IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社美貴本の特許一覧

特許7620960動画配信サーバーおよび動画配信システム
<>
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図1
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図2
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図3
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図4
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図5
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図6
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図7
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図8
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図9
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図10
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図11
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図12
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図13
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図14
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図15
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図16
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図17
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図18
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図19
  • 特許-動画配信サーバーおよび動画配信システム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】動画配信サーバーおよび動画配信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2343 20110101AFI20250117BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20250117BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20250117BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20250117BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20250117BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250117BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20250117BHJP
【FI】
H04N21/2343
H04N5/77
H04N5/92 010
H04N5/91
B61L25/02 Z
G16Y10/40
G16Y40/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020207039
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2021097407
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019226939
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591078273
【氏名又は名称】株式会社美貴本
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】米倉 彦之
(72)【発明者】
【氏名】木村 竜昭
(72)【発明者】
【氏名】岡 雅史
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-236267(JP,A)
【文献】特開2005-014784(JP,A)
【文献】特開2006-287893(JP,A)
【文献】特開2017-212647(JP,A)
【文献】特開2019-129530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
H04N 5/76 - 5/775
H04N 5/91 - 5/956
B61L 1/00 -99/00
G16Y 10/00 -40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の乗客が目にする風景の動画である配信動画を、視聴者の端末にリアルタイムで配信する動画配信サーバーであって、
前記列車の乗客が目にする風景を前記列車に搭載されたカメラで撮影した動画である撮影動画を取得する取得手段と、
前記撮影動画に基づいて前記配信動画を作成する作成手段と、
前記配信動画を前記端末に配信する配信手段と、
前記列車の急ブレーキを検知する急ブレーキ検知手段とを備え、
前記作成手段は、前記急ブレーキ検知手段にて急ブレーキを検知した場合に、前記撮影動画の少なくとも一部分に対して見えなくする処理を施すブレーキ処理手段を含む、動画配信サーバー。
【請求項2】
前記撮影動画は、前記列車の外部の風景を撮影した動画を含む、請求項1に記載の動画配信サーバー。
【請求項3】
前記列車の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記作成手段は、前記列車の位置情報に基づいて、前記撮影動画に含まれる前記列車の外部の風景に関連する情報を前記撮影動画に付加する外部情報付加手段をさらに含む、請求項2に記載の動画配信サーバー。
【請求項4】
特定の物体の位置情報を記憶する物体記憶手段をさらに備え、
前記作成手段は、前記列車の位置情報および前記特定の物体の位置情報に基づいて、前記撮影動画に含まれる前記特定の物体に対して見えなくする処理を施す物体処理手段をさらに含む、請求項3に記載の動画配信サーバー。
【請求項5】
前記撮影動画は、前記列車の内部の風景を撮影した動画を含む、請求項1~4のいずれかに記載の動画配信サーバー。
【請求項6】
前記撮影動画に含まれる前記列車の内部の物体を説明する情報である車内情報を記憶する車内情報記憶手段をさらに備え、
前記作成手段は、前記車内情報を前記撮影動画に付加する情報付加手段をさらに含む、請求項5に記載の動画配信サーバー。
【請求項7】
人の顔の画像を記憶する顔記憶手段と、
前記撮影動画に含まれる人の顔を認識する顔認識手段とをさらに備え、
前記作成手段は、前記顔認識手段にて認識した人の顔のうち、前記顔記憶手段にて記憶している画像が示す人の顔とは異なる人の顔に対して見えなくする処理を施す顔処理手段をさらに含む、請求項6に記載の動画配信サーバー。
【請求項8】
前記撮影動画は、複数の前記カメラの各々で撮影した動画である複数の撮影動画片の各々を含み、
前記作成手段は、前記複数の撮影動画片を互いに結合することにより前記配信動画を作成する、請求項1~7のいずれかに記載の動画配信サーバー。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の動画配信サーバーと、前記カメラと、前記端末とを備えた、動画配信システム。
【請求項10】
前記端末は、
操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段にて受け付けた操作に従った態様で前記配信動画を表示する表示手段とを含む、請求項9に記載の動画配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画配信サーバーおよび動画配信システムに関する。より特定的には、本発明は、風景の動画を視聴者の端末にリアルタイムで配信する動画配信サーバーおよび動画配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車の乗客は、車窓から見える外部の風景、または座席、広告、運転席に設けられた計器類などの設備、もしくは他の乗客などの車内の風景を目にする。そしてこれらの風景を目にすることで、乗客は列車に乗る体験をする。
【0003】
人々は、列車が走行する路線が存在する地域まで行かなければ、その列車に乗る体験をすることはできない。このため、人々は、自らが居住する地域から遠く離れた地域の路線を走行する列車に乗る体験をすることが難しい。
【0004】
運行量の少ない列車の路線は、ローカル線と呼ばれる。一般的にローカル線の列車は、都会から遠い地域で運行されており、一日当たりの運行本数が少ない。このため、人々は、ローカル線を走行する列車に乗る経験をすることが特に難しい。一方で、ローカル線の列車の車窓から見える外部の風景は風光明媚であることが多く、ローカル線の列車車内の設備も特徴的である。このため、ローカル線は観光客の人気が高く、多くの人々はローカル線を走行する列車に乗ってみたいと思っている。
【0005】
なお、視聴者の端末に対して撮影した動画を配信する技術が、下記特許文献1などに開示されている。下記特許文献1には、撮像部により撮影されている動画像を、携帯端末装置および通信ネットワークを介して管理サーバーに対してリアルタイムにストリーミング配信する撮像装置が開示されている。この撮像装置は、ストリーミング配信中に所定の操作が行われた場合に、配信中の動画像に置き換えて所定の操作に対応した画像を所定時間配信する。管理サーバーは、受信した動画像を再生用端末に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-243531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
列車に乗ることを擬似的に体験させる従来の方法として、列車の乗客が、自身が目にする風景をカメラで事前に録画し、録画した動画を視聴者の端末に提供する方法が存在する。しかし、この方法で提供される動画の風景は、視聴時以前に撮影された列車の風景である。このため、視聴者は、視聴時の列車の付近の季節や天気などをリアルタイムで体験することはできなかった。
【0008】
また、列車の乗客が、自身が目にする風景をカメラで録画し、録画した動画を視聴者の端末にリアルタイムで提供する方法も考えられる。しかし、この方法で提供される動画には、提供すべきでない不適切な動画が含まれるおそれがあった。提供すべきでない不適切な動画とは、典型的には列車の事故や事故に伴う混乱を撮影した動画である。この種の動画を配信した場合には、視聴者に対して心理的ショックを与えることになる。
【0009】
このため、従来の技術において、列車の乗客が目にする風景を適切な状態で視聴者の端末にリアルタイムで配信することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、列車の乗客が目にする風景を適切な状態で視聴者の端末にリアルタイムで配信することのできる動画配信サーバーおよび動画配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の局面に従う動画配信サーバーは、列車の乗客が目にする風景の動画である配信動画を、視聴者の端末にリアルタイムで配信する動画配信サーバーであって、列車の乗客が目にする風景を列車に搭載されたカメラで撮影した動画である撮影動画を取得する取得手段と、撮影動画に基づいて配信動画を作成する作成手段と、配信動画を端末に配信する配信手段と、列車の急ブレーキを検知する急ブレーキ検知手段とを備え、作成手段は、急ブレーキ検知手段にて急ブレーキを検知した場合に、撮影動画の少なくとも一部分に対して見えなくする処理を施すブレーキ処理手段を含む。
【0012】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、撮影動画は、列車の外部の風景を撮影した動画を含む。
【0013】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、列車の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、作成手段は、列車の位置情報に基づいて、撮影動画に含まれる列車の外部の風景に関連する情報を撮影動画に付加する外部情報付加手段をさらに含む。
【0014】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、特定の物体の位置情報を記憶する物体記憶手段をさらに備え、作成手段は、列車の位置情報および特定の物体の位置情報に基づいて、撮影動画に含まれる特定の物体に対して見えなくする処理を施す物体処理手段をさらに含む。
【0015】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、撮影動画は、列車の内部の風景を撮影した動画を含む。
【0016】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、撮影動画に含まれる列車の内部の物体を説明する情報である車内情報を記憶する車内情報記憶手段をさらに備え、作成手段は、車内情報を撮影動画に付加する情報付加手段をさらに含む。
【0017】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、人の顔を記憶する顔記憶手段と、撮影動画に含まれる人の顔を認識する顔認識手段とをさらに備え、作成手段は、顔認識手段にて認識した人の顔のうち、顔記憶手段にて記憶している人の顔とは異なる人の顔に対して見えなくする処理を施す顔処理手段をさらに含む。
【0018】
上記動画配信サーバーにおいて好ましくは、撮影動画は、複数のカメラの各々で撮影した動画である複数の撮影動画片の各々を含み、作成手段は、複数の撮影動画片を互いに結合することにより配信動画を作成する。
【0019】
本発明の他の局面に従う動画配信システムは、上記動画配信サーバーと、カメラと、端末とを備える。
【0020】
上記動画配信システムにおいて好ましくは、端末は、操作を受け付ける操作受付手段と、操作受付手段にて受け付けた操作に従った態様で配信動画を表示する表示手段とを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、列車の乗客が目にする風景を適切な状態で視聴者の端末にリアルタイムで配信することのできる動画配信サーバーおよび動画配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態におけるの動画配信システムの構成を概念的に示す図である。
図2】本発明の一実施の形態における動画配信システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態における配信動画の視聴開始の際のサーバー100および端末300の動作を示すフローチャートである。
図4】サーバー100の記憶部130に記憶されている視聴者情報テーブルを模式的に示す図である。
図5】本発明の一実施の形態における配信動画を作成する際のサーバー100の動作を示すフローチャートである。
図6】カメラ200aが作成した前方撮影動画を模式的に示す図である。
図7】カメラ200bが作成した客室撮影動画の第1の部分を模式的に示す図である。
図8】カメラ200bが作成した客室撮影動画の第2の部分を模式的に示す図である。
図9図5の配信動画を作成する処理(S107)のサブルーチンである。
図10図9のステップS157において、前方撮影動画(図6)に対してモザイクを付加した後の動画を模式的に示す図である。
図11】サーバー100の記憶部130に記憶されている風景情報テーブルを模式的に示す図である。
図12図9のステップS161において、客室撮影動画(図8)に対して風景情報を付加した後の動画を模式的に示す図である。
図13図9のステップS161において、客室撮影動画(図7および図8とは別のもの)に対して風景情報を付加した後の動画を模式的に示す図である。
図14】サーバー100の記憶部130に記憶されているモザイク情報テーブルを模式的に示す図である。
図15図9のステップS165およびS167において、前方撮影動画(図6)に対してモザイクを付加した後の動画を模式的に示す図である。
図16図9のステップS169において、前方撮影動画(図6)に対して車内情報を付加した動画を模式的に示す図である。
図17図7の客室撮影動画の吊り広告ADに付加される車内情報を模式的に示す図である。
図18】サーバー100の記憶部130に記憶されている顔テーブルを模式的に示す図である。
図19図9のステップS175において、客室撮影動画(図7)に対してモザイクを付加した後の動画を模式的に示す図である。
図20】端末300の表示部340に表示される配信動画の変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0024】
[動画配信システムの構成]
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態におけるの動画配信システムの構成を概念的に示す図である。
【0026】
図1を参照して、本実施の形態における動画配信システムは、サーバー100(動画配信サーバーの一例)と、カメラ200(カメラの一例)と、複数の端末300(端末300)とを備えている。サーバー100、カメラ200、および複数の端末300の各々は、無線通信により互いに通信を行うことができる。サーバー100、カメラ200、および複数の端末300の各々が相互に行う無線通信は、第5世代移動通信システム(5G)や無線LAN(Local Area Network)などを用いたものであってもよい。カメラ200および端末300の各々の個数は任意である。
【0027】
カメラ200は、電車400(列車の一例)に搭載されている。カメラ200は、電車400の乗客が目にする風景を撮影することにより、撮影動画を作成する。撮影動画とは、電車400の乗客が目にする風景を、電車400に搭載されたカメラ200で撮影した動画である。カメラ200は、作成した撮影動画をリアルタイムでサーバー100に送信する。なお、電車400は列車であればよい。列車には、電車の他、気動車、客車、蓄電池電車、ハイブリッド電車、ディーゼル機関車、蒸気機関車、または電気機関車などが含まれる。
【0028】
本実施の形態では、カメラ200として複数のカメラ200aおよび200bが電車400に搭載されている。カメラ200aは、電車400の運転室401の内部に設けられている。カメラ200bは、電車400の客室402の内部に設けられている。なお、カメラ200としてカメラ200cが電車400に搭載されていてもよい。カメラ200cは、電車400の車体の外部前面に設けられている。
【0029】
以降、カメラ200aまたはカメラ200cが作成する撮影動画を、前方撮影動画と記すことがある。カメラ200bが作成する撮影動画を、客室撮影動画と記すことがある。
【0030】
電車400の客室402の内部にカメラ200bが設けられている場合、客室402の内部に存在する乗客の姿が撮影動画に含まれるおそれがある。このため、電車400を運行する事業者は、カメラ200bが設けられている客室402に乗車する客から徴収する運賃を、カメラ200bが設けられていない客室403に乗車する客から徴収する運賃よりも低く設定してもよい。この場合には、自身が撮影されることを了解する乗客に対して運賃の割引という利益を供与する一方で、自身が撮影されることを拒否する乗客の意思を尊重することができる。
【0031】
サーバー100は、電車400の乗客が目にする風景の動画である配信動画を、配信先の端末300にリアルタイムで配信する。サーバー100は、撮影動画をカメラ200から取得し、取得した撮影動画に基づいて配信動画を作成する。サーバー100は、取得した撮影動画に基づいて配信動画を作成し、作成した配信動画を配信先の端末300にリアルタイムで配信する。
【0032】
複数の端末300の各々は、配信動画を視聴する視聴者によって所有された端末である。配信先の端末300は、サーバー100によって配信された配信動画を表示する。複数の端末300の各々は、携帯端末、スマートフォン、PC(Personal Computer)、またはVR(Virtual Reality)ヘッドセットなどよりなっている。
【0033】
図2は、本発明の一実施の形態における動画配信システムの構成を示すブロック図である。
【0034】
図2を参照して、サーバー100は、携帯端末、スマートフォン、またはPCなどよりなっている。サーバー100は、制御部110と、画像メモリ120と、記憶部130(物体記憶手段、車内情報記憶手段、および顔記憶手段の一例)と、通信部140(取得手段および配信手段の一例)と、認識部150と、画像処理部160(作成手段の一例)とを含んでいる。制御部110と、画像メモリ120、記憶部130、通信部140、認識部150、および画像処理部160の各々とは相互に接続されており、相互に通信可能である。
【0035】
制御部110は、サーバー100全体の動作を制御する。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などを含んでいる。CPUは、サーバー100全体の制御を行う。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行する。ROMには、CPUが実行する各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。RAMは、CPUが制御プログラムを実行するときに必要なデータなどを一時的に記憶するためなどに用いられる。
【0036】
画像メモリ120は、カメラ200から受信した撮影動画や、画像処理部160が作成した動画などを一時的に記憶する。
【0037】
記憶部130は、サーバー100が行う動画配信に関する動作を制御するためのプログラムであるサーバープログラム131などの各種情報を記憶する。
【0038】
通信部140は、カメラ200および端末300の各々との間で通信を行う。通信部140は、カメラ200から撮影動画などの各種情報を受信する。通信部140は、配信先の端末300に対して配信動画を配信する。
【0039】
認識部150は、ディープラーニングにより得た物体の特徴などに基づいて、撮影動画に含まれる物体が何であるかを認識する。認識部150は、AI(Artificial Intelligence)を用いて物体が何であるかを認識してもよい。
【0040】
画像処理部160は、各種画像処理を行う。画像処理部160は、撮影動画に基づいて配信動画を作成する。
【0041】
カメラ200は、制御部210と、撮影部220と、位置情報取得部230(位置情報取得手段の一例)と、通信部240と、録音部250と、急ブレーキ検知部260(急ブレーキ検知手段の一例)とを含んでいる。制御部210と、撮影部220、位置情報取得部230、通信部240、録音部250、および急ブレーキ検知部260の各々とは相互に接続されており、相互に通信可能である。
【0042】
制御部210は、カメラ200全体の動作を制御する。制御部210は、CPU、ROM、およびRAMなどを含んでいる。CPUは、カメラ200全体の制御を行う。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行する。ROMには、CPUが実行する各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。RAMは、CPUが制御プログラムを実行するときに必要なデータなどを一時的に記憶するためなどに用いられる。
【0043】
撮影部220は、電車400の乗客が目にする風景を撮影することにより、撮影動画を作成する。
【0044】
位置情報取得部230は、GPS(Global Positioning System)機能や、電車400の走行距離などを利用して、電車400の位置情報を取得する。
【0045】
通信部240は、サーバー100などの外部機器との間で通信を行う。特に通信部240は、撮影動画をサーバー100に送信する。
【0046】
録音部250は、カメラ200の周囲の音声を録音する。
【0047】
急ブレーキ検知部260は、電車400の急ブレーキを検知する。急ブレーキ検知部260は、加速度センサーを含んでいてもよく、減速時に電車400に加わるマイナスの加速度の大きさに基づいて急ブレーキを検知してもよい。急ブレーキ検知部260は、電車400の車輪の回転を検知するセンサーを含んでいてもよく、減速時における電車400の車輪の回転速度のマイナスの変化に基づいて急ブレーキを検知してもよい。さらに急ブレーキ検知部260は、騒音計を含んでおり、急ブレーキにともない発生する音(たとえば線路と車輪との摩擦音)に基づいて急ブレーキを検知してもよい。
【0048】
複数の端末300の各々は、制御部310と、記憶部320と、操作部330(操作受付手段の一例)と、表示部340(表示手段の一例)と、通信部350とを含んでいる。制御部310と、記憶部320、操作部330、表示部340、および通信部350の各々とは相互に接続されており、相互に通信可能である。
【0049】
制御部310は、端末300全体の動作を制御する。制御部310は、CPU、ROM、およびRAMなどを含んでいる。CPUは、端末300全体の制御を行う。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行する。ROMには、CPUが実行する各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。RAMは、CPUが制御プログラムを実行するときに必要なデータなどを一時的に記憶するためなどに用いられる。
【0050】
記憶部320は、配信動画を視聴するためのアプリケーションである視聴アプリ321や、ユーザーIDおよびパスワードなどの各種情報を記憶する。
【0051】
操作部330は、各種操作を受け付ける。
【0052】
表示部340は、配信動画などの各種情報を表示する。
【0053】
通信部350は、サーバー100などの外部機器との間で通信を行う。特に通信部350は、配信動画の視聴に必要な情報をサーバー100に送信し、配信動画をサーバー100から受信する。
【0054】
[配信動画の視聴開始の際のサーバーおよび端末の動作]
【0055】
図3は、本発明の一実施の形態における配信動画の視聴開始の際のサーバー100および端末300の動作を示すフローチャートである。
【0056】
図3を参照して、表示部340に表示された視聴アプリ321のアイコンへのタッチ操作などを受け付けると(S1)、端末300の制御部310は、視聴アプリ321を起動し、記憶部320に登録されているIDおよびパスワードをサーバー100に送信する(S3)。これにより、端末300は、サーバー100に対して配信動画の配信を要求する。
【0057】
サーバー100の制御部110は、IDおよびパスワードを受信すると(S5)、視聴者情報テーブル(図4)を参照することにより、端末300のユーザーの認証処理を行う(S7)。制御部110は、認証処理の結果、認証に成功したか否かを判別する(S9)。
【0058】
ステップS9において、認証に成功したと判別した場合(S9でYES)。制御部110は、端末300を配信先に設定し、端末300への配信動画の配信を開始する(S11)。端末300は、配信動画をサーバー100から受信する(S13)。端末300は、視聴アプリの画面上での配信動画の表示を開始し(S15)、処理を終了する。
【0059】
ステップS9において、認証に失敗したと判別した場合(S9でNO)。制御部110は、端末300を配信先に設定せず、認証に失敗した旨を端末300に通知する(S17)。端末300は、視聴アプリの画面上で認証に失敗した旨を表示し(S19)、処理を終了する。
【0060】
図4は、サーバー100の記憶部130に記憶されている視聴者情報テーブルを模式的に示す図である。
【0061】
図3および図4を参照して、視聴者情報テーブルは、配信動画の視聴の権限を有するユーザー(視聴者)の情報が記録されたテーブルである。視聴者情報テーブルには、視聴者のID、パスワード、グレード、課金先、および配信状態などの情報が含まれている。視聴者情報テーブルに含まれている情報は、動画配信システムの管理者によって変更、追加、および削除することが可能である。グレードには、AグレードとBグレードとが存在する。Aグレードのユーザーは、Bグレードのユーザーよりも課金される金額が高く、Bグレードよりも多くの態様で配信動画を視聴することができる。課金先の情報として、ここではクレジットカード情報が記載されている。課金先の情報として、電子決済サービスのための情報(アカウントおよびパスワードなど)などが記載されていてもよい。
【0062】
図3のステップS7において認証処理を行う場合に、サーバー100の制御部110は、端末300から受信したIDおよびパスワードが、視聴者情報テーブルに登録されているIDおよびパスワードと一致するか否かを判断する。制御部110は、端末300から受信したIDおよびパスワードが、視聴者情報テーブルに登録されているIDおよびパスワードと一致する場合に、認証に成功したと判別する。視聴者情報テーブルにおける配信状態の欄は「配信中」とされる。サーバー100の制御部110は、端末300から受信したIDおよびパスワードが、視聴者情報テーブルに登録されているIDおよびパスワードと一致しない場合に、認証に失敗したと判別する。視聴が中止された場合に、視聴者情報テーブルにおける配信状態の欄は空欄とされる。
【0063】
なお、制御部110は、端末300を配信先に設定する度に、配信先に設定した端末300のユーザーの課金先に対して課金を行ってもよい。制御部110は、一定期間が経過する度に、視聴者情報テーブルに記録されたユーザーの課金先に対して課金を行ってもよい。さらに制御部110は、上述のような認証処理を行わず、サーバー100にアクセスした全ての端末300に対して課金を行うことなく配信動画を配信してもよい。
【0064】
[配信動画を作成する際のサーバーの動作]
【0065】
図2を参照して、配信動画を配信する流れの概要は次の通りである。カメラ200は、撮影部220で撮影した映像および録音部250で録音した音声のデータをエンコードし、撮影動画を作成する。カメラ200は、撮影動画をサーバー100に送信する。サーバー100は、カメラ200から撮影動画を受信すると、撮影動画に基づいて、所定の配信形式の配信動画を作成する。サーバー100は、撮影動画および処理中の動画を画像メモリ120に一時的に保存する。サーバー100は、撮影動画のデータをパケット単位で処理することにより配信動画を作成する。サーバー100は、作成した配信動画を配信先の端末300に対してストリーミング方式で配信する。ここでは、1つの撮影動画のデータのパケットに基づいて配信動画を作成する際のサーバー100の動作を説明する。
【0066】
図5は、本発明の一実施の形態における配信動画を作成する際のサーバー100の動作を示すフローチャートである。
【0067】
図5を参照して、サーバー100の制御部110は、撮影動画をカメラ200から取得する(S101)。制御部110は、取得した撮影動画を画像メモリ120に保存する(S103)。続いて制御部110は、通信部140を用いて電車400の位置情報をカメラ200から取得し、取得した位置情報を画像メモリ120に記憶する(S105)。続いて制御部110は、画像処理部160を用いて、撮影動画に基づいて配信動画を作成し、作成した配信動画を画像メモリ120に保存する(S107)。配信動画を作成する処理の詳細については後述する。制御部110は、通信部160を用いて、作成した配信動画(画像メモリ120に保存した動画)を配信先の端末300に配信する(S109)。配信先の端末300とは、視聴者情報テーブルにおける配信状態の欄が「配信中」であるユーザーの端末300である。配信が終了するまで、ステップS101~S109の処理が繰り返される。
【0068】
制御部110が作成する配信動画は、前方配信動画と客室配信動画とを含んでいる。制御部110は、カメラ200aによって作成された前方撮影動画に基づいて前方配信動画を作成し、カメラ200bによって作成された客室撮影動画に基づいて客室配信動画を作成する。前方配信動画と客室配信動画とは互いに異なっている。
【0069】
図6は、カメラ200aが作成した前方撮影動画を模式的に示す図である。
【0070】
図1および図6を参照して、カメラ200aは、運転席の窓WD1から見える外部の風景と、運転のための計器類を含む運転室401の内部の風景とを主に撮影し、これらを含む前方撮影動画を作成する。前方撮影動画には、線路、街並み、運転手DRの姿などが含まれていてもよい。前方撮影動画は、電車400の車体の外部前面に設けられたカメラ200cによって作成されたものであってもよく、電車400の外部前方の風景のみを含むものであってもよい。
【0071】
カメラ200aおよび200bの各々は、複数個であってもよい。一例として、カメラ200aが4個のカメラよりなる場合、4個のカメラのうち第1のカメラは、前方撮影動画のうち右上の箇所SR1を撮影し、第1の撮影動画片を作成する。4個のカメラのうち第2のカメラは、前方撮影動画のうち右下の箇所SR2を撮影し、第2の撮影動画片を作成する。4個のカメラのうち第3のカメラは、前方撮影動画のうち左下の箇所SR3を撮影し、第3の撮影動画片を作成する。4個のカメラのうち第4のカメラは、前方撮影動画のうち左上の箇所SR4を撮影し、第4の撮影動画片を作成する。前方撮影動画は、第1~第4の撮影動画片の各々を含む。サーバー100の画像処理部160は、撮影動画に基づいて配信動画を作成する際(図5のS107)に、第1~第4の撮影動画片を互いに結合することにより前方配信動画を作成する。
【0072】
なお、制御部110は、電車400の内部に設けられたカメラによって作成された撮影動画における窓の内側の箇所の風景を、電車400の外部に設けられたカメラによって作成された電車400の外部の風景で置き換えることにより、配信動画を作成してもよい。この場合、置き換え後の動画に対して、図5の配信動画を作成する処理(S107)が行われる。一例として、カメラ200aによって作成された撮影動画の一部を、カメラ200cによって作成された撮影動画の一部で置き換えた場合には、前方配信動画は、カメラ200aによって作成された運転室401の内部の風景と、カメラ200cによって作成された運転席の窓WD1から見える外部の風景とを含むものになる。その結果、視聴者に対して電車400の内部の雰囲気を伝えつつ、窓に映り込んだ不要な物体を配信動画から削除することができる。
【0073】
図7は、カメラ200bが作成した客室撮影動画の第1の部分を模式的に示す図である。図8は、カメラ200bが作成した客室撮影動画の第2の部分を模式的に示す図である。図7は、客室402の前方から後方に向かう方向の客室撮影動画の部分である。図8は、図7の方向から右方向に約180度回転した方向の客室撮影動画の部分である。
【0074】
図1図7、および図8を参照して、カメラ200bは、電車400の客室402の内部の風景と、電車400の客室402の窓WD2から見える外部の風景とを主に撮影し、これらを含む客室撮影動画を作成する。客室撮影動画には、吊り広告AD、車掌CRの姿、乗客PGの姿、座席ST、または車体番号の表示NDなどが含まれていてもよい。
【0075】
カメラ200aおよび200bの各々は、上下左右全方位の動画を撮影する全方位カメラであってもよい。一例として、カメラ200bが全方位カメラよりなる場合において、図7の部分から右方向に約90度回転した部分の客室撮影動画は、図8に示すように窓WD2から見える外部の風景を主に含むものとなる。
【0076】
図9は、図5の配信動画を作成する処理(S107)のサブルーチンである。図9のサブルーチンは、カメラ200aによって作成された前方撮影動画と、カメラ200bによって作成された客室撮影動画との各々に対して行われる。
【0077】
図9を参照して、配信動画を作成する処理において、制御部110は、カメラ200から取得した電車400の位置情報を、画像メモリ120に保存されている動画(前方撮影動画および後方撮影動画)に付加し、付加後の動画を画像メモリ120に保存する(S151)。
【0078】
続いて制御部110は、画像メモリ120に保存されている動画に含まれる物体が何であるかを認識する(S153)。ステップS153の処理により、制御部110は、前方撮影動画における窓WD1、家屋、車、車のナンバープレート、線路、街並み、計器類、および運転手DRの姿などの物体を認識する。制御部110は、後方撮影動画における窓WD2、吊り広告AD、車掌CRの姿、乗客PGの姿、座席ST、車体番号の表示ND、および山などの物体を認識する。またステップS153の処理において、制御部110は、画像メモリ120に保存されている動画中の窓WD1またはWD2などに映り込んだ不要な物体をノイズと認識し、認識したノイズを画像メモリ120に保存されている動画から削除する処理を行ってもよい。
【0079】
次に制御部110は、急ブレーキを検知したか否かを判別する(S155)。ステップS153において、急ブレーキを検知したと判別した場合(S155でYES)、制御部110は、画像メモリ120に保存されている動画における電車400の外部の風景の箇所にモザイク処理を行い、モザイク処理後の動画を画像メモリ120に保存する(S157)。その後制御部110は、ステップS159の処理へ進む。
【0080】
図10は、図9のステップS157において、前方撮影動画(図6)に対してモザイクを付加した後の動画を模式的に示す図である。
【0081】
図10を参照して、モザイク処理とは、対象となる箇所を画素単位で見えなくする映像処理である。前方撮影動画では、窓WD1の内部が電車400の外部の風景の箇所に相当する。このため、図9のステップS157では、窓WD1の内部を含む箇所に対してモザイク処理が行われる。モザイク処理の結果、窓WD1の内部を含む箇所にはモザイクMC1が付加される。
【0082】
モザイク処理は、撮影動画の少なくとも一部分に対して行われればよい。外部の風景の箇所の代わりに、線路または人などの特定の物体がモザイク処理の対象とされてもよい。撮影動画全体がモザイク処理の対象とされてもよい。
【0083】
電車400の急ブレーキを検知した場合には、電車400が事故に遭った可能性がある。このような場合には、撮影動画には電車の事故や事故に伴う混乱を撮影した動画が含まれる可能性があり、提供すべきでない不適切な動画が配信動画として配信されるおそれがある。そこで、電車400の急ブレーキを検知した場合に、撮影動画の少なくとも一部分に対してモザイク処理を行うことで、不適切な配信動画が配信される事態を回避することができる。
【0084】
図9を参照して、ステップS155において、急ブレーキを検知しないと判別した場合(S155でNO)、制御部110は、ステップS159の処理へ進む。
【0085】
ステップS159において、制御部110は、風景情報テーブル(図11)を参照し、取得した位置情報に対応する風景情報が存在するか否かを判別する(S159)。風景情報とは、撮影動画に含まれる電車400の外部の風景に関連する情報である。ステップS159において、取得した位置情報に対応する風景情報が存在すると判別した場合(S159でYES)、制御部110は、取得した位置情報に基づいて、画像メモリ120に保存されている動画に対して風景情報を付加し、付加後の動画を画像メモリ120に保存する(S161)。その後制御部110は、ステップS163の処理へ進む。
【0086】
図11は、サーバー100の記憶部130に記憶されている風景情報テーブルを模式的に示す図である。
【0087】
図11を参照して、風景情報テーブルは、風景情報が記録されたテーブルである。風景情報テーブルには、風景情報を付加する物体の位置情報、風景情報を付加する物体の種類、風景情報、および寄付の可否が互いに関連付けられて記録されている。位置情報は、ここでは緯度および経度の情報である。寄付の可否は、風景情報を付加する物体への寄付が可能であるか否かを示す情報である。風景情報テーブルに含まれる情報は、動画配信システムの管理者によって変更、追加、および削除することが可能である。
【0088】
図12は、図9のステップS161において、客室撮影動画(図8)に対して風景情報を付加した後の動画を模式的に示す図である。
【0089】
図12を参照して、ここでは、「N40.39.322, E140.18.194」の位置情報を有する客室撮影動画に含まれる山に対して「岩木山 標高1625mの火山。「津軽富士」などとも呼ばれる。」という風景情報である情報IF1が付加されている。情報IF1を付加することより、窓WD2から見える外部の風景の情報を視聴者に提供することができる。
【0090】
図13は、図9のステップS161において、客室撮影動画(図7および図8とは別のもの)に対して風景情報を付加した後の動画を模式的に示す図である。
【0091】
図13を参照して、ここでは、「N40.40.596, E140.18.478」の位置情報を有する客室撮影動画に含まれる駅に対して「弘前駅 下記URLでお土産を買うことができます。 https://****/*****/」という風景情報である情報IF2が付加されている(URLの一部は省略されている)。図13に示す配信動画を表示した状態でURLがタッチされた場合、端末300の制御部310は、ブラウザを起動し、URLが示すサイト(その駅が存在する地域に関連する物品を販売するサイト)をブラウザに表示する。情報IF2を付加することより、窓WD2から見える駅に立ち寄り、その駅でお土産を買うという行為を視聴者に擬似的に体験させることができる。
【0092】
なお、配信動画を表示する端末300は、風景情報を常に表示してもよいし、所定の操作(たとえば風景情報が付加された物体へのタッチ操作など)を受け付けた場合に風景情報を表示してもよい。
【0093】
図9を参照して、ステップS159おいて、取得した位置情報に対応する風景情報が存在しないと判別した場合(S159でNO)、制御部110は、ステップS163の処理へ進む。
【0094】
ステップS163において、制御部110は、モザイク情報テーブル(図14)を参照し、取得した位置情報に対応するモザイク情報が存在するか否かを判別する(S163)。モザイク情報とは、モザイク処理の対象となる物体の位置情報を含む情報である。ステップS163において、取得した位置情報に対応するモザイク情報が存在すると判別した場合(S163でYES)、制御部110は、電車の位置情報およびモザイク情報が示す物体の位置情報に基づいて、画像メモリ120に保存されている動画中に含まれる物体に対してモザイク処理を行い、モザイク処理後の動画を画像メモリ120に保存する(S165)。その後制御部110は、ステップS167の処理へ進む。
【0095】
ステップS163において、取得した位置情報に対応するモザイク情報が存在しないと判別した場合(S163でNO)、制御部110は、ステップS167の処理へ進む。
【0096】
ステップS167において、制御部110は、画像メモリ120に保存されている動画中の認識した物体のうち、特定の種類の物体に対してモザイク処理を行い、モザイク処理後の動画を画像メモリ120に保存する(S167)。その後制御部110は、ステップS169の処理へ進む。
【0097】
特定の種類の物体とは、たとえば動画を配信した場合に人のプライバシーを侵害する恐れのある種類の物体である。特定の種類の物体には、車のナンバープレートや家屋に掲げられた表札などが含まれていてもよい。
【0098】
図14は、サーバー100の記憶部130に記憶されているモザイク情報テーブルを模式的に示す図である。
【0099】
図14を参照して、モザイク情報テーブルは、モザイク情報が記録されたテーブルである。モザイク情報には、モザイク処理の対象となる物体の位置情報、モザイク処理の対象となる物体の種類、およびモザイクの大きさなどが含まれている。モザイク処理の対象となる物体は、たとえばモザイクを付加することを持ち主など要求された物体や、撮影が禁止されている施設などである。モザイク情報テーブルに含まれるモザイク情報は、動画配信システムの管理者によって変更、追加、および削除することが可能である。
【0100】
図15は、図9のステップS165およびS167において、前方撮影動画(図6)に対してモザイクを付加した後の動画を模式的に示す図である。
【0101】
図14および図15を参照して、ステップS165では、「N40.39.451, E140.18.102」の位置情報を有する家屋に対してモザイク処理が行われる。モザイク処理の結果、この家屋にはモザイクMC2が付加される。またステップS167では、特定の種類の物体として認識された車のナンバープレートに対してモザイク処理が行われる。モザイク処理の結果、このナンバープレートにはモザイクMC3が付加される。モザイクMC2またはMC3を付加することで、表示すべきでない物体を見えなくすることができ、提供すべきでない不適切な動画が配信動画として配信される事態を回避することができる。
【0102】
図9を参照して、ステップS169において、制御部110は、画像メモリ120に保存されている動画に対して車内情報を付加し、付加後の動画を画像メモリ120に保存する(S169)。その後制御部110は、ステップS171の処理へ進む。
【0103】
車内情報とは、撮影動画に含まれる電車400の内部の物体を説明する情報である。記憶部130は、車内情報を記憶している。制御部110は、認識部150による認識結果に基づいて、画像メモリ120に保存されている動画に含まれる電車400の内部の物体に、車内情報を付加する。
【0104】
図16は、図9のステップS169において、前方撮影動画(図6)に対して車内情報を付加した動画を模式的に示す図である。なお図16では、動画の一部を拡大している。
【0105】
図16を参照して、前方撮影動画においては、速度計、ブレーキ、およびアクセルなどの運転のための計器類に、情報IF3、IF4、およびIF5が付加されている。情報IF3、IF4、およびIF5の各々は、「速度計」、「ブレーキ」、および「アクセル」という文字の車内情報である。前方配信動画を表示する端末300は、文字の車内情報を常に表示してもよいし、所定の操作(たとえばその物体へのタッチなど)を受け付けた場合に表示してもよい。
【0106】
図17は、図7の客室撮影動画の吊り広告ADに付加される車内情報を模式的に示す図である。
【0107】
図17を参照して、客室撮影動画の吊り広告AD(図7)には、画像IMが付加される。
【0108】
画像IMは、吊り広告ADの画像に相当する車内情報である。客室配信動画を表示する端末300は、画像IMを吊り広告ADの上に重ねて常に表示してもよい。また、客室配信動画を表示する端末300は、所定の操作(たとえば吊り広告ADへのタッチ操作など)を受け付けた場合に、画像IMを吊り広告ADの上に重ねて表示してもよいし、客室配信動画から画像IMに表示を切り替えてもよい。
【0109】
電車400の内部の物体に車内情報を付加することより、配信動画からは把握することのできない電車400の内部の物体の情報を、視聴者に対して提供することができる。
【0110】
図9を参照して、ステップS171において、制御部110は、認識部150による認識結果に基づいて、画像メモリ120に保存されている動画に人の顔が含まれているか否かを判別する(S171)。
【0111】
ステップS171において、画像メモリ120に保存されている動画に人の顔が含まれていると判別した場合(S171でYES)、制御部110は、顔テーブル(図18)を参照し、画像メモリ120に保存されている動画から認識した人の顔のうち、顔テーブルに記録されている画像が示す人の顔とは異なる人の顔に対してモザイク処理を行う。制御部110は、モザイク処理後の動画を画像メモリ120に保存する(S173)。その後、制御部110はリターンする。
【0112】
ステップS171において、画像メモリ120に保存されている動画に人の顔が含まれていないと判別した場合(S171でNO)、制御部110は顔に対するモザイク処理を行わずにリターンする。
【0113】
図18は、サーバー100の記憶部130に記憶されている顔テーブルを模式的に示す図である。
【0114】
図18を参照して、顔テーブルは、モザイク処理の対象から除外すべき人の顔の画像が記録されたテーブルである。モザイク処理の対象から除外される人は、電車400の車掌および運転手、駅員、ならびに電車400内を巡回する車内販売員などである。顔テーブルには、登録ID、モザイク処理の対象から除外される人の顔の画像を特定する情報(ファイル名)、およびその人の職種が互いに関連付けられて記録されている。顔テーブルに含まれる情報は、動画配信システムの管理者によって変更、追加、および削除することが可能である。
【0115】
図19は、図9のステップS175において、客室撮影動画(図7)に対してモザイクを付加した後の動画を模式的に示す図である。
【0116】
図19を参照して、客室撮影動画には、車掌CRの顔および乗客PGの顔が含まれている。これらの顔のうち、車掌CRの顔は、顔テーブルに記録された画像が示す顔と同一である。したがって、図9のステップS175では、車掌CRの顔に対してはモザイク処理が行われず、乗客PGの顔に対してモザイク処理が行われる。モザイク処理の結果、乗客PGの顔にのみモザイクMC4が付加される。モザイクMC4を付加することで、モザイクを付加する範囲を最小限に留めつつ、乗客PGのプライバシーを保護することができる。
【0117】
なお、図9に示す配信動画を作成する処理には、急ブレーキを検知した場合に行われるモザイク処理(図9のS157)が少なくとも含まれていればよく、他の処理は任意のものである。
【0118】
[配信動画を表示する際の端末の動作]
【0119】
端末300の操作部330は、端末300のユーザー(視聴者)から操作を受け付ける。端末300の制御部310は、サーバー100から配信された配信動画の受信を開始すると、操作部330にて受け付けた操作に従った態様で、サーバー100から受信した配信動画を表示部340に表示する。受け付ける操作と配信動画の表示の態様との関係の一例を以下に説明する。なお、受け付ける操作と配信動画の表示の態様との関係は任意である。
【0120】
図20は、端末300の表示部340に表示される配信動画の変化を模式的に示す図である。
【0121】
図20を参照して、デフォルトの状態では、制御部310は、動画MV1を表示部340に表示する(図20(a))。動画MV1は、図19に示す客室配信動画に相当する動画であり、モザイクMC4が付されたものである。
【0122】
動画MV1が表示されている状態(図20(a))でフリック操作を受け付けると、制御部310は、表示する客室配信動画の箇所をフリック操作の方向に移動する。一例として、動画MV1が表示されている状態(図20(a))で右方向のフリック操作を受け付けると、制御部310は、表示する客室配信動画の箇所を動画MV1から動画MV2に移動する(図20(b))。動画MV2は、図13に示す客室配信動画に相当する動画であり、動画MV1の箇所から右に90度回転した箇所の動画である。
【0123】
動画MV1が表示されている状態(図20(a))でピンチイン操作を受け付けると、制御部310は、ピンチイン操作の中間点を中心位置として動画MV1を縮小して表示する。動画MV1が表示されている状態(図20(a))でピンチアウト操作を受け付けると、制御部310は、ピンチアウト操作の中間点を中心位置として動画MV1を拡大して表示する。一例として、動画MV1が表示されている状態(図20(a))で、表示NDを中間点とするピンチアウト操作を受け付けると、制御部310は動画MV3を表示する(図20(c))。動画MV3は、動画MV1における表示NDの箇所を拡大した動画に相当する。
【0124】
動画MV1が表示されている状態(図20(a))で、吊り広告ADのタッチ操作を受け付けると、制御部310は画像IMを表示する(図20(d))。画像IMは、図17に示す吊り広告ADの画像である。画像IMのタッチ操作を受け付けると、制御部310は、動画MV1を再び表示する。
【0125】
動画MV1が表示されている状態(図20(a))で、表示部340へのダブルクリック操作を受け付けると、制御部310は、表示する動画を客室配信動画から前方配信動画に切り替え、動画MV4を表示する(図20(e))。動画MV4は、図15に示す前方配信動画に相当する動画であり、モザイクMC2およびMC3が付されたものである。
【0126】
動画MV4が表示されている状態(図20(e))で、電車400が急ブレーキをかけた場合には、サーバー100から受信した配信動画は、少なくとも一部分にモザイクが付されたものとなる。その結果、制御部310は、動画MV5を表示する(図20(f))。動画MV5は、図10に示す前方配信動画に相当する動画であり、モザイクMC1が付されたものである。
【0127】
動画MV4が表示されている状態(図20(e))で、前方配信動画に含まれる計器類へのタッチ操作を受け付けると、制御部310は動画MV6を表示する(図20(g))。動画MV6は、図16に示す前方配信動画に相当する動画であり、情報IF3、IF4、およびIF5が付されたものである。
【0128】
制御部310は、配信動画とともにメニューボタン341を表示してもよい。メニューボタン341へのタッチを受け付けた場合に、制御部310は、回転、前方配信動画と客室配信動画との間の切り替え、動画の拡大、動画の縮小、風景情報や車内情報などの表示、吊り広告の画像の表示、音量の調節、または地図上での現在地の表示などの項目を含むメニュー画面を表示してもよい。制御部310は、メニュー画面上で受け付けた操作に従った態様で配信動画を表示してもよい。配信動画の視聴の障害とならないように、メニュー画面は半透明であることが好ましい。
【0129】
制御部110は、配信動画を端末300に配信する際に、Bグレードのユーザーの端末300に対して配信動画の視聴制限を設けてもよい。一例として、Aグレードのユーザーの端末300には、前方配信動画および客室配信動画の両方を配信し、Aグレードのユーザーに対して前方配信動画および客室配信動画の両方の視聴を許可してもよい。制御部110は、Bグレードのユーザーの端末300には、前方配信動画のみを配信し、Bグレードのユーザーには前方配信動画のみの視聴を許可してもよい。また制御部310は、Aグレードのユーザーの端末300には、全方位の客室配信動画を配信し、Aグレードのユーザーに対して客室配信動画の全方位の視聴を許可してもよい。制御部310は、Bグレードのユーザーの端末300には、1つの方位のみの客室配信動画を配信し、Bグレードのユーザーに対して客室配信動画の1つの方位のみの視聴を許可してもよい。
【0130】
[実施の形態の効果]
【0131】
上述の実施の形態によれば、列車の急ブレーキを検知した場合に、撮影動画の少なくとも一部分に対してモザイク処理を行うことで、撮影動画に含まれる不適切な箇所を見えなくすることができる。その結果、提供すべきでない不適切な動画が配信動画として配信される事態を回避することができ、列車の乗客が目にする風景を適切な状態で視聴者の端末にリアルタイムで配信することができる。
【0132】
また、視聴者は、列車の乗客が目にする風景を、適切な状態でリアルタイムで視聴することができる。これにより、列車が走行する路線が存在する地域まで行かなくても、列車に乗ることを擬似的に体験することができ、視聴時時点での列車の付近の季節や天気などをリアルタイムで体験することができる。
【0133】
さらに、列車の運行事業者は、列車の運賃収入の他に配信動画の視聴者に対する課金による収入を得ることができる。特にローカル線は、運賃収入が少なくその存続が問題となっている。しかし、配信動画の視聴者に対する課金による収入により収益を改善することができ、ローカル線の存続を図ることができる。
【0134】
[その他]
【0135】
制御部110は、端末300の視聴者による寄付を受け付けてもよい。この種の寄付は、「投げ銭(ギフティング)」とも呼ばれている。制御部110は、端末300の視聴者による寄付を受け付けた場合に、視聴者情報テーブル(図4)に登録された視聴者の課金先に課金を行う。この課金により集められた金銭は、後日、寄付の対象者へ寄付される。
【0136】
たとえば、風景情報テーブル(図11)において寄付が可能であるとされた物体が含まれる配信動画を配信中などに、端末300で所定の操作(たとえば端末300の表示部340に表示された風景情報の長押し)を受け付けた場合に、制御部110は、その物体の関係者(図12の場合には、岩木山の環境保護団体など)への寄付を受け付けてもよい。
【0137】
また、制御部110は、運転手DR(図6)や車掌CR(図7)などの電車400の乗務員が含まれる配信動画を配信中などに、端末300で所定の操作を受け付けた場合に、制御部110は、電車400の運行業者への寄付を受け付けてもよい。
【0138】
さらに、吊り広告ADの画像IM(図17)が含まれる配信動画を配信中などに、端末300で所定の操作を受け付けた場合に、制御部110は、吊り広告ADの広告主(図17の場合には、「三甘食品」)への寄付を受け付けてもよい。
【0139】
制御部110は、寄付が可能である物体が前方撮影動画または客室撮影動画に含まれる場合に、前方撮影動画または客室撮影動画におけるその物体の部分に対して、寄付が可能であることを示す表示(たとえば「$」マークなど)を追加してもよい。
【0140】
寄付を受け付けるタイミングは任意である。制御部110は、任意のタイミングで端末300で所定の操作を受け付けた場合に、寄付の対象者(電車400の運行業者、または電車400の沿線の企業もしくは団体など)の選択肢を端末300の表示部340に表示し、寄付の対象者の選択を受け付けてもよい。
【0141】
配信動画の視聴者の中には、電車400やその沿線に特別な思い入れがあり、それらに対する金銭的な支援を希望する者が存在するものと推測される。寄付を受け付けることで、そのような視聴者の希望に応えることができる。電車400の運行業者、または電車400の沿線の企業もしくは団体などは、そのような視聴者の金銭的な支援を受けることができる。
【0142】
上述の実施の形態において、撮影動画および配信動画は音声を含んでいるが、撮影動画および配信動画は音声を含んでいなくてもよい。
【0143】
上述の実施の形態におけるモザイク処理は、対象となる箇所を見えなくする処理であればよい。対象となる箇所を見えなくする処理は、モザイク処理の他、対象となる箇所を表示せず、対象となる箇所以外の箇所のみを表示するマスク処理、対象となる箇所にぼかしをかけるぼかし処理、または対象となる箇所に特定の画像を上書きする画像付加処理などであってもよい。さらに、対象となる箇所を見えなくする処理は、配信動画を停止する処理や、配信動画を「只今画像送信を停止しています」などのテロップを含む画像へ差し替える処理などであってもよい。モザイク処理は、対象となる箇所の雰囲気の一部を伝えつつ、対象となる箇所を見えなくする処理であるため、対象となる箇所を見えなくする処理として他の処理よりも適している。
【0144】
端末300が3次元動画を表示する機器(たとえばVRヘッドセット)よりなっており、サーバー100は端末300に対して3次元の配信画像を配信してもよい。
【0145】
上述の実施の形態および変形例は適宜組み合わせることができる。
【0146】
上述の実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0147】
100 サーバー(動画配信サーバーの一例)
110,210,310 制御部
120 画像メモリ
130,320 記憶部(物体記憶手段、車内情報記憶手段、および顔記憶手段の一例)
131 サーバープログラム
140,240,350 通信部(取得手段および配信手段の一例)
150 認識部
160 画像処理部(作成手段の一例)
200,200a,200b,200c カメラ(カメラの一例)
220 撮影部
230 位置情報取得部(位置情報取得手段の一例)
250 録音部
260 急ブレーキ検知部(急ブレーキ検知手段の一例)
300 端末(端末の一例)
321 視聴アプリ
330 操作部(操作受付手段の一例)
340 表示部(表示手段の一例)
341 メニューボタン
400 電車(列車の一例)
401 運転室
402 客室
403 客室
IF1,IF2,IF3,IF4,IF5 情報
MC1,MC2,MC3,MC4 モザイク
MV1,MV2,MV3,MV4,MV5,MV6 動画
SR1,SR2,SR3,SR4 前方撮影動画の箇所
ST 座席
WD1,WD2 窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20