(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250116BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250116BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20250116BHJP
B60W 30/12 20200101ALI20250116BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20250116BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 V
B60W40/08
B60W30/12
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2022032467
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 昌克
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-112981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0221364(US,A1)
【文献】特開2008-018835(JP,A)
【文献】特開2013-077153(JP,A)
【文献】特開2008-037218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0031297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 40/08
B60W 30/12
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の物標に関する情報、及び自車両の走行状態に関する情報を出力する車載センサと、
前記車載センサから取得した情報に基づいて、自車両が走行している車線から逸脱することが抑制されるように自車両の警報装置、駆動装置、制動装置及び操舵装置のうちの少なくとも1つの装置を制御する車線逸脱抑制機能、及び運転者に異常が生じている場合に自車両を停止させる緊急停止機能のうちの少なくとも1つの機能を含むリスク低減機能を備えた制御装置と、
前記リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とを切り替える切り替え装置と、
を備えた車両制御システムであって、
前記制御装置は、
自車両の加速度の大きさが通常走行時に生じ得る加速度の範囲を超える所定の範囲内である場合に自車両が物体に軽衝突したと判定し、
前記リスク低減機能が前記切り替え装置により無効化されている状態で自車両が物体に
軽衝突したと判定した場合に、前記リスク低減機能を強制的に有効化するように構成された、車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御装置は、自車両の加速度の大きさが通常走行時に生じ得る加速度の範囲を超える所定の範囲内であり、且つ自車両の加速度の大きさが前記所定の範囲の下限値を超えた時点から所定時間内の加速度の大きさの積分値が閾値を超えた場合に、自車両が物体に軽衝突したと判定する、車両制御システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両制御システムにおいて、
前記切り替え装置は、前記車線逸脱抑制機能が有効化された状態と無効化された状態とを手動で切り替えるための第1操作子と、前記緊急停止機能が有効化された状態と無効化された状態とを手動で切り替えるための第2操作子と、を含み、
前記制御装置は、前記車線逸脱抑制機能及び前記緊急停止機能のうちの少なくともいずれか一方の機能が手動で無効化されている状態で自車両が車線を逸脱して物体に衝突した場合に、前記手動で無効化されていた機能を強制的に有効化する、車両制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1つに記載の車両制御システムにおいて、
前記リスク低減機能は、前記緊急停止機能を含み、
前記制御装置は、前記リスク低減機能を強制的に有効化した時点から、前記緊急停止機能による自車両の制動が開始されるまでに自車両の速度が閾値を超える場合、運転者に異常が生じているか否かに関わらず、自車両が即座に停止するように前記制動装置を制御する、車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の安全性を向上させる機能を有する車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の安全性を向上させる機能(以下、「リスク低減機能」と称呼する。)を有する車両制御システム(以下、「従来システム」と称呼する。)が知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。この従来システムのリスク低減機能は、自車両が車線の幅方向における中央部から端部側(右端側又は左端側)へ偏った場合に、所定の警告音を再生する機能、自車両が車線の幅方向における中央部側に戻るようにステアリング装置、駆動装置、制動装置などを制御(自動操舵、自動制動)する機能(以下、これらの機能を「車線逸脱抑制機能」と称呼する。)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
ところで、上記のようなリスク低減機能を備えた車両制御システムにおいて、当該リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とを、運転者が手動で切り替え可能に構成される場合がある。この場合、リスク低減機能が手動で無効化された状態では、自車両が安全上好ましくない状況に陥ったとしても、警告音の再生、自動操舵、自動制動などが実行されない。
【0005】
本発明の目的の一つは、車両の安全性を向上させることができる車両制御システムを提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両制御システム(1)は、
自車両の周囲の物標に関する情報、及び自車両の走行状態に関する情報を出力する車載センサ(20)と、
前記車載センサから取得した情報に基づいて、自車両が走行している車線から逸脱することが抑制されるように自車両の警報装置(24)、駆動装置(30)、制動装置(40)及び操舵装置(60)のうちの少なくとも1つの装置を制御する車線逸脱抑制機能、及び運転者に異常が生じている場合に自車両を停止させる緊急停止機能のうちの少なくとも1つの機能を含むリスク低減機能を備えた制御装置(10)と、
前記リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とを切り替えるための切り替え装置(2b)と、
を備える。
前記制御装置は、
自車両の加速度の大きさが通常走行時に生じ得る加速度の範囲を超える所定の範囲内である場合に自車両が物体に軽衝突したと判定し、
前記リスク低減機能が前記切り替え装置により無効化されている状態で自車両が物体に軽衝突したと判定した場合に、前記リスク低減機能を強制的に有効化する。
【0007】
ここで、切り替え装置は、例えば、運転者(又は乗員)が手動操作可能なスイッチ装置である。また、切り替え装置は、例えば、運転者により意図的に車線変更が実行されたことを検知した場合に、車線逸脱抑制機能を自動的に無効化する装置、運転者に異常が生じていることを検出した場合に、車線逸脱抑制機能を自動的に有効化する装置などを含む。
【0008】
上述した車両制御システムが搭載された車両において、切り替え装置により、リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とが切り替えられるる。リスク低減機能が無効化された状態で、例えば、自車両が車線を逸脱して物体に衝突すると、リスク低減機能が強制的に有効化される。これにより、例えば、リスク低減機能が車線逸脱抑制機能を含む場合には、運転者が自車両を運転操作することが困難になっている状況において、制御装置により運転操作が支援される。また、例えば、リスク低減機能が緊急停止機能を含む場合には、運転者が自車両を運転操作することができなくなっている状況において、制御装置が自車両を停止させる。したがって、本発明に係る車両制御システムによれば、従来システムに比べて、車両の安全性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る車両制御システムにおいて、
前記制御装置は、自車両の加速度(G)の大きさが通常走行時に生じ得る加速度の範囲を超える所定の範囲(GA)内であり、且つ自車両の加速度の大きさが前記所定の範囲の下限値を超えた時点から所定時間内の加速度の大きさの積分値が閾値を超えた場合に、自車両が物体に軽衝突したと判定する。
【0010】
これによれば、自車両が物体に比較的軽く衝突した状況(例えば、エアバッグ装置が作動しない程度の衝突)において、リスク低減機能を強制的に有効化できる。
【0011】
また、本発明の他の態様に係る車両制御システムにおいて、
前記切り替え装置は、前記車線逸脱抑制機能が有効化された状態と無効化された状態とを手動で切り替えるための第1操作子(2b1)と、前記緊急停止機能が有効化された状態と無効化された状態とを手動で切り替えるための第2操作子(2b2)と、を含み、
前記制御装置は、前記車線逸脱抑制機能及び前記緊急停止機能のうちの少なくともいずれか一方の機能が手動で無効化されている状態で自車両が車線を逸脱して物体に衝突した場合に、前記手動で無効化されていた機能を強制的に有効化する。
【0012】
これによれば、運転者は、好みに応じて、リスク低減機能のうちの一部の機能を有効化し、その他の機能を無効化しておくことができる。
【0013】
また、本発明の他の態様に係る車両制御システムにおいて、
前記リスク低減機能は、前記緊急停止機能を含み、
前記制御装置は、前記リスク低減機能を強制的に有効化した時点から、前記緊急停止機能による自車両の制動が開始されるまでに自車両の速度が閾値を超える場合、運転者に異常が生じているか否かに関わらず自車両が即座に停止するように前記制動装置を制御する。
【0014】
これによれば、例えば、自車両が比較的高速で物体に衝突した場合に、自車両を即座に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、車両が車線の幅方向における中央部から少し左側へ偏った場面を示す平面図である。
【
図3】
図3は、自車両が車線を逸脱して物体に軽衝突した際の各種制御の実行過程を示すタイムチャートである。
【
図4】
図4は、第1のプログラム(車線逸脱抑制機能)のフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2のプログラム(緊急停止機能)のフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3のプログラム(強制アクティベーション機能)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(構成の概略)
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る車両制御システム1は、車両V(以下、「自車両」と称呼される場合もある。)に搭載される。車両制御システム1は、詳しくは後述するように、自車両の安全性を向上させるリスク低減機能を有する。リスク低減機能は、上記従来システムと同様の車線逸脱抑制機能に加え、運転者に異常が生じている場合に自車両を即座に停止させる緊急停止機能を含む。運転者は、リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とを、手動で切り替えることができる。さらに、車両制御システム1は、所定の条件が成立した場合にリスク低減機能を強制的に有効化する強制アクティベーション機能を有する。
【0017】
(具体的構成)
図1に示したように、車両制御システム1は、運転支援ECU10、車載センサ20、駆動装置30、制動装置40、シフト切替装置50及びステアリング装置60を備えている。
【0018】
運転支援ECU10は、CPU10a、ROM10b、RAM10cなどを備えたマイクロコンピュータを含む。なお、本明細書において、「ECU」は電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味し、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータを含む。CPUはROMに格納されたインストラクションを実行することにより各種機能を実現する。さらに、運転支援ECU10は、無線通信回線を介してサーバーコンピュータとの間で情報を送受信する通信機10dを備える。加えて、運転支援ECU10は、時間を計測するタイマー10eを備える。
【0019】
運転支援ECU10は、CAN(Controller Area Network)を介して、他のECU(後述するエンジンECU31、ブレーキECU41、SBW・ECU51及びEPS・ECU61)と相互に情報を送受信可能に接続されている。
【0020】
車載センサ20は、車両Vの周囲に存在する立体物についての情報及び車両Vの周囲の路面の区画線についての情報を含む車両周辺情報を取得するセンサを含む。すなわち、例えば、車載センサ20は、自動車(他車両)、歩行者及び自転車などの移動物、並びに、路面の白線、ガードレール、信号機などの固定物に関する情報を取得するセンサを含む。
【0021】
具体的には、車載センサ20は、レーダセンサ21、超音波センサ22、カメラ23、及びナビゲーションシステム24を含む。
【0022】
レーダセンサ21は、レーダ送受信部と信号処理部(図示略)とを備えている。レーダ送受信部が、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を車両の周辺領域に放射し、放射範囲内に存在する立体物によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、車両Vと立体物との距離、車両Vと立体物との相対速度、車両Vに対する立体物の相対位置(方向)等を演算して、運転支援ECU10に送信する。
【0023】
超音波センサ22は、超音波をパルス状に車両の周囲の所定の範囲に送信し、立体物によって反射された反射波を受信する。超音波センサ22は、超音波の送信から反射波の受信までの時間に基づいて、「送信した超音波が反射された立体物上の点である反射点」及び「超音波センサと立体物との距離」等を演算して、運転支援ECU10に送信する。
【0024】
カメラ23は、撮像装置及び画像解析装置を含む。撮像装置は、例えば、CCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像装置は、フロントウインドシールドガラスの上部に配設されている。撮像装置は、所定のフレームレートで車両の前景を撮影して得られた画像データを、画像解析装置に出力する。画像解析装置は、取得した画像データを解析して、その画像から車両Vの前方に位置する物標に関する情報を取得する。画像解析装置は、例えば、道路の白線(区画線、停止線など)を認識し、その認識結果を、運転支援ECU10に送信する。
【0025】
ナビゲーションシステム24は、複数の人工衛星からGPS信号を受信し、前記受信した複数のGPS信号に基づいて、車両Vの現在地(緯度及び経度)を検出する。また、ナビゲーションシステム24は、地図を表す地図データを記憶している。ナビゲーションシステム24は、前記検出した現在地を表す車両位置データを、運転支援ECU10に送信する。
【0026】
車載センサ20は、さらに、車両Vの走行状態(速度、加速度)に関する情報、及び車両Vが備える操作子の操作態様に関する情報を取得するセンサを含む。
【0027】
具体的には、車載センサ20は、速度センサ25、加速度センサ26、アクセルペダルセンサ27、ブレーキペダルセンサ28、シフトレバーセンサ29、ステアリングセンサ2a、及びスイッチ2bを含む。
【0028】
速度センサ25は、自車両の車輪が所定角度回転する毎に一つのパルス信号(車輪パルス信号)を発生させる車輪速センサを含む。速度センサ25は、車輪速センサから送信されてくる車輪パルス信号の単位時間におけるパルス数を計測し、その計測したパルス数に基づいて各車輪の回転速度(車輪速度)を演算し、各車輪の車輪速度に基づいて自車両の速度vs(実車速)を演算する。速度センサ25は、速度vsを表すデータを運転支援ECU10に送信する。
【0029】
加速度センサ26は、車両Vの加速度G(例えば、車両Vの車幅方向の加速度、前後方向の加速度など)を検出する。加速度センサ26は、加速度Gを表すデータを運転支援ECU10に送信する。
【0030】
アクセルペダルセンサ27は、車両Vのアクセルペダル(不図示)の踏み込み深さADを検出する。アクセルペダルセンサ27は、アクセルペダルの踏み込み深さADを表すデータを運転支援ECU10に送信する。
【0031】
ブレーキペダルセンサ28は、車両Vのブレーキペダル(不図示)の踏み込み深さBDを検出する。ブレーキペダルセンサ28は、踏み込み深さBDを表すデータを運転支援ECU10に送信する。
【0032】
シフトレバーセンサ29は、車両Vのシフトレバー(不図示)のポジション(シフトレバーポジションSP)を検出する。シフトレバーセンサ29は、シフトレバーポジションSPを表すデータを運転支援ECU10に送信する。
【0033】
ステアリングセンサ2aは、ステアリングホイールの操舵角(舵角又は転舵角とも称呼される)θを検出する。ステアリングセンサ2aは、検出した操舵角θを表すデータを運転支援ECU10に送信する。
【0034】
スイッチ2bは、リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とを運転者が切り替える場合に操作する操作子(例えば、押しボタン式スイッチ操作子)である。リスク低減機能が無効化されている期間に運転者がスイッチ2bを操作した場合(ボタンを押した場合)、スイッチ2bは「運転者がリスク低減機能の有効化を要求していること」を表す有効化信号を運転支援ECU10に送信する。運転支援ECU10は、有効化信号を受信すると、フラグFを「1」に設定する。更に、リスク低減機能が有効化されている期間に運転者がスイッチ2bを操作した場合、スイッチ2bは「運転者がリスク低減機能の無効化を要求していること」を表す無効化信号を運転支援ECU10に送信する。運転支援ECU10は、無効化信号を受信すると、フラグFを「0」に設定する。
【0035】
駆動装置30は、駆動力を発生させ、当該駆動力を車輪(左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪)のうちの駆動輪に付与する。駆動装置30は、エンジンECU31、エンジンアクチュエータ32、内燃機関33、変速機34、駆動力を車輪に伝達する図示しない駆動力伝達機構などを含む。エンジンECU31は、エンジンアクチュエータ32に接続されている。エンジンアクチュエータ32は、内燃機関33のスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU31は、運転支援ECU10からアクセルペダルの踏み込み深さADを取得する。なお、運転支援ECU10は、アクセルペダルセンサ27から取得した踏み込み深さADを適宜修正して、エンジンECU31へ送信可能である。エンジンECU31は、運転支援ECU10から取得した踏み込み深さADに応じて、エンジンアクチュエータ32を駆動する。このようにして、内燃機関33が発生するトルクが制御される。内燃機関33が発生するトルクは、変速機34及び駆動力伝達機構(例えば、ドライブシャフト)を介して駆動輪に伝達されるようになっている。
【0036】
なお、車両制御システム1が適用される車両Vが、ハイブリッド車両(HEV)である場合、エンジンECU31は、車両駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する車両の駆動力を制御することができる。また、車両制御システム1が適用される車両Vが電気車両(BEV)である場合、エンジンECU31に代えて、車両駆動源としての「電動機」によって発生する車両の駆動力を制御する電動機ECUを用いればよい。
【0037】
制動装置40は、車輪に対して制動力を付与する。制動装置40は、ブレーキECU41、油圧回路42及びブレーキキャリパ43を含む。油圧回路42は、図示しないリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置、油圧センサなどを含む。ブレーキキャリパ43は、シリンダ及びピストンを備えた油圧式アクチュエータである。シリンダにオイルが供給されるとピストンがシリンダから押し出される。ピストンの先端に、ブレーキパッドが設けられており、このブレーキパッドがブレーキディスクへ押し当てられる。ブレーキECU41は、運転支援ECU10からブレーキペダルの踏み込み深さBDを取得する。なお、運転支援ECU10は、ブレーキペダルセンサ28から取得した踏み込み深さBDを適宜修正して、ブレーキECU41へ送信可能である。ブレーキECU41は、運転支援ECU10から取得した踏み込み深さBDに応じて、油圧回路42に油圧制御指令を送信する。油圧回路42は、ブレーキECU41から取得した油圧制御指令に応じてブレーキキャリパ43のシリンダ内の油圧を調整する。このようにして、ブレーキキャリパ43による車輪(ブレーキディスク)の制動力が制御される。
【0038】
シフト切替装置50は、変速機34のシフトポジションを切替える。シフト切替装置50は、SBW(Shift-by-Wire)・ECU51、SBWアクチュエータ52、シフト切替機構53などを含む。SBW・ECU51は、SBWアクチュエータ52に接続されている。SBW・ECU51は、運転支援ECU10からシフトレバーポジションSPを取得する。なお、運転支援ECU10は、シフトレバーセンサ29から取得したシフトレバーポジションSPを適宜修正して、SBW・ECU51へ送信可能である。SBW・ECU51は、運転支援ECU10から取得したシフトレバーポジションSPに応じて、SBWアクチュエータ52にシフト切り替え指令を送信する。SBWアクチュエータ52は、SBW・ECU51から取得したシフト切り替え指令に応じてシフト切替機構53を制御する。このようにして、変速機34のシフトポジションが切り替えられる。
【0039】
ステアリング装置60は、操舵輪(左前輪及び右前輪)の操舵角を制御する。ステアリング装置60は、電動パワーステアリングECU(以下、「EPS・ECU」と称呼する。)61、アシストモーター62、及びステアリング機構63を含む。EPS・ECU61は、アシストモーター62(アシストモーター62の駆動回路)に接続されている。アシストモーター62は、ステアリング機構63に組み込まれている。ステアリング機構63は、操舵輪を転舵するための機構である。ステアリング機構63は、ステアリングホイールSW、ステアリングシャフトUS、及び、図示しない操舵用ギア機構等を含む。EPS・ECU61は、運転支援ECU10から操舵角θを取得する。なお、運転支援ECU10は、ステアリングセンサ2aから取得した操舵角θを適宜修正して、EPS・ECU61へ送信可能である。EPS・ECU61は、運転支援ECU10から取得した操舵角θに応じて、EPS・ECU61に操舵指令を送信可能である。EPS・ECU61は、運転支援ECU10から操舵指令を受信した場合には、当該操舵指令に基づいてアシストモーター62を駆動する。このようにして、車両Vの操舵輪の舵角(即ち、操舵角)が制御される。
【0040】
(車線逸脱抑制機能)
つぎに、車両制御システム1の車線逸脱抑制機能(LTA)について説明する。リスク低減機能が有効化されている状況(F=1)において、運転支援ECU10は、レーダセンサ21、超音波センサ22及びカメラ23から取得した情報に基づいて、目標走行ラインLdを演算する。目標走行ラインLdは、
図2に示したように、車両Vが走行している車線の右側の白線RL(又は縁石、分離帯など)と左側の白線LL(縁石、分離帯など)との中央位置にて、白線RL及び白線LLに対して略平行に延びる線である。つぎに、運転支援ECU10は、自車両の前端中央位置CLと目標走行ラインLdとのずれ(車線の幅方向右側又は左側へのずれ(以下、「オフセット値OFS」と称呼する。))を演算する。
【0041】
そして、運転支援ECU10は、オフセット値OFS(絶対値)が閾値OFSthを超えている状況において、運転者に対し、所定の警報を発する。具体的には、運転支援ECU10は、ナビゲーションシステム24の音響装置に、所定の警告音を再生させる。さらに、運転支援ECU10は、オフセット値OFSが「0」に一致するように、ステアリング装置60、並びに駆動装置30及び制動装置40を制御する。以下、自車両が車線を逸脱することを抑制するための制御(警報/操舵/加減速)を「車線逸脱抑制制御」と称呼する。
【0042】
(緊急停止機能)
つぎに、車両制御システム1の緊急停止機能(EDSS)について説明する。リスク低減機能が有効化されている状況(F=1)において、運転支援ECU10は、所定の短時間内に各操作子が操作された量(操作子のセンサの出力値の変化)を監視している。すなわち、運転支援ECU10は、アクセルペダルの踏み込み深さAD、ブレーキペダルの踏み込み深さBD、ステアリングホイールの操舵角θなどを逐次取得する。すべての操作子の操作量が変化しない状態が継続した時間が閾値t1を超えると、運転支援ECU10は、所定の警報を発する。さらに、運転支援ECU10は、警報を発した時点から、すべての操作子の操作量が変化しない状態が継続した時間が閾値t2を超えると、運転支援ECU10は、制動装置40、ステアリング装置60などを制御して、自車両を停止させる。さらに、運転支援ECU10は、自車両を停止させた時点から、すべての操作子の操作量が変化しない状態が継続した時間が閾値t3を超えると、無線通信回線を介して、所定のサーバーコンピュータに通報(例えば、自車両の位置情報(緯度及び経度)を送信)する。
【0043】
(強制アクティベーション機能)
つぎに、車両制御システム1の強制アクティベーション機能について説明する。運転支援ECU10は、
図3に示したように、リスク低減機能が無効化されている状態(F=0)において、車載センサ20から取得した情報に基づいて、自車両が走行している車線(走行時間が所定時間以上である車線)を逸脱して、例えばガードレール等の物体に軽衝突した(エアバッグ装置が作動しない程度の軽い衝突が生じた)ことを検知すると、リスク低減機能を強制的に有効化(F=1)する。すなわち、運転支援ECU10は、スイッチ2bが操作されなくても、フラグFの値を「0」から「1」へ切り替える(強制アクティベート)。ここで、運転支援ECU10は、例えば、下記の条件Xが成立する場合に、自車両が物体に軽衝突したと判定する。
(条件X)
・加速度Gの大きさが所定の範囲GA内であり、且つ加速度Gの大きさが範囲GAの下限値(>0)を超えた時点から所定時間内の加速度Gの大きさの積分値が閾値を超えた
なお、範囲GAは、通常の運転状態(急減速(前G)、急加速(後G)、急旋回(横G)、路面振動(縦G))において生じる加速度よりも大きく、且つ軽衝突とみなせる加速度の範囲として予め定められる。
【0044】
さらに、運転支援ECU10は、リスク低減機能を強制的に有効化すると、速度センサ25から速度vsを取得する。そして、その速度vsが閾値vsthを超える場合(つまり、自車両が比較的高速で物体に衝突した場合)、運転支援ECU10は、自車両が即座に停止するように制動装置40、ステアリング装置60などを制御する。つまり、この場合、運転支援ECU10は、運転者が操作子を操作しているか否かに関わらず、自車両を強制的に停止させる(強制停止機能)。この強制停止機能の優先度は、車線逸脱抑制機能及び緊急停止機能よりも高い。
【0045】
なお、加速度Gが範囲GAの上限値を超える場合(自車両に作用した衝撃が非常に大きい場合)には、運転支援ECU10(又は他のECU)は、自車両が即座に停止するように制動装置40、ステアリング装置60などを制御する。
【0046】
つぎに、
図4乃至
図6を参照して、運転支援ECU10のCPU10a(以下、単に「CPU」と称呼する。)の動作(上記の「車線逸脱抑制機能」、「緊急停止機能」及び「強制アクティベーション機能」をそれぞれ実現するプログラムP1,P2,P3)を具体的に説明する。自車両のエンジンが動作している間(イグニッションスイッチがオン状態にあるとき)、CPUは、所定の周期で、当該プログラムP1,P2,P3を実行する。
【0047】
(プログラムP1)
CPUは、ステップ100からプログラムP1の実行を開始し、ステップ101に進む。
【0048】
CPUは、ステップ101に進むと、リスク低減機能が有効化されているか否か(フラグFが「1」であるか否か)を判定する。リスク低減機能が有効化されている場合(101:Yes)、CPUは、ステップ102に進む。一方、リスク低減機能が無効化されている場合(101:No)、CPUは、ステップ105に進み、プログラムP1の実行を終了する。
【0049】
CPUは、ステップ102に進むと、オフセット値OFSを演算する。そして、CPUは、ステップ103に進む。
【0050】
CPUは、ステップ103に進むと、オフセット値OFS(絶対値)が閾値OFSth以下であるか否かを判定する。オフセット値OFSが閾値OFSth以下である場合(103:Yes)、CPUは、ステップ105に進む。一方、オフセット値OFSが閾値OFSthを超える場合(103:No)、CPUは、ステップ104に進む。
【0051】
CPUは、ステップ104に進むと、車線逸脱抑制制御(警報/操舵/加減速)を実行する。そして、CPUは、ステップ105に進む。
【0052】
(プログラムP2)
CPUは、ステップ200からプログラムP2の実行を開始し、ステップ201に進む。
【0053】
CPUは、ステップ201に進むと、リスク低減機能が有効化されているか否か(フラグFが「1」であるか否か)を判定する。リスク低減機能が有効化されている場合(201:Yes)、CPUは、ステップ202に進む。一方、リスク低減機能が無効化されている場合(201:No)、CPUは、ステップ215に進み、プログラムP2の実行を終了する。
【0054】
CPUは、ステップ202に進むと、タイマー10eの計測時間ta(出力値)を「0」に初期化して、タイマー10eに時間計測を開始させる。そして、CPUは、ステップ203に進む。
【0055】
CPUは、ステップ203に進むと、運転者による操作子の操作の有無(すべての操作子の操作量(各センサの出力値の変化)が「0」であるか否か)を判定する。運転者が操作子を操作していない場合(運転者に異常が生じている場合(203:Yes))、CPUは、ステップ204に進む。一方、運転者が操作子を操作している場合(203:No)、CPUは、ステップ215に進む。
【0056】
CPUは、ステップ204に進むと、計測時間taが閾値t1を超えているか否かを判定する。計測時間taが閾値t1を超えている場合(204:Yes)、CPUは、ステップ205に進む。一方、計測時間taが閾値t1以下である場合、CPUは、ステップ203に戻る。
【0057】
CPUは、ステップ205に進むと、ナビゲーションシステム24に所定の警告音を再生させる。そして、CPUは、ステップ206に進む。
【0058】
CPUは、ステップ206に進むと、タイマー10eの計測時間taを「0」に初期化して、再び、タイマー10eに時間計測を開始させる。そして、CPUは、ステップ207に進む。
【0059】
CPUは、ステップ207に進むと、運転者による操作子の操作の有無(すべての操作子の操作量が「0」であるか否か)を判定する。運転者が操作子を操作していない場合(207:Yes)、CPUは、ステップ208に進む。一方、運転者が操作子を操作している場合(207:No)、CPUは、ステップ215に進む。
【0060】
CPUは、ステップ208に進むと、計測時間taが閾値t2を超えているか否かを判定する。計測時間taが閾値t2を超えている場合(208:Yes)、CPUは、ステップ209に進む。一方、計測時間taが閾値t2以下である場合、CPUは、ステップ207に戻る。
【0061】
CPUは、ステップ209に進むと、自車両を制動して停止させる(緊急停止)。すなわち、CPUは、ハザードランプを点滅させつつ、制動装置40及びステアリング装置60を制御して自車両を減速させながら安全な領域(路肩、交通量の少ない車線など)へ移動させて停止させる。そして、CPUは、ステップ210に進む。なお、ステップ209は、プログラムP1よりも優先的に実行される。
【0062】
CPUは、ステップ210に進むと、タイマー10eの計測時間taを「0」に初期化して、再び、タイマー10eに時間計測を開始させる。そして、CPUは、ステップ211に進む。
【0063】
CPUは、ステップ211に進むと、運転者による操作子の操作の有無(すべての操作子の操作量が「0」であるか否か)を判定する。運転者が操作子を操作していない場合(211:Yes)、CPUは、ステップ212に進む。一方、運転者が操作子を操作している場合(211:No)、CPUは、ステップ215に進む。
【0064】
CPUは、ステップ212に進むと、計測時間taが閾値t3を超えているか否かを判定する。計測時間taが閾値t3を超えている場合(212:Yes)、CPUは、ステップ213に進む。一方、計測時間taが閾値t3以下である場合、CPUは、ステップ211に戻る。
【0065】
CPUは、ステップ213に進むと、シフトポジションを駐車ポジションに移行させるとともに、サーバーコンピュータに所定の情報を送信(通報)する。そして、CPUは、ステップ214に進む。
【0066】
CPUは、ステップ214に進むと、フラグFを「0」に設定する。これにより、警報及び通報が頻発されることが防止される。そして、CPUは、ステップ215に進む。
【0067】
(プログラムP3)
CPUは、ステップ300からプログラムP3の実行を開始し、ステップ301に進む。
【0068】
CPUは、ステップ301に進むと、リスク低減機能が無効化されているか否か(フラグFが「0」であるか否か)を判定する。リスク低減機能が無効化されている場合(301:Yes)、CPUは、ステップ302に進む。一方、リスク低減機能が有効化されている場合(301:No)、CPUは、ステップ312に進み、プログラムP3の実行を終了する。
【0069】
CPUは、ステップ302に進むと、カメラ23から取得した情報に基づいて、自車両が車線を逸脱したか否か(自車両が車線の境界線を跨いでいるか否か)を判定する。自車両が車線を逸脱した場合(302:Yes)、CPUは、ステップ303に進む。一方、自車両が車線を逸脱していない場合、CPUは、ステップ312に進む。
【0070】
CPUは、ステップ303に進むと、自車両が物体に軽衝突したか否か(条件Xが成立したか否か)を判定する。自車両が物体に軽衝突した場合(303:Yes)、CPUは、ステップ304に進む。一方、自車両が物体に軽衝突していない場合(303:No)、CPUは、ステップ312に進む。なお、自車両に作用した衝撃が非常に大きい場合(加速度Gが範囲GAの上限値を超える場合)には、運転支援ECU10は、プログラムP1乃至プログラムP3よりもさらに優先度の高いプログラム(不図示)を実行して、自車両を即座に停止させる。
【0071】
CPUは、ステップ304に進むと、フラグFを「1」に設定する(強制アクティベート)。そして、CPUは、ステップ305に進む。
【0072】
CPUは、ステップ305に進むと、自車両の速度vsが閾値vsthを超えているか否かを判定する。速度vsが閾値vsthを超えている場合(305:Yes)、CPUは、ステップ306に進む。一方、速度vsが閾値vsth以下である場合(305:No)、CPUは、ステップ312に進む。この場合、強制的に有効化された車線逸脱抑制機能により、自車両が車線に沿って走行するように、駆動装置30,制動装置40、ステアリング装置60などが制御され、その後、運転者が操作子を操作しない状態が継続すると、緊急停止機能により、自車両が停止される。なお、ステップ305は、リスク低減機能が強制的に有効化された直後に実行されるので、この時点では、未だ、緊急停止機能による制動(ステップ209)は開始されていない。
【0073】
CPUは、ステップ306に進むと、自車両を制動して停止させる(強制停止)。すなわち、CPUは、ハザードランプを点滅させつつ、制動装置40、ステアリング装置60などを制御して自車両を減速させながら安全な領域(路肩、交通量の少ない車線など)へ移動させて停止させる。そして、CPUは、ステップ307に進む。なお、ステップ306は、プログラムP1及びプログラムP2よりも優先的に実行される。
【0074】
CPUは、ステップ307に進むと、タイマー10eの計測時間tb(出力値)を「0」に初期化して、タイマー10eに時間計測を開始させる。そして、CPUは、ステップ308に進む。
【0075】
CPUは、ステップ308に進むと、運転者による操作子の操作の有無(すべての操作子の操作量が「0」であるか否か)を判定する。運転者が操作子を操作していない場合(308:Yes)、CPUは、ステップ309に進む。一方、運転者が操作子を操作している場合(308:No)、CPUは、ステップ312に進む。
【0076】
CPUは、ステップ309に進むと、計測時間tbが閾値t3を超えているか否かを判定する。計測時間tbが閾値t3を超えている場合(309:Yes)、CPUは、ステップ310に進む。一方、計測時間tbが閾値t3以下である場合、CPUは、ステップ308に戻る。
【0077】
CPUは、ステップ310に進むと、シフトポジションを駐車ポジションに移行させるとともに、サーバーコンピュータに所定の情報を送信(通報)する。そして、CPUは、ステップ312に進む。
【0078】
CPUは、ステップ311に進むと、フラグFを「0」に設定する。そして、CPUは、ステップ312に進む。
【0079】
(効果)
上述した車両制御システム1が搭載された車両において、リスク低減機能が有効化された状態と無効化された状態とを、運転者が手動で切り替えることができる。リスク低減機能が手動で無効化された状態で、自車両が車線を逸脱して物体に軽衝突すると、リスク低減機能が強制的に有効化される。これにより、例えば、運転者が自車両を運転操作することが困難になっている状況において、運転支援ECU10により運転操作が支援される(LTA)。また、例えば、運転者が自車両を運転操作することができなくなっている状況において、運転支援ECU10により自車両が停止される(EDSS)。したがって、車両制御システム1によれば、従来システムに比べて、車両の安全性を向上させることができる。
【0080】
また、自車両が比較的高速で物体に軽衝突した場合、自車両が即座に停止される(
図6のステップ305乃至ステップ311)。これにより、車両の安全性をさらに向上させることができる。
【0081】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0082】
<変形例1>
上記実施形態では、運転者がスイッチ2bを押すと、車線逸脱抑制機能及び緊急停止機能の両機能のオン・オフ状態(有効化された状態と無効化された状態)が切り替えられる。これに代えて、車線逸脱抑制機能及び緊急停止機能の各機能のオン・オフ状態を個別に切り替え可能であってもよい。例えば、車線逸脱抑制機能のオン・オフ状態を切り替えるためのスイッチ2b1と、緊急停止機能のオン・オフ状態を切り替えるためのスイッチ2b2と、が設けられるとよい。この場合、フラグFに代えて、フラグF1及びフラグF2を用いる。車線逸脱抑制機能がオン状態のとき、フラグF1が「1」であり、車線逸脱抑制機能がオフ状態のとき、フラグF1が「0」である。また、緊急停止機能がオン状態のとき、フラグF2が「1」であり、緊急停止機能がオフ状態のとき、フラグF2が「0」である。
【0083】
この場合、CPUは、
図4のステップ101において、フラグF1が「1」である場合に、ステップ102に進み、フラグF1が「0」である場合に、ステップ105に進む。また、CPUは、
図5のステップ201において、フラグF2が「1」である場合に、ステップ202に進み、フラグF2が「0」である場合に、ステップ215に進む。また、CPUは、同図のステップ214において、フラグF2を「0」に設定する。また、この場合、CPUは、
図6のステップ301において、フラグF1又はフラグF2の少なくともいずれか一方が「0」である場合にステップ302に進み、フラグF1及びフラグF2が「1」である場合に、ステップ312に進む。また、CPUは、ステップ304において、フラグF1及びフラグF2を「1」に設定する。さらに。CPUは、ステップ311において、フラグF1及びフラグF2を「0」に設定する。
【0084】
<変形例2>
上記実施形態では、CPUは、運転者が操作子を操作しているか否かに基づいて、運転者に異常が生じしているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、自車両の制動及び通報を実行するか否かを決定している。これに代えて、又は加えて、運転者を撮影する車室内カメラを設け、CPUは、当該車室内カメラから取得した画像に基づいて、運転者に異常が生じているか否かを判定してもよい。この場合、当該運転者画像に基づいて運転者の状態を判定する機能(以下、「運転者画像判定機能」と称呼する。)が有効化された状態と無効化された状態とを運転者が手動で切り替え可能としておく。そして、運転者画像判定機能が無効化されている状態で、自車両が車線を逸脱し、物体に軽衝突した場合に、CPUが運転者画像判定機能を強制的に有効化する。
【0085】
なお、車両制御システム1は、運転者により意図的に車線変更が実行されたことを検知した場合に、車線逸脱抑制機能を自動的に無効化する装置、運転者に異常が生じていることを検出した場合に、車線逸脱抑制機能を自動的に有効化する装置などを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…車両制御システム、2b…スイッチ、10…運転支援ECU、20…車載センサ、30…駆動装置、40…制動装置、50…シフト切替装置、60…ステアリング装置(操舵装置)、F…フラグ、G…加速度、V…車両