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特許7620441ワーク検出装置、ワーク検出方法、ワーク検出システム及びワーク検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ワーク検出装置、ワーク検出方法、ワーク検出システム及びワーク検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250116BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021017710
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120664
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 聡志
(72)【発明者】
【氏名】久保田 輝幸
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185578(JP,A)
【文献】特開2020-199612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが積載されると共に前記ワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置の一部が前記ワーク上に配置された積載エリアを、撮像装置によって撮像した撮像画像に基づいて、前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出装置であって、
前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出する装置検出部と、
前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出する第1検出部と、
前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成するデータ作成部と、
前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定する第2検出部と、を備える
ワーク検出装置。
【請求項2】
前記データ作成部は、前記形状データの前記輪郭成分を表す線分を分割又は消去して無効化する編集を行う
請求項1記載のワーク検出装置。
【請求項3】
前記第2検出部は、前記第1検出部による前記第1のマッチングよりも探索範囲を絞り込んで前記第2のマッチングを行う
請求項1又は2記載のワーク検出装置。
【請求項4】
前記データ作成部及び前記第2検出部は、前記新たな形状データを作成して前記第2のマッチングを施すことを、前記探索範囲を段階的に絞り込みながら複数回連続して繰り返し行う
請求項1又は2記載のワーク検出装置。
【請求項5】
前記第2検出部は、前記実積載位置として、前記積載エリア上の前記ワークの高さ、大きさ及び回転角度を含む三次元位置を特定する
請求項1~4のいずれか1項記載のワーク検出装置。
【請求項6】
前記装置検出部は、前記補助装置の装置本体の天面部に少なくとも設けられた、前記補助装置の位置及び方向を識別可能な指標を検出し、検出された前記指標を予め記憶された指標モデル画像が示す指標とマッチングして、前記積載エリア内の前記補助装置の配置位置及び配置の向きを検出し、前記実在領域を算出する
請求項1~5のいずれか1項記載のワーク検出装置。
【請求項7】
ワークが積載されると共に前記ワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置の一部が前記ワーク上に配置された積載エリアを、撮像装置によって撮像した撮像画像に基づいて、前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出方法であって、
前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出する工程と、
前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出する工程と、
前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成する工程と、
前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定する工程と、を含む
ワーク検出方法。
【請求項8】
前記形状データを作成する工程では、前記形状データの前記輪郭成分を表す線分を分割又は消去して無効化する編集を行う
請求項7記載のワーク検出方法。
【請求項9】
前記実積載位置を特定する工程では、前記存在位置を検出する工程での前記第1のマッチングよりも探索範囲を絞り込んで前記第2のマッチングを行う
請求項7又は8記載のワーク検出方法。
【請求項10】
前記形状データを作成する工程及び前記実積載位置を特定する工程では、前記新たな形状データを作成して前記第2のマッチングを施すことを、前記探索範囲を段階的に絞り込みながら複数回連続して繰り返し行う
請求項7又は8記載のワーク検出方法。
【請求項11】
前記実積載位置を特定する工程では、前記実積載位置として、前記積載エリア上の前記ワークの高さ、大きさ及び回転角度を含む三次元位置を特定する
請求項7~10のいずれか1項記載のワーク検出方法。
【請求項12】
前記補助装置を検出する工程では、前記補助装置の装置本体の天面部に少なくとも設けられた、前記補助装置の位置及び方向を識別可能な指標を検出し、検出された前記指標を予め記憶された指標モデル画像が示す指標とマッチングして、前記積載エリア内の前記補助装置の配置位置及び配置の向きを検出し、前記実在領域を算出する
請求項7~11のいずれか1項記載のワーク検出方法。
【請求項13】
積載エリア内に積載されたワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置と、
前記積載エリアを撮像可能な撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された撮像画像に基づいて、前記補助装置の一部が前記ワーク上に配置された前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出装置と、を備え、
前記ワーク検出装置は、
前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出する装置検出部と、
前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出する第1検出部と、
前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成するデータ作成部と、
前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定する第2検出部と、を有する
ワーク検出システム。
【請求項14】
前記ワーク検出装置からの検出結果に基づいて、検出された前記ワークに対する前記補助装置の動作を制御する制御装置をさらに備える
請求項13記載のワーク検出システム。
【請求項15】
ワークが積載されると共に前記ワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置の一部が前記ワーク上に配置された積載エリアを、撮像装置によって撮像した撮像画像に基づいて、前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出プログラムであって、
コンピュータに、
前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出させる工程と、
前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出させる工程と、
前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成させる工程と、
前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定させる工程と、を実行させる
ワーク検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク検出装置、ワーク検出方法、ワーク検出システム及びワーク検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積載エリアに積載した複数の板状部材等のワークを供給ロボット等のローディング装置によって、曲げ加工等を行うプレスブレーキ等の加工機(ベンディングマシン)へ供給することが行われている。そして、ローディングに際しては、例えば磁力によってワークを浮上させて他のワークから分離するマグネットフロータや、エアの噴射圧力によってワークを他のワークから分離するエアセパレータ等のワークめくり装置(ワーク一枚取り装置)が用いられている。
【0003】
通常、エアセパレータ等のワークめくり装置は、積載エリアに隣接する位置に設置された設置台に固定された状態で設けられている。このため、積載エリアに対し積載された複数のワークが一箇所に置かれ、これらのワークに対応するワークめくり装置が一つ配置されることが行われている。
【0004】
一方で、例えば積載エリアが広い場合は、種類の異なる複数のワークを積載エリア内の複数箇所に配置することも想定される。このような場合、各ワークに対応するワークめくり装置を積載エリア内に複数配置することで対応を図るとするならば、積載エリア内には複数のワークとワークめくり装置とが混在する状態となる。なお、積載エリア内に配置されているワークの位置を検出するワーク検出装置(例えば、特許文献1参照)では、単眼カメラによってワークを撮像してその位置を検出することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-120388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような複数のワークとワークめくり装置とが混在した状態の積載エリアにおいては、ワークめくり装置の一部がワーク上に配置される場合があるので、このような場合は単眼カメラの撮像範囲においてワークの一部を隠してしまうこととなり、ワークの位置を正確且つ高精度に検出することが難しくなる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、積載エリアにおいてワークの一部が隠れていてもワークの位置を正確且つ高精度に特定しワークを検出することができるワーク検出装置、ワーク検出方法、ワーク検出システム及びワーク検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るワーク検出装置は、ワークが積載されると共に前記ワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置の一部が前記ワーク上に配置された積載エリアを、撮像装置によって撮像した撮像画像に基づいて、前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出装置であって、前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出する装置検出部と、前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出する第1検出部と、前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成するデータ作成部と、前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定する第2検出部と、を備える。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記データ作成部は、前記形状データの前記輪郭成分を表す線分を分割又は消去して無効化する編集を行う。
【0010】
本発明の他の実施形態において、前記第2検出部は、前記第1検出部による前記第1のマッチングよりも探索範囲を絞り込んで前記第2のマッチングを行う。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、前記データ作成部及び前記第2検出部は、前記新たな形状データを作成して前記第2のマッチングを施すことを、前記探索範囲を段階的に絞り込みながら複数回連続して繰り返し行う。
【0012】
本発明の更に他の実施形態において、前記第2検出部は、前記実積載位置として、前記積載エリア上の前記ワークの高さ、大きさ及び回転角度を含む三次元位置を特定する。
【0013】
本発明の更に他の実施形態において、前記装置検出部は、前記補助装置の装置本体の天面部に少なくとも設けられた、前記補助装置の位置及び方向を識別可能な指標を検出し、検出された前記指標を予め記憶された指標モデル画像が示す指標とマッチングして、前記積載エリア内の前記補助装置の配置位置及び配置の向きを検出し、前記実在領域を算出する。
【0014】
本発明に係るワーク検出方法は、ワークが積載されると共に前記ワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置の一部が前記ワーク上に配置された積載エリアを、撮像装置によって撮像した撮像画像に基づいて、前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出方法であって、前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出する工程と、前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出する工程と、前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成する工程と、前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定する工程と、を含む。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記形状データを作成する工程では、前記形状データの前記輪郭成分を表す線分を分割又は消去して無効化する編集を行う。
【0016】
本発明の他の実施形態において、前記実積載位置を特定する工程では、前記存在位置を検出する工程での前記第1のマッチングよりも探索範囲を絞り込んで前記第2のマッチングを行う。
【0017】
本発明の更に他の実施形態において、前記形状データを作成する工程及び前記実積載位置を特定する工程では、前記新たな二次元形状データを作成して前記第2のマッチングを施すことを、前記探索範囲を段階的に絞り込みながら複数回連続して繰り返し行う。
【0018】
本発明の更に他の実施形態において、前記実積載位置を特定する工程では、前記実積載位置として、前記積載エリア上の前記ワークの高さ、大きさ及び回転角度を含む三次元位置を特定する。
【0019】
本発明の更に他の実施形態において、前記補助装置を検出する工程では、前記補助装置の装置本体の天面部に少なくとも設けられた、前記補助装置の位置及び方向を識別可能な指標を検出し、検出された前記指標を予め記憶された指標モデル画像が示す指標とマッチングして、前記積載エリア内の前記補助装置の配置位置及び配置の向きを検出し、前記実在領域を算出する。
【0020】
本発明に係るワーク検出システムは、積載エリア内に積載されたワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置と、前記積載エリアを撮像可能な撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された撮像画像に基づいて、前記補助装置の一部が前記ワーク上に配置された前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出装置と、を備え、前記ワーク検出装置は、前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出する装置検出部と、前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出する第1検出部と、前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成するデータ作成部と、前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定する第2検出部と、を有する。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記ワーク検出装置からの検出結果に基づいて、検出された前記ワークに対する前記補助装置の動作を制御する制御装置をさらに備える。
【0022】
本発明に係るワーク検出プログラムは、ワークが積載されると共に前記ワークに対する作業を補助する配置自在な可搬性を備えた補助装置の一部が前記ワーク上に配置された積載エリアを、撮像装置によって撮像した撮像画像に基づいて、前記積載エリア内の前記ワークを検出するワーク検出プログラムであって、コンピュータに、前記撮像画像に写る前記補助装置を、前記積載エリア内の前記補助装置の実在領域を前記撮像画像から除外可能となるように検出させる工程と、前記実在領域が除外された撮像画像を探索範囲とし、この探索範囲に写るワークの画像と、予め記憶されたワークの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルとの第1のマッチングを施して、前記積載エリア内の前記ワークの存在位置を検出させる工程と、前記存在位置が判明した前記ワークの画像に前記第1のマッチングでマッチした前記ワークモデルの形状データについて、前記実在領域のうちの前記ワーク上に被る領域に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データを作成させる工程と、前記新たな形状データが示すワークモデルと、前記ワークの画像との第2のマッチングを施して、前記積載エリア上の前記ワークの実積載位置を特定させる工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、積載エリアにおいてワークの一部が隠れていてもワークの位置を正確且つ高精度に特定しワークを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るワーク検出システムの構成例を概略的に示す斜視図である。
図2】同ワーク検出システムにおけるワーク検出装置の機能的構成を概略的に示すブロック図である。
図3】同ワーク検出装置のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
図4】同ワーク検出システムにおけるワーク検出処理の一例を示すフローチャートである。
図5】同ワーク検出処理における装置検出処理の一例を示すフローチャートである。
図6】同ワーク検出システムの撮像装置により撮像された撮像画像を概念的に示すイメージ図である。
図7】同ワーク検出システムにおける補助装置を概略的に示す斜視図である。
図8】同補助装置に設けられた指標の一例を示す図である。
図9】同指標の他の例を示す図である。
図10】同撮像画像における補助装置の実在領域を概念的に示すイメージ図である。
図11】同撮像画像を用いた第1のマッチングを概念的に説明するためのイメージ図である。
図12】同撮像画像におけるワークの画像と探索範囲内でマッチングされたワークモデルを概念的に説明するためのイメージ図である。
図13】同撮像画像を用いたデータ作成及び第2のマッチングを概念的に説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係るワーク検出装置、ワーク検出方法、ワーク検出システム及びワーク検出プログラムを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク検出システム100の構成例を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るワーク検出システム100は、パレットP上の積載エリアTA内に積載されたワークWに対する作業(例えば、曲げ加工機等へのローディング等)を補助する補助装置としてのワークめくり装置10と、積載エリアTAを撮像可能な撮像装置としてのカメラ20と、を備える。
【0027】
また、ワーク検出システム100は、ワーク検出システム100全体の制御を行うNC装置等の機能を有すると共に、カメラ20によって撮像された撮像画像に基づいて画像解析や画像補正等の画像処理全般を行う画像処理装置の機能を有し、積載エリアTA上のワークWの実際の積載位置(実積載位置)を特定しワークを検出するワーク検出装置30を備える。
【0028】
なお、本実施形態においては、ワーク検出装置30は、表示装置としてのディスプレイ69と、キーボードやマウス等の入力装置からなる入力部35aと、を備えて構成されているが、これらディスプレイ69及び入力部35aに代わり同等の機能を備えることができるもの(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)であれば、これに限定されるものではない。
【0029】
また、本実施形態においては、例えば、曲げ加工機等の加工機や、ワーク保持用ロボット等のローディング装置については図示は省略するが、これらの加工機やローディング装置等は、ワーク検出装置30により各種動作を制御可能な状態でワーク検出システム100に含まれていても良い。
【0030】
また、本実施形態においては、補助装置としてワークめくり装置10を例に挙げて説明するが、補助装置はワークWに対する各種の作業を補助することができるものであれば、これに限定されるものではない。さらに、図示は省略するが、各ワークめくり装置10、カメラ20及びワーク検出装置30は、それぞれ有線又は無線により、互いにデータや信号を送受信可能に接続されている。
【0031】
ワークめくり装置10は、配置自在な可搬性を備え、パレットP上の積載エリアTA内に複数配置されたワークWにそれぞれ対応するように、積載エリアTAの内外の複数箇所に自在に配置され得る。本実施形態においては、ワークめくり装置10は、積載エリアTA内において各ワークWに対し、その一部がワーク上に配置されるように、例えば一対一で対応するように複数配置され得る。このワークめくり装置10の詳細な構成については後述する。
【0032】
カメラ20は、例えば安価で汎用性の高い単眼カメラ(すなわち、1台のカメラ)により構成され、積載エリアTAの全体を撮像範囲として撮像可能となるように、パレットPの積載エリアTAの中央直上に、カメラスタンド21等の支持部材を介して配置されている。なお、カメラ20によるパレットP上の積載エリアTAの撮像に関して、得られる撮像画像の各種キャリブレーションは予め行われているものとする。
【0033】
また、図示は省略するが、パレットPの周囲所定箇所には、積載エリアTAに積載されたワークWに照射光を照射する、複数個の発光ダイオード(LED)等を有する照明設備が設けられている。カメラ20により積載エリアTAを撮像する際には、この照明設備によってワークWに照明光を照射するようにすれば、撮像画像の明るさを適正露出にて適切に調整することができる。
【0034】
一方、ワーク検出装置30は、機能的には次のように構成されている。
図2は、ワーク検出システム100におけるワーク検出装置30の機能的構成を概略的に示すブロック図であり、図3はワーク検出装置30のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
【0035】
図2に示すように、カメラ20により撮像された撮像画像の画像データは、ワーク検出装置30に入力される。ワーク検出装置30は、機能的には、画像取得部31と、画像処理部32と、演算部33と、記憶部34と、操作部35と、を備える。なお、ワークWの検出は、主に装置検出部36、第1検出部37、データ作成部38及び第2検出部39を有する画像処理部32によって行われる。
【0036】
ここで、画像取得部31は、カメラ20から出力された撮像画像の画像データを取得する。画像処理部32は、画像取得部31が取得した画像データに対して、例えば二値化処理、モルフォロジー処理、ニュートン法を用いた近似処理、テンプレートマッチング等のマッチング処理等を含む各種画像変換・画像解析処理(以下、このような処理を「画像処理」と総称する。)を施す。
【0037】
なお、画像データ(ラスタデータ)は、画像処理部32による画像処理によって、積載エリアTA内のワークめくり装置10やワークW等の写し出された各物体の輪郭成分を特徴量(幾何学形状データ)として抽出し、線状に繋げた線分で表現可能な数値データ(ベクタデータ)に変換され得るもので、後述する各マッチングは、処理負荷の軽減を図るため、特に言及しない場合ベクタデータ同士で行われ得る。
【0038】
画像処理部32の装置検出部36は、画像データが示す撮像画像に写るワークめくり装置10を、積載エリアTA内のワークめくり装置10の実在領域を算出し、撮像画像から除外可能となるようにワークめくり装置10を検出する。なお、ワーク検出システム100におけるワークめくり装置10の検出についての詳細は後述する。
【0039】
第1検出部37は、装置検出部36によりワークめくり装置10の実在領域が除外された撮像画像を探索範囲として、この探索範囲に写るワークWの画像と、記憶部34に予め記憶された各種ワークWの二次元形状を表す形状データからなるワークモデルとのマッチング(第1のマッチング)を行う。そして、第1検出部37は、積載エリアTA内のワークWの大体の位置を表す存在位置を検出する。
【0040】
データ作成部38は、第1検出部37により存在位置が判明したワークWの画像に対してマッチしたワークモデルの形状データについて、ワークめくり装置10の実在領域のうちのワークW上に被る領域(図6参照)に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して、新たな形状データを作成する。具体的には、データ作成部38は、形状データの輪郭成分を表す線分を分割又は消去して無効化するように編集を行う。
【0041】
そして、第2検出部39は、データ作成部38により作成された新たな形状データが示すワークモデルと、ワークWの画像とのマッチング(第2のマッチング)を行って、積載エリアTA上のワークWの実際の積載位置である実積載位置を特定することでワークWを検出する。具体的には、第2検出部39は、ワークWの実積載位置として、積載エリアTA上のワークWの高さ、ワークWの大きさ及びワークWの回転角度を含む三次元位置を特定する。
【0042】
なお、例えば第2検出部39でのマッチングは、検出精度の向上を目的として、第1検出部37でのマッチングよりも探索範囲を絞り込んで(すなわち、積載エリアTA全体を探索範囲とするのではなく、ワークWの画像及びワークモデルを拡大したものを探索範囲として)行われても良い。また、データ作成部38による形状データの作成と、第2検出部39によるマッチングは、さらに検出精度を向上させるべく、上記探索範囲を段階的に絞り込みながら複数回連続して行われても良い。
【0043】
演算部33は、画像処理部32からの検出結果に基づいて、検出されたワークWに対応するワークめくり装置10の動作を制御するための演算、及びワーク検出システム100全体を制御するための演算等の各種演算処理を行って、各部に対して制御出力を行う。記憶部34は、ワークWやワークめくり装置10を二次元又は三次元で表すCADデータ(形状データ)、各種形状のワークWの基準となるモデル(ワークモデル)画像を含む各種の画像データ、各種プログラムデータ等の、ワーク検出装置30にて利用する各種のデータを読み書き可能に記憶する。
【0044】
なお、ワークモデル画像は、例えば積載エリアTA上に実際に積載されたワークWの配置箇所や積載高さ、回転具合等によってカメラ20で撮像した際に見た目が異なって写る複数の画像(例えば、傾いて見えたりする画像や、歪んで見たりする画像等)が、各ワークW毎に複数種類記憶されていても良く、上述した形状データ(各画像に応じて寸法が変更された形状データ)とそれぞれ紐付けられていても良い。また、操作部35は、ワーク検出装置30のユーザによる操作入力を、入力部35aを介して受け付ける。
【0045】
図3に示すように、ワーク検出装置30は、ハードウェア構成として、例えばCPU61と、RAM62と、ROM63と、HDD(ハードディスクドライブ)64と、SSD(ソリッドステートドライブ)65と、を備える。また、ワーク検出装置30は、入力I/F(インタフェース)66と、出力I/F(インタフェース)67と、通信I/F(インタフェース)68と、を備える。各構成部61~68は、それぞれバス60によって相互に接続されている。
【0046】
CPU61は、RAM62、ROM63、HDD64、SSD65等に記憶された各種プログラムを実行することでワーク検出装置30を含めたワーク検出システム100の全体を制御すると共に、ワーク検出プログラムを実行することで、上記画像処理部32及び演算部33の機能を実現する。
【0047】
RAM62は、CPU61の作業領域として使用され得る。ROM63は、上記各種プログラムを少なくとも読み出し可能に格納する。HDD64及びSSD65は、上述した各種のデータを読み書き可能に記憶し、RAM62、ROM64と共に上記記憶部34の機能を実現する。
【0048】
入力I/F66には、カメラ20が接続されて撮像画像が取得される。従って、入力I/F66は、上記画像取得部31の機能を実現する。これと共に、入力I/F66には、上記操作部35の入力部35aとして機能するタッチパネル69aが接続され、ユーザからの操作入力に伴う情報を受け付ける。なお、入力I/F66には、図示しないキーボードやマウス等の入力手段も接続され得る。
【0049】
出力I/F67には、例えば、タッチパネル69aが内蔵された、ワーク検出装置30のディスプレイ69が接続され、モニタ表示される各種情報が出力される。なお、ワーク検出装置30は、通信I/F68を介して、図示しないインターネット等のネットワークや外部機器等と接続され得る。
【0050】
このように構成されたワーク検出装置30を備えたワーク検出システム100におけるワーク検出処理は、例えば次のように行われる。
図4は、ワーク検出システム100におけるワーク検出処理の一例を示すフローチャートであり、図5はワーク検出処理におけるワークめくり装置10の装置検出処理の一例を示すフローチャートである。また、図6は、ワーク検出システム100のカメラ20により撮像された撮像画像を概念的に示すイメージ図、図7はワーク検出システム100におけるワークめくり装置10を概略的に示す斜視図である。
【0051】
ワークWの検出に際しては、図4に示すように、まず、カメラ20によってワークW及びワークめくり装置10が積載・配置された積載エリアTAを撮像し(ステップS100)、ワーク検出装置30に撮像画像の画像データを出力する。次に、ワーク検出装置30は、画像取得部31を介して撮像画像の画像データを取得し、上述したように画像データを画像解析する(ステップS101)。
【0052】
ここで、図6に示すように、パレットPの上方に設置されたカメラ20により撮像された撮像画像22には、積載エリアTA上に積載されたワークWと共に、装置本体10A及びめくりユニット10B(これらについては後述する)を有するワークめくり装置10が、例えばその一部(めくりユニット10Bの一部)がワークWの一部分上に被るように写し出される。
【0053】
一般的に、このような状態でワークW及びワークめくり装置10が写し出された撮像画像22を用いてワークWの検出を試みても、めくりユニット10BのワークW上に被った部分がその下のワークWの輪郭部分や形状等を見えなくしているため、該当部分を認識できなくなり、マッチングによるワークWの検出に失敗(誤検出)してしまうことが頻発する。
【0054】
そこで、本実施形態のワーク検出装置30は、上記ステップS101の画像解析後の撮像画像22に基づいて、前もって積載エリアTA内のワークめくり装置10を検出する装置検出処理(ステップS102)を実行する。このステップS102の装置検出処理は、装置検出部36において、例えば次のように行われる。
【0055】
図5に示すように、装置検出処理においては、まず、エッジ検出処理等によって、例えばワークめくり装置10に設けられたマーカ14,15(図6参照)の検出を行う(ステップS110)。ここで、マーカ14,15等について説明する。マーカ14,15等は、ワークめくり装置10の位置及び方向を識別可能に表示するものである。
【0056】
前提として、図7に示すように、ワークめくり装置10は、例えば上面視矩形状の外形を有する装置本体10Aと、この装置本体10Aに対して移動可能且つワークWに接触して保持可能となるように、装置本体10Aに対していわゆる片持ち状に設けられためくりユニット10Bと、を備える。
【0057】
めくりユニット10Bは、例えばエアの噴射圧力及び吸着力によって、パレットP上の積載エリアTA内に積載された複数の板状のワークWのうちの最上部のワークWを、他のワークWからめくって分離する機能を有する。このように、ワークめくり装置10は、めくりユニット10BによってワークWを一枚取りするための一枚取り装置として用いられ得るが、一枚取り装置の詳細構成については公知であるため、ここでは説明を省略する。なお、本実施形態のワークめくり装置10においては、めくりユニット10Bの配置側を装置の前方側と定義する。
【0058】
装置本体10Aは、装置の上方側に設けられた天面部11と、この天面部11から装置の前方側において左右二箇所で傾斜する斜面部12と、天面部11(及び斜面部12)と装置の左右側において繋がる一対の側面部13と、を有する。装置本体10Aの天面部11、斜面部12及び一対の側面部13の所定箇所には、それぞれワークめくり装置10の位置及び方向を識別可能な指標としてのマーカ14,15,16が設けられる。
【0059】
具体的には、マーカ14,16は、装置本体10Aの天面部11及び一対の側面部13の所定箇所に複数設けられ、マーカ15は、装置本体10Aの斜面部12の所定箇所に複数設けられている。より具体的には、マーカ14は、装置本体10Aの天面部11における装置の後方側に近い左右二箇所に設けられており、マーカ16は、装置本体10Aの一対の側面部13における装置の上方側に近い箇所にそれぞれ設けられている。すなわち、マーカ16は、マーカ14の側方かつ直下に設けられている。また、マーカ15は、装置本体10Aの二箇所の斜面部12における傾斜方向両端部近傍箇所にそれぞれ設けられている。
【0060】
図8は、ワークめくり装置10に設けられたマーカ14~16の一例を示す図であり、図9はマーカ14~16の他の例を示す図である。ワークめくり装置10の装置本体10Aに設けられたマーカ14,15,16は、例えば、公知のArUcoマーカやChArUcoマーカ等を含むAR(拡張現実)マーカにより構成することができる。
【0061】
図8に示すように、マーカ14(15,16)は、マーカ全体を表す全体領域18と、マーカによる位置及び方向を識別させるための識別領域19と、を少なくとも備えたフィルム状部材や板状部材により構成されている。なお、図1図6及び図7等においては、マーカ14~16の識別領域19の図示は省略している。
【0062】
マーカ14~16の識別領域19の形状は、例えば図8に示す例では単純な矩形を組み合わせた形状であるが、図9(a)~図9(g)に示すように、複数の矩形や正方形を組み合わせたり、全体領域18内の識別領域19の位置を変更したりと、ワークめくり装置10の位置及び方向を、少なくともそれ単体で識別できる形状であれば、図示のものに限定されるものではなく、より複雑な形状や、より単純な形状等の種々の形状を採用し得る。
【0063】
また、マーカ14~16は、カメラ20の画素数や撮影解像度等の撮像性能に応じてその寸法(全体領域18及び識別領域19の大きさや形状等)が設定され得るが、積載エリアTAを上方から撮像した撮像画像22から十分にワークめくり装置10の配置位置及び配置の向きを判別可能となるように検出され得るものであれば、少なくとも装置本体10Aの天面部11に一つ設けられていれば良い。すなわち、ワークめくり装置10が正規の配置状態である場合は、天面部11が撮像画像に最も写り込みやすいからである。
【0064】
なお、装置本体10Aの一対の側面部13に設けられたマーカ16は、例えばワークめくり装置10が何らかのアクシデント(例えば、図示しないローディング装置のロボットアーム等と衝突する等)により転倒した場合であっても、ワークめくり装置10の位置及び方向(積載エリアTA内における転倒時の配置位置及び配置の向き)を識別可能とするために設けられている。
【0065】
再び図5に戻り、上記ステップS110にてマーカ14,15を検出したら、各マーカ14,15の全体領域18の四隅のピクセル(画素)位置を表す位置情報を算出し、記憶部34に記憶する(ステップS111)。なお、ピクセル(画素)とは、ワーク検出装置30で撮像画像22を取り扱うときの色情報(色調、階調等)を持つ最小単位又は最小要素のことを言う。
【0066】
次に、各マーカ14,15について、記憶部34に記憶されたCADデータにより示されるワークめくり装置10の各部の寸法情報や、マーカモデルの画像を表す画像データ等の各種データに基づいて、ワークめくり装置10において実際に配置されたマーカ14,15の位置を示すモデル位置の位置情報を取得する(ステップS112)。
【0067】
そして、装置検出部36は、以下のステップS113~ステップS116の処理を、複数回(例えば、5回)繰り返す。すなわち、取得したモデル位置と記憶したピクセル位置をニュートン法等の近似処理にかけて、マーカ14,15の積載エリアTA内での物理的な三次元位置(x,y,z位置)と回転(rz)を算出する(ステップS113)。
【0068】
次に、三次元位置と回転を算出したら、その算出結果に基づく物理的な三次元位置(x,y,z位置)と回転(rz)を反映した状態のマーカ14,15を表すマーカ画像を生成する(ステップS114)。そして、生成したマーカ画像が表すマーカ14,15を、例えば記憶部34に予め記憶された、三次元位置や回転の状態に応じてそれぞれ異なる各種のマーカモデル画像と、例えばテンプレートマッチング処理(ステップS115)を行うことによって探索する。こうして探索したマーカモデル画像が示すマーカ14,15のマッチング情報(x,y,z位置及び回転rz)を基に、記憶部34に記憶されたマーカ14,15のピクセル位置を表す位置情報を更新する(ステップS116)。
【0069】
このようなステップS113~ステップS116を複数回繰り返した後に、例えばマッチング情報が十分に収束したか否かを判断し(ステップS117)、十分に収束していないと判断した場合(ステップS117のNo)は、上記ステップS113に移行して以降の処理を繰り返す。
【0070】
一方、十分に収束したと判断した場合(ステップS117のYes)、記憶部34に記憶されている各種データに基づいて、ワークめくり装置10を撮像画像22から除外可能となるように、積載エリアTA内におけるワークめくり装置10の実在領域R(図10参照)を算出して、ワークめくり装置10を検出する(ステップS118)。なお、図10は、撮像画像22におけるワークめくり装置10の実在領域Rを概念的に示している。こうしてワークめくり装置10を検出したら、本フローチャートによる装置検出処理を終了して、図4のステップS103に移行する。
【0071】
すなわち、ステップS103では、ワークWの誤検出を回避するため、マッチングの探索範囲である積載エリアTAを写した撮像画像22から、図10に示すように、画像処理部32においてワークめくり装置10の実在領域Rの画素範囲を抽出して、抽出した実在領域Rを処理対象から除外する(ステップS103)。
【0072】
そして、図11に示すように、第1検出部37によって、実在領域Rが除外された撮像画像22の全域(積載エリアTA)を探索範囲SRとして、この探索範囲SRに写る各ワークWの画像と、例えば記憶部34に予め記憶されたワークWの二次元形状を表す形状データからなる複数のワークモデルWmとの第1のマッチング(ステップS104)を施す。なお、ワークモデルWmの形状データは、例えば点(x,y座標点)、線分(x,y座標点間を結ぶライン)、面(x,y座標点間を結ぶラインで閉じた線分)により画定されるベクタデータであり、ワークWの縦、横、長さ、厚さ等の各寸法や形状を規定している。
【0073】
この第1のマッチングにより、図12に示すように、ワークWの画像と探索範囲SR内でマッチングされたワークモデルWmに、例えば記憶部34内のデータベース(DB)において予め紐付けられている形状データを参照して演算することにより、探索範囲SRのどの位置にワークモデルWmに該当するワークWがあるか(ワークモデルWmに当てはまったか)が分かる。これにより、積載エリアTA内のワークWの大体の存在位置を把握することが可能となる。なお、図12を含む以降の説明においては、積載エリアTA内の複数のワークW及びワークめくり装置10のうち、一つのワークW及びワークめくり装置10について着目して説明するが、他のワークW及びワークめくり装置10についても同様であることは言うまでもない。
【0074】
第1のマッチングの後は、以下のステップS105~ステップS107の処理を、複数回(例えば、4回)繰り返す。すなわち、ワークWの積載エリアTA内における存在位置が判明したら、データ作成部38によって、そのワークWの画像に第1のマッチングでマッチしたワークモデルWmの形状データについて、ワークめくり装置10の実在領域RのうちのワークW上に被る領域10BR(図13参照)に重なる部分の輪郭成分を表す線分を編集して新たな形状データのワークモデルWmrを作成する(ステップS105)。
【0075】
すなわち、データ作成部38は、図13に示すように、マッチしたワークモデルWmの形状データをDBから読み出して、ワークめくり装置10の被る領域10BRと重なる部分の輪郭成分を表す線分L及び線分S1~S4について、編集として例えば線分Lを線分L1,L2に分割すると共に、線分S1~S4については消去することによって、ワークモデルWmから線分Ld,Sdが無効化された新たな形状データ(変形データ)のワークモデルWmrを作成する。そして、第2検出部39は、変形データが示すワークモデルWmrと、ワークWの画像との第2のマッチング(ステップS106)を施して、探索範囲SRの絞り込み(例えば、探索範囲SRよりもミクロな探索範囲SSRを探索範囲とする)を行う(ステップS107)。
【0076】
このようなステップS105~ステップS107を複数回繰り返した後に、例えばワークWとワークモデルWmrとが、細部にまで亘って十分にマッチングされたことにより、マッチングが完了したか否かを判断し(ステップS108)、マッチングが完了していないと判断した場合(ステップS108のNo)は、上記ステップS105に移行して以降の処理を繰り返す。
【0077】
一方、マッチングが完了したと判断した場合(ステップS108のYes)、第2検出部39は、探索範囲SRにおける正確なマッチング情報(ワークWの積載位置座標、積載高さ、積載寸法、積載角度等の各種情報)を、撮像画像22及び記憶部34の各種データに基づく画像処理部32の演算により得ることができるので、積載エリアTA上のワークWの実際の積載位置である実積載位置を特定して(ステップS109)、ワークWを検出し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0078】
このように、本実施形態のワーク検出システム100によれば、積載エリアTAにおいて、別途任意の場所に配置されたワークめくり装置10によってワークWの一部がカメラ20による撮像範囲から隠れた状態となっていても、積載エリアTA内のワークWの大体の位置をマッチングにより把握する。さらに、マッチングされたワークモデルWmの形状データについて、隠れた部分を考慮して編集した上でワークの画像とマッチングを行うことを、例えば探索範囲を絞り込みながら複数回行う。そして、その結果と予め記憶されているCADデータ等の各種データとに基づき演算を行うことで、ワークWの積載エリアTA上の実積載位置を特定する。これにより、積載エリアTA内のワークWの積載位置を正確且つ高精度に特定してワークWを検出することが可能となる。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10 ワークめくり装置(補助装置)
10A 装置本体
10B めくりユニット(可動部)
11 天面部
12 斜面部
13 側面部
14,15,16 マーカ(指標)
18 全体領域
19 識別領域
20 カメラ(撮像装置)
21 カメラスタンド
22 撮像画像
30 ワーク検出装置
100 ワーク検出システム
P パレット
R 実在領域
SR,SSR 探索範囲
TA 積載エリア
W ワーク
Wm ワークモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13