう中心部に折り目線を有し常には筒状部材の内側に折り畳まれ格納される上昇部材と、
前記上昇部材の中央部に形成される注ぎ口と適合するよう接着された開口部を有し飲料抽出用豆粉末を内包するフィルタバックと、
折り目線を有した一対の糊代部を具え一対の糊代部間の中心部に折り目線を有し当該折り目線が前記上昇部材の折り目線の真上となる位置で一対の糊代部を左右上面にそれぞれ糊付けされ常には上昇部材の内側に折り畳まれる鑑賞紙と、
を具えて構成したことを特徴とする飲料抽出用バック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料用カップに一杯分の飲料を抽出するための飲料抽出用バックに関し、詳しくは適量の飲料用の豆粉末等を予め内包するフィルタバックを具え、飲料用カップの淵に掛け止めて、お湯を注ぐことで飲料を作ることが出来る飲料抽出用バックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリーズドライ製法により粉末状に加工されたインスタント飲料粉末は、お湯を注ぐだけの容易な作業で迅速に好みの飲料を作る事が出来るので多くの人に利用されており、今日ではコーヒーはもちろん紅茶や緑茶のインスタント飲料粉末も販売されている。
【0003】
しかしながらフリーズドライ製法は水分を取り除く事に適しているが、水分の除去によって飲料の持つ独特の香りや味が一部損なわれてしまうので飲料愛好者の中にはインスタント粉末飲料の利用を好まない者も多い。
【0004】
特に微妙な香りや風味が楽しめるコーヒーの愛好者にその傾向が強く、コーヒー豆を挽いた粉末を用いて本格的なコーヒーを楽しむ人が多く、こうした愛好者に応じるようにコンセント電源を用いたコーヒーメーカーは複数の企業から多種の機能商品が提案され家電量販店ではコーヒーメーカーのコーナー設け対応している。
ところでコーヒーメーカーは適量のコーヒー豆粉末を計量スプーン等を利用して投入する作業や、コーヒーを作った後でコーヒー豆粉末や使い捨てフィルター等を取り除く後作業が必要であり、そうした作業は決して楽しい作業ではない。
【0005】
一方、コーヒー愛好者の中には自己流の拘りでコーヒー豆粉末にお湯を注ぎ、その際にコーヒー豆粉末から立ち昇る香りやコーヒーを作る作業自体を楽しむ者も多い。
こうしたコーヒー愛好者に応じるため、コーヒーカップの一杯分の適量コーヒー豆粉末を内包するフィルタバックを具えた使い捨ての飲料抽出用バックが提案されている。
【0006】
これらの飲料抽出用バックは、計量スプーンでコーヒー豆粉末を投入する必要はなく、またコーヒー作成後は飲料抽出用バックを燃えるゴミとして処理すれば良い上に、お湯を注ぐ際のコーヒーの香りや、自分流の拘りのコーヒー作りをゆっくりと楽しむことが出来るのでコーヒー愛好者に親しまれている。
【0007】
この飲料抽出用バックはカップに掛け止める部材やフィルタバックが全て紙によって作られているので極めて安価であり、使い捨てに適応可能である。
今日において飲料抽出用バックは複数の企業から販売されているが、各企業はカップに安定した状態で掛け止めるための形状を多数提案している。
【先行技術文献】
【0008】
【文献】特許第4079041号公報
【文献】特許第4652000号公報
【文献】特許第6345939号公報
【文献】特許第5775355号公報
【文献】意匠登録1396569号公報
【文献】意匠登録1354691号公報
【文献】意匠登録1322980号公報
【文献】意匠登録1277441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記従来の飲料抽出用バックに次のような問題がある。
上記従来の飲料抽出用バックは、コーヒーをゆっくりと作りその際の香り等を楽しむコーヒー愛好者の要望を満たしているが外観は味気ないものであり、飲料抽出用バックは見て楽しめるものではない。
【0010】
ドリップコーヒーの淹れ方は、書物や説明書等から引用すると次のような工程を経て作るものである。
まず挽かれたコーヒー豆粉末に少量のお湯を注いでコーヒー豆粉末を蒸す必要があり、この蒸し時間は最低でも20秒から30秒、濃いコーヒーを好む場合は50秒から60秒待つ必要がある。
そして蒸し工程が終わると次にお湯の注ぎ工程に入るが、お湯をコーヒー豆粉末の中心部から外周に向けて「の」の字を描くよう数回繰り返して行う必要がある。またこの際、お湯は少量ずつ注ぐ方が望ましく、注ぎ口の小さなドリップポットのような専用器具を使用することが最良である。
【0011】
コーヒーを淹れる作業は上述のように時間をかけてゆっくりと行う必要があるので、飲料抽出用バックを数分にわたり眺め続ける事になるが従来の飲料抽出用バックは絵模様等がなんら設けられておらず見て楽しむ事が出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る飲料抽出用バックは、上記従来の問題を解決するためになされたもので飲料抽出用バックを、開口した際に筒状となり下方に対向する一対の掛け止め部を有してなる筒状部材と、筒状部材の淵に両側端部を折り畳み可能に連結するとともに左右に二つ折りとなるよう中心部に折り目線を有し常には筒状部材の内側に折り畳まれて格納される上昇部材と、上昇部材の中央部に形成される注ぎ口と適合するように接着された開口部を有し飲料抽出用豆粉末を内包するフィルタバックと、折り目線を有した一対の糊代部を具え一対の糊代部間の中心部に折り目線を有し当該折り目線が前記上昇部材の折り目線の真上となる位置で一対の糊代部を左右上面にそれぞれ糊付けされ常には上昇部材の内側に折り畳まれる鑑賞紙と、を具えて構成する。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る飲料抽出用バックは、飲料用カップに掛け止めるように開口した際に、内側に折り込まれていた上昇部と鑑賞紙の両者が立ち上がりこれらを見る事が出来るのでコーヒー作りをより一層楽しむことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 本発明に係る飲料抽出用バックの分解斜視図
図2】 本発明に係る飲料抽出用バックが折り畳まれた状態を示す外観斜視図
図3】 本発明に係る飲料抽出用バックを広げた状態を示す外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面にもとづいてこの発明に係る飲料抽出用バックの一実施例を説明する。飲料抽出用バックはアルミ箔等の香りを放出することがない袋に格納されるものであるが、当該の袋は本件発明と直接的な関係がないので図では省略する。
図1は飲料抽出用バックの分解斜視図であり、この図1では飲料抽出用バックの構成を明確にするために後述する鑑賞紙は白紙のものを記載する。
【0016】
図に示す1は筒状部材であり、この例において筒状部材1は六ケ所の折り目線を有し、開口した際には六角形の筒状となるよう構成されている。
この筒状部材1は、常には、すなわち購入時には図2に示すように折り込まれて不図示の袋に格納された状態で提供される。
【0017】
また筒状部材1の下方には図1に示すように対向する一対の掛け止め部2が設けられている。この掛け止め部2は二つの平行な切込み線と、その切込み線の頂部間に形成される折り目線と、から構成されていて、この掛け止め部2を筒状部材1の内側に折り込み、掛け止め部2と筒状部材1とで飲料用カップ淵の2か所を挟むようにすることで飲料用カップの上に飲料抽出用バックを開口した状態で固定することが出来る。
【0018】
また図1に示す3は上昇部材であり、この上昇部材3は筒状部材1の開口部と同じ形状である六角形となっており、両側端部に下方に折られた一対の糊代部を具え、この糊代部を筒状部材1の淵に接着されている。
そして上昇部材3の中心部には直線状の折り目線4が形成されていて、この折り目線4により左右に二つ折り可能で、常にはこの折り目線4が下方に向けて折り畳まれることで上昇部材3は図2に示すように筒状部材1の内側に格納されている。
すなわち上昇部材3は筒状部材1を開くと平坦となり筒状部材1の淵と同じ高さまで立ち上がることが出来る。
【0019】
また、図1に示す5は適量の飲料抽出用豆粉末を内包するフィルタバックであり、このフィルタバック5は上昇部材3の中央に形成された円形の注ぎ口と適合するように開口部が接着されている。
【0020】
一方、図1に示す6は鑑賞紙で、この鑑賞紙6は下端の左右に一対の糊代部8を具え、この一対の糊代部8の中心部には折り目線7を有し、折り目線7の下端には小さな欠切部が形成されている。
そして切り目線7は図1に示すように僅かに折られた角度を持った状態となっていて、この切れ目線7が上昇手段3の折り目線4の真上となる位置で一対の糊代部8は上昇部材3の左右面にそれぞれ糊付けされている。
この鑑賞紙6は、常には折り目線7が上昇部材3の折り目線4の上と重なり合うように二つ折りに畳まれる事で図2に示すように上昇部材3とともに筒状部材1の内側に格納されている。
なおこの鑑賞紙6の形状は折り目線7を中心として左右対称である必要はなく種々の形状が考える。
【0021】
一方、図1に示す9は鑑賞紙の他の構成例を示すもので、この鑑賞紙9は左右対称の形状をなす紙が折り目線11から二つ折りに形成されており、下端には外側に折られた一対の折り目線10が形成されその外側部位が糊代部となっている。
そしてこの鑑賞紙9は、折り目線11が上昇部材3の折り目線4の真上となる位置で糊代部が上昇部材3の左右上面にそれぞれ糊付けされている。
この装飾部材9は常には上昇部材3の折り目線4とともに折り目線10が折り畳まれ、図2に示すように上昇部3とともに筒状部材1の内側に格納されている。
【0022】
以上のように構成された飲料抽出用バックは、不図示の袋から取り出した際は図2に示すように上昇部材3と鑑賞紙6、鑑賞紙9は使用者から目視出来ない状態となっているが、飲料用カップに掛け止めるために筒状部材1を開くと図3に示すように上昇部材3が筒状部材1の淵と同じ高さまで上昇して開いた状態となる。
そして鑑賞紙6と鑑賞紙9のそれぞれの糊代部の折り目線部は略直角となり上昇部材3の上面に立ち上がり使用者が目視可能となる。
【0023】
図3は一例として鑑賞紙6にはエジプトのスフィンクスとピラミッド群を、また鑑賞紙9はラクダの頭部を描写したものであり、これらは写真でもコミカルに描写されたイラストであっても良い。
また上昇部材3の上面には砂漠の絵を描く、あるいはスフィンクスの全長やピラミッドの高さや総重量、また作成に要した予想年数等の説明文を記載しても良い。
【0024】
上述のように構成した本発明に係る飲料抽出用バックは、このコーヒーの作成時にコーヒー豆粉末から立ち昇る香りや自己流のコーヒー作成を楽しめる上に、隠れていた鑑賞紙を眺めて楽しむ事が出来るのでコーヒー作りをより一層楽しいものにする事が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 筒状部材
2 掛け止め部
3 上昇部材
4 折り目線
5 フィルタバック
6 鑑賞紙
7 折り目線
8 糊代部
9 鑑賞紙
図1
図2
図3