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特許7620269複合樹脂組成物および繊維強化複合材料とその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】複合樹脂組成物および繊維強化複合材料とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20250116BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20250116BHJP
   C08L 1/08 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
C08J5/24 CEZ
C08L71/10
C08L1/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020092921
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021187917
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591040236
【氏名又は名称】石川県
(73)【特許権者】
【識別番号】000184687
【氏名又は名称】小松マテーレ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591023642
【氏名又は名称】中越パルプ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100225141
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 安司
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】森 大介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 航
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 裕之
(72)【発明者】
【氏名】林 豊
(72)【発明者】
【氏名】中山 武俊
(72)【発明者】
【氏名】野北 昂志
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119984(JP,A)
【文献】特開2006-321897(JP,A)
【文献】特開2014-034616(JP,A)
【文献】国際公開第2018/194080(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/174239(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/060981(WO,A1)
【文献】特開2019-198871(JP,A)
【文献】赤塚嘉寛,押川文隆,平田清和,操利一,今村順光、 福山秀久,上山貞茂,南 晃,亜熱帯植物(芭蕉)を原料とする繊維素材新製造技術の開発研究,鹿児島県大島紬技術指導センター 平成元年度 業務報告書,日本,1990年,第10頁,https://www.kagoshima-it.go.jp/kit2021/pdf/gyomu_houkoku/tsumugi_1989.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/00-71/14
C08L 63/00-63/10
C08L 1/00-1/32
C08K 3/00-13/08
C08J 5/04-5/10、5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均太さ3~200nmであり、原料のα-セルロース含有率60%~99質量%であり、繊維表面の水酸基の一部が疎水性官能基で置換された疎水性ナノセルロース繊維0.3質量%以上1.0質量%以下を反応により重合することでフェノキシ樹脂となる2官能エポキシ化合物及び2官能フェノール化合物99.7~99質量%添加して攪拌により分散させる工程と、この混合物に触媒を添加した後、強化繊維に含浸させる工程と、前記2官能エポキシ化合物及び2官能フェノール化合物を加熱により重合する工程とからなり、前記疎水性ナノセルロース繊維のセロビオースユニット内の水酸基の一部がビニルエステル類に置換され、その置換度が0.2 ~ 1.2であり、前記強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
【請求項2】
平均太さ3 ~ 200nm であり、原料のα-セルロース含有率60 %~99質量%であり、繊維表面の水酸基の一部が疎水性官能基で置換された疎水性ナノセルロース繊維0.3質量%以上1.0質量%以下、及び反応により重合することで熱可塑性を示すフェノキシ樹脂となる2官能エポキシ化合物及び2官能フェノール化合物99.7~99質量%とからなり、前記疎水性ナノセルロース繊維のセロビオースユニット内の水酸基の一部がビニルエステル類に置換され、その置換度が0.2 ~ 1.2であり、ナノセルロース繊維が2官能エポキシ化合物及び2官能フェノール化合物中に均ーに分散していることを特徴とする複合樹脂モノマー組成物。
【請求項3】
平均太さ3 ~ 200nm であり、原料のα-セルロース含有率60%~99質量%であり、繊維表面の水酸基の一部が疎水性官能基で置換された疎水性ナノセルロース繊維0.3質量%以上1.0質量%以下、及び反応により重合することで熱可塑性を示すフェノキシ樹脂となる2官能エポキシ化合物及び2官能フェノール化合物99.7~99質量%からなり、前記疎水性ナノセルロース繊維のセロビオースユニット内の水酸基の一部がビニルエステル類に置換され、置換度が0.2 ~ 1.2であり、前記ナノセルロース繊維が2官能エポキシ化合物及び2官能フェノール化合物中に均ーに分散した複合樹脂モノマー組成物と炭素繊維織物とからなることを特徴とするプリプレグ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、かつ低比重にして高剛性で成形外観に優れた複合樹脂組成物および繊維強化複合材料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点からバイオマス材料が注目されており、自動車、OA・電気電子分野向け材料として天然由来の有機充填材やバイオポリマーとの複合材料が、使用され始めている。また、剛性等の機械的強度や耐熱性を向上させる目的で、樹脂組成にガラス繊維等の無機充填剤を配合する方法が検討されている。しかしこれらの無機充填剤は、大量に加える必要があるため、成形品の比重が増大し、さらに焼却又は廃棄時にゴミとなる残留物が増加して環境に負荷がかかる等の問題がある。
【0003】
特許文献1には、芳香族ポリカーボネート樹脂に脂肪族ポリエステルと天然由来の有機充填材を配合して機械特性及び難燃性に優れた樹脂組成物とするために、天然由来の有機充填材としてジュート繊維やレーヨン繊維を用いて樹脂組成物と複合化した技術が開示されている。しかし、特許文献1で得られる樹脂組成物は、衝撃強度の低下が大きかったり、成形外観が不十分であったりし、また着色が大きく、成形時の熱安定性も十分ではない。
【0004】
特許文献2には、(A)ポリカーボネート樹脂99~60質量%及び(B)平均繊維径が5~50μmであり、平均繊維長が0.03~1.5mmであるセルロース繊維1~40質量%からなる樹脂混合物100質量部に対し、(C)テルペン系化合物を0.2~30質量部含むポリカーボネート樹脂組成物であり、バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、かつ低比重にして高剛性で成形外観に優れ、さらに熱安定性が良好で、難燃性が付与された樹脂組成物が開示された。しかし、この樹脂組成物は低比重であるとはするもののその比重(g/cm3)は何れの実施例も1.20を超えるものであり、水よりも比重が大きく、構成材料の軽量化という課題に充分に応えるものではなかった。
【0005】
特許文献3には、セルロースと、分散剤とを含む組成物であって、該分散剤が樹脂親和性セグメントAとセルロース親和性セグメントBとを有し、ブロック共重合体構造又はグラジエント共重合体構造を有するものであることを特徴とする組成物製造技術が開示されているが、オレフィン系樹脂を組合せる場合、無水マレイン酸変性樹脂を併用しており単独で分散できていない上に10μm以上の凝集物が多数存在する。さらに強度レベルにおいても弾性率は向上するものの衝撃強度が著しく低下するものである。
【0006】
特許文献4には、水酸基を有する親水性ナノ繊維の前記水酸基を親水性有機溶媒で溶媒和させ、溶融したプラスチックと混合することを特徴とする親水性ナノ繊維複合材料の製造技術が開示されている。
【0007】
特許文献5には分散媒中で、ナノセルロース繊維と樹脂との両方が分散している分散液、並びに樹脂中でナノセルロース繊維を含有する樹脂組成物を開示している。
【0008】
特許文献6には平均繊維径が小さいセルロース繊維がポリアミド樹脂中に凝集することなく、分散性よく含有されたポリアミド樹脂組成物を少なくとも一部に用いたシート状成形体であり、易引裂性に優れ、かつ熱収縮率が小さく、熱寸法安定性に優れるシート状成形体を提供することを課題としたポリアミド樹脂100質量部に対して、セルロース繊維を0.1~10質量部含有するポリアミド樹脂組成物を用いて成形されてなるシート状成形体であって、シート状成形体中のセルロース繊維の平均繊維径が10μm以下であるシート状成形体。ポリアミド樹脂組成物が、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応を行うことにより得られたものであるシート状成形体が開示された。
【0009】
特許文献7には最適な繊維長のセルロースナノファイバーを含有させることで疲労寿命を向上させた炭素繊維強化プラスチックおよびその製造方法を提供する課題達成のために平均繊維長が20~80μmのセルロースナノファイバーが添加された炭素繊維強化プラスチックが開示された。
【0010】
特許文献8には曲げ疲労寿命が向上した炭素繊維強化プラスチックを提供する課題達成のためにマトリックス樹脂に0.05~1質量%の平均繊維長0.05μm~100μmのセルロースナノファイバーを配合した樹脂組成物100質量部に対して、炭素繊維を50~250質量部配合してなる炭素繊維強化プラスチックが開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2010-215791号公報
【文献】WO/2013/133228
【文献】特開2014-162880
【文献】特開2013-170241
【文献】特開2013-166818
【文献】特開2016-14117号公報
【文献】特開2019-210434号公報
【文献】特開2019-1872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献4や特許文献5に開示された様にナノセルロース繊維と樹脂とを複合化する場合、通常樹脂を溶融して混合する溶融混練が用いられる。特許文献4ではメタノールによりナノセルロース分散液中の水を溶媒置換して除いたメタノール置換ナノセルロース分散液を調製し、これを溶融状態の樹脂へ添加し混合する技術が開示されており、特に親水性のナノセルロースを溶媒分散状態で溶融樹脂へ添加する場合は極性の違いにより均一には混合できないため極性を高めた樹脂を併用する技術が開示されている。しかしナノセルロース分散液を溶媒沸点以上の樹脂溶融物に添加する場合は、ナノセルロース同士が凝集しながら乾燥して水素結合物を生じることが判っており、決して目視外観が良くともナノレベルで均一分散することはありえない。さらに特許文献5では極性の高いナノセルロースと極性の低い粉末樹脂の馴染みを改善するための界面活性剤の選定技術が開示されているが、水分散液中で均一混合した状態であっても、粉末個体状の樹脂内部へはナノセルロースは侵入・分散することは出来ないため、分散レベルは粉末粒子径レベル以下にはなり得ないため、例えば粉末粒子の大きさが17μmであれば均一分散レベルはそれ以上のサイズに限定される。さらに、いずれの技術を利用した場合であっても、樹脂を熱溶融させた場合の溶融粘度は一般的に高く、ナノセルロース繊維分散液の粘度は樹脂溶融粘度と大きく異なるため、ナノセルロース繊維を均一に分散するためには樹脂の溶融粘度をナノセルロース繊維分散液と同程度まで低くする必要がある。しかし、樹脂の溶融粘度を下げるためには樹脂温度を高くする必要があるが、ナノセルロース繊維は、特にヘミセルロース成分は約200℃から変色・分解するため、これを防ぐために樹脂温度を高くすることができない。
その結果、ナノセルロース繊維と樹脂とを複合化する場合、ナノセルロース繊維を樹脂中に均一に分散することは困難であった。
【0013】
特許文献6に開示されたシート状成形体は、ポリアミド系モノマーであるε―カプロラクタムは水分により失活しやすい樹脂であるだけでなくセルロース繊維が混合しにくいという問題がある。
【0014】
また、特許文献7、特許文献8にて開示された炭素繊維強化プラスチックは熱硬化性樹脂を用いたCFRPにセルロースナノファイバーを添加し、耐久性を向上させるものであり、樹脂との混合特性に一定の限界が有り、また熱硬化性であることから2次加工が困難であるという問題がある。
【0015】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑み、バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、かつ低比重にして高剛性で成形外観に優れた複合樹脂組成物および繊維強化複合材料とその製造方法の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、モノマーの溶融粘度はポリマーの溶融粘度より著しく低く、また疎水性のナノセルロース繊維はモノマーに分散し易いため、多糖を高圧水流にて解繊して得られ、疎水化されたナノセルロース繊維をモノマーに添加・攪拌すると疎水性ナノセルロース繊維はモノマー中に均ーに分散し、この様にモノマー中に疎水性ナノセルロース繊維が均ーに分散している状態でモノマーを重合しポリマー化すると、均ーに疎水性ナノセルロース繊維が分散したナノセルロース繊維複合樹脂組成物が得られることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。さらに強化繊維への含侵時に粘度が高過ぎると含浸不良やボイドの発生により、繊維強化複合材料の強度が低下する等の不具合が生じるため、重合反応によるポリマー化の重合度を調整することで良好に樹脂組成物が強化繊維に含侵することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明は、下記の複合樹脂組成物に関する。
1.(A)平均太さ3~200nmであり、原料のα-セルロース含有率60%~99質量%であり、繊維表面の水酸基の一部が疎水性官能基で置換された疎水性ナノセルロース繊維0.3~5質量%及び(B)反応により重合することで熱可塑エポキシ樹脂となるモノマー99.7~95質量%からなる混合物がポリマー化されてなることを特徴とする複合樹脂組成物。
本発明で樹脂というときは、必ずしもポリマーだけでなく、モノマー、ポリマー、もしくは、モノマーとポリマーが混合したものを包括的に指称する。
【0018】
2.前記1に記載の複合樹脂組成物と強化繊維とからなることを特徴とする繊維強化複合材料。
【0019】
3.前記2に記載の強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする繊維強化複合材料。
【0020】
さらに本発明は下記の複合樹脂組成物の製造方法に関する。
4.(A)平均太さ3~200nmであり、原料のα-セルロース含有率60%~99質量%であり、繊維表面の水酸基の一部が疎水性官能基で置換された疎水性ナノセルロース繊維0.3~5質量%及び(B)反応により重合することで熱可塑エポキシ樹脂となるエポキシ系のモノマー99.7~95質量%からなる混合物を強化繊維に含浸させる工程と、前記モノマーをポリマー化する工程とからなることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の複合樹脂組成物の(A)成分であるナノセルロース繊維の製造装置の概念図である。
図2】本発明の複合樹脂組成物の(A)成分であるナノセルロース繊維の製造装置の他の例の概念図である。
図3】本発明で用いる強化繊維織物の一例の説明図であり、(a)樹脂が強化繊維織物表面および内部に付着した状態を示す図、(b)樹脂が表面および内部に付着していない状態を示す図
図4】モノマーの溶融粘度に関する説明図
図5】本発明の一実施の形態の模式図
図6】実施例のプロセスの概略図
図7】実施例で得られた炭素繊維強化複合材の電子顕微鏡による拡大写真
図8】実施例で得られた炭素繊維強化複合材に行った曲げ試験方法の説明図
図9】実施例で得られた炭素繊維強化複合材に行った曲げ試験結果を示すグラフ
図10】実施例で得られた炭素繊維強化複合材に行った耐衝撃試験方法の説明図
図11】実施例で得られた炭素繊維強化複合材に行った耐衝撃試験結果を示すグラフ
図12】実施例で得られた炭素繊維強化複合材に行ったショートビーム試験による見掛け上の層間せん断強度試験方法の説明図
図13】実施例で得られた炭素繊維強化複合材に行ったショートビーム試験による見掛け上の層間せん断強度試験結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0022】
[(A)疎水性ナノセルロース繊維]
疎水性とは、水に対する親和性が低い、すなわち水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくい物質または分子(の一部分)の性質のことである。
ナノセルロース繊維は、その分子内に多数の水酸基を有しており、極めて親水性が高いことが知られている。それゆえ、疎水環境中あるいは乾燥状態では自己凝集を起こす。その結果、極めて疎水性が高い樹脂と混ぜることは容易ではなく、従来、ナノセルロース繊維とポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)を混練したコンポジットは、期待される機械強度特性を発揮できていない。そのため、疎水環境中でナノセルロース繊維が十分に分散できる手法が求められていた。
【0023】
一般的にナノセルロース繊維に疎水性置換基を導入して疎水性を付与する場合、非水溶媒中で反応を行う。しかしながら、ナノセルロース繊維の場合では高い比表面積上に存在する水酸基の影響で極めて親水性が高い。それゆえ、ナノセルロース繊維から水を除去することは難しく、多段回の溶媒置換や過熱による脱水処理を行う、あるいは有機溶媒中でナノ化した後に置換反応を行う必要があるなど煩雑な操作を必要としていた。
これに対して本発明では例えばWO2018/194080に開示された、表面疎水化セルロースナノ繊維の製造方法によって製造した疎水性セルロースナノ繊維を用いることができる。しかし、疎水性であれば特にこれには限られない。
具体的には含水状態のセルロースナノ繊維を攪拌可能な濃度で有機溶剤に分散し、炭酸カリウムを1~40wt%の範囲で添加し、次いで、ビニルエステル類及び/又は有機酸ビニルエステル類を加え、反応系温度25℃~100℃の条件下において反応させ、反応終了後、生成物を回収する工程によって本発明で用いる疎水性セルロースナノ繊維を得ることができる。この方法では、セルロースナノ繊維のセロビオースユニット内の水酸基の一部がビニルエステル類に置換され、置換度0.2~3.0の疎水性セルロースナノ繊維を得ることができる。疎水性とセルロースの結晶性の両立の観点から置換度は好ましくは0.2~1.2である。
【0024】
[ナノセルロース繊維]
本発明において、バイオマス材料として特定の平均太さを有し、凝集せず分散する疎水性ナノセルロース繊維を用いることにより、セルロースの凝集性が抑制され、衝撃強度の低下を抑えることができる。さらに(A)疎水性ナノセルロース繊維は、ガラス繊維等の無機繊維に比べ低い比重でありながら剛性を向上させることができるので、剛性の高い低比重の樹脂組成物とすることができる。ナノセルロース繊維としては例えば、木本類、草本類由来のセルロースを利用できる。具体的には木材繊維、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維、葉繊維等の天然の植物を含む多糖由来のナノセルロース繊維が挙げられる。さらに、海洋成分であるホヤ、および酢酸菌由来のセルロースも利用できる。これらナノセルロース繊維は一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。また多糖としてはα-セルロース含有率60%~99質量%のパルプを用いる。α-セルロース含有率60質量%以上の純度であれば繊維径及び繊維長さが調整しやすくなって繊維同士の絡み合いを抑えることができ、α-セルロース含有率60質量%未満のものを用いた場合に比べ、溶融時の熱安定性が高く、強度の低下を引き起こすことがないほか、着色抑制効果が良好であり、本発明の効果をより優れたものとすることができる。さらに、99質量%を超えるものを用いた場合、繊維をナノレベルに解繊することが困難になる。但し、酢酸菌由来のセルロースは結晶性が非常に高い特徴があるがナノ繊維として解きほぐすことも比較的容易である。
【0025】
本発明におけるナノセルロース繊維は、平均太さ3~200nmであり、多糖を高圧水流にて解繊してなる。
平均太さは日本電子株式会社の電界放出形走査電子顕微鏡JSM-7001FTTLS、および株式会社島津製作所の走査型プローブ顕微鏡SPM-9700HTによって測定した。
平均太さ3~200nmのレベルまで解繊することで流動性があり衝撃強度の低下が少なく、低比重にして高剛性で成形外観に優れた樹脂組成物を得ることができる。
平均太さ3nm未満では結晶度が低下するため強度補強能力の点から好ましくない。
平均太さ200nmを超える場合には、解繊が進んでいない数10μmの太さのものが多く含まれることになり流動性が著しく低下し、且つ分散性が悪化することとなり好ましくない。
多糖の高圧水流による解繊は、0.5~10質量%の水混合液にした多糖に対し、50~400MPa程度の高圧水を衝突させて行うことができる。
【0026】
この多糖を高圧水流にて解繊してナノセルロース繊維とする手法としては特開2005-270891に記載された水中対向衝突法がある。これは、水に懸濁した天然セルロース繊維をチャンバー(図1:107)内で相対する二つのノズル(図1:108a,108b)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である(図1)。この手法によれば、天然微結晶セルロース繊維(例えば、フナセル)の懸濁水を対向衝突させ、その表面をナノフィブリル化させて引き剥がし、キャリアーである水との親和性を向上させることによって、最終的には溶解に近い状態に至らせることが可能となる。図1に示される装置は液体循環型となっており、タンク(図1:109)、プランジャ(図1:110)、対向する二つのノズル(図1:108a,108b)、必要に応じて熱交換器(図1:111)を備え、水中に分散させた微粒子を二つのノズルに導入し高圧下で合い対するノズル(図1:108a,108b)から噴射して水中で対向衝突させる。この手法では天然セルロース繊維の他には水しか使用せず、繊維間の相互作用のみを解裂させることによってナノ微細化を行うためセルロース分子の構造変化がなく、解裂に伴う重合度低下を最小限にした状態でナノセルロース繊維を得ることが可能となる。
【0027】
その他に多糖を高圧水流にて解繊してナノセルロース繊維とする手法としては特開2012-36518に記載された破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで原料繊維を溶媒に分散させた分散液を処理するホモジナイズ処理法がある。図2に示されるようにこのホモジナイズ処理法によれば高圧でホモジナイザー内を圧送される原料繊維101が、狭い間隙である小径オリフィス102を通過する際に、小径オリフィス102の壁面(特にインパクトリング103の壁面)と衝突することにより、剪断応力又は切断作用を受けて分割され、均一な繊維径を有するミクロフィブリル化が行われる。またナノセルロース繊維とする手法は、任意好適な従来公知の他の方法で行うことができる。公知の他の方法には、TEMPO触媒を用いてセルロース表面を化学修飾した後に解繊を行う方法や、石臼の中で磨砕して製造する方法、セルラーゼなどの酵素により微細化させる方法などがある。また、酢酸菌が分泌するペリクルもナノセルロース繊維の一種であり、そのまま、あるいは、機械解繊などして使うこともできる。
【0028】
(A)平均太さ3~200nmであり、原料のα-セルロース含有率60%~99質量%であり、繊維表面の水酸基の一部が疎水性官能基で置換された疎水性ナノセルロース繊維0.3~質量%及び(B)反応により重合することで熱可塑エポキシ樹脂となるモノマー99.7~99質量%からなる混合物において、各成分の含有量は(A)成分0.3~質量%及び(B)成分99.7~99量%である。
【0029】
本発明で樹脂というときはモノマー状態、ポリマー状態、モノマーとポリマーが混合した状態を包括的に指称する。
[(B)反応により重合することで熱可塑エポキシ樹脂となるモノマー]
本発明の(B)モノマーは、ポリマー化されて得られる樹脂成形品の機械物性、成形加工性、耐溶剤性、耐熱性などの特性を発現する本発明の複合樹脂組成物の主成分である。
【0030】
係るモノマーとしては、熱可塑エポキシ樹脂となるモノマーである。
具体的には、(イ)2官能エポキシ化合物、(ロ)2官能フェノール化合物、および(ハ)触媒の混合系が挙げられる。
(イ)2官能エポキシ化合物としては、分子中にエポキシ基を2つ有するものであればとくに限定なく使用し得るが、貯蔵安定性、タックフリー性、熱可塑性、得られた複合樹脂組成物および繊維強化複合材料の機械物性などの点からは、ビスフェノール型エポキシ化合物類およびこれらが部分縮合したオリゴマー混合物(ビスフェノール型エポキシ樹脂類)、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテルが好ましく、とくに低粘度であることからビスフェノール型エポキシ樹脂類が好ましい。
(ロ)2官能フェノール化合物としては、分子中にフェノール性水酸基を2つ有するものであればとくに限定なく使用し得るが、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノール類、およびこれらの混合物が、粘度、ナノセルロース繊維および強化繊維との接着性などの特性をバランスよく有する点から好ましい。
(ハ)触媒としては、(イ)成分と(ロ)成分との重合反応を促進させ、かつポリマー化して得られたエポキシ樹脂が熱可塑性を有する程度に架橋が少なくできるものであれば特に限定されない。さらに、重合時に直鎖状の重合を優位に進める特徴を有することが好ましい。具体的には、エポキシ基のアニオン重合よりもフェノール性水酸基とエポキシ基との付加反応に対して優先的に触媒作用を示す、リン系触媒、求核性を抑制する置換基を有するイミダゾール系触媒などが挙げられる。
前記混合系をポリマー化し得られる熱可塑性エポキシ樹脂は、フェノキシ樹脂と同様の分子構造を持つ樹脂となる。前記混合系をポリマー化することで、フェノキシ樹脂の熱可塑性や機械物性等の望ましい性質、モノマーの低い粘性によるナノセルロース繊維の分散のしやすさ、加熱条件等で重合度を制御し粘度調整できることによる、強化繊維への含浸工程など後工程での扱いやすさ、といった利点を得られる。
[ポリマー化]
本発明の(B)モノマー99.7~95質量%からなる混合物がポリマー化されたポリマーは、本発明の複合樹脂組成物を成形することによって得られる樹脂成形品の機械物性、成形加工性、耐溶剤性、耐熱性などの特性を発現する本発明の複合樹脂組成物の主成分である。
【0031】
更に、(B)モノマー99.7~95質量%からなる混合物の成分として、次に例示するようなゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、具体例として、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、エチレン-ブテン-1共重合ゴム、エチレン-ヘキセン共重合ゴム、エチレン-オクテン共重合ゴム、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、部分水添スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-イソプレンブロック共重合ゴム、部分水添スチレン-イソプレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンゴム、スチレングラフト-エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-グラフト-エチレン-プロピレン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル-グラフト-エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル-グラフト-エチレン-プロピレン共重合ゴムがなど挙げられる。
ポリマーアロイ中のゴムの含量は、ポリオレフィン系樹脂の特性に新たな特性を付加するという観点から、50質量%以下であることが好ましい。(以上特開2007-39592の記述に基づく)
【0032】
[添加剤]
本発明の複合樹脂組成物は、その物性を損なわない限りにおいてその混合時、成形時に他の樹脂、添加剤、例えば、重合触媒、相溶化剤、界面活性剤、でんぷん類、多糖類、ゼラチン、ニカワ、天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末、顔料、染料、強化剤、充填剤、耐熱剤、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、着色剤、香料、レベリング剤、可塑剤、流動性改良剤、導電剤、帯電抑制剤等、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤を添加することができる。
【0033】
任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されても良いが、例えば、複合樹脂組成物中10質量%程度以下が好ましく、5質量%程度以下がより好ましい。
【0034】
[複合樹脂組成物]
本発明の複合樹脂組成物を用いた成形方法には特に制限はなく、射出成形、射出圧縮成形、押出し成形、圧縮(プレス)成形、オートクレーブ成形、VaRTM成形、回転成形、ブロー成形、移送成形、積層成形、カレンダー成形、発泡成形、真空成形、圧空成形、粉末成形、注型成形、中空成形体等の成形法を適用することができる。
本発明の複合樹脂組成物を用いた成形品は、前記の性状を有することから、例えば、OA機器、情報・通信機器、自動車部品又は建材分野等で好適に用いることができる。
【0035】
[強化繊維の形態]
図3に示すように強化繊維織物1は、互いに平行となるよう一方向に引き揃えられた複数本の強化繊維束2を直交する二方向に織成してなる二方向性織物である。二方向性織物は、強化繊維束2間の相対位置の変化による変形がしやすく立体形状に変形しやすいこと、少ない枚数で力学的に擬似等方性を有する積層成形材を得やすい利点がある。
強化繊維束2は、炭素繊維束、黒鉛繊維束、ガラス繊維束、バサルト繊維束または、アラミド繊維束などを用いることができ、炭素繊維束であることが好ましい。炭素繊維束を用いることにより、最終製品である炭素繊維強化複合材料成形品の力学特性を高いものとすることができる。
なお本発明の精神に照らし、強化繊維の形態として織物以外の強化繊維の形態も適用することが可能である。
その主な強化繊維の形態としては、一方向材、織物、組物、編物、ノンクリンプファブリック、不織布がある。
【0036】
強化繊維織物1の表面および内部に付着している樹脂材料4は、熱可塑性エポキシ樹脂であり、強化繊維織物の繊維間に含浸することによって強化繊維織物の層間を接着する作用を得ることができる樹脂材料4が熱可塑性樹脂を主成分とするものとすることによって強化繊維織物1を積層して、立体形状へと変形させた後に強化繊維織物1の層間を接着させる場合の取り扱い性が向上し、生産性が向上する。
[疎水性ナノセルロース繊維のモノマーへの分散]
本発明では、簡便にナノセルロース繊維を樹脂に均ーに分散させる手法として具体的には、(i)疎水性のナノセルロース繊維を(ii)モノマーに添加・攪拌する。この時、図4に示すようにモノマーの溶融粘度はポリマーの溶融粘度の3~4桁低く、また、疎水性のナノセルロース繊維はモノマーに分散し易いため、ナノセルロース繊維はモノマー中に均ーに分散する。(iii)この様にモノマー中にナノセルロース繊維が均ーに分散している状態でモノマーを重合しポリマー化すると、均ーにナノセルロース繊維が分散したナノセルロース繊維複合樹脂組成物が得られる。得られたナノセルロース繊維複合樹脂組成物は高い力学的性質を示すと共に、さらに図5に示す様に炭素繊維等の繊維強化複合材料(FRP) のマトリックスにこのナノセルロース繊維複合樹脂組成物を用いることでFRPの高性能化(曲げ強度、層間せん断強度、衝撃強度、疲労強度の向上)が図れる。
繊維強化複合材料の態様として、強化繊維に樹脂を含浸させ、複合化させることによって得られる材料であり、完全ポリマー化していない樹脂を強化繊維に含浸させたプリプレグや、ポリマー化した樹脂が強化繊維に含浸した成形物および、プリプレグを積層して成形し、樹脂をポリマー化することで得られる成形物も含まれる。
【実施例
【0037】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いた各成分を次に示す。
(A)成分:ナノセルロース繊維
・親水性ナノセルロース繊維:商品名BiNFi-s BMa10010[株式会社スギノマシン製]
・疎水性ナノセルロース繊維:表面疎水化セルロースナノファイバーnanoforest-M[中越パルプ工業株式会社製](竹パルプ由来) 原料のα-セルロース含有率86%
【0038】
(B)成分:熱可塑エポキシモノマー:DENATITE XNR6850V[ナガセケムテックス(株)]((イ)2官能エポキシ化合物、(ロ)2官能フェノール化合物の混合物)
触媒:DENATITE XNH6850V[ナガセケムテックス(株)]((ハ)リン系触媒)
【0039】
実施したプロセスを図6に示す。
図6に示すように木材パルプを使用した固形分10%の親水性ナノセルロース繊維である試料1と竹パルプを使用した固形分10%の疎水性ナノセルロース繊維である試料2とを用意した。これらの試料1と試料2とを含有率1.0%で熱可塑エポキシモノマーと混合した。混合後真空乾燥機内で105℃で脱泡し、触媒を投入した。
【0040】
得られた複合樹脂組成物につき電子顕微鏡によりナノセルロース繊維の分散性に関する拡大観察を行った。その写真を図7に示す。図7に示すように試料1の親水性の試料よりも試料2の疎水性の試料の方が良好にナノセルロース繊維が分散した。
【0041】
また試料1と試料2とを含有率0.5~2.0%の範囲で熱可塑エポキシモノマーと混合後真空乾燥機内で105℃で脱泡し、触媒を投入した。
これを図3に示す炭素繊維織物3に、前記で得られた複合樹脂組成物を含浸させ、熱により重合させ、ポリマーとモノマーが混在したプリプレグとした。その樹脂含浸されたプリプレグを10枚積層し、プレス成形と熱により重合可能な熱可塑エポキシ樹脂を重合してポリマー化し、炭素繊維強化複合材料成形物とした。
【0042】
この炭素繊維強化複合材料につき図8に示す方法で曲げ試験を行った。試験片は、幅15mm、長さ100mm、厚さ2mmを用いた。試験は、万能試験を用い、支点間距離80mm、試験速度5mm/minで3点曲げ試験を行った。その結果を図9に示す。図に示すように試料2を熱可塑エポキシモノマーに混合することで、炭素繊維強化複合材料の曲げ強度が11%向上した。
【0043】
さらに図10に示す方法で試料2を用いて得られた炭素繊維強化複合材料につき耐衝撃試験を行った。試験片は、幅10mm、長さ80mm、厚さ2mmを用いた。試験は、振り子式のハンマーでフラットワイズ試験片に衝撃を加えるシャルピー衝撃試試験を行った。
その結果を図11に示す。図11に示す様に試料2を熱可塑エポキシモノマーに混合することで、炭素繊維強化複合材料の衝撃強度が23%向上した。
さらに図12に示す方法で試料2を用いて得られた炭素繊維強化複合材料につきショートビーム試験による層と層を平行にずらす方向のせん断強度を行った。試験片は、幅10mm、長さ15mm、厚さ2mmを用いた。試験は、万能試験を用い、支点間距離10mm、試験速度2mm/minで、短い試験片の曲げ試験を行った。その結果を図13に示す。図13に示す様にナノセルロース繊維を熱可塑エポキシモノマーに混合することで炭素繊維強化複合材料のせん断強度が9%向上した。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、かつ低比重にして高剛性、すなわち比剛性が大きくて成形外観に優れ、さらに熱安定性が良く、難燃性が付与された複合樹脂組成物および繊維強化複合材料とその製造方法であることから、例えばOA機器、情報・通信機器、自動車部品又は建材分野等で好適に用いることができる。
図1
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