(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ドップラー周波数シフトを抑制したLIDARシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/34 20200101AFI20250117BHJP
【FI】
G01S17/34
(21)【出願番号】P 2022562287
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021060383
(87)【国際公開番号】W WO2021214135
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-03-28
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】521464400
【氏名又は名称】モウロ ラブス、エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルガッロ バルバス、エドゥアルド
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0072979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0376000(US,A1)
【文献】国際公開第2020/216842(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
G01N 21/00-21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドップラー周波数シフトを抑制した光検出測距(LIDAR)システムであって、前記システムは、
第1の光を発するように構成された少なくとも1つの光源と、
前記光源によって照射される移動物体によって反射される入力反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの撮像入力開口部と、前記少なくとも1つの撮像入力開口部に関連付けられた1つの撮像チャネルと、
前記光源によって照射される前記移動物体によって反射される参照反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの参照開口部と、前記少なくとも1つの参照開口部に関連付けられた1つの参照チャネルと、
少なくとも1つの撮像発振器と、
前記入力反射光と前記少なくとも1つの撮像発振器との間で干渉信号を取得するように構成された、前記撮像入力開口部と前記少なくとも1つの撮像発振器とに関連付けられた少なくとも1つの第1の撮像光受信器と、
参照発振器であって、前記少なくとも1つの撮像発振器は前記参照発振器に関して別々に変調される、参照発振器と、
前記参照反射光と前記参照発振器との間で参照干渉信号を取得するように構成された、前記参照開口部と前記参照発振器とに関連付けられた参照光受信器と、
前記移動物体に起因する前記ドップラー周波数シフトをキャンセルまたは低減するように、前記干渉信号と前記参照干渉信号との間で相互変調積を生成するように構成された、前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器と前記参照光受信器とに接続される少なくとも1つの混合器と
を備える、光検出測距(LIDAR)システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器は、前記入力反射光と、第1の同相成分および第1の直交成分を含む前記少なくとも1つの撮像発振器との間で干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器であり、前記参照光受信器は、参照同相成分および参照直交成分を含む参照干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器である、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記参照光受信器に関連付けられており、前記参照同相成分および前記参照直交成分を時間微分することを意図する、時間微分モジュールをさらに備える、請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの混合器は、
前記第1の直交成分と前記参照同相成分とを混合することを意図する第1の混合器と、
前記第1の同相成分と前記参照同相成分とを混合することを意図する第2の混合器と
を有する、請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの混合器は、
前記第1の直交成分と前記参照直交成分とを混合することを意図する第1の混合器と、
前記第1の同相成分と前記参照直交成分とを混合することを意図する第2の混合器と
を有する、請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの混合器は、
前記第1の同相成分と時間微分された前記参照直交成分とを混合することを意図する第3の混合器と、
前記第1の直交成分と時間微分された前記参照直交成分とを混合することを意図する第4の混合器と
を有する、請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの混合器は、
前記第1の同相成分と時間微分された前記参照同相成分とを混合することを意図する第3の混合器と、
前記第1の直交成分と時間微分された前記参照同相成分とを混合することを意図する第4の混合器と
を有する、請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
各混合器に関連付けられたローパスフィルタをさらに備える、請求項4から7のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記参照発振器および前記少なくとも1つの撮像発振器は、共通の原点を共有する、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記参照開口部は前記撮像入力開口部と同じであり、前記参照チャネルおよび前記撮像チャネルはスプリッタによりそこに由来する、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記参照発振器の波長は静止したままで、前記少なくとも1つの撮像発振器の波長は標準的なFMCW(周波数変調連続波)方式にしたがって掃引される、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記干渉信号および前記参照干渉信号をフィルタリングするように構成された、前記第1の撮像光受信器および前記参照光受信器に関連付けられた1つまたは複数のローパスフィルタをさらに備える、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
前記参照同相成分、前記参照直交成分、前記第1の同相成分および前記第1の直交成分を増幅するように構成された、前記参照光受信器および前記第1の撮像光受信器に続いて配置されるトランスインピーダンス増幅器をさらに備える、請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
前記混合器はギルバートセルである、請求項1または4から7のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項15】
第1の光を発するように構成された少なくとも1つの光源と、
前記光源によって照射される移動物体によって反射される入力反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの撮像入力開口部と、前記少なくとも1つの撮像入力開口部に関連付けられた1つの撮像チャネルと、
前記光源によって照射される前記移動物体によって反射される参照反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの参照開口部と、前記少なくとも1つの参照開口部に関連付けられた1つの参照チャネルと、
少なくとも1つの撮像発振器と、
前記入力反射光と前記少なくとも1つの撮像発振器との間で干渉信号を取得するように構成された、前記撮像入力開口部と前記少なくとも1つの撮像発振器とに関連付けられた少なくとも1つの第1の撮像光受信器と、
参照発振器と、
前記参照反射光と前記参照発振器との間で参照干渉信号を取得するように構成された、前記参照開口部と前記参照発振器とに関連付けられた参照光受信器と、
前記移動物体に起因するドップラー周波数シフトをキャンセルまたは低減するように、前記干渉信号と前記参照干渉信号との間で相互変調積が前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器の出力に出現するように、前記参照チャネルに由来する信号で前記少なくとも1つの撮像発振器に振幅または位相変調を適用するように構成された前記少なくとも1つの撮像発振器に接続される光変調器と
を備える、LIDARシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器は、前記入力反射光と、第1の同相成分および第1の直交成分からなる前記少なくとも1つの撮像発振器との間で干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器であり、前記参照光受信器は、参照同相成分および参照直交成分からなる参照干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器である、請求項15に記載のLIDARシステム。
【請求項17】
前記参照発振器および前記少なくとも1つの撮像発振器は、共通の原点を共有する、請求項15に記載のLIDARシステム。
【請求項18】
前記参照開口部は前記撮像入力開口部と同じであり、前記参照チャネルおよび前記撮像チャネルはスプリッタによりそこに由来する、請求項15に記載のLIDARシステム。
【請求項19】
前記参照発振器の波長は静止したままで、前記少なくとも1つの撮像発振器の波長は標準的なFMCW(周波数変調連続波)方式にしたがって掃引される、請求項15に記載のLIDARシステム。
【請求項20】
前記干渉信号および前記参照干渉信号をフィルタリングするように構成された、前記第1の撮像光受信器および前記参照光受信器に関連付けられた1つまたは複数のローパスフィルタをさらに備える、請求項15に記載のLIDARシステム。
【請求項21】
前記参照同相成分、前記参照直交成分、前記第1の同相成分および前記第1の直交成分を増幅することを意図する、前記参照光受信器および前記第1の撮像光受信器に続いて配置されるトランスインピーダンス増幅器をさらに備える、請求項16に記載のLIDARシステム。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載のLIDARシステムを使用する、LIDARシステムにおけるドップラー周波数シフトを抑制するための方法であって、
移動物体に向けられた第1の光を発する段階と、
前記移動物体から来る反射光を受け取る段階と、
前記反射光と撮像発振器との間で第1の干渉信号を取得する段階と、
前記反射光と参照発振器との間で参照干渉信号を取得する段階と、
前記移動物体に起因する前記ドップラー周波数シフトをキャンセルまたは低減するように、前記第1の干渉信号と前記参照干渉信号との間で相互変調積を取得する段階と
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明の目的は、LIDARに対してシーン内の物体の移動によって引き起こされる周波数シフト、すなわちドップラー周波数シフトと呼ばれる影響を低減または完全に抑制することができるLIDARシステムである。
【背景技術】
【0002】
光検出測距(LIDAR)デバイスは、レーザ光を目標に照射すること、およびセンサで反射光を測定することによって、目標への距離マップを生成する。次に、総往復回数、位相または波長を含むレーザ光の特性の相違点は、目標のデジタル3D表現を行うことに使用されることができる。
【0003】
LIDARは、一般に高解像度地図の作成に使用され、測地学、地理情報学、考古学、地理学、地質学、地形学、地震学、林学、大気物理学、レーザ誘導、空中レーザ航跡図(ALSM:airborne laser swath mapping)、レーザ高度計測などに応用されている。また、この技術は、一部の自律走行車に対する制御およびナビゲーションにも使用されている。
【0004】
いくつかのLIDARの中には、コヒーレント検出と呼ばれるものを利用したものがある。この検出方式において、サンプル上で反射した光を、反射光とコヒーレントである局所発振器と混合されている。このアプローチは、単一光子感度を可能にする光学利得などのいくつかの利点を有し、光の位相および波長の変化を使用して距離を測定できる。
【0005】
このタイプのLIDARを利用する際に出現するよくある問題は、デバイスに対してシーン内の物体の移動によって引き起こされる周波数シフトであり、ドップラー周波数シフトと呼ばれる影響である。このような周波数シフトは、物体の関連特性を測定するために使用される信号の帯域幅に対して大きい場合があり、このような関連データの抽出を複雑にする場合がある。この問題は、車両、航空機または衛星の場合のように、物体の相対速度が大きい場合に大きな意味を持つようになる。
【0006】
この周波数シフトは可変であり、未知の場合が多く、検出される信号の帯域幅を非常に大きく広げてしまうことがある。地上車両の場合、相対速度は300km/h以上に達することができる。この相対速度は、λ=1.55μmの照射の場合、54.0MHzのドップラー周波数シフトに相当する。この可変周波数シフトは、物体信号のコヒーレント検出に依存するシステムの電子読み出しと信号処理チェーンを複雑にする。
【0007】
信号チェーンが少数のチャネルでは依然として管理可能であり得るとしても、それは、最終的なLIDARシステムのコスト、サイズおよび複雑性を追加する。さらに、入力数の多いマルチチャネルコヒーレントLIDARシステムの実用的な実装態様には大きな障害となる。
【0008】
説明された問題を解決するために、いくつかのアプローチがあり、それらのうちの1つが不均一サンプリングまたは他の圧縮センシング方式を使用して信号の全体的なデータレートを低減する。
【0009】
一般的に、開発されたすべてのアプローチは、複雑な電子読み出し回路および一般的な信号処理チェーンという同じ欠点を持ち、そのため高価でサイズが大きく、一般的に実装が難しく、多数のチャネルを持つマルチチャネルアーキテクチャにスケーリングすることが困難である。
【0010】
本発明のLIDARシステム対象は、実装が簡単である、1つまたは複数の入力開口部を利用するコヒーレントLIDARシステムの変更を説明する。その目標は、LIDARに対してシーン内の物体の移動によって引き起こされる周波数シフト、すなわちドップラー周波数シフトと呼ばれる影響を低減または完全に排除することである。
【0011】
本発明において、周波数シフトの低減または除去は、参照チャネルでドップラーシフトした信号を測定し、次に時間領域での信号混合の数学的特性を利用して、1つまたは複数の撮像チャネルの周波数をシフトさせてドップラーシフトをキャンセルまたは低減することにより行われる。
【0012】
具体的には、本発明のドップラー周波数シフトを抑制した光検出測距(LIDAR)システムは、外部物体に向けて、第1の光を発するように構成された光源を少なくとも備える。第1の光は、物体上で拡散反射または鏡面反射し、次に少なくとも入力開口部で受け取られ、したがって反射光となる。
【0013】
反射光は、次に、少なくとも入力開口部に続いて配置されたスプリッタで分割することができ、スプリッタは、反射光を参照チャネルと少なくとも第1の撮像チャネルとに分割するように構成されている。
【0014】
分割された反射光の一部は次に、少なくとも第1の撮像チャネルを介して、第1の撮像チャネルに関連付けられた第1の撮像光IQ(In-phase and Quadrature)受信器に導かれる。第1の撮像光IQ受信器は、第1の同相成分および第1の直交成分を含む第1の干渉信号を取得するように構成されている。
【0015】
さらに、反射光の別の部分は、参照チャネルを介して、参照チャネルに関連付けられた参照光IQ受信器に導かれる。参照光IQ受信器は、参照同相成分および参照直交成分を含む参照干渉信号を取得するように構成されている。
【0016】
少なくとも局所光発振器は、第1の撮像光IQ受信器および参照光IQ受信器に関連付けられ、反射光と一時的にコヒーレントであるるように構成されている。
【0017】
最後に、一実施形態において、システムは、第1の撮像光IQ受信器および参照光IQ受信器に接続され、より高い周波数を有する第1の相互変調積と、そのドップラーシフトをスケーリングまたは完全に排除した関心のある第2の相互変調積とを取得するように構成された少なくとも混合器を備える。
【0018】
上述したシステムは、本発明の1つの実施可能形態である。しかし、システムは、参照開口部およびいくつかの入力開口部、または1つまたは複数の入力開口部に関連付けられた参照チャネルおよびいくつかの撮像チャネルを備えることができる。また、システムは、すべての光IQ受信器に関連付けられた単一の局所光発振器、または参照光IQ受信器に関連付けられた参照局所光発振器および撮像光IQ受信器に関連付けられた撮像局所光発振器、または参照光IQ受信器に関連付けられた参照局所光発振器と、それぞれ1つまたは複数の撮像光IQ受信器に関連付けられた複数の撮像局所光発振器とを備えることができる。
【0019】
また、相互変調積の発生が電子的な混合を必要とせずに光検出器で直接行われるように、システムは、撮像局所光発振器に適用される光振幅変調器および/または光位相変調器を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
説明を補足し、本発明の特性のさらなる理解に向けて補助するために、その実用的な実施形態の好適な例にしたがって、例示的かつ非限定的な特性で、以下のものが表されている図面のセットが説明の不可欠な部分として添付されている。
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態における、物体を撮像する例示的なLIDARシステムを示す図である。
【0022】
【
図1A】本発明の一実施形態における、入力開口部、光IQ受信器、参照および撮像局所光発振器の方式を示す図である。
【0023】
【
図1B】本発明の一実施形態における、光IQ受信器に2×4のMMIを使用する代替実施形態を示す図である。
【0024】
【
図2】本発明の一実施形態における、参照チャネルと撮像チャネルとを有するLIDARシステムの方式を示す図である。
【0025】
【
図3】本発明の一実施形態における、参照チャネルと、それらの間の相対的位相に方向情報がエンコードされた撮像チャネルのアレイを有するLIDARシステムの方式を示す図である。
【0026】
【
図4】本発明の一実施形態における、複数の入力開口部と、光検出器上で参照信号を直接混合するための振幅変調器とを備えるLIDARシステムの方式を示す図である。
【0027】
【
図5】ギルバートセルの2つの方式であり、1つが差動光電流の直接増倍を可能にする光検出器を含むことを示す図である。
【0028】
【
図6】切り替えられたキャパシタを使用するギルバートセルの集積化方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、
図1~
図6を使用して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0030】
本発明は、
図1に示されるLIDARシステム(100)などのLIDARシステムに関し、上記LIDARシステムは、少なくとも、外部物体(108)に向けられた光(110)を発するように構成された光源(102)を備える。光は物体(108)から反射され、その反射光(112)を受光部(104)で受け取る。より具体的には、後述される図を参照してより詳細に説明するように、本発明の第1の実施形態では、参照入力開口部(103)および撮像入力開口部(101)で光を受け取る。光源(102)は、単一の光源を表してもよく、異なる波長を有する複数の光源を表してもよい。いくつかの実施形態において、光源(102)は、1つまたは複数のレーザ光源を含む。
【0031】
LIDARシステム(100)は、受光部(104)から電気信号を受け取り、受信された電気信号を使用して1つまたは複数の処理を実行するように構成されているプロセッサ(106)も含む。例えば、プロセッサ(106)は、受信された電気信号を使用して、物体(108)を含む3D画像を再構成してよい。上述したように、反射光(112)をキャプチャしようとする間の(上向き矢印によって特定された)物体(108)の移動は、LIDARシステム(100)に対する物体(108)の移動によって引き起こされた周波数シフト、すなわちドップラー周波数シフトと呼ばれる影響を生じさせる。
【0032】
図1Aに見られるように、参照入力開口部(103)は、LIDARシステム(100)が物体(108)から来る反射光と参照発振器(113)との間で参照干渉信号を生成することを可能にする。次に、この参照干渉信号は、撮像入力開口部(101)によって集められた物体(108)から来る反射光(112)と、撮像発振器(111)との間で形成された干渉信号の変調に使用される。
【0033】
任意の所与の実装において、参照入力開口部(103)および撮像入力開口部のうちの1つまたは複数(101)は、例えば
図1Aの実施形態に示すように重なってよく、参照発振器(113)および撮像発振器(111)も同様である。
【0034】
いくつかの実施形態にしたがって、参照発振器(113)および撮像発振器(111)は、形成された干渉信号を電気周波数で処理できるように、反射光(112)とある程度の時間的コヒーレンスを呈する。
【0035】
図1Aに示す1つの例において、システムは、単一の入力開口部(101、103)を備える。この場合、システムは、物体(108)に向けた光を発する光源(102)を備える。光は物体で反射し、入力開口部(101、103)によってシステムに入る反射光(112)は、1×2スプリッタであってもよい分割素子(2)によって、第1の撮像チャネル(3)と参照チャネル(4)とに分割される。
【0036】
いくつかの実施形態にしたがって、少なくとも2つチャネル(例えば、参照チャネル(4)および第1の撮像チャネル(3))は、実質的に同じ方式でドップラー周波数シフトを介して物体の移動によって影響されるが、非ドップラー情報を有する変調はそれらの間で異なるままである。これにより、両チャネルの信号は、情報を有する変調を回復させる間に、ドップラー周波数シフトを排除し、または大幅に低減させる手法で結合されることが可能になる。
【0037】
図1Aに示すように、第1の撮像チャネル(3)は第1の撮像光IQ受信器(5)に供給され、参照チャネル(4)は参照光IQ受信器(6)に供給される。第1の撮像光IQ受信器(5)は撮像発振器(111)に関連付けられており、参照光IQ受信器(6)は参照発振器(113)に関連付けられている。いくつかの実施形態によれば、光IQ受信器(5、6)内では、両発振器(111、113)は、各チャネルの同相成分(7、9)と直交成分(8、10)との間の位相シフトを生成する90°ハイブリッドを介して供給される。
【0038】
他の実施形態において、IQ受信器(5、6)は、4つの出力(7、8、9、10)と2つの入力(3、4)とのそれぞれの間の位相シフトを提供するように設計された2×4MMIカプラによって実装される。
図1Bにおいて、第1の撮像光IQ受信器(5)が、第1の撮像チャネル(3)と撮像発振器(111)とが供給される2×4MMIカプラであり、参照光IQ受信器(6)が、参照チャネル(4)と参照発振器(113)とが供給される2×4MMIカプラである一実施形態が示されている。
【0039】
一実施形態において、撮像発振器(111)の波長は標準的なFMCW(Frequently Modulated Continuous Wave)方式にしたがって掃引され、参照発振器(113)はその波長を静止させたまま保持する。いくつかの実施形態にしたがって、反射光(112)は、発振器(111、113)において両成分とコヒーレントである成分を有する。このためには、照射が両成分の結合に由来するか、または両成分が照射と共通の原点を共有し、相互のコヒーレンスが保証されるかのいずれかである。
【0040】
いくつかの実施形態にしたがって、第1の撮像光IQ受信器(5)は第1の撮像チャネル(3)に関連付けられており、第1の同相成分(7)と第1の直交成分(8)とを有する第1の干渉信号を取得するように構成されている。参照光IQ受信器(6)は参照チャネル(4)に関連付けられており、参照同相成分(9)と参照直交成分(10)とを有する参照干渉信号を取得するように構成されている。
【0041】
両方の干渉信号は、実質的に同様に(いくつかの実施形態において、異なる波長に起因する小さな違いがある状態で)ドップラーによって影響されることになる。しかし、撮像発振器(111)に関連付けられた第1の干渉信号のみが、その干渉周波数で物体(108)とLIDARシステム(100)との間の距離についての情報を伝達する。
【0042】
図2に見られるように、第1の干渉信号と参照信号とを少なくとも1つの混合器121~124(12と集合的に特定される場合もある)で混合することは、2つの相互変調積の生成をもたらす。例えば、混合により、捨てられることができるより高い周波数を持つ第1の相互変調積と、ドップラーシフトが大幅にスケーリングされたより低い周波数を持つ出力相互変調積(16)とが生成され、これにより、レンジングおよび振幅情報をベースバンドに取り込む可能性が提供され、故にサンプリング周波数および電子機器の読み出し複雑性が最小化される。
【0043】
説明のために、第1の干渉信号および参照干渉信号は、本明細書で説明するように、この実装のために導出される。撮像入力開口部(101)および参照開口部(103)は、撮像入力開口部(101)がアレイの一部である場合に可能な相対的位相シフトを除いて、実質的に同じ位置にあると仮定される。2つの波長(それぞれ関連付けられた波数および角周波数k
1、k
2並びにω
1、ω
2)を持ち、振幅Aが等しい2つの光源でシーンを等しく照明する場合、光源からの距離xにおける光信号は、次のようになる。
【数1】
【0044】
ここで、LIDARシステムの第1の光源の第1の波長は、定数Kで線形周波数変調を受けると仮定される。第1の光源が発する光を反射する物体が単一の拡散反射体である場合、入力開口部(101)の方向に強度反射率ρ
jと、入力開口部(101)と物体との間の方向に相対速度v
jとを持つ距離x
jにおける物体、および入力開口部(101)に集められた光の反射場は、次のようになる。
【数2】
【0045】
ここで、iは、開口部のアレイが存在する場合の、入力開口部の屈折率である。ドップラーシフトは、式の2k1vjと2k2vjの項で見ることができ、反射光の周波数を修正する。
【0046】
光IQ受信器(5、6)の干渉信号の計算では、簡素化のため、参照発振器および撮像発振器(111、113)の2つの波長成分が単一振幅であると仮定している。
【数3】
【数4】
【0047】
撮像光IQ受信器(5)および参照光IQ受信器(6)の後、第1の干渉信号および参照干渉信号がそれぞれある。
1.
【数5】
2.
【数6】
【0048】
これらのうち、光角周波数の差が存続するビーティング積は、一度検出されると電気規格上非常に高い周波数になる。例えば、光源の光の波長が1.55μmで2つの波長が0.1nm離れていると仮定すると、相互変調積は12.5GHzの周波数を持つ。
【数7】
【0049】
逆に、局所発振器と反射光の周波数とが等しいビーティング積は、光を発するおよび光を受け取る位相変調周波数の間の周波数差にドップラーシフトを加減した周波数に由来するより低い周波数に復調される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、地上車両の典型的な速度では、ドップラーシフトは100MHzに等しいまたはそれより低くなるので、ローパスフィルタによって、より高い周波数の混合項(光角周波数の差を含むもの)を抑制することが可能である。したがって、
図2に示すように、第1の同相成分(7)、第1の直交成分(8)、参照同相成分(9)および参照直交成分(10)をフィルタリングするために、第1のセットのローパスフィルタ(13)を光IQ受信器(5、6)に関連付けることができる。
【0051】
干渉信号の低周波成分は以下のように提供される。
3.
【数8】
4.
【数9】
【0052】
深度および速度情報は、両方の光電流の周波数(および位相)でエンコードされる。周波数情報のみに焦点を当てることにより、I
1(t)およびI
2(t)の周波数が確認される。
【数10】
【数11】
【0053】
これらの2つの周波数シフトの成分は、回線速度によって異なるスケールを持つ。変調定数Kは、距離由来の周波数に直接影響を与える。しかし、ドップラーシフトは独立したままであり、シーンの特性によって決定される。ドップラーシフトは数十MHzの周波数まで上がることができるため、通常高速な捕捉電子機器を利用することになり、システムのコストを追加することがある。また、これらのビデオ周波数は、複数の並列撮像チャネル(3)でシーン検出をスケールアップする際に問題となる場合がある。
【0054】
しかし、これらの2つの周波数の相違点は以下である。
【数12】
【0055】
いくつかの実施形態にしたがって、2つの光源から発される光の2つの波長を互いに近づけるように選択すれば(例えば、波長1.55μmで0.1nmの分離)、ドップラー周波数シフトの差は著しく減少する(vjが50m/sの場合は2kHzとなる)。
【0056】
しかし、両方の波長が等しくなることができることは注目すべきである。この場合、ドップラーシフトは完全に抑制されてよいが、FMCWに起因する周波数シフトは維持される。このアプローチは、光学システムおよび関連付けられた電気光学回路を簡略化する。
【0057】
両方の波長が等しい場合、ドップラーシフトが完全に抑制されてよく、信号周波数がベースバンドに移動してよい。このより低いドップラー周波数により、多数の入力開口部(101)が望まれるシステムにおいて、回線速度、データスループット、ハードウェア複雑性を大幅に低減することができる。ドップラー周波数が維持される場合、次にドップラーシフトを測定するためには、FMCW変調から切り離すべきである。これを実現する1つの例示的な方法として、FMCW周波数掃引におけるKを経時的に変化させ(例えば、その符号を交互に変化させ)、その結果となる電気周波数のシフトを両方の変調スロープ間で比較することが挙げられる。
【0058】
上記の光IQ受信器(5、6)で取得された周波数を減算する1つの例示的な方法として、一方の電流に他方の複素共役を乗算する方法である。標準的な周波数混合技術を適用することができる。これは、デジタルまたはアナログの領域で行うことができ、以下に示すように、潜在的に干渉信号に基づいて行うことができる。
【数13】
【0059】
一実施形態において、これは、
図2に示すように、第1の撮像光IQ(5)および参照光IQ(6)出力に、または第1のローパスフィルタセット(13)出力に接続された1つまたは複数の混合器121~124を使用して実装することが可能である。上記4つの乗算項のそれぞれは、周波数(低周波数)の差Δfを含む第1の相互変調積と、ドップラー周波数
【数14】
を加算した第2の相互変調積を含む。
【0060】
4つの乗算項を結合すると、ドップラー周波数の加算に関する項はキャンセルされ、深度情報をその周波数に含む(上記Δfの通り)低周波数相互変調積のみが出力相互変調積(16)として残る。
【0061】
いくつかの実施形態にしたがって、乗算項のそれぞれのより高い周波数成分は、低周波数相互変調積のみが保持されるように、ローパスフィルタ(23)の第2のセットを使用してフィルタリングされる。これらの低周波数相互変調積は、出力相互変調積(16)として、その周波数(上記Δfの通り)の深度情報を含む。いくつかの実施形態にしたがって、出力相互変調積(16)は、1つまたは複数の非線形増幅器(25)を使用して増幅される。
【0062】
図2に示す実施形態において、1つまたは複数の混合器121~124は、第1の直交成分(8)と参照同相成分(9)とを混合し、乗算項(l
1q*l
2i)を与えるように設計された第1の混合器121と、第1の同相成分(7)と参照同相成分(9)とを混合し、乗算項(l
1i*l
2i)を与えるように設計された第2の混合器122を含む。
【0063】
代替復調技術において、干渉信号の個別成分、つまり第1の同相成分(7)、第1の直交成分(8)、および参照同相成分の時間微分(90)並びに参照直交成分の時間微分(91)を生成する時間微分モジュール(15)により提供される、参照干渉信号の微分を扱うことができ、ベースバンド変換および復調を同時に行うFM復調技術も適用することができるものがある。
【0064】
これは、撮像発振器と参照発振器との両方が同じである実施形態において特に有用であることができ、その状況では、上記で表される乗算項の周波数差は、時間微分を使用することにより、時間微分信号の振幅に周波数エンコードされた深度情報を抽出することができるためである。
【0065】
例えば、撮像発振器と参照発振器とが同じであるこの場合の1つまたは複数の混合器(121)~(124)で実行可能な動作は以下である。
【数15】
【数16】
【0066】
直接周波数混合アプローチと同様に、この場合、上記の4つの乗算項を生成し、それらを結合してDC成分のみを残すことができるものがあるか、或いは代替的に、第2のセットのローパスフィルタ(23)を使用して乗算項のそれぞれのより高い周波数成分をフィルタリングし、その振幅に深度とドップラー情報とを含むDC成分のみを保持することができるものがある。
【0067】
ドップラー情報と深度情報とを分離するためには、FMCW周波数掃引のKを経時的に変化させ、例えばその符号を交互に変えて、その結果となるDC成分のシフトを両方の変調スロープ間で比較することができるものがある。
【0068】
直接FM復調の欠点は、このDC値に物体の反射率(ρ
j)と周波数シフトとが混合される事実である。いくつかの実施形態にしたがって、これは、振幅を別々に復調することによって対処することができる。
【数17】
【0069】
代替的に、撮像発振器と参照発振器とが同じである場合、時間微分前の信号成分と参照成分との間の乗算項からも物体反射率を取得することができる(例えば、
図2からの第1の混合器(121)および第2の混合器(122)により提供されるような場合)。
【0070】
直接FM復調アプローチの使用のために、
図2は、時間微分モジュール(15)と、第1の同相成分(7)と時間微分参照直交成分(91)とを混合するように設計された第3の混合器(123)と、第1の直交成分(8)と時間微分参照直交成分(91)とを混合するように設計された第4の混合器(124)を含む1つまたは複数の混合器(121)~(124)を示している。したがって、
図2の実施形態において、周波数復調および振幅復調の両方を同時に含む復調方式が提供される。
【0071】
図3は、複数の撮像チャネル(3)が、同じシーンから来るが別の光源(異なる波長のうちの1つであるが、シーンから収集されたパワーの少なくとも一部とコヒーレントである)と混合した反射光(112)から取得される共通の参照チャネル(4)と結合される実装を示している。
【0072】
図3に示す方式の利点は、異なる撮像チャネル(3)が復調後の電気領域で(IQデータに含まれる)相対的位相差を維持することである。これにより、異なる方向を回復するために、上記撮像チャネル(3)から来る復調信号をコヒーレントに結合することができる。
【0073】
様々な混合器(
図3においては12とまとめて表されるもの)に対して、異なる構造方式を使用することが可能である。例えば、混合器は、トランスリニア方式に依存する回路に基づいて、アナログ領域で実装してよい。これらの回路のうちの1つは、ギルバートセルであってよく、その一例は
図5に描写されている。この回路は、干渉信号の四象限すべてで動作する利点を有する。いくつかの実施形態によれば、セルへの入力が差動で電圧ベースであることを考慮すると、上記光IQ受信器(5、6))から来る光電流は、トランスインピーダンス増幅器(14)によって電圧に増幅され、適切であればアナログ領域で導出されてもよい。
【0074】
ギルバートセルを簡略化するために、入力信号と電流バイアスとの両方の光源として平衡差動ペアの光電流を使用することが可能な場合がある。これにより、中間トランスインピーダンス増幅器の必要性が減ることになり、大規模な集積を実現するためにセルを複製することがさらに対応可能である。いくつかの実施形態にしたがって、異なる撮像チャネル(3)と混合される撮像発振器(111)は、大きな拡張性の問題なしに、単一の撮像入力開口部(101)から検出アレイ(例えば、撮像チャネル)上に電圧信号として生成および分配されることが可能である。
【0075】
セルの読み出しを簡略化するために、例えば
図6に示すように、切り替えられたキャパシタと多重化されたビデオ出力による集積化方式を適用することができる。このような切り替えられたキャパシタの読み出しは、通常の画像センサと同様に構成することができる。例えば、切り替えられたキャパシタを列ごとに編成することができ、多重化方式を使用してアナログ値を適切なADC回路にルーティングすることができる。
【0076】
最後に、所望の混合機能を提供するために、撮像チャネルのそれぞれに向かう光局所発振器の振幅を変調することも可能である。このようにすれば、光検出後に電子的な混合が不要となり、システムの複雑性の点で利点が提供される。いくつかの実施形態にしたがって、
図4に示すように、光変調器(17)が、光局所発振器の振幅を変調するために使用される。一実施形態において、光変調器(17)は、電気光学吸収、マッハツェンダー干渉計または他のものに基づくかどうかにかかわらず、光振幅変調器である。
【0077】
振幅変調がある程度の位相変調を残す場合は、位相変調器を直列に追加して、一定の位相動作を保証し、参照チャネルでの望ましくない周波数シフトを回避することができる。振幅変調は、例えば、光増幅器、レーザ電流の変調などの異なる方法を介して取得されることもできる。
【0078】
いくつかの実施形態において、第1の同相成分(7)、第1の直交成分(8)、参照同相成分(9)および参照直交成分(10)は、所望の数学的結果を直接達成するために、異なるバージョンの信号を乗算し、互いに対して90°シフトされる。これを物理的に達成するために、各出力混合器(12)に別々に変調された参照信号の分布を使用してもよい。これらの2つのチャネルに適用される変調も電気領域で直交しているという事実を考慮すると、いくつかの実施形態において、
図4に示すように、変調信号においてそれらを一緒に加算することが可能である。
【0079】
いくつかの実施形態にしたがって、第1の同相成分(7)と第1の直交成分(8)との間、または参照同相成分(9)と参照直交成分(10)との間の積は、フィルタリングすることができる高周波数相互変調積を生成する。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、振幅情報および距離情報を分離するために、光変調器(17)に適用される変調信号は、深度情報および/または信号振幅を代替的に回復するように、異なるモード間で(時間微分を用いてまたは用いずに)切り替えることができる。この時間領域多重化は、復調信号の切り替えと同期する積分器による実装に適している場合があるが、他の多重化方式(周波数領域多重化、符号多重化など)で置き換えることもできる。撮像チャネルと参照チャネルとの両方における復調信号の切り替えは、スイッチ(27)を使用して実行することができる。
【0081】
いくつかの実施形態にしたがって、
図4は、単一の波長の場合について、上述の2つの実装オプション-光参照信号の振幅変調によるドップラー周波数復調および振幅復調/周波数復調の時間多重化-を結合たものを示す。
[他の可能な項目]
[項目1]
ドップラー周波数シフトを抑制した光検出測距(LIDAR)システムであって、前記システムは、
第1の光を発するように構成された少なくとも1つの光源(102)と、
前記光源(102)によって照射される移動物体(108)によって反射される入力反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの撮像入力開口部(101)と、前記少なくとも1つの撮像入力開口部(101)に関連付けられた1つの撮像チャネル(3)と、
前記光源(102)によって照射される前記移動物体によって反射される参照反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの参照開口部(103)と、前記少なくとも1つの参照開口部(103)に関連付けられた1つの参照チャネル(4)と、
少なくとも1つの撮像発振器(111)と、
前記入力反射光と前記撮像発振器(111)との間で干渉信号を取得するように構成された、前記撮像入力開口部(101)と前記撮像発振器(111)とに関連付けられた少なくとも1つの第1の撮像光受信器(5)と、
参照発振器(113)と、
前記参照反射光と前記参照発振器(113)との間で参照干渉信号を取得するように構成された、前記参照開口部(101)と前記参照発振器(113)とに関連付けられた参照光受信器(6)と、
前記移動物体(108)に起因するドップラー周波数シフトをキャンセルまたは低減するように、前記干渉信号と前記参照干渉信号との間で相互変調積(16)を生成するように構成された、前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器(5)と前記参照光受信器(6)とに接続される少なくとも1つの混合器(12)と
を備える、光検出測距(LIDAR)システム。
[項目2]
前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器(5)は、前記入力反射光と、第1の同相成分(7)および第1の直交成分(8)を含む前記撮像発振器(111)との間で干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器であり、前記参照光受信器(6)は、参照同相成分(9)および参照直交成分(10)を含む参照干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器である、項目1に記載のLIDARシステム。
[項目3]
参照光受信器(6)に関連付けられており、参照同相成分(9)および参照直交成分(10)を時間微分することを意図する、時間微分モジュール(15)をさらに備える、項目2に記載のLIDARシステム。
[項目4]
前記少なくとも1つの混合器(12)は、
前記第1の直交成分(8)と前記参照同相成分(9)とを混合することを意図する第1の混合器(121)と、
前記第1の同相成分(7)と前記参照同相成分(9)とを混合することを意図する第2の混合器(122)と
を有する、項目2に記載のLIDARシステム。
[項目5]
前記少なくとも1つの混合器(12)は、
前記第1の直交成分(8)と前記参照直交成分(10)とを混合することを意図する第1の混合器(121)と、
前記第1の同相成分(7)と前記参照直交成分(10)とを混合することを意図する第2の混合器(122)と
を有する、項目2に記載のLIDARシステム。
[項目6]
前記少なくとも1つの混合器(12)は、
前記第1の同相成分(7)と前記時間微分参照直交成分(91)とを混合することを意図する第3の混合器(123)と、
前記第1の直交成分(8)と前記時間微分参照直交成分(91)とを混合することを意図する第4の混合器(124)と
を有する、項目2に記載のLIDARシステム。
[項目7]
前記少なくとも1つの混合器(12)は、
前記第1の同相成分(7)と前記時間微分参照同相成分(90)とを混合することを意図する第3の混合器(123)と、
前記第1の直交成分(8)と前記時間微分参照同相成分(90)とを混合することを意図する第4の混合器(124)と
を有する、項目2に記載のLIDARシステム。
[項目8]
各混合器(12)に関連付けられたローパスフィルタ(23)をさらに備える、項目4から7のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
[項目9]
前記参照発振器(113)は、前記撮像発振器(111)と共通の原点を共有する、項目1に記載のLIDARシステム。
[項目10]
前記参照開口部(103)は前記入力開口部(101)と同じであり、前記参照チャネル(4)および前記撮像チャネル(3)はスプリッタ(2)によりそこに由来する、項目1に記載のLIDARシステム。
[項目11]
前記参照発振器(113)の波長は静止したままで、前記第1の光発振器(111)の波長は標準的なFMCW(周波数変調連続波)方式にしたがって掃引される、項目1に記載のLIDARシステム。
[項目12]
前記干渉信号および前記参照干渉信号をフィルタリングするように構成された、光受信器(5、6)に関連付けられた1つまたは複数のローパスフィルタ(13)をさらに備える、項目1に記載のLIDARシステム。
[項目13]
前記参照同相成分(9)、前記参照直交成分(10)、前記第1の同相成分(7)および前記第1の直交成分(8)を増幅するように構成された、前記参照光受信器(6)および前記第1の撮像光受信器(5)に続いて配置されるトランスインピーダンス増幅器(14)をさらに備える、項目2に記載のLIDARシステム。
[項目14]
前記混合器(12)はギルバートセルである、項目1または4から7のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
[項目15]
第1の光を発するように構成された少なくとも1つの光源(102)と、
前記光源(102)によって照射される移動物体(108)によって反射される入力反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの撮像入力開口部(101)と、前記少なくとも1つの撮像入力開口部(101)に関連付けられた1つの撮像チャネル(3)と、
前記光源によって照射される前記移動物体によって反射される参照反射光を受け取るように構成された、少なくとも1つの参照開口部(103)と、前記少なくとも1つの参照開口部(103)に関連付けられた1つの参照チャネル(4)と、
少なくとも1つの撮像発振器(111)と、
前記入力反射光と前記撮像発振器(111)との間で干渉信号を取得するように構成された、前記撮像入力開口部(101)と前記撮像発振器(111)とに関連付けられた少なくとも1つの第1の撮像光受信器(5)と、
前記参照発振器(113)と、
前記参照反射光と前記参照発振器(113)との間で参照干渉信号を取得するように構成された、前記参照開口部(101)と前記参照発振器(113)とに関連付けられた参照光受信器(6)と、
前記移動物体に起因するドップラー周波数シフトをキャンセルまたは低減するように、前記干渉信号と前記参照干渉信号との間で相互変調積(16)が前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器(5)の前記出力に出現するように、前記参照チャネル(4)に由来する信号で前記撮像発振器(111)に振幅または位相変調を適用するように構成された前記少なくとも1つの撮像発振器(111)に接続される光変調器(17)と
を備える、LIDARシステム。
[項目16]
前記少なくとも1つの第1の撮像光受信器(5)は、前記入力反射光と、第1の同相成分(7)および第1の直交成分(8)を含む前記撮像発振器(111)との間で干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器であり、前記参照光受信器(6)は、参照同相成分(9)および参照直交成分(10)を含む参照干渉信号を取得するように構成された光IQ受信器である、項目15に記載のLIDARシステム。
[項目17]
前記参照発振器(113)は、前記撮像発振器(111)と共通の原点を共有する、項目15に記載のLIDARシステム。
[項目18]
前記参照開口部(103)は前記入力開口部(101)と同じであり、前記参照チャネル(4)および前記撮像チャネル(3)はスプリッタ(2)によりそこに由来する、項目15に記載のLIDARシステム。
[項目19]
前記参照発振器(113)の波長は静止したままで、前記第1の光発振器(111)の波長は標準的なFMCW(周波数変調連続波)方式にしたがって掃引される、項目15に記載のLIDARシステム。
[項目20]
前記干渉信号および前記参照干渉信号をフィルタリングするように構成された、光受信器(5、6)に関連付けられた1つまたは複数のローパスフィルタ(13)をさらに備える、項目15に記載のLIDARシステム。
[項目21]
前記参照同相成分(9)、前記参照直交成分(10)、前記第1の同相成分(7)および前記第1の直交成分(8)を増幅することを意図する、前記参照光受信器(6)および前記第1の撮像光受信器(5)に続いて配置されるトランスインピーダンス増幅器(14)をさらに備える、項目16に記載のLIDARシステム。
[項目22]
前述の項目のいずれか一項に記載のシステムを使用して、LIDARシステムにおけるドップラー周波数シフトを抑制するための方法であって、
移動物体(108)に向けられた第1の光(110)を発する段階と、
前記移動物体(108)から来る反射光(112)を受け取る段階と、
前記反射光(112)と撮像発振器(111)との間で第1の干渉信号を取得する段階と、
前記反射光(112)と参照発振器(113)との間で参照干渉信号を取得する段階と、
前記移動物体(108)に起因する前記ドップラー周波数シフトをキャンセルまたは低減するように、前記干渉信号と前記参照干渉信号との間で相互変調積(16)を取得する段階と
のうちの段階を備える、方法。