(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】薬剤準備部
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
(21)【出願番号】P 2021078510
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2020081800
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山本 高天
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164818(JP,A)
【文献】特開2017-012539(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025852(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤を、複数の貯留部の各々に一包分ずつ留め置き、一包分の前記錠剤を分包紙に分包する分包部へと供給する薬剤準備部であって、
前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤と衝突した際に、弾性変形して衝撃を和らげる領域である緩衝領域が形成されて
おり、
前記複数の貯留部は、区画形成体の外周に沿って、前記外周の内側に形成され、
前記区画形成体の鉛直上方に、前記錠剤通過経路の出口と対向する天面板が設けられ、
前記複数の貯留部の各々は、前記天面板に設けられた複数の開口部の各々を介して、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤を投入可能とされており、
前記開口部を形成する、前記天面板の縁部分が、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤と衝突した際に、弾性変形することを容易にする空隙が、前記天面板と前記貯留部の側壁との間に設けられている
ことを特徴とする薬剤準備部。
【請求項2】
前記緩衝領域は、前記天面板に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤準備部。
【請求項3】
前記天面板は、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤と衝突し得る領域である第1領域と、前記第1領域以外の領域である第2領域とを含み、
前記第1領域と前記第2領域とは同じ材料によって形成され、
前記第1領域の鉛直方向の厚みを、前記第2領域の鉛直方向の厚みよりも薄くすることにより、前記第1領域は、前記緩衝領域として形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の薬剤準備部。
【請求項4】
前記空隙は、前記天面板と前記貯留部の側壁を構成する側壁板との間に設けられていることを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項5】
前記空隙の鉛直方向の幅は、前記錠剤が通れない寸法である
ことを特徴とする請求項
1から4
のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項6】
前記区画形成体は、鉛直方向の軸を中心にして回転し、
前記錠剤は、(A)前記複数の貯留部のうちの所望の貯留部の側壁のうち、前記区画形成体の回転方向に対して後側の側壁と、(B)前記区画形成体の回転方向に対して、前記所望の貯留部の直前の貯留部の側壁のうち、前記区画形成体の回転方向に対して後側の側壁と、の間に、前記錠剤通過経路を通って排出され、
前記空隙は、前記貯留部の側壁のうち、前記区画形成体の回転方向に対して前側の側壁と、前記天面板との間に設けられている
ことを特徴とする請求項
1から
5のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項7】
前記貯留部の側壁の少なくとも一部は、前記貯留部の側壁によって囲まれた水平面の面積が鉛直下側に向かうにつれて小さくなるように傾斜した傾斜壁であり、
前記緩衝領域は、前記傾斜壁に形成されている
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項8】
前記傾斜壁を構成する側壁板である第3側壁板の厚みを、前記傾斜壁以外の、前記貯留部の側壁を構成する側壁板である第4側壁板の厚みよりも薄くすることにより、前記傾斜壁は、前記緩衝領域として形成されている
ことを特徴とする請求項
7に記載の薬剤準備部。
【請求項9】
前記区画形成体において前記貯留部の底は開口しており、
前記複数の貯留部の底を構成する底面板を、前記区画形成体の略鉛直下方に備え、
前記区画形成体が、鉛直方向の軸を中心にして、前記底面板に対して相対的に回転することによって、前記貯留部に留め置かれた前記錠剤は、前記底面板に設けられた開口部である供給口から、前記分包部へと供給され、
前記緩衝領域は、前記底面板に形成されている
ことを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項10】
前記底面板は、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤と衝突し得る領域である第5領域と、前記第5領域以外の領域である第6領域とを含み、
前記第5領域と前記第6領域とは同じ材料によって形成され、
前記第5領域の鉛直方向の厚みを、前記第6領域の鉛直方向の厚みよりも薄くすることにより、前記第5領域は、前記緩衝領域として形成されている
ことを特徴とする請求項
9に記載の薬剤準備部。
【請求項11】
前記貯留部の側壁の、少なくとも1つの側壁は、平面状である
ことを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項12】
前記区画形成体において前記貯留部の底は開口しており、
前記複数の貯留部の底を構成する底面板を、前記区画形成体の略鉛直下方に備え、
前記区画形成体が、鉛直方向の軸を中心にして、前記底面板に対して相対的に回転することによって、前記貯留部に留め置かれた前記錠剤は、前記底面板に設けられた開口部である供給口から、前記分包部へと供給され、
前記貯留部の側壁および前記底面板の少なくとも一方には、前記錠剤から発生した粉を排出可能であって、前記錠剤が通れない寸法の排出口が設けられている
ことを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の薬剤準備部。
【請求項13】
薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤を、複数の貯留部の各々に一包分ずつ留め置き、一包分の前記錠剤を分包紙に分包する分包部へと供給する薬剤準備部であって、
前記複数の貯留部が外周に沿って形成され、鉛直方向の軸を中心にして回転する区画形成体と、
前記区画形成体の鉛直上方に位置し、前記錠剤通過経路の出口と対向する天面板と、を備え、
前記天面板は、前記複数の貯留部のうちの1つが前記錠剤通過経路の出口に対向する位置に来る前に、前記錠剤通過経路から排出された錠剤を受ける領域を含
み、
前記複数の貯留部の各々は、前記天面板に設けられた複数の開口部の各々を介して、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤を投入可能とされており、
前記開口部を形成する、前記天面板の縁部分であって、前記領域の一部である前記縁部分が、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤と衝突した際に、弾性変形することを容易にする空隙が、前記天面板と前記貯留部の側壁との間に設けられている、薬剤準備部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤を、複数の貯留部の各々に一包分ずつ留め置き、一包分の前記錠剤を分包紙に分包する分包部へと供給する薬剤準備部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一包分の錠剤を分包紙に分包する薬剤払出装置が知られている。例えば、下掲の特許文献1には、以下の薬剤払出装置が開示されている。すなわち、特許文献1の薬剤払出装置は、複数の貯留部を有する薬剤準備部を備えている。特許文献1の薬剤払出装置において、一包分の錠剤は、ホッパー(錠剤通過経路)を通って、薬剤準備部の有する複数の貯留部の各々へと、排出される。そして、一包分の錠剤が、複数の貯留部の各々から、錠剤を分包紙に分包する分包部へと、供給されることにより、一包分の錠剤は分包紙に分包される。
【0003】
また、特許文献1の薬剤準備部は、複数の貯留部が形成された区画形成体と、区画形成体を収容可能な薬剤準備部本体と、を備えている。区画形成体は、回動自在な状態で薬剤準備部本体に収容されている。また、薬剤準備部本体の底面には開口が形成されている。開口に相当する位置に到来した貯留部においては、貯留部に設けられたシャッタが開き、貯留部内の錠剤が分包部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術において、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤が、前記薬剤準備部との衝突の衝撃によって跳ねてしまうと、以下の状況が発生し得る。すなわち、衝突の際の衝撃で前記錠剤が跳ねると、前記複数の貯留部のうちの、前記錠剤が収納されるべき所望の貯留部へと、前記錠剤が収納されるタイミングが遅れるなどして、前記所望の貯留部とは異なる貯留部に、前記錠剤が収納される可能性がある。
【0006】
また、上述のような従来技術において、貯留部に留め置かれた錠剤から発生した粉及び欠片の少なくとも一方が、薬剤準備部本体の底面の、貯留部の外側に存在する場合、以下の状況が発生し得る。すなわち、薬剤準備部本体の底面の、貯留部の外側に存在する、粉及び欠片の少なくとも一方が、例えば区画形成体の回動に伴い、薬剤準備部本体の底面に形成された開口から分包部へと供給されてしまう可能性がある。
【0007】
本発明の一態様は、薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤が、薬剤準備部との衝突の衝撃によって跳ねてしまうのを抑制することを目的とする。
【0008】
また、本発明の別の一態様は、貯留部に留め置かれた錠剤の粉及び欠片の少なくとも一方が分包される可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る薬剤準備部は、薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤を、複数の貯留部の各々に一包分ずつ留め置き、一包分の前記錠剤を分包紙に分包する分包部へと供給する薬剤準備部であって、前記錠剤通過経路を通って排出された前記錠剤と衝突した際に、弾性変形して衝撃を和らげる領域である緩衝領域が形成されている。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の別の一態様に係る薬剤準備部は、薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤を、少なくとも1つの貯留部に一包分留め置き、一包分の前記錠剤を分包紙に分包する分包部へと供給する薬剤準備部であって、底が開口した前記貯留部が形成された区画形成体と、前記区画形成体の鉛直下方に設けられ、前記区画形成体に対して相対的に移動する底面板であって、前記貯留部の底を塞ぐことが可能な部分と、前記貯留部に留め置かれた錠剤を前記分包部へと供給することが可能な開口部と、を有する底面板と、前記貯留部に留め置かれた錠剤の前記底面板における移動経路に沿った領域であって、前記移動経路に垂直な方向における前記開口部の幅に対応する幅を有する領域から、前記錠剤から発生した粉及び欠片の少なくとも一方を除去する除去部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、薬剤払出装置において、錠剤通過経路を通って排出された錠剤が、薬剤準備部との衝突の衝撃によって跳ねてしまうのを抑制することができるとの効果を奏する。
【0012】
また、本発明の別の一態様によれば、貯留部に留め置かれた錠剤の粉及び欠片の少なくとも一方が分包される可能性を低減できるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係る薬剤準備部の全体概要を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1の薬剤準備部を備える薬剤払出装置の概要を説明する図である。
【
図3】
図1の薬剤準備部を鉛直上方から見下ろした上面図である。
【
図4】
図1の薬剤準備部を鉛直下方から見上げた底面図である。
【
図5】
図1の薬剤準備部の備える天面板および区画形成体を鉛直上方から見下ろした上面図である。
【
図6】
図5のX1-X2矢視断面のイメージを示す図である。
【
図7】
図5のY1-Y2矢視断面のイメージを示す図である。
【
図8】
図5の区画形成体を鉛直下方から見上げた底面図である。
【
図9】
図1の薬剤準備部の備える底面板を鉛直上方から見下ろした上面図である。
【
図10】
図9の底面板を鉛直下方から見上げた底面図である。
【
図11】
図10のZ1-Z2矢視断面のイメージを示す図である。
【
図12】錠剤通過経路を通って排出される錠剤の位置を説明する図である。
【
図13】錠剤が貯留部へと収納される様子を説明する図である。
【
図14】本発明の実施形態2に係る薬剤払出装置の全体を示す斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態2に係る錠剤待機部の構成を示す斜視図である。
【
図17】薬剤準備部を鉛直上方から見下ろした上面図である。
【
図18】薬剤準備部を鉛直下方から見上げた底面図である。
【
図19】薬剤準備部が備える底面板を鉛直上方から見下ろした上面図である。
【
図20】区画形成体を鉛直下方から見上げた底面図である。
【
図21】平面視における区画形成体と底面板との位置関係を示す模式図である。
【
図22】薬剤準備部の、軸に平行な平面における断面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。なお、以下の説明において、「n」、「m」は、各々、「1」以上の整数を示すものとする。また、同じ部材番号を付した複数の部材を互いに区別する必要がある場合には、アルファベットの大文字一文字を付して、例えば、「貯留部100A」、「貯留部100B」、・・・、「貯留部100Z」と表記することによって、各々を区別することがある。また、例えば、「貯留部100A」、「貯留部100B」、・・・、「貯留部100Z」の各々を特に区別する必要がない場合には、単に「貯留部100」と記載することがある。
【0015】
本発明の一態様に係る薬剤準備部10(薬剤準備部)についての理解を容易にするため、先ず、薬剤準備部10を備える薬剤払出装置1の概要を、
図2を用いて説明する。
【0016】
(薬剤払出装置の概要)
図2は、薬剤払出装置1の概要を説明する図である。
図2に示すように、薬剤払出装置1は、錠剤2を分包紙に分包する装置であり、特に、一包分の錠剤2を分包紙に分包する装置である。薬剤払出装置1は、薬剤準備部10と、複数のカセット20と、錠剤通過経路30と、分包部40とを備えている。
【0017】
カセット20には、1つ以上の錠剤2が収納され、特に、複数のカセット20の各々には、1つ以上(例えば、複数)の錠剤2が収納される。具体的には、カセット20Aには、或る種類の錠剤2(例えば、錠剤2A-1、2A-2、・・・、2A-n)が収納され、同様に、カセット20Bには、別の種類の錠剤2(例えば、錠剤2B-1、2B-2、・・・、2B-m)が収納される。
【0018】
錠剤通過経路30は、カセット20に収納されていた錠剤2が、薬剤準備部10へと排出される際に通過する経路である。
【0019】
薬剤準備部10は、複数の貯留部100を備え、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2(特に、一包分の錠剤2)を、複数の貯留部100の各々に一包分ずつ留め置き、分包部40へと供給する。つまり、複数のカセット20の各々に収納されていた錠剤2は、錠剤通過経路30を通って、複数の貯留部100の各々へと排出される。
【0020】
ここで、貯留部100に留め置かれる「一包分の錠剤2」が、全て同じ種類の錠剤2であることがある。例えば、貯留部100Aに留め置かれる「一包分の錠剤2」が、全て或る種類の錠剤2である場合、カセット20に収納されていた錠剤2は、錠剤通過経路30を通って貯留部100Aへと、以下のように排出される。すなわち、例えばカセット20Aに収納されていた、或る種類の錠剤2(例えば、錠剤2A-1、2A-2、・・・、2A-n)は、錠剤通過経路30を通って、貯留部100Aへと排出される。
【0021】
また、貯留部100に留め置かれる「一包分の錠剤2」が、互いに異なる複数の種類の錠剤2を含むことがある。例えば、貯留部100Bに留め置かれる「一包分の錠剤2」が、或る種類の錠剤2と、別の種類の錠剤2とを含む場合、カセット20に収納されていた錠剤2は、錠剤通過経路30を通って貯留部100Bへと、以下のように排出される。すなわち、例えばカセット20Aに収納されていた或る種類の錠剤2と、カセット20Bに収納されていた別の種類の錠剤2とは、錠剤通過経路30を通って、貯留部100Bへと排出される。例えば、カセット20Aに収納されていた或る種類の錠剤2A-1、2A-2、・・・、2A-nと、カセット20Bに収納されていた別の種類の錠剤2B-1、2B-2、・・・、2B-mとは、錠剤通過経路30を通って、貯留部100Bへと排出される。複数種類の錠剤2を一包に分包する場合、各種類の錠剤2に対応するカセット20(例えば、上述のカセット20Aおよびカセット20Bの各々)が、各種類の錠剤2を、貯留部100へと排出する。そして、貯留部100において、複数種類の錠剤2が、一包分の錠剤2として纏められる。
【0022】
分包部40は、錠剤2を分包紙に分包し、特に、一包分の錠剤2を分包紙に分包する。例えば、分包部40は、貯留部100Aに留め置かれていた、或る一包分の錠剤2(例えば、錠剤2A-1、2A-2、・・・、2A-n)を、分包紙に分包する。同様に、分包部40は、貯留部100Bに留め置かれていた、別の一包分の錠剤2(例えば、錠剤2B-1、2B-2、・・・、2B-m)を、分包紙に分包する。
【0023】
図1などに基づいて薬剤準備部10の詳細を説明する前に、薬剤準備部10の概要を説明しておけば、以下の通りである。すなわち、薬剤準備部10は、薬剤払出装置1において、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2を、複数の貯留部100の各々に一包分ずつ留め置き、一包分の錠剤2を、分包部40へと供給する。薬剤準備部10には、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際に、弾性変形して衝撃を和らげる領域である緩衝領域Baが形成されている。
【0024】
緩衝領域Baは錠剤2と衝突すると、錠剤2と衝突した位置を中心とする比較的狭い領域が、急激に凹形状(U字型)に変形してもよいし、錠剤2と衝突した位置を中心とする比較的広い領域が、緩やかにへこむように変形してもよい。つまり、緩衝領域Baは錠剤2と衝突すると、緩衝領域Baの錠剤2と衝突した位置が、緩衝領域Baと衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。
【0025】
緩衝領域Baは、錠剤2との衝突の際に弾性変形することによって、錠剤2との衝突の際の衝撃を吸収し、錠剤2が衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0026】
したがって、薬剤準備部10は、緩衝領域Baによって、錠剤2が、薬剤準備部10(特に、緩衝領域Ba)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0027】
ここで、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2が、薬剤準備部10との衝突の衝撃によって跳ね、例えば区画形成体11の上空に跳ね上がってしまうと、以下の状況が発生し得る。すなわち、衝突の際の衝撃によって錠剤2が区画形成体11の上空に跳ね上がってしまうと、複数の貯留部100のうちの、錠剤2が収納されるべき所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと、錠剤2が収納されるタイミングが遅れる。
【0028】
そして、詳細は後述するが、複数の貯留部100を備える区画形成体11は、鉛直方向の軸16を中心として回転している。そのため、錠剤2が区画形成体11の上空に跳ね上がっている間(言い換えれば、貯留部100Bへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れている間)に、区画形成体11が回転してしまうことがあり得る。その結果、所望の貯留部100Bとは異なる貯留部100(例えば、貯留部100C)に、錠剤2が収納されてしまう可能性がある。
【0029】
そこで、薬剤準備部10は、緩衝領域Baによって、錠剤2との衝突の際の衝撃を吸収し、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0030】
したがって、薬剤準備部10は、「衝突の際の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100Bへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、所望の貯留部100Bとは異なる貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまう」事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0031】
なお、緩衝領域Baは、錠剤2との衝突によって弾性変形して衝撃を吸収した後、元の状態に戻り、つまり、変形する前の状態に戻る。
【0032】
(薬剤準備部の概要)
以下、
図1などを用いて説明する薬剤準備部10は、複数の貯留部100を備える区画形成体11と、天面板12と、底面板14とを備えている。薬剤準備部10において、区画形成体11は、略水平に配された天面板12と、略水平に配された底面板14との間にある。区画形成体11において、貯留部100は、鉛直上方(天面板12の側)と鉛直下方(底面板14の側)とが開口しており、貯留部100の底は、底面板14によってふさがれる。
【0033】
(区画形成体および天面板の概要)
図1は、薬剤準備部10の全体概要を示す外観斜視図である。
図1に示すように、区画形成体11には、複数の貯留部100が形成されている。
図1に例示するように、区画形成体11は、例えば、外観形状が略円盤状であり、具体的には、「錠剤2の寸法に比べて十分大きい、鉛直方向の高さ」を有する円筒状である。区画形成体11には、その外周に沿って貯留部100が複数、区画形成体11の外周の内側に、形成される。例えば、複数の貯留部100は、区画形成体11の外周に沿って、周方向に所定の間隔毎に形成されてもよい。
【0034】
図1に示す例示する区画形成体11には、各々が一分包分の錠剤2を収容する、6つの貯留部100が形成されており、具体的には、貯留部100A~貯留部100Fが形成されている。本実施形態では、区画形成体11に形成される貯留部100が6つである例を説明するが、区画形成体11に形成される貯留部100の数が6つであることは必須ではない。区画形成体11に形成される貯留部100の数は任意である。
【0035】
区画形成体11において、貯留部100は、鉛直上方と鉛直下方とが開口している領域であって、貯留部100の側壁によって周囲(水平方向の周囲)を囲まれた領域として形成されている。貯留部100の鉛直方向の高さは、錠剤2を留め置くのに十分となるように、設計されており、言い換えれば、錠剤2の寸法に比べて十分に大きい。
【0036】
天面板12は、区画形成体11の略鉛直上方に設けられる薄板であり、錠剤通過経路30の出口と対向する。
図1に例示するように、天面板12は、例えば、円板状の薄板である。天面板12は、区画形成体11に接合(接着)されていてもよく、例えば、天面板12と区画形成体11とは一体に形成されていてもよい。ただし、天面板12と区画形成体11とが接合されていることは必須ではなく、天面板12は、後述する軸16に接合されていてもよい。
【0037】
天面板12には、縁部分1211によって周囲を囲まれた開口である開口部1201が形成されており、特に、複数の縁部分1211の各々によって周囲を囲まれた、複数の開口部1201が形成されている。例えば、開口部1201Aは、縁部分1211Aによって周囲を囲まれ、同様に、開口部1201Bは、縁部分1211Bによって周囲を囲まれている。
【0038】
天面板12の複数の開口部1201の各々は、区画形成体11の複数の貯留部100の各々の開口に対応しており、例えば、開口部1201Aは貯留部100Aの開口に対応しており、同様に、開口部1201Bは貯留部100Bの開口に対応している。貯留部100は、天面板12に設けられた開口部1201を介して、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2を投入可能とされている。天面板12は、複数の開口部1201の各々が、区画形成体11の複数の貯留部100の各々に対応する位置にあるように、区画形成体11と共に、後述する軸16を中心として、回転する。
【0039】
縁部分1211の直下には、空隙13が設けられている。縁部分1211の直下に空隙13を設けることにより、空隙13を設けない場合に比べて、縁部分1211は、弾性変形しやすくなっている。例えば、縁部分1211は、錠剤2と衝突すると、縁部分1211の錠剤2と衝突した位置が、縁部分1211と衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。例えば、縁部分1211Aの直下には、空隙13Aが設けられ、同様に、縁部分1211Bの直下には、空隙13Bが設けられている。
【0040】
区画形成体11は、例えば、不図示の駆動機構を介して動力の伝達を受けることにより、鉛直方向(言い換えれば、区画形成体11の厚み方向)の軸16を中心として回動可能とされている。特に、区画形成体11は、天面板12と共に、軸16を中心として底面板14に対して相対的に回転する。軸16は、区画形成体11の略中央の位置、つまり、複数の貯留部100の各々からの距離が略等しい位置にあってもよい。
【0041】
具体的には、
図1に例示する区画形成体11の外周には、外歯歯車状のフランジ部17が設けられ、フランジ部17に形成された歯は、不図示のモータから動力を受けて回動する歯車と噛合している。そのため、モータが作動すると、動力が歯車を介してフランジ部17に伝わり、フランジ部17と接合された区画形成体11は、軸16を中心として回転する。区画形成体11と天面板12とが接合されている場合、両者は一体となって、軸16を中心として回転する。ただし、薬剤準備部10において、区画形成体11の外周にフランジ部17を設けることは必須ではなく、区画形成体11は、軸16を中心として回転できればよい。
【0042】
図3は、薬剤準備部10を鉛直上方から見下ろした上面図である。区画形成体11は、天面板12と共に、軸16を中心として回転し、例えば、
図3に示すように、反時計回りに回転する。
【0043】
天面板12には、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る領域、言い換えれば、錠剤通過経路30の出口と対向し得る領域である第1領域121が形成されている。天面板12はさらに、第1領域121以外の領域である第2領域122を含んでいる。天面板12において、第1領域121と第2領域122とは同じ材料(材質)から成る。また、第1領域121は、縁部分1211を含む。
【0044】
前述の通り、区画形成体11において、貯留部100は、鉛直上方と鉛直下方とが開口されている。区画形成体11において、貯留部100の周囲を囲む側壁は、区画形成体11の回転方向に対して前側の側壁である前壁111と、区画形成体11の回転方向に対して後側の側壁である後壁112と、に大別される。例えば、貯留部100Aは、前壁111Aと後壁112Aとを含む側壁によって、周囲を囲まれており、同様に、貯留部100Bは、前壁111Bと後壁112Bとを含む側壁によって、周囲を囲まれている。
【0045】
図3に示すように、前壁111は平面状であり、後壁112は曲面状である。すなわち、後壁112の水平面での切断面は円弧状であり、また、前壁111の水平面での切断面は、後壁112の水平面での切断面である円弧の両端を結ぶ弦に、略対応する。前壁111と後壁112とは、一体となって、貯留部100の四方を囲む側壁を形成している。
【0046】
すなわち、薬剤準備部10において、貯留部100の側壁の、少なくとも1つの側壁(例えば、前壁111)は、平面状である。前記の構成によれば、薬剤準備部10は、錠剤2が貯留部100の側壁に沿って貯留部100の内側で回転してしまうことで、錠剤2の、貯留部100から分包部40への供給のタイミングが遅れるという事態が発生するのを抑制できるとの効果を奏する。
【0047】
ここで、錠剤2が貯留部100の側壁に沿って貯留部100の内側で回転してしまうと、以下の理由から、錠剤2の、貯留部100から分包部40への供給のタイミングが遅れるという事態が発生し得る。
【0048】
すなわち、詳細は後述するが、複数の貯留部100を備える区画形成体11は、鉛直方向の軸16を中心として、底面板14に対して相対的に回転する。そして、貯留部100の底が、底面板14に形成されている供給口1401に対応する位置に来ると、貯留部100に留め置かれていた一包分の錠剤2は、供給口1401を通って分包部40へと供給される。すなわち、貯留部100の底にある錠剤2は、底面板14に形成されている供給口1401が、貯留部100の底に対応する位置に来ると、供給口1401を通って、分包部40へと供給される。
【0049】
ただし、錠剤2が、貯留部100の側壁に沿って、貯留部100の内側で回転してしまうと、錠剤2が貯留部100の底に到達するタイミングが遅れることがあり得る。そして、錠剤2が貯留部100の底に到達するタイミングが遅れることで、「錠剤2が、貯留部100の底に位置する供給口1401を通って、分包部40へと供給される」タイミングも遅れることになる。
【0050】
(底面板の概要)
図4は、薬剤準備部10を鉛直下方から見上げた底面図である。底面板14は、区画形成体11の略鉛直下方に設けられる薄板であり、区画形成体11において開口している貯留部100の底をふさぐ。
図4に例示するように、底面板14は、例えば、円板状の薄板である。底面板14は、区画形成体11に接着されていない。区画形成体11と天面板12とは一体となって、軸16を中心として、底面板14に対して回転し、例えば、底面板14に対して反時計回りに回転する。
【0051】
底面板14には、開口部である供給口1401が形成されている。貯留部100に留め置かれた錠剤2は、供給口1401から、分包部40へと供給される。すなわち、区画形成体11は、軸16を中心として、底面板14に対して回転する。そして、区画形成体11に形成された貯留部100の底が、供給口1401に対応する位置に来ると、貯留部100に留め置かれていた一包分の錠剤2は、分包部40へと供給される。
【0052】
例えば、貯留部100Aに留め置かれていた、或る一包分の錠剤2(例えば、錠剤2A-1、2A-2、・・・、2A-n)は、貯留部100Aの底が、供給口1401に対応する位置に来ると、供給口1401を通って、分包部40へと供給される。同様に、貯留部100Bに留め置かれていた、別の一包分の錠剤2(例えば、錠剤2B-1、2B-2、・・・、2B-m)は、貯留部100Bの底が、供給口1401に対応する位置に来ると、供給口1401を通って、分包部40へと供給される。
【0053】
底面板14には、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る領域である第5領域141が形成されている。底面板14はさらに、第5領域141以外の領域である第6領域142を含んでいる。底面板14において、第5領域141と第6領域142とは同じ材料(材質)から成る。第5領域141は、例えば、第5領域141の略中央が、区画形成体11を介して、錠剤通過経路30の出口と対向する位置に設けられる。
【0054】
ここで、前述の通り、区画形成体11と天面板12とは、一体となって、軸16を中心として、底面板14に対して回転する。したがって、底面板14において第5領域141が設けられる位置は、次のように表現することもできる。すなわち、第5領域141は、底面板14において、「天面板12の開口部1201および貯留部100が錠剤通過経路30の出口と対向する位置に来た時に、開口部1201に対向する位置(つまり、貯留部100の底に対応する位置)」に、設けられる。
【0055】
図4に例示する底面板14にはさらに、錠剤2から発生した粉を排出可能であって、錠剤2が通れない寸法の排出口15が設けられている。排出口15はさらに、錠剤2から発生した欠片を排出可能であってもよい。
【0056】
なお、排出口15を底面板14に設けることは必須ではなく、貯留部100の側壁に排出口15を設けてもよい。また、底面板14と貯留部100の側壁との両方に、排出口15を設けてもよい。
【0057】
すなわち、薬剤準備部10は、貯留部100の側壁および底面板14の少なくとも一方に、錠剤2から発生した粉(または、「粉および欠片」)を排出可能であって、錠剤2が通れない寸法の排出口15を備えている。
【0058】
前記の構成によれば、薬剤準備部10は、錠剤2から発生した粉が貯留部100に残存するという事態が発生するのを抑制できるとの効果を奏する。
【0059】
(区画形成体および天面板の詳細)
図5は、薬剤準備部10の備える天面板12および区画形成体11を鉛直上方から見下ろした上面図である。前述の通り、第1領域121と第2領域122とを含む天面板12は、区画形成体11と一体となって、軸16を中心として、底面板14に対して回転する。また、区画形成体11の貯留部100の鉛直上方の開口は、天面板12の開口部1201に対応しており、貯留部100は、前壁111と後壁112とが一体となって形成する側壁によって、周囲を囲まれている。
【0060】
図6は、
図5のX1-X2矢視断面のイメージを示す図である。なお、
図6において、各部材および空隙13の縮尺は、各部材および空隙13の関係を理解しやすいように誇張されている。
【0061】
図6に示すように、区画形成体11において、後壁112は、略垂下している。これに対して、前壁111は、天面板12の側(天面側)から底面板14の側(底面側)へと向かう中途の位置まで、後壁112に向かうように傾斜しており、また、この中途の位置からは、略垂下している。すなわち、前壁111は、「貯留部100の側壁によって囲まれた水平面の面積が鉛直下側に向かうにつれて小さくなるように、鉛直方向に対して傾斜した傾斜壁」である前壁111(SL)と、鉛直方向に延びた垂直壁である前壁111(VE)とを含む。
【0062】
ただし、前壁111が前壁111(SL)と前壁111(VE)とを含むことは必須ではない。前壁111は、前壁111(SL)のみから成っていてもよく、例えば、前壁111の全体が、天面側から底面側へと向かうにつれて後壁112に近付くように傾斜していてもよい。すなわち、前壁111は、垂直壁である前壁111(VE)を含んでいなくてもよい。
【0063】
貯留部100の側壁は、薄板である側壁板によって構成される。貯留部100の側壁を構成する側壁板は、前壁111(SL)を構成する薄板である第3側壁板1111と、前壁111(VE)および後壁112の各々を構成する薄板である第4側壁板1112とを含む。ただし、前壁111(VE)についても第3側壁板1111によって構成し、後壁112のみを第4側壁板1112によって構成してもよい。また、前壁111が前壁111(VE)を含んでいない場合、つまり、前壁111が前壁111(SL)のみから成る場合、前壁111は、第3側壁板1111によって構成されることになる。
【0064】
第3側壁板1111と第4側壁板1112とは同じ材料(材質)から成る。そして、前壁111(SL)を構成する第3側壁板1111の厚みは、前壁111(SL)以外の、貯留部100の側壁(例えば、後壁112)を構成する第4側壁板1112の厚みよりも薄い。
【0065】
図6に示すように、空隙13が、前壁111と天面板12との間に設けられている。つまり、前壁111と天面板12とが接触していない部分が、空隙13として形成されている。例えば、空隙13は、貯留部100の側壁を構成する側壁板(特に、第3側壁板1111)の、縁部分1211の直下に位置する部分を略水平方向に貫通する貫通孔として、設けられている。前壁111と天面板12との間に空隙13を設けることによって、空隙13を設けない場合に比べて、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と縁部分1211とが衝突した際、縁部分1211は弾性変形しやすくなる。
【0066】
例えば、縁部分1211は錠剤2と衝突すると、縁部分1211の錠剤2と衝突した位置が、縁部分1211と衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。空隙13の鉛直方向の幅は、錠剤2が通れない寸法である。
【0067】
なお、空隙13は、貯留部100の側壁を構成する側壁板の任意の位置(高さ)に設けてもよく、例えば、貯留部100の側壁を構成する側壁板の、貯留部100の底に近い位置に、空隙13を設けてもよい。空隙13を、貯留部100の側壁を構成する側壁板の任意の位置に設けることによって、空隙13を設けない場合に比べて、縁部分1211は、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際に、弾性変形しやすくなる。ただし、縁部分1211が最も弾性変形しやすくなるのは、空隙13を、貯留部100の側壁を構成する側壁板の、縁部分1211の直下に位置する部分に設けたときである。すなわち、前壁111と天面板12との間に空隙13を設けた場合に、縁部分1211は最も弾性変形しやすくなる。
【0068】
特に、縁部分1211を含む第1領域121の鉛直方向の厚みを薄くすることにより、縁部分1211を弾性変形しやすくしていた場合、縁部分1211の直下に空隙13を設けることで、縁部分1211は、より弾性変形しやすくなる。
【0069】
図7は、
図5のY1-Y2矢視断面のイメージを示す図である。なお、
図7において、各部材の縮尺は、各部材の関係を理解しやすいように誇張されている。
図7に示すように、天面板12は、薄板であり、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る領域である第1領域121と、第1領域121以外の領域である第2領域122とを含んでいる。第1領域121の鉛直方向の厚みは、第2領域122の鉛直方向の厚みよりも薄い。第1領域121の鉛直方向の厚みは、第2領域122の鉛直方向の厚みよりも薄いため、第2領域122に比べて、第1領域121は、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際に、弾性変形しやすく、つまり、衝突の衝撃を吸収しやすい。
【0070】
例えば、第1領域121は錠剤2と衝突すると、第1領域121の錠剤2と衝突した位置が、第1領域121と衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。天面板12において、錠剤2と衝突し得る領域である第1領域121の厚みを、第1領域121以外の領域である第2領域122の厚みよりも薄くすることにより、錠剤2が天面板12と衝突した際に、錠剤2が衝突の衝撃で跳ねるのを抑止できる。
【0071】
図8は、区画形成体11を鉛直下方から見上げた底面図である。
図8には、区画形成体11の外周に沿って、6つの貯留部100(具体的には、貯留部100A~貯留部100F)が周方向に形成された例が示されている。複数の貯留部100は、区画形成体11の外周に沿って、周方向に所定の間隔毎に形成されてもよい。
【0072】
区画形成体11において、貯留部100の底は開口しており、また、貯留部100は、平面状の前壁111と曲面状の後壁112とから成る側壁によって、周囲を囲まれている。後壁112は、天面板12の側(天面側)から底面板14の側(底面側)へと、略垂下し、また、前壁111は、天面側から底面側へと向かう中途の位置まで、後壁112に向かうように傾斜している部分(すなわち、前壁111(SL))を含んでいる。
【0073】
(底面板の詳細)
図9は、薬剤準備部10の備える底面板14を鉛直上方から見下ろした上面図である。薄板である底面板14には、貯留部100に留め置かれた一包分の錠剤2を分包部40へと供給するための供給口1401と、錠剤2から発生した粉を排出するための排出口15とが設けられている。前述の通り、排出口15は、底面板14に代えて、貯留部100の側壁に設けてもよいし、底面板14と貯留部100の側壁との両方に設けてもよい。
【0074】
図10は、底面板14を鉛直下方から見上げた底面図である。
図10に示すように、底面板14には、供給口1401および排出口15に加えてさらに、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る位置に第5領域141が設けられている。底面板14の、第5領域141以外の領域は第6領域142と称される。
【0075】
図11は、
図10のZ1-Z2矢視断面のイメージを示す図である。なお、
図11において、各部材の縮尺は、各部材の関係を理解しやすいように誇張されている。
図11に示すように、底面板14において、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る位置に設けられた第5領域141の鉛直方向の厚みは、第5領域141以外の領域である第6領域142の鉛直方向の厚みよりも薄い。第5領域141の鉛直方向の厚みは、第6領域142の鉛直方向の厚みよりも薄いため、第6領域142に比べて、第5領域141は、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際に、弾性変形しやすく、つまり、衝突の衝撃を吸収しやすい。
【0076】
例えば、第5領域141は錠剤2と衝突すると、第5領域141の錠剤2と衝突した位置が、第5領域141と衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。底面板14において、錠剤2と衝突し得る領域である第5領域141の厚みを、第5領域141以外の領域である第6領域142の厚みよりも薄くすることにより、錠剤2が底面板14と衝突した際に、錠剤2が衝突の衝撃で跳ねるのを抑止できる。
【0077】
(緩衝領域が形成される位置)
これまでに説明してきた薬剤準備部10について、「錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際に、弾性変形して衝撃を和らげる領域」である緩衝領域Baが形成される位置は、以下のように整理することができる。
【0078】
(1. 天面板に緩衝領域を形成する)
薬剤準備部10において、複数の貯留部100は、区画形成体11の外周に沿って、区画形成体11の外周の内側に形成されている。薬剤準備部10において、区画形成体11の略鉛直上方には、錠剤通過経路30の出口と対向する天面板12が設けられている。複数の貯留部100の各々は、天面板12に設けられた複数の開口部1201の各々を介して、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2を投入可能とされている。そして、薬剤準備部10において、緩衝領域Baは、天面板12に形成されている。
【0079】
天面板12に形成された緩衝領域Baは、錠剤2との衝突の際に弾性変形することによって、錠剤2との衝突の際の衝撃を吸収し、錠剤2が衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0080】
したがって、前記の構成によれば、薬剤準備部10は、天面板12に形成されている緩衝領域Baによって、錠剤2が天面板12に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、天面板12との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制できるとの効果を奏する。
【0081】
錠剤2が衝突の衝撃で跳ねると、錠剤2が収納されるべき所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと、錠剤2が収納されるタイミングが遅れる。そして、複数の貯留部100を備える区画形成体11は、天面板12と共に、鉛直方向の軸16を中心として回転している。そのため、錠剤2が貯留部100Bへと収納されるタイミングが遅れると、その間に区画形成体11および天面板12が回転し、その結果、貯留部100Bとは異なる貯留部100(例えば、貯留部100C)に、錠剤2が収納される可能性がある。
【0082】
したがって、区画形成体11および天面板12が、鉛直方向の軸16を中心として、錠剤通過経路30の出口および底面板14に対して相対的に回転している場合、天面板12に緩衝領域Baを形成することにより、薬剤準備部10は、さらに以下の効果を奏する。すなわち、薬剤準備部10は、天面板12との衝突の際の衝撃で錠剤2が跳ねて、貯留部100Bへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れることで、貯留部100Bとは異なる貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できるとの効果を奏する。
【0083】
(1.1. 天面板の第1領域を緩衝領域とする)
天面板12は、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る領域である第1領域121と、第1領域121以外の領域である第2領域122とを含む。第1領域121と第2領域122とは同じ材料(材質)から成る。第1領域121の鉛直方向の厚みを、第2領域122の鉛直方向の厚みよりも薄くすることにより、第1領域121は、緩衝領域Baとして形成されている。
【0084】
前記の構成によれば、薬剤準備部10は、天面板12において緩衝領域Baとして形成されている第1領域121によって、錠剤2が第1領域121に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制できるとの効果を奏する。すなわち、天面板12において、第1領域121の厚みは第2領域122の厚みよりも薄くて弾性変形しやすいから、第1領域121は、錠剤2が天面板12と衝突して跳ねるのを抑制することができる。
【0085】
また、区画形成体11および天面板12が、鉛直方向の軸16を中心として、回転している場合、薄い厚みの第1領域121によって、薬剤準備部10は、さらに以下の効果を奏する。すなわち、薬剤準備部10は、天面板12との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまうとの事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0086】
ここで、錠剤2が、天面板12(第1領域121)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制するための方法として、第1領域121に、スポンジ等の衝撃吸収材を別途設けることも考えられ得る。
【0087】
しかしながら、衝撃吸収材のような追加部材を錠剤2と衝突し得る領域に別途設けた場合、何らかの原因によって追加部材の破損、剥離等が発生し、錠剤2と共に追加部材が分包紙に分包されてしまう可能性がある。
【0088】
そこで、薬剤準備部10は、衝撃吸収材のような追加部材を利用することなく、第1領域121の鉛直方向の厚みを、第2領域122の鉛直方向の厚みよりも薄くすることにより、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0089】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2以外のモノが錠剤2と共に分包紙に分包されてしまう可能性を排除しつつ、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0090】
また、衝撃吸収材のような追加部材を設ける場合、その追加部材分の費用などの追加コストが発生するが、薬剤準備部10は、天面板12との衝突の際の衝撃によって錠剤2が跳ねてしまう可能性を抑制するのに、そのような追加部材を必要としない。
【0091】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2の跳ねを抑制する追加部材を設ける場合に比べて、実現に際して必要となる費用を抑制しつつ、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0092】
(1.2. 天面板の縁部分を緩衝領域とする)
薬剤準備部10には、縁部分1211が錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際に、縁部分1211が弾性変形することを容易にする空隙13が、天面板12と貯留部100の側壁との間に設けられている。
【0093】
つまり、空隙13を設けない場合に比べて、薬剤準備部10において縁部分1211は、空隙13によって、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と縁部分1211とが衝突した際に、弾性変形しやすくなっている。例えば、縁部分1211は錠剤2と衝突すると、縁部分1211の錠剤2と衝突した位置が、縁部分1211と衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。
【0094】
空隙13によって縁部分1211を弾性変形しやすくすることで、空隙13を設けない場合に比べて、縁部分1211は、錠剤2との衝突の際の衝撃をより吸収することができ、つまり、錠剤2が縁部分1211と衝突して跳ねるのをより抑制することができる。
【0095】
したがって、薬剤準備部10は、空隙13を設けない場合に比べて、空隙13を設けることにより、錠剤2との衝突の際に縁部分1211がより容易に弾性変形して衝突の衝撃を吸収し、錠剤2が縁部分1211と衝突して跳ねるのを抑制できるとの効果を奏する。
【0096】
また、区画形成体11および天面板12が、鉛直方向の軸16を中心として、回転している場合、空隙13によって、薬剤準備部10は、さらに以下の効果を奏する。すなわち、薬剤準備部10は、縁部分1211との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納されるという事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0097】
ここで特に、天面板12の厚み(例えば、第1領域121の鉛直方向の厚み)は、貯留部100の側壁を構成する側壁板の厚み(具体的には、後述する第3側壁板1111および第4側壁板1112の少なくとも一方の厚み)よりも薄くするのが望ましい。第1領域121の鉛直方向の厚みが貯留部100の側壁を構成する側壁板の厚みよりも薄い場合、天面板12と貯留部100の側壁との間に空隙13を設けることで、空隙13を設けない場合に比べ、錠剤2が縁部分1211と衝突して跳ねるのをさらに抑制できる。すなわち、縁部分1211を含む第1領域121の鉛直方向の厚みを薄くすることにより、縁部分1211は弾性変形しやすくなり、さらに、空隙13を設けることにより、空隙13を設けない場合に比べて、縁部分1211は、より弾性変形しやすくなる。
【0098】
薬剤準備部10において、空隙13は、天面板12と貯留部100の側壁を構成する側壁板とが接触していない部分であり、つまり、天面板12と貯留部100の側壁を構成する側壁板との間に空隙13が設けられている。例えば、天面板12と貯留部100の側壁とは、空隙13を除いて、接合されていてもよい。そして、空隙13は、貯留部100の側壁を構成する側壁板を略水平方向に貫通する貫通孔であって、貯留部100の側壁を構成する側壁板の、縁部分1211の直下に位置する部分に設けられた貫通孔であってもよい。
【0099】
前記の構成によれば、薬剤準備部10において縁部分1211は、空隙13によって、空隙13を設けない場合に比べて弾性変形しやすくなっている。例えば、縁部分1211は錠剤2と衝突すると、縁部分1211の錠剤2と衝突した位置が、縁部分1211と衝突する前の錠剤2の移動方向(例えば、略鉛直下方向)に変形するとともに、その周囲の領域が、急激に、または、緩やかに、変形する。
【0100】
空隙13によって弾性変形しやすくなった縁部分1211は、空隙13を設けない場に比べて、錠剤2との衝突の際の衝撃をより吸収することができ、つまり、錠剤2が縁部分1211と衝突して跳ねるのをより抑制することができる。
【0101】
したがって、薬剤準備部10は、空隙13を設けない場合に比べて、空隙13を設けることにより、錠剤2との衝突の際に縁部分1211がより容易に弾性変形して衝突の衝撃を吸収し、錠剤2が縁部分1211と衝突して跳ねるのを抑制できるとの効果を奏する。
【0102】
また、区画形成体11および天面板12が、鉛直方向の軸16を中心として、回転している場合、天面板12と貯留部100の側壁との間に設けた空隙13によって、薬剤準備部10は、さらに以下の効果を奏する。すなわち、薬剤準備部10は、縁部分1211との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0103】
ここで、錠剤2が、縁部分1211との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制するための方法として、縁部分1211に、スポンジ等の衝撃吸収材を別途設けることも考えられ得る。
【0104】
しかしながら、衝撃吸収材のような追加部材を縁部分1211に別途設けた場合、何らかの原因によって追加部材の破損、剥離等が発生し、錠剤2と共に追加部材が分包紙に分包されてしまう可能性がある。
【0105】
そこで、薬剤準備部10は、衝撃吸収材のような追加部材を利用することなく、空隙13を設けて、縁部分1211を弾性変形しやすくすることによって、錠剤2が、縁部分1211との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0106】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2以外のモノが錠剤2と共に分包紙に分包されてしまう可能性を排除しつつ、錠剤2が、縁部分1211との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0107】
また、衝撃吸収材のような追加部材を設ける場合、その追加部材分の費用などの追加コストが発生するが、薬剤準備部10は、縁部分1211との衝突の際の衝撃によって錠剤2が跳ねてしまう可能性を抑制するのに、そのような追加部材を必要としない。
【0108】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2の跳ねを抑制する追加部材を設ける場合に比べて、実現に際して必要となる費用を抑制しつつ、錠剤2が、縁部分1211との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0109】
貯留部100の側壁を構成する側壁板を略水平方向に貫通する貫通孔としての空隙13は、貯留部100の側壁を構成する側壁板の任意の位置(高さ)に設けてもよい。例えば、貯留部100の側壁を構成する側壁板の、貯留部100の底に近い位置に、空隙13を設けてもよい。空隙13(つまり、側壁板を略水平方向に貫通する貫通孔)を、貯留部100の側壁を構成する側壁板の任意の位置に設けることによって、空隙13を設けない場合に比べて、縁部分1211は、錠剤2と衝突した際に、弾性変形しやすくなる。ただし、縁部分1211が最も弾性変形しやすくなるのは、空隙13を、貯留部100の側壁を構成する側壁板の、縁部分1211の直下に設けたときであり、つまり、天面板12と貯留部100の側壁を構成する側壁板との間に空隙13を設けたときである。
【0110】
空隙13の鉛直方向の幅は、錠剤2が通れない寸法である。前記の構成によれば、薬剤準備部10において、空隙13の鉛直方向の幅は、錠剤2が通れない寸法であるから、薬剤準備部10は、錠剤2が、空隙13を通って、貯留部100の外に出てしまうといった事態を防ぐことができるとの効果を奏する。
【0111】
区画形成体11は、鉛直方向の軸16を中心にして回転する。錠剤2は、「所望の貯留部100(例、貯留部100B)の後壁112B」と、「区画形成体11の回転方向に対して、貯留部100Bの直前の貯留部100である貯留部100Aの後壁112A」との間に、錠剤通過経路30を通って、排出される。空隙13は、貯留部100の前壁111と、天面板12との間に設けられている。
【0112】
錠剤2は、所望の貯留部100Bの後壁112Bと、所望の貯留部100Bの直前の貯留部100Aの後壁112Aとの間に排出されるから、「所望の貯留部100Bの前壁111B」の鉛直上方にある、天面板12の縁部分1211Bと衝突する可能性がある。
【0113】
そこで、薬剤準備部10は、「貯留部100の前壁111」に空隙13を設けることにより、「所望の貯留部100Bの前壁111B」の鉛直上方にある縁部分1211Bを、空隙13が設けられていない場合に比べて弾性変形しやすくしている。つまり、「所望の貯留部100Bの前壁111B」の鉛直上方にある縁部分1211Bは、空隙13Bによって、空隙13Bが設けられていない場合より弾性変形しやすくなっている。そのため、空隙13Bが設けられていない場合に比べて、空隙13Bが設けられている場合の縁部分1211Bは、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際により弾性変形しやすく、つまり、錠剤2との衝突の衝撃をより吸収する。
【0114】
したがって、薬剤準備部10は、「貯留部100の前壁111」に空隙13を設けることにより、空隙13を設けない場合に比べて、縁部分1211Bが弾性変形しやすくなるようにし、錠剤2が衝突の衝撃で跳ねる事態を抑制できるとの効果を奏する。
【0115】
また、薬剤準備部10は、縁部分1211Bとの衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100Bへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0116】
(2. 貯留部100の傾斜壁を緩衝領域とする)
貯留部100の側壁(例えば、前壁111)の少なくとも一部(例えば、前壁111(SL))は、貯留部100の側壁によって囲まれた水平面の面積が鉛直下側に向かうにつれて小さくなるように傾斜した傾斜壁である。そして、緩衝領域Baは、傾斜壁(例えば、前壁111(SL))に形成されている。
【0117】
前記の構成によれば、薬剤準備部10において、前壁111(SL)は、貯留部100の側壁によって囲まれた水平面の面積が鉛直下側に向かうにつれて小さくなるように傾斜している。例えば、前壁111(SL)は、前壁111(SL)に対向する後壁112に向かって傾斜している。そのため、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2は、前壁111(SL)と衝突する可能性がある。
【0118】
薬剤準備部10は、前壁111(SL)に形成されている緩衝領域Baによって、錠剤2が前壁111(SL)に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、前壁111(SL)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制できるとの効果を奏する。
【0119】
また、区画形成体11が、鉛直方向の軸16を中心として、回転している場合、貯留部100の傾斜壁(例えば、前壁111(SL))を緩衝領域Baとすることによって、薬剤準備部10は、さらに以下の効果を奏する。すなわち、薬剤準備部10は、前壁111(SL)との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納される事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0120】
薬剤準備部10において、前壁111(SL)を構成する薄板である第3側壁板1111の厚みを、前壁111(SL)以外の、貯留部100の側壁を構成する薄板である第4側壁板1112の厚みよりも薄い。つまり、薬剤準備部10において、前壁111(SL)は、緩衝領域Baとして形成されている。
【0121】
前記の構成によれば、薬剤準備部10は、緩衝領域Baとして形成されている前壁111(SL)によって、錠剤2が前壁111(SL)に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。前壁111(SL)を構成する第3側壁板1111の厚みは、前壁111(SL)以外の、貯留部100の側壁を構成する第4側壁板1112の厚みよりも薄くて弾性変形しやすい。したがって、前壁111(SL)以外の、貯留部100の側壁と比較して、前壁111(SL)は、錠剤2が前壁111(SL)と衝突して跳ねるのを抑制する。
【0122】
したがって、薬剤準備部10は、緩衝領域Baとして形成されている前壁111(SL)によって、錠剤2との衝突の際に前壁111(SL)が弾性変形して衝突の衝撃を吸収し、錠剤2が前壁111(SL)と衝突して跳ねるのを抑制できるとの効果を奏する。
【0123】
また、区画形成体11が、鉛直方向の軸16を中心として、回転している場合、緩衝領域Baとして形成されている前壁111(SL)によって、薬剤準備部10は、さらに以下の効果を奏する。すなわち、薬剤準備部10は、前壁111(SL)との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納される事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0124】
ここで、錠剤2が、前壁111(SL)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制するための方法として、前壁111(SL)に、スポンジ等の衝撃吸収材を別途設けることも考えられ得る。
【0125】
しかしながら、衝撃吸収材のような追加部材を前壁111(SL)に別途設けた場合、何らかの原因によって追加部材の破損、剥離等が発生し、錠剤2と共に追加部材が分包紙に分包されてしまう可能性がある。
【0126】
そこで、薬剤準備部10は、衝撃吸収材のような追加部材を利用することなく、第3側壁板1111の厚みを、第4側壁板1112の厚みよりも薄くすることにより、錠剤2が、前壁111(SL)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0127】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2以外のモノが錠剤2と共に分包紙に分包されてしまう可能性を排除しつつ、錠剤2が、前壁111(SL)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0128】
また、衝撃吸収材のような追加部材を設ける場合、その追加部材分の費用などの追加コストが発生するが、薬剤準備部10は、前壁111(SL)との衝突の際の衝撃によって錠剤2が跳ねてしまう可能性を抑制するのに、そのような追加部材を必要としない。
【0129】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2の跳ねを抑制する追加部材を設ける場合に比べて、実現に際して必要となる費用を抑制しつつ、錠剤2が、前壁111(SL)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0130】
(3. 底面板に緩衝領域を形成する)
区画形成体11において、貯留部100の底は開口している。薬剤準備部10は、複数の貯留部100の底を構成する底面板14を、区画形成体11の略鉛直下方に備えている。区画形成体11が、鉛直方向の軸16を中心にして、底面板14に対して相対的に回転することによって、貯留部100に留め置かれた錠剤2は、底面板14に設けられた開口部である供給口1401から、分包部40へと供給される。薬剤準備部10において、緩衝領域Baは、底面板14に形成されている。
【0131】
前記の構成によれば、薬剤準備部10は、底面板14に形成されている緩衝領域Baによって、錠剤2が底面板14に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、底面板14との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制できるとの効果を奏する。
【0132】
また、薬剤準備部10は、底面板14との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0133】
底面板14は、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る領域である第5領域141と、第5領域141以外の領域である第6領域142とを含んでいる。第5領域141と第6領域142とは同じ材料(材質)から成る。第5領域141の鉛直方向の厚みを、第6領域142の鉛直方向の厚みよりも薄くすることにより、第5領域141は、緩衝領域Baとして形成されている。
【0134】
前記の構成によれば、薬剤準備部10は、底面板14において緩衝領域Baとして形成されている第5領域141によって、錠剤2が第5領域141に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。すなわち、底面板14において、第5領域141の厚みは第6領域142の厚みよりも薄くて弾性変形しやすいから、第5領域141は、錠剤2が底面板14と衝突して跳ねるのを抑制できるとの効果を奏する。
【0135】
また、薬剤準備部10は、底面板14との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100(例えば、貯留部100B)へと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、貯留部100Cに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できるとの効果をさらに奏する。
【0136】
ここで、錠剤2が、底面板14(第5領域141)との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制するための方法として、第5領域141に、スポンジ等の衝撃吸収材を別途設けることも考えられ得る。
【0137】
しかしながら、衝撃吸収材のような追加部材を第5領域141に別途設けた場合、何らかの原因によって追加部材の破損、剥離等が発生し、錠剤2と共に追加部材が分包紙に分包されてしまう可能性がある。
【0138】
そこで、薬剤準備部10は、衝撃吸収材のような追加部材を利用することなく、第5領域141の鉛直方向の厚みを、第6領域142の鉛直方向の厚みよりも薄くすることにより、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0139】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2以外のモノが錠剤2と共に分包紙に分包されてしまう可能性を排除しつつ、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0140】
また、衝撃吸収材のような追加部材を設ける場合、その追加部材分の費用などの追加コストが発生するが、薬剤準備部10は、底面板14との衝突の際の衝撃によって錠剤2が跳ねてしまう可能性を抑制するのに、そのような追加部材を必要としない。
【0141】
したがって、薬剤準備部10は、錠剤2の跳ねを抑制する追加部材を設ける場合に比べて、実現に際して必要となる費用を抑制しつつ、錠剤2が、底面板14との衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制することができるとの効果を奏する。
【0142】
(錠剤の排出位置と、錠剤の貯留部への収納とについて)
図12は、錠剤通過経路30を通って排出される錠剤2の位置を説明する図である。特に、
図12は、「錠剤2が収納されるべき所望の貯留部100」が貯留部100Aである場合に、錠剤通過経路30を通って排出される錠剤2の位置を例示している。
【0143】
図12に示すように、薬剤払出装置1において、錠剤2は、所望の貯留部100Aの鉛直上方の開口(すなわち、天面板12の開口部1201A)が錠剤通過経路30の出口に対向する位置に来る前に既に、錠剤通過経路30から天面板12へと、排出されている。具体的には、錠剤2は、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「区画形成体11の回転方向に対して、貯留部100Aの直前の貯留部100である貯留部100Bの後壁112B」との間に、錠剤通過経路30を通って、排出される。
【0144】
したがって、薬剤払出装置1は、所望の貯留部100Aの鉛直上方の開口が錠剤通過経路30の出口に対向する位置に来た後に錠剤2を薬剤準備部10へと排出する場合に比べ、錠剤2が所望の貯留部100Aへと収納されるタイミングを早めることができる。
【0145】
図13は、錠剤2が貯留部100へと収納される様子を説明する図である。
図13は、
図12と同様に、「錠剤2が収納されるべき所望の貯留部100」が貯留部100Aである場合に、錠剤2が所望の貯留部100Aへと収納される様子を説明している。
【0146】
図13の(A)に示すように、薬剤払出装置1において、錠剤2は、所望の貯留部100Aの鉛直上方の開口が錠剤通過経路30の出口に対向する位置に来る前に、錠剤通過経路30から天面板12へと、排出される。具体的には、錠剤2は、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「区画形成体11の回転方向に対して、貯留部100Aの直前の貯留部100である貯留部100Bの後壁112B」との間に、錠剤通過経路30を通って、排出される。
【0147】
錠剤通過経路30を通って、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「貯留部100Bの後壁112B」との間に排出された錠剤2は、例えば、
図13の(B)に示すように、天面板12の、後壁112Aと後壁112Bとの間の領域と衝突する。
【0148】
区画形成体11の回転に伴って、「天面板12の、後壁112Aと後壁112Bとの間の領域」上の錠剤2は、「錠剤通過経路30の、区画形成体11の回転方向に対して後側の内壁」によって押されて天面板12上を移動し、開口部1201Aへと近付いていく。
【0149】
そして、
図13の(C)に示すように、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「貯留部100Bの後壁112B」との間に、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2は、開口部1201Aから、所望の貯留部100Aへと投入される。
【0150】
図13の(D)に示すように、錠剤2が所望の貯留部100Aの底へと到達するタイミングにおいて、所望の貯留部100Aの底をふさぐ底面板14について、以下の状況が実現されている。すなわち、錠剤2が所望の貯留部100Aの底へと到達するタイミングにおいて、第6領域142の鉛直方向の厚みよりも鉛直方向の厚みが薄い第5領域141が、所望の貯留部100Aの底をふさいでいる。したがって、薬剤準備部10は、底面板14において緩衝領域Baとして形成されている第5領域141によって、錠剤2が第5領域141に衝突した際の衝撃を吸収し、錠剤2が、衝突の際の衝撃によって跳ねてしまう可能性を抑制する。
【0151】
錠剤2は、底面板14と衝突しても衝突の衝撃で跳ねることはなく、それ故、薬剤準備部10は、所望の貯留部100Aへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、所望の貯留部100Aとは異なる貯留部100Fに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できる。
【0152】
ここで、錠剤通過経路30を通って、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「貯留部100Bの後壁112B」との間に排出された錠剤2は、天面板12の、後壁112Aと後壁112Bとの間の領域と衝突するとは限らない。例えば、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「貯留部100Bの後壁112B」との間に排出された錠剤2は、「所望の貯留部100Aの前壁111A」の鉛直上方にある縁部分1211Aと衝突するかもしれない。
【0153】
そこで、薬剤準備部10は、「貯留部100の前壁111」に空隙13を設けることにより、「所望の貯留部100Aの前壁111A」の鉛直上方にある縁部分1211Aを、空隙13を設けない場合に比べて弾性変形しやすくしている。つまり、「所望の貯留部100Aの前壁111A」の鉛直上方にある縁部分1211Aは、空隙13Aによって弾性変形しやすくなっている。縁部分1211Aは、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際には、弾性変形して衝突の衝撃を吸収するため、錠剤2が衝突の衝撃で跳ねるのを抑制する。
【0154】
したがって、薬剤準備部10は、縁部分1211Aとの衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100Aへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、所望の貯留部100Aとは異なる貯留部100Fに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できる。
【0155】
また、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「貯留部100Bの後壁112B」との間に排出された錠剤2は、「貯留部100において、後壁112に向かって傾斜している」前壁111(SL)と、衝突するかもしれない。
【0156】
そこで、薬剤準備部10は、前壁111(SL)を構成する第3側壁板1111の厚みを、前壁111(SL)以外の、貯留部100の側壁を構成する第4側壁板1112の厚みよりも薄くしている。つまり、薬剤準備部10において、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突する可能性のある前壁111(SL)は、弾性変形しやすくなっている。前壁111(SL)は、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際には、弾性変形して衝突の衝撃を吸収するため、錠剤2が衝突の衝撃で跳ねるのを抑制する。
【0157】
したがって、薬剤準備部10は、前壁111(SL)との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100Aへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、所望の貯留部100Aとは異なる貯留部100Fに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できる。
【0158】
さらに、錠剤通過経路30を通って、「所望の貯留部100Aの後壁112A」と、「貯留部100Bの後壁112B」との間に排出された錠剤2は、貯留部100の底をふさいでいる底面板14と衝突するかもしれない。
【0159】
そこで、薬剤準備部10は、底面板14において、錠剤通過経路30から排出された錠剤2と衝突し得る領域である第5領域141の鉛直方向の厚みを、第5領域141以外の領域である第6領域142の鉛直方向の厚みよりも薄くしている。つまり、薬剤準備部10において、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突する可能性のある第5領域141は、第6領域142よりも弾性変形しやすくなっている。第5領域141は、錠剤通過経路30を通って排出された錠剤2と衝突した際には、弾性変形して衝突の衝撃を吸収するため、錠剤2が衝突の衝撃で跳ねるのを抑制する。
【0160】
したがって、薬剤準備部10は、底面板14との衝突の衝撃で錠剤2が跳ねて、所望の貯留部100Aへと錠剤2が収納されるタイミングが遅れ、所望の貯留部100Aとは異なる貯留部100Fに、錠剤2が収納されてしまう事態を回避できる。
【0161】
例えば、第1領域121の鉛直方向の厚み、および、第2領域122の鉛直方向の厚みは、各々、0.1ミリメートル(以下、「mm」と略記する)から10mmである。前述の通り、第1領域121の鉛直方向の厚みは、第2領域122の鉛直方向の厚みよりも薄い。
【0162】
また、例えば、第3側壁板1111の厚み、および、第4側壁板1112の厚みは、各々、0.1mmから10mmである。前述の通り、第3側壁板1111の厚みは、第4側壁板1112の厚みよりも薄い。
【0163】
なお、第1領域121の鉛直方向の厚みは、第3側壁板1111の厚みよりも薄くするのが望ましい。鉛直方向の厚みが、第3側壁板1111の厚みよりも薄い第1領域121は、第3側壁板1111よりも弾性変形しやすく、したがって、第1領域121に含まれる縁部分1211は、第3側壁板1111よりも弾性変形しやすい。また、第1領域121の縁部分1211の直下に空隙13を設けることにより、縁部分1211は、空隙13を設けない場合に比べてさらに弾性変形しやすくなる。
【0164】
さらに、例えば、第5領域141の鉛直方向の厚み、および、第6領域142の鉛直方向の厚みは、各々、0.1mmから10mmである。前述の通り、第5領域141の鉛直方向の厚みは、第6領域142の鉛直方向の厚みよりも薄い。
【0165】
〔実施形態2〕
図14は、実施形態2に係る薬剤払出装置1Aの全体を示す斜視図である。
図14に示すように、薬剤払出装置1Aは、薬剤準備部10Aと、複数のカセット20と、錠剤通過経路30と、分包部40と、錠剤待機部50と、手撒きユニット60と、タッチパネル70と、制御部80とを備える。カセット20は、収容する錠剤2の種類が固定されている固定カセットである。ただし、薬剤払出装置1Aは、カセット20として、収容する錠剤2の種類が変更可能である可変カセットを備えてもよい。なお、薬剤準備部10Aは、錠剤待機部50の下側に位置する。また、
図14においては錠剤待機部50を図示するため、錠剤待機部50等を本来の位置よりも手前側に引き出した状態の薬剤払出装置1Aを示している。
【0166】
制御部80は、薬剤払出装置1Aの動作を統括的に制御する制御回路である。制御部80は、図示の都合により薬剤払出装置1Aの外側に配されているが、実際には薬剤払出装置1Aに内蔵されていてよい。分包部40、手撒きユニット60、およびタッチパネル70については後述する別実施形態で説明する。
【0167】
図15は、錠剤待機部50の構成を示す斜視図である。
図15に示すように、錠剤待機部50は、カセット20から錠剤通過経路30を介して一包分の錠剤2が供給されるまで錠剤2を待機させるものであり、待機ホッパー51、可動蓋52およびリブ53を備える。待機ホッパー51は、中央に開口51aを有し、中央に向かって低くなるように傾斜する漏斗状の部材である。可動蓋52は、開口51aを開閉する蓋である。可動蓋52は、図示しない動作機構により上下動することで、開口51aを開閉する。開口51aが閉じた状態では、錠剤待機部50は、カセット20から供給された錠剤2を、待機ホッパー51に待機させる。開口51aが開いた状態では、錠剤待機部50は、待機ホッパー51に待機させていた錠剤2を、開口51aから薬剤準備部10Aに供給する。
【0168】
リブ53は、開口51aが閉じた状態である場合に、待機ホッパー51内で、待機ホッパー51の周方向に沿って錠剤2が回転移動することを防止するための仕切りである。
図15に示す例では、リブ53は、待機ホッパー51と可動蓋52との間に、待機ホッパー51および可動蓋52の周方向における等角度間隔に4枚設けられている。ただしリブ53の数および位置はこれに限らない。
【0169】
図16は、リブ53の拡大図である。
図16に示すように、リブ53の上部近傍には、スリット53aおよび53bが形成されている。スリット53aは、リブ53の、待機ホッパー51と対向する側から形成されている。スリット53bは、リブ53の、可動蓋52と対向する側から形成されている。
図16において、スリット53aはスリット53bよりも長く形成されている。ただし、リブ53は、後述する効果を奏するのであれば、スリット53aおよび53bとは異なる配置位置、形状および数のスリットを有していてもよい。
【0170】
スリット53aおよび53bが設けられることにより、リブ53の、スリット53aよりも上側の部分は、リブ53の上端に錠剤2が衝突した場合に撓むことで、錠剤2の衝突による衝撃を吸収する。
【0171】
ここで、カセット20から供給された錠剤2がリブ53の上端との衝突によって、錠剤待機部50の上空に跳ね上がってしまうと、錠剤待機部50の底に錠剤2が待機するタイミングが遅れる。制御部80は、一包分の錠剤2をカセット20から払出した後の所定時間経過後に(一包分の錠剤2が錠剤待機部50に収容されたと判定可能な時間経過後に)、可動蓋52を動作させて、開口51aから薬剤準備部10Aに錠剤2を排出する。そのため、錠剤2が錠剤待機部50の上空に跳ね上がっている間に可動蓋52が動作して開口51aが開閉することがあり得る。その結果、当該開閉のタイミングで錠剤待機部50から薬剤準備部10Aに排出されるべき錠剤2が排出されない可能性がある。
【0172】
そこで、リブ53は、スリット53aおよび53bによって、錠剤2が上端に衝突した時の衝撃を吸収し、錠剤2が当該衝撃によって跳ねてしまう可能性を低減する。したがって、錠剤待機部50は、リブ53への衝突の衝撃で錠剤2が跳ね、所望のタイミングで錠剤待機部50から薬剤準備部10Aに排出されるべき錠剤2が排出されない事態が発生してしまう可能性を低減できるとの効果を奏する。
【0173】
なお、スリット53aおよび53bの幅は、上記の効果を奏する程度に設定されていればよく、例えば1.5mm以下であってよい。当該幅は、錠剤待機部50の材質、および、スリットの配置位置、数等を考慮して設定されればよい。
【0174】
なお、
図16に示した例では、リブ53は、スリット53aおよび53bを有する単一の部材である。しかし、リブ53は、隙間を有して配される上側の部材と下側の部材とを有するものであってもよい。上側の部材と下側の部材との間の隙間も、例えば1.5mm以下に設定されてよい。上側の部材は、錠剤2が衝突した場合に下側の部材に対して隙間の分移動可能である。この場合、リブ53の上側の部材に錠剤2が衝突することによる衝撃が、上側の部材が移動することにより吸収されるため、スリット53aおよび53bを有するリブ53と同様の効果を奏する。
【0175】
図17は、薬剤準備部10Aを鉛直上方から見下ろした上面図である。
図18は、薬剤準備部10Aを鉛直下方から見上げた底面図である。薬剤準備部10Aは、区画形成体11の代わりに、区画形成体11Aを備える。区画形成体11Aは、上述した区画形成体11と同様、底が開口した貯留部100を備える。また、薬剤準備部10Aは、底面板14の代わりに、底面板14Aを備える。底面板14Aは、上述した底面板14と同様、貯留部100の底を塞ぐことが可能な部分と、貯留部100に留め置かれた錠剤2を分包部40へと供給することが可能な供給口1401と、を有する。
【0176】
薬剤準備部10Aは、薬剤準備部10と同様、錠剤2を複数の貯留部100に一包分ずつ留め置き、一包分の錠剤2を分包紙に分包する分包部40へと供給する。薬剤準備部10Aは、底面板14Aに対する区画形成体11Aの相対的な移動によって、貯留部100に留め置かれた錠剤2を分包部40へ供給する。具体的には、底面板14Aが静止した状態で、区画形成体11Aが軸16の周りで回転する。ただし、薬剤準備部10Aにおいて、区画形成体11Aが静止した状態で、底面板14Aが軸16の周りで回転してもよい。いずれの場合においても、貯留部100に留め置かれた錠剤2は、底面板14Aに対して移動し、底面板14Aに設けられた供給口1401(
図19参照)から分包部40へ供給される。
【0177】
図19は、薬剤準備部10Aが備える底面板14Aを鉛直上方から見下ろした上面図である。
図19において、領域15Cは、貯留部100が対向する領域であり、底面板14Aに対する区画形成体11Aの相対的な移動に伴って貯留部100に留め置かれた錠剤2が移動可能な領域である。領域15Cは、当該相対的な移動に伴って錠剤2が移動可能な移動経路によって規定され、薬剤準備部10Aの周方向に垂直な方向における供給口1401の幅に対応する幅を有する領域であればよい。例えば溝15Aおよび15Bの間の領域の幅が供給口1401の幅に対応する場合には、溝15Aおよび15Bの間の領域の幅が領域15Cの幅に等しくなる。
【0178】
底面板14Aは、底面板14とは異なり、区画形成体11の回転に伴い錠剤2が移動する移動経路上の排出口15を有しない。底面板14Aには、領域15Cの外側領域に、環状の溝15Aおよび15Bが設けられている。具体的には、領域15Cよりも軸16から遠い位置に、溝15Aが設けられている。また、領域15Cよりも軸16に近い位置に、溝15Bが設けられている。領域15Cは、溝15Aおよび15Bの内側領域であるであるとも換言できる。溝15Aおよび15Bについては後述する。
【0179】
なお、底面板14Aは、底面板14と同様に第5領域141を有していてよい。ただし、底面板14Aにおいて第5領域141は必須ではない。また、薬剤準備部10Aが備える天面板12において第1領域121は必須ではない。その他、天面板12と貯留部100との間に形成される空隙13等、薬剤準備部10Aにおいては、薬剤準備部10が備える緩衝領域Baは必須ではない。
【0180】
図20は、区画形成体11Aを鉛直下方から見上げた底面図である。
図20に示すように、区画形成体11Aは、区画形成体11の構成に加えて、除去部18をさらに備える。除去部18は、区画形成体11Aの底面に配されるブロック状の部材である。除去部18は、底面板14Aに当接した状態で区画形成体11Aと一体に軸16の周りで回転する。
【0181】
図21は、平面視における区画形成体11Aと底面板14Aとの位置関係を示す模式図である。除去部18は、
図21に示すように、貯留部100に留め置かれた錠剤2の移動経路(すなわち、領域15C)に対向する位置に設けられている。また、除去部18は、底面板14Aに対する区画形成体11Aの移動方向(すなわち、貯留部100に留め置かれた錠剤2の移動方向)を前側としたとき、貯留部100の後側に設けられている。
【0182】
また、
図21においては、除去部18の一部が溝15Aに対向し、除去部18の別の一部が溝15Bに対向している。この場合、領域15Cに存在する、錠剤2から発生した粉及び欠片の少なくとも一方(以下では単に粉等と称する場合がある)を、除去部18に沿って溝15Aまたは15Bまで案内できる。そのため、粉等をより確実に溝15Aまたは15Bに収容できる。このような粉等は、例えば錠剤2が錠剤通過経路30を通過する過程における壁面への衝突、または貯留部100に留め置かれた錠剤2と底面板14との摩擦などによって生じる。
【0183】
なお、薬剤準備部10Aにおいて、除去部18の少なくとも一部が、鉛直方向において溝15Aまたは15Bに対向していればよい。換言すれば、除去部18の少なくとも一部が、溝15Aまたは15Bの鉛直上方に位置していればよい。この場合、除去部18は、領域15Cに存在する粉等を、除去部18に沿って溝15Aまたは15Bまで案内できる。そのため、粉等をより確実に溝15Aまたは15Bに収容できる。
【0184】
除去部18は、底面板14Aに対する区画形成体11Aの相対的な移動によって粉等が接触する接触面18aを有する。接触面18aは、区画形成体11Aを貯留部100の底側から平面視したときに、錠剤2の移動経路に垂直な直線PLに対して傾斜していてよい。本実施形態では、直線PLは、薬剤準備部10Aの中心から薬剤準備部10Aの径方向に沿って延伸する、溝15Aおよび15Bに垂直な直線である。このように接触面18aが直線PLに対して傾斜していることにより、粉等を領域15Cの外側に精度よく除去できる。
【0185】
本実施形態では、接触面18aは、薬剤準備部10Aの内側から外側に向かうにつれて(すなわち、溝15B側から溝15A側に向かうにつれて)直線PLに対して区画形成体11Aの回転方向における後ろ側に離隔している。そのため、底面板14Aに対する区画形成体11Aの相対的な移動により、貯留部100から排出された粉等は、除去部18に接触することにより、溝15A側に押し出されるか、または弾き飛ばされる。具体的には、上記の平面視において直線PLに対して接触面18aが成す角度は、0°よりも大きく、かつ4.5°以下の角度であってよい。上記角度を0°より大きくすることにより、接触面18aを薬剤準備部10Aの外周側に向けることができるため、粉等を領域15Cの外周側へ押し出すまたは弾き飛ばす可能性が高くなる。また、4.5°は、薬剤準備部10Aにおける除去部18の周辺部品(例:貯留部100)との位置関係を考慮したときの最大角度である。上記角度を最大角度に近づけるほど、粉等を領域15Cの外周側へ押し出すまたは弾き飛ばす可能性をより高めることができる。
【0186】
なお、接触面18aは、薬剤準備部10Aの外側から内側に向けて(すなわち、溝15A側から溝15B側に向かうにつれて)直線PLに対して区画形成体11Aの回転方向における後ろ側に離隔していてもよい。この場合、貯留部100から排出された粉等は、除去部18に接触することにより、溝15B側に押し出されるか、または弾き飛ばされる。
【0187】
図22は、薬剤準備部10Aの、軸16に平行な平面における断面の斜視図である。
図22に示すように、薬剤準備部10Aにおいては、貯留部100と底面板14Aとの間に、錠剤2が通りにくい寸法の空隙143が形成されている。空隙143の高さは、例えば0.3mm~1mmの範囲で、錠剤2の厚さに応じて薬剤払出装置1Aの製造時に適宜調整される。粉等は、底面板14Aに対する区画形成体11Aの相対的な移動によって、空隙143を介して貯留部100から排出される。除去部18は、底面板14Aに対する区画形成体11Aの相対的な移動により、錠剤2から発生し、貯留部100から排出された粉等に接触することにより、当該粉等を領域15Cから除去する。除去部18に接触した粉等は、上記相対的な移動により、除去部18により押されるか、または弾き飛ばされる。これにより、貯留部100の外部に存在する粉等を、領域15Cから除去することが可能となる。
【0188】
除去部18は、区画形成体11Aの材質と比較して、底面板14Aに対する摺動性が高い材質で構成される。例えば、区画形成体11Aの底面はアルミニウムで形成され、貯留部100の側壁はABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)で形成される。また、除去部18は高分子ポリマーで形成される。また、底面板14AはPOM(Polyoxymethylene)で形成される。このような材質で除去部18および底面板14Aを構成することで、除去部18および底面板14Aの損耗を低減できる。
【0189】
上述した溝15Aおよび15Bは、除去部18により除去された粉等が収容される溝である。薬剤準備部10Aにおいては、底面板14Aに溝15Aおよび15Bが設けられているため、除去部18により領域15Cから除去された粉等が、供給口1401から分包部40へ供給されてしまう可能性をより低減できる。粉等を収容した溝15Aおよび15Bを清掃する場合には、底面板14Aを取り外して乾拭きすればよい。ただし、溝15Aおよび15Bは薬剤準備部10Aにおいて必須ではなく、一方または両方が省略されてもよい。
【0190】
図23は、除去部18の周囲の構造を示す模式図である。
図23に示すように、区画形成体11Aは、除去部18を底面板14Aに押し当てる押当部19を備える。押当部19により除去部18を底面板14Aに押し当てることで、底面板14Aの表面に存在する粉等をより確実に除去部18に接触させることができる。
【0191】
図23に示すように、押当部19は、平面視における除去部18の位置を固定するピン19aと、鉛直方向に伸縮するバネ19b(弾性部材)を備える。除去部18は、鉛直方向にはピン19aに対して移動可能である。バネ19bは、区画形成体11Aを底面板14Aに取り付けた場合において、除去部18を付勢する。このため、除去部18をより確実に底面板14Aに押し当てることができる。
【0192】
なお、薬剤準備部10Aは、必ずしも複数の貯留部100を備える必要はなく、単一の貯留部100を備えていてもよい。また、区画形成体11Aは、必ずしも軸16の周りで回転移動する必要はない。例えば、区画形成体11Aは、貯留部100が、供給口1401を含む領域内で所定の軸に沿って直線運動するように、構成されていてもよい。
【0193】
また、薬剤準備部10Aにおいては、除去部18によっても粉等を領域15Cから除去しきれない場合がある。ただし、そのような場合には、除去部18によって押され、または弾き飛ばされた領域15C上の粉等は、当該粉等の発生源である錠剤2と同じ分包紙に分包されることとなる。このため、薬剤準備部10Aが複数の貯留部100を備える場合に、ある貯留部100に収容された錠剤2から発生した粉等が、別の貯留部100に収容された錠剤2の分包紙に混入して分包されてしまう可能性を低減できる。
【0194】
また、薬剤準備部10Aは、除去部18として、上述したブロックで実現される必要はない。例えば、薬剤準備部10Aは、除去部18として、上述したブロックの代わりに、粉等を吸引する吸引機構を備えていてもよい。そのような除去部18によっても、領域15Cにおいて貯留部100の外側に存在する粉等を、領域15Cから除去できる。この場合、底面板14Aに溝15Aおよび15Bを設ける必要はない。
【0195】
〔実施形態3〕
薬剤準備部10Aにおける区画形成体11Aの回転について以下に説明する。なお、以下の説明は、薬剤準備部10における区画形成体11の回転についても適用可能である。また、本実施形態では、区画形成体11Aが底面板14に対して回転するものとして説明するが、底面板14が区画形成体11Aに対して回転するものであっても同様に説明できる。
【0196】
薬剤準備部10Aにおいて、区画形成体11Aは、軸16の周りで60度ずつ回転する。すなわち、区画形成体11Aの回転には、60度ごとに停止位置が設けられている。ただし、この角度は一例であり、薬剤準備部10Aが有する貯留部100の数に応じて適宜変更されてよい。
【0197】
区画形成体11Aの停止位置においては、いずれの貯留部100の底も、底面板14の、供給口1401に対応しない位置に存在する。区画形成体11Aが1つの停止位置から次の停止位置まで60度回転する間に、いずれかの貯留部100の底が供給口1401に対応する位置を通過することで、錠剤2が供給口1401を通過する。これにより、貯留部100から分包部40へと錠剤2を供給することができる。
【0198】
本実施形態では、制御部80は、いずれかの貯留部100の底が供給口1401に対応する位置を通過するタイミングで、区画形成体11の回転を一時停止する。区画形成体11が、いずれかの貯留部100の底が供給口1401に対応する位置を通過するタイミングで回転を一時停止しない場合、以下の状況が発生し得る。すなわち、区画形成体11の回転により、当該貯留部100に留め置かれた全ての錠剤2が供給口1401へと供給される前に、貯留部100の底が供給口1401に対応しない位置へ移動する。換言すれば、当該貯留部100に留め置かれた錠剤2が供給口1401から落下せずに、そのまま供給口1401の上を通過する。その結果、分包されるべき錠剤2が貯留部100に残留して分包されない可能性がある。また、区画形成体11が1周した後に、当該貯留部100に残留した錠剤2が供給口1401に供給されてしまい、処方とは異なる分包が行われてしまう可能性がある。
【0199】
そこで、制御部80は、いずれかの貯留部100が供給口1401に対応する位置を通過するタイミングで、区画形成体11の回転を一時停止する。これにより、区画形成体11は、分包されるべき錠剤2が貯留部100に残留して分包されなくなる事態、および処方とは異なる分包が行われる事態が発生する可能性を低減できるとの効果を奏する。
【0200】
区画形成体11において、停止位置から回転を開始し、いずれかの貯留部100が供給口1401に対応する位置に到達するまでの回転速度を第1回転速度とする。また、いずれかの貯留部100が供給口1401に対応する位置に到達して回転を一時停止した後、回転を再開してから次の停止位置に到達するまでの回転速度を第2回転速度とする。このとき、第1回転速度は、第2回転速度よりも遅い速度に設定されることが好ましい。
【0201】
貯留部100が供給口1401に対応する位置を通過するタイミングで区画形成体11が回転を一時停止する場合、貯留部100に収容された錠剤2同士が衝突して、錠剤2が大きく跳ねる可能性がある。このような現象は、特に、貯留部100に大きい錠剤2および小さい錠剤2が存在する場合に発生する。具体的には、大きい錠剤2が小さい錠剤2に衝突することで、小さい錠剤2が弾き飛ばされて大きく跳ねる。さらに、当該錠剤2が貯留部100の底面に再び落下するまでに区画形成体11が回転を再開し、錠剤2が供給口1401を通過しない可能性がある。
【0202】
第1回転速度を第2回転速度よりも遅い速度とすることで、区画形成体11の回転が一時停止した時の錠剤2の跳ね上がりを小さくできる。したがって、跳ね上がりによって錠剤2が供給口1401へと供給されない可能性を低減できる。また、第2回転速度を第1回転速度よりも速い速度とすることで、上記の可能性を低減させながら、貯留部100から供給口1401を介して分包部40へ錠剤2が供給される、単位時間当たりの回数を増加させることができる。すなわち、単位時間当たりに分包される錠剤2の数を増加させることができる。
【0203】
〔実施形態4〕
薬剤払出装置1Aは、複数のカセット20のそれぞれについて、収容している錠剤2の有効期限、および収容している錠剤2についてユーザが任意に決定した使用期限の情報を保持する。同一の種類の錠剤2であっても、有効期限または使用期限が異なる場合には、異なるカセット20に収容される。使用期限は一般に有効期限よりも早い日付に設定されるものであるが、これに限らない。
【0204】
制御部80は、錠剤2を払い出す場合には、当該錠剤2を収容しているカセット20ごとの有効期限または使用期限が、服用を予定している期間の最終日(服用最終日)と同じかそれよりも後であるか否かを判定する。有効期限または使用期限のいずれについて判定するかについては、薬剤払出装置1Aのユーザが入力操作により任意で設定してよい。
【0205】
上記服用を予定している期間を示す情報は、払出指令装置(不図示)から薬剤払出装置1Aに送信される処方データに含まれる。ただし、処方データは、処方箋に記載される二次元コードにより薬剤払出装置1Aに読み込まれてもよい。また、処方データは、ユーザの手作業により、例えばタッチパネル70を介して薬剤払出装置1Aに入力されてもよい。服用日は、当該情報に基づき、制御部80によって算出されてもよい。
【0206】
払出指令装置は、ユーザにより入力された処方内容を示す処方データであって、かつ、払出指令装置に通信可能に接続された少なくとも1つの薬剤払出装置から払出す薬剤の情報を含む処方データを作成する。払出指令装置は、作成した処方データを、当該処方データが示す薬剤を払出す薬剤払出装置に送信する。本実施形態では、払出指令装置は、薬剤払出装置1Aに通信可能に接続され、薬剤払出装置1Aから払出す錠剤2の情報を含む処方データを作成し、薬剤払出装置1Aに送信する。薬剤払出装置1Aは、受信した処方データに基づき錠剤2を払出す。
【0207】
制御部80は、錠剤2の有効期限または使用期限が、錠剤2の服用最終日と同じかそれよりも後である場合にのみ、カセット20から錠剤待機部50へ錠剤2を供給する。これにより、薬剤払出装置1Aは、有効期限または使用期限内の錠剤2を払出すことができる。すなわち、薬剤払出装置1Aは、患者が服用する錠剤2の服用時期を考慮して、錠剤2を分包することができる。そのため、有効期限または使用期限が過ぎている錠剤2を、患者に渡す可能性を低減できる。
【0208】
錠剤2の有効期限または使用期限が錠剤2の服用最終日と同じかそれよりも後である同一薬種のカセット20が複数存在する場合には、薬剤払出装置1Aは、服用を予定している期間に対して有効期限または使用期限が時間的に最も近いカセット20から錠剤待機部50へ錠剤2を供給する。これにより、薬剤払出装置1Aは、服用を予定している期間に対して有効期限または使用期限が時間的に最も近い錠剤2から払出すことができる。但し、この点を考慮しなければ、制御部80は、錠剤2の有効期限または使用期限が錠剤2の服用最終日と同じかそれよりも後である複数のカセット20の何れを、錠剤2を払出すカセット20として特定してもよい。
【0209】
また、錠剤2の有効期限または使用期限が錠剤2の服用最終日と同じかそれよりも後であるカセット20が存在しない場合には、薬剤払出装置1Aは、後述する手撒きユニット60を用いて手撒きされた錠剤2を錠剤待機部50へ供給する。
【0210】
ここで、有効期限と最終服用日との対比における錠剤2の払出可否判定の例を説明する。例えば、
・カセット番号No.1のカセット20に収容された錠剤2の有効期限が2021年3月19日、
・カセット番号No.2のカセット20に収容された錠剤2の有効期限が2021年3月23日、
・カセット番号No.3のカセット20に収容された錠剤2の有効期限が2021年3月26日、
であるとする。
【0211】
例えば最終服用日が2021年3月19日の場合、カセット番号No.1~No.3のカセット20に収容された錠剤2の有効期限が、最終服用日と同じかそれよりも後である。そのため、制御部80は、カセット番号No.1~No.3のカセット20を錠剤2の払出対象として特定できるが、本実施形態では、服用を予定している期間に対して有効期限または使用期限が時間的に最も近い、カセット番号No.1のカセット20を、錠剤2を払出すカセット20として特定する。
【0212】
また、例えば最終服用日が2021年3月22日の場合、制御部80は、カセット番号No.2~No.3のカセット20を錠剤2の払出対象として特定できるが、本実施形態では、服用を予定している期間に対して有効期限または使用期限が時間的に最も近い、カセット番号No.2のカセット20を、錠剤2を払出すカセット20として特定する。
【0213】
手撒きユニット60は、錠剤2をユーザが手撒きするためのユニットである。手撒きユニット60は、錠剤2が手撒きされる複数の区画61と、当該複数の区画61のそれぞれに対応するインジケータ62とを備える。インジケータ62は例えばLED(Light Emitting Diode)である。
【0214】
タッチパネル70は、制御部80がユーザに対して情報を表示し、ユーザが薬剤払出装置1Aに対して情報を入力するための入出力装置である。例えば制御部80は、手撒きする錠剤2についての情報をユーザが入力するための画像を、タッチパネル70に表示させる。ユーザは、タッチパネル70に表示された画像に対して、手撒きする錠剤2についての情報(手撒きする錠剤2と、錠剤2を収容する区画61とを対応付けた情報)を入力する。薬剤払出装置1Aは、入力された情報に応じて、錠剤2を収容する区画61を示す画像を表示するとともに、当該区画61に対応するインジケータ62を点灯させる。したがって、ユーザは、適切な区画61に錠剤2を撒くことができる。
【0215】
制御部80は、ユーザが手撒きユニット60に錠剤2を手撒きする場合に、手撒きしようとしている錠剤2の有効期限を示す情報の入力を受け付けてもよい。例えば制御部80は、手撒きしようとしている錠剤2に付与されたGS1コードの入力を受け付けた場合、当該GS1コードが示す錠剤2の有効期限を服用最終日と比較する。
【0216】
GS1コードは、錠剤2の種類及び有効期限を特定するための情報の一例であり、手撒きしようとしている錠剤2のPTPシートまたは外箱などに印字されている。薬剤払出装置1Aは、例えばGS1コードを読取る読取部75(
図14参照)を備え、制御部80は、読取部75を介してGS1コードの入力を受け付ける。例えば、GS1コードがバーコード形式でPTPシート等に印字されている場合、読取部75はバーコードリーダであってよい。
【0217】
制御部80は、手撒きしようとしている錠剤2の有効期限が服用最終日と同じかそれよりも後であると判定した場合には、全ての服用予定日について、錠剤2の手撒きの受け入れを許可する。すなわち、制御部80は、タッチパネル70に、最終服用日までの錠剤2を受け入れる区画61を表示すると共に、当該区画61に対応するインジケータ62を点灯させる。その後、制御部80は、例えばタッチパネル70を介して、錠剤2を受け入れる全ての区画61に錠剤2が収容された旨の指示を受け付けた場合、分包部40に、手撒きされた錠剤2を分包させる。
【0218】
制御部80は、錠剤2の有効期限が服用最終日よりも前であると判定した場合には、有効期限までの服用予定日についてのみ、手撒きしようとしている錠剤2の手撒きの受け入れを許可する。その後、制御部80は、例えばタッチパネル70を介して、錠剤2を受け入れる全ての区画61に錠剤2が収容された旨の指示を受け付けた場合、分包部40に、手撒きされた錠剤2を分包させる。
【0219】
制御部80は、手撒きしようとしている錠剤2の有効期限を過ぎる期間については、別の同一薬種の錠剤2の手撒きをユーザに要求する。ただし、錠剤2の有効期限が服用最終日よりも前である場合には、制御部80は、手撒きしようとしている錠剤2の手撒きを一切受け入れず、有効期限が服用最終日と同じかそれよりも後である別の錠剤2の手撒きを、ユーザに要求してもよい。
【0220】
制御部80は、別の錠剤2についても上記の判定を行う。これにより、服用最終日までの錠剤2として、有効期限内の錠剤2を、ユーザに手撒きさせることができる。また、制御部80は、手撒きする全ての錠剤2について、有効期限内であるものが服用最終日まで撒かれるまでは、照合結果が不適切であるとして、分包部40に分包を行わせない。ただし、制御部80は、ユーザの入力により、上記の判定をスキップする機能を有していてもよい。当該機能を有することで、制御部80は、GS1コードを有しない錠剤2であっても手撒きを受け付けることができる。この場合には、錠剤2の有効期限についてはユーザが確認すればよい。
【0221】
〔実施形態5〕
分包部40は、錠剤2を分包紙により分包する装置である。分包部40は、分包紙を供給する供給装置を有する。供給装置には、分包紙がロールペーパーの状態で装着される。ロールペーパーは、帯状の分包紙(包装紙)を管状の芯部材に巻いてロール状にしたものである。本実施形態のロールペーパーは、二つ折りにされた状態で帯状となった分包紙をロール状にしたものである。ただし、分包部40に装着されるロールペーパーはこれに限らない。
【0222】
また、分包部40は、図示しない印刷機構を有している。分包部40では、ロールペーパーから繰り出された分包紙が印刷機構に導入される。印刷機構は、例えば患者名、錠剤2の名称、および服用時期(服用日時)等の情報(処方に関する情報であり、提供する錠剤2に関する情報)を分包紙に印刷する。その後、これらの情報が印刷された分包紙は、上向きに開口された状態にされる。そして、その状態で、供給口1401から落下した(供給された)錠剤2を受け入れる。
【0223】
さらに、分包部40は、図示しないシール機構を有する。分包部40では、錠剤2を受け入れた分包紙は、シール機構に導入される。シール機構は、錠剤2を受け入れた分包紙を縦方向および横方向にシールすることにより、受け入れた錠剤2を順次包装していく。横方向は、分包紙の繰出方向(送出方向)である。また、縦方向は、分包紙の繰出方向と交差する(直交する)方向である。このことにより、錠剤2を一服用分内包した分包品が形成される。さらに、分包部40は、当該分包品を分包部40の外部へと搬送する搬送機構を有する。
【0224】
分包部40が有する搬送機構は、分包品を、複数包連続した分包品群の状態で分包部40の外部へと搬送するものである。しかしながら、搬送機構は、一又は複数の個別の分包品を分包部40の外部へと搬送するものであってもよい。
【0225】
また、上記したロールペーパーの芯部材には、識別子が付与されていてもよい。識別子は、例えばロールペーパーを個別に識別可能な情報を記憶した記憶素子である。ロールペーパーを個別に識別可能な情報の例として、例えばロールペーパーのメーカー等に関する情報(メーカー名等)、製造年月日等に関する情報、または当該芯部材に巻かれたロールペーパーの種類が挙げられる。また、ロールペーパーを個別に識別可能な情報の別の例として、ロールペーパーの受注No.、出荷日、納品先の顧客情報、当該ロールペーパーが装着される分包部40の機種名、機種コード、またはその他ID(Identification)等が挙げられる。このような識別子の具体例としてICタグ等のメモリが挙げられる。また、識別子は、一次元コード(バーコード)または二次元コードのようなコードであってもよい。識別子としてコードを採用する場合、識別子はロールペーパーのラベルに付されていてもよい。
【0226】
制御部80は、ロールペーパーが分包部40に装着される場合に、当該ロールペーパーが分包部40に装着されるものとして正しいか否かを判別してもよい。また、識別子は、ロールペーパーが未使用であることを識別するための情報を記憶していてもよい。この場合、制御部80は、分包部40にロールペーパーが装着される場合に、当該ロールペーパーが未使用か否かを判別してもよい。
【0227】
さらに、識別子は、分包紙の残量に関する情報を記憶してもよい。この場合、制御部80は、錠剤2を分包部40により包装する分包動作の途中における分包紙の残量を識別子に記憶させてもよい。また、制御部80は、分包部40による分包動作の終了後における分包紙の残量を識別子に記憶させてもよい。すなわち、制御部80は、分包部40による分包動作における、任意のタイミングでの分包紙の残量に関する情報を記憶させてよい。
【0228】
また、分包部40は、錠剤2を服用する順番に分包品が連なった状態で分包する順分包機能を有する。さらに、分包部40は、錠剤2を服用する順番の逆順に分包品が連なった状態で分包する逆分包機能を有する。分包品とは、分包紙により錠剤2が収容された薬包である。
【0229】
例えば、1日当たり3回、朝、昼および夜に服用する錠剤2を分包する場合を考える。順分包機能では、分包部40は、錠剤2を、服用期間の初日から順に、朝の服用分、昼の服用分、および夜の服用分の順で分包する。一方、逆分包機能では、分包部40は、錠剤2を、服用期間の最終日から順に、夜の服用分、昼の服用分、および朝の服用分の順で分包する。
【0230】
複数種類の錠剤2を同一の分包品として分包する場合、錠剤2の種類の組み合わせによっては、それらの錠剤同士で薬学的な変化が生じる場合がある。薬学的な変化の例としては、着色または変色が挙げられる。このような変化を避けるため、患者、服用日および服用時期が同じである複数種類の錠剤2を、互いに異なる複数の分包品として分包する場合がある。
【0231】
通常、分包部40は、分包品に含まれる錠剤2についての情報を、当該分包品の1つの面にのみ印字する。このため、患者、服用日および服用時期が同じである複数の分包品を、情報が印字されている面が外側を向く状態で、圧着機を用いて圧着することがある。具体的には、患者、服用日および服用時期などが同じである複数の分包品群のうち、いずれかをベース分包品群とする。その上で、ベース分包品群の、情報が印字されていない面に、患者、服用日および服用時期などが同じである他の分包品群を、情報が印字されていない面がベース分包品群側になるように重畳させた状態で圧着する。
【0232】
複数の分包品群がいずれも、服用する順番に連なった状態で錠剤2を分包している場合、上記の圧着を行うためには、分包品を個別に切り離した上で、患者、服用日および服用時期などが同じである分包品ごとに圧着を行う必要がある。このため、切り離す作業が発生すると共に圧着の回数が増大するため、膨大な作業時間および手間がかかる。
【0233】
本実施形態では、制御部80は、分包部40に、患者、服用日および服用時期などが同じである複数の分包品群のうち、例えばベース分包品群だけを順分包機能で分包させ、他の分包品群を逆分包機能により分包させる。制御部80は、例えばタッチパネル70を介して、ある患者に処方された錠剤2について逆分包機能を用いて分包する旨の指示を受け付けた場合、上記のように順分包機能および逆分包機能を用いて、分包部40に錠剤2を分包させる。これにより、分包品が連なった状態のままでも、ベース分包品群と他の分包品群とにおいて服用時期が対応するように、ベース分包品群と他の分包品群とを、印字面とは逆側の面同士を互いに対向させた状態で圧着することができる。このため、切り離す作業が発生せず、かつ圧着の回数が減少するため、作業時間および手間が削減される。
【0234】
また、このように圧着された分包品群においては、ベース分包品群および他の分包品群の両方の印字面を、上下が互いに一致した状態で視認できる。したがって、圧着した分包品が全て患者のものであるか、また服用日および時期等が同一であるかを容易に判別することができる。
【0235】
また、服用時期毎に分包内容(分包される錠剤2の種類又は数)が異なる場合がある。換言すれば、分包内容が不均等になる場合がある。分包内容が不均等な錠剤2を手撒きユニット60により手撒きする場合、区画61ごとに撒く錠剤2が異なるため、撒き間違いが生じる可能性がある。このような撒き間違いは、特に、手撒きすべき錠剤2の種類および数が服用の順番に沿って記載された指示書をユーザが参照して、錠剤2を記載と逆順に手撒きする場合に発生する危険性が高い。
【0236】
このため、制御部80は、複数の分包品において、分包内容が不均等であるか否かを判定する。制御部80は、分包内容が不均等であると判定した場合には、手撒きすべき錠剤2の種類および数を服用の順番と逆順に記載した指示書をプリンタ(不図示)に印字させるか、当該指示書の内容をタッチパネル70に表示する。当該指示書の順に沿ってユーザが錠剤2を手撒きすることで、撒き間違いが生じる可能性を低減できる。
【0237】
また、分包部40は、ベース分包品群と他の分包品群との間で分包品の数が異なる場合、少ない方の分包品群に錠剤2を含まない空包を加えることで、分包品の数を一致させてもよい。
【0238】
この場合、制御部80は、生成するベース分包品群と他の分包品群との間で分包品の数が一致するか否かを判定する。すなわち、制御部80は、ベース分包品群を生成するための処方内容に含まれる服用時期と、他の分包品群を生成するための処方内容に含まれる服用時期とが一致するか否かを判定する。制御部80は、生成するベース分包品群と他の分包品群との間で分包品の数が一致しないと判定した場合、上記2つの処方内容に基づき、分包品が少ない方の分包品群において、空包を加える位置を決定する。そして、制御部80は、少ない方の分包品群を生成するときに、決定した位置に空包を加える。すなわち、制御部80は、分包品が少ない方の分包品群において、分包品が多い方の分包品群を生成するための処方内容に存在する服用時期であって、分包品が少ない方の分包品群を生成するための処方内容に存在しない服用時期に対応する位置に、空包を加える。
【0239】
例えばベース分包品群に含まれる錠剤2が朝、昼および夜に服用されるものであり、他の分包品群に含まれる錠剤2が朝および夜にのみ服用されるものである場合を考える。この場合、分包部40は、他の分包品群について、朝に服用する錠剤2を収容した分包品と、夜に服用する錠剤2を収容した分包品との間に、空包が連なった状態となるように、錠剤2を分包していく。
【0240】
これにより、生成するベース分包品群と他の分包品群との間で分包品の数が異なる場合でも、分包品が連なった状態のままでも、ベース分包品群と他の分包品群とにおいて服用時期が対応するように、ベース分包品群と他の分包品群とを圧着することができる。
【0241】
〔実施形態6〕
薬剤払出装置1Aが、カセット20に収容された錠剤2を予め一包化する場合(予製のための分包を行う場合)について説明する。この場合、制御部80は、払出指令装置(不図示)から受信した薬剤情報に基づき、予製のための分包を行う。
【0242】
上述した払出指令装置において、薬剤払出装置1Aによる予製のための分包を行う旨の指示を受付けた場合、払出指令装置は、予製用の薬剤情報を、薬剤払出装置1Aに送信する。予製用の薬剤情報には、例えば、予製対象となる錠剤2の種類を特定するための情報(例:GS1コードに含まれる情報)、及び1包当たりの錠数を示す情報が含まれる。予製用の薬剤情報には、薬包への印字内容を示す情報として、1包当たりの錠数を示す情報の他、錠剤名が含まれる。また、予製用の薬剤情報には、当該錠剤2の用法が含まれていてもよい。但し、払出指令装置は、通常の処方データに含まれる情報(例:錠剤2を包装する薬包数、一日当たりの服用回数を示す分数、服用日数といった情報)は送信しない。なお、予製用の薬剤情報、および予製のための分包を行う旨の指示は、タッチパネル70において入力されてもよい。
【0243】
制御部80は、予製用の薬剤情報を受信すると、当該薬剤情報が示す錠剤2を収容するカセット20を特定し、分包部40に、当該カセット20から当該錠剤2を分包させる。このとき、制御部80は、予製用の薬剤情報が示す1包当たりの錠数ずつ分包していく。制御部80は、当該錠剤2が欠品になるまで、分包部40に分包を行わせる。
【0244】
制御部80は、カセット20に収容された錠剤2の収容数を、カセット20毎に管理している。制御部80は、予製対象の錠剤2を収容したカセット20における錠剤2の収容数が0になった(欠品になった)と判定した場合、欠品により当該錠剤2が分包できないエラー状態であると特定することなく、分包部40による分包動作を終了する。制御部80は、例えばタッチパネル70を介して、当該カセット20が欠品となったことを報知せず、代わりに、予製対象の錠剤2の分包が完了したことを報知してよい。
【0245】
以上の処理により、分包数を考えて、予製分包用に処方を作成するユーザの負担を低減させることができる。
【0246】
なお、カセット20(固定カセット)に代えて、可変カセットから予製対象の錠剤2が払出されてもよい。この場合、予製用の薬剤情報には、薬剤のサイズ情報が含まれる。また、制御部80は、予製用の薬剤情報を受信すると、例えばタッチパネル70に、予製対象の錠剤2を可変カセットに投入する旨の情報を表示する。ユーザが可変カセットに当該錠剤2を投入した後、例えばタッチパネル70を介して分包開始の指示を受付けた場合、当該可変カセットが欠品となるまで、分包部40に予製対象の錠剤2を分包させる。
【0247】
個別包装されていない錠剤2(バラ品)の薬瓶(新品でも使用途中であっても)、当該薬瓶の錠剤2を可変カセットに投入するだけで、投入した錠数分の予製を簡単に作成できる。
【0248】
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤払出装置1Aの機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部80)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0249】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0250】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0251】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0252】
1、1A 薬剤払出装置
2 錠剤
10、10A 薬剤準備部
11、11A 区画形成体
12 天面板
13 空隙
14、14A 底面板
15 排出口
15A、15B 溝
15C 領域
18 除去部
18A 接触面
19 押当部
19b 弾性部材
30 錠剤通過経路
40 分包部
100 貯留部
111 前壁
111(SL) 前壁(傾斜壁)
112 後壁
121 第1領域
122 第2領域
141 第5領域
142 第6領域
143 空隙
1111 第3側壁板
1112 第4側壁板
1201 開口部
1211 縁部分
1401 供給口
Ba 緩衝領域