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特許7620536仕入単価交渉支援装置、仕入単価交渉支援プログラム及び仕入単価交渉支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】仕入単価交渉支援装置、仕入単価交渉支援プログラム及び仕入単価交渉支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20250116BHJP
【FI】
G06Q10/087
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021188809
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075728
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小阪 康洋
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-092562(JP,A)
【文献】特開2001-195451(JP,A)
【文献】特開2009-176121(JP,A)
【文献】特開2021-056972(JP,A)
【文献】特開2014-206801(JP,A)
【文献】特開2002-189886(JP,A)
【文献】特開2017-049795(JP,A)
【文献】特開2005-332230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
仕入先毎かつ商品毎に単価を管理する単価マスタ、
商品の仕入日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品を仕入れた数量、及び商品を仕入れた単価を含む仕入データ、
にアクセス可能であり、
商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品の単価を交渉した交渉単価、及び単価が採用されたか否かを表す採用フラグを一覧して参照可能な単価交渉履歴データを作成する単価交渉履歴データ作成部と、
前記採用フラグが、単価が採用されたことを表す場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成し、前記採用フラグを確定する確定処理を行うとともに、確定した単価を前記単価マスタに登録する確定処理部と、
を備え
前記交渉実績情報は、前記仕入データにおいて前記対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量、前記仕入データにおける前記対象期間における単価である対象単価、及び前記対象単価と前記交渉単価との差を表す値下単価を含むこと、
を特徴とする仕入単価交渉支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記単価交渉履歴データ内の未確定の前記交渉単価と前記単価マスタ内の現在の単価との差を表す今回値下単価、及び前記値下単価を含む分析帳票を作成する分析帳票作成部を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の仕入単価交渉支援装置。
【請求項3】
仕入先毎かつ商品毎に単価を管理する単価マスタにアクセス可能である制御部を備える仕入単価交渉支援装置の前記制御部に実行させるための、
商品の仕入日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品を仕入れた数量、及び商品を仕入れた単価を含む仕入データを作成する仕入データ作成ステップと、
商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品の単価を交渉した交渉単価、及び単価が採用されたか否かを表す採用フラグを一覧して参照可能な単価交渉履歴データを作成する単価交渉履歴データ作成ステップと、
前記採用フラグが、単価が採用されたことを表す場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成し、前記採用フラグを確定する確定処理を行うとともに、確定した単価を前記単価マスタに登録する確定処理ステップと、
を含み、
前記交渉実績情報は、前記仕入データにおいて前記対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量、前記仕入データにおける前記対象期間における単価である対象単価、及び前記対象単価と前記交渉単価との差を表す値下単価を含む仕入単価交渉支援プログラム。
【請求項4】
仕入先毎かつ商品毎に単価を管理する単価マスタにアクセス可能である制御部を備える仕入単価交渉支援装置の前記制御部が実行する、
商品の仕入日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品を仕入れた数量、及び商品を仕入れた単価を含む仕入データを作成する仕入データ作成ステップと、
商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品の単価を交渉した交渉単価、及び単価が採用されたか否かを表す採用フラグを一覧して参照可能な単価交渉履歴データを作成する単価交渉履歴データ作成ステップと、
前記採用フラグが、単価が採用されたことを表す場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成し、前記採用フラグを確定する確定処理を行うとともに、確定した単価を前記単価マスタに登録する確定処理ステップと、
を含み、
前記交渉実績情報は、前記仕入データにおいて前記対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量、前記仕入データにおける前記対象期間における単価である対象単価、及び前記対象単価と前記交渉単価との差を表す値下単価を含む仕入単価交渉支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕入単価交渉支援装置、仕入単価交渉支援プログラム及び仕入単価交渉支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一括で大量に商品を仕入れる場合、商品を仕入れる単価の交渉結果により、仕入価格、原価、及び粗利等が大きく変動する。
【0003】
特許文献1には、複数の仕入先に対する過去の購買履歴により単価交渉を支援する購買単価交渉支援方法等について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-206801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の交渉支援では、購買履歴を参照して単価交渉することができるものの、交渉実績を参照して単価交渉することができなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、交渉実績を参照して単価交渉することができる仕入単価交渉支援装置、仕入単価交渉支援プログラム及び仕入単価交渉支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仕入単価交渉支援装置は、制御部を備える情報処理装置であって、前記制御部は、商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品の単価を交渉した交渉単価、及び単価が採用されたか否かを表す採用フラグを含む単価交渉履歴データを作成する単価交渉履歴データ作成部と、前記採用フラグが、単価が採用されたことを表す場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成し、前記採用フラグを確定する確定処理を行う確定処理部と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る仕入単価交渉支援装置において、前記制御部は、商品の仕入日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品を仕入れた数量、及び商品を仕入れた単価を含む仕入データ、にアクセス可能であり、前記交渉実績情報は、前記仕入データにおいて前記対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量、前記仕入データにおける前記対象期間における単価である対象単価、及び前記対象単価と前記交渉単価との差を表す値下単価を含んでいてもよい。
【0009】
また、本発明に係る仕入単価交渉支援装置において、前記制御部は、仕入先毎かつ商品毎に単価を管理する単価マスタ、にアクセス可能であり、前記単価交渉履歴データ内の未確定の前記交渉単価と前記単価マスタ内の現在の単価との差を表す今回値下単価、及び前記値下単価を含む分析帳票を作成する分析帳票作成部を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る仕入単価交渉支援装置において、前記確定処理部は、前記確定処理を実行する際に、確定した単価を前記単価マスタに登録してもよい。
【0011】
また、本発明に係る仕入単価交渉支援プログラムは、制御部を備える仕入単価交渉支援装置の前記制御部に実行させるための、商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品の単価を交渉した交渉単価、及び単価が採用されたか否かを表す採用フラグを含む単価交渉履歴データを作成する単価交渉履歴データ作成ステップと、前記採用フラグが、単価が採用されたことを表す場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成し、前記採用フラグを確定する確定処理を行う確定処理ステップと、を含む。
【0012】
また、本発明に係る仕入単価交渉支援方法は、制御部を備える仕入単価交渉支援装置の前記制御部が実行する、商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報、商品の単価を交渉した交渉単価、及び単価が採用されたか否かを表す採用フラグを含む単価交渉履歴データを作成する単価交渉履歴データ作成ステップと、前記採用フラグが、単価が採用されたことを表す場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成し、前記採用フラグを確定する確定処理を行う確定処理ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、顧客がグループに属する会社である場合に、グループ全体の限度額に応じて取引を制限することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、仕入単価交渉支援装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、仕入データの一例を示す図である。
図3図3は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。
図4図4は、商品マスタの一例を示す図である。
図5図5は、単価マスタの一例を示す図である。
図6図6は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。
図7図7は、単価マスタの一例を示す図である。
図8図8は、仕入データの一例を示す図である。
図9図9は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。
図10図10は、分析帳票作成画面の一例を示す図である。
図11図11は、分析帳票の一例を示す図である。
図12図12は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。
図13図13は、設定画面の一例を示す図である。
図14図14は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。
図15図15は、単価マスタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る仕入単価交渉支援装置、仕入単価交渉支援プログラム及び仕入単価交渉支援方法の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[1.構成]
本実施形態に係る仕入単価交渉支援装置の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、仕入単価交渉支援装置の構成の一例を示す図である。
【0017】
仕入単価交渉支援装置100は、交渉日、交渉単価、単価が採用されたか否かを表す採用フラグ、交渉実績を表す交渉実績情報等を含む単価交渉履歴データを作成する。その結果、仕入単価交渉支援装置100によれば、交渉実績を参照して単価交渉することができる。
【0018】
仕入単価交渉支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、仕入単価交渉支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ等の携帯型情報処理装置であってもよい。
【0019】
仕入単価交渉支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。仕入単価交渉支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、仕入単価交渉支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、仕入単価交渉支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0021】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112又はマウス112として記載する場合がある。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル及びファイル等が格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0023】
記憶部106には、例えば、仕入データ106a、単価交渉履歴データ106b、商品マスタ106c及び単価マスタ106dが格納されている。
【0024】
図2は、仕入データの一例を示す図である。仕入データ106aは、例えば、商品の仕入日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報(商品コード)、商品を仕入れた数量、及び商品を仕入れた単価等を含むデータである。仕入データ106aは、仕入日毎、仕入先毎かつ商品毎に仕入れた商品の数量と単価と金額とを紐づけて保持する。
【0025】
図3は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。単価交渉履歴データ106bは、例えば、商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報(商品コード)、商品の単価を交渉した交渉単価、単価が採用されたか否かを表す採用フラグ、仕入データにおいて対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量、仕入データにおける対象期間における単価である対象単価、及び対象単価と交渉単価との差を表す値下単価等を含むデータである。採用フラグには、単価が採用されていない場合、すなわち、単価が交渉中である場合や単価が不採用となった場合に「0」が入力され、単価が採用された場合に「1」が入力される。
【0026】
図4は、商品マスタの一例を示す図である。商品マスタ106cは、例えば、商品を識別するための商品識別情報(商品コード)と商品分類とを管理するマスタである。商品の分類は、商品の売買における性質(「薄利多売品」又は「高級品」等)を表す。
【0027】
図5は、単価マスタの一例を示す図である。単価マスタ106dは、例えば仕入先毎かつ商品毎に単価を管理するマスタである。
【0028】
制御部102は、仕入単価交渉支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データ等を格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、記憶部106に格納されている仕入データ106a~単価マスタ106dにアクセス可能である。
【0029】
制御部102は、機能概念的に、単価交渉履歴データ作成部102a、確定処理部102b、及び分析帳票作成部102cを備える。
【0030】
単価交渉履歴データ作成部102aは、単価交渉履歴データ106bを作成する情報処理手段である。
【0031】
確定処理部102bは、単価交渉履歴データ106bの採用フラグが、単価が採用されたことを表す「1」である場合、対象期間における交渉実績を表す交渉実績情報を作成する情報処理手段である。交渉実績情報は、例えば、仕入データにおいて対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量、仕入データにおける対象期間における単価である対象単価、及び対象単価と交渉単価との差を表す値下単価を含む。また、確定処理部102bは、採用フラグを確定する確定処理を行う情報処理手段である。確定処理部102bは、確定処理を実行する際に、確定した単価を単価マスタ106dに登録する。
【0032】
分析帳票作成部102cは、単価交渉履歴データ106b内の未確定の交渉単価と単価マスタ106d内の現在の単価との差を表す今回値下単価、及び値下単価を含む分析帳票を作成する情報処理手段である。
【0033】
[2.処理の具体例]
ここでは、仕入単価交渉支援装置100で実行される処理の具体例について、図2~15を参照して説明する。
【0034】
本説明では、仕入単価交渉支援装置100が、オペレータの入力に基づいて、仕入れが行われる毎に仕入データ106aを登録し、交渉が行われる毎に単価交渉履歴データ106bを登録し、確定処理を行った後、交渉状況に応じて分析帳票を作成する処理を説明する。なお、商品マスタ106c及び単価マスタ106dは、予め記憶部106に登録されているものとする。
【0035】
[S1:仕入データ登録]
制御部102は、オペレータの入力に基づいて、仕入データ106aを記憶部106に登録する。図2に示すように、制御部102は、仕入日毎、仕入先毎かつ商品毎に仕入れた商品の数量と単価と金額とをオペレータの入力に基づいて記憶部106に登録する。
【0036】
[S2:単価交渉履歴データ登録]
単価交渉履歴データ作成部102aは、オペレータの入力に基づいて、単価交渉履歴データ106bを登録する。図3に示すように、単価交渉履歴データ作成部102aは、商品の単価を交渉した交渉日、商品の仕入先、商品を識別するための商品識別情報(商品コード)、商品の単価を交渉した交渉単価、単価が採用されたか否かを表す採用フラグをオペレータの入力に基づいて記憶部106に登録する。
【0037】
[S3:確定処理]
分析帳票作成部102cは、オペレータの入力に基づいて、採用フラグを確定する確定処理を実行する。図6は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。図6に示すように、確定処理部102bは、単価交渉履歴データ106bの採用フラグが、単価が採用されたことを表す「1」である場合、仕入データ106aを参照して、仕入データにおいて対象期間内に仕入れた商品の数量を集計した対象数量を集計して単価交渉履歴データ106bに登録する。具体的には、「交渉日:7/21」に「仕入先:AAA」との間で「商品コード:12345」について「交渉単価:124」が採用され、「採用フラグ:1」が入力された場合、仕入データ106aにおいて「仕入日」が「対象期間:4/1~6/30」内に含まれる「仕入先:AAA」かつ「商品コード:12345」の仕入れ数量を集計する。すなわち、「仕入日:4月10日」の「数量:10」と、「仕入日:4月15日」の「数量:20」とを合計し、図6の単価交渉履歴データ106bに「対象数量:30」を自動入力する。
【0038】
さらに、確定処理部102bは、仕入データ106aを参照して、この対象期間の単価である対象単価を取得して単価交渉履歴データ106bに登録する。具体的には、確定処理部102bは、仕入データ106aにおける対象期間の「仕入先:AAA」かつ「商品コード:12345」の「単価:150」を参照し、図6の単価交渉履歴データ106bに「対象単価:150」を自動入力する。
【0039】
また、確定処理部102bは、取得した対象単価と交渉単価との差を表す値下単価を算出して単価交渉履歴データ106bに登録する。具体的には、確定処理部102bは、図6の単価交渉履歴データ106bにおいて、「交渉日7/21」、「仕入先:AAA」かつ「商品コード:12345」の「対象単価:150」から「交渉単価:124」を減算し、「値下単価:26」を自動入力する。
【0040】
図7は、単価マスタの一例を示す図である。オペレータが所定の確定ボタンを押下すると、確定処理部102bは、確定処理を実行し、採用フラグを確定する。このとき、図7に示すように、確定処理部102bは、確定した単価を単価マスタ106dに登録する。
【0041】
[S4:仕入データ登録]
図8は、仕入データの一例を示す図である。新たに仕入が行われると、ステップS1と同様に、制御部102は、オペレータの入力に基づいて、図8に示す仕入データ106aを記憶部106に登録する。
【0042】
[S5:単価交渉履歴データ登録]
図9は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。新たに交渉が行われると、ステップS2と同様に、単価交渉履歴データ作成部102aは、オペレータの入力に基づいて、図9に示す単価交渉履歴データ106bを登録する。
【0043】
[S6:分析帳票作成処理]
分析帳票作成部102cは、オペレータの入力に基づいて、分析帳票を作成する。図10は、分析帳票作成画面の一例を示す図である。図10に示す分析帳票設定画面において、分析帳票を作成する条件を設定する。ここでは、図10に示すように「仕入先」を「AAA」に限定して分析帳票をする例を説明する。なお、分析帳票設定画面により、「商品分類」、「商品コード」、又は「値下予想金額」を指定して分析帳票を作成することも可能である。値下予想金額は、値下単価に仕入予定の数量を乗算して算出される。また、分析帳票設定画面において、チェックボックスにチェックを入れることにより、「前回より数量あたりの値下額が小さい商品」のみを表示させて分析帳票を作成することも可能である。同様に、分析帳票設定画面において、チェックボックスにチェックを入れることにより、「値下予想金額順に並び替える」を設定して分析帳票を作成することも可能である。これらの機能を利用することにより、利益に対する影響の大きい順に優先度をつけて交渉することが可能となる。
【0044】
図11は、分析帳票の一例を示す図である。図11に示すように、分析帳票作成部102cは、単価交渉履歴データ106b内の未確定の交渉単価と単価マスタ106d内の現在の単価との差を表す今回値下単価、及び値下単価(前回値下単価)を含む分析帳票を作成する。具体的には、分析帳票作成部102cは、図9の単価交渉履歴データ106bにおける現在交渉中で未確定の「交渉単価:122」を、図7の単価マスタ106dにおける現在適用されている「単価:124」から差し引いた「今回値下単価:2」を含む分析帳票を作成する。同様に、分析帳票作成部102cは、図9の単価交渉履歴データ106bにおける確定処理により自動入力された「値下単価:26」を参照し、「前回値下単価:26」を含む分析帳票を作成する。
【0045】
また、分析帳票作成部102cは、単価マスタ106dを参照して、「商品コード:12345」及びこの商品コードに対応する「商品分類:薄利多売品」を含む分析帳票を作成してもよい。
【0046】
また、分析帳票作成部102cは、図9の単価交渉履歴データ106bにおける現在交渉中で未確定の「交渉単価:122」を参照し、「今回提示単価:122」を含む分析帳票を作成してもよい。同様に、分析帳票作成部102cは、図7の単価マスタ106dにおける現在適用されている「単価:124」を参照し、「前回確定単価:124」を含む分析帳票を作成してもよい。
【0047】
また、分析帳票作成部102cは、オペレータの入力に基づいて、今回仕入れる予定の数量である「今回数量:25」を含む分析帳票を作成してもよい。同様に、分析帳票作成部102cは、図9の単価交渉履歴データ106bを参照し、前回の仕入れ数量である「前回数量:30」を含む分析帳票を作成してもよい。
【0048】
また、分析帳票作成部102cは、今回値下単価を今回数量で除算し、「値下単価/数量:0.0800」を含む分析帳票を作成してもよい。同様に、前回値下単価を前回数量で除算し、「値下単価/数量:0.8667」を含む分析帳票を作成してもよい。
【0049】
また、分析帳票作成部102cは、今回値下単価と今回数量とを乗算し、「値下金額:50」を含む分析帳票を作成してもよい。
【0050】
また、分析帳票作成部102cは、「値下単価/数量:0.0800」が閾値(例えば1.0)以下である場合、アラートを表す「※」を表示した「値下単価幅:※」を含む分析帳票を作成してもよい。
【0051】
ここで、図11の分析帳票に「値下単価幅:※」のアラートが表示されたことにより、再度単価交渉を行う場合について説明する。
【0052】
[S7:単価交渉履歴データ登録]
図12は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。新たに交渉が行われると、ステップS2と同様に、単価交渉履歴データ作成部102aは、オペレータの入力に基づいて、図12に示す単価交渉履歴データ106bを登録する。
【0053】
[S8:分析帳票作成処理]
分析帳票作成部102cは、オペレータの入力に基づいて、再度分析帳票を作成する。図13は、設定画面の一例を示す図である。図13に示すように、分析帳票作成部102cは、「今回提示単価:90」、「今回値下単価:34」、及び「値下単価/数量:1.3600」を含む分析帳票を作成する。このとき、分析帳票作成部102cは、図13の分析帳票の「値下単価/数量:1.3600」が閾値(例えば1.0)より大きいため、「値下単価幅」には「※」のアラートを表示しない。
【0054】
[S9:確定処理]
交渉が完了すると、ステップS3と同様に、分析帳票作成部102cは、オペレータの入力に基づいて、採用フラグを確定する確定処理を実行する。図14は、単価交渉履歴データの一例を示す図である。図14に示すように、確定処理部102bは、単価交渉履歴データ106bの採用フラグが、単価が採用されたことを表す「1」である場合、「対象数量:25」、「対象単価:124」、及び「値下単価:34」を自動入力する。
【0055】
図15は、単価マスタの一例を示す図である。オペレータが所定の確定ボタンを押下すると、確定処理部102bは、確定処理を実行し、採用フラグを確定する。このとき、図15に示すように、確定処理部102bは、確定した単価を単価マスタ106dに登録する。
【0056】
以上、本実施形態によれば、単価交渉履歴データ作成部102aが単価交渉履歴データ106bを作成するため、交渉実績を参照して単価交渉することができる。さらに、交渉実績が単価交渉履歴データ106bに保持されるため、次回以降の交渉の際にも活用することができる。
【0057】
また、単価交渉履歴データ106bを用いて単価交渉を行うことにより、単価交渉のプロセスや経緯が明確になり、不明瞭な単価決定のプロセスを排除することができる。
【0058】
また、分析帳票作成部102cが、分析帳票に「※」等のアラートを表示させることにより、十分な単価交渉が行われずに単価が決定してしまうことを防止することができる。
【0059】
また、分析帳票作成部102cが、分析帳票に商品分類を表示させることにより、商品の性質毎の交渉状況及び交渉履歴を参照することができる。
【0060】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0063】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0064】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0065】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0066】
また、仕入単価交渉支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0067】
例えば、仕入単価交渉支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仕入単価交渉支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0068】
また、このコンピュータプログラムは、仕入単価交渉支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0069】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0070】
また、「プログラム」とは、任意の言語又は記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成及び読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0071】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0072】
また、仕入単価交渉支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、仕入単価交渉支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0073】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、商品を仕入れる単価を交渉する際に有用である。
【符号の説明】
【0075】
100 仕入単価交渉支援装置
102 制御部
102a 単価交渉履歴データ作成部
102b 確定処理部
102c 分析帳票作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 仕入データ
106b 単価交渉履歴データ
106c 商品マスタ
106d 単価マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
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