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特許7620779ハイブリッドパワートレイン及び低電圧電動発電機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ハイブリッドパワートレイン及び低電圧電動発電機
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/26 20071001AFI20250117BHJP
   B60K 6/405 20071001ALI20250117BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20250117BHJP
【FI】
B60K6/26 ZHV
B60K6/405
B60K6/48
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022107053
(22)【出願日】2022-07-01
(65)【公開番号】P2023008991
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】21183335.5
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522266494
【氏名又は名称】インディカー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INDYCAR,LLC
【住所又は居所原語表記】4790 W.16th St.,Indianapolis,IN 46222(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】タル デ サリス,ルパート
(72)【発明者】
【氏名】サンサム,ダレン
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-037941(JP,A)
【文献】特開2008-155828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60W 10/00-20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電圧電動発電機(2)を備えたハイブリッドパワートレイン(1)であって、
内燃機関(3)と、
前記内燃機関(3)に動作的に接続されたクラッチ(4)と、
第1の端部にて前記クラッチ(4)に動作的に接続され、第2の端部にてギヤボックスに動作的に接続された駆動シャフト(5)と、
前記駆動シャフト(5)に動作的に接続された低電圧電動発電機(2)と、
前記低電圧電動発電機(2)に動作的に接続されたインバーターユニット(7)と、
電子コントロールユニット(8)と、
前記インバーターユニット(7)に動作的に接続された電力源(9)と、
を含み、
前記低電圧電動発電機(2)は、前記低電圧電動発電機(2)のローターと前記駆動シャフト(5)の間に駆動接続を形成するように、前記駆動シャフト(5)の周りに同心円状に配置されており、
前記低電圧電動発電機(2)、前記インバーターユニット(7)、前記電力源(9)及び前記ギヤボックスは、完全に前記ギヤボックスのベルハウジング(10)の内側に配置されており、
前記電子コントロールユニット(8)は、
a)2つ以上のコントローラーを含み、少なくとも1つのコントローラーが前記ベルハウジング(10)内に配置されていると共に、少なくとも1つのコントローラーが前記ベルハウジング(10)外に配置されている、又は、
b)前記ベルハウジング(10)外に配置された少なくとも1つのコントローラーを含むが、前記ベルハウジング(10)内に配置されたコントローラーを含まない、
のいずれかであり
前記低電圧電動発電機(2)と前記駆動シャフト(5)の間には、中空シャフト(12)が配置されており、
前記中空シャフト(12)は、
・第1の端部(122)にて、前記低電圧電動発電機(2)の前記ローターに接続された外スプライン(121)と、
・第2の端部(124)にて、前記駆動シャフト(5)に接続された内スプライン(123)と
を含み、
前記外スプライン(121)と前記低電圧電動発電機(2)の前記ローターとの接続と、前記内スプライン(123)と前記駆動シャフト(5)との接続の両方が、前記駆動シャフト(5)と前記低電圧電動発電機(2)の前記ローターとの間における、
・水平及び/又は垂直の角度ずれ、及び/又は、
・水平及び/又は垂直の位置ずれ
に対応できるように、冠状スプライン接続として形成されている、ハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項2】
前記ベルハウジング(10)外に配置された前記少なくとも1つのコントローラーが、前記ベルハウジング(10)の外側側壁に配置されている、請求項1に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項3】
前記電子コントロールユニット(8)が、速度とトルクの基本的な制御を可能にするように前記低電圧電動発電機(2)のフェーズ間の高出力スイッチングを制御可能な1つのコントローラーを含む、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項4】
前記電子コントロールユニット(8)が、運転者の要求、エンジン操作、温度、環境又はアプリケーション入力から選択される様々な入力に基づいてトルク及び速度を操作可能な1つのコントローラーを含む、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項5】
前記電力源(9)が、前記インバーターユニット(7)から1000mm以内に配置されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項6】
前記電力源(9)が、前記インバーターユニット(7)から500mm以内に配置されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項7】
前記インバーターユニット(7)が、前記低電圧電動発電機(2)から1000mm以内に配置されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項8】
前記インバーターユニット(7)が、前記低電圧電動発電機(2)から100mm以内に配置されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項9】
前記低電圧電動発電機(2)が、48V電動発電機(2)である、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項10】
前記低電圧電動発電機(2)が、それぞれ少なくとも300アンペアを伝導できるように構成された複数の軸方向単極導体を含み、前記インバーターユニット(7)が、前記低電圧電動発電機(2)の各軸方向単極導体ごとに少なくとも2つの固体スイッチを提供するように構成されており、前記固体スイッチが、それぞれの前記単極導体に直接配置されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項11】
前記低電圧電動発電機(2)が、少なくとも30kWの動作出力を提供するように構成されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項12】
前記低電圧電動発電機(2)が、少なくとも45kWの動作出力を提供するように構成されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項13】
前記低電圧電動発電機(2)が、少なくとも75kWの動作出力を提供するように構成されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項14】
前記低電圧電動発電機(2)が、少なくとも105kWの動作出力を提供するように構成されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項15】
前記低電圧電動発電機(2)が、人の接触に対して安全な閾値電圧未満の動作電圧で動作する、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項16】
前記低電圧電動発電機(2)が、60ボルト未満の動作電圧で動作する、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項17】
前記電力源(9)が、キャパシタを含む、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項18】
前記電力源(9)が、キャパシタのみを含む、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項19】
・前記中空シャフト(12)の前記第1の端部(122)にて、前記駆動シャフト(5)と中空シャフト(12)との間に配置された第1の減衰要素(131)と、
・前記中空シャフト(12)の前記第2の端部(124)にて、前記駆動シャフト(5)と中空シャフト(12)との間に配置された第2の減衰要素(132)と
を少なくとも含み、
前記少なくとも第1の減衰要素(131)及び前記第2の減衰要素(13)は、前記駆動シャフト(5)の水平及び/又は垂直角運動の、前記中空シャフト(12)を介した前記低電圧電動発電機(2)の前記ローターへの伝達を減衰させるように構成されている、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項20】
前記減衰要素(131a,131b,132a,132b)が、複数の前記第1の減衰要素(131a,131b)の間、及び/又は、複数の前記第2の減衰要素(132a,132b)の間に潤滑剤を保持するように、潤滑剤の保持が可能なリング要素である、請求項19に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項21】
前記中空シャフト(12)の前記第1の端部(122)における前記外スプライン(121)と、前記中空シャフト(12)の前記第2の端部(124)における前記内スプライン(123)との間の、前記中空シャフト(12)の長さが、前記低電圧電動発電機(2)の長さの20%~200%の間の範囲にある、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【請求項22】
前記中空シャフト(12)の前記第1の端部(122)における前記外スプライン(121)と、前記中空シャフト(12)の前記第2の端部(124)における前記内スプライン(123)との間の、前記中空シャフト(12)の長さが、前記低電圧電動発電機(2)の長さの50%~100%の間の範囲にある、請求項1又は2に記載のハイブリッドパワートレイン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に係る低電圧電動発電機、特に48V電動発電機を備えたハイブリッドパワートレインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるハイブリッドパワートレインは、内燃機関、インバーターを備えた高電圧電動発電機、電力源、内燃機関と高電圧電動発電機との機械力を伝達する駆動シャフト、及び、高電圧電動発電機とインバーターとを制御する電子コントロールユニットで構成されている。
【0003】
このようなハイブリッドパワートレインは、例えば、減速、パーシャルスロットル及びブレーキイベント中に車両から機械的運動エネルギーを収集し、その機械的運動エネルギーを高電圧電動発電機とインバーターとを使用して電気エネルギーへと変換するために使用される。この電気エネルギーは、電力源に蓄積されて、例えば加速イベント等の追加の電力が必要な際に高電圧電動発電機を駆動するために放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術におけるハイブリッドパワートレインは、電動発電機を駆動するために高電圧を使用して動作するため、これらのシステムは、該システム内の導電体と人との接触があった際における安全上のリスクがある。導電体は、高電圧電動発電機、インバーター、電力源及び電子コントロールユニットに見られる。そのような導電体は、多くの場合、車両の損傷を受けやすい位置に配置される。したがって、衝突又は他の意図しない態様の損傷があった際に、損傷によって高電圧の導体が人との接触を受ける可能性がある。
【0005】
従来技術のハイブリッドパワートレインは、追加の絶縁材を提供する等の手段によって、この安全上の問題を克服しようとしている。しかしながら、そのような手段は高価であり、また、整備作業を行う際(パーツが取り外される時)や車両が衝突した際には、取り除かれる可能性がある。これらの事象は、特にモータースポーツにおいて頻繁に発生する。
【0006】
本発明の目的は、従来技術から知られている欠点、特に、衝突時の運転者、保守要員、安全乗組員及び他の人に対する危険を克服する又は少なくとも軽減するように構成された低電圧電動発電機を備えた車両のためのハイブリッドパワートレインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、独立請求項の主題に係る本発明によって解決される。本発明の有利な態様は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、低電圧電動発電機、特に、48V電動発電機を備えた車両又はその他の装備のためのハイブリッドパワートレインを含んでおり、該ハイブリッドパワートレインは、
内燃機関と、
内燃機関に動作的に接続されたクラッチと、
第1の端部にてクラッチに動作的に接続され、第2の端部にてギヤボックスに動作的に接続された駆動シャフトと、
駆動シャフトに動作的に接続された低電圧電動発電機と、
低電圧電動発電機に動作的に接続されたインバーターユニットと、
電子コントロールユニットと、
インバーターユニットに動作的に接続された電力源と、
を含み、
低電圧電動発電機は、低電圧電動発電機のローターと駆動シャフトの間に駆動接続を形成するように、駆動シャフトの周りに同心円状に配置されており、
低電圧電動発電機、インバーターユニット、電力源及びギヤボックスは、完全にギヤボックスのベルハウジングの内側に配置されている。低電圧電動発電機は、60V以下、特に、一般的に使用される指定48Vの電源で機能する。電子コントロールユニットは、a)ベルハウジング内に配置された少なくとも1つのコントローラーを含むが、ベルハウジング外に配置されたコントローラーを含まない、b)2つ以上のコントローラーを含み、少なくとも1つのコントローラーがベルハウジング内に配置されていると共に、少なくとも1つのコントローラーがベルハウジング外に配置されている、又は、c)ベルハウジング外に配置された少なくとも1つのコントローラーを含むが、ベルハウジング内に配置されたコントローラーを含まない、のいずれかである。
【0009】
低電圧電動発電機、インバーターユニット、電力源、ギヤボックス、及び、有利な態様では電子コントロールユニットが、完全にギヤボックスのベルハウジングの内側に配置されているという点において、電流が流れるコンポーネント、すなわち低電圧電動発電機、インバーターユニット、電力源、及び、そのような有利な態様における電子コントロールユニットは、ギヤボックスのベルハウジングの外側から直接アクセスされない。したがって、これらの高アンペア電流が流れるコンポーネントに直接接触することができないため、人間の使用者にとって遥かに安全である。b)2つ以上のコントローラーを含み、少なくとも1つのコントローラーがベルハウジング内に配置されていると共に、少なくとも1つのコントローラーがベルハウジング外に配置されている場合、有利には、高電流が流れるコントローラーがベルハウジング内に配置され得ると共に、低電流が流れるコントローラーがベルハウジング外に配置され得る。c)ベルハウジング外に配置された少なくとも1つのコントローラーを含むが、ベルハウジング内に配置されたコントローラーを含まない場合、有利には、いずれの高電流が流れるコントローラーも、分離手段又はカバー配置によって、人との接触からカバーされ得る。
【0010】
好ましくは、ベルハウジング外に配置された少なくとも1つのコントローラーは、ベルハウジングの外側側壁に配置されている。これにより、近接した配置が可能になる。
【0011】
さらに好ましくは、電子コントロールユニットは、速度とトルクの基本的な制御を可能にするように電動機のフェーズ間の高出力スイッチングを制御可能な1つのコントローラーを含む。
【0012】
また好ましくは、電子コントロールユニットは、運転者の要求、エンジン操作、温度、環境及び/又はアプリケーション入力等の様々な入力に基づいてトルク及び速度を操作可能な1つのコントローラーを含む。
【0013】
低電圧電動発電機、インバーターユニット、電力源及びギヤボックスは、完全にギヤボックスのベルハウジングの内側に収まるサイズ及び形状を有している。有利な態様では、電子コントロールユニットはまた、他のコンポーネントと共に、完全にギヤボックスのベルハウジングの内側に収まるサイズ及び形状を有している。
【0014】
さらに、ギヤボックスのベルハウジングは、低電圧電動発電機、インバーターユニット、電力源、ギヤボックス、及び、有利な態様では電子コントロールユニットを完全に収容するサイズ及び形状を有している。
【0015】
低電圧電動発電機は、人と接触しても安全な程度に十分に低い動作電圧にて動作するように構成されている。好ましい実施形態では、低電圧電動発電機は、60ボルト未満の動作電圧にて動作するように構成されている。
【0016】
インバーターユニットは、MOSFET等の固体スイッチを含み得る。
【0017】
好ましい態様によれば、電力源は、インバーターユニットから1000mm以内、特に500mm以内に配置されている。これにより、電力源をインバーターユニットの近くに配置することが可能になり、電力源及びインバーターユニットの両方をギヤボックスのベルハウジングの内側に配置することが可能になる。
【0018】
別の好ましい態様によれば、インバーターユニットが、低電圧電動発電機から1000mm以内、特に100mm以内に配置されている。これにより、インバーターユニットを低電圧電動発電機の近くに配置することが可能になり、インバーターユニット及び低電圧電動発電機の両方をギヤボックスのベルハウジングの内側に配置することが可能になる。
【0019】
特に好ましい態様によれば、低電圧電動発電機は、それぞれ少なくとも300アンペアを伝導できるように構成された複数の軸方向単極導体を含んでいる。インバーターユニットは、低電圧電動発電機の各軸方向単極導体ごとに少なくとも2つの固体スイッチを提供するように構成されている。固体スイッチは、それぞれの単極導体に直接配置されている。低電圧電動発電機は、少なくとも300アンペアを伝導できるように構成された複数の軸方向単極導体を含んでおり、これらの軸方向単極導体のそれぞれによって、低電圧電動発電機は、人間と接触しても安全な動作電圧、特に、60V未満の動作電圧にて、30kW以上の動作出力により動作することが可能になる。
【0020】
有利な態様によれば、低電圧電動発電機は、少なくとも30kW、好ましくは少なくとも45kWの動作出力を提供するように構成されている。他の有利な態様によれば、低電圧電動発電機は、少なくとも75kW、好ましくは少なくとも105kWの動作出力を提供するように構成されている。この動作出力によって、低電圧電動発電機は、例示であって限定されないが、オートバイや自動車の電気駆動モーター、特にモータースポーツ用のオートバイや自動車の電気駆動モーターとしての使用に適したものとなる。
【0021】
別の有利な態様によれば、低電圧電動発電機は、人の接触に対して安全な閾値電圧未満の動作電圧で、好ましくは60ボルト未満の動作電圧で動作する。これにより、本ハイブリッドパワートレインは、例えば800Vの動作電圧で動作する電動発電機を使用する高電圧動作用に設計されたハイブリッドパワートレインと比較して、電気駆動によって人のユーザに生じる危険に対してより安全になる。
【0022】
特に有利な態様によれば、電力源は、キャパシタを含む。このようなキャパシタは、ウルトラキャパシタとして設計され得る。この電力源がキャパシタを含んでいるため、例えばバッテリーと比較して、短時間でより高い出力が供給され得る。これにより、キャパシタの使用によりバッテリーよりも重量が軽減されるため、車両のより大きな加速が可能になる。
【0023】
特に有利な態様によれば、電力源は、キャパシタのみを含む。
【0024】
有益な態様によれば、低電圧電動発電機と駆動シャフトの間に、中空シャフトが配置されている。中空シャフトは、第1の端部にて、低電圧電動発電機のローターに接続された外スプラインと、第2の端部にて、駆動シャフトに接続された内スプラインとを含む。
【0025】
外スプラインと低電圧電動発電機のローターとの接続と、内スプラインと駆動シャフトとの接続の両方が、駆動シャフトと低電圧電動発電機のローターとの間における、水平及び/又は垂直の角度ずれ、及び/又は、水平及び/又は垂直の位置ずれに対応できるように、冠状スプライン接続として形成されている。
【0026】
このように、内燃機関によって生成される駆動シャフトからの振動の、低電圧電動発電機への、特に低電圧電動発電機に動作的に接続されているインバーターユニットへの伝達が、中空シャフトの使用によって低減され得る。このようにして、低電圧電動発電機及びインバーターユニットは、振動によって生じる有害な機械的衝撃から保護される。
【0027】
別の有益な態様によれば、ハイブリッドパワートレインは、中空シャフトの第1の端部にて、駆動シャフトと中空シャフトとの間に配置された第1の減衰要素と、中空シャフトの第2の端部にて、駆動シャフトと中空シャフトとの間に配置された第2の減衰要素とを少なくとも含み、少なくとも第1の減衰要素及び第2の減衰要素は、駆動シャフトの水平及び/又は垂直角運動の、中空シャフトを介した低電圧電動発電機のローターへの伝達を減衰させるように構成されている。
【0028】
このように、内燃機関によって生成される駆動シャフトからの振動の、低電圧電動発電機への、特に低電圧電動発電機に動作的に接続されているインバーターユニットへの伝達が、減衰要素の使用によって低減され得る。このようにして、低電圧電動発電機及びインバーターユニットは、振動によって生じる有害な機械的衝撃から保護される。
【0029】
減衰要素は、駆動シャフト及び/又は中空シャフトの周りに配置されたリング要素として、好ましくはゴム材料を含むリング要素として設計され得る。特に有益な態様によれば、中空シャフトの第1の端部における外スプラインと、中空シャフトの第2の端部における内スプラインとの間の、中空シャフトの長さが、低電圧電動発電機の長さの20%~200%の間の範囲にあり、好ましくは低電圧電動発電機の長さの50%~100%の間の範囲にある。
【0030】
このように、中空シャフトは、駆動シャフトと低電圧電動発電機のローターとの間における、
・水平及び/又は垂直の角度ずれ、及び/又は、
・水平及び/又は垂直の位置ずれ
に対応できるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の利点は、図面と併せて以下に説明する。
図1図1は、完全にギヤボックスのベルハウジングの内側に配置された低電圧電動発電機、インバーターユニット、電子コントロールユニット、電力源及びギヤボックスを示す。
図2図2は、駆動シャフトに配置された中空シャフトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、ハイブリッドパワートレイン1のための低電圧電動発電機2を示しており、該低電圧電動発電機2は、内燃機関3と、該内燃機関3に動作的に接続されたクラッチ4とを有する。インバーターユニット7、電子コントロールユニット8、及び電力源9は、完全にギヤボックスのベルハウジング10(点線)の内側に配置されている。このことは、低電圧電動発電機2のローター(図示せず)と駆動シャフト5との間に駆動接続を形成するように、低電圧電動発電機2を駆動シャフト5の周りに同心円状に配置することによって、部分的に可能になる。
【0033】
低電圧電動発電機2、インバーターユニット7、電子コントロールユニット8及び電力源9が、完全にギヤボックスのベルハウジング10の内側に配置されているという点において、電流が流れるコンポーネント、すなわち低電圧電動発電機2、インバーターユニット7、電子コントロールユニット8及び電力源9は、ギヤボックスのベルハウジング10の外側から直接アクセスされない。
【0034】
図1はまた、ベルハウジングの外側に配置された電子コントロールユニット8の追加のコントローラー81の態様も図示しており、この例では、ベルハウジングの外側の壁に配置されている。好ましくは、追加のコントローラーは、運転者の要求、エンジン操作、温度、環境及び/又はアプリケーション入力等の様々な入力に基づいてトルク及び速度を操作可能な、低電流が流れるコントローラーである。
【0035】
電子コントロールユニット8は、ベルハウジング内に、速度とトルクの基本的な制御を可能にするように前記電動機のフェーズ間の高出力スイッチングを制御可能な1つのコントローラーを含む。
【0036】
第3のケースである(c)ベルハウジング外に配置された少なくとも1つのコントローラーを含むが、ベルハウジング内に配置されたコントローラーを含まない場合も同様に、図1の例示から導き出すことが可能であり、有利には、いずれの高電流が流れるコントローラーも、分離手段(図示しない)又はカバー配置(図示しない)によって、人との接触からカバーされ得る。
【0037】
低電圧電動発電機2、インバーターユニット7、電子コントロールユニット8、電力源9及びギヤボックスは、完全にギヤボックスのベルハウジング10の内側に収まるサイズ及び形状を有している。
【0038】
低電圧電動発電機2は、複数の軸方向単極導体を含んでおり、この軸方向単極導体は、それぞれ少なくとも300アンペアを伝導できるように構成されている。これにより、低電圧電動発電機2を、少なくとも30kWの動作出力、及び/又は、少なくとも45kWの動作出力、及び/又は、少なくとも75kWの動作出力、及び/又は、少なくとも105kWの動作出力で動作させることが可能になり、それぞれの場合において、人の接触に対して安全な動作電圧で、特に、60V未満の動作電圧で動作させることが可能になる。
【0039】
インバーターユニット7は、低電圧電動発電機2の各軸方向単極導体ごとに少なくとも2つの固体スイッチを提供するように構成されている。固体スイッチは、それぞれの単極導体に直接配置されている。
【0040】
電力源9は、キャパシタのみを含む。このようなキャパシタは、ウルトラキャパシタとして設計され得る。電力源9がキャパシタのみを含んでいる点は、バッテリーと比較して短時間でより高い電力を供給することに有利である。これにより、車両又はその他の機器のより大きな加速が可能になる。
【0041】
図2は、駆動シャフト5に配置された中空シャフト12を示している。中空シャフト12は、第1の端部122にて、低電圧電動発電機2のローター21に接続された外スプライン121と、第2の端部124にて、駆動シャフト5に接続された内スプライン123とを含む。
【0042】
外スプライン121と低電圧電動発電機(図示しない)のローター(図示しない)との接続と、内スプライン123と駆動シャフト5との接続の両方が、駆動シャフト5と低電圧電動発電機(図示しない)のローター(図示しない)との間における、水平及び/又は垂直の角度ずれ、及び/又は、水平及び/又は垂直の位置ずれに対応できるように、冠状スプライン接続として形成されている。
【0043】
駆動シャフト5と低電圧電動発電機(図示しない)のローター(図示しない)との間における、水平及び/又は垂直の角度ずれ、及び/又は、水平及び/又は垂直の位置ずれに対応できるように、中空シャフト12の第1の端部122における外スプライン121と、中空シャフト12の第2の端部124における内スプライン123との間の、中空シャフトの長さは、低電圧電動発電機(図示しない)の100%の長さである。
【0044】
さらに、第1の減衰要素131a,131bが、中空シャフト12の第1の端部122にて、駆動シャフト5と中空シャフト12との間に配置され、第2の減衰要素132a,132bが、中空シャフト12の第2の端部124にて、駆動シャフト5と中空シャフト12との間に配置されている。
【0045】
減衰要素131a,131b,132a,132bは、駆動シャフト5の水平及び/又は垂直角運動の、中空シャフト12を介した低電圧電動発電機(図示しない)のローター(図示しない)への伝達を減衰させるように構成されている。図2の減衰要素131a,131b,132a,132bは、駆動シャフト5又は中空シャフト12の周りに配置されるリング要素として設計され、ゴム材料で作製されている。
【0046】
このように、内燃機関(図示しない)によって生成される駆動シャフト5からの振動の、低電圧電動発電機(図示しない)への、特に低電圧電動発電機(図示しない)に動作的に接続されているインバーターユニット(図示しない)への伝達が、中空シャフト12の使用によって低減され得る。このようにして、低電圧電動発電機(図示しない)及びインバーターユニット(図示しない)は、振動によって生じる有害な機械的衝撃から保護される。
【0047】
少なくとも1つの有利な態様によれば、図2の減衰要素131a,131b,132a,132bは、リング要素として設計され、減衰要素131a,131bの間、及び/又は、減衰要素132a,132bの間に潤滑剤(図示しない)が保持されるように、潤滑剤保持要素として機能し得る。
図1
図2