IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社桂精機製作所の特許一覧

特許7621010可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法
<>
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図1
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図2
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図3
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図4
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図5
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図6
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図7
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図8
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図9
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図10
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図11
  • 特許-可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20250117BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023537802
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 JP2021027842
(87)【国際公開番号】W WO2023007600
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000142698
【氏名又は名称】株式会社桂精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】金田 堅志
(72)【発明者】
【氏名】中村 一幸
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-149659(JP,A)
【文献】特開平8-329159(JP,A)
【文献】特開2018-190238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロパンガスその他の可搬型ガス燃料を利用する利用者設備において、前記可搬型ガス燃料を充填したガス容器の次回の交換時期を、利用者設備に付された設備識別子毎に管理する配送管理部を備える可搬型ガス燃料の供給管理システムであって、
前記配送管理部は、
前記ガス容器を一定期間ごとに定期的に交換するための確定した使用期間である定期交換期間が確定するまでは、前記ガス容器を交換する度に、該ガス容器の交換時のガス残量に基づいて前記ガス容器の次回交換時までの暫定使用期間として仮使用期間を設定して、該仮使用期間後の前記ガス容器の交換日における前記可搬型ガス燃料の前記ガス残量が第1の許容範囲に収まる許容期間を探索する期間探索部と、
前記期間探索部により探索した前記許容期間に基づいて、前記設備識別子毎に、前記定期交換期間を確定する期間確定部と、
前記定期交換期間が確定するまでは、前記ガス容器を交換する度に前記仮使用期間に基づいて該ガス容器の次回交換予定日を設定し、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス容器の交換の度に前記定期交換期間に基づいて前記ガス容器の次回の交換予定日を設定する交換予定日設定部と
を備えることを特徴とする可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項2】
前記期間確定部は、前記仮使用期間経過後の前記ガス残量が前記許容期間内であることが少なくとも2回以上出現したことにより、該許容期間を前記定期交換期間として確定することを特徴とする請求項1に記載の可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項3】
前記期間確定部は、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス残量が、前記第1の許容範囲を包含するさらに広い範囲の第2の許容範囲内にあるかどうかを検証し、前記ガス残量が前記第2の許容範囲内に無いときには、前記期間確定部の前記定期交換期間を取り消して前記定期交換期間を再設定することを特徴とする請求項1または2に記載の可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項4】
前記期間探索部は、前記ガス容器の交換時における前記ガス残量に応じて予め定められた調整計数と前回の前記仮使用期間とに基づいて次回の前記仮使用期間を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項5】
前記期間探索部は、前記定期交換期間が確定するまでは、前記ガス残量に対応する前記調整計数に基づき前記仮使用期間を設定し、前記定期交換期間が取り消された後は、前記ガス残量に対応する第2の調整計数に基づき前記仮使用期間を設定することを特徴とする請求項4に記載の可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項6】
前記交換予定日よりも前にガス切れが発生したときには、前記定期交換期間を取り消して、前記期間探索部により前記許容期間の再探索と前記定期交換期間の再設定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項7】
前記定期交換期間の取消に伴う前記許容期間の再探索を行うときには、前記定期交換期間の取消前の探索で使用した前記調整係数とは異なる調整係数及び/又は前記第1の許容範囲とは異なる許容範囲を用いて再探索を行うことを特徴とする請求項6に記載の可搬型ガス燃料の供給管理システム。
【請求項8】
プロパンガスその他の可搬型ガス燃料を利用する利用者設備において、前記可搬型ガス燃料を充填したガス容器の次回の交換時期を、コンピュータにより利用者設備に付された設備識別子毎に管理する可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法であって、
前記コンピュータは、
前記ガス容器の確定した使用期間である定期交換期間を確定するまでは、前記ガス容器を交換する度に、前記ガス容器の次回交換時までの使用期間として仮使用期間を算出して該仮使用期間に基づいて次回のガス容器の交換予定日を設定するとともに、前記ガス容器の交換日における前記可搬型ガス燃料のガス残量が第1の許容範囲に収まる許容期間を探索する期間探索ステップと、
前記期間探索ステップにより探索した前記許容期間に基づいて、前記設備識別子毎の、前記定期交換期間を確定する期間確定ステップと、
前記期間探索ステップは、前記定期交換期間が確定するまで、前記ガス容器を交換する度に前回の前記仮使用期間に該交換時の前記ガス残量に応じた調整係数を乗じて次回の前記仮使用期間を算出して、該次回の前記仮使用期間に基づいてガス容器の次回交換予定日を設定するステップと、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス容器の交換の度に前記定期交換期間に基づいて前記ガス容器の次回の交換予定日を設定するステップと、
を備えることを特徴とする可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法。
【請求項9】
前記期間確定ステップは、前記仮使用期間経過後の前記ガス残量が前記許容期間内であることが少なくとも2回以上出現したことにより、該許容期間を前記定期交換期間として確定することを特徴とする請求項8に記載の可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法。
【請求項10】
前記期間確定ステップは、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス残量が、前記第1の許容範囲を包含するさらに広い範囲の第2の許容範囲内にあるかどうかを検証し、前記ガス残量が前記第2の許容範囲内に無いときには、前記期間確定部の前記定期交換期間を取り消して前記定期交換期間を再設定することを特徴とする請求項8または9に記載の可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法。
【請求項11】
前記期間探索ステップは、前記ガス容器の交換時における前記ガス残量に応じて予め定められた調整計数と前回の前記仮使用期間とに基づいて次回の前記仮使用期間を算出することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法。
【請求項12】
前記期間探索ステップは、前記交換予定日よりも前にガス切れが発生したときには、前記定期交換期間を取り消して、前記期間探索部により前記許容期間の再探索と前記定期交換期間の再設定を行うことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロパンガスその他の可搬型ガス燃料(以下適宜「ガス燃料」と称する)をガス容器に充填して利用者に提供するものであり、ガス燃料が途切れることの無いようにガス燃料を充填したガス容器を交換することにより、利用者に対してガス燃料を円滑に提供する可搬型ガス燃料の供給管理システム及び供給管理方法に関する。特に、パイプラインを通じてガス燃料を供給する都市ガスのような設備が整っておらず、また個々のガス容器にガスメータ等の高価な装備を導入することが難しい東南アジアやアフリカ諸国などのような使用環境が特殊な国や地域において、有用性の高い可搬型ガス燃料の供給管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
東南アジアやアフリカ諸国などの国においては、ガス供給ラインでガス燃料を各家庭に供給するいわゆる都市ガスシステムは十分に普及しておらず、可搬型ガス燃料を充填したガス容器を屋内の台所等に設置して、可搬型ガス燃料を調理その他の燃料として使用している国や地域が多い。ガス容器が屋内に設置されているため、ガス容器の交換には屋内の立ち入る必要があり、ガス容器の交換には利用者の立ち合いが必要となるケースが多い。また、ガスメータは高価であり盗難も多いため東南アジア等ではガスメータが付されたガス容器が少ないこと、及びガス容器が屋内に配置されていることが多いことから、ガスメータの定期的な検針はおこなわれていない。
【0003】
一方で、WiFiやスマートフォンその他の通信機器の導入は比較的進んでいる。このような環境下、可搬型ガス燃料の消費量や残量を顧客ごとに通信ネットワーク上で監視してガス切れ時期をできるだけ正確に予測し、ガス燃料が途切れることの無いように効率的にガス容器を交換することを目的としたガス配送システム及び各種配送方法が種々提案されている(特許文献1及び2)。また特許文献3では、毎月の検針の指針データの差分から顧客の月間使用量を算出し、マスタ容量と使用量との組み合わせに基づいて顧客ごとに安全率を選択し、その顧客ごとの安全率に基づいて配送予定日を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5756157号公報
【文献】国際公開Wo2020/115850
【文献】特許第5802225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1または2に開示されている配送システム及び配送方法は、利用者ごとに個別に可搬型ガス燃料の使用量を正確に把握することにより、残量がなくなるタイミングを正確に予測してかつできるだけ残量を極小化しつつガス燃料が途途切れることがないように可搬型ガス燃料を充填したガス容器を交換するものである。
【0006】
しかし、これらのシステムでは個別の利用者ごとにガス残量を頻繁に測定し、多くの測定データの蓄積や解析による個別の残量予測が必要であり、利用者設備や管理システムの構築コスト及び設備維持コストが増大となる。さらに、利用者設備毎に、緊急事態、特別なイベント等に伴う予測不能な変数も多く、ガス切れを正確に予測して適切にガス容器を交換するのは難しい。また、ガス切れを正確に予測するには、使用状態のデータ収集が必要となるので、ガス切れが間近になるまで(ガス切れの7~3日位前)適正な交換予定日が設定できず、配送業者は直前まで配達先が決まらず、早期に具体的な配達スケジュールと立てることができない。
【0007】
さらに前述の通り、ガス容器が屋内に置かれている利用者も多く、このような場合には交換時に利用者の立ち合いも必要となる。この場合、ガス容器の交換日間近の短い期間(3日前~最大7日前)に利用者の立ち合いスケジュール調整することが必要となり、交換スケジュールの調整がさらに煩雑な作業となる。さらに東南アジア、中東諸国やアフリカ諸国では、利用者設備であるガス機器セット等の盗難や、ガス漏れ、ガス配送業者も含めたガス燃料の不正使用のリスクもあり多く、これらの防止策も必要となる。
【0008】
特許文献3には、毎月の検針の指針データに基づいて月間使用量、1年間累積した平均月間使用量、または1日の使用量を算出し、月間使用量とマスタ使用量に基づいてそれぞれの顧客ごとの安全率を算出して、交換日を決める方法が開示されている。すなわち、特許文献3は、定期検針によりガスメータ等に基づく指針データにより使用量のデータを収集することを前提としている。しかし、東南アジアやアフリカでは検針の習慣がないので、指針データに基づく定期的な使用量の算出ができず、特許文献3の技術は使用できない。
【0009】
また、仮に使用期間中に定期的に使用量データを収集できたとしても、特許文献3の方法は各顧客の使用実績に基づいて顧客ごとに個々に安全率を算出して配送予定日を決めるものであるため、毎回交換日が異なる。そのため、次回配送日の確定タイミングが毎回異なり、配送拠点及び利用者の双方にとって交換日または立ち合い日のスケジュールが立てにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、従来のような定期検針や通信ネットワークによる個別の利用者設備毎の使用量の頻繁なデータの収集やガス切れ予測に基づいてガス切れの直前にガス容器の次回交換日の設定を行う複雑なシステムを必要とせず、可搬型ガス燃料を途切れることなく安定して利用者に供給することができる可搬型ガス燃料の提供管理システム及び可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明の可搬型ガス燃料の供給管理システムの第1の態様は、プロパンガスその他の可搬型ガス燃料を利用する利用者設備において、前記可搬型ガス燃料を充填したガス容器の次回の交換時期を、利用者設備に付された設備識別子毎に管理する配送管理部を備える可搬型ガス燃料の供給管理システムであって、前記配送管理部は、
前記ガス容器を一定期間ごとに定期的に交換するための確定した使用期間である定期交換期間が確定するまでは、前記ガス容器を交換する度に、該ガス容器の交換時のガス残量に基づいて前記ガス容器の次回交換時までの暫定使用期間として仮使用期間を設定して、該仮使用期間後の前記ガス容器の交換日における前記可搬型ガス燃料の前記ガス残量が第1の許容範囲に収まる許容期間を探索する期間探索部と、
前記期間探索部により探索した前記許容期間に基づいて、前記設備識別子毎に、前記定期交換期間を確定する期間確定部と、
前記定期交換期間が確定するまでは、前記ガス容器を交換する度に前記仮使用期間に基づいて該ガス容器の次回交換予定日を設定し、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス容器の交換の度に前記定期交換期間に基づいて前記ガス容器の次回の交換予定日を設定する交換予定日設定部と
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のシステムでは、可搬型ガス燃料の利用開始時から所定回数ガス容器の交換を繰り返す間に、ガス切れリスクを所定の範囲内に抑えた利用者設備毎の適切なガス容器の使用期間である許容期間を、ガス容器を交換する度に探索して、探索した許容期間に基づいて、当該利用設備に適用する適切な使用期間として定期交換期間を確定する。定期交換期間が確定すると、ガス容器の交換の度に、該定期交換期間に基づいて次回交換日を設定して出力し、配送業者及び利用者に知らせる。
【0013】
定期交換期間が確定すると、一定の期間間隔でガス容器が交換されるので、配送業者は早い時期にガス容器の交換スケジュールを立てることができる。これにより、配達スケジュールの大幅な変更が少なくなり、配達の準備や計画に費やす労力を大幅に減らすことが可能となる他、効率的な配達経路を確立し易くなる。利用者は、定期交換期間が確定した後は、次回交換日を含むそれより先の交換日までわかるので、立ち合い期日のスケジュール調整が容易となり、利用者の負担も軽減される。また、特別な用事があるなどの利用者からの申し出が無い限り、利用者の立ち合いスケジュールの調整が不要となる。
【0014】
この可搬型ガス燃料の供給管理システムでは、すべての利用者に対して、ガス切れリスクを軽減するため一定の量の可搬型ガス燃料を残した状態でガス容器を交換するものであるので、正確な利用予測に基づきガス容器を交換する場合に比べてガス容器の交換頻度が多くなる。しかし、本システムが大いに普及して定期的にガス容器交換を行うことが一般的となると、一定の安全率を確保しつつガス残量に関わらない定期的なガス容器交換体制を確立することが可能となる。一定の間隔で定期的にガス容器の交換を行うことができると、配達スケジュールの早期確定及び交換日の明確化が可能となるので、配達業者、利用者の双方にとって、従来のガス交換時期の予測による配達方式をはるかに上回る種々のメリットを得ることが可能となる。
【0015】
期間確定部は、前記仮使用期間経過後の前記ガス残量が前記許容期間内であることが少なくとも2回以上出現したことにより、該許容期間を前記定期交換期間として確定することが望ましい。少なくとも複数回の交換によって定期交換期間を定めることにより、1度だけたまたま許容期間となった場合のような例外的な事態による定期交換期間の設定を排除することができる。また、前記期間探索部によるガス容器の交換時における前記ガス残量に応じて定められた調整計数と前回の前記仮使用期間とに基づいて次回の前記仮使用期間を算出することが望ましい。
【0016】
特に、ガス容器の交換の度に調整係数を段階的に変化させて仮使用期間を計算することにより、所望の第1の許容範囲まで仮使用期間を調整するようにして、定期交換期間を探索するのが好ましい。ガス残量に対応する調整係数は、予めガス残量毎の適切な調整係数値を示すリストを記憶しておき、交換時のガス残量に応じて調整係数を選択することにより、調整係数を確定することができる。
【0017】
さらに、期間確定部は、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス残量が、前記第1の許容範囲を包含しさらに広い範囲の第2の許容範囲内にあるかどうかを検証し、前記ガス残量が前記第2の許容範囲内に無いときには、前記期間確定部の前記定期交換期間を取り消して前記定期交換期間を再設定するように構成することが、好ましい。これにより、定期交換期間を定めた後であっても、利用者設備の使用環境が変化した場合に、変化に応じた適切な定期交換期間に再設定をすることが可能となる。第2の許容範囲も、一定の期間ごと(例えば1年又は2年に1回等)に、集計データを統計処理することにより得た範囲に更新する構成とすることができる。
【0018】
また、前記交換予定日よりも前にガス切れが発生したときには、前記定期交換期間を取り消して、前記期間探索部により前記許容期間の再探索と前記定期交換期間の再設定を行うことができる構成とすることが好ましい。これにより、利用環境が大きく変わったときなどに、定期交換期間をより適切な期間に再設定することが可能となる。このように定期交換期間を再設定する場合には、調整係数及び/又は第1の許容期間を変更して、定期交換期間を再探索するよう構成することができる。
【0019】
本発明の可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法の第1の態様は、プロパンガスその他の可搬型ガス燃料を利用する利用者設備において、前記可搬型ガス燃料を充填したガス容器の次回の交換時期を、コンピュータにより利用者設備に付された設備識別子毎に管理する可搬型ガス燃料充填容器の交換時期の管理方法であって、
前記コンピュータは、
前記ガス容器の確定した使用期間である定期交換期間を確定するまでは、前記ガス容器を交換する度に、前記ガス容器の次回交換時までの使用期間として仮使用期間を算出して該仮使用期間に基づいて次回のガス容器の交換予定日を設定するとともに、前記ガス容器の交換日における前記可搬型ガス燃料のガス残量が第1の許容範囲に収まる許容期間を探索する期間探索ステップと、
前記期間探索ステップにより探索した前記許容期間に基づいて、前記設備識別子毎の、前記定期交換期間を確定する期間確定ステップと、
前記期間探索ステップは、前記定期交換期間が確定するまで、前記ガス容器を交換する度に前回の前記仮使用期間に該交換時の前記ガス残量に応じた調整係数を乗じて次回の前記仮使用期間を算出して、該次回の前記仮使用期間に基づいてガス容器の次回交換予定日を設定するステップと、前記定期交換期間が確定した後は、前記ガス容器の交換の度に前記定期交換期間に基づいて前記ガス容器の次回の交換予定日を設定するステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、各利用者設備のガス容器の交換を、使用中のガス容器のガス燃料の残量が少なくなったことを検知してガス容器を交換するのではなく、利用者設備毎に探索して定めた一定の定期交換期間に基づいて、各利用者設備のガス容器を一定の周期で定期的に交換することにより、利用者設備毎のガス容器の交換のスケジュールの調整を含む、ガス容器交換に伴う配送業者及び利用者双方の負荷を軽減して、効率的で合理的なガス容器の交換を可能にすることが可能となった。
【0021】
具体的には、定期交換期間が確定すると、一定の期間間隔でガス容器が交換されるので、配送業者は早い時期にガス容器の交換スケジュールを立てることができる。また、配達スケジュールの準備や計画に費やす労力を大幅に減らすことが可能となる他、毎回の配達日ごとの複数の利用者設備がほぼ一定に定まるので効率的な配達経路を確立し易くなる。利用者は、立ち合い期日のスケジュール調整が容易となる。特に、本システムが普及してガス残量の変化に依存しない定期的なガス容器交換が一般的となると、各配送拠点の全顧客のガス容器の交換が、ほぼ一定の周期で繰り返されるので、配送業者の負担が大幅に軽減される。また、所定の残量を確保して定期交換期間を定めることにより、ガス切れのない安定したガス容器の供給が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の可搬型ガス燃料の供給管理システム典型例の全体構成を示す概念図。
図2】利用者設備の一実施形態を模式的に示す図。
図3】本発明の一実施形態に係る管理サーバの機能ブロック図。
図4】本発明の主要部である配送管理部の一実施形態の機能を簡略化して示す機能ブロック図。
図5】利用者設備を設置して可搬型ガス燃料の使用を開始する際の管理サーバの基本処理手順の一例を示すフローチャート。
図6】次回の交換予定日の設定処理手順の第1の実施形態を示すフローチャート。
図7】交換予定日の設定処理手順の第2の実施形態のフローチャート。
図8】交換予定日の設定の処理手順の第3の実施形態に係るフローチャート。
図9】緊急時対応処理手順の一実施形態を示すフローチャート。
図10】緊急時の対応処理手順の他の例(緊急時対応処理手順の実施形態2)。
図11】仮使用期間Tnの算出するため調整係数αxの設定表。
図12】複数(2個)のガス容器を設置する利用者設備を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ガス燃料をガス容器に充填した可搬型ガス燃料を、利用者に安定的に供給するための可搬型ガス燃料の供給管理システム及び管理方法に関するものである。以下、ガス容器の交換というときは、可搬型ガス燃料をフル充填したガス容器と現在使用中のガス容器を交換することをいう。本発明では、ガス容器の交換後の早い時期に次回のガス容器の交換予定日を確定して利用者及び配送業者に知らせることにより、ガス容器の交換に必要な各種作業負担や管理負担を減少させるものである。また、ガス切れリスクを軽減しつつ可搬型ガス燃料を安定的に供給するために、設備導入後の早い段階において、利用者設備毎にガス容器の交換までの適切な使用期間を探索して、定期的にガス容器を交換するための使用期間である定期交換期間を確定する。
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、可搬型ガス燃料を利用者に円滑に提供する本発明の可搬型ガス燃料の供給管理システム10(以下、単に「管理システム」と称する)の一例の全体構成を示す概念図である。図1では、管理サーバ20と、利用者設備40と、配送拠点50の各機器同士がインターネット等の通信ネットワーク90を介して直接接続されて情報交換をする例を示している。
【0025】
図1では、管理サーバ20と、利用者設備40と、配送拠点50とが通信ネットワーク90を介して直接接続されているが、本発明の可搬型ガス燃料の供給管理システムは、必ずしも管理サーバと利用者設備とが直接接続されている必要はなく、配達員のモバイル端末(図示せず)を通じて管理サーバに入力する構成であっても良い。また、配達員の携帯電話等(図示せず)を介して各種情報を受信し、管理サーバ20に入力する構成であっても良い。この場合には、管理サーバ20とモバイル端末、携帯電話等が本発明の可搬型ガス燃料の管理システムとなる。
【0026】
東南アジアやアフリカ諸国では、可搬型ガス燃料は生活に欠かせない燃料として広く普及しており、比較的人口の密集している地域では、数千から数十万の利用者設備40(a1~anで表している)が稼働している。管理サーバ20は、比較的広い範囲の所定の地域において、多くの利用者に生活に欠かせない可搬型ガス燃料を途切れることなく安定的に提供するために、多くの利用者設備40と配送拠点50の可搬型ガス燃料の使用状況を管理している。管理サーバ20は、利用者や利用者設備に関する情報及び個々の利用者ごとの使用状況に関する情報を取得して、利用者設備毎のガス容器の交換予定日を決めることにより、ガス容器の円滑な交換を管理するコンピュータシステムである。管理サーバ20により決定された交換予定日は、配送拠点50及び利用者に連絡される。配送拠点50では、配送スケジュール計画の立案、修正等が行われ、利用者は交換日に合わせて立ち合いのための予定調整や代金支払いの準備等を行う。
【0027】
配送拠点50は、この多数の利用者設備40(a1~an)のそれぞれに対して、可搬型ガス燃料を途切れることがないように、管理サーバ20からの情報に基づいて、ガス切れが起きる前にガス容器を交換する配送業務を行っている。配送拠点50はガス容器を利用者設備40に物理的に配送し交換する物流業務であるので、交換業務の迅速化と安定供給の観点から管理サーバ20の管理する一定の地域をさらに小さなテリトリーに分けて、数十か所の配送拠点50(b1~bm)が設けられている。一つの配送拠点50には複数の配達員が所属しており、可搬型ガス燃料を充填したガス容器を配達して適宜交換する。
【0028】
各配送拠点50(b1~bm)では、利用者から回収してきたガス容器に可搬型ガス燃料を充填して、管理サーバ20により決定された交換予定日に、可搬型ガス燃料を充填したガス容器を各利用者設備40へ配送して使用中のガス容器と交換する。各配送拠点50にはそれぞれ多くの利用者設備40への配送を担当する多くの配送員がいる。各配送員は、可搬型ガス燃料を充填したガス容器をバイク又はトラックなどに載せて利用者設備40に運び、利用者設備40に設置されているガス容器がガス切れになる前に交換する。なお、後述するガス容器の交換予定日を設定する管理サーバ20の機能を、配送拠点50のコンピュータまたはサーバに移管して、配送拠点50で交換予定日を設定するように構成することもできる。
【0029】
図2は、利用者設備40の一実施形態を模式的に示す図である。図2では、可搬型ガス燃料を燃焼させて調理等に使用するガス機器(図示せず)、可燃性ガスを充填したガス容器41、ガス容器41に充填された可搬性ガス燃料の重量を測定するための重量計42(圧力計でも良い)を備える例を示している。図2では、管理サーバ20とデータ通信を行うための無線LANの子機(Wi-Fi子機)43及び無線LANルーター44を備える構成例を示している。無線通信器は任意に設定可能な装置であり、本発明の必須の構成要素ではない。
【0030】
図2の利用者設備40の無線LANを介して重量データ等の利用者設備40のデータを管理サーバ20に送信する構成に変えて、又はこの構成に加えて、所定のアプリケーションをインストールしたスマートフォンその他のモバイル端末を用いて管理サーバ20に情報を送信するように構成することもできる。さらに、携帯電話を用いて電話で入力情報を伝達し、その情報に基づいて管理サーバ20に情報を入力する構成としても良い。
なお、前述した通り、多くの場合、このような利用者設備40(a1~an)は、利用者の居住する屋内に設置されている。このような屋内設置の利用者設備の場合には、ガス容器の交換には利用者の立ち合いが必要となる。
【0031】
図3に、本発明の一実施形態に係る管理サーバ(入出力部や外部記憶部を含む)20の機能ブロック図を示す。この例では、図1と同じように、利用者設備40及び配送拠点50等と通信ネットワーク90を介してデータを送受信する通信制御部21を備える例を示している。この例に限らず、オフラインで情報を入力する場合には、例えば携帯電話等からの情報に基づいてサーバ管理者が入出力部29のキーボード等から必要なデータを入力することができる。入出力部29は、入出力制御部、入出力インターフェース、キーボード、表示部、及び印刷部等(いずれも図示せず)を備えており、キーボード等により入力された登録情報等が管理制御部23に入力されて、利用者情報等の登録、交換予定日の設定などの各種処理が実行される。
【0032】
管理サーバ20の実態は、CPU、メモリ、通信装置、入出力I/F及びバスコントロール等のハードウェアと、メモリに記憶された各種制御プログラムと制御データとから構成されており、さらに必要に応じて表示機や印刷機などの入出力装置が接続された構成となっている。図3はこの管理サーバ20の本発明の主要部に関連する重要な構成のみを機能的に簡略化して表した機能ブロック図である。
【0033】
通信制御部21は通信インターフェースを備えており、通信ネットワーク90を介して外部の機器(利用者設備、モバイル端末及び配送拠点等)とデータの送受信を行う。受付部22は通信制御部21により受信したデータを受け付けて、管理制御部23に出力する。管理制御部23は、記憶部24、その他各部25~29を制御して、可搬型ガス燃料の供給管理のため各種処理を実行させる。記憶部24には、管理制御部23の制御の下、利用者の氏名、住所、利用設備の構成、利用者識別子、容器識別子等、利用者設備ごとの各種個別情報、配送業者の情報、各種プログラム、各種プログラムを制御するための制御データ、その他必要なデータが記憶されている。
【0034】
情報登録部25は、利用開始時に利用者の氏名、住所、利用者設備40の情報、及びキャッシュレス決済情報など必要な情報、及び各利用者及び利用設備40に付される識別番号である利用者識別子及び設備識別子などを、記憶部24への登録や変更及び出力を制御する。配送管理部26は、本発明の主要な特徴部分であり、利用者設備40に設置されるガス容器41を交換する交換予定日を設定する。清算管理部27は、ガス容器交換その他利用者設備に関する費用の清算を管理する。配送管理部26についてはさらに詳細に後述する。
【0035】
図4は、本発明の主要部である配送管理部26の一実施形態の特徴的な主要機能を、簡略化して表した機能ブロック図である。図4では、配送管理部26が、配送制御部30、期間探索部31、期間確定部32、交換予定日設定部33、及び緊急時対応処理部35を備える例を示している。緊急時対応処理部35は、交換予定日よりも早くガス切れが生じたときなどの緊急事態に対応するための対応処理を行うものであり、緊急時対応処理部35も必ずしも必須ではないが備えていることが好ましい。
【0036】
配送制御部30は、配送管理部26の各部(31、32、33、35)を制御して、ガス容器41の交換の度に、前記ガス容器41の次回交換時までの使用期間を設定して、次回のガス容器の交換予定日を設定して出力するように配送管理部26全体の処理を制御する。期間探索部31は、利用設備の使用開始後当該利用者設備の利用形態に適合する適切なガス容器の使用期間(次回交換までの期間)を探索する。具体的には、利用者設備の使用を開始後、当該利用者設備40のガス容器交換時のガス残量に基づいて、ガス容器交換時のガス残量が適切な範囲に収まる適切な「定期交換期間」の探索を開始する。定期交換期間が決まるまでは、次回の交換予定日までの期間として仮使用期間を設定する。ここで、ガス容器交換時のガス残量が適切な値となる許容範囲を残量比に基づいて定めても良い。残量比とは、ガス容器内を充填される可搬型ガス燃料の最大量を分母とし、ガス容器の交換時に残っている可搬型ガス燃料の残量を分子として表したもので、可搬型ガス燃料のフル充填の状態と残量の比である。残量比は、ガス残量の重量またはガス残量の圧力の比等で表すことができる。以下においては、ガス残量の許容範囲を残量比で指定する例を用いて説明する。複数のガス容器を使用する場合には、当該利用者設備で使用するガス容器全体の収容量を、分母となる可搬型ガス燃料の最大量としても良い。
【0037】
期間確定部32は、交換時における残量比が所定の許容範囲(第1の許容範囲)となった場合、前回交換時に設定した仮使用期間を許容期間と認定する。その後、さらに当該許容期間が予め定めた所定の条件を満足する場合には、当該許容期間を「定期交換期間」として確定する。「定期交換期間」とは、その後のガス容器の交換を定期的に行うための計算の基礎となる一定の長さの使用期間である。ここで予め定めた所定の条件としては、例えば、同じ許容期間が所定の回数以上設定されたことなどを条件とすることができる。期間探索部31、期間確定部32及び以下に説明する交換予定日設定部33と緊急時対応処理部35を含む配送管理部26の詳細な処理手順については、後述する。なお、前述した許容期間の認定を期間探索部31により行うように構成することもできる。
【0038】
期間確定部32により定期交換期間が確定された後は、原則としてガス容器交換時のガス残量の多少にかかわらず、定期交換期間に基づいて定期的にガス容器を交換する。しかし定期交換期間が確定された後であっても、残量比が第1の許容範囲より広い許容範囲(第2の許容範囲)にあるかどうかを監視して、交換時の残量比が第2の許容範囲内にない場合には、確定している定期交換期間を取り消して、もう一度最初から許容期間を探索して定期交換期間を再設定するように構成することが望ましい。
交換予定日設定部33は、仮使用期間、許容期間、又は定期交換期間に基づいて、次回のガス容器の交換予定日を設定する。新しいガス容器と交換した日に仮使用期間、許容期間、又は定期交換期間を足した日が、ガス容器の次回の交換予定日となる。
【0039】
緊急時対応処理部35は、交換予定日設定部33により設定された交換予定日に到達する前に、ガス切れが発生した場合にその対応処理を行う。交換予定日は所定の残量を残して余裕を見てガス容器を交換するように設定されているので、交換予定日よりも早くガス切れが発生するのは想定しておらず、緊急事態である。特に定期期間確定後においては、許容期間を探索して定期交換期間を確定したにもかかわらず、このようなガス切れが発生したということは、その利用者設備における利用環境が変わり、ガス燃料の使用量が増えた可能性が高い。または特殊なイベントが発生したためにガス使用料が急に増えた可能性もある。
【0040】
このような緊急事態に対応する基本処理動作は、利用環境に合わせた適切な使用期間を再度探索して、現在の利用環境に沿った定期交換期間を再設定することが望ましい。そのため、例えば、前述したように交換時の残量が第2の許容範囲内に無い場合の対応処理と同じように、もう一度最初から許容期間を探索して、定期交換期間を確定するようにすることが好ましい。当該利用者設備の利用環境が変わったのであれば、再度許容期間を探索することにより、より現実の利用環境に即した許容期間が探索されて、適切な定期交換期間が設定されることが期待できる。
【0041】
<利用者設備の使用開始時の処理>
図5は、利用者が利用者設備の使用契約を結び、新しい利用者設備を設置して可搬型ガス燃料の使用を開始する際における管理サーバ20の基本処理手順の一例を示すフローチャートである。
利用者設備の設置が決まると、管理サーバに利用者設備の顧客情報及び当該利用者設備に関する情報及び顧客情報が入力される。顧客情報等とは、例えば利用者設備の住所、利用者の住所及び氏名、設備の種類と態様、キャッシュレス決済その他の清算に関する情報等である。また、所定スケジュールに従って利用者設備が設置されると、設備完了報告情報が管理サーバに入力される。
【0042】
顧客情報及び利用者設備情報が入力されると(S11;Yes)、設備情報及び顧客情報は記憶部内に登録される(S12)。また、利用者設備の設置が終了すると、ガス容器を含む利用者設備40の設置が完了したか否かが確認される(S13)。設備の設置完了情報を受信すると(S13;Yes)、ガス容器の交換回数N=0か否かが確認される(S14)。利用者設備40の設置時はガス容器の初回設定時であるので、ガス容器の交換回数N=0であり(S14;Yes)、ステップS15にすすむ。初回設定時以外(N=0でないとき)は、後述するガス容器交換時処理フロー(S21)に移動する(S14;No)。
【0043】
初回設定時の場合には(S14;Yes)、当該利用者設備の設備データを取得して(S15)、当該設備条件に対応するように予め決められた初期使用期間Sを取得する(S16)。初期使用期間Sは、利用設備の種類や規模に応じて決められてリスト化されており、該リスト化されたたテーブル(図示せず)から、当該利用設備に対応する初期使用期間Sがピックアップされる。初期設定期間Sは、当該利用設備の使用実績が全く存在しないことを考慮して、ガス切れを起こすことが無いように十分余裕を見た使用期間が設定されることが好ましい。
【0044】
初期使用期間Sが取得されると(S16)と、設備導入時当日に初期使用期間Sがプラスされて次回のガス容器の交換予定日PDが設定される(S17)。次回の交換予定日PDが設定されると、管理サーバ20内に記憶されるとともに印刷又はデータ出力されて(S18)、ガス容器を交換する配達業者及び利用者に伝達される。その後、ガス容器の交換回数Nが1つだけカウントアップされて(S19)、初期設定時の交換予定日の設定処理が終了する。
【0045】
<ガス容器の次回交換予定日の設定処理手順の実施形態:仮交換予定日の設定>
次にガス容器交換時の処理手順について説明する。図6は、次回の交換予定日を設定する処理手順の第1の実施形態を示すフローチャートである。次回のガス容器の交換予定日は、必ずしもガス容器の交換日当日に交換現場で決定することが必須ではない。しかし、ガス容器交換直後に交換現場で次回交換予定日を設定して、その場で立ち合い者等の利用者に次回交換日を伝えることが望ましい。次回のガス容器の交換スケジュールをその場で配達業者及び利用者相互間で迅速に決定することにより、次回交換日を後で調整するよりも円滑かつ迅速に確定することが可能となる。利用者の状況に応じて、その後、交換予定日を変更することは可能である。
【0046】
次回の交換予定日を決定する処理手順の一例を、図6を用いて説明する。利用者設備のガス容器が交換されるときには、無線端末装置等により交換現場から利用者設備番号、ガス残量などの情報とともにガス容器を交換する旨の情報が、管理サーバ20に送信される。管理サーバ20がガス容器交換を交換する旨の情報及び交換時のガス燃料の残量等を取得すると(S21;Yes)、当該交換日と当該ガス容器の交換時のガス燃料の残量が記憶される(S22)。
【0047】
次に、Ts確定フラグがONか否かが確認される(S23)。Ts確定フラグは、当該利用者設備40のガス容器を一定の長さの期間間隔で定期的に交換するための定期交換期間Tsが確定していることを示すフラグである。定期交換期間Tsは期間確定部32により確定される。Ts確定フラグがONであるということは既に定期交換期間Tsが確定しているので、TsフラグがONの場合は(S23;Yes)、ガス交換日に定期交換期間Tsを足して、次回の交換予定日PDが設定される(S30)。設定された次回の交換予定日PDは、管理サーバ20の記憶部に記憶されるとともに、ガス容器交換業者及び利用者に知らせるために出力される(S31)。
【0048】
少なくとも第1回目の交換のときには、Ts確定フラグがONになっていることはないので(S23;No)、次のステップで残量比WRが所定の範囲(第1の許容範囲)内であるかどうかが確認され(S24)、定期交換日の探索処理が開始される。
【0049】
図6のステップS24では、残量比WRの第1の許容範囲を0.1<WR<0.15としている。これは例示であり、許容範囲は利用者設備40の規模やガス燃料の使用量などに応じて決めることができる。基本的な考え方としては、毎回同じ一定の長さの使用期間で定期的に交換することを可能にするためには、ガス切れのリスクとガス残量を適切に抑制するため、ガス容器の交換時に一定量の未使用ガスが残るように適切なバランスをとることが求められる。リスク回避の観点から、次回使用期間中のガス使用量の変動を吸収できる一定量のガス残量となるように、利用設備規模などに応じた適切な残量比WR値が定められる。
【0050】
残量比WRとは、前述した通り、可搬型ガス燃料がフル充填されている場合のガス燃料の総量Fとガス容器の交換時におけるガス燃料の残量(ガス残量)Rの比(R/F)である。判定基準となる第1の許容範囲(WRの許容範囲)は、交換予定日のガス残量に基づいて個々の利用者設備毎に個別に決めるのではなく、利用者設備の類型(規模、業種、使用態様に応じた一般的な類型)に対応するように類型毎に定められている。この第1の許容範囲は各種利用者設備のデータを類型ごとに統計的に集計解析して、適切な範囲が設定することが望ましい。また第1の許容範囲は、一定の期間ごとに見直して更新することが望ましい。この一定の設備類型(設備の種類又は形態)ごとに定められている第1の許容範囲に基づいて、個々の利用者設備の定期交換期間が画一的に確定される。
【0051】
図6の例に戻り処理手順を説明すると、残量比WRが第1の許容範囲(0.1<WR<0.15)内にあるかどうか、すなわち交換時における未使用のガス燃料(残量)が交換時の10%~15%内にあるかどうかが確認され(S24)、この残量比WRがこの範囲内にない場合には(S24;No)、当該交換時の残量比の目標値とのずれに基づいて、次の交換日にはより目標の残量比に近付く使用期間となるように、仮使用期間Tnが算出される(S25)。目標となる適切な交換リスクの残量比に近づけるための仮使用期間Tnの算出は、調整係数αxを用いて行う。調整係数αxは、当該交換日の残量比の値に応じて予め定められており、該調整係数αxを用いて前回の仮使用期間Tn-1を修正することにより次回仮使用期間が計算される。
【0052】
図11を用いて調整係数αxについて説明する。図11には、ステップS23において使用する、仮使用期間Tnの算出するための調整係数αxの表(テーブル)を例示している。このテーブルを参照しつつ、次回仮使用期間Tnの算出例を説明する。例えば、図11のテーブルでは、ガス容器41の交換時の残量比がWR>0.25のとき、すなわち残量が25%より多い場合、調整係数αxを1.12としている。つまり、次回仮使用期間Tnを前回仮使用期間Tn-1×αxとして算出することにより、前回の仮使用期間Tn-1よりも12%使用期間を延ばしている。そのため、調整係数αxを1.12としたものである。これは今回の交換時における残量比がWR<0.25であり、ガス容器交換時のガス燃料の残量がかなり多いので、次回仮使用期間Tnを延ばして、次回交換時のガス残量がより少なくなるように使用期間を前回より1.12倍長く設定するものである。
【0053】
ガス残量が多く残量比WRが0.25≧WR≧0.20のときには、調整係数を1.07として、前回の仮使用期間Tn―1よりも1.07倍に使用期間を長くしてガス残量を減らすようにする。ガス残量がより少ない満タン時の15%以上20%未満(0.20>WR≧0.15)のときには、調整係数を1.03として使用期間を1.03倍伸ばした仮設定期間Tnを設定している。
【0054】
これとは逆に、今回の残量比WRが0.1以下で0.05以上のときには、ガス残量が少なすぎてガス使用量の変動リスクに対応できずガス切れ可能性がでてくるので、仮使用期間を前回よりも少し短くしてガス残量をより多くする必要がある。そのため図11のテーブルの“0.1≧WR≧0.05”、“0.05>WR”の欄に示すように、残量比WRが0.1(10%)以下のときには調整係数αx=0.95、又はαx=0.90と1より小さくしている。これにより次回仮使用期間Tnが前回仮使用期間Tn-1よりも短くなり、ガス残量が多くなるように設定される。
【0055】
また、交換予定日が到来する前にガス切れを起こすことも考えられる。ガス切れを起こした場合には、ガス切れに伴うガス容器の緊急補充(緊急交換)が必要となる。現にガス切れを起こしてしまいガス容器の緊急交換が必要になったということは、ガス容器の交換予定日を決める仮使用期間又は定期使用期間が長すぎたということであるので、より早くガス容器を交換する必要がある。そのために、図11に示す例では緊急調整係数αxを0.8にして、仮使用期間をガス切れ時に設定されていた仮使用期間より20%短くなるように設定している。
【0056】
仮使用期間Tnが算出されると(S25)、当該交換日の日付に仮使用期間Tnがプラスされて、次回の交換予定日PDが設定される(S26)。次回の交換予定日PDが設定されると、管理サーバ20の記憶部24に記憶されるとともに、通信、印刷、表示等の各種形態で出力されて(S27)、交換回数Nが更新される(S28)。出力された交換予定日PDは、配送業者、利用者に提供されて、次回の交換予定日PDに向けてスケジュールの調整等の準備が進められる。
【0057】
今回のガス容器交換時における残量比WRが第1の許容範囲0.1<WR<0.15内にある場合(S24;Yes)、前回交換の際に設定した仮使用期間Tn-1が、期間探索部31がターゲットとする許容範囲である許容期間Tkに入っていたものと判定される。しかし、図6に示す例では、その仮使用期間Tn-1を直ちにそのまま定期交換期間Tsとはしない。図6の例では、今回の交換時の残量比WRが許容範囲Tk内にあり、前回設定した仮使用期間Tn-1が許容期間Tkであったと認定されたとしても、ガス容器41の交換回数Nが所定回数以下の場合には(S29;No)、さらに仮使用期間Tnを設定する処理手順を繰り返す(S25~S28)。
【0058】
図6に例示する処理手順においてガス容器の交換が所定の回数以上行われたことを定期交換期間Tsの確定ための条件としたのは、前回交換時から今回交換時までの期間の使用量がたまたま少なかったり多かったりする偶然を回避し、安定した定期交換期間を確定するためである。したがって、所定の回数Nは2回以上とすることが好ましく、3回又は4回以上とすると、より安定した確定期間Tsを探索することが可能となる。
【0059】
交換時のガス燃料の残量比WRが第1の許容範囲0.1<WR<0.15にあり(S24;Yes)、既に交換回数Nが所定の回数以上であれば(S29;Yes)、前回設定した仮使用期間Tn-1(許容期間Tkでもある)を、原則として以後の次回の交換予定日PDを決定するための使用期間である“定期交換期間Ts”とすることを確定する(S28)。その後、定期交換期間Tsを確定したことを示すTsフラグをONにして(S29)、確定した定期交換期間Tsに基づいて、交換予定日PDを計算して設定し(S30)、交換予定日PDを記憶するとともに出力して(S31)、配送業者50及び利用者に伝達する。
【0060】
図6に示す処理の例では、許容期間Tkを判定する残量比の第1の許容範囲を0.1<WR<0.15としている。そのため、0.1<WR<0.15の範囲については、調整係数を1.0として、前回の交換時と同じ仮使用期間Tnが再度設定されて、これに基づいて次回交換予定日PDを設定する(S23、S24)。しかし、交換時の残量を所定の範囲0.1<WR<0.15の中央値に近づけるため、この範囲であってもさらに細かく段階的に調整係数αxを変化させるように構成しても良い。尚、図11に示す調整係数αxの表は一つの例示であり、より細かく段階的に調整係数αxを決めておくことにより、より効率的に定期交換期間Tsを探索することが可能となる。
【0061】
<仮交換予定日の設定処理手順の第2の実施形態>
図7に、交換予定日の設定処理手順の他の例(第2の実施形態)のフローチャートを示す。図6に示す第1の実施形態と異なるのは、図6のステップS40~S42に代えて、ステップS45~S48を設け、定期交換期間Tsを確定するための回数を、交換回数Nではなく許容期間Tkの回数Nkを用いて判定している点である。これにより、許容期間Tkの交換回数Nkが所定回数未満(S46;No)の間は仮使用期間に基づいて次回の交換予定日PDを設定し(S25,S26),Nkが所定回数以上になったときに(S46:Yes)定期交換期間Tsを確定する(S47)。これにより、より確実に定期交換期間Tsをより確実に所定範囲内(第1の許容範囲内)に誘導することが可能となる。ここで定期交換期間Tsを確定するための条件となる回数Nkを、連続して許容期間Tkとなった回数Nkと限定してもよい。
【0062】
<仮交換予定日の設定処理手順の第3の実施形態>
図8に、交換予定日の設定処理手順の第3の実施形態に係るフローチャートを示す。図6の第1の実施形態と異なるのは、図6の各処理手順に加えてステップS50及びS51を設けた点である。ステップS50では、定期交換期間Tsが確定されている場合(S23;Yes)であっても、残量比WRが、第1の許容範囲0.1<WR<0.15よりも広い第2の許容範囲0.05<WR<0.25内にあるかどうかを確認している(S50)。すなわち、定期交換期間Tsが確定された場合であっても、残量比WRが第2の許容範囲以外となったら、Ts確定フラグをOFFして、定期交換期間Tsを再度探索して設定し直すものである。
【0063】
なお図8では、第2の許容範囲を“0.1<WR<0.15”としているがこれにかぎらず、ガス切れリスクを回避する安全度をどの程度とするかという観点から、任意の値に設定することができる。このように、定期交換期間Tsが確定した後においても、残量比WRが所定の許容範囲を超えないかどうかを確認することにより、定期交換期間Tsが適切か否かを監視し、許容範囲を超えたら定期交換期間Tsを再設定し直すことにより、ガス切れリスクをさらに抑制することが可能となる。
【0064】
すなわち、第3の実施形態では、定期交換期間Tsが確定した後、残量比WRがあまりに少なかったり(例えば0.05以下)、多かったりした場合(例えば0.25以上)には、定期交換期間Tsを探索して設定し直している。このような事態は、当該利用設備40の使用環境が変わったか、または設定した定期交換期間Tsが適切なものではなかったときに生じる可能性が高い。図の例では、残量比が“0.05<WR<0.25”の範囲から外れた場合、すなわち残量が5%以下となった場合や25%以上となった場合には(S50;No)、Ts確定フラグをOFFにして(S51)、再度仮使用期間を設定して、より適切な定期交換期間Tsを探索し直している(S24~S28及びS40~S42)。これにより、当該利用設備40の変化した利用環境により適切な定期交換期間Tsを設定し直すことが可能となる。
【0065】
なおフローチャートとしては図示していないが、図8に示す第3の実施形態のステップS40~S42の処理に変えて、図7に示す第2の実施形態のステップS45~S48の処理を組み合わせて採用する実施形態(第4の実施形態)とすることなど、これらの実施形態を適宜選択的に組み合わせた構成とすることも可能である。
【0066】
<緊急時ガス容器交換の対応処理手順の実施形態1>
次に、次回の交換予定日よりも早くガス切れが発生した場合である緊急時の対応処理手順について説明する。図9は、緊急時対応処理手順の一実施形態を示すフローチャートである。交換予定日PDの前にガス切れが発生すると、当該利用者設備の利用者からガス容器交換の要請がある。ガス切れに伴うガス容器交換の緊急要請があると(S60;Yes)、既に設定されている定期交換期間Ts、各種フラグ、各種カウンタ(N,Nkなど)がリセットされて(S61)、次回の交換日を計算するために、緊急時用の前回仮使用期間Tn-1と緊急時の調整係数αx(図11の例示参照)が設定される(S62)。仮使用期間が設定されると、図6~8などで各種実施形態を示した交換予定日の処理手順のステップS23以降の処理が実行されて、次回交換日が決定される。
【0067】
緊急時用の前回仮使用期間Tn-1は、前回の交換時に設定され使用期間(仮使用期間Tnー1または定期交換期間Ts)を基準に設定することが好ましい。例えば、緊急時用に、前回の交換時に設定した使用期間よりも短い予め定めた特別の使用期間を設定するようにしても良い。その後、前述した図6~8等の処理手順に基づいて使用期間の再探索及び定期交換期間の再設定を行う。これにより、まず緊急交換後の次回仮使用期間Tnを算出して、当該利用者設備の利用環境の変化に応じた適切な定期交換期間Tsを再度探索し直して、現在の使用環境に応じたより適切な定期交換期間が設定される。
【0068】
<緊急時ガス容器交換の対応処理手順の実施形態2>
図10に、緊急時の対応処理手順の他の例(緊急時対応処理手順の実施形態2)を示す。この実施形態においては、ガス切れに伴う緊急交換の発生回数に応じて緊急時の調整係数αxを変更する。ガス切れに伴うガス容器交換の緊急要請があると(S70;Yes)、定期交換期間Ts、及びカウンタや各種フラグ等をリセットし(S71)、前回使用期間Tn-1又は緊急使用期間と緊急時の調整係数αxを設定する(S72)。そのために、当該利用設備でガス切れが発生する毎に、ガス切れカウンタEnをカウントし(S73)、ガス切れカウンタEnのカウント数に応じて、図6,8,9のステップ24に示す第1の許容範囲及び調整係数αxを緊急事態用の設定数値を切り替える(S45)。
【0069】
ガス切れカウンタEnのカウント数に応じて切り替える第1の許容範囲、及び調整係数は例示しないが、ガス切れカウンタEnのカウント数が増えるごとに、ガス残量が多くなるように第1の許容期間を漸次変更するのが望ましい。これにより、ガス切れが発生したときにはその頻度に応じて仮使用期間Tnの設定をより安全度の高い範囲に設定することができる。また、図10の実施形態を採用する場合には、図8に示す第3の実施形態においては、緊急時交換が発生したときには第2の許容範囲も切り替えることが望ましい。
【0070】
以上の各実施形態の説明においては、図2に示すガス容器41が1個の利用設備40を用いて説明してきた。しかし、利用設備によっては、図12に示すように、ガス容器が2個またはそれ以上の利用者設備40-2もある。このような利用者設備40-2では、一般的に、自動切替調整器46を設置して、使用中のガス容器41-1のガス燃料が少なくなったら自動的に他方のガス容器41-2に切り替えるように構成することができる。また、このようなガス容器を片方ずつ使用する自動切替調整46を使用せずに、利用者が手動で、空になったガス容器41-1から他方のガス容器41-2に切り替えるようにしても良い。
【0071】
利用者設備40-2のようなガス容器が2個以上の設備でも、ガス容器41が1個の場合と同じように、定期交換期間に基づいて1個ずつガス容器を交換しても良いが、例えばガス容器が2個利用者設備の場合には、1個のガス容器の定期使用期間を2倍した値を当該利用者設備の定期使用期間として、2個同時にガス容器を交換するように構成しても良い。この場合、例えば、1個のガス容器に基づいて定期交換日を探索して、定期交換日PDが確定した後に、定期交換期間を2倍してガス容器を2個同時に交換するようにしても良い。
【0072】
また、利用者設備40-2のようなガス容器が2個の設備、又はそれ以上のガス容器が接続される設備においては、自動切替調整46に変えて、2個またはそれ以上のガス容器のガス燃料をほぼ同時に均等に消費するようにしたガス供給調整器(図示せず)を設けることもできる。このような複数のガス容器のガス燃料をほぼ同時に使用することは、ガス供給調整器を、ガス容器からガス機器に減圧してガス燃料を供給する減圧器に対して複数のガス容器から同時にガス燃料を供給できるように連結した接続部を設ける構成とすることにより可能となる。
【0073】
このようにガス供給調整器を用いて複数のガス容器のガス燃料を同時に使用する場合においても、本発明の定期交換期間による交換方式による可搬型ガス燃料の供給管理システムを適用することができる。この場合には、ガス容器の数の倍数の初期使用期間Sが設定されて定期交換期間が探索される。またこの場合には、複数のガス容器を同時に交換することになるが、使用中の複数のガス容器にほぼ同量の残量が残ることになるため、このような利用者設備においては、第1の許容範囲及び第2の許容範囲を、交換時の残量がより少なくなるように、残量比WRの範囲を設定することが望ましい。また、この所定の範囲を決定するにあたっては、同時に使用するガス容器の数が多いほど、交換時の残量が少なくなるように設定することが好ましい。
【0074】
以上の説明から明らかなように、本発明は定期交換期間を確定することにより、早期に次回の交換予定日PDを確定して、配達業者と利用者相互間のスケジュールの調整、配達業者の交換日毎の顧客配達スケジュールや配達ルート調整作業などに伴う作業負荷を大幅に軽減するものである。しかし、これは従来のネットワークを通じて、オンラインで利用設備毎の使用状況を把握することを否定するものではない。
【0075】
本発明に係る定期交換期間を採用しつつ、ネットワークによるオンラインデータを収集して、使用量が所定量以下になったら、早期交換信号を発する等、ガス切れによる緊急事態を避けるように構成することもできる。また、オンラインデータに基づき、より正確な定期交換期間を抽出するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 本発明の一実施形態に係る可搬型ガス燃料の供給管理システム
20 管理サーバ
25 情報登録部
26 配送管理部
27 清算管理部
30 配送制御部
31 期間探索部
32 期間確定部
33 交換予定日設定部
35 緊急時対応処理部
40 利用者設備
41 ガス容器
42 重量計
43 無線LAN子機
44 無線LANルーター
46 自動切替調整器
50 配送拠点
WR 残量比
Ts 定期交換期間
Tn 仮使用期間
Tk 許容期間
αx 調整係数
PD 次回の交換予定日
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12