(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】スパイク生成回路、情報処理回路、電力変換回路および電子回路
(51)【国際特許分類】
G06G 7/60 20060101AFI20250117BHJP
G06N 3/063 20230101ALI20250117BHJP
H03K 3/02 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G06G7/60
G06N3/063
H03K3/02 Z
(21)【出願番号】P 2021501979
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2020006045
(87)【国際公開番号】W WO2020175209
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2019036951
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 赳彬
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/100790(WO,A1)
【文献】特開昭50-014265(JP,A)
【文献】特開2001-148619(JP,A)
【文献】特開平10-341588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06G7/60
G06N3/063
H03K3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードである第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、
前記第1電源と前記第2電源との間に前記第1CMOSインバータと直列に接続されたスイッチと、
前記第1ノードの信号の反転信号を前記スイッチの制御端子に出力する第1反転回路と、
前記第1ノードの信号を遅延させ前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力し、出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、
を備えるスパイク生成回路。
【請求項2】
前記第1反転回路は前記第1ノードの信号の反転信号を前記スイッチの制御端子および第2ノードに出力し、
前記遅延回路は、前記第1反転回路と、前記第2ノードの信号の反転信号を前記第1CMOSインバータの入力ノードおよび前記出力端子が接続された第3ノードに出力する第2反転回路と、を備える請求項1に記載のスパイク生成回路。
【請求項3】
前記第1反転回路は、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に奇数段に接続された奇数個の第2CMOSインバータを含み、前記奇数個の第2CMOSインバータの各々において前記第1ノードに入力ノードが接続され前記第2ノードに出力ノードが接続され、
前記第2反転回路は、前記第2ノードと前記第3ノードとの間に奇数段に接続された奇数個の第3CMOSインバータを含み、前記奇数個の第3CMOSインバータの各々において前記第2ノードに入力ノードが接続され前記第3ノードに出力ノードが接続された請求項2に記載のスパイク生成回路。
【請求項4】
前記第2反転回路は、3個以上の奇数個の第3CMOSインバータを含む請求項3に記載のスパイク生成回路。
【請求項5】
前記3個以上の第3CMOSインバータの隣り合ういずれか2つの間の第4ノードに一端が接続され、他端が第1基準電位端子に接続された第1容量素子を備える請求項4に記載のスパイク生成回路。
【請求項6】
前記第1容量素子の容量値は、前記3個以上の第3CMOSインバータ内の1つのFETのゲート容量値以上である請求項5に記載のスパイク生成回路。
【請求項7】
一端が前記第1ノードに接続され、他端が第2基準電位端子に接続された第2容量素子を備える請求項1から6のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項8】
第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、
前記第1電源と前記第2電源との間に前記第1CMOSインバータと直列に接続された第1スイッチと、
前記第1ノードの信号の反転信号を前記第1スイッチの制御端子に出力する反転回路と、
前記第1ノードの信号を遅延させ前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力し、出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、
前記反転回路内に設けられ、入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードと、
を備えるスパイク生成回路。
【請求項9】
前記第1CMOSインバータはハイレベルおよびローレベルの一方である第1レベルおよび前記ハイレベルおよび前記ローレベルの他方である第2レベルを出力し、
前記第1スイッチは、制御端子に前記第1レベルが入力するとオンし、前記制御端子に前記第2レベルが入力するとオフし、
前記反転回路は、前記第1ノードが前記第1レベルから前記第2レベルとなると前記第1レベルを前記第1スイッチの制御端子に出力する第1反転回路と、前記遅延回路の出力が前記第2レベルとなると前記第1スイッチの制御端子に前記第2レベルを出力する第2反転回路と、を備え、
前記中間ノードは、前記第2反転回路内に設けられている請求項8に記載のスパイク生成回路。
【請求項10】
前記第2反転回路は、制御端子に前記遅延回路の出力が接続され、前記遅延回路が前記第2レベルを出力すると、前記中間ノードと前記入力信号の初期レベルが供給される電源とを接続する第2スイッチを備える請求項9に記載のスパイク生成回路。
【請求項11】
入力ノードが前記中間ノードに接続され、出力ノードが前記第1スイッチの制御端子に接続された第2CMOSインバータを備える請求項8から10のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項12】
前記第1反転回路は、制御端子が前記第1ノードに接続され、前記第1ノードが前記第2レベルとなると前記第1スイッチの制御端子と前記第1レベルが供給される電源とを接続する第3スイッチを備える請求項10に記載のスパイク生成回路。
【請求項13】
制御端子が前記第1スイッチの制御端子に接続され、前記第1スイッチの制御端子が前記第2レベルのとき、前記第1ノードを前記第1レベルが供給される電源に接続する第4スイッチを備える請求項9または10に記載のスパイク生成回路。
【請求項14】
前記第2電源の電圧は前記第1電源の電圧より高く、
前記スイッチは、Nチャネルトランジスタでありかつ前記第1ノードと前記第1電源との間に接続されている、または、Pチャネルトランジスタでありかつ前記第1ノードと前記第2電源との間に接続されている請求項1から7のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項15】
入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードである第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、
一端が前記第1ノードに接続され、他端が基準電位端子に接続され、前記入力信号による電荷が蓄積される容量素子と、
前記第1ノードと出力端子との間に偶数段に接続された偶数個の第2CMOSインバータを含む遅延回路であって、前記偶数個の第2CMOSインバータの各々において前記第1ノードに入力ノードが接続され前記出力端子に出力ノードが接続され、前記第1ノードの電圧が所定値になると前記容量素子に蓄積された電荷をリセットする信号を前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力することによって、前記第1ノードの電圧を立ち下がらせ、前記出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、
を備え、
前記偶数個の第2CMOSインバータは、6個以上の偶数個の第2CMOSインバータであるスパイク生成回路。
【請求項16】
入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードである第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、
一端が前記第1ノードに接続され、他端が基準電位端子に接続され、前記入力信号による電荷が蓄積される容量素子と、
前記第1ノードと出力端子との間に偶数段に接続された偶数個の第2CMOSインバータを含む遅延回路であって、前記偶数個の第2CMOSインバータの各々において前記第1ノードに入力ノードが接続され前記出力端子に出力ノードが接続され、前記第1ノードの電圧が所定値になると前記容量素子に蓄積された電荷をリセットする信号を前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力することによって、前記第1ノードの電圧を立ち下がらせ、前記出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、
を備え、
前記第1電源と前記第2電源との間に前記第1CMOSインバータと直列に接続され、前記偶数個の第2CMOSインバータのうち前記第1ノードから奇数番目の第2CMOSインバータの出力ノードの信号が入力する制御端子を有するスイッチを備えるスパイク生成回路。
【請求項17】
前記偶数個の第2CMOSインバータは、6個以上の偶数個の第2CMOSインバータである請求項16に記載のスパイク生成回路。
【請求項18】
前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号の電圧を変換した信号を前記中間ノードに出力する電圧変換回路を更に備え、
前記遅延回路は、前記入力信号の電圧が所定範囲内のとき前記単発の出力スパイク信号を出力しない請求項1から17のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項19】
前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号の立ち上がりの時定数を長くし前記中間ノードに出力する時定数回路を更に備え、
前記遅延回路は、前記入力信号が入力した後、前記時定数回路の時定数に関連した遅延時間後に前記単発の出力スパイク信号を出力する請求項1から17のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項20】
前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号として入力スパイク信号が入力すると、前記中間ノードの電圧を高くまたは低くする入力回路を更に備え、
前記遅延回路は、前記入力スパイク信号が入力する頻度が所定範囲になると、前記単発の出力スパイク信号を出力する請求項1から17のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項21】
前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号の時間に対する変化量に応じ前記中間ノードの電圧を変化させる入力回路を更に備え、
前記遅延回路は、前記入力信号の時間に対する変化量が所定範囲になると、前記単発の出力スパイク信号を出力する請求項1から17のいずれか一項に記載のスパイク生成回路。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載のスパイク生成回路と、
入力した信号を処理し、前記スパイク生成回路に出力することで、前記スパイク生成回路が前記単発の出力スパイク信号を出力する条件を設定する条件設定回路と、
前記スパイク生成回路が出力した前記単発の出力スパイク信号を処理するスパイク処理回路と、
を備える情報処理回路。
【請求項23】
スイッチ素子と、
請求項1から21のいずれか一項に記載のスパイク生成回路を含み、前記スイッチ素子のオンおよびオフを制御する制御回路と、
を備える電力変換回路。
【請求項24】
一端が出力ノードに接続され、他端が第1基準電位端子に接続されたキャパシタと、電圧が時間に依存した入力信号が入力する入力端子に一端が接続され、他端が前記出力ノードに接続され、両端の電圧差に対応する定電流を生成する定電流素子または定電流回路と、を備え、前記入力信号の立ち上がりの時定数を長くし前記出力ノードから中間ノードに出力する時定数回路と、
前記中間ノードの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子に単発の出力スパイク信号を出力しかつ前記中間ノードの電圧をリセットする出力回路と、
を備え、
前記出力回路は、前記入力信号が入力した後、前記時定数回路の時定数に関連した遅延時間後に前記単発の出力スパイク信号を出力し、
前記定電流素子または定電流回路は、逆方向接続されたダイオードまたはオン状態となるように制御端子に電圧が印加されたトランジスタを含むスパイク生成回路。
【請求項25】
一端が出力ノードに接続され、他端が第1基準電位端子に接続されたキャパシタと、一端が入力信号が入力する入力端子に接続され、他端が前記出力ノードに接続され、両端の電圧差に対応する定電流を生成する定電流回路と、を備え、前記入力信号の立ち上がりの時定数を長くし前記出力ノードから中間ノードに出力する時定数回路と、
前記中間ノードの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子に単発の出力スパイク信号を出力しかつ前記中間ノードの電圧をリセットする出力回路と、
を備え、
前記定電流回路は、
電流入力端子および電流出力端子のいずれか一方の端子が前記入力端子に接続され、前記電流入力端子および前記電流出力端子の他方の端子が前記出力ノードに接続された第1トランジスタと、
電流入力端子および電流出力端子のいずれか一方の端子が順方向接続された第1ダイオードを介し前記入力端子に接続され、前記電流入力端子および前記電流出力端子の他方の端子が逆方向接続された第2ダイオードを介し第2基準電位端子に接続され、制御端子が前記第1トランジスタの制御端子に接続された第2トランジスタと、
を備えるカレントミラー回路であるスパイク生成回路。
【請求項26】
一端が中間ノードに接続され、他端が第1基準電位端子に接続されたキャパシタと、
電圧が時間に依存した入力信号が入力する入力端子と第2基準電位端子との間に直列に接続された第1素子および第2素子と、一端が前記第1素子と前記第2素子との間のノードに接続され、他端が前記中間ノードに接続された抵抗素子と、を備え、前記入力信号の電圧を前記第1素子と前記第2素子とで分割した信号を前記中間ノードに出力する電圧変換回路と、
前記中間ノードの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子に単発の出力スパイク信号を出力しかつ前記中間ノードの電圧をリセットする出力回路と、
を備え、
前記抵抗素子の抵抗値と前記キャパシタの容量値の積は前記単発の出力スパイク信号の幅より大きいスパイク生成回路。
【請求項27】
前記第1素子は、抵抗、ダイオードおよびトランジスタのいずれかであり、前記第2素子は、抵抗、ダイオードおよびトランジスタのいずれかである請求項26に記載のスパイク生成回路。
【請求項28】
請求項1から21のいずれか一項に記載のスパイク生成回路と、
前記スパイク生成回路が出力した単発の出力スパイク信号を出力するアンテナと、
を含む電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパイク生成回路、情報処理回路、電力変換回路および電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューラルネットワークに用いられるニューロン回路等のスパイク生成回路が知られている(例えば特許文献1、2、6)。複数のインバータを多段接続する回路が知られている(例えば特許文献3-5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-148619号公報
【文献】特開2006-243877号公報
【文献】特開2012-44265号公報
【文献】特開平8-242148号公報
【文献】特開2000-106521号公報
【文献】国際公開第2018/100790号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ニューロン回路のようなスパイク生成回路において、消費電力を小さくすることが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、消費電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードである第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、前記第1電源と前記第2電源との間に前記第1CMOSインバータと直列に接続されたスイッチと、前記第1ノードの信号の反転信号を前記スイッチの制御端子に出力する第1反転回路と、前記第1ノードの信号を遅延させ前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力し、出力端子に出力スパイク信号を出力する遅延回路と、を備えるスパイク生成回路である。
【0007】
上記構成において、前記第1反転回路は前記第1ノードの信号の反転信号を前記スイッチの制御端子および第2ノードに出力し、前記遅延回路は、前記第1反転回路と、前記第2ノードの信号の反転信号を前記第1CMOSインバータの入力ノードおよび前記出力端子が接続された第3ノードに出力する第2反転回路と、を備える構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第1反転回路は、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に奇数段に接続された奇数個の第2CMOSインバータを含み、前記奇数個の第2CMOSインバータの各々において前記第1ノードに入力ノードが接続され前記第2ノードに出力ノードが接続され、前記第2反転回路は、前記第2ノードと前記第3ノードとの間に奇数段に接続された奇数個の第3CMOSインバータを含み、前記奇数個の第3CMOSインバータの各々において前記第2ノードに入力ノードが接続され前記第3ノードに出力ノードが接続されたスパイク生成回路構成とすることができる。
【0009】
上記構成において前記第2反転回路は、3個以上の奇数個の第3CMOSインバータを含む構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記3個以上の第3CMOSインバータの隣り合ういずれか2つの間の第4ノードに一端が接続され、他端が第1基準電位端子に接続された第1容量素子を備える構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記第1容量素子の容量値は、前記3個以上の第3CMOSインバータ内の1つのFETのゲート容量値以上である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、一端が前記第1ノードに接続され、他端が第2基準電位端子に接続された第2容量素子を備える構成とすることができる。
【0013】
本発明は、第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、前記第1電源と前記第2電源との間に前記第1CMOSインバータと直列に接続された第1スイッチと、前記第1ノードの信号の反転信号を前記第1スイッチの制御端子に出力する反転回路と、前記第1ノードの信号を遅延させ前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力し、出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、前記反転回路内に設けられ、入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードと、を備えるスパイク生成回路である。
【0014】
上記構成において、前記第1CMOSインバータはハイレベルおよびローレベルの一方である第1レベルおよび前記ハイレベルおよび前記ローレベルの他方である第2レベルを出力し、前記第1スイッチは、制御端子に前記第1レベルが入力するとオンし、前記制御端子に前記第2レベルが入力するとオフし、前記反転回路は、前記第1ノードが前記第1レベルから前記第2レベルとなると前記第1レベルを前記第1スイッチの制御端子に出力する第1反転回路と、前記遅延回路の出力が前記第2レベルとなると前記第1スイッチの制御端子に前記第2レベルを出力する第2反転回路と、を備え、前記中間ノードは、前記第2反転回路内に設けられている構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第2反転回路は、制御端子に前記遅延回路の出力が接続され、前記遅延回路が前記第2レベルを出力すると、前記中間ノードと前記入力信号の初期レベルが供給される電源とを接続する第2スイッチを備える構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、入力ノードが前記中間ノードに接続され、出力ノードが前記第1スイッチの制御端子に接続された第2CMOSインバータを備える構成とすることができる。
【0017】
上記構成において、前記第1反転回路は、制御端子が前記第1ノードに接続され、前記第1ノードが前記第2レベルとなると前記第1スイッチの制御端子と前記第1レベルが供給される電源とを接続する第3スイッチを備える構成とすることができる。
【0018】
上記構成において、制御端子が前記第1スイッチの制御端子に接続され、前記第1スイッチの制御端子が前記第2レベルのとき、前記第1ノードを前記第1レベルが供給される電源に接続する第4スイッチを備える構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記第2電源の電圧は前記第1電源の電圧より高く、前記スイッチは、Nチャネルトランジスタでありかつ前記第1ノードと前記第1電源との間に接続されている、または、Pチャネルトランジスタでありかつ前記第1ノードと前記第2電源との間に接続されている構成とすることができる。
【0020】
本発明は、入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードである第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、一端が前記第1ノードに接続され、他端が基準電位端子に接続され、前記入力信号による電荷が蓄積される容量素子と、前記第1ノードと出力端子との間に偶数段に接続された偶数個の第2CMOSインバータを含む遅延回路であって、前記偶数個の第2CMOSインバータの各々において前記第1ノードに入力ノードが接続され前記出力端子に出力ノードが接続され、前記第1ノードの電圧が所定値になると前記容量素子に蓄積された電荷をリセットする信号を前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力することによって、前記第1ノードの電圧を立ち下がらせ、前記出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、を備え、前記偶数個の第2CMOSインバータは、6個以上の偶数個の第2CMOSインバータであるスパイク生成回路である。
【0021】
本発明は、入力信号が入力する入力端子に接続された中間ノードである第1ノードに出力ノードが接続され、第1電源と第2電源との間に接続された第1CMOSインバータと、一端が前記第1ノードに接続され、他端が基準電位端子に接続され、前記入力信号による電荷が蓄積される容量素子と、前記第1ノードと出力端子との間に偶数段に接続された偶数個の第2CMOSインバータを含む遅延回路であって、前記偶数個の第2CMOSインバータの各々において前記第1ノードに入力ノードが接続され前記出力端子に出力ノードが接続され、前記第1ノードの電圧が所定値になると前記容量素子に蓄積された電荷をリセットする信号を前記第1CMOSインバータの入力ノードに出力することによって、前記第1ノードの電圧を立ち下がらせ、前記出力端子に単発の出力スパイク信号を出力する遅延回路と、を備え、前記第1電源と前記第2電源との間に前記第1CMOSインバータと直列に接続され、前記偶数個の第2CMOSインバータのうち前記第1ノードから奇数番目の第2CMOSインバータの出力ノードの信号が入力する制御端子を有するスイッチを備えるスパイク生成回路である。
【0022】
上記構成において前記偶数個の第2CMOSインバータは、6個以上の偶数個の第2CMOSインバータである構成とすることができる。
【0023】
上記構成において、前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号の電圧を変換した信号を前記中間ノードに出力する電圧変換回路を更に備え、前記遅延回路は、前記入力信号の電圧が所定範囲内のとき前記単発の出力スパイク信号を出力しない構成とすることができる。
【0024】
上記構成において、前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号の立ち上がりの時定数を長くし前記中間ノードに出力する時定数回路を更に備え、前記遅延回路は、前記入力信号が入力した後、前記時定数回路の時定数に関連した遅延時間後に前記単発の出力スパイク信号を出力する構成とすることができる。
【0025】
上記構成において、前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号として入力スパイク信号が入力すると、前記中間ノードの電圧を高くまたは低くする入力回路を更に備え、前記遅延回路は、前記入力スパイク信号が入力する頻度が所定範囲になると、前記単発の出力スパイク信号を出力する構成とすることができる。
【0026】
上記構成において、前記入力端子と前記中間ノードとの間に設けられ、前記入力信号の時間に対する変化量に応じ前記中間ノードの電圧を変化させる入力回路を更に備え、前記遅延回路は、前記入力信号の時間に対する変化量が所定範囲になると、前記単発の出力スパイク信号を出力する構成とすることができる。
【0027】
本発明は、上記スパイク生成回路と、入力した信号を処理し、前記スパイク生成回路に出力することで、前記スパイク生成回路が前記単発の出力スパイク信号を出力する条件を設定する条件設定回路と、前記スパイク生成回路が出力した前記単発の出力スパイク信号を処理するスパイク処理回路と、を備える情報処理回路である。
【0028】
本発明は、スイッチ素子と、上記スパイク生成回路を含み、前記スイッチ素子のオンおよびオフを制御する制御回路と、を備える電力変換回路である。
【0029】
本発明は、一端が出力ノードに接続され、他端が第1基準電位端子に接続されたキャパシタと、電圧が時間に依存した入力信号が入力する入力端子に一端が接続され、他端が前記出力ノードに接続され、両端の電圧差に対応する定電流を生成する定電流素子または定電流回路と、を備え、前記入力信号の立ち上がりの時定数を長くし前記出力ノードから中間ノードに出力する時定数回路と、前記中間ノードの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子に単発の出力スパイク信号を出力しかつ前記中間ノードの電圧をリセットする出力回路と、を備え、前記出力回路は、前記入力信号が入力した後、前記時定数回路の時定数に関連した遅延時間後に前記単発の出力スパイク信号を出力し、前記定電流素子または定電流回路は、逆方向接続されたダイオードまたはオン状態となるように制御端子に電圧が印加されたトランジスタを含むスパイク生成回路である。
【0031】
本発明は、一端が出力ノードに接続され、他端が第1基準電位端子に接続されたキャパシタと、一端が入力信号が入力する入力端子に接続され、他端が前記出力ノードに接続され、両端の電圧差に対応する定電流を生成する定電流回路と、を備え、前記入力信号の立ち上がりの時定数を長くし前記出力ノードから中間ノードに出力する時定数回路と、前記中間ノードの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子に単発の出力スパイク信号を出力しかつ前記中間ノードの電圧をリセットする出力回路と、を備え、前記定電流回路は、電流入力端子および電流出力端子のいずれか一方の端子が前記入力端子に接続され、前記電流入力端子および前記電流出力端子の他方の端子が前記出力ノードに接続された第1トランジスタと、電流入力端子および電流出力端子のいずれか一方の端子が順方向接続された第1ダイオードを介し前記入力端子に接続され、前記電流入力端子および前記電流出力端子の他方の端子が逆方向接続された第2ダイオードを介し第2基準電位端子に接続され、制御端子が前記第1トランジスタの制御端子に接続された第2トランジスタと、を備えるカレントミラー回路であるスパイク生成回路である。
【0032】
本発明は、一端が中間ノードに接続され、他端が第1基準電位端子に接続されたキャパシタと、電圧が時間に依存した入力信号が入力する入力端子と第2基準電位端子との間に直列に接続された第1素子および第2素子と、一端が前記第1素子と前記第2素子との間のノードに接続され、他端が前記中間ノードに接続された抵抗素子と、
を備え、前記入力信号の電圧を前記第1素子と前記第2素子とで分割した信号を前記中間ノードに出力する電圧変換回路と、前記中間ノードの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子に単発の出力スパイク信号を出力しかつ前記中間ノードの電圧をリセットする出力回路と、を備え、前記抵抗素子の抵抗値と前記キャパシタの容量値の積は前記単発の出力スパイク信号の幅より大きいスパイク生成回路である。
【0036】
本発明の電子回路は、上記のスパイク生成回路と、前記スパイク生成回路が出力した単発の出力スパイク信号を出力するアンテナとを含む。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1(a)および
図1(b)は、実施例1およびその変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図2】
図2(a)は、実施例1の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図、
図2(b)は、ノードN1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、実施例1の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図、
図3(b)は、ノードNi、N1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、実施例1の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図、
図4(b)は、ノードN1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、実施例1の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図、
図5(b)は、ノードNi、N1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、実施例2に係るスパイク生成回路の回路図、
図6(b)は、時間に対する各電圧を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、実施例2の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図、
図7(b)は、時間に対する各電圧を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図9】
図9(a)および
図9(b)は、実施例3における時間に対する各ノードの電圧を示す図である。
【
図10】
図10(a)および
図10(b)は、実施例3における時間に対する入力電圧、出力電圧および消費電流を示す図である。
【
図11】
図11(a)から
図11(d)は、実施例3における時間に対する出力電圧を示す図である。
【
図12】
図12(a)から
図12(d)は、実施例3における時間に対する出力電圧を示す図である。
【
図14】
図14(a)および
図14(b)は、実施例3におけるスパイク生成回路の回路図である。
【
図15】
図15(a)および
図15(b)は、実施例3におけるスパイク生成回路の回路図である。
【
図16】
図16(a)から
図16(d)は、実施例3におけるスパイク生成回路の時間に対する出力電圧を示す図である。
【
図17】
図17は、実施例3の変形例1のスパイク生成回路の回路図である。
【
図18】
図18は、実施例3の変形例1における時間に対する各ノードの電圧を示す図である。
【
図19】
図19(a)は、実施例3の変形例1に係るスパイク生成回路の別の例を示す回路図、
図19(b)および
図19(c)は、それぞれ実施例3の変形例2および3に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図20】
図20(a)および
図20(b)は、実施例3の変形例3における時間に対する各ノードの電圧を示す図である。
【
図21】
図21は、実施例3の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図22】
図22(a)および
図22(b)は、実施例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図23】
図23(a)および
図23(b)は、実施例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図24】
図24は、実施例4における時間に対する各端子およびノードの電圧を示す図である。
【
図25】
図25は、FET91が設けられていない場合の時間に対する各電圧を示す図である。
【
図26】
図26(a)および
図26(b)は、実施例4の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図27】
図27(a)および
図27(b)は、実施例4の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図である
【
図28】
図28(a)および
図28(b)は、実施例4の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図29】
図29(a)および
図29(b)は、実施例4の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図30】
図30(a)および
図30(b)は、実施例4の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図31】
図31は、実施例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図32】
図32(a)から
図32(e)は、実施例5における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
【
図33】
図33(a)から
図33(d)は、実施例5における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
【
図34】
図34(a)および
図34(b)は、実施例5における入力電圧に対するそれぞれ周波数および周期を示す図である。
【
図35】
図35は、実施例5の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図36】
図36(a)は、実施例5の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図、
図36(b)は、実施例5の変形例2のタイミングチャートである。
【
図37】
図37は、実施例5の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図38】
図38(a)および
図38(b)は、実施例5の変形例3における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
【
図39】
図39は、実施例5の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図40】
図40(a)および
図40(b)は、実施例5の変形例4における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
【
図41】
図41は、実施例5の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図42】
図42(a)は、実施例5の変形例6に係るスパイク生成回路の回路図、
図42(b)は、実施例5の変形例6のタイミングチャートである。
【
図44】
図44は、実施例7に係る電力変換回路のブロック図である。
【
図45】
図45は、実施例7における判定回路の動作を説明する図である。
【
図46】
図46(a)から
図46(c)は、実施例7におけるスパイク生成回路の記号を示す図である。
【
図47】
図47(a)から
図47(c)は、実施例7におけるフリップフロップ回路の動作を示す図である。
【
図48】
図48は、実施例7における判定回路の回路図である。
【
図49】
図49は実施例7における時間に対する判定回路の各ノードの電圧を示す図である。
【
図50】
図50は、実施例7における整流回路を示す回路図である。
【
図52】
図52は、実施例7における降圧回路の回路図である。
【
図53】
図53は、実施例7における時間に対する降圧回路の各ノードの電圧を示す図である。
【
図54】
図54は、実施例7における時間に対するノードAおよびRの電圧を示す図である。
【
図56】
図56は、実施例7における同期整流回路の回路図である。
【
図57】
図57は、実施例7における時間に対する同期整流回路の各ノードの電圧を示す図である。
【
図58】
図58は、実施例7における時間に対する同期整流回路によるキャパシタの充電電圧を示す図である。
【
図59】
図59は、実施例7における時間に対する発電電流およびキャパシタの電圧を示す図である。
【
図60】
図60(a)および
図60(b)は、それぞれ実施例8およびその変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図61】
図61(a)および
図61(b)は、シミュレーションに用いたそれぞれ実施例8の変形例1Aおよび1に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図62】
図62(a)から
図62(d)は、実施例8の変形例1Aのシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
【
図63】
図63(a)から
図63(d)は、実施例8の変形例1のシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
【
図64】
図64(a)から
図64(c)は、それぞれ実施例8の変形例2から4に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図65】
図65は、実施例8の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図66】
図66(a)および
図66(b)は、シミュレーションに用いたそれぞれ実施例8の変形例5Aおよび5に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図67】
図67(a)および
図67(b)は、実施例8の変形例5Aのシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
図67(c)および
図67(d)は、実施例8の変形例5のシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
【
図68】
図68(a)から
図68(c)は、それぞれ実施例8の変形例6から8に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図69】
図69(a)から
図69(c)は、それぞれ実施例8の変形例9から11に係るスパイク生成回路の回路図である。
【
図70】
図70(a)および
図70(b)は、実施例8の変形例9における時間に対する各電圧を示す図である。
【
図71】
図71は、実施例9に係る検出器のブロック図である。
【
図72】
図72(a)および
図72(b)は、実施例9に係る検出器の時間に対する各電圧を示す図である。
【
図73】
図73は、実施例9の変形例1に係る検出器のブロック図である。
【
図74】
図74は、実施例9の変形例1に係る検出器の時間に対する各電圧を示す図である。
【
図75】
図75は、実施例9の変形例3に係る同期整流回路の回路図である。
【
図76】
図76は、実施例9の変形例3に係る同期整流回路における時間に対する同期整流回路の各ノードの電圧を示す図である。
【
図77】
図77(a)および
図77(b)は、比較例1および実施例10に係る電子回路のブロック図である。
【
図78】
図78(a)は、スパイク生成回路を示す図、
図78(b)および
図78(c)は、時間に対するそれぞれ内部状態Sおよび出力電圧Voutを示す図である。
【
図79】
図79(a)および
図79(b)は、比較例1および実施例10に係る電子回路のブロック図である。
【
図81】
図81(a)および
図81(b)は、それぞれ実施例10の変形例1および2に係る電子回路のブロック図である。
【
図82】
図82(a)および
図82(b)は、実施例10の変形例3に係る電子回路のブロック図、
図82(c)は、実施例10の変形例3に係る電子回路のシンボルを示す図である。
【
図83】
図83(a)および
図83(b)は、実施例10の変形例3における電子回路に入力するスパイク信号の例を示す図である。
【
図84】
図84(a)および
図84(b)は、実施例10の変形例3における電子回路から出力するスパイク信号が用いられる回路例を示す図である。
【
図85】
図85(a)および
図85(c)は、実施例10の変形例3における電子回路から出力するスパイク信号が用いられる例を示す回路図、
図85(b)および
図85(d)は、アンテナから出力される電磁波の大きさを示す図である。
【
図86】
図86は、実施例10の変形例4に係るネットワーク回路の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0052】
図1(a)および
図1(b)は、実施例1およびその変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
図1(a)に示すように、実施例1のスパイク生成回路130は、インバータ12、FET(Field Effect Transistor)14、反転回路16および遅延回路17を備える。インバータ12は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータであり、NFET13a(NチャネルFET)およびPFET13b(PチャネルFET)を備える。
【0053】
NFET13aのソースはグランド線26に接続され、ドレインはノードN1に接続され、ゲートはノードN0に接続されている。PFET13bのソースは電源線28に接続され、ドレインはノードN1に接続され、ゲートはノードN0に接続されている。ノードN0およびN1はそれぞれインバータ12の入力ノードおよび出力ノードである。FET14は、PFETであり、ノードN1と電源線28との間においてPFET13bと直列に接続されている。FET14のソースはPFET13bを介して電源線28に接続され、ドレインはノードN1に接続されている。
【0054】
反転回路16は、ノードN1のレベルを反転しFET14のゲートに出力する。遅延回路17は、ノードN1のレベルを遅延させノードN3に出力する。ノードN3はインバータ12の入力ノードN0および出力端子Toutに接続されている。反転回路16およびFET14は正帰還ループ15を形成する。入力端子Tinは正帰還ループ15内の中間ノードNiに接続されている。
【0055】
[実施例1の変形例1]
図1(b)に示すように、実施例1の変形例1のスパイク生成回路131では、FET14は、NFETであり、ノードN1とグランド線26との間においてNFET13aと直列に接続されている。FET14のソースはNFET13aを介してグランド線26に接続され、ドレインはノードN1に接続されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0056】
実施例1において、入力端子Tinが接続された中間ノードNiがノードN1である実施例1の変形例2と、中間ノードNiが反転回路16内である実施例1の変形例3について説明する。
【0057】
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2は、実施例1における中間ノードNiをノードN1とした例である。
図2(a)は、実施例1の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図、
図2(b)は、ノードN1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
図2(a)に示すように、スパイク生成回路132では、入力端子TinはノードN1およびNiに接続されている。これにより、ノードN1に入力信号が入力する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0058】
図2(b)に示すように、ノードN1の電圧が0Vから一様に高くなる場合について説明する。これは、後述する実施例3の
図8のように、入力端子Tinと中間ノードNiとの間にキャパシタがシャント接続されている場合に、入力端子Tinの一定の電流を流す場合に相当する。時刻t0においてノードN1の電圧はローレベル(0V)である。反転回路16の出力はハイレベルであり、FET14はオフである。出力端子Toutの電圧はローレベル(0V)である。FET14はオフしているため、インバータ12は機能しない。
【0059】
ノードN1の電圧は時間とともに一様に高くなる。ノードN1の電圧が反転回路16の閾値電圧Vthより低いとき、反転回路16の出力はハイレベルであり、遅延回路17の出力はローレベルであり、出力端子Toutの電圧はローレベルを維持する。
【0060】
時刻t1においてノードN1の電圧が反転回路16の閾値電圧Vthとなると、反転回路16はローレベルを出力する。FET14がオンするため、インバータ12が起動する。出力端子Toutの電圧はローレベルのため、インバータ12はノードN1の電圧をハイレベル(Vdd)とする。
【0061】
時刻t1から遅延回路17の遅延時間ΔT遅れた時刻t2において、遅延回路17の出力がハイレベルとなる。インバータ12はノードN1をローレベルとする。反転回路16の出力はハイレベルとなり、FET14はオフする。ノードN1の電圧はローレベルに戻る。時刻t2からΔT遅れた時刻t3において、遅延回路17は出力端子Toutの電圧をローレベルとする。これにより、遅延回路17の遅延時間のパルス幅を有するスパイク信号52が出力端子Toutから出力される。
【0062】
[実施例1の変形例3]
実施例1の変形例3は、実施例1における中間ノードNiを反転回路16内とした例である。中間ノードNiを設ける箇所の例は実施例4およびその変形例において説明する。
図3(a)は、実施例1の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図、
図3(b)は、ノードNi、N1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
図3(a)に示すように、スパイク生成回路133では、入力端子Tinは反転回路16内の中間ノードNiに接続されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0063】
図3(b)に示すように、時刻t0においてノードNiの電圧はローレベル、FET14のゲートはハイレベルである。FET14はオフしており、ノードN1の電圧はローレベルである。出力端子Toutの電圧はローレベルである。時間とともにノードNiの電圧は一様に高くなる。時刻t1においてノードNiの電圧が閾値電圧Vthとなると、FET14のゲートはローレベルとなる。FET14がオンし、インバータ12が機能するため、ノードN1はハイレベルとなる。時刻t1から遅延回路17の遅延時間ΔT遅れた時刻t2において、出力端子Toutの電圧がハイレベルとなるとインバータ12によりノードN1はローレベルとなる。時刻t3において、出力端子Toutはローレベルとなる。その後動作は実施例1の変形例2と同じであり説明を省略する。
【0064】
実施例1の変形例1において、入力端子Tinが接続された中間ノードNiがノードN1である実施例1の変形例4と、中間ノードNiが反転回路16内である実施例1の変形例5について説明する。
【0065】
[実施例1の変形例4]
実施例1の変形例4は、実施例1の変形例1における中間ノードNiをノードN1とした例である。
図4(a)は、実施例1の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図、
図4(b)は,ノードN1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
図4(a)に示すように、スパイク生成回路134では、入力端子TinはノードN1およびNiに接続されている。これにより、ノードN1に入力信号が入力する。その他の構成は実施例1の変形例1と同じであり説明を省略する。
【0066】
図4(b)に示すように、ノードN1の電圧がVddから一様に低くなる場合について説明する。これは、後述する実施例3の変形例3の
図19(b)のように、入力端子Tinと中間ノードNiとの間にキャパシタがシャント接続されている場合に、入力端子Tinの一定の電流を流す場合に相当する。時刻t0においてノードN1の電圧はハイレベル(Vdd)である。反転回路16の出力はローレベル(0V)であり、FET14はオフである。出力端子Toutの電圧はハイレベルである。FET14がオフしているため、インバータ12は機能しない。
【0067】
ノードN1の電圧は時間とともに一様に低くなる。ノードN1の電圧が反転回路16の閾値電圧Vthより高いとき、反転回路16の出力はローレベルであり、遅延回路17の出力はハイレベルであり、出力端子Toutの電圧はハイレベルを維持する。
【0068】
時刻t1においてノードN1の電圧が反転回路16の閾値電圧Vthとなると、反転回路16はハイレベルを出力する。FET14がオンするため、インバータ12が起動する。出力端子Toutの電圧はハイレベルのため、インバータ12はノードN1の電圧をローレベル(0V)とする。
【0069】
時刻t2において、遅延回路17の出力がローレベルとなる。インバータ12はノードN1をハイレベルとする。反転回路16の出力はローレベルとなり、FET14はオフする。ノードN1の電圧はハイレベルに戻る。時刻t3において、遅延回路17は出力端子Toutの電圧をハイレベルとする。これにより、幅がΔTのスパイク信号52が出力端子Toutから出力される。
【0070】
[実施例1の変形例5]
実施例1の変形例5は、実施例1の変形例1における中間ノードNiを反転回路16内とした例である。中間ノードNiを設ける箇所の例は実施例4およびその変形例において説明する。
図5(a)は、実施例1の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図、
図5(b)は、ノードNi、N1および出力端子Toutの電圧を示す図である。
図5(a)に示すように、スパイク生成回路135では、入力端子Tinは反転回路16内に接続されている。その他の構成は実施例1の変形例1と同じであり説明を省略する。
【0071】
図5(b)に示すように、時刻t1においてノードNiの電圧が閾値電圧Vthとなると、反転回路16はハイレベルを出力する。FET14がオンしノードN1はローレベルとなる。その後の動作は実施例1の変形例4と同じであり説明を省略する。
【0072】
実施例1およびその変形例によれば、インバータ12(第1CMOSインバータ)はグランド線26と電源線28との間(第1電源と第2電源との間)に接続され、出力ノードがノードN1(第1ノード)に接続されている。FET14(スイッチまたは第1スイッチ)は、グランド線26と電源線28との間にインバータ12と直列に接続されている。反転回路16(第1反転回路)は、ノードN1の信号の反転信号をFET14のゲート(制御端子)に出力する。遅延回路17は、ノードN1の信号を遅延させインバータ12の入力ノード(N0)に出力し、出力端子Toutに出力スパイク信号52を出力する。
【0073】
このような構成において、実施例1の変形例2および4では、ノードN1は入力信号が入力する入力端子Tinに接続された中間ノードNiである。これにより、
図2(b)および
図4(b)のように、時刻t1においてノードN1の電圧が閾値電圧Vthを越えると、反転回路16はFET14のゲートをハイレベル(
図2(b))またはローレベル(
図4(b))とする。これによりFET14がオンし、ノードN1がハイレベル(
図2(b))またはローレベル(
図4(b))となる。このように反転回路16を介し正帰還がかかる。
【0074】
時刻t2において、遅延回路17がハイレベル(
図2(b))またはローレベル(
図4(b))を出力すると、インバータ12
の出力が反転し、ノードN1はローレベル(
図2(b))またはハイレベル(
図4(b))となる。このように、遅延回路17を介し負帰還がかかる。
【0075】
よって、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下りが急峻になり、パルス幅の狭いスパイク信号52が生成できる。また、FET14がオフすることにより、電源線28からグランド線26に貫通する電流を抑制できる。これにより、消費電力を抑制できる。実施例1およびその変形例において、反転回路16と遅延回路17はその一部または全体を共有してもよい。
【0076】
実施例1の変形例3および5では、入力端子Tinに接続された中間ノードNiは反転回路16内に設けられている。これにより、
図3(b)および
図5(b)のように、時刻t1においてノードN1から反転回路16を介し正帰還がかかる。時刻t2においてノードN1から遅延回路17を介し負帰還がかかる。よって、パルス幅の狭いスパイク信号52が生成でき、かつ、消費電力を抑制できる。
【実施例2】
【0077】
実施例2は、実施例1の変形例2および4の具体例であり、ニューロン回路等に用いられるスパイク生成回路の例である。
図6(a)は、実施例2に係るスパイク生成回路の回路図、
図6(b)は、時間に対する各電圧を示す図である。
図6(a)に示すように、実施例2のスパイク生成回路100は、入力回路10、インバータ12、FET14、反転回路16および18を備える。反転回路16と18とは遅延回路17を形成する。入力回路10は、入力端子Tinに入力した入力信号に対しスパイク信号を生成するための条件を設定する回路である。インバータ12は、CMOSインバータであり、NFET13aおよびPFET13bを備える。
【0078】
NFET13aのソースはグランド線26に接続され、ドレインはノードN1に接続され、ゲートはノードN0に接続されている。PFET13bのソースは電源線28に接続され、ドレインはノードN1に接続され、ゲートはノードN0に接続されている。ノードN0およびN1はそれぞれインバータ12の入力ノードおよび出力ノードである。FET14は、PFETであり、ノードN1と電源線28との間においてPFET13bと直列に接続されている。FET14のソースはPFET13bを介して電源線28に接続され、ドレインはノードN1に接続されている。
【0079】
反転回路16は、ノードN1のレベルを反転しFET14のゲートおよびノードN2に出力する。反転回路18は、ノードN2のレベルを反転しノードN3に出力する。ノードN3はインバータ12の入力ノードN0および出力端子Toutに接続されている。
【0080】
図6(b)は、時間に対する入力端子Tin、ノードN1および出力端子Toutの電圧を示す図である。入力回路10として、入力端子Tinに入力した入力信号を積分しノードN1に出力する積分回路を例に説明する。
【0081】
定常時における入力端子Tinおよび出力端子Toutの電圧はグランド線26の電圧(0V)である。時刻t0の直前においてノードN1の電圧は0Vである。ノードN2はハイレベルでありノードN3はローレベルである。FET14のゲートはハイレベルであり、FET14はオフである。インバータ12の入力ノードはローレベルであり、FET14がオフのため、ノードN1はグランド線26および電源線28から遮断される。よって、ノードN1の電圧は維持される。
【0082】
時刻t0からt1の間において、入力端子Tinに入力信号として時系列にスパイク信号50が入力する。入力端子Tinにスパイク信号50が入力したとき、入力端子Tinの電圧は0Vより高いVinとなる。入力回路10は、スパイク信号50が入力するたびにノードN1の電圧を高くする。これにより、ノードN1の電圧は徐々に高くなる。ノードN1の電圧が反転回路16の閾値電圧Vthより低いとき、ノードN2はハイレベルであり、ノードN3はローレベルである。よって、出力端子Toutの電圧は0Vに維持される。ノードN1はグランド線26および電源線28から遮断されている。
【0083】
時刻t1において、ノードN1の電圧が閾値電圧Vthを越える。反転回路16は、ノードN2をハイレベルからローレベルにする。FET14のゲートにローレベルが印加されるため、FET14はオンし、ノードN1に正帰還がかかる。これにより、ノードN1がハイレベル(電源線28の電圧Vdd)に立ち上がる。反転回路18は、ノードN2がハイレベルからローレベルになると、ノードN3をローレベルからハイレベルにする。インバータ12の入力ノードN0がハイレベルとなるため、ノードN1に負帰還がかかり、ノードN1はローレベル(グランド線の電圧0V)に立ち下がる。ノードN2およびノードN3がハイレベルおよびローレベルとなり、出力端子Toutにパルス幅の狭いスパイク信号52が出力される。FET14がオフし、ノードN1はグランド線26および電源線28から遮断される。
【0084】
その後は、同様にノードN1の電圧が閾値電圧Vthを越えると出力端子Toutにスパイク信号52が出力される。このように、ノードN1に正帰還がかかった直後に負帰還がかかるため、パルス幅の狭いスパイク信号52が生成できる。また、正帰還によってFET14がオンした直後に、負帰還によってFET13aがオンする。このとき、負帰還によって同時にFET13bがオフすることによって、電源線28からグランド線26に貫通する電流を抑制できる。これにより、消費電力を抑制できる。
【0085】
[実施例2の変形例1]
図7(a)は、実施例2の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図、
図7(b)は、時間に対する各電圧を示す図である。実施例2の変形例1のスパイク生成回路102では、FET14は、NFETであり、ノードN1とグランド線26との間においてNFET13aと直列に接続されている。FET14のソースはNFET13aを介しグランド線26に接続され、ドレインはノードN1に接続されている。ノードN2はFET14のゲートに接続されている。その他の構成は実施例2の
図6(a)と同じであり説明を省略する。
【0086】
図7(b)は、時間に対する入力端子Tin、ノードN1および出力端子Toutの電圧を示す図である。定常時における入力端子Tinおよび出力端子Toutの電圧は電源線28の電圧Vddである。時刻t0の直前においてノードN1の電圧はVddである。
【0087】
時刻t0からt1の間において、入力端子Tinに時系列にスパイク信号50が入力する。スパイク信号50が入力すると、入力端子Tinの電圧はVddより低いVinとなる。入力回路10はスパイク信号50を積分しノードN1に出力する。これにより、ノードN1の電圧は徐々に低くなる。ノードN1の電圧が反転回路16の閾値電圧Vthより高いとき、ノードN2はローレベルであり、ノードN3はハイレベルである。よって、出力端子Toutの電圧はVddに維持される。実施例2の変形例1では、電圧が低くなる場合が立ち上がりであり、電圧が高くなる場合が立下りである。
【0088】
時刻t1において、ノードN1の電圧が閾値電圧Vthより低くなる。反転回路16は、ノードN2をローレベルからハイレベルにする。FET14のゲートにハイレベルが印加されるため、FET14はオンし、ノードN1に正帰還がかかる。これにより、ノードN1がローレベルに立ち上がる。反転回路18は、ノードN2がローレベルからハイレベルになると、ノードN3をハイレベルからローレベルにする。インバータ12の入力ノードN0がローレベルとなるため、ノードN1に負帰還がかかり、ノードN1はハイレベルに立ち下がる。これにより、出力端子Toutにパルス幅の狭いスパイク信号52が出力される。
【0089】
このように、実施例2の変形例1では、FET14をNFETとし、グランド線26とノードN1との間に設けることで、パルス幅の狭いスパイク信号52が生成できる。また、FET13bにより消費電力を抑制できる。
【0090】
図6(b)および
図7(b)では、入力信号としてスパイク信号50を例に説明したが、入力信号は任意の波形を有してもよい。入力回路10は、スパイク信号52を生成する条件となったときに、ノードN1の電圧を閾値電圧Vthに達するように入力信号を変換する回路であればよい。
【0091】
実施例2およびその変形例によれば、入力端子Tinに入力信号が入力する。インバータ12(第1CMOSインバータ)は、入力端子Tinに接続されたノードN1(第1ノード)に出力ノードが接続され、グランド線26(第1電源)と電源線28(第1電源の電圧より高い電圧の第2電源)との間に接続されている。FET14(スイッチ)は、グランド線26と電源線28との間にインバータ12と直列に接続されている。反転回路16(第1反転回路)は、ノードN1の信号の反転信号をFET14のゲート(制御端子)に出力する。遅延回路17は、ノードN1の信号を遅延させ、インバータ12の入力ノードN0に出力し、出力端子Toutにスパイク信号52(出力スパイク信号)が出力する。
【0092】
これにより、反転回路16を介した正帰還と遅延回路17を介した負帰還がかかるため、パルス幅の狭いスパイク信号52が生成できる。また、FET13bがオフすることにより、電源線28からグランド線26に貫通する電流を抑制できる。これにより、消費電力を抑制できる。
【0093】
反転回路16は、ノードN1の信号の反転信号をFET14のゲートおよびノードN2(第2ノード)に出力する。遅延回路17は、反転回路16と、ノードN2の信号の反転信号をインバータ12の入力ノードN0およびノードN3(第3ノード)に出力する反転回路18と、を備える。これにより、反転回路16はノードN1の信号をFET14のゲートに正帰還し、反転回路18はノードN1の信号をインバータ12の入力ノードN0に負帰還することができる。
【0094】
図6(a)のように、FET14がPFET(Pチャネルトランジスタ)のとき、FET14はノードN1と電源線28との間に接続されている。これにより、
図6(b)のように、正方向のスパイク信号52を生成できる。
図7(a)のように、FET14がNFET(Nチャネルトランジスタ)のとき、FET14はノードN1とグランド線26との間に接続されている。これにより、
図7(b)のように、負方向のスパイク信号52を生成できる。
【実施例3】
【0095】
実施例3は、実施例2およびその変形例のスパイク生成回路の具体例である。
図8は、実施例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
図8に示すように、実施例3のスパイク生成回路104では、入力回路10は、一端がノードN1に他端がグランド線26に接続されたキャパシタC1である。
【0096】
反転回路16は、入力ノードがN1に接続され出力ノードがノードN2に接続されたインバータ20である。インバータ20は、CMOSインバータであり、NFET21aおよびPFET21bを備えている。NFET21aのソースはグランド線26に接続され、ドレインはノードN2に接続され、ゲートはノードN1に接続されている。PFET21bのソースは電源線28に接続され、ドレインはノードN2に接続され、ゲートはノードN1に接続されている。
【0097】
反転回路18は、インバータ22aから22cおよびキャパシタC2を備えている。インバータ22aから22cはノードN2とN3との間に多段に接続されている。すなわちノードN2とN3との間に互いに直列に接続されている。インバータ22aから22cは、CMOSインバータであり、各々NFET23aおよびPFET23bを備えている。NFET23aのソースはグランド線26に接続され、ドレインは出力ノードに接続され、ゲートは入力ノードに接続されている。PFET23bのソースは電源線28に接続され、ドレインは出力ノードに接続され、ゲートは入力ノードに接続されている。インバータ22aの入力ノードはノードN2に接続され、出力ノードはノードN4に接続されている。インバータ22bの入力ノードはノードN4に接続され、出力ノードはノードN5に接続されている。インバータ22cの入力ノードはノードN5に接続され、出力ノードはノードN3に接続されている。キャパシタC2の一端はノードN4に接続され、他端はグランド線26に接続されている。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0098】
実施例3の各電圧についてSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)を用いシミュレーションした。シミュレーション条件は以下である。
NFET:
タイプ:SOI(Silicon on Insulator)を用いたNチャネルMOS、ゲート長:100nm、ゲート幅:100nm、閾値電圧:+0.8V、ゲート容量:1fF
PFET:
タイプ:SOIを用いたPチャネルMOSFET、ゲート長:100nm、ゲート幅:200nm、閾値電圧:-0.8V、ゲート容量:1fF
キャパシタC1:容量値:10fF
キャパシタC2:容量値:4fF
グランド線26:電圧:0V
電源線28:電圧Vdd:1V
入力端子Tinに1pAの定電流を流した。
【0099】
図9(a)および
図9(b)は、実施例3における時間に対する各ノードの電圧を示す図である。
図9(b)は、
図9(a)のうちスパイク信号52付近の拡大図である。
図9(b)の横軸の最初の目盛に
図9(a)の時間に相当する10599000nsを記載し、以後の目盛には下2桁のみ記載する。以降の拡大図についても同様である。
【0100】
図9(a)に示すように、ノードN1の電圧が時間とともに高くなり、時刻t1において閾値電圧である0.5Vを越えるとノードN3にスパイク信号52が出力される。
【0101】
図9(b)に示すように、時刻t1からt2の間において、ノードN1の電圧は0.5Vから0.8Vに増加する。ノードN1の電圧は、
図9(a)の時間軸では急激に増加するが、
図9(b)の時間軸では緩やかに増加する。
図9(b)では、時刻t1は時間10599000nsより前の時間に対応する。時刻t1からt2の間において、ノードN2の電圧はハイレベルからローレベルに緩やかに変化する。ノードN4の電圧は、時刻t1からt2の間において、ノードN2に比べるとやや速くローレベルからハイレベルに変化する。ノードN5の電圧は、ノードN4に比べ非常に速くハイレベルからローレベルに変化する。ノードN3の電圧は、時刻t2において非常に急峻にローレベルからハイレベルに変化する。
【0102】
時刻t2以降において、ノードN1、N2、N4、N5およびN3に行くにしたがい、電圧の変化は急峻になる。これにより、スパイク信号52の幅は約2nsと狭い。またスパイク信号52の立ち上がりおよび立下りは急峻となる。CMOSインバータは電圧の遷移期間に電源線28からグランド線26に貫通電流が流れるが、CMOSインバータのNFETおよびPFETのリーク電流を小さくすることで、この貫通電流を充分に減らすことができ、消費電力を抑制できる。実施例3のように、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下りが急峻なため、スパイク生成回路104の消費電力をより抑制できる。
【0103】
図10(a)および
図10(b)は、実施例3における時間に対する入力電圧、出力電圧および消費電流を示す図である。
図10(b)は、
図10(a)のスパイク信号52周辺の拡大図である。
図10(a)に示すように、時刻0msから5msにかけてノードN1の電圧V1は徐々に大きくなり、電圧V1が0.5Vとなると電圧V1は急激に0.8Vとなりその後0Vとなる。時刻5msにおいて、出力端子Toutの電圧Voutは1Vとなりスパイク信号52が出力される。時刻0msから5msの間の消費電流は10
-11A以下である。
【0104】
図10(b)に示すように、時刻t2において、ノードN1の電圧V1は0.8Vから急激に0Vに低下する。出力端子Toutには幅が約2nsのスパイク信号52が出力される。時刻t2において電流は約1×10
-6Aとなり、最も大きくなる。スパイク生成回路104では電力はほとんどスパイク信号52が生成されるときに消費される。電源電圧が1Vのとき、1スパイクにおける消費エネルギーは、約15fJである。このように、スパイク生成のための消費電力(消費エネルギー)を非常に小さくできる。
【0105】
実施例3におけるキャパシタC2の機能について説明する。実施例3において、キャパシタC2の容量値を変化させ、時間に対する出力電圧Voutをシミュレーションした。
図11(a)から
図12(d)は、実施例3における時間に対する出力電圧を示す図である。
図11(a)から
図12(d)では、キャパシタC2の容量値をそれぞれ0F、1fF、2fF、3fF,4fF、6fF、10fFおよび20fFとしている。
【0106】
図11(a)に示すように、キャパシタC2の容量値が0Fのとき、スパイク信号52の幅は約60nsであり、立ち上がりは緩やかである。
図11(b)に示すように、キャパシタC2の容量値が1fFのとき、スパイク信号52の幅は約16nsと小さくなり、立ち上がりはやや急峻になる。
図11(c)に示すように、キャパシタC2の容量値が2fFのとき、スパイク信号52の幅は約3nsとさらに小さくなり、立ち上がりはより急峻になる。
図11(d)に示すように、キャパシタC2の容量値が3fFのとき、スパイク信号52の幅は約2nsと最小となり、立ち上がりはさらに急峻になる。
【0107】
図12(a)に示すように、キャパシタC2の容量値が4fFのとき、スパイク信号52の幅は約2nsと最小であり、立ち上がりはさらに急峻になる。
図12(b)に示すように、キャパシタC2の容量値が6fFのとき、スパイク信号52の幅は約2.5nsとやや大きくなり、立ち上がりは同程度であり、立下りがやや緩やかになる。
図12(c)に示すように、キャパシタC2の容量値が10fFのとき、スパイク信号52の幅は約3nsとさらに大きくなり、立ち上がりはやや緩やかになる。
図12(d)に示すように、キャパシタC2の容量値が20fFのとき、スパイク信号52の幅は約5nsとさらに大きくなり、立ち上がりおよび立下りはやや
緩やかになる。
【0108】
以上のように、キャパシタC2を設けることで、スパイク信号52の幅を狭くし、かつ立ち上がりおよび立下りを急峻にできる。よって、消費電力をより抑制できる。NFETおよびPFETのゲート容量値は0.1fFであり、キャパシタC2の容量値は、ゲート容量値の1倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、3倍以上がさらに好ましい。キャパシタC2の容量値は、ゲート容量値の1000倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。
【0109】
図13(a)から
図13(d)は、キャパシタC2の機能を説明する図である。
図13(a)は、時間に対するインバータ
の出力が反転するときに出力ノードに流れる電流を示す模式図である。
図13(a)に示すように、CMOSインバータ
の出力が反転するとき、出力ノードには小さい電流ILが流れる。その後、大きい電流IHが流れる。電流ILおよびIHを一定と仮定し、電流ILおよびIHが流れる期間をTLおよびTHとする。
【0110】
図13(b)から
図13(d)は、実施例3における時間に対するノードN4の電圧V4を示す模式図である。
図13(b)に示すように、キャパシタC2の容量値が小さい場合、ノードN4の電圧の上昇はインバータ22bのゲート容量値の充電時間により決まる。期間TLでは、電流ILが小さいため、ノードN4の電圧V4は期間TLにおいてなだらかに増加する。期間THでは、電流IHが大きいため電圧V4は急激に増加する。期間TLにおいて電圧V4が閾値電圧Vthを越えると、インバータ22bの
出力は緩やかに反転する。よって、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下りが緩やかになってしまう。また、キャパシタC2の容量値が小さい場合、負帰還のタイミングが早すぎて正帰還を阻害してしまい、立ち上がりがさらに緩やかになってしまう。
【0111】
図13(c)に示すように、キャパシタC2の容量値が中程度の場合、電流ILはインバータ22bに加えキャパシタC2に充電される。このため、期間TLにおいて電圧V4は閾値電圧Vthを越えない。期間THにおいて、電圧V4が閾値電圧Vthを越えると、インバータ22bの
出力は急激に反転する。よって、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下がりが急峻になる。
【0112】
図13(d)に示すように、キャパシタC2の容量値が大きい場合、期間THにおける電圧V4の上昇が緩やかになってしまう。このため、インバータ22bの
出力は緩やかに反転
する。よって、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下がりが緩やかになる。さらに、スパイク信号52の幅が広くなる。
【0113】
以上のように、実施例3では、キャパシタC2を設けることで、スパイク信号52の幅を狭くし、立ち上がりおよび立下りを急峻にできる。よって、消費電力を抑制できる。
【0114】
キャパシタC2は、MOSキャパシタ、MIS(Metal Insulator Semiconductor)キャパシタを用いることができる。キャパシタC2は、MOSFETの寄生容量を用いてもよい。
【0115】
実施例3の反転回路18内のインバータの数を変えてシミュレーションを行った。
図14(a)から
図15(b)は、実施例3におけるスパイク生成回路の回路図である。
図14(a)に示すように、スパイク生成回路104aでは、反転回路18は1個のインバータ22aとキャパシタC2を備えている。キャパシタC2は、インバータ22aの後段のノードN4に接続されている。
図14(b)に示すように、スパイク生成回路104は、実施例3の
図8と同様に、反転回路18は3個のインバータ22aから22cを備えている。キャパシタC2は、インバータ22aと22bとの間のノードN4に接続されている。
【0116】
図15(a)に示すように、スパイク生成回路104bでは、反転回路18は5個のインバータ22aから22eを備えている。キャパシタC2は、インバータ22aと22bとの間のノードN4に接続されている。
図15(b)に示すように、スパイク生成回路104cでは、反転回路18は7個のインバータ22aから22gを備えている。キャパシタC2は、インバータ22aと22bとの間のノードN4に接続されている。
【0117】
図16(a)から
図16(d)は、実施例3におけるスパイク生成回路の時間に対する出力電圧を示す図である。
図16(a)に示すように、スパイク生成回路104aでは、スパイク信号52の立ち上がりは緩やかであり、スパイク信号52の幅は広い。
図16(b)に示すように、スパイク生成回路104では、スパイク信号52の立ち上がりが急峻になり、スパイク信号52の幅は約2nsである。
図16(c)に示すように、スパイク生成回路104bでは、スパイク信号52の幅はやや広くなるものの、立ち上がりは急峻である。
図16(d)に示すように、スパイク生成回路104cでは、スパイク信号52の幅はやや広くなるものの、立ち上がりは急峻である。
【0118】
以上のように、反転回路18のインバータの個数を奇数個とすることでスパイク生成回路を実現できる。スパイク信号52の幅を狭くし、かつ立ち上がりおよび立下りを急峻にするためには、インバータ22aから22gの個数は3個以上が好ましい。インバータ22aから22gの個数は3個がより好ましい。
【0119】
[実施例3の変形例1]
図17は、実施例3の変形例1のスパイク生成回路の回路図である。
図17に示すように、実施例3の変形例1のスパイク生成回路106では、キャパシタC2が設けられていない。反転回路18のインバータの個数は奇数個であり、例えば7個である。インバータ22aと22bとの間のノードはN4、インバータ22bと22cとの間のノードはN5、インバータ22cと22dとの間のノードはN6、インバータ22dと22eとの間のノードはN7、インバータ22eと22fとの間のノードはN8、インバータ22fと22gとの間のノードはN9である。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。
【0120】
実施例3の変形例1における各ノードの電圧をシミュレーションした。
図18は、実施例3の変形例1における時間に対する各ノードの電圧を示す図である。
図18に示すように、ノードN1、N2、N4、N5、N6、N7、N8、N9およびN3にいくに従い、電圧の遷移が急峻になっている。特に、ノードN9では、ハイレベルからローレベルへの変化が急峻であり、ノードN3のスパイク信号52の立ち上がりおよび立下りは実施例3の
図9(b)程度に急峻である。
【0121】
以上のように、キャパシタC2を設けなくてもインバータ22aから22gの個数を増やすことで、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下りを急峻にできる。
【0122】
図19(a)は、実施例3の変形例1に係るスパイク生成回路の別の例を示す回路図である。
図19(a)に示すように、スパイク生成回路106aでは、
反転回路18のインバータ22aは1個である。
【0123】
図17および
図19(a)のように、インバータ22aの個数は奇数個であればよい。キャパシタC2を設けない場合に、スパイク信号52の立ち上がりおよび立下りを急峻にするために、インバータ22aから22gの個数は3個以上が好ましく、5個以上がより好ましく、7個以上がさらに好ましい。
【0124】
[実施例3の変形例2]
図19(b)は、実施例3の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図である。
図19(b)に示すように、スパイク生成回路108では、キャパシタC2の一端は電源線28に接続され、他端はノードN4に接続されている。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。
【0125】
実施例3の変形例2のように、キャパシタC2は電源線28に接続されていてもよい。キャパシタC2は、グランド線26および電源線28以外の一定電位が供給される基準電位端子に接続されていてもよい。
【0126】
[実施例3の変形例3]
図19(c)は、実施例3の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
図19(c)に示すように、スパイク生成回路110では、キャパシタC1の一端は電源線28に接続され、他端はノードN1に接続されている。FET14はNFETであり、ソースがグランド線26に接続され、ドレインがNFET13aを介しノードN1に接続され、ゲートがノードN2に接続されている。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。
【0127】
図20(a)および
図20(b)は、実施例3の変形例3における時間に対する各ノードの電圧を示す図である。
図20(b)は、
図20(a)のうちスパイク信号52付近の拡大図である。
【0128】
図20(a)に示すように、ノードN1の電圧はVddである1Vから時間とともに減少する。ノードN1の電圧が0.5V以下となると、スパイク信号52が生成される。
【0129】
図20(b)に示すように、各ノードN1からN5の電圧は、実施例3の
図9(b)の電圧の上下を反転させた波形となる。スパイク信号52の幅は約2nsと実施例3と同程度であり、立ち上がりおよび立下りは実施例3と同程度に急峻である。
【0130】
実施例3の変形例3のように、FET14にNFETを用いることにより、実施例2の変形例1と同様に、スパイク信号50が負方向に向かう場合にも対応できる。
【0131】
実施例3の変形例3のように、キャパシタC1は電源線28に接続されていてもよい。キャパシタC1は、グランド線26および電源線28以外の一定電位が供給される基準電位端子に接続されていてもよい。
【0132】
[実施例3の変形例4]
図21は、実施例3の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
図21に示すように、実施例3の変形例4のスパイク生成回路112では、反転回路16は、インバータ20およびFET24を備えている。FET24はPFETであり、インバータ20と電源線28との間に接続されている。FET24のゲートとFET14のゲートはノードN10に接続されている。ノードN10はFET24のドレインに接続されている。FET14と24は
カレントミラー回路を形成する。
【0133】
ノードN1の電圧が閾値電圧を越えると、ノードN2がローレベルとなる。FET24のソースとドレインとの間を流れる電流は大きくなる。よって、ノードN10の電圧が低くなり、FET14のソース-ドレイン電流とFET24のソース-ドレイン電流が同程度になる。これにより、ノードN1に正帰還がかかる。
【0134】
反転回路18は、インバータ22、キャパシタC2、NFET29aおよび29bを備えている。キャパシタC2は、ノードN2とグランド線26との間に接続されている。インバータ22の入力ノードはノードN2に接続され、出力ノードはノードN3に接続されている。NFET29aはノードN3とNFET23aの間に接続されている。NFET29bはノードN3とインバータ20の入力ノードN0との間に接続されている。NFET29aおよび29bのゲートは電源線28に接続されている。キャパシタC3は一端がノードN0に他端がグランド線26に接続されている。キャパシタC3、NFET29aおよび29bは負帰還を遅延させるための抵抗として機能する。反転回路18は、ノードN1に負帰還をかける。
【0135】
実施例3の変形例4のように、FET14のゲートにはインバータ20の出力ノードN2を接続しなくてもよい。反転回路16は、インバータ20のレベルが変化したときに、ノードN1の信号の反転信号をFET14のゲートに出力すればよい。
【0136】
実施例3およびその変形例のように、反転回路16は、ノードN1とノードN2との間に互いに直列接続され、ノードN1に入力ノードが接続されノードN2に出力ノードが接続された奇数個のインバータ20(第2CMOSインバータ)を含む。反転回路18は、ノードN2とN3との間に互いに直列接続され、ノードN2に入力ノードが接続されノードN3に出力ノードが接続された奇数個のインバータ22aから22g(第3CMOSインバータ)を含む。これにより、反転回路16は正帰還をかけ、反転回路18は負帰還をかけることができる。
【0137】
反転回路16は、3個以上のインバータ20を備えてもよいが、小型化のためインバータ20の個数は1個が好ましい。
【0138】
反転回路18は、3個以上のインバータ22aから22gを含む。これにより、スパイク信号52の幅を狭くできかつ立ち上がりおよび立下りを急峻にできる。
【0139】
3個以上のインバータ22aから22gの間のノードN4(第4ノード)に一端が接続され、他端がグランド線26または電源線28(第1基準電位端子)に接続されたキャパシタC2(第1容量素子)を備える。これにより、実施例3およびその変形例2のように、スパイク信号52の幅を狭くできかつ立ち上がりおよび立下りを急峻にできる。
【0140】
キャパシタC2の容量値は、インバータ22aから22g内の1つのFETのゲート容量値以上である。これにより、スパイク信号52の幅を狭くできかつ立ち上がりおよび立下りを急峻にできる。例えば、キャパシタC2の容量値は、インバータ22aから22gのうち最もゲート容量値の小さなFETのゲート容量値以上とする。
【0141】
入力回路10は、一端がノードN1に接続され、他端がグランド線26または電源線28(第2基準電位端子)に接続されたキャパシタC1(第2容量素子)を備える。これにより、入力端子Tinに入力された入力信号を積分しノードN1に出力できる。
【0142】
実施例2から3およびその変形例において、スパイク信号52を生成するとき以外の待機時における消費電力を小さくするためには、各FETのオフ時のリーク電流を小さくすることが好ましい。よって、各FETの閾値電圧を高くすることが好ましい。例えば全てのFETまたは一部のFETの閾値電圧は0.3×Vdd(電源線28の電圧-グランド線26の電圧)以上が好ましく、0.5×Vdd以上がより好ましく、0.8×Vdd以上がさらに好ましい。なお、閾値電圧が0.3×Vdd以上とは、NFETでは+0.3×Vdd以上であり、PFETでは-0.3×Vdd以下を意味する。他のFETの閾値電圧も同様である。
【0143】
ノードN1にはローレベル(グランド線26の電圧)より高い電圧(例えば閾値電圧Vthよりやや低い電圧)が長時間加わる。よって、最もリーク電流が大きくなりやすいFETは、入力ノードがノードN1に接続されたインバータ20のNFET21aおよびPFET21bである。そこで、インバータ20(インバータ20が複数の場合は初段のインバータ)のNFET21aおよびPFET21bの閾値電圧を0.3×Vdd以上とすることが好ましく、0.5×Vdd以上とすることがより好ましく、0.8×Vdd以上とすることがさらに好ましい。
【0144】
スパイク生成動作以外のときにスパイク生成回路に許容される最大リーク電流をIKとする。例えば、ノードN1にVdd/2程度の電圧が長時間加わったときに、スパイク生成回路の消費電力を所望電力以下とすることを考える。このとき、スパイク生成回路のリーク電流がほとんどインバータ20のリーク電流とすると、インバータ20のNFET21aおよびPFET21bのリーク電流をIK以下とするとスパイク生成回路の消費電力を所望電力以下とすることができる。ソースを接地したときに、チャネルのリーク電流がIKとなるNFET21aおよびPFET21bのゲート電圧をそれぞれVn_IKおよび-(Vp_IK)とする。このときVdd≦Vn_IK+Vp_IKとすると、ノードN1にVdd/2程度の電圧が長時間加わっても消費電力を所望電力以下とすることができる。例えば所望電力が1nWのとき、リーク電流IKは1×10-9
/Vddである。さらに消費電力を抑制するため、リーク電流IKを5×10-10/Vdd以下とすることが好ましく、2×10-10/Vdd以下とすることがより好ましい。
【0145】
各FETのリーク電流を抑制するため、FETは、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いたFETを用いることが好ましい。このFETはソースとドレインとの間のリーク電流が小さいため、消費電力を抑制できる。例えば、1個のFETにおけるリーク電流を1pA以下とすることができる。
【実施例4】
【0146】
実施例4は、実施例1の変形例3および5の具体例である。
図22(a)から
図23(b)は、実施例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
図22(a)に示すように、実施例4のスパイク生成回路136は、フリップフロップ回路90、遅延回路17およびFET91を備えている。遅延回路17は、例えば、実施例2およびその変形例1の反転回路16および18を有する遅延回路17のように偶数段のインバータが縦続接続された回路である。
【0147】
フリップフロップ回路90は、入力ノード90aがハイレベルとなると、出力ノード90cをハイレベルとし、入力ノード90bにハイレベルが入力するまで出力ノード90cのハイレベルを維持する。フリップフロップ回路90は、入力ノード90bがハイレベルとなると、出力ノード90cをローレベルとし、入力ノード90aにハイレベルが入力するまで出力ノード90cのローレベルを維持する。
【0148】
入力ノード90aは入力端子Tinに接続された中間ノードNiに接続されている。入力ノード90bはノードN3に接続されている。出力ノード90cは遅延回路17の入力ノードに接続され、遅延回路17の出力ノードはノードN3に接続されている。FET91はNFETであり、ソース、ドレインおよびゲートがそれぞれグランド線26、中間ノードNiおよびノードN3に接続されている。
【0149】
図22(b)に示すように、スパイク生成回路137では、
図22(a)のフリップフロップ回路90としてNFET92aから92dおよびPFET93aから93dを用いている。
図22(b)のうちNFET92cおよびPFET93cは、削除可能であり、削除した例を以下に示す。
【0150】
図23(a)に示すように、スパイク生成回路138では、NFET92cおよびPFET93cが設けられていない。NFET92dおよびPFET93bはそれぞれNFET13aおよびPFET13bに相当する。NFET13aとPFET13bは、電源線28とグランド線26との間に直列に接続され、CMOSインバータ12を形成する。PFET93dはFET14に相当する。FET14は、ノードN1と電源線28との間においてPFET13bと直列に接続されている。FET14のゲートはノードNgに接続されている。
【0151】
NFET92bはFET95に相当する。FET95のソース、ドレインおよびゲートは、それぞれグランド線26、ノードNgおよびノードN1に接続されている。NFET92aおよびPFET93aはCMOSインバータ94に相当する。CMOSインバータ94の入力ノードおよび出力ノードはそれぞれノードNiおよびNgに接続されている。遅延回路17の入力ノードおよび出力ノードはそれぞれノードN1およびN3に接続されている。
【0152】
反転回路16は、反転回路16aおよび16bを備えている。反転回路16aはFET95を含む。反転回路16bはFET91およびインバータ94を含む。
【0153】
図23(b)に示すように、スパイク生成回路139では、
図23(a)のスパイク生成回路138に、
図22(b)のNFET92cを設ける。NFET92cはFET96に相当する。FET96のソース、ドレインおよびゲートは、それぞれグランド線26、ノードN1およびノードNgに接続されている。
図23(a)のスパイク生成回路138では、FET14がオフすると、ノードN1がフローティングとなる。スパイク生成回路139では、FET14がオフすると、FET96がオンするためノードN1はローレベルとなる。これにより、ノードN1がフローティングとなることを抑制できる。実施例4は、
図22(a)から
図23(b)のいずれの回路でもよい。
【0154】
図23(b)の回路を例に実施例4の動作を説明する。
図24は、実施例4における時間に対する各端子およびノードの電圧を示す図であり、ノードNi、FET14のゲートに相当するノードNg、ノードN1および出力端子Tout(すなわちノードN3)の電圧を示している。時刻t0では、ノードNiの電圧は0V、ノードNgの電圧はハイレベル(Vdd)、ノードN1の電圧はローレベル(0V)、出力端子Toutの電圧はローレベル(0V)である。インバータ12の入力ノードN0はローレベルである。ノードNgがハイレベルでありFET14がオフのためインバータ12は機能しない。また、FET96がオンするため、ノードN1はローレベルとなる。
【0155】
入力信号として時間とともに一定の傾きで電圧が上昇する例について説明する。時刻t0以降時間ともにノードNiの電圧が上昇する。ノードNiの電圧がインバータ94aの閾値電圧に達しないとき、ノードNgの電圧はVddである。ノードNiの電圧が閾値電圧Vthに近づくと、ノードNgの電圧は徐々に低下する。FET14がオフであり、FET96がオンのため、ノードN1はローレベルを維持する。
【0156】
時刻t1において、ノードNiの電圧が閾値電圧Vthに達すると、ノードNgの電圧はFET14の閾値電圧に達する。これにより、ノードN1の電圧が上昇する。FET95がオンすると、ノードNgの電圧はローレベルとなる。FET14はオンし、FET96はオフする。これにより、ノードN1の電圧はハイレベルとなる。このように、FET95は、ノードN1がハイレベルとなるとノードNgをローレベルとする反転回路16aとして機能する。反転回路16aおよびFET14によりノードN1に正帰還が加わり、ノードN1の電圧は急峻に立ち上がる。
【0157】
時刻t2において、遅延回路17は時刻t1から遅延して出力端子Toutをハイレベルとする。FET91のゲートがハイレベルとなるため、FET91がオンし、ノードNiの電圧は0Vとなる。ノードNgはハイレベルとなる。FET14がオフし、FET96がオンするため、ノードN1はローレベルとなる。このように、FET91およびインバータ94は、ノードN3がハイレベルとなると、ノードNgをハイレベルとし、ノードN1をローレベルとする反転回路16bとして機能する。
【0158】
時刻t4において、遅延回路17は時刻t2から遅延して出力端子Toutをローレベルとする。これにより出力端子Toutにパルス幅がt4-t2のスパイク信号52が出力される。
【0159】
図23(b)において、インバータ94が設けられておらず、FET14の制御端子とノードNiが接続されている場合を考える。この場合、ノードN1からFET95および14を介した正帰還ループにノードNiが含まれてしまい
、ノードNiはローレベルの状態で維持されてしまう。このように、中間ノードNiとFET14のゲートの間にはインバータ94が設けられることが好ましい。
【0160】
図23(b)において、FET91が設けられておらず、出力端子Toutが中間ノードNiに帰還していない場合を考える。
図25は、FET91が設けられていない場合の時間に対する各電圧を示す図である。
図25に示すように、時刻t2において出力端子ToutがハイレベルとなってもノードNiの電圧は0Vにならず上昇し続ける。FET95を介した正帰還と、遅延回路17を介した負帰還が交互にかかるため、ノードN1の電圧はローレベルとハイレベルを繰り返し、出力端子Toutからスパイク信号52が繰り返し出力される。このように、反転回路16aがノードN1が
ローレベルとなってもFET14のゲートを
ハイレベルとしない場合には、FET91を設けることが好ましい。
【0161】
[実施例4の変形例1]
図26(a)および
図26(b)は、実施例4の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
図26(a)に示すように、スパイク生成回路140では、フリップフロップ回路90にNAND回路91aおよび91bを有するラッチを用いる。FET91はPFETであり、FET91のソースは電源線28に接続されている。その他の構成は
図22(a)のスパイク生成回路136と同じであり説明を省略する。
【0162】
図26(b)に示すように、スパイク生成回路141では、フリップフロップ回路90をFETに分解し、削除可能なFETが削除されている。
図23(b)のスパイク生成回路139に比べ、FET14がNFETであり、FET14はノードN1とグランド線26との間にFET13aと直列に接続されている。FET95および96はPFETである。FET95および96のソースは電源線28に接続されている。インバータ94から遅延回路17は回路98を形成する。その他の構成は
図23(b)のスパイク生成回路139と同じであり説明を省略する。
【0163】
実施例3の変形例1では、入力端子Tinに入力する入力信号は、実施例1の変形例5の
図5(b)の入力端子Tinの信号のようにハイレベルからローレベルに下降する信号である。出力端子Toutからは
図5(b)のようにローレベルのスパイク信号52が出力される。
【0164】
スパイク生成回路141のように、FET14をNFETとすることで、実施例1の変形例5のスパイク生成回路135を実現できる。
【0165】
[実施例4の変形例2]
図27(a)および
図27(b)は、実施例4の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図である。
図27(a)に示すように、スパイク生成回路142では、
図26(a)のスパイク生成回路140に加え、インバータ94aおよび94bを備えている。インバータ94aはノードNiとフリップフロップ回路90の入力ノード90aとの間に接続され、インバータ94bはノードN3とFET91のゲートとの間に接続されている。FET91はNFETであり、ソースがグランド線26に接続されている。その他の構成は
図26(a)のスパイク生成回路140と同じであり説明を省略する。
【0166】
図27(b)に示すように、スパイク生成回路143では、フリップフロップ回路90をFETに分解し、削除可能なFETが削除されている。
スパイク生成回路143の回路98は、図26(b)のスパイク生成回路141
の回路98
と同じである。FET91がNFETであり、インバータ94aおよび94bが設けられている。反転回路16bは、インバータ94、94a、94bおよびFET91を含む。その他の構成は
図26(b)のスパイク生成回路141と同じであり説明を省略する。
【0167】
入力端子Tinに入力する入力信号は、実施例1の変形例3の
図3(b)の入力端子Tinの信号のようなローレベルからハイレベルに上昇する信号である。インバータ94aは入力信号を、実施例1の変形例5の
図5(b)の入力端子Tinの信号のようにハイレベルからローレベルに下降する信号に変換する。出力端子Toutからは
図5(b)のようなローレベルのスパイク信号52が出力される。インバータ94bはノードN3の信号を反転しFET91のゲートに出力する。
【0168】
スパイク生成回路143のように、入力信号を反転させてもよい。この場合、インバータ94bを設けることで、ノードNiをリセットできる。
【0169】
[実施例4の変形例3]
図28(a)および
図28(b)は、実施例4の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
図28(a)に示すように、スパイク生成回路144では、フリップフロップ回路90にNOR回路91cおよびNAND回路91bを有するラッチを用いる。NOR回路91cおよびNAND回路91bのループ内にインバータ94dおよび94eを設けている。インバータ94aは設けられていない。その他の構成は
図27(a)のスパイク生成回路142と同じであり説明を省略する。
【0170】
図28(b)に示すように、スパイク生成回路145では、フリップフロップ回路90をFETに分解し、削除可能なFETが削除されている。
図27(b)のスパイク生成回路143と比較すると、FET95がNFETである。インバータ94cはノードN1の信号を反転しFET95のゲートに出力する。FET95のドレインはインバータ94aと94の間のノードNg2に接続されている。インバータ94はノードNg2の信号を反転してノードNgに出力する。反転回路16aはインバータ94、94cおよびFET95を含む。反転回路16bはインバータ94、94a、94bおよびFET91を含む。その他の構成は
図27(b)のスパイク生成回路143と同じであり説明を省略する。
【0171】
入力信号はローレベルからハイレベルに上昇する信号である。ノードNg2の信号はハイレベルからローレベルに下降する信号である。インバータ94から遅延回路17の回路99は、実施例1の変形例5のスパイク生成回路135のように、ローレベルのスパイク信号52を出力する。
【0172】
スパイク生成回路145のように、反転回路16aはFET95以外にインバータ94および94c等を含んでもよい。反転回路16aと16bは一部の回路素子(例えばインバータ94)を共有してもよい。
【0173】
[実施例4の変形例4]
図29(a)および
図29(b)は、実施例4の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
図29(a)に示すように、スパイク生成回路146では、フリップフロップ回路90にNAND回路91aおよびNOR回路91dを有するラッチを用いる。NAND回路91aおよびNOR回路91dのループ内にインバータ94dおよび94eを設けている。ノードNiとフリップフロップ回路90の入力ノード90aとの間にインバータ94aが設けられ、出力端子ToutとFET91のゲートとの間にインバータ94bが設けられていない。その他の構成は
図28(a)のスパイク生成回路144と同じであり説明を省略する。
【0174】
図29(b)に示すように、スパイク生成回路147では、フリップフロップ回路90をFETに分解し、削除可能なFETが削除されている。
図28(b)のスパイク生成回路145と比較すると、インバータ94aと94との間にインバータ94bが設けられ、ノードN3とFET91のゲートとの間にインバータが設けられていない。FET96はNFETであり、FET14および95はPFETである。反転回路16aはインバータ94、94cおよびFET95を含む。反転回路16bはインバータ94、94a、94bおよびFET91を含む。その他の構成は
図28(b)のスパイク生成回路145と同じであり説明を省略する。
【0175】
入力信号はローレベルからハイレベルに上昇する信号である。ノードNg2の信号はローレベルからハイレベルに上昇する信号である。インバータ94から遅延回路17の回路99aは、実施例1の変形例35のスパイク生成回路133のように、ハイレベルのスパイク信号52を出力する。
【0176】
スパイク生成回路143、145および147のように、反転回路16aおよび16bは適宜インバータを含んでもよい。
【0177】
[実施例4の変形例5]
図30(a)および
図30(b)は、実施例4の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
図30(a)に示すように、スパイク生成回路148では、フリップフロップ回路90にNOR回路91cおよび91dを有するラッチを用いる。フリップフロップ回路90の出力ノード90cと相補的な出力ノード90dとN3との間に遅延回路17aと直列にインバータ94fが接続されている。出力ノード90dは出力ノード90cと相補的な信号が出力される。よって、遅延回路17aの前段または後段にインバータ94fを設ければ、遅延回路17aを出力ノード90cに接続した場合と同様の機能が得られる。スパイク生成回路136、138、140、142、144および146においても出力ノード90cの相補的な出力ノードとノードN3との間に遅延回路17aとインバータ94fを接続してもよい。その他の構成は
図22(a)のスパイク生成回路136と同じであり説明を省略する。
【0178】
図30(b)に示すように、スパイク生成回路149では、フリップフロップ回路90をFETに分解し、削除可能なFETが削除されている。
図23(b)のスパイク生成回路139と比較すると、遅延回路17aの入力ノードはノードNg(すなわちFET95のドレイン)に接続され、遅延回路17aの出力はインバータ94fを介しノードN3に接続されている。FET95、遅延回路17aおよびインバータ94fが遅延回路17として機能する。その他の構成は
図23(b)のスパイク生成回路139と同じであり説明を省略する。
【0179】
スパイク生成回路149のように、反転回路16aと遅延回路17とは一部の回路素子(例えばFET95)を共有してもよい。
【0180】
実施例4およびその変形例1によれば、インバータ12は第1レベル(ハイレベルおよびローレベルの一方)および第2レベル(ハイレベルおよびローレベルの他方)を出力する。FET14(第1スイッチ)は、ゲート(制御端子)に第1レベルが入力するとオンし、第2レベルが入力するとオフする。ここで、FET14がNFETの場合、第1レベルおよび第2レベルはそれぞれハイレベルおよびローレベルであり、FET14がPFETの場合、第1レベルおよび第2レベルはそれぞれローレベルおよびハイレベルである。
【0181】
反転回路16a(第1反転回路)は、ノードN1が第1レベルから第2レベルとなると第1レベルをFET14のゲートに出力する。例えば、
図23(b)、
図29(b)および
図30(b)のスパイク生成回路139、147および149では、ノードN1がローレベルからハイレベルとなると、反転回路16aはFET14のゲートにローレベルを出力する。
図26(b)、
図27(b)および
図28(b)のスパイク生成回路141、143および145では、ノードN1がハイレベルからローレベルとなると、反転回路16aはFET14のゲートにハイレベルを出力する。
【0182】
反転回路16b(第2反転回路)は、遅延回路17の出力が第2レベルとなるとFET14のゲートに第2レベルを出力する。例えば、
図23(b)、
図29(b)および
図30(b)のスパイク生成回路139、147および149では、ノードN3がハイレベルとなると、反転回路16bはFET14のゲートにハイレベルを出力する。
図26(b)、
図27(b)および
図28(b)のスパイク生成回路141、143および145では、ノードN3がローレベルとなると、反転回路16bはFET14のゲートにローレベルを出力する。中間ノードNiは反転回路16b内に設けられている。
【0183】
これにより、
図24のように、消費電力を抑制しかつパルス幅の狭いスパイク信号52を生成できる。
【0184】
反転回路16bは、ゲート(制御端子)に遅延回路17の出力(ノードN3)が接続されたFET91(第2スイッチ)を備えている。FET91は、遅延回路17が第2レベルを出力すると、中間ノードNiと入力信号の初期レベルが供給される電源とを接続する。例えば
図3(b)のように入力信号の初期レベルがローレベルのとき、FET91はNFETであり、中間ノードNiをグランド線26に接続する。例えば
図5(b)のように入力信号の初期レベルがハイレベルのとき、FET91はPFETであり、中間ノードNiを電源線28に接続する。これにより、中間ノードNiをリセットし、ノードNgを第2レベルとすることができる。
【0185】
インバータ94(第2CMOSインバータ)は、入力ノードがノードNiに接続され、出力ノードがFET14のゲート(ノードNg)に接続されている。これにより、正帰還ループ15内にノードNiが含まれなくなるため、ノードNgの電圧が入力信号にともない変化できる。
【0186】
反転回路16aは、ゲートがノードN1に接続され、ノードN1が第2レベルとなるとFET14のゲート(ノードNg)と第1レベルが供給される電源とを接続するFET95(第3スイッチ)を備える。これにより、FET95を反転回路16aとして用いることができる。
【0187】
FET96(第4スイッチ)は、ゲートがFET14のゲート(ノードNg)に接続され、FET14ゲートが第2レベルのとき、ノードN1を第1レベルが供給される電源に接続する。これにより、ノードN1がフローティングとなることを抑制できる。
【0188】
同じノード(または端子)においてハイレベルはローレベルより高い電圧であればよく、異なるノード(または端子)間のハイレベルは同じ電圧でなくてもよく、ローレベルは同じ電圧でなくてもよい。
【0189】
実施例2、3およびその変形例における入力回路10を、実施例4およびその変形例の入力端子Tinと中間ノードNiとの間に設けてもよい。
【実施例5】
【0190】
実施例5は、実施例1から4およびその変形例を電圧判定回路として用いる例である。
図31は、実施例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
図31に示すように、実施例5のスパイク生成回路114では、キャパシタC1と入力端子Tinとの間に、電圧変換回路30が接続されている。入力回路10は、キャパシタC1と電圧変換回路30を含む。
【0191】
電圧変換回路30は、NFET31aおよび31bを備えている。NFET31aのソースおよびゲートがグランド線26に接続され、ドレインがノードN11に接続されている。NFET31bのソースがノードN11に接続され、ゲートがグランド線26に接続され、ドレインが入力端子Tinに接続されている。NFET31aおよび31bはオフするため、ソースとドレインとの間は高抵抗として機能する。入力端子Tinに入力された入力信号はNFET31aおよび31bにより分圧されノードN11に出力される。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。
【0192】
入力端子Tinに入力する入力信号の電圧を変え、出力端子Toutに出力されるスパイク信号52をシミュレーションした。
図32(a)から
図33(d)は、実施例5における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
図32(a)から
図33(d)は、入力信号を一定の電圧Vinの信号とした。電圧Vinをそれぞれ0.9V、1.0V、1.2V、1.5V、2V、3V、5V、7Vおよび10Vとした。電圧変換回路30は、入力端子Tinの電圧を約1/2に分圧する。
【0193】
図32(a)に示すように、電圧Vinが0.9Vでは、ノードN1の電圧は、0.9V×1/2である0.45Vで飽和してしまう。これにより、ノードN1の電圧は閾値電圧である0.5Vに到達しない。このため、スパイク信号52は生成されない。
図32(b)に示すように、電圧Vinが1Vでは、ノードN1の電圧が0.5Vに達する。これにより、スパイク信号52が生成される。スパイク信号52が生成される周期は30.3msであり周波数は33Hzである。
【0194】
図32(c)に示すように、電圧Vinが1.2Vでは、電圧Vinが1Vのときより、キャパシタC1が速く充電される。これにより、電圧Vinが1Vのときより、ノードN1の電圧が速く0.5Vに達する。よって、スパイク信号52が生成される周期は15.9msと短くなり、周波数は62.8Hzと高くなる。
図32(d)に示すように、電圧Vinが1.5Vでは、スパイク信号52が生成される周期は6.71msとより短くなり、周波数は149Hzとより高くなる。
図32(e)に示すように、電圧Vinが2Vでは、スパイク信号52が生成される周期は4.27msであり周波数は234Hzである。
【0195】
図33(a)に示すように、電圧Vinが3Vでは、スパイク信号52が生成される周期は2.50msであり周波数は400Hzである。
図33(b)に示すように、電圧Vinが5Vでは、スパイク信号52が生成される周期は1.28msであり周波数は782Hzである。
図33(c)に示すように、電圧Vinが7Vでは、スパイク信号52が生成される周期は0.792msであり周波数は1262Hzである。
図33(d)に示すように、電圧Vinが10Vでは、スパイク信号52が生成される周期は0.454msであり周波数は2203Hzである。
【0196】
図34(a)および
図34(b)は、実施例5における入力電圧に対するそれぞれ周波数および周期を示す図である。
図34(a)に示すように電圧Vinが高くなるとスパイク信号52の周波数が高くなる。
図34(b)に示すように、電圧Vinが高くなるとスパイク信号52が生成される周期が短くなる。電圧Vinが閾値電圧Vinthより小さいとスパイク信号52は生成されない。
図34(a)および
図34(b)ではVinthは約1Vである。
【0197】
このように、実施例5では、入力される入力信号の電圧が閾値電圧Vinthより低いとき、スパイク信号52は生成されず、入力信号の電圧が閾値電圧Vinthより高いとスパイク信号52が生成される。このように、スパイク生成回路114は、入力端子Tinの電圧を判定する判定回路として機能する。入力端子Tinにスパイク信号が入力する場合、キャパシタC1の容量値を設定することにより、スパイク信号52が出力されるための入力スパイク信号の個数を設定できる。
【0198】
スパイク生成回路114は、入力端子Tinの電圧をスパイク信号52の周波数に変換する回路として機能する。閾値電圧Vinthは、電圧変換回路30のNFET31aと31bとの抵抗値の比により任意に設定できる。電圧変換回路30は、入力信号の電圧を分圧する回路であれば、抵抗分圧回路以外の回路でもよい。
【0199】
電圧変換回路30は、入力信号の電圧を分圧した信号をノードN1に出力する。反転回路18は、入力信号の電圧の絶対値が閾値電圧Vinth(所定値)より大きいときスパイク信号52を出力し、入力信号の電圧がVinth以下のときスパイク信号52を出力しない。このように、低消費電力の電圧判定回路を実現できる。
【0200】
[実施例5の変形例1]
図35は、実施例5の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
図35に示すように、実施例5の変形例1のスパイク生成回路114aでは、実施例3の変形例3のスパイク生成回路に電圧変換回路30が設けられている。その他の構成は実施例5と同じであり説明を省略する。
【0201】
実施例5の変形例1では、反転回路18は、入力信号の電圧の絶対値が閾値電圧より小さいときスパイク信号52を出力し、入力信号の電圧がVinth以上のときスパイク信号52を出力しない。
【0202】
[実施例5の変形例2]
図36(a)は、実施例5の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図である。
図36(a)に示すように、実施例5の変形例2のスパイク生成回路114bでは、キャパシタC1の一端が入力端子Tinに接続され、キャパシタC1の他端がノードN1に接続されている。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。
【0203】
図36(b)は、実施例5の変形例2のタイミングチャートである。
図36(b)に示すように、入力端子Tinに入力する入力信号は時間に対し電圧が変化する。例えば、入力信号の低周波数成分は3.5Vである。ノードN1の電圧は、キャパシタC1により低周波数成分が遮断される。これにより、ノードN1の電圧は入力信号の変化量(直流成分を除いた電圧)となる。ノードN1の
電圧の大きさはキャパシタC1の
容量の大きさにより任意に設定できる。すなわち、キャパシタC1は電圧変換回路として機能する。時刻t30において入力信号の低周波数成分からの変化量が3Vに達すると、ノードN1の電圧はVthとなる。これにより、出力端子Toutからスパイク信号が出力される。
【0204】
実施例5の変形例2によれば、反転回路18は入力信号の低周波数成分からの変化量が所定範囲内のときスパイク信号52を生成し、所定範囲外のときスパイク信号52を生成しない。
【0205】
実施例5およびその変形例1および2によれば、電圧変換回路30(またはキャパシタC1)は入力信号の電圧を変換した信号をノードN1に出力する。反転回路18は、入力信号の電圧が所定範囲内のときスパイク信号52を出力せず、入力信号の電圧が所定範囲外のときスパイク信号52を出力する。これにより、低消費電力の電圧判定回路を実現できる。
【0206】
[実施例5の変形例3]
実施例5の変形例3は、実施例1から4およびその変形例を遅延回路に用いる例である。
図37は、実施例5の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
図37に示すように、実施例5の変形例3のスパイク生成回路116では、キャパシタC1と入力端子Tinとの間に、NFET33が接続されている。NFET33はオフするため、ソースとドレインとの間は高抵抗として機能する。NFET33とキャパシタC1とは入力回路10である時定数回路32を形成する。時定数回路32は、入力端子Tinに入力した入力信号の立ち上がりの時定数を長くする。ノードN1の電圧の立ち上がりの時定数はNFET33とキャパシタC1により定まる時定数となる。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。
【0207】
入力端子Tinに入力信号を入力し、ノードN1の電圧および出力端子Toutに出力されるスパイク信号52をシミュレーションした。キャパシタC1の容量値を5.75fFとした。入力信号として、時定数回路32の時定数に比べ十分に短時間でローレベルからハイレベルに変移する信号を入力した。
【0208】
図38(a)および
図38(b)は、実施例5の変形例3における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
図38(b)は、
図38(a)の拡大図である。
図38(a)に示すように、ノードN1の電圧は、時定数回路32の時定数で立ち上がる。ノードN1の電圧が閾値電圧である0.5V以上となると出力端子Toutにスパイク信号52が出力される。
図38(b)に示すように、スパイク信号52の幅は約2nsであり、立ち上がりおよび立下りは急峻である。
【0209】
このように、スパイク生成回路116は、入力端子Tinにハイレベルの信号が入力してから所定時間遅延してスパイク信号52を出力する遅延回路として機能する。出力されるスパイク信号52は幅が短く急峻な波形にできる。時定数回路32は、入力信号の立ち上がりおよび/または立下りの時定数を長くする回路であればRC回路以外の回路でもよい。遅延時間は、時定数回路32の時定数を変えることで任意に設定できる。
【0210】
実施例5の変形例3によれば、時定数回路32は、入力信号の立ち上がりの時定数を長くしノードN1に出力する。出力端子Toutは、入力信号が入力した後、時定数回路32の時定数に関連した遅延時間後にスパイク信号52を出力する。これにより、低消費電力でかつ急峻な立ち上がりおよび立下りを有するスパイク信号52を出力できる遅延回路を実現できる。
【0211】
[実施例5の変形例4]
実施例5の変形例4は、実施例2、3およびその変形例を入力スパイク信号50の頻度が下がるとスパイク信号52を生成する頻度低下検出回路に用いる例である。
図39は、実施例5の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
図39に示すように、実施例5の変形例4のスパイク生成回路118では、キャパシタC1と入力端子Tinとの間に抑制回路34が接続されている。入力回路10は、抑制回路34とキャパシタC1を含む。
【0212】
抑制回路34は、NFET35a、35bおよびPFET35cを備えている。NFET35a、35bおよびPFET35cはグランド線26と電源線28との間に直列に接続されている。NFET35bとPFET35cとの間のノードN12はキャパシタC1に接続されている。NFET35aのゲートはドレインに接続され、PFET35cのゲートはソースに接続されている。これにより、NFET35aおよびPFET35cは負荷として機能する。NFET35bのゲートに入力端子Tinが接続されている。これにより、抑制回路34はソース接地回路として機能する。
【0213】
キャパシタC1はPFET35cを介して電源線28からキャパシタC1に流れる電流により充電される。入力端子Tinにスパイク信号50が入力するとFET35bがオンし、ノードN12の電圧を下げる。スパイク信号50の頻度が高ければ、ノードN12(すなわちN1)の電圧は適度に下がるため、ノードN1の電圧は閾値電圧Vthに達しない。しかし、スパイク信号50の頻度が低くなると、ノードN12の電圧が高くなり、閾値電圧Vthに達する。
【0214】
入力端子Tinに一定周波数でスパイク信号50を入力し、ノードN1の電圧および出力端子Toutに出力されるスパイク信号52をシミュレーションした。入力信号のスパイク信号50の高さおよび幅を1Vおよび2nsとした。
【0215】
図40(a)および
図40(b)は、実施例5の変形例4における時間に対するノードN1の電圧および出力電圧を示す図である。
図40(a)および
図40(b)は、それぞれ入力スパイク信号の周波数が200Hzおよび100Hzのときの図である。
【0216】
図40(a)に示すように、電源線28からPFET35cを介した電流によりキャパシタC1が充電されるとノードN1の電圧は上昇する。スパイク信号50が入力すると、NFET35bがオンしノードN12の電圧を低くする。PFET35cを介し電源線28からノードN12に流れる電流と、NFET35bを介しノードN12からグランド線26に流れる電流と、によりノードN1の電圧は所定の電圧に飽和する。入力スパイク信号50の周波数が200Hzのとき、ノードN1の電圧は0.24V程度に飽和する。このため、ノードN1の電圧は反転回路16の閾値電圧である0.5V以上とならない。よって、出力端子Toutからスパイク信号52は出力されない。
【0217】
図40(b)に示すように、入力スパイク信号50の周波数が100Hzのとき、NFET35bがオンする頻度が低いため、ノードN1の電圧は
図40(a)より高くなる。このため、ノードN1の電圧は反転回路16の閾値電圧である0.5V以上となる。よって、出力端子Toutからスパイク信号52が出力される。
【0218】
このように、スパイク生成回路118は、入力端子Tinに入力するスパイク信号50の頻度が低くなると出力端子Toutにスパイク信号52を出力する。NFET35aおよびPFET35cの抵抗値を変更することで、スパイク信号52を出力する閾値となる入力スパイク信号50の頻度を任意に設定できる。
【0219】
実施例5の変形例4によれば、抑制回路34は、入力信号として入力スパイク信号50が入力すると、ノードN1の電圧を低くする。出力端子Toutは、入力スパイク信号50が入力する頻度が所定の頻度より低くなると、スパイク信号52を出力する。入力スパイク信号50の頻度が下がるとスパイク信号52を生成する頻度低下検出回路を実現できる。
【0220】
なお、実施例2のように、入力スパイク信号50が正方向のスパイクのとき、実施例5の変形例2のように、抑制回路34は入力スパイク信号50が入力すると、ノードN1の電圧を低くする。実施例2の変形例1のように、入力スパイク信号50が負方向のスパイクのとき、抑制回路34は入力スパイク信号50が入力すると、ノードN1の電圧を高くすればよい。
【0221】
[実施例5の変形例5]
図41は、実施例5の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
図41に示すように、実施例5の変形例5のスパイク生成回路118aでは、活性化回路34aは、NFET35d、PFET35e、35fおよびインバータ35gを備えている。NFET35d、PFET35eおよびPFET35fはグランド線26と電源線28との間に直列に接続されている。NFET35dとPFET35eとの間のノードN12はキャパシタC1に接続されている。NFET35dのゲートはソースに接続され、PFET35fのゲートはドレインに接続されている。これにより、NFET35dおよびPFET35fは負荷として機能する。PFET35eのゲートにインバータ35gを介し入力端子Tinが接続されている。
【0222】
キャパシタC1はNFET35dを介してノードN12からグランド線に流れる電流により充電される。入力端子Tinにスパイク信号50が入力するとPFET35eがオンし、ノードN12の電圧を上げる。スパイク信号50の頻度が高ければ、ノードN12(すなわちN1)の電圧は適度に上がるため、ノードN1の電圧は閾値電圧Vthに達し、スパイク信号52が生成される。しかし、スパイク信号50の頻度が低くなると、ノードN12の電圧が低くなり、ノードN1の電圧は閾値電圧Vthに達しなくなる。
【0223】
このように、実施例5の変形例5によれば、活性化回路34aは、入力信号として入力スパイク信号50が入力すると、ノードN1の電圧を高くする。出力端子Toutは、入力スパイク信号50が入力する頻度が所定の頻度より高くなると、スパイク信号52を出力する。
【0224】
実施例5の変形例4および5によれば、抑制回路34および活性化回路34a(入力回路)は入力信号として入力スパイク信号50が入力すると、ノードN1の電圧を高くまたは低くする。反転回路18は、スパイク信号50が入力する頻度が所定範囲になると、スパイク信号52を出力し、所定範囲外のときスパイク信号52を出力しない。このように、スパイク信号50の頻度に基づきスパイク信号52を生成する頻度検出回路を実現できる。
【0225】
[実施例5の変形例6]
図42(a)は、実施例5の変形例6に係るスパイク生成回路の回路図である。
図42(a)に示すように、実施例5の変形例6のスパイク生成回路118bでは、入力回路10は、キャパシタC1とNFET33aを有する。NFET33aのソースはグランド線26に接続され、ドレインはノードN1に接続されている。NFET33aのゲートはソースに接続されている。NFET33aはリーク電流が流れる抵抗として機能する。その他の構成は実施例5の変形例2と同じであり説明を省略する。
【0226】
図42(b)は、実施例5の変形例6のタイミングチャートである。
図42(b)に示すように、入力端子Tinに入力する入力信号は時間に対し電圧が変化する。入力信号の時間に対する変化量が小さいときノードN1の電荷はNFET33aを介しグランド線26に流れるため、ノードN1の電圧はほぼ0である。時刻t31において、入力信号が時間に対し急激に変化すると、ノードN1の電荷はグランド線26に流れきれない。このため、ノードN1の電圧がVthとなり、スパイク信号52が出力される。
【0227】
実施例5の変形例6によれば、入力回路10は、入力信号の時間に対する変化量に応じノードN1の電圧を変化させる。反転回路18は入力信号の時間に対する変化量が所定範囲内のときスパイク信号52を生成し、所定範囲外のときスパイク信号52を生成しない。このように、スパイク信号50の時間に対する変化量に基づきスパイク信号52を生成する回路を実現できる。
【0228】
実施例5およびその変形例のように、スパイク生成回路は、低消費電力で、入力信号の電圧、スパイク信号の頻度、入力信号が入力してからの期間、および入力信号の時間の変化率に基づきスパイク信号52を生成できる。
【実施例6】
【0229】
実施例6は、実施例1から4およびその変形例を用いた情報処理回路の例である。
図43(a)から
図43(c)は、実施例6に係る情報処理回路のブロック図である。
図43(a)に示すように、ノード回路45は、条件設定回路42、スパイク生成回路40およびスパイク処理回路44を備えている。
【0230】
条件設定回路42には、時間tに依存した1または複数の信号V1(t)からV2(t)等が入力する。条件設定回路42は、スパイク生成回路40がスパイク信号を出力する条件を設定する回路であり、入力した信号V1(t)およびV2(t)等からスパイク生成回路40に出力する信号(電圧Vin)を生成する。条件設定回路42は、例えば実施例2から3およびその変形例のような入力回路10を含む。
【0231】
スパイク生成回路40は、例えば実施例2から3およびその変形例のスパイク生成回路である。電圧Vinに基づきスパイク信号52を出力する。
【0232】
スパイク処理回路44は、スパイク信号52を処理する回路であり、インバータまたは2項演算回路等のロジック回路および/またはフリップフロップを含む。スパイク処理回路44は、スパイク信号52を処理しスパイク信号またはL/H(ローレベルおよびハイレベル)信号等の信号44aを出力する。
【0233】
図43(b)に示すように、ノード回路45aから45fは互いに接続されている。ノード回路45aから45dのようにノード回路は多段に接続されていてもよい。ノード回路45bのように、ノード回路45bの出力を複数のノード回路45cおよび45fに分岐してもよい。ノード回路45cのように、複数のノード回路45bおよび45eの出力が入力してもよい。このように、ノード回路45aから45fはネットワークを構成する。
【0234】
図43(c)に示すように、ノード回路45が出力した信号46aがフリップフロップ46に入力される。信号46aは、スパイク信号またはローレベル/ハイレベル信号(すなわちローレベルまたはハイレベルの2値信号)である。フリップフロップ46は、信号46aに基づき、ローレベル/ハイレベル信号である信号46bを出力する。Vg生成回路47は、信号46bに基づきFET48のゲートに出力する信号47aを生成する。Vg生成回路47は、例えばロジック回路および昇圧回路等を含む。FET48は、信号47aに基づきオンまたはオフする。
【0235】
実施例6によれば、条件設定回路42は、入力した信号を処理し、実施例2から3およびその変形例のスパイク生成回路40に出力することで、スパイク生成回路40がスパイク信号を出力する条件を設定する。スパイク処理回路44は、スパイク生成回路40が出力したスパイク信号52を処理する。これにより、様々な情報処理を低消費電力で可能となる情報処理回路が実現できる。このようなノード回路45をネットワーク状に接続する。これにより、さらに様々な情報処理を低消費電力で可能となる情報処理回路が実現できる。
【0236】
条件設定回路42が設定した条件が満たされるイベントが発生した場合、スパイク生成回路40が出力するスパイク信号52は、イベントが発生したことを示すイベント生成情報とイベントが発生した時刻を示すタイミング情報を含むことになる。スパイク信号52は、イベント生成情報とタイミング情報とを含み、次段のスパイク生成回路40またはスパイク処理回路44に伝達される。このように、共通の電源を有する条件設定回路42、スパイク生成回路40およびスパイク処理回路44を相互に直列接続することで、クロック信号を用いることなく任意の情報処理を行うことができる。
【0237】
例えば、ノード回路45のネットワークを形成することで、スパイク生成回路をニューロンとして末梢神経を模倣した情報処理を実現できる。これにより、非常に小さい消費電力の判定回路または制御回路を実現できる。
【実施例7】
【0238】
実施例7は、実施例1から4およびその変形例のスパイク生成回路を実施例6の情報処理回路として電力変換回路に用いる例である。振動により発電する振動発電等の環境発電においては、発電回路からの電流Igenは一定ではなく、刻々と変化する。蓄電回路(例えばキャパシタ)の電圧Vcapは急激には変化できない。よって、蓄電回路の入力インピーダンスZin=Vcap/Igenとなり、電流Igenの変化にともない刻々と変化する。一方、発電回路の出力インピーダンスZoutは一定である。このため、発電回路の出力インピーダンスZoutと蓄電回路の入力インピーダンスZinに不整合が発生してしまう。実施例7では、発電回路と蓄電回路とのインピーダンス整合を小さい消費電力で実現する。
【0239】
図44は、実施例7に係る電力変換回路のブロック図である。
図44に示すように、電力変換回路120は、整流回路62、64、判定回路65および降圧回路66を備えている。電力端子61aおよび61bには発電回路60が接続されている。発電回路60は交流の電力を発電する。電力端子61aおよび61bには整流回路62および64が接続されている。整流回路62および64は、発電回路60の出力電力を整流する。降圧回路66は整流回路62の出力を降圧し、蓄電回路68に出力する。整流回路64は発電回路60の出力電力を整流し蓄電回路68に出力する。蓄電回路68は電力を蓄電する。判定回路65は、整流回路62の出力に基づき、整流回路62と64のいずれを動作させるか判定する。整流回路62を用い整流する場合、判定回路65は、整流回路62および降圧回路66を動作させ、整流回路64を動作させない。整流回路64を用い整流する場合、判定回路65は、整流回路64を動作させ、整流回路62および降圧回路66を動作させない。
【0240】
図45は、実施例7における判定回路の動作を説明する図である。発電回路60の出力インピーダンスZoutは、例えばピエゾ材料やエレクトレット材料を用いた振動発電の場合10Ωから100MΩであるが、ここでは100MΩとする。発電回路60の発電電流を10nAのときと100nAのときを考える。電力変換回路120が電力端子61aおよび61bにおいて電流10nAおよび100nAを1Vで受けると電力変換回路120の入力インピーダンスZinはそれぞれ100MΩおよび10MΩとなる。電力変換回路120が電力端子61aおよび61bにおいて電流10nAおよび100nAを10Vで受けると電力変換回路120の入力インピーダンスZinはそれぞれ1000MΩおよび100MΩとなる。
【0241】
そこで、発電電流が10nAのとき、判定回路65は整流回路64を動作させる。整流回路64は、1Vで整流を行う。これにより、電力変換回路120の入力インピーダンスZinは100MΩとなる。整流した電力は蓄電回路68に蓄電される。発電電流が100nAのとき、判定回路65は整流回路62および降圧回路66を動作させる。整流回路62は、10Vで整流を行う。これにより、電力変換回路120の入力インピーダンスZinは100MΩとなる。降圧回路66は、整流された10Vの電力を1Vに降圧する。降圧された電力は蓄電回路68に蓄電される。
【0242】
このように、発電回路60の出力インピーダンスZoutと電力変換回路120の入力インピーダンスZinを整合させることができる。
【0243】
以下、実施例7の具体例を説明する。整流回路62としてダイオードブリッジ回路を用いる。整流回路62は高電圧(例えば10V)を整流するため、ダイオードのターンオン電圧による電力消費は少ない。整流回路64は低電圧を整流するため、ブリッジ回路を用いるとダイオードのターンオン電圧により消費電力が大きくなる。そこで、整流回路64として同期整流回路を用いる。
【0244】
以下の回路図内の記号について説明する。
図46(a)から
図46(c)は、実施例7におけるスパイク生成回路の記号を示す図である。
図46(a)に示すように、スパイク生成回路74aの下の端子は入力端子75aであり、上の端子は出力端子76aである。スパイク生成回路74aは実施例5の電圧判定回路である。円内の8Vは、閾値電圧Vinthが8Vであることを示している。
【0245】
図46(b)に示すように、スパイク生成回路74bの下の端子は入力端子75bであり、上の端子は出力端子76bである。スパイク生成回路74bは実施例5の変形例1の遅延回路である。円内の100nsは、遅延時間が100nsであることを示している。
【0246】
図46(c)に示すように、スパイク生成回路74cの下の端子は入力端子75cであり、上の端子は出力端子76cである。スパイク生成回路74cは実施例5の変形例2の頻度低下検出回路である。円内のLKは、頻度低下検出回路であることを示している。
【0247】
図47(a)から
図47(c)は、実施例7におけるフリップフロップ回路の動作を示す図である。
図47(a)に示すように、フリップフロップ回路(FF)70は、入力端子71a、71b、出力端子72aおよび72bを備えている。
【0248】
図47(b)に示すように、入力端子71aに信号73が入力すると、FF回路70は出力端子72aにローレベルを、出力端子72bにハイレベルを出力する。信号73は、正方向のスパイク信号またはハイレベルの信号である。FF回路70は、次に入力端子71bに信号73が入力するまで、出力端子72aをローレベルに、出力端子72bをハイレベルに維持する。
【0249】
図47(c)に示すように、入力端子71bに信号73が入力すると、FF回路70は出力端子72aにハイレベルを、出力端子72bにローレベルを出力する。FF回路70は、次に入力端子71aに信号73が入力するまで、出力端子72aをハイレベルに、出力端子72bをローレベルに維持する。
【0250】
[判定回路]
図48は、実施例7における判定回路の回路図である。
図49は実施例7における時間に対する判定回路の各ノードの電圧を示す図である。
図48および
図49に示すように、ノードB1は整流回路62の出力である。ノードB4は降圧動作スパイクを出力する。ノードB28は降圧回路66の動作を停止させかつ整流回路64の動作を開始させる切替スパイク信号を出力する。ノードB29は、整流回路62および降圧回路66を動作させるときハイレベルでありかつ整流回路64を動作させるときローレベルとなる切替信号を出力する。
【0251】
時刻t01において、整流回路62および降圧回路66が動作しており、整流回路64が停止している。ノードB4、B26、B27およびB28の電圧はローレベルであり、B29の電圧はハイレベルである。整流回路62の出力ノードB1の電圧が8V以上となると、スパイク生成回路X4はノードB4に降圧動作スパイク信号としてスパイク信号80を出力する。発電回路60が出力する電流が小さくなると、ノードB1の電圧が8V以上となる回数が減ってくる。ノードB4のスパイク信号80の頻度が低下する。ノードB4のスパイク信号80の頻度が所定以下に低下すると、スパイク生成回路X38は、時刻t02においてノードB26にスパイク信号81を出力する。スパイク信号81が入力したFF回路X40はノードB27にハイレベルを出力する。これにより、スパイク生成回路X41の入力はローレベルからハイレベルとなる。スパイク生成回路X41は、ノードB27がハイレベルとなってから100ns後の時刻t03にノードB28にスパイク信号82を出力する。スパイク信号82が入力したFF回路X40はノードB27をハイレベルからローレベルにする。スパイク信号82が入力したFF回路X37はノードB29をローレベルとする。
【0252】
以上のように発電回路60の発電電流が小さくなると、ノードB1が8V以上となる頻度が減り、ノードB28に切替スパイク信号が出力される。また、ノードB29の切替信号がローレベルとなる。このように、低消費電力のスパイク生成回路を用い、切替スパイク信号および切替信号を生成できる。
【0253】
ノードB1の電圧が所定電圧以上か以下かを判定する判定回路は、コンパレータ等を用い実現できる。しかしながら、判定回路にコンパレータを用いると消費電力が大きくなる。実施例7では、判定回路を実施例2から3およびその変形例を用い実現するため、消費電力を低減できる。
【0254】
[整流回路62]
図50は、実施例7における整流回路62を示す回路図である。
図50に示すように、NFETm1からm4はゲートがドレインに接続されておりダイオードとして機能する。整流回路62はダイオードブリッジ回路である。ダイオードブリッジ回路の入力端子は電力端子61aおよび61bに接続される。電力端子61aおよび61bには発電回路60に相当する、交流電流I1の電流源と10MΩが、接続される。ダイオードブリッジ回路の出力は
図48のノードB1(後述する
図51(a)のノードAに相当する)に接続されている。
【0255】
[降圧回路]
図51(a)から
図51(c)は、実施例7における降圧回路の模式図である。
図51(a)に示すように、整流回路62の出力はノードAである。ノードAとグランドとの間にキャパシタC1およびPFETM4が直列に接続されている。キャパシタC1は一次キャパシタである。PFETM4はスイッチである。ノードAとグランドとの間にインダクタL1およびキャパシタC4が直列に接続されている。キャパシタC4は2次キャパシタであり、蓄電回路68に相当する。インダクタL1とキャパシタC4との間にスイッチとしてNFETM3が接続されている。キャパシタC1とインダクタL1との間のノードとグランドとの間にスイッチとしてNFETM2が接続されている。
【0256】
キャパシタC1およびC4の容量値をそれぞれ100pFおよび10nFとし、インダクタL1のインダクタンスを0.3nHとする。NFETM4のオン抵抗(例えば10kΩ)の電圧降下が無視できるようにこれらの値を設定した。これらの値は適宜設定できる。
【0257】
降圧回路66の動作時においてNFETM3はオンである。ノードAの電圧が低下すると、PFETM4がオンしNFETM2がオフする。これにより、
図51(b)のように、キャパシタC1に蓄電されていた電荷が電流IaとしてインダクタL1を通過しキャパシタC4に充電される。このとき、インダクタL1には磁束エネルギーが蓄積される。
【0258】
キャパシタC1内の電荷が少なくなると、PFETM4がオフしNFETM2がオンする。
図51(c)のように、インダクタL1の磁束エネルギーが電流Ibを流し、キャパシタC4に蓄電される。これにより、インダクタL1の磁束エネルギーがキャパシタC4に回収される。
【0259】
例えば、キャパシタC1およびC4の充電時の電圧をそれぞれ10Vおよび1Vとすると、キャパシタC4にはキャパシタC1の10倍の電荷が蓄積されることになる。
図51(b)では、キャパシタC1に蓄積されていた電荷がキャパシタC4に充電される。このとき、インダクタL1の磁束エネルギーとしてエネルギーを蓄積する。
図51(c)では、磁束エネルギーとして蓄積されていたエネルギーを電流Ibに変えキャパシタC4を充電する。これにより、キャパシタC1に蓄積されていた電荷の約10倍の電荷をキャパシタC4に蓄積できる。
【0260】
図52は、実施例7における降圧回路の回路図である。
図53は、実施例7における時間に対する降圧回路の各ノードの電圧を示す図である。
図52および
図53に示すように、時刻t11からt12では、ノードAの電圧は8Vに達していない。この間、ノードOはローレベルである。ノードOがローレベルのときNFETM3はオフし、ノードOがハイレベルのときNFETM3はオンする。よって、時刻t11とt12の間では、NFETM3はオフする。インダクタL1を右方向に通過する電流I_L1は0である。整流回路62の出力はキャパシタC1を充電し、ノードAの電圧が高くなっていく。
【0261】
NFETM3の動作について説明する。NFETM3およびM7の閾値電圧を0.4Vとする。NFETM7はノードOからRの方向が順方向のダイオードとして機能する。ノードOがローレベルのとき、NFETM3のゲートの電圧は、キャパシタC4の一端のノードRの電圧よりダイオードのターンオン電圧に相当する約-0.3V低くなる。よって、NFETM3はオフする。
【0262】
時刻t12において、ノードAの電圧が8Vを越えると、判定回路65は降圧動作スパイク信号80をノードBに出力する。FF回路X24はノードOにハイレベルを出力する。NFETM3のゲートは、ノードRの電圧より約+0.7V高くなり、NFETM3はオンする。これにより、インダクタL1に電流I_L1が流れ始める。
【0263】
さらに、時刻t12において、FF回路X21のノードBに降圧動作スパイク信号80が入力する。FF回路X21はノードCにハイレベルを出力し、キャパシタC2の一端にローレベルを出力する。スパイク生成回路X28はノードCがハイレベルとなった時刻t12から1μs後の時刻t13にノードEにスパイク信号83を出力する。これにより、時刻t13においてFF回路X21はノードCにローレベルを出力し、キャパシタC2の一端にハイレベルを出力する。これにより、ノードCは時刻t12とt13の間の1μsの期間においてハイレベルとなり、他の期間においてローレベルとなる。
【0264】
ノードDはダイオードとして機能するNFETM6を介しグランドに接続されている。これにより、ノードDは時刻t12とt13の間において負の電圧となり、他の期間(時刻t13以降を含む)において0Vとなる。これにより、ゲートがノードDに接続されたPFETM4は時刻t12とt13の間においてオンする。これにより、PFETM4およびNFETM3がともにオンし、
図51(b)の接続関係となる。キャパシタC1に充電されていた電荷が電流I_C1としてノードAに流れる。電流I_C1はインダクタL1を通過する電流I_L1となり、キャパシタC4を充電する。
【0265】
NFETM1のゲートはFF回路X22の出力に接続されている。NFETM1は降圧回路66を動作させるスイッチであるが、説明を省略する。NFETM10およびM11は、ノードAが負に大きな電圧となって回路を破壊するのを防ぐための、電圧リミッタとして機能する。
【0266】
時刻t13において、スパイク信号83がFF回路X34に入力すると、FF回路X34はノードFをハイレベルとする。スパイク生成回路X32はノードFがハイレベルとなった時刻t13から1μs遅延した時刻t14にノードGにスパイク信号84を出力する。時刻t13とt14の間において、ノードFはハイレベルでありノードHはローレベルのため、XOR回路X23はノードGateにハイレベルを出力する。時刻t14においてスパイク信号84がFF回路X26に入力すると、FF回路X26はノードHにハイレベルを出力する。これにより、時刻t14とt15との間において、XOR回路X23はノードGateにローレベルを出力する。
【0267】
インバータX35はノードGateの信号を反転しキャパシタC5の一端に出力する。キャパシタC5の他端に接続されたノードIはダイオードとして機能するNFETM8を介しグランドに接続されている。このため、ノードIの電圧は、ノードGateがローレベルのとき0V、ノードGateがハイレベルのとき負電圧となる。すなわち時刻t13とt14との間においてノードIは負電圧となり、時刻t14とt15との間においてノードIは0Vとなる。
【0268】
ゲートがノードGateに接続されたNFETM2およびゲートがノードIに接続されたPFETM5は、時刻t13とt14との間においてオンし、時刻t14とt15との間においてオフする。
【0269】
時刻t13とt14の間において、PFETM4はオフし、PFETM5およびNFETM3がオンする。よって、
図51(b)の接続関係となる。時刻t13とt14の間において、インダクタL1を流れる電流I_L1に相当する電流I_M5がPFETM5を流れ、キャパシタC4が充電される。
【0270】
NOR回路X29はノードCとノードGateのNORをPFETM9のゲートに出力する。PFETM9のドレインは1Vの定電圧源V22に接続されている。ノードCとノードGateがともにローレベルの期間においてPFETM9はオフし、他の期間においてPFETM9はオンする。これにより、時刻t13とt14との間においてPFETM9はオンしノードJはハイレベル(1V)となる。キャパシタC6は一端がノードAに接続され、他端がノードJに接続されている。時刻t13とt14の間においてキャパシタC6はノードAとJとの電位差で充電される。時刻t14とt15との間においてキャパシタC6に充電されていた電荷が放電されるとノードJは負電圧となる。
【0271】
インバータX36はノードJの電圧を反転しノードKに出力する。スパイク生成回路X30はノードKの電圧が0.5V以上になるとスパイク信号85をノードLに出力する。OR回路X31はノードLとノードNのORをFF回路X26に出力する。時刻t15において、ノードJの電圧が約-0.5V以下となると、ノードKの電圧は+0.5V以上となる。スパイク生成回路X30がスパイク信号85を出力するとOR回路X31はFF回路X26にスパイク信号85を出力する。これにより、FF回路X26はノードHをローレベルとする。ノードGateはハイレベルとなる。
【0272】
このように、ノードGateは、1μsの期間ハイレベルとなり、PFETM9がオフしてからノードJが約-0.5V以下となるまでの期間ローレベルとなる。インダクタL1の電流I_L1が流れている間は、ノードGateはハイレベルとローレベルとを繰り返す。
【0273】
インダクタL1に蓄積されている磁束エネルギーが小さくなるとインダクタL1を流れる電流I_L1は徐々に小さくなる。時刻t16において、電流I_L1がほぼ0となる。ノードAの電圧は1V程度に低下するため、キャパシタC6はほとんど充電されていない。このため、時刻t16においてPFETM9がオフしてもノードJは長時間約-0.5V以下とならない。このため、ノードKは+0.5V以上とならず、スパイク生成回路X30はスパイク信号85を出力しない。時刻t16にノードHの電圧がハイレベルとなってから100ns経過した時刻t17において、スパイク生成回路X27はスパイク信号86をノードNに出力する。これにより、FF回路X24がノードOにローレベルを出力する。NFETM3がオフし、降圧回路66の降圧動作が終了する。
【0274】
図54は、実施例7における時間に対するノードAおよびRの電圧を示す図である。
図53は例えば
図54内の範囲RE内の動作を示している。
図54に示すように、整流回路62が動作し始めると、キャパシタC1に電荷が蓄積されノードAの電圧が上昇する。ノードAの電圧が8V以上となると、
図53の時刻t11からt17の間の降圧動作が開始される。ノードAの電圧は低下し、ノードRの電圧が上昇する。ノードAの電圧が1V程度となると、降圧動作が終了する。キャパシタC1に電荷が蓄積されノードAの電圧が上昇する。このように、降圧動作を行うたびにノードRの電圧が上昇し、キャパシタC4が充電される。
【0275】
降圧回路のNFETM3、PFETM4およびM5のオンおよびオフを制御する制御回路にコンパレータ等を用いると消費電力が大きくなる。実施例7のように、NFETM3、PFETM4およびM5のオンおよびオフの制御にスパイク生成回路を用いることにより、低消費電力で降圧動作が可能となる。
【0276】
[同期整流回路]
図55(a)から
図55(c)は、実施例7における同期整流回路の模式図である。
図55(b)および
図55(c)では電気的な接続を実線で示し、電気的な遮断を破線で示す。
【0277】
図55(a)に示すように、同期整流回路64では、電力端子61aは、パスゲートX9を介しキャパシタC4の正側端子68aに接続され、パスゲートX10を介しキャパシタC4の負側端子68b(例えばグランド)に接続されている。電力端子61bは、パスゲートX12を介しキャパシタC4の正側端子68aに接続され、パスゲートX11を介しキャパシタC4の負側端子68bに接続されている。
【0278】
パスゲートX9およびX11は、電圧V3およびV4がそれぞれローレベルおよびハイレベルのときオンし、電圧V3およびV4がそれぞれハイレベルおよびローレベルのときオフする。パスゲートX10およびX12は、電圧V3およびV4がそれぞれハイレベルおよびローレベルのときオンし、電圧V3およびV4がそれぞれローレベルおよびハイレベルのときオフする。
【0279】
図55(b)に示すように、電力端子61aが61bに対し正の電圧のとき、電圧V3およびV4をそれぞれローレベルおよびハイレベルとする。これにより、電力端子61aはキャパシタC4の正側端子68aに接続され負側端子68bから遮断される。電力端子61bはキャパシタC4の負側端子68bに接続され正側端子68aから遮断される。
【0280】
図55(c)に示すように、電力端子61aが61bに対し負の電圧のとき、電圧V3およびV4をそれぞれハイレベルおよびローレベルとする。これにより、電力端子61aはキャパシタC4の負側端子68bに接続され正側端子68aから遮断される。電力端子61bはキャパシタC4の正側端子68aに接続され負側端子68bから遮断される。以上により、交流電力を整流しキャパシタC4に充電できる。
【0281】
図56は、実施例7における同期整流回路の回路図である。
図57は、実施例7における時間に対する同期整流回路の各ノードの電圧を示す図である。
図56および
図57に示すように、時刻t21以降に発電回路60から交流電流I1が電力端子61aおよび61bに入力する。電力端子61aおよび61b間の終端抵抗は100MΩである。
【0282】
スパイク生成回路X5は自発的に1msごとにスパイク信号87を電圧V0として出力する。時刻t22においてスパイク信号87が出力されると、FF回路X2は電圧V5およびV6をそれぞれハイレベルおよびローレベルとする。これにより、パスゲートX13およびX15がオフし、パスゲートX7およびX8がオンする。時刻t22では電力端子61aおよび61bはそれぞれ正電圧および負電圧のため、パスゲートX13およびX15がオフすると、発電回路60から入力する電流により電圧V1が上昇し、電圧V2が下降する。
【0283】
電圧V1が0.5V以上となると、時刻t23においてスパイク生成回路X3は電圧V10にスパイク信号88を出力する。スパイク生成回路X4はスパイク信号を出力しない。OR回路X6は、FF回路X2にスパイク信号88を出力する。これにより、FF回路X2は、電圧V5およびV6をそれぞれローレベルおよびハイレベルとする。パスゲートX13およびX15がオンし、パスゲートX7およびX8がオフする。時刻t22とt23との間は例えば10nsである。
【0284】
時刻t23において、スパイク生成回路X3が出力したスパイク信号88がFF回路X1に入力すると、FF回路X1は電圧V3およびV4をそれぞれハイレベルおよびローレベルとする。パスゲートX9およびX11がオンし、パスゲートX10およびX12がオフする。これにより、時刻t23から時刻t25までの期間において、
図55(b)のように、電力端子61aおよび61bはキャパシタC4のそれぞれ正側端子68aおよび負側端子68bに接続される。時刻t23と時刻t25の間において、時刻t23とt24の間のようにパスゲートX13およびX15がオンすると、キャパシタC4の電流I_C4が流れ、キャパシタC4が充電される。
【0285】
その後、時刻t25までは、スパイク生成回路X3がスパイク信号88を出力し、スパイク生成回路X4はスパイク信号を出力しないため、FF回路X1は電圧V3およびV4をそれぞれローレベルおよびハイレベルに維持する。
【0286】
時刻t25において、電力端子61aおよび61bがそれぞれ負電圧および正電圧となる。パスゲートX13およびX15がオフすると、発電回路60から入力する電流により電圧V2が上昇し、電圧V1が下降する。電圧V2が0.5V以上となると、時刻t26においてスパイク生成回路X4は電圧V11にスパイク信号89を出力する。スパイク生成回路X3はスパイク信号を出力しない。
【0287】
スパイク生成回路X4が出力したスパイク信号89がFF回路X1に入力すると、FF回路X1は電圧V3およびV4をそれぞれハイレベルおよびローレベルとする。パスゲートX9およびX11がオフし、パスゲートX10およびX12がオンする。これにより、時刻t26から時刻t28までの期間において、
図55(c)のように、電力端子61aおよび61bはキャパシタC4のそれぞれ負側端子68bおよび正側端子68aに接続される。時刻t26と時刻t28の間において、時刻t26とt27との間のようにパスゲートX13およびX15がオンすると、キャパシタC4の電流I_C4が流れ、キャパシタC4が充電される。その後、電力端子61aおよび61bがそれぞれ正電圧および負電圧となると、時刻t22から繰り返す。
【0288】
図58は、実施例7における時間に対する同期整流回路によるキャパシタの充電電圧を示す図である。発電回路60からの電流を最大振幅が10nAの交流電流としてキャパシタC4の電圧をシミュレーションした。
図58に示すように、最大振幅が10nAという非常に小さい電流でもキャパシタC4が充電され、キャパシタC4の電圧が上昇している。
【0289】
同期整流回路のパスゲートX9からX12のオンおよびオフを制御する制御回路にコンパレータ等を用いると消費電力が大きくなる。実施例7のように、パスゲートX9からX12のオンおよびオフの制御にスパイク生成回路を用いることにより、低消費電力で同期整流が可能となる。
【0290】
実施例7の電力変換回路についてシミュレーションを行った。シミュレーションした回路は、説明した判定回路65、整流回路62、64、降圧回路66および蓄電回路68を含む回路であり、18個のスパイク生成回路、17個のFF回路を含み、FETを約340個含む。
【0291】
図59は、実施例7における時間に対する発電電流およびキャパシタの電圧を示す図である。
図59に示すように、発電回路60は、期間T1およびT3において最大振幅が500nAの交流電流I1を発電し、期間T2において最大振幅が40nAの交流電流I1を発電する。期間T1では判定回路65は整流回路62および降圧回路66を動作させる。これにより、蓄電回路68のキャパシタC4の電圧が高くなり、蓄電回路68に蓄電されている。
【0292】
期間T2となると、発電回路が発電する電流I1が小さくなるため、整流回路62の入力インピーダンスは発電回路60の出力インピーダンスより高くなる。このため、判定回路65は整流回路62から同期整流回路64に自発的に切り替える。これにより、同期整流回路64の入力インピーダンスと発電回路60の出力インピーダンスがほぼ整合する。よって、期間T2の矢印58のように、蓄電回路68に蓄電される。
【0293】
期間T3となると、発電回路が発電する電流I1が大きくなるため、同期整流回路64の入力インピーダンスは発電回路60の出力インピーダンスより低くなる。このため、判定回路65は同期整流回路64から整流回路62に自発的に切り替える。これにより、整流回路62の入力インピーダンスと発電回路60の出力インピーダンスがほぼ整合する。よって、期間T3では、蓄電回路68に蓄電される。
【0294】
電力変換回路120の制御にスパイク生成回路およびFF回路を用いることで、電力変換回路の制御のための電力を1nW以下にできる。この制御電力は、同様の電力変換回路を制御IC(Integrated Circuit)等を用い実現する場合より3桁小さい電力である。よって、発電回路60が発電する電力が数nWと微小であっても、蓄電可能な電力変換回路を実現できる。
【0295】
実施例7によれば、
図44のように、整流回路62および64は、入力した電力を整流する。判定回路65は、
図48のように、実施例1から3およびその変形例のスパイク生成回路を含み、整流回路62および64のいずれか一方に電力を整流させる。実施例
1から3およびその変形例のスパイク生成回路を用いることにより、低消費電力の判定回路65を実現できる。このため、nW程度の微小電力を整流できる。
【0296】
降圧回路66では、NFETM3からM5(スイッチ素子)のオンおよびオフを制御する制御回路は、実施例2から3およびその変形例のスパイク生成回路を含む。同期整流回路64では、パスゲートX9からX12(スイッチ素子)のオンおよびオフを制御する制御回路は、実施例2から4およびその変形例のスパイク生成回路を含む。これにより、低消費電力の制御回路を実現できる。
【0297】
実施例1から3およびその変形例のスパイク生成回路を用いる電力変換回路として、降圧回路66および同期整流回路64を例に説明したが、電力変換回路は、他の回路構成の降圧回路、昇圧回路、直流-交流電力変換回路または交流-直流電力変換回路でもよい。
【実施例8】
【0298】
実施例8およびその変形例1は、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路を閾値判別回路(電圧判定回路)に用いる例である。実施例1~4、8およびその変形例において、単発のスパイク信号とは、スパイク信号のパルス幅に対しスパイク信号の間隔が十分に広い信号であり、例えばスパイク信号の間隔に対しパルス幅は1/10以下であり、1/100以下である。
【0299】
図60(a)は、実施例8に係るスパイク生成回路の回路図である。
図60(a)に示すように、スパイク生成回路151は、入力回路10および出力回路150を備えている。入力回路10は電圧変換回路30aおよびキャパシタC1を有する。電圧変換回路30aは素子37a、37bおよび抵抗37cを有する。素子37aおよび37bは入力端子Tinとグランド線26との間に直列に接続されている。素子37aと37bとの間のノードN11と入力回路10の出力ノードNoとの間に抵抗37cが接続されている。キャパシタC1は出力ノードNoとグランド線26との間に接続されている。
【0300】
出力回路150は、例えば実施例1およびその変形例のスパイク生成回路130から136である。入力回路10の出力ノードNoは出力回路150の中間ノードNiに接続されている。
【0301】
入力端子Tinに入力した入力信号の電圧は素子37aおよび37bにより分割され、分割された電圧がノードN11に出力され出力ノードNoに出力される。このように、実施例5およびその変形例1と同様に電圧変換回路30aが入力信号の電圧を変換する。このため、出力回路150は、入力信号の電圧が所定電圧以上のとき単発のスパイク信号を出力し、入力信号の電圧が所定電圧未満のときスパイク信号を出力しない。または、出力回路150は、入力信号の電圧が所定電圧以下のとき単発のスパイク信号を出力し、入力信号の電圧が所定電圧より大きいときスパイク信号を出力しない。
【0302】
素子37aおよび37bは入力信号の電圧を分割する素子であればよく、例えば、抵抗、ダイオードまたはトランジスタを用いることができる。また、素子37aは定電流素子として機能してもよい。
【0303】
素子37aおよび37bの寄生容量が大きいと、波形のきれいなスパイク信号が生成されないことがある。そこで、抵抗37cを設けることで、出力回路150から素子37aおよび37bの寄生容量を見えにくくできる。よって、波形のきれいなスパイク信号を生成できる。素子37aおよび37bの出力回路150への影響を小さくするため、キャパシタC1の容量値と抵抗37cの抵抗値との積は出力回路150が出力するスパイク信号の幅より大きいことが好ましい。
【0304】
[実施例8の変形例1]
図60(b)は、実施例8の変形例1に係るスパイク生成回路の回路図である。
図60(b)に示すように、スパイク生成回路153では、電圧変換回路30cはダイオード37e、37gおよびFET37fを有する。ダイオード37gは入力端子TinとノードN11との間に順方向に2個接続され、ダイオード37eはノードN11とグランド線26との間に順方向に接続されている。ダイオード37eおよび37gはFETのゲートをソースに接続したトランジスタダイオードでもよい。入力端子Tinに入力された入力信号はダイオード37gと37eとで抵抗分割される。
【0305】
FET37fのソースおよびドレインのいずれか一方はノードN11に接続され、ソースおよびドレインの他方はノードNoに接続されている。ゲートは電源線28に接続されている。FET37fは抵抗として機能する。その他の構成は実施例8と同じであり説明を省略する。
【0306】
各ダイオード37eおよび37gの両端に加わる電圧がダイオードの順方向電圧(電圧降下)より十分小さければ、各ダイオード37eおよび37gを流れる電流は非常に小さいため、電圧変換回路30cにおいて消費される電力をnW以下とすることができる。例えば入力信号の最大電圧が1Vのとき、ダイオード37eおよび37gの順方向電圧を0.8V程度とすると、ダイオード37eおよび37gを流れる電流は非常に小さくなる。
【0307】
各ダイオード37eおよび37gが逆方向接続されていてもよい。しかし、ダイオードの順方向電流は素子によるばらつきが小さく、逆方向電流は素子によるばらつきが大きい。このため、ダイオード37eおよび37gを順方向接続することが好ましい。実施例8の素子37aおよび37bとして抵抗素子を用いてもよい。しかし、高抵抗な抵抗素子は作製しにくい。よって、実施例8の変形例1のように、順方向接続されたダイオード37eおよび37gを用いることが好ましい。
【0308】
実施例8の抵抗37cを抵抗素子で形成すると、高抵抗の抵抗37cを作製しにくい。FET37fのオン抵抗を抵抗37cとして用いることで、適切な抵抗値の抵抗37cを実現できる。例えばFET37fをPFETとし、電源線28の電圧が1Vとのき、FET37fの閾値電圧を0.8程度とすると、FET37fのソースとドレインとの間の抵抗は1MΩ以上となる。
【0309】
実施例8の変形例1のスパイク生成回路におけるスパイク信号をシミュレーションした。
図61(a)および
図61(b)は、シミュレーションに用いたそれぞれ実施例8の変形例1Aおよび1に係るスパイク生成回路の回路図である。
【0310】
図61(a)に示すように、実施例8の変形例1Aの電圧変換回路30dはFET37fを有しておらず、ノードN11とNoとに間は直結されている。出力回路150の回路は、PFET14とPFET13bの接続が逆になっている以外は実施例3の
図8のスパイク生成回路と同じである。
【0311】
図61(b)に示すように、実施例8の変形例1では、電圧変換回路30cはFET37fを有している。出力回路150の回路構成は実施例8の変形例1Aの
図61(a)と同じである。シミュレーションではキャパシタC1およびC2の容量値をそれぞれ2fFおよび4fFとした。各FETの条件、電源線28およびグランド線26の電圧は実施例3のシミュレーションと同じである。
【0312】
図62(a)から
図62(d)は、実施例8の変形例1Aのシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
図62(a)は、時間に対する出力端子Toutの電圧、
図62(b)は、時間に対する入力端子TinおよびノードN1の電圧を示す図である。
図62(c)および
図62(d)は、スパイク信号を出力する時間付近における
図62(a)および
図62(b)の拡大図である。
【0313】
図62(b)に示すように、時間に対し入力端子Tinの電圧を徐々に増加させる。時間に対しノードN1の電圧が徐々に増加する。ノードN1の電圧が閾値電圧である0.5Vとなると、
図62(a)のようにスパイク信号52が出力される。
【0314】
図62(c)のように、スパイク信号52の立ち上がりが緩やかであり、スパイク信号52の波形が崩れている。また、スパイク信号52の高さは1Vに達していない。
図62(d)のように、ノードN1の電圧は0.5V付近であり
図9(b)のような正常なスパイク信号52を生成するときの電圧と異なる。実施例8の変形例1Aでは、ダイオード37eおよび37gの寄生容量が出力回路150に影響し、正常なスパイク信号52が生成されないと考えられる。
【0315】
図63(a)から
図63(d)は、実施例8の変形例1のシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
図63(a)は、時間に対する出力端子Toutの電圧、
図63(b)は、時間に対する入力端子TinおよびノードN1の電圧を示す図である。
図63(c)および
図63(d)は、スパイク信号を出力する時間付近における
図63(a)および
図63(b)の拡大図である。
【0316】
図63(a)および
図63(b)に示すように、時間に対する入力端子Tin、ノードN1および出力端子Toutの電圧の振る舞いは実施例8の変形例1Aとほぼ同じである。
【0317】
図63(c)のように、実施例8の変形例1では、スパイク信号52の立ち上がりは急峻であり、スパイク信号52の波形は
図9(a)とほぼ同じである。スパイク信号52の高さは1Vに達している。
図63(d)のように、ノードN1の電圧は0.8Vを越えた後0.2V以下に低下しており、
図9(b)のノードN1の電圧の振る舞いと同じである。このように、実施例8の変形例1では、抵抗37cとしてFET37fを用いることで、ダイオード37eおよび37gの寄生容量が出力回路150に影響することを抑制し、正常なスパイク信号52が生成される。
【0318】
実施例8によれば、キャパシタC1の一端がノードN1(中間ノード)に接続され、他端がグランド線26(第1基準電位端子)に接続されている、電圧変換回路30aは、入力端子Tinとグランド線26(第2基準電位端子)との間に直列に接続された素子37a(第1素子)と素子37b(第2素子)と、一端が素子37aと37bとの間のノードN11に接続され、他端がノードNo(出力ノード)に接続された抵抗37cと、を備える。抵抗37cにより出力回路150の素子37aおよび37bの寄生容量の影響を抑制できる。よって、適切な波形のスパイク信号52を生成できる。ノードN11とNoとの間に接続される抵抗37cは実施例8の変形例1の
図60(b)のようなFET37fでもよい。このように、抵抗37cはリアクタンス成分がほとんどなく、両端の電圧差に対しほぼ線形的に増加する電流を流す素子(これを抵抗素子と呼ぶ)であればよい。
【0319】
抵抗37cの抵抗値とキャパシタC1の容量値の積はスパイク信号52の幅より大きいことが好ましい。抵抗37cの抵抗値とキャパシタC1の容量値の積はスパイク信号52の幅の10倍以上がより好ましく、50倍以上がさらに好ましい。
【0320】
実施例8およびその変形例1では、出力回路150は、入力信号の電圧が所定電圧以下のときにスパイク信号52を出力しない閾値判別回路の例である。実施例8およびその変形例1の電圧変換回路30aおよび30cを実施例5の変形例1の
図35の電圧変換回路30と置き換えることにより、入力信号の電圧が所定電圧以上のときにスパイク信号52を出力しない閾値判別回路を実現できる。
【0321】
実施例5およびその変形例1並びに実施例8およびその変形例1では、出力回路として、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路を用いたが、出力回路150は、ノードNi(中間ノード)が所定電位になることに対応して出力端子Toutに単発の出力スパイク信号52を出力しかつノードNiの電圧をリセットし、入力信号の電圧が所定範囲内のときスパイク信号52を出力しない出力回路であればよい。
【0322】
[実施例8の変形例2]
実施例8の変形例2から5は、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路を遅延回路に用いる例である。
図64(a)は、実施例8の変形例2に係るスパイク生成回路の回路図である。
図64(a)に示すように、スパイク生成回路154は、時定数回路32として、定電流素子または定電流回路33bおよびキャパシタC1を有する。時定数回路32により、スパイク生成回路154は実施例5の変形例3と同様に遅延回路として機能する。定電流素子または定電流回路33bは、両端の電圧差に対応する定電流を生成する素子または回路である。
【0323】
定電流素子または定電流回路33bの好ましい回路構成は、時定数回路32の時定数に依存する。以下、定電流素子または定電流回路33bの好ましい回路を実施例8の変形例3から6として説明する。
【0324】
[実施例8の変形例3]
実施例8の変形例3は、時定数回路32の時定数を長くする例であり、時定数を例えば1m秒以上とする例である。
図64(b)は、実施例8の変形例3に係るスパイク生成回路の回路図である。
図64(b)に示すように、時定数回路32の定電流素子または定電流回路として逆方向に接続されたダイオード33cを用いる。ダイオード33cの逆方向電流は小さいため、時定数を長くできる。ダイオード33cの逆方向電流はダイオード33cの両端の電圧が変化しても順方向電流ほど電流は変化しない。よって、キャパシタC1が充電されてノードNoの電圧が上昇しても、ダイオード33cの電流値が減少して充電が途中で止まることはなく、ダイオード33cの電流値とキャパシタC1のキャパシタンスの大きさとで時定数を設計することができる。出力回路150内のFETの閾値電圧がばらつくことに起因して、ノードNiの次段のインバータの閾値電圧がばらついても、時定数回路32の時定数の変化を小さくできる。ダイオード33cはFETのゲートをソースに接続したトランジスタダイオードでもよい。
【0325】
[実施例8の変形例4]
実施例8の変形例4は、時定数回路32の時定数を短くする例であり、時定数を例えば1μ秒以下とする例である。
図64(c)は、実施例8の変形例4に係るスパイク生成回路の回路図である。
図64(c)に示すように、スパイク生成回路158では、時定数回路32の、定電流素子または定電流回路としてPFET33dを用いる。PFET33dのゲートはグランド線26に接続され、PFET33dはオン状態である。FETのオン電流を定電流素子の定電流として用いることにより、時定数回路32の時定数を短くできる。また、FETのオン電流はFETの両端の電圧が変化しても大きくは変化しない。よって、キャパシタC1が充電されてノードNoの電圧が上昇しても、PFET33dの電流値が減少して充電が途中で止まることはなく、PFET33dの電流値とキャパシタC1のキャパシタンスの大きさとで時定数を設計することができる。PFET33dはNFETでもよい。
【0326】
PFET33dを流れる電流がノードNiをリセットする電流(例えばノードNiの次段のインバータのNFFETを流れる電流)より大きい場合、ノードNiをリセットできなくなる。よって、PFET33dを流れる電流は出力回路150のノードNiをリセットするときの電流)より十分小さいことが好ましい。
【0327】
[実施例8の変形例5]
実施例8の変形例5は、時定数回路32の時定数を中程度とする例であり、時定数を例えば10n秒~10m秒とする例である。
図65は、実施例8の変形例5に係るスパイク生成回路の回路図である。
図65に示すように、時定数回路32の定電流回路33eは、カレントミラー回路36、ダイオード36cおよび36dを備えている。カレントミラー回路36はPFET36aおよび36bを備えている。FET36aのゲートとFET36bのゲートは接続されている。FET36aのゲートとドレインは接続されている。FET36bのソースは入力端子Tinに、ドレインはノードNoに接続されている。ダイオード36cは、入力端子TinとFET36aのソースとの間に順方向に接続されている。すなわち、アノードおよびカソードはそれぞれ入力端子TinおよびFET36aのソースに接続されている。ダイオード36dは、FET36aのドレインとグランド線26との間に逆方向に接続されている。すなわち、アノードおよびカソードはそれぞれグランド線26およびFET36aのドレインに接続されている。
【0328】
時定数回路32では、入力端子TinとPFET36aとの間にダイオード36cが順方向に接続されている。このため、PFET36aのソースの電圧は、PFET36bのソースの電圧よりダイオード36cの電圧降下Va低くなる。これにより、PFET36bにはダイオード36dの逆方向電流に対しVaに相当する分大きな電流が流れる。例えば、PFET36bにはダイオード36dの電流の1桁~6桁程度大きな電流が流れる。
【0329】
これにより、定電流回路33eは実施例8の変形例3の
図64(b)のダイオード33cより1桁~6桁大きい電流を流すことができる。よって、時定数回路32は、実施例8の変形例3より1桁~6桁小さな時定数を有することができる。
【0330】
実施例8の変形例3のダイオード33cの逆方向電流と、実施例8の変形例4のFETのオン電流の間の電流値を供給する定電流素子または定電流回路33bとして、順方向接続されたダイオードが考えられる。しかし、実施例8の変形例2の定電流素子または定電流回路33bに順方向接続されたダイオードを用いると、ダイオードの順方向電流は両端の電圧に対し指数関数的に大きくなる。したがって、キャパシタC1が充電されてノードNoの電圧が上昇すると、定電流素子または定電流回路33bの電流値は指数関数的に減少し、ノードNoの電圧は飽和しようとする。ノードNoの飽和電圧が出力回路150の閾値電圧と近い場合、時定数は発散的に長くなり、トランジスタの閾値電圧のばらつきの影響を受けやすくなる。これにより、時定数回路32の時定数が例えば3桁ばらついてしまう。
【0331】
実施例8の変形例5では、定電流回路33eを流れる電流はダイオード36dの逆方向電流とダイオード36cの順方向電圧降下Vaによって定まる。ダイオード36cおよび36dの閾値電圧ばらつきを低く抑えることで、時定数のばらつきの小さな遅延回路を実現できる。
【0332】
実施例8の変形例5のスパイク生成回路におけるスパイク信号をシミュレーションした。
図66(a)および
図66(b)は、シミュレーションに用いたそれぞれ実施例8の変形例5Aおよび5に係るスパイク生成回路の回路図である。
【0333】
図66(a)に示すように、実施例8の変形例5Aの時定数回路32の定電流回路33fはダイオード36cを有していない。ダイオード36dとして、ソースとゲートが接続されたNFET36fを用いる。出力回路150の回路は実施例8の変形例1の
図61(b)と同じである。その他の回路構成は
図65と同じである。
【0334】
図66(b)に示すように、実施例8の変形例5では、時定数回路32の定電流回路33gはダイオード36cとして、ドレインとゲートが接続されたPFET36gを用いる。出力回路150の回路構成は
図61(b)と同じである。その他の回路構成は
図65と同じである。シミュレーションではキャパシタC1およびC2の容量値をそれぞれ2fFおよび4fFとした。各FETの条件、電源線28およびグランド線26の電圧は実施例5の変形例3のシミュレーションと同じである。
【0335】
図67(a)および
図67(b)は、実施例8の変形例5Aのシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
図67(a)は、時間に対する出力端子Toutの電圧、
図67(b)は、時間に対するノードN1の電圧を示す図である。
【0336】
図67(a)および
図67(b)に示すように、実施例8の変形例5Aでは、遅延時間は1m秒程度である。これは、カレントミラー回路36がダイオード(NFET36f)の逆方向電流の大きさと同じ大きさの電流を定電流回路33fが供給する電流とするためである。ダイオード(NFET36f)の逆方向電流が小さいため、定電流回路33fが供給する電流が小さくなり、時定数回路32の時定数が長くなってしまう。FET36aに比べてFET36bのトランジスタチャネル幅を広げれば電流値を増やし時定数を短くできる。しかし、同時にノードNoの寄生容量も増加する。このためFET36aに比べてFET36bのトランジスタチャネル幅を広げることは好ましくない。
【0337】
図67(c)および
図67(d)は、実施例8の変形例5のシミュレーション結果を示す時間に対する電圧を示す図である。
図67(c)は、時間に対する出力端子Toutの電圧、
図67(d)は、時間に対するノードN1の電圧を示す図である。
【0338】
図67(c)および
図67(d)に示すように、実施例8の変形例5では、遅延時間は20μ秒程度である。これは、PFET36gがPFET36aのソースの電圧をPFET36bのソースの電圧より電圧降下Va低くするため、定電流回路33gが供給する電流がダイオード(NFET36f)の逆方向電流より大きくなるためである。これにより、遅延時間を中程度とすることができる。
【0339】
実施例8の変形例2によれば、時定数回路32は、一端がノードNo(出力ノード)に接続され、他端がグランド線26(第1基準電位端子)に接続されたキャパシタC1と、一端が入力端子Tinに接続され、他端がノードNoに接続された定電流素子または定電流回路33bと、を有する。これにより、実施例8の変形例3から5のように、定電流素子または定電流回路33bが供給する電流を設計することにより、時定数回路32の時定数を設定でき、遅延回路の遅延時間を設定できる。
【0340】
実施例8の変形例5のように、定電流回路33eは、PFET36aおよび36bを備えるカレントミラー回路36である。PFET36b(第1トランジスタ)では、ソース(電流入力端子および電流出力端子のいずれか一方の端子)が入力端子Tinに接続され、ドレイン(電流入力端子および電流出力端子の他方の端子)がノードNoに接続されている。PFET36a(第2トランジスタ)では、ソースが順方向接続されたダイオード36c(第1ダイオード)を介し入力端子Tinに接続され、ドレインが逆方向接続されたダイオード36d(第2ダイオード)を介しグランド線26(第2基準電位端子)に接続されている。PFET36aと36bのゲートは(制御端子)は互いに接続されている。これにより、中程度の遅延時間のばらつきの小さい遅延回路を実現できる。
【0341】
実施例8の変形例3のように、定電流素子または定電流回路は逆方向接続されたダイオード33cでもよく、オン状態となるように制御端子(ゲート)に電圧が印加されたトランジスタでもよい。
【0342】
実施例5の変形例3並びに実施例8の変形例2から5では、出力回路として、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路を用いたが、出力回路150は、ノードNiの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子Toutに単発の出力スパイク信号52を出力しかつノードNiの電圧をリセットし、入力信号が入力した後、時定数回路32の時定数に関連した遅延時間後にスパイク信号52を出力する出力回路であればよい。
【0343】
[実施例8の変形例6]
実施例8の変形例6から8は、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路を頻度判別回路(頻度検出回路)に用いる例である。
図68(a)は、実施例8の変形例6に係るスパイク生成回路の回路図である。
図68(a)に示すように、スパイク生成回路161では、入力回路34bとして、電源線28とグランド線26との間にPFET38bと定電流素子38cが直列に接続されている。PFET38bと定電流素子38cとの間のノードN12はノードNoに接続されている。入力端子Tinはインバータ38aを介しPFET38bのゲートに接続されている。定電流素子38cとしては、トランジスタ、ダイオードまたは抵抗等を用いることができる。
【0344】
入力回路34bは、入力端子Tinに入力スパイク信号が入力するとノードNiの電圧を入力スパイク信号の高さに対応する量高くする。入力端子Tinに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い時定数で徐々に低くなる。例えば、ノードNiの電荷がノードNiの次段のインバータのNFETを介しグランド線26にリークすることにより、ノードNiの電圧は徐々に低くなる。これにより、スパイク生成回路161は実施例5の変形例5と同様に、入力スパイク信号の頻度が高くなるとスパイク信号を出力する頻度判定回路として機能する。
【0345】
[実施例8の変形例7]
図68(b)は、実施例8の変形例7に係るスパイク生成回路の回路図である。
図68(b)に示すように、スパイク生成回路162では、入力回路34cとして、電源線28とグランド線26との間にNFET38eと定電流素子38cが直列に接続されている。定電流素子38cとNFET38eとの間のノードN12はノードNoに接続されている。入力端子TinはNFET38eのゲートに接続されている。定電流素子38cとしては、トランジスタ、ダイオードまたは抵抗等を用いることができる。
【0346】
入力回路34cは、入力端子Tinに入力スパイク信号が入力するとノードNiの電圧を入力スパイク信号の高さに対応する量低くする。入力端子Tinに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い時定数で徐々に高くなる。これにより、スパイク生成回路162は実施例5の変形例4と同様に、入力スパイク信号の頻度が低くなるとスパイク信号を出力する頻度判定回路として機能する。
【0347】
[実施例8の変形例8]
図68(c)は、実施例8の変形例8に係るスパイク生成回路の回路図である。
図68(c)に示すように、スパイク生成回路163では、入力回路34dとして、電源線28とグランド線26との間にPFET38bとNFET38eとが直列に接続されている。PFET38bとNFET38eとの間のノードN12はノードNoに接続されている。入力端子Tin1はインバータ38aを介しPFET38bのゲートに接続し、入力端子Tin2はNFET38eのゲートに接続されている。
【0348】
入力回路34dは、入力端子Tin1に入力スパイク信号が入力するとノードNiの電圧を入力スパイク信号の高さに対応する量高くし、入力端子Tin2に入力スパイク信号が入力するとノードNiの電圧を入力スパイク信号に対応する量低くする。
【0349】
これにより、スパイク生成回路163は、入力端子Tin1に入力するスパイク信号の頻度が高いとノードNiの電圧が上昇し、出力回路150はスパイク信号を生成しやすくなり、入力端子Tin2に入力するスパイク信号の頻度が低いとノードNiの電圧が上昇し、出力回路150はスパイク信号を生成しやすくなる。このように、入力端子Tin1とTin2に入力されるスパイク信号のバランスにより出力回路150がスパイク信号を出力する頻度判定回路として機能する。
【0350】
実施例8の変形例6から8によれば、入力回路34bから34dのいずれかを有し、出力回路150は、ノードNiの電圧が閾値電圧となることに対応し出力端子Toutに単発の出力スパイク信号を出力しかつノードNiの電圧をリセットし、入力スパイク信号が入力する頻度が所定範囲になると、出力スパイク信号を出力する。これにより、頻度判別回路を実現できる。
【0351】
出力回路150が実施例1の変形例2および3の入力スパイク信号が正方向の信号であるスパイク生成回路であるときは、入力端子Tinに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い時定数で徐々に低くなる。
【0352】
出力回路150が実施例1の変形例4および5の入力スパイク信号が負方向の信号であるスパイク生成回路であるときは、入力端子Tinに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い時定数で徐々に高くなる。このときは、入力端子TinまたはTin1とPFET38bのゲートとの間にインバータ38aを接続せず、入力端子TinまたはTin2とNFET38eのゲートとの間にインバータを接続する。
【0353】
実施例8の変形例6から8では、出力回路として、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路を用いたが、出力回路150は、ノードNiの電圧が閾値電圧になることに対応して出力端子Toutに単発の出力スパイク信号52を出力しかつノードNiの電圧をリセットし、入力スパイク信号が入力する頻度が所定範囲になると、出力スパイク信号を出力する出力回路であればよい。
【0354】
[実施例8の変形例9]
実施例8の変形例9から11は、実施例1~4およびその変形例に係るスパイク生成回路をタイミング回路に用いる例である。
図69(a)は、実施例8の変形例9に係るスパイク生成回路の回路図である。
図69(a)に示すように、スパイク生成回路164では、入力回路10として、電源線28とノードNoとの間に複数のPFET39aが並列に接続されている。入力端子Tina~Tincは各々インバータ39bを介しPFET39aのゲートに接続される。ノードNoとグランド線26との間にキャパシタC1が接続されている。ノードNoは出力回路150のノードNiに接続されている。
【0355】
図70(a)および
図70(b)は、実施例8の変形例9における時間に対する各電圧を示す図である。
図70(a)に示すように、時刻t41、t42およびt43に、入力端子Tinc、TinaおよびTinbにそれぞれスパイク信号50が入力する。時刻t41からt43の間隔がノードNiの電圧が下がる時間より小さければ、時刻t43にノードNiの電圧が閾値電圧Vthを越える。これにより、出力回路150は出力端子Toutにスパイク信号52を出力する。
【0356】
図70(b)に示すように、入力端子Tinbにスパイク信号50が入力する時刻t43は時刻t42から離れている。時刻t41とt42とに隣接してスパイク信号50が入力する。ノードNiの電圧は閾値電圧Vthを越えない。時刻t42からt43の間にノードNiの電圧が徐々に下がり、時刻t44においてノードNiの電圧はほぼ0Vとなる。その後、時刻t43にスパイク信号50が入力してもノードNiの電圧は閾値電圧Vthを越えない。その後、ノードNiの電圧は徐々に下がり、時刻t45において0Vとなる。これにより、出力回路150は出力端子Toutにスパイク信号52を出力しない。
【0357】
出力回路150として、実施例1の変形例2および3のスパイク生成回路を用い、入力回路10は、複数の入力端子TinaからTincの少なくとも1つに入力スパイク信号50が入力すると、ノードNiの電圧を高くする。複数の入力端子TinaからTincに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い期間をかけて徐々に低くなる。出力回路150は、ノードNiの電圧が閾値電圧Vthとなることに対応し出力端子に単発の出力スパイク信号52を出力する。これにより、スパイク生成回路164は、複数の入力端子TinaからTincに入力する正方向の複数のスパイク信号50がある期間以内に入力したときに、スパイク信号52を出力するタイミング回路として機能する。
【0358】
[実施例8の変形例10]
図69(b)は、実施例8の変形例10に係るスパイク生成回路の回路図である。
図69(b)に示すように、スパイク生成回路165では、入力回路10として、グランド線26とノードNoとの間に複数のNFET39cが並列に接続されている。入力端子Tina~Tincは各々NFET39cのゲートに接続される。その他の構成は実施例8の変形例9と同じであり説明を省略する。
【0359】
出力回路150として、実施例1の変形例4および5のスパイク生成回路を用い、入力回路10は、複数の入力端子TinaからTincの少なくとも1つに負方向の入力スパイク信号50が入力すると、ノードNiの電圧を低くする。複数の入力端子TinaからTincに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い期間をかけて徐々に高くなる。出力回路150は、ノードNiの電圧が閾値電圧Vthとなることに対応し出力端子に単発の出力スパイク信号52を出力しかつノードNiの電圧をリセットする。これにより、スパイク生成回路165は、複数の入力端子TinaからTincに入力する負方向の複数のスパイク信号50がある期間以内に入力したときに、スパイク信号52を出力するタイミング回路として機能する。
【0360】
[実施例8の変形例11]
図69(c)は、実施例8の変形例11に係るスパイク生成回路の回路図である。
図69(c)に示すように、スパイク生成回路166では、入力回路10として、電源線28とノードNoとの間に複数のPFET39aが並列に接続されている。入力端子Tina~Tincは各々インバータ39bを介しPFET39aのゲートに接続される。グランド線26とノードNoとの間に複数のNFET39cが並列に接続されている。入力端子Tind~TineはNFET39cのゲートに接続される。その他の構成は実施例8の変形例9と同じであり説明を省略する。
【0361】
出力回路150として、実施例1の変形例2および3のスパイク生成回路を用い、入力回路10は、複数の入力端子TinaからTincの少なくとも1つに入力スパイク信号50が入力すると、ノードNiの電圧を高くし、複数の入力端子TindからTineの少なくとも1つに入力スパイク信号50が入力すると、ノードNiの電圧を低くする。複数の入力端子TinaからTineに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い期間をかけて徐々に低くなる。出力回路150は、ノードNiの電圧が閾値電圧Vthとなることに対応し出力端子Toutに単発の出力スパイク信号52を出力する。これにより、スパイク生成回路166は、複数の入力端子TinaからTincに入力する正方向の複数のスパイク信号50がある期間以内に入力し、同じ期間内に複数の入力端子TindおよびTineに入力する正方向の複数のスパイク信号50がある個数以下のときに、スパイク信号52を出力するタイミング回路として機能する。
【0362】
出力回路150として、実施例1の変形例4および5のスパイク生成回路を用いる場合、入力端子Tina~TincとPFET39aのゲートとの間にインバータ39bを接続せず、入力端子TindおよびTineとNFET39cのゲートとの間にインバータ39dを接続する。複数の入力端子TinaからTineに入力スパイク信号が入力しないときノードNiの電圧は入力スパイク信号の幅より長い期間をかけて徐々に高くなる。これにより、スパイク生成回路166は、複数の入力端子TindおよびTineに入力する負方向の複数のスパイク信号50がある期間以内に入力し、同じ期間内に複数の入力端子TinaからTincに入力する負方向の複数のスパイク信号50がある個数以下のときに、スパイク信号52を出力するタイミング回路として機能する。
【0363】
実施例5の変形例6において、入力回路10の出力回路は、実施例1から4およびその変形例以外の回路でもよい。出力回路は、ノードNiの電圧が閾値電圧となることに対応し出力端子Toutに単発の出力スパイク信号を出力しかつノードNiの電圧をリセットし、入力信号の時間に対する変化量が所定範囲になると、出力スパイク信号を出力すればよい。
【実施例9】
【0364】
実施例9は、電流の流れる方向を検出する検出器の例である。
図71は、実施例9に係る検出器のブロック図である。
図71に示すように、検出器170では、端T11とT12との間に電流I11が流れる経路L11が設けられている。端T11からT12の方向に流れる電流I11を正とする。経路L11にNチャネルのFETM1が設けられている。
【0365】
マルチバイブレータ回路X53はFETM1のゲートに信号Vg1を出力する。コンパレータX50は、経路L11の端T11側のノードN11の電圧V11と参照電圧Vrefとを比較し、出力電圧Voutを出力する。コンパレータX50は、V11がVref以上のとき出力電圧Voutをハイレベルとし、V11がVrefより小さいとき出力電圧Voutをローレベルとする。このように、コンパレータX50は、電圧V11と電圧Vrefとの比較結果から電流I11の流れる方向を検出する。
【0366】
図72(a)および
図72(b)は、実施例9に係る検出器の時間に対する各電圧を示す図である。
図72(a)は電流I11が正の電流(端T11からT12に流れる電流)の場合を示し、
図72(b)は電流I11が負の電流(端T12からT11に流れる電流)の場合を示す。
【0367】
図72(a)に示すように、マルチバイブレータ回路X53は、信号Vg1として、ハイレベルのベース電圧に対し、周期T5でローレベルのパルスを出力する。パルスの幅は期間T4である。時刻t50では、Vg1はハイレベルであり、FETM1は経路L11を導通させる。電流I11は正である。ノードN11の電圧はほぼ0Vであり、コンパレータX50の出力電圧Voutはローレベルである。
【0368】
時刻t51において、信号Vg1がローレベルになると、FETM1は経路L11を遮断する。経路L11を流れる電流I11はほぼ0となる。ノードN11の電圧V11は徐々に上昇する。時刻t52において電圧V11が参照電圧Vrefに達すると、コンパレータX50はハイレベルを出力する。
【0369】
時刻t53において、信号Vg1がハイレベルとなると、FETM1は経路L11を導通させる。経路L11には電流が流れる。これより、ノードN11の電圧はほぼ0Vとなり、出力電圧Voutはローレベルとなる。
【0370】
図72(b)に示すように、電流I11が負の場合、時刻t51においてFETM1が経路L11を遮断すると、ノードN11の電圧V11は負となり、絶対値は徐々に大きくなる。時刻t53までの期間T4において、電圧V11は参照電圧Vrefに達しないため、コンパレータX50の出力電圧Voutはローレベルを維持する。
【0371】
電流の流れる方向の検出は以下のように行うことが考えられる。経路L11に抵抗を設け抵抗の両端の電圧を比較し、両端の電圧の大小関係に基づき電流の流れる方向を検出する。しかし、経路L11に抵抗を設けると抵抗による損失が生じる。
【0372】
実施例9によれば、経路L11(第1経路)には、端T11(第1端)と端T12(第2端)との間を電流I11(第1電流)が流れる。FETM1(第1スイッチ)は、経路L11を導通および遮断する。FETM5が経路L11を遮断する遮断期間T4において、コンパレータX50は(検出回路)は、FETM1より端T11(第1スイッチより第1端および第2端のいずれか一方の端)側における経路L11の電圧V11(第1電圧)に基づき、電流I11の流れる方向を検出する。
【0373】
実施例9では、期間T4以外では損失がほとんど生じない。このため、周期T5に比べ期間T4を短くすれば、損失を抑制できる。期間T4は周期T5の1/10以下が好ましく、1/100以下がより好ましい。
【0374】
電流I11を遮断したときに、ノードN11の電圧V11が参照電圧Vrefに達するまでの時間は、経路L11の端T11側の寄生容量をC0、電流I11の絶対値を|I11|とすると、C0×Vref/|I11|である。期間T4を周期T5(長さT0)より小さくするためには、C0×Vref/|Iin|<T5(すなわちC0×Vref/|Iin|<T0)である。期間T4を周期T5より充分小さくするためには、C0×Vref/|I11|≦T0/10が好ましく、C0×Vref/|I11|≦T0/100がより好ましい。
【0375】
例えば、実施例7において説明した振動発電の電流の方向を検出するために検出器を用いる場合、典型的には、C0=10pF、Vref=0.1V、|I11|=10nAである。この場合、C0×Vref/|I11|=0.1msである。よって、周期T5は1ms以上が好ましく、10ms以上がより好ましい。
【0376】
[実施例9の変形例1]
図73は、実施例9の変形例1に係る検出器のブロック図である。
図73に示すように、検出器171では、端T21とT22との間に電流I12が流れる経路L12が設けられている。端T21からT22の方向に流れる電流I12を正とする。経路L12にNチャネルのFETM2が設けられている。端T11と端T12との間に交流電力が印加される。電流I11と電流I12とは相補的になる。すなわち、ある時刻において、電流I11と電流I12の流れる方向は反対方向であり、電流I11の絶対値と電流I12の絶対値はほぼ同じである。
【0377】
マルチバイブレータ回路X53はFETM2のゲートに信号Vg2を出力する。コンパレータX50は、経路L11の端T11側のノードN11の電圧V11と経路L12の端T12側のノードN12の電圧V12とを比較し、出力電圧Voutを出力する。コンパレータX50は、V11がV12以上のとき出力電圧Voutをハイレベルとし、V11がV12より小さいとき出力電圧Voutをローレベルとする。このように、検出器171は、電流I11の流れる方向を検出する。その他の構成は実施例9と同じであり説明を省略する。
【0378】
図74は、実施例9の変形例1に係る検出器の時間に対する各電圧を示す図である。
図74に示すように、時刻t50において、電流I11は正であり電流I12は負である。ノードN11の電圧V11とノードN12の電圧V12の差は0または非常に小さいため、コンパレータX50の出力電圧Voutは不安定である。
【0379】
時刻t55において、信号Vg1およびVg2がローレベルになると、FETM1およびM2は経路L11およびL12をそれぞれ遮断する。経路L11を流れる電流I11はほぼ0となる。ノードN11の電圧V11は徐々に上昇し、ノードN12の電圧V12は徐々に下降する。V11とV12の差がコンパレータX50のV11>V12を判定できる電圧差となると、コンパレータX50の出力電圧Voutはハイレベルとなる。
【0380】
時刻t56において、信号Vg1およびVg2がハイレベルとなると、FETM1およびM2は経路L11およびL12をそれぞれ導通させる。経路L11およびL12には電流が流れる。これより、ノードN11およびの電圧はほぼ0Vとなり、出力電圧Voutは不安定となる。
【0381】
時刻t56と時刻t57との間において、電流I11が負となり、電流I12が正となる。時刻t57において、信号Vg1およびVg2がローレベルになると、ノードN11の電圧V11は徐々に下降し、ノードN12の電圧V12は徐々に上昇する。V11とV12の差がコンパレータX50のV11<V12を判定できる電圧差となると、コンパレータX50の出力電圧Voutはローレベルとなる。
【0382】
時刻t58において、信号Vg1およびVg2がハイレベルとなると、FETM1およびM2は経路L11およびL12をそれぞれ導通させる。これより、ノードN11およびの電圧はほぼ0Vとなり、出力電圧Voutは不安定となる。
【0383】
実施例9の変形例1によれば、経路L12(第2経路)には、端T11と相補的な端T21(第3端)と端T12と相補的な端T22(第4端)との間を電流I11と相補的な電流I12(第2電流)が流れる。遮断期間T4(
図72参照)において、FETM1およびFETM2(第2スイッチ)は、経路L11およびL12をそれぞれ遮断する。コンパレータX50(検出回路)は、FETM1より端T11側のノードN11の電圧V11(第1電圧)とFETM2より端T21(端T11と相補的な端)側のノードN12の電圧V12(第2電圧)とに基づき、電流I11の流れる方向を検出する。これにより、参照電圧Vrefを用いず、電流I11の方向を検出できる。
【0384】
[実施例9の変形例2]
実施例9の変形例2は、実施例9の変形例1を電力変換回路に用いる例であり、実施例7の
図56の同期整流回路64である。
図56および
図57に示すように、電圧V5がハイレベルとなる期間において、パスゲートX15は電力端子61aからパスゲートX9およびX10へ至る経路を遮断し、パスゲートX13は電力端子61bからパスゲートX11およびX12へ至る経路を遮断する。時刻t22とt23との間のように、電流I1の方向が正のとき、電圧V1は上昇し電圧V2は下降する。時刻t25とt26の間のように、電流I1の方向が負のとき、電圧V1は下降し電圧V2は上昇する。
【0385】
時刻t24において、電圧V1が0.5V以上となるとスパイク生成回路X3はスパイク信号88を出力する。FF回路X1は、電圧V3をローレベルとし電圧V4をハイレベルとする。これにより、パスゲートX9およびX11が導通し、パスゲートX10がおよびX12が遮断する。
【0386】
時刻t27において、電圧V2が0.5V以上となるとスパイク生成回路X4はスパイク信号89を出力する。FF回路X1は、電圧V3をハイレベルとし電圧V4をローレベルとする。これにより、パスゲートX9およびX11が遮断し、パスゲートX10がおよびX12が導通する。
【0387】
実施例9の変形例2では、パスゲートX15、X13、スパイク生成回路X3、X4およびFF回路X1が実施例9の変形例1の検出器として機能する。パスゲートX15が第1スイッチとして機能し、パスゲートX13が第2スイッチとして機能する。スパイク生成回路X3、X4およびFF回路X1が電流の方向を検出する検出回路として機能する。
【0388】
[実施例9の変形例3]
実施例9の変形例3は、実施例9の変形例1を電力変換回路に用いる別の例である。
図75は、実施例9の変形例3に係る同期整流回路の回路図である。
図76は、実施例9の変形例3に係る同期整流回路における時間に対する同期整流回路の各ノードの電圧を示す図である。
【0389】
図75および
図76に示すように、同期整流回路172では、マルチバイブレータ回路X53は出力電圧V6を出力する。インバータX52は電圧V6を反転し電圧V5とする。電圧V5がハイレベルとなる期間(例えば時刻t22とt23との間および時刻t25とt26との間)において電圧V10およびV11はそれぞれほぼ電圧V1およびV2となる。電圧V5がローレベルとなる期間(例えば時刻t23とt24との間および時刻t26とt27との間)では、パスゲートX7およびX8がオフするため、電圧V10およびV11はほぼ0Vである。
【0390】
時刻t22とt23の間では電圧V10およびV11がそれぞれ正および負である。これにより、コンパレータX50は電圧V4としてハイレベルを出力する。電圧V3はローレベルとなる。時刻t23とt24の間ではコンパレータX50は電圧V4をハイレベルに維持する。これにより、パスゲートX9がおよびX11が導通し、パスゲートX10がおよびX12が遮断する。
【0391】
時刻t25とt26の間では電圧V10およびV11がそれぞれ負および正である。これにより、コンパレータX50は電圧V4としてローレベルを出力する。電圧V3はハイレベルとなる。時刻t26とt27の間ではコンパレータX50は電圧V4をローレベルに維持する。これにより、パスゲートX9がおよびX11が遮断し、パスゲートX10がおよびX12が導通する。
【0392】
実施例9の変形例3では、電力端子61aが端T11に相当し、パスゲートX9とX10に分岐するノードが端T12に相当する。端T11とT12との間が経路L11に相当する。経路L11を端T11からT12に流れる電流が電流I11に相当する。電力端子61bが端T21に相当し、パスゲートX11とX12に分岐するノードが端T22に相当する。端T21とT22との間が経路L12に相当する。経路L12を端T21からT22に流れる電流が電流I12に相当する。パスゲートX15およびX13がそれぞれ第1スイッチおよび第2スイッチに相当する。このように、パスゲートX15、X13およびコンパレータX50が実施例9の変形例1の検出器として機能する。パスゲートX15、X13およびコンパレータX50はそれぞれ第1スイッチ、第2スイッチおよび検出回路として機能する。
【0393】
さらに、実施例9の変形例2および3では、パスゲートX9からX12(スイッチ素子)は、検出器の検出結果(すなわち電圧V4)に基づき、オンおよびオフする。これにより、検出器は小さい損失で電流の方向を検出できるため、損失の小さい電力変換回路を実現できる。特に、振動発電等の環境発電では、発電される電圧および電力が小さい。このため、電力変換における損失が大きいと、環境発電用の電力変換回路として用いることが難しい。実施例9およびその変形例2および3のように、実施例9およびその変形例1の検出器を用いることで、損失が抑制され、環境発電用の電力変換回路として用いることができる。
【0394】
実施例9の変形例3では、検出器が電流I11の流れる方向を端T11からT12の方向(第1方向)と検出したとき、パスゲートX9からX12(スイッチ回路)は、端T12を電源端子Ts1(第1電源端子)に接続しグランド端子Ts2(第2電源端子)から遮断しかつ端T22をグランド端子Ts2に接続し電源端子Ts1から遮断する。検出器が電流I11の流れる方向を端T12から端T11の方向(第1方向と反対方向の第2方向)と検出したとき、パスゲートX9からX12(スイッチ回路)は、端T12をグランド端子Ts2に接続し電源端子Ts1から遮断しかつ端T22を電源端子Ts1に接続しグランド端子Ts2から遮断する。これにより、同期整流回路として動作させることができる。
【0395】
実施例9の変形例2および3では、実施例9およびその変形例1に係る検出器を用いる電力変換回路として、同期整流回路を例に説明したが、電力変換回路は、降圧回路、昇圧回路、直流-交流電力変換回路または交流-直流電力変換回路でもよい。実施例9およびその変形例1の検出器は電力変換回路以外の電気回路および電子回路に用いることもできる。
【実施例10】
【0396】
実施例10はスパイク生成回路を用いた電子回路の例である。
図77(a)および
図77(b)は、比較例1および実施例10に係る電子回路のブロック図である。
図77(a)に示すように、比較例1の電子回路173では、FF回路70aの出力端子72bに組み合わせ回路77の入力端子が接続され、組み合わせ回路77の出力端子にFF回路70bの入力端子71aが接続されている。
【0397】
図77(b)に示すように、実施例10の電子回路174では、FF回路70aの出力端子72bに組み合わせ回路77aの入力端子が接続されている。組み合わせ回路77aの出力端子にスパイク生成回路74の入力端子75が接続されている。スパイク生成回路74の出力端子76に組み合わせ回路77bの入力端子が接続されている。組み合わせ回路77bの出力端子にFF回路70bの入力端子71aが接続されている。FF回路70aとスパイク生成回路74との間に組み合わせ回路77aが接続されていなくてもよいし、スパイク生成回路74とFF回路70bとの間に組み合わせ回路77bが接続されていなくてもよい。
【0398】
ここで、組み合わせ回路77aおよび77bとは、1または複数の入力端子にそれぞれハイレベルまたはローレベルが入力し、1または複数の出力端子にそれぞれ1または複数の入力端子の入力により一意的に定まるハイレベルまたはローレベルを出力する回路である。例えばNOT回路、OR回路、AND回路、XOR回路、NOR回路およびNAND回路並びにそれらの組み合わせからなる回路等である。
【0399】
FF回路70aおよび70bは、実施例7の
図47(a)から
図47(c)において説明したFF回路70である。FF回路70は例えばRSフリップフロップ回路であり、入力端子71aおよび71bはそれぞれセット端子およびリセット端子であり、出力端子72bおよび72aはそれぞれ出力端子Qおよび相補出力端子QBである。FF回路70は、ラッチ回路であり、入力端子71aにハイレベルおよびローレベルのいずれか一方のレベルが入力すると、出力端子72bのレベルを前記一方のレベルに保持するメモリ回路であればよい。
【0400】
図78(a)は、スパイク生成回路を示す図、
図78(b)および
図78(c)は、時間に対するそれぞれ内部状態Sおよび出力電圧Voutを示す図である。
図78(a)に示すように、スパイク生成回路74の入力端子75に電流Iinが入力する。出力端子76の電圧は電圧Voutである。
【0401】
図78(b)に示すように、内部状態Sは、電流Iinの履歴に依存する状態である。実施例1から4およびその変形例では、内部状態Sは中間ノードNiの電圧である。内部状態Sは電流Iinの履歴に対応し変化する。例えば、実施例3の
図8ではノードN1(中間ノードNiに相当する)の電圧は入力端子75(Tin)に入力する電流Iinの積分値に比例する。時刻t58において、内部状態Sが閾値状態Sthに達すると、スパイク生成回路74は電圧Voutとしてスパイク信号52を出力する。スパイク信号52とは、幅に意味がなくタイミングのみに意味を有する電圧パルスである。時刻t58の直後に内部状態Sはリセットされる。
【0402】
内部状態Sは、例えば特許文献6に記載されているスイッチ素子の内部状態でもよい。例えば、内部状態Sは電流が発生するジュール熱の積分値である温度でもよい。
図78(b)では、電流Iinの履歴に依存して内部状態Sは正側に変化していき、正の閾値状態Sthに達するとスパイク信号52が出力される。電流Iinの履歴に依存して内部状態Sは負側に変化していき、負の閾値状態Sthに達するとスパイク信号52が出力されてもよい。
図78(c)では、電圧Voutは0Vであり、電源電圧VDDのスパイク信号52が出力されているが、電圧VoutはVDDであり、0Vのスパイク信号52が出力されてもよい。
【0403】
このように、スパイク生成回路74は、入力端子75に入力する入力電流の履歴に依存する内部状態Sが閾値状態Sthに達すると、ハイレベルまたはローレベルの単発のスパイク信号52を出力しかつ内部状態Sを初期値にリセットする回路である。
【0404】
図79(a)および
図79(b)は、比較例1および実施例10に係る電子回路のブロック図であり、
図77(a)および
図77(b)の電子回路をネットワーク状に接続した図である。
図79(a)における複数のFF回路70の間および
図79(b)におけるFF回路70とスパイク生成回路74との間には、組み合わせ回路が設けられていてもよい。
【0405】
図79(a)に示すように、比較例1の電子回路175では、FF回路70の出力端子と次段のFF回路70との間にスパイク生成回路74が設けられていない。各FF回路70にはクロック信号CLKが入力する。FF回路70はクロック信号CLKに同期して次段のFF回路70にデータを出力する。FF回路70間に伝送される信号はローレベル/ハイレベルのビット信号である。
【0406】
図79(b)に示すように、実施例10の電子回路176では、FF回路70の出力端子と次段のFF回路70との間にスパイク生成回路74が設けられている。各FF回路70にはクロック信号CLKは入力しない。スパイク生成回路74から次段のFF回路70に伝送される信号はスパイク信号である。
【0407】
図77(a)の比較例1に係る電子回路では、前段のFF回路70aが出力するビット信号によりFF回路70bの状態は一意的に書き換えられる。すなわち、前段が定まれば後段が一意的に決まる。このため、一部のFF回路70だけの状態を書き換えることができない。
図79(a)では、各FF回路70はクロック信号CLKに同期して動作し、電子回路175全体が一斉に動作する中央集権的に動作する。
【0408】
例えば振動発電等の環境発電は発電電力が小さい。このため、環境発電に用いられる電力変換回路を制御する制御回路は、消費電力を小さくすることが求められる。クロック信号に同期して動作する比較例1の電子回路175では、クロック信号CLKのローレベルとハイレベルとの切り替えの度にCMOS回路に充放電電流が流れる。このため、待機電力が生じてしまう。環境発電の制御回路では、制御に要する時間は比較的長く、例えばm秒以上である。このため、クロック信号CLKに同期させて電子回路175を動かさなくてもよい。
【0409】
図77(b)の実施例10に係る電子回路では、FF回路70a(第1メモリ回路)の出力端子72b(第1出力端子)は、スパイク生成回路74(第1スパイク生成回路)の入力端子75に接続されている。スパイク生成回路74は前段のFF回路70aの出力よらず、内部状態Sが閾値状態Sthに達するとスパイク信号を出力する。このため、入力端子71a(第1入力端子)がスパイク生成回路74の出力端子76に接続されたFF回路70b(第2メモリ回路)は、スパイク生成回路74がスパイク信号52を出力しない限り後段のFF回路70bの状態は書き換えられない。
【0410】
図79(b)のようなネットワークにおいては、一部のFF回路70だけの状態を個別に書き換えることができる。よって、各FF回路70は非同期に動作可能であり、電子回路176の局所的および分散的に動作可能である。
【0411】
例えば、実施例7の
図44の電力変換回路120では、整流回路62、64、判定回路65および降圧回路66内の制御回路は、動作が必要なときに各制御回路内のスパイク生成回路がスパイク信号を生成し、制御回路が動作する。一方、制御回路が動作しなくてもよいときは、制御回路内のスパイク生成回路はスパイク信号を生成しない。スパイク信号が生成されないと、制御回路の待機電力はほとんど発生しない。よって、消費電力を抑制できる。
【0412】
図77(b)のように、FF回路70aの出力端子72bは、組み合わせ回路77aの1または複数の入力端子の少なくとも1つと接続されてもよい。スパイク生成回路74の入力端子75は組み合わせ回路77aの1または複数の出力端子に接続されていてもよい。スパイク生成回路74の入力端子75に組み合わせ回路77aの複数の出力端子が接続される場合には、組み合わせ回路77aの複数の出力端子は例えばOR回路等を介しスパイク生成回路74の入力端子75に接続される。また、スパイク生成回路74の出力端子76は、組み合わせ回路77bの1または複数の入力端子の少なくとも1つと接続され、FF回路70bの入力端子71aは組み合わせ回路77bの1または複数の出力端子に接続されていてもよい。
【0413】
図80(a)および
図80(b)は、実施例10に係る電子回路の例を示す図である。FF回路70aの出力端子72b(第1出力端子)にスパイク生成回路74の入力端子75が接続され、FF回路70aの出力端子72a(第2出力端子)にスパイク生成回路74a(第2スパイク生成回路)の入力端子75が接続されていてもよい。これにより、FF回路70aの出力を複数のスパイク生成回路74および74aに入力させることができる。FF回路70aとスパイク生成回路74および74aの間には組み合わせ回路が設けられてもよい。その他の構成は実施例10の
図77(b)と同じであり説明を省略する。
【0414】
図80(b)に示すように、FF回路70bの入力端子71a(第1入力端子)にスパイク生成回路74の出力端子76が接続され、入力端子71b(第2入力端子)にスパイク生成回路74b(第3スパイク生成回路)の出力端子76が接続されている。これにより、FF回路70aの入力に複数のスパイク生成回路74および74bを接続させることができる。FF回路70bとスパイク生成回路74および74bの間には組み合わせ回路が設けられてもよい。その他の構成は実施例10の
図77(b)と同じであり説明を省略する。
【0415】
[実施例10の変形例1]
図81(a)は、実施例10の変形例1に係る電子回路のブロック図である。
図81(a)に示すように、実施例10の変形例1に係る電子回路177では、FF回路70aの入力端子71aにはスパイク生成回路74aからスパイク信号が入力する。FF回路70aの出力端子72bはスパイク生成回路74の入力端子75に接続されている。スパイク生成回路74の出力端子76はFF回路70aの入力端子71bに接続されている。
【0416】
スパイク生成回路74aがスパイク信号を出力するとFF回路70aはスパイク生成回路74にハイレベルを出力する。スパイク生成回路74がスパイク信号52を出力すると、FF回路70aはスパイク生成回路74にローレベルを出力する。これにより、スパイク生成回路74の入力端子75のレベルがリセットされる。
【0417】
実施例10の変形例1のように、FF回路70aの出力端子72bが入力端子75に接続されたスパイク生成回路74の出力端子76をFF回路70aの入力端子71bに接続する。これにより、スパイク生成回路74がスパイク信号52を出力すると、FF回路70aの出力端子72bの出力をリセットできる。
【0418】
[実施例10の変形例2]
図81(b)は、実施例10の変形例2に係る電子回路のブロック図である。
図81(b)に示すように、実施例10の変形例2に係る電子回路177aでは、素子または回路79の一端はFF回路70aの出力端子72bに接続され、他端はスパイク生成回路74の入力端子75に接続されている。素子または回路79は、一端と他端との電圧差に応じた電流を流す。素子または回路79は、例えばトランジスタ、抵抗またはリーク電流素子であり、実施例8の変形例2の
図64(a)の定電流素子または定電流回路33bである。スパイク生成回路74は、入力端子75に入力する電流の積分値が閾値に達するとスパイク信号52を出力する。例えば
図64(a)のキャパシタC1および出力回路150である。その他の回路構成は実施例10の変形例1と同じであり説明を省略する。
【0419】
実施例10の変形例2では、FF回路70aの入力端子71aにスパイク信号が入力してから所定時間後にスパイク生成回路74がスパイク信号52を出力するとともに、FF回路70aをリセットする。
【0420】
[実施例10の変形例3]
図82(a)および
図82(b)は、実施例10の変形例3に係る電子回路のブロック図である。電子回路178は、FF回路70cから70f、スパイク生成回路74、74c、組み合わせ回路として、AND回路78a、78b、OR回路78cおよび78dを備えている。各回路の電源電圧は例えば同じ電圧VDDである。
【0421】
図82(a)に示すように、FF回路70cの入力端子71aおよび71bにはそれぞれスパイク信号52bおよび52cが入力する。これにより、FF回路70cはスパイク信号52bが入力すると出力端子72bにビット信号L/H1としてハイレベルを出力し、スパイク信号52cが入力すると出力端子72bにビット信号L/H1としてローレベルを出力する。
【0422】
OR回路78cにスパイク信号52dおよび52eが入力する。OR回路78cの出力はFF回路70dの入力端子71aに入力する。このように、OR回路78c等の組み合わせ回路を用い複数の経路からのスパイク信号を1つのFF回路70dの入力端子71aに入力させてもよい。FF回路70dは入力端子71aにスパイク信号が入力すると、出力端子72bにビット信号L/H2としてハイレベルを出力する。
【0423】
AND回路78aにビット信号L/H1およびL/H2が入力し、AND回路78aの出力はスパイク生成回路74に入力する。FF回路70cおよび70dの両方がハイレベルになってから所定時間後にスパイク生成回路74はスパイク信号52を出力する。FF回路70c、70dとAND回路78a等の組み合わせ回路とを用い、ある条件が満たされるまで、スパイク生成回路74への入力を待機させてもよい。
【0424】
スパイク信号52は、OR回路78dを介しFF回路70dの入力端子71bに入力する。これにより、FF回路70dは出力端子72bにビット信号L/H2としてローレベルを出力する。すなわち、ビット信号L/H2はリセットされる。
【0425】
FF回路70eの入力端子71aおよび71bにはそれぞれスパイク信号52fおよび52gが入力する。これにより、FF回路70eはスパイク信号52fが入力すると出力端子72bにビット信号L/H3としてハイレベルを出力し、スパイク信号52gが入力すると出力端子72bにビット信号L/H3としてローレベルを出力する。ビット信号L/H3は時定数の短いスパイク生成回路74cを介してOR回路78dに入力する。これにより、スパイク信号52が出力されなくてもビット信号L/H3がハイレベルとなれば、ビット信号L/H2はリセットされる。また、
図82(b)のようにOR回路78dの代わりにAND回路78eとした場合には、ビット信号L/H2およびL/H1がハイレベルかつL/H3がローレベルの間は、スパイク生成回路74は一定間隔でスパイク信号52を出力し続ける。このように、FF回路70d、70eおよびOR回路78d等の組み合わせ回路を用い、スパイク信号52が出力される前にFF回路70dをリセットしてもよい。また、ある条件が満たされるまでスパイク信号52を出力し続けてもよい。
【0426】
FF回路70fの入力端子71aおよび71bにはそれぞれスパイク信号52hおよび52iが入力する。これにより、FF回路70fはスパイク信号52hが入力すると出力端子72bにビット信号L/H4としてハイレベルを出力し、スパイク信号52iが入力すると出力端子72bにビット信号L/H4としてローレベルを出力する。ビット信号L/H4はAND回路78bに入力する。AND回路78bは、ビット信号L/H4がハイレベルのときスパイク信号52を通過させるが、ビット信号L/H4がローレベルのときスパイク信号52を通過させない。このように、FF回路70fおよびAND回路78bの組み合わせ回路を用い、ある条件が満たされたときのみスパイク信号52を通過させてもよい。
【0427】
図82(c)は、実施例10の変形例3に係る電子回路のシンボルを示す図である。
図82(c)に示すように、電子回路178の入力端子Tinにスパイク信号52bから52iが入力する。電子回路178の出力端子Tout1からスパイク信号52が出力する。出力端子Tout2からビット信号L/H1からL/H4が出力する。このように、電子回路178は1または複数のスパイク信号が入力すると、1または複数のスパイク信号および1または複数のビット信号を出力する。電子回路178は、
図82(a)の回路構成以外にも、1または複数のスパイク信号が入力すると、1または複数のビット信号および1または複数のスパイク信号の少なくとも1つの信号を出力すればよい。
【0428】
電子回路178に入力するスパイク信号の例を説明する。
図83(a)および
図83(b)は、実施例10の変形例3における電子回路に入力するスパイク信号の例を示す図である。
図83(a)に示すように、スパイク信号52jはセンサ79aが出力する信号でもよい。
図83(b)に示すように、コンパレータ79bは電子回路79cの入力端子にビット信号L/Hを出力する。電子回路79cはビット信号L/Hの立ち上がりおよび立ち下りのときにスパイク信号52jを出力する。スパイク信号52jはビット信号L/Hの立ち上がりおよび立ち下りのとき出力される信号でもよい。
【0429】
電子回路178が出力するスパイク信号が用いられる回路例を説明する。
図84(a)および
図84(b)は、実施例10の変形例3における電子回路から出力するスパイク信号が用いられる回路例を示す図である。
図84(a)に示すように、トランジスタ79hの制御端子に電子回路178が出力するスパイク信号52および/またはビット信号L/Hが入力する。FF回路70bの入力端子71aまたは71bに電子回路178が出力するスパイク信号52が入力し、FF回路70bが出力するビット信号L/Hがトランジスタ79hの制御端子に入力してもよい。このように、電子回路178が出力するスパイク信号52および/またはビット信号L/Hはトランジスタ79hを制御してもよい。
【0430】
図84(b)に示すように、FF回路70bの入力端子71aまたは71bに電子回路178が出力するスパイク信号52が入力する。このように、電子回路178が出力するスパイク信号52はFF回路70bの書き換えに用いてもよい。
【0431】
図85(a)および
図85(c)は、実施例10の変形例3における電子回路から出力するスパイク信号が用いられる例を示す回路図であり、
図85(b)および
図85(d)は、アンテナから出力される電磁波の大きさ(電界)を示す図である。
【0432】
図85(a)に示すように、パワーアンプ79dは、電子回路178が出力するスパイク信号52を増幅する。アンテナ79eは増幅されたスパイク信号を電磁波として出力する。
図85(b)に示すように、アンテナ79eからスパイク信号52に相当するスパイク信号が出力される。
【0433】
図85(c)に示すように、バンドパスフィルタ79fはパワーアンプ79dとアンテナ79eとの間に接続されている。バンドパスフィルタ79fはスパイク信号52のうち無線通信に適した特定の周波数帯域の成分のみを通過させる。
図85(d)に示すように、アンテナ79eからスパイク信号52のうち特定の周波数帯域に相当する信号が出力される。
【0434】
図85(a)から
図85(d)のように、電子回路178から出力されるスパイク信号52をインパルス通信に用いてもよい。
【0435】
[実施例10の変形例4]
図86は、実施例10の変形例4に係るネットワーク回路の模式図である。実施例10の変形例4のように1または複数のスパイク信号が入力し、1または複数のスパイク信号および1または複数のビット信号を出力する電子回路を
図82(c)のシンボルで表す。この電子回路は左側からスパイク信号が入力し、右側にスパイク信号を出力し、上側にビット信号を出力する。
図86に示すように、電子回路178がネットワーク的に接続されていてもよい。
【0436】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0437】
10 入力回路
12、20、22a-22g インバータ
14、48 FET
16、16a、16b、18 反転回路
17 遅延回路
30 電圧変換回路
32 時定数回路
34 抑制回路
40、74a-74c スパイク生成回路
42 条件設定回路
44 スパイク処理回路
45、45a-45f ノード回路
46 フリップフロップ
47 Vg生成回路
60 発電回路
62、64 整流回路
65 判定回路
66 降圧回路
68 蓄電回路