(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/379 20170101AFI20250117BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20250117BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250117BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20250117BHJP
B29C 64/10 20170101ALI20250117BHJP
【FI】
B29C64/379
B33Y50/00
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/10
(21)【出願番号】P 2024118431
(22)【出願日】2024-07-24
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505459105
【氏名又は名称】株式会社DENT-EASE
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】田里 涼
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-519030(JP,A)
【文献】特開2010-110569(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0276950(US,A1)
【文献】特開2013-220146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/379
B33Y 50/00
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B29C 64/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップと、
前記立体形状情報に基づいて、前記天然爪の表面に現実に取り付けられるための人工爪の3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、前記人工爪の3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップと、
前記3次元モデル情報に基づいて、機械加工ツールを用いて前記人工爪の前記モデルを現実世界で制作する現実モデル制作ステップと、を含み、
前記モデル情報生成ステップでは、前記人工爪の前記モデルを、現実に前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際に前記天然爪の表面と前記人工爪の裏面との間に介在される介装体を設置するための設置空間が存在するようにデザインする、
人工爪制作方法。
【請求項2】
前記設置空間に対応する仮想形状は、板状に延在して形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の裏面は、前記天然爪の表面に倣って形成され、
前記設置空間の前記仮想形状は、その爪幅方向端縁部の厚さよりもその爪幅方向中央部での厚さが大きくなるように形成される、
請求項1に記載の人工爪制作方法。
【請求項3】
前記設置空間に対応する仮想形状は、板状に延在して形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の裏面は、前記天然爪の表面に倣って形成され、
前記設置空間の前記仮想形状は、爪長手方向および爪幅方向の両方でその厚さが全体的に略均一になるように形成される、
請求項1に記載の人工爪制作方法。
【請求項4】
前記人工爪の裏面に複数の突起部または複数の凹凸部を設ける、
請求項1に記載の人工爪制作方法。
【請求項5】
前記対象者のどの指の前記天然爪に付ける前記人工爪なのかを示す識別子を、制作された前記人工爪の裏面に配設する、
請求項1に記載の人工爪制作方法。
【請求項6】
対象者の天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得部と、
前記立体形状情報に基づいて、前記天然爪の表面に現実に取り付けられるための人工爪の3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、前記人工爪の3次元モデル情報を生成するモデル情報生成部と、
機械加工ツールを有し、前記3次元モデル情報に基づいて前記人工爪を現実世界で制作する現実モデル制作部と、を含み、
前記モデル情報生成部は、前記人工爪の前記モデルを、現実に前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際に前記天然爪の表面と前記人工爪の裏面との間に介在される介装体を設置するための設置空間が存在するようにデザインする、
人工爪制作システム。
【請求項7】
前記モデル情報生成ステップでは、前記人工爪の前記モデルにおいてその裏面に環状の線状突起部を仮想空間上でデザインし、
前記線状突起部は、前記人工爪が現実世界で制作されて前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際にその先端部で当該天然爪の周縁部に亘って係合し、かつ当該線状突起部で包囲される空間が前記設置空間とされるようにデザインされる、
請求項1に記載の人工爪制作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人工爪制作方法を実現する装置として、爪の立体的な表面形状を測定、または、表面形状の情報の入力により立体形状情報を取得する形状情報取得部と、表面形状を展開した展開情報を立体形状情報に基づき作成する展開情報作成部と、突出形状を含むデザインを示すデザイン情報を取得するデザイン取得部と、展開情報にデザイン情報をマッチングさせるマッチング部と、平坦で可撓(かとう)性のある樹脂製のシートにマッチング情報に基づきデザインを形成させるネイルチップ形成部と、を含んで構成されるものが知られる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
また、本装置のネイルチップ形成部は、高粘度樹脂をネイルチップの表面に付着させる高粘度ディスペンサと、比較的低粘度の塗料を付着させる低粘度ディスペンサと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術は、立体的な爪の表面形状を測定し、その情報に基づいてカスタマイズされたネイルチップを形成するためのものであり、そのプロセスには、デザイン情報の取得、展開情報の作成、マッチング、そして高粘度および低粘度のディスペンサを用いたネイルチップの形成が含まれる。
【0006】
ここで、付け爪(本明細書では「人工爪」ともいう。)は対象者(使用者)に取り付けられると所定期間、その使用者の日常生活の環境下で使用され、また定期的に交換されるものである。
【0007】
そのため、その使用に当たっては付け爪の固定および耐久性が課題となることが多い。たとえば固定に関する課題として、付け爪が天然爪の形状にフィットしない場合、固定が不安定になる。これは、特に市販の標準サイズのネイルチップでは一般的な課題とされる。また、耐久性については、付け爪は、日常生活での外力からの影響、たとえば使用者の水仕事、激しい運動、手を頻繁に使う作業などの日常活動に伴う外力が付け爪の耐久性に影響を与える。この点、前述の特許文献1のものは改善の余地があったといえる。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、人工爪が対象者の天然爪の立体形状に精度よく適合するとともに、その天然爪に取り付けられた際の人工爪の固定性および耐久性を高めることができる人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
[1]
対象者の天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップと、
前記立体形状情報に基づいて、前記天然爪の表面に現実に取り付けられるための人工爪の3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、前記人工爪の3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップと、
前記3次元モデル情報に基づいて、機械加工ツールを用いて前記人工爪の前記モデルを現実世界で制作する現実モデル制作ステップと、を含み、
前記モデル情報生成ステップでは、前記人工爪の前記モデルを、現実に前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際に前記天然爪の表面と前記人工爪の裏面との間に介在される介装体を設置するための設置空間が存在するようにデザインする、
人工爪制作方法。
[2]
前記設置空間に対応する仮想形状は、板状に延在して形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の裏面は、前記天然爪の表面に倣って形成され、
前記設置空間の前記仮想形状は、その爪幅方向端縁部の厚さよりもその爪幅方向中央部での厚さが大きくなるように形成される、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[3]
前記設置空間に対応する仮想形状は、板状に延在して形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の裏面は、前記天然爪の表面に倣って形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の爪幅方向端縁部のそれぞれは、その爪幅方向先端に行くに従って先細って形成される、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[4]
前記設置空間に対応する仮想形状は、板状に延在して形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の裏面は、前記天然爪の表面に倣って形成され、
前記設置空間の前記仮想形状は、爪長手方向および爪幅方向の両方でその厚さが全体的に略均一になるように形成される、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[5]
前記人工爪の裏面に複数の突起部を設ける、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[6]
前記対象者のどの指の前記天然爪に付ける前記人工爪なのかを示す識別子を、制作された前記人工爪の裏面に配設する、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[7]
対象者の指および当該指に生える天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記指および前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップと、
前記立体形状情報に基づいて、前記指および前記天然爪に対応する3次元形状の立体モデルを仮想空間上でデザインして、当該立体モデルに関する、前記天然爪の表面に現実に取り付けられる人工爪を制作するための3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップと、
前記3次元モデル情報に基づいて、機械加工ツールを用いて前記指および前記天然爪に対応する前記立体モデルを現実世界で制作する現実モデル制作ステップと、
現実モデル制作ステップによって現実に制作された前記指および前記天然爪に対応する前記立体モデルに基づいて、前記人工爪を制作する人工爪制作ステップと、を含み、
前記モデル情報生成ステップでは、前記指および前記天然爪に対応する前記立体モデルを、当該天然爪の表面から所定の厚みを有するとともに板状に延在して形成される板厚部を有するようにデザインする、
人工爪制作方法。
[8]
対象者の天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップと、
前記立体形状情報に基づいて、前記天然爪の表面に現実に取り付けられるための人工爪の3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、前記人工爪の3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップと、
前記3次元モデル情報に基づいて、機械加工ツールを用いて前記人工爪を現実世界で制作する現実モデル制作ステップと、
前記人工爪を当該人工爪に対応する前記天然爪に取り付ける前に、当該天然爪の表面に介装体を付着させる材付着ステップと、を含み、
前記モデル情報生成ステップでは、前記人工爪の前記モデルを、現実に前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際に前記天然爪の表面と前記人工爪の裏面との間に介在される前記介装体を設置するための設置空間が存在するようにデザインする、
人工爪取付方法。
[9]
前記材付着ステップでは、前記天然爪の表面の全体に対し前記介装体を被覆して付着する、
[8]に記載の人工爪取付方法。
[10]
前記介装体は、グラスポリアルケノエートセメントおよび/またはポリカルボキシレートセメントを含んでなる、
[8]に記載の人工爪取付方法。
[11]
対象者の天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得部と、
前記立体形状情報に基づいて、前記天然爪の表面に現実に取り付けられるための人工爪の3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、前記人工爪の3次元モデル情報を生成するモデル情報生成部と、
機械加工ツールを有し、前記3次元モデル情報に基づいて前記人工爪を現実世界で制作する現実モデル制作部と、を含み、
前記モデル情報生成部は、前記人工爪の前記モデルを、現実に前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際に前記天然爪の表面と前記人工爪の裏面との間に介在される介装体を設置するための設置空間が存在するようにデザインする、
人工爪制作システム。
[12]
前記設置空間に対応する仮想形状は、板状に延在して形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の裏面は、前記天然爪の表面に倣って形成され、
前記設置空間の前記仮想形状の爪長手方向の長さは、前記天然爪の爪長手方向長さよりも小さく設定され、
前記設置空間の前記仮想形状の爪幅方向の長さは、前記天然爪の爪幅方向長さよりも小さく設定され、
爪厚さ方向で見て、前記設置空間の前記仮想形状の外形が前記天然爪の外形の内側に配置され、前記設置空間の前記仮想形状の外形および前記天然爪の外形の間に環状の仮想間隙が形成され、
前記仮想間隙に対応するように、前記人工爪の前記モデルにおいてその裏面に環状の線状突起部がデザインされる、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[13]
前記モデル情報生成ステップでは、前記人工爪の前記モデルにおいてその裏面に環状の線状突起部を仮想空間上でデザインし、
前記線状突起部は、前記人工爪が現実世界で制作されて前記天然爪に前記人工爪を取り付けた際にその先端部で当該天然爪の周縁部に亘って係合し、かつ当該線状突起部で包囲される空間が前記設置空間とされるようにデザインされる、
[1]に記載の人工爪制作方法。
[14]
前記板厚部の爪長手方向の長さは、前記天然爪の爪長手方向の長さよりも小さく設定され、
前記板厚部の爪幅方向の長さは、前記天然爪の爪幅方向の長さよりも小さく設定され、
前記板厚部は、前記立体モデルにおいて前記天然爪に対応する部分の、爪長手方向および爪幅方向の両方の中央部上に配設され、
当該立体モデルにおいて前記板厚部の周縁部と前記天然爪に対応する部分の周縁部との間に環状の段部が配設される、
[7]に記載の人工爪制作方法。
[15]
対象者の指および当該指に生える天然爪の立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、前記指および前記天然爪の前記表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得部と、
前記立体形状情報に基づいて、前記指および前記天然爪に対応する3次元形状の立体モデルを仮想空間上でデザインして、当該立体モデルに関する、前記天然爪の表面に現実に取り付けられる人工爪を制作するための3次元モデル情報を生成するモデル情報生成部と、
機械加工ツールを有し、前記3次元モデル情報に基づいて前記指および前記天然爪に対応する前記立体モデルを現実世界で制作する現実モデル制作部と、
現実モデル制作部によって現実に制作された前記指および前記天然爪に対応する前記立体モデルに基づいて、前記人工爪を制作する人工爪制作部と、を含み、
前記モデル情報生成部は、前記指および前記天然爪に対応する前記立体モデルを、当該天然爪の表面から所定の厚みを有するとともに板状に延在して形成される板厚部を有するようにデザインする、
人工爪制作システム。
【0010】
前記[1]、前記[8]または前記[11]の構成のようにするとよい。
この場合、天然爪の立体形状情報に基づいて、天然爪の表面に現実に取り付けられるための人工爪の三次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、人工爪の三次元モデル情報を生成する。これにより、天然爪の立体形状に適合する人工爪を精度よく制作することができる。また、天然爪に人工爪が取り付けられる状態で天然爪の表面および人工爪の裏面の間に、接着材または充填材などの介装体を配置するための設置空間があらかじめ用意される。その用意により、人工爪を対象者の天然爪に取り付ける際、安定して取り付けられるとともに、その介装体を介して人工爪は天然爪に強く固着されるためその固定性および耐久性を高めることができる。
前記[2]の構成のようにするとよい。
この場合、その設置空間がドーム状に人工爪の厚さ方向で外方に膨出して形成されることになり、人工爪をより安定して取り付けられるとともに、その固定性および耐久性もより高めることができる。
前記[3]の構成のようにするとよい。
この場合、人工爪が対象者の天然爪に取り付けられた際、その固定(固着)性が向上するとともに外部からの液体(たとえば水など)または微小な粒または埃などの侵入を抑制して人工爪の耐久性も高めるとともに衛生または清潔を保つことができる。
前記[4]の構成のようにするとよい。
この場合、全体的に厚さが略一様に設定されるため、人工爪をより安定して取り付けられるとともに、その固定性および耐久性もより高めることができる。特に介装体が接着材などである場合、その接着時での爪長手方向または爪幅方向での偏りを防止して、固着性および耐久性の両方を高めることができる。
前記[5]の構成のようにするとよい。
この場合、突起部が介装体の表面に埋没したり引っ掛かったりする。これにより、その接合面においてアンカー効果接着が発揮されて介装体および人工爪が強固に接着する。その結果、人工爪の、天然爪に対する固定性をより一層高めることができる。
前記[6]の構成のようにするとよい。
この場合、識別子の表示によって使用者一人に対し複数の人工爪を制作する際、取り付ける天然爪(指)を間違える(取り違える)ことなく制作された複数の人工爪から適切なものを選択して取り付けることができる。
前記[7]または前記[15]の構成のようにするとよい。
この場合、対象者の指および天然爪のモデル(立体モデル)に基づいて、たとえばサービス提供者(ネイルサロンの担当者)が手作りで制作する。このとき、このモデルは前述の板厚部を有しており、すなわち天然爪の表面から所定の厚みを有するようにデザインされることになるため、サービス提供者がこのモデルをベース(型)にして制作する人工爪は、天然爪に人工爪が取り付けられる状態で天然爪の表面および人工爪の裏面の間に介装体を配置するための設置空間が用意されることになる。その用意により、人工爪を対象者の天然爪に取り付ける際、安定して取り付けられるとともに、その介装体を介して人工爪は天然爪に固着されるためその固定性、耐久性、衛生および清潔性を高めることができる。
前記[9]の構成のようにするとよい。
この場合、人工爪の天然爪に対する固定性および耐久性をより一層高めることができる。
前記[10]の構成のようにするとよい。
この場合、人工爪の天然爪に対する固定性および耐久性をより一層高めることができる。
前記[12]または前記[13]の構成のようにするとよい。
この場合、人工爪の裏面において爪厚さ方向で突出する環状の線状突起部が配設され、天然爪に人工爪を取り付けられる際、その線状突起部で区画される空間内に介装体が設置される。そのため、爪幅方向および爪長手方向での外力に対して強度が高まり、その結果、人工爪の固定性および耐久性をより一層向上させることができる。また、人工爪が対象者の天然爪に取り付けられた際、前述の線状突起部の先端部が天然爪の表面に係合するので、外力によるガタツキを抑制して取付安定性を高めることができる。さらに、その環状の線状突起部の存在により、外部からの液体(たとえば水など)または微小な粒または埃などの侵入を抑制して衛生または清潔を保つことができる。
前記[14]の構成のようにするとよい。
この場合、このモデル(立体モデル)は、その板厚部の周縁部と天然爪に対応する部分の周縁部との間に環状の段部を有して成形される。これにより、サービス提供者がこの立体モデルをベース(型)にして、たとえばハンドメイドで人工爪を制作する際には、この段部で人工爪の材料が型取(形状転写)されることで、その人工爪の裏面に環状の線状突起部が成形されることになる。そのように成形される人工爪を対象者の天然爪に取り付ける際、前述の線状突起部の先端部が天然爪の表面に係合するので、外力によるガタツキを抑制して取付安定性を高めることができる。さらに、その環状の線状突起部の存在により、外部からの液体(たとえば水など)または微小な粒または埃などの侵入を抑制して衛生または清潔を保つことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人工爪が対象者の天然爪の立体形状に精度よく適合するとともに、その天然爪に取り付けられた際の人工爪の固定性および耐久性を高めることができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細はさらに明確化されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の人工爪制作システムの構成の一例を説明する模式図
【
図2】
図1に示す情報処理装置の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を説明するブロック図
【
図3】
図1に示すカメラにより立体形状を測定する様子の一例を説明する斜視図
【
図4】
図1に示す3Dプリンタ装置の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を説明するブロック図
【
図5】
図2に示す情報処理装置の機能の一例を説明するブロック図
【
図6】
図1に示すシステムにより制作される人工爪が天然爪に取り付けられる状態の一例を説明する側面図
【
図8】
図6に示す人工爪および介装体の接合面の構造の一例を説明する模式断面図
【
図9】
図1に示すシステムを用いた場合の動作フローの一例を説明するフロー図
【
図10】第1実施形態の第1変形例に係る、設置空間の形状の一例を説明する断面図
【
図11】第1実施形態の第2変形例に係る、人工爪が天然爪に取り付けられる状態の一例を説明する側面図
【
図13】第1実施形態の第3変形例に係る、人工爪が天然爪に取り付けられる状態の一例を説明する側面図
【
図15】第3変形例に係る、人工爪を天然爪に取り付ける様子の一例を説明する模式図
【
図16】第1実施形態の第4変形例に係る、人工爪の裏面における形状の一例を説明する模式図
【
図17】本発明に係る第2実施形態に係るシステムを用いた場合の動作フローの一例を説明するフロー図
【
図18】第2実施形態の、指モデルを用いた人工爪の制作の様子の一例を説明する模式図
【
図19】第2実施形態の第1変形例に係る、指モデルを用いた人工爪の制作の様子の一例を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本発明に係る人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システムを具体的に開示する1または複数の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、すでによく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って参照するものとする。
【0017】
また、特段のことわりがない限り、この明細書および添付された請求項において使用されるパラメーター、反応条件および成分の濃度などを表すすべての数は、すべての例において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対に指示されない限り、以下の明細書および添付の請求項において示された数的パラメーターは、少なくとも特定の分析技法に依存して変化し得る近似である。
【0018】
<用語の説明>
「を含む」および「を含有する」と同義である用語「を含む」または「により特徴づけられる」は、包括的または開放型な意味で解釈されるものであり、追加の、挙げられていない要素または方法のステップを排除しない。「を含む」は、請求項の言語で使用される技術用語であり、それは名を挙げられた請求項要素は必須であるが、他の請求項要素が追加されて請求項の範囲内で構成物をさらに形成してもよいことを意味する。
【0019】
また、本明細書において使用する、「からなる」という語句は、請求項で特定されていない、いかなる要素、ステップまたは成分も排除する。語句「からなる(またはその変形)」が、プリアンブルの直後ではなくむしろ、請求項の本体の節に現れる場合、それは、その節において示された要素のみを限定し、他の要素が当該請求項全体から排除されるのではない。本明細書において使用する語句「から本質的になる」は、請求項の範囲を、特定された要素または方法ステップに加えて、請求された対象事物の主成分および新規な特徴(単数または複数)に実質的に影響しないものに限定する。
【0020】
用語「を含む」、「からなる」および「から本質的になる」に関して、これら3つの用語の1つが本明細書において使用される場合、本発明で開示されたおよび請求された対象事物は、他の2つの用語のいずれかの使用も含むこともある。したがって、そうではないと明示的に挙げなかったいくつかの実施形態において、「を含む」の任意の場合が、「からなる」または「から本質的になる」によって置き換えられ得る。
【0021】
用語「工程」もしくは「ステップ」は、プロセスまたは方法の特徴に関連して、明示的に用いられ、または暗示的に用いられ得る。しかしながら、順番または手順について明記されない限り、このような明示的な工程もしくはステップの間、または暗示的な工程もしくはステップの間における、順番または手順は、限定されない。
【0022】
また、本明細書でいう用語「部」または「装置」とは単にハードウェアによって機械的に実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、または2つ以上の構成の機能がたとえば1つの物理的構成(たとえば1つの独立した装置)によって実現されていてもかまわない。
【0023】
<第1実施形態>
図1~
図16に基づいて、本発明に係る人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システム1(以下「システム」ともいう。)の第1実施形態について説明する。
なお、本明細書および図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0024】
[・システムの構成]
図1を参照しながら、システム1の構成について説明する。
図1は、本実施形態の人工爪制作システム1の構成の一例を説明する模式図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のシステム1は、通信ネットワークNWと、情報処理装置10と、3Dプリンタ装置20(「現実モデル制作部」の一例)と、を含んで構成される。
【0026】
通信ネットワークNWは、情報処理装置10と、3Dプリンタ装置20と、に接続され、種々の情報または信号が相互にやり取り可能に設けられる。また、通信ネットワークNWは、少なくとも有線または無線の回線を含み、インターネット回線をその一部またはすべて含んで構成される。それにより、通信ネットワークNWは、情報処理装置10と3Dプリンタ装置20との間などで相互に通信可能に構成される。つまり、情報処理装置10は、通信ネットワークNWを通じて3Dプリンタ装置20にアクセス可能に構成される。
【0027】
なお、通信ネットワークNWは、情報処理装置10および3Dプリンタ装置20の間の通信を促進するために、相互に接続して使用される、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、携帯電話ネットワーク(MTN)および他の種類のネットワークを適宜含んで構成されることも可能である。
【0028】
情報処理装置10は、後述のようにカメラ11(
図3参照)を通じて対象者CSの天然爪NNの立体形状の情報が入力され、その立体形状情報に基づいて人工爪AN(一般的に「付け爪」とも呼ばれる。)の3次元モデル情報を生成する。そして、情報処理装置10は、その3次元モデル情報を、通信ネットワークNWを通じて3Dプリンタ装置20に送信する。また、情報処理装置10は、ノートパソコンまたはスマートフォンが例示されるがこれに限定されない。たとえば、情報処理装置10は、その他に、汎用のパソコン装置、携帯電話、タブレット、ラップトップコンピュータ、ネットブック、携帯情報端末(PDA)、ゲームデバイス、メディアプレーヤーまたは電子ブックなど、種々に採用することが可能である。情報処理装置10は、通信ネットワークNWに接続可能であれば情報端末装置の形態は限定されない。
【0029】
3Dプリンタ装置20は、情報処理装置10から送信される三次元情報に基づいて、人工爪ANのモデルを現実世界で制作する。具体的には、3Dプリンタ装置20は、溶融した樹脂材を層状に積層して物体として造形する。
【0030】
また、
図1に示される、前述の通信ネットワークNWの構成は本実施形態の一例であり、情報処理装置10と3Dプリンタ装置20とは有線または無線で直接接続されてもよい。たとえば、情報処理装置10および3Dプリンタ装置20は、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、Bluetooth、IrDA(Infrared Data Association)などの接続方式で接続されてもよい。また、3Dプリンタ装置20はクラウドシステムを含んで構成されてもよい。この場合、3Dプリンタ装置20の制御部21(後述参照)の機能はクラウド型サービスにより提供される。このような変形例についても当然に本開示の実施形態の技術的範囲に含まれる。
【0031】
[・情報処理装置のハードウェア構成]
図2および
図3を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成について説明する。
図2は、
図1に示す情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
図3は、
図1に示すカメラ11により立体形状を測定する様子の一例を説明する斜視図である。
【0032】
後述のように本実施形態の情報処理装置10の機能は、
図2に例示する、ハードウェア要素を用いて実現することが可能である。また、情報処理装置10の機能は、コンピュータプログラムを用いて、
図2に例示する、ハードウェアを制御することで実現される。
【0033】
図2に示すように、情報処理装置10は、カメラ11と、プロセッサ12と、メモリ13と、表示インターフェース14(IF:Interface)と、通信インターフェース15と、外部インターフェース16と、を含んで構成される。
なお、本発明に係る実施の態様のそれぞれに対応して一部の要素が省略されてもよいし、他の要素が追加されてもよい。
【0034】
図2および
図3に示すように、情報処理装置10のカメラ11は、少なくとも1つのレンズ群を含む光学系、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子、および画像信号を処理する信号処理回路を有する撮像装置である。
【0035】
また、情報処理装置10のカメラ11は投光部(不図示)を有し、投光部より光を対象者CSの指FGに向けて発して、その反射光を前述の固体撮像素子で受光することで天然爪NNを含む指FGの立体的な表面形状を測定する。そして、情報処理装置10のカメラ11は、その測定結果を当該表面形状の情報として情報処理装置10の本体部に送信する。また、情報処理装置10のカメラ11のソフトウェア部分がその機能として情報処理装置10に内設されるが、具体的には情報処理装置10のカメラ11のハードウェア部分は、外部に設置可能な外部カメラとされ、後述する情報処理装置10の外部インターフェース16に接続される。
【0036】
なお、本実施形態では立体形状を測定する手段としてカメラ11を採用するが、これに限定されない。対象者CSの天然爪NNの立体的な表面形状を測定することが可能なものであれば、種々の技術的手段を採用することが可能である。たとえば、3Dスキャニング(光学式)方式、フォトグラメトリー方式、触針式プローブ測定方式、またはレーザートライアンギュレーション方式などを適宜採用することが可能である。または、シリコン素材を用いて、直接型取りする方式を採用してもよい。
【0037】
図2に示すように、情報処理装置10のプロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはGPU(Graphic Processing Unit)などの処理回路(Processing circuitry)とされる。情報処理装置10のプロセッサ12は、その中央演算装置として後述する各種の機能を実現するプログラムを実行する。それにより、情報処理装置10のプロセッサ12は、機能的にコンピュータ全体の制御部101として動作する(後述参照)。
【0038】
情報処理装置10のメモリ13は、プログラムが記憶保持されるだけではなく、情報処理装置10のプロセッサ12のワーキングメモリとしても使用され、たとえばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの種々の記憶装置を含んで構成される。ROMは、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROMにはコンピュータの起動時に実行されるBIOS、OS設定、およびネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAMはプログラムおよびデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0039】
情報処理装置10の表示インターフェース14は、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro-Luminescence Display)などのディスプレイデバイスを接続するためのインターフェース回路である。本実施形態では、後述のように情報処理装置10の表示インターフェース14を通じて、その仮想空間上で種々の3次元モデルがそのディスプレイデバイスに表示される。情報処理装置10の通信インターフェース15は、通信ネットワークNWに接続するためのインターフェース回路である。
【0040】
情報処理装置10の外部インターフェース16は、情報処理装置10の外部に設置される外部デバイスを接続するためのインターフェース回路である。情報処理装置10の外部インターフェース16は、たとえばUSBポートなどとされる。情報処理装置10の外部インターフェース16には、たとえばキーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力機器、またはプリンタなどの出力機器が接続される。また、情報処理装置10の外部インターフェース16には、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(Non-transitory computer readable storage medium)である記録媒体(不図示)が接続される。記憶媒体は、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気ディスクまたは半導体メモリなどが例示される。
【0041】
情報処理装置10のプロセッサ12は、記録媒体に格納されるコンピュータプログラムを読み出してメモリ13に格納し、メモリ13から読み出したコンピュータプログラムに従って情報処理装置10の動作を制御する。
【0042】
なお、情報処理装置10の動作を制御するコンピュータプログラムは、情報処理装置10のメモリ13にあらかじめ格納されていてもよいし、情報処理装置10の通信インターフェース15を介してダウンロードされてもよい。また、本実施形態では、コンピュータプログラムとして仮想空間上で3次元モデルをデザインするための、たとえば3次元CADソフトウェアがあり、当該ソフトウェアが情報処理装置10にインストールされる。
【0043】
[・3Dプリンタ装置のハードウェア構成]
図4を参照しながら、本実施形態の3Dプリンタ装置20の機能を実現可能なハードウェア構成について説明する。
図4は、
図1に示す3Dプリンタ装置20の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0044】
図4に示すように、3Dプリンタ装置20は、制御部21と、3Dプリンタ加工部30(「機械加工ツール」の一例)と、を含んで構成される。
【0045】
なお、3Dプリンタ装置20の制御部21および3Dプリンタ装置20の3Dプリンタ加工部30は、それぞれ別体で構成されてもよいし、これら2つの部分が一体で構成されてもよい。また、3Dプリンタ装置20の制御部21および3Dプリンタ加工部30は、その間で有線および/または無線のネットワークを通じて接続されていてもよい。また、本実施形態では、機械加工ツールとして3Dプリンタの造形方式を採用するが、これに限定されない。その方式は、切削方式、CAM(Computer-Aided Manufacturing)方式などでもよく、所定の形状を造形することが可能なものであれば種々の機械加工ツールが選択可能である。また、3Dプリンタの造形方式には、FDM(Fused Deposition Modeling)方式、レーザー焼結法、インクジェット方式などがあるが、実施の形態に応じて適応的に選択される。FDM方式では、熱可塑性プラスチックのフィラメントを加熱し、積層して物体を造形する。光造形方式では、UV硬化レジンを紫外線で硬化させ、高精細な造形が可能である。その中には、LCD(Liquid Crystal Display)、DLP(Digital Light Processing)、SLA(Stereolithography)などの技術が含まれる。レーザー焼結法では、粉末状の材料をレーザーで焼結し、物体を制作する。インクジェット方式はUV硬化性樹脂を噴霧し、紫外線で硬化させて造形する。
【0046】
3Dプリンタ装置20の制御部21は、ハードウェア構成としてミニコンピュータなどの電子機器から構成される。すなわち、3Dプリンタ装置20の制御部21は、情報処理装置10と同様に構成されており、プロセッサ22と、メモリ23と、通信インターフェース25と、外部インターフェース26と、を含んで構成される。
【0047】
3Dプリンタ装置20において、そのプロセッサ22、メモリ23、通信インターフェース25、および外部インターフェース26のそれぞれは、前述のように情報処理装置10のプロセッサ12、メモリ13、通信インターフェース15、および外部インターフェース16のそれぞれと同様の機能を有して構成される。
なお、3Dプリンタ装置20の制御部21および3Dプリンタ装置20の3Dプリンタ加工部30は、その外部インターフェース26を介して接続される。
【0048】
3Dプリンタ装置20の制御部21は、その通信インターフェース25を通じて、情報処理装置10から人工爪ANの3次元モデル情報を受信する。3Dプリンタ装置20の制御部21は、その受信した3次元モデル情報をそのメモリ23に一時的に記憶保持する。そして、3Dプリンタ装置20の制御部21は、そのプロセッサ22で3Dプリンタ加工部30の動作を制御し、そのメモリ23に記憶保持される3次元モデル情報に基づいて人工爪ANのモデルを現実世界で制作(加工)させる。
なお、人工爪ANの素材、印刷方法などは実施の態様に対応して任意に選択可能である。
【0049】
3Dプリンタ加工部30は、ハードウェア構成として、筐体(不図示)と、プリンタヘッド(不図示)と、フィラメント供給部(不図示)と、を含んで構成される。
【0050】
3Dプリンタ加工部30の筐体は、金属製の箱状に形成され、構造的基盤を提供し構造的に高い剛性と安定性を確保する。3Dプリンタ加工部30のプリンタヘッドは、その先端に噴射ノズルを有し、この噴射ノズルは、フィラメント供給部から溶解された状態で供給されるフィラメントを特定のパターンで積層する。さらに、3Dプリンタ加工部30のプリンタヘッドは互いに交差する直動軸を複数有し、たとえばX軸(水平方向に従う第1の方向)、Y軸(水平方向に従うとともに第1の方向と直交する第2の方向)およびZ軸(鉛直方向)に沿って噴射ノズルを精度よく移動する。3Dプリンタ加工部30のフィラメント供給部は、合成樹脂素材であるフィラメントを溶融しながら、3Dプリンタ加工部30のプリンタヘッドの噴射ノズルに略均一に供給する。
【0051】
なお、合成樹脂素材としては、アクリル、ポリアミド、ポリカボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂などが例示される。また、それら合成樹脂素材の他、ジルコニア、ニケイ酸リチウム等のセラミック素材、またチタンやコバルトなどのメタル素材も採用することが可能であり、さらにそれら前述の合成樹脂素材およびメタル素材の混合物なども適用することが可能である。
【0052】
3Dプリンタ装置20の制御部21は、前述のように、ソフトウェアとハードウェアを含んで構成されており、3Dプリンタ装置20の動作を調整する中心的役割を有する。3Dプリンタ装置20の制御部21は、情報処理装置10から送信されるデータ(3次元モデル情報)を解析し、その解析結果に基づいて3Dプリンタ加工部30のプリンタヘッドおよびその他の機構の動作を制御する。すなわち、本実施形態では、システム1は、3Dプリンタ装置20を含んで構成されており、情報処理装置10から送信される3次元モデル情報に基づいて3Dプリンタ装置20の3Dプリンタ加工部30を用いて人工爪ANを現実世界で制作する。
【0053】
また、3Dプリンタ装置20は、積層(レイヤー)の厚さ、プリント速度および温度制御など、精度を高めるための複数の調整機能を有する。この調整機能により、システム1は、人工爪ANの様々な素材、および複雑な形状の造形に対応することが可能である。
【0054】
なお、3Dプリンタ装置20の3Dプリンタ加工部30は、複数の検出部(たとえばセンサ、不図示)をさらに含んで構成される。3Dプリンタ装置20の複数の検出部は、装置運転中の状況をリアルタイムで検出する。3Dプリンタ装置20の制御部21は、その検出結果に基づいて3Dプリンタ加工部30に対しその動作を適応的に調整または停止を実行する。
【0055】
[・情報処理装置の機能的構成]
図5を参照しながら、情報処理装置10の機能的構成について説明する。
図5は、
図2に示す情報処理装置10の機能の一例を説明するブロック図である。
【0056】
前述のように情報処理装置10は、ハードウェア構成としてプロセッサ12を有して構成されており、情報処理装置10のプロセッサ12は種々のプログラムをメモリ13から読み込んで実行することで各種機能が実現される。その結果、形状情報取得およびモデル情報生成などを含む人工爪ANの3次元モデル情報の生成に関する各種処理が実行される。
【0057】
図5に示すように、本実施形態では情報処理装置10は、そのプロセッサ12などのハードウェアの動作によって実現される機能として、制御部101と、記憶部104と、通信部105と、を含んで構成される。
【0058】
情報処理装置10の記憶部104は、前述のように情報処理装置10の記憶装置を含めて動作して(プロセッサ12と協働して)実現される機能であり、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報および人工爪ANの3次元モデル情報に関する情報を記憶保持する。情報処理装置10の通信部105は、前述のように情報処理装置10の通信インターフェース15を含めて動作して実現される機能であり、3Dプリンタ装置20との通信を行う。情報処理装置10の制御部101は、情報処理装置10のメモリ13に記憶保持されるプログラムなどを情報処理装置10のプロセッサ12が読み込んで実現される機能であり、3次元情報の取得および生成に関する処理を行う。
【0059】
そして、情報処理装置10の制御部101は、形状情報取得部102と、モデル情報生成部103と、を含んで構成される。
【0060】
情報処理装置10の形状情報取得部102は、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する。その情報の取得は、たとえば、前述のカメラ11によって対象者CSの天然爪NNの立体的な表面形状が測定されることで取得して送信されるか、または過去に測定して取得されたり外部から取得されたりした立体形状情報の記録を前述の記憶媒体を通じて装置本体に入力されるなどして実現される。
【0061】
情報処理装置10のモデル情報生成部103は、立体形状情報に基づいて、天然爪NNの表面に現実に取り付けられるための、人工爪ANの3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、人工爪ANの3次元モデル情報を生成する。具体的には、情報処理装置10において、その表示インターフェース14を通じて立体形状情報がディスプレイデバイスに提示される。そして、情報処理装置10の使用者がその提示内容を適宜参照または確認しながら、情報処理装置10の外部インターフェース16に接続される操作入力装置を使用して、たとえば3次元CADソフトウェアで提供される仮想空間上で人工爪ANをデザインする。そのデザインの結果として、人工爪ANに係る3次元モデル情報が生成される。
【0062】
なお、本実施形態では、システム1の使用者が、操作入力装置を使用してデザインするとされるが、これに限定されない。情報処理装置10のモデル情報生成部103が、設置空間ISを有するように自律的ないし自動的にデザイン可能に構成してもよい。
【0063】
そのとき、本実施形態の情報処理装置10のモデル情報生成部103では、3Dプリンタ装置20によって実際に(実世界で)制作される人工爪ANのモデルを、現実に天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に、介装体IB(後述参照)を取り付ける(設置する)ための設置空間ISが存在する(確保される)ようにデザインされる(
図6および
図7参照)。
【0064】
そのようにデザインされる人工爪ANについて、その3次元モデル情報が情報処理装置10の通信インターフェース15を通じて3Dプリンタ装置20に送信される。3Dプリンタ装置20は、その通信インターフェース25を通じてその3次元モデル情報を受信して、その3Dプリンタ加工部30を用いて人工爪ANのモデルを現実世界で制作(加工)する(後述参照)。
【0065】
人工爪ANの素材は、アクリル、ポリアミド、ポリカボネート、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、または/およびジルコニア、ニケイ酸リチウムなどセラミック素材、またチタンやコバルトなどのメタル素材などの少なくとも1つまたはそれら混合物が適宜選択される。
【0066】
[・人工爪の構造]
図6~
図8を参照しながら、本実施形態の、情報処理装置10のモデル情報生成部103によってデザインされ、そして3Dプリンタ装置20によって現実に制作される人工爪ANの構造について説明する。
図6は、
図1に示すシステム1により制作される人工爪ANが天然爪NNに取り付けられる状態の一例を説明する側面図である。
図7は、
図6に示すA-A断面図である。
図8は、
図6に示す人工爪ANおよび介装体IBの接合面の構造の一例を説明する模式断面図である。
【0067】
図6および
図7に示すように、制作された(または仮想空間上でデザインされた)人工爪ANは、その長手方向(「爪が成長して延びる方向」を意味する。:「爪長手方向」とも呼ばれる。)およびその幅方向(延在方向でその長手方向と直交する方向:「爪幅方向」とも呼ばれる。)の両方で湾曲して形成される。
なお、ここでいう「延在方向」とは、「爪長手方向」および「爪幅方向」の両方の概念を含む、面(平面、曲面など)方向を意味する用語として解釈される。
【0068】
そして、その人工爪ANでは、前述の設置空間ISに対応する仮想形状が立体的に湾曲した板状に延在して形成される。また、設置空間ISの仮想形状の裏面は、天然爪NNの表面に倣って形成される。設置空間ISの仮想形状は、その幅方向(爪幅方向)端縁部の厚さよりもその爪幅方向中央部での厚さが大きくなるように形成され、その裏面と比較して上方(厚さ方向表側)に向けて膨出する。さらに、設置空間ISの仮想形状は、その延在方向中央部での厚さが略均一になるように形成される。また、設置空間ISは、人工爪ANが対象者CSの天然爪NNに取り付けられる際に、その裏面においてその爪幅方向の端縁が天然爪NNの爪幅方向の端縁と一致するように形成される。その場合、人工爪ANが対象者CSの天然爪NNに取り付けられた際、その固定(固着)性が向上するとともに外部からの液体(たとえば水など)の侵入を抑制して耐久性も高めることが可能となる。
なお、それに代えて、その表面の延在方向中央部が平坦状に形成されてもよい。
【0069】
すなわち、設置空間ISの仮想形状は、天然爪NNに人工爪ANが取り付けられる際、その幅方向端縁部は介装体IBを介して天然爪NNと近接し、そしてその中央部に向かって均質な厚みを確保するように漸近的に形成される。その形成により、天然爪NNに対し介装体IBを介して人工爪ANを固着する際、天然爪NN、人工爪ANおよび介装体IBの間に隙間が発生するのを抑制することが可能となる。
【0070】
天然爪NNに人工爪ANが取り付けられる際、その直前に天然爪NNの表面に介装体IB(たとえばシート状部材、または両面テープ素材など、後述参照)が貼付される。そのとき、前述のように人工爪ANの裏面には設置空間ISが存在するので、その取付の状態で天然爪NNおよび人工爪ANの間に介装体IBが適切に介在して、天然爪NNに対し人工爪ANがより強く固定される。
【0071】
介装体IBは、天然爪NNおよび人工爪ANとの間に介在される素材であって、たとえば天然爪NNおよび人工爪ANとの間の間隙を埋める充填剤または接着材として機能し、グルーまたはグミ、両面テープなどの材料から天然爪NNに対応して適応的に選択される。また、介装体IBは、その他グラスポリアルケノエートセメント、ポリカルボキシレートセメント(歯科用で使用されるセメント類)も適宜採用してもよい。本実施形態では、その接着性から、介装体IBはグラスポリアルケノエートセメントおよび/またはポリカルボキシレートセメントを含んでなるとより好適である。この場合、人工爪ANの固定性および耐久性を向上させることが可能となる。
【0072】
なお、介装体IBの素材は、前述のものに限定されず、天然爪NNおよび人工爪ANとの間の間隙を埋める充填剤または接着材として機能するものであれば、種々のものを採用することが可能である。また、この間隙が前述の設置空間ISに対応するものである。
【0073】
また、
図8に示すように、本実施形態では、情報処理装置10のモデル情報生成部103において、人工爪ANの裏面に微小な無数の突起部PPを設けるようにデザインされたり、あるいは3Dプリンタ装置20での制作後に人工爪ANの裏面に対し別途サンドブラスト加工などにより微小な無数の突起部PP、より具体的には無数のランダムな凹凸形状(「複数の凹凸部」の一例)が施されたりする。
【0074】
それにより、その無数の突起部PPにより人工爪ANの裏面および介装体IBの接着面において凹凸が形成され、その結果、人工爪ANおよび介装体IBの間で表面積および密着性が高まる。いわゆる、アンカー効果接着(機械的接着)が実現され、天然爪NNに人工爪ANが介装体IBを介して取り付けられる際、その介装体IBがその突起部PPの間に入り込んで引っ掛かることで複雑に固着する。その固着により、天然爪NNおよび人工爪ANは、より強固に結合し、固定性および耐久性を高めることが可能となる。
【0075】
[・本システムを使用した動作フロー]
図9を参照しながら、本システム1を使用した動作フロー、つまり人工爪制作方法および人工爪取付方法について説明する。
図9は、
図1に示すシステム1を用いた場合の動作フローの一例を説明するフロー図である。
【0076】
図9に示すように、本実施形態に係る動作フロー(方法)は、形状情報取得ステップS11と、モデル情報生成ステップS12と、現実モデル制作ステップS13と、材貼着ステップS14(材付着ステップ)と、人工爪取付ステップS15と、の工程を含む。
【0077】
なお、前述の形状情報取得ステップS11と、モデル情報生成ステップS12と、現実モデル制作ステップS13と、の工程は、本発明に係る人工爪制作方法を構成するステップ群としても理解される。その人工爪制作方法に加えて、材貼着ステップS14と、人工爪取付ステップS15と、をさらに含む工程は、人工爪取付方法を構成するステップ群としても理解される。
【0078】
形状情報取得ステップS11では、情報処理装置10のカメラ11が対象者CSの指FGを測定対象として、天然爪NNを含む指FGの立体的な表面形状を測定する。そして、情報処理装置10のカメラ11は、その測定結果を当該表面形状の情報として情報処理装置10の本体に送信する。情報処理装置10の形状情報取得部102は、その情報を受信することで、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する。
【0079】
なお、その取得は、情報処理装置10のカメラ11によって測定される結果が送信されることに限らず、過去の記録を、前述のような記憶媒体を通じて情報処理装置10の本体に入力されることによって実現されてもよい。また、形状情報取得ステップS11は、本実施形態では前述の情報処理装置10の制御部101によって実行されるが、これに限定されない。本ステップが実行可能であればコンピュータプログラムでの実行に限らず、たとえば専用電子機器での実行など、種々の実施の形態を採用することも可能である。
【0080】
モデル情報生成ステップS12では、情報処理装置10の表示インターフェース14を通じて前述の立体形状情報がそのディスプレイデバイスに提示される。そして、情報処理装置10の使用者がその提示内容を参照しながら、情報処理装置10の外部インターフェース16に接続される操作入力装置などを使用して仮想空間上でデザインする。そのデザインの結果として、人工爪ANの3次元モデル情報が生成される。
【0081】
そのとき、モデル情報生成ステップS12では、3Dプリンタ装置20によって実際に(現実世界で)制作される人工爪ANのモデルを、天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に、介装体IBを取り付ける(設置する)ための設置空間ISが存在するようにデザインされる(
図6および
図7参照)。そして、情報処理装置10のモデル情報生成部103は、そのデザインの結果、取得される人工爪ANの3次元モデルを人工爪ANの3次元モデル情報として3Dプリンタ装置20に送信する。
【0082】
なお、モデル情報生成ステップS12も同様に、本実施形態では前述の情報処理装置10の制御部101によって実行されるが、これに限定されない。本ステップが実行可能であればコンピュータプログラムでの実行に限らず、たとえば専用電子機器での実行など種々の実施の形態を採用することも可能である。
【0083】
現実モデル制作ステップS13では、3Dプリンタ装置20の制御部21は、情報処理装置10から送信されるデータ(3次元モデル情報)を解析し、その解析結果に基づいてプリンタヘッドおよびその他の機構の動作を制御する。その制御の結果、人工爪ANのモデルが現実世界で制作される。
【0084】
材貼着ステップS14では、使用者または対象者CSが3Dプリンタ装置20によって制作された人工爪ANを、当該人工爪ANに対応する天然爪NNに取り付ける前に、当該天然爪NNの表面に介装体IBを貼付(「付着」の一例)させる。その貼付の際には、その使用者などは、天然爪NNの表面の全体に対し介装体IBを被覆して貼付する。その貼付の後に、人工爪ANが天然爪NNに対し介装体IBを介して取り付けられて固定(固着)される(すなわち、人工爪取付ステップS15)。
【0085】
[・本実施形態の特徴および利点について]
以上説明したように本実施形態の人工爪制作方法によれば、対象者CSの天然爪NNの立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップS11と、立体形状情報に基づいて、天然爪NNの表面に現実に取り付けられるための人工爪ANの3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、人工爪ANの3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップS12と、3次元モデル情報に基づいて、3Dプリンタ加工部30(「機械加工ツール」の一例)を用いて人工爪ANのモデルを現実世界で制作する現実モデル制作ステップS13と、を含む。また、モデル情報生成ステップS12では、人工爪ANのモデルを、現実に天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に介在される介装体IBを設置するための設置空間ISが存在するようにデザインする。
【0086】
また、本実施形態の人工爪取付方法によれば、対象者CSの天然爪NNの立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップS11と、立体形状情報に基づいて、天然爪NNの表面に現実に取り付けられるための人工爪ANの3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、人工爪ANの3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップS12と、3次元モデル情報に基づいて、3Dプリンタ加工部30(「機械加工ツール」の一例)を用いて人工爪ANを現実世界で制作する現実モデル制作ステップS13と、人工爪ANを当該人工爪ANに対応する天然爪NNに取り付ける前に、当該天然爪NNの表面に介装体IBを付着させる材貼着ステップS14と、を含む。また、モデル情報生成ステップS12では、人工爪ANのモデルを、現実に天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に介在される介装体IBを設置するための設置空間ISが存在するようにデザインする。
【0087】
また、本実施形態の人工爪制作システム1によれば、対象者CSの天然爪NNの立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得部102と、立体形状情報に基づいて、天然爪NNの表面に現実に取り付けられるための人工爪ANの3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、人工爪ANの3次元モデル情報を生成するモデル情報生成部103と、3Dプリンタ加工部30(「機械加工ツール」の一例)を有し、3次元モデル情報に基づいて人工爪ANを現実世界で制作する3Dプリンタ装置20(「現実モデル制作部」の一例)と、を含む。また、モデル情報生成部103は、人工爪ANのモデルを、現実に天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に介在される介装体IBを設置するための設置空間ISが存在するようにデザインする。
【0088】
このため、天然爪NNの立体形状情報に基づいて、天然爪NNの表面に現実に取り付けられるための人工爪ANの三次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、人工爪ANの三次元モデル情報を生成する。これにより、天然爪NNの立体形状に適合する人工爪ANを精度よく制作することができる。また、天然爪NNに人工爪ANが取り付けられる状態で天然爪NNの表面および人工爪ANの裏面の間に、接着材または充填材などの介装体IBを配置するための設置空間ISがあらかじめ用意される。その用意により、人工爪ANを対象者CSの天然爪NNに取り付ける際、安定して取り付けられるとともに、その介装体IBを介して人工爪ANは天然爪NNに強く固着されるためその固定性および耐久性を高めることができる。
【0089】
また、本実施形態の人工爪制作方法によれば、設置空間ISに対応する仮想形状は、板状に延在して形成される。設置空間ISの仮想形状の裏面は、天然爪NNの表面に倣って形成される。設置空間ISの仮想形状は、その爪幅方向端縁部の厚さよりもその爪長手方向中央部での厚さが大きくなるように形成される。
【0090】
このため、その設置空間ISがドーム状に人工爪ANの厚さ方向で外方に膨出して形成されることになり、人工爪ANをより安定して取り付けられるとともに、その固定性および耐久性もより高めることができる。
【0091】
また、本実施形態の人工爪制作方法によれば、設置空間ISの仮想形状は、延在方向(爪長手方向および爪幅方向の両方)中央部での厚さが均一になるように形成される。
【0092】
このため、その延在方向中央部の厚さが略一様に設定されるため、人工爪ANをより安定して取り付けられるとともに、その固定性および耐久性もより高めることができる。
【0093】
また、本実施形態の人工爪制作方法によれば、人工爪ANの裏面に複数の突起部PPを設ける。
【0094】
このため、突起部PPが介装体IBの表面に埋没したり引っ掛かったりしたりする。これにより、その接合面においてアンカー効果接着が発揮されて介装体IBおよび人工爪ANが強固に接着する。その結果、人工爪ANの、天然爪NNに対する固定性をより一層高めることができる。
【0095】
また、本実施形態の人工爪取付方法によれば、材貼着ステップS14では、天然爪NNの表面の全体に対し介装体IBを被覆して付着する。
【0096】
このため、人工爪ANの天然爪NNに対する固定性および耐久性をより一層高めることができる。
【0097】
また、本実施形態の人工爪取付方法によれば、介装体IBは、グラスポリアルケノエートセメントおよび/またはポリカルボキシレートセメントを含んでなる。
【0098】
このため、人工爪ANの天然爪NNに対する固定性および耐久性をより一層高めることができる。
【0099】
[・本実施形態に係る第1変形例]
図10を参照しながら、本実施形態に係る第1変形例の設置空間ISの形状の構造について説明する。
図10は、本実施形態の第1変形例に係る、設置空間ISの形状の一例を説明する断面図である。
【0100】
図10に示すように、本変形例の人工爪ANでは、前述の実施形態と同様に設置空間ISに対応する仮想形状が立体的に湾曲した板状に延在して形成される。また、設置空間ISの仮想形状の裏面は、天然爪NNの表面に倣って形成される。ただし本変形例では、設置空間ISの仮想形状の爪幅方向端縁部のそれぞれは、その爪幅方向先端に行くに従って漸近的に先細って形成される。また、その先端部は曲面状または球面状に形成され、丸みを帯びる。
【0101】
この場合、人工爪ANが対象者CSの天然爪NNに取り付けられた際、その固定(固着)性が向上するとともに外部からの液体(たとえば水など)または微小な粒または埃などの侵入を抑制して人工爪ANの耐久性も高めることができる。
【0102】
[・本実施形態に係る第2変形例]
図11および
図12を参照しながら、本実施形態に係る第2変形例の人工爪ANの構造について説明する。
図11は、本変形例に係る、人工爪ANが天然爪NNの取り付けられる状態の一例を説明する側面図である。
図12は、
図11に示すB-B断面図である。
【0103】
図11および
図12に示すように、前述の本実施形態と同様に人工爪ANがその長手方向およびその幅方向の両方で湾曲して形成され、かつその裏面側に設置空間ISが設定される。
【0104】
ここで、本変形例では、その設置空間ISは、その延在方向に沿って一様(略均一)の厚さに設定される。換言すれば、設置空間ISの仮想形状は、爪長手方向および爪幅方向の両方でその厚さが全体的に略均一になるように形成される。
この場合でも、本実施形態と同様な構成および作用効果を奏するが、全体的に厚さが略一様に設定されるため、人工爪ANをより安定して取り付けられるとともに、その固定性および耐久性もより高めることができる。特に介装体IBが接着材などである場合、その接着時での爪長手方向または爪幅方向での偏りを防止して、人工爪ANに係る固定性、耐久性、衛生および清潔性を高めることができる。
【0105】
[・本実施形態に係る第2変形例]
図13~
図15を参照しながら、本実施形態に係る第3変形例の人工爪ANの構造について説明する。
図13は、本変形例に係る、人工爪ANが天然爪NNの取り付けられる状態の一例を説明する側面図である。
図14は、
図13に示すC-C断面図である。
図15は、本変形例に係る、人工爪ANを天然爪NNに取り付ける様子の一例を説明する模式図である。
【0106】
図13~
図15に示すように、前述の本実施形態と同様に人工爪ANがその長手方向およびその幅方向の両方で湾曲して形成され、かつその裏面側に設置空間ISが設定される。また、人工爪ANは、その設置空間ISに対応して立体的に板状に延在して形成される。
【0107】
設置空間ISの仮想形状の裏面は、天然爪NNの表面に倣って形成される。ただし本変形例では、設置空間ISの仮想形状の爪長手方向の長さは、天然爪NNの爪長手方向長さよりも小さく設定される。また、設置空間ISの仮想形状の爪幅方向の長さは、天然爪NNの爪幅方向長さよりも小さく設定される。
【0108】
さらに、爪厚さ方向で見て、設置空間ISの仮想形状の外形が天然爪NNの外形の内側に配置される。それに伴って、設置空間ISの仮想形状の外形および天然爪NNの外形の間に環状の仮想間隙が形成されることになる。その仮想間隙に対応するように、人工爪ANのモデルにおいてその裏面に環状の線状突起がデザインされる。その結果、制作される人工爪ANには、環状の線状突起部RBが実際に配設されて成形されることになる。
【0109】
換言すれば、本変形例では、人工爪ANのモデルにおいてその裏面に環状の線状突起部RBが仮想空間上でデザインされる。そのとき、その線状突起部RBは、人工爪ANが現実世界で制作されて天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際にその先端部で当該天然爪NNの周縁部に亘って係合し、かつ当該線状突起部RBで包囲される空間が設置空間ISとされるようにデザインされることになる。
【0110】
この場合、人工爪ANの裏面において爪厚さ方向で突出する環状の線状突起部RBが配設され、天然爪NNに人工爪ANを取り付けられる際、その線状突起部RBで区画される空間内(すなわち設置空間IS)に介装体IBが設置される。そのため、爪幅方向および爪長手方向での外力に対して強度が高まり、その結果、人工爪ANの固定性および耐久性をより一層向上させることができる。また、人工爪ANが対象者CSの天然爪NNに取り付けられた際、前述の線状突起部RBの先端部が天然爪NNの表面に係合するので、外力によるガタツキを抑制して取付安定性を高めることができる。さらに、その環状の線状突起部RBの存在により、天然爪ANの辺縁を封鎖する。その封鎖により、外部からの液体(たとえば水など)または微小な粒または埃などの、内部侵入を抑制して衛生または清潔を保つことができる。
【0111】
[・本実施形態に係る第4変形例]
図16を参照しながら、本実施形態に係る第4変形例の人工爪ANの構造について説明する。
図16は、本変形例に係る、人工爪ANの裏面における形状の一例を説明する模式図である。
【0112】
図16に示すように、たとえばモデル情報生成ステップS12において、人工爪ANの裏面に識別子IDが凹凸形状で刻印(表現、「配設」の一例)されるようにデザインされる。そのデザインより、制作された人工爪ANの裏面に識別子IDが配設される(浮き出て表現される)。
【0113】
本変形例の識別子IDは、対象者CSのどの指FGの天然爪NNに付ける人工爪ANなのかを示すように、「R1」の文字が刻印される。
【0114】
図16に示される「R1」の文字は一例であり、右手(Right)において1番目の指FGの天然爪NNを意味する。さらに本変形例では、前述の突起部PPの、他の一態様として凹凸形状の円が4つ設けられ、略等間隔に離間して配置される。この円を表現する4つの突起部PPの中央に前述の識別子IDが配置される。
【0115】
なお、本変形例では、識別子IDが情報処理装置10のモデル情報生成部103でデザインされるが、これに限定されない。制作された人工爪ANに対し、たとえば切削加工などによって識別子IDが設けられるように構成してもよい。また、本変形例でいう「刻印」には凸設および/または凹設などの概念を含み、その技術的意味は識別可能に立体的形状が形成されることとして広く解釈される。
【0116】
この場合、識別子IDの表示によって使用者一人に対し複数の人工爪ANを制作する際、取り付ける天然爪NN(指FG)を間違える(取り違える)ことなく制作された複数の人工爪ANから適切なものを選択して取り付けることができる。
その他、本実施形態と同様な構成および作用効果を奏する。
【0117】
<第2実施形態>
図17~
図19に基づいて、本発明に係る人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システム1(以下「システム1」ともいう。)の第2実施形態について説明する。
なお、前述の第1実施形態と同一または同等部分については、本明細書の文中または図面に同一あるいは同等符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0118】
[・本実施形態の動作フロー]
図17および
図18を参照しながら、本実施形態に係る動作フロー、つまり人工爪制作および人工爪取付方法について説明する。
図17は、本実施形態に係るシステム1を用いた場合の動作フローの一例を説明するフロー図である。
図18は、本実施形態の、指モデルMGを用いた人工爪ANの制作の様子の一例を説明する模式図である。
【0119】
図17に示すように、本実施形態に係る動作フロー(方法)は、形状情報取得ステップS21と、モデル情報生成ステップS22と、現実モデル制作ステップS23と、人工爪制作ステップS26と、の工程を含む。
【0120】
本実施形態の形状情報取得ステップS21では、天然爪NNだけではなくその天然爪NNが生えている指FGも含めて立体的な表面形状が測定されたり、または当該表面形状の情報が入力されたりすることで、指FGおよび天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する。
なお、本実施形態でも前述の第1実施形態と同様に、形状情報取得ステップS21は前述の情報処理装置10の制御部101によって実行されるが、これに限定されない。
【0121】
本実施形態のモデル情報生成ステップS22では、立体形状情報に基づいて、指FGおよび天然爪NNに対応する3次元形状のモデル(立体モデル)を仮想空間上でデザインして、当該モデルに関する、天然爪NNの表面に現実に取り付けられる人工爪ANを制作するための3次元モデル情報を生成する。そのとき、本実施形態では、指FGおよび天然爪NNのモデルMG(以下「指モデル」ともいう。)を、天然爪NNの表面から所定の厚みを事前に有するようにデザインする。この厚みの形状は、前述の第1実施形態の設置空間ISと同様に形成されるとよい。つまり、本実施形態のモデル情報生成ステップS22では、指FGおよび天然爪NNに対応する指モデルMGを、当該天然爪NNの表面から所定の厚みを有するとともに板状に延在して形成される板厚部を有するようにデザインする。
なお、本実施形態でも前述の第1実施形態と同様に、モデル情報生成ステップS22は前述の情報処理装置10の制御部101によって実行されるが、これに限定されない。
【0122】
本実施形態の現実モデル制作ステップS23では、3Dプリンタ装置20の制御部21は、情報処理装置10から送信されるデータ(3次元モデル情報)を解析し、その解析結果に基づいてプリンタヘッドおよびその他の機構の動作を制御する。その制御の結果、前述の指FGおよび天然爪NNに対応する指モデルMGが現実世界で制作される(
図18参照)。本実施形態の当該指モデルMGは、前述のモデル情報生成ステップS22でのデザインに従って、実際の対象者CSの指FGおよび天然爪NNの外形と比較して、その天然爪NNに対応する部分が上方に向けて膨出する厚みを意図的に有して形成される。
なお、その厚みの形状は、前述の第1実施形態と同様に、ドーム状に形成されてもよいし、略均一に形成されてもよい。
【0123】
本実施形態の人工爪制作ステップS26では、使用者または対象者CSは、前述のように実際のものと比較して厚み、すなわち板厚部を有して成型される指モデルMGに基づいて、人工爪ANを制作する。当該指モデルMGはいわゆる対象者CSの指FGおよび天然爪NNの型として使用され、たとえば使用者などは当該型に倣ってハンドメイド(手作り)で人工爪ANを制作する。
【0124】
さらに、本実施形態の場合には、当該型に倣って制作される人工爪ANは、前述の第1実施形態と同様に、天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に、介装体IBを設置するための設置空間ISが存在するように成型されることになる。
【0125】
[・本実施形態の特徴および利点]
本実施形態の人工爪制作方法によれば、対象者CSの指FGおよび当該指FGに生える天然爪NNの立体的な表面形状が測定され、または当該表面形状の情報が入力されることで、指FGおよび天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報を取得する形状情報取得ステップS21と、立体形状情報に基づいて、指FGおよび天然爪NNに対応する3次元形状のモデル(立体モデル)を仮想空間上でデザインして、当該立体モデルに関する、天然爪NNの表面に現実に取り付けられる人工爪ANを制作するための3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップS22と、3次元モデル情報に基づいて、3Dプリンタ加工部30(「機械加工ツール」の一例)を用いて指FGおよび天然爪NNのモデル(すなわち指モデルMG)を現実世界で制作する現実モデル制作ステップS23と、現実モデル制作ステップS23によって現実に制作された指FGおよび天然爪NNに対応するモデル(指モデルMG)に基づいて、人工爪ANを制作する人工爪制作ステップS26と、を含む。また、モデル情報生成ステップS22では、指FGおよび天然爪NNに対応するモデルを、当該天然爪NNの表面から所定の厚みを有するとともに板状に延在して形成される板厚部を有するようにデザインする。
【0126】
このため、対象者CSの指FGおよび天然爪NNのモデル(立体モデル)に基づいて、たとえばサービス提供者(ネイルサロンの担当者)が手作りで制作する。このとき、このモデルは前述の板厚部を有しており、すなわち天然爪NNの表面から所定の厚みを有するようにデザインされることになるため、サービス提供者がこのモデル(指モデルMG)をベース(型)にして制作する人工爪ANは、天然爪NNに人工爪ANが取り付けられる状態で天然爪NNの表面および人工爪ANの裏面の間に介装体IBを配置するための設置空間ISが用意されることになる。その用意により、人工爪ANを対象者CSの天然爪NNに取り付ける際、安定して取り付けられるとともに、その介装体IBを介して人工爪ANは天然爪NNに固着されるためその固定性、耐久性、衛生および清潔性を高めることができる。
その他の構成や作用などについては、前述の第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、人工爪ANは人によってハンドメイドで制作されるとされるが、これに限定されない。たとえば、対象者CSの指FGおよび天然爪NNのモデル(立体モデル)を型にして、その型に対し所定の機械ツール(印刷技術の応用)を使用して自動的に制作可能に構成してもよい。その具体的な一例として、その型に向けて、半溶融状態で可撓性かつ所定の厚みを有する樹脂シートを、搬送装置を使用して自動的に載置する例が挙げられる。この例では、その載置後、紫外線などの光線を、照明装置を使用して照射して、その樹脂シートを固化することで、人工爪ANが自動的に制作される。
【0127】
[・本実施形態に係る第1変形例]
図19を参照しながら、本実施形態に係る第1変形例に係る、指モデルMGを用いた人工爪ANの制作の様子の一例を説明する。
図19は、本変形例に係る、指モデルMGを用いた人工爪の制作の様子の一例を説明する模式図である。
【0128】
図19に示すように、本変形例の板厚部の爪長手方向の長さは、天然爪NNの爪長手方向の長さよりも小さく設定される。また、板厚部の爪幅方向の長さは、天然爪NNの爪幅方向の長さよりも小さく設定される。そして、板厚部は、指モデルMG(「立体モデル」の一例)において天然爪NNに対応する部分の延在方向(爪長手方向および爪幅方向の両方)中央部上に配設される。さらに、本変形例では、この指モデルMGにおいて、板厚部の周縁部と天然爪NNに対応する部分の周縁部との間に環状の段部STが配設される。
【0129】
この場合、この指モデルMG(立体モデル)は、その板厚部の周縁部と天然爪NNに対応する部分の周縁部との間に環状の段部STを有して成形される。これにより、サービス提供者がこの指モデルMG(「立体モデル」の一例)をベース(型)にしてたとえばハンドメイドで人工爪ANを制作する際には、この段部STで人工爪ANの材料が型取(形状転写)されることで、その人工爪ANの裏面に環状の線状突起部が成形されることになる(
図19参照)。そのように成形される人工爪ANを対象者CSの天然爪NNに取り付ける際、前述の線状突起部の先端部が天然爪NNの表面に係合するので、外力によるガタツキを抑制して取付安定性を高めることができる。さらに、その環状の線状突起部の存在により、外部からの液体(たとえば水など)または微小な粒または埃などの侵入を抑制して衛生または清潔を保つことができる。
【0130】
<さいごに>
以上、添付図面を参照しながら、本開示の好適な例としての、1または複数の具体的実施形態またはその実施例の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態または実施例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇(はんちゅう)内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、人工爪ANが対象者CSの天然爪NNの立体形状に精度よく適合するとともに、その天然爪NNに取り付けられた際の人工爪ANの固定性および耐久性を高めることができる人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システム1として有用である。
【符号の説明】
【0132】
1 :システム
10 :情報処理装置
11 :カメラ
12 :プロセッサ
13 :メモリ
14 :表示インターフェース
15 :通信インターフェース
16 :外部インターフェース
20 :3Dプリンタ装置
21 :制御部
22 :プロセッサ
23 :メモリ
25 :通信インターフェース
26 :外部インターフェース
30 :3Dプリンタ加工部
101 :制御部
102 :形状情報取得部
103 :モデル情報生成部
104 :記憶部
105 :通信部
AN :人工爪
CS :対象者
FG :指
IB :介装体
ID :識別子
IS :設置空間
MG :指モデル
NN :天然爪
NW :通信ネットワーク
PP :突起部
RB :線状突起部
ST :段部
【要約】
【課題】人工爪が対象者の天然爪の立体形状に精度よく適合するとともに、その天然爪に取り付けられた際の人工爪の固定性および耐久性を高めることができる人工爪制作方法、人工爪取付方法、および人工爪制作システムを提供する。
【解決手段】本開示は、天然爪NNの表面形状に係る立体形状情報に基づいて、人工爪ANの3次元形状のモデルを仮想空間上でデザインして、人工爪ANの3次元モデル情報を生成するモデル情報生成ステップS12と、3次元モデル情報に基づいて、3Dプリンタ加工部を用いて人工爪ANのモデルを現実世界で制作する現実モデル制作ステップS13と、を含む。また、モデル情報生成ステップS12では、人工爪ANのモデルを、天然爪NNに人工爪ANを取り付けた際に天然爪NNの表面と人工爪ANの裏面との間に、介装体IBを設置するための設置空間ISが存在するようにデザインする。
【選択図】
図2