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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20250116BHJP
【FI】
A24F40/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022506406
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072307
(87)【国際公開番号】W WO2021023880
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】19190860.7
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】フプケス,エルンスト
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518429(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105707983(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109480337(CN,A)
【文献】特表2019-512241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
加熱チャンバと、
前記加熱チャンバに熱を供給するように配置されたヒータと、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御するように構成された制御回路と、
フレームと、
前記電源、前記加熱チャンバ、前記ヒータ、前記制御回路、及び前記フレームを収容する内部体積を有するハウジングと
を備える、エアロゾル発生デバイスであって、
前記フレームが、前記ヒータ及び前記加熱チャンバを収容する前記内部体積の第1の体積と、前記電源を収容する前記内部体積の第2の体積との間に配置され、
前記制御回路が、前記フレームに沿って前記第2の体積内に配置された第1のPCB上に実装されたコンポーネントを備え、
前記エアロゾル発生デバイスが、前記フレームに沿って前記第1の体積と前記第2の体積との間に配置された第2のPCBを更に備え、
前記第1のPCBと前記第2のPCBとが可撓性PCB部分によって接続され、前記第1のPCB、前記第2のPCB、及び前記可撓性PCB部分が前記フレームの周りに配置される、エアロゾル発生デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングが、手で持つための細長いハウジングであり、前記第1の体積、前記フレーム、及び前記第2の体積が、前記ハウジングの長手方向に沿ってそれぞれ配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項3】
前記第1の体積が、前記加熱チャンバに隣接する空気又は真空の領域を収容する、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項4】
前記加熱チャンバ及び前記ヒータが、前記ハウジングに接触しないように前記フレームによって保持される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項5】
前記電源及び前記制御回路が前記フレームによって保持される、請求項4に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項6】
前記第1のPCBが両面PCBである、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項7】
前記第2のPCBが片面PCBであり、前記制御回路が、前記第2のPCB上、且つ前記第2の体積内に実装されたコンポーネントを更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項8】
前記内部体積の前記第の体積が前記制御回路を収容する、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項9】
前記フレームが、前記第2の体積から前記第1の体積への流体の流れを防ぐように配置される、請求項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項10】
前記電源が前記フレームによって保持される、請求項又はに記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項11】
前記制御回路を収容する前記第2の体積の第1の部分と、前記電源を収容する前記第2の体積の第2の部分との間に配置された第2のフレームを更に備える、請求項10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項12】
前記制御回路が、前記フレームと前記第2のフレームとの間に保持されたPCB上に実装されたコンポーネントを備える、請求項11に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項13】
電源と、
加熱チャンバと、
前記加熱チャンバに熱を供給するように配置されたヒータと、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御するように構成された制御回路と、
フレームと、
前記電源、前記加熱チャンバ、前記ヒータ、前記制御回路、及び前記フレームを収容する内部体積を有するハウジングと
を備える、エアロゾル発生デバイスであって、
前記フレームが、前記ヒータ及び前記加熱チャンバを収容する前記内部体積の第1の体積と、前記電源を収容する前記内部体積の第2の体積との間に配置され、
前記内部体積の前記第1の体積が前記制御回路を収容し、
前記フレームが、前記第2の体積から前記第1の体積への流体の流れを防ぐように配置される、エアロゾル発生デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生デバイスに関する。本開示は特に、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。そのようなデバイスは、タバコ又は他の好適なエアロゾル基質材料を、燃やすよりはむしろ、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して吸入用のエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
リスク低減デバイス又はリスク修正デバイス(気化器としても知られる)の人気及び使用は、シガレット、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めようと望む常習的喫煙者を支援するための手助けとして、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、加熱式基質エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式(heat-not-burn)デバイスである。このタイプのデバイスは、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基質を、典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生する。エアロゾル基質を燃焼させたり、又は燃やしたりするのではなく加熱することにより、使用者が求める成分は含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物は含まないエアロゾルが放出される。更に、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することによって発生するエアロゾルは、典型的には、使用者にとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まない。したがって、基材は、煙及び/又は蒸気を使用者にとってより口当たりのよいものにするためにそのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0004】
安全性及び/又は信頼性が改善されたデバイスを提供することが望ましい。
【0005】
特に、そのようなエアロゾル発生デバイスでは、エアロゾル基質はヒータによって加熱されなければならず、ヒータからエアロゾル発生デバイスの残りの部分に熱がいくらか漏れることは避けられない。この熱は、ヒータの電源又は熱に弱い電子装置などの他のコンポーネントを損傷させる可能性がある。場合によっては、加熱されるようには設計されていないコンポーネントが高温になり過ぎると、火災又は爆発の危険性を伴い、危険にさえなり得る。
【0006】
加えて、電源では、電源から流体(液体又は気体)が発生する漏れ又は脱ガスの事象を発生する場合がある。これらの事象は、電源の通常の挙動の範囲内であり、必ずしもエアロゾル発生デバイスの機能を損なうものではない。しかしながら、このような事象から発生した流体は、例えば、制御回路の繊細なコンポーネントを損傷させたり、又は加熱チャンバを汚染したりすることにより、間接的に機能を損ない得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、電源と、加熱チャンバと、加熱チャンバに熱を供給するように配置されたヒータと、電源からヒータへの電力の供給を制御するように構成された制御回路と、フレームと、電源、加熱チャンバ、ヒータ、制御回路、及びフレームを収容する内部体積を有するハウジングとを備える、エアロゾル発生デバイスが提供される。フレームは、ヒータ及び加熱チャンバを収容する内部体積の第1の体積と、電源を収容する内部体積の第2の体積との間に配置される。
【0008】
ヒータを収容する第1の体積と電源を収容する第2の体積との間にフレームを配置することにより、ヒータ及び加熱チャンバから漏れるあらゆる熱から電源を熱的に遮蔽することができ、電源からの液漏れ又は脱ガス事象からヒータ及び加熱チャンバを物理的に遮蔽することができる。
【0009】
任意選択で、ハウジングは、手で持つための細長いハウジングであり、第1の体積、フレーム、及び第2の体積は、ハウジングの長手方向に沿ってそれぞれ配置される。
【0010】
任意選択で、第1の体積は、加熱チャンバに隣接する空気又は真空の領域を収容する。
【0011】
任意選択で、加熱チャンバ及びヒータは、ハウジングに接触しないようにフレームによって保持される。
【0012】
加熱チャンバ及びヒータがハウジングに接触しないようにすることにより、ハウジングへの熱の伝導が阻止される(そのような伝導は、本来、ハウジングを過度に又は更には危険な程に高温にすることがある)。また、そうすることにより、例えばエアロゾル発生デバイスが落下した場合など、ヒータ及び加熱チャンバが外部の損傷から保護される。
【0013】
任意選択で、電源及び制御回路はフレームによって保持される。
【0014】
任意選択で、制御回路は、フレームに沿って第2の体積内に配置された第1のPCB上に実装されたコンポーネントを備える。
【0015】
フレームの第2の体積側に第1のPCBを配置することにより、第1のPCBは、フレームによってヒータ及び加熱チャンバから熱的に遮蔽され得る。これにより、加熱チャンバから漏れるあらゆる熱が第1のPCB上に実装されたコンポーネントに与える影響が低減される。
【0016】
任意選択で、第1のPCBは両面PCBである。
【0017】
任意選択で、エアロゾル発生デバイスは、フレームに沿って第1の体積と第2の体積との間に配置された第2のPCBを更に備える。
【0018】
第2のPCBの基板は、第2の体積における制御回路を保護するための追加的な熱シールドとして機能する。
【0019】
任意選択で、第2のPCBは片面PCBであり、制御回路は、第2のPCB上、且つ第2の体積内に実装されたコンポーネントを更に備える。
【0020】
第2のPCBの一方の側は、第1の体積におけるヒータ及び加熱チャンバから漏れる熱に曝され得るため、第2のPCBを片面PCBとし、制御回路のコンポーネントを、よくても第2のPCBの第2の体積にある側上に実装すると都合がよい。
【0021】
任意選択で、第1のPCBと第2のPCBとは可撓性PCB部分によって接続され、第1のPCB、第2のPCB、及び可撓性PCB部分はフレームの周りに配置される。
【0022】
可撓性PCB部分のこの使い方は、第1のPCB及び第2のPCBの一方が固定されたときに、他方が正しい位置に容易に案内されることを意味するだけでなく、不規則な空間内に制御回路を収め、制御回路に必要な面積を減らすために、制御回路のためのより大きな面積を一度に容易に印刷することができると同時に、複数の表面に分割することができることも意味し、エアロゾル発生デバイスの体積を減らすのに役立つ。
【0023】
本開示の第2の態様によれば、電源と、加熱チャンバと、加熱チャンバに熱を供給するように配置されたヒータと、電源からヒータへの電力の供給を制御するように構成された制御回路と、フレームと、電源、加熱チャンバ、ヒータ、制御回路、及びフレームを収容する内部体積を有するハウジングとを備える、エアロゾル発生デバイスが提供される。フレームは、ヒータ、加熱チャンバ、及び制御回路を収容する内部体積の第3の体積と、電源を収容する内部体積の第4の体積との間に配置される。
【0024】
任意選択で、フレームは、第4の体積から第3の体積への流体の流れを防ぐように配置される。
【0025】
これにより、電源による脱ガス又は漏れに起因する損傷又は汚染の可能性から、ヒータ、加熱チャンバ、及び制御回路が保護される。
【0026】
任意選択で、ハウジングは、手で持つための細長いハウジングであり、第3の体積、フレーム、及び第4の体積は、ハウジングの長手方向に沿ってそれぞれ配置される。
【0027】
任意選択で、電源はフレームによって保持される。
【0028】
任意選択で、第1の態様及び第2の態様を組み合わせて、ヒータ及び加熱チャンバを収容する第1の体積と制御回路を収容する第5の体積との間に配置された第1のフレームと、制御回路を収容する内部体積の第5の体積と、電源を収容する第4の体積との間に配置された第2のフレームとを備える、エアロゾル発生デバイスを提供してもよい。
【0029】
この配置には、制御回路が、ヒータサブアセンブリから漏れる熱から保護され、且つ電源から発生した流体から保護されるという利点がある。
【0030】
任意選択で、制御回路は、第1のフレームと第2のフレームとの間に保持されたPCB上に実装されたコンポーネントを備える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】エアロゾル発生デバイスの概略図である。
図1B】エアロゾル発生デバイスの概略図である。
図2A】中間サブアセンブリの概略図である。
図2B】ハウジングサブアセンブリの概略図である。
図3A】中間サブアセンブリの一部分の概略図である。
図3B】中間サブアセンブリの一部分の概略図である。
図4A】中間サブアセンブリの別の部分の概略図である。
図4B】中間サブアセンブリの別の部分の概略図である。
図4C】中間サブアセンブリの別の部分の概略図である。
図4D】中間サブアセンブリの別の部分の概略図である。
図5A】ヒータサブアセンブリの概略図である。
図5B】ヒータサブアセンブリの概略図である。
図5C】ヒータサブアセンブリの概略図である。
図6A】中間サブアセンブリの部分の概略図である。
図6B】中間サブアセンブリの部分の概略図である。
図7A】アクセスサブアセンブリの概略図である。
図7B】アクセスサブアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1A図1B図2A、及び図2Bは、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概要として、エアロゾル発生デバイスにおいて組み立てられる一連のモジュール式サブアセンブリを示している。図3A図6Bは、サブアセンブリのそれぞれの追加的な詳細を示している。実施形態の多くの詳細は、本デバイスの特許請求の範囲に記載された本発明の態様を説明するのに関連していないため、簡潔さのために、図示のいくつかの特徴は詳細に説明されておらず、また、簡単のために、本発明の理解及び実施に関連する特徴をよりよく説明するために、いくつかの特徴は特定の図で完全に省略されていることを理解されたい。
【0033】
図1Aを参照すると、本発明の一実施形態によれば、エアロゾル発生デバイス1は、アクセスサブアセンブリ11とハウジングサブアセンブリ12とを備える。
【0034】
エアロゾル発生デバイス1は、エアロゾルが提供される上端と、上端とは反対側にある下端と、下端と上端との間に、対向する2つの大きい側部と対向する2つの小さい側部との略四角形構成で4つの側部とを備えた、全体的に細長い小石状の形状を有する。
【0035】
アクセスサブアセンブリ11は、上端にあり、例えば、ユーザが、加熱チャンバで加熱されるタバコなどのエアロゾル基質を供給し、発生されたエアロゾルを摂取し、加熱チャンバを清掃するための、エアロゾル発生デバイス1内にある加熱チャンバへのアクセスを開放及び閉鎖するための手段を備える。本実施形態では、アクセス手段は、スライダ機構に取り付けられた蓋111を有する。
【0036】
ハウジングサブアセンブリ12は、電源、加熱チャンバ、ヒータ、制御回路、及びフレームを備えるエアロゾル発生デバイス1の内部コンポーネントのためのハウジングを提供し、エアロゾル発生デバイス1の側部の少なくとも一部及び下端を提供する。本実施形態では、ハウジングは、手で持つための細長いハウジングであるが、本発明の利点は、手で持つようにはされていないエアロゾル発生デバイス1においても達成され得る。追加的に、図1Aのハウジングサブアセンブリ12の中央直線領域121に示すように、本実施形態では、エアロゾル発生デバイス1は、1つ又は複数のインジケータ(例えば、ライト)と、エアロゾル発生デバイスを制御するための1つ又は複数の入力部(例えば、ボタン)とを備える。インジケータ又は入力部を備えた実施形態では、ハウジングサブアセンブリは、透明な部分又は触覚部分を備えてもよいし、単に内部のインジケータ及び入力部へのアクセスを可能にする間隙を備えてもよい。
【0037】
図1Bを参照すると、この概略図では、アクセスサブアセンブリ11及びハウジングサブアセンブリ12が、「透明」に表され(破線のエッジで示され)ており、エアロゾル発生デバイス1が、アクセスサブアセンブリ11及びハウジングサブアセンブリ12内に収容された中間サブアセンブリ13を更に備えることがわかる。
【0038】
中間サブアセンブリ13の詳細を図2Aに概略的に示し、ハウジングサブアセンブリの内部体積を図2Bに概略的に示す。
【0039】
図2Aを参照すると、中間サブアセンブリ13は、電源及び制御サブアセンブリ22に対して固定されたヒータサブアセンブリ21を備える。
【0040】
ヒータサブアセンブリ21は、ヒータと加熱チャンバとを備え、ヒータは、加熱チャンバに熱を供給するためにヒータサブアセンブリに配置される。以下、図5を参照しながら、ヒータサブアセンブリについてより詳しく説明する。
【0041】
電源及び制御サブアセンブリ22は、電源221を備え、この場合ではバッテリを備える。電源及び制御サブアセンブリ22は、電源からヒータへの電力の供給を制御するように構成された制御回路222を更に備える。本実施形態では、制御回路222は、後述するように、複数のPCB上に実装される。
【0042】
電源221及び制御回路222は、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224によって支持される。
【0043】
ヒータサブアセンブリ支持フレーム223は、ハウジングサブアセンブリ12の内部体積を第1の体積と第2の体積とに分割するように配置される。第1の体積は、ヒータと加熱チャンバとを備えるヒータサブアセンブリ21を収容する。第2の体積は電源の221を収容する。図2A及び図1Bに示すように、本実施形態では、第1の体積、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223、及び第2の体積は、ハウジングサブアセンブリ12のハウジングの長手方向に沿ってそれぞれ配置されるが、上述のように、本発明のすべての実施形態が細長いわけではなく、そのような細長くない実施形態では、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223は、ハウジングの内部体積を第1の体積と第2の体積とに分割する任意の仕方で配置され得る。この分割は、図2Aにおいて破線Aを用いて概略的に示され、第1の体積は図の線Aの左側にあり、第2の体積は図の線Aの右側にある。この構成により、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223は、ヒータサブアセンブリ21を支持することに加えて、電源221をヒータサブアセンブリ21から漏れるあらゆる熱から遮蔽するという効果を有する。ヒータサブアセンブリ支持フレーム223は、制御回路222及び電源221をヒータサブアセンブリ21から断熱するために、断熱材料で任意選択で作られるが、フレーム及びシールドの複合効果は、プラスチックなどの穏やかに断熱する材料のみで実現される。ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224は、例えば、PA(ポリアミド)及び/又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含んでいてもよい。
【0044】
追加的に、本実施形態では、加熱チャンバ及びヒータを備えるヒータサブアセンブリ21は、加熱チャンバ及びヒータのいずれもハウジングサブアセンブリ12のハウジングに接触しないように、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223によって保持される。ヒータサブアセンブリ224を保持するための手段については、図3及び図4を参照して後述する。このことにより、ヒータサブアセンブリからハウジングへの熱の伝導が阻止される(そのような伝導は、本来、手持ち式ハウジングを過度に又は更には危険な程に高温にすることがある)。また、このことにより、例えばエアロゾル発生デバイスが落下した場合など、ヒータサブアセンブリ21が外部の損傷から保護される。しかしながら、これらの利点は、体積を分割する特徴とは別個のものであり、いくつかの実施形態では、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223がヒータ及び/又は加熱チャンバを保持及び懸架する特徴を省略することができる。
【0045】
電源支持フレーム224は、ハウジングサブアセンブリ12の内部体積を第3の体積と第4の体積とに分割するように配置される。第3の体積は、ヒータ及び加熱チャンバを備えるヒータサブアセンブリ21を収容し、また制御回路222も収容する。第4の体積は電源の221を収容する。図2A及び図1Bに示すように、本実施形態では、第3の体積、電源支持フレーム224、及び第4の体積は、ハウジングサブアセンブリ12のハウジングの長手方向に沿ってそれぞれ配置されるが、上述のように、本発明のすべての実施形態が細長いわけではなく、そのような細長くない実施形態では、電源支持フレーム224は、ハウジングの内部体積を第3の体積と第4の体積とに分割する任意の仕方で配置され得る。この分割は、図2Aに破線Bを用いて概略的に示され、第3の体積は図の線Bの左側にあり、第4の体積は図の線Bの右側にある。この構成により、電源支持フレーム224は、電源221を支持することに加えて、第4の体積から第3の体積への流体の流れを防ぐ効果を有する。これにより、電源221による脱ガス又は漏れに起因する損傷又は汚染から、ヒータ、加熱チャンバ、及び制御回路が保護される。
【0046】
追加的に、本実施形態では、電源221は、電源221がハウジングサブアセンブリ12のハウジングに接触しないように、電源支持フレーム224に保持される。電源221は、例えば、のりなどの接着剤や電気接点も形成するはんだ付けによる結合によって、又はスナップフィットなどの機械的な接続によって保持される。ハウジングに接触しないことにより、電源支持フレーム224がそのような漏れが第3の体積へ拡大することや又は流入することを防いでいても、電源221の通常運転時に脱ガス又は漏れが発生する空間があることが確保される。また、これにより、例えばエアロゾル発生デバイスが落下した場合など、電源221が外部の損傷から保護される。しかしながら、これらの利点は、体積を分割する特徴とは別個のものであり、いくつかの実施形態では、電源支持フレーム224が電源221を保持及び懸架する特徴を省略することができる。
【0047】
ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224による分割の上記の組み合わせにより、中間の第5の体積が、図1Bに示すようにエアロゾル発生デバイス1にわたって、ヒータ及び加熱チャンバを収容する第1の体積がヒータサブアセンブリ支持フレーム223の一方の側にあり、制御回路222を収容する第5の体積がヒータサブアセンブリ支持フレーム223と電源支持フレーム224との間にあり電源221を収容する第4の体積が電源支持フレーム224の他方の側にあるように、第2の体積と第3の体積との間の重なりとして画定される。しかしながら、本実施形態には両方が存在しているが、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224のいずれか一方のみが必要であり、代替的な実施形態では他方を省略してもよいことに留意されたい。
【0048】
図2Aに追加的に示すように、電源及び制御サブアセンブリ22は、デバイスの状態を示すための1つ又は複数のインジケータ(例えば、LED)のインジケータアレイ225と、図1Aのハウジングサブアセンブリ12の中央直線領域121に対応する1つ又は複数の入力部226(例えば、触覚スイッチ)とを備えてもよい。電源及び制御サブアセンブリ22は、デバイスの状態を更なる指標を提供するためのバイブレータサブアセンブリ227を更に備えてもよい。更に、電源及び制御サブアセンブリ22は、電源221を充填するための、又は任意選択で制御回路222との間でデータ通信も行うための外部電気コネクタ228を備えてもよい。
【0049】
更に、図2Aに示すように、本実施形態では、第1の体積においてヒータサブアセンブリ21の横に空間が残されている。この空間は、エアロゾル発生デバイス1の中でヒータサブアセンブリ21から漏れる熱に対して最も脆弱な部分に対応しており、脆弱な部分が漏れた熱に曝されることを避けるために空いたままにされている。ヒータサブアセンブリ21からの対流熱伝導を制限するために、この空き空間は真空(ここでの「真空」は標準圧力よりも実質的に低い空気を含む)として保持されてもよい。或いは、この空き空間は空気で満たされてもよい。その場合、ヒータサブアセンブリ21の内部から漏れる熱の影響を軽減するために、空き空間とエアロゾル発生デバイス1の外部との間に空気が流れることができるようにしてもよい。
【0050】
図2Bに示すように、ハウジングサブアセンブリ12は、中間サブアセンブリ13の少なくとも一部分を収容するために、略中空である。図1Bに見られるように、本実施形態では、中間サブアセンブリ13は、ハウジングサブアセンブリ12から外に延び、アクセスサブアセンブリ11によって部分的に収容される。他の実施形態では、中間サブアセンブリ13全体が、ハウジングサブアセンブリ12の中に収まっていてもよい。
【0051】
次に、図3A及び図3Bを参照すると、一実施形態の電源及び制御サブアセンブリの一部分が示されている。これは、対応するエアロゾル発生デバイスの製造段階を実際に表している場合もあれば、そうでない場合もあるが、ここでは特に本実施形態の電源及び制御サブアセンブリの詳細を示すために含めてある。図3Aの図では、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224が破線を用いて「透明」として表現され、これにより、2つのフレームの間に、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223の長さに沿って配置された第1のPCB31が見える。一方、図3Bは、第1のPCB31がヒータサブアセンブリ支持フレーム223と電源支持フレーム224との間に部分的に封入されていることを示す立体図である。本実施形態では、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223と電源支持フレーム224とは、第1のPCB31の両側に並んでいる。この配置には、第1のPCB31が、(ヒータサブアセンブリ21から漏れる熱から保護された)第2の体積内にあり、且つ(電源221から発生した流体から保護された)第3の体積内にあるという利点がある。したがって、制御回路222の1つ又は複数の繊細なコンポーネント(すなわち、熱に弱いコンポーネント、又は電源によって発生し得る流体に弱いコンポーネント)が第1のPCB31の片面又は両面上に配置され得る。第1のPCB31の表面積を最大限に活用するために、このPCBは両面PCBとすることができる。例えば、第1のPCB31は、その上に実装されたプロセッサチップ又はメモリチップを有してもよい。
【0052】
ヒータサブアセンブリ支持フレーム223と電源支持フレーム224との整列を支援するために、本実施形態では、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224は、フレームが正しく整列されたときに一緒に嵌るそれぞれの第1の案内部材32及び32’を備える。例えば、第1の案内部材32及び32’は、突起又はピンであってもよく、それに対応する凹部又は孔であってもよい。他の実施形態では、追加的又は代替的に、第1のPCB31は、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び/又は電源支持フレームのそれぞれの第1の案内部材と第1のPCB31を整列させるための第1の案内部材を有していてもよい。
【0053】
電源及び制御サブアセンブリ22をヒータサブアセンブリ21と整列させるのを支援するために、ヒータサブアセンブリ支持フレームはまた、ヒータサブアセンブリ21上の対応する第2の案内部材に嵌るように適合された第2の案内部材33、35も備える。
【0054】
追加的に、本実施形態では、電源及び制御サブアセンブリは、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223を電源支持フレーム224に取り付け、それにより第1のPCB31を所定の位置に保持するスナップフィットコネクタ34を用いて形成される。
【0055】
次に、図4A図4B図4C、及び図4Dを参照すると、電源及び制御サブアセンブリの別の部分が、アセンブリの周りの様々な視点から示されている。これは、図3A及び図3Bと同様に、対応するエアロゾル発生デバイスの製造段階を実際に表している場合もあれば、そうでない場合もあるが、ここでは特に本実施形態の電源及び制御サブアセンブリの詳細を示すために含めてある。電源支持フレーム224は、図4C及び図4Dに示されているが、図4A及び図4Bでは省略されている。これらの図の比較を理解するために、図4Bは、可撓性PCB部分41をより効果的に示すために、図4A図4C、及び図4Dに対して水平方向に反射されていることに留意されたい。
【0056】
図4A~Dに示すように、本実施形態の電源及び制御サブアセンブリ22は、第1のPCB31と、第2のPCB42と、可撓性PCB部分41とを備え、第1のPCB31及び第2のPCB42は、可撓性PCB部分41によって互いに接続される。第1のPCB31及び第2のPCB42のそれぞれが、その上に実装された制御回路222の1つ又は複数のコンポーネントを有する。電源及び制御サブアセンブリ22は、本実施形態では、例えば図2A及び図4Cに示すインジケータアレイ225及び入力部226をホストする、更なるPCBを備えてもよい。
【0057】
可撓性PCB部分41はヒータサブアセンブリ支持フレーム223に巻き付けられ、第2のPCB42は、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223が第1のPCB31と第2のPCB42の間にあるように、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223に取り付けられる。可撓性PCB部分のこの使い方は、第1のPCB31及び第2のPCB42の一方が固定されたときに、他方が正しい位置に容易に案内されることを意味するだけでなく、不規則な空間内に制御回路222を収め、制御回路222に必要な面積を減らすために、制御回路222のための大面積を一度に容易に印刷することができると同時に、複数の表面に分割することも意味し、エアロゾル発生デバイス1の体積を減らすのに役立つ。
【0058】
また、図4Aは、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224の第1の案内部材32及び32’の追加又は代替として上述した第1のPCB31の第1の案内部材32”の一例を示している。
【0059】
図4B図4C、及び図4Dに示すように、第2のPCB42は、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223に沿って、第1の体積と第2の体積との間の分割の部分を形成するように配置される。換言すれば、第2のPCB42の一方の側は、ヒータサブアセンブリ21から漏れる熱に曝され得る第1の体積に曝され、第2のPCB42の他方の側は、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223に対峙している、又はヒータサブアセンブリ支持フレーム223にある間隙に面する。第2のPCB42の一方の側は、漏れた熱に曝され得るため、第2のPCB42を片面PCBとし、制御回路222のコンポーネントを、よくても第2のPCB42の第2の体積にある側上に実装すると都合がよい。これにより、第2のPCB42の基板は、第2の体積における制御回路222を保護するための熱シールドとして機能する。それにも関わらず、第2のPCB42の第1の体積に面する面をいくらか利用するために、この面には、テストをするための及び/又はヒータサブアセンブリ21に接続するための電気接点44を設けてもよい。これらの接点44は、電源及び制御サブアセンブリ22が完成すると露出したままになり、電源及び制御サブアセンブリをテストすることと、ヒータサブアセンブリ21と電源及び制御サブアセンブリ22との間を電気的に接続することとが容易になる。ヒータサブアセンブリ支持フレーム223は、第2のPCB42をフレームに取り付けるためのスナップフィットコネクタ43を更に備えていてもよい。
【0060】
図4Cは、第2のPCB42がヒータサブアセンブリ支持フレームに取り付けられる前に、第1のPCB31上に実装された制御回路222のコンポーネントを見ることができるヒータサブアセンブリ支持フレーム223の間隙を示している。それにも関わらず、この組み立ての段階では、第1のPCB31は可撓性PCB部分41によって第2のPCB42に取り付けられる。また、図4Cは、第2のPCB42上に実装された制御回路222のコンポーネントを示している。第2のPCB42がヒータサブアセンブリ支持フレーム223に取り付けられる場合、第1のPCB及び第2のPCB上に実装された制御回路222のコンポーネントが第2のPCB42の基板によって保護されると共に、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223が、ヒータサブアセンブリ21からの熱に曝される第1の体積を、制御回路222及び電源221を収容する第2の体積から分割する。一方、図4Dに示すように、電気接点44を備える第2のPCB42の反対側の面が第1の体積に曝される。
【0061】
図5A図5B、及び図5Cは、後述するヒータサブアセンブリ21のいくつかの追加的な詳細を示している。
【0062】
図5A及び図5Bは、それぞれ完全なヒータサブアセンブリ21の端面図及び側面図である。図5A及び図5Bを参照すると、ヒータ端部フレーム51が、ヒータサブアセンブリを支持、整列、及び取り付けるためにヒータサブアセンブリ21の両端に設けられている。ヒータ端部フレーム51は、ヒータサブアセンブリ21と電源及び制御サブアセンブリ22との間の整列を支援するための、それぞれの第2の案内部材33’及び35’を備える。
【0063】
ヒータ端部フレーム51の間には、断熱シース52が設けられる。断熱シース52は、図5Cに別々に示されている加熱チャンバ53及びヒータ54を囲む。加熱チャンバは、アクセスサブアセンブリ11に対応する一端が開口した細長いチャンバであり、加熱チャンバ53の外側に巻かれたヒータ54から、加熱チャンバ53内のエアロゾル基質材料へと熱を伝導するために、金属などの熱伝導性材料を含む。断熱シース52は、ヒータ54によって発生された熱を断熱して収容するために設けられて、熱がより効率的に加熱チャンバ53に届けられるようにし、エアロゾル発生デバイス1の他のコンポーネントがヒータ54からの熱に曝されることが少なくなるようにする。本実施形態では、ヒータサブアセンブリ21は、ヒータサブアセンブリ内の温度を測定するための温度センサを更に備える。
【0064】
ヒータ54及び温度センサは、電力供給を受けるため、及び測定値を得るための電気接点又は接続部をそれぞれ有する。
【0065】
図6A及び図6Bは、中間サブアセンブリ13を完成させるための取り付けキャップ23の使用の仕方を概略的に示している。
【0066】
図6Aに示すように、ヒータサブアセンブリ21並びに電源を及び制御サブアセンブリ22のそれぞれの第2の案内部材33、33’、35、及び35’が整列して一緒に嵌め合わされる。第1の案内部材と同様に、第2の案内部材は、突起又はピンであってもよく、それに対応する凹部又は孔であってもよい。この整列及び嵌め合わせの結果、ヒータサブアセンブリ21並びに電源及び制御サブアセンブリ22は正しく配置されるが、まだ取り付けられていない。
【0067】
図6Bに示すように、(破線で「透明に」示す)取り付けキャップ23は、整列したヒータサブアセンブリ21並びに電力及び制御サブアセンブリ22の端部に縦方向にぴったりと嵌るように配置され、少なくとも部分的にヒータサブアセンブリ21並びに電源及び制御サブアセンブリ22を覆う。取り付けキャップ23は、ヒータサブアセンブリ支持フレーム223及び電源支持フレーム224を組み込んだ略T字型のフレームアセンブリの上部を形成し、中間サブアセンブリ13がハウジングサブアセンブリ12に収容されたときに、第1の体積から第5の体積の上部を閉鎖するように配置されてもよい(ここで、「上部」の向きは、図1Aに示すようなデバイスの向きに基づいて定義される)。よって、中間サブアセンブリ13のコンポーネントがハウジングに接触することなく、ハウジングに懸架される場合には、取り付けキャップ23に直接又は間接的に取り付けられることにより実施され得る。
【0068】
ヒータサブアセンブリ21、電源及び制御サブアセンブリ22、並びに取り付けキャップ23は、取り付けキャップ23が端部を覆って配置されたときに、ヒータサブアセンブリ21と電源及び制御サブアセンブリ22とが互いに分離できないように、互いに連動するように適合される。特に、本実施形態では、取り付けキャップ23は、整列したヒータサブアセンブリ21並びに電源及び制御サブアセンブリ22の端部を縦方向の周りで囲み且つ、部分的に覆うように適合され、第2の案内部材33、33’、35、及び35’は、第2の案内部材の方向に対して直交であるため、ヒータサブアセンブリ21と電源及び制御サブアセンブリ22との間の縦方向における相対的な動きを防止するように配置される。このように、ヒータサブアセンブリ21並びに電源及び制御サブアセンブリ22の一方又は両方に取り付けキャップ23を取り付けることにより、ヒータサブアセンブリ21と電源及び制御サブアセンブリ22との間の相対的な動きは、第2の案内部材の方向に対して横向きになるため、縦方向において、また第2の案内部材の方向に対して横向きになるか、又は取り付けキャップを覆って囲むことで阻止されるため、縦方向の周囲においても阻止される。よって、ヒータサブアセンブリ21が電源及び制御サブアセンブリ22に対して固定される。
【0069】
本実施形態では、取り付けキャップ23は、電源及び制御サブアセンブリ22の電源支持フレーム224に、取り付けキャップ取り付け点61において取り付けられる。取り付けは、ねじなどの1つ又は複数の可逆的な締結手段を用いて行われ得る。この取り付けを可逆的な締結手段を用いて行うことによって、ヒータサブアセンブリ21は洗浄のためにより簡単に取り出すことができるが、他の実施形態では取り付けキャップ取り付け点61においてスナップフィット又はプレスフィットの接続を使用する。
【0070】
取り付けキャップ23は、電源及び制御サブアセンブリ22に対してヒータサブアセンブリ21を固定するために必須ではなく、他の実施形態では、第2の案内部材33、33’、35、35’の代わりに、又はそれに加えて、スナップフィット又はプレスフィットのコネクタを更に設けることによって、そのような固定を行うことができることに留意されたい。この代替的な実施形態では、エアロゾル発生デバイスの製造に必要なコンポーネント及び工程の数を更に減らす。それにも関わらず、取り付けキャップ23が電源及び制御サブアセンブリ22に対するヒータサブアセンブリ21の固定に使われない場合であっても、取り付けキャップ23を備えることは、アクセスサブアセンブリ11とハウジングサブアセンブリ12とを取り付けるのに都合がよい。特に、取り付けキャップ23は、中間サブアセンブリ13の他のコンポーネントから独立しており、他の目的のためのヒータサブアセンブリ21並びに電源及び制御サブアセンブリ22の適応とは別個に、デバイスハウジングへの便利な取り付けのために適応させることができる、モジュール式の取り付けインターフェースを提供する。
【0071】
図6Bに示すように、ヒータサブアセンブリ21が電源及び制御サブアセンブリ22に対して固定されている場合、電源及び制御サブアセンブリ22の露出した電気接点44と、ヒータサブアセンブリ21のヒータ54及び温度センサの電気接点又は接続部を使用して、ヒータサブアセンブリ21と電源及び制御サブアセンブリ22との間に電線などの電気接続部が容易に設置され得る。
【0072】
次に、図7A及び図7Bを参照して、アクセスサブアセンブリ11のいくつかの追加的な詳細を説明する。
【0073】
図7Aは、アクセスサブアセンブリ11の内部の特徴をより容易に見ることができるように、アクセスハウジング71を「透明に」した(破線で示した)アクセスサブアセンブリ11の図を示している。
【0074】
蓋111は、スライダカート73に取り付けられる。スライダカートは、蓋111が開位置と閉位置との間をスライドするように、スライダガイド74に沿ってスライドするように構成される。閉位置では、アクセスハウジング71の開口部が蓋111によって塞がれる。開位置では、アクセスハウジング71の開口部が開放される。エアロゾル発生デバイス1が組み立てられ、蓋111が開位置にあるとき、アクセスハウジング71の開口部は、加熱チャンバ53へのアクセスを提供する。
【0075】
図7Aに示すように、アクセスハウジング71は、アクセスサブアセンブリ11を中間サブアセンブリ13に取り付けるためのスナップフィットコネクタ75を備える。本実施形態では、2つの対向するスナップフィットコネクタ75が、エアロゾル発生デバイス1の2つの小さい対向する側部に対応して設けられるが、コネクタの任意の効果的な配置を使用することができる。上述のスナップフィットコネクタと同様に、スナップフィットコネクタは、代替的にプレスフィットコネクタであってもよい。
【0076】
加えて、アクセスハウジング71は、その下端に沿って(図に示すように)段差のあるリムを備える。内側のリム77は、外側のリム76を超えて下方に延びる。この段差のあるリムは、アクセスサブアセンブリ11をハウジングサブアセンブリ12と一緒に固定するのに役立ち、スナップフィットコネクタ75から衝撃応力をそらすことができ、それにより、アクセスサブアセンブリ11と中間サブアセンブリ13との間の接合部における構造の弱点を防ぐのに役立つ。
【0077】
図7Bを参照すると、本図ではスライダガイド74が隠れており、スライダカート73及び蓋111を閉位置に戻すように作用するスライダ付勢機構78の様子がよくわかるようにしている。これにより、不使用時に加熱チャンバ53を確実に覆うことができる。
【0078】
定義及び代替的な実施形態
上記の説明から、上記の実施形態の多くの特徴が、独立した利点を有する独立した機能を果たすことが理解されよう。したがって、特許請求の範囲において定義された本発明の実施形態に対して、これらの独立した特徴のそれぞれを含めることも省略することも、独立して選択することができる。
【0079】
例えば、上記の実施形態では、複数のPCBを備える電源及び制御サブアセンブリ22の具体的な設計が使用される。或いは、他の実施形態では、例えば、ヒータをオン及びオフするためのスイッチ及びインピーダンス設定回路という非常に単純な場合などの特に制御が単純な場合では、PCBを使用せずに制御回路222が提供され得る。或いは、本発明の実施形態では、上述した第1のPCB31及び第2のPCB42のいずれか一方のみを有していてもよい。
【0080】
「ヒータ」という用語は、エアロゾル基質からエアロゾルを形成するのに十分な熱エネルギーを出力するための任意の装置を意味すると理解されるべきである。ヒータ54からエアロゾル基質への熱エネルギーの伝達は、伝導性、対流性、放射性、又はこれらの手段の任意の組み合わせであり得る。非限定的な例として、導電性ヒータが、エアロゾル基質に直接接触してこれを押してもよく、又は加熱チャンバなどの別個の構成要素に接触して、別個の構成要素自体が伝導、対流、及び/又は放射によってエアロゾル基質の加熱を生じさせるのであってもよい。
【0081】
ヒータは、電気的に駆動されるか、燃焼により駆動されるか、又は任意の他の好適な手段で駆動されてもよい。電気駆動ヒータは、抵抗性トラック要素(任意選択で絶縁パッケージングを含む)、誘導加熱システム(例えば、電磁石及び高周波発振器を含む)などを含んでもよい。ヒータ54は、エアロゾル基質の外側の周囲に配置されてもよく、エアロゾル基質内へと途中まで又は完全に貫入してもよく、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、上述した実施形態のヒータの代わりに、エアロゾル発生デバイスは、加熱チャンバにおいてエアロゾル基質内に延びるブレード型のヒータを備えてもよい。
【0082】
「温度センサ」という用語は、エアロゾル発生デバイス1の一部分の絶対温度又は相対温度を決定することが可能な要素を説明するために使用される。これは、熱電対、サーモパイル、サーミスタなどを含み得る。温度センサは、別の構成要素の一部として提供されてもよく、又は別個の構成要素であってもよい。いくつかの例では、複数の温度センサが設けられて、例えば、エアロゾル発生デバイス1の様々な部分の加熱を監視すること、例えば熱プロファイルを測定することができる。或いは、いくつかの例では温度センサを備えない。このことは、例えば、熱プロファイルが既に確実に確立されていて、ヒータ54の動作に基づいて温度を想定し得る場合に可能である。
【0083】
図面の制御回路222は、エアロゾル発生デバイス1をトリガしてオンにするための単一のユーザ操作可能ボタンを有するものとして示されている。これにより、制御は単純に保たれ、ユーザがエアロゾル発生デバイス1を誤用する、又はエアロゾル発生デバイス1を正しく制御することに失敗する可能性が低減する。しかしながら、場合によっては、ユーザが利用可能な入力制御は、例えば、温度を、例えば事前に設定された制限内で制御して、蒸気の風味バランスを変化させる、又は例えば省電力モードと急速加熱モードとを切り替えるために、これよりも複雑にすることもできる。
【0084】
エアロゾル基質は、タバコを、例えば乾燥した又は硬化した形態で含み、場合によっては、風味のための、又はより滑らかなさもなければより満足を与える効果を提供する、追加の成分を有する。いくつかの例では、タバコなどのエアロゾル基質は、気化剤で処理されてもよい。気化剤は、エアロゾル基質からの蒸気の発生を改善し得る。気化剤は、例えば、グリセロールなどのポリオール、又はプロピレングリコールなどのグリコールを含んでもよい。場合によっては、エアロゾル基質はタバコ又はニコチンさえも含まなくてもよいが、代わりに、風味付け、揮発性、滑らかさの改善、及び/又は他の満足を与える効果を提供するための天然の又は人工由来の成分を含んでもよい。エアロゾル基質は、細断された、ペレット状の、粉末状の、粒状の、ストリップ又はシート形態、任意選択でこれらの組み合わせの固体又はペーストタイプの材料として提供されてもよい。同様に、エアロゾル基質は、液体又はゲルであってもよい。実際、いくつかの例では、固体部分と液体/ゲル部分の両方が含まれる場合がある。
【0085】
したがって、エアロゾル発生デバイス1を、「加熱式タバコ装置」、「加熱非燃焼式タバコ装置」、「タバコ製品気化用装置」などと等しく呼ぶことができ、これらの効果を実現するのに好適な装置として解釈される。本明細書に開示される特徴は、任意のエアロゾル基質を気化させるように設計された装置に等しく適用可能である。
【0086】
エアロゾル発生デバイス1は、エアロゾル基質を、事前にパッケージ化された基質担体内に収容するように構成され得る。基質担体は、好適な形態で構成されたエアロゾル基質を有する管状領域を有する紙巻きタバコに概ね類似していてもよい。一部の設計には、フィルター、蒸気収集領域、冷却領域、及びその他の構造も含まれる場合がある。紙の外層、又はホイルなどの他の柔軟な平面材料の外層も設けて、例えば、エアロゾル基質を所定位置に保持して、紙巻きタバコなどとの類似性を更に高めてもよい。基質キャリアは、加熱チャンバ53内に収まってもよいし、又はエアロゾル発生デバイス1に基質キャリアが提供されている間、蓋111が開いたままになるように加熱チャンバ53よりも長くてもよい。そのような実施形態では、エアロゾルは、エアロゾル発生デバイスのマウスピースとして機能する基質キャリアから直接提供されてもよい。
【0087】
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、液体、ペースト、ゲル、粉末などを含むがこれらに限定されない流動可能なタイプの非固形材料を総称して説明するものとして解釈されるものとする。それに応じて、「流動化された材料」は、本質的に流体である材料として、又は流体として振る舞うように改質された材料として解釈されるものとする。流動化は、粉末化、溶媒への溶解、ゲル化、増粘化、減粘化などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書で使用する場合、「揮発性」という用語は、固体又は液体状態から気体状態へと容易に変化することが可能な物質を意味する。非限定的な例として、揮発性物質は、周囲気圧において室温に近い沸騰又は昇華温度を有するものであり得る。したがって、「揮発する(volatilize)」又は「揮発する(volatilise)」は、(材料を)揮発させること、及び/又は蒸気中に蒸発又は分散させることを意味すると解釈されるものとする。
【0089】
本明細書で使用する場合、「蒸気(vapour)」(又は「蒸気(vapor)」)という用語は、以下を意味する:(i)液体が、十分な程度の熱の作用によって自然に変換される形態、又は(ii)大気中に浮遊し、湯気/煙の雲として見える液体/湿気の粒子、又は(iii)気体のように空間を満たすが、臨界温度を下回っている時は圧力だけで液化できる流体。
【0090】
この定義と整合して、「気化させる(vaporise)」(又は「気化させる(vaporize)」)という用語は、以下を意味する:(i)蒸気へと変化させる、又は蒸気への変化を生じさせる、及び(ii)粒子が物理状態を変化させる場合(すなわち、液体又は固体から気体状態へと)。
【0091】
本明細書で使用する場合、「噴霧する(atomise)」(又は「噴霧する(atomize)」)という用語は、以下を意味するものとする:(i)(物質、特に液体を)非常に小さな粒子又は液滴へと変えること、及び(ii)粒子が、噴霧前と同じ物理状態(液体又は固体)のままである場合。
【0092】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。それに応じて、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化することの意味は、上記で定義した揮発、噴霧及び気化させることの各々と整合することに留意されたい。疑義を回避するために、エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子を含むミスト又は小滴を一貫して記述するために使用される。エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は小滴も含む。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B