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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】カメラシャッター構造
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20250116BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20250116BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20250116BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20250116BHJP
【FI】
G03B11/04 Z
G03B17/02
G03B19/07
H04N23/50
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024040285
(22)【出願日】2024-03-14
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀明
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/166955(WO,A1)
【文献】中国実用新案第201348707(CN,Y)
【文献】特許第7299550(JP,B1)
【文献】特開2022-176555(JP,A)
【文献】特開2020-201886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0208480(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0371406(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004068(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059510(US,A1)
【文献】ノートパソコンのWebカメラ機能とは | NotebookPC.jp,日本,2021年04月07日,URL:https://notebookpc.jp/archives/5055,令和6年7月25日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00-11/06
G03B 17/02
G03B 19/07
G03B 21/14
G03B 30/00
G06F 1/16
H04M 1/02
H04N 23/50-23/51
H04N 23/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向を向く表示面を有する表示部と、
前記第1の方向を向く前面と前記前面に形成された第1の撮像用孔第2の撮像用孔及び前記第1の撮像用孔と連通する篏合孔とを有し、前記表示面の周囲を囲う枠体と、
前記枠体の内部において前記第1の撮像用孔と位置合わせして配設され、前記第1の方向を撮像方向とする第1のカメラと、
前記枠体の内部において前記第2の撮像用孔と位置合わせして配設され、前記第1の方向を撮像方向とする第2のカメラと、
前記前面に取り付けられ、略平板状に形成され、前記第1の撮像用孔を塞ぐカメラパネルと、
を備える電子機器に配設されるカメラシャッター構造であって、
前記カメラパネルに対応する箇所に位置し前記篏合孔に嵌合するフックと、
前記フックを回転中心として前記第1の方向と交差する平面上において前記第1のカメラを前記第1の方向から覆う第1位置と前記第1のカメラを露出する第2位置との間で回転可能な遮光部と、
を備え、
前記第1のカメラは、前記枠体の延在方向において前記回転中心と前記第2のカメラとの間に配設され、
前記遮光部が前記第1位置及び前記第2位置に配置された場合において、前記遮光部は前記第2のカメラを前記第1の方向から覆わない、
カメラシャッター構造。
【請求項2】
前記電子機器は、前記枠体に配設され前記枠体の外部に向けて光を出射する光源を備え、
前記回転中心は、前記枠体の延在方向において前記第1のカメラと前記光源との間に配設され、
前記遮光部が前記第2位置に配置された場合において、前記遮光部は前記光源を前記第1の方向から覆わない、
請求項1に記載のカメラシャッター構造。
【請求項3】
前記遮光部は、前記枠体の外部に突出する突出部を有する、
請求項2に記載のカメラシャッター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、カメラシャッター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等のLCD(Liquid Crystal Display)を備える電子機器において、筐体の外部(例えば、電子機器を使用する使用者等)を撮像するカメラが知られている。カメラは、筐体に配設されるカメラシャッター構造によって、筐体外部に露出した状態と、筐体外部に露出していない状態とに切り替え可能となっているものがある。カメラシャッター構造は、カメラシャッターを筐体のカバーの延在方向にスライドすることによってカメラのレンズを覆う方式が広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7299550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラユニットには、RGBカメラのみが実装される一眼タイプと、RGBカメラとIRカメラが実装される二眼タイプがある。また、RGBカメラの近傍には、カメラの動作状態を示すLEDが実装されることが多い。一眼タイプのカメラユニットの場合、カメラシャッター構造は、一般に、RGBカメラに対してLEDが実装されていない側に配設される。一方、二眼タイプのカメラユニットの場合は、RGBカメラに隣接してIRカメラとLEDとが配設されるため、RGBカメラの近傍にカメラシャッター構造が実装されることが難しい。
【0005】
このため、二眼タイプのカメラユニットにカメラシャッター構造が実装される場合は、カメラシャッターを操作するつまみがRGBカメラに対してカバーの幅方向にオフセットした位置に配設されることがある。この構造の場合、つまみがRGBカメラに対してカバーの幅方向にオフセットした位置に配設されていない構造よりもカバーの額縁幅が大きくなる虞がある。
【0006】
本発明の一実施形態に係る目的は、カバーの額縁幅を大きくせずに電子機器に実装することができるカメラシャッター構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るカメラシャッター構造は、表示部と、枠体と、第1のカメラと、カメラパネルと、を備える電子機器に配設される。表示部は、第1の方向を向く表示面を有する。枠体は、第1の方向を向く前面と前面に形成された第1の撮像用孔とを有し、表示面の周囲を囲う。第1のカメラは、枠体の内部において第1の撮像用孔と位置合わせして配設され、第1の方向を撮像方向とする。カメラパネルは、前面に取り付けられ、略平板状に形成され、第1の撮像用孔を塞ぐ。カメラシャッター構造は、フックと、遮光部とを備える。フックは、カメラパネルに対応する箇所に位置し枠体に嵌合する。遮光部は、フックを回転中心として第1の方向と交差する平面上において第1のカメラを第1の方向から覆う第1位置と第1のカメラを露出する第2位置との間で回転可能である。
【0008】
前記カメラシャッター構造では、枠体は、前面に形成された第2の撮像用孔を有する。電子機器は、枠体の内部において第2の撮像用孔と位置合わせして配設され第1の方向を撮像方向とする第2のカメラを備える。第1のカメラは、枠体の延在方向において回転中心と第2のカメラとの間に配設される。遮光部が第1位置及び第2位置に配置された場合において、遮光部は第2のカメラを第1の方向から覆わない。
【0009】
前記カメラシャッター構造では、電子機器は、枠体に配設され枠体の外部に向けて光を出射する光源を備える。回転中心は、枠体の延在方向において第1のカメラと光源との間に配設される。遮光部が第2位置に配置された場合において、遮光部は光源を第1の方向から覆わない。
【0010】
前記カメラシャッター構造では、遮光部は、枠体の外部に突出する突出部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、カバーの額縁幅を大きくせずに電子機器に実装できるカメラシャッター構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態のカメラシャッター構造が実装された電子機器を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態の電子機器において、図1のF2部におけるカバーを拡大して示す正面図である。
図3図3は、本実施形態の電子機器において、図1のF3部を拡大して示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態のカメラシャッター構造が有する遮光板を示す斜視図である。
図5図5は、本実施形態の電子機器における図3のF5側から見たカバーおよび遮光板を示す斜視図である。
図6図6は、遮光板の回転範囲を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、カメラシャッター構造の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0014】
まず、本実施形態に係る電子機器1の概略と構造について説明する。図1は、本実施形態のカメラシャッター構造16が実装された電子機器1を示す斜視図である。図1に示す表示装置11が取り付けられた電子機器1は、例えば、LCD一体型のパーソナルコンピュータ(PC)である。電子機器1は、液晶画面である表示装置11と不図示のパソコン本体とが一体化された構造を筐体10の内部に有している。電子機器1は、配設されているRGBカメラによって筐体10の外部を撮像する機能、およびIRカメラによって顔認証を行う機能を実装している。
【0015】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。筐体10の短手方向をX軸方向とし、筐体10の長手方向をY軸方向とし、筐体10の厚さ方向をZ軸方向とする。X軸方向は上下方向とも称され得る。Y軸方向は左右方向とも称され得る。Z軸方向は前後方向とも称され得る。なお、本実施形態における前後左右上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、筐体10の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。また、+Z方向は第1の方向の一例である。
【0016】
電子機器1は、+Z方向を向く表示面11aを有する表示装置11と、表示面11aの周囲を囲うカバー12とを備える。表示装置11は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイのような画像を表示可能な装置である。表示装置11は、表示面11aに画像を表示可能である。表示面11aは、開口111を通して筐体10の外部へ露出される。表示面11aに、例えば、タッチパネルが設けられても良い。その場合、ユーザは、表示面11aへのタッチ操作により表示装置11を操作することができる。カバー12は、矩形枠状に形成されている。表示装置11は、表示部の一例である。カバー12は、枠体の一例である。
【0017】
図2は、本実施形態の電子機器1において、図1のF2部におけるカバー12を拡大して示す正面図である。図2に示されるように、カバー12の前面122には、第1の撮像用孔122a、第2の撮像用孔122b、フック孔122cおよび凹部122d1、122d2が形成されている。
【0018】
第1の撮像用孔122aは、筐体10の外部からカバー12に向かう光をカバー12の内部に入射させるための孔である。第1の撮像用孔122aは、略円形に形成されている。第1の撮像用孔122aは、Y軸方向におけるカバー12の中心付近に形成されている。第1の撮像用孔122aは、カバー12をZ軸方向に貫通している。
【0019】
第2の撮像用孔122bは、筐体10の外部からカバー12に向かう光をカバー12の内部に入射させるための孔である。第2の撮像用孔122bは、略円形に形成されている。第2の撮像用孔122bは、Y軸方向におけるカバー12の中心付近に形成されている。第2の撮像用孔122bは、カバー12をZ軸方向に貫通している。
【0020】
フック孔122cは、後述するフック1712をカバー12に配設するための孔である。フック孔122cは、略円形に形成されている。フック孔122cは、Y軸方向におけるカバー12の中心付近に形成されている。フック孔122cは、カバー12をZ軸方向に貫通している。
【0021】
第1の撮像用孔122a、第2の撮像用孔122bおよびフック孔122cは、Y軸方向において、+Y方向からフック孔122c、第1の撮像用孔122a、第2の撮像用孔122bの順に並んで形成されている。第1の撮像用孔122aとフック孔122cとは、互いに連通している。
【0022】
凹部122d1、122d2は、後述する遮光板171の凸部1711c1、1711c2と嵌合する部位である。凹部122d1は、第1の撮像用孔122aの-Y方向側において、-Y方向に窪んでいる。凹部122d2は、第1の撮像用孔122aの+Y方向側において、+Y方向に窪んでいる。凹部122d1、122d2は、Y軸方向において、第1の撮像用孔122aおよび第2の撮像用孔122bの中心と並ぶ位置に形成されている。
【0023】
図3は、本実施形態の電子機器1において、図1のF3部を拡大して示す斜視図である。図3に示されるように、カバー12の前面122には、カメラパネル13が取り付けられている。カメラパネル13は、前面122に取り付けられ、略平板状に形成され、第1の撮像用孔122aを塞いでいる。また、カメラパネル13は、第1の撮像用孔122a、第2の撮像用孔122bおよびフック孔122cを含む前面122の一部を+Z方向から覆っている。カメラパネル13は、Y軸方向に延在し、平板状の略矩形状に形成されている。カメラパネル13は、Y軸方向におけるカバー12の中心付近に配設されている。カメラパネル13は、筐体10の外部から内部へ向かう光を透過する。カメラパネル13は、ほこり等が筐体10の内部に入り込むことを防止する。
【0024】
カバー12の内部におけるカメラパネル13に対応する位置には、カメラユニット(不図示)が配設されている。カメラユニットには、RGBカメラ151、IRカメラ152、LED153、一対のマイク154が+Z方向に向かって配設されている。RGBカメラ151は、第1のカメラの一例である。IRカメラ152は、第2のカメラの一例である。なお、RGBカメラ151、IRカメラ152、LED153および一対のマイク154は、図3においてカメラユニットに配設される位置のみを図示している。
【0025】
RGBカメラ151は、筐体10の前方(+Z方向)を撮像する光学デバイスである。RGBカメラ151は、カバー12の内部において第1の撮像用孔122aと位置合わせして配設され、+Z方向を撮像方向としている。RGBカメラ151は、Y軸方向におけるカバー12の中心付近に配設されている。RGBカメラ151は、当該RGBカメラ151の撮像方向、すなわちRGBカメラ151のレンズ151aが向く方向が+Z方向となる向きで、カメラユニットに固定されている。
【0026】
IRカメラ152は、赤外線によって筐体10の前方(+Z方向)を撮像する光学デバイスである。IRカメラ152は、カバー12の内部において第2の撮像用孔122bと位置合わせして配設され、+Z方向を撮像方向としている。IRカメラ152は、Y軸方向におけるカバー12の中心付近に配設されている。IRカメラ152は、当該IRカメラ152の撮像方向、すなわちIRカメラ152のレンズ152aが向く方向が+Z方向となる向きで、カメラユニットに固定されている。
【0027】
LED153は、RGBカメラ151の起動状態を点灯または消灯によって通知する光源である。LED153は、カバー12に配設され、カバー12の外部に向けて光を出射する。LED153は、当該LED153が発する光の向きが+Z方向となる向きで、カメラユニットに実装され、カバー12の前面122に露出している。LED153は、光源の一例である。
【0028】
一対のマイク154は、たとえば、電子機器1の使用者が筐体10に向かって発する声を収音する。一対のマイク154は、Y軸方向において互いに離間している。マイク154は、当該マイク154が収音する方向が+Z方向となる向きで、カメラユニットに実装され、カバー12の前面122に露出している。カバー12の前面122において、一対のマイク154の間に、RGBカメラ151、IRカメラ152およびLED153が配設されている。
【0029】
カメラパネル13に対応する位置には、遮光板171が配設されている。遮光板171は、平板部1711と、カバー12に嵌合するフック1712とを有する。遮光板171は、フック1712を回転中心として、Z軸方向と交差する平面上においてRGBカメラ151を+Z方向から覆う第1位置とRGBカメラ151を露出する第2位置との間で回転可能である。フック1712(回転中心)は、カバー12の延在方向(Y軸方向)において、RGBカメラ151(第1の撮像用孔122a)とLED153との間に配設されている。フック1712の詳細については後述する。
【0030】
遮光板171は、たとえば、ポリプロピレンのような合成樹脂で作られる。これにより、遮光板171のうち厚みの薄い箇所は、外力に対して弾性変形することができる。
【0031】
図4は、本実施形態のカメラシャッター構造16が有する遮光板171を示す斜視図である。図4に示されるように、平板部1711は、Y軸方向に延在する略平板形状に形成されている。-Y軸方向における平板部1711の端部近傍は、略円形状に形成されている。
【0032】
平板部1711は、つまみ1711aと、一対の孔1711b1、1711b2と、凸部1711c1、1711c2とを有する。つまみ1711aは、電子機器1の使用者が遮光板171を第1位置171P1と第2位置171P2との間で回転させる場合に操作する部位である。つまみ1711aは、+Y軸方向における平板部1711の端部において半円弧形状に形成されている。つまみ1711aは、図3に示されるように、カバー12の外部に突出している。より詳細には、つまみ1711aは、カバー12の前面122とカメラパネル13との間の隙間からカバー12に対して+X方向に突出している。
【0033】
一対の孔1711b1、1711b2は、平板部1711の略円形状部分に形成される孔である。一対の孔1711b1、1711b2のそれぞれは、平板部1711が延在する方向に対して線対称の位置に形成されている。一対の孔1711b1、1711b2は、平板部1711の略円形状部分の外周面から略円形状部分の中心に向かって一定の距離離間した位置に形成されている。一対の孔1711b1、1711b2は、平板部1711の略円形状部分の外周面に沿った形状に形成されている。一対の孔1711b1、1711b2は、平板部1711をZ軸方向に貫通している。
【0034】
凸部1711c1、1711c2は、凹部122d1、122d2と嵌合する部位である。凸部1711c1、1711c2は、平板部1711の略円形状部分に形成されている。凸部1711c1、1711c2は、平板部1711の略円形状部分の外周面において、一対の孔1711b1、1711b2のそれぞれに対応する位置に形成されている。凸部1711c1、1711c2は、平板部1711の略円形状部分の中心から径方向外側に向かって突出している。
【0035】
図5は、本実施形態の電子機器1における図3のF5側から見たカバー12および遮光板171を示す斜視図である。遮光板171が有するフック1712は、遮光板171がカバー12に対して回転する場合の回転中心となる部位である。フック1712は、カメラパネル13に対応する箇所に位置している。フック1712は、Z軸方向に延びる略円筒形状に形成されている。図5に示されるように、フック1712は、カバー12のフック孔122cにXY平面上で回転可能に嵌合しており、Z軸方向においてカバー12に対して固定されている。RGBカメラ151は、カバー12の延在方向において、フック1712(回転中心)とIRカメラ152との間に配設されている。
【0036】
(遮光板の回転)
次に、図6を参照して、カメラシャッター構造16における遮光板171の回転について説明する。図6は、遮光板171の回転範囲を示す正面図である。図6における矢印で示されるように、遮光板171は、フック1712を回転中心として、Z軸方向と交差する平面上においてRGBカメラ151を+Z方向から覆う第1位置171P1とRGBカメラ151を露出する第2位置171P2との間で回転可能である。
【0037】
遮光板171が第1位置171P1に位置するとき、遮光板171はRGBカメラ151を+Z方向から覆っている。また、凸部1711c1は、凹部122d1と嵌合する。これにより、遮光板171が第1位置171P1に位置するときに、当該遮光板171がフック1712を中心として回転することが抑制される。
【0038】
遮光板171が第1位置171P1に位置し、電子機器1の使用者が遮光板171を第2位置171P2へ回転させてRGBカメラ151を使用する場合、電子機器1の使用者は、つまみ1711aを-Y方向へ押し込む。すると、遮光板171には、フック1712を中心として時計回り方向に回転しようとする力が働く。このとき、凹部122d1と嵌合している凸部1711c1が、カバー12に対して押し込まれ、その反作用として孔1711b1に向かう力が凸部1711c1に働く。そして、凸部1711c1は、孔1711b1に向かって弾性変形しつつ、時計回り方向に回転する。このようにして、遮光板171は、第1位置171P1から第2位置171P2へ向かって回転する。回転している遮光板171が第2位置171P2へ近づくと、凸部1711c2はカバー12に対して押し込まれ、孔1711b2に向かって弾性変形する。
【0039】
第1位置171P1から第2位置171P2へ向かって回転する遮光板171が第2位置171P2に到達すると、弾性変形している凸部1711c2は、応力を開放して凹部122d2と嵌合する。これにより、遮光板171がフック1712を中心として回転することが抑制される。このようにして、遮光板171は第1位置171P1から第2位置171P2へ回転し、RGBカメラ151を露出する。遮光板171が第1位置171P1及び第2位置171P2に配置された場合において、遮光板171はIRカメラ152を+Z方向から覆わない。また、遮光板171が第2位置171P2に配置された場合において、遮光板171はLED153を+Z方向から覆わない。なお、遮光板171が第2位置171P2から第1位置171P1へ回転してRGBカメラ151を+Z方向から覆う場合は、上述の工程と逆の工程で回転する。
【0040】
以上の実施形態において、カメラシャッター構造16は、表示装置11と、カバー12と、RGBカメラ151と、カメラパネル13と、を備える電子機器1に配設される。表示装置11は、+Z方向を向く表示面11aを有する。カバー12は、+Z方向を向く前面122と前面122に形成された第1の撮像用孔122aとを有し、表示面11aの周囲を囲う。RGBカメラ151は、カバー12の内部において第1の撮像用孔122aと位置合わせして配設され、+Z方向を撮像方向とする。カメラパネル13は、前面122に取り付けられ、略平板状に形成され、第1の撮像用孔122aを塞ぐ。カメラシャッター構造16は、フック1712と、遮光板171とを備える。フック1712は、カメラパネル13に対応する箇所に位置しカバー12に嵌合する。遮光板171は、フック1712を回転中心としてZ軸方向と交差する平面上においてRGBカメラ151を+Z方向から覆う第1位置171P1とRGBカメラ151を露出する第2位置171P2との間で回転可能である。
【0041】
上述の構成において、遮光板171は、カバー12に嵌合するフック1712を有し、フック1712を回転中心としてRGBカメラ151を+Z方向から覆う第1位置171P1とRGBカメラ151を露出する第2位置171P2との間で回転可能である。フック1712が第1位置171P1に位置するとき、RGBカメラ151の撮像方向は、フック1712によって覆われる。すなわち、遮光板171は、カメラシャッターの機能を備える。
【0042】
遮光板171におけるフック1712以外の箇所は、カバー12に対して回転するため、カバー12に対して固定されていない。また、フック1712は、カバーに取り付けられているカメラパネル13に対応する箇所に位置しており、カバー12の内側に収まっている。すなわち、遮光板171は、カバー12に対して回転する箇所であるフック1712以外の箇所がカメラパネル13(カバー12)から突出していても、第1位置171P1と第2位置171P2との間で回転し、RGBカメラ151を+Z方向から覆うことができる。
【0043】
本実施形態における電子機器1は、遮光板171におけるフック1712以外の箇所の一部がカメラパネル13(カバー12)から突出している構造である。換言すると、カバー12の額縁幅は、遮光板171の回転領域を含むカバー12の幅よりも小さい。すなわち、カメラシャッター構造16は、カバー12の額縁幅を大きくせずに遮光板171を備えることができ、ひいてはカバー12の額縁幅を大きくせずに電子機器1に実装されることが可能である。
【0044】
また、本実施形態において、カバー12は、前面122に形成された第2の撮像用孔122bを有する。電子機器1は、カバー12の内部において第2の撮像用孔122bと位置合わせして配設され+Z方向を撮像方向とするIRカメラ152を備える。RGBカメラ151は、カバー12の延在方向において回転中心(フック1712)とIRカメラ152との間に配設される。遮光板171が第1位置171P1及び第2位置171P2に配置された場合において、遮光板171はIRカメラ152を+Z方向から覆わない。
【0045】
一般に、電子機器にRGBカメラとIRカメラとが実装される場合、RGBカメラおよびIRカメラは、カバーの延在方向に隣接して並べられる。このため、本実施形態において電子機器1に遮光板171が実装される場合、遮光板171がRGBカメラ151を覆う第1位置171P1及び遮光板171がRGBカメラ151を露出する第2位置171P2に位置するときに、IRカメラ152が遮光板171によって+Z方向から覆われる虞がある。一方、本実施形態の電子機器1において、RGBカメラ151は、カバー12の延在方向において遮光板171の回転中心とIRカメラ152との間に配設される。また、第1位置171P1及び第2位置171P2において、遮光板171はIRカメラ152を+Z方向から覆わない。このため、IRカメラ152は、遮光板171に干渉されずに電子機器1に実装されることが可能である。
【0046】
また、本実施形態において、電子機器1は、カバー12に配設されカバー12の外部に向けて光を出射するLED153を備える。回転中心(フック1712)は、カバー12の延在方向においてRGBカメラ151とLED153との間に配設される。遮光板171が第2位置171P2に配置された場合において、遮光板171はLED153を+Z方向から覆わない。
【0047】
一般に、電子機器にRGBカメラとIRカメラとLEDとが実装される場合、カメラシャッター部およびLEDはRGBカメラに対してIRカメラの反対側に隣接して配設される。このため、本実施形態において、遮光板171が第2位置171P2に位置するときに、LED153が遮光板171によって+Z方向から覆われる虞がある。一方、本実施形態の電子機器1において、遮光板171の回転中心(フック1712)は、カバー12の延在方向においてRGBカメラ151とLED153との間に配設される。また、第2位置171P2において、遮光板171はLED153を+Z方向から覆わない。このため、LED153は、遮光板171に干渉されずに電子機器1に実装されることが可能である。
【0048】
また、本実施形態において、遮光板171は、カバー12の外部に突出するつまみ1711aを有する。
【0049】
上述の構成において、遮光板171は、カバー12の外部に突出するつまみ1711aを有する。また、遮光板171は、フック1712を回転中心として回転するため、フック1712以外の部分は、つまみ1711aを含めカバー12に対して固定されていない。この構造により、電子機器1の使用者は、遮光板171のつまみ1711aを操作して遮光板171を回転させることによって、遮光板171の位置をRGBカメラ151を+Z方向から覆う第1位置171P1とRGBカメラ151を露出する第2位置171P2との間で容易に切り替えることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子機器
11 表示装置
11a 表示面
12 カバー
13 カメラパネル
16 カメラシャッター構造
122 前面
122a 第1の撮像用孔
122b 第2の撮像用孔
151 RGBカメラ
152 IRカメラ
153 LED
171 遮光板
171P1 第1位置
171P2 第2位置
1711a つまみ
1712 フック
【要約】
【課題】カバーの額縁幅を大きくせずに電子機器に実装することができるカメラシャッター構造を提供する。
【解決手段】実施形態のカメラシャッター構造は、表示部と、枠体と、第1のカメラと、カメラパネルと、を備える電子機器に配設される。表示部は、第1の方向を向く表示面を有する。枠体は、第1の方向を向く前面と前面に形成された第1の撮像用孔とを有し、表示面の周囲を囲う。第1のカメラは、枠体の内部において第1の撮像用孔と位置合わせして配設され、第1の方向を撮像方向とする。カメラパネルは、前面に取り付けられ、略平板状に形成され、第1の撮像用孔を塞ぐ。カメラシャッター構造は、フックと、遮光部とを備える。フックは、カメラパネルに対応する箇所に位置し枠体に勘合する。遮光部は、フックを回転中心として第1の方向と交差する平面上において第1のカメラを第1の方向から覆う第1位置と第1のカメラを露出する第2位置との間で回転可能である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6