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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20250116BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250116BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250116BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021553749
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2020040990
(87)【国際公開番号】W WO2021085646
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2019200304
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510078160
【氏名又は名称】NExT-e Solutions株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 文昭
(72)【発明者】
【氏名】竹原 和男
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-092257(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054795(WO,A1)
【文献】特開平06-325794(JP,A)
【文献】特開2012-085461(JP,A)
【文献】特開2017-168244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電部を有する第1蓄電装置、及び、第2蓄電部を有する第2蓄電装置を並列に接続するための配線を備える蓄電システムであって、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第1蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第1蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第1切替部
を有し、
前記第2蓄電装置は、
前記配線及び前記第2蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第2蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第2蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第2切替部
を有し、
前記第1蓄電部は、第1の種類の二次電池を含み、
前記第2蓄電部は、第2の種類の二次電池を含み、
前記第1の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合であっても、原理的には電池系に不可逆な変化の生じない反応式で表され、
前記第2の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合、原理的に電池系に不可逆な変化の生じる反応式で表され、
前記第1蓄電部の充電終了電圧は、
前記第1蓄電部の満充電電圧以下であり、且つ、
前記第2蓄電部の充電終了電圧よりも大き
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間において前記第1切替部と並列に接続され、前記第1切替部よりも大きな抵抗を有し、前記配線から前記第1蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、前記第1蓄電部から前記配線に向かう方向に電流が通過することを抑制する制限部
をさらに有し、
前記第1切替部が前記配線と前記第1蓄電部とを電気的に切断し、且つ、前記第2切替部が前記配線と前記第2蓄電部とを電気的に切断した状態で、並列に接続された前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を充電する充電装置から供給される電流は、前記制限部を介して前記第1蓄電装置に流入する、
蓄電システム。
【請求項2】
前記第1切替部が前記配線と前記第1蓄電部とを電気的に切断し、且つ、前記第2切替部が前記配線と前記第2蓄電部とを電気的に切断した状態で、並列に接続された前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を充電する充電装置から供給される電流は、前記制限部を介して前記第1蓄電装置に流入し、前記第2蓄電装置に流入しない、
請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記第1蓄電部の満充電電圧は、並列に接続された前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を充電する充電装置の充電電圧よりも小さい、
請求項1又は請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記充電装置の前記充電電圧の設定値を制御する充電電圧制御部をさらに備える、
請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記充電装置は、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の充電期間の少なくとも一部において、定電流方式により前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を充電する、
請求項3又は請求項4に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、
前記第1蓄電部の電圧が充電終了電圧以下である場合、定電流方式により前記第1蓄電装置を充電し、
前記第1蓄電部の電圧が充電終了電圧より大きい場合、トリクル充電方式により前記第1蓄電装置を充電する、
請求項3から請求項5までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項7】
第1蓄電部を有する第1蓄電装置、及び、第2蓄電部を有する第2蓄電装置を並列に接続するための配線を備える蓄電システムであって、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第1蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第1蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第1切替部
を有し、
前記第2蓄電装置は、
前記配線及び前記第2蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第2蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第2蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第2切替部
を有し、
前記第1蓄電部は、第1の種類の二次電池を含み、
前記第2蓄電部は、第2の種類の二次電池を含み、
前記第1の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合であっても、原理的には電池系に不可逆な変化の生じない反応式で表され、
前記第2の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合、原理的に電池系に不可逆な変化の生じる反応式で表され、
前記第1蓄電部の充電終了電圧は、
前記第1蓄電部の満充電電圧以下であり、且つ、
前記第2蓄電部の充電終了電圧よりも大きく、
前記第1蓄電部の満充電電圧は、並列に接続された前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を充電する充電装置の充電電圧よりも小さく、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間において前記第1切替部と並列に接続され、前記第1切替部よりも大きな抵抗を有し、前記配線から前記第1蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、前記第1蓄電部から前記配線に向かう方向に電流が通過することを抑制する制限部
をさらに有し、
前記充電装置は、
前記第1蓄電部の電圧が充電終了電圧以下である場合、定電流方式により前記第1蓄電装置を充電し、
前記第1蓄電部の電圧が充電終了電圧より大きい場合、前記制限部を介してトリクル充電方式により前記第1蓄電装置を充電する、
蓄電システム。
【請求項8】
第1蓄電部を有する第1蓄電装置、及び、第2蓄電部を有する第2蓄電装置を並列に接続するための配線を備える蓄電システムであって、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第1蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第1蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第1切替部
を有し、
前記第2蓄電装置は、
前記配線及び前記第2蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第2蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第2蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第2切替部
を有し、
前記第1蓄電部は、第1の種類の二次電池を含み、
前記第2蓄電部は、第2の種類の二次電池を含み、
前記第1の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合であっても、原理的には電池系に不可逆な変化の生じない反応式で表され、
前記第2の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合、原理的に電池系に不可逆な変化の生じる反応式で表され、
前記第1蓄電部の充電終了電圧は、
前記第1蓄電部の満充電電圧以下であり、且つ、
前記第2蓄電部の充電終了電圧よりも大きく、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間において前記第1切替部と並列に接続され、前記第1切替部よりも大きな抵抗を有し、前記配線から前記第1蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、前記第1蓄電部から前記配線に向かう方向に電流が通過することを抑制する制限部
をさらに有し、
前記第2蓄電部は、前記配線及び前記第2蓄電部の間において前記第2切替部と並列に接続され、前記第2切替部よりも大きな抵抗を有し、前記配線から前記第2蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、前記第2蓄電部から前記配線に向かう方向に電流が通過することを抑制する制限部を有しない、
蓄電システム。
【請求項9】
前記第1蓄電装置が有する前記制限部は、
前記第1蓄電装置が有する前記制限部を流れる電流の電流量を制限する電流量制限部と、
前記電流量制限部と直列に接続され、前記配線から前記第1蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、前記第1蓄電部から前記配線に向かう方向に電流を通過させない電流方向制限部と、
を含む、
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項10】
第1蓄電部を有する第1蓄電装置、及び、第2蓄電部を有する第2蓄電装置を並列に接続するための配線を備える蓄電システムであって、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第1蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第1蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第1切替部
を有し、
前記第2蓄電装置は、
前記配線及び前記第2蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第2蓄電部の電圧差に基づいて、前記配線及び前記第2蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第2切替部
を有し、
前記第1蓄電部は、第1の種類の二次電池を含み、
前記第2蓄電部は、第2の種類の二次電池を含み、
前記第1の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合であっても、原理的には電池系に不可逆な変化の生じない反応式で表され、
前記第2の種類の二次電池の電池系は、過充電状態が持続した場合、原理的に電池系に不可逆な変化の生じる反応式で表され、
前記第1蓄電部の充電終了電圧は、
前記第1蓄電部の満充電電圧以下であり、且つ、
前記第2蓄電部の充電終了電圧よりも大きく、
前記第1蓄電装置は、
前記配線及び前記第1蓄電部の間に配され、前記配線及び前記第1蓄電部の間において前記第1切替部と並列に接続され、前記第1切替部を短絡させるための短絡部
をさらに有し、
前記短絡部は、
前記短絡部を、前記短絡部が前記第1切替部を短絡させる状態に移行させる短絡状態切替部
を含み、
前記短絡状態切替部は、前記蓄電システムの出力電流が前記蓄電システムの充電電流よりも大きいことが検出された場合、又は、前記蓄電システムの出力電流が前記蓄電システムの充電電流よりも大きくなることが予想された場合に、前記第1切替部を短絡させる、
電システム。
【請求項11】
前記短絡状態切替部は、
(i)前記短絡状態切替部が前記第1切替部を短絡させてから予め定められた期間が経過した場合、及び、(ii)前記蓄電システムの出力電流が前記蓄電システムの充電電流よりも小さいことが検出された場合又は前記蓄電システムの出力電流が前記蓄電システムの充電電流よりも小さくなることが予想された場合の少なくとも一方の場合に、
前記短絡部の状態を、前記短絡部が前記第1切替部を短絡させている状態から、前記短絡部が前記第1切替部を短絡させていない状態に切り替える、
請求項10に記載の蓄電システム。
【請求項12】
前記短絡状態切替部は、
前記蓄電システムが、前記蓄電システムから供給された電力を使用する負荷装置が電力の使用を開始することを示す情報を取得した場合に、
前記第1切替部を短絡させる、
請求項10又は請求項11に記載の蓄電システム。
【請求項13】
前記短絡状態切替部は、前記蓄電システムが電流を出力する前に、前記第1切替部を短絡させる、
請求項10から請求項12までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項14】
前記蓄電システムの出力電圧の変動を抑制するための変動抑制部をさらに備える、
請求項10から請求項13までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項15】
前記短絡状態切替部は、前記蓄電システムが電流を出力した後に、前記第1切替部を短絡させる、
請求項14に記載の蓄電システム。
【請求項16】
前記変動抑制部は、前記蓄電システムから供給された電力を使用する負荷装置が前記蓄電システムと電気的に接続された場合に、前記変動抑制部及び前記負荷装置が並列に接続されるように配される、
請求項15に記載の蓄電システム。
【請求項17】
前記蓄電システムが負荷装置に電力を供給したことを検出する検出部をさらに備え、
前記短絡状態切替部は、
前記検出部が、前記蓄電システムが負荷装置に電力を供給したことを検出した場合に、
前記第1切替部を短絡させる、
請求項10から請求項16までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項18】
前記蓄電システムが負荷装置に電力を供給した後、前記負荷装置の消費電流が連続的又は段階的に増加する、
請求項17に記載の蓄電システム。
【請求項19】
前記蓄電システムは、
前記負荷装置から、前記負荷装置に供給されるべき電流の大きさを示す要求信号を受信し、
前記要求信号により示される大きさの電流を出力する、
請求項18に記載の蓄電システム。
【請求項20】
前記負荷装置は、前記負荷装置の消費電流量を制御する消費電流制御部を備える、
請求項18に記載の蓄電システム。
【請求項21】
前記蓄電システムは、並列に接続された複数の前記第1蓄電装置を備え、
前記複数の第1蓄電装置の少なくとも2つが、前記短絡部を有する、
請求項10から請求項20までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項22】
前記第1蓄電装置と、
前記第2蓄電装置と、
をさらに備える、
請求項1から請求項21までの何れか一項に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電モジュールを備えた蓄電システムにおいて、当該蓄電モジュールが並列に接続される場合がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献2~4には、蓄電モジュールを活性挿抜することのできる蓄電システムが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開平11-98708号公報
[特許文献2]国際公開第2017/086349号
[特許文献3]国際公開第2017/086349号
[特許文献4]特開2019-092257号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
種類の異なる複数の蓄電モジュールが並列に接続された場合、複数の蓄電モジュールの種類の組み合わせによっては、少なくとも1つの種類の蓄電モジュールがその性能を十分に発揮できない場合がある。
【一般的開示】
【0004】
本発明の第1の態様においては、蓄電システムが提供される。上記の蓄電システムは、例えば、第1蓄電部を有する第1蓄電装置を備える。上記の蓄電システムは、例えば、第2蓄電部を有する第2蓄電装置を備える。上記の蓄電システムは、例えば、第1蓄電装置及び第2蓄電装置を並列に接続するための配線を備える。上記の蓄電システムにおいて、第1蓄電装置は、例えば、配線及び第1蓄電部の間に配され、配線及び第1蓄電部の電圧差に基づいて、配線及び第1蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第1切替部を有する。上記の蓄電システムにおいて、第2蓄電装置は、例えば、配線及び第2蓄電部の間に配され、配線及び第2蓄電部の電圧差に基づいて、配線及び第2蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第2切替部を有する。上記の蓄電システムにおいて、第1蓄電部は、例えば、第1の種類の二次電池を含む。第2蓄電部は、例えば、第2の種類の二次電池を含む。第1の種類の二次電池の電池系は、例えば、過充電状態が持続した場合であっても、原理的には電池系に不可逆な変化の生じない反応式で表される。第2の種類の二次電池の電池系は、例えば、過充電状態が持続した場合、原理的に電池系に不可逆な変化の生じる反応式で表される。上記の蓄電システムにおいて、第1蓄電部の充電終了電圧は、例えば、第1蓄電部の満充電電圧以下であり、且つ、第2蓄電部の充電終了電圧よりも大きい。
【0005】
本発明の第2の態様においては、蓄電システムが提供される。上記の蓄電システムは、例えば、第1蓄電部を有する第1蓄電装置、及び、第2蓄電部を有する第2蓄電装置を並列に接続するための配線を備える。上記の蓄電システムにおいて、第1蓄電装置は、例えば、配線及び第1蓄電部の間に配され、配線及び第1蓄電部の電圧差に基づいて、配線及び第1蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第1切替部を有する。上記の蓄電システムにおいて、第2蓄電装置は、例えば、配線及び第2蓄電部の間に配され、配線及び第2蓄電部の電圧差に基づいて、配線及び第2蓄電部の電気的な接続関係を切り替える第2切替部を有する。上記の蓄電システムにおいて、第1蓄電部は、例えば、第1の種類の二次電池を含む。第2蓄電部は、例えば、第2の種類の二次電池を含む。第1の種類の二次電池の電池系は、例えば、過充電状態が持続した場合であっても、原理的には電池系に不可逆な変化の生じない反応式で表される。第2の種類の二次電池の電池系は、例えば、過充電状態が持続した場合、原理的に電池系に不可逆な変化の生じる反応式で表される。上記の蓄電システムにおいて、第1蓄電部の充電終了電圧は、例えば、第1蓄電部の満充電電圧以下であり、且つ、第2蓄電部の充電終了電圧よりも大きい。
【0006】
第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムにおいて、第1蓄電部の満充電電圧は、並列に接続された第1蓄電装置及び第2蓄電装置を充電する充電装置の充電電圧よりも小さくてよい。第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムは、充電装置の充電電圧の設定値を制御する充電電圧制御部を備えてよい。上記の蓄電システムにおいて、充電装置は、第1蓄電装置及び第2蓄電装置の充電期間の少なくとも一部において、定電流方式により第1蓄電装置及び第2蓄電装置を充電してよい。上記の蓄電システムにおいて、充電装置は、第1蓄電部の電圧が充電終了電圧以下である場合、定電流方式により第1蓄電装置を充電してよい。上記の蓄電システムにおいて、充電装置は、第1蓄電部の電圧が充電終了電圧より大きい場合、トリクル充電方式により第1蓄電装置を充電してよい。
【0007】
第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムにおいて、第1蓄電装置は、配線及び第1蓄電部の間において第1切替部と並列に接続され、第1切替部よりも大きな抵抗を有し、配線から第1蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、第1蓄電部から配線に向かう方向に電流が通過することを抑制する制限部を有してよい。上記の蓄電システムにおいて、制限部は、制限部を流れる電流の電流量を制限する電流量制限部を含んでよい。上記の蓄電システムにおいて、制限部は、電流量制限部と直列に接続され、配線から第1蓄電部に向かう方向に電流を通過させ、第1蓄電部から配線に向かう方向に電流を通過させない電流方向制限部を含んでよい。
【0008】
第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムにおいて、第1蓄電装置は、配線及び第1蓄電部の間に配され、配線及び第1蓄電部の間において第1切替部と並列に接続され、第1切替部を短絡させるための短絡部を有してよい。上記の蓄電システムにおいて、短絡部は、短絡部が第1切替部を短絡させる状態に移行させる短絡状態切替部を含んでよい。上記の蓄電システムにおいて、蓄電システムの出力電流が蓄電システムの充電電流よりも大きいことが検出された場合、又は、蓄電システムの出力電流が蓄電システムの充電電流よりも大きくなることが予想された場合に、短絡状態切替部は、第1切替部を短絡させてよい。
【0009】
上記の蓄電システムにおいて、(i)短絡状態切替部が第1切替部を短絡させてから予め定められた期間が経過した場合、及び、(ii)蓄電システムの出力電流が蓄電システムの充電電流よりも小さいことが検出された場合又は蓄電システムの出力電流が蓄電システムの充電電流よりも小さくなることが予想された場合の少なくとも一方の場合に、短絡状態切替部は、短絡部の状態を、短絡部が第1切替部を短絡させている状態から、短絡部が第1切替部を短絡させていない状態に切り替えてよい。上記の蓄電システムにおいて、蓄電システムが、蓄電システムから供給された電力を使用する負荷装置が電力の使用を開始することを示す情報を取得した場合に、短絡状態切替部は、第1切替部を短絡させてよい。上記の蓄電システムにおいて、短絡状態切替部は、蓄電システムが電流を出力する前に、第1切替部を短絡させてよい。
【0010】
第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムは、蓄電システムの出力電圧の変動を抑制するための変動抑制部を備えてよい。上記の蓄電システムにおいて、短絡状態切替部は、蓄電システムが電流を出力した後に、第1切替部を短絡させてよい。上記の蓄電システムにおいて、変動抑制部は、蓄電システムから供給された電力を使用する負荷装置が蓄電システムと電気的に接続された場合に、変動抑制部及び負荷装置が並列に接続されるように配されてよい。
【0011】
第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムは、蓄電システムが負荷装置に電力を供給したことを検出する検出部を備えてよい。上記の蓄電システムにおいて、検出部が、蓄電システムが負荷装置に電力を供給したことを検出した場合に、短絡状態切替部が、第1切替部を短絡させてよい。上記の蓄電システムにおいて、蓄電システムが負荷装置に電力を供給した後、負荷装置の消費電流が連続的又は段階的に増加してよい。上記の蓄電システムは、負荷装置から、負荷装置に供給されるべき電流の大きさを示す要求信号を受信してよい。上記の蓄電システムは、要求信号により示される大きさの電流を出力してよい。上記の蓄電システムにおいて、負荷装置は、負荷装置の消費電流量を制御する消費電流制御部を備えてよい。
【0012】
第1の態様又は第2の態様に係る蓄電システムは、並列に接続された複数の第1蓄電装置を備えてよい。上記の蓄電システムにおいて、複数の第1蓄電装置の少なくとも2つが、短絡部を有してよい。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電力供給システム10のシステム構成の一例を概略的に示す。
図2】蓄電モジュール110のシステム構成の一例を概略的に示す。
図3】蓄電モジュール130のシステム構成の一例を概略的に示す。
図4】モジュール制御部240のシステム構成の一例を概略的に示す。
図5】蓄電モジュール110の回路構成の一例を概略的に示す。
図6】システム制御部140のシステム構成の一例を概略的に示す。
図7】各蓄電モジュールの電圧変動及び電流変動の一例を概略的に示す。
図8】蓄電システム100に印可される充電電圧の変動の一例を概略的に示す。
図9】充電装置14の出力特性の一例を概略的に示す。
図10】蓄電モジュール1010のシステム構成の一例を概略的に示す。
図11】モジュール制御部1040のシステム構成の一例を概略的に示す。
図12】モジュール制御部1040の回路構成の一例を概略的に示す。
図13】蓄電モジュール1330のシステム構成の一例を概略的に示す。
図14】蓄電モジュール1430のシステム構成の一例を概略的に示す。
図15】電力供給システム10のシステム構成の一例を概略的に示す。
図16】蓄電モジュール1630のシステム構成の一例を概略的に示す。
図17】モジュール制御部1640による制御の一例を概略的に示す。
図18】電力供給システム10における電流変動の一例を概略的に示す。
図19】電力供給システム1910のシステム構成の一例を概略的に示す。
図20】モジュール制御部1640による制御の一例を概略的に示す。
図21】電力供給システム1910における電流変動の一例を概略的に示す
図22】電力供給システム2210のシステム構成の一例を概略的に示す。
図23】モジュール制御部1640による制御の一例を概略的に示す。
図24】電力供給システム2210における電流変動の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0016】
図1は、電力供給システム10のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、電力供給システム10は、充電装置14と、充電切替部16と、蓄電システム100とを備える。電力供給システム10は、負荷装置20と、負荷切替部26とをさらに備えてもよい。本実施形態において、蓄電システム100は、接続端子102と、接続端子104と、接続端子102及び接続端子104を電気的に接続する配線106と、蓄電モジュール110と、蓄電モジュール130と、システム制御部140とを備える。
【0017】
説明を簡単にすることを目的として、本実施形態においては、蓄電システム100が単一の蓄電モジュール110と、単一の蓄電モジュール130とを備える場合を例として、電力供給システム10及び蓄電システム100の詳細が説明される。しかしながら、電力供給システム10及び蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電システム100は、複数の蓄電モジュール110を備えてよい。また、蓄電システム100は、複数の蓄電モジュール130を備えてよい。
【0018】
本実施形態において、電力供給システム10は、負荷装置20に電力を供給する。本実施形態において、電力供給システム10は、蓄電装置(例えば、蓄電システム100である。)を備え、蓄電装置に蓄積された電力を負荷装置20に供給する。しかしながら、電力供給システム10は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、電力供給システム10は、発電装置を備え、発電装置が発生させた電力を負荷装置20に供給してよい。電力供給システム10は、蓄電装置及び発電装置を備えてもよい。
【0019】
電力供給システム10は、例えば、蓄電装置、電気機器、輸送装置などに利用される。輸送装置としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、飛行機、昇降機、クレーンなどを例示することができる。電力供給システム10は、定置型の蓄電装置であってよい。電力供給システム10は、輸送装置から取り出された使用済みの蓄電装置を再利用して製造された又は組み立てられた定置型の蓄電システムであってもよい。
【0020】
本実施形態において、充電装置14は、蓄電システム100に電力を供給する。充電装置14は、例えば、系統電源から電力を受け取り、当該電力を蓄電システム100に供給する。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130が充電される。
【0021】
一実施形態において、電力供給システム10が負荷装置20に電力を供給している期間において、又は、上記の期間の少なくとも一部において、充電装置14が系統電源から受領する電力は、電力供給システム10が出力する電力よりも小さい。例えば、電力供給システム10の出力設備の定格電力は、充電装置14の受電設備の定格電力よりも小さい。
【0022】
電力供給システム10が複数の出力設備を備える場合、単一の出力設備の定格電力が、充電装置14の受電設備の定格電力より小さくてもよい。電力供給システム10が同時に複数の負荷装置20に電力を供給することができる場合、単一の負荷装置20に供給することのできる電力の定格値が、充電装置14の受電設備の定格電力より小さくてもよい。また、電力供給システム10が複数の受電設備を備える場合、電力供給システム10に配された1以上の出力設備の定格電力の合計値が、単一の受電設備の定格電力より小さくてもよく、電力供給システム10に配された単一の出力設備の定格電力が、単一の受電設備の定格電力より小さくてもよい。
【0023】
上記の実施形態によれば、負荷装置20の消費電力の大部分を蓄電システム100に蓄積された電力で賄うことができる。そのため、充電装置14が系統電源から受領する電力が、電力供給システム10が出力する電力より小さい場合であっても、電力供給システム10は、負荷装置20への電力の供給を継続することができる。これにより、充電装置14の受電設備が小型化又は簡素化され得る。また、系統電源から受電する電力の単価が減少しうる。
【0024】
他の実施形態において、充電装置14が系統電源から受領する電力は、電力供給システム10が出力する電力よりも大きい。これにより、蓄電システム100の蓄電残量が少ない場合であっても、電力供給システム10は、負荷装置20への電力の供給を継続することができる。
【0025】
本実施形態において、充電切替部16は、充電装置14と、蓄電システム100との電気的な接続関係を切り替える。例えば、充電切替部16は、充電装置14及び蓄電システム100が電気的に接続された状態と、充電装置14及び蓄電システム100が電気的に切断された状態とを切り替える。一実施形態において、充電切替部16は、充電装置14からの制御信号に基づいて、充電装置14及び蓄電システム100の電気的な接続関係を切り替える。他の実施形態において、充電切替部16は、システム制御部140からの制御信号に基づいて、充電装置14及び蓄電システム100の電気的な接続関係を切り替える。
【0026】
充電切替部16は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。充電切替部16は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0027】
充電切替部16は、1以上の素子を有してよい。充電切替部16は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、接続端子102及び充電装置14の間、又は、接続端子104及び充電装置14の間に配されてよい。スイッチング素子としては、リレー、サイリスタ、トランジスタなどを例示することができる。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。
【0028】
充電切替部16は、スイッチング素子の代わりに又はスイッチング素子とともに、1以上のDC-DCコンバータを有してよい。DC-DCコンバータは、絶縁型のDC-DCコンバータであってよい。DC-DCコンバータは、一方向型のDC-DCコンバータであってもよく、双方向型のDC-DCコンバータであってもよい。充電切替部16は、スイッチング素子の代わりに又はスイッチング素子とともに、変圧器を有してもよい。
【0029】
本実施形態において、充電切替部16は、充電装置14の一部を構成する。しかしながら、充電切替部16は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、充電切替部16は、蓄電システム100の一部を構成してよい。
【0030】
本実施形態において、負荷装置20は、接続端子102及び接続端子104と電気的に接続され、電力供給システム10が供給する電力を受け取る。負荷装置20は、電力を消費する電気機器であってもよく、電力を蓄積する蓄電機器であってもよい。負荷装置20が蓄電機器である場合、電力供給システム10は負荷装置20を充電する充電機器として機能する。
【0031】
本実施形態において、負荷切替部26は、負荷装置20と、蓄電システム100との電気的な接続関係を切り替える。例えば、負荷切替部26は、負荷装置20及び蓄電システム100が電気的に接続された状態と、負荷装置20及び蓄電システム100が電気的に切断された状態とを切り替える。一実施形態において、負荷切替部26は、負荷装置20からの制御信号に基づいて、負荷装置20及び蓄電システム100の電気的な接続関係を切り替える。他の実施形態において、負荷切替部26は、システム制御部140からの制御信号に基づいて、負荷装置20及び蓄電システム100の電気的な接続関係を切り替える。
【0032】
負荷切替部26は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。負荷切替部26は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0033】
負荷切替部26は、1以上の素子を有してよい。負荷切替部26は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、接続端子102及び負荷装置20の間、又は、接続端子104及び負荷装置20の間に配されてよい。スイッチング素子としては、リレー、サイリスタ、トランジスタなどを例示することができる。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。
【0034】
負荷切替部26は、スイッチング素子の代わりに又はスイッチング素子とともに、1以上のDC-DCコンバータを有してよい。DC-DCコンバータは、絶縁型のDC-DCコンバータであってよい。DC-DCコンバータは、一方向型のDC-DCコンバータであってもよく、双方向型のDC-DCコンバータであってもよい。負荷切替部26は、スイッチング素子の代わりに又はスイッチング素子とともに、変圧器を有してもよい。
【0035】
本実施形態において、負荷切替部26は、負荷装置20の一部を構成する。しかしながら、負荷切替部26は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、負荷切替部26は、電力供給システム10の一部を構成してよい。
【0036】
本実施形態において、蓄電システム100は、電力を蓄積する。また、蓄電システム100は、外部の機器からの要求に応じて、当該機器に電力を供給する。より具体的には、蓄電システム100は、充電装置14に電気的に接続され、電気エネルギーを蓄積する(蓄電システムの充電と称する場合がある)。また、蓄電システム100は、負荷装置20に電気的に接続され、負荷装置20に電力を供給する(蓄電システム100の放電と称する場合がある)。
【0037】
本実施形態において、蓄電システム100は、接続端子102及び接続端子104を介して、充電装置14と電気的に接続される。また、蓄電システム100は、接続端子102及び接続端子104を介して、負荷装置20と電気的に接続される。接続端子102及び接続端子104は、電力供給システム10と、電力供給システム10の外部の機器とのインターフェースとして機能してもよい。
【0038】
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれは、電力を蓄積する蓄電部(図示されていない。)を備える。また、本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130は、配線106を用いて並列に接続される。つまり、蓄電モジュール110の正極端子と、蓄電モジュール130の正極端子とが、配線106の一部により電気的に接続され、蓄電モジュール110の負極端子と、蓄電モジュール130の負極端子とが、配線106の他の一部により電気的に接続される。
【0039】
蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれは、蓄電システム100の筐体(図示されていない。)に着脱自在に保持されてよい。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれが、個別に交換され得る。
【0040】
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線106との接続関係を切り替えることができる。例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号、又は、ユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させたり、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106から電気的に切断したりすることができる。
【0041】
これにより、蓄電システム100に新たに実装する蓄電モジュールの電圧と、蓄電システム100に既に実装されている蓄電モジュールの電圧とが異なる場合であっても、蓄電モジュールの破損又は劣化を心配することなく、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのそれぞれを、個別に交換することができる。その理由は、例えば、下記のとおりである。
【0042】
近年のリチウムイオン電池の性能の向上により、リチウムイオン電池のインピーダンスが10mΩ程度にまで小さくなっている。そのため、例えば、2つの蓄電モジュールの電圧差が0.4Vしかない場合であっても、当該2つの蓄電モジュールを並列に接続すると、電圧の大きな蓄電モジュールから電圧の小さな蓄電モジュールに向かって、40Aもの大電流が流れる。その結果、蓄電モジュールが劣化したり、破損したりする。なお、蓄電モジュールの電圧は、蓄電モジュールの正極端子及び負極端子の間の電圧(蓄電モジュールの端子間電圧と称する場合がある。)であってよい。
【0043】
蓄電モジュールの交換作業に伴う蓄電モジュールの劣化又は破損を防止することを目的として、並列に接続された複数の蓄電モジュールの1つを個別に交換する場合、蓄電モジュールの交換作業を実施する前に、新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差が極めて小さくなるまで、時間をかけて両者の電圧を調整することが考えられる。新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差を極めて小さくすることで、蓄電モジュールの交換時に各蓄電モジュールに大きな電流が流れることを防止することができる。その結果、蓄電モジュールの劣化又は破損を抑制することができる。しかしながら、リチウムイオン電池のインピーダンスが小さくなるにつれて、新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差の許容値も小さくなり、電圧差の調整に要する時間が非常に長くなる可能性がある。
【0044】
これに対して、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれが、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線106との間の接続関係を切り替えることができる。そして、例えば、以下の手順により、蓄電モジュール110を交換することができる。
【0045】
まず、ユーザは、古い蓄電モジュール110を、蓄電システム100から取り外す。次に、ユーザは、新しい蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する。例えば、ユーザは、蓄電モジュール110の正極端子と蓄電部との間に配されたスイッチング素子を手動で操作して、蓄電モジュール110の正極端子と蓄電部とを電気的に切断する。
【0046】
その後、ユーザは、正極端子と蓄電部とが電気的に切断された状態の蓄電モジュール110を、蓄電システム100に実装する。このとき、正極端子と蓄電部とが電気的に切断されているので、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の間の電圧差が比較的大きくても、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の間に電流は流れない。その後、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の電圧差が適切な値になると、システム制御部140が、蓄電モジュール110と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。なお、システム制御部140の詳細は後述される。
【0047】
以上のとおり、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュールを交換又は実装する場合に、新たに蓄電システム100に実装される蓄電モジュールの電圧と、既に蓄電システム100に実装されている蓄電モジュールの電圧とを厳密に調整する必要がない。そのため、蓄電モジュールを容易かつ迅速に交換したり、実装したりすることができる。
【0048】
[蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の相違点]
本実施形態において、蓄電モジュール110の蓄電部の仕様と、蓄電モジュール130の蓄電部の仕様とが異なる。一実施形態において、蓄電モジュール110の蓄電部を構成する二次電池の種類と、蓄電モジュール130の蓄電部を構成する二次電池の種類とが異なる。他の実施形態において、蓄電モジュール110の電池系と、蓄電モジュール130の電池系とが異なる。さらに他の実施形態において、蓄電モジュール110の端子間電圧と、蓄電モジュール130の端子間電圧とが異なる。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の詳細は後述される。
【0049】
[システム制御部140の概要]
本実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の各部を制御する。例えば、システム制御部140は、(i)蓄電システム100の各部の状態を決定したり、(ii)蓄電システム100の各部の状態を監視したり、(iii)蓄電システム100の各部の動作を制御したりする。
【0050】
[システムの状態の決定]
一実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の状態を決定する。蓄電システム100の状態としては、充電状態、放電状態、スタンバイ状態又は停止状態などを例示することができる。例えば、システム制御部140は、充放電イベントに関する情報を受信する。システム制御部140は、上記の充放電イベントに関する情報に基づいて、蓄電システム100の状態を決定する。
【0051】
充放電イベントに関する情報は、蓄電システム100の放電又は充電が既に実施されたことを示す情報であってもよく、蓄電システム100の放電又は充電がこれから実施されることを示す情報であってもよい。充放電イベントに関する情報としては、(i)充電装置14、負荷装置20などの外部機器からの充電要求又は放電要求、(ii)外部機器が蓄電システム100に接続されたことを示す情報、(iii)当該外部機器の種類を示す情報、(iv)当該外部機器の動作の内容を示す情報、(v)当該外部機器の状態を示す情報、(vi)当該外部機器に対するユーザの指示又は操作を示す情報、(vii)電力供給システム10又は蓄電システム100に対するユーザの指示又は操作を示す情報、及び、(viii)これらの組み合わせなどを例示することができる。
【0052】
例えば、システム制御部140は、充電装置14の接続を検出した場合、又は、充電装置14の種類を示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断する。システム制御部140は、充電装置14から、充電を開始することを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してもよい。システム制御部140は、負荷装置20から、回生電流が発生していること又は回生電流が発生する可能性のあることを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してもよい。
【0053】
例えば、システム制御部140は、負荷装置20の接続を検出した場合、又は、負荷装置20の種類を示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が放電状態にあると判断する。システム制御部140は、負荷装置20から、電力を使用することを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が放電状態にあると判断してもよい。電力を使用することを示す信号としては、負荷装置20の電源をONにすることを示す信号、負荷装置20の電源がONになったことを示す信号、負荷装置20を運転モードに移行させることを示す信号、負荷装置20が運転モードに移行したことを示す信号などを例示することができる。
【0054】
[システムの状態の監視]
他の実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の状態を監視する。例えば、システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の少なくとも一方の状態を監視する。システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれの状態を監視してもよい。システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集してよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の電圧値、蓄電部を流れる電流値、蓄電部の電池容量、蓄電部の温度、蓄電部の劣化状態、及び、蓄電部のSOC(State Of Charge)から選択される少なくとも1つであってよい。
【0055】
蓄電部の電池特性(蓄電モジュールの電池特性と称する場合がある。蓄電部の電池特性は、蓄電モジュールを構成する複数の単電池のうちの単一の単電池の電池特性であってもよく、当該複数の単電池の組み合わせの電池特性であってもよい。)に関する情報は、蓄電部の仕様に関する情報、蓄電部の劣化状態に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。蓄電部の仕様に関する情報としては、蓄電部の種類又は型式、蓄電部の接続状態、蓄電部を充電することができる充電方式の種類、蓄電部を充電することができない充電方式の種類、定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)、定格電圧、定格電流、エネルギー密度、最大充放電電流、充電特性、充電温度特性、放電特性、放電温度特性、自己放電特性、充放電サイクル特性、初期状態における等価直列抵抗、初期状態における電池容量、初期状態におけるSOC[%]、蓄電電圧[V]などに関する情報を例示することができる。充電方式としては、CCCV方式、CC方式、トリクル充電方式などを例示することができる。
【0056】
蓄電部の接続状態としては、蓄電部を構成する単位セルの種類、当該単位セルの数、当該単位セルの接続形式などを例示することができる。単位セルの接続形式としては、直列に接続された単位セルの数、並列に接続された単位セルの数などを例示することができる。エネルギー密度は、体積エネルギー密度[Wh/m]であってもよく、重量エネルギー密度[Wh/kg]であってもよい。
【0057】
蓄電部の劣化状態に関する情報としては、任意の時点における蓄電部の情報であって、(i)満充電状態における電池容量、(ii)予め定められた温度条件におけるSOC、(iii)SOH(State Of Health)、(iv)等価直列抵抗(DCR、内部抵抗と称される場合もある。)、(v)初期状態又は予め定められたタイミングから積算された使用時間、充電回数、充電量、放電量、充放電サイクル数、温度ストレス要素及び過電流ストレス要素の少なくとも1つなどに関する情報を例示することができる。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の劣化状態に関する情報と、当該情報が取得された時刻に関する情報とを対応付けて格納してもよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、複数の時刻における、蓄電部の劣化状態に関する情報を格納してよい。
【0058】
SOH[%]は、例えば、劣化時の満充電容量(例えば、現在の満充電容量である。)[Ah]÷初期の満充電容量[Ah]×100として表される。SOHの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、蓄電部のSOHは、当該蓄電部の直流抵抗値及び開放電圧値の少なくとも一方に基づいて、算定又は推定される。SOHは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
【0059】
蓄電部の劣化状態の判定方法は、特に制限されるものでなく、現在知られている、又は、将来開発された判定方法を利用することができる。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量は減少し、等価直列抵抗は増加する。そのため、例えば、現在の電池容量、SOC又は等価直列抵抗と、初期状態の電池容量、SOC又は等価直列抵抗とを比較することで、電池の劣化状態を判定することができる。
【0060】
SOC[%]は、例えば、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。SOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、SOCは、例えば、(i)蓄電部の電圧の測定結果、(ii)蓄電部の電圧のI-V特性データ及び(iii)蓄電部の電流値の積算値の少なくとも1つに基づいて、算出又は推定される。SOCは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
【0061】
蓄電部の電池特性に関する情報は、当該蓄電部の充電時間及び放電時間の少なくとも一方に関する情報であってもよい。蓄電部の充電時間及び放電時間は、それぞれ、当該蓄電部を含む蓄電モジュールの充電時間及び放電時間であってもよい。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量が減少し、充電時間及び放電時間の少なくとも一方が短くなる。
【0062】
蓄電部の充電時間に関する情報は、蓄電システム100の充電時間に対する、当該蓄電部の充電時間の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の充電時間に関する情報は、蓄電システム100の充電時間を示す情報と、当該蓄電部の充電時間を示す情報とを含んでよい。上記の充電時間は、(i)1回の充電動作において、蓄電システム100又は蓄電部に電流又は電圧が印加された時間であってもよく、(ii)予め定められた期間における1又は複数の充電動作において、蓄電システム100又は蓄電部に電流又は電圧が印加された時間の総和であってもよい。
【0063】
蓄電部の充電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の充電回数に対する、当該期間における当該蓄電部の充電回数の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の充電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の充電回数を示す情報と、当該期間における当該蓄電部の充電回数を示す情報とを含んでよい。
【0064】
蓄電部の放電時間に関する情報は、蓄電システム100の放電時間に対する、当該蓄電部の放電時間の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の放電時間に関する情報は、蓄電システム100の放電時間と、当該蓄電部の放電時間とを含んでもよい。上記の放電時間は、(i)1回の放電動作において、蓄電システム100又は蓄電部が電流又は電圧を供給した時間であってもよく、(ii)予め定められた期間における1又は複数の放電動作において、蓄電システム100又は蓄電部が電流又は電圧を供給した時間の総和であってもよい。
【0065】
蓄電部の放電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の放電回数に対する、当該期間における当該蓄電部の放電回数の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の放電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の放電回数と、当該期間における当該蓄電部の放電回数とを含んでもよい。
【0066】
システム制御部140は、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報、及び、蓄電モジュール130に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報の少なくとも一方を、外部の機器に送信してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、充電装置14、負荷装置20、などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。出力装置としては、ディスプレイなどの表示装置、又は、マイクなどの音声出力装置を例示することができる。
【0067】
システム制御部140は、蓄電モジュールの電池特性に関する情報に基づいて、当該蓄電モジュールの性能を判定してよい。システム制御部140は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた判定条件を満足しない場合に、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。システム制御部140は、蓄電システム100の用途に基づいて、判定条件を決定してもよい。
【0068】
本実施形態においては、システム制御部140が、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報、及び、蓄電モジュール130に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報の少なくとも一方を収集し、収集された情報を外部の機器に送信する場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれが、各蓄電モジュールに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集して、収集された情報を外部の機器に送信してもよい。
【0069】
[システムの動作の制御]
他の実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の各部の動作を制御する。例えば、システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の少なくとも一方の動作を制御する。システム制御部140は、蓄電モジュール110の蓄電部と、配線106との接続関係を切り替えてよい。システム制御部140は、蓄電モジュール130の蓄電部と、配線106との接続関係を切り替えてよい。
【0070】
システム制御部140は、充電装置14及び充電切替部16の少なくとも一方の動作を制御してもよい。システム制御部140は、充電装置14から蓄電システム100への電力供給の開始及び停止を制御してよい。システム制御部140は、充電電圧及び充電電流の少なくとも一方の設定値を調整してよい。システム制御部140は、充電電圧及び充電電流の少なくとも一方の増加速度又は減少速度を制御してもよい。
【0071】
システム制御部140は、負荷装置20及び負荷切替部26の少なくとも一方の動作を制御してもよい。システム制御部140は、蓄電システム100から負荷装置20への電力供給の開始及び停止を制御してよい。システム制御部140は、出力電圧及び出力電流の少なくとも一方の設定値を調整してよい。システム制御部140は、出力電圧及び出力電流の少なくとも一方の増加速度又は減少速度を制御してもよい。
【0072】
システム制御部140は、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定してもよい。例えば、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が充電状態から始まる場合、システム制御部140は、電圧の小さな蓄電モジュールの蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。一方、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が放電状態から始まる場合、システム制御部140は、電圧の大きな蓄電モジュールの蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。なお、システム制御部140は、各蓄電モジュールの端子間電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定してもよい。
【0073】
一実施形態において、システム制御部140は、蓄電部を配線106に接続させるための信号を、決定された順番に従って各蓄電モジュールに送信してよい。他の実施形態において、システム制御部140は、電圧若しくはSOCが最も小さな蓄電モジュール、又は、電圧若しくはSOCが最も大きな蓄電モジュールを選択して、選択された蓄電モジュールに対してのみ、蓄電部を配線106に接続させるための信号を送信してもよい。
【0074】
システム制御部140は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、システム制御部140は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、システム制御部140は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、システム制御部140の各部を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0075】
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るシステム制御部140の一部として機能させるプログラムは、システム制御部140の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、システム制御部140の各部としてそれぞれ機能させる。
【0076】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0077】
なお、「電気的に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。特定の要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、特定の要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、特定の要素と他の要素とが現実に電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電セルとバランス補正部とが電気的に接続されたときに、特定の要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直列に電気的に接続されることを示し、「並列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが並列に電気的に接続されることを示す。
【0078】
[蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の並列接続]
上述されたとおり、蓄電システム100においては、仕様の異なる蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130が並列に接続される。そのため、本実施形態において、電力供給システム10又は蓄電システム100は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の仕様の相違を考慮して構築される。
【0079】
近年、電気自動車、ハイブリッド自動車などの輸送機器で使用されていた蓄電池の再利用方法の確立が急務となっている。しかしながら、例えば、電気自動車用の蓄電池と、ハイブリッド自動車用の蓄電池とでは、仕様の定格値及び劣化状態が大きく異なる。例えば、一般的に、電気自動車用の蓄電池は端子間電圧は、ハイブリッド自動車用の蓄電池の端子間電圧よりも大きい。また、電気自動車用の蓄電池の容量は、ハイブリッド自動車用の蓄電池の容量よりも大きい。
【0080】
そのため、例えば、電気自動車用の蓄電池の二次利用品(中古品、再利用品などと称される場合もある。)を利用して蓄電モジュール110を製造し、ハイブリッド自動車用の蓄電池の二次利用品を利用して蓄電モジュール130を製造し、両者を並列に接続して蓄電システム100を製造する場合、蓄電モジュール110の端子間電圧と、蓄電モジュール130の端子間電圧とが異なる。また、電気自動車用の蓄電池がリチウムイオン電池などである場合、蓄電モジュール110はトリクル充電方式に対応しない。一方、ハイブリッド自動車用の蓄電池がニッケル水素電池などである場合、蓄電モジュール130はトリクル充電方式に対応する。
【0081】
ここで、蓄電モジュール110に含まれる蓄電池の個数及び端子間電圧と、蓄電モジュール130に含まれる蓄電池の個数及び端子間電圧との関係によっては、蓄電モジュール130の端子間電圧が、蓄電モジュール110の端子間電圧よりも大きくなる。この場合、蓄電モジュール110の充電終了電圧の設定値は、蓄電モジュール130の充電終了電圧以下の値又は当該充電終了電圧よりも小さな値に調整される。
【0082】
この場合において、蓄電モジュール110がトリクル充電方式に対応しており、かつ、蓄電モジュール130はトリクル充電方式に対応していないときには、蓄電モジュール110の充電が終了した後、蓄電モジュール110が満充電電圧になるまで、蓄電モジュール110のトリクル充電が継続され得る。しかしながら、蓄電モジュール110に含まれる蓄電池の種類と、蓄電モジュール130に含まれる蓄電池の種類との関係によっては、蓄電モジュール110がトリクル充電方式に対応しておらず、かつ、蓄電モジュール130はトリクル充電方式に対応している場合も生じ得る。この場合、充電装置14の動作及び設定は、蓄電モジュール130のトリクル充電を考慮して決定される。
【0083】
蓄電モジュール130がトリクル充電方式に対応している場合、蓄電モジュール130の充電終了電圧は、蓄電モジュール130の満充電電圧以下となる。また、上述のとおり、本実施形態において、蓄電モジュール130の充電終了電圧は、トリクル充電方式に対応していない蓄電モジュール110の充電終了電圧よりも大きい。そこで、本実施形態によれば、充電装置14の充電電圧は、蓄電モジュール130の充電終了電圧よりも大きな値に設定される。
【0084】
これにより、蓄電モジュール130の充電が終了した後、蓄電モジュール130が満充電電圧になるまで、蓄電モジュール130のトリクル充電が継続され得る。なお、蓄電モジュール130の充電終了電圧は、例えば、蓄電モジュール130に含まれる蓄電池の個数及び端子間電圧により決定される。蓄電モジュール110の充電終了電圧は、例えば、蓄電モジュール110に含まれる蓄電池の個数及び端子間電圧により決定される。
【0085】
なお、蓄電モジュールの充電終了電圧は、蓄電モジュールを定電流領域で充電することが許容された電圧であってよい。充電終了電圧の設定値は、例えば、蓄電モジュールの製造者若しくは販売者、又は、蓄電システム100の設計者により指定される。また、蓄電モジュールの満充電電圧は、トリクル充電により蓄電モジュールの充電率が増加した後、当該充電率の増加速度が予め定められた値よりも小さくなった状態における電圧であってよい。蓄電モジュールの満充電電圧の値は、当該蓄電モジュールの充電終了電圧の値よりも大きい。
【0086】
例えば、充電装置14は、蓄電モジュールの充電を開始した後、当該蓄電モジュールの電圧又は充電率(SOCと称される場合がある。)が第1の値になるまで、定電流充電方式、定電圧充電方式、定電流定電圧充電方式などの比較的高速な充電方式により、当該蓄電モジュールを充電する。その後、充電装置14は、充電電流を小さくして、トリクル充電方式による充電を開始する。蓄電モジュールがトリクル充電方式により充電されている間、当該蓄電モジュールの電圧は、当該蓄電モジュールの電圧が第2の値になるまで、ゆっくりと増加する。蓄電モジュールの電圧が第2の値になると、当該蓄電モジュールの電圧がほとんど増加しなくなる。例えば、蓄電モジュールが、複数の蓄電セルと、当該複数の蓄電セルの電圧を均等化する均等化回路とを備える場合、当該蓄電モジュールがトリクル充電方式により充電されている間に、当該蓄電モジュールに含まれる複数の蓄電セルの電圧が均等化される。その結果、蓄電モジュールの電圧がほとんど増加しなくなる。この場合において、第1の値は、充電終了電圧の一例であってよい。また、第2の値は、満充電電圧の一例であってよい。
【0087】
また、上述のとおり、異なる種類の二次電池を並列に組み合わせて蓄電システム100を構築することで、単一の種類の二次電池からなる蓄電システム100と比較して、寿命、信頼性、充電性能、放電性能、エネルギー効率、温度特性及び経済性の少なくとも1つに優れた電力供給システムを構築することができる。例えば、鉛電池は、比較的広い温度範囲で動作するものの、充放電のエネルギー効率が比較的低い。一方、リチウムイオン電池は、充放電のエネルギー効率が高いものの、低温領域及び高温領域での動作に課題を有する。そこで、鉛電池からなる蓄電部を備えた蓄電モジュールと、リチウムイオン電池からなる蓄電部を備えた蓄電モジュールとを並列に組み合わせることで、広い温度範囲で動作しつつ、エネルギー効率の高い電力供給システムが構築され得る。
【0088】
また、ニッケル水素電池(例えば、NiMH電池である。)は、リチウムイオン電池と比較して、低温での動作に強く、瞬間的に取り出せる電力が大きいという特徴を有する。そこで、ニッケル水素電池からなる蓄電部を備えた蓄電モジュールと、リチウムイオン電池からなる蓄電部を備えた蓄電モジュールとを並列に組み合わせることで、広い温度範囲で動作し、瞬間的に取り出せる電力が大きく、電池容量も大きな電力供給システムが構築され得る。
【0089】
電力供給システム10は、蓄電システムの一例であってよい。蓄電システム100は、蓄電システムの一例であってよい。蓄電モジュール110は、第2蓄電装置の一例であってよい。蓄電モジュール110の蓄電部は、第2蓄電部の一例であってよい。蓄電モジュール130は、第1蓄電装置の一例であってよい。蓄電モジュール130の蓄電部は、第2蓄電部の一例であってよい。システム制御部140は、充電電圧制御部の一例であってよい。システム制御部140は、消費電流制御部の一例であってよい。
【0090】
本実施形態において、蓄電システム100が、並列に接続された2つの蓄電モジュールを備える場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電システム100は、並列に接続された3以上の蓄電モジュールを有してもよい。
【0091】
本実施形態において、蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、ユーザが、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に接続するための操作を実施する場合について説明した。しかしながら、蓄電モジュール110の実装方法又は交換方法は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、ユーザは、例えば、蓄電システム100の入力部(図示していない。)を操作して、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を入力する。入力部としては、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイク、音声認識システム、ジェスチャ入力システムなどを例示することができる。
【0092】
システム制御部140は、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を受け付けると、蓄電モジュール110と並列に接続された蓄電モジュール(本実施形態の場合、蓄電モジュール130である。)の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施してもよい。このとき、システム制御部140は、蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施してもよい。例えば、システム制御部140は、各蓄電モジュールの正極端子と蓄電部との間に配されたスイッチング素子をオフ動作させるための信号を、当該スイッチング素子に送信する。
【0093】
システム制御部140は、古い蓄電モジュール110が取り出され、新しい蓄電モジュール110が実装されたことを検出すると、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧を取得する。新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されている場合、システム制御部140は、例えば、蓄電モジュール110と蓄電モジュール130との電圧差が適切な値になるまで、蓄電モジュール110のみを利用して、蓄電システム100を運用する。そして、蓄電モジュール110と蓄電モジュール130との電圧差が適切な値になると、システム制御部140は、蓄電モジュール130と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。
【0094】
一方、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されていない場合、システム制御部140は、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定する。その後、システム制御部140は、決定された順番に従って各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる。なお、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されている場合、システム制御部140は、まず、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断してもよい。その後、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定し、決定された順番に従って各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させてもよい。
【0095】
図2は、蓄電モジュール110のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール110は、正極端子202と、負極端子204とを備える。また、蓄電モジュール110は、正極端子212及び負極端子214を有する蓄電部210と、切替部230とを備える。本実施形態において、蓄電部210は、蓄電セル222と、蓄電セル224と有する。本実施形態において、蓄電モジュール110は、モジュール制御部240と、保護部250と、バランス補正部260とをさらに備える。
【0096】
蓄電部210のインピーダンスは、1Ω以下であってもよく、100mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、10mΩ以下であってもよく、1mΩ以下であってもよく、0.8mΩ以下であってもよく、0.5mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上であってよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上1Ω以下であってもよく、0.1mΩ以上100mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上10mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上1mΩ以下であってもよい。
【0097】
本実施形態に係る蓄電システム100によれば、例えば、並列に接続された複数の蓄電モジュールのうちの1つを交換する場合に、蓄電システムに新たに追加する蓄電モジュールの電圧と、残りの他の蓄電モジュールの電圧とを高い精度で一致させなくてもよい。そのため、蓄電部210のインピーダンスが小さい場合であっても、蓄電モジュール110を容易かつ迅速に交換することができる。
【0098】
本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224は直列に接続される。蓄電セル222及び蓄電セル224は、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、当該蓄電セルの内部に、さらに直列、並列又はマトリクス状に接続された複数の蓄電セルを含んでもよい。
【0099】
本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224のそれぞれは、トリクル充電に対応不能な種類の二次電池で構成される。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、リチウムイオン電池であってよい。
【0100】
一般的に、満充電状態で充電が継続される環境下における二次電池の電池系に、不可逆な変化が生じない場合(つまり、過充電状態での二次電池の電池系の化学反応が、不可逆な変化を伴わない反応式により表される場合である)、当該二次電池はトリクル充電に対応可能である。トリクル充電に対応可能な二次電池としては、鉛電池、ニッケル水素電池およびニッケルカドミウム電池などが例示される。鉛電池、ニッケル水素電池およびニッケルカドミウム電池の電池系の通常の充放電時における化学反応は、夫々、下式(1)から(3)により表される。
PbO+Pb+2HSO ⇔ PbSO+PbSO+2HO …(1)
NiOOH+MH ⇔ Ni(OH) + M …(2)
2NiOOH+Cd+2HO ⇔ 2Ni(OH)+Cd(OH) …(3)
一方、満充電状態で充電が継続される環境下における二次電池の電池系に、不可逆な変化が生じる場合(つまり、過充電状態での二次電池の電池系の化学反応が、不可逆な変化を伴う反応式により表される場合である)、当該二次電池はトリクル充電に対応不能である。トリクル充電に対応不能な二次電池としては、リチウム電池およびリチウムイオン電池(リチウムイオンポリマー電池、及び、全固体電池を含む。)などが例示される。上記の二次電池のうち、特にリチウムイオン電池の電池系の通常の充放電時における化学反応は、下式(4)により表される。
Li(1-x)CoO+Li ⇔ LiCoO+C…(4)
ここで、リチウムイオン電池の過充電状態における化学反応では、正極活物質であるコバルト酸リチウムの結晶構造が過充電により崩れて酸素が発生する。この過充電による酸素の発生は、正極におけるコバルト酸リチウム(Li(1-x)CoO)と二酸化コバルト(CoO)との不均衡をもたらすものであって、本来の結晶構造に戻ることはなく、正極容量の低下を生じさせるものであることから、不可逆な変化として位置付けられる。
トリクル充電とは、満充電状態にあるかまたは満充電に近い状態にある二次電池に対し、微小電流の連続的または間欠的な充電を継続させる充電方式として定義することが可能である。本実施形態では、トリクル充電に対応可能な蓄電モジュールの充電終了後、その蓄電モジュールに対して通常の充電時における充電電流よりも小さな電流による充電を継続させ、満充電状態に近づける充電方式として、トリクル充電が具現される。よって、本実施形態において、トリクル充電用の微小電流は、対象とする蓄電モジュールの充電量を増大させることのできる電流であるが、充電終了時における充電状態がより満充電に近い場合は、対象とする蓄電モジュールの自然放電による充電量の減少を補うことができる程度の電流とすることも可能である。
【0101】
本実施形態において、蓄電部210の正極端子212が、蓄電モジュール110の正極端子202及び切替部230を介して、配線106と電気的に接続される。一方、蓄電部210の負極端子214は、蓄電モジュール110の負極端子204を介して、配線106と電気的に接続される。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210の負極端子214が、蓄電モジュール110の負極端子204及び切替部230を介して、配線106と電気的に接続される。一方、蓄電部210の正極端子212は、蓄電モジュール110の正極端子202を介して、配線106と電気的に接続される。
【0102】
本実施形態において、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間に配される。本実施形態において、切替部230は、配線106及び蓄電部210の電圧差に基づいて、配線106及び蓄電部210の電気的な接続関係を切り替える。例えば、切替部230は、モジュール制御部240が生成した信号に基づいて、配線106及び蓄電部210の接続状態を切り替える。これにより、蓄電部210を配線106に電気的に接続させたり、蓄電部210を配線106から電気的に切断したりすることができる。
【0103】
蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する場合、蓄電モジュール110は、切替部230により、蓄電部210と配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100に装着されてよい。これにより、蓄電モジュール110の破損又は劣化を防止することができる。
【0104】
切替部230は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0105】
切替部230は、1以上の素子を有してよい。切替部230は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、正極端子202及び正極端子212の間、又は、負極端子204及び負極端子214の間に配されてよい。スイッチング素子としては、リレー、サイリスタ、トランジスタなどを例示することができる。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。
【0106】
切替部230は、スイッチング素子の代わりに又はスイッチング素子とともに、1以上のDC-DCコンバータを有してよい。DC-DCコンバータは、絶縁型のDC-DCコンバータであってよい。DC-DCコンバータは、一方向型のDC-DCコンバータであってもよく、双方向型のDC-DCコンバータであってもよい。切替部230は、スイッチング素子の代わりに又はスイッチング素子とともに、変圧器を有してもよい。
【0107】
モジュール制御部240は、蓄電モジュール110の蓄電部210と、配線106との間に流れる電流を制御する。本実施形態において、モジュール制御部240は、切替部230の端子間電圧(本実施形態においては、正極端子202及び正極端子212の間の電圧である。)が予め定められた条件を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子202を電気的に接続することで、蓄電部210及び配線106を電気的に接続してよい。
【0108】
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足しない場合には、切替部230が蓄電部210及び配線106又は正極端子202を電気的に切断するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子202を電気的に切断することで、蓄電部210及び配線106を電気的に切断してよい。
【0109】
予め定められた条件は、切替部230の端子間電圧の絶対値が、予め定められた範囲内であるという条件であってよい。予め定められた範囲は、3V以下であってもよく、1V以下であってもよく、0.1V以下であってもよく、10mV以下であってもよく、1mV以下であってもよい。また、予め定められた範囲は、0.5mV以上であってもよく、1mV以上であってもよい。予め定められた範囲は、0.5mV以上3V以下であってもよい。予め定められた範囲は、1mV以上3V以下であってもよく、1mV以上1V以下であってもよく、1mV以上0.1V以下であってもよく、1mV以上10mV以下であってもよく、10mV以上1V以下であってもよく、10mV以上0.1V以下であってもよく、0.1V以上1V以下であってもよい。なお、切替部230の端子間電圧は、正極端子202及び正極端子212の間の電圧であってもよく、配線106及び蓄電部210の間の電圧であってもよい。
【0110】
予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスに基づいて、設定されてもよい。予め定められた範囲は、蓄電部210の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスと、蓄電部210の定格電流又は許容電流とに基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110のインピーダンスと、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。
【0111】
これにより、蓄電モジュールを交換する場合に、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になるまで、配線106と、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部210とが電気的に切断された状態を維持することができる。そして、既に実装されていた蓄電モジュールの充電又は放電により、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になると、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部が配線106に電気的に接続される。このように、本実施形態によれば、新たに実装された蓄電モジュールと、他の蓄電モジュールとを、自動的に接続することができる。
【0112】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも小さいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく充電することができる。
【0113】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも大きいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく放電することができる。
【0114】
本実施形態において、モジュール制御部240は、保護部250から、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、当該信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に切断するように、切替部230を制御する。これにより、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は損傷を抑制することができる。
【0115】
本実施形態において、モジュール制御部240は、ユーザの操作を受け付けて、ユーザから、切替部230をオン動作又はオフ動作させる旨の指示を受け取る。モジュール制御部240は、ユーザの指示を受け取ると、当該指示に従って、切替部230を制御する。
【0116】
本実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してよい。モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に出力してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部210の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置20、充電装置14などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。
【0117】
モジュール制御部240は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、モジュール制御部240は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、モジュール制御部240は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、モジュール制御部240を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0118】
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るモジュール制御部240の一部として機能させるプログラムは、モジュール制御部240の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、モジュール制御部240の各部としてそれぞれ機能させる。
【0119】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、非一時なコンピュータ可読媒体であってよい。
【0120】
保護部250は、蓄電部210を保護する。本実施形態において、保護部250は、蓄電部210を過充電及び過放電から保護する。保護部250は、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを検出すると、その旨を示す信号をモジュール制御部240に送信する。保護部250は、蓄電部210の端子間電圧に関する情報をシステム制御部140に送信してよい。保護部250は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。保護部250は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0121】
バランス補正部260は、複数の蓄電セルの電圧を均等化する。バランス補正部260の動作原理は特に限定されるものではなく、任意のバランス補正装置を利用することができる。蓄電部210が3以上の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、複数のバランス補正部260を有してよい。例えば、蓄電部210がn個(nは、2以上の整数である。)の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、n-1個のバランス補正部260を有する。
【0122】
バランス補正部260は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。バランス補正部260は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、バランス補正部260は、アクティブ方式のバランス補正装置である。アクティブ方式のバランス補正部は、特開2006-067742号公報に記載されているような、2つの蓄電セルの間でインダクタを介して電荷を移動させるバランス補正部であってもよく、特開2012-210109号公報に記載されているような、キャパシタを用いて電荷を移動させるバランス補正部であってもよい。他の実施形態において、バランス補正部260は、パッシブ方式のバランス補正装置であってもよい。パッシブ方式のバランス補正装置は、例えば、外部抵抗を用いて余計な電荷を放出する。
【0123】
本実施形態において、蓄電部210が直列に接続された2つの蓄電セルを有する場合について説明した。しかしながら、蓄電部210は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210は、直列に接続された3以上の蓄電セルを有してもよい。また、蓄電部210は、並列に接続された複数の蓄電セルを有してもよく、マトリクス状に接続された複数のセルを有してもよい。
【0124】
蓄電モジュール110の蓄電部210は、第2蓄電部の一例であってよい。蓄電モジュール110の切替部230は、第2切替部の一例であってよい。蓄電モジュール110の蓄電セル222及び蓄電セル224は、第2の種類の二次電池の一例であってよい。
【0125】
図3は、蓄電モジュール130のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール130は、蓄電部210を構成する複数の蓄電セルのそれぞれが、トリクル充電に対応可能な種類の二次電池で構成されている点と、蓄電モジュール130が、トリクル充電部320を備える点とで、蓄電モジュール110と相違する。蓄電モジュール130は、上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール110の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
【0126】
本実施形態において、トリクル充電部320は、方向制限部322と、流量制限部324とを備える。トリクル充電部320は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール130の蓄電部210との間において、切替部230と並列に接続される。トリクル充電部320は、切替部230よりも大きな抵抗を有してよい。つまり、配線106及び蓄電部210との間において、トリクル充電部320を介して電流が流れる場合の抵抗値が、切替部230を介して電流が流れる場合の抵抗値よりも大きい。
【0127】
本実施形態において、トリクル充電部320は、配線106から蓄電部210に向かう方向に電流を通過させる。一方、トリクル充電部320は、蓄電部210から配線106に向かう方向に電流が通過することを抑制する。例えば、トリクル充電部320は、蓄電部210から配線106に向かう方向に電流を通過させない。
【0128】
本実施形態において、流量制限部324は、トリクル充電部320を流れる電流の電流量を制限する。流量制限部324は、切替部230よりも大きな抵抗を有してよい。流量制限部324は、固定抵抗、可変抵抗、定電流回路、及び、定電力回路の少なくとも1つを有してよい。流量制限部324は、PTCサーミスタを有してよい。蓄電部210のトリクル充電が実施されている間、流量制限部324に電流が流れると、流量制限部324が発熱する場合がある。この場合であっても、本実施形態によれば、流量制限部324がPTCサーミスタを有するので、流量制限部324の温度が高くなると、流量制限部324を流れる電流量が減少する。これにより、蓄電部210のトリクル充電が実施されている間、流量制限部324の温度が、所定の数値範囲内に維持され得る。
【0129】
本実施形態において、方向制限部322は、流量制限部324と直列に接続される。方向制限部322は、配線106から蓄電部210に向かう方向に電流を通過させる。一方、方向制限部322は、蓄電部210から配線106に向かう方向に電流を通過させない。方向制限部322は、ダイオードを有してよい。上記のダイオードは、配線106から蓄電部210に向かう方向が順方向となるように配されてよい。
【0130】
蓄電モジュール130の蓄電部210は、第1蓄電部の一例であってよい。蓄電モジュール130の切替部230は、第1切替部の一例であってよい。蓄電モジュール130の蓄電セル222及び蓄電セル224は、第1の種類の二次電池の一例であってよい。トリクル充電部320は、制限部の一例であってよい。方向制限部322は、電流方向制限部の一例であってよい。流量制限部324は、電流量制限部の一例であってよい。
【0131】
図4は、モジュール制御部240のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部240は、判定部410と、受信部420と、信号生成部430とを備える。モジュール制御部240は、モジュール情報取得部440と、モジュール情報格納部450と、モジュール情報送信部460とを備えてもよい。受信部420は、第1信号受信部、第2信号受信部及び第3信号受信部の一例であってよい。モジュール情報取得部440は、電池特性取得部の一例であってよい。
【0132】
本実施形態においては、モジュール制御部240が、モジュール情報取得部440、モジュール情報格納部450及びモジュール情報送信部460を備える場合について説明する。しかしながら、蓄電システム100は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、システム制御部140が、モジュール情報取得部440、モジュール情報格納部450及びモジュール情報送信部460の少なくとも1つを備えてもよい。
【0133】
判定部410は、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。判定部410は、判定結果を示す信号を信号生成部430に送信する。判定部410は、任意の比較器又は比較回路であってもよい。判定部410は、ウインドコンパレータであってもよい。
【0134】
受信部420は、システム制御部140からの信号、保護部250からの信号、及び、ユーザからの指示の少なくとも1つを受け取る。受信部420は、受け取った情報に対応する信号を信号生成部430に送信する。
【0135】
信号生成部430は、判定部410及び受信部420の少なくとも一方から信号を受け取る。信号生成部430は、受け取った情報に基づいて、切替部230を制御するための信号を生成する。信号生成部430は、生成された信号を切替部230に送信する。
【0136】
一実施形態において、信号生成部430は、判定部410が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であると判定した場合に、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。他の実施形態において、信号生成部430は、判定部410が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内でないと判定した場合に、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。
【0137】
信号生成部430は、判定部410が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成又は送信してよい。これにより、ノイズなどによる誤作動を防止することができる。また、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着された直後に、蓄電部210及び配線106が電気的に接続されることを防止することができる。
【0138】
本実施形態において、信号生成部430は、受信部420が受信した信号に基づいて、切替部230のスイッチング素子を制御するための信号を生成する。一実施形態において、受信部420が、システム制御部140から、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を受信した場合、信号生成部430は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。
【0139】
他の実施形態において、受信部420が、保護部250から、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を受信した場合、信号生成部430は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。さらに他の実施形態において、受信部420が、ユーザの指示を受け付けた場合、信号生成部430は、切替部230のスイッチング素子をユーザの指示どおりに動作させるための信号を生成する。
【0140】
本実施形態において、モジュール情報取得部440は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得する。モジュール情報取得部440は、蓄電部210の電池特性を測定することにより、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。モジュール情報取得部440は、出荷時、検査時又は販売時に、製造者、販売者などにより入力された、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。
【0141】
モジュール情報取得部440は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、モジュール情報格納部450に格納してよい。モジュール情報取得部440の具体的な構成は特に限定されるものではないが、モジュール情報取得部440は、モジュール情報格納部450におけるデータの読み込み及び書き込みを制御するコントローラであってもよい。本実施形態において、モジュール情報格納部450は、モジュール情報取得部440が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を格納する。
【0142】
本実施形態において、モジュール情報送信部460は、モジュール情報取得部440が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140に送信する。モジュール情報送信部460は、モジュール情報取得部440が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に送信してもよい。モジュール情報送信部460は、外部の機器からの要求に応じて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよく、予め定められたタイミングにおいて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよい。モジュール情報送信部460は、モジュール情報格納部450を参照して、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140又は外部の機器に送信してもよい。
【0143】
図5は、蓄電モジュール110の回路構成の一例を概略的に示す。なお、説明を簡単にする目的で、図5において、保護部250及び保護部250に関連する配線については図示していない。
【0144】
本実施形態において、切替部230は、トランジスタ510と、抵抗512と、抵抗514と、ダイオード516と、トランジスタ520と、抵抗522と、抵抗524と、ダイオード526とを備える。トランジスタ510及びトランジスタ520は、スイッチング素子の一例であってよい。本実施形態においては、切替部230のスイッチング素子として、トランジスタ510及びトランジスタ520を用いる場合について説明する。しかしながら、切替部230のスイッチング素子は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、切替部230のスイッチング素子として、単一のスイッチング素子が用いられてもよい。
【0145】
本実施形態において、モジュール制御部240は、判定部410と、信号生成部430と、スイッチ592及びスイッチ594とを備える。本実施形態において、判定部410は、トランジスタ530と、抵抗532と、トランジスタ540と、抵抗542と、抵抗552と、抵抗554とを備える。信号生成部430は、トランジスタ560と、キャパシタ570と、抵抗572と、トランジスタ580とを備える。スイッチ592及びスイッチ594は、受信部420の一例であってよい。
【0146】
次に、切替部230及びモジュール制御部240の各部の詳細について説明する。本実施形態の切替部230において、トランジスタ510はMOSFETであり、トランジスタ510がオフの場合であっても、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子212から正極端子202に向かって電流が流れ得る。同様に、トランジスタ520はMOSFETであり、トランジスタ520がオフの場合であっても、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子202から正極端子212に向かって電流が流れ得る。
【0147】
本実施形態において、トランジスタ510及びトランジスタ520は、初期設定ではオフに設定される。蓄電システム100の充電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗512、抵抗514及びトランジスタ580を介して、正極端子202から負極端子204に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ510のゲートに電圧が印加され、トランジスタ510がオン動作する。これにより、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子202から正極端子212に向かって電流を流すことができる。
【0148】
一方、蓄電システム100の放電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗522、抵抗524及びトランジスタ580を介して、正極端子212から負極端子214に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ520のゲートに電圧が印加され、トランジスタ520がオン動作する。これにより、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子212から正極端子202に向かって電流を流すことができる。
【0149】
トランジスタ580がオン動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号の一例であってよい。同様に、トランジスタ580がオフ動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号の一例であってよい。
【0150】
本実施形態において、抵抗512及び抵抗514の値は、トランジスタ510を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。また、抵抗522及び抵抗524の値は、トランジスタ520を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。
【0151】
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード516が配される。ダイオード516は、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード516を設けることで、切替部230が、正極端子202と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗522、抵抗524、抵抗514及び抵抗512のルートを通って、正極端子212から正極端子202に電流が漏れることを防止することができる。
【0152】
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード526が配される。ダイオード526は、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード526を設けることで、切替部230が、正極端子202と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗512、抵抗514、抵抗524及び抵抗522のルートを通って、正極端子202から正極端子212に電流が漏れることを防止することができる。
【0153】
本実施形態のモジュール制御部240において、判定部410のトランジスタ530及びトランジスタ540は、初期設定ではオフに設定される。また、信号生成部430のトランジスタ560及びトランジスタ580は、初期設定ではオフに設定される。
【0154】
本実施形態によれば、抵抗532の値は、切替部230の端子間電圧が、正極端子202側をプラスとした予め定められた第1の値よりも小さい場合に、トランジスタ530がオン動作するように設定される。抵抗532の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。また、抵抗542の値は、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合に、トランジスタ540がオン動作するように設定される。抵抗542の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。なお、本実施形態によれば、切替部230の端子間電圧は、正極端子202及び正極端子212の電圧差に等しい。
【0155】
切替部230の端子間電圧が予め定められた第1の値よりも小さい場合、トランジスタ530がオン動作して、蓄電部210から、正極端子212、トランジスタ530及び抵抗552を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。トランジスタ580のベースには正極端子202からの電圧が印加されるものの、トランジスタ560がオン動作をしている間、トランジスタ580のオン動作が妨げられる。その結果、トランジスタ580はオフになる。
【0156】
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合、トランジスタ540がオン動作して、正極端子202から、トランジスタ540及び抵抗554を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。その結果、トランジスタ580がオフになる。
【0157】
本実施形態において、抵抗552の値は、トランジスタ530がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。抵抗554の値は、トランジスタ540がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。
【0158】
キャパシタ570の容量は、トランジスタ580のベースに正極端子202からの電圧が印加されて、トランジスタ580がオン動作する前に、トランジスタ560がオン動作するように設定される。これにより、信号生成部430は、判定部410が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成することができる。
【0159】
これに対して、切替部230の端子間電圧が、第1の値及び第2の値により定められる範囲内である場合、トランジスタ530及びトランジスタ540はオフのままであり、トランジスタ560もオフのままである。そのため、正極端子202から、抵抗572を介して、トランジスタ580のベースに電圧が印加され、トランジスタ580がオン動作する。
【0160】
スイッチ592及びスイッチ594は、手動スイッチであってもよく、リレー、サイリスタ、トランジスタなどのスイッチング素子であってもよい。スイッチ592には、切替部230をオン動作させることを示す信号52が入力されてよい。スイッチ594には、切替部230をオフ動作させることを示す信号54が入力されてよい。
【0161】
スイッチ592がオン動作すると、トランジスタ580のオン/オフに関わらず、切替部230をオン動作させることができる。スイッチ594がオン動作すると、トランジスタ560のオン/オフに関わらず、トランジスタ580をオフ動作させることができる。その結果、切替部230をオフ動作させることができる。
【0162】
図6は、システム制御部140のシステム構成の一例を概略的に示す。図6を用いて、充電装置14、負荷装置20及びシステム制御部140の間の情報処理の概要が説明される。本実施形態において、システム制御部140は、状態管理部622と、モジュール選択部624と、信号生成部626とを備える。本実施形態において、充電装置14は、充電切替部16と、充電制御部642と、充電部644とを備える。本実施形態において、負荷装置20は、負荷切替部26と、負荷制御部662と、負荷部664とを備える。
【0163】
[システム制御部140の各部の概要]
本実施形態において、状態管理部622は、蓄電システム100の状態を管理する。状態管理部622は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の状態を管理してよい。状態管理部622は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれの状態を監視してよい。状態管理部622は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130を監視して、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130のそれぞれの電池特性に関する情報を取得してもよい。状態管理部622は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130を監視して得られた情報を、外部の機器に送信してもよい。
【0164】
状態管理部622は、蓄電システム100を運用しながら、各蓄電モジュールの電池特性を測定してよい。状態管理部622は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた条件を満足しない場合、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を、ユーザに情報を出力する出力装置に出力してよい。状態管理部622は、蓄電モジュールの識別情報と、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。
【0165】
これにより、ユーザは、性能が不十分である蓄電モジュールを容易に判別し、当該蓄電モジュールを交換することができる。本実施形態によれば、例えば、蓄電モジュールの再利用品を利用して蓄電システム100を構築する場合において、再利用される蓄電モジュールの検査の少なくとも一部を省略することができる。
【0166】
一実施形態において、モジュール選択部624は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのうち、端子間電圧が最も小さい蓄電モジュールを選択する。例えば、モジュール選択部624は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130端子間電圧を比較して、端子間電圧が小さな方の蓄電モジュールを選択する。モジュール選択部624は、選択された蓄電モジュールを示す信号を信号生成部626に送信する。
【0167】
他の実施形態において、モジュール選択部624は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのうち、端子間電圧が最も大きい蓄電モジュールを選択する。例えば、モジュール選択部624は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130端子間電圧を比較して、端子間電圧が大きな方の蓄電モジュールを選択する。モジュール選択部624は、選択された蓄電モジュールを示す信号を信号生成部626に送信する。
【0168】
本実施形態において、信号生成部626は、モジュール選択部624が選択した蓄電モジュールに対して、当該蓄電モジュールの切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。信号生成部626は、生成された信号をモジュール制御部240に送信する。他の実施形態において、信号生成部626は、モジュール選択部624が選択した蓄電モジュールに対して、当該蓄電モジュールの切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成してもよい。
【0169】
本実施形態において、信号生成部626は、充電装置14を制御するための信号を生成してもよい。例えば、信号生成部626は、充電装置14の充電電圧及び充電電流の少なくとも一方の設定値を調整するための信号を生成する。信号生成部626は、充電装置14を制御するための信号を、充電装置14に送信してよい。これにより、蓄電システム100の充電が制御される。
【0170】
本実施形態において、信号生成部626は、充電装置14の充電電圧を設定するための信号を生成する。例えば、信号生成部626は、状態管理部622から、蓄電システム100に装着されている各蓄電モジュールの電池特性に関する情報を取得する。信号生成部626は、上記の電池特性に関する情報に基づいて、蓄電システム100に装着されている蓄電モジュールのうち、充電終了電圧が最も大きな蓄電モジュールを特定する。信号生成部626は、上記の電池特性に関する情報に基づいて、上記の充電終了電圧が最も大きな蓄電モジュールが、トリクル充電に対応しているか否かを判定する。
【0171】
上記の充電終了電圧が最も大きな蓄電モジュールがトリクル充電に対応している場合、信号生成部626は、充電装置14の充電電圧を、当該蓄電モジュールの満充電電圧以上の値又は当該満充電電圧よりも大きな値に設定するための信号を生成してよい。一方、上記の充電終了電圧が最も大きな蓄電モジュールがトリクル充電に対応していない場合、信号生成部626は、充電装置14の充電電圧を、当該蓄電モジュールの充電終了電圧以上の値又は当該充電終了電圧よりも大きな値に設定するための信号を生成してよい。
【0172】
上述されたとおり、蓄電システム100に装着されている蓄電モジュールの中に、トリクル充電に対応可能な蓄電モジュールが含まれている場合であっても、トリクル充電の実施の可否が、他の蓄電モジュールの仕様に依存する可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、蓄電システム100に装着されている蓄電モジュールの中に、トリクル充電に対応可能な蓄電モジュールが含まれている場合に、当該蓄電モジュールのトリクル充電が確実に実施され得る。
【0173】
本実施形態において、信号生成部626は、充電切替部16の動作を制御するための信号を生成してよい。信号生成部626は、充電切替部16の動作を制御するための信号を、充電装置14又は充電切替部16に送信してよい。例えば、信号生成部626は、充電切替部16のON/OFF動作を制御するための信号を生成する。これにより、例えば、充電装置14と、蓄電システム100との電気的な接続関係が切り替えられる。充電切替部16が電流量を調整する機能を有する場合、信号生成部626は、充電電流の電流量を制御するための信号を生成してもよい。これにより、充電電流の電流量が制御され得る。充電切替部16の動作の制御の詳細は後述される。
【0174】
本実施形態において、信号生成部626は、負荷装置20を制御するための信号を生成してもよい。例えば、信号生成部626は、負荷装置20の消費電流の設定値を調整するための信号を生成してよい。これにより、蓄電システム100の放電が制御される。
【0175】
例えば、信号生成部626は、蓄電システム100が負荷装置20に電力を供給した後、負荷装置20の消費電流が連続的又は段階的に増加するように、負荷装置20を制御するための信号を生成する。これにより、電力供給システム10から負荷装置20に供給される出力電流の増加速度が制御され得る。
【0176】
本実施形態に係る蓄電システム100において、配線106の電圧(ライン電圧、出力電圧などと称される場合がある。)の減少速度が、切替部230の動作速度よりも大きい場合には、蓄電システム100に装着された蓄電モジュールと、配線106とを接続することができず、電力供給システム10の電力供給が不安定になる可能性がある。しかしながら、電力供給システム10から負荷装置20に供給される出力電流の増加速度を、切替部230が対応可能な範囲に制御することで、電力供給システム10は、安定的に電力を供給することができる。
【0177】
本実施形態において、信号生成部626は、負荷切替部26の動作を制御するための信号を生成してよい。信号生成部626は、負荷切替部26の動作を制御するための信号を、負荷装置20又は負荷切替部26に送信してよい。例えば、信号生成部626は、負荷切替部26のON/OFF動作を制御するための信号を生成する。これにより、負荷装置20と、蓄電システム100との電気的な接続関係が切り替えられる。負荷切替部26が電流量を調整する機能を有する場合、信号生成部626は、負荷切替部26の電流量を制御するための信号を生成してもよい。これにより、放電電流(出力電流と称される場合もある。)の電流量が制御され得る。負荷切替部26の動作の制御の詳細は後述される。
【0178】
本実施形態において、信号生成部626は、蓄電システム100に備えらえた出力電圧及び出力電流の少なくとも一方を制御するための素子又は回路(図示されていない。)の動作を制御するための信号を生成してもよい。信号生成部626は、上記の信号を、上記の素子又は回路に送信してよい。例えば、信号生成部626は、電力供給システム10から負荷装置20に供給される出力電圧及び出力電流の少なくとも一方の大きさを制御するための信号を生成する。
【0179】
一実施形態において、信号生成部626は、負荷装置20から、負荷装置20に供給されるべき電流の大きさを示す信号(要求信号と称される場合がある。)を受信する。信号生成部626は、要求信号により示される大きさの電流が出力されるように、上記の素子又は回路の動作を制御するための信号を生成する。これにより、電力供給システム10から負荷装置20に供給される出力電流が制御され得る。他の実施形態において、信号生成部626は、蓄電システム100が電力供給を開始した後、出力電流が連続的又は段階的に増加するように、出力電流の大きさを制御するための信号を生成してもよい。これにより、電力供給システム10から負荷装置20に供給される出力電流が制御され得る。
【0180】
本実施形態において、信号生成部626は、蓄電システム100の各蓄電モジュールを制御するための信号を生成してもよい。信号生成部626は、上記の信号を、当該信号の制御対象となる蓄電モジュールに送信してよい。例えば、信号生成部626は、負荷装置20が稼働することを予告するための信号を生成する。負荷装置20が既に稼働していることを通知するための信号を生成してもよい。
【0181】
[充電装置14の各部の概要]
本実施形態において、充電制御部642は、充電部644を制御する。具体的には、充電制御部642は、充電部644が出力する電圧(充電電圧と称される場合がある。)及び電流(充電電流と称される場合がある。)の少なくとも一方の大きさを制御する。充電制御部642は、充電電圧及び充電電流の少なくとも一方の変動速度を制御してもよい。
【0182】
充電制御部642は、システム制御部140の信号生成部626からの信号を受信し、当該信号に基づいて、充電部644を制御してよい。充電制御部642は、ユーザが入力装置(図示されていない。)に入力した指示に従って、充電部644を制御してもよい。
【0183】
充電制御部642は、充電部644の充電電圧の設定値を制御してよい。例えば、充電制御部642は、充電装置14の充電電圧が、蓄電モジュール130の満充電電圧よりも大きくなるように、充電電圧の設定値を調整する。これにより、蓄電モジュール130の満充電電圧が、充電装置14の充電電圧よりも小さくなる。上述されたとおり、本実施形態において、蓄電モジュール130の蓄電部210はトリクル充電に対応している。また、蓄電モジュール130の充電終了電圧は、蓄電システム100に装着された複数の蓄電モジュールの中で最も大きい。このような場合であっても、充電装置14の充電電圧が上記のとおりに設定されることで、蓄電モジュール130の電圧が充電終了電圧に達した後、トリクル充電により蓄電モジュール130の満充電電圧が維持され得る。
【0184】
充電制御部642は、充電部644の充電方式を制御してよい。充電方式としては、定電圧充電方式、定電流充電方式、定電圧定電流充電方式、トリクル充電方式などが例示される。
【0185】
例えば、充電制御部642は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の充電期間の少なくとも一部において、蓄電モジュール110及び130の両方が定電流充電方式により充電されるように、充電部644を制御する。その後、充電制御部642は、蓄電モジュール130が定電圧充電方式により充電されるように、充電部644を制御してよい。例えば、充電制御部642は、蓄電モジュール110の充電が完了した後、蓄電モジュール130が定電圧充電方式により充電されるように、充電部644を制御してよい。さらに、蓄電モジュール130の電圧が蓄電モジュール130の充電終了電圧に達した後、充電制御部642は、トリクル充電方式により蓄電モジュール130が充電されるように、充電部644を制御してよい。
【0186】
これにより、蓄電モジュール130の電圧が充電終了電圧以下である場合、充電装置14は、定電流充電方式又は定電圧充電方式により蓄電モジュール130を充電する。また、蓄電モジュール130の電圧が充電終了電圧より大きい場合、充電装置14は、トリクル充電方式により蓄電モジュール130を充電する。
【0187】
本実施形態において、充電部644は、系統電源からの電力を受け取る。また、充電部644は、充電切替部16を介して、蓄電システム100に電力を供給する。充電部644は、充電制御部642により設定された大きさの電流で、電力を出力してよい。充電部644は、充電制御部642により設定された大きさの電圧で、電力を出力してよい。
【0188】
[負荷装置20の各部の概要]
本実施形態において、負荷制御部662は、負荷部664を制御する。具体的には、負荷制御部662は、負荷部664が消費する電力の電圧(消費電圧と称される場合がある。)及び電流(消費電流と称される場合がある。)の少なくとも一方の大きさを制御する。負荷制御部662は、消費電圧及び消費電流の少なくとも一方の変動速度を制御してもよい。例えば、負荷制御部662は、蓄電システム100が負荷装置20に電力を供給した後、負荷装置20の消費電流が連続的又は段階的に増加するように、負荷部664を制御する。
【0189】
負荷制御部662は、システム制御部140の信号生成部626からの信号を受信し、当該信号に基づいて、負荷部664を制御してよい。負荷制御部662は、ユーザが入力装置(図示されていない。)に入力した指示に従って、負荷部664を制御してもよい。
【0190】
充電制御部642は、充電電圧制御部の一例であってよい。負荷制御部662は、消費電流制御部の一例であってよい。
【0191】
図7図8及び図9を用いて、蓄電システム100の充電動作の概要が説明される。図7は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の充電期間における、蓄電モジュール130の端子間電圧の変動730の一例と、蓄電モジュール110の端子間電圧の変動710の一例とを概略的に示す。また、図7は、蓄電モジュール130の蓄電部210を通過する電流の変動740の一例を概略的に示す。図8は、充電装置14の充電電圧の変動814の一例を概略的に示す。図9は、充電装置14の出力特性914の一例を概略的に示す。
【0192】
図7に示されるとおり、本実施例によれば、時刻t1において蓄電システム100の充電が開始される。充電装置14の充電電圧の最大値は、Vcvに設定される。なお、時刻t1において蓄電システム100の充電が開始された時点において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の端子間電圧は、それぞれ、Vai及びVbiである。このとき、蓄電モジュール110の蓄電部210及び配線106は電気的に接続されており、蓄電モジュール130の蓄電部210及び配線106は電気的に切断されているものとする。
【0193】
その後、蓄電モジュール110の充電が進行し、時刻t2において蓄電モジュール110の端子間電圧がVaiになると、蓄電モジュール130の切替部230がON動作して、蓄電モジュール130の蓄電部210及び配線106が電気的に接続される。
【0194】
その後、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール130の充電が進行し、時刻t3において蓄電モジュール110の端子間電圧が蓄電モジュール110の充電終了電圧Vbcに到達すると、蓄電モジュール110の保護部250が過充電を検知して切替部230を制御することで、蓄電モジュール110の蓄電部210及び配線106が電気的に切断される。
【0195】
その後、蓄電モジュール130の充電が進行し、時刻t4において蓄電モジュール130の端子間電圧が蓄電モジュール130の充電終了電圧Vacに到達すると、蓄電モジュール110の保護部250が過充電を検知して切替部230を制御する。これにより、蓄電モジュール130の蓄電部210及び配線106が電気的に切断される。
【0196】
このとき、図8に示されるとおり、蓄電モジュール130の蓄電部210及び配線106が電気的に切断されることで、配線106の電圧は、充電装置14の出力電圧Vcvに等しくなる。また、図9に示されるとおり、蓄電モジュール130の蓄電部210及び配線106が電気的に切断されたことにより、充電電流が急激に減少する。
【0197】
その後、蓄電モジュール130のトリクル充電が実施される。これにより、蓄電モジュール130の端子間電圧が、蓄電モジュール130の満充電電圧Vafに到達する。また、トリクル充電により、蓄電モジュール130の満充電状態が維持される。
【0198】
図7図8及び図9を用いて説明された充電動作は、充電制御部642により制御されてよい。図7図8及び図9を用いて説明された充電動作は、システム制御部140が充電制御部642を制御することにより実施されてよい。
【0199】
[インターロック機構を有する蓄電モジュール]
次に、図10図11及び図12を用いて、蓄電モジュール110の他の例について説明する。技術的に矛盾しない範囲において、蓄電モジュール110及びその各部について説明された事項が、蓄電モジュール110の他の例及びその各部に適用されてもよい。また、蓄電モジュール110の他の例及びその各部について説明された事項が、蓄電モジュール110及びその各部に適用されてもよい。図10図12の説明において、蓄電モジュール110の各部について説明された事項については、説明を省略する場合がある。
【0200】
図10は、蓄電モジュール1010のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール1010は、正極端子202と、負極端子204と、蓄電部210とを備える。蓄電モジュール1010は、切替部230を備えてよい。蓄電モジュール1010は、保護部250を備えてよい。蓄電モジュール1010は、バランス補正部260を備えてよい。本実施形態において、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020と、モジュール制御部1040とを備える。
【0201】
本実施形態において、切替部230は、配線106と、蓄電部210との間に流れる電流を調整する。一実施形態において、切替部230は、配線106及び蓄電部210を電気的に接続したり、配線106及び蓄電部210を電気的に切断したりする。他の実施形態において、切替部230は、例えば、配線106及び蓄電部210の間の経路の抵抗値を変化させることにより、上記の電流を増加させたり、減少させたりする。
【0202】
本実施形態において、切替部230の一端は、正極端子202及び電流検出素子1020を介して、配線106と電気的に接続される。切替部230の他端は、蓄電部210の正極端子212と電気的に接続される。切替部230の端子間電圧を示す情報は、配線106の電位又は配線106に印加された電圧(単に、配線106の電圧と称する場合がある。)と、蓄電部210の端子(例えば、正極端子212である。)の電位又は当該端子に印加された電圧(単に、蓄電部210の電圧、端子の電圧などと称する場合がある。)との差を示す情報として利用されてよい。
【0203】
一実施形態において、切替部230は、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を、蓄電部210の正極端子212から正極端子202に向かう方向(放電方向と称する場合がある。)に流れる電流の大きさを調整する。他の実施形態において、切替部230は、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を、正極端子202から蓄電部210の正極端子212に向かう方向(充電方向と称する場合がある。)に流れる電流の大きさを調整する。さらに他の実施形態において、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流、及び、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整する。
【0204】
本実施形態において、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020を備える点で、蓄電モジュール110と相違する。蓄電モジュール1010は、モジュール制御部240の代わりに、モジュール制御部1040を備える点で、蓄電モジュール110と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール1010は、蓄電モジュール110の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
【0205】
本実施形態において、電流検出素子1020は、配線106と、蓄電部210との間を流れる電流を示す情報を取得するために用いられる。電流を示す情報としては、当該電流の有無、当該電流の大きさ、当該電流の方向などを例示することができる。本実施形態において、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020の端子間電圧を測定することで、配線106と、蓄電部210との間を流れる電流に関する情報を取得する。
【0206】
本実施形態において、電流検出素子1020は、正極端子202と、切替部230との間に配される。より具体的には、電流検出素子1020の一端は、切替部230と電気的に接続される。電流検出素子1020の他端は、正極端子202を介して、配線106と電気的に接続される。なお、電流検出素子1020は、切替部230と、蓄電部210の正極端子212との間に配されてもよい。また、切替部230、又は、切替部230を構成する素子の一部が、電流検出素子1020として利用されてもよい。
【0207】
電流検出素子1020は、任意の抵抗値を有する素子であればよく、その種類は特に限定されるものではない。例えば、電流検出素子1020は、蓄電部210の最大許容電流に応じた適切な抵抗値を有する。電流検出素子1020としては、抵抗、ホールセンサなどを例示することができる。適切な抵抗値を有する受動素子又は能動素子が、上記の抵抗として利用されてもよい。
【0208】
本実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する点で、モジュール制御部240と相違する。本実施形態において、モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、及び、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流に基づいて、切替部230の動作を制御する点で、モジュール制御部240と相違する。モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流、及び、(iii)切替部230の端子間電圧に基づいて切替部230の動作を制御してもよい。上記の相違点以外の構成に関して、モジュール制御部1040は、モジュール制御部240の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
【0209】
モジュール制御部1040が、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する方法は特に限定されない。本実施形態において、モジュール制御部1040は、正極端子202及び正極端子212の間に配された電流検出素子1020の端子間電圧を示す情報を取得し、当該情報に基づいて、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する。これにより、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視することができる。モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流の大きさを決定してもよく、上記の電流の方向を決定してもよい。
【0210】
一実施形態において、切替部230が、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する場合、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を監視又は検出する。切替部230が、配線106及び蓄電部210の間の放電方向の電気的な接続を切断している(「電気的に放電方向で切断している」と称する場合がある。)場合において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視又は検出してもよい。なお、この場合において、モジュール制御部1040により検出される電流は、結果として、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流である。
【0211】
他の実施形態において、切替部230が、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する場合、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を監視又は検出する。切替部230が、配線106及び蓄電部210の間の充電方向の電気的な接続を切断している(「電気的に充電方向で切断している」と称する場合がある。)場合において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視又は検出してもよい。なお、この場合において、モジュール制御部1040により検出される電流は、結果として、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流である。
【0212】
モジュール制御部1040が、切替部230の動作を制御する方法は特に限定されない。上述のとおり、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する。モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を示す情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電モジュール1010を活性挿抜するときに、切替部230のインターロックを安全に解除することができる。
【0213】
モジュール制御部240と同様に、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧を示す情報を取得してよい。モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧を示す情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電モジュール1010の活性挿抜に要する時間が短縮される。
【0214】
モジュール制御部240と同様に、モジュール制御部1040は、保護部250から、保護部250が取得又は生成した情報を取得してよい。例えば、モジュール制御部1040は、保護部250から、過充電保護機能が有効になっていることを示す情報、過充電保護機能が有効になっていないことを示す情報、過放電保護機能が有効になっていることを示す情報、過放電保護機能が有効になっていないことを示す情報などを取得する。モジュール制御部1040は、保護部250が取得又は生成した情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電部210の状態に応じて、切替部230を適切に制御することができる。
【0215】
例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも小さい又は当該閾値以下である場合、過放電保護機能が有効になる。蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも大きい又は当該閾値以上である場合、過放電保護機能が無効になる。また、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも大きい又は当該閾値以上である場合、過充電保護機能が有効になる。蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい又は当該閾値以下である場合、過充電保護機能が無効になる。
【0216】
モジュール制御部240と同様に、モジュール制御部1040は、システム制御部140から、システム制御部140が取得又は生成した情報を取得してよい。例えば、モジュール制御部1040は、システム制御部140から、蓄電部210の電池特性を示す情報を取得する。モジュール制御部1040は、システム制御部140が取得又は生成した情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電部210の状態に応じて、切替部230を適切に制御することができる。
【0217】
[切替部230の動作を制御する手順の具体例]
一実施形態において、モジュール制御部1040は、蓄電部210の充電状態に基づいて、切替部230の動作を制御する。他の実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧に基づいて、切替部230の動作を制御する。さらに他の実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流に基づいて、切替部230の動作を制御する。モジュール制御部1040は、上記の電流の大きさ及び方向の少なくとも一方に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。
【0218】
より具体的には、モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、及び、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流に基づいて、切替部230の動作を制御する。モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流、及び、(iii)切替部230の端子間電圧に基づいて切替部230の動作を制御してもよい。
【0219】
例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが予め定められた条件を満足する場合、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御する。蓄電部210の電池特性は、蓄電部210の電圧又はSOCは、蓄電部210の電池特性の一例であってよい。予め定められた条件は、予め定められた数値範囲又は閾値を用いた条件であってもよく、予め定められた手順に従って算出される数値範囲又は閾値を用いた条件であってもよい。これにより、例えば、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は破損を防止することができる。
【0220】
予め定められた条件は、蓄電部210を保護するための条件であってよい。予め定められた条件としては、(i)蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件、(ii)蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より大きい、又は、特定の閾値以上であることを示す条件、(iii)蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より小さい、又は、特定の閾値以下であることを示す条件、(v)これらを組み合わせた条件などを例示することができる。
【0221】
蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過電圧保護機能及び過放電保護機能の少なくとも一方が有効になっていないことを示す条件であってもよい。蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過電圧保護機能及び過放電保護機能が有効になっていないことを示す条件であってもよい。蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より大きい、又は、特定の閾値以上であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過放電保護機能が有効になっていないことを示す条件であってもよい。蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より小さい、又は、特定の閾値以下であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過充電保護機能が有効になっていないことを示す条件であってもよい。
【0222】
本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。より具体的には、配線106の電圧と、蓄電部210の電圧との差が比較的大きい場合には、蓄電部210及び配線106が電気的に切断される。一方、上記の差が比較的小さい場合には、蓄電部210及び配線106が電気的に接続される。これにより、迅速な活性挿抜が可能となる。
【0223】
予め定められた条件は、迅速な活性挿抜を実現するための条件であってよい。予め定められた条件としては、(i)切替部230の端子間電圧が、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件、(ii)切替部230の端子間電圧が、特定の閾値より大きい、又は、特定の閾値以上であることを示す条件、(iii)切替部230の端子間電圧が、特定の閾値より小さい、又は、特定の閾値以下であることを示す条件、(v)これらを組み合わせた条件などを例示することができる。
【0224】
(過放電保護のインターロックを解除する手順の具体例)
蓄電モジュール1010の蓄電部210が蓄電システム100の配線106と電気的に接続された状態で、蓄電システム100が放電している場合において、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも小さくなると、保護部250は、過放電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信する。このとき、電流は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れている。この場合において、放電方向は第1方向の一例であってよい。また、充電方向は第2方向の一例であってよい。なお、本実施形態において、放電方向及び充電方向とは互いに逆向きである。
【0225】
蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも小さい場合は、蓄電部210を保護するための条件が満たされていない場合の一例であってよい。他の実施形態において、保護部250は、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値以下である場合に、過放電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信してよい。
【0226】
モジュール制御部1040は、上記の信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106と、蓄電部210とを電気的に切断する。配線106及び蓄電部210が電気的に切断された後も、蓄電システム100が放電を続けると、配線106と、蓄電部210との間に電圧差が生じる。
【0227】
蓄電システム100の放電が終了した後、次に、蓄電システム100の充電が開始されたとき、配線106と、蓄電部210との間には電圧差が生じている。この場合において、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも大きいとき、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していないと判断する。その結果、蓄電モジュール1010の蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100の充電が進行する。
【0228】
一方、(i)蓄電システム100の充電開始時の上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さい若しくは当該閾値以下であるとき、又は、(ii)蓄電システム100の充電が進行して、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さくなった若しくは当該閾値以下になったとき、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続しようとする。しかしながら、この段階では、蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも小さい。そのため、モジュール制御部1040のインターロック機構が作動する。その結果、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続することができない。
【0229】
モジュール制御部1040が、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続するためには、何らかのロジックにより、上記のインターロックを解除する必要がある。上記のインターロックを解除する方法は特に限定されるものではないが、本実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流又は当該電流に関する情報に基づいて、上記のインターロックを解除するか否かを決定し、切替部230の動作を制御する。
【0230】
ここで、図5に関連して説明されたように、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御するトランジスタ520を備える。トランジスタ520としては、Si-MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、SiC-MOSFET、GaN-MOSFETなどを例示することができる。
【0231】
蓄電部210の定格電圧が比較的大きい場合、トランジスタ520は、SiC-MOSFETであることが好ましい。例えば、蓄電部210の定格電圧の最大値が100V以上、好ましくは200V以上、より好ましくは300V以上、さらに好ましくは500V以上、さらに好ましくは800V以上、さらに好ましくは1000Vである場合に、トランジスタ520として、SiC-MOSFETが利用される。これにより、優れた耐圧特性を有しながら、損失が少ないというSiC-MOSFETの利点を十分に発揮することができる。蓄電部210の定格電圧の最大値が300V以上又は500V以上である場合、トランジスタ520としてSiC-MOSFETが利用されることの効果が顕著に現れうる。
【0232】
また、トランジスタ520のソース・ドレイン間には、寄生ダイオードが形成される。上記の寄生ダイオードは、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を通過させる。一方、上記の寄生ダイオードは、電流が、当該寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れることを抑制する。
【0233】
トランジスタ520は、第1電流調整部又は第2電流調整部の一例であってよい。トランジスタ520の寄生ダイオードは、第1バイパス部又は第2バイパス部の一例であってよい。なお、切替部230は、トランジスタ520の寄生ダイオードとは別に、当該寄生ダイオードと同様の機能を有し、配線106及び蓄電部210の間にトランジスタ520と並列に接続される整流器を備えてもよい。上記の整流器としては、(i)ダイオードなどの整流素子、(ii)複数の素子により構成される整流回路などを例示することができる。
【0234】
上記のとおり、本実施形態によれば、切替部230が、(i)放電方向の電流を調整するトランジスタ520と、(ii)トランジスタ520に並列に配され、充電方向の電流を通過させ、放電方向の電流を通過させない寄生ダイオードとを備える。そのため、蓄電システム100の充電がさらに進行して、配線106の電圧が、蓄電部210の正極端子212の電圧よりも大きくなると、トランジスタ520の寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に電流が流れるようになる。
【0235】
過放電による蓄電部210の劣化又は破損を防止する場合、モジュール制御部1040は、放電方向に電流が流れることを防止する必要はあるが、充電方向に電流が流れることは防止しなくてもよい。そこで、本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視する。
【0236】
一実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を検出する。他の実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に放電方向で切断しているときに、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出してもよい。
【0237】
蓄電システム100の充電が開始された後、上記の電流が検出されるまでの間、モジュール制御部1040は、過放電保護のためのインターロックを維持する。一方、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過放電保護のためのインターロックを解除する。
【0238】
一実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する。一般的に、トランジスタ520のオン抵抗の値は、寄生ダイオードの抵抗値よりも小さいので、本実施形態によれば、蓄電部210の充放電効率が向上する。
【0239】
上記の電圧差が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していない状態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、少なくとも、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足するまでの間、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。なお、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足している間、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
【0240】
他の実施形態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過放電保護機能をリセットするための信号を、保護部250に送信してもよい。そして、保護部250は、過放電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続してよい。
【0241】
配線106及び蓄電部210が電気的に接続された後、蓄電システム100の充電がさらに進行すると、蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも大きくなる。蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも大きくなった場合、保護部250は、過放電保護機能をリセットするための信号を、モジュール制御部1040に送信してもよい。モジュール制御部1040は、過放電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
【0242】
なお、上述のとおり、過放電保護機能を有効化することが決定された場合、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に切断する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを小さくする。これにより、過放電保護機能が有効になっている場合には、過放電保護機能が無効になっている場合と比較して、放電方向に流れ得る電流の大きさが小さくなる。一方、過放電保護のインターロックを解除することが決定された場合(過放電保護機能を無効化すると称する場合がある)、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に接続する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする。
【0243】
モジュール制御部1040は、切替部230の抵抗値又は通流率(デューティ比と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する。一実施形態において、切替部230がトランジスタ520を備え、トランジスタ520が電界効果トランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ520のゲート電圧(入力電圧と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ520の入力電圧を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
【0244】
他の実施形態において、切替部230がトランジスタ520を備え、トランジスタ520がバイポーラトランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ520のベース電流(入力電流と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ520の入力電流を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
【0245】
切替部230の抵抗値又は通流率は、過放電保護機能が有効になっている場合と、過放電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230がスイッチング素子を有する場合、当該スイッチング素子のオン抵抗は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230が可変抵抗を有する場合、当該可変抵抗の抵抗値は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。モジュール制御部1040は、過放電保護機能が有効になっている場合には、過放電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の抵抗値が大きくなるように、切替部230を制御してもよい。モジュール制御部1040は、過放電保護機能が有効になっている場合には、過放電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の通流率が小さくなるように、切替部230を制御してもよい。
【0246】
説明を簡単にすることを目的として、本実施形態においては、(i)過放電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断し、(ii)過放電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続する実施形態を例として、モジュール制御部1040が過放電保護のインターロックを解除する手順について説明した。しかしながら、本願明細書の記載に接した当業者であれば、(i)過放電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを小さくし、(ii)過放電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする他の実施形態においても、モジュール制御部1040が、本実施形態と同様の手順により過放電保護のインターロックを解除し得ることを、理解することができる。
【0247】
具体的には、過放電保護機能が有効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を小さくするための一連の動作に相当する。同様に、過放電保護機能が無効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を大きくするための一連の動作に相当する。
【0248】
(過充電保護のインターロックを解除する手順の具体例)
蓄電モジュール1010の蓄電部210が蓄電システム100の配線106と電気的に接続された状態で、蓄電システム100が充電している場合において、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも大きくなると、保護部250は、過充電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信する。このとき、電流は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れている。この場合において、充電方向は第1方向の一例であってよい。また、放電方向は第2方向の一例であってよい。なお、本実施形態において、放電方向及び充電方向とは互いに逆向きである。
【0249】
蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも大きい場合は、蓄電部210を保護するための条件が満たされていない場合の一例であってよい。他の実施形態において、保護部250は、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値以上である場合に、過充電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信してよい。
【0250】
モジュール制御部1040は、上記の信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106と、蓄電部210とを電気的に切断する。配線106及び蓄電部210が電気的に切断された後も、蓄電システム100が充電を続けると、配線106と、蓄電部210との間に電圧差が生じる。
【0251】
蓄電システム100の充電が終了した後、次に、蓄電システム100の放電が開始されたとき、配線106と、蓄電部210との間には電圧差が生じている。この場合において、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも大きいとき、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していないと判断する。その結果、蓄電モジュール1010の蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100の放電が進行する。
【0252】
一方、(i)蓄電システム100の放電開始時の上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さい若しくは当該閾値以下であるとき、又は、(ii)蓄電システム100の充電が進行して、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さくなった若しくは当該閾値以下になったとき、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続しようとする。しかしながら、この段階では、蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも大きい。そのため、モジュール制御部1040のインターロック機構が作動する。その結果、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続することができない。
【0253】
モジュール制御部1040が、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続するためには、何らかのロジックにより、上記のインターロックを解除する必要がある。上記のインターロックを解除する方法は特に限定されるものではないが、本実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流又は当該電流に関する情報に基づいて、上記のインターロックを解除するか否かを決定し、切替部230の動作を制御する。
【0254】
ここで、図5に関連して説明されたように、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御するトランジスタ510を備える。トランジスタ510としては、Si-MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、SiC-MOSFET、GaN-MOSFETなどを例示することができる。
【0255】
蓄電部210の定格電圧が比較的大きい場合、トランジスタ510は、SiC-MOSFETであることが好ましい。例えば、蓄電部210の定格電圧の最大値が100V以上、好ましくは200V以上、より好ましくは300V以上、さらに好ましくは500V以上、さらに好ましくは800V以上、さらに好ましくは1000Vである場合に、トランジスタ510として、SiC-MOSFETが利用される。これにより、優れた耐圧特性を有しながら、損失が少ないというSiC-MOSFETの利点を十分に発揮することができる。蓄電部210の定格電圧の最大値が300V以上又は500V以上である場合、トランジスタ510としてSiC-MOSFETが利用されることの効果が顕著に現れうる。
【0256】
また、トランジスタ510のソース・ドレイン間には、寄生ダイオードが形成される。上記の寄生ダイオードは、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を通過させる。一方、上記の寄生ダイオードは、電流が、当該寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れることを抑制する。
【0257】
トランジスタ510は、第1電流調整部又は第2電流調整部の一例であってよい。トランジスタ510の寄生ダイオードは、第1バイパス部又は第2バイパス部の一例であってよい。なお、切替部230は、トランジスタ510の寄生ダイオードとは別に、当該寄生ダイオードと同様の機能を有し、配線106及び蓄電部210の間にトランジスタ510と並列に接続される整流器を備えてもよい。上記の整流器としては、(i)ダイオードなどの整流素子、(ii)複数の素子により構成される整流回路などを例示することができる。
【0258】
上記のとおり、本実施形態によれば、切替部230が、(i)充電方向の電流を調整するトランジスタ510と、(ii)トランジスタ510に並列に配され、放電方向の電流を通過させ、充電方向の電流を通過させない寄生ダイオードとを備える。そのため、蓄電システム100の放電がさらに進行して、配線106の電圧が、蓄電部210の正極端子212の電圧よりも小さくなると、トランジスタ510の寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に電流が流れるようになる。
【0259】
過充電による蓄電部210の劣化又は破損を防止する場合、モジュール制御部1040は、充電方向に電流が流れることを防止する必要はあるが、放電方向に電流が流れることは防止しなくてもよい。そこで、本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視する。
【0260】
一実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を検出する。他の実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に充電方向で切断しているときに、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出してもよい。
【0261】
蓄電システム100の放電が開始された後、上記の電流が検出されるまでの間、モジュール制御部1040は、過充電保護のためのインターロックを維持する。一方、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過充電保護のためのインターロックを解除する。
【0262】
一実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する。一般的に、トランジスタ510のオン抵抗の値は、寄生ダイオードの抵抗値よりも小さいので、本実施形態によれば、蓄電部210の充放電効率が向上する。
【0263】
上記の電圧差が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していない状態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、少なくとも、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足するまでの間、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。なお、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足している間、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
【0264】
他の実施形態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過充電保護機能をリセットするための信号を、保護部250に送信してもよい。そして、保護部250は、過充電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続してよい。
【0265】
配線106及び蓄電部210が電気的に接続された後、蓄電システム100の放電がさらに進行すると、蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも小さくなる。蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも小さくなった場合、保護部250は、過充電保護機能をリセットするための信号を、モジュール制御部1040に送信してもよい。モジュール制御部1040は、過充電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
【0266】
なお、上述のとおり、過充電保護機能を有効化することが決定された場合、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に切断する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを小さくする。これにより、過充電保護機能が有効になっている場合には、過充電保護機能が無効になっている場合と比較して、充電方向に流れ得る電流の大きさが小さくなる。一方、過充電保護のインターロックを解除することが決定された場合(過充電保護機能を無効化すると称する場合がある)、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に接続する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする。
【0267】
モジュール制御部1040は、切替部230の抵抗値又は通流率(デューティ比と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する。一実施形態において、切替部230がトランジスタ510を備え、トランジスタ510が電界効果トランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ510のゲート電圧(入力電圧と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ510の入力電圧を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
【0268】
他の実施形態において、切替部230がトランジスタ510を備え、トランジスタ510がバイポーラトランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ510のベース電流(入力電流と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ510の入力電流を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
【0269】
切替部230の抵抗値又は通流率は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230がスイッチング素子を有する場合、当該スイッチング素子のオン抵抗は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230が可変抵抗を有する場合、当該可変抵抗の抵抗値は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。モジュール制御部1040は、過充電保護機能が有効になっている場合には、過充電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の抵抗値が大きくなるように、切替部230を制御してもよい。モジュール制御部1040は、過充電保護機能が有効になっている場合には、過充電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の通流率が小さくなるように、切替部230を制御してもよい。
【0270】
説明を簡単にすることを目的として、本実施形態においては、(i)過充電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断し、(ii)過充電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続する実施形態を例として、モジュール制御部1040が過充電保護のインターロックを解除する手順について説明した。しかしながら、本願明細書の記載に接した当業者であれば、(i)過充電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを小さくし、(ii)過充電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする他の実施形態においても、モジュール制御部1040が、本実施形態と同様の手順により過充電保護のインターロックを解除し得ることを、理解することができる。
【0271】
具体的には、過充電保護機能が有効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を小さくするための一連の動作に相当する。同様に、過充電保護機能が無効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を大きくするための一連の動作に相当する。
【0272】
以上のとおり、本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、例えば、蓄電モジュール1010の充放電効率を大きく低下させることなく、活性挿抜機能と、蓄電部210の保護機能とを両立させることができる。
【0273】
本実施形態において、電流検出素子1020及び切替部230が、蓄電モジュール1010の正極端子202と、蓄電部210の正極端子212との間に配され、蓄電部210の正極端子212が、切替部230を介して配線106と電気的に接続される場合について説明した。しかしながら、電流検出素子1020及び切替部230の配置は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、電流検出素子1020及び切替部230は、蓄電モジュール1010の負極端子204と、蓄電部210の負極端子214との間に配され、蓄電部210の負極端子214は、切替部230を介して配線106と電気的に接続される。
【0274】
蓄電モジュール1010は、第2蓄電装置の一例であってよい。蓄電モジュール1010の切替部230は、第2切替部の一例であってよい。
【0275】
図11は、モジュール制御部1040のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部1040は、判定部410と、受信部420と、信号生成部430とを備える。モジュール制御部1040は、モジュール情報取得部440と、モジュール情報格納部450と、モジュール情報送信部460とを備えてもよい。本実施形態において、モジュール制御部1040は、電流監視部1120を備える。本実施形態において、電流監視部1120は、電流検出部1122と、方向決定部1124とを有する。信号生成部430は、動作制御部の一例であってよい。
【0276】
本実施形態において、モジュール制御部1040は、電流監視部1120を備える点で、モジュール制御部240と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、モジュール制御部1040は、モジュール制御部240の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
【0277】
本実施形態において、電流監視部1120は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール1010の蓄電部210との間を流れる電流を監視する。例えば、電流監視部1120は、蓄電モジュール1010の正極端子202及び正極端子212の間を流れる電流を監視する。
【0278】
本実施形態において、電流検出部1122は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール1010の蓄電部210との間を流れる電流を検出する。電流検出部1122は、上記の電流の大きさを決定してもよい。電流検出部1122は、任意のアナログ回路により構成されてもよく、任意のデジタル回路により構成されてもよい。
【0279】
本実施形態において、方向決定部1124は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール1010の蓄電部210との間を流れる電流の方向を決定する。方向決定部1124は、任意のアナログ回路により構成されてもよく、任意のデジタル回路により構成されてもよい。
【0280】
図12は、モジュール制御部1040の回路構成の一例を概略的に示す。図12は、切替部230の回路構成の一例を概略的に示す。図12は、正極端子202、負極端子204、蓄電部210、保護部250及び電流検出素子1020とともに、切替部230の一例及びモジュール制御部1040の一例を示す。
【0281】
[切替部230の回路の具体例]
本実施形態において、トランジスタ510は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。トランジスタ510は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ520及び寄生ダイオード1244と直列に接続される。本実施形態において、トランジスタ510は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整する。
【0282】
本実施形態において、トランジスタ520は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。トランジスタ520は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ510及び寄生ダイオード1242と直列に接続される。本実施形態において、トランジスタ520は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整する。
【0283】
寄生ダイオード1242は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。寄生ダイオード1242は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ510と並列に接続される。寄生ダイオード1242は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ520及び寄生ダイオード1244と直列に接続される。
【0284】
寄生ダイオード1242は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を通過させる。一方、寄生ダイオード1242は、電流が、寄生ダイオード1242を介して、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れることを抑制する。
【0285】
寄生ダイオード1244は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。寄生ダイオード1244は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ520と並列に接続される。寄生ダイオード1244は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ510及び寄生ダイオード1242と直列に接続される。
【0286】
寄生ダイオード1242は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を通過させる。一方、寄生ダイオード1244は、電流が、寄生ダイオード1244を介して、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れることを抑制する。
【0287】
トランジスタ510は、第1電流調整部及び第2電流調整部の一方の一例であってよい。トランジスタ520は、第1電流調整部及び第2電流調整部の他方の一例であってよい。寄生ダイオード1242は、第1バイパス部及び第2バイパス部の一方の一例であってよい。寄生ダイオード1244は、第1バイパス部及び第2バイパス部の他方の一例であってよい。放電方向は、第1方向及び第2方向の一方の一例であってよい。充電方向は、第1方向及び第2方向の他方の一例であってよい。
【0288】
[モジュール制御部1040の回路の具体例]
本実施形態において、モジュール制御部1040は、判定部410と、信号生成部430と、電流監視部1120とを備える。判定部410は、第1決定部、第2決定部及び第3決定部の一例であってよい。
【0289】
本実施形態において、信号生成部430は、OR回路1260と、AND回路1272と、AND回路1274と、OR回路1282と、OR回路1284とを備える。また、本実施形態において、正極端子202及び切替部230の間に、電流検出素子1020として、適切な抵抗値を有する抵抗が配されている。電流検出素子1020の抵抗値は、例えば、電流監視部1120が、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流の方向を確実に判定することができるように決定される。
【0290】
本実施形態において、判定部410は、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。判定部410は、判定結果を示す信号を信号生成部430に送信する。判定部410は、任意のアナログ回路により構成されてもよく、任意のデジタル回路により構成されてもよい。判定部410は、ウインドコンパレータを含んでよい。ウインドコンパレータは、例えば、2つのコンパレータを利用して実現することができる。
【0291】
本実施形態において、判定部410は2つの入力端子を有する。判定部410の一方の入力端子(図中、-端子として示される)には、切替部230の一端(例えば、正極端子202側の端部である。)の電圧が入力される。判定部410の他方の入力端子(図中、+端子として示される)には、切替部230の他端(例えば、蓄電部210側の端部である。)の電圧が入力される。
【0292】
本実施形態において、判定部410は2つの出力端子を有する。判定部410は、判定結果を示す信号として、一方の出力端子(図中、L端子として示される)から、切替部230の端子間電圧が第1の閾値よりも小さいことを示す信号を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が第1の閾値よりも小さい場合、判定部410は、L端子からH論理を出力する。一方、切替部230の端子間電圧が第1の閾値以上である場合、判定部410は、L端子からL論理を出力する。
【0293】
また、判定部410は、判定結果を示す信号として、他方の出力端子(図中、H端子として示される)から、切替部230の端子間電圧が第2の閾値よりも大きいことを示す信号を出力する。本実施形態において、第2の閾値の絶対値として、第1の閾値の絶対値よりも大きな値が設定される。例えば、切替部230の端子間電圧が第2の閾値よりも大きい場合、判定部410は、H端子からH論理を出力する。一方、切替部230の端子間電圧が第2の閾値以下である場合、判定部410は、H端子からL論理を出力する。
【0294】
一実施形態において、判定部410は、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件に合致するか否かを決定することができる。第1条件としては、(i)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第1数値範囲の範囲外であることを示す条件、(ii)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第1閾値より大きいことを示す条件、(iii)蓄電部の電圧又はSOCが第1閾値以上であることを示す条件などを例示することができる。第1条件は、例えば、蓄電部210が過充電であることを示す条件である。
【0295】
他の実施形態において、判定部410は、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが第2条件に合致するか否かを決定することができる。第2条件としては、(i)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第2数値範囲の範囲外であることを示す条件、(ii)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第2閾値より小さいことを示す条件、(iii)蓄電部の電圧又はSOCが第2閾値以下であることを示す条件などを例示することができる。なお、第2条件は、第1条件とは異なる条件であってよい。第2条件は、例えば、蓄電部210が過放電であることを示す条件である。
【0296】
さらに他の実施形態において、判定部410は、例えば、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致するか否かを決定することができる。第3条件としては、(i)切替部230の端子間電圧が予め定められた第3数値範囲の範囲内であることを示す条件、(ii)切替部230の端子間電圧が予め定められた第3閾値より小さいことを示す条件、(iii)切替部230の端子間電圧が第3閾値以下であることを示す条件などを例示することができる。
【0297】
さらに他の実施形態において、判定部410は、例えば、切替部230の端子間電圧が第4条件に合致するか否かを決定することができる。第4条件としては、(i)切替部230の端子間電圧が予め定められた第4数値範囲の範囲外であることを示す条件、(ii)切替部230の端子間電圧が予め定められた第4閾値より大きいことを示す条件、(iii)切替部230の端子間電圧が第4閾値以上であることを示す条件などを例示することができる。第4数値範囲は第3数値範囲と同一であってもよい。第4数値範囲の上限値は、第3数値範囲の上限値より大きくてもよい。第4閾値は第3閾値と同一であってもよい。第4閾値は、第3閾値より大きくてもよい。
【0298】
本実施形態において、電流監視部1120は、コンパレータを含んでよい。電流監視部1120は、例えば、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。電流監視部1120の一方の入力端子(図中、+端子として示される)には、電流検出素子1020の一端(例えば、正極端子202側の端部である。)の電圧が入力される。電流監視部1120の他方の入力端子(図中、-端子として示される)には、電流検出素子1020の他端(例えば、切替部230側の端部である。)の電圧が入力される。
【0299】
例えば、+端子に入力された電圧が、-端子に入力された電圧よりも大きい場合、電流監視部1120は、出力端子からH論理を出力する。一方、+端子に入力された電圧が、-端子に入力された電圧よりも小さい場合、電流監視部1120は、出力端子からL論理を出力する。また、+端子に入力された電圧と、-端子に入力された電圧とが等しい場合、又は、両者が等しいと見做せる場合、電流監視部1120は、出力端子から信号を出力しない。
【0300】
本実施形態において、電流監視部1120は、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方が、配線106及び蓄電部210を電気的に切断しているときに、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する。一実施形態において、電流監視部1120は、過充電保護機能が有効化されているときに、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を検出する。他の実施形態において、電流監視部1120は、過放電保護機能が有効化されているときに、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を検出する。
【0301】
本実施形態において、信号生成部430は、受信部420の機能を兼ね備えてよい。例えば、信号生成部430は、保護部250から、過放電保護機能を有効化させるための信号86を受信する。また、信号生成部430は、保護部250から、過充電保護機能を有効化させるための信号88を受信する。信号生成部430は、判定部410から、切替部230の端子間電圧に関する情報を受信する。信号生成部430は、電流監視部1120から、配線106及び蓄電部210の間の電流に関する情報を受信する。
【0302】
本実施形態において、信号生成部430は、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、及び、(ii)電流監視部1120の検出結果に基づいて、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方の動作を制御することができる。信号生成部430は、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、及び、(ii)電流監視部1120の検出結果、及び、(iii)判定部410の判定結果に基づいて、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方の動作を制御することができる。信号生成部430は、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方の動作を制御するための信号を、当該信号による制御対象となるトランジスタに出力することで、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方を制御してよい。
【0303】
本実施形態において、判定部410が、切替部230の端子間電圧が第4条件に合致することを決定した場合、信号生成部430は、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方に、配線106及び蓄電部210を電気的に切断する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を小さくする動作を実行させるための信号を出力してよい。これにより、判定部410は、蓄電部210の過電流保護機能としても利用され得る。
【0304】
本実施形態において、OR回路1260は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。OR回路1260の一方の入力端子には、判定部410のH端子からの出力が入力される。OR回路1260の他方の入力端子には、判定部410のL端子からの出力が入力される。
【0305】
OR回路1260は、2つの入力の論理和を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合、OR回路1260は、L論理を出力する。一方、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲から外れる場合、OR回路1260は、H論理を出力する。例えば、切替部230が上記の第4条件に合致する場合の一例として、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合、判定部410のH端子から、H論理が出力される。この場合、OR回路1260は、H論理を出力する。
【0306】
本実施形態において、AND回路1272は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。AND回路1272の一方の入力端子には、OR回路1260の出力が反転された信号が入力される。AND回路1272の他方の入力端子には、過充電保護機能を有効化させるための信号88が反転された信号が入力される。
【0307】
AND回路1272は、2つの入力の論理積を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合(具体的には、配線106の電圧と、蓄電部210の電圧との差の絶対値が特定の閾値よりも小さい場合又は当該閾値以下の場合である。)であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい場合、AND回路1272は、H論理を出力する。一方、上記以外の場合、AND回路1272は、L論理を出力する。
【0308】
本実施形態において、AND回路1274は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。AND回路1274の一方の入力端子には、OR回路1260の出力が反転された信号が入力される。AND回路1274の他方の入力端子には、過放電保護機能を有効化させるための信号86が反転された信号が入力される。
【0309】
AND回路1274は、2つの入力の論理積を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合(具体的には、配線106の電圧と、蓄電部210の電圧との差の絶対値が特定の閾値よりも小さい場合又は当該閾値以下の場合である。)であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも大きい場合、AND回路1274は、H論理を出力する。一方、上記以外の場合、AND回路1274は、L論理を出力する。
【0310】
本実施形態において、OR回路1282は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。OR回路1282の一方の入力端子には、電流監視部1120の出力が反転された信号が入力される。OR回路1282の他方の入力端子には、AND回路1272の出力が入力される。
【0311】
OR回路1282は、2つの入力の論理和を出力する。例えば、OR回路1282の出力がH論理である場合、トランジスタ510がオン動作し、OR回路1282の出力がL論理である場合、トランジスタ510がオフ動作する。一実施形態において、配線106及び蓄電部210の間で放電方向に電流が流れている場合、OR回路1282は、H論理を出力する。他の実施形態において、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい場合、OR回路1282は、H論理を出力する。
【0312】
本実施形態において、OR回路1284は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。OR回路1284の一方の入力端子には、電流監視部1120の出力が入力される。OR回路1284の他方の入力端子には、AND回路1274の出力が入力される。
【0313】
OR回路1284は、2つの入力の論理和を出力する。例えば、OR回路1284の出力がH論理である場合、トランジスタ520がオン動作し、OR回路1284の出力がL論理である場合、トランジスタ520がオフ動作する。一実施形態において、配線106及び蓄電部210の間で充電方向に電流が流れている場合、OR回路1284は、H論理を出力する。他の実施形態において、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい場合、OR回路1284は、H論理を出力する。
【0314】
[信号生成部430の動作の具体例]
一実施形態において、判定部410が、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件に合致することを決定した場合、信号生成部430は、例えば、トランジスタ510に、配線106及び蓄電部210を電気的に切断する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を小さくする動作を実行させるための信号を出力する。なお、第1条件の内容によっては、信号生成部430は、トランジスタ520に信号を出力してもよい。
【0315】
他の実施形態において、判定部410が、蓄電部210の電圧又はSOCが第2条件に合致することを決定した場合、信号生成部430は、例えば、トランジスタ520に、配線106及び蓄電部210を電気的に切断する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を小さくする動作を実行させるための信号を出力する。なお、第2条件の内容によっては、信号生成部430は、トランジスタ510に信号を出力してもよい。
【0316】
さらに他の実施形態において、判定部410が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致することを決定した場合、信号生成部430は、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件及び第2条件に合致するか否かに関わらず、トランジスタ510及びトランジスタ520に、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を大きくする動作を実行させるための信号を出力する。一方、判定部410が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致しないことを決定した場合、信号生成部430は、電流監視部1120の検出結果に応じた信号を出力してよい。例えば、信号生成部430は、下記のとおり信号を出力する。
【0317】
[(a)判定部410が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致しないことを決定した場合において、(b)電流監視部1120が、(i)過充電保護機能が有効化されているときに配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流、又は、(ii)トランジスタ510が配線106及び蓄電部を電気的に切断しているときに配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出した場合]
この場合、信号生成部430は、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件に合致するか否かに関わらず、トランジスタ510に、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を大きくする動作を実行させるための信号を出力する。
【0318】
[(a)判定部410が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致しないことを決定した場合において、(c)電流監視部1120が、(i)過放電保護機能が有効化されているときに配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流、又は、(ii)トランジスタ520が配線106及び蓄電部を電気的に切断しているときに配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出した場合]
この場合、信号生成部430は、蓄電部210の電圧又はSOCが第2条件に合致するか否かに関わらず、トランジスタ520に、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を大きくする動作を実行させるための信号を出力する。
【0319】
さらに他の実施形態において、モジュール制御部1040は、過電流により蓄電部210が劣化又は破損することを抑制することができる。上述のとおり、切替部230が上記の第4条件に合致する場合の一例として、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合、OR回路1260が、H論理を出力する。
【0320】
そのため、配線106及び蓄電部210の間で放電方向に電流が流れている場合であって、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合には、OR回路1282から、L論理が出力される。その結果、トランジスタ510がオフ動作する。同様に、配線106及び蓄電部210の間で充電方向に電流が流れている場合であって、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合には、OR回路1284から、L論理が出力される。その結果、トランジスタ520がオフ動作する。
【0321】
本実施形態によれば、寄生ダイオード1242及び寄生ダイオード1244に定常的に電流が流れることが抑制される。その結果、切替部230の端子間電圧と、トランジスタ510及びトランジスタ520を介して流れる電流とが比例すると見做すことができる。そこで、電流検出素子1020の抵抗値を適切に設定したり、配線106及び蓄電部210の間において、適切な抵抗値を有する抵抗を、電流検出素子1020と直列に接続したりすることにより、判定部410及び信号生成部430を、過電流保護回路として利用することができる。
【0322】
次に、図13及び図14を用いて、蓄電モジュール130の他の例について説明する。技術的に矛盾しない範囲において、蓄電モジュール130及びその各部について説明された事項が、蓄電モジュール130の他の例及びその各部に適用されてもよい。また、蓄電モジュール130の他の例及びその各部について説明された事項が、蓄電モジュール130及びその各部に適用されてもよい。図13図14の説明において、蓄電モジュール130の各部について説明された事項については、説明を省略する場合がある。
【0323】
図13に示されるとおり、蓄電モジュール1330は、トリクル充電部320を備える点で、蓄電モジュール1010と相違する。上記の相違点以外の特徴について、蓄電モジュール1330は、蓄電モジュール1010と同様の構成を有してよい。
【0324】
図14に示されるとおり、蓄電モジュール1430は、モジュール制御部1040が、過放電保護のインターロック及び過充電保護のインターロックの少なくとも一方を解除することを決定すると、過放電保護のリセット信号及び過充電保護のリセット信号の少なくとも一方を保護部250に送信する点で、蓄電モジュール1330と相違する。また、蓄電モジュール1430は、保護部250が、リセット信号を受信すると、切替部230を制御して、過放電保護のインターロック及び過充電保護のインターロックの少なくとも一方を解除する点で、蓄電モジュール1330と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール1430は、蓄電モジュール1330の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
【0325】
蓄電モジュール1330は、第1蓄電装置の一例であってよい。蓄電モジュール1430は、第1蓄電装置の一例であってよい。
【0326】
上記の各実施形態においては、切替部が、蓄電モジュールの内部に配される場合を例として、蓄電システム100の詳細が説明された。しかしながら、蓄電システム100は、上記の各実施形態に限定されない。他の実施形態において、切替部は、蓄電モジュールの外部に配されてもよい。例えば、切替部は、蓄電システム100の接続端子102と、各蓄電モジュールの正極端子202との間に配される。切替部は、蓄電システム100の接続端子104と、各蓄電モジュールの負極端子204との間に配されてもよい。各蓄電モジュールの内部又は外部に配された上記の切替部は、当該切替部の設置場所にかかわらず、各蓄電モジュールの切替部と称される場合がある。
【0327】
[電力供給システムの他の例]
図15及び図16を用いて、電力供給システム10の他の例が説明される。図15は、電力供給システム10のシステム構成の一例を概略的に示す。図16は、蓄電モジュール1630のシステム構成の一例を概略的に示す。
【0328】
図15に係る電力供給システム10は、蓄電システム100の代わりに蓄電システム1500を備える点で、図1に関連して説明された電力供給システム10と相違する。上記相違点以外の特徴について、図15に係る電力供給システム10は、図1に関連して説明された電力供給システム10と同様の構成を有してよい。
【0329】
技術的に矛盾しない範囲において、蓄電システム100及びその各部について説明された事項が、蓄電システム1500及びその各部に適用されてもよい。また、蓄電システム1500及びその各部について説明された事項が、蓄電システム100及びその各部に適用されてもよい。図15及び図16の説明において、蓄電システム100の各部について説明された事項については、説明を省略する場合がある。
【0330】
図15に示されるとおり、蓄電システム1500は、蓄電モジュール110の代わりに蓄電モジュール群1510を備える点と、蓄電モジュール130の代わりに蓄電モジュール群1530を備える点で、蓄電システム100と相違する。
【0331】
本実施形態において、蓄電モジュール群1510は、並列に接続された1又は複数の蓄電モジュール110を有する。本実施形態において、蓄電モジュール群1530は、並列に接続された1又は複数の蓄電モジュール130を有する。なお、蓄電モジュール群1530を構成する複数の蓄電モジュール130のうちの少なくとも1つは、図16に示される蓄電モジュール1630であってもよい。蓄電モジュール群1530を構成する複数の蓄電モジュール130のうちの少なくとも2つが、図16に示される蓄電モジュール1630であってもよい。蓄電モジュール群1530を構成する複数の蓄電モジュール130のうち、充電終了電圧の設定値がもっとも大きな蓄電モジュールが蓄電モジュール1630であってよい。
【0332】
図16に示されるとおり、蓄電モジュール1630は、短絡用スイッチ1632を備える点と、モジュール制御部1040の代わりにモジュール制御部1640を備える点とで、蓄電モジュール1430と相違する。上記の相違点以外の特徴について、蓄電モジュール1630は、蓄電モジュール1430と同様の構成を有してよい。
【0333】
本実施形態において、短絡用スイッチ1632は、配線106及び蓄電部210の間に配される。短絡用スイッチ1632は、配線106及び蓄電部210の間において、切替部230と並列に接続される。本実施形態において、短絡用スイッチ1632は、切替部230を短絡させる。例えば、短絡用スイッチ1632のON動作は、短絡用スイッチ1632を、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させる状態に移行させる。
【0334】
本実施形態において、短絡用スイッチ1632は、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させている状態と、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させていない状態とを切り替える。短絡用スイッチ1632は、モジュール制御部1640からの指示に基づいて、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させている状態と、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させていない状態とを切り替えてよい。これにより、短絡用スイッチ1632は、必要に応じて、切替部230を短絡させることができる。なお、短絡用スイッチ1632は、モジュール制御部1640以外の素子又は回路からの信号に基づいて、短絡用スイッチ1632の状態を切り替えてよい。
【0335】
一実施形態において、蓄電システム100の出力電流が蓄電システム100の充電電流よりも大きいことが検出された場合、又は、蓄電システム100の出力電流が蓄電システム100の充電電流よりも大きくなることが予想された場合に、短絡用スイッチ1632は、切替部230を短絡させるための指示を受信する。例えば、システム制御部140が、負荷装置20から、負荷装置20が電力の使用を開始することを示す情報(予告信号と称される場合がある。)を取得した場合、短絡用スイッチ1632は、短絡用スイッチ1632をON動作させるための指示を受信する。上記の短絡用スイッチ1632をON動作させるための指示は、切替部230を短絡させるための指示の一例であってよい。
【0336】
他の実施形態において、(i)短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させてから予め定められた期間が経過した場合、及び、(ii)電力供給システム10の出力電流が電力供給システム10の充電電流よりも小さいことが検出された場合又は電力供給システム10の出力電流が電力供給システム10の充電電流よりも小さくなることが予想された場合の、少なくとも一方の場合に、短絡用スイッチ1632は、短絡用スイッチ1632をOFF動作させるための指示を受信する。短絡用スイッチ1632をOFF動作させるための指示は、短絡用スイッチ1632の状態を、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させている状態から、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させていない状態に切り替えるための指示の一例であってよい。
【0337】
本実施形態において、モジュール制御部1640は、短絡用スイッチ1632の動作を制御する点で、モジュール制御部1040と相違する。上記の相違点以外の特徴について、モジュール制御部1640は、モジュール制御部1040と同様の構成を有してよい。
【0338】
一実施形態において、電力供給システム10の出力電流が電力供給システム10の充電電流よりも大きいこと、又は、電力供給システム10の出力電流が電力供給システム10の充電電流よりも大きくなることが検出された場合、モジュール制御部1640は、切替部230を短絡させることを決定する。例えば、システム制御部140が、負荷装置20から、負荷装置20が電力の使用を開始することを示す情報(予告信号と称される場合がある。)を取得した場合、モジュール制御部1640は、切替部230を短絡させることを決定する。モジュール制御部1640が切替部230を短絡させることを決定すると、モジュール制御部1640は、短絡用スイッチ1632をON動作させるための指示を生成し、当該指示を短絡用スイッチ1632に送信する。
【0339】
他の実施形態において、(i)短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させてから予め定められた期間が経過した場合、及び、(ii)電力供給システム10の出力電流が電力供給システム10の充電電流よりも小さいこと、又は、電力供給システム10の出力電流が電力供給システム10の充電電流よりも小さくなることが検出された場合の少なくとも一方の場合、モジュール制御部1640は、切替部230を短絡させないことを決定する。また、モジュール制御部1640は、短絡用スイッチ1632をOFF動作させるための指示を生成し、当該指示を短絡用スイッチ1632に送信する。
【0340】
蓄電システム1500は、蓄電システムの一例であってよい。蓄電モジュール群1510は、第2蓄電装置の一例であってよい。蓄電モジュール群1530は、第1蓄電装置の一例であってよい。蓄電モジュール1630は、第1蓄電装置の一例であってよい。短絡用スイッチ1632は、短絡部及び短絡状態切替部の一例であってよい。
【0341】
本実施形態においては、蓄電モジュール1430及び蓄電モジュール1630の一部が相違する場合を例として、蓄電モジュール1630の詳細が説明された。しかしながら、蓄電モジュール1630は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール1430及び蓄電モジュール1630の相違点に関する特徴を蓄電モジュール1330が有するように、蓄電モジュール1330の一部が改変されることで、蓄電モジュール1630が作製され得る。
【0342】
次に、図17及び図18を用いて、少なくとも1つの蓄電モジュール1630を有する蓄電モジュール群1530を備えた電力供給システム10の動作の一例が説明される。図17及び図18に関連する説明においては、当該説明を簡単にすることを目的として、蓄電モジュール群1530を構成する複数の蓄電モジュール130のうち、充電終了電圧の設定値がもっとも大きな蓄電モジュールが蓄電モジュール1630である場合を例として、電力供給システム10の動作の一例が説明される。
【0343】
図17は、モジュール制御部1640による制御の一例を概略的に示す。図17は、予告信号のON/OFF状態の変動1722の一例と、電力供給システム10の出力電流の変動1724の一例と、短絡用スイッチ1632のON/OFF状態の変動1732の一例と、切替部230の状態の変動1734の一例と、電力供給システム10の出力電圧の変動1740の一例とを概略的に示す。
【0344】
図18は、電力供給システム10の各部における電流変動の一例を概略的に示す。図18は、蓄電システム1500の充電電流の変動1822の一例と、蓄電モジュール群1530の中で最も電圧の大きな蓄電モジュールの電流の変動1824の一例とを概略的に示す。なお、本実施例において、上記の蓄電モジュールは蓄電モジュール1630である。
【0345】
図17及び図18に示されるとおり、本実施形態によれば、時刻t1より前の期間において、蓄電モジュール群1530のトリクル充電が実施されている。このとき、蓄電モジュール1630には、Vcv[V]の電圧が印可され、Ict[A]の電流が流れている。本実施例においては、このとき、蓄電システム150に装着された全ての蓄電モジュールの切替部230は、各蓄電モジュールの配線106と蓄電部210とを電気的に切断している。また、充電装置14から各蓄電モジュールに供給される電流は、トリクル充電部320を介して、蓄電部210に流入している。
【0346】
ここで、時刻t1において、モジュール制御部1640が、予告信号がONになったことを検出する。予告信号がONになると、モジュール制御部1640は、蓄電モジュール1630の短絡用スイッチ1632をON動作させる。短絡用スイッチ1632がONになると、電力供給システム10の端子間電圧が、上記の蓄電モジュール1630の端子間電圧Von[V]に略等しくなる。なお、予告信号がONになった後、又は、短絡用スイッチ1632がONになった後、充電装置14は、蓄電システム1500に提供する電力量又は電流量を、Iccまで増加させてよい。
【0347】
その後、時刻t2において、切替部230がONになる。一実施形態によれば、電力供給システム10の端子間電圧が、上記の蓄電モジュール1630の端子間電圧Von[V]に略等しくなると、時刻t2において、モジュール制御部1640が切替部230をON動作させる。他の実施形態によれば、モジュール制御部1640は、リセット信号を保護部250に送信する。これにより、保護部250の過充電保護機能が無効化され、時刻t2において、切替部230がONになる。
【0348】
以上までの動作により、電力供給システム10が安定的に電力を供給するための準備が完了する。その後、時刻t3において、負荷装置20が電力の消費を開始する。このとき、電力供給システム1910の出力電流の大きさはIout[A]である。Ioutは、予め定められた値よりも大きな値であってよい。
【0349】
一般的に、予告信号がONになってから切替部230がONになるまでの間に、遅延時間が生じる。そのため、例えば、蓄電システム150に装着された全ての蓄電モジュールが、配線106と電気的に切断された状態で、負荷装置20が大きな電力を消費すると、電力供給システム10の端子間電圧が急激に減少し、切替部230のON動作が間に合わない可能性がある。
【0350】
これに対して、本実施形態によれば、負荷装置20が電力の消費を開始する前に、少なくとも1つの蓄電モジュール1630と、蓄電システム1500の配線106との接続が完了している。その結果、電力供給システム10は、安定的に電力を供給することができる。なお、本実施形態において、予告信号のON時間tsの長さは、予告信号がONになった時刻と、負荷装置20の電力消費の開始時刻との間の期間tbの長さよりも大きな値に設定されてよい。また、期間tbの長さは、切替部230の遅延時間tdの長さよりも大きな値に設定されてよい。
【0351】
[電力供給システムの他の例]
図19図20及び図21を用いて、電力供給システムの他の例が説明される。図19は、電力供給システム1910のシステム構成の一例を概略的に示す。図20は、モジュール制御部1640による制御の一例を概略的に示す。図21は、電力供給システム1910の各部における電流変動の一例を概略的に示す。
【0352】
図19に示されるとおり、電力供給システム1910は、キャパシタ1920をさらに備える点と、電力供給システム1910が電流を出力する前に必ずしも切替部230を短絡させる必要がない点とで、図15及び図16に関連して説明された電力供給システム10と相違する。
【0353】
図17及び図18に関連して説明された電力供給システム10の制御方法によれば、電力供給システム10が電流を出力する前に、短絡用スイッチ1632が切替部230を短絡させることで、電力供給システム10から負荷装置20への電力供給が安定化した。一方、本実施形態によれば、キャパシタ1920が負荷装置20と並列に接続されることにより、電力供給システム1910の出力電圧の急激な変動が抑制される。これにより、電力供給システム10から負荷装置20への電力供給が安定化しうる。
【0354】
例えば、電力供給システム1910の出力電圧の急激な変動が抑制されるので、切替部230が、電力供給システム1910の出力電圧の減少に対応しやすくなる。また、仮に、切替部230が、電力供給システム1910の出力電圧の減少に対応できない場合であっても、システム制御部140が、負荷装置20が電力の消費を開始したことを示す通知信号を受信したことに応じて、短絡用スイッチ1632が、切替部230を短絡させることができる。その結果、電力供給システム10から負荷装置20への電力供給が安定化しうる。なお、本実施形態においては、短絡用スイッチ1632は、電力供給システム10が電流を出力する前に切替部230を短絡させてもよく、電力供給システム10が電流を出力した後に切替部230を短絡させてもよい。
【0355】
本実施形態によれば、例えば、キャパシタ1920の一端が接続端子102と電気的に接続され、キャパシタ1920の他端が接続端子104と電気的に接続される。これにより、負荷装置20が電力供給システム1910と電気的に接続された場合に、キャパシタ1920及び負荷装置20が並列に接続される。これにより、電力供給システム1910の出力電圧の変動が抑制される。そのため、例えば、蓄電システム150に装着された全ての蓄電モジュールが、配線106と電気的に切断された状態で、負荷装置20が大きな電力を消費した場合であっても、切替部230のON動作が、配線106の電圧の低下に対応することができる。
【0356】
電力供給システム1910は、蓄電システムの一例であってよい。キャパシタ1920は、変動抑制部の一例であってよい。
【0357】
図20は、通知信号のON/OFF状態の変動2022と、電力供給システム10の出力電流の変動2024の一例と、短絡用スイッチ1632のON/OFF状態の変動2032の一例と、切替部230の状態の変動2034の一例と、電力供給システム10の出力電圧の変動2040の一例とを概略的に示す。
【0358】
通知信号は、負荷装置20が電流の消費を開始したこと、又は、負荷装置20が電流を消費していることを示す信号であってよい。通知信号は、負荷装置20の消費電流の電流値が、予め定められた値以上である又は予め定められた値より大きいことを示す信号であってもよい。通知信号は、例えば、負荷装置20からシステム制御部140に送信される。
【0359】
図21は、蓄電システム1500充電電流の変動2122の一例と、蓄電モジュール群1530の中で最も電圧の大きな蓄電モジュールの電流の変動2124の一例とを概略的に示す。なお、上述されたとおり、蓄電モジュール群1530は、1以上の蓄電モジュール1630を含む。本実施例において、上記の最も電圧の大きな蓄電モジュールは、蓄電モジュール1630であってよい。
【0360】
図20及び図21に示されるとおり、本実施形態によれば、時刻t1より前の期間において、蓄電モジュール群1530のトリクル充電が実施されている。このとき、蓄電モジュール1630には、Vcv[V]の電圧が印可され、Ict[A]の電流が流れている。本実施例においては、このとき、蓄電システム150に装着された全ての蓄電モジュールの切替部230は、各蓄電モジュールの配線106と蓄電部210とを電気的に切断している。また、充電装置14から各蓄電モジュールに供給される電流は、トリクル充電部320を介して、蓄電部210に流入している。
【0361】
ここで、時刻t1において、負荷装置20が電力の消費を開始する。このとき、電力供給システム1910の出力電流の大きさはIout[A]である。Ioutは、予め定められた値よりも大きな値であってよい。また、負荷装置20が電力の消費を開始すると、電力供給システム1910の出力電圧が減少する。なお、負荷装置20が電力の消費を開始した後、充電装置14は、蓄電システム1500に提供する電力量又は電流量を、Iccまで増加させてよい。このとき、キャパシタ1920の容量をCとし、電力供給システム1910の出力電流の大きさをIとすると、図20において、出力電圧の減少速度は、(I-Icc)/Cの傾きで表される。
【0362】
次に、時刻t2において、モジュール制御部1640が、通知信号がONになったことを検出する。通知信号がONになると、モジュール制御部1640は、蓄電モジュール1630の短絡用スイッチ1632をON動作させる。上述されたとおり、上記の蓄電モジュール1630の蓄電モジュール群1530に含まれる蓄電モジュールの中で、端子間電圧が最も大きい。そのため、短絡用スイッチ1632がONになると、電力供給システム10の端子間電圧が、上記の蓄電モジュール1630の端子間電圧Von[V]に略等しくなる。
【0363】
また、このとき、上記の蓄電モジュール1630に、瞬間的に大きな電池電流Iが流れる。これにより、キャパシタ1920が充電される。これにより、電力供給システム10の端子間電圧が上昇する。
【0364】
その後、時刻t2から遅延時間tdが経過して時刻t3になると、上記の蓄電モジュール1630の切替部230がONになる。このとき、電力供給システム1910の出力電圧は、Vout[V]になる。Vout[V]の大きさは、例えば、蓄電モジュール群1530により決定される。
【0365】
本実施形態において、通知信号のON時間tsの長さは、切替部230の遅延時間tdの長さよりも大きな値に設定されてよい。負荷装置20の電力消費の開始時刻と、通知信号がONになった時刻との間の期間tbの長さは、キャパシタ1920の容量に基づいて決定されてよい。
【0366】
[電力供給システムの他の例]
図22図23及び図24を用いて、電力供給システムの他の例が説明される。図22は、電力供給システム2210のシステム構成の一例を概略的に示す。図23は、モジュール制御部1640による制御の一例を概略的に示す。図24は、電力供給システム2210の各部における電流変動の一例を概略的に示す。
【0367】
図22に示されるとおり、電力供給システム2210は、電流検出素子2220をさらに備える点と、短絡用スイッチ1632が、電流検出素子2220の検出結果に基づいて切替部230を短絡させる点とで、図15及び図16に関連して説明された電力供給システム10と相違する。その他の特徴に関し、電力供給システム2210は、図15及び図16に関連して説明された電力供給システム10と同様の構成を有してよい。
【0368】
本実施形態において、電流検出素子2220は、電力供給システム2210が負荷装置20に電力を供給したことを検出する。また、電流検出素子2220は、当該検出結果を示す情報をシステム制御部140に送信する。
【0369】
一実施形態において、電流検出素子2220は、電力供給システム2210の出力電流が予め定められた値よりも大きいか否かを検出する。電力供給システム2210の出力電流が予め定められた値よりも大きいことが検出された場合、電流検出素子2220は、当該検出結果を示す情報をシステム制御部140に送信する。他の実施形態において、電流検出素子2220は、電力供給システム2210の出力電流の電流値を測定する。電流検出素子2220は、当該測定結果を示す情報をシステム制御部140に送信する。
【0370】
本実施形態において、システム制御部140は、電力供給システム2210が負荷装置20に電力を供給したことが検出された場合に、(i)電力供給システム2210が負荷装置20に電力を供給したことが検出されたことを示す信号(検出信号と称される場合がある)、又は、(ii)短絡用スイッチ1632をONにするための信号を、モジュール制御部1640に送信する。
【0371】
本実施形態において、モジュール制御部1640は、検出信号又は短絡用スイッチ1632をONにするための信号を受信すると、短絡用スイッチ1632をON動作させるための信号を、短絡用スイッチ1632に送信する。これにより、切替部230が短絡される。電流検出素子2220が、電力供給システム2210が負荷装置20に電力を供給したことを検出した場合に、切替部230が短絡される。
【0372】
図23は、検出信号のON/OFF状態の変動2322と、電力供給システム10の出力電流の変動2324の一例と、短絡用スイッチ1632のON/OFF状態の変動2332の一例と、切替部230の状態の変動2334の一例と、電力供給システム10の出力電圧の変動2340の一例とを概略的に示す。
【0373】
図24は、蓄電システム1500充電電流の変動2422の一例と、蓄電モジュール群1530の中で最も電圧の大きな蓄電モジュールの電流の変動2424の一例とを概略的に示す。なお、上述されたとおり、蓄電モジュール群1530は、1以上の蓄電モジュール1630を含む。本実施例において、上記の最も電圧の大きな蓄電モジュールは、蓄電モジュール1630であってよい。
【0374】
図23及び図24に示されるとおり、本実施形態によれば、時刻t1より前の期間において、蓄電モジュール群1530のトリクル充電が実施されている。このとき、蓄電モジュール1630には、Vcv[V]の電圧が印可され、Ict[A]の電流が流れている。本実施例においては、このとき、蓄電システム150に装着された全ての蓄電モジュールの切替部230は、各蓄電モジュールの配線106と蓄電部210とを電気的に切断している。また、充電装置14から各蓄電モジュールに供給される電流は、トリクル充電部320を介して、蓄電部210に流入している。
【0375】
一方、時刻t0において、負荷装置20が電力の消費を開始する。本実施形態においては、電力供給システム2210が負荷装置20に電力を供給した後、負荷装置20の消費電流が連続的又は段階的に増加する。本実施形態によれば、時間が経過するにつれて、電力供給システム2210の出力電流の値が連続的に増加する。
【0376】
そして、時刻t1になると、電力供給システム2210の電流値がIsp[A]に到達する。Ispは、予め定められた値であってよい。電力供給システム2210の電流値がIsp[A]に到達すると、電流検出素子2220が、電力供給システム2210が出力電流を検出する。これにより、電力供給システム2210が負荷装置20に電力を供給したことが検出される。
【0377】
検知信号がONになると、モジュール制御部1640は、蓄電モジュール1630の短絡用スイッチ1632をON動作させる。短絡用スイッチ1632がONになると、電力供給システム10の端子間電圧が、上記の蓄電モジュール1630の端子間電圧Von[V]に略等しくなる。なお、短絡用スイッチ1632がONになった後、充電装置14は、蓄電システム1500に提供する電力量又は電流量を、Iccまで増加させてよい。
【0378】
その後、時刻t1から遅延時間tdが経過して時刻t2になると、切替部230がONになる。本実施形態において、短絡用スイッチ1632がONになった後、時間taが経過すると、モジュール制御部1640は、蓄電モジュール1630の短絡用スイッチ1632をOFF動作させる。時間taの長さは、切替部230の遅延時間tdの長さよりも大きな値に設定されてよい。
【0379】
電力供給システム2210は、蓄電システムの一例であってよい。電流検出素子2220は、検出部の一例であってよい。
【0380】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載などから明らかである。
【0381】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0382】
10 電力供給システム、14 充電装置、16 充電切替部、20 負荷装置、26 負荷切替部、52 信号、54 信号、86 信号、88 信号、100 蓄電システム、102 接続端子、104 接続端子、106 配線、110 蓄電モジュール、130 蓄電モジュール、140 システム制御部、150 蓄電システム、202 正極端子、204 負極端子、210 蓄電部、212 正極端子、214 負極端子、222 蓄電セル、224 蓄電セル、230 切替部、240 モジュール制御部、250 保護部、260 バランス補正部、320 トリクル充電部、322 方向制限部、324 流量制限部、410 判定部、420 受信部、430 信号生成部、440 モジュール情報取得部、450 モジュール情報格納部、460 モジュール情報送信部、510 トランジスタ、512 抵抗、514 抵抗、516 ダイオード、520 トランジスタ、522 抵抗、524 抵抗、526 ダイオード、530 トランジスタ、532 抵抗、540 トランジスタ、542 抵抗、552 抵抗、554 抵抗、560 トランジスタ、570 キャパシタ、572 抵抗、580 トランジスタ、592 スイッチ、594 スイッチ、622 状態管理部、624 モジュール選択部、626 信号生成部、642 充電制御部、644 充電部、662 負荷制御部、664 負荷部、710 変動、730 変動、740 変動、814 変動、914 出力特性、1010 蓄電モジュール、1020 電流検出素子、1040 モジュール制御部、1120 電流監視部、1122 電流検出部、1124 方向決定部、1242 寄生ダイオード、1244 寄生ダイオード、1260 OR回路、1272 AND回路、1274 AND回路、1282 OR回路、1284 OR回路、1330 蓄電モジュール、1430 蓄電モジュール、1500 蓄電システム、1510 蓄電モジュール群、1530 蓄電モジュール群、1630 蓄電モジュール、1632 短絡用スイッチ、1640 モジュール制御部、1722 変動、1724 変動、1732 変動、1734 変動、1740 変動、1822 変動、1824 変動、1910 電力供給システム、1920 キャパシタ、2022 変動、2024 変動、2032 変動、2034 変動、2040 変動、2122 変動、2124 変動、2210 電力供給システム、2220 電流検出素子、2322 変動、2324 変動、2332 変動、2334 変動、2340 変動、2422 変動、2424 変動
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