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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】配管用継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/20 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
F16L33/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021020167
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122734
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】長澤 範明
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-089084(JP,U)
【文献】特開2011-140989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0249808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金部とホース継手部とを備え、前記ホース継手部は、ホース挿入部を有するニップルと、前記ホース挿入部の周囲を囲むソケットとを備える配管用継手であって、
前記ニップルの前記口金部側の端部は、前記ホース挿入部と同一の軸心を有する結合用外周面として形成されると共に、前記結合用外周面の前記ホース挿入部側の端部に前記結合用外周面の前記口金部側の端部と間隔をおき前記結合用外周面の半径方向外側に突出しつつ前記結合用外周面の周方向に延在し前記口金部側に向いた結合用壁前面を有する結合用壁部が設けられ、
前記結合用壁部を通る前記結合用外周面の周方向において前記結合用壁部を除いた箇所は結合用凹部となっており、
前記結合用外周面の前記口金部側の端部に前記結合用外周面よりも外径が大きい大径部が設けられ、
前記口金部側に位置する前記ソケットの端部に、前記ソケットの端部の内周面から前記結合用外周面が挿入される内径で前記内周面の半径方向内側に突出しつつ前記内周面に沿って延在し前記口金部から離れる方向に向いた環状壁背面を有する環状壁部が設けられ、
前記環状壁部を通る前記ソケットの端部の内周面の周方向において前記環状壁部を除いた箇所は挿脱用欠部となっており、
前記結合用壁前面と前記環状壁背面の一方に係止凹部が設けられると共に他方に前記係止凹部に係止可能な係止凸部が設けられ、
前記結合用壁部が前記挿脱用欠部から前記ソケットの内部に入り前記係止凹部と前記係止凸部とが係止した状態で、前記ソケットの端部と前記大径部との間に装着され前記ソケットの前記大径部側への移動を制限し前記係止凹部と前記係止凸部とが係止した状態を保持する装着リングが設けられている、
ことを特徴とする配管用継手。
【請求項2】
口金部とホース継手部とを備え、前記ホース継手部は、ホース挿入部を有するニップルと、前記ホース挿入部の周囲を囲むソケットとを備える配管用継手であって、
前記ニップルの前記口金部側の端部は、前記ホース挿入部と同一の軸心を有する結合用外周面として形成されると共に、前記結合用外周面の前記ホース挿入部側の端部に前記結合用外周面の前記口金部側の端部と間隔をおき前記結合用外周面の半径方向外側に突出しつつ前記結合用外周面の周方向に延在し前記口金部側に向いた結合用壁前面を有する結合用壁部が設けられ、
前記結合用壁部を通る前記結合用外周面の周方向において前記結合用壁部を除いた箇所は結合用凹部となっており、
前記結合用外周面の前記口金部側の端部に前記結合用外周面よりも外径が大きい大径部が設けられ、
前記口金部側に位置する前記ソケットの端部に、前記ソケットの端部の内周面から前記結合用外周面が挿入される内径で前記内周面の半径方向内側に突出しつつ前記内周面に沿って延在し前記口金部から離れる方向に向いた環状壁背面を有する環状壁部が設けられ、
前記環状壁部を通る前記ソケットの端部の内周面の周方向において前記環状壁部を除いた箇所は挿脱用欠部となっており、
前記結合用壁部が前記挿脱用欠部から前記ソケットの内部に入り前記結合用壁前面と前記環状壁背面とが対向した状態で、前記口金部側に位置する前記ソケットの端部と前記大径部との間に圧入され前記結合用壁前面と前記環状壁背面とを圧接させるスペーサが設けられている、
ことを特徴とする配管用継手。
【請求項3】
前記結合用壁部と前記結合用凹部とは、前記結合用外周面の周方向に間隔をおいて複数設けられ、
前記環状壁部と前記挿脱用欠部とは、前記ソケットの端部の内周面の周方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の配管用継手。
【請求項4】
前記結合用壁前面と前記環状壁背面の一方に係止凹部が設けられると共に他方に前記係止凹部に係止可能な係止凸部が設けられている、
ことを特徴とする請求項2または請求項2を引用する請求項3記載の配管用継手。
【請求項5】
前記結合用外周面の周方向に沿った前記結合用壁部の幅と、前記ソケットの端部の内周面の周方向に沿った前記環状壁部の幅はほぼ等しい、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の配管用継手。
【請求項6】
前記装着リングは、前記結合用外周面の全周の1/2以上にわたって延在し前記結合用外周面に装着される環状体で形成され、
前記環状体の延在方向の両端の間は、前記環状体を前記結合用外周面に装着するための欠部として形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項1を引用する請求項3または請求項1を引用する請求項5記載の配管用継手。
【請求項7】
前記スペーサは、前記結合用外周面の周囲全周の1/2以上にわたって延在する環状体で形成され、
前記環状体の延在方向の両端の間は、前記結合用外周面の周囲に前記環状体を位置させるための欠部として形成され、
前記環状体の内周部には、前記環状体の厚さを内周端に至るにつれて薄くする傾斜面が形成されている、
ことを特徴とする請求項2または請求項4、または請求項2を引用する請求項3または請求項2を引用する請求項5記載の配管用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニップルとソケットとを有する配管用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
ニップルとソケットとを有する配管用継手はホースの端部に結合され、ホース内を流れる流体を適宜機器に供給し、あるいは、適宜機器から排出させるものである。
従来、工場において、ニップルとソケットとを有する配管用継手をホースの端部に連結する場合、まず、ニップルをソケットに挿入し、専用の加締め機を用いてソケットの端部をニップルの端部の環状凹部に加締めて取り付ける作業がなされる。
次に、ニップルの外周面とソケットの内周面との間の環状空間にホースの端部を挿入し、加締め機を用いてソケットを加締め、ホースの端部をソケットとニップルとに一体化する作業がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-278975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、従来の配管用継手では、専用の加締め機を用いてソケットをニップルに取り付ける作業を行なう必要があり、配管用継手を簡単に製作することができず、配管用継手とホースとの連結作業の効率化を図る上で不利があった。
また、予めソケットをニップルに取り付ける作業を行なうと、在庫管理が必要となり、コストダウンを図る上で不利となる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、ソケットをニップルに加締めて取り付ける作業を省略して配管用継手を簡単に製作でき、したがって、予めソケットがニップルに取り付けられた配管用継手の在庫を確保する必要もなくなり、さらには、ソケットの内径、外径を小さくでき、配管用継手とホースとの連結作業の効率化、コストダウンを図る上で有利な配管用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、口金部とホース継手部とを備え、前記ホース継手部は、ホース挿入部を有するニップルと、前記ホース挿入部の周囲を囲むソケットとを備える配管用継手であって、前記ニップルの前記口金部側の端部は、前記ホース挿入部と同一の軸心を有する結合用外周面として形成されると共に、前記結合用外周面の前記ホース挿入部側の端部に前記結合用外周面の前記口金部側の端部と間隔をおき前記結合用外周面の半径方向外側に突出しつつ前記結合用外周面の周方向に延在し前記口金部側に向いた結合用壁前面を有する結合用壁部が設けられ、前記結合用壁部を通る前記結合用外周面の周方向において前記結合用壁部を除いた箇所は結合用凹部となっており、前記結合用外周面の前記口金部側の端部に前記結合用外周面よりも外径が大きい大径部が設けられ、前記口金部側に位置する前記ソケットの端部に、前記ソケットの端部の内周面から前記結合用外周面が挿入される内径で前記内周面の半径方向内側に突出しつつ前記内周面に沿って延在し前記口金部から離れる方向に向いた環状壁背面を有する環状壁部が設けられ、前記環状壁部を通る前記前記ソケットの端部の内周面の周方向において前記環状壁部を除いた箇所は挿脱用欠部となっており、前記結合用壁前面と前記環状壁背面の一方に係止凹部が設けられると共に他方に前記係止凹部に係止可能な係止凸部が設けられ、前記結合用壁部が前記挿脱用欠部から前記ソケットの内部に入り前記係止凹部と前記係止凸部とが係止した状態で、前記ソケットの端部と前記大径部との間に装着され前記ソケットの前記大径部側への移動を制限し前記係止凹部と前記係止凸部とが係止した状態を保持する装着リングが設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、口金部とホース継手部とを備え、前記ホース継手部は、ホース挿入部を有するニップルと、前記ホース挿入部の周囲を囲むソケットとを備える配管用継手であって、前記ニップルの前記口金部側の端部は、前記ホース挿入部と同一の軸心を有する結合用外周面として形成されると共に、前記結合用外周面の前記ホース挿入部側の端部に前記結合用外周面の前記口金部側の端部と間隔をおき前記結合用外周面の半径方向外側に突出しつつ前記結合用外周面の周方向に延在し前記口金部側に向いた結合用壁前面を有する結合用壁部が設けられ、前記結合用壁部を通る前記結合用外周面の周方向において前記結合用壁部を除いた箇所は結合用凹部となっており、前記結合用外周面の前記口金部側の端部に前記結合用外周面よりも外径が大きい大径部が設けられ、前記口金部側に位置する前記ソケットの端部に、前記ソケットの端部の内周面から前記結合用外周面が挿入される内径で前記内周面の半径方向内側に突出しつつ前記内周面に沿って延在し前記口金部から離れる方向に向いた環状壁背面を有する環状壁部が設けられ、前記環状壁部を通る前記前記ソケットの端部の内周面の周方向において前記環状壁部を除いた箇所は挿脱用欠部となっており、前記結合用壁部が前記挿脱用欠部から前記ソケットの内部に入り前記結合用壁前面と前記環状壁背面とが対向した状態で、前記口金部側に位置する前記ソケットの端部と前記大径部との間に圧入され前記結合用壁前面と前記環状壁背面とを圧接させるスペーサが設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記結合用壁部と前記結合用凹部とは、前記結合用外周面の周方向に間隔をおいて複数設けられ、前記環状壁部と前記挿脱用欠部とは、前記ソケットの端部の内周面の周方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記結合用壁前面と前記環状壁背面の一方に係止凹部が設けられると共に他方に前記係止凹部に係止可能な係止凸部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記結合用外周面の周方向に沿った前記結合用壁部の幅と、前記ソケットの端部の内周面の周方向に沿った前記環状壁部の幅はほぼ等しいことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記装着リングは、前記結合用外周面の全周の1/2以上にわたって延在し前記結合用外周面に装着される環状体で形成され、前記環状体の延在方向の両端の間は、前記環状体を前記結合用外周面に装着するための欠部として形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記スペーサは、前記結合用外周面の周囲全周の1/2以上にわたって延在する環状体で形成され、前記環状体の延在方向の両端の間は、前記結合用外周面の周囲に前記環状体を位置させるための欠部として形成され、前記環状体の内周部には、前記環状体の厚さを内周端に至るにつれて薄くする傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、係止凹部と係止凸部とが係止した状態で、ソケットの端部と大径部との間に装着された装着リングにより、ソケットの大径部側への移動が制限され、係止凹部と係止凸部とが係止した状態が保持された配管用継手が構成される。
また、本発明の一実施の形態によれば、ソケットの端部と大径部との間に圧入されたスペーサにより結合用壁前面と環状壁背面とが圧接し、結合用壁前面と環状壁背面との相対的な回転が阻止された配管用継手が構成される。
したがって、従来のようにニップルの端部の環状凹部に専用の加締め機を用いてソケットの端部を加締める必要がなくなり、配管用継手を簡単に製作することができ、配管用継手とホースとの連結作業の効率化を図る上で有利となる。
また、加締め機を用いたソケットをニップルに加締めて結合させる作業を省略できるので、従来のように予めソケットをニップルに取り付ける作業を行なっていた場合の在庫管理も不要となり、配管用継手のコストダウンを図る上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態の配管用継手では、ソケットがニップルに取り付けられた状態でソケットは均一の外径を有していることから、ソケットの小径化を図る上で有利となり、配管用継手の軽量化、コストダウンを図る上で有利となる。
また、結合用壁部、結合用凹部、環状壁部、挿脱用欠部を複数設けると、ニップルとソケットとの相対的な回転を安定した状態で阻止する上で有利となる。
またスペーサを用いた場合、結合用壁前面と環状壁背面に互いに係止可能な係止凹部と係止凸部を設けると、ニップルとソケットとの相対的な回転を阻止する上で有利となり環状壁部に対する結合用壁部の位置合わせを簡単に行なう上で有利となる。
また、結合用外周面の周方向に沿った結合用壁部の幅と、ソケットの端部の内周面の周方向に沿った環状壁部の幅をほぼ等しく形成すると、複数の結合用壁部をそれぞれ挿脱用欠部からソケットの内部に入れ、ニップルとソケットとを相対的に回転させて複数の結合用壁部と複数の環状壁部との位置合わせを行なう際に、この位置合わせを簡単に行なう上で有利となり、したがって、配管用継手を簡単に製作する上で有利となり、配管用継手とホースとの連結作業の効率を高める上で有利となる。
また、装着リングを結合用外周面の全周の1/2以上にわたって延在する環状体で構成すると、装着リングの結合用外周面の装着状態を安定化させる上で有利となり、係止凹部と係止凸部との係状態を安定した状態で保持する上で有利となる。
また、スペーサを結合用外周面の周囲全周の1/2以上にわたって延在する環状体で構成すると、結合用外周面の周方向において結合用壁前面と環状壁背面とを均等に圧接させ、結合用壁前面と環状壁背面との相対的な回転を確実に阻止する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態に係る口金部とニップルの斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る口金部とニップルの斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る口金部とニップルの側面図である。
図4】第1の実施の形態に係るソケットの斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係るソケットの斜視図である。
図6】第1の実施の形態に係るソケットの断面側面図である。
図7】(A)は第1の実施の形態に係る装着リングの斜視図、(B)は同正面図、(C)は同側面図である。
図8】結合用壁部を挿脱用欠部からソケットの内部に挿入する状態の斜視図である。
図9】結合用壁部を挿脱用欠部からソケットの内部に挿入した状態の口金部とニップルとソケットの斜視図である。
図10】係止凹部と係止凸部を係止させた状態の口金部とニップルとソケットの側面図である。
図11】装着リングをソケットの端部と六角部との間の結合用外周面に装着する説明図である。
図12】装着リングが装着された配管用継手の斜視図である。
図13】断面図ではなく、ニップルの結合用壁部とソケットの環状壁部の位置関係を明確にするためハッチングを入れた図であり、(A)は挿脱用欠部から結合用壁部をソケットの内部に挿入した状態をソケットの端部から見た図、(B)はソケットを回転させ係止凹部と係止突起を係止させた状態をソケットの端部から見た図である。
図14】挿脱用欠部から結合用壁部をソケットの内部に挿入した状態の断面側面図である。
図15】ソケットを回転させ、結合用壁部と環状壁部との位置合わせを行なった状態の断面側面図である。
図16】係止凹部と係止凸部とを係止した状態の断面側面図である。
図17】装着リングを装着した状態の断面側面図である。
図18図17の拡大図である。
図19】結合用外周面に止め輪を装着した状態の拡大断面側面図である。
図20】六角部とソケットの端部との間にスペーサを圧入した状態の拡大断面側面図である。
図21】(A)~(D)は継手本体の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
図12に示すように、配管用継手10は、口金部12と、ホース継手部14と、装着リング22とを備え、口金部12とホース継手部14の内部には、図17に示すように、流体通路16が貫通形成されている。
図1図3図17に示すように、口金部12は、六角部1202として形成された大径部と、六角部1202に続く環状凹部1204と、環状凹部1204に続く環状凸部1206と、環状凹部1204に回転可能に結合されたナット1208とを含んで構成されている。
なお、大径部は六角部1202としてではなく円筒面などで形成される場合もあり、また、口金部12は本実施の形態の構造に限定されず、単に雄ねじで構成されている場合もあり、あるいは、相手側の流体通路にロー付けされる筒状体で構成されている場合もあり、あるいはホース継手部14で構成されている場合など、従来公知の様々な構造が適用可能である。
【0009】
図17に示すように、ホース継手部14は、ニップル18と、ソケット20と、装着リング22とを備えている。
ニップル18は口金部12と同軸上に設けられている。
図1図3に示すように、ニップル18は、ホース挿入部1802と、結合用外周面1804と、結合用壁部1806と、結合用凹部1808とを含んで構成されている。
ホース挿入部1802は、ホースの内部に挿入される箇所であり、表面にホースとの結合用の凹凸部1810が設けられている。
結合用外周面1804は、ホース挿入部1802と同一の軸心を有し、ニップル18の口金部12側の端部にホース挿入部1802の外径よりも大きい寸法の外径で設けられている。
結合用壁部1806は、結合用外周面1804のホース挿入部1802側の端部で結合用外周面1804の口金部12側の端部と間隔をおいた箇所に設けられている。
そして結合用壁部1806は、結合用外周面1804の周方向に等間隔をおいた箇所に結合用外周面1804の半径方向外側に突出しつつ結合用外周面1804の周方向に延在して複数設けられている。
本実施の形態では、六角部1202の六角端面1202Aから間隔をおいた結合用外周面1804の箇所に外周面の周方向に等間隔をおいて複数設けられている。
複数の結合用壁部1806は同一の形状で形成されている。
【0010】
また、結合用壁部1806を通る結合用外周面1804の周方向において結合用壁部1806を除いた箇所は結合用凹部1808となっている。すなわち、結合用外周面1804の周方向において隣り合う結合用壁部1806の箇所は結合用凹部1808となっている。
各結合用壁部1806は、口金部12側に向いた結合用壁前面1806Aを有し、結合用壁前面1806Aには、口金部12から離れる方向に窪んだ係止凹部24Aが設けられている。
なお、本実施の形態では、環状凸部1206、環状凹部1204、六角部1202、結合用外周面1804、結合用壁部1806、結合用凹部1808、ホース挿入部1802により継手本体26が構成されている。
【0011】
図4図6に示すように、ソケット20は、均一外径のソケット本体2002と、ソケット本体2002の口金部12側に位置する端部に設けられた環状壁部2004と挿脱用欠部2006とを有している。
ソケット本体2002の内周面には、ホースとの結合用の突起2008が設けられている。
環状壁部2004は、ソケット20の端部の内周面の周方向に等間隔をおいて複数設けられている。
環状壁部2004は、ソケット20の端部の内周面から結合用外周面1804が挿入される内径で内周面の半径方向内側に突出しつつ内周面に沿って環状に延在している。
環状壁部2004は、口金部12方向に向いた環状壁前面2004Aと、ホース挿入部1802の先端方向に向いた環状壁背面2004Bとを有している。
環状壁背面2004Bには、係止凹部24Aに係止可能な係止凸部24Bが設けられている。
また、環状壁部2004を通るソケット20の端部の内周面の周方向において環状壁部2004を除いた箇所は挿脱用欠部2006となっている。
なお、本実施の形態では、結合用外周面1804の周方向に沿った結合用壁部1806の幅と、ソケット20の端部の内周面の周方向に沿った環状壁部2004の幅はほぼ同一の寸法で形成されている。
また、結合用外周面1804の周方向に沿った結合用凹部1808の幅と、ソケット20の端部の内周面の周方向に沿った挿脱用欠部2006の幅もほぼ同一の寸法で形成されている。
そして、結合用外周面1804の周方向に沿った結合用壁部1806の幅と、ソケット20の端部の内周面の周方向に沿った環状壁部2004の幅と、結合用外周面1804の周方向に沿った結合用凹部1808の幅と、ソケット20の端部の内周面の周方向に沿った挿脱用欠部2006の幅とはほぼ同一の寸法で形成されている。
【0012】
図7に示すように、装着リング22は結合用外周面1804に装着可能に設けられ、結合用外周面1804の全周の1/2以上にわたって延在する環状体2202で形成され、環状体2202の延在方向の両端の間は、結合用外周面1804に装脱可能に装着するための欠部2204として形成されている。
図17に示すように、装着リング22は、結合用壁部1806が挿脱用欠部2006からソケット20の内部に入り係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態で、ソケット20の端部と六角部1202との間に装着されソケット20の大径部側への移動を制限し係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態を保持するものである。
図18に示すように、結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとが当接し、係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態において、係止凸部24Bが係止凹部24Aに侵入した長さをL1とし、六角端面1202Aと環状壁前面2004Aとの間の距離をL2とし、装着リング22の厚さをTとした場合、L1>(L2-T)の関係を満たしている。
【0013】
次に、配管用継手10の使用方法について説明する。
まず、図1図3に示すナット1208が回転可能に設けられた継手本体26と、図4図6に示すソケット20と、図7に示す装着リング22とを用意する。
次に、作業者は、図8に示すように、ニップル18がソケット20の内側に入るようにニップル18をソケット20に挿入し、図8図9図13(A)、図14に示すように、複数の結合用壁部1806をそれぞれ挿脱用欠部2006からソケット20の内部に入れる。
そして、作業者は、ニップル18とソケット20とを相対的に回転させ、複数の結合用壁部1806の延在方向の端部の結合用壁前面1806Aが環状壁部2004の環状壁背面2004B上に位置したならば、ニップル18とソケット20とをそれらの軸心方向において離しつつ相対的に回転させる。
ニップル18とソケット20とをそれらの軸心方向において離しつつ相対的に回転させると、図11図13(B)、図16に示すように、係止凸部24Bが係止凹部24A上に位置した状態で係止凸部24Bが係止凹部24Aに係止するので、作業者は、ソケット20の内周面の周方向においてニップル18とソケット20とが位置決めされたことが分かる。
この状態で複数の結合用壁部1806の結合用壁前面1806A全域がそれぞれ複数の環状壁部2004の環状壁背面2004B全域に位置し、また、結合用凹部1808と挿脱用欠部2006とが合致する。
【0014】
次に、作業者は、図12図17図18に示すように、六角端面1202Aと環状壁前面2004Aとの間で結合用外周面1804に装着リング22を装着する。
これによりソケット20の六角部1202側への移動が制限され、係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態が保持される。
装着リング22を結合用外周面1804に装着したならば、ホース挿入部1802の外周面とソケット20の内周面との間の環状空間にホースを挿入し、ソケット20を加締め機により加締めてホースとソケット20、ニップル18とを一体的に結合する。
【0015】
したがって、本実施の形態の配管用継手10によれば、従来のようにニップル18の端部の環状凹部に専用の加締め機を用いてソケット20の端部を加締める必要がなくなり、ニップル18をソケット20の内側に入れて係止凹部24Aと係止凸部24Bとを係止させ、装着リング22を結合用外周面1804に装着する作業により配管用継手10が構成されることから、配管用継手10を簡単に製作することができ、配管用継手10とホースとの連結作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ニップル18の端部の環状凹部にソケット20の端部を加締めてソケット20をニップル18に結合させる作業を省略できるので、従来のように予めソケット20をニップル18に取り付ける作業を行なっていた場合の在庫管理も不要となり、配管用継手10のコストダウンを図る上で有利となる。
また、ニップル18の端部の環状凹部にソケット20の端部を加締めてソケット20をニップル18に結合させる従来の配管用継手では、環状凹部にソケット20の端部を加締めることからソケット20の環状凹部側の内径は環状凹部に近づくにつれてその内径が次第に小さくなっていることから、ホースの端部がソケット20の内部の所定の箇所まで入るように、その分ソケット20の内径、外径を大きく形成しているものが多い。
これに対して、本実施の形態の配管用継手10では、従来のようにニップル18の端部の環状凹部にソケット20の端部を加締める作業がなくなり、ソケット20がニップル18に取り付けられた状態でソケット20は均一の外径を有していることから、ソケット20の小径化を図る上で有利となり、配管用継手10の軽量化、コストダウンを図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、装着リング22を結合用外周面1804の全周の1/2以上にわたって延在する環状体2202で構成したので、装着リング22の結合用外周面1804に対する装着状態を安定化させる上で有利となり、係止凹部24Aと係止凸部24Bとの係止状態を安定した状態で保持する上で有利となる。
【0016】
(第2の実施の形態)
次に、図19を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下に述べる実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略しまたは簡略し異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態では装着リング22としてスナップリングやEリングなどの止め輪28を用いたものである。
止め輪28は、結合用壁部1806が挿脱用欠部2006からソケット20の内部に入り、結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとが当接し、係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態で、六角端面1202Aと環状壁前面2004Aとの間との間に位置する結合用外周面1804の箇所に形成された装着溝1820に装着され、ソケット20の大径部側への移動を制限し係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態を保持するものである。
結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとが当接し、係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態において、係止凸部24Bが係止凹部24Aに侵入した長さをL1とし、止め輪28の側面から環状壁前面2004Aとの間の距離をL3とした場合、L1>L3の関係を満たしている。
このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0017】
(第3の実施の形態)
次に、図20を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態では装着リング22の代わりにスペーサ30を用いたものである。
スペーサ30は、結合用外周面1804の周囲全周の1/2以上にわたって延在する環状体3002で形成され、環状体3002の延在方向の両端の間は、結合用外周面1804の周囲に環状体3002を位置させるための欠部として形成されている。
また、環状体3002の内周部には、六角端面1202Aと環状壁前面2004Aとの間に圧入し易いように、環状体3002の厚さを内周端に至るにつれて薄くする傾斜面3010が形成されている。
スペーサ30は、結合用壁部1806が挿脱用欠部2006からソケット20の内部に入り、結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとが当接し、係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態で、六角端面1202Aと環状壁前面2004Aとの間に圧入され、結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとを圧接させる。
そして、結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとの相対的な回転を阻止することで、係止凹部24Aと係止凸部24Bとが係止した状態を保持し、ソケット20の大径部側への移動を阻止するものである。
スペーサ30の圧入は、例えば、ハンマーによりスペーサ30を叩き、あるいは、治具を用いて行う。
【0018】
第3の実施の形態では、スペーサ30により結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとを圧接させ、それら結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとの相対的な回転を阻止することから、係止凹部24Aと係止凸部24Bとを省略することも可能である。ただし、係止凹部24Aと係止凸部24Bとを設けると、継手本体26とソケット20との周方向の相対的な回転を確実に阻止する上で有利となり、また、環状壁部2004に対する結合用壁部1806の位置合わせを簡単に行なえ、ニップル18に対するソケット20の組み付け作業の効率を高めることができ、したがって、配管用継手10のコストダウンを図る上で有利となり、また、配管用継手10とホースとの連結作業の効率を高める上で有利となる。
また、スペーサ30を環状体3002で構成せず、矩形状の板体で構成してもよい。ただし、実施の形態のようにスペーサ30を結合用外周面1804の周囲全周の1/2以上にわたって延在する環状体3002で構成すると、結合用外周面1804の周方向において結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとを均等に圧接させ、結合用壁前面1806Aと環状壁背面2004Bとの相対的な回転を確実に阻止する上で有利となる。
このような第3の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0019】
なお、第1~第3の実施の形態では、結合用壁部1806、結合用凹部1808、環状壁部2004、挿脱用欠部2006を3つずつ設けた場合について説明したが、結合用壁部1806、結合用凹部1808、環状壁部2004、挿脱用欠部2006は1つずつ設けてもよい。ただし、実施の形態のように結合用壁部1806、結合用凹部1808、環状壁部2004、挿脱用欠部2006を複数設けると、ニップル18に対するソケット20の回転を安定した状態で阻止する上で有利となる。
図21(A)はニップル18の結合用外周面1804に結合用壁部1806と結合用凹部1808とを2つずつ設けた場合を示し、図21(B)はニップル18の結合用外周面1804に結合用壁部1806と結合用凹部1808とを4つずつ設けた場合を示し、図21(C)はニップル18の結合用外周面1804に結合用壁部1806と結合用凹部1808とを5つずつ設けた場合を示し、図21(D)はニップル18の結合用外周面1804に結合用壁部1806と結合用凹部1808とを6つずつ設けた場合を示している。
【0020】
また、第1~第3の実施の形態では、結合用外周面1804の周方向に沿った結合用壁部1806の幅と、ソケット20の端部の内周面の周方向に沿った環状壁部2004の幅をほぼ等しく形成したので、複数の結合用壁部1806をそれぞれ挿脱用欠部2006からソケット20の内部に入れ、ニップル18とソケット20とを相対的に回転させて複数の結合用壁部1806と複数の環状壁部2004との位置合わせを行なう際に、この複数の結合用壁部1806と複数の環状壁部2004との位置合わせを簡単に行なう上で有利となり、配管用継手10を簡単に製作する上で有利となり、配管用継手10とホースとの連結作業の効率を高める上で有利となる。
【0021】
なお、継手本体26と、ソケット20と、装着リング22や止め輪28、スペーサ30とを組み付けせずにばらばらとした形態で配管用継手10を市場に流通させてもよく、また、継手本体26と、ソケット20と、装着リング22や止め輪28、スペーサ30とを組み付けた形態の配管用継手10を市場に流通させてもよい。
【符号の説明】
【0022】
10 配管用継手
12 口金部
1202 六角部
1202A 六角端面
1204 環状凹部
1206 環状凸部
1208 ナット
14 ホース継手部
16 流体通路
18 ニップル
1802 ホース挿入部
1804 結合用外周面
1806 結合用壁部
1806A 結合用壁前面
1808 結合用凹部
1810 凹凸部
1820 装着溝
20 ソケット
2002 ソケット本体
2004 環状壁部
2004A 環状壁前面
2004B 環状壁背面
2006 挿脱用欠部
2008 突起
22 装着リング
2202 環状体
2204 欠部
24A 係止凹部
24B 係止凸部
26 継手本体
28 止め輪
30 スペーサ
3002 環状体
3010 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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