(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】電磁波吸収体
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
H05K9/00 M
(21)【出願番号】P 2020208144
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591244199
【氏名又は名称】廣瀬製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】西内 友也
(72)【発明者】
【氏名】水野 祥樹
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-141190(JP,A)
【文献】特開2020-038879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料を含有し表面抵抗が10Ω/□~10
4Ω/□であるシートが、プリーツ 状に折り曲げられて形成された構造体であって、折り曲げられた稜線に対して非平行に スリットが
複数穿設されて
おり、
複数の前記スリットを折り目線として折り曲げ可能であることを特徴とする電磁波吸収 体。
【請求項2】
前記スリットが、前記稜線に対して垂直方向又は斜め方向に形成されていることを特 徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
【請求項3】
前記シートは、厚みが100μm~500μmであることを特徴とする請求項1又は 請求項2に記載の電磁波吸収体。
【請求項4】
前記シートの一の面に形成された前記稜線と前記シートの反対側である他の面に形成 された前記稜線との高さが0.5mm~15mmであり、前記シートの折角度が10° ~45°であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電磁波吸収 体。
【請求項5】
前記シートに含有される繊維が、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、オレフィン繊維 、ポリフェニレンサルファイド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とす る請求項1から請求項4のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【請求項6】
前記導電性材料が、グラファイト、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチ ューブ、グラフェン、炭素繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請 求項1から請求項5のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【請求項7】
前記シートの他の面に接着剤からなる接着層が設けられていることを特徴とする請求 項1から請求項6のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波吸収体に関し、柔軟性を有し曲面に設置することが可能な電磁波吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、30~100GHzの周波数を有する準ミリ波やミリ波の領域の電磁波が情報通信用に利用されている。特に60~90GHzのミリ波は自動車の衝突防止用システムに使用されるレーダー周波数として利用が進んでいる。このミリ波レーダーは自動車バンパー内に設置され、ミリ波を発信することで周辺車両との距離を測定して車間距離や自動車速度を調整するために使用されている。このミリ波がバンパー内周辺で乱反射した時に、周辺に設置された機器が誤作動する可能性があるため、不要な電磁波を吸収する電磁波吸収体をボディ内に設置することが必要となっている。
例えば、特許文献1には、磁性、誘電性、導電性を有するシートの背面に金属層を設置し、入射ミリ波と反射ミリ波の位相差を利用することで入射ミリ波を打ち消す構造のλ/4型の電磁波吸収体が開示されている。
【0003】
そして、特許文献2において、このλ/4型タイプの課題である斜入射特性を向上させるために導電性シートをプリーツ状に折り曲げた構造の電磁波吸収体が開示されている。特許文献2の電磁波吸収体は、導電性材料を有するシートをプリーツ加工することで得られる山形構造が特徴として有しており、電磁波吸収体に入射した電磁波が吸収体内部で乱反射することで斜入射時にも優れた吸収性能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6522262号
【文献】特開2008-141190
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている電磁波吸収体では、λ/4型タイプは特定の周波数における垂直入射ミリ波に対しては一定の電磁波吸収効果が得られにくいという課題があった。
【0006】
そして、特許文献2に開示されている電磁波吸収体では、構造体が固定されているため、上下方向など特定の一方向しか折り曲げることができず、例えば複数方向に湾曲した構造体への設置が困難であるという課題があった。
【0007】
そのため、本発明においては、60GHz~120GHzの高周波の電磁波の入射による吸収特性に優れた性能を有し、さらに、柔軟性を有し種々の曲面に設置することが可能な電磁波吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、導電性材料を含有し表面抵抗が10Ω/□~104Ω/□であるシ ートが、プリーツ状に折り曲げられて形成された構造体であって、折り曲げられた稜線 に対して非平行にスリットが複数穿設されており、複数の前記スリットを折り目線とし て折り曲げ可能であることを特徴とする電磁波吸収体である。
【0009】
〔2〕そして、前記スリットが、前記稜線に対して垂直方向又は斜め方向に形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の電磁波吸収体である。
【0010】
〔3〕そして、前記シートは、厚みが100μm~500μmであることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の電磁波吸収体である。
【0011】
〔4〕そして、前記シートの一の面に形成された前記稜線と前記シートの反対側である他の面に形成された前記稜線との高さが0.5mm~15mmであり、前記シートの折角度が10°~45°であることを特徴とする前記〔1〕から前記〔3〕のいずれかに記載の電磁波吸収体である。
【0012】
〔5〕そして、前記シートに含有される繊維が、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、オレフィン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕から前記〔4〕のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【0013】
〔6〕そして、前記導電性材料が、グラファイト、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕から前記〔5〕のいずれかに記載の電磁波吸収体である。
【0014】
〔7〕そして、前記シートの他の面に接着剤からなる接着層が設けられていることを特徴とする前記〔1〕から前記〔6〕のいずれかに記載の電磁波吸収体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電磁波吸収体によれば、60GHz~120GHzの高周波の電磁波の入射による吸収特性に優れた性能を有し、さらに、柔軟性を有し種々の曲面に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)本件発明の第一実施形態を示す電磁波吸収体における平面図である。(b)
図1(a)の部分拡大図である。
【
図2】(a)本件発明の第一実施形態を示す電磁波吸収体におけるA-A線断面図である。(b)
図2(a)の部分拡大図である。
【
図3】本件発明の第一実施形態を示す電磁波吸収体における使用状態を示す参考図である。
【
図4】本件発明の第二実施形態を示す電磁波吸収体における使用状態を示す参考図である。
【
図5】シートの電磁波吸収特性を表すグラフである。
【
図6】本件発明の第一実施形態を示す電磁波吸収体における電磁波吸収特性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電磁波吸収体に関する実施の形態について、添付の図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。なお、数値範囲を示す「~」の表記は、上限と下限を含むものである。
【0018】
図1から
図4に示すように、電磁波吸収体は、シート1がプリーツ状に、すなわち規則的に山折りと谷折りを繰り返して細く折り畳まれた襞状に折り曲げられて形成された構造体である。
【0019】
シート1は、導電性材料を含有し、その表面抵抗が10Ω/□~104Ω/□である薄手の部材である。これより、シート1は、60GHz~120GHzの電磁波に対して一定以上の吸収特性を備えるようになる。
【0020】
シート1に含有される導電性材料としては、グラファイト、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェンなどの炭素粉末、炭素繊維などの炭素材料を用いることができ、さらに、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、錫などの金属粒子や金属箔片、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などの金属酸化物を用いることができる。また、シート1の少なくとも一方の表面に、上述の金属粒子や金属箔片、金属酸化物を蒸着させて使用することもできる。このうち、グラファイト、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェンなどの炭素粉末、炭素繊維などの炭素材料から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの炭素材料であれば、軽量で酸化などによる劣化も少なく長期間安定に使用することができる。
【0021】
シート1の表面抵抗は、10Ω/□~104Ω/□であることが好ましく、102Ω/□~103Ω/□であることがさらに好ましい。シート1の表面抵抗がこの範囲であると、入射した60GHz~120GHzの電磁波を大きく反射したり、大きく透過したりすることなく、一定以上の吸収特性を備えるようになる。
【0022】
シート1を構成する材料として導電性材料以外にも種々の材料を使用することができる。シート1に含有される材料としては、繊維、樹脂フィルムなどが好ましい。このうち、繊維としては、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、オレフィン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などが好ましく、これらを単体で、又は複数含み合わせて用いることができる。シート1を構成する基材が、このような繊維であると、導電性材料を均一に分散することができるので、シート1の場所による吸収特性のバラつきが生じにくく、安定して60GHz~120GHzの電磁波を吸収することができる。
【0023】
また、シート1には、その他に必要に応じて、種々の材料を含有させることができる。例えば、シート1中に導電性材料をより均一に分散するために界面活性剤などの分散剤、シート1が燃えにくくするために難燃剤、雑菌などの繁殖を防ぐために第四アンモニウム塩などの抗菌剤、所定の色に着色するために顔料などの着色剤などの各種材料を、湿式抄紙に用いられる繊維懸濁液に予め添加しておきシート1に含有させ、又は、シート1を作製後に噴霧などして含浸させて、シート1に含有させることができる。
【0024】
そして、シート1は、上述の繊維、導電性材料、必要に応じてその他の添加剤などを配合し、均一に分散して繊維懸濁液を調整し、円網や長綱などのワイヤーを備える抄紙機にて脱水及び乾燥を行い一枚の紙として形成される湿式抄紙などの方法によって作製される。
【0025】
作製されたシート1の厚みは、100μm~500μmであることが好ましく、200μm~400μmであることがより好ましい。シート1の厚みがこの範囲であると、入射した60GHz~120GHzの電磁波を大きく反射したり、大きく透過したりすることなく、一定以上の吸収特性を備えるようになるだけでなく、軽量化することができ、後述する折り曲げ工程などにおいて加工がしやすいという効果も奏する。
【0026】
さらに、シート1の他の面には、接着剤が含有されてなる接着層が設けられていることが好ましい。そして、接着剤は、具体的に、アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系粘着剤、ウレタン樹脂などのウレタン系粘着剤であることが好ましい。接着層が設けられていることにより、シート1をプリーツ状に折り曲げた電磁波吸収体をミリ波レーダーなどの装置に固定することができる。
【0027】
そして、このようにして得られたシート1が、プリーツ状に、すなわち規則的に山折りと谷折りを繰り返して細く折り畳まれた襞状に折り曲げられて形成されて、電磁波吸収体が作製される。シート1が繰り返して折り曲げられ、プリーツ状に形成されることで、シート1に当たって反射した60GHz~120GHzの電磁波がさらに反射を繰り返すうちにその都度シート1に吸収されることで減衰されて段階的に吸収されるようにすることができる。なお、本明細書において、山折り及び谷折りで形成される線をいずれも稜線と呼ぶ。
【0028】
シート1の一の面に形成された稜線Rと、シート1の反対側である他の面に形成された稜線Rとの高さhは、0.5~15mmであることが好ましく、1~10mmであることがより好ましい。シート1の一の面に形成された稜線と反対側である他の面に形成された稜線Rとの高さhがこの範囲であると、60GHz~120GHzの電磁波を吸収することができるとともに、車体の内部など限られた空間しかないような場所でも容易に設置することができる。
【0029】
シート1が折り曲げられるときの折角度αが、10°~45°であることが好ましく、20°~40°であることがより好ましい。シート1が折り曲げられるときの折角度αがこの範囲であると、60GHz~120GHzの電磁波を効率よく吸収することができる。
【0030】
シート1を繰り返し折り曲げたときの一つの稜線Rと、同じ側の面における隣接する稜線Rのピッチ幅が、0.5~5mmであることが好ましく、1~3mmであることがより好ましい。同じ側の面における隣接する稜線Rのピッチ幅がこの範囲であると、シート1の一の面に形成された稜線と反対側の面に形成された稜線Rの高さも相俟って、高さ60GHz~120GHzの電磁波を吸収することができるとともに、車体の内部など限られた空間しかないような場所でも容易に設置することができる。
【0031】
そして、電磁波吸収体において、シート1が折り曲げられた稜線Rには、稜線Rに対して平行ではないスリット2が設けられている。すなわち、スリット2は、稜線Rに対して垂直方向に延びるよう形成され、又は稜線Rから所定角度で斜め方向に延びるよう形成されていることが好ましい。より具体的には、スリット2は、稜線Rに対して30°~150°傾斜して形成されていることが好ましい。
図1から
図3に示すように第一実施形態において、シート1の一の面に形成された複数の稜線Rに略垂直となるように形成されており、
図4に示すように第二実施形態において、シート1の一の面に形成された複数の稜線Rに約45°の角度となるように形成されている。このように、稜線Rに対して平行とならないスリット2が設けられていることにより、プリーツ状であることに起因する
図1の前後方向における折り曲げだけなく、
図1の左右方向にも折り曲げることができるので、凸面や凹面などの複数方向に湾曲曲面にフィットするように折り曲げることができる。したがって、ミリ波レーダーの筐体や、車体の内部など限られた空間しかないような場所でも容易に設置することができる。また、スリット2は、刃物で切断された切り込みとして形成されたり、細長い隙間が穿設されたりしている。なお、スリット2は、第一実施形態及び第二実施形態においてシート1の一の面に形成された複数の稜線Rに亘って一つずつ連続して設けられているが、取り付ける曲面の曲率などに応じて複数の稜線Rのうち一つ飛ばしで、二つ飛ばしなど不連続に設けることもできる。さらに、スリット2は、第一実施形態及び第二実施形態において、直線状に設けられているが、取り付ける装置や空間に設置することができるのであれば、曲線状とすることができる。
【0032】
以下、本件発明の第一実施形態に関して、具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
<参考例1~24>
まず、種々の表面抵抗を有する平坦なシート1を作製した。具体的には、繊維としてビニロン繊維を、導電性材料として多層カーボンナノチューブ(ビニロン繊維に対して5~20重量%)を用いて、湿式抄紙により厚さ300μmのシート1を複数作製した。これら作製したシート1のそれぞれの表面抵抗を、表面抵抗測定器(日東精工アナリテック株式会社製、型番:ロレスタ GX MCP-T700)にて測定した。また、それらのシート1のそれぞれに対して、電磁波吸収測定装置(自由空間法、一般財団法人ファインセラミックスセンター)にて、入射した79GHzの周波数の電磁波の反射量及び透過量を測定し、それらのデータから反射率、透過率、吸収率を算出した。具体的には、反射率については、反射率(%)=(10(反射量/20))2×100、透過率については、透過率(%)=(10(透過量/20))2×100の計算式から算出し、そして、吸収率は、吸収率(%)=100-反射率(%)-透過率(%)の計算式から算出した。
【0034】
この結果を表1に示し、表面抵抗と吸収率の関係を
図5に示す。これらの結果から、平坦なシートの段階で35%以上の電磁波の吸収率を示すことから、表面抵抗が10Ω/□~10
4Ω/□であるシートを良好と判断し、平坦なシートの段階で35%未満の電磁波の吸収率しか示さない上記範囲から外れるシートを不良と判断した。
【0035】
【0036】
そして、繊維としてビニロン繊維、導電性材料として多層カーボンナノチューブ(ビニロン繊維に対して10重量%)を原料として湿式抄紙により作製された、坪量100g/m
2で厚さ300μmであり、表面抵抗が130Ω/□であるシート1をプリーツ状に折り曲げて、電磁波吸収体を作製した。具体的には前記シート1を、高さhが2mm、折角度が10~15°となるように折り曲げ、
図1に示すようなプリーツ状の電磁波吸収体を作製した。そして、シート1に形成された稜線Rに対して垂直方向に延びるようにスリット2を刃物により切断して形成した。このスリット2により、上述したように、プリーツ状であることに起因する
図1の前後方向における折り曲げだけなく、左右方向にも折り曲げることができるので、凸面や凹面などの複数方向に湾曲曲面にフィットするように折り曲げることができる。
【0037】
そして、
図3のような稜線Rを縦断するスリット2においても折り曲げた状態において、それらスリット2あたりを目掛けて所定の周波数の電磁波を照射して、JIS R1679:2007に基づいて、自由空間法によりミリ波帯域における電磁波吸収特性を測定した。具体的には、電磁波吸収測定装置(自由空間法、財団法人ファインセラミックスセンター)にて、75~110GHzの周波数の電磁波を照射し、反射減衰量を測定した。これらの結果を
図6に示す。
【0038】
また、入射された電磁波の吸収率と反射減衰量の関係は、吸収率(%)=100-反射率(%)=(1-(10
(反射減衰量
/20))
2)×100で表され、反射減衰量が-30dB、-40dB、-50dBのとき、電磁波の吸収率はそれぞれ、99.9%、99.99%、99.999%となる。このため、
図6の結果から、本実施例において、75~110GHzの周波数の電磁波を99.86(-28.5dB)%以上吸収することができることが分かった。
【0039】
したがって、導電性材料を含有し、所定の表面抵抗を有するシート1をプリーツ状に折り曲げられて形成された構造体であって、折り曲げられた稜線Rに対して垂直なスリット2が穿設されている電磁波吸収体において、75~110GHzの周波数の電磁波を充分吸収可能であることが分かった。そして、当該電磁波吸収体であれば、凸面や凹面のような種々の曲面に設置することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・シート
2・・・スリット
R・・・稜線
h・・・高さ
α・・・折角度