(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】組み込まれた電子モジュールを有する吸入デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103184
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2019549649の分割
【原出願日】2017-12-05
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512297125
【氏名又は名称】ノートン (ウォーターフォード) リミテッド
【住所又は居所原語表記】Unit 301 IDA, Industrial Park, Cork Road, Waterford, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ドン
(72)【発明者】
【氏名】ムーアハウス,ディラン エイ.
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/030521(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0053833(US,A1)
【文献】特表2005-533585(JP,A)
【文献】特表2016-515410(JP,A)
【文献】特表2020-501855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器であって、前記吸入器は:
レバーであって、当該レバーのアクチュエートがユーザによる吸入のために1用量の薬剤を準備するように構成されたレバー;および、
プロセッサ、電源、および、スイッチを備える電子モジュール;を備え、
前記電子モジュールは、前記レバーが第1の位置から第2の位置に初めて動かされる前に、オフ状態にあるように構成され;
前記スイッチは、前記レバーが前記第1の位置から前記第2の位置に動かされるとき、アクチュエートされるように構成され;および、
前記電子モジュールは、前記スイッチがアクチュエートされるとき、
前記オフ状態またはスリープ状態からアクティブ状態に移行するように構成され、前記電子モジュールは、前記スリープ状態で作動しているとき、前記オフ状態で作動しているときよりも、より多くの電力を使用するように構成され、かつ、前記アクティブ状態で作動しているとき、前記スリープ状態で作動しているときよりも、より多くの電力を使用するように構成され、
前記電子モジュールは、前記レバーが前記ユーザによって前記第1の位置から前記第2の位置に初めて動かされて以降、前記オフ状態に戻ることがないように構成され
、前記電子モジュールは、前記オフ状態または前記アクティブ状態にないとき、前記スリープ状態にあるように構成されており、
前記電子モジュールは、さらに、
前記オフ状態からの移行に応答して、内部カウンタをスタートさせ、かつ、前記内部カウンタに基づいて、前記レバーの前記アクチュエートをタイムスタンプするように構成されている、
吸入器。
【請求項2】
前記吸入器のボディの周りに回転されて前記レバーを露出させるように構成されたマウスピースカバーを、さらに備える、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
前記レバーは、前記マウスピースカバーの一部である、
請求項2に記載の吸入器。
【請求項4】
マウスピースカバーをさらに備え、前記マウスピースカバーは、閉位置にあるときに前記レバーを覆いかつ開位置にあるときに前記レバーを露出させるように構成されている、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項5】
前記電子モジュールは、センサシステムをさらに備え、
前記電子モジュールは、前記レバーが前記スイッチをアクチュエートすることに応答して、ユーザによる吸入を検知するために前記センサシステムの電源をオンにするように構成されている、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項6】
前記電子モジュールは、センサシステムをさらに備え、
前記電子モジュールは、前記センサシステムから測定値を受信し、受信した前記測定値に基づいて吸入パラメータを割り出すように構成されている、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項7】
前記吸入パラメータは、ピーク流量、ピーク流量までの時間、吸入体積、または、吸入持続時間のうちの1つまたは複数を備える、
請求項
6に記載の吸入器。
【請求項8】
前記電子モジュールは、さらに、
前記オフ状態からの移行に応答して、内部カウンタをスタートさせ、
前記センサシステムから受信した前記測定値に基づいて、検知された吸入を判定し、かつ、
前記内部カウンタに基づいて、検知された前記吸入をタイムスタンプするように構成されている、
請求項
6に記載の吸入器。
【請求項9】
前記電子モジュールは、無線通信回路をさらに備え、
前記電子モジュールは、
前記スイッチのアクチュエートに応答して、レバーアクチュエートイベントを生成し、かつ、
前記無線通信回路を用いて、前記レバーアクチュエートイベントを外部デバイスに送信するように構成されている、
請求項
1に記載の吸入器。
【請求項10】
前記電子モジュールは、センサシステムをさらに備え
、
前記電子モジュールは、前記センサシステムから受信した1つまたは複数の測定値が所定の時間の間、所定の範囲内にないと当該電子モジュールが判定すると、前記アクティブ状態から前記スリープ状態に変化するように構成されている、
請求項
1に記載の吸入器。
【請求項11】
前記電子モジュールは、センサシステムをさらに備え、
前記電子モジュールは、前記レバーが前記第1の位置から前記第2の位置に動かされ、かつ、前記センサシステムから受信した測定値が所定の時間内に所定の範囲内にないとき、タイムアウトイベントおよび関連するタイムスタンプを格納するように構成されている、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項12】
前記電子モジュールは、前記所定の時間の後に、前記アクティブ状態から前記スリープ状態に変化するように構成されている、
請求項
11に記載の吸入器。
【請求項13】
前記電子モジュールは、センサシステムをさらに備え、
前記電子モジュールは、前記アクティブ状態のとき、
前記センサシステムから測定値を受信し、
前記測定値に基づいて吸入パラメータを割り出し、
前記吸入パラメータを前記電子モジュールのメモリに格納し、
外部デバイスに通知し、かつ、
前記吸入パラメータを前記外部デバイスに送信するように構成されている、
請求項1に記載に吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/430,576号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬送達デバイスは、様々な投与経路を介した患者の体内への薬剤の送達を容易にする。典型的な投与経路には、経口、局所、舌下吸入、注射などが含まれる。このデバイスは、様々な疾患、病気、および医学的状態を治療するための薬剤を送達するために用いられ得る。吸入デバイスは例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および嚢胞性線維症(CF)を治療するために用いられ得る。薬送達デバイスは治療処置の一部として適切な1用量の薬剤を患者に送達するように設計されるが、特定の処置の有効性は患者のアドヒアランスおよびコンプライアンスなどの非生理学的な要因によって影響され得る。
【0003】
薬物療法において、アドヒアランスは、患者が処方された投薬レジメンに従っている程度を指し得る。例えば、患者の処方箋が毎日2回の用量を必要とし、患者が1日2回の用量を服用している場合、患者は100%のアドヒアランスであると考えることができる。患者が1日1回しか服用していない場合、患者はたった50%のアドヒアランスであるとみなすことができる。後者の場合、患者は当該患者の医師によって処方された処置を受けていないかもしれず、これは治療処置の効力に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
コンプライアンスは、特定の薬送達デバイスを用いるときの患者の技術を指し得る。患者が医師または製造業者によって推奨される方法でデバイスを用いている場合、デバイスは所望の用量の薬剤を送達する可能性が高く、患者はコンプライアンスに準拠しているとみなすことができる。しかし、デバイスが薬投与中に適切に用いられていない場合、デバイスが適切な用量の薬剤を送達する能力は損なわれ得る。したがって、患者は、コンプライアンスに準拠していないとみなすことができる。吸入デバイスの場合、例えば、患者は、1用量全部の薬剤がデバイスから患者の肺に送達されることを確実にするために最低限の吸気努力を達成する必要があるかもしれない。小児および高齢者などの一部の患者では、肺機能の制限などの身体的制限ゆえに、完全なコンプライアンスのための要件を満たすことは困難かもしれない。従って、アドヒアランスと同様に、完全なコンプライアンスを達成できないことは、処方された処置の有効性を低下させ得る。
【0005】
患者が完全なコンプライアンスを達成する能力は、薬剤のいくらかの物理的特性によってさらに複雑になり得る。例えば、いくつかの呼吸器系薬剤は微粒子からなるかもしれず、および/または、いかなる臭いまたは味も欠いているかもしれない。したがって、吸入デバイスを用いる患者は薬剤が吸入されていることを直ちに検出または検知することができないかもしれない、および/または吸入された薬剤の量が処方箋に従っているのかどうかを知ることができないかもしれないので、患者はコンプライアンスに準拠していない使用を修正することができないかもしれない。
【発明の開示】
【0006】
[概要]
薬送達デバイスは、(例えば、アドヒアランスおよびコンプライアンスを改善するため)、当該デバイスに関連する使用状況およびパラメータを検知、追跡、および/または処理するように構成される電子モジュールを含むように適合され得る。電子モジュールは、同様のおよび/またはさらなる処理のために、スマートフォンなどの外部デバイスに状況およびパラメータを通信するようにさらに構成されてよい。薬送達デバイスに電子モジュールを含めることは、豊富なデジタル改良および特徴への門戸を開き、当該デバイスの使用を向上させる。電子モジュールは、これに関連して、有用なスマートフォンアプリケーションおよび有力なデータ分析を活用するためのプラットフォームを作成し得る。しかし、任意の薬送達デバイスへの電子機器の導入は、耐久性、信頼性、電気‐機械的統合、電力管理、および、薬送達性能などの特定の技術的課題を導入し得る。本開示は、吸入器などの薬送達デバイスにいくらかの電気的構成要素を含めるための解決策を提供する。
【0007】
吸入デバイス(例えば、呼吸作動式吸入器)の例示は、本明細書で提供される。吸入デバイスは、ボディ(例えば、円形ボディ)と、電子モジュール用の電子機器とを含んでよい。ボディは、マウスピース、薬剤用の1つまたは複数のフレキシブルストリップ(例えば、ブリスターストリップ)、レバー、および、ボディの周りに回転可能なマウスピースカバーを含んでよい。マウスピースカバーを閉位置から開位置に回すことで、マウスピースを露出させてよく、さらに、レバーを、ユーザによるアクチュエートのために露出させてもよい。閉位置から開位置へのレバーのアクチュエートは、薬剤用のフレキシブルストリップを前進させて、1用量の薬剤をユーザへの送達のために準備してよく、および/または、薬剤用のブリスターが(例えば、ユーザへの送達のために)マウスピースと流体連通するように、パウダー出口を露出させてよい。電子モジュールは、コントローラと、通信回路と、センサシステムと、スイッチと、電源と、メモリとを含んでよい。レバーは、当該レバーが第1の位置(例えば、開位置)から第2の位置(例えば、閉位置)に動くときスイッチをアクチュエートさせる(例えば、スイッチを押圧する)ように、および/または、当該レバーが第2の位置(例えば、閉位置)から第1の位置(例えば、開位置)に動くときにスイッチをアクチュエートさせる(例えば、スイッチを押圧解除する)ように構成されてよい。レバーによってアクチュエートされると、スイッチは、レバーの位置および/またはユーザのための1用量の薬剤の準備を示し得る信号をコントローラに提供してよい。信号は、タイムスタンプされ、メモリに格納されてよい。コントローラおよびスイッチはまた、電子モジュールを複数の電力状態の間で切り替えまたは移行させるように構成されてもよく、これは、電源からの電力消費を管理するために使用され得る。
【0008】
レバーがユーザによって第1の位置から第2の位置に初めて動かされると(例えば、購入後、かつ、ユーザによるデバイスの最初の使用前)、レバーは、スイッチと係合して、電子モジュールをオフ状態からアクティブ状態に移行させかつ当該電子モジュールにユーザによるマウスピースからの吸入を検知させるように、構成されてよい。その後、電子モジュールは、レバーがユーザによって第1の位置から第2の位置に初めて動かされた後に、オフ状態に戻らないように構成されてよい(例えば、吸入デバイスは、そのライフサイクルを通じて、オフ状態に再び戻らなくてよい)。電子モジュールは、オフ状態から移行するときに内部カウンタをスタートさせるように構成されてよい。電子モジュールは、内部カウンタに基づいて、検知された吸入またはレバーの移動をタイムスタンプするように構成されてよい。
【0009】
レバーは、当該レバーが第1の位置から第2の位置に動かされたときに、フレキシブルストリップ上の1用量の薬剤を前進させるように構成されてよい。さらに、いくつかの例では、ボディはマウスピースカバーを含んでよく、レバーはマウスピースカバーの一部であってよい。例えば、レバーは、マウスピースカバーが閉位置から開位置に動かされてマウスピースを露出させるときに、第1の位置から第2の位置に動くように構成されてよい。さらに、いくつかの例では、ボディが2つ以上の薬剤用のフレキシブルストリップを含んでよく、各フレキシブルストリップは、異なる薬剤を含んでよい。したがって、そのような例では、レバーは、フレキシブルストリップのそれぞれからの薬剤がマウスピースを通してユーザに利用可能になるように、当該レバーが第1の位置から第2の位置に動くとき複数のフレキシブルストリップを前進させるように構成されてよい。
【0010】
電子モジュールがアクティブ状態のとき、電子モジュールは、以下のうちの少なくとも1つを実行するように構成されてよい:レバーが第1の位置から第2の位置に動かされた後、吸入器内の1つまたは複数の気圧を測定すること;測定された少なくとも1つの気圧に基づいて吸入パラメータを割り出すこと;吸入パラメータをローカルメモリに格納すること;外部デバイスに通知すること;および、吸入パラメータを外部デバイスに送信すること。電子モジュールは、オフ状態またはアクティブ状態にないときにスリープ状態にあるように構成されてよい。電子モジュールは、圧力センサから受信した1つまたは複数の気圧測定値が、所定の時間の間、所定の範囲内に入らないことを当該電子モジュールが判定すると、アクティブ状態からスリープ状態に変化するように構成されてよく、所定の時間は内部カウンタに基づくものでよい。電子モジュールは、レバーが第1の位置から第2の位置に動かされ、かつ、1つまたは複数の気圧測定値が所定の時間内に所定の範囲内にないとき、タイムアウトイベントおよび関連するタイムスタンプを格納するように構成されてよい。
【0011】
電子モジュールのセンサシステムは、レバーが第1の位置から第2の位置に動かされた後に吸入器内の少なくとも1つの気圧を測定し得る圧力センサを含んでよい。圧力センサは、所定の期間、または、所定のイベントが検出されるまで測定を行うように構成されてよい。電子モジュールは、少なくとも1つの測定された気圧に基づいて、1つまたは複数の吸入パラメータ(例えば、気流メトリック)を割り出すように構成されたプロセッサを含んでよい。
【0012】
吸入パラメータは、ピーク流量、平均流量、ピーク流量までの時間、吸入された体積、吸入持続時間などを含んでよい。吸入パラメータは、ユーザの吸入の質または強度、したがって、1用量全部の薬剤が送達された程度を示し得る。吸入パラメータはまた、吸入デバイスを使用するときの患者の技術も示し得る。例えば、吸入パラメータは、患者がデバイスから吸入しているかまたはデバイス内に呼息しているか、および/または、流路の一部が遮断または閉塞されているかどうかを示し得る。吸入パラメータは、タイムスタンプされ、メモリに格納されてよい。電子モジュールは、当該電子モジュールによって生成され、処理され、および/または格納されたデータの一部または全部を、スマートフォンなどの外部デバイスに通信するように構成されてよい。外部デバイスは、受信したデータを処理し、とりわけ、吸入デバイスに関するユーザのコンプライアンスおよび/またはアドヒアランスを示す情報を表示するためのソフトウェアを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
図2Bは、
図1Aの例示の吸入デバイスの内部断面斜視図である。
【0017】
図3A‐Dは、カバーが閉位置から開位置に動かされる際の
図1Aの吸入デバイスの斜視図である。
【0018】
図4は、
図1Aの例示の吸入デバイスの分解斜視図である。
【0019】
図5は、組み込まれた電子モジュールを有する
図1Aの吸入デバイスの内部断面斜視図である。
【0020】
図6Aおよび
図6Bは、
図1Aの吸入デバイスに関連する1つまたは複数の電力状態および/または動作モードの間で移行するための例示のプロセスを示すフローチャートを含む。
【0021】
図7は、
図1Aの吸入デバイスを含む例示のシステムのダイアグラムである。
【0022】
図8は、
図1Aの吸入デバイスの例示の圧力プロファイルのダイアグラムである。
【0023】
図9は、
図1Aの吸入デバイスのインジケータの様々な状態の例示のフローチャートである。
【0024】
[詳細な説明]
本開示は、薬送達デバイスに関連する使用状況およびパラメータを検知、追跡、および/または、処理するためのデバイス、システム、および、方法を説明する。デバイス、システム、および、方法は、ユーザの肺に薬剤を送達するための呼吸作動式吸入デバイスと関連付けて説明される。しかし、説明された解決策は、注射器、定量吸入器、ネブライザー、経皮パッチ、または、移植可能物などの他の薬送達デバイスに等しく適用可能である。
【0025】
図1Aは、例示の吸入デバイス400の斜視図である。
図1Bは、例示の吸入デバイス400の正面斜視図である。
図2Aは、例示の吸入デバイス400の内部断面図である。
図2Bは、フレキシブルストリップ401が内部に設置されていない例示の吸入デバイス400の内部断面斜視図である。
図3A‐Dは、カバー491が閉位置から開位置に動かされる際の吸入デバイス400の斜視図である。
図4は、例示の吸入デバイス400の分解斜視図である。
【0026】
吸入デバイス400は、吸入デバイス400の内部に取り付けられたフレキシブルストリップ401を含んでよい。フレキシブルストリップ401は、複数のポケット402を規定してよく、その各々は、吸入することができる1用量の薬剤を粉末の形態で含む。ストリップ401は、ポケット402を規定するようにブリスターが形成されたベースシート403と、蓋シート44とを含んでよく、当該蓋シートは、蓋シートとベースシートを剥がして分離できるように、ブリスターの領域を除いてベースシート403に気密にシールされている。シートは、好ましくは互いに全くシールされていないそれらの前端部分を除いて、それらの全幅にわたって互いにシールされている。蓋シートおよびベースシートは、それぞれ、好ましくはプラスチック/アルミニウムラミネートから形成され、蓋シートおよびベースシートは、好ましくはヒートシールによって互いに接着される。例として、蓋材料は、50gsm晒クラフト紙/12ミクロンポリエステル(PETP)フィルム/20ミクロン軟質テンパーアルミニウム箔/9gsmビニル剥離可能ヒートシールラッカー(PVCにシール可能)からなるラミネートでよく、基材は、100ミクロンPVC/45ミクロン軟質テンパーアルミニウム箔/25ミクロン配向ポリアミドからなるラミネートでよい。蓋材料のラッカーは、ベース材料のPVC層にシールされて、蓋シートとベースシートとの間に剥離可能なシールを提供する。
【0027】
ストリップ401は、ストリップの長さに対して横方向に延びる細長いポケットを含んでよい。細長いポケットは、多数のポケットが所与のストリップ長さ内に設けられることを可能にし得る。ストリップは、例えば、60個又は100個のポケットを備えてよいが、ストリップが任意の適切な数のポケットを有してよいことが、理解されるであろう。
【0028】
吸入デバイス400は、フレキシブルストリップ401を受けるように構成されている。蓋シート404は、歯付きホイール471から上方に延在する柱471aにわたる係合のために、その先端に形成されたループ404aを有する。ベースシートは、ベース巻取りホイール470に形成されたスロット470a内への係合ために、減少幅の先端部分403aを有する。ベースシートと蓋シートの先端部は、互いにシールされていなくてよい。
【0029】
吸入デバイス400は、ボディ410を含んでよい。ボディ410は、ベース410aおよび頂部410bを含んでよく、両方とも概ね円形である。デバイス400が組み立てられると、ベースと頂部とが互いにスナップ嵌めされる。ボディは、単一の内部チャンバを規定し、その内部に、ストリップ401が収容され、かつ、その内部に、蓋シート404の使用済み部分を巻き取るためのホイール414、ベース巻取りホイール470、および、インデックスホイール416(および、例えば、本明細書に記載されるような電子モジュール)も収容される。インデックスホイール416は中空であり、その中にインデックスラチェットホイール422が収容されている。すべてのホイールは、ボディによって規定されたチャンバ内に取り付けられ、それに対して回転運動可能であってよい。歯止め470bが、ボディ410に取り付けられ、ベース巻取りホイール470の歯と係合して、ホイールが反時計回りに動くのを防止し、したがって、ストリップ401がデバイスを通じて前方にだけ進むことができることを確実にする。
【0030】
蓋巻取りホイール414は、2つの部分、すなわち、歯472およびシャフト473を有する歯付きホイール471と、中空の中央シャフト475および中央シャフト475からそれぞれ半径に対してある角度で延在する複数の弾性アーム476(例えば、図示のように、8つのこのようなアーム)を有する折畳可能なホイール474と、で形成されてもよい。歯付きホイール471は、ラグ477を有し、当該ラグは、ホイール471および474が一体となって回転するように、シャフト475の対応するノッチに係合してよい。中空のインデックスホイール416は、ベース巻取りホイール470の歯およびホイール471の歯と噛み合う外歯478を有する。ラチェット歯479が、インデックスホイール416の内壁に形成され、インデックスラチェットホイール422は、ラチェット歯479と係合する2つのつめ480を有する。
【0031】
吸入デバイス400は、マニホールド486を含んでよい。マニホールド486は、ボディ410内のチャンバとマウスピース420との間の連通を提供してよい。マニホールド486は、例えば使用済み蓋ストリップ404が折畳可能なホイール474まで通ることを許容にするために、パウダー出口419及び通路487を含んでよい。パウダー出口419は、マウスピース420と、フレキシブルストリップ401上の1用量の薬剤との間の流体連通を提供してよい(例えば、それにより、ユーザがマウスピース420を通して1用量の薬剤を吸入し得る)。ローラ488が、ストリップ404を通路487内に案内するために設けられてよい。
【0032】
吸入デバイス400はまた、レバー424を含んでもよい。レバー424は、フィンガータブ482を有する弓形壁481と、壁481から内側に延在し、その末端に、歯484の弓形の列を担持するアーム483とを規定してよい。レバー424は、歯484のピッチ円の中心にある軸の周りの運動のために、ベース410aの中心に旋回可能に取り付けられてよく、歯484は、インデックスラチェットホイール422上の歯485と噛み合う。レバー424は、当該レバー424のアクチュエート前に弓形壁481がパウダー出口419を覆う「閉」位置にあるように、かつ、当該レバー424のアクチュエート後に弓形壁481がもはやパウダー出口419を覆わない、および/または、フレキシブルストリップ401が前進されて、1用量の薬剤がユーザへの送達のために準備(用意)される「開」位置にあるように構成されてよい。
【0033】
吸入デバイスは、歯490を有する用量監視リング489を含んでよい。用量監視リング489は、ボディのベース410a内で回転可能に配置されてよい。その下面において、これは、ボディ410の窓494を通してユーザが見ることができるしるし(図面では見えない)を有する。窓は、カバー491が閉じられているときおよび開かれているときの両方で見ることができる。しるしは、残された用量の数(例えば、または使用された用量の数)を正確にまたはおおよそで示す。リング489は、その歯490がインデックスホイールの歯478と係合されていることによって回転される。
【0034】
吸入デバイス400は、カバー491を備えてよい。カバー491は、ボディの頂部410b上のラグ492およびボディのベース410a上の対応するラグ493によって、ボディ410上に旋回可能に取り付けられてよい。カバー491は、本明細書に記載されるように、マウスピースが露出される開位置と、マウスピースが露出されない閉位置との間で旋回可能であってよい。さらに、カバー491を閉位置から開位置に動かすことにより、レバー424をユーザによるアクチュエートのために露出させてよい。カバー491は、ボディ410の外周の周りに回転可能でよく、ボディ410は円形または楕円形でよい。
【0035】
レバー424のアクチュエートは、フレキシブルストリップ401を前進させ、1用量の薬剤をユーザのために準備し得る。例えば、動作において、ユーザはカバー491をその開位置に動かし、次いで、レバー424のフィンガータブ482を押して(例えば、レバー424をアクチュエートして、レバー424を当該レバー424が旋回するように動かしてよい。レバー424のアクチュエートは、インデックスラチェットホイール422を回転させ、これは、つめ480を介して、インデックスホイール416も回転させる。インデックスホイール416の回転は、ベース巻取りホイール470と蓋巻取りホイール414の両方の回転を生じさせ、したがって、マニホールド486内のパウダー出口419の端と反対側の未だ開かれていないポケット402を露出させるのに十分な距離にわたってベースシートと蓋シートとを剥がして離す。次いで、患者は、マウスピース420を通じて吸入することができる。
【0036】
デバイスの動作の連続する段階が、
図3A‐3Dに示されている。吸入デバイス400は、
図3Aのその閉位置にあってよい。レバー424のフィンガータブ482は、この段階では、ボディ410に形成された凹部482b内にある(例えば、
図3Bおよび
図3Cでより明確に見ることができる)。カバー419は、ボディ410が反時計回りに回転される際に静止状態で保持されてよく、凹部410cが、ボディの周囲に設けられて、ユーザがこの目的のために指を挿入することを可能にする。したがって、デバイス400は、
図3Bに示される部分開位置に動かされる。この過程の間、レバー424は、カバー491に対して静止したままである。これは、レバー424の内部に弾性アーム424aが設けられ、その先端424bがカバー491の凹部491a内に係合することによって達成される。アーム424aは、円筒部材424cを介してレバー424に取り付けられている。
図3Aに見られるように、アーム424aは、部材424cから約90°の弧にわたって反時計回りに延在する。円筒部材424cは、ボディ410に形成された弓形スロット410d内に案内される。スロット410dは、約180°の円弧状に延在し、
図3Aでは、部材424cが、その長さに沿ってほぼ中間にあるところが示されている。
図3Bでは、それが一端にあるところが示されている。
【0037】
ユーザは、ボディ410を、
図3Bに示される位置から
図3Cに示される位置に回転させ続けてよい。この更なる回転の間、アーム424aの先端424bは、凹部491aから飛び出す。これが起こるのは、部材424cがスロット410dの一端にある状態で、ボディ410の運動が、部材424cをそれと共に反時計回り方向に運び、したがってアーム424aを同様に反時計回りに動かすことを強いるからである。次いで、ユーザは、フィンガータブ482を押すことによってレバー424を動かし、フィンガータブ482が凹部482bに再び入る
図3Dに示される位置に、
図3Cに示される位置を通って反時計回りに回転させる。これまでに説明されたステップは、マウスピース420を露出させ、かつ、フレキシブルストリップ401上の新しいブリスターを開く。したがって、デバイス400はユーザが吸入する準備ができている。使用後、ボディ410が時計回りに回転されて、レバー424がボディと一緒に動いて、デバイスを
図3Aの位置に戻す。
【0038】
より多くの蓋シートがホイール474に巻き付けられるにつれて、アーム476は徐々に内側に撓んでよく、そして、その効果は、巻き付けられた蓋シートのリールの外径を実質的に一定に保ちつつ、その内径を徐々に減少させることである。
【0039】
図5は、組み込まれた電子モジュール120を備え、フレキシブルストリップ401が内部に配置されていない吸入デバイス400の内部断面斜視図である。電子モジュール120は、ベース巻取りホイール470を取り囲む外壁452とベース410aの内壁454との間に存在するキャビティ450内に含まれてよい。凹部450内に配置されているが、電子モジュール120は、吸入デバイス400のキャビティ内のどこにでも組みこまれてよいことが、理解されるであろう。
【0040】
電子モジュール120は、プリント回路基板(PCB)アセンブリ122と、スイッチ(図示せず)と、電源(例えば、バッテリ126)とを含んでよい。PCBアセンブリ122は、センサシステム128、無線通信回路134、スイッチ、および、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)132などの1つまたは複数のインジケータなどの表面実装構成要素を含んでよい。さらに、マニホールド486の一部は、電子モジュール、より具体的にはセンサシステム128をより容易に見ることができるように、
図5の吸入デバイス400から取り外されていることに留意されたい。マニホールド486の一部は、
図5の吸入デバイス400には図示されていないが、
図5の吸入デバイス400は実際には、例えば
図2Bに示すように、マニホールド486全体を含むことができる。例えば、センサシステム128は、マニホールドの一部の後ろに存在し、パウダー出口419と流体連通してよい。
【0041】
電子モジュール120は、コントローラ(例えば、プロセッサ)および/またはメモリを含んでよい。コントローラおよび/またはメモリは、PCB122とは物理的に別の構成要素でよい。あるいは、コントローラおよびメモリは、PCB122上に取り付けられた別のチップセットの一部でよく、例えば、無線通信回路134は、電子モジュール120のためのコントローラおよび/またはメモリを含んでよい。電子モジュール120のコントローラは、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または任意の適切な処理デバイスもしくは制御回路を含んでよい。PCB122は、例えば、吸入デバイス400のキャビティ450内に存在し得るように、フレキシブルでよい。
【0042】
コントローラは、メモリからの情報にアクセスし、メモリにデータを記憶してよい。メモリは、取外不能なメモリおよび/または取外可能なメモリなど、任意のタイプの適切なメモリを含んでよい。取外不能なメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、または任意の他のタイプのメモリ記憶デバイスを含んでよい。取外可能なメモリは、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含んでよい。メモリは、コントローラの内部にあってよい。コントローラはまた、サーバまたはスマートフォン上など、電子モジュール120内に物理的に位置していないメモリからデータにアクセスし、その中にデータを格納してよい。
【0043】
センサシステム128は、例えば、1つまたは複数の圧力センサを含む1つまたは複数のセンサを含んでよい。1つまたは複数の圧力センサは、気圧計センサ(例えば、気圧センサ)、差圧センサ、絶対圧力センサなどを含んでよい。センサは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)および/またはナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)技術を採用してよい。センサシステム128は、瞬間的な圧力値を電子モジュール120のコントローラに提供するように、および/または、時間にわたり集約された圧力値を提供するように構成されてよい。センサシステム128は、吸入デバイス400の流路(例えば、マウスピース420から、パウダー出口419を通り、マニホールド486を横切る)の外側に存在してよい。代わりに、センサシステム128は、吸入デバイス400の流路内に存在してよい。
【0044】
上述のように、いくつかの例において、センサシステム128は、気圧センサを含んでよい。したがって、センサシステム128は、吸入デバイス400内の複数の気圧を測定するように構成されてよい。吸入デバイス400内の気圧は、吸入デバイス400が使用されていないとき、吸入デバイス400外の気圧と同じであってもよく、また、これに近くてもよいことが、理解されるであろう。しかしながら、ユーザがマウスピース420から吸入したとき、ユーザの吸入は、吸入デバイス400内の気圧を低下させ得る。逆に、マウスピース420への呼息は、吸入デバイス400内の気圧を上昇させ得る。両場合において、吸入デバイス400内の気圧は、吸入デバイス400の外部の気圧とは異なっていてよい。したがって、吸入または呼息に関連する特定のパラメータまたはメトリックは、吸入または呼息から生じる気圧の変化を比較することによって割り出され得る。
【0045】
スイッチは、吸入デバイス400の1つまたは複数の構成要素によって作動(アクティブ化)されてよい。例えば、スイッチは、レバー424が閉位置から開位置に動かされて、例えばパウダー出口419を露出させ、および/または1用量の薬剤を準備するとき、作動されてよい。例えば、スイッチは、レバー424の弓形壁481がユーザによってアクチュエートされたときにスイッチを作動させるように、PCB122上およびマニホールド486の外面上に位置されてよい。例えば、弓形壁481がパウダー出口419を覆っているとき(例えば、レバー424が閉位置にあるとき)、スイッチは押圧されてよく、ユーザがレバー424のフィンガータブ482を押して、それを動かし(例えば、レバー424を開位置に旋回させ)、パウダー出口419を露出させ、および/または、1用量の薬剤を準備するとき、押圧解除されてよい。スイッチの押圧解除は、スイッチを作動させてよい。レバー424のアクチュエートと関連付けて説明されているが、スイッチは、吸入デバイス400の他の構成要素を用いてアクチュエートされてよい。例えば、スイッチは、マウスピースカバー491の運動によってアクチュエートされてよく、例えば、それにより、スイッチは、マウスピースカバー491が閉じられたときに作動されず、マウスピースカバー491を開くことによって作動される。
【0046】
電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128から圧力測定値に対応する信号を受信してよい。コントローラは、センサシステム128から受信した信号を用いて、1つまたは複数の吸入パラメータ(例えば、ピーク流量、ピーク流量までの時間、吸入された体積、吸入持続時間など)を計算または割り出してよい。吸入パラメータ(例えば、空気流メトリック)は、吸入デバイス400の流路を通る気流のプロファイルを示し得る。例えば、センサシステム128が0.393キロパスカル(kPA)の圧力変化を記録する場合、電子モジュール120は、この変化が流路を通る約40リットル/分(Lpm)の空気流量に対応すると、判定することができる。表1は、様々な圧力測定値に基づく空気流量の例を示す。表1に示される空気流量およびプロファイルは単なる例示であり、割り出された流量は吸入デバイス400およびその構成要素のサイズ、形状、および、設計に依存し得ることが理解されるであろう。さらに、
図8は、
図1Aの吸入デバイスの例示の圧力プロファイルの図である。
[表1]
【0047】
上述の通り、電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128から圧力測定値に対応する信号を受信し、それに応じて1つまたは複数の吸入パラメータを演算または割り出してよい。吸入パラメータは、吸入/呼息の平均流量、吸入/呼息のピーク流量(例えば、受けられた最大吸入)、吸入/呼息の体積、吸入/呼息のピークまでの時間、および/または、吸入/呼息の持続時間のうちの1つまたは複数を含んでよい。吸入パラメータはまた、流路を通る流れの方向を示してもよい。すなわち、圧力の負の変化は、マウスピース420からの吸入に対応し得るものであり、圧力の正の変化は、マウスピース420への呼息に対応し得る。吸入パラメータを計算するとき、電子モジュール120は、環境条件によってもたらされるあらゆる歪みを除去または最小化するように構成されてよい。例えば、電子モジュール120は、吸入パラメータを計算する前又は後の気圧の変化を考慮するために、「ゼロアウト」してよい。1または複数の圧力測定値および/または吸入パラメータは、タイムスタンプされ、電子モジュール120のメモリに格納されてよい。
【0048】
電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128から受信された信号および/または割り出された吸入パラメータを、例えば、吸入デバイス400がどのように使用されているか、および/または、その使用が1用量全部の薬剤の送達をもたらすであろうかどうかの評価の一部として、1つまたは複数の閾値または範囲と比較してよい。例えば、割り出された吸入パラメータが、特定の閾値未満の空気流量を有する吸入に対応する場合、電子モジュール120は、吸入デバイス400のマウスピース420からの吸入がなかったか、または、不十分な吸入があったと判定してよい。割り出された吸入パラメータが、特定の閾値を超える空気流量を有する吸入に対応する場合、電子モジュール120は、マウスピース420からの過剰な吸入があったと判定してよい。割り出された吸入パラメータが、特定の範囲内の空気流量を有する吸入に対応する場合、電子モジュール120は、吸入が、「良好」である、または、1用量全部の薬剤が送達されることをもたらすであろう、と判定してよい。上述のように、電子モジュール120は、LEDなどのインジケータを含んでよい。インジケータは、ユーザに、ユーザの吸入デバイス400の使用に関するフィードバックを提供するように構成されてよい。したがって、一例では、LED132は、吸入パラメータが良好な吸入に対応する、または、吸入なしに対応する場合に、点灯してよく、または、カラーを変化させてよい。吸入パラメータは、同様に(例えば、部分的にまたは完全に)外部デバイスを介して演算および/または評価されてもよい。
【0049】
より具体的には、電子モジュール120の無線通信回路134は、トランスミッタおよび/またはレシーバ(例えば、トランシーバ)、ならびに、追加の回路を含んでよい。例えば、無線通信回路134は、Bluetooth(登録商標)チップセット(例えば、Bluetooth Low Energyチップセット)、ZigBeeチップセット、Threadチップセットなどを含んでよい。したがって、電子モジュール120は、圧力測定値、吸入パラメータ、および/または、吸入デバイス400の使用に関連する他の状態などのデータを、スマートフォンを含む外部デバイスに無線で提供してよい。外部デバイスは、受信した情報を処理するための、かつ、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して吸入デバイス400のユーザにコンプライアンスおよびアドヒアランスのフィードバックを提供するためのソフトウェアを含んでよい。
【0050】
バッテリ126は、PCB122の構成要素に電力を供給してよい。バッテリ126は、例えばコインセルバッテリのような、電子モジュール120に電力を供給するための任意の適切な電源であってよい。バッテリ126は、再充電可能であっても、再充電不可能であってもよい。バッテリ126は、バッテリホルダ(図示せず)によって収容されてよい。バッテリホルダは、バッテリ126がPCB122との連続的な接触を維持するように、かつ/または、PCB122の構成要素と電気的に接続されるように、PCB122、ベース410aの内壁454、および/または、同様のものに固定されてよい。バッテリ126は、当該バッテリ126の寿命に影響を及ぼし得る特定のバッテリ容量を有してよい。以下でさらに説明するように、バッテリ126からPCB122の1つまたは複数の構成要素への電力の分配は、吸入デバイス400および/またはその中に含まれる薬剤の有効期限(有効寿命)にわたってバッテリ126が電子モジュール120に電力を供給することができることを確実にするように管理されてよい。
【0051】
図示されていないが、1つまたは複数の例では、吸入デバイス400が、薬剤用のフレキシブルストリップを複数含んでよい。例えば、吸入デバイス400は、2つの異なるタイプの薬剤用の2つのフレキシブルストリップを含んでよく、レバー424は、両方の薬剤用のフレキシブルストリップを(例えば、同時に又は連続して)前進させるように構成されてよい。さらに、レバー424のアクチュエートは、各フレキシブルストリップのベースシートおよび蓋シートが引き離されて、薬剤用のフレキシブルストリップのそれぞれから、未だ開かれていないポケットを露出させるように、両方の薬剤用のフレキシブルストリップを前進させてよい。各フレキシブルストリップのポケットから放出されたパウダー薬剤は、マウスピース420を通じた患者による吸入のために、吸入デバイスのボディの内部の混合チャンバに送られ得る。したがって、吸入デバイス400は、別々に格納されるが、放出され、組み合わされた1つの薬剤として患者に送達される異なるタイプの薬剤を提供し得る。
【0052】
さらに、吸入デバイス400は、任意の数の薬剤用のフレキシブルストリップを含んでよく、例えば、吸入デバイス400は、任意の数の薬剤用のフレキシブルストリップからのポケットが1つまたは複数の段階で(例えば、レバー424の単一(一回)のアクチュエートによるなど、単一のアクチュエートの使用を通じて)開かれるように構成されてよいことが、理解されるであろう。例えば、吸入デバイス400は、アクチュエート(例えば、単一のアクチュエート)が第1および第2の薬剤用のストリップを前進させて、第1および第2の薬剤用のストリップのそれぞれのポケットを開き、その中の薬剤を組み合わせ得るように、そしてさらに、1つまたは複数の追加の薬剤用のストリップを前進させて、それぞれのポケットを開き、追加のストリップからの薬剤を、第1および第2のストリップからの組み合わされた薬剤と組み合わせ得るように構成されてよい。したがって、吸入デバイス400は、個々のタイプの薬剤を別々のフレキシブルストリップに保管しつつ、潜在的に2つ以上の段階で、任意の数のタイプの薬剤を単一の用量に組み合わせるように構成されてよい。
【0053】
さらに、いくつかの例では、吸入デバイス400が、マウスピース420をマウスピースカバー491の下から露出させること、パウダー出口419を露出させること、(例えば、1つまたは複数の薬剤用のフレキシブルストリップを前進させることによって)1用量の薬剤を準備すること、および/または、電子モジュール120のスイッチをアクチュエートして電子モジュール120の1つまたは複数の構成要素を作動(例えば、オン/オフに切り替える)させる(例えば、電子モジュール120の電力状態を変化させる)ことの任意の組合せを実行するための単一の機構を提供してもよいことが、理解されるであろう。例えば、マウスピースカバー491および/またはレバー424が、そのような機構であってよい。したがって、いくつかの例では、吸入デバイス400は、マウスピースカバー491の閉位置から開位置への運動によって、マウスピース420が露出されることを、1つまたは複数のパウダー出口419が露出されること、1用量の薬剤が準備され(例えば、1つまたは複数の薬剤用のフレキシブルストリップが前進させられ)ること、および/または、電子モジュール120のスイッチがアクチュエートされる(例えば、電子モジュール120の電力状態を変化させる)こと、とともに、もたらすように構成されてもよい。そのような例では、レバー424の機能がマウスピースカバー491によって実行され得るので、吸入デバイス400がレバー424を含まなくてよい。あるいは、例えば、レバー424は、マウスピースカバー419が動かされてマウスピース420を露出させるときにレバー424が動くように、マウスピースカバー491の一部であってよい。さらに、いくつかの例では、吸入デバイス400の任意の他の構成要素(例えば、レバー424)は、マウスピース420をマウスピースカバー491の下から露出させること、パウダー出口419を露出させること、(例えば、1つまたは複数のフレキシブルな薬剤ストリップを前進させることによって)1用量の薬剤を準備すること、および/または、電子モジュール120のスイッチをアクチュエートさせることの任意の組合せをもたらすように、構成されてよいことが、理解されるであろう。
【0054】
電子モジュール120は、複数の電力状態を有し、その各々がそれぞれの電力消費レベルを有してよい。例えば、電子モジュール120は、システムオフ状態、スリープ状態、および/または、アクティブ状態で動作するように構成されてよい。システムオフ状態は、電力消費が非常に少ないかまたは全くないことを特徴としてよく、一方、スリープ状態は、オフ状態よりも大きな電力消費を特徴としてよく、そして、アクティブ状態は、スリープ状態よりも大きな電力消費を特徴としてよい。電子モジュール120が、アクティブ状態にある間、電子モジュールは、測定モード、データ格納/データ処理モード、通知モード、および/または、接続モードなどの1つまたは複数のモードで動作してよい。電子モジュール120が一度に複数のモードで動作してもよい(例えば、モードが重複してよい)ことが、理解されるであろう。例えば、以下でより詳細に説明される通り、電子モジュール120は、測定モードおよびデータ格納/データ処理モードで、離散時間でまたは同時に動作してよい。すなわち、電子モジュール120は、データを処理/格納する前に全ての測定を実行してよく、または、電子モジュール120は、データ処理/格納を実行しつつ、同時に追加の測定も実行してもよい(例えば、電子モジュール120は、いずれかが完了する前に、測定モードとデータ格納/データ処理モードとの間で切り替わってよい)。
【0055】
システムオフ状態では、電子モジュール120は、その他の電力状態(例えば、スリープ状態およびアクティブ状態)に関連して最小量の電力を消費してよい。特に、電子モジュール120は、最小量の電力を使用して、コントローラ上の特定の1つのピン(または複数のピン)を監視しているが、センサシステム128、無線通信回路134(例えば、Bluetooth無線)、およびメモリなどの他の構成要素の電源は切られていてよい。コントローラ上のピンは、スイッチのアクチュエートがピン上に特定の基準信号をもたらし得るように、スイッチと電気的に接続されてよい。基準信号は、コントローラがオフ状態から移行することを引き起こしてよい。
【0056】
オフ状態は、吸入デバイス400が組み立てられた又は製造された後の電子モジュール120の初期状態でよい。したがって、電子モジュール120は、吸入デバイス400がユーザに送達される前、および/または、レバー424が閉位置から開位置に動かされる前(例えば、ユーザによる吸入デバイス400の最初の使用前)に、オフ状態にあってよく、このレバー424の運動は、例えば、パウダー出口419を露出させてよく、および/または、最初に開けられた1用量の薬剤を準備してよい。さらに、いったん、レバー424が初めてアクチュエートされると、電子モジュール120は、その後にオフ状態に戻らなくてよい。いくつかの例では、コントローラは、電子モジュール120が初めてオフ状態を出たときにその内部クロック(例えば、内部カウンタ)をスタートさせてよく、電子モジュール120によって生成される任意のタイムスタンプデータは、コントローラの内部クロックに基づく相対時間としてよい。したがって、内部クロックは、電子モジュール120がオフ状態から出るときにスタートするカウンタとして機能し得る。代替的に又は追加的に、コントローラは、実際の時間(例えば、2017年11月18日のESTの午後4時5分)を知る内部システムクロックを含んでよく、タイムスタンプデータは、実際の時間を含んでよい。そのような例では、コントローラは、そのリアルタイムクロックオシレータを稼動させるために、かつ、そのシステムクロックをアップデートするために、オフ状態で電力を使用してよい。
【0057】
上述のように、電子モジュール120がアクティブ状態である間、電子モジュール120は、測定モード、データ格納/データ処理モード、通知モード、および/または、接続モードなどの1つまたは複数のモードで動作してよい。スリープ状態では、スイッチおよびコントローラがバッテリ126から電力を受け続けてよく、コントローラは、そのオシレータを稼動させ続け、そのシステムクロックを定期的にアップデートしてよい(例えば、電子モジュール120が最初にオフ状態から出たときにスタートした内部カウンタを増分させ続けてよい)。いくつかの例では、コントローラは、250μsごとにシステムクロックを定期的にアップデートしてよい。
【0058】
さらに、スリープ状態にある間、コントローラは、バッテリ126から電力を受け続けて、電子モジュール120の1つまたは複数の追加の構成要素を制御してよい。例えば、通知モードの間、コントローラは、データが吸入デバイス400に格納されかつ無線ダウンロードで利用可能であることを、外部デバイスに無線で「アドバータイズ」(通知)するために、定期的に通信回路134の電源をオンにしてよい。通信回路134は、(例えば、アクティブ状態の間にパケットが送信され得るインターバルと比較して)、スリープ状態のときに電子モジュール120の電力消費を管理するのに適した任意のインターバルで通知パケットを送信してよい。例えば、通知パケットは、電子モジュール120がスリープ状態で動作しているとき、10秒毎に送信されてよい。電子モジュール120は、他の電力状態のいずれよりも多くの時間をスリープ状態に費やしてもよいことが理解されるであろう。したがって、所与の通知レートで、電子モジュール120は、吸入デバイス400の寿命にわたって最も多くの電力をスリープ状態で消費してよい。
【0059】
測定モードでは、電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128の電源をオンにしてよい。コントローラは、レバー424が閉じられる(例えば、閉じられてパウダー出口419を覆う)まで、および/または、圧力の変化が検出されなくなるまで、センサシステム128に、所定の期間(例えば、60秒まで)、圧力測定値を取得させてよい。コントローラは、電力をさらに節約するために、センサシステム128が圧力測定値を取り込んでいる間に、電子モジュール120の1つまたは複数の構成要素をオフにしてよい。センサシステム128は、任意の適切なレートで圧力をサンプリングしてよい。例えば、センサシステム128は、100Hzのサンプリングレートを、したがって10ミリ秒のサイクル時間を有してよい。センサシステム128は、測定サイクルが完了した後に、測定完了割込みを発生させてよい。割込みは、コントローラを「ウェイク」するか、または、コントローラに、電子モジュール120の1つまたは複数の構成要素をオンさせてよい。例えば、センサシステム128が圧力測定値をサンプリングした後またはする間に、コントローラは圧力測定データを処理および/または格納し、測定が完了すると、センサシステム128の電源をオフにしてよい。
【0060】
データ格納/データ処理モードでは、コントローラは、電子モジュール120内のメモリの少なくとも一部の電源をオンにしてよい。コントローラは、センサシステム128からの値を処理して、吸入パラメータを割り出し、当該吸入パラメータをメモリに格納してよい。コントローラはまた、値および/または吸入パラメータを、1つまたは複数の閾値または範囲と比較して、吸入デバイスがどのように使用されているか(例えば、圧力値が、吸入なし、「良好な」吸入、呼息などに対応するかどうか)を評価してもよい。比較の結果に応じて、コントローラは、インジケータを駆動して、吸入デバイス400のユーザにフィードバックを提供してよい。上述したように、電子モジュール120は、測定モード及びデータ格納/データ処理モードで同時に動作してよい。
【0061】
通知モードでは、コントローラは、通信回路134(例えば、Bluetooth無線)の電源をオンにして、データが吸入デバイス400から利用可能であり当該データの無線ダウンロードの準備ができていることを外部デバイスに通知してよい。通知パケットは、通知モード時の電子モジュール120の電力消費を管理するのに適した任意の間隔および任意の継続時間で送信されてよい。例えば、通信回路134は、3分間、100ミリ秒(ms)毎に通知パケットを送信してよい。さらに、通知レートは電子モジュール120の特定の条件に基づいて変化してもよいことが、理解されるであろう。例えば、通知レートは、測定及びデータ処理/格納が行われた後に「高速」であってよく(例えば、パケットは100ms毎に送信される)、一方、通知レートは、電子モジュール120がスリープ状態から他の状況に移行しているときには(例えば、測定及びデータ処理/格納が行われた直後ではない)、「低速」であってよい(例えば、パケットは10秒毎に送信される)。
【0062】
接続モードでは、通信回路134およびメモリの電源がオンにされてよく、電子モジュール120が、スマートフォンなどの外部デバイスと「ペアリング」されてよい。コントローラは、メモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに無線で送信してよい。コントローラは、メモリに現在格納されているデータのすべてを取り出し、送信してよい。コントローラはまた、メモリに現在格納されているデータの一部を取り出し、送信してもよい。例えば、コントローラは、どの部分が既に外部デバイスに送信されているか判定することができ、それから、以前に送信されていない部分を送信することができてよい。代わりに、外部デバイスは、特定の時間の後にまたは外部デバイスへの最後の送信の後に電子モジュール120によって収集された任意のデータなど、コントローラから特定のデータを要求してよい。コントローラは、もしあれば、メモリから特定のデータを取り出し、その特定のデータを外部デバイスに送信してよい。
【0063】
電子モジュール120は、レバー484の位置、マウスピースカバー491の位置、および/または、所定の期間の経過など、特定の条件またはイベントに基づいて、電力状態および/または動作モードの間で移行してよい。例えば、マウスピースカバー491が閉じられ、そして、電子モジュール120がオフ状態またはスリープ状態にあってよい。カバー491が開かれた後、レバー424がアクチュエートされてよく(例えば、閉位置から開位置に動かされて、パウダー出口419を露出させかつ1用量の薬剤を準備してよく)、これは、スイッチをアクチュエートさせてよい。例えば、上述したように、スイッチは、レバー424の弓形壁481がユーザによってアクチュエートされたときスイッチを作動させるように、マニホールド486の外面に配置されてよい。例えば、スイッチは、弓形壁481がパウダー出口419を覆っているときに押圧され、ユーザがレバー424のフィンガータブ482を押して、それを動かして(例えば、レバー424を旋回させて)、パウダー出口419を露出させ、かつ/または1用量の薬剤を準備するときに、押圧解除されてよい。スイッチの押圧解除が、スイッチをアクチュエートさせてよい。レバー424のアクチュエートに関連して説明されているが、スイッチは、吸入デバイス400の他の構成要素を用いてアクチュエートされてよい。例えば、スイッチは、マウスピースカバー491の運動によってアクチュエートされてよく、例えば、マウスピースカバーが閉じられるときスイッチはアクチュエートされず、マウスピースカバー491が開くことによってアクチュエートされてよい。スイッチのアクチュエートにより、電子モジュール120が、ある状態(例えば、システムオフ状態またはスリープ状態)から別の状態(例えば、アクティブ状態)に移行してよい。さらに、スイッチのアクチュエートにより、電子モジュール120が、測定モードおよび/またはデータ格納/データ処理モードなど、1つまたは複数の動作モードで動作し始めてよい。例えば、
図6A-Bは、吸入デバイス400に関連する1つまたは複数の電力状態および/または動作モードの間で移行するための例示のプロセスを示す例示のフローチャート200を示す。
【0064】
図6A-Bは、吸入デバイス400に関連する1つまたは複数の電力状態および/または動作モードの間で移行するための例示の手順200を示す。吸入デバイス400に関連して説明されているが、任意の吸入デバイスが手順200を実行してよい。吸入デバイス400の電子モジュール120は、手順200が開始すると、202でオフ状態にあってよい。マウスピースカバー491は、閉位置にあってよく、ユーザは電子モジュール120が202でオフ状態にあるときレバー424を初めてアクチュエートさせていなくてよい。本明細書で述べられるように、オフ状態は、電子モジュール120による電力消費がほとんどまたは全くないことを特徴としてよい。204において、電子モジュール120はレバー424が第1の、閉位置から、第2の、開位置に動かされたどうか(例えば、レバー424がアクチュエートされたかどうか)を判定してよい。電子モジュール102がレバー424が開位置にまで動かされていないと判定した場合、電子モジュール120は、202でオフ状態に在留してよい。
【0065】
204において、電子モジュール120がレバー424が開位置にまで動かされたと判定した場合、電子モジュール120は、206でシステムアクティブ状態に入ってよい。アクティブ状態はオフ状態(例えば、およびスリープ状態)よりも大きな電力消費を特徴としてよい。アクティブ状態にあるとき、電子モジュール120は、測定モード、データ格納/データ処理モード、通知モード、および/または接続モードなど1つまたは複数のモードで動作してよい。例えば、レバー424のアクチュエートによって、スイッチがアクチュエートされてよい。スイッチのアクチュエートによって、電子モジュール120がオフ状態からアクティブ状態に移行してよい。さらに、レバー424のアクチュエートは、フレキシブルストリップ401を前進させ、吸入のための使用のために1用量の薬剤を準備してよい。
【0066】
アクティブ状態にある間、そして、レバー424がアクチュエートされた後、電子モジュール120は、208で測定モードに入ってよい。測定モードの間、電子モジュール120は、センサシステム128の電源をオンにして、センサシステム128に、所定の期間(例えば、60秒まで)、および/または、マウスピースカバー491が閉じられるかまたは圧力の変化が検出されなくなるまで、圧力測定値を取得させてよい。
【0067】
いくつかの例では、電子モジュール120は、圧力測定サイクルが完了するまで、測定モードのままであってよい。圧力測定サイクルは、所定の期間および/または特定のイベントが検出されるまで続いてよい。例えば、圧力測定サイクルは、マウスピースカバー491が閉じられた、および/または、レバー424がスイッチから離れた場合であっても、60秒間まで続いてよい。代わりに、圧力測定サイクルは、60秒間まで、または、マウスピースカバー491が閉じられるまで、または、圧力の変化が10秒間検出されなくなるまで、どれが最初に来るかにかかわらず、続いてよい。前述の条件は単なる例であり、任意の適切な基準を使用できることが、理解されるであろう。
【0068】
212において、電子モジュール120は、データ処理/データ格納モードに入ってよい。データ処理/データ格納モードの間、電子モジュール120は、電子モジュール120内のメモリの少なくとも一部の電源をオンにしてよい。電子モジュール120は、センサシステム128からの値を処理して、吸入パラメータ/メトリックを割り出し、吸入パラメータ/メトリックをメモリに格納してよい。電子モジュール120はまた、測定値および/または吸入パラメータ/メトリックを、1つまたは複数の閾値または範囲と比較して、吸入デバイスがどのように使用されているか(例えば、圧力値が、吸入なし、「良好な」吸入、呼息などに対応するかどうか)を評価してよい。比較の結果に応じて、電子モジュール120は、インジケータを駆動して、吸入デバイス400のユーザにフィードバックを提供してよい。
【0069】
手順200によって図示されていないが、電子モジュール120は、測定モードおよびデータ格納/データ処理モードで同時に動作してよい。例えば、電子モジュール120は、測定モードとデータ処理/データ格納モードとの間で切り替わって(例えば、定期的に切り替わって)よい。例えば、電子モジュール120が圧力測定値を受けた後または受けている間に、電子モジュール120は、圧力測定データを処理および/または格納してよい。
【0070】
電子モジュール120は、センサシステム128からの圧力測定値を処理し、格納するために、所定の期間、データ格納/データ処理モードのままであってよい。例えば、電子モジュール120は、60msまでの間、データ格納/データ処理モードのままであってよい。電子モジュール120は、例えば、50msまでを使用して、圧力測定値から吸入パラメータを処理しかつ演算し、10msまで使用して、圧力測定値および/または吸入パラメータをメモリに格納してよい。あるいは、電子モジュール120は、コントローラが圧力測定値および/または空気流量メトリックを処理し、格納するのに要する時間が何であれ、データ格納/データ処理モードのままであってよい。
【0071】
電子モジュール120は、216で通知モードに入ってよい。例えば、電子モジュール120は、データ処理およびデータ格納のための所定の期間が経過した後、または、コントローラがそのような処理および格納が完了したと判定した後、通知モードに入ってよい。通知モードの間、電子モジュール120は通信回路134(例えば、Bluetooth無線)の電源をオンにして、データが吸入デバイス400から利用可能であり当該データの無線ダウンロードの準備ができていることを外部デバイスに通知してよい。通知パケットは、通知モード時の電子モジュール120の電力消費を管理するのに適した任意の間隔および任意の継続時間で送信されてよい。例えば、通信回路134は、3分間、100ミリ秒(ms)毎に通知パケットを送信してよい。さらに、通知レートは電子モジュール120の特定の条件に基づいて変化してよいことが理解されるであろう。例えば、通知レートは、測定およびデータ処理/格納が行われた後(例えば、212から216に移行しているとき)「高速」(例えば、パケットは100ms毎に送信される)であってよく、一方、通知レートは、電子モジュール120がスリープ状態から移行しており、かつ、レバー424が開位置に動かされていないとき(例えば、230から216に移行しているとき)「低速」(例えば、パケットは10秒毎に送信される)であってよい。
【0072】
218において、電子モジュール120は、外部デバイスが範囲内にあるかどうかを判定してよい。外部デバイスが通知モードの間に電子モジュール120の特定の範囲内に入らない場合、電子モジュール120は、220で、通知期間(例えば、3分)が経過したかどうかを判定してよい。通知期間は、電子モジュール120が電力状態を変える前に外部デバイスに通知し続ける期間であってよい。通知期間が経過していない場合、電子モジュール120は、216で外部デバイスに通知し続けてよい。しかし、通知期間が経過した場合、電子モジュール120は、222でスリープ状態に移ってよい。スリープ状態は、オフ状態よりも電力消費が大きいがオン状態よりも電力消費が少ないことを特徴としてよい。
【0073】
電子モジュール120は、所定の時間の間、または、電子モジュールがレバー424が閉位置から開位置に動かされたことを判定するまで、スリープ状態のままであってよい。例えば、電子モジュール120は、スリープ状態とアクティブ状態の通知モード(例えば、低速通知モード)との間で周期的に切り替わってよい。例えば、224において、電子モジュール120は、レバー424が閉位置から開位置に動かされたかどうかを判定してよい。レバー424が開位置に動かされた場合、電子モジュール120は、206でアクティブ状態に入ってよい。例えば、レバー424のアクチュエートによって、スイッチがアクチュエートされてよい。スイッチのアクチュエートによって、電子モジュール120がスリープ状態からアクティブ状態に移行してよい。
【0074】
電子モジュール120が、レバー424が閉位置のままであると判定した場合、電子モジュール120は、230で、スリープ期間(例えば、10秒)が経過したかどうかを判定してよい。スリープ期間が230で経過していない場合、電子モジュール120は、スリープ状態に留まり、222に戻ってよい。しかしながら、スリープ期間が230で経過した場合、電子モジュール120は、216でアクティブ状態の通知モードに戻ってよい。電子モジュール120が230から216に移行するとき、電子モジュール120は、異なるレートで、場合によっては電子モジュール120が212から216に移行するときと比較してより遅いレートで(例えば、100ms毎に1回ではなく10秒毎に1回などで)通知してよい。したがって、電子モジュール120は、そのような通知モードの間、より少ないバッテリ電力を使用し得る。さらに、電子モジュール120は、通知期間およびスリープ期間に基づいて(例えば、マウスピースカバー491が閉位置にある間に)、アクティブ状態とスリープ状態との間で周期的に切り替わってよい。
【0075】
218に戻り、外部デバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレット)が、通知モードの間に電子モジュール120の特定の範囲内に入ると、電子モジュール120は、226で外部デバイスと「ペア」になり、接続モードに入ってよい。接続モードでは、電子モジュール120は、通信回路134およびメモリの電源をオンにしてよい。電子モジュール120は、メモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに無線で送信してよい。228において、電子モジュール120は、送信が完了したか、または、外部デバイスが通信範囲外であるかを判定してよい。送信が完了しておらず、外部デバイスが通信範囲内にある場合、電子モジュール120は接続モードのままである。しかしながら、送信が完了した場合、または外部デバイスが通信範囲外である場合、電子モジュール120は222でスリープ状態に移行する。
【0076】
接続モードの間、電子モジュール120は、メモリに現在格納されているデータの一部を取り出して送信してよく、または、コントローラは、メモリに現在格納されているデータの一部を取り出して送信してもよい。例えば、コントローラは、どの部分がすでに外部デバイスに送信されているかを判定し、次いで、(例えば、内部カウンタに基づいて)未だ送信されていない部分を送信してよい。代替的に又は追加的に、外部デバイスは、特定の時間の後にまたは外部デバイスへの最後の送信の後に、電子モジュール120によって収集された任意のデータなど特定のデータを電子モジュール120から要求してよい。電子モジュール120は、もしあれば、メモリから特定のデータを取り出し、その特定のデータを外部デバイスに送信してよい。
【0077】
さらに、外部デバイスに接続されると、電子モジュール120は、モジュール120に格納された記録へのアクセスを管理するために、Bluetooth special interest group(SIG)キャラクタリスティックを送信するように構成されてもよい。Bluetooth SIGキャラクタリスティックは、吸入デバイス400の製造業者名、吸入デバイス400のシリアル番号、吸入デバイス400のハードウェア改訂番号、および/または、吸入デバイス400のソフトウェア改訂番号のうちの1つまたは複数を含んでよい。外部デバイスに接続されると、電子モジュール120は、メモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに送信してよい。
【0078】
吸入デバイス400は、QR(Quick Response)コード(登録商標)を含んでよい。外部デバイスは、カメラと、当該カメラにアクセスしかつQRコードを読み取るためのソフトウェアアプリケーションとを含んでよい。QRコードは、吸入デバイス400に特有のBLEパスキーを含んでよい。カメラを用いてQRコードを読み取るかまたはスキャンすると、ソフトウェアアプリケーションは、デバイス400に関連するBLEパスキーを受け、認証プロセスを完了してよく、それによって、それは、BLEパスキーを用いて電子モジュール120と通信することが可能になる。例えば吸入デバイス400が範囲外に移動することが原因で、通信セッションがその後に失われる場合、外部デバイスは、吸入デバイス400が範囲内に戻るときにQRコードを用いることなく、BLEパスキーを用いて電子モジュール120と自動的にペアになるように構成されてよい。
【0079】
吸入デバイス400は、接続モードにあるときに、吸入イベント、吸入パラメータ、圧力測定値、マウスピースカバー491開または閉イベント、レバー424アクチュエートイベント、エラーイベント、吸入デバイスの動作特性(例えば、残りのバッテリ寿命)、および/または、関連するタイムスタンプ(例えば、内部カウンタに基づく)を、外部デバイスに送信してよい。例えば、スイッチによって生成された信号、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または、電子モジュール120のコントローラによって演算された吸入パラメータは、タイムスタンプされ、メモリに格納されてよい。前述のデータは、吸入デバイス400に関連する様々な使用パラメータを示し得る。例えば、レバー424の弓形壁481の動きによって、スイッチが「オン」と「オフ」との間で移行する際に、電子モジュール120のコントローラは、スイッチからの信号を用いて、各移行を記録し、タイムスタンプしてよい。さらに、「オン」と「オフ」との間のスイッチの移行は、レバー424の位置(例えば、パウダー出口419を覆っている閉じられた位置、または、パウダー出口419を開放しおよび/またはユーザへの送達のために薬剤用のブリスターを準備するための開かれた/アクチュエートされた位置)と相関し得るので、電子モジュール120は、経時的にレバー424の位置を検出しかつ追跡することが可能であってよい。電子モジュール120が、吸入デバイス400の流路を通じた薬剤の送達を妨害することなく、レバー424の状態を検知しかつ追跡することが可能であってよいことが理解されるであろう。
【0080】
圧力測定値および/または演算された吸入パラメータは、吸入デバイス400からの吸入の質または強度を示し得る。例えば、特定の閾値または値の範囲と比較される場合、値および/またはメトリックは、吸入を、良好な吸入イベント、低吸入イベント、吸入なしイベント、または、過剰吸入イベントなど、特定のタイプのイベントとして分類するために、用いられてよい。
【0081】
吸入なしイベントは、30Lpm未満の空気流量など、特定の閾値未満の圧力測定値および/または吸入パラメータに関連付けられてよい。吸入なしイベントは、マウスピースカバー491を開いた後、および、測定サイクルの間に、ユーザがマウスピース420から吸入しないときに起こり得る。吸入なしイベントはまた、ユーザの吸気努力が薬剤をエアロゾル化するのに不十分な空気流を生じさせるときなど、当該吸気努力が、流路を介した薬剤の適切な送達を確実にするのに不十分なときにも起こり得る。
【0082】
低吸入イベントは、30Lpm-45Lpmの間の空気流量など、特定の範囲内の圧力測定値および/または吸入パラメータに関連付けられてよい。低吸入イベントは、ユーザが、マウスピースカバー491を開いた後にマウスピース420から吸入し、ユーザの吸気努力によって薬剤の用量の少なくとも一部が流路を介して送達されるときに起こり得る。すなわち、吸入は、薬剤の一部がエアロゾル化されるのに十分であり得る。
【0083】
良好な吸入イベントは、45Lpm-200Lpmの間の空気流量など、低吸入イベントを超える圧力測定値および/または吸入パラメータに関連付けられてよい。良好な吸入イベントは、ユーザの吸気努力が1用量の薬剤全部をエアロゾル化するのに十分な気流を生じさせるときなど、ユーザがマウスピースカバー491を開いた後にマウスピース420から吸入し、吸気努力が、流路を介した薬剤の適切な送達を確実にするのに十分であるときに起こり得る。
【0084】
過剰吸入イベントは、200Lpmを超える空気流量など、良好な吸入イベントを超える圧力測定値および/または吸入パラメータに関連付けられてよい。過剰吸入イベントは、ユーザの吸気努力が吸入デバイス400の通常の動作パラメータを超えたときに起こり得る。過剰吸入イベントはまた、ユーザの吸気努力が正常範囲内であっても、デバイス400が使用中に適切に位置決めまたは保持されていない場合にも起こり得る。例えば、演算された空気流量は、ユーザがマウスピース420から吸入している間に、通気孔が(例えば、指または親指によって)遮断または閉塞されている場合、200Lpmを超えることがある。
【0085】
任意の適切な閾値または範囲が、特定のイベントを分類するために用いられてよいことが理解されるであろう。さらに、イベントの一部または全部が用いられてよいことが理解されるであろう。例えば、吸入なしイベントは、45Lpm未満の空気流量に関連付けられてよく、良好な吸入イベントは、45Lpmと200Lpmとの間の空気流量に関連付けられてよい。したがって、低吸入イベントは、場合によっては全く用いられなくてよい。
【0086】
圧力測定値および/または演算された吸入パラメータはまた、吸入デバイス400の流路を通る流れの方向も示し得る。例えば、圧力測定値が圧力の負の変化を反映する場合、当該測定値は、流路を介してマウスピース420から流出する空気を示し得る。圧力測定値が圧力の正の変化を反映する場合、当該値は、流路を介してマウスピース420に流入する空気を示し得る。したがって、圧力測定値および/または吸入パラメータはユーザがマウスピース420内へ呼息しているかどうかを判定するために用いられてよく、これは、ユーザがデバイス400を適切に使用していないことを合図する。
【0087】
スイッチによって生成された信号、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または、電子モジュール120のコントローラによって演算された吸入パラメータをタイムスタンプして、格納することによって、電子モジュール120によって収集され、格納されたデータは、使用パラメータが所与の期間にわたって適切であるまたは適正であるかを判定するために、用いられてよい。したがって、そのデータは、過剰使用イベント、過少使用イベントまたは最適使用イベントなど、他のイベントを示し得る。
【0088】
例えば、吸入デバイス400のユーザは、吸入デバイス400を介して毎日2用量(2回分)の薬剤を服用するよう、医師によって処方を定められてよい。さらに、吸入デバイス400に含まれる薬剤はまた、毎日8回を超えないよう服用されるように(例えば、安全および規制目的のために)承認されてもよい。過剰使用イベントは、電子モジュール120が24時間の期間に2回より多く良好な吸入を記録した場合(すなわち、実際の投与が処方された用量の数を超えている場合)、および/または、電子モジュール120が24時間の期間に8回より多く良好な吸入を記録した場合(すなわち、実際の投与が規制により承認された用量の数を超えている場合)に、起こり得る。過少使用イベントは、電子モジュール120が24時間の期間に2回未満の良好な吸入を記録した場合(すなわち、実際の投与が処方された用量の数未満である場合)に、起こり得る。最適使用イベントは、電子モジュール120が24時間の期間に2回の良好な吸入を記録する場合(すなわち、実際の投与が処方された用量の数未満である場合)に、起こり得る。最適使用イベントは、アドヒアランスに準拠しているユーザを示し得ることが理解されるであろう。処方された投与スケジュールおよび/または最大承認投与スケジュールは、吸入デバイス400に含まれる薬剤のタイプに依存し得ることがさらに理解されるであろう。さらに、イベントは、1日2用量、1週間14用量、1ヶ月60用量など、任意の適切な期間にわたる任意の適切な用量の数を用いて定義されてよい。
【0089】
電子モジュール120によって収集され格納されたデータはまた、吸入デバイス400から送達された用量数を算定するために、および/または、フレキシブルなストリップ401に残る用量の数を算定するために、用いられてよい。例えば、スイッチがレバー424のアクチュエートを介して作動されるたびに、スイッチによって生成された信号は、1つの用量送達イベントとしてカウントされてよい。したがって、吸入デバイス400は、レバー424が60回アクチュエートされると、60用量を送達したとみなされ得る。吸入デバイス400は、合計200用量など、所定の合計数の用量を送達するのに十分な薬剤をフレキシブルストリップ401に格納するように構成されてよい。したがって、吸入デバイス400はまた、レバー424が60回アクチュエートされた後に140用量が残っているとみなされてもよい。
【0090】
上述のように、前の1用量の薬剤が適切に投与されなかった場合、ユーザがレバー424をアクチュエートさせても薬剤はフレキシブルストリップ401から送達されないだろう。したがって、例えばユーザがマウスピース420から吸入することなくレバー424をアクチュエートさせる場合、レバー424のアクチュエートに基づいて用量の数をカウントすることは、デバイス400によって送達された実際の用量の数を正確に反映しないかもしれないことが理解されるであろう。したがって、電子モジュール120内の他のデータが、送達されたおよび/または吸入デバイス400に残存する用量の数を割り出すために、用いられ、および/または、スイッチからの信号と組み合わされてよい。例えば、用量は、良好な吸入イベントが記録されたときなど、演算された吸入パラメータが閾値を越える、または、特定の範囲内にあるたびに、送達されたものとしてカウントされてよい。送達されたおよび/または残りの用量の数を計算および追跡することによって、電子モジュール120は、再充填イベントを識別するように構成されてよく、再充填イベントは、ユーザが新しい吸入デバイス400を入手することを考慮すべきときを示し得る。
【0091】
電子モジュール120によって収集され格納されたデータはまた、モジュール120の動作に関連する様々なエラー状態を割り出すために使用されてもよい。例えば、データを処理するとき、電子モジュール120は、不良データフラグ、データ破損フラグ、タイムスタンプエラーフラグおよび/またはこれらと同等のものを生成してよい。電子モジュール120は、電子モジュール120のコントローラがセンサシステム128から受信した1つまたは複数の信号が所定の範囲外にあると判定したとき、不良データフラグを生成してよく、これは、センサシステム128の誤動作を示し得る。電子モジュール120は、コントローラのデータの巡回冗長検査(CRC)がメモリに格納されているものと一致しないとき、データ破損フラグを生成してよく、これは、メモリの誤動作および/またはメモリ内のデータが破損したことを示し得る。電子モジュール120は、コントローラがバッテリ126との電気的な接続を失うとき、タイムスタンプエラーフラグを生成してよく、コントローラのシステムクロックをリセットさせてよい。コントローラのシステムクロックがリセットされた場合、コントローラは、最後に格納されたカウンタ値からそのクロックを再スタートさせてよい。
【0092】
電子モジュール120(例えば、および/または外部デバイス上に存在するモバイルアプリケーション)はまた、記録されたイベントをある期間にわたって分析して、複数のエラーイベントを識別してもよく、これは、吸入デバイス400の適切な動作に精通していない、したがってさらなるトレーニングを必要とするかもしれないユーザを示す使用パターンを含んでよい。例えば、電子モジュール120は、所定の期間にわたる、および/またはレバー424の所定の数のアクチュエートにわたる良好な吸入イベントの数を観察してよい。多重エラーイベントは、ユーザが過去1週間にわたり2回の良好な吸入イベントしか有していなかった、または、レバー424の最後の12回のアクチュエートにわたり6回以下の良好な吸入を有していたときに、起こり得る。前述の条件は単なる例であり、任意の適切な使用パターンが、多重エラーイベントを定義するために用いられよいことが理解されるであろう。
【0093】
電子モジュール120によって収集され格納されたデータはまた、バッテリ126に残っている電力量を評価するために使用されもてよい。例えば、コントローラは、バッテリが所定の未満(例えば、10%未満)の残量を有するかどうかなど、低バッテリイベントまたは状態があるかどうかを判定してよい。
【0094】
電子モジュール120は、メモリに格納されたデータ(例えば、スイッチによって生成された信号、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または電子モジュール120のコントローラによって演算された吸入パラメータ)を処理および分析して、吸入デバイス400に関連する使用パラメータを割り出してよい、ことが理解されるであろう。例えば、電子モジュール120は、データを処理して、吸入なしイベント、低吸入イベント、良好な吸入イベント、過剰吸入イベント、および/または、呼息イベントを識別してよい。電子モジュール120はまた、データを処理して、過少使用イベント、過剰使用イベント、および、最適使用イベントを識別してもよい。電子モジュール120は、データをさらに処理して、送達されたおよび/または残りの用量の数を推定し、かつ、タイムスタンプエラーフラグに関連するものなどエラー状態を識別してよい。電子モジュール120は、1つまたは複数のLEDなどのインジケータを用いて、吸入デバイス400の前述の使用パラメータのいくつかまたはすべてをユーザに知らせてよい。一例として、電子モジュール120は、LED132を点灯させて、良好な吸入イベントを示してよく、また、LED132のカラーを変えて、低吸入イベントまたは吸入なしイベントを示してよい。使用パラメータは、光シーケンスおよび/または光カラースキームの任意の組合せを介してユーザに示されてよい。
【0095】
さらに、電子モジュール120のメモリに格納されたデータ(例えば、スイッチによって生成された信号、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または、電子モジュール120のコントローラによって演算された吸入パラメータ)はまた、外部デバイスに送信されてもよく、外部デバイスはデータを処理および分析して、吸入デバイス400に関連する使用パラメータを割り出してもよい、ことが理解されるであろう。さらに、モバイルデバイス上に存在するモバイルアプリケーションは、電子モジュール120から受信したデータに基づいて、ユーザのためにフィードバックを生成してよい。例えば、モバイルアプリケーションは、毎日、毎週、または毎月のレポートを生成し、エラーイベントまたは通知の確認を提供し、ユーザに教育的なフィードバックを提供し、および/または、同等のものを提供してよい。
【0096】
図7は、例示のシステム300の図であり、これは、吸入デバイス400、外部デバイス(例えば、モバイルデバイス304)、公衆および/またはプライベートネットワーク306(例えば、インターネット、クラウドネットワーク)、ヘルスケアプロバイダ308、および、第三者310(例えば、友人、家族、医薬品製造業者など)を含む。モバイルデバイス304は、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)スマートフォン、Androi(登録商標)スマートフォン、またはBlackberry(登録商標)スマートフォン)、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、無線対応メディアデバイス(例えば、MP3プレーヤ、ゲームデバイス、テレビ、メディアストリーミングデバイス(例えば、Amazon Fire TV、Nexus Playerなど)など)、タブレットデバイス(例えば、iPad(登録商標)ハンドヘルドコンピューティングデバイス)、Wi‐Fiもしくは無線通信対応テレビ、または任意の他のインターネットプロトコル対応デバイスを含んでよい。例えば、モバイルデバイス304は、Wi‐Fi通信リンク、Wi‐MAX通信リンク、Bluetooth(登録商標)またはBluetooth Smart通信リンク、近距離通信(NFC)リンク、セルラー通信リンク、テレビジョンホワイトスペース(TVWS)通信リンク、またはそれらの任意の組合せを介して、RF信号を送信および/または受信するように構成されてよい。モバイルデバイス304は、公衆および/またはプライベートネットワーク306を介して、ヘルスケアプロバイダ308、および/または、1または複数の第三者310(たとえば、友人、家族、製薬会社など)にデータを転送してよい。
【0097】
本明細書で述べられるように、吸入デバイス400は、データをモバイルデバイス304に転送するための、Bluetooth無線などの通信回路134を含んでよい。データは、スイッチによって生成された信号、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または、電子モジュール120のコントローラによって演算された吸入パラメータを含んでよい。吸入デバイス400は、例えば、プログラム命令、オペレーティングシステム変更、投与情報、警告または通知、受取通知などのデータを、モバイルデバイス304から受信してよい。
【0098】
モバイルデバイス304は、データを処理し、分析して、吸入デバイス400に関連する使用パラメータを割り出してよい。例えば、モバイルデバイス304は、データを処理して、吸入なしイベント、低吸入イベント、良好な吸入イベント、過剰吸入イベント、および/または、呼息イベントを識別してよい。モバイルデバイス304はまた、データを処理して、過少使用イベント、過剰使用イベント、および、最適使用イベントを識別してもよい。モバイルデバイス304は、データをさらに処理して、送達されたおよび/または残りの用量の数を推定し、タイムスタンプエラーフラグに関連するものなどのエラー状態を識別してよい。モバイルデバイス304は、ディスプレイ上のGUIを介して使用パラメータを視覚的に提示するためのディスプレイおよびソフトウェアを含んでよい。
【0099】
本明細書で述べられるように、吸入デバイス400は、発光ダイオード(LED)132など、1つまたは複数のインジケータを含んでよい。LED132は、複数のカラーおよび/または複数の表示モードを有してよい。例えば、LED132は、オン、オフ、点滅、及び/又は複数のカラーで点灯してよい。LED132は、異なる点滅パターンを使用してよい。
図9は、単一のインジケータ(例えば、LED132)を有する吸入デバイス400の様々な状態の例示のフローチャートである。910において、吸入デバイス400のレバー424は閉じられ、LED132は状態1である。例えば、LED132は、状態1でオフでよい。吸入デバイス400が、(例えば、eモジュール120のスイッチを介して)、レバー424が915でアクチュエートされたことを検出すると、LED132は、920で状態2にで(例えば、状態2に変更されて)よい。例えば、LED132は、状態2で点灯または点滅してよい。吸入デバイス400が圧力センサを介して(例えば、第1閾値で)圧力測定値を検出すると、LED132は、930で状態3でよい。例えば、LED132は、状態3で点灯または点滅してよい。圧力測定値は、ユーザが薬剤を吸入することを示し(例えば、吸入することによってもたらされ)得る。
【0100】
吸入デバイス400が935で圧力測定値が所定の量(例えば、1用量の薬剤がユーザに投与されていることを示し得る)を超えていることを検出したとき、LED132は、940で状態4でよい。例えば、LED132は、状態4で点灯してよい。吸入デバイス400が945でレバー424が閉位置に戻る(例えば、カバー491が閉じられる)ことを検出する場合、LED132は、910で状態1でよい。例えば、LED132は、状態1でオフでよい。1つまたは複数の実施形態では、925および930が省略されて、吸入デバイス400が920から935に進むようにしてよい。
【0101】
LED132は、異なる状態を示すために、オン、オフ、点滅、および/または、異なるカラーで点灯してよい。例えば、LED132は、緑色で状態2を示し、青色で状態4を示してよい。さらに、例示の状態ダイアグラムは、オフ状態、オン状態、および/または、点滅状態の任意の組合せであるLED132の状態1、2、3、および4を含んでよい。さらに、LED132がライトである場合、オン状態および/または点滅状態は、ライトが複数のカラーのうち1つまたは複数で点灯されることを特徴としてよい。インジケータは、異なる点滅パターンを用いてよい。例えば、例示の状態ダイアグラムは、以下の表2に提供される:
[表2]
【0102】
例示1では、LEDは、状態A1で(例えば、レバー424が閉じられているとき)オフであり、状態2で(例えば、1用量が準備できていることを示すために)点滅し、状態3で(例えば、ユーザが吸入している間)点滅し、状態4で(例えば、1用量が投与されたとき)オンである。例示2では、LED132は、状態1でオフであり、状態2、3でオンであり、状態4でオフである。例示3では、LED132は、状態1ではオフであり、状態2、3で第1カラーでオンであり、状態4で第2カラーでオンである。例示4では、LED132は、状態A1でオフであり、状態2で第1カラーでオンであり、状態3で点滅し、状態4で第2カラーでオンである。例示5では、LED132は、状態1、2、および3でオフであり、状態4でオンである。例示6では、LED132は、状態1でオフであり、状態2で第1カラーでオンであり、状態3で第2カラーでオンであり、状態4で第3カラーでオンである。状態を示す他の方法があり得る。例えば、インジケータは、マルチライト及び/又はマルチカラー構成を含んでよい。さらに、吸入デバイス400は、状態の任意の組合せを通じて進行する1つまたは複数の視覚インジケータを含んでよく、ここで、各状態は、視覚インジケータが、オンする、オフする、点滅する、および/または、1つまたは異なるカラーの組合せで点灯されることの1つまたは複数によって定義される。
【0103】
表3は、吸入デバイス400のLED132の状態の追加の例を提供する。例示7-9は、本明細書で提供される状態の任意の数または組合せを含んでよい。
[表3]
【0104】
吸入デバイス400は、フレキシブルストリップ401が空であることを、例えば、用量カウンタを介して判定してよい。用量カウンタは、機械的および/または電気的なものでよい。例えば、吸入デバイス400の電子モジュールは、フレキシブルストリップ401が空であると判定してよい。吸入デバイス400がフレキシブルストリップ401が空であると判定したとき、そして、レバー424がその後にアクチュエートされたとき、吸入デバイス400は、LED132をオフ状態のままにしてよい。例えば、これは、吸入デバイス400に薬剤がないので、吸入デバイス400が吸入の準備ができていないことをユーザに示してよい。吸入デバイス400は、本明細書に記載される1つまたは複数の指示技術(例えば、固体光、着色光、点滅光、1つまたは複数のインジケータなど)を用いて、フレキシブルストリップ401が空であることを示してよい。
【0105】
図示されていないが、吸入デバイス400は、複数のLEDなど、1つまたは複数の追加の指示を含んでよい。例えば、吸入デバイス400は、ユーザに用量リマインダ指示をさらに提供してよい。用量リマインダ指示は、ユーザが1用量の薬剤を服用する時間であることを示してよい。例えば、吸入デバイス400は、1つまたは複数のインジケータ(例えば、光、音、触覚フィードバックなど)を用いて、用量リマインダをユーザに提供してよい。
【0106】
主に視覚インジケータ(例えば、1つまたは複数のLEDおよび/または光状態)と関連付けて説明されているが、本明細書に記載される実施形態/実施例のうちの1つまたは複数が、他のインジケータを備えてよい。例えば、インジケータは、視覚インジケータ(例えば、1つまたは複数の光および/または光状態)、可聴インジケータ(例えば、1つまたは複数のブザー/スピーカーおよび/またはサウンド)、および/または、触覚フィードバックインジケータ(例えば、1つまたは複数の触覚フィードバックデバイスおよび/または触覚フィードバック状態/動作)を含んでよい。