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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】構造体移動装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20250116BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
E04B5/43 E
E04H1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024078424
(22)【出願日】2024-05-14
【審査請求日】2024-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524181816
【氏名又は名称】オーグメンテッドコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊治
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-087827(JP,U)
【文献】特開2000-171902(JP,A)
【文献】特表2023-546889(JP,A)
【文献】実開平02-005563(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00
E04F 15/02
E04F 11/04
E04B 5/43
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部を備え、
前記制御処理部は、
複数の前記床面部材のうち少なくとも1つの前記床面部材が什器として機能する位置に当該床面部材を移動させるように、複数の前記床部を制御し、
前記什器は、
机であり、
前記制御処理部は、
前記机として機能する前記床面部材をユーザが立った状態で使用している立位姿勢時間を計時し、
前記立位姿勢時間が所定の基準値を超えたとき、当該床面部材を上方向に移動させる、
構造体移動装置。
【請求項2】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部を備え、
前記制御処理部は、
複数の前記床面部材のうち少なくとも1つの前記床面部材が什器として機能する位置に当該床面部材を移動させるように、複数の前記床部を制御し、
前記什器は、
椅子、ベッド、又は、机の少なくとも1つであり、
前記制御処理部は、
前記椅子として機能する前記床面部材にユーザが座っている座位姿勢時間、前記ベッドとして機能する前記床面部材にユーザが寝ている臥位姿勢時間、又は、前記机として機能する前記床面部材をユーザが立った状態で使用している立位姿勢時間を計時し、
前記座位姿勢時間、前記臥位姿勢時間、又は、前記立位姿勢時間が所定の基準値を超えたとき、当該床面部材を上方向に移動させるとともに、
前記座位姿勢時間、前記臥位姿勢時間、又は、前記立位姿勢時間が前記基準値を超えたときに前記床面部材を上方向に移動させる場合の移動速度を、当該床面部材が前記椅子、前記ベッド又は前記机として機能する位置に前記床面部材を移動させる場合の移動速度よりも遅く設定し、当該床面部材を上方向に移動させる、
構造体移動装置。
【請求項3】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床面部材に埋め込まれた表示出力部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記制御処理部は、
複数の前記床面部材のうち少なくとも1つの前記床面部材が什器として機能する位置に当該床面部材を移動させるように、複数の前記床部を制御し、
前記什器は、
椅子、ベッド、又は、机の少なくとも1つであり、
前記制御処理部は、
前記椅子として機能する前記床面部材にユーザが座っている座位姿勢時間、前記ベッドとして機能する前記床面部材にユーザが寝ている臥位姿勢時間、又は、前記机として機能する前記床面部材をユーザが立った状態で使用している立位姿勢時間を計時し、
前記座位姿勢時間、前記臥位姿勢時間、又は、前記立位姿勢時間が所定の基準値を超えたとき、その旨を報知する報知情報を生成し、前記椅子、前記ベッド又は前記机として機能する前記床面部材に埋め込まれた前記表示出力部から前記報知情報を出力させる、
構造体移動装置。
【請求項4】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床面部材に埋め込まれた表示出力部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記制御処理部は、
複数の前記床面部材を移動させるときに、その旨を報知する報知情報を生成し、前記床面部材に埋め込まれた前記表示出力部から前記報知情報を出力させる、
構造体移動装置。
【請求項5】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
構造体移動装置が設置された設置環境に所在するユーザの状態を示すユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記ユーザ情報取得部は、
前記ユーザの状態として、身長、体重、脈拍、体温、発汗、心電、又は、服装を含むユーザの身体的な状態を示す前記ユーザ情報を取得し、
前記制御処理部は、
前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザ情報に基づいて、複数の前記床部を制御する、
構造体移動装置。
【請求項6】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
構造体移動装置が設置された設置環境に所在するユーザの状態を示すユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記ユーザ情報取得部は、
前記ユーザの状態として、疲労感、又は、倦怠感を含むユーザの心理的な状態を示す前記ユーザ情報を取得し、
前記制御処理部は、
前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザ情報に基づいて、複数の前記床部を制御する、
構造体移動装置。
【請求項7】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
構造体移動装置が設置された設置環境に所在するユーザの状態を示すユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記ユーザ情報取得部は、
前記ユーザの状態として、スケジュールで定められたユーザの作業予定の状態を示す前記ユーザ情報を取得し、
前記制御処理部は、
前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザ情報に基づいて、複数の前記床部を制御する、
構造体移動装置。
【請求項8】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
構造体移動装置が設置された設置環境の状態を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記環境情報取得部は、
前記設置環境の状態として、前記設置環境の時刻、照度、温湿度、又は、電力を示す前記環境情報を取得し、
前記制御処理部は、
前記環境情報取得部により取得された前記環境情報に基づいて、複数の前記床部を制御する、
構造体移動装置。
【請求項9】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
構造体移動装置が設置された設置環境の状態を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記環境情報取得部は、
前記設置環境の状態として、前記設置環境に所在するユーザの所在人数を示す前記環境情報を取得し、
前記制御処理部は、
前記環境情報取得部により取得された前記環境情報が示す前記ユーザの所在人数に基づいて什器の数及び配置を決定し、複数の前記床面部材のうち少なくとも1つの前記床面部材が前記什器として機能する位置に当該床面部材を移動させるように、複数の前記床部を制御する、
構造体移動装置。
【請求項10】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床面部材に埋め込まれた操作入力部と、
前記床面部材に埋め込まれた前記操作入力部に対するタッチ操作により当該床面部材に対する操作を示す操作情報を取得する操作情報取得部と、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部と、を備え、
前記制御処理部は、
前記操作情報取得部により取得された前記操作情報に基づいて、複数の前記床部を制御する、
構造体移動装置。
【請求項11】
前記制御処理部は、
複数の前記床面部材のうち少なくとも1つの前記床面部材が什器として機能する位置に当該床面部材を移動させるように、複数の前記床部を制御する、
請求項4乃至請求項10のいずれか一項に記載の構造体移動装置。
【請求項12】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
壁に並べられて設置されて壁面を形成する壁面部材と、前記壁面部材に連結された上面部材とをそれぞれ有し、前記壁面部材が前記壁面を形成する位置と、前記壁面部材が前記壁面よりも水平方向に飛び出した位置との間で前記壁面部材及び前記上面部材を水平方向に移動可能な複数の壁部と、
複数の前記床部の動作及び複数の前記壁部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御するとともに、複数の前記壁部がそれぞれ有する複数の前記壁面部材及び前記上面部材を水平方向に移動させるように、複数の前記壁部を制御する制御処理部を備える、
構造体移動装置。
【請求項13】
前記制御処理部は、
複数の前記壁面部材のうち少なくとも1つの前記壁面部材に連結された前記上面部材が什器として機能する位置に当該前記上面部材を移動させるように、複数の前記壁部を制御する、
請求項12に記載の構造体移動装置。
【請求項14】
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
天井に並べられて設置されて天井面を形成する天井面部材をそれぞれ有し、前記天井面部材が前記天井面を形成する位置と、前記天井面部材が前記天井面よりも下方向に飛び出した位置との間で前記天井面部材を上下方向に移動可能な複数の天井部と、
複数の前記床部の動作及び複数の前記天井部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御するとともに、複数の前記天井部がそれぞれ有する複数の前記天井面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記天井部を制御する制御処理部を備える、
構造体移動装置。
【請求項15】
前記制御処理部は、
複数の前記天井面部材のうち少なくとも1つの前記天井面部材が什器として機能する位置に当該天井面部材を移動させるように、複数の前記天井部を制御する、
請求項14に記載の構造体移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子や机等の什器が設置された設置環境の利便性を向上させるため、使用時の高さを変更可能な什器が知られている。例えば、特許文献1には、利用者の人数や使用目的に応じて、テーブルの高さを変更可能な昇降テーブルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-132843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
什器が設置環境に一旦設置された場合、什器の使用時の高さが変更可能であったとしても、什器自体の占有面積は変わらないため、設置環境として利用可能なスペースは、什器を除く部分に限られていた。そのため、什器のレイアウトを変更したり、什器のサイズを変更したりしない限り、設置環境の利便性を向上させるには限界があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、設置環境の利便性を向上させることを可能とする構造体移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る構造体移動装置は、
床に並べられて設置されて床面を形成する床面部材をそれぞれ有し、前記床面部材が前記床面を形成する位置と、前記床面部材が前記床面よりも上方向に飛び出した位置との間で前記床面部材を上下方向に移動可能な複数の床部と、
複数の前記床部の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の前記床部がそれぞれ有する複数の前記床面部材を上下方向に移動させるように、複数の前記床部を制御する制御処理部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係る構造体移動装置によれば、複数の床部がそれぞれ有する複数の床面部材が、床面を形成する位置と、床面よりも上方向に飛び出した位置との間で上下方向に移動可能であり、制御装置は、複数の床面部材を上下方向に移動させるように、複数の床部を制御する。そのため、床面部材が、例えば、什器として使用される場合には、床面よりも上方向に移動されて、什器として使用されない場合には、床面を形成する位置に移動されるので、設置環境の利便性を向上させることができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】構造体移動装置1の一例を示す全体構成図である。
図2】床面部材20及び壁面部材30が什器として機能する場合の第1の機能例を示す正面図である。
図3】床面部材20及び壁面部材30が什器として機能する場合の第2の機能例を示す正面図である。
図4】構造体移動装置1の一例を示すブロック図である。
図5】構造体移動装置1の第1の動作例を示すフローチャートである。
図6】構造体移動装置1の第2の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(構造体移動装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る構造体移動装置1の一例を示す全体構成図である。構造体移動装置1は、ユーザUが利用可能な設置環境10に設置されて利用される装置である。
【0012】
設置環境10は、例えば、オフィス、居住施設、医療施設、リハビリテーション施設、公的施設、商業施設、教育施設、観光施設、生産施設等に設置される。なお、設置環境10は、屋内でもよいし、屋外でもよい。本実施形態では、設置環境10は、屋内の居住施設である場合を中心に説明する。
【0013】
構造体移動装置1は、その構成要素として、複数の床部2と、複数の壁部3と、制御装置4とを備える。
【0014】
複数の床部2は、床11に並べられて設置されて床面110を形成する床面部材20をそれぞれ有する。複数の床部2がそれぞれ有する複数の床面部材20は、例えば、板状であり、平面視において、矩形状に形成されて、行列状に並べられて配置される。壁面部材30のサイズは、例えば、平面視において、縦30cm、横30cmであるが、適宜変更してもよい。複数の床部2が配置されていない部分は、通常の床が配置されている。
【0015】
なお、床面部材20の形状は、矩形状に限られず、例えば、六角形のような他の多角形状でもよいし、曲線を含むような形状でもよい。その際、全ての床面部材20の形状が同じでもよいし、一部の床面部材20の形状が異なっていてもよい。床面部材20の配置形態は、行列状に限られず、千鳥状でもよいし、ハニカム状でもよい。床面部材20の配置数は、図1の例に限られず、例えば、設置環境10の広さや場所に応じて適宜変更してもよい。
【0016】
複数の床部2は、床面部材20が床面110を形成する位置P20と、床面部材20が床面110よりも上方向に飛び出した位置P21との間で床面部材20を上下方向に移動可能に構成されている。複数の床部2は、床面部材20を上下方向に移動させるための床面移動機構(不図示)として、例えば、モータ、流体圧シリンダ等の駆動力発生用の駆動力発生部と、リンク、クランク、リニアガイド、ボールねじ、ギヤ、ベルト、カップリング、軸受等の駆動力伝達部と、リニアセンサ、エンコーダセンサ、リミットセンサ、トルクセンサ等の検出部とを適宜組み合わせて構成される。
【0017】
複数の壁部3は、壁12に並べられて設置されて壁面120を形成する壁面部材30と、壁面部材30に連結された上面部材31とをそれぞれ有する。複数の壁部3がそれぞれ有する複数の壁面部材30は、例えば、板状であり、正面平面視において、矩形状に形成されて、行列状に並べられて配置される。壁面部材30のサイズは、例えば、正面視において、縦30cm、横30cmであるが、適宜変更してもよい。複数の壁部3が配置されていない部分は、通常の壁が配置されている。
【0018】
なお、壁面部材30の形状は、矩形状に限られず、例えば、六角形のような他の多角形状でもよいし、曲線を含むような形状でもよい。壁面部材30の配置形態は、行列状に限られず、千鳥状でもよいし、ハニカム状でもよい。壁面部材30の配置数は、図1の例に限られず、例えば、設置環境10の広さや場所に応じて適宜変更してもよい。
【0019】
複数の壁部3は、壁面部材30が壁面120を形成する位置P30と、壁面部材30が壁面120よりも水平方向に飛び出した位置P31との間で壁面部材30を水平方向に移動可能に構成されている。複数の壁部3は、壁面部材30を水平方向に移動させるための床面移動機構(不図示)として、例えば、モータ、流体圧シリンダ等の駆動力発生用の駆動力発生部と、リンク、クランク、リニアガイド、ボールねじ、ギヤ、ベルト、カップリング、軸受等の駆動力伝達部と、リニアセンサ、エンコーダセンサ、リミットセンサ、トルクセンサ等の検出部とを適宜組み合わせて構成される。
【0020】
制御装置4は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ等で構成される。制御装置4は、床面110の床下や床上に設置されていてもよいし、設置環境10とは異なる遠隔地に設置されていてもよい。
【0021】
制御装置4は、その機能として、複数の床部2及び複数の壁部3の動作を制御する制御機能と、ユーザUの入力操作を受け付けたり、音、表示(文字、アイコン、画像、光等)、振動によりユーザUに各種の情報を報知したりするユーザインターフェース機能とを有する。
【0022】
携帯端末装置5は、設置環境10を利用するユーザUにより所持される装置であり、例えば、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット端末等で構成される。携帯端末装置5は、各種のセンサ(脈拍、体温、発汗、心電等)を備えるとともに、ブラウザやアプリ等のプログラムに従って動作することにより、その機能として、ユーザ状態検出機能と、ユーザインターフェース機能とを有する。なお、携帯端末装置5としては、上記の各種の装置の他に、テレビや空調機器等のリモートコントローラが用いられてもよい。
【0023】
図2は、床面部材20及び壁面部材30が什器として機能する場合の第1の機能例を示す正面図である。図3は、床面部材20及び壁面部材30が什器として機能する場合の第2の機能例を示す正面図である。
【0024】
複数の床面部材20は、位置P20と位置P21との間で上下方向に移動可能であるが、位置P20と位置P21との間に位置に応じて什器として機能する。複数の壁面部材30は、位置P30と位置P31との間で水平方向に移動可能であるが、位置P30と位置P31との間に位置に応じて什器として機能する。什器としては、例えば、椅子13、机14、ベッド15、棚、及び、台の少なくとも1つであるが、これらに限られない。なお、机14は、ユーザが座った状態で使用するものでもよいし、ユーザが立った状態で使用するものでもよい。
【0025】
床面部材20は、位置P22に移動されることで、椅子13として機能する。床面部材20は、位置P23に移動されることで、机14として機能する。床面部材20は、位置P24に移動されることで、ベッド15として機能する。
【0026】
壁面部材30は、位置P32に移動されることで、椅子13として機能する。壁面部材30は、位置P33に移動されることで、机14として機能する。壁面部材30は、位置P34に移動されることで、ベッド15として機能する。
【0027】
図2に示す第1の機能例では、床面部材20が椅子13及び机14として機能する場合と、壁面部材30が机14として機能する場合とが図示されている。図3に示す第2の機能例では、床面部材20がベッド15として機能する場合と、壁面部材30がベッド15として機能する場合とが図示されている。
【0028】
なお、椅子13として機能する位置P22、P32、机14として機能する位置P23、P33、及び、ベッド15として機能する位置P24、P34は、所定の範囲内で変更可能であり、例えば、設置環境10の状態(ユーザUの所在位置、所在人数等)、ユーザUの状態(身長、疲労感、作業予定等)に応じて変更される。その際、机14の高さは、ユーザUが座って使用する場合の高さでもよいし、ユーザUが立って使用する場合の高さでもよい。また、什器は、複数の床部2及び複数の壁部3のうち、いずれか単体で構成されてもよいし、任意の組み合わせで構成されてもよい。その際、什器の種類としては、椅子13、机14、及び、ベッド15に限られない。例えば、エクササイズ用の機器でもよいし、リハビリテーション用の機器でもよい。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る構造体移動装置1の一例を示すブロック図である。制御装置4は、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより構成される制御部40と、HDD、SSD、メモリ等により構成される記憶部41と、通信網6との通信インターフェースである通信部42と、マイク等により構成される音声入力部43と、スピーカ等により構成される音声出力部44と、ボタン、スイッチ、タッチパネル等により構成される操作入力部45と、ディスプレイ、タッチパネル等により構成される表示出力部46と、各種のセンサにより構成されるセンサ群47とを備える。なお、各部42~46の一部又は全てが省略されてもよい。
【0030】
記憶部41には、構造体移動制御プログラム410、動作設定データ411、動作履歴データ412、及び、音声認識データ413が記憶されている。なお、記憶部41に記憶された上記の各種の情報は、管理装置(不図示)から更新情報を受信し、適宜更新されてもよい。
【0031】
動作設定データ411は、各種の基準値を記憶し、制御部40により参照される。また、動作設定データ411は、例えば、表示出力部46により表示可能であり、操作入力部45により編集可能なデータである。動作履歴データ412は、ユーザUの行動と、ユーザUにより発話された音声と、センサ群47による検出値とを、それら取得された日時とともに記憶する。音声認識データ413は、音声入力部43を介して入力されたユーザUの音声データからユーザUの発話内容を認識するためのデータやプログラムを記憶する。
【0032】
通信部42は、有線又は無線の通信網6を介して各種の外部装置に接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。外部装置には、例えば、設置環境10に所在するユーザUの携帯端末装置5、更新情報を提供する管理装置等が含まれるが、これらに限られない。
【0033】
音声入力部43及び操作入力部45は、各種の入力操作を受け付けるとともに、音声出力部44及び表示出力部46は、各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。なお、操作入力部45及び表示出力部46は、例えば、タッチパネルにより構成されることで、床面部材20又は壁面部材30に埋め込まれていてもよい。その場合、ユーザUの入力操作を、シングルタップやダブルタップ等のタッチ操作により受け付けるようにしてもよい。
【0034】
センサ群47は、例えば、赤外線センサ、温湿度センサ、照度センサ、イメージセンサ(カメラ)、圧力センサ等で構成される。各センサは、検出対象に応じて、設置環境10の各場所に設置される。各センサは、例えば、所定のサンプリング周期で検出した検出値を制御部40に送ってもよいし、制御部40からの検出要求に応じて検出値を制御部40に送ってもよい。検出値は、例えば、平均値、最大値、最小値のように、加工されたものでもよい。
【0035】
制御部40は、構造体移動制御プログラム410を実行することにより、環境情報取得部400、ユーザ情報取得部401、操作情報取得部402、及び、制御処理部403として機能する。
【0036】
環境情報取得部400は、設置環境10の状態を示す環境情報を取得する。設置環境10の状態には、例えば、設置環境10の時刻、照度、温湿度、電力、設置環境10に所在するユーザUの所在位置、所在人数が含まれるが、これらに限られない。環境情報取得部400は、環境情報を、例えば、上記の状態に応じて、センサ群47から検出値として取得してもよいし、ユーザUの携帯端末装置5から取得してもよい。例えば、ユーザUの所在位置、所在人数は、イメージセンサの検出値である画像に対して画像処理を行うことで取得されてもよいし、圧力センサの検出値から取得されてもよいし、ユーザUの携帯端末装置5の通信位置や通信台数から取得されてもよい。
【0037】
ユーザ情報取得部401は、設置環境10に所在するユーザUの状態を示すユーザ情報を取得する。ユーザUの状態には、例えば、身長、体重、脈拍、体温、発汗、心電、服装等のユーザUの身体的な状態、疲労感、倦怠感等のユーザUの心理的な状態、スケジュール等で定められたユーザUの作業予定の状態が含まれるが、これらに限られない。ユーザ情報取得部401は、ユーザ情報を、例えば、音声入力部43や操作入力部45を介して取得してもよいし、センサ群47から検出値として取得してもよいし、ユーザUの携帯端末装置5から取得してもよい。例えば、ユーザUの身体的な状態や心理的な状態は、イメージセンサの検出値である画像に対して画像処理を行うことで取得されてもよいし、ユーザUの携帯端末装置5が備える各種のセンサ(脈拍、体温、発汗、心電等)の検出値を携帯端末装置5から受信することで取得されてもよい。
【0038】
操作情報取得部402は、複数の床部2及び複数の壁部3に対する操作を示す操作情報を取得する。複数の床部2に対する操作には、例えば、上方向への移動操作や下方向への移動操作、椅子13として機能する位置への移動操作、机14として機能する位置への移動操作、ベッド15として機能する位置への移動操作が含まれるが、これらに限られない。操作情報取得部402は、操作情報を、例えば、音声入力部43や操作入力部45を介して取得してもよいし、センサ群47から検出値として取得してもよいし、ユーザUの携帯端末装置5(リモートコントローラでもよい)から取得してもよい。例えば、操作情報は、操作入力部45が、床面部材20又は壁面部材30に埋め込まれている場合には、床面部材20又は壁面部材30に対するタッチ操作により取得してもよい。
【0039】
制御処理部403は、複数の床面部材20を上下方向に移動させるように、複数の床部2を制御する。例えば、制御処理部403は、床面移動機構の駆動力発生部に制御信号を送ることで、床面部材20を移動させる位置や移動速度を制御する。その際、制御処理部403は、複数の床面部材20のうち少なくとも1つの床面部材20が什器として機能する位置に当該床面部材20を移動させるように、複数の床部2を制御する。なお、制御処理部403は、複数の床面部材20を別々に移動させてもよいし、全体(一部でもよい)を同時に移動させてもよい。
【0040】
制御処理部403は、複数の壁面部材30及び複数の上面部材31を水平方向に移動させるように、複数の壁部3を制御する。例えば、制御処理部403は、壁面移動機構の駆動力発生部に制御信号を送ることで、壁面部材30及び上面部材31を移動させる位置や移動速度を制御する。その際、制御処理部403は、複数の壁面部材30のうち少なくとも1つの壁面部材30に連結された上面部材31が什器として機能する位置に当該上面部材31を移動させるように、複数の壁部3を制御する。なお、制御処理部403は、複数の壁面部材30及び複数の上面部材31を別々に移動させてもよいし、全体(一部でもよい)を同時に移動させてもよい。
【0041】
制御処理部403は、複数の床面部材20又は複数の壁面部材30を移動させるときに、その旨を報知する報知情報を生成する。報知情報は、音声出力部44及び表示出力部46の少なくとも一方から出力されることで、ユーザUに報知される。これにより、床面部材20又は壁面部材30が移動することがユーザUに認識されるので、ユーザUの安全性を確保することができる。
【0042】
制御処理部403は、環境情報取得部400により取得された環境情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。例えば、制御処理部403は、環境情報が示す設置環境10の時刻や照度に応じて、什器の種類及び配置を決定する。また、制御処理部403は、環境情報が示すユーザUの所在位置に応じて、什器の種類及び配置を決定したり、環境情報が示すユーザUの所在人数に応じて、什器の数及び配置(椅子13の数や配置等)を決定したりする。そして、制御処理部403は、その決定した什器として機能するように、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。
【0043】
制御処理部403は、ユーザ情報取得部401により取得されたユーザ情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。例えば、制御処理部403は、ユーザ情報が示すユーザUの身長に応じて什器の高さを決定したり、ユーザ情報が示すユーザUの疲労感に応じて什器の種類を決定したりする。また、制御処理部403は、ユーザ情報が示すユーザUの作業予定(例えば、仕事、休憩、睡眠等)に応じて什器の種類を決定する。そして、制御処理部403は、その決定した什器として機能するように、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。
【0044】
制御処理部403は、操作情報取得部402により取得された操作情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。例えば、制御処理部403は、操作情報が示す移動操作に従って複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。
【0045】
なお、制御処理部403が、環境情報、ユーザ情報及び操作情報に基づいて、床部2及び壁部3を制御する際、これらの情報の任意の組み合わせに基づいて、床部2及び壁部3を制御するようにしてもよい。また、制御処理部403は、環境情報、ユーザ情報及び操作情報に対して優先順位を設定することで、優先順位が高い情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御するようにしてもよい。
【0046】
さらに、制御処理部403は、椅子13として機能する床面部材20にユーザUが座っている座位姿勢時間、ベッド15として機能する床面部材20にユーザUが寝ている臥位姿勢時間、又は、机14として機能する床面部材20をユーザUが立った状態で使用している立位姿勢時間を計時し、座位姿勢時間、臥位姿勢時間、又は、立位姿勢時間が所定の基準値を超えたとき、当該床面部材20を上方向に移動させるようにしてもよい。これにより、ユーザUに立ち上がりを促して、ユーザUが長時間同じ姿勢を取ることを抑制することができる。
【0047】
その際、制御処理部403は、座位姿勢時間、臥位姿勢時間、又は、立位姿勢時間が所定の基準値を超えたとき、その旨を報知する報知情報を生成してもよい。報知情報は、音声出力部44及び表示出力部46の少なくとも一方から出力されることで、ユーザUに報知される。これにより、ユーザUに立ち上がりや姿勢の変更を確実に促すことができる。
【0048】
また、制御処理部403は、座位姿勢時間、臥位姿勢時間、又は、立位姿勢時間が基準値を超えたときに床面部材20を上方向に移動させる場合の移動速度を、当該床面部材20が椅子13、ベッド15、又は、机14として機能する位置に床面部材20を移動させる場合の移動速度よりも遅く設定し、当該床面部材を上方向に移動させてもよい。これにより、床面部材20の移動が急に行われないので、ユーザUの立ち上がりや姿勢の変更を補助するとともに、ユーザUの安全性を確保することができる。
【0049】
(構造体移動装置1の動作)
次に、上記構成を有する構造体移動装置1の動作について説明する。
【0050】
図5は、本発明の実施形態に係る構造体移動装置1の第1の動作例を示すフローチャートである。図5のフローチャートで示す一連の処理は、制御装置4により、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0051】
まず、ステップS100にて、環境情報取得部400が、環境情報の取得状況を監視し、環境情報を取得した場合(ステップS100:Yes)、ステップS101に進み、環境情報を取得しなかった場合(ステップS100:No)、ステップS110に進む。
【0052】
ステップS101にて、制御処理部403は、ステップS100で取得された環境情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。その際、ユーザUが、設置環境10に所在している場合には、制御処理部403は、床面部材20又は壁面部材30を移動させる前に、床面部材20又は壁面部材30を移動させてよいか否かをユーザUに確認するようにしてもよい。なお、環境情報が取得された場合でも、その環境情報の内容によっては、ステップS101を実行しないようにしてもよい。
【0053】
ステップS110にて、ユーザ情報取得部401が、ユーザ情報の取得状況を監視し、ユーザ情報を取得した場合(ステップS110:Yes)、ステップS111に進み、ユーザ情報を取得しなかった場合(ステップS110:No)、ステップS120に進む。
【0054】
ステップS111にて、制御処理部403は、ステップS110で取得されたユーザ情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。なお、ユーザ情報が取得された場合でも、そのユーザ情報の内容によっては、ステップS111を実行しないようにしてもよい。
【0055】
ステップS120にて、操作情報取得部402が、操作情報の取得状況を監視し、操作情報を取得した場合(ステップS120:Yes)、ステップS121に進み、操作情報を取得しなかった場合(ステップS120:No)、ステップS100に戻る。
【0056】
ステップS121にて、制御処理部403は、ステップS120で取得された操作情報に基づいて、複数の床部2及び複数の壁部3を制御する。なお、操作情報が取得された場合でも、ユーザUの所在位置によりユーザUの安全性が確保できない場合には、ステップS121を実行しないようにしてもよい。
【0057】
以上のようにして、図5に示す一連の処理が実行されることで、設置環境10の状態やユーザUのニーズに応じて、複数の床部2及び複数の壁部3をダイナミックに変更させることができる。
【0058】
図6は、本発明の実施形態に係る構造体移動装置1の第2の動作例を示すフローチャートである。図6のフローチャートで示す一連の処理は、制御装置4により、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0059】
ステップS200にて、制御処理部403は、椅子13として機能する床面部材20にユーザUが座っている座位姿勢時間を計時する。
【0060】
ステップS210にて、制御処理部403は、ステップS200で計時した座位姿勢時間が所定の基準値を超えたか否かを監視し、座位姿勢時間が所定の基準値を超えた場合(ステップS210:Yes)、ステップS220に進む。
【0061】
ステップS220にて、制御処理部403は、ユーザUが椅子13として座っている床面部材20を上方向に移動させることで、ユーザUの立ち上がりを促す。
【0062】
以上のようにして、図6に示す一連の処理が実行されることで、ユーザUに立ち上がりを促して、ユーザUが長時間同じ姿勢を取ることを抑制することができる。なお、図6では、座位姿勢時間について説明したが、臥位姿勢時間や立位姿勢時間についても同様の処理が実行される。
【0063】
したがって、本実施形態に係る構造体移動装置1によれば、複数の床部2がそれぞれ有する複数の床面部材20が、床面110を形成する位置P20と、床面110よりも上方向に飛び出した位置P21との間で上下方向に移動可能であり、制御装置4は、複数の床面部材20を上下方向に移動させるように、複数の床部2を制御する。そのため、床面部材20が、例えば、什器として使用される場合には、床面110よりも上方向に移動されて、什器として使用されない場合には、床面110を形成する位置P20に移動されるので、設置環境10の利便性を向上させることができる。
【0064】
(他の実施形態)
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0065】
上記実施形態では、構造体移動装置1が、図5及び図6に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各ステップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。
【0066】
上記実施形態では、構造体移動装置1が、複数の壁部3を備える場合について説明したが、構造体移動装置1が、複数の壁部3を備えないようにしてもよい。その場合には、制御装置4は、複数の床部2のみを制御するようにすればよい。
【0067】
上記実施形態では、構造体移動装置1が、複数の床部2とともに、複数の壁部3を備える場合について説明したが、構造体移動装置1が、複数の壁部3に代えて又は加えて複数の天井部を備えるようにしていもよい。その場合には、制御装置4は、複数の床部2の動作を制御するとともに、複数の壁部3に代えて又は加えて複数の天井部の動作を制御するようにすればよい。
【0068】
上記の場合、複数の天井部は、天井に並べられて設置されて天井面を形成する天井面部材をそれぞれ有する。複数の天井部がそれぞれ有する複数の天井面部材は、平面視において、例えば、矩形状に形成されて、行列状に並べられて配置される。なお、天井面部材は、形状は、矩形状に限られず、例えば、六角形のような他の多角形状でもよいし、曲線を含むような形状でもよい。天井面部材の配置形態は、行列状に限られず、千鳥状でもよいし、ハニカム状でもよい。天井面部材の配置数は、例えば、設置環境10の広さや場所に応じて適宜変更してもよい。
【0069】
複数の天井部は、天井面部材が天井面を形成する位置と、天井面部材が天井面よりも下方向に飛び出した位置との間で天井面部材を上下方向に移動可能に構成されている。複数の天井部は、天井面部材を上下方向に移動させるための天井面移動機構として、例えば、モータ、流体圧シリンダ等の駆動力発生用の駆動力発生部と、リンク、クランク、リニアガイド、ボールねじ、ギヤ、ベルト、カップリング、軸受等の駆動力伝達部と、リニアセンサ、エンコーダセンサ、リミットセンサ、トルクセンサ等の検出部とを適宜組み合わせて構成される。
【0070】
制御処理部403は、複数の天井面部材を上下方向に移動させるように、複数の天井部を制御する。例えば、制御処理部403は、天井面移動機構の駆動力発生部に制御信号を送ることで、天井面部材を移動させる位置や移動速度を制御する。その際、制御処理部403は、複数の天井面部材のうち少なくとも1つの天井面部材が什器として機能する位置に当該天井面部材を移動させるように、複数の天井部を制御する。制御処理部403は、天井面部材が、例えば、板状であり、天井面部材を什器として機能させる場合には、天井面の反対側の面が、椅子13の座面、机14の天面、ベッド15の上面として機能する位置に当該天井面部材を移動させるように、複数の天井部を制御する。その際、制御処理部403は、例えば、環境情報、ユーザ情報又は操作情報に基づいて、複数の天井部を制御するようにしてもよい。なお、制御処理部403は、複数の天井面部材を別々に移動させてもよいし、全体(一部でもよい)を同時に移動させてもよい。
【0071】
上記実施形態では、制御装置4が、単一の装置で構成される場合について説明したが、複数の装置で構成されてもよい。その場合、制御装置4が有する機能を複数の装置に分散させて実現すればよい。
【0072】
上記実施形態では、制御装置4が、複数の床部2及び複数の壁部3の動作を制御する制御処理部403を備える場合について説明したが、制御処理部403は、人工知能技術を利用するようにしてもよい。例えば、制御処理部403が、環境情報やユーザ情報を機械学習済みのモデルに入力することで、複数の床部2に対して床面部材20を移動させる位置と、複数の壁部3に対して壁面部材30及び上面部材31を移動させる位置とを決定するようにしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、制御装置4が、複数の床部2及び複数の壁部3の動作を制御する制御処理部403を備える場合について説明したが、制御装置4は、例えば、環境情報やユーザ情報に基づいて、動作対象とする複数の床部2及び複数の壁部3を限定してもよい。例えば、ユーザUが所在している床部2については、その動作を一時的に制限するようにしてもよいし、床面部材20や壁面部材30を移動させたときに、ユーザUに衝突する可能性がある床部2や壁部3については、その動作を一時的に制限するようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、構造体移動制御プログラム410は、記憶部41に記憶された場合について説明したが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、構造体移動制御プログラム410は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…構造体移動装置、2…床部、3…壁部、4…制御装置、
5…携帯端末装置、6…通信網、
10…設置環境、11…床、12…壁、13…椅子、14…机、15…ベッド、
20…床面部材、30…壁面部材、31…上面部材、
40…制御部、41…記憶部、42…通信部、43…音声入力部、
44…音声出力部、45…操作入力部、46…表示出力部、47…センサ群、
110…床面、120…壁面、
400…環境情報取得部、401…ユーザ情報取得部、
402…操作情報取得部、403…制御処理部、
410…構造体移動制御プログラム、411…動作設定データ、
412…動作履歴データ、413…音声認識データ
【要約】
【課題】置環境の利便性を向上させることを可能とする構造体移動装置を提供する。
【解決手段】構造体移動装置1は、床11に並べられて設置されて床面110を形成する床面部材20をそれぞれ有し、床面部材20が床面を形成する位置P20と、床面部材20が床面110よりも上方向に飛び出した位置P21との間で床面部材20を上下方向に移動可能な複数の床部2と、複数の床部2の動作を制御する制御装置4とを備える。制御装置4は、複数の床部2がそれぞれ有する複数の床面部材20を上下方向に移動させるように、複数の床部2を制御する制御処理部を備える。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6