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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】活性水生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20230101AFI20250116BHJP
【FI】
C02F1/68 520K
C02F1/68 510B
C02F1/68 520N
C02F1/68 530B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021062649
(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公開番号】P2022158035
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】513221352
【氏名又は名称】日本治水販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(74)【代理人】
【識別番号】100205693
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 協一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194249
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 実
(72)【発明者】
【氏名】立石 眞二
(72)【発明者】
【氏名】鬼村 知宏
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-191083(JP,A)
【文献】特開2004-275929(JP,A)
【文献】実開平04-045593(JP,U)
【文献】特開平07-000977(JP,A)
【文献】特開2004-243296(JP,A)
【文献】特開2005-144385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66- 1/68
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/28
C02F 1/30- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中でセラミックス粒子を流動させることにより活性水を生成する活性水生成装置であって、
内部空間を上下方向に沿って間隔を有して配置され、多数の通水孔が形成された複数の仕切板により複数の処理空間に区画し、下部に設けた導水部から導水された被処理水が前記複数の処理空間を通して上部に設けた排水部から排水される容器と、
前記複数の処理空間内にそれぞれ流動可能に収容される多数個のセラミックス粒子で構成される粒子グループと、
を有し、
前記各粒子グループのセラミックス粒子は、同一材質のセラミックス粒子を粒径の相違によりグループ分けされていて、通水方向の上流側から下流側に向けて粒径を順次大きくすることにより重量を順次重くし、
前記複数の仕切板に形成された前記通水孔は、通水を許容しつつ前記処理空間内に収容される前記セラミックス粒子の通過を不可とするサイズに形成されたこと特徴とする活性水生成装置。
【請求項2】
請求項に記載の活性水生成装置において、
前記処理空間は上下2段または3段に区画されていることを特徴とする活性水生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の活性水生成装置において、
前記処理空間内には、収容される多数個のセラミックス粒子を適正に流動可能とする流動領域が設けられていることを特徴とする活性水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス粒子を用いて活性水を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水の活性化処理法としてセラミックス処理法が知られている。このセラミックス処理法を適用した活性水生成装置として、垂直に設置したステンレス等の容器内に粒状に形成されたセラミックス粒子を密状態に多数個充填した密充填方式が提案されている。密充填方式の活性水生成装置は、容器の下部に設けた導入部から被処理水である水道水等を容器内に導入し、容器の上部に設けた排出部から排水する。水道水等の被処理水が容器内に通水されると、容器内に密充填された多数個のセラミックス粒子の表面に被処理水が接触して水の活性化処理が行われる。
【0003】
密充填方式の活性水の生成メカニズムとしては、セラミックス粒子と被処理水の界面に発生する電気二重層の効果により、被処理水側が正に帯電することで、会合状態に影響を与え、水素結合能力を高めることで被処理水の活性化処理が行われる。セラミックス粒子表面が界面流動電位により負に帯電して見かけ上内部が正に帯電していることから、ゼーベック効果によりセラミックス粒子表面に余剰の正電荷が存在し、この余剰正電荷が被処理水に作用することで被処理水が正に帯電し、水分子の会合状態に影響を与え、被処理水の活性化処理が行われる。密充填方式の活性水生成装置では、使用時間が増えるにつれてセラミックス粒子の表面に汚れが付着し、被処理水との界面に電気二重層が形成されなくなり、被処理水の活性化処理ができなくなる。
【0004】
密充填方式の課題を改善した活性水生成装置として、容器内に多数個のセラミックス粒子を密ではなく流動できる空間を有するように充填した流動方式の活性水生成装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に開示されている流動方式の活性水生成装置では、容器内への被処理水の通水で多数個のセラミックス粒子が踊るように流動し、互いに接触、衝突を繰り返しながら容器内を上昇し、自重で落下する適正に流動する動作を繰り返す。特許文献1に開示された流動方式の活性水生成装置は、容器内の上下に配置した仕切板で区画した処理空間内に所定粒径の多数個のセラミックス粒子を収容している。被処理水の流量が大きくなると多数個のセラミックス粒子が上仕切板の裏面に張り付くため、セラミックス粒子の自重(粒径)の大小により適正流動が得られる処理流量の拡大が制限される。
【0005】
処理流量範囲を拡大するには、容器の内径を大きくするというように容器の内径形状の変更で対処することが行われている。しかし、このような対処方法では容器の大型化を招くことになる。
【0006】
流動方式の活性水の生成メカニズムは、多数個のセラミックス粒子を流動させることで、セラミックス粒子同士が互いに衝突・摩擦を繰り返し、セラミックス粒子表面に汚れが付着することを妨げ、電気二重層の効果を出し続けることが可能となる。このように処理空間内で多数個のセラミックス粒子を流動させてセラミックス粒子同士の衝突・摩擦を繰り返し行わせる。その結果、セラミックス粒子表面に局所発熱作用が起こり、セラミックス粒子の表面と中心部との間に温度差が発生するため、ゼーベック効果によりセラミックス粒子表面に余剰の正電荷が存在することとなり、この余剰正電荷が被処理水に作用することでより被処理水が正に帯電し、水分子の会合状態に影響を与え、被処理水の活性化処理が行われる。言い換えれば、セラミックス粒子表面がきれいでなければ電気二重層が発生しないので、多数個のセラミックス粒子を流動させている。
【0007】
特許文献1に開示された流動式の活性水生成装置の課題を改善した流動方式の活性水生成装置として、処理空間内に粒径の異なる複数種、例えば2種のセラミックス粒子を混合して収容した活性水生成装置が提案されている(特許文献2)。特許文献2に開示された流動式の活性水生成装置の活性水の生成メカニズムは、容器内に導入される被処理水の流速は流量に比例するため(容器の内径が一定)、小流量では小径のセラミックス粒子が流動し、さらに流量が増えると小径のセラミックス粒子は上仕切板の裏面側に張り付くが大径のセラミックス粒子が処理空間内で流動する。このため、大径のセラミックス粒子が上仕切板の裏面側に張り付いて流動しなくなるまでの流量範囲で活性水の生成処理が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3705500号公報
【文献】特開2015-54318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2に開示された活性水生成装置は、セラミックス粒子を処理空間内で流動させる流動方式を採用することで密充填方式の活性水生成装置の有するセラミックス粒子に付着する汚れが蓄積し活性化の機能が時間と共に低下する課題を解決している。そして、特許文献2に開示された流動式の活性水生成装置は、特許文献1に開示された流動式の活性水生成装置では達成できない処理流量の拡大を可能としている。
【0010】
また、流動式の活性水生成装置といえどもセラミック粒子は常時処理水中に浸かっていることより、セラミックス粒子へ付着する汚れが全くゼロになるとは言えない。このため、セラミックス粒子に対する汚れの付着をできるだけ減らすことが望まれる。
【0011】
本発明の目的は、粒径の異なる複数種類のセラミックス粒子を用いた流動方式の活性水生成メカニズムの利点を維持しつつ、セラミックス粒子に対する汚れの付着をできるだけ減らすことを含めてさらに発展させた活性水生成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達成する第1発明の活性水生成装置は、被処理水中でセラミックス粒子を流動させることにより活性水を生成する活性水生成装置であって、内部空間を上下方向に沿って間隔を有して配置され、多数の通水孔が形成された複数の仕切板により複数の処理空間に区画し、下部に設けた導水部から導水された被処理水が前記複数の処理空間を通して上部に設けた排水部から排水される容器と、前記複数の処理空間内にそれぞれ流動可能に収容される多数個のセラミックス粒子で構成される粒子グループと、を有し、前記各粒子グループのセラミックス粒子は、同一材質のセラミックス粒子を粒径の相違によりグループ分けされていて、通水方向の上流側から下流側に向けて粒径を順次大きくすることにより重量を順次重くし、前記複数の仕切板に形成された前記通水孔は、通水を許容しつつ前記処理空間内に収容される前記セラミックス粒子の通過を不可とするサイズに形成された構成としている
【0014】
本発明の目的を達成する第発明の活性水生成装置は、第発明の活性水生成装置において、前記処理空間は上下2段または3段に区画することができる。
【0015】
本発明の目的を達成する第発明の活性水生成装置は、第1または第2発明の活性水生成装置において、前記処理空間内には、収容される多数個のセラミックス粒子を適正に流動可能とする流動領域を設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
第1発明によれば、処理空間を増やすことにより処理流量範囲を広げることができる。また、処理空間ごとに処理流量が設定できるため、任意の処理空間の容積を大きくしてセラミックス粒子の個数を増やすことで活性水の活性化を高めることができる。
【0017】
さらに、各処理空間内に収容される多数個のセラミックス粒子は被処理水が導入されていない状態で各処理空間の底に堆積している。処理流量が高くなるに従って下から上の処理空間内の多数個のセラミックス粒子が順に流動し活性水を生成する。この際、流動していない下流側の処理空間内に収容される多数個のセラミックス粒子は活性水により煽られて隣接するセラミックス粒子同士が擦り合って表面に付着した汚れが落とされる物理的な掃除機能である自浄作用が働く。また、活性水によりセラミックス粒子の表面の濡れ性が良くなって汚れ落ちが良くなり、不純物の付着が防止される。このため、セラミックス粒子の寿命が延び、セラミックス粒子の交換等の定期点検の時間間隔を大幅に長くできると共に、メインテナンス作業を簡単に済ますことができる。例えば大処理流量の使用が長期にわたり少なくても、全てのセラミックス粒子の汚れを防ぎ、長期間にわたってセラミックス粒子による活性水の生成効果を維持することができる。
【0018】
すなわち、発明によれば、全てのセラミックス粒子を同じ材質を使用することができるため、各処理空間毎の活性化能力に差が無く、また粒径別で処理流量の設定が行える。その際、前記複数の仕切板に形成された前記通水孔は、通水を許容しつつ前記処理空間内に収容される前記セラミックス粒子の通過を不可とするサイズに形成し、処理空間内に同一粒径のセラミックス粒子のみを収容可能としている。
【0019】
発明によれば、処理空間の段数が2段であれば、一つの処理空間の容積を大きくし、それに応じて収容するセラミックス粒子の個数を増やし、活性水の活性化を大幅に高めることができる。また、処理空間の段数が3段とすると、処理流量を少流量、中流量、大流量に分けることができる。このため、使用流量が小流量、中流量、大流量というユーザに対して活性水を提供できるだけでなく、使用頻度の大きな処理流量に対し、その処理流量に対応する処理空間の容積を増やすことで活性水の活性化を高めることができる。
【0020】
発明によれば、セラミックス粒子を適正に流動させ所定の処理流量で活性水の生成を行える。




【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による活性水生成装置の第1実施形態を示し、(a)は外観を示す正面図、(b)は(a)のA-A矢視縦断面図である。
図2図1に示す活性水生成装置の処理プロセスの説明図で、(a)は小処理流量での活性水生成プロセス、(b)は大処理流量での活性水生成プロセスを示す。
図3】本発明による活性水生成装置の第2実施形態を示し、(a)は外観を示す正面図、(b)は(a)のB-B矢視縦断面図である。
図4図3に示す活性水生成装置の活性水生成プロセスの説明図で、(a)は小処理流量での活性水生成プロセス、(b)は中処理流量での活性水生成プロセス、(c)は大処理流量での活性水生成プロセスを示す。
図5】第1実施形態と第2実施形態の活性水生成装置の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0023】
第1実施形態
【0024】
図1は活性水生成装置の第1実施形態を示し、(a)は外観を示す正面図、(b)は(a)のA-A矢視縦断面図である。
【0025】
活性水生成装置1は例えば配水管から分岐して宅内側に引き込まれた給水管に取り付けられ、水栓を開くと生成処理した活性水が水道管内を通して供給される。例えば複数の水栓を同時に開いた場合等では活性水生成装置1に導入される水道水である被処理水の流入流量が大流量となり、一つの水栓のみを開いた場合等では小流量となる。
【0026】
活性水生成装置1は、上端が開口した円筒形状に形成された例えばステンレス製の容器本体2と、容器本体2の上端開口3を塞ぐ例えばステンレス製の蓋体4により構成する容器5を有する。容器本体2の下端には水道水等の被処理水を内部に導入する導入部6Aが設けられ、蓋体4の上面には生成された活性水を器外に排水する排水部6Bが設けられている。蓋体4は上端開口3に設けた内フランジ部7にOリング8を挟んでねじ9を介して水密状態に固定され、容器5の内部に密閉された空間10を形成する。容器5は導入部6Aを下にして垂直姿勢に設置される。
【0027】
空間10内は、第1処理空間11と第2処理空間12の上下2段に区画されている。第1処理空間11と第2処理空間12は上下方向で隔設した下側の第1仕切板21と、中央の第2仕切板22と上側の第3仕切板23により仕切られている。
【0028】
第1処理空間11には、多数個の第1粒径セラミックス粒子31で構成される第1粒子グループ32が収容され、第2処理空間12には多数個の第2粒径セラミックス粒子33で構成される第2粒子グループ34が収容されている。第1粒子グループ32の第1粒径セラミックス粒子31と第2粒子グループ34の第2粒径セラミックス粒子33は、主成分としてケイ素とアルミニウムを有し、これらの主成分に加えてアルカリ金属やアルカリ土類金属が含有された酸化物系の鉱石からなり、長石類や雲母類、花崗岩等の鉱石を例示できる。長石類としては、曹長石(NaAlSi3O8)、灰長石(CaAl2Si2O8)、雲母類としては、金雲母(KMg3[(AlSi3)O10](OH)2)、白雲母(KAl2[(AlSi3)O10](OH)2)等を例示でき、これらに限定されるものではない。
【0029】
本実施形態において、第1粒子グループ32の第1粒径セラミックス粒子31の外径(粒径)を第2粒子グループ34の第2粒径セラミックス粒子33の外径(粒径)よりも小径としている。
【0030】
第1処理空間11を区画する第1仕切板21と第2仕切板22には、通水を許容しつつ第1粒径セラミックス粒子31の通過を不可とするサイズの第1通水孔21aと第2通水孔22aが多数形成されている。また、第2処理空間12を区画する第3仕切板23は、通水を許容しつつ第2粒径セラミックス粒子33の通過を不可とするサイズの第3通水孔23aが多数形成されている。なお、第2処理空間12を区画する第2仕切板22に形成された第2通水孔22aは第1粒径セラミックス粒子31の通過を不可としているため、第2粒径セラミックス粒子33の通過は不可である。
【0031】
したがって、第1粒子グループ32の第1粒径セラミックス粒子31は第1処理空間11内に閉じ込められ、第2粒子グループ34の第2粒径セラミックス粒子33は第2処理空間12内に閉じ込められる。
【0032】
すなわち、活性水生成装置1は、容器5内に収容するセラミックス粒子を粒径別に2層(多層)に配置した構造としている。
【0033】
図1(b)は被処理水が通水されていない非通水状態を示し、第1処理空間11内に収容される第1粒子グループ32の第1粒径セラミックス粒子31は第1仕切板21上に積層状態で沈み、積層上面と第2仕切板22との間に第1流動領域11Aが設けられている。同様に、第2処理空間12内に収容される第2粒子グループ34の第2粒径セラミックス粒子33は第2仕切板22上に積層状態で沈み、積層上面と第3仕切板23との間に第2流動領域12Aが設けられている。
【0034】
第1処理空間11と第2処理空間12の内径を等しくしているので、第1処理空間11と第2処理空間12を通過する水の流量は等しく流速も等しい。
【0035】
第1処理空間11内に収容された多数個の第1粒径セラミックス粒子31と、第2処理空間12内に収容された多数個の第2粒径セラミックス粒子33がそれぞれ適正に流動する流量(流速)が異なる。セラミックス粒子が適正に流動するとは、容器5内に導入された被処理水の流速でセラミックス粒子が上方に向けて持ち上げられ、自重で落下し再び上方に移動する動作が繰り返し行われると共にセラミックス粒子が互いに接触、衝突し、水中で踊るような挙動を行うことをいい、この場合の流量を処理流量とする。
【0036】
第1粒径セラミックス粒子31は第2粒径セラミックス粒子33よりも小径であって同一材質であるため、重量は第1粒径セラミックス粒子31が第2粒径セラミックス粒子33よりも軽い。したがって、第1処理空間11での処理流量は第2処理空間12での処理流量よりも小さい。以下、第1実施形態において、第1処理空間11での処理流量を小処理流量、第2処理空間12での処理流量を大処理流量とする。小処理流量と大処理流量との間において、ある流量を超えると第1粒径セラミックス粒子31が第2仕切板22の下面に張り付いて流動ができない張り付き状態が出現する。
【0037】
また、第1処理空間11内には小処理流量での流動を確保する第1流動領域11Aが設定され、第2処理空間12内には大処理流量での流動を確保する第2流動領域12Aが設定されている。
【0038】
次に、図2を参照して活性水生成装置1の活性水生成プロセスを説明する。
【0039】
図2(a)は小処理流量の被処理水を第1処理空間11内で処理し、活性水を生成している状態を示し、多数個の第1粒径セラミックス粒子31が第1処理空間11内で流動している。一方、第2処理空間12内の第2粒径セラミックス粒子33は第2仕切板22上に堆積した状態を示す。
【0040】
図2(a)において、第1処理空間11で生成された活性水は、第2仕切板22の第2通水孔22aを通して第2処理空間12内に通水され、排水部6Bから不図示の水栓等に排水される。第2処理空間12内に通水された活性水は、第2仕切板22上に堆積している第2粒径セラミックス粒子33に接触する。このため、第2粒径セラミックス粒子33の表面が活性化して汚れ等の付着を防ぐ。
【0041】
また、第2仕切板22上に堆積している多数個の第2粒径セラミックス粒子33は、第1処理空間11から通水される活性水により煽られて隣接する第2粒径セラミックス粒子33同士が擦り合って表面に付着した汚れが落とされる物理的な掃除機能である自浄作用が働く。
【0042】
したがって、第2粒径セラミックス粒子33の寿命が延び、長期にわたって第2粒径セラミックス粒子33の活性水生成機能を維持することができ、活性水生成装置1の定期点検の時間間隔を大幅に長くでき、定期点検、メインテナンス作業の簡素化が図れる。
【0043】
第1処理空間11内に収容する第1粒径セラミックス粒子31の個数が多いと生成される活性化が高まる。小処理流量での活性化を高めるには、第1処理空間11の高さを高くして容積を拡げ、第1粒径セラミックス粒子31の個数を増やせば良い。
【0044】
図2(b)は、被処理水が大処理流量の場合を示し、第1処理空間11内の第1粒径セラミックス粒子31は第2仕切板22の下面に張り付いた張り付き状態となっている。大処理流量では第2処理空間12内の第2粒径セラミックス粒子33が流動することで活性水の生成処理が行える。大処理流量での活性化を高めるには、第2処理空間12の高さを高くして容積を拡げ、第2粒径セラミックス粒子33の個数を増やせば良い。
【0045】
活性水生成装置1は、第2粒径セラミックス粒子33が流動する大処理流量まで処理流量範囲を広げることができるだけでなく、小処理流量での活性化と大処理流量での活性化を任意に高めることが可能となる。
【0046】
本実施形態において、第1粒径セラミックス粒子31の粒径範囲は1mm~4mm、第2粒径セラミックス粒子33の粒径範囲は4mm~7mmとしている。一例として第1粒径セラミックス粒子31の粒径を3mm、第2粒径セラミックス粒子33の粒径を6mmとしている。なお、第1粒径セラミックス粒子31の粒径を4mmとした場合には、第2粒径セラミックス粒子33の粒径は4mmを超えて7mmまでの範囲となる。
【0047】
第2実施形態
【0048】
図3は本発明による活性水生成装置の第2実施形態を示し、(a)は活性水生成装置の外観を示す正面図、(b)は(a)のB-B矢視縦断面図である。図3において、図1に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図3において、活性水生成装置100の空間10内は、第1処理空間11と第2処理空間12と第3処理空間13を上下方向3段に区画されており、例えば第1実施形態の第2処理空間12の上に新たに第3処理空間13を加えた構成としている。第3処理空間13は上下方向で隔設した第3仕切板23と最上段の第4仕切板24により仕切られている。また、第3処理空間13は、第3粒径セラミックス粒子35が流動できる第3流動領域13Aを有している。
【0050】
第3処理空間13には、多数個の第3粒径セラミックス粒子35で構成される第3粒子グループ36が収容されている。第3粒子グループ36の第3粒径セラミックス粒子35は、第2粒子グループ34の第2粒径セラミックス粒子33の粒径よりも大径としている。したがって、粒径は第1粒径セラミックス粒子31が最も小径で、第3粒径セラミックス粒子35が最も大径であり、第2粒径セラミックス粒子33がその中間に位置する中径となる。本実施形態において、第3粒径セラミックス粒子35の粒径範囲を7mm~10mmとし、一例として8mmとしている。なお、第2粒径セラミックス粒子33の粒径を7mmとした場合、第3粒径セラミックス粒子35の粒径範囲は7mmを超えて10mmまでの範囲となる。
【0051】
第3処理空間13を区画する最上段の第4仕切板24は、通水を許容しつつ第3粒径セラミックス粒子35の通過を不可とするサイズの第4通水孔24aが多数形成されている。なお、第3処理空間13を区画する第3仕切板23に形成された第3通水孔23aは第2粒径セラミックス粒子33の通過を不可としているため、第3粒径セラミックス粒子35の通過は不可である。第3粒径セラミクス粒子35は、第1粒径セラミックス粒子31および第2粒径セラミックス粒子33と同じ材質で形成されている。
【0052】
第1実施形態において第2粒径セラミックス粒子33の処理流量を大処理流量と称したが、第2実施形態では中処理流量と称す。そして、第3粒径セラミックス粒子35の処理流量を大処理流量と称す。中処理流量と大処理流量との間において、ある流量を超えると第2粒径セラミックス粒子33が第3仕切板23の下面に張り付いて流動ができない張り付き状態が出現する。また、第3処理空間13内には大処理流量での流動を可能とする第3流動領域13Aが設定されている。
【0053】
図4を参照して活性水生成装置100の活性水生成プロセスを説明する。
【0054】
図4(a)に示すように、被処理水の流量が小流量では、第1実施形態と同様に先ず下段の第1処理空間11の第1粒径セラミックス粒子31が流動して活性水を生成し、生成された活性水は上方の第2処理空間12を経て第3処理空間13に流れて排水部6Bから器外に排水される。その際、流動していない第2粒径セラミックス粒子33と第3粒径セラミックス粒子35は活性水が接触して活性化されると共に前述した自浄作用により汚れ等の付着が防止される。
【0055】
図4(b)に示すように中処理流量では第1粒径セラミックス粒子31が第2仕切板22の下面に張り付いて流動していない状態であるが、第2処理空間12の第2粒径セラミックス粒子33が流動して活性水を生成する。ここまでの活性水生成プロセスは第1実施形態と同様である。
【0056】
第1実施形態の活性水生成装置1は容器5内に収容するセラミックス粒子を粒径別に2層に配置した構造としているのに対し、第2実施形態の活性水生成装置100は、更に第3粒径セラミックス粒子35を収容する第3処理空間13を加えた3層構造としている。このため、図4(c)に示すように、高処理流量では、第2処理空間12内の第2粒径セラミックス粒子33が第3仕切板23の下面に張り付いているが、第3処理空間13内で第3粒径セラミックス粒子35が流動する。このため、処理流量範囲は中処理流量を超えて高処理流量まで拡大される。
【0057】
すなわち、粒径別にセラミックス粒子を収容した処理空間を容器5内に多層に配置し、各処理空間に収容されるセラミックス粒子の粒径を被処理水が通水される下側から上側に向けて順次大きくすることで、最大粒径のセラミックス粒子が適正に流動する処理流量まで処理流量範囲を拡大することができる。
【0058】
言い換えれば、各処理空間に収容されるセラミックス粒子の重量を被処理水が通水される下側から上側に向けて順次重くすることで、処理流量範囲を最大重量のセラミックス粒子が適正に流動する処理流量まで拡大することができる。
【0059】
すなわち、上下の各処理空間に収容される多数個のセラミックス粒子が適正に流動する被処理水の流速を被処理水が通水される下側から上側に向けて順次速くすることで、処理流量範囲を拡大することができる。
【0060】
次に、第1実施形態と第2実施形態の活性水生成装置の効果について図5を用いて説明する。
【0061】
図5において、左側に示す第1実施形態の活性水生成装置1と、右側に示す第2実施形態の活性水生成装置100は容器5の内径、高さが同じものとする。
【0062】
第1処理空間11に収容される第1粒子グループ32の高さは水平線Lで示すように、第1実施形態の活性水生成装置1が第2実施形態の活性水生成装置100よりも高い。すなわち、高くなった分だけ第1実施形態の活性水生成装置1に収容される第1粒径セラミックス粒子の個数が多い。このため、第1実施形態の活性水生成装置1は小流量における活性水の活性化を第2実施形態の活性水生成装置100よりも高めることになる。
【0063】
第2実施形態の活性水生成装置100は、図5(b)に示すように、第1処理空間11の高さを空間10の約半分とし、第2処理空間12と第3処理空間13の高さを略同じ高さとしているが、これに限定されるものではない。小処理流量よりも中処理流量で生成される活性水の活性化を高める場合には第2処理空間12の高さを高くして容積を増やし、第1処理空間11または第3処理空間13の高さを低く、あるいは第1処理空間11と第3処理空間13の高さを低くする。このように、所望する処理流量で生成される活性水の活性化を任意に高めることができる。
【0064】
一つの処理空間内に同一材質で粒径の異なる複数のセラミックス粒子を収容した構成において、流動領域は共有されているため、セラミックス粒子が必ずしも適正に流動できていないことが考えられる。また、各処理流量での活性水の活性化を任意に高めることも難しい。
【0065】
これに対し、第1および第2実施形態に示す活性水生成装置1,100は、容器5内に設けた複数の処理空間(11、12、13)に、粒径ごとにセラミックス粒子(31、33、35)を収容している。このため、各処理空間(11、12、13)に異なる処理流量を設定しており、設定流量は被処理水が通水される下方の上流側から上方の下流側に向けて順次高く設定している。このため、各処理流量で各セラミックス粒子を他の粒径のセラミックス粒子に影響を受けずに適正に流動させることができる。また、所望する処理流量における活性水の活性化を容易に高めることができる。
【0066】
さらに、複数の処理空間(11、12、13)は被処理水が通水される上流側から順に下流側に向けて処理流量を大きくしているため、通水時の処理流量によって堆積状態のセラミックス粒子は上流側から流れる活性水で表面が活性化されると共に自浄作用で表面への汚れの付着が防止される。したがって、例えば大処理流量の使用が長期にわたり少なくても、全てのセラミックス粒子の汚れを防ぎ、長期間にわたってセラミックス粒子による活性水の生成効果を維持することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、100:活性水生成装置 2:容器本体 3:上端開口
4:蓋体 5:容器 6A:導入部 6B:排水部
7:内フランジ 8:Oリング 9:ねじ 10:空間
11:第1処理空間 11A:第1流動領域 12:第2処理空間
12A:第2流動領域 13:第3処理空間 13A:第3流動領域
21:第1仕切板 21a:第1通水孔 22:第2仕切板
22a:第2通水孔 23:第3仕切板 23a:第3通水孔
24:第4仕切板 24a:第4通水孔 31:第1粒径セラミックス粒子
32:第1粒子グループ 33:第2粒径セラミックス粒子
34:第2粒子グループ 35:第3粒径セラミックス粒子
36:第3粒子グループ
図1
図2
図3
図4
図5