(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
(21)【出願番号】P 2020167829
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【氏名又は名称】渥美 元幸
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 美樹
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/021868(WO,A1)
【文献】特開2020-022450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0272590(US,A1)
【文献】特開2009-011177(JP,A)
【文献】特開2013-070664(JP,A)
【文献】特開2012-175910(JP,A)
【文献】特開2017-205020(JP,A)
【文献】特開2020-068724(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208974(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00-1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放された収容部と、収容部の上部を塞ぐ天板と、底部に複数の貫通穴が設けられてペットの用足し部となる収納部と、収容部の下方にスライド移動可能に設置されるトレー部とを備え、
前記収納部が、収容部内に出し入れ自在に収納され、
前記トレー部が、前記収納部の底部から落下するペットの排泄物の受け皿となり、
前記天板は、
開放されている前記収容部の上部に取り付けられて収容部の上部を塞ぐ蓋部材で、その上面は内側に凹みのある形状となっており、ペットを収容部内の収納部へ出入り可能とする開口部を有している
ことを特徴とするペット用トイレ。
【請求項2】
前記天板は、収容部の
背面側の左右両側上端で軸支され、当該軸で回動して開閉可能となっている
ことを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
前記収容部は、収容部内に収納部を支持する支持部材である収納部保持部を有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記収納部保持部は、収容部の正面内側と背面内側に少なくとも1つ以上設けられている
ことを特徴とする請求項3記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記収納部は、収納部の側壁の外側に突出して収納部保持部と係合する鈎部を有する
ことを特徴とする請求項3又は4記載のペット用トイレ。
【請求項6】
前記トレー
部は、背面側の壁部の高さが他の壁部よりも低くなっている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のペット用トイレ。
【請求項7】
前記トレー
部は、正面側の壁部の裏側に幅方向へ形成された窪み部分である凹部を有する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のペット用トイレ。
【請求項8】
前記開口部は、
前記開口部の端面が開口部外周から開口部中心方向へ向かってなだらかに傾斜する曲線状に構成されている
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用のトイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内で飼育する猫等のペットが用を足すためのペット用トイレとして、トイレ本体を簀の子で上下に区画分けして、上部に吸水のためのペット用排泄物処理材を敷設し、下部にトレーを備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなペット用トイレでは、簀の子を下部のトレーよりも上方に配置しなければならず、簀の子を保持するための構成として上下に分割することを余儀なくされている。この上下を分割する構成は、ペット用トイレの高さ方向中央付近に上部と下部の嵌合部が外観として表れてしまうので、デザイン性が損なわれるという問題がある。
【0005】
一方、デザイン性を良くするためにペット用トイレの本体を箱状の一体型にすると、簀の子を保持することができなくなってしまう。また、簀の子に脚部を取り付けて自立させようとすれば、脚部が下部にあるトレーを引き出す際の邪魔になってしまうという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、下部にあるトレーの引き出しを阻害することなく簀の子を本体内に保持することができ、デザイン性に優れたペット用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るペット用トイレは、上部が開放された収容部と、収容部の上部を塞ぐ天板と、底部に複数の貫通穴が設けられてペットの用足し部となる収納部と、収容部の下方にスライド移動可能に設置されるトレー部とを備え、前記収納部が、収容部内に出し入れ自在に収納され、前記トレー部が、前記収納部の底部から落下するペットの排泄物の受け皿となり、前記天板は、ペットを収容部内の収納部へ出入り可能とする開口部を有していることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記天板は、収容部の両側上端で軸支され、当該軸で回動して開閉可能となっているのが好ましい。
【0009】
また、前記収容部は、収容部内に収納部を支持する支持部材である収納部保持部を有するのが好ましい。
【0010】
さらに、前記収納部保持部は、収容部の正面内側と背面内側に少なくとも1つ以上設けられているのが好ましい。
【0011】
そして、前記収納部は、収納部の側壁の外側に突出して収納部保持部と係合する鈎部を有するのが好ましい。
【0012】
また、前記トレー部は、背面側の壁部の高さが他の壁部よりも低くなっているのが好ましい。
【0013】
さらに、前記トレー部は、正面側の壁部の裏側に幅方向へ形成された窪み部分である凹部を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るペット用トイレによれば、本体部分である収容部を一体的なものとして構成することができ、外観のデザイン性を高めることができ、また、収納部がトレーの上方で収容部内に保持されるので、収納部が収容部の下部にあるトレーを引き出すときに阻害することがない。よって、下部のトレーの引き出しを阻害することなく簀の子を本体内に保持することができ、デザイン性に優れたペット用トイレを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るペット用トイレを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るペット用トイレについて、実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るペット用トイレを示す斜視図である。
図2は正面図、
図3は平面図、そして、
図4は
図2におけるA-A線断面図である。
【0018】
ペット用トイレ1は、室内で飼育するペットの猫等が用を足すために使用するペット用トイレであり、全体は主としてプラスチック成型されたもので、収容部10と、トレー20と、天板30とを備えている。
【0019】
収容部10は、ペット用トイレ1の本体部分であり、上部は開放されていて、この開放部分の蓋として天板30が取り付けられている。収容部10の下部には、トレー20が引き出し可能に収容されている。また、収容部10の内部には、簀の子となる収納部40が収容されており、収容部10の正面側と背面側にそれぞれ設けられた収納部保持部11により収納部40は収容部10内で保持されている。
【0020】
収納部保持部11は、収容部10内で収納部40を保持するため収容部10内部に設けられる支持部材である。収納部保持部11は、
図4に示すように、収容部10の正面内側と背面内側に設けられており、収納部40の鈎部43と係合することで収納部40を載置して収容部10内に保持するようになっている。
【0021】
収納部保持部11は、収容部10の正面内側ではトレー20の引き出し口の庇部に上方に突き出した突起部として設けられている。また、背面内側では、トレー20の引き出し口の庇部と相対する方向、すなわち、収容部10の内側方向へ入り込んだ凸部として設けられている。このように、収納部保持部11は収容部10の内側方向への凸部として構成することで収容部10内に収納部40を保持することができ、本体部分の外観に影響を与えることなくデザイン性を良好に保つことができる。また、収納部保持部11はトレー20の上方に位置しており、トレー20の上方で収納部40を保持するので、収納部40がトレー20を収容部10から引き出す際の邪魔になることがない。
【0022】
収納部保持部11を収容部10の左右側面の内側に設けると、収容部10の左右側面の外側に凹凸が表れてデザイン性を悪くするおそれがある。そのため、収納部保持部11は、収容部10の正面か背面の少なくともいずれか一方、または、収容部10の正面内側および背面内側に設けるのが好ましい。ただし、収納部保持部11が収容部10の左右側面の内側に設けられることを妨げるものではない。
【0023】
収納部40は、収容部10に収納されて収容部10内で保持される収納容器であり、収容部10の開放された上部から出し入れ自在になっている。この収納部40は、ペットが用を足す場所(用足し部)となることが想定されており、複数の開口部が設けられた底部41と、取っ手42と、容器外側側壁に鈎部43とを備えている。より詳しく説明するため、
図5として収納部40の下方斜視図を示す。
【0024】
底部41には開口部として複数の貫通孔が設けられており、これにより収納部40は簀の子としての機能を果たす。この底部41上に水分を吸収することで自己崩壊するペレット状の排泄物処理材などを配置するようにしてもよい。なお、底部41の開口部は長孔形状としているが、丸孔形状や形状の異なる貫通孔を組み合わせたもの等であってもよい。
【0025】
取っ手42は、収納部40を収容部10内に収納するときや収容部10から取り外す際の持ち手となる部分である。取っ手42は、収納部40が収容部10内に収納されたときに、収容部10の左右側面側に位置する側壁の上端に設けられている。鈎部43を収容部10の収納部保持部11と係合させるために鈎部43が収容部10の正面側と背面側に位置する側壁に設けられるので、鈎部43と取っ手42とが同じ側壁に配置されることがないように構成されている。
【0026】
鈎部43は、収納部40の側壁の外側に突出し、収納部保持部11と係合する位置に設けられる部材である。上述したように、鈎部43は、収容部10の正面側と背面側に位置する側壁の外側に設けられ、収納部保持部11と係合する形状を有している。この鈎部43が収納部保持部11の上に載置されることで、収納部40は収容部10内で保持される。収容部10内における収納部40の保持状態を安定させるため、複数個の鈎部43が収納部40の側壁外側に設けられ、これに対応して複数の収納部保持部11が収容部10内に設けられるのが好ましい。
【0027】
トレー20は、収容部10の下方にスライド移動可能に配置されるトレー部材
で構成されたトレー部である。トレー20の上方には収納部40が位置しており、底部41の貫通孔を通って落下してくるペットの排泄物や自己崩壊した排泄物処理材は、トレー20上に収容されることになる。つまり、トレー20はペットの排泄物等の受け皿部分となる。そのため、トレー20にはペット用シーツ等が敷かれて使用に供される。トレー20をより詳しく説明するため、トレー20を背面側から見た斜視図を
図6に示す。
【0028】
トレー20の背面側の側壁であるトレー背面壁部22は、トレー20の正面側の壁部および左右側の側壁であるトレー側壁部21よりも、高さが低くなるように構成されている。トレー20を収容部10から引き出すときに、トレー20に敷かれるペット用シーツ等が収納部40に接触して引っ掛からないようにするためである。また、トレー20の左右のトレー側壁部21が高さを有していることで、長方形の形状であることが多いペット用シーツを折りたたんで使用することができるようになっている。また、ペット用シーツをトレー20に保持するため切欠き部を形成するのも好ましい。
【0029】
また、トレー20の正面側の壁部裏側には窪んだ凹部23が幅方向に形成されている。この幅方向へ形成された窪み部分である凹部23にはスコップや手持ち箒等の細長い備品が横置きで収容可能となっており、利便性が高められている。
【0030】
天板30は、開放されている収容部10の上部に取り付けられる蓋部材である。
図1および
図4に示すように、天板30の上面は平坦面ではなく、内側に凹みのある形状となっている。天板30の上面でペットが排泄等した場合でも、ペット用トイレ1の内側で保持し、外側へこぼれ落ちないようにするためである。天板30には、収容部10内にある収納部40へペットを導くための開口部31が開口されている。すなわち、この開口部31が、ペットが用を足す場所(収納部40)への出入り口となり、ここをペットが往来することになる。そのため、往来時にペットが怪我をすることがないよう、開口部31の端面は
図4に示すように開口部外周から開口部中心方向へ向かってなだらかに傾斜する曲線状に構成されている。このように、収容部10の上部を開放し蓋部として天板30を取り付け、この天板30にペットが用を足す場所への出入り口を設けることで、ペットの糞尿の臭気が外へ漏れにくくすることができ、周辺環境を衛生的に保つことが可能となる。
【0031】
また、天板30は、軸支部32により背面側の左右両側上端で軸支されており、この軸支部32を軸に回動することで開閉可能になっている。
図7は使用状態の一例を示す斜視図であり、天板30を開いた状態と、トレー20を引き出した状態を示している。
【0032】
図7に示すように、天板30が軸支部32を軸に回動して開いた状態で、収容部10の背面側の壁部と天板30との間には空隙33が形成されている。この空隙33が形成されることにより、天板30の上にペットの排泄物等が残存している場合でも、ペット用トイレ1の外側へこぼれ落とすことなく収容部10内の収納部40へ落下させることができる。
【0033】
このように、本実施の形態のペット用トイレによれば、本体部分である収容部の内部に、簀の子部分である収納部を支持する支持部材の収納部保持部が形成されていて収容部内で収納部を保持するので、収納部を保持するための構成として収容部を上下に分割する必要がなくなる。つまり、本体部分である収容部を一体的なものとして構成することができ、ペット用トイレの外観のデザイン性を高めることができる。また、このとき、収納部はトレーの上方で収容部内に保持されているので、収納部が収容部の下部にあるトレーを引き出すときの障害になることがない。
【0034】
また、収容部の上部を開放して蓋部として天板を取り付け、この天板にペットが用を足す場所となる収納部への出入り口を設けているので、ペットの糞尿の臭いを外部へ漏れにくくなり、トイレ周辺の衛生環境を良好に保つことができる。
【0035】
さらに、天板を収容部の側面上端で軸支し、軸で回動して開閉可能とし、天板と収容部との側壁部との間に空隙を形成するようにしているので、天板上にペットの排泄物等が残存している場合でも、トイレの外側へこぼれ落とさずに収容部内へ落下させることが可能になっている。
【0036】
また、収容部の下部にスライド移動可能に設けられるトレーは、背面側の壁部が他の壁部よりも低くなっているので、トレーを収容部から引き出す際に、トレーに敷かれたペット用シーツ等が簀の子部分に引っ掛からないようになっている。
【0037】
さらに、トレーの正面壁部の裏側にはスコップや手持ち箒等の備品が収容可能な凹部が形成されているので、トイレ内を清掃する際の利便性も高められている。
【0038】
以上、本発明に係るペット用トイレについて実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0039】
例えば、上記実施の形態では、天板を収容部の側面上端で軸支する例を示したが、天板を収容部の上部に着脱自在な蓋として構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るペット用トイレは、室内で飼育する猫等のペットが用を足すためのペット用トイレとして好適である。
【符号の説明】
【0041】
1 ペット用トイレ
10 収容部
11 収納部保持部
20 トレー
21 トレー側壁部
22 トレー背面壁部
23 凹部
30 天板
31 開口部
32 軸支部
33 空隙
40 収納部
41 底部
42 取っ手
43 鈎部