(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】圃場管理方法、圃場管理システム、及び圃場管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20250116BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2021171568
(22)【出願日】2021-10-20
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 将希
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/173873(WO,A1)
【文献】特開2022-128693(JP,A)
【文献】特開2019-020923(JP,A)
【文献】特開2021-089477(JP,A)
【文献】特開2017-218123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圃場で行われた1つ以上の作業の作業種別と、前記1つ以上の作業が行われた作業期間とを前記複数の圃場に関連付けて記憶することと、
前記作業種別と、前記作業期間とに基づき、前記複数の圃場を1つ以上の圃場グループに分類することと、
を含む圃場管理方法。
【請求項2】
前記記憶することは、
前記1つ以上の作業が行われた作業回数を前記複数の圃場に関連付けて記憶すること
を含み、
前記分類することは、
前記作業回数と、前記作業種別と、前記作業期間とに基づき、前記複数の圃場を前記1つ以上の圃場グループに分類すること
を含む請求項1に記載の圃場管理方法。
【請求項3】
前記分類することは、
前記複数の圃場で栽培される作物に関する複数の栽培暦と、前記作業種別と、前記作業期間とに基づき、前記1つ以上の圃場グループで栽培されている作物の作型を決定すること
を含む請求項1または2に記載の圃場管理方法。
【請求項4】
前記1つ以上の圃場グループで栽培されている作物の作型を決定することは、
前記複数の栽培暦のうち、前記1つ以上の圃場グループに含まれる圃場で行われた前記1つ以上の作業に関する前記作業種別と前記作業期間とが最も類似する栽培暦に対応する作型を、前記1つ以上の圃場グループで栽培されている作物の作型として決定すること
を含む請求項3に記載の圃場管理方法。
【請求項5】
前記分類することは、
前記複数の圃場に含まれる圃場間における前記作業種別ごとの前記作業期間の差に基づき、前記複数の圃場を前記1つ以上の圃場グループに分類すること
を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の圃場管理方法。
【請求項6】
前記作業期間は、前記作業種別ごとに、前記1つ以上の作業を開始した開始時期と、前記1つ以上の作業を完了した完了時期とを含み、
前記分類することは、
前記複数の圃場に含まれる圃場間における前記作業種別ごとの前記開始時期の差と、前記作業種別における前記完了時期の差とに基づき、前記複数の圃場を前記1つ以上の圃場グループに分類すること
を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の圃場管理方法。
【請求項7】
前記分類することは、
前記複数の圃場の各々で栽培されている作物の作型として、前記1つ以上の作業に関する前記作業種別と前記作業期間とが前記複数の栽培暦に最も類似する栽培暦に対応する作型を決定することと、
決定された前記作型に基づき、前記複数の圃場を前記1つ以上の圃場グループに分類することと、
を含む請求項3に記載の圃場管理方法。
【請求項8】
前記1つ以上の圃場グループの少なくとも1つの圃場グループに含まれる圃場で行われた前記作業種別と前記作業期間と、前記少なくとも1つの圃場グループで栽培されている作物の作型に対応する前記栽培暦とを表示することをさらに含む
請求項3、4または7に記載の圃場管理方法。
【請求項9】
前記1つ以上の圃場グループのうちの第1圃場グループに含まれる第1圃場で行われた作業の作業種別と作業期間と、前記第1圃場グループに対応する前記栽培暦とに基づき、前記第1圃場に対して登録されていない作業の推定期間を推定することをさらに含む
請求項3、4、7または8に記載の圃場管理方法。
【請求項10】
前記1つ以上の圃場グループのうちの第1圃場グループに含まれる第1圃場で行われた作業の作業種別と作業期間と、前記第1圃場グループに含まれる第2圃場で行われた作業の作業種別と作業期間とに基づき、前記第1圃場に対して登録されていない作業の推定期間を推定することをさらに含む
請求項3、4、7または8に記載の圃場管理方法。
【請求項11】
前記1つ以上の圃場グループの少なくとも1つの圃場グループに含まれる圃場で行われた前記作業種別と前記作業期間を表示することをさらに含む
請求項1から10のいずれか1項に記載の圃場管理方法。
【請求項12】
分類された前記1つ以上の圃場グループを、地図上に区別して表示することをさらに含む
請求項1から11のいずれか1項に記載の圃場管理方法。
【請求項13】
前記複数の圃場で行われた前記1つ以上の作業の作業量について、前記複数の圃場の分布を前記1つ以上の圃場グループごとに表示する
請求項1から12のいずれか1項に記載の圃場管理方法。
【請求項14】
前記複数の圃場で前記1つ以上の作業を行う作業装置の状態を表す稼働情報に基づき、前記作業種別と、前記作業期間とを決定することをさらに含む
請求項1から13のいずれか1項に記載の圃場管理方法。
【請求項15】
複数の圃場で行われた1つ以上の作業の作業種別と、前記1つ以上の作業が行われた作業期間とを前記複数の圃場に関連付けて記憶するデータ記憶部と、
前記作業種別と、前記作業期間とに基づき、前記複数の圃場を1つ以上の圃場グループに分類する分類部と、
を備える圃場管理システム。
【請求項16】
複数の圃場で行われた1つ以上の作業の作業種別と、前記1つ以上の作業が行われた作業期間とを前記複数の圃場に関連付けて記憶することと、
前記作業種別と、前記作業期間とに基づき、前記複数の圃場を1つ以上の圃場グループに分類することと、
を演算装置に実行させる圃場管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場管理方法、圃場管理システム、及び圃場管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における作業に関する情報を用いることが研究されている。
【0003】
特許文献1には、栽培を開始する前に複数の圃場を1つのグループとして管理し、このグループに含まれる複数の圃場に対して、同一計画に沿って、作業、例えば植付、施肥、防除、収穫などを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、ユーザ、例えば作業者、圃場の所有者などは、栽培を開始する前に複数の圃場をグループに設定する必要があった。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、複数の圃場を圃場グループに分類することで、ユーザによる栽培管理を支援することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による圃場管理方法は、複数の圃場(400)で行われた1つ以上の作業の作業種別と、1つ以上の作業が行われた作業期間(510)とを複数の圃場(400)に関連付けて記憶することを含む。また、圃場管理方法は、作業種別と、作業期間(510)とに基づき、複数の圃場(400)を1つ以上の圃場グループ(410)に分類することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による圃場管理システム(1000)は、データ記憶部(150)と、分類部(170)とを備える。データ記憶部(150)は、複数の圃場(400)で行われた1つ以上の作業の作業種別と、1つ以上の作業が行われた作業期間(510)とを複数の圃場(400)に関連付けて記憶する。分類部(170)は、作業種別と、作業期間(510)とに基づき、複数の圃場(400)を1つ以上の圃場グループ(410)に分類する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による圃場管理プログラム(320)は、複数の圃場(400)で行われた1つ以上の作業の作業種別と、1つ以上の作業が行われた作業期間(510)とを複数の圃場(400)に関連付けて記憶することを演算装置(120、220)に実行させる。また、圃場管理プログラム(320)は、作業種別と、作業期間(510)とに基づき、複数の圃場(400)を1つ以上の圃場グループ(410)に分類することを演算装置(120、220)に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、複数の圃場を圃場グループに分類することで、ユーザは、効率的に栽培管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施の形態における圃場管理システムの概略図である。
【
図2】一実施の形態において、端末により表示される圃場グループを表す図である。
【
図3】一実施の形態において、端末により表示される圃場で行われた作業の作業期間を表す図である。
【
図4】一実施の形態において、端末により表示される栽培暦と圃場で行われた作業の作業期間とを表す図である。
【
図5】一実施の形態において、端末により表示される作業量に関する圃場の分布を表すヒストグラムである。
【
図6】一実施の形態における作業データの構成を表す図である。
【
図7】一実施の形態における圃場管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図8】一実施の形態における圃場管理システムによる処理を表すフローチャートである。
【
図9】一実施の形態において、端末により表示される作業量に関する圃場の分布を表すボックスプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による圃場管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、圃場管理システム1000は、圃場管理装置100と、端末200とを備える。圃場管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業装置30と通信可能に接続されている。
【0014】
作業装置30は、圃場で作業を行っているときの稼働状態を表す稼働情報を圃場管理装置100に送信する。作業装置30は、圃場で1つ以上の作業を行う任意の機械、例えば、植付機、耕耘機、農薬・肥料を散布する散布機、収穫機、作業機械を牽引するトラクターなどを含む。例えば、稼働情報は、作業装置30の位置情報を含む。作業装置30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、作業装置30が移動した各時刻の位置を表す位置情報を取得する。
【0015】
また、稼働情報は、例えば作業装置30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業装置30の各時刻の位置情報などを表す情報を含む。作業装置30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。
【0016】
圃場管理装置100は、
図2に示すように、作業装置30の稼働情報に基づき、複数の圃場400を1つ以上の圃場グループ410、例えば第1圃場グループ410-1と、第2圃場グループ410-2と、第3圃場グループ410-3とに分類する。圃場管理装置100は、栽培されている作物の作型に応じて、複数の圃場400を1つ以上の圃場グループ410に分類する。なお、作型は、例えば、栽培されている作物の作型名称(例えば春植、夏植など)、作物の種類、品種(早生、中生、晩生)、栽培周期、栽培方式などの情報を含む。
【0017】
図1に示す端末200は、圃場グループ410を区別して、複数の圃場400に関する圃場情報を表示する。例えば、
図2に示すように、端末200は、圃場グループ410を区別して、複数の圃場400の領域を地図上に表した画像を表示する。また、端末200は、
図3に示すように、圃場グループ410に分類して、複数の圃場400で行われた1つ以上の作業の作業種別と、作業期間510とを表す作業実績画像500を表示してもよい。これにより、ユーザ、例えば複数の圃場400の所有者、作業者などは、分類された圃場グループ410を容易に確認することができる。端末200は、
図4に示すように、栽培暦と、圃場グループ410に分類された圃場400の作業種別と、作業期間510とを並べて表した比較画像550を表示してもよい。これにより、ユーザは、圃場400で行われた作業と、栽培暦とを容易に比較することができる。また、端末200は、
図5に示すように、圃場400の評価値、例えば圃場400で収穫された作物の収量、単収、圃場400に散布された農薬量などについて、圃場400の分布を圃場グループ410ごとに表す分布グラフ600を表示してもよい。これにより、ユーザは、圃場グループ410ごとの傾向を把握することができる。また、ユーザは、圃場グループ410ごとに、圃場400で行う予定の作業を設定してもよい。
【0018】
なお、栽培暦は、例えば、地域に応じて、作物の栽培で行われる作業、例えば植付、植替え、追肥、防除、収穫などの適切な時期を表す。栽培暦は、例えば、地域に応じて異なる時期を表す。作業者は、栽培暦を参考にして、作物を栽培するときに作業を行う時期を決定する。また、栽培暦は、作物の発育状況、例えば発芽、開花、収穫可能状態などを表してもよい。栽培暦は、地域に応じて公開された情報でもよく、ユーザにより圃場管理システム1000に登録された情報でもよい。
【0019】
このように、圃場管理システム1000は、複数の圃場400を1つ以上の圃場グループ410に分類することで、ユーザによる栽培管理を支援する。
【0020】
(圃場管理システムの構成)
図1に示す圃場管理システム1000に含まれる圃場管理装置100の構成を説明する。圃場管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。圃場管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0021】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。例えば、通信装置130は、作業装置30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0022】
記憶装置140は、複数の圃場400を圃場グループ410に分類するための様々なデータ、例えば作業データ300と、評価データ310と、圃場管理プログラム320とを格納する。記憶装置140は、圃場管理プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。圃場管理プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0023】
作業データ300は、各圃場400で行われた1つ以上の作業に関する情報を含む。作業データ300は、例えば、作業が行われた圃場400に関連付けた作業種別を表す作業種別情報と、作業期間510を表す作業期間情報とを含む。作業種別は、圃場400で行われた作業の種類を表し、例えば耕耘、植付、中耕除草、防除、収穫などを含む。作業期間510は、圃場400で作業が行われた期間を表す。例えば、作業期間情報は、
図6に示すように、作業種別ごとに作業を開始した開始時期と、作業を完了した完了時期とを表す。開始時期はその作業を開始した日付(例えば、「作業開始日」)を表し、完了時期はその作業を完了した日付(例えば、「作業完了日」)を表してもよい。
【0024】
また、作業データ300は、作業種別ごとに、圃場400で行われた作業の回数を表す回数情報を含んでもよい。例えば、回数情報は、圃場400に含まれる同じ領域に作業が行われた回数を表す。
【0025】
図6に示す例では、「圃場A」が表す圃場400において、作業種別が「植付」である作業が「8月1日」から「8月3日」までの期間に「1回」行われたことを表す。このため、作業種別が「植付」である作業について、作業期間情報に表される開始時期は「8月1日」を表し、完了時期は「8月3日」を表す。また、作業種別が「植付」である作業の作業回数を表す回数情報は「1回」を表す。同様に、「圃場A」が表す圃場400において、作業種別が「防除」である作業が、「9月23日」から「10月8日」までの期間に「2回」行われたことを表す。例えば、作業回数の「2回」は、「圃場A」が表す圃場400の同じ領域に、「防除」が「2回」行われたことを表す。このように、作業データ300は、作業種別ごとに、各圃場400で行われた作業期間510と、作業回数とを表してもよい。
【0026】
また、作業データ300は、圃場400が分類された圃場グループ410を表すグループ情報を含んでもよい。
図6に示す例では、グループ情報は、圃場400が属する圃場グループ410に対応する「グループ番号」を表す。
図6に示す「グループ番号」は、「圃場A」と「圃場B」とが同じ圃場グループ410に属することを表し、「圃場A」と「圃場C」とが異なる圃場グループ410に属することを表す。また、
図6に示す例では、「圃場C」の「収穫」が開始された「作業開始日」に記載された「-」は、「圃場C」が表す圃場400において、作業種別が「収穫」である作業が登録されていないことを表す。
【0027】
図1に示す評価データ310は、圃場400で行われた作業を評価する評価値、例えば収穫された作物の収量、単位面積当たりの収量を表す単収、農薬または肥料の散布量、作業に要した時間を表す作業時間、単位面積当たりの作業効率などを表す。評価値は、収穫された作物の食味、糖度、含有水分などの品質指標を表してもよい。評価値は、作業装置30の稼働情報から取得してもよく、その他の装置、例えばポストハーベスト施設、ポストハーベスト装置などから取得してもよい。また、評価値は、ユーザにより端末200に入力され、端末200から圃場管理装置100に伝達されてもよい。
【0028】
図1に示す演算装置120は、圃場管理プログラム320を実行して、複数の圃場400を圃場グループ410に分類するための様々なデータ処理に使用される。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0029】
演算装置120は、圃場管理プログラム320を読み出し実行することで、
図7に示すように、データ記憶部150と、作業決定部160と、分類部170と、推定部180と、出力部190とを実現する。データ記憶部150は、作業データ300を記憶する。作業決定部160は、作業装置30の稼働情報に基づき、1つ以上の作業が行われた圃場400と、圃場400で行われた1つ以上の作業の作業種別と、作業期間510とを決定する。分類部170は、作業データ300に基づき、複数の圃場400を1つ以上の圃場グループ410に分類する。推定部180は、圃場グループ410ごとの作業データ300に基づき、圃場400の登録されていない作業の作業種別と作業期間とを推定する。出力部190は、圃場グループ410に区別された複数の圃場400に関する圃場情報を端末200に出力する。
【0030】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、
図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0031】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。例えば、通信装置230は、圃場管理装置100から取得する情報を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を圃場管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0032】
記憶装置240は、圃場管理装置100から取得する情報を表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム330を格納する。記憶装置240は、表示プログラム330を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム330は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0033】
演算装置220は、表示プログラム330を読み出し実行することで、入出力装置210と協働して、
図7に示すように、表示部250を実現する。表示部250は、圃場管理装置100から圃場情報を取得して、取得した圃場情報を表示する。
【0034】
(圃場管理装置の動作)
圃場管理装置100の演算装置120は、作業装置30から稼働情報を受信すると、圃場管理プログラム320を読み出し実行する。圃場管理プログラム320を実行することで、演算装置120は、圃場管理方法である
図8に示す処理を実行する。
【0035】
ステップS110において、作業決定部160は、作業装置30から取得した稼働情報に基づき、作業が行われた圃場400と、作業期間510と、作業種別とを決定する。例えば、作業決定部160は、稼働情報に含まれる作業装置30の位置情報に基づき、作業が行われた圃場400を決定する。例えば、作業決定部160は、作業装置30の位置情報に表される位置を含む圃場400を、作業装置30が作業を行った圃場400として決定する。
【0036】
例えば、作業決定部160は、作業装置30が起動された時刻から作業装置30が停止された時刻までを作業期間510に含まれる作業実施期間として決定する。作業決定部160は、作業装置30が圃場400の領域に進入した時刻から圃場400の領域から退出するまでの時刻を作業実施期間として決定してもよい。
【0037】
例えば、作業決定部160は、機械学習により得られた学習済みモデルを用いて、作業種別を決定する。この場合、学習済みモデルは、稼働情報から作業種別を決定するように、学習されている。また、作業決定部160は、作業種別を、作業装置30の機種に基づき決定してもよい。この場合、記憶装置140は、作業装置30の機種と、作業種別とを関連付ける作業対応データを格納する。作業決定部160は、作業対応データに基づき、作業種別を決定する。
【0038】
作業決定部160は、作業が行われた圃場400と決定された作業種別とに関連付けて、作業期間510を作業データ300に登録する。
図6に示す例において、作業決定部160は、作業が行われた圃場400において、現時点までに決定された作業種別の作業が行われていないとき、決定された作業実施期間を、作業種別の作業が行われた作業期間510として登録する。例えば、作業決定部160は、作業実施期間が開始された時期、例えば日付を開始時期として登録する。また、作業決定部160は、作業実施期間が終了した時期、例えば日付を終了時期として登録する。例えば、
図6に示す例は、現時点までに「圃場C」において「収穫」が行われていないことを表す。このため、作業決定部160は、作業が行われた圃場400が「圃場C」であり、かつ、行われた作業が「収穫」であるとき、決定された作業実施期間を「圃場C」で「収穫」が行われた作業期間510として登録する。例えば、登録される開始時期は作業実施期間が開始された時期を表し、完了時期は作業実施期間が終了した時期を表す。
【0039】
作業が行われた圃場400において、決定された作業種別の作業が行われていたとき、作業決定部160は、決定された作業実施期間が終了した時期を、作業期間510の完了時期として登録する。
図6に示す例は、現時点までに「圃場C」において「防除」が行われていることを表す。このため、作業が行われた圃場400が「圃場C」であり、かつ、行われた作業が「防除」であるとき、作業決定部160は、作業実施期間が終了した時期を完了時期として登録する。例えば、「圃場C」で「防除」が行われた作業実施期間が「4月3日8時」から「4月3日12時」であるとき、作業決定部160は、「圃場C」で「防除」の「作業完了日」を「4月3日」に更新する。
【0040】
このように、作業決定部160は、稼働情報に基づき、作業データ300を更新する。
【0041】
図8に示すステップS120において、分類部170は、作業データ300に基づき、圃場400を圃場グループ410に分類する。例えば、分類部170は、圃場400で行われた作業種別ごとの作業期間510に基づき、複数の圃場400を1つ以上の圃場グループ410に分類する。分類部170は、圃場400の間における作業種別ごとの作業期間510の差、例えば作業期間510の開始時期の差、完了時期の差、開始時期から完了時期までの期間の差などに基づき、複数の圃場400のクラスタリングを行う。
【0042】
例えば、分類部170は、任意の方法、例えばK平均法、群平均法、ウォード法などを用いて、複数の圃場400のクラスタリングを行う。この場合、圃場400の特徴量は、作業種別ごとの作業期間510を表す。
図6に示す例において、圃場400を表す特徴量は、各作業種別、例えば「植付」、「防除」、「収穫」などの開始時期(例えば「作業開始日」)と完了時期(例えば「作業完了日」)を含む。例えば、圃場400を表す特徴量は、作業種別の数量の2倍の次元数を有する。また、圃場400の表す特徴量は、各作業種別の作業が行われた作業回数を含んでもよい。クラスタリングに用いられる2つの圃場400の特徴量の距離は、任意の方法で算出され、例えばユークリッド距離、マンハッタン距離、マハラノビス距離などを含む。なお、クラスタリングで分類するグループ数は、端末200に入力され、端末200から圃場管理装置100に伝達される。
【0043】
図8に示すステップS130において、分類部170は、圃場グループ410に含まれる圃場400における作業種別と作業期間510とに基づき、圃場グループ410に対応する栽培暦を決定する。例えば、分類部170は、複数の栽培暦のうち、圃場グループ410に含まれる圃場400で行われた作業に関する作業種別と作業期間510とが最も類似する栽培暦を決定する。例えば、最初に、分類部170は、圃場グループ410に含まれるすべての圃場400において、作業種別ごとの作業期間510を決定する。分類部170は、作業種別ごとに、圃場グループ410に含まれるすべての圃場400の開始時期のうち、最も早い開始時期を圃場グループ410における開始時期として決定する。また、分類部170は、作業種別ごとに、圃場グループ410に含まれるすべての圃場400の完了時期のうち、最も遅い完了時期を圃場グループ410における完了時期として決定する。
【0044】
次に、分類部170は、作業種別ごとの作業期間510を特徴量として、複数の栽培暦のうち、圃場グループ410で行われた作業に最も類似する栽培暦を決定する。ここで、複数の栽培暦の各々は、作物を栽培するときの作型に応じて、作業種別ごとの作業期間を表し、データ記憶部150(例えば、記憶装置140)に予め記憶されている。分類部170は、圃場グループ410に含まれる圃場400で栽培されている作物の作型が決定された栽培暦に対応する作型であると決定する。
【0045】
ステップS140において、推定部180は、圃場グループ410に対応する栽培暦と、作業データ300とに基づき、登録されていない作業の作業期間を表す推定期間570を推定する。具体的には、
図4に示すように、推定部180は、圃場グループ410に対応する栽培暦における作業期間を表す暦作業期間520と、圃場400で行われた作業の作業期間510とに基づき、圃場400において登録されていない未登録作業の推定期間570を推定する。例えば、推定部180は、栽培暦に含まれる作業種別の作業が登録されていない圃場400を第1圃場として抽出し、登録されていない未登録作業の作業種別を第1作業種別として抽出する。推定部180は、抽出された第1圃場において、第1作業種別の作業が行われる推定期間570を推定する。
図4に示す例において、推定部180は、栽培暦に含まれる「中耕除草」の作業が登録されていない「圃場F」を第1圃場として抽出し、「中耕除草」を第1作業種別として抽出する。推定部180は、「圃場F」において、「中耕除草」が行われる第1推定期間570-1を推定する。
【0046】
推定部180は、最初に、栽培暦において、第1作業種別の作業が行われる暦作業期間520を第1暦作業期間520-1として抽出する。
図4に示す例において、推定部180は、栽培暦において、「中耕除草」が行われる第1暦作業期間520-1を抽出する。
【0047】
次に、推定部180は、第1圃場に対して登録されている登録作業の第2作業種別を抽出し、栽培暦において抽出された第2作業種別の作業が行われる暦作業期間520を第2暦作業期間520-2として抽出する。
図4に示す例において、推定部180は、「圃場F」に対して登録されている登録作業の「植付」を第2作業種別として抽出し、栽培暦において「植付」が行われる第2暦作業期間520-2を抽出する。
【0048】
続いて、推定部180は、抽出された第2暦作業期間520-2に対して、第1圃場で第2作業種別の登録作業が行われた第1作業期間510-1の対応時期を算出する。
図4に示す例において、推定部180は、第2暦作業期間520-2に対して、「圃場F」で「植付」が行われた第1作業期間510-1の対応時期を算出する。具体的には、推定部180は、第1作業期間510-1の対応時期が第2暦作業期間520-2の中央にあることを算出する。例えば、推定部180は、第2暦作業期間520-2に対して、第2暦作業期間520-2の開始時期から第1作業期間510-1の開始時期までの期間の比率を表す開始比率を対応時期として算出する。また、推定部180は、第2暦作業期間520-2に対して、第2暦作業期間520-2の開始時期から第1作業期間510-1の完了時期までの期間の比率を表す完了比率を対応時期として算出する。
【0049】
次に、推定部180は、算出された対応時期と、第1暦作業期間520-1とに基づき、第1作業種別の未登録作業が行われた推定期間570を推定する。例えば、推定部18は、第1暦作業期間520-1において、算出された対応時期に対する作業期間を算出し、算出された作業期間を推定期間570として推定する。
図4に示す例において、推定部180は、第1作業期間510-1の時期が第2暦作業期間520-2の中央にあることから、第1推定期間570-1を第1暦作業期間520-1の中央にあると推定する。例えば、推定部180は、第1暦作業期間520-1の開始時期から終了時期までのうち算出された開始比率に対応する時期を第1推定期間570-1の開始時期として推定する。また、推定部180は、第1暦作業期間520-1の開始時期から終了時期までのうち算出された完了比率に対応する時期を第1推定期間570-1の完了時期として推定する。
【0050】
このように、推定部180は、栽培暦と、圃場400の作業期間510とに基づき、圃場400の未登録作業の推定期間570を推定する。
【0051】
図8に示すステップS150において、出力部190は、複数の圃場400に関する情報を圃場グループ410で区別して表す圃場情報を端末200に出力する。圃場情報は、例えば、複数の圃場400の領域を圃場グループ410で区別して表す情報を含む。また、圃場情報は、複数の圃場400の評価値を圃場グループ410で区別して表す情報を含んでもよい。圃場情報は、複数の圃場400で行われた作業の作業期間510を圃場グループ410で区別して表す情報を含んでもよい。さらに、圃場情報は、複数の圃場400における未登録作業の推定期間570を圃場グループ410で区別して表す情報を含んでもよい。圃場情報は、圃場グループ410に対応する栽培暦に関する情報、例えば作型、作業種別、作業期間などを含んでもよい。
【0052】
ステップS160において、端末200の表示部250は、圃場管理装置100から取得した圃場情報を表示する。例えば、表示部250は、
図2に示すように、複数の圃場400の領域を圃場グループ410で区別して地図上に表した画像を表示する。例えば、表示部250は、第1圃場グループ410-1に含まれる圃場400の領域と、第2圃場グループ410-2に含まれる圃場400の領域と、第3圃場グループ410-3に含まれる圃場400の領域とを異なる表示形式、例えば色、模様などで表示する。これにより、ユーザは、複数の圃場400が分類された圃場グループ410を容易に把握することができる。
【0053】
また、表示部250は、
図3に示すように、複数の圃場400で行われた作業の作業期間510を作業種別ごとに、圃場グループ410に分類して表す作業実績画像500を表示してもよい。例えば、表示部250は、第1圃場グループ410-1に含まれる圃場400の作業期間510と、第2圃場グループ410-2に含まれる圃場400の作業期間510とを上から順番に表示する。例えば、表示部250は、第1圃場グループ410-1に含まれる圃場400の作業期間510を、第2圃場グループ410-2に含まれる圃場400の作業期間510より第1方向、例えば上方に表示する。これにより、ユーザは、圃場グループ410が作型に応じて圃場400を分類しているかを容易に判断することができる。
【0054】
例えば、
図3に示すように、作業期間510を含む表示期間(例えば8月から4月)が第2方向(例えば横方向)に設定され、作業期間510は、第2方向において、表示期間の該当する期間を示す矩形で表される。同じ圃場400で行われた作業の作業期間510は、第2方向に直交する第1方向(例えば上方向)において、同じ位置に表示される。また、作業期間510は、作業種別ごとに異なる表示形式で表示される。
【0055】
表示部250は、
図4に示すように、圃場グループ410に含まれる圃場400の作業期間510を、圃場グループ410に対応する栽培暦の暦作業期間520と比較可能に表示してもよい。例えば、表示部250は、圃場グループ410に含まれる圃場400の作業期間510を、圃場グループ410に対応する栽培暦の暦作業期間520と並べて表示する。例えば、圃場グループ410に含まれる圃場400の作業期間510の第1方向(例えば上方)に、圃場グループ410に対応する栽培暦の暦作業期間520が表示される。これにより、ユーザは、圃場400で行われた作業と、栽培暦とを容易に比較することができる。
【0056】
また、表示部250は、圃場400に対して登録されていない未登録作業の推定期間570を、圃場400に対して登録された登録作業の作業期間510と区別して表示してもよい。例えば、表示部250は、未登録作業の推定期間570と、登録作業の作業期間510とを異なる表示形式、例えば色、枠線で表示してもよい。例えば、登録作業の作業期間510の枠線は実線で表され、未登録作業の推定期間570の枠線は破線で表される。これにより、ユーザは、圃場管理システム1000に登録されていない作業の推定期間570を容易に確認することができる。また、表示部250は、
図4に示すように、現時点を表す線560を表示してもよい。また、ユーザは、推定期間570に基づき、栽培計画を立案することができる。
【0057】
表示部250は、
図5に示すように、圃場400の評価値について、圃場400の分布を圃場グループ410ごとに表す分布グラフ600を表示してもよい。例えば、分布グラフ600は、単位面積あたりの収量を所定の区間ごとに、その区間に含まれる圃場400の数を圃場グループ410ごとに表す。例えば、分布グラフ600は、第1圃場グループ410-1に含まれる圃場400の分布と、第2圃場グループ410-2に含まれる圃場400の分布と、第3圃場グループ410-3に含まれる圃場400の分布とを表す。これにより、ユーザは、各圃場グループ410の傾向を比較することができる。また、ユーザは、圃場グループ410に対応する作型で作物を栽培したときに予測された評価値との差を分析することができる。
【0058】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、圃場400で行われた作業の作業種別と作業期間510とは、ユーザにより入力されてもよい。例えば、ユーザは、端末200の入出力装置210に圃場400で行われた作業の作業種別と作業期間510とを入力する。端末200の表示部250は、作業種別と作業期間510とが入力されると、作業が行われた圃場400と、作業種別と、作業期間510とを表す情報を圃場管理装置100に送信する。圃場管理装置100の作業決定部160は、取得した情報に基づき、圃場400で行われた作業の作業種別と作業期間510とを取得する。また、ユーザは、圃場400における1回の作業で行った作業実施期間を端末200の入出力装置210に入力してもよい。入力された作業実績期間は、端末200から圃場管理装置100に伝達される。
【0059】
端末200の表示部250は、
図9に示すように、圃場グループ410ごとに、圃場400の評価値の分布を表すボックスプロット650を表示してもよい。例えば、ボックスプロット650は、圃場グループ410に含まれる圃場400の評価値の最大値を最大値線660により表し、最小値を最小値線665により表す。また、ボックスプロット650は、中央値(median)を中央値線670により表す。ボックスプロット650は、第3四分位点(upper quartile)を第3四分位点線671で表し、第1四分位点(lower quartile)を第1四分位点線672で表す。
【0060】
また、表示部250は、圃場400の2つの評価値の各々を縦軸と、横軸とで表した散布図を表示してもよい。例えば、表示部250は、縦軸に圃場400の単収と、横軸に圃場400における作業効率とを表す散布図を表示する。また、表示部250は、散布図において圃場400の評価値を表す点(例えば描画された点)を、圃場グループ410に応じて識別可能に表示してもよい。例えば、散布図において圃場400の評価値を表す点は、圃場グループ410に応じて異なる色で表される。
【0061】
また、圃場管理装置100のデータ記憶部150は、圃場グループ410に含まれる1つ以上の圃場400に関する栽培計画を一括で登録する設定情報を受け付けてもよい。例えば、設定情報は、第1圃場に関する栽培計画を表す情報を含み、第1圃場と同じ圃場グループ410に含まれる第2圃場に関する栽培計画を表す情報を含まない。また、栽培計画は、対応する圃場400で作業を行う予定の作業種別と作業予定期間とを表す。
【0062】
データ記憶部150は、少なくとも1つの圃場400の栽培計画を表す設定情報を受け付けると、受け付けた圃場400の栽培計画に基づき、受け付けた栽培計画に対応する圃場400と同じ圃場グループ410に含まれる圃場400の栽培計画を記憶する。例えば、設定情報が第1圃場の栽培計画を表す情報を含み、第1圃場と同じ圃場グループ410に含まれる第2圃場に関する栽培計画を表す情報を含まないとき、データ記憶部150は、第2圃場に関する栽培計画を決定する。例えば、データ記憶部150は、第1圃場で行う予定の作業を表す設定情報を受け付けると、第1圃場と同じ圃場グループ410に含まれる第2圃場で行う同じ作業種別の作業を推定期間570に行うことを表す栽培計画を決定する。例えば、
図4に示す例において、データ記憶部150は、「圃場C」において「収穫」に関する栽培計画を受け付けると、「圃場F」において「収穫」を推定期間570に行う栽培計画を決定する。
【0063】
また、データ記憶部150は、少なくとも1つの圃場400に関する情報を変更する変更情報を受け付けると、受け付けた圃場400の変更情報に基づき、受け付けた変更情報に対応する圃場400と同じ圃場グループ410に含まれる圃場400に関する情報を変更してもよい。
【0064】
図8に示すステップS120において、分類部170が圃場400を分類するときに用いる特徴量が圃場400の作業期間510の開始時期と完了時期とを表す例を示したが、これに限定されない。例えば、特徴量は、作業期間510を表せばよく、例えば作業期間510の中央値を用いてもよい。また、特徴量は、作業期間510を表す時期、例えば開始時期、完了時期、中央値などを、ある基準時期からの経過期間、例えば日数として表してもよい。
【0065】
また、特徴量は、作業を行った年を含まない作業期間510を表す時期を表してもよい。例えば、作業期間510を表す時期の差は、同じ年における時期の差と、異なる年における時期の差とのうち小さい方を表す。具体的には、2つの作業期間510を表す時期が2020年7月10日と、2021年1月10日であるとき、作業期間510を表す時期の差は同じ年、例えば2020年の1月10日から7月10日までの172日を表す。また、2つの作業期間510を表す時期が2020年8月10日と、2021年1月10であるとき、作業期間510を表す時期の差は異なる年、例えば2020年8月10日から2021年1月10日までの172日を表す。特徴量は、作業期間510を2つの値、例えば二次元で循環する値で表してもよい。二次元で循環する2つの値は、例えば作業期間510を表す時期を正弦関数により変換した値と、余弦関数により変換した値とを表す。
【0066】
また、特徴量は、クラスタリングを行う前に前処理が行われてもよい。例えば、分類部170は、圃場400を表す特徴量を主成分分析により次元数を減少させてもよい。
【0067】
また、ステップS120において、分類部170は、複数の栽培暦のうち、圃場400で行われた作業の作業期間510が最も類似する栽培暦を決定することで、複数の圃場400を圃場グループ410に分類してもよい。例えば、分類部170は、複数の圃場400において、圃場400で行われた作業の作業期間510が最も類似する栽培暦を決定する。分類部170は、同じ栽培暦に決定された1つ以上の圃場400を1つの圃場グループ410に含まれるように、複数の圃場400を分類する。例えば、分類部170は、作業種別ごとに、圃場グループ410の作業期間510の開始時期と完了時期とを表す特徴量と、栽培暦の暦作業期間520の開始時期と終了時期とを表す特徴量との差に基づき、圃場400に対応する栽培暦を決定する。また、分類部170は、機械学習により得られた学習済みモデルを用いて、圃場400に対応する栽培暦を決定してもよい。この場合、学習済みモデルは、圃場400における作業種別ごとの作業期間510から対応する栽培暦を決定するように学習されている。また、栽培暦を表す特徴量は、作業種別ごとに行われる作業の回数を含んでもよい。この場合、ステップS130は省略されてもよい。
【0068】
また、
図8に示すステップS140において、推定部180は、圃場グループ410に含まれる複数の圃場400において登録された登録作業の作業期間510に基づき、登録されていない未登録作業の推定期間570を推定してもよい。例えば、推定部180は、最初に、圃場グループ410に含まれる複数の圃場400のうち、第1圃場において作業が登録されておらず、第2圃場において作業が登録されている第1作業種別を抽出する。推定部180は、第1圃場において、抽出された第1作業種別の作業が行われる推定期間570を推定する。
図4に示す例において、推定部180は、第2圃場グループ410-2に含まれる「圃場F」において作業が登録されておらず、「圃場C」において作業が登録されている「中耕除草」を第1作業種別として抽出する。推定部180は、「圃場F」において、「中耕除草」が行われる第1推定期間570-1を推定する。
【0069】
次に、推定部180は、第1圃場と第2圃場との両方で作業が登録されている第2作業種別を抽出する。
図4に示す例において、推定部180は、「圃場F」と「圃場C」との両方で作業が登録されている「植付」を第2作業種別として抽出する。
【0070】
次に、推定部180は、第2圃場において第2作業種別の作業が行われた第2作業期間510-2に対する第1圃場において第2作業種別の作業が行われた第1作業期間510-1の相対時期を算出する。
図4に示す例において、推定部180は、「圃場C」において「植付」が行われた第2作業期間510-2に対する「圃場F」において「植付」が行われた第1作業期間510-1の相対時期を算出する。例えば、推定部180は、第2作業期間510-2の開始時期から第1作業期間510-1の開始時期までの第1期間を相対時期として算出する。また、推定部180は、第2作業期間510-2の完了時期から第1作業期間510-1の完了時期までの第2期間を相対時期として算出する。
【0071】
最後に、推定部180は、第2作業期間510-2に対する第1作業期間510-1の相対時期に対応する第3作業期間510-3に対する相対時期の期間を、第1圃場において第1作業種別の作業が行われた推定期間570として推定する。
図4に示す例において、推定部180は、第2作業期間510-2に対する第1作業期間510-1の相対時期に対応する第3作業期間510-3に対する相対時期の期間を、「圃場F」において「中耕除草」が行われた第1推定期間570-1として推定する。例えば、推定部180は、「圃場C」において「中耕除草」が行われた第3作業期間510-3の開始時期から、算出された第1期間だけ経過した時期を第1推定期間570-1の開始時期として推定する。また、推定部180は、「圃場C」において「中耕除草」が行われた第3作業期間510-3の完了時期から、算出された第2期間だけ経過した時期を第1推定期間570-1の完了時期として推定する。
【0072】
このように、推定部180は、圃場グループ410に含まれる複数の圃場400において作業が行われた作業期間510に基づき、同じ圃場グループ410に含まれる圃場400において登録されていない作業の推定期間570を推定してもよい。
【0073】
また、端末200の表示部250は、
図4に示す例に限定されず、任意の方法で圃場グループ410に含まれる圃場400の作業期間510を、圃場グループ410に対応する栽培暦の暦作業期間520と比較可能に表示してもよい。例えば、表示部250は、圃場400の作業期間510の背景として、栽培暦の暦作業期間520を表示してもよい。
【0074】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、圃場管理装置100の一部、または、すべての処理を端末200が実行してもよい。また、端末200の一部、または、すべての処理を圃場管理装置100が実行してもよい。圃場管理プログラム320は、表示プログラム330を含んでもよい。
【0075】
また、圃場管理システム1000は、端末200を含まず、圃場管理システム1000に含まれない外部端末に、圃場グループ410で分類された複数の圃場400に関する情報を表示させてもよい。また、端末200の表示部250は、圃場管理システム1000に含まれない外部サーバから地図情報を取得して、地図上に領域表示情報を表した地図情報を表示してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業装置
100 :圃場管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ記憶部
160 :作業決定部
170 :分類部
180 :推定部
190 :出力部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :表示部
300 :作業データ
310 :評価データ
320 :圃場管理プログラム
330 :表示プログラム
400 :圃場
410 :圃場グループ
500 :作業実績画像
510 :作業期間
520 :暦作業期間
550 :比較画像
560 :線
570 :推定期間
600 :分布グラフ
650 :ボックスプロット
660 :最大値線
665 :最小値線
670 :中央値線
671 :第3四分位点線
672 :第1四分位点線
1000 :圃場管理システム