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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20250116BHJP
   B68G 7/05 20060101ALI20250116BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B60N2/90
B68G7/05 Z
A47C31/02 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023523490
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2022021271
(87)【国際公開番号】W WO2022250056
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】63/289,264
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2021088331
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021088332
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 修一
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 裕一
(72)【発明者】
【氏名】青木 和也
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡一郎
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-086399(JP,U)
【文献】特開2010-259710(JP,A)
【文献】特開2018-158096(JP,A)
【文献】特開2017-171053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
A47C 31/02-06
B68G 7/05-054
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートパッドと、該シートパッドを被覆する表皮と、を備え、
前記シートパッドは、
第1パッド部材と、
前記第1パッド部材よりも硬い第2パッド部材と、を有し、
前記第2パッド部材には、該第2パッド部材と一体的に形成され前記表皮を係止する突出部が設けられており、
前記表皮には、前記突出部に係止される被係止部が設けられていて、
前記第2パッド部材には、前記突出部に隣接する位置に第1貫通孔が形成されており、
前記第1パッド部材には、前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔が形成されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記表皮の前記被係止部は、前記突出部が挿通する孔部であることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記突出部は、先端において屈曲した屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記第2パッド部材には、前記突出部の周囲に、前記突出部の高さより高い高さを有する隆起部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記突出部は、根元部分の太さが先端部分の太さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記表皮の前記被係止部は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を通って、前記突出部に係止されることを特徴とする請求項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記第1パッド部材には、前記表皮を吊り込むための吊り込み溝が設けられており、
前記第2貫通孔は、前記吊り込み溝内に形成されることを特徴とする請求項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記第2パッド部材には、前記第1貫通孔の幅よりも広い幅を有する第3貫通孔が形成されており、
前記第1貫通孔は、前記第3貫通孔とシート幅方向において重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記シートパッド及び前記表皮を有するシートクッションと、
骨格を形成するシートバックフレームを有し、前記シートクッションの後端部と連結するシートバックと、
該シートバックの上方側に設けられるヘッドレストと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物用シートに係り、特に、シートパッドとシートパッドを被覆する表皮とを備える乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗物に搭載される乗物用シートには、着座感の向上のため、発泡樹脂製のシートパッドに表皮を被覆して構成されるものが知られている。また、近年では、特許文献1に示されるように、シートパッドを硬さの異なる二層のパッド部材で構成したものがある。着座面側(表層側)のパッド部材をウレタンフォームとし、裏層側のパッド部材を、発泡ポリプロピレン(EPP)とすることで、着座感を向上させつつ剛性が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-158096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような二層のパッド部材で構成されたシートパッドに、表皮を被覆する場合、従来は表皮の端部に設けられたクリップ又は矢じり等の係止部材を、パッド部材に形成された孔部に挿入することで、表皮をシートパッドに固定していた。
しかしながら、表皮の固定にクリップ等の係止部材を用いていたため、部品点数が多くなり製造コストが増加するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、二層のパッド部材で構成されたシートパッドにおいて、クリップ等の係止部材を用いることなく表皮をシートパッドに固定し、部品点数が削減された乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明に係る乗物用シートによれば、シートパッドと、該シートパッドを被覆する表皮と、を備え、前記シートパッドは、第1パッド部材と、前記第1パッド部材よりも硬い第2パッド部材と、を有し、前記第2パッド部材には、該第2パッド部材と一体的に形成され前記表皮を係止する突出部が設けられており、前記表皮には、前記突出部に係止される被係止部が設けられていて、前記第2パッド部材には、前記突出部に隣接する位置に第1貫通孔が形成されており、前記第1パッド部材には、前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔が形成されていることにより解決される。
【0007】
第2パッド部材に、一体的に形成され表皮を係止する突出部が設けられることにより、クリップ等の係止部材を用いることなく表皮を固定することができ、部品点数が削減された乗物用シートを提供することができる。
また、第1パッド部材に第1貫通孔に連通する第2貫通孔を形成することで、第1パッド部材を形成する際、第2貫通孔を形成する型を用いて第1貫通孔を塞ぐことができるため、第1パッド部材の材料が第1貫通孔から漏れることを防止することができる。突出部と貫通孔が設けられた2層のシートパッドを容易に製造することが可能となる。
【0008】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記表皮の前記被係止部は、前記突出部が挿通する孔部であってもよい。
被係止部を孔部とすることにより、簡便に突出部に係止する被係止部を形成することができる。
【0009】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記突出部は、先端において屈曲した屈曲部を有してもよい。
突出部の先端に屈曲した屈曲部があることにより、係止された表皮の被係止部が突出部から抜けにくくなる。
【0010】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第2パッド部材には、前記突出部の周囲に、前記突出部の高さより高い高さを有する隆起部が設けられているとよい。
突出部の周囲に突出部の高さより高い隆起部を設けることにより、突出部が隆起部により埋設され、シートパッドを設置する際に突出部が邪魔になることがない。また、シートパッドを床面等に置いた際、突出部に直接荷重がかからないため、突出部の破損が抑制される。
【0011】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記突出部は、根元部分の太さが先端部分の太さよりも大きくてもよい。
突出部の根元部分の太さを先端部分の太さより大きくすることで、突出部の強度を増すことができる。
【0013】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記表皮の前記被係止部は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を通って、前記突出部に係止されていてもよい。
表皮を内側から被係止部を用いて突出部に係止させることが可能となり、より強固に表皮をシートパッドに固定することができる。
【0014】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第1パッド部材には、前記表皮を吊り込むための吊り込み溝が設けられており、前記第2貫通孔は、前記吊り込み溝内に形成されているとよい。
吊り込み溝内に、第2貫通孔を形成することで、表皮を吊り込むための吊り込み部材を被係止部として利用し、突出部に吊り込み部材を係止することができる。
【0015】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第2パッド部材には、前記第1貫通孔の幅よりも広い幅を有する第3貫通孔が形成されており、前記第1貫通孔は、前記第3貫通孔とシート幅方向において重なる位置に配置されているとよい。
第1貫通孔を第3貫通孔とシート幅方向において重なる位置に配置することで、第1貫通孔の位置が特定しやすくなり、隣接する突出部の位置が容易に分かることから表皮を取り付ける際の目安となり作業性が向上する。
【0016】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートパッド及び前記表皮を有するシートクッションと、骨格を形成するシートバックフレームを有し、前記シートクッションの後端部と連結するシートバックと、該シートバックの上方側に設けられるヘッドレストと、を備えているとよい。
【発明の効果】
【0017】
第2パッド部材に、一体的に形成され表皮を係止する突出部が設けられることにより、クリップ等の係止部材を用いることなく表皮を固定することができ、部品点数が削減された乗物用シートを提供することができる。
また、被係止部を孔部とすることにより、簡便に突出部に係止する被係止部を形成することができる。
また、突出部の先端に屈曲した屈曲部があることにより、係止された表皮の被係止部が突出部から抜けにくくなる。
また、突出部の周囲に突出部の高さより高い隆起部を設けることにより、突出部が隆起部により埋設され、シートパッドを設置する際に突出部が邪魔になることがない。また、シートパッドを床面等に置いた際、突出部に直接荷重がかからないため、突出部の破損が抑制される。
また、突出部の根元部分の太さを先端部分の太さより大きくすることで、突出部の強度を増すことができる。
また、第1パッド部材に第1貫通孔に連通する第2貫通孔を形成することで、第1パッド部材を形成する際、第2貫通孔を形成する型を用いて第1貫通孔を塞ぐことができるため、第1パッド部材の材料が第1貫通孔から漏れることを防止することができる。突出部と貫通孔が設けられた2層のシートパッドを容易に製造することが可能となる。
また、表皮を内側から被係止部を用いて突出部に係止させることが可能となり、より強固に表皮をシートパッドに固定することができる。
また、吊り込み溝内に、第2貫通孔を形成することで、表皮を吊り込むための吊り込み部材を被係止部として利用し、突出部に吊り込み部材を係止することができる。
第1貫通孔を第3貫通孔とシート幅方向において重なる位置に配置することで、第1貫通孔の位置が特定しやすくなり、隣接する突出部の位置が容易に分かることから表皮を取り付ける際の目安となり作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
図2】車両用シートの上面図である。
図3図2のIII-III線に沿ったシートクッションの断面図である。
図4図3の部分Aを拡大した拡大断面図である。
図5】部分Aにおけるシートクッションパッドの別例を示す拡大断面図である。
図6】シートクッションパッドを構成する第2パッド部材の下面図である。
図7】シートクッションパッドを構成する第1パッド部材の上面図である。
図8A】シートクッションパッドの製造方法を説明する説明図である。
図8B】第2貫通孔が無い場合の製造方法を説明する説明図である。
図9】第二実施形態に係る車両用シートを斜め前方から見た斜視図である。
図10】車両用シートのシートフレームを示す斜視図である。
図11】シートバックの背凭れ面を覆う表皮の裏面を示す図である。
図12】バックパッドの上部を示す図である。
図13A図12のXIII-XIII線に沿った断面図であり、表皮をバックパッドに取り付けた状態を示す図である。
図13B】凹部の別例を示す断面図である。
図14A】係合部材を表皮の裏面側から見た図である。
図14B】係合部材を示す図14AのB-B線に沿った断面図である。
図15A】係合部材の別例を示す表皮の裏面を示す図と、その係合部材と係合する凹部を示す図である。
図15B図15Aに示す表皮を、凹部に取り付けた状態を示すバックパッドの正面図である。
図16A】係合部材の別例を示す図であり、凹部との関係を示す図である。
図16B】係合部材の別例を示す図であり、凹部との関係を示す図である。
図17A】係合部材の別例を示す図である。
図17B】係合部材の別例を示す図である。
図17C】係合部材の別例を示す図である。
図18】第三実施形態に係る車両用シートのシートクッションのパッド部材の分解斜視図である。
図19】第2パッド部材の上面図である。
図20】第2パッド部材の下面図である。
図21】第2パッド部材を後方から見た背面図である。
図22】第2パッド部材に表皮を取り付けた状態を示すシートクッションの下面図である。
図23図22のXXIII-XXIII線に沿った断面図である。
図24図23のXXIV-XXIV線に沿った断面図である。
図25図22の部分Aを拡大して示す拡大図であり、表皮引掛部から縫合線に向けて延びる縫い目を示す図である。
図26A図22の部分Bを拡大して示す拡大図であり、表皮に設けられた縫い目を示す図である。
図26B】縫い目の別例を示す図である。
図26C】縫い目の別例を示す図である。
図27】ブラケットがインサートされた表皮引掛部の断面図である。
図28図22のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図であり、表皮引掛部と縫合線との位置関係を示す図である。
図29図19の部分Eを拡大して示す図である。
図30図29のXXX-XXX線に沿った断面図であり、ハーネス掛止部の構造を示す図である。
図31】ハーネス掛止部の別例を示す図である。
図32図29の部分Fを拡大して示す図で、第2パッド部材に固定される検出センサを示す図である。
図33図32のXXXIII-XXXIII線に沿った断面図であり、検出センサの固定方法を示す図である。
図34A】第2パッド部材に固定される検出センサの別例を示す図である。
図34B】第2パッド部材に固定される検出センサの別例を示す図である。
図35】ハーネス掛止部を形成する成形用金型の説明図である。
図36】表皮に設けられたハーネス取付用樹脂プレートを示す図である。
図37】第1パッド部材の裏面を示す下面図であり、第1パッド部材の裏面に設けられた裏面材の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<<第一実施形態>>
以下、図1から図8Bを参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る車両用シート1(乗物用シートの一例)について説明する。
以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0020】
なお、以下では、シートの一例として車両に搭載される車両用シート1を挙げ、その構成例について説明することとする。また、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向(換言すると、シート本体の幅方向)であり、車両用シートに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
なお、以下に説明する車両用シートの各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートが着座状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0021】
<<車両用シート>>
本実施形態に係る車両用シート1の基本構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、車両用シート1の斜視図であり、図2は、車両用シート1の上面図である。図1中車両用シート1の一部については、図示の都合上、シートクッションパッド5から表皮30を外した構成にて図示している。
車両用シート1は、車体フロアの上に載置され、3人の乗員が着座可能な自動車の後部座席である。ただし、これに限定されるものではなく、車両用シート1は車両の前側に配置されるフロントシートであってもよく、また、前後方向に三列のシートを備える車両において二列目のミドルシート又は三列目のリアシートとしても利用可能である。
【0022】
そして、車両用シート1は、着座者の背部を支える背凭れ部分となるシートバック2、着座者の背部を支える背凭れ部分となるシートクッション3、及び、シートバック2の上方部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト4を主な構成要素とする。
【0023】
また、シートバック2の中には、骨格となる図示しないシートバックフレームが設けられている。シートクッション3は、図1に示すように、シートクッションパッド5(シートパッド)と、シートクッションパッド5を被覆する表皮30により構成される。また、表皮30の一部は、パッド側(シートクッション3の底側)に吊り込まれ、シートクッション3の表面に表皮溝7が形成されている。
【0024】
図3は、シートクッション3の断面図であり、主にシートクッションパッド5の構成を示している。図4は、図3の部分Aを拡大した拡大断面図である。
図3に示すように、シートクッションパッド5は、第1パッド部材10、及び第1パッド部材10より硬い材質からなる第2パッド部材20から構成される。第1パッド部材10は、第2パッド部材20の上に配置され、第1パッド部材10は第2パッド部材20により下方から支持されている。
【0025】
<<第1パッド部材>>
ここで、第1パッド部材10の構成について図3及び図7を用いて説明する。図7は、第1パッド部材10の上面を示している。第1パッド部材10は、例えばウレタンフォーム等の発泡樹脂から構成される緩衝部材である。図7に示されるように、第1パッド部材10は、図2に示すシートクッション3の上面形状と略同一の形状をなす。
【0026】
図3に示すように、第1パッド部材10において底面部が下方に向けて膨出した膨出部14が形成されている。膨出部14は、乗員の臀部を支持する部分となる。なお、第1パッド部材10が第2パッド部材20の上に配置された場合に、膨出部14の底面部が、第2パッド部材20の開口部22に嵌り込むこととなる。
【0027】
また、図7に示すように、第1パッド部材10には、表皮溝7を形成するために、表皮30を吊り込む吊り込み溝12が複数、形成されている。また、吊り込み溝12の一部には、吊り込み用孔13が形成されており、吊り込み用孔13を通じて、表皮30が第1パッド部材10の底面側に引き込まれる。なお、吊り込み溝12には、後述する第2貫通孔11も複数、形成されており、第2貫通孔11も同時に表皮30をシートクッションパッド5に固定する際に使用される。
【0028】
<<第2パッド部材>>
次に、第2パッド部材20の構成について説明する。第2パッド部材20は、上述したように第1パッド部材10よりも硬い材料で形成されており、本実施形態では、発泡ポリプロピレン(EPP)等の発泡樹脂から形成されている。第2パッド部材20の上面側には、第1パッド部材10が配置され、第2パッド部材20は、第1パッド部材10を下方から支持している。シートクッションパッド5をこのように硬さの異なる二層のパッド部材で構成することにより、一層で構成されたクッションパッドよりも薄く形成しつつ、着座感を向上させ剛性が維持されるようになっている。
【0029】
図3に示されるように、第2パッド部材20には、乗員が着座する座面部と対向する位置に開口部22が形成されており、第1パッド部材10の膨出部14が開口部22に嵌り込むように構成されている。
また、図3及び図6に示すように第2パッド部材20の下面には、複数の突出部23、23A、23Bが設けられており、シートクッションパッド5を被覆する表皮30の端部を突出部23、23A、23Bにより係止されるように構成されている。表皮30の端部には、被係止部として突出部23が挿通する孔部31が形成されている。図3及び図4に示すように、表皮30により、シートクッションパッド5の後部を覆った後、表皮30の端部に形成された孔部31を、突出部23に掛けることで、表皮30がシートクッションパッド5に取り付けられる。
【0030】
なお、突出部23は後述する第1貫通孔21が隣接して設けられている突出部であり、突出部23Aは第2パッド部材20の周囲に形成され第1貫通孔21が隣接して設けられていない突出部である。突出部23Bは、開口部22の周囲に設けられ開口部22を通じて延びる吊り込み部32により表皮30を係止する突出部である。
また、表皮30の端部に形成された孔部31は、被係止部の一例でありこれに限定されない。表皮30の端部に設けられる被係止部は、例えばU字状のフックであってもよい。
【0031】
突出部23の先端部分23aには、図4に示すように、前方に向けて屈曲した屈曲部24が設けられており、突出部23は全体としてJ字状に形成される。そのため、表皮30の孔部31を突出部23に挿入された後は、係止された表皮30の孔部31は、屈曲部24により突出部23から抜けにくくなっている。
【0032】
また、屈曲部24は、図4に示すように、その頭部が、第2パッド部材20の下面側に向けて角度をつけて傾斜している。そのため、表皮30を取り付ける場合は、孔部31が突出部23に掛かり易く、一方、孔部31を掛けた後は、表皮30の端部が突出部23から外れ難くなっている。
【0033】
また、突出部23は、図4に示すように、その根元部分23bの太さT2が、先端部分23aの太さT1よりも大きくなるように形成されている。付け部分となる根元部分23bを先端部分23aより太く形成することにより、付け根部分の強度が増し、突出部23の剛性を上げることができる。
【0034】
図4に示す、突出部23は、第2パッド部材20の底面から下方に向かって突出しているため、シートクッションパッド5を設置した際、他の部材に突出部が接触する可能性がある。そのため、例えば、図5に示すように、突出部23の周囲に、突出部23が第2パッド部材20の底面から突出する高さH1よりも高い高さH2で隆起する隆起部25が設けられてもよい。
【0035】
突出部23が、隆起部25により囲まれて埋設されることにより、突出部23が他の部材に接触することが抑制され、シートクッションパッド5を設置する際に突出部23が邪魔にならない。また、例えばシートパッドを床面等に置いた際にも、突出部23に荷重がかからないため、突出部23の破損が抑制される。図5に示す例では、突出部23の周囲に隆起部25を別途設けることで突出部23を形成しているが、第2パッド部材20に窪み部を形成し、その窪み部内に突出部23を設けてもよい。
【0036】
<<第1貫通孔及び第2貫通孔>>
また、第2パッド部材20には、突出部23と隣接する位置に、第1貫通孔21が、第2パッド部材20の裏面から表面(第1パッド部材10と接触する面)に向けて形成されている。また、図3及び図4に示すように、第1パッド部材10には、第1貫通孔21と連通する第2貫通孔11が形成されている。第2貫通孔11は、図7に示すように、表皮30を吊り込むための吊り込み溝12内に形成されている。
【0037】
表皮30には、図4に示すように、被係止部材として、裏面から延びる吊り込み部32が設けられている。この吊り込み部32を、第1貫通孔21と第2貫通孔11に挿入して、吊り込み部32の先端を、第1貫通孔21に隣接する突出部23に係止することができる。吊り込み部32を突出部23に掛けることで、表皮30の吊り込みと同時に、表皮30をシートクッションパッド5に取り付けることができる。このように、突出部23は、表皮30の後端部の孔部31よる固定と、吊り込み部32による固定との両方に使用することができる。
【0038】
ここで、第1貫通孔21に連通する第2貫通孔11を第1パッドに形成することの製造時における効果について説明する。
発泡ウレタン製の第1パッド部材10を形成する際、図8Aに示すように第1パッド側型41に発泡原料を供給し、発泡硬化させると共に第2パッド部材20と第2パッド側型42を配置して一体発泡することで第1パッド部材10を成形している。成形時、第1パッド部材10に、第1貫通孔21と連通する第2貫通孔11が無い場合は、図8Bに示すように第1貫通孔21に発泡原料(ウレタン)が流れ込み、第1貫通孔21が塞がれてしまう場合があった。
図8Aに示すように、第1パッド部材10に第2貫通孔11を形成するよう第1パッド側型41を形成すると、第1貫通孔21に挿入される凸部により、第1貫通孔21が塞がれるため、発泡原料が第1貫通孔21に流れ込むことを抑制することができる。
【0039】
<<第3貫通孔>>
上述したように、第2パッド部材20には、第3貫通孔として開口部22が形成されている。開口部22は、上述したように、第1パッド部材10の膨出部14が嵌合されるよう形成されていて、開口部22は、図6に示すように、突出部23と同じ幅で形成されている第1貫通孔21の幅W1よりも広い幅W2を有している。
【0040】
図6に示すように、第1貫通孔21は開口部22と、シート幅方向において重なる位置に配置されている。第1貫通孔21を開口部22とシート幅方向(シート左右方向)において重なる位置に配置することで、表皮30をシートクッションパッド5に取り付ける際、開口部22を目安として第1貫通孔21のおおよその位置が把握でき、第1貫通孔21と隣接する突出部23に表皮30の孔部31を掛けやすくなり作業性が向上する。
【0041】
また、第1パッド部材10に形成される第2貫通孔11Aは、膨出部14を通って形成されて第2パッド部材20の開口部22と連通して形成されてもよい。この場合、表皮30の裏面から延びる吊り込み部32は、図6に示すように、開口部22の周囲に形成された突出部23Bに係止される。
【0042】
また、突出部23Bには、前後方向に延びる吊り込み溝12の第2貫通孔11と連通する第1貫通孔21Bを通る吊り込み部32が係止されてもよい。
開口部22の前後方向の長さは、第1貫通孔21Bの前後方向の長さより長く設けられており、第1貫通孔21Bは、開口部22と前後方向で重なる位置に配置されている。これにより、例えば第1貫通孔21Bの位置が開口部22により特定されやすくなり作業性が向上する。
【0043】
また、図6に示すように、第2パッド部材20の底面には、ECUや着座センサ等に接続されるハーネスを収容可能なガイド溝26が形成されている。ガイド溝26は、開口部22に接続し、開口部22とガイド溝26を通じてハーネスを第2パッド部材20の後方に向けて配設することが容易となっている。また、ガイド溝26に沿ってハーネスを配設することで、ハーネスの取付け作業性が向上する。また、ガイド溝26によりハーネスを保護することで、ハーネスの断線を抑制できる。
【0044】
また、図6に示すように、第2パッド部材20の側面には、シート内側に切り欠かれた凹部28が複数形成されている。この凹部28は、図7に示す第1パッド部材10の外縁部に設けられた凸部と係合することにより、第1パッド部材10と、第2パッド部材20との位置ずれを抑制することができる。
【0045】
また、第2パッド部材20には、EPP以外にも第1パッド部材10よりも圧縮強度が高い発泡成形体や三次元網目構造体により構成してもよい。例えば、発泡成形体には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、又はこれらの複合樹脂等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0046】
また、本発明は、車両用シートのみならず、電車、航空機、船舶等の各種乗物のシートに対しても適用可能である。
【0047】
<<第二実施形態>>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、乗物用シートに係り、特に、表皮を吊り込むための係合部材を備える乗物用シートに関する。
【0048】
<背景技術>
従来、車両用シートでは、バックパッドに表皮を吊り込むため、表皮溝に沿って裏面から延びる吊り込み用の取付部材を設け、その先端に設けられたフックをバックパッドに埋め込まれたワイヤに引掛けて表皮を吊り込んでいた。そのため、バックパッドにワイヤを取り付ける作業が必要で、製造コストがかかっていた。
また、特開昭61-41484号公報に記載の吊り込みを有するシートでは、パッドに形成された凹部内にフィルム材を埋め込み、表皮の裏面をフィルム材に溶着することで表皮を固定し、表皮の表面側に溝を形成している。
【0049】
<発明が解決しようとする課題>
特開昭61-41484号公報に記載のシートでは、フィルム材を凹部内に取り付けるために、成形時にフィルム材をパッドと一体化している。フィルム材は成形時に取り付けられるが、表皮はフィルム材に溶着等で固定されるため、一旦表皮を取り付けた後は、シートパッドから表皮を取り外すことが困難であった。
【0050】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートパッドにワイヤを埋め込むことなく、着脱自在に表皮をパッドに取り付け可能な乗物用シートを提供することにある。
【0051】
<課題を解決するための手段>
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートパッドと、該シートパッドを被覆する表皮と、該表皮に設けられ、前記シートパッドに対して前記係合又は係合解除可能な係合部材と、を備え、前記係合部材は、前記シートパッドに挿入可能な挿入部を有することにより解決される。
【0052】
表皮に、シートパッドに挿入可能な挿入部を有する係合部材を設けることで、シートパッドにワイヤを埋め込むことなく、シートパッドに着脱自在に表皮をパッドに取り付けることができる。
【0053】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記挿入部は、前記係合部材に複数設けられ、複数の前記挿入部は、少なくとも前記係合部材の一方の端部に配置される第1挿入部と、前記一方の端部の反対側に位置する他方の端部に配置される第2挿入部と、を有するとよい。
係合部材の一方の端部とその反対側に位置する他方の端部のそれぞれに挿入部を設けることで、より強固に係合部材をシートパッドに固定することができる。
【0054】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記挿入部は凸状に形成されているとよい。
挿入部を凸状に形成することで、より深く挿入部がシートパッドに挿入され、より強固に係合部材をシートパッドに固定することができる。
【0055】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記係合部材は平板形状を有しており、前記挿入部は、前記係合部材の端部から平面方向に突出しているとよい。
挿入部が、係合部材の端部から平面方向に突出することで、係合部材が引っ張られる方向(係合部材の垂直方向)に対する力により強く抗することができるため、強固に係合部材をシートパッドに固定することができる。
【0056】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記係合部材の前記シートパッド側に向けられる面には切れ込みが形成されているとよい。
シートパッド側に向けられる面に切れ込みを形成することで、板状の係合部材が曲がりやすくなり、より容易に係合部材をシートパッドに取り付けることができる。
【0057】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記係合部には、孔部又は切り欠き部が形成されているとよい。
係合部に孔部又は切り欠き部を形成することで、板状の係合部材が曲がりやすくなり、より容易に係合部材をシートパッドに取り付けることができる。
【0058】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートパッドには、前記係合部材と係合する凹部が形成されており、前記凹部の側壁には、前記係合部材の前記挿入部が挿入される被挿入部が形成されるとよい。
シートパッドに凹部を形成し、凹部の側壁に被挿入部を形成することで、係合部材をより強固にシートパッドに取り付けることができる。
【0059】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記凹部は、該凹部の開口部から底部に向かうに従って幅が広くなるように形成されているとよい。
凹部の開口部から底部に向かうに従って幅が広くなるように形成することで、底部の幅よりも開口部の幅が狭くなり挿入された係合部材が抜け難くなる。それにより、係合部材がシートパッドに対してより強固に取り付けられるようになる。
【0060】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートパッドには、前記凹部の周囲において、前記シートパッドより剛性の高い剛性部が設けられているとよい。
凹部の周囲にシートパッドより剛性の高い部分を設けることで、凹部の周囲が変形し難くなり、係合部材をより強固に取り付けることができる。
【0061】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートパッド及び前記表皮を有するシートバックと、該シートバックの下端部と連結するシートクッションと、該シートバックの上方側に設けられるヘッドレストと、前記シートクッション及び前記シートバックの骨格を形成するシートフレームと、を備えるとよい。
【0062】
<発明の効果>
第二実施形態の乗物用シートによれば、表皮に、シートパッドに挿入可能な挿入部を有する係合部材を設けることで、シートパッドにワイヤを埋め込むことなく、シートパッドに着脱自在に表皮をパッドに取り付けることができる。
また、係合部材の一方の端部とその反対側に位置する他方の端部のそれぞれに挿入部を設けることで、より強固に係合部材をシートパッドに固定することができる。
また、挿入部を凸状に形成することで、より深く挿入部がシートパッドに挿入され、より強固に係合部材をシートパッドに固定することができる。
また、挿入部が、係合部材の端部から平面方向に突出することで、係合部材が引っ張られる方向(係合部材の垂直方向)に対する力により強く抗することができるため、強固に係合部材をシートパッドに固定することができる。
また、シートパッド側に向けられる面に切れ込みを形成することで、板状の係合部材が曲がりやすくなり、より容易に係合部材をシートパッドに取り付けることができる。
また、係合部に孔部又は切り欠き部を形成することで、板状の係合部材がより曲がりやすくなり、より容易に係合部材をシートパッドに取り付けることができる。
また、シートパッドに凹部を形成し、凹部の側壁に被挿入部を形成することで、係合部材をより強固にシートパッドに取り付けることができる。
また、凹部の開口部から底部に向かうに従って幅が広くなるように形成することで、底部の幅よりも開口部の幅が狭くなり挿入された係合部材が抜け難くなる。それにより、係合部材がシートパッドに対してより強固に取り付けられるようになる。
また、凹部の周囲にシートパッドより剛性の高い部分を設けることで、凹部の周囲が変形し難くなり、係合部材をより強固に取り付けることができる。
【0063】
<発明を実施するための形態>
以下、本発明の第二実施形態(本実施形態)に係る乗物用シートの構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0064】
なお、以下では、乗物用シートの一例として車両用シートを挙げ、その構成例について説明することとする。以下の説明において、「前後方向」とは、車両用シートSの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの幅方向であり、車両用シートSに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートSの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
【0065】
また、以下の説明において、「シート幅方向」、「シート高さ方向」のように各種方向に「シート」を付して記載する場合には、車両用シートSに対する方向を示し、「車両内側」、「車両外側」のように「車両」を付して記載する場合には、車両に対する方向を示すものとする。
また、以下に説明する車両用シートSの各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートSが着座可能な状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0066】
<<車両用シートの基本構成>>
第二実施形態に係る車両用シートSの基本構成について、図9を参照しながら説明する。図9は車両用シートSを前方斜めから見た斜視図である。図9中、車両用シートSの一部については図示の都合上、表皮120を外した構成で図示している。
【0067】
車両用シートSは、車体フロア上に載置され、車両の乗員が着座するシートである。本実施形態において、車両用シートSは、車両の前部座席に相当するフロントシートとして利用される。ただし、これに限定されるものではなく、車両用シートSは、車両のリアシートであってもよい。
【0068】
車両用シートSは、図9に示すように、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッションS1、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバックS2及びシートバックS2の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレストS3を主な構成要素とする。
【0069】
シートクッションS1は、その後端部がシートバックS2の下端部に連結されている。また、図示しないが、シートクッションS1の下部にはスライドレールが設置されており、このスライドレールにより、車両用シートSは、前後方向にスライド移動可能な状態で車体フロアに載置されている。
【0070】
車両用シートSの中には、図10に示すシートフレームFが設けられており、シートフレームFは、主にクッションフレーム101とバックフレーム102とにより構成される。クッションフレーム101は、シートフレームFにおけるシートクッションS1の骨格をなし、バックフレーム102は、シートフレームFにおけるシートバックS2の骨格をなしている。
【0071】
シートフレームFのクッションフレーム101は、図10に示すように、略方形枠状の外形形状をなす。そして、クッションフレーム101は、シート幅方向左右の端部をそれぞれ構成する一対のクッションサイドフレーム103と、クッションフレーム101の前端部を構成するパンフレーム104aと、スプリング105(Sバネ)を主たる構成要素としている。
2本のクッションサイドフレーム103は、クッションフレーム101の幅を規定するため、左右方向に離間して、車両の前後方向に延びるように配置されている。そして、2本のクッションサイドフレーム103を連結するフロントパイプ104bが前端部に、リアパイプ104cが後端部に取り付けられている。
【0072】
バックフレーム102は、主に、方形枠状に加工されたパイプからなり、図10に示すように、バックフレーム102は、逆さU字形のアッパーフレーム106aと、シート幅方向左右の端部をなす一対のバックサイドフレーム107と、一対のバックサイドフレーム107の下端部を連結するロアフレーム106bと、を備える。
【0073】
また、バックフレーム102には、バックフレーム102に懸架された受圧プレート108が設けられている。バックフレーム102の上端中央部には、筒型状のヘッドレストガイド106cが取り付けられている。このヘッドレストガイド106cに、ヘッドレストS3の下端から延びるヘッドレストピラーが挿入されることで、ヘッドレストS3がシートバックS2に取り付けられる。
【0074】
また、シートクッションS1は、クッションフレーム101に、シートパッドであるクッションパッド109を載置し、更にクッションパッド109を表皮120により覆うことで構成される。シートバックS2は、バックフレーム102に、シートパッドであるバックパッド110を配し、更にバックパッド110を表皮120により覆うことで構成される。
【0075】
シートパッドであるクッションパッド109及びバックパッド110は、例えばウレタン発泡剤を用いて、発泡成形により成形されたウレタン基材である。また、バックパッド110及びクッションパッド109を覆う表皮120は、布、フィルム、クロス、革やシート等により構成され、所定のテンションが掛かるように張られた状態でクッションパッド109及びバックパッド110を覆うよう取り付けられている。そして、図9に示すようにシートバックS2の表面には、吊り込みによる表皮溝121が形成されされている。
【0076】
<<吊り込み構造>>
以下、図11図14Bを用いて、シートバックS2の表面に表皮溝121を形成するために表皮120をバックパッド110に吊り込む構造について説明する。
図11は、シートバックS2の背凭れ面を覆う表皮120の裏面120bを示す図である。図12は表皮120を取り除いたバックパッド110の上部を示す図である。図13Aは表皮120をバックパッド110に取り付けた状態を示す断面図であり、図13Bはバックパッド110に形成された凹部111の別例を示す図である。図14Aは表皮120に設けられる係合部材130を示す図であり、図14Bは係合部材130の断面図である。
【0077】
バックパッド110の背凭れ面を被覆する表皮120の裏面120bには、表皮溝121に沿って取り付けられる連結部材122が設けられている。連結部材122は例えば樹脂又は不織布等により形成された部材である。連結部材122の先端には、バックパッド110に対して係合又は係合解除可能な係合部材130が設けられている。連結部材122と係合部材130とは、縫製により接合されている。そのため、係合部材130は、連結部材122に対して縫製部を中心に回動することができる。係合部材130は、図13A及び図14Aに示すように平板形状に形成された樹脂製の部材である。
なお、表皮120の裏面120bには、連結部材122の下方において、下側の表皮120のバックパッド110に取り付ける取付部材123が設けられている。
【0078】
従来は連結部材の先端にJフックを設け、バックパッドに埋め込まれたワイヤにJフックを引掛けることにより、表皮を取り付けていた。
本実施形態の車両用シートSでは、連結部材122の一端に、バックパッド110に挿入可能な挿入部131を有する係合部材130を設け、係合部材130をバックパッド110に着脱自在に固定している。
【0079】
より詳細に述べると、図13Aに示すように、バックパッド110には、係合部材130と係合する凹部111が形成されていて、凹部111の内壁112には、挿入部131が挿入可能な被挿入部113が形成されている。被挿入部113は凹部111の底部111bを囲うよう内壁112に例えばスリット又は溝形状に形成されている。凹部111にアンダーカット部となる被挿入部113を形成することで、より強固に係合部材130を凹部111に係合させることができる。被挿入部113は、挿入部131の先端形状に対応して内壁112に形成された切り欠きであってもよい。
【0080】
また、図13Bに示す凹部111のように、被挿入部113Aを、内壁112において中央付近で凹む傾斜面で構成してもよい。すなわち、図13Bに示す凹部111は、凹部111の開口部111aから、底部111bに向かうに従って上下方向の幅W1(対向する内壁同士の間隔)が広くなるように形成されている。また、凹部111は左右方向の幅が、底部111bに向かうに従って広くなるように形成されてもよい。このように、開口部111aの幅W1を、凹部111の被挿入部113Aの上下方向の幅W2より小さくすることで、挿入された係合部材130が抜け難くなり、より強固に取り付けることができる。
【0081】
また、図12及び図13Aに示すように、凹部111の開口部111aの周囲には剛性部として樹脂又は塗料等を含侵した裏布115が一体に設けられている。裏布115はバックパッド110よりも剛性の高い部材であり、例えば不織布又は織布からなる。裏布115を凹部111の周囲に設けることで、凹部111の開口部111aの変形が抑制され、係合部材130の保持力がより強化される。なお、裏布115は一例であり、剛性部として、裏布115は、プラスチックの板であってもよい。また、凹部111の周囲に直接樹脂又は塗料等を含侵させて剛性を高めてもよい。
【0082】
図14Bに示すように、挿入部131は、係合部材130を曲げた状態で、凹部111の開口部111aから、係合部材130を挿入した後、係合部材130を元の平板形状に戻すことにより挿入部131が被挿入部113に挿入される。
【0083】
挿入部131が被挿入部113に挿入されることにより、図13Aに示すように係合部材130が凹部111に固定され、連結部材122により吊り込まれることで表皮120の表面120aに表皮溝121が形成される。
係合部材130を凹部111から取り外す場合は、挿入時と同様に係合部材130を曲げ、挿入部131を被挿入部113から抜くことにより、係合が解除され、凹部111から係合部材130を取り外すことができる。
【0084】
このように、凹部111に係合又は係合解除可能な係合部材130を設けることで、バックパッド110にワイヤを埋めることなく、着脱自在に表皮120をバックパッド110に取り付けることが可能になる。
【0085】
本実施形態で用いられる係合部材130には、図14Aに示すように、複数の挿入部131が設けられており、複数の挿入部131が、被挿入部113に挿入されることにより、係合部材130が凹部111に取り付けられる。より具体的に述べると、連結部材122には、係合部材130が二つ設けられており、それぞれの係合部材130の上端130a(一方の端部)には二つの第1挿入部131aが、上端の反対側に位置する下端130b(他方の端部)には二つの第2挿入部131bが設けられている。なお、以下では特に区別する必要が無い場合は、第1挿入部131a及び第2挿入部131bをまとめて挿入部131と称する場合がある。
【0086】
挿入部131のそれぞれは、図11及び図14Aに示すように凸状に形成されており、平板形状の係合部材130の端部から平面方向に突出している。すなわち、挿入部131は、係合部材130を凹部111に取り付けた状態で上方向又は下方向に突出した状態となる。なお、この突出方向は一例であり、挿入部131は、係合部材130の左右にある端部から左方向又は右方向(シートの幅方向)に突出してもよい。
挿入部131が、係合部材130の端部から平面方向に突出することで、係合部材130が連結部材122により引っ張られる方向(係合部材130の垂直方向)に対する力により強く抗することができる。それにより強固に係合部材130をバックパッド110に固定することができる。
図11及び図14Aに示す挿入部131は、先端が先細に形成された三角形状である。三角形に形成することで、パッド材に喰い込み易くなり、凹部111の内壁112により深く挿入される。なお、この三角形の形状は一例であり、四角形、台形、又は、半円形に形成されてもよい。
【0087】
また、図14A及び図14Bに示すように、係合部材130の裏面側(バックパッド110と対向する面)には、複数の切れ込み132が形成されている。複数の切れ込み132は左右方向に延びるよう平行に配置されている。切れ込み132を形成することで、図14Bに示すように、係合部材130を曲げたときに撓み易くなる。切れ込み132の断面は、図14Bに示すように半円形であってよく、また、楔形であってもよい。作業者は、図14Bの点線で示すように、挿入部131を含めた高さが凹部111の開口部111aに挿入できる大きさになるまで係合部材130を曲げて凹部111に挿入する。挿入された係合部材130を、凹部111の内部で元の平板形状に戻し、挿入部131を被挿入部113に挿入して、係合部材130を固定する。このように、切れ込み132を形成することで、係合部材130の挿入方向に対して撓み易くなり、取り外す方向に対しては曲がり難くすることで、係合部材130を凹部111に入れやすく外し難くしている。
【0088】
<<係合部材:別例1>>
図11及び図12に示す表皮120には連結部材122に二つの係合部材130が取り付けられていた。係合部材130が取り付けられる数量は、複数に限定されず、例えば図15Aの上段に示すように一つの係合部材130Aであってもよい。一回の作業で取り付けることができるため、製造工程を簡略化することができる。図15Aの下段に示すように、バックパッド110に一つの凹部111Aを形成して、表皮120をバックパッド110に取り付けるようにしている。
【0089】
一つの係合部材130Aで取り付ける場合、係合部材130Aのシート幅方向の長さは、二つの場合の係合部材130の長さより長く形成し、より広い範囲で表皮120を引き込むことができるよう構成する。また、図15Aに示すように、係合部材130Aには、上側の端部、及び下側の端部それぞれに3つの挿入部131を設けられている。また、係合部材130Aの上下の端部だけでなく、左右の端部にも挿入部131が設けられている。
【0090】
左右の端部のそれぞれに挿入部131を設けることで、図15Bに示すように、凹部111Aに係合部材130Aを挿入した時、上下の内壁112だけでなく、左右の内壁112の被挿入部113にも挿入部131が喰い込むようになり、より強固に固定されるようになる。
【0091】
<<係合部材:別例2>>
図11から図14Bに示す係合部材130は、係合部材130を曲げつつ凹部111に挿入し、挿入後、曲げた状態から元の平板形状に戻すことで係合していた。この係合部材130の取付方法は一例であり、例えば図16A及び図16Bに示すように、係合部材130B、130Cを凹部111に挿入した後、係合部材130B、130Cを矢印A方向に回転させることで、凹部111に係合させてもよい。
【0092】
より詳細に述べると、係合部材130B、130Cを、図16A図16Bに示すように、挿入部131B、131Cを含めて凹部111の開口部111aに入る大きさに形成する。係合部材130B、130Cを凹部111に挿入した後、矢印A方向に係合部材130B、130Cを回転させる。挿入部131B、131Cが、点線で示す被挿入部113B、113Cに挿入される。被挿入部113B、113Cに挿入されることで先端が食い込み、係合部材130B、130Cが凹部111に係合されるようになる。
【0093】
係合部材130Bは、図16Aに示すように、左右方向の端部のそれぞれに挿入部131Bが形成されている。係合時には、係合部材130Bが回転することで、挿入部131Aは、上下方向に位置するようになる。係合部材130Bは、中心線に対して線対称の形状をしていることから、矢印A方向だけでなく、反対方向に回転させて係合してもよい。
【0094】
一方、図16Bに示す、係合部材130Cは、左右方向の端部のそれぞれに挿入部131Cが形成されているが、係合時に回転させる方向(矢印A方向)に傾斜部を設け、係合部材130Bの中心点を中心とした点対称の形状となるよう形成されている。係合時に挿入される辺が傾斜していることから、挿入部131は、被挿入部113Cに入り易く、90度回転させやすい。また傾斜部の反対側には突起部が設けられていて、挿入時と反対の方向(矢印B方向)には回転し難くなり、それにより係合部材130Cは凹部111から外れ難くなっている。
【0095】
<<係合部材:別例3>>
図11から図16Bに記載の係合部材130、130A~130Bは矩形の本体に挿入部131が設けられていたが、図17Aに示す係合部材130Dのように、本体の一部に矩形の切り欠き部133が形成されてもよい。係合部材130Dは、上下に切り欠き部133が形成されていることから、全体としてH字形に形成される。切り欠き部133が形成されることで、中央部が外側の部分より撓み易くなることから、挿入部131Dは、図17Aに示すように係合部材130Dの左右の端部に設けられている。
【0096】
また、図17Bに示す係合部材130Eのように、本体の一部に孔部134が上下に二つ形成されてもよい。孔部134のそれぞれに指を入れてつまむことにより、係合部材130Eを撓ませることが容易になる。また、凹部111に取り付けた後も孔部134を使うことでつまみ易くなり、係合部材130Eの取り外しが容易になる。
【0097】
また、図17Cに示す係合部材130Fのように、係合部材130Fを、挿入部131Fを含めてダイヤ形状に形成してもよい。係合部材130Fをダイヤ形状にすることで、係合部材130Fが単純な形状となり作製が容易になる。
【0098】
以上、第二実施形態に係る車両用シートについて図を用いて説明した。特に、主にシートバックS2のバックパッド110を覆う表皮120の表面120aに表皮溝121を形成するための吊り込み構造について説明した。しかしながら、これは一例であり、この吊り込み構造をシートクッションS1に適用してもよい。すなわち、シートクッションS1の、クッションパッド109を覆う表皮120の裏面に挿入部131を有する係合部材130を設け、クッションパッド109に形成された凹部に係合部材130を係合させることで、表皮120をクッションパッド109に固定し、表皮溝を形成してもよい。シートバックS2と同様、従来はクッションパッド109内に取り付けていたワイヤを埋め込むことなく、着脱自在に表皮120をクッションパッド109に取り付けることができる。
【0099】
また、本発明は、車両用シートのみならず、電車、航空機、船舶等の各種乗物のシートに対しても適用可能である。
【0100】
<<第三実施形態>>
第三実施形態は、乗物用シートに係り、特に、シートパッドとシートパッドを被覆する表皮とを備える乗物用シートに関する。
【0101】
従来、シートクッションを備えた乗物用シートにおいて、シートクッションの内部に設けられ、電気装置を接続するための接続部材(例えば、ワイヤーハーネス)を備えた乗物用シートが知られている(例えば、特開2018-158096号公報参照)。
【0102】
特開2018-158096号公報に記載の乗物用シートでは、第1パッド部材と、第1パッド部材よりも硬く形成された第2パッド部材とが上下に重ねられて構成されるシートクッションを備えている。そして、第2パッド部材には、電気装置(電装部品)を接続するハーネスを収容するための収容溝(ガイド溝)が形成されている。
【0103】
ところで、硬さの異なるパッド部材を有する乗物用シートにおいて、パッド部材を重ねた状態で表皮を被覆しているが、表皮をパッド部材に好適に取り付ける手段が求められていた。例えば、パッド部材に表皮を取り付けた後、表皮がパッド部材から意図せずに外れたり位置ずれたりすることの抑制が求められていた。
【0104】
また、当該シートの内部において電気装置等を接続するハーネスを好適に保持することが求められていた。例えば、パッド材部の面に形成された収容溝にハーネスを収容する場合に、当該ハーネスが収容溝から意図せずに抜けてしまうことや、収容溝内で位置ズレすることの抑制が求められていた。
【0105】
第三実施形態は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パッド部材に表皮を好適に取り付ける手段が設けられた乗物用シートを提供することを目的とする。
また、別の目的として、パッド部材にハーネスを好適に保持する手段が設けられた乗物用シートを提供することを目的とする。
【0106】
以下の実施形態では、乗物用シートの一例として車両に搭載される車両用シートSAを挙げ、図18から図37を参照しながら、その構成例について説明することとする。
なお、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートSAの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートSAの横幅方向であり、車両用シートSAに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートSAの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
【0107】
図18は第三実施形態に係る車両用シートSAのシートクッション201のパッド210を示す分解斜視図である。図19はパッド210を構成する第2パッド部材212の上面図、図20は第2パッド部材212の下面図、図21は第2パッド部材212を後方から見た背面図である。図22はパッド210に表皮202を取り付けた状態を示す、パッド210の下面図である。
【0108】
車両用シートSAのシートクッション201は、着座者を下方から支持する着座部であって、シートクッション201の本体部分となるパッド210と、パッド210を被覆する表皮202とにより構成されている。
【0109】
パッド210は、図18に示すように、複数のパッド部材が上下に積層されて形成されるパッド積層体である。パッド210は、上側(着座者側)に配置される第1パッド部材211と、下側(車体側)に配置される第2パッド部材212とを備えている。第2パッド部材212は第1パッド部材211より硬く形成されている。
第1パッド部材211は、第2パッド部材212の上面に取り付けられており、第2パッド部材212を上方から覆うように取り付けられている。
【0110】
第1パッド部材211が第2パッド部材212に組付けられたとき、第1パッド部材211は、第2パッド部材212の上面、前面及び両側面の略全面にわたって当接する。また、第1パッド部材211は、第2パッド部材212の後面の一部に当接する。
【0111】
第1パッド部材211は、例えばウレタンフォーム等の樹脂材料から形成される。また、第1パッド部材211の上面には、表皮202を吊り込むための吊り込み溝211aが形成される。吊り込み溝211aは、シート幅方向に間隔をあけて複数形成され、シート前後方向に延びる縦吊り込み溝と、シート前後方向の略中央部分に形成され、シート幅方向に延びる横吊り込み溝から構成される。そして、図18に示すように、横吊り込み溝は縦吊り込み溝を連結している。
第1パッド部材211の後方には、第2パッド部材212の取付凸部212bを保持する複数の取付凹部211bが設けられている。取付凹部211bの間には開口部211cが形成されており、第2パッドに組付けられたとき、開口部211cから、第2パッド部材212のアンカー通し部212cが露出するよう構成されている。
【0112】
第2パッド部材212は、例えば発泡ポリプロピレン(EPP)等の樹脂材料から形成される。第2パッド部材212は、第1パッド部材211の裏面211d側に設けられ、第1パッド部材211と上下方向で重なるように配置される。
【0113】
第2パッド部材212の上面には、検出センサ250を収容するためのセンサ収容凹部229と、センサ収容凹部229に連続して設けられ、ハーネス240を収容するための収容溝230と、が形成されている。センサ収容凹部229と収容溝230は、パッド210の厚さ方向に窪むように設けられている。
【0114】
第2パッド部材212の後端部には、シート幅方向に間隔を開けて複数設けられ、第1パッド部材211の取付凹部211bに取り付けるための凸状の取付凸部212bと、隣り合う取付凹部211bの間に配置されるアンカー通し部212cと、が形成されている。
アンカー通し部212cは、不図示のアンカー部材(延出部材)を通すための通し穴であって、具体的には、チャイルドシートを連結するためのアンカー部材を通すための通し穴である。なお、アンカー部材は、車体に取り付けられ、車体からアンカー通し部212cを通過してシート本体から前方に突出した状態で組み付けられる。
【0115】
<表皮引掛部220>
第2パッド部材212の下面には、図20及び図22に示すように、表皮202の端部を引掛けて掛止するための表皮引掛部220が複数設けられている。また、表皮202の端部には、表皮引掛部220の対応する位置に引掛孔203が形成されており、引掛孔203を表皮引掛部220に引掛けることで、図22に示すように、第1パッド部材211と第2パッド部材212を組付けた状態で、表皮202をパッド210に取り付けることができる。
【0116】
表皮引掛部220は、図22に示すように、第2パッド部材212の下面から立設する支柱部221と支柱部221の先端から延びる爪部222とを有し、全体として断面がL字状に形成されている。
表皮引掛部220の爪部222は、シートクッション201の内側(図23の矢印C方向)に向かって延びている。言い換えれば、爪部222は表皮202を取り付けたとき、表皮202を引き込む方向に向けて延びるよう形成されている。
表皮202を引き込む方向に向けて爪部222が延びているため、表皮202を取り付けた後、表皮202の端部が表皮引掛部220から抜け難くなり、表皮202がパッド210から外れ難くなる。
【0117】
表皮202を留めるための表皮引掛部220は、その断面がL字状に形成されており、表皮引掛部220が何らかの理由で破損した場合でも、補修を容易に行うことができる。補修が容易にできるため、表皮引掛部220が破損した場合でも、例えば第2パッド部材212全体を廃棄する必要がなくなり、廃棄物を少なくすることができる。
【0118】
表皮202は、例えば図23に示すように複数の表皮ピース202a、202bをつなぎ合わせて形成されている。表皮ピース202a、202bは縫製によりつなぎ合わせられており、その縫合線204は、パッド210を覆ったとき、例えば第2パッド部材212の角部に位置するように設けられている。
【0119】
<縫い目205>
表皮202の端部には、上述したように表皮引掛部220の爪部222等を通す引掛孔203が形成されている。表皮202は表皮引掛部220により引張られることから、引っ張られる方向の剛性を向上させるとよい。
本実施形態では、図25に示すように、表皮202が引っ張られる方向に沿って表皮202に縫い目205を設け、表皮202(より詳しくは表皮ピース202a)の剛性を高めている。縫い目205は、表皮202をパッド210に取り付けたときに、近隣の縫合線204に向けて放射線状に延びるように設けられる。このように縫い目205を設けることで、表皮202に余計な伸びが生じることを抑制する。表皮202が伸び難くなることで、表皮202を張りよく取り付けることができる。
なお、縫い目205は、図25に示すように、縫合線204につながるよう延びていてよい。また、縫い目205は、縫合線204までつながらず途切れてもよい。
【0120】
剛性を高めるための縫い目205は、図26A図26Cに示すように、表皮202に形成される引掛孔203の周囲に設けられてもよい。
図26Aに示す表皮202においては、引掛孔203の全周に亘って縫い目205が設けられている。
図26Bに示す表皮202においては、引掛孔203の周囲の一部と表皮202の端部とに沿って縫い目205が設けられている。
図26Cに示す表皮202においては、引掛孔203の全周と表皮202の端部とに沿って縫い目205が設けられている。
このように表皮202に縫い目205を設けることで、表皮202が伸びにくくなり、張りよくシートクッション201を組み立てることができる。
なお、表皮202に設けられる縫い目205は、図26A及び図26Bに示す縫い目205のように一筆縫いで縫製されてもよい。縫い目205を一筆縫いで縫製することで縫製の作業性が向上する。
【0121】
表皮202が加熱することで溶ける材料(例えば、布、化学繊維、PET樹脂等)で形成されている場合、引掛孔203の剛性の向上のために、図26Aから図26Cに示す縫い目205の代わりに、超音波溶着機を用いて引掛孔203の周囲に溶着部を形成してもよい。例えば、樹脂プレート等の補強材を表皮202の裏面に配置し、表皮202と樹脂プレート等を溶着する。樹脂プレート等を溶着することで、引掛孔203周囲の剛性を向上させることができる。
【0122】
また、図26Aから図26Cに示す縫い目205の代わりに、超音波溶着機を用いて表皮202自体を一旦加熱して溶かして固めた溶融部を設けてもよい。溶融部では伸びが抑制されるため、表皮材の剛性を向上させることができる。なお、剛性の向上のため、縫い目205と溶融部の両方が形成されてもよい。
【0123】
縫い目205の形成は、表皮ピース202a、202bをつなぎ合わせて表皮202を形成する前に、表皮ピース202a、202bに行うのがよい。また、機械を用いて縫い目205を自動縫製する場合、縫い目205の位置決め手段(例えば位置決め孔)を、表皮ピース202aに形成された引掛孔203を避けた位置に設けるのがよい。
【0124】
<逃がし構造>
表皮引掛部220を通す引掛孔203には、表皮引掛部220の支柱部221の太さより大きく形成した逃がし構造を設けてよい。すなわち、発泡プロピロプレンのような撓み難い部分だけを覆っている表皮202の引掛孔203を、支柱部221の太さより大きく形成してよい。
より具体的に述べると、図23及び図26Aに示すように、逃がし構造として、引掛孔203を、表皮202が引っ張られる方向において引掛孔203の長さD1が支柱部221の長さD0よりも大きくなるように形成する。このように形成することで、引掛孔203は表皮引掛部220に掛けやすくなり、組立時の作業性が向上する。
【0125】
<表皮引掛部220の面取り>
表皮引掛部220において、図23に示すように表皮202を引掛ける爪部222の角222aが面取りされているとよい。面取りされる角222aは、爪部222の上面と側面とが接合する部分であり、表皮202が引っ張られる方向(図の矢印C方向)に対して交差する角222aで面取りされるのがよい。
また、図24に示すように、引っ張られる方向(図23の矢印C方向)と平行に延びる角222bで面取りされてもよい。表皮引掛部220の爪部222の角222a、222bを面取りすることにより表皮202の引掛孔203を通しやすくなる。
【0126】
<ブラケット223>
図27に示すように、表皮引掛部220の内部に、断面L字状のブラケット223をインサートしてもよい。ブラケット223は金属製であるのがよいが、樹脂製であってもよい。ブラケット223を表皮引掛部220にインサートすることで、表皮引掛部220を補強する。ブラケット223を爪部222の先端まで配置し、先端に形成された挿入穴223aにクリップ224を挿入することでブラケット223を位置めしてもよい。
特に支柱部221の高さHが高い、言い換えれば爪部222が、第2パッド部材212の表面から離れている距離が大きい場合にブラケット223をインサートすると効果的である。
【0127】
<表皮引掛部220の位置>
図28は、図22のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図であり、表皮引掛部220と、表
皮202の縫合線204との位置関係を示す図である。
図28に示す表皮引掛部220では、その爪部222が後方に向かって延びており、爪部周辺には凹部225が形成されている。また、爪部222の上方に貫通孔226が形成されている。
表皮引掛部220は、図28に示すように、表皮202を留める位置、すなわち表皮引掛部220の爪部222が、近隣にある縫合線204よりも高い位置にある。
留める位置が縫合線204より高い位置にあることで、表皮202に張力がかかり縫合線204を直線状に見せることができる。また、表皮引掛部220が外観上見え難くなり、車両用シートSAの意匠性が向上する。
【0128】
<収容溝230>
第2パッド部材212には、図18及び図19に示すように、ハーネス240を収容するための収容溝230が、第1パッド部材211の裏面211dに対向するように設けられている。
【0129】
収容溝230は、シート幅方向(左右方向)に長尺に延びている溝本体部231と、シート幅方向に間隔をあけて複数形成され、溝本体部231からそれぞれシート前方へ延びる溝延出部232と、を備えている。
また、溝本体部231の延出方向の所定位置には、ハーネス240を掛け止めるためのハーネス掛止部233が形成されている。
【0130】
溝本体部231は、第2パッド部材212のシート幅方向の一方の端部(左側方位置)から、シート幅方向の反対側の端部(右側方位置)まで蛇行して延びている。
また、第2パッド部材212の上面212aには、検出センサ250を収容するセンサ収容凹部229が複数形成されている。具体的には、センサ収容凹部229は、シート幅方向の中央位置に一つ、左側側方位置及び右側側方位置にそれぞれ二つ形成されている。
複数の溝延出部232が、溝本体部231から前方に延びるよう形成されており、溝本体部231とセンサ収容凹部229とを連結している。
【0131】
<ハーネス掛止部233>
ハーネス掛止部233は、ハーネス240を掛け止めるものであり、収容溝230の延出方向において間隔を開けて複数形成されている。
ハーネス掛止部233は、図29及び図30に示すように、ハーネス240の収容溝230からの抜けを抑制するため、収容溝230(溝本体部231)の一方の側部から、他方の側部に向かって突出する突起部234を備えている。
【0132】
また、ハーネス掛止部233は、溝本体部231の底面において突起部234に対応する位置に設けられ下方へ窪むように形成された凹部235と、ハーネス240を挿入するためにシート後方に窪むように形成された凹部236とが設けられている。また、凹部235の底面には、上下方向に貫通する貫通孔237が形成されている。
【0133】
より詳細に述べると、突起部234は、溝本体部231の前側に位置する側部の上方部分から、後側に位置する側部に向かって突出している。言い換えれば、図29に示すように突起部234はシート後方に張り出すように突出している。そのため、突起部234は、収容溝230に収容されたハーネス240を上方から覆い、ハーネス240を好適に掛け止めておくことができる。
【0134】
更に、図30に示すように、突起部234は、その上面234aが第2パッド部材212の上面212aよりも低い位置となるように、溝本体部231の側部に設けられている。そのため、第1パッド部材211が第2パッド部材212に組付けられても、突起部234に直接荷重がかかることがなく、突起部234の破損が抑制される。
【0135】
<突起部234の突出方向>
図29に示すハーネス掛止部233の突起部234はシート後方に向けて延びているが、図31に示すように、突起部234は溝本体部231の後側に位置する側部の上方部分から、前側に位置する側部に向かって突出してもよい。言い換えれば、突起部234はシート前方向けて突出してもよい。
また、複数のハーネス掛止部233が配置される場合、図31に示すように、隣り合うハーネス掛止部233において突起部234の突出方向が、互い違いになるように設けられてもよい。ハーネス掛止部233の突起部234が互い違いになるように配置することで、ハーネス240が収容溝230から抜けてしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0136】
<逃げ部238>
図29に示すように、ハーネス掛止部233の周囲の溝本体部231には、ハーネス240を収容溝230に収容又は取り外す際に作業者の指が入る逃げ部238(指入部)が設けられている。具体的には、指の逃げ部238として、ハーネス掛止部233の左右に指が入る大きさの凹部が四つ形成されている。指の逃げ部238を設けることで、収容溝230に収容されたハーネス240が掴みやすくなり、取り外しが容易になる。
【0137】
指の逃げ部238は、ハーネス掛止部233の周囲だけでなく、図29に示すように、ハーネス240が分岐する箇所、すなわち、溝本体部231から溝延出部232が延びる根本付近に設けられてもよい。指の逃げ部238は、ハーネス240が分岐する位置に凹部として形成される。指の逃げ部238を形成することで、ハーネス240が掴みやすくなり、容易に取り外すことができる。
また、ハーネス240が分岐する箇所には、ハーネス240を取り付ける位置を示す目印をつけてもよい。目印をつけることで、ハーネス240を取り付ける位置がより分かりやすくなる。
【0138】
<収容溝230の位置>
収容溝230は、第2パッド部材212の上面212aに形成されているが、特に上面212aに限定されず、第2パッド部材212の下面に形成されてもよい。また、第1パッド部材211の裏面に形成されてもよい。また、第1パッド部材211の上面に形成されてもよい。
【0139】
また、図21に示すように、第2パッド部材212の背面にハーネス240を通すため収容溝230が形成されてもよい。第2パッド部材212の背面にはヒータ用のハーネスを収容する収容溝230が縦方向に延びるように形成されている。このように背面にも収容溝230を形成することで、ハーネス240の潰れが抑制される。
【0140】
<検出センサ250の固定方法>
第2パッド部材212には、図19に示すように、着座者の有無を検出する検出センサ250が複数配置されている。より詳しく述べると、第2パッド部材212の上面にはセンサ収容凹部229が複数形成されており、検出センサ250がセンサ収容凹部229内に収容されている。従来、検出センサ250は、第2パッド部材212に対して粘着剤等を用いて貼り付けることで固定されていた。しかしながら、粘着剤等を用いる固定する場合、粘着剤を塗布する工程が必要であると共に、粘着剤等が硬化するまでに時間がかかっていた。
【0141】
第三実施形態では、検出センサ250自体に突出部251を設け、突出部251をセンサ収容凹部229に設けられた取付孔253に挿入することで、検出センサ250をセンサ収容凹部229に固定することが可能となっている。
【0142】
突出部251は、ハーネス240と接続するカプラー差込部分254が設けられた端部250aとは反対側の端部250bに設けられていて、検出センサ250の挿入方向に延びるように設けられている。
図33に示すように、センサ収容凹部229には取付孔253が予め形成されており、突出部251を取付孔253に差し込むことで検出センサ250が固定される。
差し込むだけで検出センサ250を取り付けることができるため、粘着剤を塗布する工程を省略できる。また、取付孔253を予め形成しておくことで、突出部251の差し込み場所が明確になり容易に、検出センサ250を取り付けることができる。
【0143】
突出部251は、図34Aに示すように、検出センサ250のシート幅方向(左右方向)の両端部に設けられてもよい。センサ収容凹部229の両側部に取付孔253を形成し、左右端部の突出部251を取付孔253に刺して固定する。複数の突出部251により固定することで、より強固に検出センサ250をセンサ収容凹部229に固定することができる。
【0144】
また、図34Bに示すように、突出部251の代わりに、マットクリップ252を設けてもよい。マットクリップ252は検出センサ250の付け根のカプラー差込部分254に設けられる。マットクリップ252は樹脂製又は金属製のプレートであり、マットクリップ252を取り付けることによる剛性向上も期待できる。この場合も、センサ収容凹部229の両側にマットクリップ252の端部が挿入される取付孔253が形成される。
【0145】
なお、取付孔253は、突出部251又はマットクリップ252より大きくてもよい。取付孔253が大きい場合、突出部251又はマットクリップ252を刺しやすい。
取付孔253が突出部又はマットクリップより小さい場合は、刺しにくいもののガタつかず位置が決まりやすい。
【0146】
この取付孔253は、第2パッド部材212が発泡成形される際に同時に形成される。
なお、取付孔253はセンサ収容凹部229に形成されてなくてもよく、この場合、突出部251をセンサ収容凹部229の側部に直接刺すことにより検出センサ250を取り付ける。
【0147】
<成形用金型260>
図32を用いて、ハーネス掛止部233の形成方法について説明する。図32は、ハーネス掛止部233を形成する場合の型の構成を模式的に示す断面図である。ハーネス掛止部233を形成するとき、複数の成形用金型260の組み合わせにより形成するのがよく、図32に示すように、3種類の成形用金型260(第1金型260a~第3金型260c)を用いて形成するのが好ましい。
【0148】
より具体的には、第1金型260a及び第2金型260bを突き合わせることにより、貫通孔237を形成し、第1金型260aと第3金型260cにより、ハーネス掛止部233の突起部234を形成する。この場合、第1金型260aを下方に向かってその幅が細くなる形状とし、第2金型260b及び第3金型260cを上方に向かって幅が細くなるよう形成するのがよい。このように成形用金型260を形成することで、第1金型260a~第3金型260cの抜けやすさが向上する。
【0149】
また、第2金型260bと第3金型260cとは非一体であるのがよい。すなわち、第2金型260bと第3金型260cとを別部材とすることで、第2パッド部材212の形成後、第2金型260bと第3金型260cと別々に抜くことができる。別部材とすることで、製造が容易になると共に、突起部234の先端部まで発泡ポリプロピレン(EPP)が充填されやすくなる。
【0150】
<ハーネス取付用プレート241>
シートクッション201は、第2パッド部材212の上に第1パッド部材211を載せ、パッド210を形成した後、ハーネス240を配策してパッド210を表皮202で覆い、表皮202の端部を表皮引掛部220に引っ掛けることにより組み立てられる。
組み立てる際、表皮202の裏面にハーネス240が予め取り付けられると、ハーネス240を配策するのに便利である。
第三実施形態の表皮202の裏面には、図36に示すように樹脂製のハーネス取付用プレート241が設けられており、パッド210に取り付けるハーネス240を表皮202の裏面202cに固定することができる。
ハーネス取付用プレート241は、板状の取付部241aと、ハーネス240を保持すし取付部241aに接続する保持部241bと、を有する。
ハーネス取付用プレート241は、縫製により表皮202に固定される。これは一例であり、接着剤を用いてハーネス取付用プレート241を表皮202の裏面202cに固定してもよい。ハーネス240を表皮202の裏面202cに取り付けておくことにより、ハーネス240の配策と、表皮202の取付けを同時に行うことができ、組立工数の削減を図ることができる。
【0151】
<裏面材242>
第1パッド部材211の裏面211dには、図37に示すように、裏面材242が取り付けられてもよい。裏面材242は、第1パッド部材211が第2パッド部材212に組付けられたときに、第2パッド部材212の検出センサ250に当接する位置に設けられている。
裏面材242が、第1パッド部材211の裏面211dにおいて、検出センサ250に当接する位置に設けられることで、検出センサ250への荷重伝達がより良好になる。
【0152】
裏面材242は例えば伸縮性を有するシート材からなり、例えばポリ塩化ビニル樹脂からなる樹脂製シート材が使用される。裏面材242は、天然繊維や合成繊維からなる織布、編布、不織布などであってもよい。また、裏面材242は、接着剤等を用いて第1パッド部材211の裏面211dに取り付けられる。
【0153】
以上、第三実施形態について図を用いて説明した。なお、本発明の乗物用シートの一例として車両用シートを挙げ、その構成例について説明したが、本発明は、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物に搭載される車両用シートに限定されるものではなく、地上以外を移動する航空機や船舶などに搭載されるシートであってもよい。
【0154】
上記の第二実施形態について以下に付記する。
(付記1)
シートパッドと、
該シートパッドを被覆する表皮と、
該表皮に設けられ、前記シートパッドに対して係合又は係合解除可能な係合部材と、を備え、
前記係合部材は、前記シートパッドに挿入可能な挿入部を有することを特徴とする乗物用シート。
(付記2)
前記挿入部は、前記係合部材に複数設けられ、
複数の前記挿入部は、少なくとも前記係合部材の一方の端部に配置される第1挿入部と、前記一方の端部の反対側に位置する他方の端部に配置される第2挿入部と、を有することを特徴とする付記1に記載の乗物用シート。
(付記3)
前記挿入部は凸状に形成されていることを特徴とする付記1又は2に記載の乗物用シート。
(付記4)
前記係合部材は平板形状を有しており、
前記挿入部は、前記係合部材の端部から平面方向に突出していることを特徴とする付記3に記載の乗物用シート。
(付記5)
前記係合部材の前記シートパッド側に向けられる面には切れ込みが形成されていることを特徴とする付記4に記載の乗物用シート。
(付記6)
前記係合部材には、孔部又は切り欠き部が形成されていることを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
(付記7)
前記シートパッドには、前記係合部材と係合する凹部が形成されており、
前記凹部の内壁には、前記係合部材の前記挿入部が挿入される被挿入部が形成されていることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の乗物用シート。
(付記8)
前記凹部は、該凹部の開口部から底部に向かうに従って幅が広くなるように形成されていることを特徴とする付記7に記載の乗物用シート。
(付記9)
前記シートパッドには、前記凹部の周囲において、前記シートパッドより剛性の高い剛性部が設けられていることを特徴とする付記7又は8に記載の乗物用シート。
(付記10)
前記シートパッド及び前記表皮を有するシートバックと、
該シートバックの下端部と連結するシートクッションと、
該シートバックの上方側に設けられるヘッドレストと、
前記シートクッション及び前記シートバックの骨格を形成するシートフレームと、を備えることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の乗物用シート。
【符号の説明】
【0155】
<第一実施形態>
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートクッション
4 ヘッドレスト
5 シートクッションパッド(シートパッド)
10 第1パッド部材
11、11A 第2貫通孔
12 吊り込み溝
13 吊り込み用孔
14 膨出部
20 第2パッド部材
21、21B 第1貫通孔
22 開口部(第3貫通孔)
23、23A、23B 突出部
23a 先端部分
23b 根元部分
24 屈曲部
25 隆起部
26 ガイド溝
28 凹部
30 表皮
31 孔部(被係止部)
32 吊り込み部(被係止部)
41 第1パッド側型
42 第2パッド側型
<第二実施形態>
S 車両用シート(乗物用シート)
S1 シートクッション
S2 シートバック
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
101 クッションフレーム
102 バックフレーム
103 クッションサイドフレーム
104a パンフレーム
104b フロントパイプ
104c リアパイプ
105 スプリング
106a アッパーフレーム
106b ロアフレーム
106c ヘッドレストガイド
107 バックサイドフレーム
108 受圧プレート
109 クッションパッド(シートパッド)
110 バックパッド(シートパッド)
111、111A 凹部
111a 開口部
111b 底部
112 内壁
113 被挿入部
115 裏布(剛性部)
120 表皮
120a 表面
120b 裏面
121 表皮溝
122 連結部材
123 取付部材
130、130A~130F 係合部材
130a 上端
130b 下端
131、131A~131F 挿入部
131a 第1挿入部
131b 第2挿入部
132 切れ込み
133 切り欠き部
134 孔部
<第三実施形態>
SA 車両用シート
201 シートクッション
202 表皮
202a、202b 表皮ピース
202c 裏面
203 引掛孔
204 縫合線
205 縫い目
210 パッド
211 第1パッド部材
211a 吊り込み溝
211b 取付凹部
211c 開口部
211d 裏面
212 第2パッド部材
212a 上面
212b 取付凸部
212c アンカー通し部
220 表皮引掛部
221 支柱部
222 爪部
222a、222b 角
223 ブラケット
223a 挿入穴
224 クリップ
225 凹部
226 貫通孔
229 センサ収容凹部
230 収容溝
231 溝本体部
232 溝延出部
233 ハーネス掛止部
234 突起部
234a 上面
235、236 凹部
237 貫通孔
238 逃げ部(指入部)
240 ハーネス
241 ハーネス取付用プレート
241a 取付部
241b 保持部
242 裏面材
250 検出センサ
250a、250b 端部
251 突出部
252 マットクリップ
253 取付孔
254 カプラー差込部分
260 成形用金型
260a 第1金型
260b 第2金型
260c 第3金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35
図36
図37