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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20250116BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20250116BHJP
   B66C 23/90 20060101ALI20250116BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B66F9/24 S
B66F11/04
B66C23/90 G
B66C13/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020091948
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021187585
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】須田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】森山 亮
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-042207(JP,A)
【文献】特開2018-043577(JP,A)
【文献】特開2008-174077(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03037135(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B66F 11/04
B66C 23/90
B66C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体と、
前記車体上に設けられた作業装置と、
前記車体に伸縮自在に設けられ、下方へ伸長して接地した状態で前記車体を支持するジャッキと、
前記ジャッキの接地を検出するジャッキ接地検出器と、
前記車体の周囲を撮影する複数のカメラと、
前記複数のカメラにより撮影された複数の画像を合成して、前記車体の周囲を示す周囲表示画像を生成する画像処理部と、
前記周囲表示画像を表示する表示装置とを備え、
前記画像処理部は、前記ジャッキ接地検出器により前記ジャッキの接地が検出された場合、前記複数のカメラにより撮影された複数の画像に対して前記ジャッキに支持された状態の前記車体の支持高さに応じて設定された補正情報を用いて補正を行い、当該補正された複数の画像を合成することで前記周囲表示画像を生成することを特徴とする作業車。
【請求項2】
前記ジャッキの伸長量を検出するジャッキ伸長量検出器を備え、
前記画像処理部は、前記補正情報として、前記ジャッキ伸長量検出器により検出された前記ジャッキの伸長量に基づいて設定される補正情報を利用することを特徴とする請求項1に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャッキを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例として、運転キャブを前部に有して走行可能なトラック車両をベースに構成され、その車体上に水平旋回可能に設けられた旋回台と、その旋回台に起伏および伸縮可能に設けられたブームと、そのブームの先端部に旋回可能に支持された作業台とを備えた高所作業車が知られている。このような高所作業車は、電線工事、道路トンネル内の保守点検作業、橋梁の保守点検作業等の種々の作業現場で用いられている。このような高所作業車では、作業中に車両を安定した状態で支持するため、車両の前後左右にそれぞれアウトリガジャッキが設けられ、これらのアウトリガジャッキを車両の側方に張り出して接地させるように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-324998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、高所作業車には、カメラにより取得した画像情報に基づいて、表示装置により車両周辺の画像を表示するように構成されたものがある。しかしながら、アウトリガジャッキにより車両を支持する際、カメラの高さ方向の位置が変化するため、表示装置に表示される画像の精度が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、車体の周囲を示す画像の精度を高くすることが可能な作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る作業車(例えば、実施形態における高所作業車1)は、走行可能な車体と、前記車体上に設けられた作業装置(例えば、実施形態におけるブーム30および作業台40)と、前記車体に伸縮自在に設けられ、下方へ伸長して接地した状態で前記車体を支持するジャッキと、前記ジャッキの接地を検出するジャッキ接地検出器(例えば、ジャッキ接地センサ86)と、前記車体の周囲を撮影する複数のカメラと、前記複数のカメラにより撮影された複数の画像を合成して、前記車体の周囲を示す周囲表示画像を生成する画像処理部と、前記周囲表示画像を表示する表示装置とを備え、前記画像処理部は、前記ジャッキ接地検出器により前記ジャッキの接地が検出された場合、前記複数のカメラにより撮影された複数の画像に対して前記ジャッキに支持された状態の前記車体の支持高さに応じて設定された補正情報を用いて補正を行い、当該補正された複数の画像を合成することで前記周囲表示画像を生成する
【0007】
上述の作業車において、前記ジャッキの伸長量を検出するジャッキ伸長量検出器(例えば、実施形態におけるジャッキ伸長量センサ89)を備え、前記画像処理部は、前記補正情報として、前記ジャッキ伸長量検出器により検出された前記ジャッキの伸長量に基づいて設定される補正情報を利用することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像処理部は、ジャッキ接地検出器によりジャッキの接地が検出された場合、ジャッキに支持された状態の車体の支持高さに応じた周囲表示画像の補正を行う
。これにより、車体がジャッキに支持されて、カメラの高さ方向の位置が変化しても、周囲表示画像の一部で重複または消失等が生じて、表示装置に表示される周囲表示画像の精度が低下することはない。そのため、車体の周囲を示す周囲表示画像の精度を高くすることが可能になる。
【0009】
上述の作業車において、画像処理部は、ジャッキ伸長量検出器により検出されたジャッキの伸長量に基づいて、車体の支持高さに応じた周囲表示画像の補正を行うことが好ましい。これにより、車体の支持高さに応じた周囲表示画像の補正を高精度に行うことができるため、車体がジャッキに支持されて、カメラの高さ方向の位置が変化しても、周囲表示画像の一部で重複または消失等が生じて、表示装置に表示される周囲表示画像の精度が低下することはない。そのため、車体の周囲を示す周囲表示画像の精度を高くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】高所作業車を左方から見た左側面図である。
図2】高所作業車を上方から見た平面図である。
図3】高所作業車を前方から見た正面図である。
図4】高所作業車を後方から見た後面図である。
図5】高所作業車の制御系を示すブロック図である。
図6】表示装置に表示される平面イメージ合成画像および俯瞰イメージ合成画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る高所作業車1を図1図4に示しており、まず、これらの図を参照して高所作業車1の全体構成について説明する。高所作業車1は、図1に示すように、車体2の前部に運転キャブ7を有し、車体2の前後左右に配設された車輪3により走行可能なトラック式車両をベースに構成されている。
【0012】
車体2の前後左右には、高所作業時に車体2を持ち上げ支持するアウトリガジャッキ10が設けられている。アウトリガジャッキ10は、図2および図4に示すように、車体2の左右方向(車幅方向)に伸縮可能なアウトリガ(アウトリガビーム)11と、アウトリガ11の先端部に設けられて上下方向に伸縮可能なジャッキ12と、ジャッキ12の下端部に取り付けられた接地板13とを有して構成される。アウトリガ11は、該アウトリガ11の内部に設けられたアウトリガシリンダ15(図5を参照)により左右方向(車幅方向)に伸縮作動可能に構成されている。ジャッキ12は、該ジャッキ12の内部に設けられたジャッキシリンダ16(図5を参照)により上下方向に伸縮作動可能に構成されている。アウトリガ11を車体2の左右側方に張り出すとともにジャッキ12を伸長させて接地板13を路面(地面)に接地させることにより、車体2が持ち上げ支持され、車両全体を安定させた状態にすることができる。
【0013】
図1および図2に示すように、車体2における運転キャブ7後方の架装領域には、ブーム旋回モータ24(図5を参照)により駆動されて上下軸回りに水平旋回動自在に構成された旋回台20が設けられている。この旋回台20から上方に延びた支柱21には、ブーム30の基端部がフートピン22を介して上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。また、車体2の架装領域の左右には、作業工具や作業機材などを収納するための左側工具収納部26および右側工具収納部27が設けられている。左側工具収納部26は、車体2における架装領域の左側に配設された箱状の左下部工具箱26aと、左下部工具箱26aの上に配設された箱状の左上部工具箱26bとを有する。右側工具収納部27は、車体2における架装領域の右側に配設された箱状の右下部工具箱27aと、右下部工
具箱27aの上に配設された箱状の右上部工具箱27bとを有する。
【0014】
ブーム30は、図1に示すように、旋回台20側から順に、基端ブーム30a、中間ブーム30b、および先端ブーム30cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられたブーム伸縮シリンダ31(図5を参照)の伸縮駆動により、ブーム30を軸方向(長手方向)に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと支柱21との間にはブーム起伏シリンダ23(図5を参照)が跨設されており、このブーム起伏シリンダ23を伸縮駆動させることにより、ブーム30全体を上下面(垂直面)内で起伏動させることができる。
【0015】
先端ブーム30cの先端部には、垂直ポスト35(図2を参照)が上下方向に揺動自在に枢支されている。この垂直ポスト35は、先端ブーム30cの先端部との間に跨設された上部レベリングシリンダ(図示せず)と、基端ブーム30aと支柱21との間に跨設された下部レベリングシリンダ25とにより、ブーム30の起伏の如何に拘らず常時垂直姿勢に保持されるように揺動制御(レベリング制御)される。垂直ポスト35には、作業者搭乗用の作業台40が取り付けられている。作業台40は、垂直ポスト35に設けられた作業台旋回モータ37(図5を参照)を回転駆動させることにより、垂直ポスト35回りに首振り動(水平旋回動)することができる。
【0016】
図2に示すように、作業台40には、これに搭乗した作業者が操作する操作レバーや操作スイッチ、操作ダイヤル等を備えた上部操作装置45が設けられている。そのため、作業台40に搭乗した作業者は、上部操作装置45を操作することにより、旋回台20の旋回作動(ブーム旋回モータ24の回転作動)、ブーム30の起伏作動(ブーム起伏シリンダ23の伸縮作動)、ブーム30の伸縮作動(ブーム伸縮シリンダ31の伸縮作動)、作業台40の首振り作動(作業台旋回モータ37の回転作動)などの各作動操作を行うことができる。なお、図4に示すように、車体2の後部には、下部操作装置50が設けられており、地上もしくは車体2上にいる作業者は、上記の作動操作(上部操作装置45と同様な作動操作)や、アウトリガジャッキ10の作動操作などを行うことができるようになっている。
【0017】
上部操作装置45もしくは下部操作装置50が操作されると、図5に示すように、その操作内容に対応した操作信号が、車体2に設けられたコントロールユニット60に出力される。コントロールユニット60の作動制御部61は、その操作信号に基づいた指令信号を油圧駆動ユニット70に出力するようになっている。油圧駆動ユニット70は、図5に示すように、作動油を貯留する作動油タンク71と、車体2に搭載されたエンジンEの動力を用いて駆動される油圧ポンプ72と、油圧ポンプ72から吐出される作動油を上記指令信号に基づいた供給方向および供給量で各油圧アクチュエータに供給制御する制御バルブユニット73とを有している。
【0018】
エンジンEの動力を変速して車輪3に伝達するトランスミッションには、エンジンEの駆動力を各油圧アクチュエータの駆動用に取り出すパワーテイクオフ機構PTOが組み込まれている。運転キャブ7内に配設されたPTO操作レバー75がオフ位置からオン位置に操作されると、パワーテイクオフ機構PTOによりエンジンEによる駆動先を車輪3から油圧ポンプ72に切り換えられ、エンジンEの動力により油圧ポンプ72が駆動されるようになっている。制御バルブユニット73は、ブーム旋回モータ24、ブーム起伏シリンダ23、ブーム伸縮シリンダ31、作業台旋回モータ37、アウトリガシリンダ15およびジャッキシリンダ16のそれぞれに対応した電磁比例制御バルブV1~V6を有している。油圧駆動ユニット70は、コントロールユニット60の作動制御部61からの指令信号に応じて各油圧アクチュエータに供給する作動油の流れを制御して各油圧アクチュエータを作動させる。
【0019】
このように各油圧アクチュエータの作動はコントロールユニット60(作動制御部61)により制御される。そのため、高所作業車1には種々の検出装置が配設されており、それらの検出装置から出力される検出信号がコントロールユニット60に入力されるようになっている。例えば、コントロールユニット60には、ブーム旋回角センサ81からブーム30(旋回台20)の旋回角度に応じた旋回角度検出信号が入力され、ブーム起伏角センサ82からブーム30の起伏角度に応じた起伏角度検出信号が入力され、ブーム長センサ83からブーム30の伸長量に応じた伸長量検出信号が入力され、作業台旋回角センサ84から作業台40の旋回角度に応じた旋回角度検出信号が入力される。また例えば、コントロールユニット60には、ジャッキ張出量センサ85からアウトリガジャッキ10(アウトリガ11)の車体側方への張り出し量に応じた張出量検出信号が入力され、ジャッキ接地センサ86からアウトリガジャッキ10(接地板13)の接地検出信号が入力される。また例えば、コントロールユニット60には、車体傾斜角センサ87から車体2(路面)の前後および左右方向の傾斜角度に応じた傾斜角度検出信号が入力され、走行速度センサ88から高所作業車1の走行速度に応じた走行速度検出信号が入力される。
【0020】
なお、ジャッキ張出量センサ85は、アウトリガジャッキ10(アウトリガ11)の車幅方向の張り出し量(つまり、車体2に対する左右側方への張り出し量)を4段階で検出する。本実施形態では、上記4段階の張り出し量として、「最小張り出し量(MIN)」、
「中間1張り出し量(MID1)」、「中間2張り出し量(MID2)」、「最大張り出し量(MAX)」が設定されている。なお、最小張り出し量はアウトリガ11の格納状態に対応し
、最大張り出し量はアウトリガ11の最大張り出し状態に対応する。つまり、アウトリガ11の張り出し量は、最小張り出し量<中間1張り出し量<中間2張り出し量<最大張り出し量という順に1段階ずつ増加する。なお、ジャッキ張出量センサ85として、アウトリガ11の張り出し量を段階的に検出する構成に代えて、アウトリガ11の張り出し量を連続的に検出する構成を適用してもよい。
【0021】
本実施形態に係る高所作業車1では、車体2の前後左右にカメラが配設され、各カメラから出力される画像情報がコントロールユニット60に入力されるようになっている。図1および図3に示すように、車体2の前部には、フロントカメラ91が配設される。フロントカメラ91は、車体2の前部におけるフロントバンパー28の近傍に、車体2の前方を向いて取り付けられる。フロントカメラ91は、魚眼レンズや超広角レンズ等の画角の広いレンズを備えて構成され、車体2の周囲の前側部分の画像情報を取得し、取得した画像情報をコントロールユニット60へ出力する。
【0022】
図2および図4に示すように、車体2の後部には、リアカメラ92が配設される。リアカメラ92は、車体2の後部における右側のテールランプ29の近傍に、車体2の後方を向いて取り付けられる。リアカメラ92は、フロントカメラ91と同様に構成され、車体2の周囲の後側部分の画像情報を取得し、取得した画像情報をコントロールユニット60へ出力する。なお、リアカメラ92は、テールランプ29の近傍に限らず、非使用時の下部操作装置50を覆う保護カバー(図示せず)に取り付けられてもよく、ブーム30の基端部や旋回台20の後部に取り付けられてもよい。リアカメラ92がブーム30の基端部や旋回台20の後部に取り付けられる場合、リアカメラ92から延びるケーブルが、旋回台20に設けられたスリップリング(図示せず)に挿通されるようにしてもよい。またこの場合、リアカメラ92から出力される画像情報が、無線通信によりコントロールユニット60へ送信されるようにしてもよい。
【0023】
図2および図4に示すように、車体2の左側部には、左サイドカメラ93が配設される。左サイドカメラ93は、車体2の左側部における左側工具収納部26(左上部工具箱26b)の上端部に、車体2の左方を向いて取り付けられる。左サイドカメラ93は、フロ
ントカメラ91と同様に構成され、車体2の周囲の左側部分の画像情報を取得し、取得した画像情報をコントロールユニット60へ出力する。車体2の右側部には、右サイドカメラ94が配設される。右サイドカメラ94は、車体2の右側部における右側工具収納部27(右上部工具箱27b)の上端部に、車体2の右方を向いて取り付けられる。右サイドカメラ94は、フロントカメラ91と同様に構成され、車体2の周囲の右側部分の画像情報を取得し、取得した画像情報をコントロールユニット60へ出力する。なお、左サイドカメラ93は、左側工具収納部26の上端部に限らず、運転キャブ7の上部左側に取り付けられてもよい。また、右サイドカメラ94は、右側工具収納部27の上端部に限らず、運転キャブ7の上部右側に取り付けられてもよい。
【0024】
また、本実施形態に係る高所作業車1には、複数の表示装置が設けられている。車体2における運転キャブ7内に、運転キャブ側表示装置101(図5を参照)が配設される。運転キャブ7内で高所作業車1の運転操作を行う作業者は、運転キャブ側表示装置101に表示される画像を視認することができるようになっている。運転キャブ側表示装置101は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成され、コントロールユニット60の画像処理部65により生成された画像を表示することができる。
【0025】
車体2における下部操作装置50の近傍に、下部表示装置102(図5を参照)が配設される。下部操作装置50を操作する作業者は、下部表示装置102に表示される画像を視認することができるようになっている。下部表示装置102は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成され、コントロールユニット60の画像処理部65により生成された画像を表示することができる。
【0026】
作業台40における上部操作装置45の近傍に、上部表示装置103(図5を参照)が配設される。上部操作装置45を操作する作業者は、上部表示装置103に表示される画像を視認することができるようになっている。上部表示装置103は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成され、コントロールユニット60の画像処理部65により生成された画像を表示することができる。
【0027】
コントロールユニット60は、図5に示すように、前述の作動制御部61と、作業範囲設定部63と、画像処理部65とを有している。作業範囲設定部63には、車体2を転倒させることなくブーム30の先端部(作業台40)を移動させることのできる領域として定められた作業可能範囲のデータが記憶されている。また、作業範囲設定部63には、アウトリガジャッキ10(アウトリガ11)の4段階の張り出し量のそれぞれに対応する作業可能範囲のデータが記憶されている。作業範囲設定部63は、ジャッキ張出量センサ85から入力された張出量検出信号に基づいて、作業可能範囲のデータ群の中から現在のアウトリガ11の張り出し量に応じた作業可能範囲のデータを読み出す。そして、作業範囲設定部63は、作業可能範囲のデータ群の中からアウトリガ11の張り出し量に応じて読み出された作業可能範囲のデータを、現在のアウトリガ11の張り出し量により許容できるブーム30の先端部の移動可能領域として設定する。
【0028】
なお、図示を省略するが、作業可能範囲(移動可能領域)の外縁は、ブーム30の長さが取り得る範囲とブーム30の起伏角度が取り得る範囲との関係により構造上設定される外縁(作動限界線)と、構造上はブーム30の先端部を移動させ得るが、転倒モーメントが過大となるのを未然に防止する観点からブーム30の先端部の移動を禁止せざる得ない限界線として設定される外縁(規制限界線)とからなる。以下では、作業可能範囲の外縁として、作動限界線と規制限界線とを区別せずに、「限界線」と称する。
【0029】
画像処理部65には、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94からの画像情報と、ジャッキ張出量センサ85からの張出量検出
信号と、ジャッキ接地センサ86からの接地検出信号と、PTO操作レバー75からの操作信号とが入力される。また、画像処理部65には、上方から見て(平面視において)簡略化した高所作業車1の画像情報と、前上方から見て(俯瞰的に見て)簡略化した高所作業車1の画像情報が予め記憶されている。
【0030】
ジャッキ12を接地させる際、画像処理部65は、PTO操作レバー75からオン操作信号が入力されてパワーテイクオフ機構PTOが作動状態であることが検出されると、図6に示すような平面イメージ合成画像110および俯瞰イメージ合成画像160を生成する。平面イメージ合成画像110は、平面視の周囲表示画像120に、平面視のアウトリガイメージ画像130と、平面視の作業範囲イメージ画像140とを重ねて合成した画像である。平面視の周囲表示画像120は、図6に示すように、平面視での車体2(すなわち、高所作業車1)の周囲を示す。図6の例では、作業対象物である電柱WKの近傍の場所に、高所作業車1が停車している場合を示す。なお、電柱WKは、障害物であるガードレールGRの近傍に立設されている。図6に示す平面視の周囲表示画像120では、平面視での車体2における旋回台20(ブーム30)の旋回中心Cが表示される。この旋回中心Cの画像情報は、平面視において簡略化した高所作業車1の画像情報として予め画像処理部65に記憶されている。
【0031】
平面視のアウトリガイメージ画像130は、図6の二点鎖線で示すように、平面視でのアウトリガ11を模式的に示す。例えば、平面視のアウトリガイメージ画像130は、前述の4段階の張り出し量(もしくは、連続的に変化する張り出し量)に応じた平面視でのアウトリガ11を模式的に示す。
【0032】
平面視の作業範囲イメージ画像140は、図6の二点鎖線で示すように、高所作業車1の周囲において前述の作業可能範囲における限界線141を示す。なお、平面視の作業範囲イメージ画像140で示される限界線141は、ブーム30の作業可能半径を全旋回位置(360度)に亘って示した包絡線であり、当該限界線141で囲まれる領域が前述の作業可能範囲を示す。また、平面視の作業範囲イメージ画像140で示される限界線141は、ブーム30の先端部(作業台40)が所定の基準高さ(例えば、ブーム30の先端部を移動させ得る最大の高さ)の場合における平面視での限界線を示す。
【0033】
俯瞰イメージ合成画像160は、俯瞰視の周囲表示画像170に、俯瞰視のアウトリガイメージ画像180と、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190とを重ねて合成した画像である。俯瞰視の周囲表示画像170は、図6に示すように、俯瞰的に見た車体2(すなわち、高所作業車1)の周囲を示す。俯瞰視のアウトリガイメージ画像180は、図6の二点鎖線で示すように、俯瞰的に見たアウトリガ11を模式的に示す。なお、俯瞰視のアウトリガイメージ画像180は、平面視のアウトリガイメージ画像130と同様に、前述の4段階の張り出し量(もしくは、連続的に変化する張り出し量)に応じて、俯瞰的に見たアウトリガ11を模式的に示す。俯瞰視の作業範囲イメージ画像190は、図6の二点鎖線で示すように、前述の作業可能範囲における後側の限界線191を示す。なお、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190で示される限界線191は、平面視の作業範囲イメージ画像140で示される限界線141を俯瞰的に見たものである。
【0034】
画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報と、予め記憶された平面視において簡略化した高所作業車1の画像情報とを用いて、平面視の周囲表示画像120を生成する。画像処理部65は、ジャッキ張出量センサ85から入力された張出量検出信号(すなわち、アウトリガ11の張り出し量)に基づいて、平面視のアウトリガイメージ画像130を生
成する。また、画像処理部65は、ジャッキ張出量センサ85から入力された張出量検出信号に基づいて、作業範囲設定部63に記憶された作業可能範囲のデータ群の中から、現在のアウトリガ11の張り出し量に応じた作業可能範囲のデータを読み出し、読み出した作業可能範囲における限界線141を示すように設定した平面視の作業範囲イメージ画像140を生成する。画像処理部65は、生成した平面視の周囲表示画像120に、平面視のアウトリガイメージ画像130と、平面視の作業範囲イメージ画像140とを合成して平面イメージ合成画像110を生成する。
【0035】
また、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報と、予め記憶された俯瞰的に見て簡略化した高所作業車1の画像情報とを用いて、俯瞰視の周囲表示画像170を生成する。画像処理部65は、平面視のアウトリガイメージ画像130と同様に、俯瞰視のアウトリガイメージ画像180を生成する。画像処理部65は、平面視の作業範囲イメージ画像140と同様に、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190を生成する。画像処理部65は、生成した俯瞰視の周囲表示画像170に、俯瞰視のアウトリガイメージ画像180と、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190とを合成して俯瞰イメージ合成画像160を生成する。
【0036】
画像処理部65は、生成した平面イメージ合成画像110および俯瞰イメージ合成画像160の画像情報を、運転キャブ側表示装置101、下部表示装置102、および上部表示装置103へ出力する。運転キャブ側表示装置101、下部表示装置102、および上部表示装置103は、画像処理部65から入力された画像情報に基づいて、平面イメージ合成画像110と俯瞰イメージ合成画像160とを左右に並べて表示する。
【0037】
平面イメージ合成画像110において、平面視のアウトリガイメージ画像130により、平面視の周囲表示画像120に、平面視でのアウトリガ11が模式的に示される。例えば、図6に示す場合、平面視におけるアウトリガ11の先端部(ジャッキ12)とガードレールGRとの間隔が分かる。俯瞰イメージ合成画像160においても、俯瞰視のアウトリガイメージ画像180を利用して、俯瞰的に見たアウトリガ11の先端部(ジャッキ12)とガードレールGRとの間隔が分かる。これにより、運転キャブ側表示装置101等に表示される平面イメージ合成画像110または俯瞰イメージ合成画像160を視認することで、アウトリガ11の張り出しを行う際に、ジャッキ12がガードレールGRに接触するか否かを容易に判断することができる。そのため、ジャッキ12を接地させる際の作業効率を向上させることが可能になる。
【0038】
また、平面イメージ合成画像110において、平面視の作業範囲イメージ画像140により、平面視の周囲表示画像120に、前述の作業可能範囲における限界線141が示される。例えば、図6に示す限界線141よりも内側、すなわち作業可能範囲の内側に電柱WKが位置する場合、当該電柱WKに対して作業台40がアプローチ可能であることを容易に判断することができる。仮に、図6に示す限界線141´よりも外側、すなわち作業可能範囲の外側に電柱WKが位置する場合、当該電柱WKに対して作業台40がアプローチ可能ではないことを容易に判断することができる。俯瞰イメージ合成画像160においても、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190の限界線191(または、限界線191´)を利用して、電柱WKに対して作業台40がアプローチ可能であるか否かを容易に判断することができる。これにより、運転キャブ側表示装置101等に表示される平面イメージ合成画像110または俯瞰イメージ合成画像160を視認することで、アウトリガ11の張り出しを行う際に、車体2の周囲に位置する電柱WKに対して、作業台40がアプローチ可能であるか否かを容易に判断することが可能になる。
【0039】
ところで、平面視の周囲表示画像120を生成する際、まず、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、平面補正情報を用いて平面視における地面を基準とした座標を割り当てる座標補正処理を行う。そして、画像処理部65は、平面補正情報を用いて座標補正処理を行った各画像情報を用いて、平面視において簡略化した高所作業車1の画像に、車体2(すなわち、高所作業車1)の周囲の前側部分の画像と、車体2の周囲の後側部分の画像と、車体2の周囲の左側部分の画像と、車体2の周囲の右側部分の画像とを貼り合わせて合成する画像処理を行い、平面視の周囲表示画像120を生成する。
【0040】
このようにして、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、平面補正情報を用いて座標補正処理を行うことにより、平面視の周囲表示画像120を生成する。平面補正情報には、第1の平面補正情報と、第2の平面補正情報とがある。第1の平面補正情報および第2の平面補正情報は、予め画像処理部65に記憶されている。
【0041】
ジャッキ接地センサ86から接地検出信号が入力されない場合、すなわち、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出されない場合、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、第1の平面補正情報を用いて座標補正処理を行うことにより、平面視の周囲表示画像120を生成する。第1の平面補正情報は、車体2がジャッキ12に支持されていない状態(例えば、ジャッキ12が格納状態)であると仮定して設定された補正情報である。
【0042】
一方、ジャッキ接地センサ86から接地検出信号が入力された場合、すなわち、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出された場合、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、第2の平面補正情報を用いて座標補正処理を行うことにより、平面視の周囲表示画像120を生成する。第2の平面補正情報は、最大の伸長量まで伸長したジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じて設定された補正情報である。
【0043】
上述したように、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出された場合、画像処理部65は、ジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じた平面視の周囲表示画像120の補正を行う。これにより、車体2がジャッキ12に支持されて、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94の高さ方向の位置が変化しても、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の画像情報に対して、平面視における地面を基準とした座標を割り当てる座標補正処理を高精度に行うことができる。そのため、平面視の周囲表示画像120の一部で重複または消失等が生じて、運転キャブ側表示装置101等に表示される平面視の周囲表示画像120の精度が低下することはない。したがって、車体2の周囲を示す平面視の周囲表示画像120の精度を高くするこ
とが可能になる。
【0044】
また、俯瞰視の周囲表示画像170を生成する際、まず、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、俯瞰補正情報を用いて俯瞰的に見る地面を基準とした座標を割り当てる座標補正処理を行う。そして、画像処理部65は、俯瞰補正情報を用いて座標補正処理を行った各画像情報を用いて、俯瞰的に見て簡略化した高所作業車1の画像に、車体2(すなわち、高所作業車1)の周囲の前側部分の画像と、車体2の周囲の後側部分の画像と、車体2の周囲の左側部分の画像と、車体2の周囲の右側部分の画像とを貼り合わせて合成する画像処理を行い、俯瞰視の周囲表示画像170を生成する。
【0045】
このようにして、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、俯瞰補正情報を用いて座標補正処理を行うことにより、俯瞰視の周囲表示画像170を生成する。俯瞰補正情報には、第1の俯瞰補正情報と、第2の俯瞰補正情報とがある。第1の俯瞰補正情報および第2の俯瞰補正情報は、予め画像処理部65に記憶されている。
【0046】
ジャッキ接地センサ86から接地検出信号が入力されない場合、すなわち、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出されない場合、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、第1の俯瞰補正情報を用いて座標補正処理を行うことにより、俯瞰視の周囲表示画像170を生成する。第1の俯瞰補正情報は、車体2がジャッキ12に支持されていない状態(例えば、ジャッキ12が格納状態)であると仮定して設定された補正情報である。
【0047】
一方、ジャッキ接地センサ86から接地検出信号が入力された場合、すなわち、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出された場合、画像処理部65は、フロントカメラ91から入力された車体2の周囲の前側部分の画像情報と、リアカメラ92から入力された車体2の周囲の後側部分の画像情報と、左サイドカメラ93から入力された車体2の周囲の左側部分の画像情報と、右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の右側部分の画像情報に対して、第2の俯瞰補正情報を用いて座標補正処理を行うことにより、俯瞰視の周囲表示画像170を生成する。第2の俯瞰補正情報は、最大の伸長量まで伸長したジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じて設定された補正情報である。
【0048】
上述のように、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出された場合、画像処理部65は、ジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じた俯瞰視の周囲表示画像170の補正を行う。これにより、車体2がジャッキ12に支持されて、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94の高さ方向の位置が変化しても、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94から入力された車体2の周囲の画像情報に対して、俯瞰的に見る地面を基準とした座標を割り当てる座標補正処理を高精度に行うことができる。そのため、俯瞰視の周囲表示画像170の一部で重複または消失等が生じて、運転キャブ側表示装置101等に表示される俯瞰視の周囲表示画像170の精度が低下することはない
。したがって、車体2の周囲を示す俯瞰視の周囲表示画像170の精度を高くすることが可能になる。
【0049】
本実施形態によれば、画像処理部65は、ジャッキ接地センサ86によりジャッキ12の接地が検出された場合、ジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じた平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の補正を行う。これにより、車体2がジャッキ12に支持されて、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94の高さ方向の位置が変化しても、平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の一部で重複または消失等が生じて、運転キャブ側表示装置101等に表示される平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の精度が低下することはない。そのため、車体2の周囲を示す平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の精度を高くすることが可能になる。
【0050】
上述の実施形態において、第2の平面補正情報および第2の俯瞰補正情報は、最大の伸長量まで伸長したジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じて設定された補正情報であるが、これに限られるものではない。例えば、第2の平面補正情報および第2の俯瞰補正情報は、中間の伸長量(例えば、最大の伸長量の半分)まで伸長したジャッキ12に支持された状態の車体2の支持高さに応じて設定された補正情報であってもよい。
【0051】
また、図5の二点鎖線で示すように、ジャッキ12に、ジャッキ12の下方への伸長量を検出するジャッキ伸長量センサ89が設けられ、コントロールユニット60(画像処理部65)に、ジャッキ伸長量センサ89からジャッキ12の伸長量に応じた伸長量検出信号が入力されるようにしてもよい。この場合例えば、画像処理部65は、ジャッキ伸長量センサ89から入力された伸長量検出信号(すなわち、ジャッキ12の伸長量)に基づいて、演算等により第2の平面補正情報および第2の俯瞰補正情報を設定してもよい。また例えば、画像処理部65は、ジャッキ伸長量センサ89から入力された伸長量検出信号に基づいて、予め画像処理部65に記憶された第2の平面補正情報および第2の俯瞰補正情報に関するデータ群の中から選択することにより、第2の平面補正情報および第2の俯瞰補正情報を設定してもよい。
【0052】
これにより、車体2がジャッキ12に支持されて、フロントカメラ91、リアカメラ92、左サイドカメラ93、および右サイドカメラ94の高さ方向の位置が変化しても、ジャッキ伸長量センサ89により検出されたジャッキ12の伸長量に基づいて、車体2の支持高さに応じた平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の補正を高精度に行うことができる。そのため、平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の一部で重複または消失等が生じて、運転キャブ側表示装置101等に表示される平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の精度が低下することはない。したがって、車体2の周囲を示す平面視の周囲表示画像120および俯瞰視の周囲表示画像170の精度を高くすることが可能になる。
【0053】
上述の実施形態において、平面視のアウトリガイメージ画像130は、平面視でのアウトリガ11を模式的に示すのみに限らず、例えば、アウトリガ11を模式的に示すのに加えて、アウトリガ11の数値的な張り出し量(最大張り出し量に対する割合:一例として「40%」等)を示すようにしてもよい。また、俯瞰視のアウトリガイメージ画像180は、俯瞰的に見たアウトリガ11を模式的に示すのみに限らず、例えば、アウトリガ11を模式的に示すのに加えて、アウトリガ11の数値的な張り出し量(最大張り出し量に対する割合:一例として「40%」等)を示すようにしてもよい。
【0054】
上述の実施形態において、平面視の作業範囲イメージ画像140は、作業可能範囲における平面視での限界線141を示すのみに限らず、例えば、作業可能範囲における限界線141を示すのに加えて、限界線141における前後の円弧部分の数値的な角度範囲(一例として「70°」等)を示すようにしてもよい。また、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190は、作業可能範囲における後側の限界線191を示すのみに限らず、例えば、作業可能範囲における限界線191を示すのに加えて、限界線191における円弧部分の数値的な角度範囲(一例として「70°」等)を示すようにしてもよい。
【0055】
上述の実施形態において、画像処理部65は、ジャッキ張出量センサ85から入力された張出量検出信号(すなわち、アウトリガ11の張り出し量)に基づいて、作業範囲設定部63に記憶された作業可能範囲のデータ群の中から、現在のアウトリガ11の張り出し量に応じた作業可能範囲のデータを読み出し、読み出した作業可能範囲における限界線141,191を示すように設定した平面視の作業範囲イメージ画像140および俯瞰視の作業範囲イメージ画像190を生成しているが、これに限られるものではない。例えば、ジャッキ張出量センサ85として、アウトリガ11の張り出し量を連続的に検出する構成を適用する場合、画像処理部65は、アウトリガ11の4段階の張り出し量に対応する作業可能範囲に基づいて、現在のアウトリガ11の張り出し量から補間等により作業可能範囲を求め、求めた作業可能範囲における限界線141,191を示すように設定した平面視の作業範囲イメージ画像140および俯瞰視の作業範囲イメージ画像190を生成してもよい。
【0056】
上述の実施形態において、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190で示される限界線191は、平面視の作業範囲イメージ画像140で示される限界線141を俯瞰的に見たものであるが、これに限られるものではない。例えば、俯瞰視の作業範囲イメージ画像190は、前述の作業可能範囲における垂直面視または俯瞰視での(すなわち、高さ方向の)限界線を示すようにしてもよい。
【0057】
上述の実施形態において、伸縮ブーム式の高所作業車を例示して説明したが、これに限られるものではなく、例えば、屈伸ブーム式の高所作業車等でもよく、ブーム30および作業台40等の作業装置を備えた作業車であれば、本発明を適用可能である。
【0058】
上述の実施形態において、作業対象物として、電柱WKを例示したが、これに限られるものではなく、道路トンネル内の構造物でもよく、橋脚でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 高所作業車
2 車体
10 アウトリガジャッキ
11 アウトリガ(アウトリガビーム)
12 ジャッキ
30 ブーム
40 作業台
60 コントロールユニット
61 作動制御部
63 作業範囲設定部
65 画像処理部
85 ジャッキ張出量センサ
86 ジャッキ接地センサ
89 ジャッキ伸長量センサ
91 フロントカメラ
92 リアカメラ
93 左サイドカメラ
94 右サイドカメラ
101 運転キャブ側表示装置
102 下部表示装置
103 上部表示装置
110 平面イメージ合成画像
120 平面視の周囲表示画像
130 平面視のアウトリガイメージ画像
140 平面視の作業範囲イメージ画像
160 俯瞰イメージ合成画像
170 俯瞰視の周囲表示画像
180 俯瞰視のアウトリガイメージ画像
190 俯瞰視の作業範囲イメージ画像
WK 電柱
GR ガードレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6