(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250116BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021141588
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 智吉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 栞那
(72)【発明者】
【氏名】本田 真也
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-175605(JP,A)
【文献】特開2009-026245(JP,A)
【文献】特開2001-306773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、非同期計算が行われる期間を示す非同期計算スケジュールマスタにアクセス可能であり、
前記制御部は、
端末からの申請を受け付ける受付部と、
前記申請を受け付けた日時と、前記非同期計算スケジュールマスタとに基づいて、前記申請に基づく計算処理の方式を、前記申請を受け付けた時に前記計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、前記申請の受け付けた後に、所定のタイミングで前記計算処理を実行する非同期方式に決定する決定部と、
前記リアルタイム方式又は前記非同期方式で前記計算処理を実行する計算部と、
を備え
、
前記申請は、勤務状況を示す情報を含む勤務表申請であり、
前記非同期計算スケジュールマスタの期間は、出勤予定時刻を含む第1の期間と、退勤予定時刻を含む第2の期間と、を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記非同期計算スケジュールマスタは、曜日と、開始時刻および終了時刻による期間とを含み、
前記決定部は、前記申請を受け付けた時刻が、前記申請を受け付けた日の曜日と一致する前記非同期計算スケジュールマスタの曜日の前記期間に含まれている場合、前記申請に基づく計算処理の方式を前記非同期方式に決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、予め定められた所定の間隔で定期的に実行されるタイミングであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記非同期計算スケジュールマスタの設定、および、前記所定のタイミングの設定を受け付ける設定部、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記勤務表申請は、出勤時刻及び退勤時刻の少なくとも一方を含む時刻情報を含み、
前記計算部は、前記非同期方式で前記計算処理を実行する場合、前記時刻情報の登録処理は前記申請を受け付けたときに実行し、前記申請に基づく計算処理は、前記所定のタイミングで実行することを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記申請に基づく計算処理は、実働時間の計算、法内残業の計算、および、普通残業の計算の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記勤務表申請は、出勤時刻及び退勤時刻の少なくとも一方を含む時刻情報を含み、
前記計算部は、前記リアルタイム方式で前記計算処理を実行する場合、前記時刻情報の登録処理と、前記申請に基づく計算処理とを前記申請を受け付けたときに実行することを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
非同期計算が行われる期間を示す非同期計算スケジュールマスタにアクセス可能な制御部を備える情報処理装置の情報処理方法であって、
端末からの申請を受け付けるステップと、
前記申請を受け付けた日時と、前記非同期計算スケジュールマスタとに基づいて、前記申請に基づく計算処理の方式を、前記申請を受け付けた時に前記計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、前記申請の受け付けた後に、所定のタイミングで前記計算処理を実行する非同期方式に決定するステップと、
前記リアルタイム方式又は前記非同期方式で前記計算処理を実行するステップと、
を含
み、
前記申請は、勤務状況を示す情報を含む勤務表申請であり、
前記非同期計算スケジュールマスタの期間は、出勤予定時刻を含む第1の期間と、退勤予定時刻を含む第2の期間と、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
非同期計算が行われる期間を示す非同期計算スケジュールマスタにアクセス可能な制御部を備えるコンピュータに、
端末からの申請を受け付けるステップと、
前記申請を受け付けた日時と、前記非同期計算スケジュールマスタとに基づいて、前記申請に基づく計算処理の方式を、前記申請を受け付けた時に前記計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、前記申請の受け付けた後に、所定のタイミングで前記計算処理を実行する非同期方式に決定するステップと、
前記リアルタイム方式又は前記非同期方式で前記計算処理を実行するステップと、
を実行させ
、
前記申請は、勤務状況を示す情報を含む勤務表申請であり、
前記非同期計算スケジュールマスタの期間は、出勤予定時刻を含む第1の期間と、退勤予定時刻を含む第2の期間と、を含むことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務システムのクラウド化が社会全体で推し進む中で、サーバーリソースの最適化がより求められている。
【0003】
例えば、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「働くスタイルの多様化」などの課題の変化に伴い、労働生産性の向上や従業員満足度向上を実現する環境づくりが求められている。その施策として2019年より働き方改革関連法案が施行され、さらに新型コロナウイルスの影響によりこれまでの働き方が大きく見直されているタイミングともいえる。中でも経営課題の一つとして長時間労働が重視されており、労務管理意識が高まっている。その結果、社員は、勤怠管理システムに勤務実績を正確に登録することが求められているため、日々の実績入力や申請の数が増えている。特に出勤や退勤といった時間帯は多くの社員が同時に申請を行うため、処理集中による遅延が顕著になっている。
【0004】
特許文献1には、リソースサービスシステムでの処理において、所定のクライアントから大量のデータが送信された場合に、他のクライアントのデータ処理を遅延させないための仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、ピーク時の処理量と、ピーク時以外の処理量との差が大きいほど、最適なリソースでシステムを運用することが難しかった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ピーク時の処理量と、ピーク時以外の処理量との差が大きい場合でも、最適なリソースでシステムを運用することができる情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、制御部を備える情報処理装置であって、前記制御部は、非同期計算が行われる期間を示す非同期計算スケジュールマスタにアクセス可能であり、前記制御部は、端末からの申請を受け付ける受付部と、前記申請を受け付けた日時と、前記非同期計算スケジュールマスタとに基づいて、前記申請に基づく計算処理の方式を、前記申請を受け付けた時に前記計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、前記申請の受け付けた後に、所定のタイミングで前記計算処理を実行する非同期方式に決定する決定部と、前記リアルタイム方式又は前記非同期方式で前記計算処理を実行する計算部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記非同期計算スケジュールマスタは、曜日と、開始時刻および終了時刻による期間とを含み、前記決定部は、前記申請を受け付けた時刻が、前記申請を受け付けた日の曜日と一致する前記非同期計算スケジュールマスタの曜日の前記期間に含まれている場合、前記申請に基づく計算処理の方式を前記非同期方式に決定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記所定のタイミングは、予め定められた所定の間隔で定期的に実行されるタイミングであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記非同期計算スケジュールマスタの設定、及び、前記所定のタイミングの設定を受け付ける設定部、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記申請は、勤務状況を示す情報を含む勤務表申請であり、前記非同期計算スケジュールマスタの期間は、出勤予定時刻を含む第1の期間と、退勤予定時刻を含む第2の期間と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記勤務表申請は、出勤時刻及び退勤時刻の少なくとも一方を含む時刻情報を含み、前記計算部は、前記非同期方式で前記計算処理を実行する場合、前記時刻情報の登録処理は前記申請を受け付けたときに実行し、前記申請に基づく計算処理は、前記所定のタイミングで実行することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記申請に基づく計算処理は、実働時間の計算、法内残業の計算、および、普通残業の計算の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記勤務表申請は、出勤時刻及び退勤時刻の少なくとも一方を含む時刻情報を含み、前記計算部は、前記リアルタイム方式で前記計算処理を実行する場合、前記時刻情報の登録処理と、前記申請に基づく計算処理とを前記申請を受け付けたときに実行することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る情報処理方法は、非同期計算が行われる期間を示す非同期計算スケジュールマスタにアクセス可能な制御部を備える情報処理装置の情報処理方法であって、端末からの申請を受け付けるステップと、前記申請を受け付けた日時と、前記非同期計算スケジュールマスタとに基づいて、前記申請に基づく計算処理の方式を、前記申請を受け付けた時に前記計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、前記申請の受け付けた後に、所定のタイミングで前記計算処理を実行する非同期方式に決定するステップと、前記リアルタイム方式又は前記非同期方式で前記計算処理を実行するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、非同期計算が行われる期間を示す非同期計算スケジュールマスタにアクセス可能な制御部を備えるコンピュータに、端末からの申請を受け付けるステップと、前記申請を受け付けた日時と、前記非同期計算スケジュールマスタとに基づいて、前記申請に基づく計算処理の方式を、前記申請を受け付けた時に前記計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、前記申請の受け付けた後に、所定のタイミングで前記計算処理を実行する非同期方式に決定するステップと、前記リアルタイム方式又は前記非同期方式で前記計算処理を実行するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ピーク時の処理量と、ピーク時以外の処理量との差が大きい場合でも、最適なリソースでシステムを運用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、従来の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯)を示す図である。
【
図2】
図2は、従来の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯以外)を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の情報処理装置の構成の例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態の非同期計算スケジュールマスタの例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の非同期計算スケジュールマスタの登録イメージを示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の非同期計算の実行タイミングの設定例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の計算処理の方式が「非同期方式」に決定される場合の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の日計勤務実績データの例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の締計勤務実績データの例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態の「非同期方式」の時間帯の計算処理の例について説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態の「非同期方式」の時間帯に勤務表申請が受け付けられた場合の締計勤務実績データの更新処理について説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態の日計勤務実績データの更新例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態の締計勤務実績データの更新例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態の勤務表の更新例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態の計算処理の方式が「リアルタイム方式」に決定される場合の例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態の日計勤務実績データの例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態の締計勤務実績データの例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態の「リアルタイム方式」の時間帯の計算処理の例について説明するための図である。
【
図19】
図19は、実施形態の締計勤務実績データの更新例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯)を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯以外)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0021】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0022】
図1は、従来の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯)を示す図である。また、
図2は、従来の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯以外)を示す図である。勤務表申請は同時多発的に発生する、かつ申請したタイミングで計算処理が行われる同期処理であることから、ピーク時間帯にWEBサーバのCPU(Central Processing Unit)が不足してしまっていた(
図1参照)。その結果、各従業員の計算処理スピードが遅くなってしまい申請に時間が掛かってしまっており、操作性に課題があった。
【0023】
サーバーリソースはピーク時間帯に合わせて設計する必要があるが、裏を返せばピーク時間帯以外はリソースが余ってしまう(
図2参照)。これまではリソースというインフラ側の調整で課題解決していた。
【0024】
従来は、非常に限られた時間しかないピーク時に合わせてサーバーリソースを確保する必要があるが、リソースをもっと有効に活用できれば、適正なコストでサービス提供ができる。
【0025】
以下に説明する実施形態の情報処理装置は、ピーク時の計算負荷を平準化する機能をアプリケーション側で持たせ、「リアルタイム方式」と「非同期方式」とを切り替える。アプリケーション側でも負荷を調整できるようにすることで、リソースの無駄を削減できる。また、企業の業種・業態ごとに働き方が様々であり、またさらに今後働き方が変化していくことが考えられる。計算方法の切り替えについては、実施形態の情報処理装置がマスタ管理することにより、ユーザが、働き方の変化に伴い柔軟にスケジュール変更できる。
【0026】
[2.構成]
本実施形態に係る情報処理装置100の構成の一例について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態の情報処理装置100の構成の例を示すブロック図である。
【0027】
情報処理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、情報処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0028】
情報処理装置100は、記憶部1と制御部2と通信インターフェース部3と入出力インターフェース部4と、を備えている。情報処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0029】
記憶部1には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどのデータが格納される。記憶部1には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部1として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0030】
また、記憶部1には、非同期計算スケジュールマスタ1a、日計勤務実績データ1b、および締計勤務実績データ1cなどが格納されている。非同期計算スケジュールマスタ1aの詳細について説明する。なお、日計勤務実績データ1b、および締計勤務実績データ1cの詳細については、制御部2の動作例の説明で後述する。
【0031】
図4は、実施形態の非同期計算スケジュールマスタ1aの例を示す図である。実施形態の非同期計算スケジュールマスタ1aでは、曜日、開始時刻および終了時刻によって、非同期計算が実行されるスケジュールが定義されている。
【0032】
図5は、実施形態の非同期計算スケジュールマスタ1aの登録イメージを示す図である。
図5の例では、社員の勤務予定に応じて勤務表申請のピーク時間帯に非同期計算されるようスケジューリングが定められる。曜日、開始時刻および終了時刻ごとに細かく、スケジュールを登録することが可能であるため、柔軟に設定が可能である。
【0033】
非同期計算は、例えば、決められた時間または一定間隔でプログラムやスクリプトを実行するコンピュータの機能を利用して、所定のタイミングで実行される。
【0034】
図6は、実施形態の非同期計算の実行タイミングの設定例を示す図である。
図6の例では、OS(Operating System)のタスクスケジューラで、計算をどのくらいの間隔で実行するかが設定されている。
図6の例では、非同期計算が行われる時間帯では、非同期計算を実行するプログラム「計算.EXE」によって、計算部2eによる計算処理が、30分に1回の間隔で定期的に実行される。
【0035】
図1に戻り、制御部2は、情報処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部2は、記憶制御部2aと、設定部2bと、受付部2cと、決定部2dと、計算部2eとを備える。
【0036】
記憶制御部2aは、記憶部1に記憶されたデータの読み出し制御および書き込み制御を行う。
【0037】
設定部2bは、上述の非同期計算スケジュールマスタ1a(
図4参照)、および、非同期計算が実行される所定のタイミングの設定を行う。
【0038】
受付部2cは、端末300からの申請(実施形態では、勤務表申請)を受け付ける。
【0039】
決定部2dは、申請を受け付けた日時と、非同期計算スケジュールマスタ1aとに基づいて、申請に基づく計算処理の方式を、申請を受け付けた時に計算処理を実行するリアルタイム方式、又は、申請の受け付けた後に、所定のタイミングで計算処理を実行する非同期方式に決定する。
【0040】
計算部2eは、リアルタイム方式又は非同期方式で計算処理を実行する。
【0041】
通信インターフェース部3は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、情報処理装置100をネットワーク200に通信可能に接続する。通信インターフェース部3は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク200は、情報処理装置100と他の装置とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0042】
入出力インターフェース部4には、入力装置110および出力装置120が接続されている。入力装置110には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ(タッチパネルを含む)を用いることができる。出力装置120には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。出力装置120には、例えば制御部2による処理結果などが出力される。
【0043】
<「非同期方式」の時間帯の計算処理の例>
図7は、実施形態の計算処理の方式が「非同期方式」に決定される場合の例を示す図である。決定部2dは、申請が受け付けられた時間帯から、計算処理の方式を、「非同期方式」又は「リアルタイム方式」に決定する。具体的には、決定部2dは、非同期計算スケジュールマスタ1aと、勤務表申請の明細の「現在日付」とを参照し、以下の順番(1)、(2)で、該当の勤務表申請の明細を抽出し、該当する明細がある場合、「非同期方式」に決定する。
【0044】
(1)曜日が該当する明細を抽出
非同期計算スケジュールマスタ1aの曜日
=『99:毎日』 OR 『0:日~6:土(例の場合、3:水)』
(2)時間帯が該当する明細を抽出
非同期計算スケジュールマスタ1aの開始時刻
≦ 現在時刻(
図7の場合、8:30)
< 非同期計算スケジュールマスタ1aの終了時刻
【0045】
図8は、実施形態の日計勤務実績データ1bの例を示す図である。
図8の例は、
図7に示す勤務表申請の受付時の日計勤務実績データ1bの例を示す。
【0046】
実施形態の日計勤務実績データ1bは、社員コード、社員名、勤務日、出勤予定時刻、退勤予定時刻、出勤実績時刻、退勤実績時刻、休憩時間、実働時間、法内残業、普通残業および申請状態コードを含む。
【0047】
社員コードは、社員を識別する情報である。社員名は、社員の氏名である。勤務日は、社員が勤務した日である。出勤予定時刻は、出勤が予定されている時刻である。退勤予定時刻は、退勤が予定されている時刻である。出勤実績時刻は、実際に出勤した時刻である。退勤実績時刻は、実際に退勤した時刻である。休憩時間は、社員の休憩時間である。実働時間は、社員が1日に実際に働いた実労働時間である。法内残業は、会社が定めた所定労働時間を超えているが、労働基準法で定められた労働時間以内の範囲で行われた残業である。普通残業は、就業終了時刻後の残業である。申請状態コードは、勤務表申請の状態を識別する情報である。
【0048】
図9は、実施形態の締計勤務実績データ1cの例を示す図である。
図9の例は、
図7に示す勤務表申請の受付時の締計勤務実績データ1cの例を示す。
【0049】
実施形態の締計勤務実績データ1cは、社員コード、社員名、締日、締期間開始、締期間終了、勤務日数、実働時間、法内残業および普通残業を含む。社員コード、社員名、法内残業および普通残業の説明は、日計勤務実績データ1bの説明と同じなので省略する。
【0050】
締日は、勤怠管理の締日である。締期間開始は、締期間の開始日である。締期間終了は、締期間の終了日である。勤務日数は、締期間内に働いた日数である。実働時間は、社員が締期間内に実際に働いた実労働時間である。
【0051】
図10は、実施形態の「非同期方式」の時間帯の計算処理の例について説明するための図である。計算部2eは、「非同期方式」の時間帯に受け付けた勤務表申請を、「受付済」という申請状態で処理する。計算部2eは、申請を受け付けたタイミングでは勤務実績(
図10の例では、出勤実績時刻)のみの登録処理を行い、勤務実績の登録に伴う実績計算(実働時間、法内残業および普通残業)の処理は行わない。
【0052】
図11は、実施形態の「非同期方式」の時間帯に勤務表申請が受け付けられた場合の締計勤務実績データ1cの更新処理について説明するための図である。計算部2eは、「非同期方式」の時間帯に受け付けた勤務表申請は、勤務実績の登録に伴う実績計算(実働時間、法内残業および普通残業)の処理は行わない。
【0053】
勤務実績の登録に伴う実績計算のタスク処理は、事前にタスクスケジューラで設定している時間間隔で常に実行されている。タスクが実行されると、計算部2eが、申請状態コード=「5:受付済」の明細に対して、実績計算処理を実行する。そして、計算部2eは、実績計算処理後の明細の申請状態コードを「10:申請」に更新する。
【0054】
実績計算処理では、例えば以下のような計算処理が、申請状態コード=「5:受付済」の明細ごとに順番に行われる。
【0055】
<日計> ※日計勤務実績データ1bの計算処理
・実働時間 = 出勤実績時刻 - 退勤実績時刻
・法内残業 = 実働時間 - 所定時間(=出勤予定時刻ー退勤予定時刻)
・普通残業 = 実働時間 - 8H
【0056】
<月計> ※締計勤務実績データ1cの計算処理
・実働時間 = 日計の実働時間の合計値
・法内残業 = 日計の法内残業の合計値
・普通残業 = 日計の普通残業の合計値
【0057】
図12は、実施形態の日計勤務実績データ1bの更新例を示す図である。実施形態の日計勤務実績データ1bは、上記<日計>の計算処理によって、実働時間、法内残業および普通残業が更新される。また、申請状態コードが、「5:受付済」から「10:申請」に更新される。
【0058】
図13は、実施形態の締計勤務実績データ1cの更新例を示す図である。実施形態の締計勤務実績データ1cは、上記<月計>の計算処理によって、実働時間、法内残業および普通残業が更新される。
【0059】
なお、上記の計算処理は一例である。例えば、勤務表申請に基づく計算処理は、実働時間の計算、法内残業の計算、および、普通残業の計算の少なくとも1つを実行する計算処理でもよい。また、計算処理には、各企業の業種・業態ごとに定義された計算項目による計算や、勤務実績に不正がないか否かをチェックするための計算等が含まれていてもよい。
【0060】
また、勤務実績を管理するためには非常に多くの計算が必要となる。例えば、下記のような計算処理が、負荷が大きい計算処理の例である。
・休暇(有休、代休、振休等)の管理
・深夜時間残業
・打刻と実績の乖離チェック
・実績未入力チェック
・不在の勤務日に実績がないかチェック
【0061】
「非同期方式」の時間帯に受け付けられた上述の
図10に示す勤務表申請は、非同期計算による実績計算後、計算部2eによって例えば
図14のように更新される。
【0062】
図14は、実施形態の勤務表の更新例を示す図である。
図14の例では、2021/06/02の申請状態、実働時間、法内残業および普通残業が更新される。また、1ヶ月合計の実働時間、法内残業および普通残業が更新される。
【0063】
次に、「リアルタイム方式」の時間帯の計算処理の例について説明する。
【0064】
<「リアルタイム方式」の時間帯の計算処理の例>
図15は、実施形態の計算処理の方式が「リアルタイム方式」に決定される場合の例を示す図である。決定部2dは、申請が受け付けられた時間帯から、計算処理の方式を、「非同期方式」又は「リアルタイム方式」に決定する。具体的には、決定部2dは、非同期計算スケジュールマスタ1aと、勤務表申請の明細の「現在日付」とを参照し、以下の順番(1)、(2)で、該当の勤務表申請の明細を抽出し、該当する明細がない場合、「リアルタイム方式」に決定する。
【0065】
(1)曜日が該当する明細を抽出
非同期計算スケジュールマスタ1aの曜日
=『99:毎日』 OR 『0:日~6:土(例の場合、3:水)』
(2)時間帯が該当する明細を抽出
非同期計算スケジュールマスタ1aの開始時刻
≦ 現在時刻(
図15の場合、10:00)
< 非同期計算スケジュールマスタ1aの終了時刻
【0066】
図16は、実施形態の日計勤務実績データ1bの例を示す図である。
図16の例は、
図15に示す勤務表申請の受付時の日計勤務実績データ1bの例を示す。
【0067】
図17は、実施形態の締計勤務実績データ1cの例を示す図である。
図17の例は、
図15に示す勤務表申請の受付時の締計勤務実績データ1cの例を示す。
【0068】
図18は、実施形態の「リアルタイム方式」の時間帯の計算処理の例について説明するための図である。計算部2eは、「リアルタイム方式」の時間帯に勤務表申請を受け付けた場合、勤務実績(
図18の例では、退勤実績時刻)の登録処理、および、勤務実績の登録に伴う実績計算(実働時間、法内残業および普通残業)の両方の処理を実行する。そして、計算部2eは、両方の処理が申請をしたタイミングで完了するため、申請状態コードを「10:申請」に更新する。
【0069】
図19は、実施形態の締計勤務実績データ1cの更新例を示す図である。
図19は、
図18に示す勤務表申請を受け付けたタイミングで、上述の<月計>の計算処理が実行されることによって更新された締計勤務実績データ1cの例を示す。上述の<月計>の計算処理によって、実働時間、法内残業および普通残業が更新されている。
【0070】
図20は、実施形態の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯)を示す図である。
図21は、実施形態の勤怠管理処理の例(ピーク時間帯以外)を示す図である。上述したように、実施形態の情報処理装置100では、勤務表申請時の計算方法を「リアルタイム方式」と「非同期方式」というモードを切り替えられる仕組みにし、時間帯によって切り替える。
【0071】
通常時は「リアルタイム方式」にして、勤務表を申請したタイミングでリアルタイムに、全ての計算処理を行う(
図21参照)。
【0072】
従業員の出退勤といった申請数が多い時間帯には「非同期方式」にして、勤務表申請をしたタイミングでは勤務実績のみの登録を行い、それに伴う計算処理は非同期で、他の申請とまとめて計算を行う(
図20参照)。これにより各ユーザの登録処理スピードは速くなり、申請時の操作性が向上するという効果が得られる。
【0073】
以上、説明したように、実施形態の情報処理装置100によれば、ピーク時の処理量と、ピーク時以外の処理量との差が大きい場合でも、最適なリソースでシステムを運用することができる。
【0074】
具体的には、計算処理が効率的に実行されることで、勤務表申請のピークタイム時であっても通常時と処理スピードが変わることなくシステムを使用可能となるので、例えば以下のような効果を得られる。
・必要最小限のサーバーリソースで運用可能となるため、投資対効果がより大きくなる。
・ユーザの操作感向上に繋がる。その結果、まとめて申請することの減少、および出勤時間や退勤時間といった適切な時間帯に申請が行われることで、より正確な勤務実績を管理できる。
【0075】
なお、上述の実施形態の説明では、業務システムが勤怠管理システムである場合を例にして説明したが、上述の実施形態は、任意のシステムに適用可能である。特に建設業や製造業といった業種のシステムでは、ピーク時の処理量と、閑散期の処理量との差が顕著であるため、上述の実施形態の適用し、ピーク時の負荷を下げて平準化することによって管理や運用コスト削減にも繋がる。
【0076】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0079】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0080】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0081】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0082】
また、情報処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0083】
例えば、情報処理装置100が備える処理機能、特に制御部2にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置100に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて情報処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部1などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部2を構成する。
【0084】
また、このコンピュータプログラムは、情報処理装置100に対して任意のネットワーク200を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0085】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0086】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0087】
記憶部1に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0088】
また、情報処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等によって構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置100として構成してもよい。また、情報処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0089】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、ピーク時の処理量と、ピーク時以外の処理量との差が顕著なシステムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0091】
100 情報処理装置
1 記憶部
1a 非同期計算スケジュールマスタ
1b 日計勤務実績データ
1c 締計勤務実績データ
2 制御部
2a 記憶制御部
2b 設定部
2c 受付部
2d 決定部
2e 計算部
3 通信インターフェース部
4 入出力インターフェース部
110 入力装置
120 出力装置
200 ネットワーク
300 端末