(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】粒状物質の処理装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/10 20060101AFI20250116BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20250116BHJP
B05C 3/08 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B08B3/10 Z
A61L2/18
B05C3/08
(21)【出願番号】P 2021043310
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】篠田 萌子
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】菅原 玲子
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-239332(JP,A)
【文献】特開2009-166023(JP,A)
【文献】特開平06-063950(JP,A)
【文献】特開2015-093247(JP,A)
【文献】特開2007-125266(JP,A)
【文献】特開2019-048255(JP,A)
【文献】特開2002-326063(JP,A)
【文献】特開平05-146718(JP,A)
【文献】特開昭55-103829(JP,A)
【文献】実開平06-031877(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0046501(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00- 3/14
A61L 2/00- 2/28
B05C 3/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の少なくとも一部が開放され、処理液が貯留される処理槽と、
メッシュ状の本体部を有し、前記本体部の内側に仕切板が設けられ、内部に粒状物質が封入される筐体と、
回転軸を有し、前記回転軸と共に回転し、前記筐体を保持する回転支持体と、
を含み、
前記回転支持体は
、少なくとも1つの円盤状部材を有し、前記円盤状部材は、前記処理槽の
前記上面の開放された部分において、上側部分が前記処理槽から露出し、下側部分が前記処理液の中に沈むように設けられ、
前記筐体は、前記円盤状部材の円周方向に沿って設けられ、
前記仕切板は、板面が前記円盤状部材の半径方向と平行になるように配置され、
前記回転支持体
の前記円盤状部材が前記回転軸を中心に回転することで、前記筐体が
公転し、前記処理液への浸漬と、前記処理液からの引き上げと、が繰り返し行われる、ことを特徴とする粒状物質の処理装置。
【請求項2】
前記筐体が筒形の形状を有し、前記仕切板が前記筒形の形状の長手方向に沿って一端から他端にかけて延びている、請求項1に記載の粒状物質の処理装置。
【請求項3】
前記仕切板の板面が、前記回転支持体が回転するときの半径方向と平行に配置されている、請求項2に記載の粒状物質の処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの円盤状部材の盤面に前記筐体を挿通する挿通孔が設けられている、請求項2に記載の粒状物質の処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの円盤状部材は複数の円盤状部材からなり、
前記筐体が前記複数の円盤状部材に挿通されて支持されている、請求項4に記載の粒状物質の処理装置。
【請求項6】
前記複数の円盤状部材は、前記筐体の一端の側に配置される第1の円盤状部材と、前記筐体の他端の側に配置される第2の円盤状部材と、前記第1の円盤状部材と前記第2の円盤状部材との間の第3の円盤状部材を含む、請求項5に記載の粒状物質の処理装置。
【請求項7】
上面の少なくとも一部が開放され、処理液が貯留される処理槽と、
メッシュ状の本体部を有し、内部に粒状物質が封入される筐体と、
回転軸を有し、前記回転軸と共に回転し、前記筐体を保持する回転支持体と、
を含み、
前記回転支持体は、第1の円盤状部材及び第2の円盤状部材を有し、前記第1の円盤状部材及び前記第2の円盤状部材は、前記処理槽の前記上面の開放された部分において、上側部分は前記処理槽から露出し、下側部分が前記処理液の中に沈むように設けられ、
前記第1の円盤状部材が前記筐体の一端の側に配置され、前記第2の円盤状部材が前記筐体の他端の側に配置され、
前記
第1の円盤状部材
と前記第2の円盤状部材の間に、前記回転軸の側から外側に延び、前記筐体に沿って設けられる羽板を有
し、
前記筐体は、前記第1の円盤状部材及び前記第2の円盤状部材の円周方向に沿って設けられ、
前記羽板は、板面が前記第1の円盤状部材及び前記第2の円盤状部材の半径方向と平行になるように配置され、
前記回転支持体の前記第1の円盤状部材及び前記第2の円盤状部材が前記回転軸を中心に回転することで、前記筐体が公転し、前記処理液への浸漬と、前記処理液からの引き上げと、が繰り返し行われる、ことを特徴とする粒状物質の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は粒状物質を液体に浸漬させる処理を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ドラム式の洗浄装置として、例えば、特許文献1には細かく破砕された廃プラスチック容器を洗浄する洗浄装置が開示されている。この洗浄装置は、プラスチック破砕機と、回転ドラムと、水供給装置とを有している。この洗浄装置では、廃プラスチック容器をプラスチック破砕機で破砕して回転ドラムに供給し、水供給機構から回転ドラムに水を供給して、破砕された廃プラスチック片に付着する泥や食品残渣を洗浄する処理が行われる。回転ドラムの本体は、メッシュ状または穴開きパネルで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細かい破砕物や粒状物質を液体に浸漬させて処理を行う場合、メッシュ状の容器に粒状物質を入れてまとめて処理する方式が便利である。しかし、メッシュの目が細かくなると液体の粘度によってはメッシュ状の容器の内部に液体が浸入しにくくなり、処理にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0005】
そこで本発明の一実施形態は、粒状物質を液体に浸漬させて処理をする場合に、効率よく処理することのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置は、処理液が貯留される処理槽と、メッシュ状の本体部を有し本体部の内側に仕切板が設けられ内部に粒状物質が封入される筐体と、回転軸を有し回転軸と共に回転し筐体を保持する回転支持体とを含む。回転支持体は前記処理槽の上部に設けられ、回転支持体が回転軸を中心に回転することで、筐体が前記処理液への浸漬と処理液からの引き上げとが繰り返し行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、筐体を回転支持体で公転させて処理液への浸漬と引き上げを繰り返す装置において、粒状物質が封入される筐体がメッシュ状の部材で形成され内部に仕切板が設けられることで、小さな粒子であっても均一に処理をすることができ、処理にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置の構成を説明する図であり、(A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置に用いられる筐体の構成を説明する図であり、(A)は側面図を示し、(B)は平面図を示し、(C)が正面図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置に用いられる筐体の内部の状態を説明する図であり、(A)は側面模式図を示し、(B)A1-A2間の断面模式図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置の動作を説明する図であり、筐体の回転と筐体内部に封入された粒状物質の状態を模式的に示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置に用いられる回転支持体の構成を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置に用いられる回転支持体と筐体の構成を示す図であり、(A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0010】
図1(A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る粒状物質の処理装置100を示す。ここで、
図1(A)は粒状物質の処理装置100の正面図を示し、(B)は側面図を示す。以下の説明においては、
図1(A)及び(B)を適宜参照するものとする。
【0011】
粒状物質の処理装置100は、処理液110が貯留される処理槽102と、微粒子が封入される筐体106と、筐体106を保持する回転支持体104と、を含む。処理槽102には筐体106の全体が水没することのできる深さで処理液110が供給される。処理槽102には、処理液110を管理するために、液面センサ、ヒータ、水温計等が適宜設けられていてもよい(図示されず)。また、図示されないが、処理槽102には処理液を供給す供給口と、処理液を排出する排出口が設けられる。
【0012】
処理槽102の上面の少なくとも一部は開放されている。この開放された部分に適合するように回転支持体104が設けられる。回転支持体104は、上側部分が処理槽102から露出し、下側部分が処理液の中に沈むように設けられる。例えば、
図1に示すように、回転支持体104は、処理槽102の中央上側部分に回転軸1041と、回転軸1041の軸中心と円心が一致するように設けられた円盤状部材1042とを含む。回転軸1041が、処理槽102の液面と同程度か、液面より高い位置に設けられることにより、円盤状部材1042の上側が処理液110の液面より高いところに位置し、下側部分が処理液110に沈むようになる。
【0013】
回転支持体104には、円盤状部材1042の円周に沿って筐体106が取り付けられる。筐体106は、本体の自転を低減するため円盤状部材1042で支持される。回転支持体104は、駆動機構116により回転軸1041が回転することで円盤状部材1042が回転し、それに伴って筐体106が公転する。駆動機構116は、回転軸1041に回転力を与える機能を有し、電動機(モータ)、電動機の回転を制御する制御回路を含んで構成される。
【0014】
筐体106は、円盤状部材1042の回転と共に処理液110に浸漬され、処理液110の中を一定時間通過した後、処理液110から引き上げられる。筐体106は、回転支持体104が回転する間、処理液110の浸漬と、処理液110からの引き上げが繰り返される。粒状物質の処理装置100が大気中に設置される場合には、筐体106は処理液110への浸漬と大気暴露の状態が繰り返される。筐体106はメッシュ状の部材で形成される本体部1061を有する。筐体106は、さらに本体部1061の開口を塞ぐ蓋部1062a、1062bが含まれてもよい。
【0015】
回転支持体104の回転数は処理の内容に応じて適宜設定される。回転支持体104の単位時間当たりの回転数が大きくなれば、筐体106の処理液110への浸漬と大気暴露の時間が短くなり、その周期が短くなる。また、回転支持体104の回転数が速すぎるとメッシュで形成された筐体106の内部に処理液110が浸透しにくくなり、その傾向は処理液110の粘性が高くなると顕著なものとなる。回転支持体104の回転数が小さくなれば、筐体106の処理液110への浸漬と大気暴露の時間が長くなり、その周期が長くなる。回転支持体104の単位時間当たりの回転数は、例えば、1rpm~50rpmの範囲で設定され得る。
【0016】
筐体106の内部には粒状物質が封入される。筐体106の本体部1061はメッシュで形成される。筐体106が処理液110に浸漬されると、メッシュを通して処理液110が内部に浸入する。筐体106の内部に粒状物質が封入された状態で処理液110に浸漬されると、粒状物質も処理液110に晒されることになる。このように、本実施形態に係る粒状物質の処理装置100は、筐体106の内部に粒状物質を封入した状態で処理を行うことができる。すなわち、本実施形態に係る粒状物質の処理装置100によれば、筐体106の回転(公転)運動により粒状物質の処理液110への浸漬と引き上げ(及び大気暴露)を繰り返し行うことができる。
【0017】
図1(A)及び(B)に示すように、筐体106の内部に仕切板108が設けられる。仕切板108は、板面が円盤状部材1042の半径方向と平行になるように配置される。別言すれば、仕切板108の板面は、回転支持体104が回転するときの半径方向と平行に配置されている。仕切板108は筐体106の中で固定され、筐体106は円盤状部材1042に保持されて公転するので、処理槽102の中を進むとき処理液110を進行方向に押し出す方向に力が作用する。すなわち、仕切板108は、筐体106が処理液110の中を進むとき、処理液110を流動させ、筐体106の中に処理液110がより流れ込むように作用する。仕切板108は、このような作用を筐体106に与えるために、その板面が筐体106の進行方向に対し交差するように設けられていることが好ましい。仕切板108は筐体106が処理液110の中を進むとき抵抗を与えるために、その板面が進行方向に対して斜めに配置されていてもよい。仕切板108は、回転支持体104の回転半径と平行又は±30度の角度で設けられていることが好ましい。
【0018】
また、仕切板108が本体部1061の内部で突出する高さ(断面視において内部に突出する高さ)は、筐体106の半径0.7~1.3倍が好ましい。仕切板108を筐体106の外側から中心近傍までの突出することで、筐体106に封入された粒状物質が、回転支持体104の回転に伴い移動することを可能としつつ、処理液110が筐体106の中を流れ込むようにすることができる。
【0019】
図2(A)、(B)及び(C)は筐体106の構成を示す。
図2において、(A)は筐体106の側面図、(B)は筐体の平面図、(C)は筐体106の正面図を示す。筐体106は開口部を有する本体部1061と、開口部を塞ぐ蓋部1062とを含む。
図2は、本体部1061が、両端が開放された円筒形状を有する場合を示す。本体部1061の両側には開放端を塞ぐ蓋部1062a、1062bが設けられる。両端に設けられた蓋部1062a、1062bの一方又は両方は、筐体106に粒状物質を封入し、処理後は取り出すために、本体部1061から着脱可能に設けられていることが好ましい。また、蓋部1062a、1062bには、筐体106に粒状物質を出し入れするための小蓋が設けられていてもよい。
【0020】
本体部1061は、筐体106の内部に処理液110が浸入するようにメッシュで形成される。メッシュの網目の大きさは封入する粒状物質の粒径に応じて適宜選択される。例えば、本体部1061は、全周がメッシュで形成されることで、縦線および横線25.4mm(1インチ)間による目数による規格で、10メッシュから500メッシュのものを適用することができる。
【0021】
メッシュは、封入する粒状物質が網目からこぼれ出ないように、粒状物質の粒径よりも細かな網目が選択される。粒状物質の粒径が小さくなるとメッシュの網目もより小さくする必要がある。しかし、メッシュの網目が小さくなるとコンダクタンスが低下して処理液110が筐体106の内部に浸入しにくくなる。特に、処理液110が粘性のある溶液や、コロイド溶液ではその影響が顕著となる。その結果、筐体106を処理液110に浸漬する時間を長くする必要があり、処理時間の増大により生産性の低下が問題となる。
【0022】
このような問題に対し、
図2(A)、(B)及び(C)に示すように仕切板108を設けることで、処理液110の中で筐体106が移動するとき抵抗を与え、処理液110が筐体106の内部に浸入しやすくすることができる。仕切板108は、筒形の本体部1061の一端から他端にかけて設けられる。仕切板108が本体部1061の内部で突出する高さは(断面視において内部に突出する高さ)、筒形体の半径と同程度の高さを有していればよい。仕切板108がこのような形態で本体部1061に設けられることで、筐体106に封入された粒状物質が、回転支持体104の回転に伴い移動することを可能としつつ、処理液110が筐体106の中を通過するようにすることができる。
【0023】
なお、仕切板108の形状は板状に限定されず、らせん状でもよい。らせん状の仕切板108を設けることで、回転時において粒状物質112を筐体106の上下だけでなく、前後にも移動させることができる。これにより、粒状物質112を均一に液体処理することができ、その処理時間の増大を防止することができる。
【0024】
また、筐体106に粒状物質と共に回転体が封入されてもよい。回転体としては、球状、柱状、多面体等がある。また、回転体は、表面に複数の突起を有してもよい。または、回転体として、複数の突起を組み合わせられた回転体を用いることができる。または、回転体として、ブラシを用いてもよい。回転体を筐体106内に封入することで、本体部1061のメッシュの内側面に張り付いた粒子物質を回転時に取り除くことが可能であり、筐体106の内部へ処理液110が流れ込みやすくなる。また、回転体を筐体106に封入することにより粒状物質を攪拌する作用を得ることができる。これにより、粒状物質112が微細化しても処理時間の増大を防ぎ、生産性を高めることができる。
【0025】
図3(A)は筐体106の側面図であり、(B)はA1-A2間の断面図を示し、これらは筐体106の内部構造と封入された粒状物質112を模式的に示す。粒状物質112は、筐体106の中に空間が残るように封入される。また、上述のように、仕切板108も筐体106の内部を完全に区分するのではなく、粒状物質112が仕切板108の抵抗を受けつつ筐体106の中で攪拌されるように、円筒状の空間の半分を区分するように設けられる。
【0026】
図4は、筐体106の回転と、筐体106内部に封入された粒状物質の状態を模式的に示す。
図4において、(1)に示すように、筐体106が処理液110に浸漬され始めるとき、粒状物質112は筐体106の底部に溜まり上部から仕切板108に押されるようにして処理液110の中に入って行く。(2)に示すように、筐体106が処理液110の内部を進むとき、仕切板108が抵抗となり処理液110を押す力が発生するので、処理液110はメッシュの網目から筐体106の内部に浸入し通過する量が増大する。その結果、粒状物質112がより処理液110に晒されることになる。(3)は、筐体106が処理液110から引き上げられる段階であり、粒状物質の一部は仕切板108によってかき上げられる。(4)は筐体106が頂部に達した状態であり、仕切板108によってかき上げられた粒状物質が筐体106の下面に落とされる。
【0027】
図4に示すように、粒状物質の処理装置100は、粒状物質112を処理液110への浸漬と、引き上げ(及び大気への暴露)を繰り返し行うことができる。そして、筐体106に仕切板108が設けられることにより、メッシュの網目が小さくなっても処理液110を筐体106の内部に浸入しやすくすることができ、また、仕切板108によって粒状物質112を攪拌することもできる。これにより、粒状物質が微細化しても均一に液体処理をすることができ、その処理時間の増大を防止することができる。
【0028】
なお、筐体106を構成する本体部1061のメッシュの網目を小さくすると、メッシュ自体の厚さが薄くなり筐体106の剛性が低下する。そこで、
図5に示すように、筐体106の一端の側に第1の円盤状部材1042aを配置し、他端に第2の円盤状部材1042bを配置し、第1の円盤状部材1042aと第2の円盤状部材1042bとの間に第3の円盤状部材1042cを配置して支持部材とし、筐体106が撓まないようにすることが好ましい。なお、設置する円盤状部材の数に限定はなく、筐体106の剛性、長さに応じて適宜設けることができる。第1の円盤状部材1042a、第2の円盤状部材1042b、第3の円盤状部材1042cには貫通孔1043が設けられ、筐体106が貫通孔1043に挿通されるように設置されていてもよい
【0029】
図1乃至
図5は、筐体106の内部に仕切板108が設けられる構成を示すが、仕切板108と同様の機能を有する部材を筐体106の外側に設けてもよい。その一例を
図6(A)及び(B)を参照して説明する。
図6(A)は回転支持体104の正面図を示し、(B)はその側面図を示す。
図6(A)及び(B)に示す回転支持体104は、円盤状部材に挟まれるように羽板114が設けられた構成を示す。羽板114は、筐体106に隣接するように設けられていることが好ましい。
図6(B)に示すように、第1の円盤状部材1042a、第2の円盤状部材1042b、第3の円盤状部材1042cが設けられる場合には、それぞれの円盤状部材の間に羽板114が設けられることが好ましい。
【0030】
羽板114は、回転支持体104の中央から外側に放射状に設けられる。羽板114の板面は円盤状部材1042の半径方向と平行に配置される。このような羽板114によっても、処理液110を押して筐体106の内部に浸入する作用を得ることができるので、メッシュが微細化しても多くの処理液110を筐体106の内部に取り入れることが可能となる。別言すれば、羽板114を設けることで、本体部1061を構成するメッシュの網目を小さくしても、筐体106の内部に処理液110が浸入しやすくすることができ、粒状物質112が微細化しても処理時間の増大を防ぎ、生産性を高めることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、回転支持体104の構成において、筐体106を円盤状部材1042で支持する構成を示すが、筐体106を支持して公転させることができるものであれば他の部材に置き換えられえてもよい。例えば、回転軸1041から放射状に伸びる棒状部材によって筐体106を支持する構成を有していてもよい。
【0032】
本実施形態に示す粒状物質の処理装置100で処理することのできる粒状物質としては、様々なものを適用することができる。例えば、粒状物質として、ビーズ等の樹脂製の粒子、コイン、ねじ、ボルト、ナット、ワッシャ等の金属部品、植物の種子、米、麦などの穀物等を例示することができる。また、処理の内容としては、洗浄、コーティング、殺菌等の用途に使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
100:粒状物質の処理装置、102:処理槽、104:回転支持体、1041:回転軸、1042:円盤状部材、1043:貫通孔、106:筐体、1061:本体部、1062:蓋部、108:仕切板、110:処理液、112:粒状物質、114:羽板、116:駆動機構