(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】チームプレイ型ゲームプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/798 20140101AFI20250116BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20250116BHJP
A63F 13/46 20140101ALI20250116BHJP
A63F 13/795 20140101ALI20250116BHJP
A63F 13/847 20140101ALI20250116BHJP
【FI】
A63F13/798
A63F13/30
A63F13/46
A63F13/795
A63F13/847
(21)【出願番号】P 2020204917
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 友洋
(72)【発明者】
【氏名】池田 友祐
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-120841(JP,A)
【文献】特開2015-188488(JP,A)
【文献】特開2018-153341(JP,A)
【文献】特開2019-024524(JP,A)
【文献】特開2019-202007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、3次元仮想空間内で、多数のプレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタを互いに戦わせることで、戦闘ポイントを獲得させ、それら獲得された戦闘ポイントを、それぞれ集計して集計値を算出し、その集計値に応じてランク付けを行う手順を実行させる、ゲームプログラムであって、前記プレイヤは、該ゲームプログラムによって、前記ゲームプログラム内に設定された複数のグループの内の一つに属しており、
前記手順は、
前記プレイヤから、該プレイヤの端末を介したチーム対抗戦の実施要求がなされているかを判定する手順、該チーム対抗戦は、前記プレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタ同士がチームとして戦って、その戦績に応じて各プレイヤが属するグループ間の優劣を競うイベントであり、
前記チーム対抗戦の要求がなされていると判定された場合には、前記各グループについて複数のチームを設定し、
各プレイヤに対して、当該プレイヤの属するグループのいずれかのチームに、当該プレイヤのプレイングキャラクタを所属させるように要求する手順、
前記各プレイヤに対して自己のプレイングキャラクタをいずれかのチームに所属させるよう要求が出された場合に、各プレイヤ間でのコミュニケーションを許容すると共に、各プレイヤが決定した、各プレイングキャラクタが属するべきチームを各プレイヤの端末から受け取る手順、
端末からネットワーク経由でチーム対抗戦の実行を要求した前記プレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタについて、前記各プレイヤ
の端末からの入力に基づいて、該プレイヤが制御するプレイングキャラクタを、当該プレイヤが属する前記グループ内の特定の前記チームにチーム分けするチーム分け手順、
前記チーム分けされたプレイングキャラクタそれぞれについて、当該プレイングキャラクタがどのチームに属するかを示す所属チームデータをその所属グループと共にメモリに格納する格納手順、
前記チーム毎に、該チームを構成する複数のプレイングキャラクタ相互間で、所属する前記グループが異なるチーム間で、前記3次元仮想空間で戦闘を行わせる戦闘手順、
前記戦闘手順を実行している間、戦闘中の各プレイングキャラクタが取得する前記戦闘ポイントを、チーム毎に集計し、チームとしての
チームポイントとしてメモリに格納するポイント集計手順、
前記ポイント集計手順によるチーム毎のチームポイントを、各グループに属する全てのチームを対象に、一定の期間に亘って前記グループ毎に集計し、その結果を前記グループ別にランキングしてメモリに格納するグループランキング手順、
前記グループ別のランキングを出力するランキング出力手順、
を有する、
チームプレイ型ゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1記載のゲームプログラムにおいて、前記手順は、更に、
プレイヤにより該プレイヤの操作する端末を介して任意の時点で入力されるチーム変更指令に応じて、当プレイヤのプレイングキャラクタが所属する前記チームを変更したり、また当該プレイングキャラクタの所属している前記チームを離脱したりする手順、を有することを特徴とする請求項1記載のチームプレイ型ゲームプログラム。
【請求項3】
前記戦闘手順は、開始時に、前記3次元仮想空間内に設定された戦闘空間内に、前記グループが異なるチームを構成するプレイングキャラクタのオブジェクトを所定の戦闘開始位置に配置する、請求項1記載のチームプレイ型ゲームプログラム。
【請求項4】
3次元仮想空間内で、多数のプレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタを互いに戦わせることで、戦闘ポイントを獲得させ、それら獲得された戦闘ポイントを、それぞれ集計して集計値を算出し、その集計値に応じてランク付けを行う手段を有するゲームシステムであって、前記プレイヤは、前記ゲームプログラム内に設定された複数のグループの内の一つに属しており、
前記ゲームシステムは、
処理装置、
前記処理装置により実行されると、該処理装置に以下の手順を実行させるゲームプログラムを有するメモリ、を有し、前記手順は、
前記プレイヤから、該プレイヤの端末を介したチーム対抗戦の実施要求がなされているかを判定すること、該チーム対抗戦は、前記プレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタ同士がチームとして戦って、その戦績に応じて各プレイヤが属するグループ間の優劣を競うイベントであり、
前記チーム対抗戦の要求がなされていると判定された場合には、前記各グループについて複数のチームを設定し、
各プレイヤに対して、当該プレイヤの属するグループのいずれかのチームに、当該プレイヤのプレイングキャラクタを所属させるように要求すること、
前記各プレイヤに対して自己のプレイングキャラクタをいずれかのチームに所属させるよう要求が出された場合に、各プレイヤ間でのコミュニケーションを許容すると共に、各プレイヤが決定した、各プレイングキャラクタが属するべきチームを各プレイヤの端末から受け取ること、
前記端末からのネットワークを介したチーム競技の実施を要求したプレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタについて、前記プレイヤ
の端末からの入力に基づいて、該プレイヤが制御するプレイングキャラクタを、当該プレイングキャラクタが属する前記グループ内の特定の前記チームにチーム分けすること、
前記チーム分けされたプレイングキャラクタそれぞれについて、当該プレイングキャラクタがどのチームに属するかを示す所属チームデータをその所属グループと共にメモリに格納すること、
前記チーム毎に、該チームを構成する複数のプレイングキャラクタ相互間で、所属する前記グループが異なるチーム間で前記3次元仮想空間内で戦闘を行わせること、
前記戦闘を実行している間、戦闘中の各プレイングキャラクタが取得する前記戦闘ポイントを、チーム毎に集計し、チームポイントとしてメモリに格納すること、
チーム毎のチームポイントを、各グループに属する全てのチームを対象に、一定の期間に亘って前記グループ毎に集計し、その結果を前記グループ別にランキングしてメモリに格納すること、
前記グループ別のランキングを出力することからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元仮想空間内に設定された戦闘空間で、チームに属するそれぞれのプレイングキャラクタがチーム対抗で戦闘するチームプレイ型ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバのメモリの三次元仮想空間内に設定された戦闘空間で、一定数のプレイヤがグループ(クラン、ギルド等と呼ばれる)を構成して、各グループを構成するプレイヤのプレイングキャラクタと、他のグループに属するプレイヤのプレイングキャラクタとが、一対一で勝敗を争い(対抗戦などのイベントや、通常の戦闘での勝敗等による)、その結果(戦績)をグループ毎に集計して、グループのランキングを争うといったチームプレイ型のゲームが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうしたゲームプログラムでは、グループのランキングが、当該グループを構成する個々のプレイヤのプレイングキャラクタについての戦績の単なる集計となってしまい、グループとしての戦略や作戦を生かせない嫌いがあり、ゲームの興趣をそこねてしまう不都合がある。
【0004】
本発明は、複数のプレイヤのプレイングキャラクタから構成されるグループの、全体としての戦績を、当該グループを構成する複数のプレイヤのプレイングキャラクタの組み合わせを生かした形で反映することの出来る、新たなチームプレイ型ゲームプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点はコンピュータ(2)に、3次元仮想空間内で、多数のプレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタ(PC)を互いに戦わせることで、戦闘ポイントを獲得させ、それら獲得された戦闘ポイントを、それぞれ集計して集計値を算出し、その集計値に応じてランク付けを行う手順を実行させる、ゲームプログラムであって、前記プレイングキャラクタ(PC)は、前記3次元仮想空間内のゲーム世界で、それぞれが複数のグループの内の一つに所属しており、前記複数のグループを構成する各グループは、複数のチームに分けられており、
前記ゲームプログラムは、前記コンピュータに、
前記多数のプレイヤがそれぞれ制御するプレイングキャラクタ(PC)について、前記プレイヤからの入力に基づいて、該プレイヤが制御するプレイングキャラクタを、当該プレイングキャラクタ(PC)が属する前記グループ内の特定の前記チームにチーム分けするチーム分け手順、
前記チーム分けされたプレイングキャラクタそれぞれについて、当該プレイングキャラクタがどのチームに属するかを示す所属チームデータをその所属グループと共にメモリに格納する格納手順、
前記チーム毎に、該チームを構成する複数のプレイングキャラクタ(PC)相互間で、所属する前記グループが異なるチーム間で戦闘を行わせる戦闘手順、
前記戦闘手順を実行している間、戦闘中の各プレイングキャラクタが取得する前記戦闘ポイントを、リアルタイムで各プレイングキャラクタが属するチーム毎に集計し、チームポイント(TP)としてメモリに格納するポイント集計手順、
前記ポイント集計手順によるチーム毎のチームポイントを、各グループに属する全てのチームを対象に、一定の期間に亘って前記グループ毎に集計し、その結果を前記グループ別にランキングしてメモリに格納するグループランキング手順、
前記グループ別のランキングを出力するランキング出力手順、
を実行させることを特徴とする。
【0006】
本発明の第2の観点は、該ゲームプログラムは、前記コンピュータに、
プレイヤにより当該プレイヤの操作する端末(5)を介して任意の時点で入力されるチーム変更指令に応じて、当該プレイヤのプレイングキャラクタ(PC)が所属する前記チームを変更したり、また当該プレイングキャラクタの所属している前記チームを離脱したりする手順、を実行させることを特徴とする。
【0007】
本発明の第3の観点は、前記戦闘手順は、前記3次元仮想空間内に設定された戦闘空間(BF)内に、前記グループが異なるチームを構成するプレイングキャラクタ(PC)のオブジェクトを所定の戦闘開始位置に配置することで、開始されるように制御する手順を更に含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の第4の観点は、前記戦闘手順で戦闘に参加するチームは、各グループについて複数のチームであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各プレイヤのプレイングキャラクタは、当該プレイングキャラクタが属するグループ内の特定のチームにチーム分けされ、チーム毎に、該チームを構成する複数のプレイングキャラクタ相互間で、所属するグループが異なるチーム間で戦闘が行われる。その結果、各プレイングキャラクタ(PC)が取得する戦闘ポイントを、当該プレイングキャラクタ(PC)が属するチーム毎にチームポイント(TP)として集計し、更に各グループに属する全てのチームを対象に、一定の期間に亘ってグループ毎に集計し、その結果がグループ別にランキングされる。これにより、個々のプレイングキャラクタの強さよりも、チームを構成する各グループが如何にチームポイント(TP)を獲得するかに重点が置かれることとなり、より高い戦略性と、プレイヤ同士の緊密な連携が求められ、ゲームとしての興趣が大幅に向上する。
【0010】
また、プレイヤが任意の時点で当該プレイヤのプレイングキャラクタ(PC)が属するチームの変更、離脱を可能としたので、各グループのチーム構成を流動的なものとすることが可能となり、それだけチーム及びグループとしての戦略の立案、運用に各プレイヤの意図や嗜好を反映することが出来る。
【0011】
また、戦闘の開始に際して、グループの異なるチームを構成するプレイングキャラクタ(PC)のオブジェクトが所定の戦闘開始位置に配置されるので、戦闘開始状態を予めゲームプログラムにより設定することができ、各プレイヤが任意に自分のプレイングキャラクタを配置する場合に比して、各プレイングキャラクタの配置を短時間に行うことが出来るばかりか、プレイングキャラクタ(PC)の配置が戦闘空間(BF)内で不適切に偏った形で配置されることを防止することが出来る。
【0012】
更に、戦闘手順で戦闘に参加するチームは、各グループについて複数のチームとすることで、プレイヤは自分の端末(5)のディスプレィを見ながら、チーム同士の連携を取りつつ攻撃するなどの動作が容易となり、戦略性の高いゲームの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明が適用されるゲームシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、ゲームサーバの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、各グループのチーム構成を示すチーム構成テーブルの一例を示す図。
【
図4】
図4は、各グループの戦績集計テーブルの一例を示す図。
【
図5】
図5は、グループランキングテーブルの一例を示す図。
【
図6】
図6は、戦闘空間でのチーム対抗戦の一例を示す模式図。
【
図7】
図7は、チーム対抗戦闘制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施例の記述では、より深い理解のために特定の詳細な事項が述べられるが、実施例は、これらの特定の詳細な事項にとらわれるものではない。また、不要で煩雑な記述を避けるために、周知の事項はその詳細を述べていない。
【0015】
本発明が適用されるゲームシステム1は、
図1に示すように、ゲームサーバ2を有しており、ゲームサーバ2には、インターネットなどの通信ネットワーク3を介して多数の端末5が接続している。各端末5は、それらを区別するために、「端末1」、「端末2」、「端末3」‥‥「端末n」と図示しているが、各端末を区別しない場合には、単に端末5と称する。
【0016】
また、各端末5は、据え置き型のゲーム専用の端末の他に、携帯型のゲーム端末、スマートフォン、タブレットなどの携帯型汎用端末、パーソナルコンピュータなど、ゲームサーバ2と接続して、該ゲームサーバ2のメモリ内に形成された三次元仮想空間内である戦闘空間内に、各端末5を操作するプレイヤのプレイングキャラクタを配置/離脱可能に制御することができる限り、どのような構成でもよい。
【0017】
ゲームサーバ2は、
図2に示すように、主制御部6を有しており、主制御部6には、バス線7を介して、ネットワーク3に接続される通信制御部9,ゲームプログラムメモリ10、戦闘実行制御部11,プレイングキャラクタ管理部12、プレイヤグループ管理部13及びグループ戦績管理部15が接続している。
【0018】
なお、
図2に示すゲームサーバ2を構成する主制御部6、通信制御部9,ゲームプログラムメモリ10、戦闘実行制御部11,プレイングキャラクタ管理部12、プレイヤグループ管理部13及びグループ戦績管理部15は、本発明の理解を容易にするために模式化したものであり、実際はCPU、メモリ、各種制御プログラム等からなるコンピュータとして機能しているものである。
【0019】
また、ゲームサーバ2は、後述するゲームプログラムの一部を実行することで、ゲームサーバ2を構成するコンピュータのCPUを時分割的に、各ゲームサーバ2を構成する
図2の各機能ブロックとして機能させているが、
図2に示す各機能ブロックを専用のハードウエア及び/又はソフトウェアで構成することも当然可能である。
【0020】
ゲームシステム1は、以上のような構成を有するので、ゲームシステム1によるゲームは、複数のプレイヤが各端末5を操作して、ゲームサーバ2にログインした状態で、各プレイヤが自らのプレイングキャラクタを、ゲームサーバ2の戦闘実行制御部11のメモリ内に形成された三次元仮想空間内の戦闘空間で、移動制御し、同様に該戦闘空間内に配置された敵キャラクタとしての他のプレイヤが操作するプレイングキャラクタ(又は、ゲームプログラムにより制御されるノンプレイングキャラクタ)と戦闘を行うことで、実行される。
【0021】
こうした多数の端末5を介して、各プレイヤに対応したプレイングキャラクタをサーバ2の三次元仮想空間内である戦闘空間で、敵キャラクタと戦闘させるゲームは、よく知られている。従って、ここでは、既に各プレイヤに対応したプレイングキャラクタは、サーバ2のプレイングキャラクタ管理部12内に、それぞれのプレイングキャラクタのオブジェクトデータ及びその属性データが、各種の戦闘能力データ(HP、MP、武器、アイテムなど、戦闘空間内での敵キャラクタとの戦闘に必要なデータ)等と共にメモリに格納され、ゲームプログラムメモリ10内に格納されたゲームプログラムを介してプレイヤの各端末5からの指示に応じて、戦闘空間内を自由に行動することができるものとして説明する。戦闘空間内でプレイングキャラクタと戦闘行動を行うことの出来るノンプレイングキャラクタについても、同様である。なお戦闘は、プレイングキャラクタPCと敵キャラクタであるノンプレイングキャラクタと間の戦闘の他に、プレイングキャラクタPC同士で戦って、その戦績に応じて、各プレイヤが属するグループ(ギルド、クラン等)間の優劣を競う、イベントがゲームプログラムにより設定される場合がある。
【0022】
通常、プレイヤが、ゲームプログラムに基づいて、ゲームサーバ2内の戦闘空間内で戦闘行動を伴ったゲームを行う場合、各プレイヤは自己の端末5を操作してネットワーク3を介してサーバ2にログインする。各プレイヤのログイン情報は、通信制御部9で処理され、プレイングキャラクタ管理部は、当該ログインしたプレイヤのプレイングキャラクタのデータを、図示しないメモリから呼び出して、戦闘実行制御部11に出力する。戦闘実行制御部11では、ゲームプログラムに基づいて、当該ログインされたプレイヤ(一名以上)のプレイングキャラクタを、三次元仮想空間内の、戦闘空間の所定の配置位置に、所定のタイミングで配置して、戦闘を開始する。
【0023】
ここでは、前述のように。プレイングキャラクタPC同士で戦って、その戦績に応じて、各プレイヤが属するグループ(ギルド、クラン等)間の優劣を競うイベントが行われる場合について説明する。こうしたイベントは、ゲームプログラムにより、ゲームシナリオの一部として組み込まれたり、各プレイヤが任意に参加することの出来るイベントとして設定されていたりするものである。以下、プレイングキャラクタPC同士で戦って、その戦績に応じて、各プレイヤが属するグループ(ギルド、クラン等)間の優劣を競うイベントを、単にチーム対抗戦と称するが、該チーム対抗戦は、ゲームプログラムの一部を構成するチーム対抗戦闘制御プログラムTBCに基づいて制御される。
【0024】
チーム対抗戦制御プログラムTBCは、チーム対抗戦を実行する際には、
図7のステップS1で、こうしたチーム対抗戦の実施要求がプレイヤから要求されているか、又は、戦闘実行制御部11がゲームプログラムに基づいて管理するゲームシナリオ上で生成され、要求されているかを判定する。チーム対抗戦の実施要求は、各プレイヤからの端末5を介した要求に基づく他に、各プレイングキャラクタが三次元仮想空間内で一定の行動を取った際に、ゲームプログラムに基づいて生成されるように構成することも出来る。
【0025】
チーム対抗戦の実施要求がなされている場合には、ステップS2に入り、チーム対抗戦制御プログラムTBCは、当該実施要求を出力しているプレイヤ又は、ゲームシナリオ上で、当該シナリオの進行に関与しているプレイヤに対して、各プレイヤの属するグループについて、各グループについて設定された複数のチームのいずれかに、当該プレイヤのプレイングキャラクタが属するように、プレイングキャラクタのチーム分けをするよう、各プレイヤに対して要求する。この要求は、戦闘実行制御部11が通信制御部9、ネットワーク3を介して各プレイヤが操作する端末5に対して行う。
【0026】
ゲームプログラムに基づいて戦闘実行制御部11によりその進行が制御され三次元仮想空間内のゲーム世界では、プレイヤが操作するプレイングキャラクタはいずれかのグループ(ギルド、クラン等)に属した形で、仮想空間内で行動することが求められている。なお、プレイヤが所属を希望する既存のグループが無い場合には、プレイヤ自身が新たなグループを作ることも、ゲームプログラムにより許容されている。こうしたシステムは、公知のものであるが、チーム対抗戦を行う場合には、戦闘実行制御部11は、ゲームプログラムに基づいて、更に各グループを複数のチーム(例えば、
図3に示すように、チームA、チームB、チームC‥‥チームJ等)にチーム分けしたカテゴリーを設定し、各グループのプレイヤのプレイングキャラクタを、適宜なチームに所属させて、チーム対抗戦が実施できるように各プレイヤに要求する(ステップS2)。なお、既に所定数のプレイングキャラクタが各チーム配属され、チーム対抗戦が開始可能な場合には、ステップS3に入る。
【0027】
戦闘実行制御部11からのチーム分け要求に対して、各プレイヤは、自分が属するグループの他のプレイヤとゲーム内でのチャット機能などを使用して、それぞれのプレイヤのプレイングキャラクタがどのチームに属するべきかを相談して、決定し、各端末5からサーバ2の戦闘実行制御部11に対してそれぞれ通知する。このチーム分けは、それぞれのプレイヤのプレイングキャラクタの特性に応じて、例えば、プレイングキャラクタのレベル、HP、MP、武器、魔法、得意技その他に応じて、予想される敵側のプレイングキャラクタに対抗すべく、それぞれのグループを構成するプレイヤが行うこととなる。即ち、チーム対抗戦は、それぞれのグループの各チームが、チーム対抗戦の形で行うようにゲームプログラムにより設定されているので、グループ内で、特定のチームに魔法の強いプレイングキャラクタを集めたり、また物理攻撃の得意なプレイングキャラクタを集めたり等の戦略的なチーム分けが可能となるので、ゲームの興趣を高めることが出来る。
【0028】
その結果、ゲームに参加している複数のグループ(例えば、
図3に示すように、グループ1、グループ2、グループ3、‥‥グループN等)について設定された各チームについて、
図3に示すように、チーム対抗戦に参加を希望する多数のプレイヤからの端末5を介した入力により、それぞれのプレイヤのプレイングキャラクタPCは、当該プレイヤの属するグループ内で、各チームTMにチーム分けされる。当該チーム分けされた内容は、ゲームプログラムに基づく戦闘実行制御部11からの指令に応じてプレイヤグループ管理部13内の図示しないメモリ内に、
図3に示すようにチーム構成テーブルTCTとして格納される。チーム構成テーブルTCT内では、各グループの各チームに属するプレイングキャラクタPCは、ぞれぞれの識別記号PCIDで格納されている。なお、各チームを構成する人数は、例えば10人(キャラクタ)/チーム等の定員を設けることも出来、また最低人数を設定することも可能である。更に、各チームを構成するプレイングキャラクタの数を一定の範囲に設定しておき、各グループの戦略の範囲で増減か可能な設定としたり、各チームのプレイングキャラクタの数を決められた人数としたりすることも可能である。なお、チーム対抗戦制御プログラムTBCでは、プレイヤが、該プレイヤの操作する端末5を介して任意の時点で入力されるチーム変更指令に応じて、当プレイヤのプレイングキャラクタが所属するチームを変更したり、また当該プレイングキャラクタの所属していたチームから離脱したりすることが出来る手順を、割り込み処理手順として有しており、この手順は、プレイヤグループ管理部13により実行制御される。
【0029】
こうして、チーム対抗戦に参加する各グループのプレイヤのプレイングキャラクタが、グループ内のぞれぞれのチームにチーム分けされたところで、戦闘実行制御部11は、ゲームプログラムに基づいて、チーム対抗戦を、図示しない戦闘実行制御部11内の図示しないメモリ内に形成された、三次元仮想空間内の戦闘空間BF内で開始する。
【0030】
チーム対抗戦は、
図6に示すように、ゲームプログラムに基づいて、戦闘実行制御部11が、戦闘実行制御部11内の図示しないメモリ内に形成された三次元仮想空間内の戦闘空間BF内に、二組の、あるグループGn(n:1、2‥‥N)内のあるチームTm(m:A、B、‥‥J)であるGnTmを、異なるグループのチームが対抗するように配置する(
図6の場合、一方のチームは、グループ1に属するチームC、即ちチームG1TCである)。どのグループのどのチームと、どのグループのどのチームが戦闘空間BF内に、対抗戦のために配置されるかは、ランダムに構成してもよく、またある一定の規則(くじや、サイコロ、その他)に基づいて決定しもよい。
【0031】
戦闘空間BF内には、
図6に示すように、遮蔽物などのオブジェクト16が適宜配置され、各グループのチームGnTmを構成する、それぞれ複数のプレイヤのプレイングキャラクタPCのオブジェクトが所定の戦闘開始位置に、チーム対抗戦制御プログラムTBCにも基づいて配置され、その状態から戦闘が開始される。戦闘は、公知の手法で、互いに相手チームのプレイングキャラクタを攻撃する形で行われ、それぞれのプレイングキャラクタPCの受けたダメージは、戦闘実行制御部11で演算集計され、受けたダメージが所定の値を超えた段階で、当該プレイングキャラクタは撃破されたものと判定され、所定の戦闘ポイントが攻撃側のチームのプレイングキャラクタに与えられる。こうした戦闘時のダメージの遣り取りに伴う各プレイングキャラクタが得る戦闘ポイントの計数方法は、多様な方法があり、どのような方法でも採用すること出来る。
【0032】
戦闘空間BF内での戦闘の様子は、戦闘空間BF内の適宜な位置に配置された仮想カメラにより適宜レンダリングされ、各プレイヤの端末5のディスプレィ上に表示され、各プレイヤは当該ディスプレィに表示される自分のプレイングキャラクタをコントローラなどの操作手段を介して操作することで、戦闘空間BF内でプレイングキャラクタを適宜移動制御して、戦闘を継続する。なお、戦闘空間BF内での各チームの戦闘は、必ずしも1チーム対1チームである必要は無く、互いに異なるグループに属する複数のチーム、例えばグループ1のチームBとチームCとグループ6のチームDとチームGとが、同じ戦闘空間BF内で入り乱れて戦闘するといった態様も可能である。なお、別の実施例では、戦闘空間BFは、戦闘実行制御部11内のメモリ内に複数設定され、それら複数の戦闘空間BF内で、それぞれ異なる別のグループに属するチーム同士の戦闘が行われ、戦闘実行制御部11は、それぞれの戦闘空間BF内での各戦闘状況を監視制御し、戦闘に参加しているプレイヤの各端末5のディスプレィに仮想カメラからのレンダリング画像を、当該プレイヤが参加している戦闘空間BFについて、個別に表示するように構成することも出来る。この場合、戦闘実行制御部11は、各プレイヤが操作するプレイングキャラクタPCが参加して戦闘が行われる戦闘空間BFに関する画像のみを、当該プレイヤが操作する端末5のディスプレィに表示するように制御してもよいし、プレイヤのプレイングキャラクタPCが参加していない戦闘空間BF(例えば、当該プレイヤと同じグループに属するチームが参加して戦闘が行われている別の戦闘空間BF)に関する画像も同時に、マルチ画面の形で表示したり、複数の戦闘空間BFの戦闘状態を一定時間毎に切り替えながら表示したりする形で制御してもよい。
【0033】
戦闘空間BF内での各チームの戦闘状態は、グループ戦績管理部15がチーム対抗戦制御プログラムTBCのステップS4に基づいて常時監視しており、戦闘空間BF内の各プレイングキャラクタPCが戦闘の結果、相手チームのプレイングキャラクタPCを倒した場合、所定の戦闘ポイントを戦績として当該プレイングキャラクタPCが所属するチームのチームポイントTPとしてリアルタイムに集計し、
図4に示すように、戦績集計テーブルBTLに格納する。この際重要な点は、各プレイングキャラクタPCが戦闘の結果、相手チームのプレイングキャラクタPCを倒した場合に得られる戦闘ポイントは、ぞれぞれのプレイングキャラクタPCについて集計されるのでは無く、当該プレイングキャラクタPCが属するチーム毎にチームポイントTPとして集計される点である。従って、戦績集計テーブルBTLには、
図4に示すように、その時点での各グループのチーム毎のチームポイントTPが集計され、更に各グループについて、当該グループに属する全てのチームについて各チームのチームポイントTPが集計され、グループポイントGPとして集計される。
【0034】
グループ戦績管理部15は、ステップS5に入り、所定期間毎、例えば戦闘空間BF内での各チームの戦闘が終結する毎、またはゲーム世界での所定時間経過(数日~数年)毎に各グループに属する全てのチームについてそのチームポイントTPを集計して、当該グループのグループポイントGPとして算出し、その結果をランキングテーブルRTBとして、
図5に示すように、図示しないメモリ内に生成格納する。ランキングテーブルRTBでは、その時点でのグループポイントGPが多い順から、1位、2位、3位、‥‥と各グループがランク付けされた状態で格納される。従って、各プレイヤは端末5を介してゲームサーバ2に対して、戦績表示要求を出力することで、グループ戦績管理部15がランキングテーブルRTBを参照して、その時点での各グループのランキングを各端末5のディスプレィに出力表示することが出来る。
【0035】
チーム対抗戦の戦績は、各グループのチーム毎にチームポイントTPとして集計され、また各グループのランキングは、各グループに属する全てのチームを対象に、一定の期間に亘ってグループ毎に集計し、その結果がグループ別にランキングされるので、個々のプレイングキャラクタの強さよりも、チームを構成する各グループが如何にチームポイントTPを獲得するかに重点が置かれることとなり、より高い戦略性と、プレイヤ同士の緊密な連携が求められ、ゲームとしての興趣が大幅に向上する。
【符号の説明】
【0036】
2‥‥コンピュータ(ゲームサーバ)
5‥‥端末
BF‥‥戦闘空間
PC‥‥プレイングキャラクタ
TP‥‥チームのチームポイント