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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】媒体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20250116BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20250116BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20250116BHJP
   B65H 7/20 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
B65H3/12 310Z
B65H3/48 320A
B65H7/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020089974
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183542
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】増田 直哉
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-008619(JP,A)
【文献】特開2018-095414(JP,A)
【文献】実開平06-027776(JP,U)
【文献】実開昭51-061825(JP,U)
【文献】特開2018-083669(JP,A)
【文献】実開平05-016743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00- 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち少なくとも最上位の媒体を、エアを吹き出すことによって浮上させる浮上エア吹き出し機構と、
前記浮上エア吹き出し機構のエアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送方向に直交する幅方向に対向して配置され、前記積載台に積載された前記媒体を前記幅方向に規制する1対の第1規制部分と、前記1対の第1規制部分よりも広い間隔で前記幅方向に対向して配置され、前記浮上エア吹き出し機構のエアの吹き出しによって浮上した前記媒体を前記幅方向に規制する1対の第2規制部分とを有する規制部とを備え、
前記1対の第1規制部分は、前記1対の第2規制部分と一体に移動可能に配置され、
前記1対の第1規制部分は、前記規制部に設けられ上下方向に延びるリブであり、
前記1対の第1規制部分及び前記1対の第2規制部分は、前記1対の第1規制部分の前記幅方向の間隔と前記1対の第2規制部分の前記幅方向の間隔との間隔差を調整可能に配置され、
前記媒体の媒体情報と媒体供給装置の環境情報とのうち少なくとも一方に基づいて、前記1対の第1規制部分と前記1対の第2規制部分とを相対的に移動させることによって、前記1対の第1規制部分の間の積載領域よりも上方の浮上領域の前記幅方向の間隔を、浮上時に変形しやすい前記媒体よりも浮上時に変形しにくい前記媒体で、前記積載領域の前記幅方向の間隔よりも大きく広げるように、前記間隔差を調整する制御部を更に備える
ことを特徴とする媒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮上エアを用いて用紙を浮上させてから、最上位の用紙を1枚に分離して供給するエア給紙方式が知られている。このようなエア給紙方式を採用したシート給送装置において、シート束の幅を規制する1対のサイドフェンスと、この1対のサイドフェンスの上方にサイドフェンスとは別体に配置され、浮上したシートの幅を規制する1対の整合板とを備え、1対の整合板の幅方向の間隔が1対のサイドフェンスの幅方向の間隔よりも狭い媒体供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-62961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、積載台に積載された用紙等の媒体は、浮上すると1対のサイドフェンスに挟まれた空間内を自由に移動する。そのため、1対のサイドフェンスと媒体との間に大きな隙間が存在すると、最上位の媒体を吸着して搬送する搬送機構への吸着位置のズレに起因して、画像位置ズレや紙詰まりなどの問題が発生することがある。
【0005】
一方、媒体に対して1対のサイドフェンスを押し当ててしまうと、媒体の浮上の挙動、及び、浮上後の媒体(搬送される最上位の媒体を除く媒体)の落下の挙動が1対のサイドフェンスとの摩擦により妨げられてしまい、例えば、媒体が浮上しにくくなることで空送が生じたり、或いは、浮上した媒体が落下しにくくなることで重送が生じたりする。また、媒体が変形しやすくなることで、特に媒体の空送が生じることがある。
【0006】
したがって、浮上した媒体の幅方向の位置を適切な間隔で規制することができないと、媒体を的確に供給することができない。
【0007】
上述のように、1対のサイドフェンスと、この1対のサイドフェンスの上方に配置され、浮上したシートの幅を規制する1対の整合板とを備えるシート給送装置では、1対の整合板は、1対のサイドフェンスとは異なり、シートが浮上していない場合にはシートに当接させることにより位置を決定することができない。そのため、1対のサイドフェンスの位置情報を取得し、1対の整合板の位置を設定するという複雑な設定をする必要が生じる。
【0008】
このとき、1対のサイドフェンスを用紙に当接させて実際のシートのサイズを計測するという一般的な方式でシートのサイズを検出すると、サイズ検知誤差分以上のマージンを取って1対の整合板の間隔を設定することとなり、1対の整合板とシートとの間に大きな隙間が発生する。また、定形サイズやパネル入力した値で1対の整合板の位置を設定する場合、1対の整合板でシートを押し当ててしまわないように、シートの規格寸法に対して所定(定形サイズの用紙であればJISで規定されている用紙サイズ公差+2mm)以上のマージンを取って1対の整合板の間隔を設定することとなり、1対の整合板とシートとの間に大きな隙間が発生する。このように、1対の整合板とシートとの間に大きな隙間が発生すると、上述のとおり、搬送機構への吸着位置のズレに起因して、画像位置ズレや紙詰まりなどの問題が発生することがある。
【0009】
本発明の目的は、簡単な設定で、浮上した媒体を的確に供給することができる媒体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、媒体供給装置は、複数の媒体が積載される積載台と、前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち少なくとも最上位の媒体を、エアを吹き出すことによって浮上させる浮上エア吹き出し機構と、前記浮上エア吹き出し機構のエアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、前記搬送方向に直交する幅方向に対向して配置され、前記積載台に積載された前記媒体を前記幅方向に規制する1対の第1規制部分と、前記1対の第1規制部分よりも広い間隔で前記幅方向に対向して配置され、前記浮上エア吹き出し機構のエアの吹き出しによって浮上した前記媒体を前記幅方向に規制する1対の第2規制部分とを有する規制部とを備え、前記1対の第1規制部分は、前記1対の第2規制部分と一体に移動可能に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
前記態様によれば、簡単な設定で、浮上した媒体を的確に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る媒体供給装置を備える印刷システムを示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る媒体供給装置の制御構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る媒体供給装置(媒体の供給時)を示す左側面図である。
図4】第1実施形態に係る媒体供給装置(媒体の非積載時)を示す左側面図である。
図5】第1実施形態におけるサイドフェンスを示す斜視図である。
図6】第2実施形態に係る媒体供給装置の制御構成を示す図である。
図7】第2実施形態に係る媒体供給装置(媒体の非積載時)を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1及び第2実施形態に係る媒体供給装置について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る媒体供給装置1を備える印刷システム100を示す正面図である。
【0015】
図2は、媒体供給装置1の制御構成を示す図である。
図3は、媒体供給装置1(媒体Mの供給時)を示す左側面図である。
【0016】
図4は、媒体供給装置1(媒体Mの非積載時)を示す左側面図である。
図5は、サイドフェンス12を示す斜視図である。
【0017】
なお、図1及び図3図5並びに後述する図7に示す前後、上下、及び左右の各方向は、媒体Mの搬送方向Dを右方向とした場合の一例であり、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0018】
図1に示す印刷システム100は、媒体供給装置1と、印刷装置101とを備える。
媒体供給装置1は、印刷装置101の印刷部110へ媒体Mを供給する。なお、媒体供給装置1が媒体Mを供給する対象は、印刷装置101に限られず、搬送装置、後処理装置などの他の装置であってもよい。また、媒体供給装置1は、印刷装置101などの他の装置に一体に備えられていてもよい。また、媒体Mとしては、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等の他のシート状の媒体などであってもよい。また、媒体供給装置1は、例えば上下又は前後に並んで複数配置され、複数の媒体供給装置1が印刷装置101などの単一の他の装置に対して媒体Mを供給してもよい。
【0019】
図1及び図2に示すように、媒体供給装置1は、積載台11と、1対のサイドフェンス12,12と、搬送機構20と、吸引機構30と、メイン浮上エア吹き出し機構40と、メイン分離エア吹き出し機構50と、1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60と、1対のサイド分離エア吹き出し機構70,70と、制御部81と、記憶部82と、インターフェース部83と、積載台昇降駆動部84と、搬送駆動部85とを備える。
【0020】
図1図3、及び図4に示す積載台11には、複数の媒体Mが積載される。積載台11は、図2に示す積載台昇降駆動部84の駆動によって昇降する。一例ではあるが、積載台11に積載された媒体Mの数が減っていくと、制御部81は、図示しない浮上状態検知部が所定の積載面高さに水平に照射した光の反射光の光量に基づいて、積載台11を上昇させるように積載台昇降駆動部84を制御する。
【0021】
図3及び図4に示すように、1対のサイドフェンス12,12は、媒体Mの搬送方向D(右方向)に直交する幅方向W(前後方向)に対向して配置されている。1対のサイドフェンス12,12は、媒体Mのサイズや向きに応じて積載台11上を媒体Mの幅方向Wに例えば手動又は図示しない駆動手段によって移動可能に配置されているとよい。なお、図1では、プーリ22等を図示するために、1対のサイドフェンス12,12の上部の図示を省略している。
【0022】
1対のサイドフェンス12,12のそれぞれでは、媒体M側の規制面12aから媒体M側に例えば0.5mm程度突出する凸部12bが設けられている。この凸部12bの規制面12aからの突出量は、任意ではあるが、例えば、JIS用紙サイズ公差値の半分(公差値が2mmであれば片側の凸部12bで1mm)以下とするとよい。図5に示すように、凸部12bは、例えば、上下方向に延びるリブである。凸部12bは、搬送方向Dに間隔を隔てて3つ設けられている。なお、1対のサイドフェンス12,12の凸部12b,12bは、幅方向Wに対向して配置され、積載台11に積載された媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第1規制部分の一例である。
【0023】
図4に示すように、1対のサイドフェンス12,12の間の領域は、凸部12b,12bの間の積載領域PAと、この積載領域PAよりも上方の浮上領域FAとを含む。積載領域PAでは、媒体Mが浮上せずに積載台11に積載されている。浮上領域FAでは、媒体Mが浮上する。規制面12aのうち凸部12bよりも上方の部分は、浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第2規制部分の一例である。なお、1対のサイドフェンス12,12は、1対の第1規制部分(1対の凸部12b,12b)及び1対の第2規制部分(1対の規制面12a,12a)を有する規制部の一例である。
【0024】
1対のサイドフェンス12,12の規制面12a,12aの幅方向Wにおける間隔S12は、1対のサイドフェンス12,12の凸部12b,12bの幅方向Wにおける間隔S11よりも広い。
【0025】
規制面12a及び凸部12bがサイドフェンス12に一体に設けられていること、すなわち規制面12aと凸部12bとが一体に設けられていることによって、例えば、ユーザが手動でサイドフェンス12を幅方向Wに移動させると、規制面12aと凸部12bとが一体に幅方向Wに移動する。このように、それぞれのサイドフェンス12において、規制面12aと凸部12bとは、一体に移動可能に配置されている。
【0026】
凸部12bの上端は、浮上して最上位の媒体M1が搬送された後に落下する2番目以降の媒体Mが引っ掛かるのを防ぐために、幅方向Wの厚さが上方に向かって薄くなるように傾斜している。
【0027】
なお、サイドフェンス12の規制面12aには、浮上領域FAに対応する領域に設けられた凹部が設けられていてもよい。この場合には、凹部が、浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する第2規制部分の一例として機能し、規制面12aのうち凹部が設けられていない部分が、積載台11に積載された媒体Mを幅方向Wに規制する第1規制部分の一例として機能する。この場合には、規制面12aから突出する凸部12bを省略することができる。なお、第1規制部分と第2規制部分とは、一体に移動可能であれば別体に設けられていてもよい。例えば、第1規制部分がサイドフェンス12に設けられ、他方がサイドフェンス12とは異なる部材に配置されていてもよい。
【0028】
図1に示す搬送機構20は、搬送ベルト21と、この搬送ベルト21が掛け渡された左右1対のプーリ22,23とを有する。プーリ22,23のうち一方は駆動プーリであり、他方は従動プーリである。駆動プーリは、図2に示す搬送駆動部85の駆動によって図1における反時計回りに回転し、搬送ベルト21を回転させる。これにより、搬送機構20は、後述するメイン浮上エア吹き出し機構40のメイン浮上エアA2の吹き出し及びサイド浮上エア吹き出し機構60のサイド浮上エアA4の吹き出しによって浮上した最上位の媒体M1を搬送方向D(右方向)に搬送する。搬送機構20は、例えば前後方向に並んで複数配置されていてもよい。その場合、後述する吸引機構30は、1つのみ配置されていてもよいし、或いは、複数の搬送機構20のそれぞれに配置されていてもよい。なお、図3及び図4では、搬送機構20の図示を省略している。
【0029】
搬送ベルト21は、媒体Mを搬送する搬送部材の一例である。搬送ベルト21には、後述する吸引機構30により吸引される吸引エアA1を通すための複数の貫通孔が設けられている。
【0030】
搬送機構20は、搬送ベルト21に代えて搬送ローラ等の他の搬送部材を有するものであってもよい。搬送機構20が搬送ローラを有する場合には、搬送駆動部85は、駆動プーリではなく駆動ローラ(搬送ローラ)を回転させることになる。
【0031】
吸引機構30は、搬送ベルト21に設けられた複数の貫通孔を通して図示しない吸引源(例えば吸引ファン)の駆動によって吸引エアA1を吸引することによって、積載台11に積載された複数の媒体Mのうち浮上している最上位の媒体M1を搬送機構20に吸着させる。
【0032】
メイン浮上エア吹き出し機構40は、積載台11に積載された複数の媒体Mよりも搬送方向Dの下流側に配置され、エア供給源(例えばエア供給ファン)の駆動によってメイン浮上エアA2を吹き出すことで少なくとも最上位の媒体M1を浮上させる。メイン浮上エア吹き出し機構40は、最上位の媒体M1を含む例えば10枚程度の媒体Mを浮き上がらせるように、斜め上方にメイン浮上エアA2を吹き出すとよい。図3及び図4に示すように、メイン浮上エア吹き出し機構40のメイン浮上エアA2の吹き出し口は、前後2つに分離している。なお、図1では、メイン浮上エア吹き出し機構40の下部の図示を省略し、図3及び図4ではメイン浮上エア吹き出し機構40の吹き出し口以外の図示を省略している。
【0033】
メイン分離エア吹き出し機構50は、積載台11に積載された複数の媒体Mよりも搬送方向Dの下流側に配置され、エア供給源(例えばエア供給ファン)の駆動によって最上位の媒体M1と2番目の媒体M2とを分離させるためのメイン分離エアA3を吹き出す。図3及び図4に示すように、メイン分離エア吹き出し機構50のメイン分離エアA3の吹き出し口は、メイン浮上エア吹き出し機構40の2つの吹き出し口に挟まれた位置で前後2つに分離している。なお、図1では、メイン分離エア吹き出し機構50の下部の図示を省略し、図3及び図4ではメイン分離エア吹き出し機構50の吹き出し口以外の図示を省略している。
【0034】
1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60は、1対のサイドフェンス12,12よりも幅方向Wの外側に配置され、エア供給源(例えばエア供給ファン)の駆動によってサイド浮上エアA4を吹き出すことによって少なくとも最上位の媒体M1を浮上させる。1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60のそれぞれは、図5に示すように、サイドフェンス12の浮上領域FAと積載領域PAとに亘って設けられた開口部12a-1の下部からサイド浮上エアA4を吹き出す。このように、1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60は、サイドフェンス12(規制面12aの開口部12a-1)の浮上領域FAからサイド浮上エアA4を吹き出す。換言すると、サイド浮上エア吹き出し機構60の吹き出し口(浮上ノズル)がサイドフェンス12の浮上領域FAに設けられている。これにより、媒体Mを浮上させやすくすることができる。なお、図1では、サイド浮上エアA4の吹き出し口を破線で示している。また、図1では、サイド浮上エア吹き出し機構60の下部の図示を省略し、図3及び図4では、サイド浮上エア吹き出し機構60自体の図示を省略している。
【0035】
メイン浮上エア吹き出し機構40及び1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60は、積載台11に積載された複数の媒体Mのうち少なくとも最上位の媒体M1を、エア(メイン浮上エアA2及びサイド浮上エアA4)を吹き出すことによって浮上させる浮上エア吹き出し機構の一例である。
【0036】
1対のサイド分離エア吹き出し機構70,70は、1対のサイドフェンス12,12よりも幅方向Wの外側に配置され、エア供給源(例えばエア供給ファン)の駆動によって最上位の媒体M1と2番目の媒体M2とを分離させるためのサイド分離エアA5を吹き出す。1対のサイド分離エア吹き出し機構70,70のそれぞれは、図5に示すように、サイドフェンス12に設けられた開口部12a-2からサイド分離エアA5を吹き出す。この開口部12a-2からは、浮上した最上位の媒体M1の高さを規制する高さ規制板13が媒体M側に突出するように配置されている。なお、図1では、サイド分離エアA5の吹き出し口を破線で示している。また、図1では、サイド分離エア吹き出し機構70の下部の図示を省略し、図3及び図4では、サイド分離エア吹き出し機構70自体の図示を省略している。
【0037】
メイン分離エア吹き出し機構50及び1対のサイド分離エア吹き出し機構70,70は、最上位の媒体M1と2番目の媒体M2とを分離させるための分離エア(メイン分離エアA3及びサイド分離エアA5)を吹き出す分離エア吹き出し機構の一例である。
【0038】
図2に示す制御部81は、媒体供給装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、媒体供給装置1の各部の動作を制御する。なお、媒体供給装置1が印刷装置101などの他の装置に一体に備えられる場合などには、印刷装置101などの他の装置の制御部が制御部81を兼用してもよい。
【0039】
記憶部82は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。記憶部82についても、印刷装置101などの他の装置の記憶部が記憶部82を兼用してもよい。
【0040】
インターフェース部83は、印刷装置101等の外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部83は、印刷装置101の制御部から、媒体Mの供給要求や供給停止要求などの情報を受け、制御部81は、これらの情報に基づき、媒体供給装置1の各部の動作を制御する。
【0041】
積載台昇降駆動部84は、積載台11を昇降させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0042】
搬送駆動部85は、搬送機構20のプーリ22,23のうちの一方である駆動プーリを回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0043】
次に、図1に示す印刷装置101について説明する。
印刷装置101は、印刷部110と、搬送部120と、第1供給部130と、第2供給部140と、第3供給部150と、搬送ローラ対161~165と、レジストローラ対166とを備える。なお、図1には、媒体供給装置1、第1供給部130、第2供給部140、及び第3供給部150から、印刷部110へ続く搬送経路Rを、太い実線で示す。
【0044】
印刷部110は、例えば、印刷に用いられる各色分のラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部110の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0045】
搬送部120は、印刷部110に対向して配置されている。例えば、搬送部120は、媒体Mを吸着しながら搬送ベルトによって媒体Mを搬送する。
【0046】
第1供給部130、第2供給部140、及び第3供給部150は、供給トレイ131,141,151と、スクレーパローラ132,142,152と、ピックアップローラ133,143,153とを有する。
【0047】
供給トレイ131,141,151には、複数の媒体Mが積載される。
スクレーパローラ132,142,152は、供給トレイ131,141,151に積載された複数の媒体Mのうち最上位に位置する媒体Mを繰り出して搬送する繰り出しローラである。
【0048】
ピックアップローラ133,143,153は、スクレーパローラ132,142,152によって繰り出された媒体Mを搬送経路Rへ搬送する。
【0049】
搬送ローラ対161~165は、第1供給部130、第2供給部140、及び第3供給部150からレジストローラ対166までの間の搬送経路Rに配置されている。
【0050】
レジストローラ対166には、媒体供給装置1、第1供給部130、第2供給部140、及び第3供給部150から搬送される媒体Mが突き当てられる。これにより、媒体Mの斜行が修正される。
【0051】
次に、媒体供給装置1による媒体Mの供給動作について、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0052】
まず、図2に示す制御部81が印刷装置101からの供給要求の情報を受けると、吸引エアA1を吸引するように吸引機構30を制御し、各種エア(メイン浮上エアA2、メイン分離エアA3、サイド浮上エアA4、及びサイド分離エアA5)を吹き出すようにメイン浮上エア吹き出し機構40、メイン分離エア吹き出し機構50、1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60、及び1対のサイド分離エア吹き出し機構70,70を制御する。
【0053】
これにより、図1に示すようにすべての媒体Mが積載台11に積載された状態から、図3に示すように一部の媒体Mが浮上する状態へと遷移する。そして、媒体Mは、図4に示す積載領域PA(間隔S11)よりも幅方向Wの間隔S12が広い浮上領域FAにおいて浮上する。なお、上述のように1対のサイドフェンス12,12が手動で移動可能に配置されている場合には、積載台11に積載された媒体Mは、例えば積載直後に1対のサイドフェンス12,12が凸部12b,12bにおいて媒体Mの周縁に当接又は近接する位置まで移動することによって幅方向Wの位置を規制されている。また、上述のように1対のサイドフェンス12,12が図示しない駆動手段によって移動可能に配置されている場合には、積載台11に積載された媒体Mは、積載直後、媒体Mの供給開始時(印刷開始時)などの所定のタイミングで、1対のサイドフェンス12,12が凸部12b,12bにおいて媒体Mの周縁に当接又は近接する位置まで移動することによって幅方向Wの位置を規制されている。
【0054】
その後、最上位の媒体M1が搬送機構20に吸着されると、制御部81は、メイン浮上エア吹き出し機構40のメイン浮上エアA2の吹き出し、及び1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60のサイド浮上エアA4の吹き出しを、例えばシャッタを閉じることで一時的に停止させる。
【0055】
そして、搬送機構20による最上位の媒体M1の搬送が開始した後、制御部81は、メイン浮上エア吹き出し機構40のメイン浮上エアA2の吹き出し、及び1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60のサイド浮上エアA4の吹き出しを、例えばシャッタを開くことで再開させ、2番目の媒体M2を搬送機構20に吸着させる。そして、搬送機構20による2番目の媒体M2の搬送が開始される。このような媒体Mの供給動作は、制御部81が供給停止要求の情報を受けるまで繰り返される。
【0056】
以上説明した第1実施形態では、媒体供給装置1は、積載台11と、浮上エア吹き出し機構の一例であるメイン浮上エア吹き出し機構40及びサイド浮上エア吹き出し機構60と、搬送機構20と、規制部の一例である1対のサイドフェンス12,12とを備える。積載台11には、複数の媒体Mが積載される。メイン浮上エア吹き出し機構40及びサイド浮上エア吹き出し機構60は、積載台11に積載された複数の媒体Mのうち少なくとも最上位の媒体M1を、エアの一例であるメイン浮上エアA2及びサイド浮上エアA4を吹き出すことによって浮上させる。搬送機構20は、メイン浮上エア吹き出し機構40及びサイド浮上エア吹き出し機構60のメイン浮上エアA2及びサイド浮上エアA4の吹き出しによって浮上した最上位の媒体M1を搬送方向Dに搬送する。1対のサイドフェンス12,12は、搬送方向Dに直交する幅方向Wに対向して配置され積載台Mに積載された媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第1規制部分の一例である1対の凸部12b,12bと、この1対の凸部12b,12b(間隔S11)よりも広い間隔S12(>S11)で幅方向Wに対向して配置され、メイン浮上エア吹き出し機構40及びサイド浮上エア吹き出し機構60のメイン浮上エアA2及びサイド浮上エアA4の吹き出しによって浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第2規制部分の一例である1対の規制面12a,12aとを有する。1対の凸部12b,12bのうちの一方の凸部12bは、1対の規制面12a,12aのうちの一方の規制面12aと一体に移動可能に配置され、1対の凸部12b,12bのうちの他方の凸部12bは、1対の規制面12a,12aのうちの他方の規制面12aと一体に移動可能に配置されている。
【0057】
このように、本第1実施形態では、積載台11に積載された媒体Mを幅方向Wに規制する1対の凸部12b,12bと、この1対の凸部12b,12b(間隔S11)よりも幅方向Wの間隔S12が広く、浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する1対の規制面12a,12aと、が一体に移動可能に配置されている。そのため、例えば、サイドフェンス12を手動で移動させることによって、1対の凸部12b,12bの間隔S11を、積載台11に積載された媒体Mに対して適切な間隔に設定するという簡単な設定で、1対の規制面12a,12aの間隔S12を、浮上した媒体Mに対して適切な間隔に設定することができる。これにより、1対の規制面12a,12aの間隔S12が大きすぎる場合と比較して、浮上した媒体Mが幅方向Wに自由に移動することに起因して画像位置ズレや紙詰まりなどが生じるのを抑制することができる。また、1対の規制面12a,12aの間隔S12が小さすぎる場合と比較して、媒体Mの浮上及び2番目以降の媒体Mの落下の挙動が摩擦によって妨げられることに起因して媒体Mの空送や重送が生じたり、媒体Mが変形することに起因して媒体Mの空送が生じたりするのを抑制することができる。よって、本第1実施形態によれば、簡単な設定で、浮上した媒体Mを的確に供給することができる。
【0058】
また、本第1実施形態では、規制部の一例が、幅方向Wに対向して配置された1対のサイドフェンス12,12であり、浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第2規制部分が、1対のサイドフェンス12,12の媒体M側の規制面12a,12aに設けられ、積載台11に積載された媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第1規制部分の一例である1対の凸部12b,12bが、1対のサイドフェンス12,12の規制面12a,12aに設けられ規制面12aよりも媒体M側に突出する。
【0059】
これにより、凸部12bを規制面12aに設けるという簡素な構成で、1対の凸部12b,12bの間隔S11と、1対の規制面12a,12aの間隔S12との間隔差を一定に保つことができる。そのため、上述のとおり、1対の凸部12b,12bの間隔S11を、積載台11に積載された媒体Mに対して適切な間隔に設定するという簡単な設定で、1対の規制面12a,12aの間隔S12を、浮上した媒体Mに対して適切な間隔に設定することができる。したがって、簡素な構成且つ簡単な設定で、浮上した媒体Mを的確に供給することができる。
【0060】
<第2実施形態>
本第2実施形態に係る媒体供給装置2は、上述の第1実施形態に係る媒体供給装置1と比較して、1対のサイドフェンス12,12に代えて、1対のサイドフェンス92,92が配置され、更に、第1規制部分駆動部91及び1対の可動凸部93,93が配置されている。その他の事項に関しては、本第2実施形態に係る媒体供給装置2を上述の第1実施形態に係る媒体供給装置1と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
図6は、媒体供給装置2の制御構成を示す図である。
図7は、媒体供給装置2(媒体Mの非積載時)を示す左側面図である。
【0062】
媒体供給装置2は、図6に示す第1規制部分駆動部91と、図7に示す1対のサイドフェンス92,92及び1対の可動凸部93,93とを備える。また、媒体供給装置2は、上述の積載台11(図7参照)と、搬送機構20(以下、図6参照)と、吸引機構30と、メイン浮上エア吹き出し機構40と、メイン分離エア吹き出し機構50と、1対のサイド浮上エア吹き出し機構60,60と、1対のサイド分離エア吹き出し機構70,70と、制御部81と、記憶部82と、インターフェース部83と、積載台昇降駆動部84と、搬送駆動部85とを備える。
【0063】
図6に示す第1規制部分駆動部91は、図7に示す1対の可動凸部93,93を幅方向Wに移動させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。第1規制部分駆動部91は、制御部81の後述する媒体情報等に基づく制御によって1対の可動凸部93,93を移動させるが、例えば、媒体供給装置1(又は印刷装置101)の入力部におけるユーザの操作に基づいて1対の可動凸部93,93を移動させてもよい。なお、第1規制部分駆動部91は、単一の駆動部であってもよいし、一方の可動凸部93を駆動する駆動部と他方の可動凸部93を駆動する駆動部との計2つの駆動部であってもよい。
【0064】
図7に示す1対のサイドフェンス92,92は、媒体Mの搬送方向D(図1参照)に直交する幅方向W(前後方向)に対向して配置されている。1対のサイドフェンス92,92は、媒体Mのサイズや向きに応じて積載台11上を媒体Mの幅方向Wに例えば手動又は図示しない駆動手段によって移動可能に配置されているとよい。
【0065】
1対のサイドフェンス92,92のそれぞれには、媒体M側の規制面92aよりも媒体M側に突出する可動凸部93を収容可能な凹部又は開口部が設けられているとよい。或いは、可動凸部93が媒体Mと規制面92aとの間に配置されていてもよい。
【0066】
可動凸部93は、例えば、サイドフェンス92に沿って幅方向Wにスライド可能にサイドフェンス92に連結されていることによって、サイドフェンス92に対する位置を調整可能に且つサイドフェンス92と一体に移動可能に配置されている。サイドフェンス92と可動凸部93とが一体に移動可能に配置されていることによって、例えば、ユーザが手動でサイドフェンス92を幅方向Wに移動させると、規制面92aと可動凸部93とが一体に幅方向Wに移動する。なお、可動凸部93が手動でサイドフェンス92に対する位置を調整可能に配置されている場合には、第1規制部分駆動部91を省略することができる。
【0067】
可動凸部93は、例えば、上述の図5に示す凸部12bと同様に、積載領域PAにおいて上下方向に延びる。可動凸部93は、搬送方向Dに間隔を隔てて複数配置されていてもよい。なお、1対の凸部93,93は、幅方向Wに対向して配置され、積載台11に積載された媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第1規制部分の一例である。
【0068】
1対のサイドフェンス92,92の間の領域は、可動凸部93,93の間の積載領域PAと、この積載領域PAよりも上方の浮上領域FAとを含む。積載領域PAでは、媒体Mが浮上せずに積載台11に積載されている。浮上領域FAでは、媒体Mが浮上する。規制面92aのうち可動凸部93よりも上方の部分は、浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する1対の第2規制部分の一例である。なお、本第2実施形態における規制部は、1対の規制面92a,92a(サイドフェンス92,92)及び1対の可動凸部93を有する。
【0069】
可動凸部93の上端は、浮上して最上位の媒体M1が搬送された後に落下する2番目以降の媒体Mが引っ掛かるのを防ぐために、幅方向Wの厚さが上方に向かって薄くなるように傾斜している。
【0070】
可動凸部93は、第1規制部分駆動部91の駆動によって、幅方向Wに移動可能に配置されているため、1対の可動凸部93,93の幅方向Wにおける間隔S21は、例えば破線で示す1対の可動凸部93-1,93-1の位置まで互いに遠ざかるように移動すると、広くなる(間隔S21-1)。但し、1対の可動凸部93,93は、規制面92aよりも媒体M側に突出する範囲で幅方向Wに移動するため、規制面92a,92aの幅方向Wにおける間隔S22は、可動凸部93,93が幅方向Wに移動しても、可動凸部93,93の幅方向Wにおける間隔S21,S21-1よりも広い。
【0071】
このように、1対のサイドフェンス92,92の規制面92a,92a及び1対の可動凸部93,93は、規制面92a,92aの間隔S22と可動凸部93,93の間隔S21,S21-1との間隔差を調整可能に配置されている。
【0072】
図6に示す制御部81は、積載台11に積載された媒体Mの媒体情報と、媒体供給装置1の環境情報とのうち少なくとも一方に基づいて、第1規制部分駆動部91の駆動制御により1対の可動凸部93,93を幅方向Wに移動させ、1対の可動凸部93,93と1対の規制面92a,92aとを相対的に移動させることによって上記の間隔差を調整するとよい。
【0073】
ここで、媒体情報は、例えば、媒体Mのサイズ、媒体Mの向き、媒体Mの種類などの情報である。媒体情報は、例えば、印刷装置101の印刷ジョブ、積載台11に積載された媒体Mのサイズや向きを検知する図示しないセンサの検知結果、媒体供給装置1に設けられた操作部(例えばレバー)における媒体Mの種類に合わせたユーザによる操作などに基づいて制御部81によって取得されるとよい。媒体Mのサイズは、例えば、A3(297×420mm)、A4(210×297mm)などである。媒体Mの向きは、媒体Mの長手方向が搬送方向Dに平行な縦、又は、媒体Mの長手方向が搬送方向Dに直交する横である。媒体Mの種類は、普通紙、厚紙、薄紙などの媒体Mの厚さ(坪量)や、媒体Mの材質や、媒体Mの目の向き(縦目又は横目)などである。
【0074】
また、環境情報は、媒体供給装置1が設置された環境の湿度、温度、気流などである。環境情報は、例えば、媒体供給装置1に設置された図示しないセンサの検知結果に基づいて制御部81によって取得されるとよい。
【0075】
制御部81は、例えば、媒体Mが幅方向Wに長いほど、媒体Mが薄いほど、或いは、媒体供給装置1の環境が高温多湿であるほど、媒体Mのコシが弱く浮上した媒体Mが水平に対して変形しやすいため、上記の間隔差を相対的に小さくするために、1対の可動凸部93,93を互いに遠ざけるように第1規制部分駆動部91を制御するとよい。これにより、例えば、可動凸部93が媒体Mに当接する位置にユーザが手動でサイドフェンス92及び可動凸部93を移動させたときに、浮上領域FAにおいて変形しやすい媒体Mを相対的に狭い間隔S22で規制することができる。
【0076】
一方、制御部81は、例えば、媒体Mが幅方向Wに短いほど、媒体Mが厚いほど、或いは、媒体供給装置1の環境が低温低湿であるほど、媒体Mのコシが強く浮上した媒体Mが水平に対して変形しにくいため、上記の間隔差を相対的に大きくするために、1対の可動凸部93,93を互いに近づけるように第1規制部分駆動部91を制御するとよい。これにより、例えば、可動凸部93が媒体Mに当接する位置にユーザが手動でサイドフェンス92及び可動凸部93を移動させたときに、浮上領域FAにおいて変形しにくい媒体Mを相対的に広い間隔S22で規制することができる。
【0077】
第1規制部分駆動部91は、規制部分駆動部の一例である。この規制部分駆動部は、可動凸部93(第1規制部分)と規制面92a(第2規制部分)とを相対的に移動させるものであればよく、規制面92a(サイドフェンス92)を可動凸部93に対して移動させる第2規制部分駆動部であってもよい。或いは、第1規制部分駆動部91と、規制面92a(サイドフェンス92)を移動させる第2規制部分駆動部との両方が配置されていてもよい。なお、第2規制部分駆動部は、最上位の媒体M1の浮上後で且つ搬送機構20への吸着前に1対の規制面92a,92aの間隔S22を狭めることによって、浮上した最上位の媒体M1をより適切な位置で搬送機構20に吸着させることができる。
【0078】
以上説明した第2実施形態では、上述の第1実施形態と同様の事項に関しては、同様の効果、すなわち、浮上した媒体Mを幅方向Wに規制する1対の規制面92a,92aと、積載台11に積載された媒体Mを幅方向Wに規制する1対の可動凸部93,93とが一体に移動可能に配置されているため、上述のとおり、簡単な設定で、浮上した媒体Mを的確に供給することができる。
【0079】
また、本第2実施形態では、1対の第1規制部分の一例である可動凸部93,93及び1対の第2規制部分の一例である規制面92a,92は、例えば、第1規制部分駆動部91或いは手動により1対の可動凸部93,93を1対の規制面92a,92a(サイドフェンス92,92)に対して幅方向Wに移動させることによって、1対の可動凸部93,93の幅方向Wの間隔S21,S21-1と1対の規制面92a,92aの幅方向Wの間隔S22との間隔差を調整可能に配置されている。
【0080】
これにより、1対の可動凸部93,93による積載領域PAにおける幅方向Wの規制位置に対する、規制面92aによる浮上領域FAにおける幅方向Wの規制位置を調整することができる。そのため、例えば、媒体Mに合わせて、浮上領域FAにおける幅方向Wの規制位置を、積載領域PAにおける幅方向Wの規制位置よりも大きく広げたり、或いは少しだけ広げたりするなど、任意に調整することができる。したがって、浮上した媒体Mをより的確に供給することができる。
【0081】
また、本第2実施形態では、制御部81は、媒体Mの媒体情報と媒体供給装置1の環境情報とのうち少なくとも一方に基づいて、1対の可動凸部93,93と1対の規制面92a,92aとを相対的に移動させることによって上記の間隔差を調整する。
【0082】
これにより、例えば、媒体Mのサイズ、媒体Mの厚さ、媒体供給装置1が設置された環境の温度や湿度に基づいて、コシが弱く浮上時に変形しやすい媒体Mに関しては、浮上領域FAの幅方向Wの間隔S22を積載領域PAの幅方向Wの間隔S21-1よりも相対的に少しだけ広くし、浮上した媒体Mを規制しやすくすることができる。一方、コシが強く浮上時に変形しにくい媒体Mに関しては、浮上領域FAの幅方向Wの間隔S22を積載領域PAの幅方向Wの間隔S21よりも相対的に大きく広げて、浮上した媒体Mを規制しやすくすることができる。したがって、浮上した媒体Mをより一層的確に供給することができる。
【0083】
なお、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0084】
[付記1]
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち少なくとも最上位の媒体を、エアを吹き出すことによって浮上させる浮上エア吹き出し機構と、
前記浮上エア吹き出し機構のエアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送方向に直交する幅方向に対向して配置され、前記積載台に積載された前記媒体を前記幅方向に規制する1対の第1規制部分と、前記1対の第1規制部分よりも広い間隔で前記幅方向に対向して配置され、前記浮上エア吹き出し機構のエアの吹き出しによって浮上した前記媒体を前記幅方向に規制する1対の第2規制部分とを有する規制部とを備え、
前記1対の第1規制部分は、前記1対の第2規制部分と一体に移動可能に配置されている
ことを特徴とする媒体供給装置。
【0085】
[付記2]
前記規制部は、前記幅方向に対向して配置された1対のサイドフェンスであり、
前記1対の第2規制部分は、前記1対のサイドフェンスの前記媒体側の規制面に設けられ、
前記1対の第1規制部分は、前記1対のサイドフェンスの前記規制面に設けられ前記第2規制部分よりも前記媒体側に突出する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
【0086】
[付記3]
前記1対の第1規制部分及び前記1対の第2規制部分は、前記1対の第1規制部の前記幅方向の間隔と前記1対の第2規制部分の前記幅方向の間隔との間隔差を調整可能に配置されている
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
【0087】
[付記4]
前記媒体の媒体情報と前記媒体供給装置の環境情報とのうち少なくとも一方に基づいて、前記1対の第1規制部分と前記1対の第2規制部分とを相対的に移動させることによって前記間隔差を調整する制御部を更に備える
ことを特徴とする付記3記載の媒体供給装置。
【符号の説明】
【0088】
1,2 媒体供給装置
11 積載台
12 サイドフェンス
12a 規制面
12a-1,12a-2 開口部
12b リブ
13 高さ規制板
20 搬送機構
21 搬送ベルト
22,23 プーリ
30 吸引機構
40 メイン浮上エア吹き出し機構
50 メイン分離エア吹き出し機構
60 サイド浮上エア吹き出し機構
70 サイド分離エア吹き出し機構
81 制御部
82 記憶部
83 インターフェース部
84 積載台昇降駆動部
85 搬送駆動部
91 第1規制部分駆動部
92 サイドフェンス
92a 規制面
93 可動凸部
100 印刷システム
101 印刷装置
A1 吸引エア
A2 メイン浮上エア
A3 メイン分離エア
A4 サイド浮上エア
A5 サイド分離エア
D 搬送方向
FA 浮上領域
M 媒体
M1 最上位の媒体
M2 2番目の媒体
PA 積載領域
R 搬送経路
S11,S12,S21,S21-1,S22 間隔
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7