(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測装置、予測方法および予測プログラム
(51)【国際特許分類】
B63B 43/00 20060101AFI20250116BHJP
B63B 49/00 20060101ALI20250116BHJP
B63B 81/00 20200101ALI20250116BHJP
【FI】
B63B43/00 Z
B63B49/00 Z
B63B81/00
(21)【出願番号】P 2021068366
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 高穂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 修一
(72)【発明者】
【氏名】池田 充志
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-11012(JP,A)
【文献】特開2014-125123(JP,A)
【文献】特開2020-171121(JP,A)
【文献】特開2006-342766(JP,A)
【文献】特開2021-30748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0047012(US,A1)
【文献】特開2000-6892(JP,A)
【文献】特開2015-73983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0240787(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0007851(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00- 85/00
B63J 1/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測装置であって、
前記船舶の航行計画を取得する航行計画取得部と、
前記航行計画における航路の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する稼働時間予測部と、
を備える予測装置。
【請求項2】
前記気象情報は、天候、風速、風向、波高、海面水温、海流速度および海流方向の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記船舶および機器に関する機材情報を取得する機材情報取得部をさらに備え、
前記稼働時間予測部は、前記気象情報および前記機材情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記稼働時間予測部は、機械学習された稼働時間予測モデルを用いて前記機器の稼働時間を予測する、請求項1~3のいずれかに記載の予測装置。
【請求項5】
前記予測された稼働時間に基づいて、前記機器のメンテナンス要否を予測するメンテナンス予測部をさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載の予測装置。
【請求項6】
前記機器は、海水から淡水を製造する造水装置である、請求項1~5のいずれかに記載の予測装置。
【請求項7】
前記機器は、廃液から油分を分離する油水分離機である、請求項1~5のいずれかに記載の予測装置。
【請求項8】
船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測方法であって、
前記船舶の航行計画を取得する航行計画取得工程と、
前記航行計画における航路の気象情報を取得する気象情報取得工程と、
前記気象情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する稼働時間予測工程と、
を備える予測方法。
【請求項9】
前記気象情報は、天候、風速、風向、波高、海面水温、海流速度および海流方向の少なくともいずれかを含む、請求項8に記載の予測方法。
【請求項10】
前記船舶および機器に関する機材情報を取得する機材情報取得工程をさらに備え、
前記稼働時間予測工程では、前記気象情報および前記機材情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する、請求項8または9に記載の予測方法。
【請求項11】
前記稼働時間予測工程では、機械学習された稼働時間予測モデルを用いて前記機器の稼働時間を予測する、請求項8~10のいずれかに記載の予測方法。
【請求項12】
前記予測された稼働時間に基づいて、前記機器のメンテナンス要否を予測するメンテナンス予測工程をさらに備える、請求項9または10に記載の予測方法。
【請求項13】
前記機器は、海水から淡水を製造する造水装置である、請求項8~12のいずれかに記載の予測装置。
【請求項14】
前記機器は、廃液から油分を分離する油水分離機である、請求項8~12のいずれかに記載の予測装置。
【請求項15】
船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測装置としてコンピュータを機能させるための予測プログラムであって、
前記船舶の航行計画を取得する航行計画取得部、
前記航行計画における航路の気象情報を取得する気象情報取得部、および
前記気象情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する稼働時間予測部、
としてコンピュータを機能させるための予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測装置、予測方法および予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海上を運行する船舶に設けられた造水装置や油水分離機などの機器は、積算稼働時間に応じてメンテナンス(機器の部品の点検または交換)を実施する必要がある。特許文献1には、舶用機関の日々の運転時間情報、舶用機関を構成するユニット部品別のメンテナンス周期、メンテナンス履歴情報、および舶用機関の年間計画運転時間を基に、メンテナンス計画を作成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンテナンスは航行中に実施することができないため、航行中にメンテナンス時期が到来する部品が発生しないように、船舶の出航前にメンテナンスを実施する必要がある。しかし、船舶の機器の稼働状況は気象によって変化するため、船舶の出航から目的地到着までの機器の稼働時間は航路の気象に影響される。よって、出航時の機器の積算稼働時間からメンテナンス要否を判断することが難しい。また、購入忘れなどにより機器の交換部品が入手できず、粗悪な品質の代替品を使用した場合、かえって機器の寿命を縮める恐れがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、船舶に設けられた機器の稼働時間を正確に予測することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測装置であって、前記船舶の航行計画を取得する航行計画取得部と、前記航行計画における航路の気象情報を取得する気象情報取得部と、前記気象情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する稼働時間予測部と、を備える予測装置によって解決される。
【0007】
本発明の上記課題は、船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測方法であって、前記船舶の航行計画を取得する航行計画取得工程と、前記航行計画における航路の気象情報を取得する気象情報取得工程と、前記気象情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する稼働時間予測工程と、を備える予測方法によって解決される。
【0008】
本発明の好ましい実施態様においては、前記気象情報は、天候、風速、風向、波高、海面水温、海流速度および海流方向の少なくともいずれかを含むことを特徴としている。
【0009】
本発明の好ましい実施態様においては、前記予測装置は、前記船舶および機器に関する機材情報を取得する機材情報取得部をさらに備え、前記稼働時間予測部は、前記気象情報および前記機材情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測することを特徴としている。また、前記予測方法は、前記船舶および機器に関する機材情報を取得する機材情報取得工程をさらに備え、前記稼働時間予測工程では、前記気象情報および前記機材情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測することを特徴としている。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、前記稼働時間予測部は、機械学習された稼働時間予測モデルを用いて前記機器の稼働時間を予測することを特徴としている。また、前記稼働時間予測工程では、機械学習された稼働時間予測モデルを用いて前記機器の稼働時間を予測することを特徴としている。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記予測装置は、前記予測された稼働時間に基づいて、前記機器のメンテナンス要否を予測するメンテナンス予測部をさらに備えることを特徴としている。また、前記予測方法は、前記予測された稼働時間に基づいて、前記機器のメンテナンス要否を予測するメンテナンス予測工程をさらに備えることを特徴としている。
【0012】
上記実施形態においては、前記機器は、海水から淡水を製造する造水装置であってもよい。
【0013】
上記実施形態においては、前記機器は、廃液から油分を分離する油水分離機であってもよい。
【0014】
本発明の上記課題は、船舶に設けられた機器の稼働時間を予測する予測装置としてコンピュータを機能させるための予測プログラムであって、前記船舶の航行計画を取得する航行計画取得部、前記航行計画における航路の気象情報を取得する気象情報取得部、および前記気象情報に基づいて前記機器の稼働時間を予測する稼働時間予測部、としてコンピュータを機能させるための予測プログラムによって解決される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、船舶に設けられた機器の稼働時間を正確に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムのブロック図である。
【
図3】航路および気象情報を取得する領域の一例である。
【
図7】海流速度および海流方向を示す気象図の一例である。
【
図9】予測装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
[システム構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システム1のブロック図である。管理システム1は、船舶Sを管理するシステムであり、制御端末2と、予測装置3とを備えている。
【0019】
制御端末2は、船舶Sのクルー等が操作する端末であり、タッチパネル等の入力装置(図示省略)、および、液晶ディスプレイなどの表示装置(図示省略)を備えている。制御端末2は、汎用のコンピュータで構成してもよいし、制御盤などの専用のコンピュータで構成してもよい。あるいは、制御端末2は、造水装置4または油水分離機5と一体的に構成することもできる。制御端末2は、造水装置4および油水分離機5の稼働状態を監視するとともに、入力装置への操作に応じて、造水装置4および油水分離機5を制御する。
【0020】
[予測装置の構成]
予測装置3は、船舶Sに設けられた機器である造水装置4および油水分離機5の稼働時間を予測する装置である。予測装置3は、船舶外に設けられており、インターネット等のネットワークNを介して制御端末2と通信可能に接続されている。予測装置3は、汎用のコンピュータで構成することができ、例えば、船舶Sを管理する管理会社や、造水装置4および油水分離機5の製造会社などによって管理されている。
【0021】
予測装置3は、ハードウェア構成として、CPUやGPUなどのプロセッサ、DRAMやSRAMなどの主記憶装置(図示省略)、および、HDDやSSDなどの補助記憶装置31を備えている。補助記憶装置31には、予測プログラムD1、稼働時間予測モデルD2および機器管理情報D3などの各種データが保存されている。
【0022】
また予測装置3は、機能ブロックとして、航行計画取得部32と、機材情報取得部33と、気象情報取得部34と、稼働時間予測部35と、メンテナンス予測部36と、外部通信部37とを備えている。これらの各部は、論理回路等によってハードウェア的に実現してもよいし、予測装置3のプロセッサによってソフトウェア的に実現してもよい。後者の場合、補助記憶装置31に記憶されている予測プログラムD1を、プロセッサが主記憶装置に読み出して実行することにより、前記各部を実現することができる。予測プログラムD1は、ネットワークNを介して予測装置3にダウンロードしてもよいし、予測プログラムD1を記録したCD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体を介して予測装置3にインストールしてもよい。
【0023】
航行計画取得部32は、船舶Sの航行計画を取得する。航行計画は、船舶Sの出航地、目的地、出航予定日、到着予定日などを含み、本実施形態では、船舶Sのクルーが制御端末2を介して航行計画を入力する。入力された航行計画のデータは、予測装置3に送信され、航行計画取得部32が取得する。
【0024】
機材情報取得部33は、船舶S、造水装置4および油水分離機5に関する機材情報を取得する。具体的には、機材情報は、船舶Sの船種、サイズおよび船齢、造水装置4の製造番号および製造水タンク水量、ならびに、油水分離機5の製造番号および廃液処理タンク水量などを含む。本実施形態では、制御端末2から航行計画のデータとともに造水装置4または油水分離機5の製造番号が送信され、機材情報取得部33は、当該製造番号を製造会社の外部サーバに照合することによって、船舶Sの船種等の他の機材情報を取得する。
【0025】
気象情報取得部34は、船舶Sの航行計画における航路の気象情報を取得する。例えば、
図2に示すように、航行計画が3月1日に港Aを出航し3月3日に港Bに到着する計画であるとする。その場合、気象情報取得部34は、
図3に示す航路Pを含む斜線で示された領域Rにおける3月1日~3月3日の気象情報(予報)を取得する。
【0026】
なお、航路Pは、港Aから港Bへ航行する標準的な航路であってもよいし、船舶Sのクルー等が決定してもよい。また、領域Rの幅は、航路Pと船舶Sの実際の航路との誤差を勘案して、適宜設定することができる。
【0027】
気象情報は、気象庁などの気象情報提供機関からネットワークNを介して取得することができる。気象の種類は、機器の稼働状況に影響を与えるものであれば特に限定されないが、例えば、天候、風速、風向、波高、海面水温、海流速度および海流方向である。
【0028】
天候、風速、風向、波高、海流速度および海流方向は、船舶Sの主機(エンジン)の負荷(船速)に影響を与える。例えば、向かい風が強い場合は、主機の負荷が増大する傾向があり、波高が大きい場合は、低速運航するために主機の負荷が低下する傾向がある。また、船舶Sが貨物船である場合、低速航行を行った後は、スケジュールの遅れを取り戻すため、高速航行に切り替える場合がある。海面水温は、造水装置4の造水量に影響を与える。
【0029】
気象情報の例を
図4~
図7に示す。
図4は、風速および風向を示す気象図の一例であり、
図5は、波高および波向を示す気象図の一例であり、
図6は、海面水温を示す気象図の一例であり、
図7は、海流速度および海流方向を示す気象図の一例である。なお、
図4~
図7は概略的な気象図であり、実際は、さらに詳細な情報が提供されている。
【0030】
稼働時間予測部35は、気象情報および機材情報に基づいて造水装置4および油水分離機5の稼働時間を予測する。本実施形態では、稼働時間予測部35は、機械学習された稼働時間予測モデルD2を用いて造水装置4および油水分離機5の稼働時間を予測する。すなわち、稼働時間予測部35は、気象情報取得部34が取得した気象情報、および機材情報取得部33が取得した機材情報を稼働時間予測モデルD2に入力し、これに応じて稼働時間予測モデルD2から出力された造水装置4および油水分離機5の稼働時間を予測結果として取得する。
【0031】
稼働時間予測モデルD2は、例えば以下のように生成される。まず、船舶Sの航行計画における航路を過去に航行した複数の船舶について、機材情報および航路における実際の気象情報と、造水装置および油水分離機の実際の稼動時間とを対応付けることにより教師データ(学習データセット)を作成する。そして、当該教師データを用いて、ニューラルネットワークなどの人工知能モデルを機械学習することによって稼働時間予測モデルD2が生成される。教師データにおける気象情報は、気象図から航路を含む所定範囲の領域を抽出した情報であってよく、例えば、航路が
図3に示す航路Pである場合、領域Rにおける気象情報であればよい。また、特定の機材に特化した稼働時間予測モデルD2を生成する場合は、教師データから機材情報を省略してもよい。
【0032】
メンテナンス予測部36は、稼働時間予測部35によって予測された稼働時間(以下、「予測稼働時間」と称する)に基づいて、造水装置4および油水分離機5のメンテナンス要否を予測する。本実施形態では、メンテナンス予測部36は、機器管理情報D3を参照して、造水装置4および油水分離機5の各部品の点検または交換の要否を予測する。
【0033】
図8は、機器管理情報D3の一例である。機器管理情報D3には、機器の工番、型番、消耗品名、交換目安時間および積算稼働時間が含まれている。交換目安時間は、当該部品を交換してから再度交換が必要となるまでの時間(メンテナンス周期)である。積算稼働時間は、当該部品を交換してから機器が稼働した積算時間であり、予測装置3が船舶Sの制御端末2から定期的に取得している。
【0034】
例えば、予測稼働時間が15時間であった場合、部品Aは船舶Sの航行中に積算稼働時間が交換目安時間を超えることとなる。よって、メンテナンス予測部36は、部品Aの交換が必要であると予測する。
【0035】
予測結果は、予測装置から制御端末2に送信され、制御端末2の表示装置に表示される。これにより、船舶Sのクルーは、メンテナンスが必要な部品を把握することができる。
【0036】
なお、稼働時間予測部35およびメンテナンス予測部36による予測は、船舶Sの航行前に行ってもよいし、船舶Sの航行中に行ってもよい。また、前記予測を船舶Sの航行前に行った場合であっても、船舶Sの航行中に気象の予報が変更されたり、航路が変更された場合は、航行中に航行計画取得部32、機材情報取得部33および気象情報取得部34による情報取得を行い、稼働時間予測部35およびメンテナンス予測部36による予測を行うことが好ましい。
【0037】
外部通信部37は、ネットワークNまたは他のネットワークを介して外部連絡先Tと通信することができる。例えば上記のように、メンテナンス予測部36によって部品Aの交換が必要であると予測された場合は、外部通信部37によって外部連絡先Tと通信を行い、部品Aを直近の寄航先に配送するなどの措置を講じることができる。本実施形態において、外部連絡先Tは、例えば船舶管理会社、交換部品販売業者、製品製造会社などである。
【0038】
[処理手順]
図9は、予測装置3の動作を示すフローチャートである。予測装置3では、航行計画取得部32が船舶Sの制御端末2から船舶Sの航行計画を取得する(航行計画取得工程S1)。同時に、機材情報取得部33が、制御端末2から船舶S、造水装置4および油水分離機5に関する機材情報を取得する(機材情報取得工程S2)。続いて、気象情報取得部34が船舶Sの航行計画における航路の気象情報を取得する(気象情報取得工程S3)。続いて、稼働時間予測部35が、気象情報および機材情報に基づいて造水装置4および油水分離機5の稼働時間を予測する(稼働時間予測工程S4)。さらに、メンテナンス予測部36が、予測稼働時間に基づいて、造水装置4および油水分離機5のメンテナンス要否を予測する(メンテナンス予測工程S5)。
【0039】
なお、工程S1~S3の順序は特に限定されない。また、各工程がコンピュータによって実行されるのであれば、各工程の動作主体は上記に限定されない。例えば、工程S1~S5の少なくとも一部を制御端末2によって実行してもよい。
【0040】
[小括]
以上のように、本実施形態では、航行計画における航路の気象情報に基づき、機械学習された稼働時間予測モデルD2を用いて造水装置4および油水分離機5の各機器の稼働時間を予測している。したがって、気象に影響される機器の稼働時間を正確に予測することができる。さらに、予測稼働時間に基づいて、機器のメンテナンス要否を予測することができる。
【0041】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0042】
上記実施形態では、船舶に設けられた機器として、造水装置および油水分離機を例示しているが、本発明はこれらに限定されない。機器は、エンジンなどの主機であってもよいが、本発明では、主に補機を対象としている。
【0043】
上記実施形態では、稼働時間予測部35は、気象情報および機材情報に基づいて機器の稼働時間を予測しているが、稼働時間予測モデルD2が特定の機材に特化したモデルである場合は、稼働時間予測部35は、気象情報のみに基づいて機器の稼働時間を予測してもよい。この場合、機材情報取得部33は省略可能である。
【0044】
また上記実施形態では、稼働時間予測部35は、機械学習された稼働時間予測モデルD2を用いて、すなわち人工知能を利用して機器の稼働時間を予測しているが、人工知能を利用せずに機器の稼働時間を予測してもよい。この場合、例えば造水装置の稼働時間は、以下の式で算出することができる。
【0045】
稼働時間=必要水量/造水予測量
ここで、必要水量は、平均消費量×航海日数×αで算出される。αは安全係数であり、造水装置を使用できない出航直後および入港直前の期間(予備日数)を勘案して設定される。また、造水予測量は、エンジン負荷および海水表面温度から予測することができ、エンジン負荷は気象(特に波高と風速)に依存する。
【0046】
また上記実施形態では、予測装置3のメンテナンス予測部36が機器のメンテナンス要否を自動で予測していたが、予測装置3では、稼働時間予測部35による機器の稼働時間の予測までを行い、予測稼働時間に基づいてユーザ(船舶Sのクルー等)が機器のメンテナンス要否を判断してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 管理システム
2 制御端末
3 予測装置
31 補助記憶装置
32 航行計画取得部
33 機材情報取得部
34 気象情報取得部
35 稼働時間予測部
36 メンテナンス予測部
4 造水装置
5 油水分離機
D1 予測プログラム
D2 稼働時間予測モデル
D3 機器管理情報
N ネットワーク
P 航路
R 領域
S 船舶