IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建具 図1
  • 特許-建具 図2
  • 特許-建具 図3
  • 特許-建具 図4
  • 特許-建具 図5
  • 特許-建具 図6
  • 特許-建具 図7
  • 特許-建具 図8
  • 特許-建具 図9
  • 特許-建具 図10
  • 特許-建具 図11
  • 特許-建具 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/16 20060101AFI20250116BHJP
   E06B 1/12 20060101ALI20250116BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20250116BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
E06B7/16 A
E06B1/12 Z
E06B1/12 B
E06B1/36 Z
E06B1/18 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021159492
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049636
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2024-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 猛
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-227557(JP,A)
【文献】実開昭61-052090(JP,U)
【文献】米国特許第05596851(US,A)
【文献】特開平10-037607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/16 - 7/24
E06B 1/12 - 1/22
E06B 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体を構成する左右の少なくとも一方の縦枠と、
前記枠体の内側周に設けられる面材と、
前記縦枠と前記面材との間に設けられる縦枠アタッチメントと、
を有し、
前記縦枠の内周側見込み面および前記縦枠アタッチメントは、上下方向に連通する第1空間、および前記第1空間よりも室内側で上下方向に連通する第2空間を形成し、
前記縦枠アタッチメントは、
前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第1空間と室外とを仕切る室外側仕切部と、
前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第1空間と前記第2空間とを仕切る中間仕切部と、
前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第2空間と室内とを仕切る室内側仕切部と、
を有し、
前記第1空間および前記第2空間は室外と連通している
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記第1空間および前記第2空間は下端部が室外と連通している
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記中間仕切部は、前記縦枠の前記内周側見込み面に対して見込方向に沿って面接触する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記室外側仕切部は、前記縦枠の前記内周側見込み面に対して見込方向に沿って面接触する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
前記第1空間の少なくとも一部は、前記面材の外周見込み面と前記縦枠の内周側見込み面とによって挟まれる領域内に含まれている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記第1空間は前記第2空間よりも横断面の面積が小さい
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の建具。
【請求項7】
前記縦枠アタッチメントの下面は、前記枠体を構成する下枠における内周側見込み面に当接しており、
前記下枠における内周側見込み面で前記第2空間と対面する箇所には、該第2空間と室外とを連通する第1連通部が設けられている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の建具。
【請求項8】
前記第2空間の室外側見付け面壁は、前記面材の室内側見付け面を支持している
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の建具。
【請求項9】
前記第1空間を形成する室外側壁は、室内側から室外側へ向かって外周側に寄るように傾斜している
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の建具。
【請求項10】
前記枠体を構成する上枠と、
前記上枠と前記面材との間に設けられる上枠アタッチメントと、
前記上枠の内周側見込み面と前記上枠アタッチメントとによって形成され、室内および室外に対して仕切られて左右方向に連通する第3空間と、
を有し、
前記面材の外周面と前記縦枠アタッチメントおよび前記上枠アタッチメントとの間には室外と連通する面材外周空間が形成されており、
前記第3空間の室外側見付け面壁は、前記面材の室内側見付け面を支持しており、左端部および右端部の少なくとも一方に前記面材外周空間と連通する第2連通部が形成されている
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の建具。
【請求項11】
前記枠体は連窓枠体の一部であり、左右の前記縦枠の少なくとも一方は前記連窓枠体を構成する縦骨である
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の建具。
【請求項12】
前記枠体は段窓枠体の一部であり、前記枠体を構成する上枠は前記段窓枠体を構成する無目である
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体を構成する縦枠と、枠体の内側周に設けられる面材と、縦枠と面材との間に設けられる縦枠アタッチメントとを備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に設けられる窓には、枠体の内周側にガラスなどの面材が設けられることがある。枠体を構成する枠材と面材との間には仕様に応じてアタッチメントを介在させることがある。特許文献1に示されるように、アタッチメントは同一断面の枠材に対して異なる種類の窓を複合的に設ける必要のある連窓や段窓などにおいて有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭61-020773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内外に気圧差があると枠材とアタッチメントとの接触面から雨水が室内側に浸入することがあるため、その浸入経路にはシールを設ける必要がある。シールの取り付け状態にばらつきがあると雨水が浸入する懸念があることから、作業は慎重に行うことが求められる。また、シールを設けることはコストアップになっている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、止水作用を維持しながら作業性を向上させ、コストを低減させることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる建具は、枠体を構成する左右の少なくとも一方の縦枠と、前記枠体の内側周に設けられる面材と、前記縦枠と前記面材との間に設けられる縦枠アタッチメントと、を有し、前記縦枠の内周側見込み面および前記縦枠アタッチメントは、上下方向に連通する第1空間、および前記第1空間よりも室内側で上下方向に連通する第2空間を形成し、前記縦枠アタッチメントは、前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第1空間と室外とを仕切る室外側仕切部と、前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第1空間と前記第2空間とを仕切る中間仕切部と、前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第2空間と室内とを仕切る室内側仕切部と、を有し、前記第1空間および前記第2空間は室外と連通していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる建具では、縦枠の内周側見込み面と縦枠アタッチメントとによって形成される第1空間および第2空間は互いに中間仕切部によって仕切られるとともに、下端部が室外と連通している。これにより、第1空間および第2空間は外気圧と等圧の空間になる。第1空間は外気圧と等圧であることから水を吸い込む作用がなく、外部の水が浸入しにくい。第2空間は第1空間と等圧であることから水を吸い込む作用がなく、該第1空間の水が浸入しにくい。このように、本発明では第1空間と第2空間とによって二重の止水作用があり、シールを設けなくとも止水作用が維持される。シールが不要であることから建具の組み立ての作業性が向上するとともに、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態である建具を室内側から見た全体図である。
図2図1におけるII~II矢視による縦断面図である。
図3図1におけるIII~III矢視による縦断面図である。
図4図1におけるIV~IV矢視による横断面図である。
図5図1におけるV~V矢視による横断面図である。
図6】左の縦枠、縦枠アタッチメントおよび面材の一部拡大横断面図である。
図7】変形例にかかる縦枠アタッチメントによって面材が左の縦枠に取り付けられた状態を示す一部拡大横断面図である。
図8】縦枠、下枠および縦枠アタッチメントの接合部分を室外側斜め上方から見た斜視図である。
図9】下枠および縦枠アタッチメントの接合部分を室内側斜め上方から見た斜視図である。
図10】上枠、上枠アタッチメントおよび面材の一部拡大横縦面図である。
図11】縦枠、上枠、縦枠アタッチメントおよび上枠アタッチメントの接合部分を室外側斜め下方から見た斜視図である
図12】上枠、上枠アタッチメント、縦枠アタッチメント、の接合部分を室内側斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる建具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態である建具10を室内側から見た全体図である。図2は、図1におけるII~II矢視による縦断面図である。図3は、図1におけるIII~III矢視による縦断面図である。図4は、図1におけるIV~IV矢視による横断面図である。図5は、図1におけるV~V矢視による横断面図である。以下の説明における左右の表記は室内側から見た状態、つまり図1を基準とする。
【0011】
建具10では、上下に沿って一連となる左の縦枠12,右の縦枠14、および縦枠12,14の相互間に配設した上枠16および下枠18が四周枠組みされており、さらに上枠16と下枠18との相互間には縦骨20が配設されており、さらにまた縦骨20と左の縦枠12との相互間には無目22が配設されている。
【0012】
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向、(図1では紙面の垂直方向)をいう。見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠12等の場合はその長手方向に直交する左右方向をいい、左右方向に長尺な上枠16等の場合はその長手方向に直交する上下方向をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。
【0013】
建具10は縦枠12,縦枠14、上枠16および下枠18によって外郭の枠体が形成される他に、その内部に含まれる小さい枠体が形成されていると見做される。3つの枠体とは、左の縦枠12、縦骨20、無目22および下枠18で形成される第1枠体24aと、左の縦枠12、縦骨20、上枠16および無目22で構成される第2枠体24bと、縦骨20、右の縦枠14、上枠16および下枠18で構成される第3枠体24cである。上下に並んだ第1枠体24aと第2枠体24bとは段窓を形成する。左側の第1枠体24aおよび第2枠体24bと右側の第3枠体24cとは連窓を形成する。このように、建具10はいわゆる連段窓である。ただし、本発明が適用される建具は連窓、段窓に限られず、枠体を構成する枠材に対してアタッチメントを介して面材を保持する窓に適用可能である。
【0014】
第1枠体24aには、面材26によってFIX窓が構成してある。第2枠体24bには、四周が框によって支持された障子28が配設してある。障子28は、第2枠体24bに設けた開閉機構により、室外側に突出するように開放される縦すべり出し窓を構成するものである。第3枠体24cには、面材30によってFIX窓が構成してある。面材26,30は、例えば合わせガラスである。
【0015】
縦枠12、縦枠14、上枠16、下枠18、縦骨20、無目22を構成する枠材は、アルミニウム合金等の金属、あるいは樹脂を材料として成形された押し出し形材である。これらの枠材に樹脂を用いる場合には金属の補強材を適宜設けてもよい。縦枠12、縦枠14は同一の断面形状を有した枠材を適用している。縦枠12の内周側面と縦骨20の左側面とは左右対称形状となっている。縦骨20の左側面と縦枠14の左側面とは同形状となっている。上枠16の内周側面と無目22の下側面とは同形状となっている。
【0016】
図5に示すように、障子28は縦枠12および縦骨20に対して開閉機構28a,28bを介して直接的に設置できるようになっている。一方、面材26は外周の形状が障子28とは異なるため縦枠12および縦骨20に対して縦枠アタッチメント32,34を介して取り付けられている。また、面材26の上部は無目22に対して上枠アタッチメント36を介して取り付けられている。図4に示すように、面材30は縦骨20および縦枠14に対して縦枠アタッチメント38,40を介して取り付けられている。面材30は上枠16に対して上枠アタッチメント42を介して取り付けられている。
【0017】
縦枠アタッチメント32,34,38,40、上枠アタッチメント36,42を代表的にアタッチメントAとも呼ぶ。アタッチメントAは、アルミニウム合金等の金属、あるいは樹脂を材料として成形された押し出し形材である。縦枠アタッチメント32,34,40は同一の断面形状を有した枠材を適用している。上枠アタッチメント36,42は同一の断面形状を有した枠材を適用している。このようなアタッチメントAを用いることで、連窓、段窓を構成する枠材に様々な種類の面材や障子を取り付けることが可能となる。
【0018】
以下では、主に第1枠体24aと、該第1枠体24aの内周面に取り付けられる縦枠アタッチメント32,34および上枠アタッチメント36とそれらに関連する部分について説明をする。第1枠体24aは1つの枠体を形成していることから、説明の便宜上、縦骨20を縦枠20とも呼び、無目22を上枠22とも呼ぶ。すなわち、第1枠体24aは左の縦枠12,右の縦枠20、上枠22および下枠18によって四周枠組みされた枠体である。
【0019】
図6は、左の縦枠12、縦枠アタッチメント32および面材26の一部拡大横断面図である。面材26は、複数枚のガラス26aと、該ガラス26aの室内側および室外側見付け面における外周縁近傍で全周にわたって設けられたシール26bとを有する。上記の面材30も同様の構造である。シール26bを含む面材26の厚さはW1である。
【0020】
面材26は室内側のシール26bが後述する第2仕切壁60によって支持され、室外側のシール26bが押縁45によって支持されている。押縁45は、室外側のシール26bを支持する見付け面片45aと、該見付け面片45aの外周端から室内側に向かって延在する見込み面片45bとを有する。見付け面片45aと見込み面片45bとの室外側交差部には凹部45cが形成されている。
【0021】
縦枠アタッチメント32は、見付け方向の幅が小さく面材26の外周側に配置されている室外側部分32aと、見付け方向の幅が大きく室外側部分32aおよび面材26よりも室内側に位置している室内側部分32bとに区分けできる。ただし、室外側部分32aおよび室内側部分32bは、説明の便宜のための概念的な区分けである。室外側部分32aは室内には露呈されない部分である。室内側部分32bは、後述する室内壁62が室内に露呈する。面材26と縦枠アタッチメント32の室外側部分32aとの間には面材外周空間44が形成されている。
【0022】
縦枠アタッチメント32は、見込方向に沿って形成されて縦枠12の内周側見込み面12aと面接触する第1面接触部(中間仕切部)46および第2面接触部(室外側仕切部)48を有する。第1面接触部46は、第1仕切壁52の外周側端部から見込方向に沿って形成されて内周側見込み面12aと面接触する。なお本願における面接触とは、ヒレ状または板状の部材における表面または裏面と認識される広い面が接触対象に当接することであり、細い縁面が接触対象に当接することと区別される。
【0023】
第1面接触部46は、基本的に室外側部分32aと室内側部分32bとの境にあるが、図6に示す例では室内側部分32bにやや突出している。第1面接触部46の外周側見込み面の中央には長尺方向に沿った筋溝46aが形成されている。
【0024】
第2面接触部48は、第1空間58の端部から見込み方向に沿って室内側部分32bの室外側端部近傍まで延在しており、内周側見込み面12aと面接触する。第2面接触部48は、適度に長く延在しており見込み方向長さが室外側部分32aの大部分を占めている。第2面接触部48の見込み方向長さは第1面接触部46よりも長い。
【0025】
室外側部分32aには、室外側端部から内周側にやや突出する小壁50と、第1面接触部46の室外側端から内向きに突出する第1仕切壁52と、該第1仕切壁52の内周側端から室外側に突出する小片54と、該小片54の中間部から斜め外周側に突出する傾斜壁56とが設けられている。第1仕切壁52、小片54および傾斜壁56はほぼ面材外周空間44にあり、縦枠12の内周側見込み面12aとの間に第1空間58を形成している。第1空間58は室外に対して第2面接触部48によって仕切られている。第1空間58は見付け方向長さが小さく、少なくとも一部(この場合ほぼ全部)が面材26の外周見込み面(幅がW1の範囲)と縦枠12の内周側見込み面12aとによって挟まれる領域内に含まれている。第1空間58は上下方向に連通している。
【0026】
押縁45における見込み面片45bの先端45baはやや内周側に屈曲しており、小片54と傾斜壁56との間に入り込み、小片54の先端に係合している。傾斜壁56は、第1空間58の室外側壁であり、室内側から室外側へ向かって外周側に寄るように傾斜している。傾斜壁56がこのような傾斜形状となっていることにより、小片54との間に先端45baが入る隙間が確保されるとともに、第1空間58を適度に広く確保することができる。第1空間58は面材26の外周側部分に形成されていることから面積の制約があって、後述する第2空間70より断面積が小さいが、室外から浸入する雨水を排水するのに十分な面積が確保されている。
【0027】
また、小壁50の内周側端部は室内側に屈曲していて押縁45の凹部45cに係合している。第2面接触部48における外周側見込み面で室外側端部近傍には凹部48aが形成されている。凹部48aには縦枠12の内周側見込み面12aに形成された凸部12aaが嵌り込んでいる。
【0028】
室内側部分32bは第2仕切壁60、室内壁62および室内側見付け面壁(室内側仕切部)64を有する。第2仕切壁60は、小片54における室内側端部近傍から内周側向かって適度に長く延在している。この場合、第1仕切壁52と第2仕切壁60とは見付け方向に沿ってほぼ同一直線状に延在している。室内壁62は、第2仕切壁60の内周側端部から見込み方向に沿って室内側に適度に長く延在している。室内側見付け面壁64は、室内壁62の中程から外周側に向かって延在しており、先端が縦枠12の内周側見込み面12aに当接している。
【0029】
室内壁62の先端よりやや室外側の箇所からは外周側に向かって係合片66が突出している。室内壁62の先端には屈曲片68が形成されている。縦枠12の内周側見込み面12aからは内周側に向かって突出する壁12bが設けられている。壁12bの先端近傍には室外側に開口するポケット12cが形成されている。係合片66の先端はクランク形状になっており、ポケット12cに係合している。屈曲片68は壁12bの先端に当接している。このように、縦枠アタッチメント32の室内側部分32bは、係合片66および屈曲片68によって縦枠12の壁12bと固定されている。
【0030】
第1仕切壁52、第2仕切壁60、室内壁62および室内側見付け面壁64は、縦枠12の内周側見込み面12aとの間に第2空間70を形成している。第2空間70は、室内壁62および室内側見付け面壁64によって室内に対して仕切られている。室内壁62および室内側見付け面壁64は、内周側見込み面12aおよび壁12bとの間に補助空間72を形成している。第2空間70および補助空間72は上下方向に連通している。
【0031】
第1空間58と第2空間70とは、第1仕切壁52および第1面接触部46が仕切部となって仕切られている。第2仕切壁60は第2空間70の室外側見付け面壁に相当し、面材外周空間44と第2空間70とを仕切るとともに、面材26の室内側見付け面に当接して支持している。第2空間70は、面材26による制約のない室内側部分32bで形成されていて、十分に広い断面積が確保されている。
【0032】
このように、縦枠12の内周側見込み面12aおよび縦枠アタッチメント32は、上下方向に連通する第1空間58、および第1空間58よりも室内側で上下方向に連通する第2空間70を形成している。また、第1面接触部46が内周側見込み面12aに当接して第1空間58と第2空間70とを仕切り、第2面接触部48が内周側見込み面12aに当接して第1空間58と室外とを仕切り、室内側見付け面壁64が内周側見込み面12aに当接して第2空間70と室内とを仕切っている。
【0033】
第1空間58、第2空間70および面材外周空間44は室内に対して仕切られている。また、後述するように第1空間58、第2空間70および面材外周空間44は下端部で室外と連通している。したがって、第1空間58、第2空間70および面材外周空間44の圧力は、室内圧Piとは異なり、それぞれ外気圧Poと同じ等圧空間となっている。
【0034】
なお、補助空間72も下端部で室外と連通しており、基本的には外気圧Poとなるが、係合片66および屈曲片68と壁12bとの係合箇所の気密性が多少低い場合に室内圧Piと外気圧Poとの中間の圧力になり得る。そして、補助空間72は外気圧Poの第2空間70と室内圧Piとの緩衝域となる。第2空間70は、十分に広い面積が確保されており、しかも室内との間に緩衝域の補助空間72が形成されていることから室内圧Piの影響がほとんどなく、外気圧Poが維持される。図6には各空間部の圧力を附記している。
【0035】
ここで、縦枠12と縦枠アタッチメント32との間における止水作用について説明する。室外の雨水は、内周側見込み面12aと縦枠アタッチメント32との間で、第2面接触部48に沿って滲みこむことが考えられるが、該第2面接触部48は見込み方向に適度に長いため、第1空間58までは達しにくい。また、室外側端部近傍には凹部48aに凸部12aaが嵌り込んでおり、いわゆるラビリンス構造となっていて水が浸入しにくい。また、第1空間58は外気圧Poとなっているため外気との圧力差がなく、水を吸い込む作用がない。
【0036】
仮に、第1空間58に水が達しても、第2空間70は第1空間58と等圧の外気圧Poとなっていて圧力差がないため、第2空間70が第1空間58から水を吸い込む作用がなく、該第2空間70まで水が達することはほとんどない。第2空間70は室内側にあるが、上記のとおり大きい面積が確保されており、第1空間58と等圧の外気圧Poが維持され、気圧差がなく第1面接触部46を超えることがなく速やかに下部へ排水することができる。また、第1空間58と第2空間70との間は第1面接触部46によって相当確実に仕切られており、水が浸入しにくい。
【0037】
さらに、第2空間70と室内との間には緩衝域の補助空間72が形成されていることから、第2空間70は一層外気圧Poが維持されやすい。仮に水が第2空間70にまで達したとしても、第2空間70は充分広いため水が壁に沿って補助空間72との境まで達し、または補助空間72内に浸入することは実質的にない。仮に第1空間58または第2空間70に水が浸入しても下部から排出されるため溜まることはない。
【0038】
このように本実施の形態によれば、縦枠12と縦枠アタッチメント32との間にシールを設けることなく止水作用が得られる。シールが不要であることから建具10の組み立ての作業性が向上するとともに、コストを低減させることがきる。シールは取り付け状態により十分な止水性能が得られない懸念があるが、建具10ではシールがないため安定した止水性能が得られ品質が向上する。シールは経時的に劣化する場合があるが、建具10ではシールがないため長寿命である。
【0039】
図7は、変形例にかかる縦枠アタッチメント32Aによって面材26Aが左の縦枠12に取り付けられた状態を示す一部拡大横断面図である。縦枠アタッチメント32Aにおいて、図6に示す縦枠アタッチメント32と同様の部分については同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
面材26Aの厚さW2は、上記の面材26の厚さはW1より大きくなっている。縦枠12は図6に示すものと同じである。つまり、縦枠12は、縦枠アタッチメント32を適用して面材26に対応可能であるとともに、縦枠アタッチメント32Aを適用して面材26Aに対応可能である。
【0041】
縦枠アタッチメント32Aの第2仕切壁60Aは上記の第2仕切壁60に相当するが、該第2仕切壁60よりも見付け方向寸法がやや長く、かつ第2仕切壁60よりも室内側に寄った位置にある。第2仕切壁60Aがやや室内側に寄っていることから、その分だけ第2空間70は見込み方向寸法が短くなっている。第2仕切壁60Aの外周側端部は、第1面接触部46の室内側端部とつながっている。つまり、この例の第1面接触部46は、室外側部分32aと室内側部分32bとの境にあり、第1仕切壁52と第2仕切壁60Aとの間で、各外周側端部から見込方向に沿って形成されて内周側見込み面12aと面接触している。この例では、第1空間58の全部が、面材26Aの外周見込み面(幅がW2の範囲)と縦枠12の内周側見込み面12aとによって挟まれる領域内に含まれている。縦枠アタッチメント32Aは、縦枠12に対して上記の縦枠アタッチメント32と同様の止水効果が得られる。
【0042】
図8は、縦枠12、下枠18および縦枠アタッチメント32の接合部分を室外側斜め上方から見た斜視図である。図8では面材26、押縁45を省略している。図9は、下枠18および縦枠アタッチメント32の接合部分を室内側斜め上方から見た斜視図である。図9では面材26を省略している。
【0043】
下枠18は室外側見付け面壁74と、室内側見付け面壁76と、外周側見込み面壁78と、内周側見込み面壁80と、水切り部82とを有する。外周側見込み面壁78は室外側見付け面壁74の下端と室内側見付け面壁76の略中央高さ部との間に設けられている。内周側見込み面壁80は、室内側見付け面壁76の略上端から室外側に向かって延在している。内周側見込み面壁80は見込み寸法が外周側見込み面壁78より小さく、その室外側先端は室外側見付け面壁74から離間している。内周側見込み面壁80の室外側先端からは外周側に向かってヒレ83が突出している。ヒレ83の先端と外周側見込み面壁78とは離間している。面材26の下端部はヒレ83および室外側見付け面壁74で支持される(図2参照)。面材26の下面は外周側見込み面壁78とは離間している。
【0044】
内周側見込み面壁80の見込み方向略中央部と外周側見込み面壁78との間には隔壁84が設けられている。室外側見付け面壁74、外周側見込み面壁78および隔壁84は、断面がコ字形状の排水溝86を形成している。外周側見込み面壁78における室外側端部近傍には排水孔88が形成されている。排水孔88は、下枠18の長尺方向に沿って配列された長孔88aと複数の丸孔88bとによって構成される。排水孔88は排水溝86と室外とを連通させている。排水孔88は水の流路だけではなく空気の連通路を兼ねている。排水孔88は水および空気が流通するのに十分な面積が確保されている。
【0045】
水切り部82は、外周側見込み面壁78の下面から下方に突出するヒレ82aと、該ヒレ82aの先端から室外側に向かって下方に傾斜する傾斜壁82bとを有する。ヒレ82aは排水孔88よりも室内側に設けられている。排水溝86、排水孔88および水切り部82による排水経路には途中に水や異物が溜まる箇所がない。
【0046】
縦枠アタッチメント32における室内壁62、係合片66および屈曲片68の下面は、下枠18における内周側見込み面壁80に当接している。室外側の小壁50の下面は、室外側見付け面壁74の端面に当接している。縦枠アタッチメント32における第2仕切壁60とヒレ83の各室外側見付け面は同一面を形成している。
【0047】
下枠18における内周側見込み面壁80で、第2空間70と対面する箇所には該第2空間70と室外と連通させる連通切欠(第1連通部)90が設けられている。つまり、連通切欠90は第2空間70の下端面に相当する箇所が開口させており、該第2空間70に水が溜まることがない。
【0048】
連通切欠90は下枠18の一部に対して切断、打ち抜きまたは切削加工などを行うことで形成される。連通切欠90は、内周側見込み面壁80で見込み方向に沿う端部90aと、下枠18の長尺方向に沿う端部90bと、ヒレ83で上下方向に沿う端部90cとによって区画される。端部90aは内周側見込み面壁80における室内壁62との当接部よりやや外周側にある。端部90bは、室内側見付け面壁64の下端部よりもやや室内側にあり、隔壁84の室外側見付け面と同一面となっている。
【0049】
このような連通切欠90により、第2空間70および補助空間72は排水溝86および排水孔88を介して室外と連通し、各内部空間が外気圧Poとなる。特に、第2空間70については下部のほぼ全面が連通切欠90によって開口しており、空気の流通に抵抗となるような狭路がないため外気圧Poが適正に維持される。第2空間70および補助空間72と排水溝86とを連通させる連通部は切欠に限らず、孔などでもよい。
【0050】
連通切欠90は、第2空間70および補助空間72の下端面に相当する面を切り欠いたものであるが、これらと室外とを連通させる連通部は、「下端面」に限らず水が実質的にほぼ溜まらないように「下端部」に設けられていることが望ましい。例えば、第2空間70の下端部における室外側見付け面壁に切欠が設けられていてもよい。第1空間58についても同様である。連通切欠90は補助空間72の下端面に相当する箇所まで広がっており、仮に第2等圧空間70に雨水が浸入し、室内側見付け面壁64に到達しても下枠80の面に雨水が乗らないで排水される。ただし、設計条件によっては、第1空間58および第2空間70が室外と連通する連通部は下端部に限らず、中間部や上端部などにあってもよい。連通路が形成される位置に拘わらず第1空間58および第2空間70は室外と等圧になり、水の吸い込み防止作用が得られるためである。
【0051】
また、第1空間58および面材外周空間44(図6参照)についても下端が排水溝86および排水孔88を介して室外と連通しており、各内部空間が外気圧Poとなる。第1空間58および面材外周空間44の下端は内周側見込み面壁80の室外側端部よりも室外側にあり、連通切欠90を介さずに室外と連通している。
【0052】
なお、第1枠体24aにおける右側の縦枠20と該縦枠20の内周側に設けられる縦枠アタッチメント34(図4参照)との間の止水構造は、縦枠12と縦枠アタッチメント32とによる構造と左右対称であることから詳細な説明は省略する。図示を省略するが下枠18の右側端部で、右側の縦枠アタッチメント34における第2空間70と対面する箇所には、左側と同様の連通切欠90が形成されている。
【0053】
次に、上枠22と上枠アタッチメント36との間における止水構造について説明する。
図10は、上枠22、上枠アタッチメント36および面材26の一部拡大横縦面図である。面材26は室内側のシール26bが後述する仕切壁100によって支持され、室外側のシール26bが押縁45によって支持されている。押縁45は、図6に示すものと同じである。面材26と上枠アタッチメント36との間には面材外周空間44が形成されている。面材外周空間44は、面材26と縦枠アタッチメント34との間の空間(図6参照)と連通している同じ空間である。つまり、面材外周空間44は面材26の四周にわたって連通するように形成されている。上枠22の内周側見込み面22aからは内周側に向かって突出する壁22bが設けられている。壁22bは縦枠12における壁12bと同形状であり、先端近傍に室外側に開口するポケット22cが形成されている。内周側見込み面22aの室外側端部には下向き開口のポケット22dが形成されている。
【0054】
上枠アタッチメント36における面接触部92、小壁94、小壁96、傾斜壁98,仕切壁100、内周側見込み面壁102、室内側見付け面壁104、係合片106および屈曲片108は、縦枠アタッチメント32における第2面接触部48、小壁50、小片54、傾斜壁56,第2仕切壁60、室内壁62、室内側見付け面壁64、係合片66および屈曲片68に相当する部分である。面接触部92の室外側端部からは上方に向かって突起114が突出している。突起114の先端は外向きにやや屈曲しておりポケット22dに係合している。
【0055】
図6における第1空間58と第2空間70との間を仕切る第1仕切壁52および第1面接触部46が上枠アタッチメント36には設けられていない。したがって、上枠22と上枠アタッチメント36との間には、内周側見込み面22a、小壁96、傾斜壁98,仕切壁100、内周側見込み面壁102および室内側見付け面壁104によって第3空間110が形成されている。仕切壁100は、第3空間110の室外側見付け面壁に相当し、面材6の室内側見付け面に当接して支持している。
【0056】
後述するように第3空間110は、面材外周空間44を介して室外と連通している。したがって、第3空間110の圧力は室内圧Piとは異なり、外気圧Poと同じになっている。また、上枠22と上枠アタッチメント36との間には内周側見込み面22a、内周側見込み面壁102、室内側見付け面壁104および壁22bによって補助空間112が形成されている。補助空間112は上記の補助空間72に相当し、圧力は室内圧Piと外気圧Poとの中間の圧力になり得る。なお図示を省略するが、上枠22は上枠アタッチメント36を別のものに換えることにより、面材26よりも厚みのある面材26A(図7参照)に対応可能である。
【0057】
ここで、上枠22と上枠アタッチメント36との間における止水作用について説明する。室外の雨水は、内周側見込み面22aと上枠アタッチメント36との間で、面接触部92に沿って滲みこむことが考えられるが、該面接触部92は見込み方向に適度に長いため、第3空間110までは達しにくい。また、室外側端部近傍には下向き開口のポケット22dに対して突起114が嵌り込んでおり、いわゆるラビリンス構造となっていて水が浸入しにくい。また、第3空間110は外気圧Poとなっているため外気との圧力差がなく、水を吸い込む作用がない。ポケット22dの室外側端部であり且つ上枠22の室外側見付け面の内周側端部でもある凸部22eは室外側にやや突出しており、上方から流れ落ちてくる水を室外側に導いてポケット22dの内部に浸入することを防止する。
【0058】
第3空間110は大きい面積が確保されており、しかも室内との間に緩衝域の補助空間112が形成されていることから外気圧Poが維持され、水が浸入しにくい。仮に水が第3空間110にまで達したとしても、後述する連通切欠116から排水されるため、上向きに突出する室内側見付け面壁104を超えて補助空間112および室内にまで達することは実質的にない。
【0059】
図11は、縦枠12、上枠22、縦枠アタッチメント32および上枠アタッチメント36の接合部分を室外側斜め下方から見た斜視図である。図11では面材26、押縁45を省略している。図12は、上枠22、上枠アタッチメント36および縦枠アタッチメント32の接合部分を室内側斜め上方から見た斜視図である。図12では縦枠12を省略している。
【0060】
縦枠アタッチメント32における室外側部分32aは室内側部分32bよりもやや高い位置まで延在している。そして、室外側部分32aの小壁50および小片54の端面が、上枠アタッチメント36における小壁94および小壁96の下面に当接している。また、室内側部分32bの第2仕切壁60、室内壁62、室内側見付け面壁64が上枠アタッチメント36における内周側見込み面壁102の下面に当接している。
【0061】
上枠アタッチメント36における仕切壁100の左端部には面材外周空間44と連通する連通切欠(第2連通部)116が設けられている。連通切欠116は仕切壁100の一部に対して切断、打ち抜きまたは切削加工などを行うことで形成される。連通切欠116は、仕切壁100上下方向に沿う端部116aと、左右方向に沿う端部116bと、内周側見込み面壁102の外周面と同一面である端部116cとによって区画される。連通切欠116は、面材26シール部26b(図6図10参照)と対面しない箇所にある。
【0062】
端部116bは仕切壁100の略中間高さにある。連通切欠116は、縦枠アタッチメント32の小片54および傾斜壁56によって左側半分程度が覆われているが、端部116aは小片54および傾斜壁56よりも適度に右側に寄った位置にあるため、水や空気の流通に十分な面積が確保されている。連通切欠116の最も下方部である端部116cは内周側見込み面壁102と同一面であることから、換言すれば第3空間110の下端部が開口していることになり、該第3空間110に水が溜まることがない。
【0063】
このような連通切欠116により第3空間110は面材外周空間44、排水溝86および排水孔88(図9参照)を介して室外と連通しており、内部空間が外気圧Poとなる。連通切欠116は上記の第1空間58、第2空間70とは連通してなく、第3空間110の水が第1空間58、第2空間70に流入することはない。連通切欠116は仕切壁100の左端部および右端部の少なくとも一方に設けられていればよい。第3空間110と面材外周空間44とを連通させる連通部は切欠に限らず、孔などでもよい。
【0064】
本発明にかかる建具は、枠体を構成する左右の少なくとも一方の縦枠と、前記枠体の内側周に設けられる面材と、前記縦枠と前記面材との間に設けられる縦枠アタッチメントと、を有し、前記縦枠の内周側見込み面および前記縦枠アタッチメントは、上下方向に連通する第1空間、および前記第1空間よりも室内側で上下方向に連通する第2空間を形成し、前記縦枠アタッチメントは、前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第1空間と室外とを仕切る室外側仕切部と、前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第1空間と前記第2空間とを仕切る中間仕切部と、前記縦枠の前記内周側見込み面に当接して前記第2空間と室内とを仕切る室内側仕切部と、を有し、前記第1空間および前記第2空間は室外と連通していることを特徴とする。
【0065】
本発明にかかる建具では、縦枠の内周側見込み面と縦枠アタッチメントとによって形成される第1空間および第2空間は互いに中間仕切部によって仕切られるとともに、下端部が室外と連通している。これにより、第1空間および第2空間は外気圧と等圧の空間になる。第1空間は外気圧と等圧であることから水を吸い込む作用がなく、外部の水が浸入しにくい。第2空間は第1空間と等圧であることから水を吸い込む作用がなく、該第1空間の水が浸入しにくい。このように、本発明では第1空間と第2空間とによって二重の止水作用があり、シールを設けなくとも止水作用が維持される。シールが不要であることから建具の組み立ての作業性が向上するとともに、コストを低減させることができる。
【0066】
本発明にかかる建具は、前記第1空間および前記第2空間は下端部が室外と連通していることを特徴とする。これにより、仮に第1空間や第2空間に水が浸入しても溜まることなく排水される。
【0067】
本発明にかかる建具は、前記中間仕切部は、前記縦枠の前記内周側見込み面に対して見込方向に沿って面接触することを特徴とする。これにより、第1空間と第2空間とを相当確実に仕切ることができる。
【0068】
本発明にかかる建具は、前記室外側仕切部は、前記縦枠の前記内周側見込み面に対して見込方向に沿って面接触することを特徴とする。これにより、第1空間と室外とを相当確実に仕切ることができる。
【0069】
本発明にかかる建具は、前記第1空間の少なくとも一部は、前記面材の外周見込み面と前記縦枠の内周側見込み面とによって挟まれる領域内に含まれていることを特徴とする。これにより、スペースが有効に活用される。
【0070】
本発明にかかる建具は、前記第1空間は前記第2空間よりも横断面の面積が小さいことを特徴とする。第2空間は第1空間よりも広くなり、外気圧に維持されやすい。
【0071】
本発明にかかる建具は、前記縦枠アタッチメントの下面は、前記枠体を構成する下枠における内周側見込み面に当接しており、前記下枠における内周側見込み面で前記第2空間と対面する箇所には、該第2空間と室外とを連通する第1連通部が設けられていることを特徴とする。これにより、第2空間が外気圧となり、さらに第2空間に水が溜まらない。
【0072】
本発明にかかる建具は、前記第2空間の室外側見付け面壁は、前記面材の室内側見付け面を支持していることを特徴とする。これにより、第2空間が面材の支持を兼ねることができる。
【0073】
本発明にかかる建具は、前記第1空間を形成する室外側壁は、室内側から室外側へ向かって外周側に寄るように傾斜していることを特徴とする。これにより、第1空間を適度に広く確保することができる。
【0074】
本発明にかかる建具は、前記枠体を構成する上枠と、前記上枠と前記面材との間に設けられる上枠アタッチメントと、前記上枠の内周側見込み面と前記上枠アタッチメントとによって形成され、室内および室外に対して仕切られて左右方向に連通する第3空間と、を有し、前記面材の外周面と前記縦枠アタッチメントおよび前記上枠アタッチメントとの間には室外と連通する面材外周空間が形成されており、前記第3空間の室外側見付け面壁は、前記面材の室内側見付け面を支持しており、左端部および右端部の少なくとも一方に前記面材外周空間と連通する第2連通部が形成されていることを特徴とする。これにより、上枠と上枠アタッチメントとの間の止水作用が得られる。
【0075】
本発明にかかる建具は、前記枠体は連窓枠体の一部であり、左右の前記縦枠の少なくとも一方は前記連窓枠体を構成する縦骨であることを特徴とする。
【0076】
本発明にかかる建具は、前記枠体は段窓枠体の一部であり、前記枠体を構成する上枠は前記段窓枠体を構成する無目であることを特徴とする。
【0077】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
10 建具、12,14 縦枠、12a 内周側見込み面、16 上枠、18 下枠、20 縦骨(縦枠)、22 無目(上枠)、24a 第1枠体、26,26A,30 面材、28 障子、32,32A,34,38,40 縦枠アタッチメント、32a 室外側部分、36,42 上枠アタッチメント、44 面材外周空間、45 押縁、46 第1面接触部、48 第2面接触部、52 第1仕切壁、56 傾斜壁、58 第1空間、60,60A 第2仕切壁、70 第2空間、72,112 補助空間、86 排水溝、88 排水孔、90 連通切欠(第1連通部)、100 仕切壁、110 第3空間、116 連通切欠(第2連通部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12