(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ねじ整列器
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20250116BHJP
B25B 23/04 20060101ALI20250116BHJP
B23P 19/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B65G47/14 Z
B25B23/04 A
B23P19/00 301G
(21)【出願番号】P 2024146253
(22)【出願日】2024-08-28
【審査請求日】2024-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000189154
【氏名又は名称】カネテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 元正
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄一
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3023650(JP,U)
【文献】特開2015-160685(JP,A)
【文献】特開2023-074607(JP,A)
【文献】特開2024-113791(JP,A)
【文献】特開2000-025930(JP,A)
【文献】実開昭59-097843(JP,U)
【文献】中国実用新案第211197732(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B25B 23/04
B65G 47/19
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ頭部に連続してそれより小径なねじ軸部が設けられたねじを傾斜姿勢にある容器内を傾斜面に沿って移動させながら前記ねじ頭部を上にした整列姿勢で整列させるねじ整列器であって、
複数のねじをねじ頭部が上になるように整列姿勢で収容する容器本体と、
前記容器本体の外形をなす枠体底部に
ねじを受ける曲面を上にして互いに平行に設けられた複数のガイド柱間に
、ねじ軸部の外径より大きいがねじ頭部の外径より小さな所定間隔で整列溝を備え、
前記整列溝をなす前記複数のガイド柱が、傾斜姿勢にある前記容器本体内でねじが流れ下る方向に沿って配置されており、前記整列溝の両側に配置された前記ガイド柱の曲面には、突起部若しくは切欠部が前記容器本体を平面視して千鳥配置されていることを特徴とするねじ整列器。
【請求項2】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面に突設された突起部は、前記ガイド柱の曲面の頂部より整列溝側の曲面上に設けられた柱状突起部であり、前記柱状突起部は前記容器本体を平面視して各々千鳥配置されている請求項1記載のねじ整列器。
【請求項3】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面に突設された突起部は、前記ガイド柱の曲面頂部に設けられたそろばん玉状の突起部であり、前記そろばん玉状の突起部は前記容器本体を平面視して各々千鳥配置されている請求項1記載のねじ整列器。
【請求項4】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面に設けられた前記切欠部は丸凹溝若しくはくさび状溝であって、前記丸凹溝若しくはくさび状溝は前記容器本体を平面視して各々千鳥配置されている請求項1記載のねじ整列器。
【請求項5】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面には、前記容器本体を平面視して前記ガイド柱の長手方向に沿って突起部と切欠部が交互に千鳥配置されている請求項1記載のねじ整列器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじを容器本体内で移動させながらねじ頭部を上にした整列姿勢で整列させるねじ整列器に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットハンドを使用するねじの単一ピックアップ搬送を行う場合、容器内にばら積みされた大量のねじを、ロボットハンドによりねじを一つずつ掴んで搬送する必要がある。この場合、個々のねじの姿勢を撮像カメラで認識させて決められた姿勢でロボットハンドにより把持するか、或いは把持したねじの姿勢を撮像カメラで認識させて、ねじ頭部を上にした着座姿勢で着座させるようロボットハンドの動作を制御するかのいずれかの対応が必要となる。
【0003】
この場合、ロボットハンドにより個々のねじの姿勢を画像認識させて把持する場合には、制御プログラムが複雑化し、ロボットハンドにも複雑な制御動作を伴う。よって、無作為な姿勢で把持されたねじが容器内等に投入された後、傾斜面を滑り落ちる際にねじの姿勢変更を促してねじ頭部を上にした整列姿勢となることが望ましい。
【0004】
容器内等に投入された大量のねじを整列させるねじ整列器としては以下のものが提案されている。
枠体に囲まれた板材の上下方向に直径がねじの頭部直径より大きいに貫通孔を設け、枠体に嵌まり込む一対の蓋材を設けて貫通孔に嵌り込んだねじが脱落するのを防いでいる。板材の貫通孔に対してねじは頭部が上向きに整列される場合と頭部が下向きに整列される場合の双方がある(特許文献1;特開2019-172411号参照)。
【0005】
或いは矩形状の厚手の板体に、径は使用する小ねじのねじ径より大きく、深さは該ねじ部長さより深い穴を所定の等間隔で、前記板体の表面に縦方向と横方向に多数穿設し、かつ該穴の径と同寸法の幅を有し該小ねじのねじ部長さの約1/2の深さを有する溝を、該穴の穿設面に長手方向に連設し、該穴の上面位置に円錐形の皿もみを形成する小ねじ頭部整列器も提案されている(特許文献2;実用新案登録第3023650号参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-172411号公報
【文献】実用新案登録第3023650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたねじ整列器は、板材の貫通孔にねじを嵌り込ませるためには、板材上にねじをばら撒いた後でねじ整列器を揺らす必要がある。よって、製造工程では加振装置が必要になる。また、板材の貫通孔に対してねじは頭部が上向きに整列される場合と頭部が下向きに整列される場合の双方がある。このため板材よりねじを取り出す場合には、いずれか一方の蓋材を着脱したままねじ整列器を上下反転させる必要がある。このため、作業者が手作業で行う場合を除いて、自動化した製造工程にはなじまない。
【0008】
特許文献2に開示されたねじ整列器は、小ねじを矩形の厚手の板体の上にランダムに収容し、板体を長手方向に衝撃揺動を与える必要がある。よって、製造工程では加振装置が必要になる。
また、板体の表面上の小ねじは、ねじ部を下にして細かく移動するうちに、ねじ部は溝に遊合し、続いてねじ部の先端は溝の底にある穴に入り込み、頭部は皿もみに位置決めされ、垂直の状態で緩係止される。しかしながら、板体に皿もみを形成しているため、皿小ねじ、丸皿小ねじ、なべ小ネジなど、個別のねじを整列するために予め板体に加工を施す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、ねじを傾斜姿勢にある容器本体に投入するだけで整列姿勢にすることができ、加振装置等の格別な設備が不要となる簡易な構成でロボットハンド等を使用したねじの単一ピックアップ搬送に適したねじ整列器を提供することにある。
【0010】
本発明は上記目的を達成するため、ねじ整列器は次の構成を備える。
ねじ頭部に連続してそれより小径なねじ軸部が設けられたねじを傾斜姿勢にある容器内を傾斜面に沿って移動させながら前記ねじ頭部を上にした整列姿勢で整列させるねじ整列器であって、複数のねじをねじ頭部が上になるように整列姿勢で収容する容器本体と、前記容器本体の外形をなす枠体底部にねじを受ける曲面を上にして互いに平行に設けられた複数のガイド柱間に、ねじ軸部の外径より大きいがねじ頭部の外径より小さな所定間隔で整列溝を備え、前記整列溝をなす前記複数のガイド柱が、傾斜姿勢にある前記容器本体内でねじが流れ下る方向に沿って配置されており、前記整列溝の両側に配置された前記ガイド柱の曲面には、突起部若しくは切欠部が前記容器本体を平面視して千鳥配置されていることを特徴とする。
【0011】
上記ねじ整列器を用いれば、傾斜姿勢にある容器本体内にねじを投入すると、ねじは枠体底部に設けられた複数のガイド柱に沿って流れ下る。このとき、ねじ軸部が整列溝に沿った姿勢で容器本体内に投下されると、ねじ軸部が溝内に進入してねじ頭部が両側のガイド柱に係止した整列姿勢に変更させられる。また、ねじ軸部が整列溝と交差する姿勢で投下されると、ねじ頭部が整列溝に落ち込んだままねじ軸部がガイド柱の曲面に千鳥配置されたいずれかの突起部に干渉して整列溝に沿うように姿勢変更させられてねじ軸部が整列溝内に進入してねじ頭部が両側のガイド柱に係止した整列姿勢に変更させられる。
或いは、ねじ軸部が整列溝と交差する姿勢で容器本体内に投下されると、ねじがガイド柱に沿って流れ下る間に、ねじ頭部が整列溝に設けられた切欠部に落ち込んだままねじ軸部が整列溝に沿うように姿勢変更させられてねじ軸部が整列溝内に進入してねじ頭部が両側のガイド柱に係止した整列姿勢に変更させられる。
よって、いずれの姿勢でねじが傾斜姿勢にある容器本体内に投下されても、枠体底部に設けられたガイド柱に沿って流れ下る際に、ねじ軸部が整列溝内に進入して下向きとなりねじ頭部が両側のガイド柱に係止したまま上向きとなる整列姿勢に変更したまま、容器本体内で整列溝に沿って整列姿勢で収容される。
したがって、ねじを傾斜姿勢にある容器本体に投入するだけで整列姿勢にすることができ、加振装置等の格別な設備が不要となる簡易な構成でロボットハンド等を使用したねじの単一ピックアップ搬送に適したねじ整列器を提供することができる。
【0012】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面に突設された突起部は、前記ガイド柱の曲面の頂部より整列溝側の曲面上に設けられた柱状突起部であり、前記柱状突起部は前記容器本体を平面視して各々千鳥配置されていてもよいし、或いは前記ガイド柱の曲面頂部に設けられたそろばん玉状の突起部であり、前記そろばん玉状の突起部は前記容器本体を平面視して各々千鳥配置されていてもよい。尚、そろばん玉状とは、一対の円錐どうしの底面を貼り合わせた突起部の形態を指し示すものとする。
これにより、ねじ軸部が整列溝と交差する姿勢で容器本体内に投下されると、ねじが平行に設けられたガイド柱に沿って流れ下る間に、ねじ頭部が整列溝に落ち込んだままねじ軸部が柱状突起部或いはそろばん玉状の突起部と干渉して整列溝に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体に投入されたねじが、ねじ軸部が整列溝内に進入しねじ頭部が上になるように整列姿勢に変更させられる。
【0013】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面に設けられた前記切欠部は丸凹溝若しくはくさび状溝であって、前記丸凹溝若しくはくさび状溝は前記容器本体を平面視して各々千鳥配置されていてもよい。
これにより、ねじ軸部が整列溝と交差する姿勢で容器本体内に投下されると、ねじが平行に設けられたガイド柱に沿って流れ下る間に、例えばなべねじやトラスねじの場合ねじ頭部が整列溝の溝幅が拡大した丸凹溝に落ち込むか或いは皿ねじの場合ねじ頭部がくさび状溝に係止した状態でねじ頭部を中心とするねじ軸部の回転動作を促すため、ねじ軸部が整列溝に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体に投入されたねじが、ねじ軸部が整列溝内に進入しねじ頭部が上になるように整列姿勢に変更させられる。
【0014】
前記整列溝の両側の前記ガイド柱の曲面には、前記容器本体を平面視して前記ガイド柱の長手方向に沿って突起部と切欠部が交互に千鳥配置されていてもよい。
これにより、ねじ軸部が整列溝と交差する姿勢で容器本体内に投下されると、ねじが平行に設けられたガイド柱に沿って流れ下る間に、ねじ頭部が整列溝の溝幅を拡大する切欠部に落ち込んだままねじ軸部がいずれかの突起部に干渉してねじ頭部を中心とするねじ軸部の回転動作を促すため、ねじ軸部が整列溝に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体に投入されたねじが、ねじ軸部が整列溝内に進入しねじ頭部が上になるように整列姿勢に変更させられる。
【発明の効果】
【0015】
ねじを傾斜姿勢にある容器本体に投入するだけで整列姿勢にすることができ、加振装置等の格別な設備が不要となる簡易な構成でロボットハンド等を使用したねじの単一ピックアップ搬送に適したねじ整列器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は第一実施例に係るねじ整列器の斜視図である。
【
図4】
図4はガイド柱に沿ったねじの流れと整列動作の一例を示すコマ送り説明図である。
【
図5】
図5は
図1のガイド柱に形成された突起部及び切欠部のパターンを示す斜視図である。
【
図7】
図7は第二実施例に係るねじ整列器の斜視図である。
【
図9】
図9は第三実施例に係るねじ整列器の斜視図である。
【
図11】
図11は第四実施例に係るねじ整列器の斜視図である。
【
図13】
図13は第五実施例に係るねじ整列器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施例]
以下、第一実施例に係るねじ整列器の概略構成について
図1乃至
図6を参照して説明する。ねじ整列器は、一例として製造工場等でロボットハンドを用いてねじの単一ピックアップ搬送を行った後に傾斜姿勢にある容器本体内に投入されたねじを整列姿勢に姿勢変更させて収容する。
【0018】
図1において、ねじ整列器1は、ねじ頭部2aに連続してそれより小径なねじ軸部2bが設けられたねじ2が傾斜姿勢にある容器本体3に投入されると、傾斜面に沿って移動させながらねじ軸部2bを下にしてねじ頭部2aを上にした整列姿勢で収容するものである。尚、容器本体3の傾斜姿勢は、傾斜する支持台により実現してもよいし、容器本体3の底部を支持する支持脚などを設けて長手方向一方側の高さを長手方向他方側の高さより高くする等様々な実施形態を採用し得る。また、容器本体3の傾斜角度は任意に調整され、少なくとも容器本体3内に投入されたねじ2が自重により容器底部を滑り落ちる程度の傾斜角を要する。
【0019】
図2Aに示すように、容器本体3は、その外形をなす枠体底部に平行に複数のガイド柱4が設けられている。ガイド柱4は半円柱状をした円弧面を上に向けて所定間隔で配置されている。ガイド柱4は必ずしも半円柱状に限らずかまぼこ状や断面が半長円状等であってもよく、ねじを受ける曲面側が容器底部となるように配置されている。尚、容器本体3は矩形状枠体を例示しているが、これに限られない。
ガイド柱4どうしの間には、整列溝5が設けられている。
図2Bに示すように、整列溝5の溝幅Tは、ねじ軸部2bの外径t1より大きいがねじ頭部2aの外径t2より小さな所定間隔となる。これにより、ガイド柱4間にねじ頭部2aが係止され、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入した整列状態でねじ2を容器本体3内に収容することができる。
【0020】
また、ガイド柱4のねじの案内面となる曲面には、突起部6と切欠部7が容器本体3を平面視して千鳥配置されている(
図6A参照)。突起部6は、例えば柱状突起が整列溝5の両側のガイド柱4の曲面に千鳥配置されている。突起部6は、ねじ2が整列溝5と交差する姿勢(
図2A参照)で容器本体3内に投入された際に、ねじ軸部2bと干渉してねじ軸部2bが整列溝5に沿う姿勢に変更するために設けられている(
図2B参照)。
【0021】
また、切欠部7は例えば丸凹溝であり、整列溝5の両側のガイド柱4の曲面に千鳥配置されている。切欠部7は、ねじ2が整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内に投入された際に、例えばなべねじやトラスねじなどのねじ頭部2aを切欠部7に落とし込み易くし、当該ねじ頭部2aを中心としてねじ軸部2bの回転を許容してねじ2の姿勢変更を促すようになっている。尚、切欠部7は整列溝5の両側に設けることはない。ねじ頭部2aが整列溝5より脱落するのを防ぐためである。
【0022】
また、突起部6と切欠部7は整列溝5の長手方向に沿って交互に配置されている(
図5,
図6A参照)。具体的には、ねじ2が流れ下るガイド柱4の長手方向において、整列溝5の両側に配置されたいずれかのガイド柱4の曲面に切欠部7と突起部6が交互に配置されている。この配置構成により、ねじ2が平行に設けられたガイド柱4に沿って流れ下る間に、ねじ頭部2aが切欠部7に落ち込んだままねじ軸部2bが突起部6と干渉して整列溝5に沿うように姿勢変更させられる(
図3A,
図3B参照)。
【0023】
ねじ整列器1は、量産化に適するものであれば、金属製、樹脂製、或いはハイブリッド製(金属製枠体に樹脂製ガイド柱等)のいずれでもよい。また、金属製の場合には、鉄、ステンレススチール、アルミニウムなどが好適に用いられ、樹脂製の場合には、PP(ポリプロピレン)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂などが好適に用いられる。
【0024】
ここで、ねじ整列器1を用いたねじ2の整列動作の一例について
図4A~
図4Fを参照して説明する。尚、ねじ2はねじ頭部2aが丸みをおびたなべねじ若しくはトラスねじなどを例示して説明する。
図4Aにおいて、傾斜姿勢にある容器本体3内に複数のねじ2を投入すると、各ねじ2は枠体底部に設けられた複数のガイド柱4に沿って流れ下る。ねじ軸部2bが整列溝5に沿った姿勢で容器本体3内に投下されると、ねじ軸部2bが溝内に進入してねじ頭部2aが両側のガイド柱4に係止した整列姿勢に変更させられる(
図2B参照)。
【0025】
また、ねじ軸部2bが整列溝5と交差する姿勢で投下されると、
図4Bに示すように、ねじ頭部2aは切欠部7が設けられた整列溝5に落ち込んだまま、ねじ軸部2bがガイド柱4の曲面に千鳥配置されたいずれかの突起部6と干渉する。
図4C及び
図4Dに示すように、ねじ2は自重によりガイド柱4の長手方向に流れ下るため、ねじ軸部2bは整列溝5に沿うように姿勢変更させられる。そして
図4Eに示すようにねじ軸部2bが整列溝5内に進入し、ねじ頭部2aが両側のガイド柱4に係止した整列姿勢に変更させられる。
図4Fに示すように、ねじ2は、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入して下向きとなりねじ頭部2aが両側のガイド柱4に係止したまま上向きとなる整列姿勢に変更され、容器本体3内で整列溝5に沿って整列姿勢で収容される。
【0026】
よって、例えば予め容器内にストックされたねじ2がロボットハンドによって一つずつピックアップされて傾斜姿勢にある容器本体3内にねじ2がいずれの姿勢で投下されても、枠体底部に設けられたガイド柱4に沿って流れ下る際に、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入して下向きとなりねじ頭部2aが両側のガイド柱4に係止したまま上向きとなる整列姿勢に変更したまま、容器本体3内で整列溝5に沿って整列姿勢で収容される。
したがって、ねじ2を傾斜姿勢にある容器本体3に投入するだけで整列姿勢にすることができ、加振装置等の格別な設備が不要となる簡易な構成でロボットハンドを使用したねじ2の単一ピックアップ搬送に適したねじ整列器1を提供することができる。
【0027】
[第二実施例]
次にねじ整列器1の他例について
図7及び
図8を参照して説明する。第一実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用して重複説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施例は、
図7に示すように、容器本体3の底部に設けられたガイド柱4のねじの案内面となる曲面には、複数の突起部6のみが容器本体3を平面視して千鳥配置されている。突起部6の形状は、円柱状をしており、ガイド柱4の長手方向に沿って設けられている。また、
図8A,
図8Bに示すように、円柱状突起部6は、ガイド柱4の曲面頂部より整列溝5側に下がった曲面上に設けられている。整列溝5の溝幅Tは、ねじ軸部2bの外径t1より大きいがねじ頭部2aの外径t2より小さな所定間隔となる。
【0028】
これにより、ねじ軸部2bが整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内に投下されると、ねじ2が平行に設けられたガイド柱4に沿って流れ下る間に、ねじ頭部2aが整列溝5に落ち込んだままねじ軸部2bがいずれかの円柱状突起部6と干渉して整列溝5に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体3に投入されたねじ2が、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入しねじ頭部2aが上になるように整列姿勢に変更させられる。
尚、第一実施例で示す切欠部7は、ねじ頭部2aを落とし込み易くし、当該ねじ頭部2aを中心としてねじ軸部2bの回転を許容してねじ2の姿勢変更を促すが、ねじの種類によっては省略することができる。
【0029】
[第三実施例]
次にねじ整列器1の他例について
図9及び
図10を参照して説明する。第一実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用して重複説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施例は、
図9に示すように、容器本体3の底部に設けられたガイド柱4のねじの案内面となる曲面には、複数の突起部6のみが容器本体3を平面視して千鳥配置されている点で第二実施例と同様である。但し、複数の突起部6の配置及び形状が第二実施例とは異なっている。具体的には、突起部6の形状はそろばん玉状をしており、その配置はガイド柱4の曲面頂部に設けられている。尚、そろばん玉状とは、一対の円錐どうしの底面を貼り合わせた突起部の形態を指し示す。
図10A,
図10Bに示すように、そろばん玉状の突起部6が容器本体3を平面視してガイド柱4の曲面頂部に各々千鳥配置されている。整列溝5の溝幅Tは、ねじ軸部2bの外径t1より大きいがねじ頭部2aの外径t2より小さな所定間隔となる。
【0030】
これにより、ねじ軸部2bが整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内に投下されると、ねじ2が平行に設けられたガイド柱4に沿って流れ下る間に、ねじ頭部2aが整列溝5に落ち込んだままねじ軸部2bがいずれかのそろばん玉状突起部6と干渉して整列溝5に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体3に投入されたねじ2が、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入しねじ頭部2aが上になるように整列姿勢に変更させられる。
【0031】
[第四実施例]
次にねじ整列器1の他例について
図11及び
図12を参照して説明する。第一実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用して重複説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施例は、
図11に示すように、容器本体3の底部に設けられたガイド柱4のねじの案内面となる曲面には、複数の切欠部7のみが容器本体3を平面視して千鳥配置されており、突起部6は省略されている。また、
図12A,
図12Bに示すように、切欠部7は丸凹溝であり、整列溝5の両側のガイド柱4の曲面に千鳥配置されている。切欠部7は、ねじ2が整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内に投入された際に、例えばなべねじやトラスねじなどのねじ頭部2aを切欠部7に落とし込み易くし、当該ねじ頭部2aを中心としてねじ軸部2bの回転を許容してねじ2の姿勢変更を促すようになっている。尚、切欠部7は整列溝5の両側に設けることはない。ねじ頭部2aが整列溝5より脱落するのを防ぐためである。整列溝5の溝幅Tは、ねじ軸部2bの外径t1より大きいがねじ頭部2aの外径t2より小さな所定間隔となる。
【0032】
これにより、ねじ軸部2bが整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内にねじ2が投下されると、ねじ2が平行に設けられたガイド柱4に沿って流れ下る間に、ねじ頭部2aが整列溝5の溝幅が拡大したいずれかの切欠部7(丸凹溝)に落ち込んだ状態でねじ頭部2aを中心とするねじ軸部2bの回転動作を促すため、ねじ軸部2bが整列溝5に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体3に投入されたねじ2が、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入しねじ頭部2aが上になるように整列姿勢に変更させられる。
【0033】
[第五実施例]
次にねじ整列器1の他例について
図13及び
図14を参照して説明する。第一実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用して重複説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施例は、
図14に示すように、容器本体3の底部に設けられたガイド柱4のねじの案内面となる曲面には、複数の切欠部7のみが容器本体3を平面視して千鳥配置されており、突起部6は省略されている点は第四実施例と同様である。しかしながら、
図14A,
図14Bに示すように、切欠部7はくさび状溝であり、整列溝5の両側のガイド柱4の曲面に千鳥配置されている。くさび状溝の溝形状は、
図14Aに示すように、ねじ2が流れ下るガイド柱4の長手方向下流側に溝開口が広がる形状となっている。切欠部7は、ねじ2が整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内に投入された際に、例えば皿ねじなどのねじ頭部2aが比較的平坦なねじが切欠部7に係止し易く当該ねじ頭部2aを中心としてねじ軸部2bの回転を許容してねじ2の姿勢変更を促すようになっている。尚、切欠部7は整列溝5の両側に設けることはない。ねじ頭部2aが整列溝5より脱落するのを防ぐためである。整列溝5の溝幅Tは、ねじ軸部2bの外径t1より大きいがねじ頭部2aの外径t2より小さな所定間隔となる。
【0034】
これにより、ねじ軸部2bが整列溝5と交差する姿勢で容器本体3内にねじ2が投下されると、ねじ2が平行に設けられたガイド柱4に沿って流れ下る間に、ねじ頭部2aが整列溝5の溝幅が拡大したいずれかの切欠部7(くさび状溝)に係止した状態でねじ頭部2aを中心とするねじ軸部2bの回転動作を促すため、ねじ軸部2bが整列溝5に沿うように姿勢変更させられる。よって、容器本体3に投入されたねじ2が、ねじ軸部2bが整列溝5内に進入しねじ頭部2aが上になるように整列姿勢に変更させられる。
【0035】
図15A,
図15Bは、ガイド柱4に設けられる突起部6の他の形態を示す説明図である。
図15Aに示すように、ガイド柱4のガイド面となる曲面に突設される突起部6は、曲面に対して起立する円柱状であってもよい。突起部6は、ガイド柱4の曲面頂部より下がった曲面位置(曲面頂部と平面底部との間)に千鳥配置されている。また、突起部6と交互に切欠部7も千鳥配置されていてもよい。
図15Bに示すように、ガイド柱4のガイド面となる曲面に突設される突起部6は、曲面に対して起立する角柱状であってもよい。いずれの場合も突起部6は、ガイド柱4の曲面頂部より整列溝5側に下がった曲面に千鳥配置されている。また、突起部6の他に切欠部7も千鳥配置されていてもよい。
【0036】
以上説明したように、ねじ2を傾斜姿勢にある容器本体3に投入するだけで整列姿勢とすることができ、加振装置等の格別な設備が不要な簡易な構成でロボットハンド等を使用したねじの単一ピックアップ搬送に適したねじ整列器1を提供することができる。
尚、容器本体3は、予め傾斜姿勢に形成されていてもよいし、フラットな容器姿勢で、傾斜姿勢に変更して使用するものの、いずれの形態であってもよい。
また、ガイド柱に設けられる突起部形状や切欠部形状は任意であり、ねじ頭部2aが上部となって容器本体3に投入されなかったねじ2は、ガイド柱3の曲面に設けられた突起部6又は切欠部7で姿勢変更を促され、ねじ頭部2aが上部となって整列溝5に沿って整列するものであれば、突起部6や切欠部7の形状は種々変更可能である。
更には、ねじ整列器1は、ロボットハンドを使用したねじ2の単一ピックアップ搬送に適しているが、ねじ2の搬送手段はロボットハンドに限らず、手作業やベルト搬送等によりねじ2を順次傾斜姿勢にある容器本体3に投入する場合においても有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 ねじ整列器 2 ねじ 2a ねじ頭部 2b ねじ軸部 3 容器本体 4 ガイド柱 5 整列溝 6 突起部 7 切欠部
【要約】
【課題】ねじを傾斜姿勢にある容器本体に投入するだけで整列することができ、加振装置等の格別な設備が不要となる簡易な構成でロボットハンド等を使用したねじの単一ピックアップ搬送に適したねじ整列器を提供する。
【解決手段】複数のねじ2が投入される容器本体3と、容器本体3の外形をなす枠体底部に平行に設けられた複数のガイド柱4間に、ねじ2を受ける曲面を上にしてねじ軸部2bの外径より大きいがねじ頭部2aの外径より小さな所定間隔で整列溝5を備え、整列溝5の長手方向両側に配置されたガイド柱4の曲面には、突起部6若しくは切欠部7が容器本体3を平面視して千鳥配置されている。
【選択図】
図1