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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ロボット装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20250117BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20250117BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
A61B34/35
B25J19/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023565642
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2021129098
(87)【国際公開番号】W WO2022151816
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-08-11
(31)【優先権主張番号】202110035516.X
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523265700
【氏名又は名称】深▲セン▼康諾思騰科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】馬嘉楽
(72)【発明者】
【氏名】盧曰強
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/094794(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
A61B 34/30-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット装置の制御方法であって、
前記ロボット装置は、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置を駆動して駆動装置上で移動させる駆動装置とを備え、
前記ロボット装置の制御方法は、
前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた複数の慣性センサーから複数の慣性センシングデータを取得することと
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることと
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することとを含み、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、
前記フュージョンデータに基づいて、前記駆動装置の実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つを算出することと、
前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、対応するプリセット角度範囲内にあるか否かを判断することと、
前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが前記対応するプリセット角度範囲内にない場合に、前記ロボット装置の動作が異常であると決定されることと、
前記ロボット装置の動作が異常であると決定された場合、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することと、を含み、
前記慣性センサーが前記実行装置に設けられた場合に、前記駆動装置は、前記実行装置を直線に移動させるように駆動する、
ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
【請求項2】
ロボット装置の制御方法であって、
前記ロボット装置は、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置を駆動して駆動装置上で移動させる駆動装置とを備え、
前記ロボット装置の制御方法は、
前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた複数の慣性センサーから複数の慣性センシングデータを取得することと、
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることと、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することと、を含み、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、
前記フュージョンデータに基づいて、前記駆動装置の実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つを算出することと、
実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つと、対応する目標角度とに基づいて、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つ対応する目標角度との間の1つまたは複数の一致度を算出することと、
前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角に対応する一致度が、対応する一致度閾値に達したか否かを判断することと、
前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角に対応する一致度が、対応する一致度閾値に達していない場合、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することと、を含
前記慣性センサーが前記実行装置に設けられた場合に、前記駆動装置は、前記実行装置を直線に移動させるように駆動する、
ことを特徴とするロボット装置の制御方法
【請求項3】
ロボット装置の制御方法であって、
前記ロボット装置は、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置を駆動して駆動装置上で移動させる駆動装置とを備え、
前記ロボット装置の制御方法は、
前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた複数の慣性センサーから複数の慣性センシングデータを取得することと、
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることと、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することと、を含み、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、
前記フュージョンデータに基づいて、前記駆動装置の実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つを算出することと、
実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つと、対応する目標角度とに基づいて、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つと対応する目標角度との間の1つまたは複数の一致度を算出することと、
前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つに対応する一致度に基づいて、第1プリセット時間帯における前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の一致度の変化が対応する変化閾値を超えているか否かを算出することと、
前記第1プリセット時間帯における前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の一致度の変化が対応する変化閾値を超えると、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することと、を含
前記慣性センサーが前記実行装置に設けられた場合に、前記駆動装置は、前記実行装置を直線に移動させるように駆動する、
ことを特徴とする請求項ロボット装置の制御方法
【請求項4】
ロボット装置の制御方法であって、
前記ロボット装置は、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置を駆動して駆動装置上で移動させる駆動装置と、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置とを備え、
前記ロボット装置の制御方法は、
前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた複数の慣性センサーから複数の慣性センシングデータを取得することと、
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることと、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することと、を含み、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、
前記フュージョンデータに基づいて前記伝動装置の出力角度を算出することと、
使用毎に前記伝動装置の出力角度と前記伝動装置の入力角度との誤差を算出することと、
誤差の変動および/または変動率と、前記伝動装置の数学的運動モデルとに基づいて、前記伝動装置の永久消費量を予測することと、
前記永久消費量に基づいて、前記ロボット装置が正常に動作しているか否かと、前記伝動装置の残り使用時間または残り使用回数とを判断することを含
前記慣性センサーが前記実行装置に設けられた場合に、前記駆動装置は、前記実行装置を直線に移動させるように駆動する、
ことを特徴とするロボット装置の制御方法
【請求項5】
前記ロボット装置は、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置と、前記伝動装置に接続され、前記伝動装置に動力を与えるための動力装置とをさらに備え、
前記複数の慣性センシングデータは、加速度データを含み、
前記動力装置の実電流データを取得することと、
前記実電流データと前記伝動装置の数学的運動モデルとに基づいて、前記伝動装置の理論加速度データを予測することと、を含み、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、
前記理論加速度データと前記加速度データとの比較に基づいて、前記ロボット装置の衝突発生を判断することと、
前記ロボット装置が衝突したと決定した場合、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ロボット装置の制御方法であって、
前記ロボット装置は、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置を駆動して駆動装置上で移動させる駆動装置と、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置と、前記伝動装置に接続され、前記伝動装置に動力を与えるための動力装置と、前記動力装置に接続され、前記動力装置の位置および/または向きを調整するための調整装置とを備え、
前記ロボット装置の制御方法は、
前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた複数の慣性センサーから複数の慣性センシングデータを取得することと、
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることと、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することと、を含み、
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、
前記複数の慣性センシングデータに基づいて前記伝動装置の歪みデータを算出することと、
前記歪みデータに基づいて、前記フュージョンデータとしての前記駆動装置に対するユーザの推力の大きさ及び方向を算出することと、を含み、
前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、
前記推力の大きさ及び方向に基づいて、前記調整装置の少なくとも1つの角度を制御することを含
前記慣性センサーが前記実行装置に設けられた場合に、前記駆動装置は、前記実行装置を直線に移動させるように駆動する、
ことを特徴とするロボット装置の制御方法
【請求項7】
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、
前記ロボット装置の制御信号を取得することと、
前記複数の慣性センシングデータと前記制御信号とをデータフュージョンし、前記フュージョンデータを得ることと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得るには、相補アルゴリズム、ノイズモデルに基づくアルゴリズム、または粒子群に基づくアルゴリズムを用いる、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記慣性センシングデータは、加速度データ、角速度データまたは方向データの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ロボット装置(300)であって、
実行ツール(311)を固定するための実行装置(310)と、
前記実行装置(310)に接続され、前記実行装置(310)を駆動するための駆動装置(320)と、
前記実行装置(310)および/または前記駆動装置(320)に設けられ、前記実行装置(310)および/または前記駆動装置(320)の慣性センシングデータを収集するための複数の慣性センサー(330)と、
前記複数の慣性センサー(330)に接続され、請求項1~のいずれか1項に記載の制御方法のステップを実行するための制御装置(340)と、
を備える、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項11】
前記慣性センサーは、ジャイロスコープ、加速度計、または磁力計のうちの少なくとも2つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項12】
前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置と、
前記伝動装置に接続され、前記伝動装置に動力を与えるための動力装置と、
前記動力装置に接続され、前記伝動装置及び前記動力装置全体の位置および/または向きを調整するための調整装置と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの分野に関し、より具体的にはロボット装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット技術の発展に伴い、例えば医療分野など、ロボット装置の応用分野がますます広くなっている。従来の医療用ロボット装置は、固定された遠隔動中心(RCM)を中心として手術器具を移動させるように、手術器具などのロボットアームによる実行ツールの持ち運びを、平行四辺形機械伝動構造(PLM)により実現することができる。手術器具直線駆動ユニット(ISA)とコンパクトモータモジュール(CMD)との角度同期性を、平行四辺形機械伝動構造の内外に配設された複数の1軸角度センサーモジュール(ENC)で測定する。しかしながら、1軸角度センサーモジュールシステムは、コンパクトモータモジュールと手術器具直線駆動ユニットとのピッチ角同期性の検出しか実現できず、平行四辺形機械伝動構造の他の方向の変形を測定することができない。また、1軸角度センサーモジュールシステムを用いると、平行四辺形機械伝動構造における回路モジュール装置の数が増え、ロボット装置の信頼性を低下させ、引き回しの複雑度を増加させると共に、構造設計の複雑性を増加させ、ロボット装置の構造最適化設計に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例は、上記の平行四辺形機械伝動構造の他の方向の変形を検出できないこと、構造が複雑であること、ロボット装置の信頼性が低下することの少なくともいずれかを解決するためのロボット装置及びその制御方法、システム及びコンピュータ記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様によれば、ロボット装置の制御方法が提供され、前記ロボット装置は、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置を駆動して駆動装置上で移動させる駆動装置とを備え、前記方法は、前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた少なくとも1つの慣性センサーから少なくとも1つの慣性センシングデータを取得することと、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることと、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することとを含む。
【0005】
オプションとして、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいて、前記駆動装置の実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つを算出することを含み、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、対応する目標角度に同期しているか否かを判断することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが前記対応する目標角度に同期していなければ、前記ロボット装置の動作が異常であると決定されることと、前記ロボット装置の動作が異常であると決定された場合、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0006】
オプションとして、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、対応する目標角度に同期しているか否かを判断することは、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、前記対応する目標角度を含む対応するプリセット角度範囲内にあるか否かを判断することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが前記対応するプリセット角度範囲内にない場合、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角が前記対応する目標角度に同期していないと決定されることとを含む。
【0007】
オプションとして、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、さらに、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つと、前記対応する目標角度とに基づいて、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つに対応する同期率を算出することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角に対応する同期率が、対応する同期率閾値に達したか否かを判断することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の同期率が、対応する同期率閾値に達していない場合、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0008】
オプションとして、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、さらに、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つに対応する同期率に基づいて、第1プリセット時間帯における前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の同期率の変化が対応する変化閾値を超えているか否かを算出することと、前記第1プリセット時間帯における前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の同期率の変化が対応する変化閾値を超えると、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0009】
オプションとして、前記ロボット装置は、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置をさらに備え、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいて前記伝動装置の出力角度を算出することと、使用毎に前記伝動装置の出力角度と前記伝動装置の入力角度との誤差を算出することと、隣接誤差の変動および/または変動率と、前記伝動装置の数学的運動モデルとに基づいて、前記伝動装置の永久消費量を予測することとを含み、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定することは、前記永久消費量に基づいて、前記ロボット装置が正常に動作しているか否かと、前記伝動装置の残り使用時間または残り使用回数とを判断することを含む。
【0010】
オプションとして、前記ロボット装置は、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置と、前記伝動装置に接続され、前記伝動装置に動力を与えるための動力装置とをさらに備え、前記少なくとも1つの慣性センシングデータは、加速度データを含み、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記動力装置の実電流データを取得することと、前記実電流データと前記伝動装置の数学的運動モデルとに基づいて、前記伝動装置の理論加速度データを予測することとを含み、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、前記理論加速度データと前記加速度データとに基づいて、前記ロボット装置の衝突発生を判断することと、前記ロボット装置が衝突したと決定した場合、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0011】
オプションとして、前記ロボット装置は、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置と、前記伝動装置に接続され、前記伝動装置に動力を与えるための動力装置と、前記動力装置に接続され、前記動力装置の角度を調整するための調整装置とをさらに備え、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいて前記伝動装置の歪みデータを算出することと、前記歪みデータに基づいて、前記駆動装置に対するユーザーの推力の大きさ及び方向を算出することとを含み、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、前記推力の大きさ及び方向に基づいて、前記調整装置の角度を制御することを含む。
【0012】
オプションとして、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記ロボット装置の制御信号を取得することと、前記少なくとも1つの慣性センシングデータと前記制御信号とをデータフュージョンし、前記フュージョンデータを得ることとを含む。
【0013】
オプションとして、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得るには、相補アルゴリズム、ノイズモデルに基づくアルゴリズム、または粒子群に基づくアルゴリズムを用いる。
【0014】
オプションとして、前記慣性センシングデータは、加速度データ、角速度データまたは方向データの少なくとも1つを含む。
【0015】
本発明の第2態様によれば、ロボット装置が提供され、実行ツールを固定するための実行装置と、前記実行装置に接続され、前記実行装置を駆動するための駆動装置と、前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられ、前記実行装置および/または前記駆動装置の慣性センシングデータを収集するための少なくとも1つの慣性センサーと、前記少なくとも1つの慣性センサーに接続され、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得るステップと、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御するステップと、を実行するための制御装置とを備える。
【0016】
オプションとして、前記慣性センサーは、ジャイロスコープ、加速度計、または磁力計のうちの少なくとも2つを含む。
【0017】
オプションとして、前記ロボット装置は、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置と、前記伝動装置に接続され、前記伝動装置に動力を与えるための動力装置と、前記動力装置に接続され、前記伝動装置及び前記動力装置全体の位置および/または向きを調整するための調整装置とをさらに備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例に係るロボット装置及びその制御方法によれば、慣性センサーで慣性センシングデータを検出し、データフュージョンと解析を行うことで、ロボット装置に対するより高い精度の検出を実現でき、ロボット装置の信頼性を向上させ、複数組の1軸角度センサーを省き、ロボット装置の構造を極めて簡素化し、ロボット装置の重量と体積を減少させ、コストを節約した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態を図面と共に更に詳述することにより、本発明の上記および他の目的、特徴や利点がより顕著になる。図面は本発明の実施例をさらに理解するためのものであり、明細書の一部を構成しており、本発明実施例とともに本発明を解釈するためのものであるが、本発明を限定するものではない。図面において、同一の参照符号は、通常、同一の部品または手順を表す。
図1図1は、ロボット装置の概略原理図である。
図2図2は、ロボット装置のピッチ角同期検出の概略的なフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施例に係るロボット装置の概略原理図である。
図4図4は、本発明の実施例に係るロボット装置の制御方法の概略的なフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施例に係るロボット装置の制御方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施例を詳細に説明する。明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明は、本明細書に記載された例示的な実施例に限定されないことを理解すべきである。本発明に記載された実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に入るべきである。
【0021】
従来の医療分野に用いられるロボット装置、例えば手術用ロボットの平行四辺形機械伝動構造(PLM)には、1本または複数本の予め締め付けられた金属ベルト又はワイヤーロープ(PSB)を動力伝達用として含まれ、平行四辺形機械伝動構造の内外に配設された複数の1軸角度センサーモジュール(ENC)によって、手術用器具直線駆動ユニット(ISA)とコンパクトモータモジュール(CMD)との角度同期性、金属ベルト延長値、及び平行四辺形機械伝動構造の変形度を測定し、構造状態の安全検出を実現する。しかしながら、1軸角度センサーモジュールは、平行四辺形機械伝動構造の他の方向の変形や能動的なロボットアームの外界への衝突を検出することはできない。また、1軸角度センサーモジュールを用いると、平行四辺形機械伝動構造におけるモジュール装置の数が増え、ロボット装置の信頼性を低下させ、引き回しの複雑度を増加させると共に、構造設計の複雑性を増加させ、ロボット装置の構造最適化設計に影響を及ぼす。
【0022】
図1を参照して、図1にはロボット装置の概略原理図が示されている。従来の手術用ロボットは、図1に示すように、ロボットアームの遠隔運動センター1により、いくつかの小さな孔を通して対象物を操作して手術の安全性を向上させることを実現する。ロボット装置の先端にある手術器具(SGI)2によるヨー運動とピッチ運動は、ロボットの後端に設置されたコンパクトモータモジュール(CMD)3、4による動力である。具体的には、コンパクトモータモジュール3、4は、平行四辺形機械伝動構造(PLM)5及び平行四辺形機械伝動構造5の内部に取り付けられたプリロード金属ベルトを介して手術器具直線駆動ユニット(ISA)10に動力を伝達する。同時に、手術器具直線駆動ユニット10は、手術器具2の中心軸に沿った並進運動を与え、手術器具の多自由度制御を実現する。
【0023】
図1に示すロボット装置の動力伝達の信頼度は、平行四辺形機械伝動構造5の構造完全性とプリロード金属ベルトのプリロードとに依存する。従来のロボット装置は、平行四辺形機械伝動構造5に取り付けられた複数の1軸角度センサーモジュール(ENC)6、7、8を用いて平行四辺形機械伝動構造5の各段の入出力角度関係の変化をリアルタイムで測定し、平行四辺形機械伝動構造5の完全性とプリロード金属ベルトのプリロードを確認する。図2を参照して、図2はロボット装置のピッチ角同期検出の概略的なフローチャートを示す。図2に示すように、コンパクトモータモジュール3、4の出力ピッチ角は、平行四辺形機械伝動構造(PLM)5と平行四辺形機械伝動構造5の内部に取り付けたプリロード金属ベルトを介して手術器具直線駆動ユニット(ISA)10に出力される。1軸角度センサーモジュール(ENC)6、7、8は、PLMとISAの実際のピッチ角をフィードバックし、システムステートマシンは、実際のピッチ角とコンパクトモータモジュール3、4の出力ピッチ角を処理した後、平行四辺形機械伝動構造5にピッチ角同期エラーが発生したか、またはプリロード金属ベルトの破断が発生したか否かを判断し、コントローラーは、手術を中断してロボット装置のメンテナンスのアラーム提示を発行する。
【0024】
このように、図1および図2に示すように、平行四辺形機械伝動構造5に取り付けられた複数の1軸角度センサーモジュール6、7、8の協働が必要となるため、平行四辺形機械伝動構造における安全検出システムの回路設計要求、センサーの実装と機械的な協働を増やし、システム全体の設計が複雑化し、信頼性が低下し、平行四辺形機械伝動構造の設計自由度が減少し、マシンの重量が増加しまう。また、1軸角度センサーモジュールシステムは、ヨー角の同期異常を検出することを備えていない。
【0025】
以上の点を踏まえて、本発明の実施例に係るロボット装置及びその制御方法を提案した。図3を参照して、図3は本発明の実施例に係るロボット装置の概略原理図を示す。図3に示すように、ロボット装置300は、実行ツール311を固定するための実行装置310と、実行装置310に接続され、実行装置310を駆動するための駆動装置320と、実行装置310および/または駆動装置320に設けられ、駆動装置320の慣性センシングデータを収集するための少なくとも1つの慣性センサー330と、少なくとも1つの慣性センサー330に接続され、本発明の実施例に係るロボット装置の制御方法における少なくとも一部のステップまたは全部のステップを実行するための制御装置340とを備える。
【0026】
いくつかの実施例において、実行ツール311は、手術器具(Surgical Instrument、SGI)であり得る。いくつかの実施例において、手術器具(SGI)は、目標対象物に対して手術操作(例えば、把持、剪断、切断、ピンチ、縫合など)を実行するためのツール、例えば、手術用鉗子、手術用はさみ、高周波電気メス、縫合針などであり得る。いくつかの実施例において、手術器具(SGI)は、各種の画像収集装置、ルームミラーなどの手術作業を支援するツールであってもよい。なお、上記の手術器具は例示に過ぎず、手術器具を制限することを意図しておらず、手術器具は手術を行うことに関するいかなるものであってもよく、ここでは制限されない。
【0027】
いくつかの実施例において、実行装置310は、固定された手術器具を駆動して各種の手術作業を実行するための手術器具駆動モジュール(Motor Pack、MPK)であってもよい。
【0028】
いくつかの実施例において、駆動装置320は、手術器具直線駆動ユニット(Insertion Arm、ISA)であってもよい。
【0029】
いくつかの実施例において、慣性センサー330は、ジャイロスコープ、加速度計、または磁力計のうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施例において、慣性センサー330は、ジャイロスコープと加速度計、ジャイロスコープと磁力計との2種類であってもよいし、ジャイロスコープ、加速度計および磁力計のより多くのものであってもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、制御装置340は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって実現され得る。いくつかの実施例において、制御装置340は、回路、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、デジタルシグナル処理装置(Digital Signal Processing Device、DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、PLC、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサの少なくとも1つを用いてもよい。
【0031】
オプションとして、ロボット装置300は、駆動装置320に接続され、駆動装置320を動かすための伝動装置350と、伝動装置350に接続され、伝動装置350に動力を与えるための動力装置360と、動力装置360に接続され、伝動装置350および動力装置360全体の位置および/または向きを調整するための調整装置370とをさらに備える。
【0032】
いくつかの実施例において、伝動装置350は、平行四辺形機械伝動構造(Parallel Mechanism、PLM)であってもよい。
【0033】
いくつかの実施例において、動力装置360は、1つまたは複数のモータであってもよい。さらに、コンパクトモータモジュール(Compact Motor Drive、CMD)であってもよい。いくつかの実施例において、制御装置340は、動力装置360の出力角度を制御することができる。
【0034】
いくつかの実施例において、調整装置370は、ロボット装置の後端に設けられた調整アーム(Set-Up Joint、SUJ)であってもよい。図3に示すように、ロボット装置は手術用ロボットであってもよく、伝動装置350および動力装置360は手術用ロボットのロボットアームとしてもよい。調整アーム(SUJ)は、ロボットアームの後端に設けられてロボットアームに接続され、ロボットアーム全体に対して水平方向の移動、垂直方向の移動、ロボットアームの指向調整の少なくとも1つを行うことができ、これにより、ロボットアームの指向及び位置を適切な範囲に調整し、目標対象物が手術操作を必要とする領域が実行装置310の運動範囲内にあることを確保し、ロボットアームと目標対象物との距離を目標対象物の手術操作に適合させる。
【0035】
図4、本発明の実施例に係るロボット装置の制御方法の概略的なフローチャート図である。図4に示すように、この方法は、ロボット装置によって実行可能であり、ロボット装置の制御方法400は、前記実行装置および/または前記駆動装置に設けられた少なくとも1つの慣性センサーから少なくとも1つの慣性センシングデータを取得するステップ410と、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得るステップ420と、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御するステップ430とを含む。
【0036】
ここで、実行装置および/または駆動装置に設けられた慣性センサーにより慣性センシングデータを収集し、データフュージョンと解析を行うことで、ロボット装置に対するより高い精度の検出を実現でき、ロボット装置の動作状態を正確に解析し、対応する制御を行うことが可能となり、ロボット装置の信頼性が向上する。従来のロボット装置に比べて、1軸角度センサーを複数組省き、ロボット装置の構造を極めて簡素化し、ロボット装置の重量と体積を減らし、コストを節約した。
【0037】
いくつかの実施例において、前記慣性センシングデータは、加速度データ、角速度データ、または地球磁場方向データの少なくとも1つを含む。さらに、いくつかの実施例において、加速度データは加速度計によって収集され得る。いくつかの実施例において、角速度データはジャイロスコープによって収集され得る。いくつかの実施例において、地球磁場方向データは、磁力計によって収集され得る。いくつかの実施例では、加速度計、ジャイロスコープまたは磁力計は、それぞれ収集した慣性センシングデータを制御装置に送信し、制御装置によりデータフュージョン演算を行い、フュージョンデータを得る。
【0038】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行うことは、相補アルゴリズム、ノイズモデルに基づくアルゴリズム、または粒子群に基づくアルゴリズムを採用することができる。
【0039】
ここで、データフュージョンを行うアルゴリズムは、いずれも慣性センシングデータと制御信号を最適化利用することに基づいてあり、慣性センシングデータ(例えば、加速度データ、角速度データ、または方向データ)、駆動装置の出力(例えば、ドライバトルク出力)、動力装置の入力電流(例えば、モータ検出電流)などに対してデータフュージョンを行い、最適化された伝動装置の変形量信号を生成することを含むが、これらに限定されない。これに対して、相補アルゴリズムの計算量は最も低く、一般的なフュージョン効果があり、ノイズモデルに基づくアルゴリズムの計算量はやや高く、優れたフュージョン効果があり、粒子群に基づくアルゴリズムの計算量は最も高く、データフュージョン効果が最も優れている。
【0040】
オプションとして、ステップS420において、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいて、前記駆動装置の実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角の少なくとも1つを算出することを含み、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、対応する目標角度に同期しているか否かを判断することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが前記対応する目標角度に同期していなければ、前記ロボット装置の動作が異常であると決定されることと、前記ロボット装置の動作が異常であると決定された場合、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0041】
ここで、駆動装置の実ピッチ角、実ロール角、または実ヨー角がそれぞれの目標角度に同期しているか否かを判断することで、ロボット装置の動作が異常であるか否かを判断することができる。例えば、図3に参照して、手術ロボットにおいて、実行ツール311は、手術器具(SGI)であってもよく、実行装置310は、手術器具駆動モジュール(MPK)であってもよく、駆動装置320は、手術器具直線駆動ユニット(ISA)であってもよく、手術器具駆動モジュールMPKは、手術器具直線駆動ユニットISAの軌道上に設けられてもよく、手術器具直線駆動ユニットISAは、手術器具SG1が固定された手術器具駆動モジュールMPKを駆動して軌道上を移動させ、対応する手術操作を実行する。このように、実行装置310と駆動装置320のピッチ角、ロール角またはヨー角は一致しているので、実行装置310または駆動装置320にのみ少なくとも1つの慣性センサーを設けることができ、これにより、この少なくとも1つの慣性センサーにより収集されたデータに対してデータフュージョンを行い、フュージョンデータを得ることができる。実行装置310と駆動装置320との双方に、同時に少なくとも1つの慣性センサーを設けて同時に検出することもでき、このように、慣性センサーの冗長化を実現することができ、それによって得られた複数の慣性センシングデータ同士も互いに冗長となり、データの正確性を確保し、後続のデータフュージョンの正確性を高めた。
【0042】
さらに、いくつかの実施例において、複数の慣性センサーを設ける場合、データフュージョンの際に同一タイプの慣性センシングデータに対して、このタイプの複数の慣性センシングデータの平均値または中央値を用いてデータフュージョンを行うことができる。例えば、同一タイプの駆動装置の角速度データに対して、複数の慣性センサーで収集した複数の駆動装置の角速度データの平均値または中央値を、データフュージョン時の駆動装置の角速度データとしてもよく、他のタイプのデータについても同様に扱うことができる。
【0043】
いくつかの実施例において、前記動作異常は、ピッチ角、ロール角、またはヨー角の少なくとも1つが同期していないことを含む。いくつかの実施例において、前記動作異常は、平行四辺形機械伝動構造(PLM)において、予め締め付けられた1本または複数本の金属ベルト又はワイヤーロープ(PSB)の破断が含まれることも含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施例において、制御方法400は、前記ロボット装置の動作が異常であると決定されたときに、警報を出すことを含んでもよい。いくつかの実施例において、警告後、ロボット装置の動作を停止するようにシャットダウンすることもできる。このように、ロボット装置の動作が異常であるときに警報を出すことにより、ユーザーがダウンメンテナンスをタイムリーに行うことができる。
【0045】
いくつかの実施例において、警報は、音響光学モードによる警報であってもよいし、ロボット装置に設けられた表示装置によって、ピッチ角、ロール角、又はヨー角の少なくとも1つが同期していないこと、および/または、伝動装置における金属ベルト又はワイヤーロープ(PSB)の破断を表示してもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、対応する目標角度に同期しているか否かを判断することは、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、前記対応する目標角度を含む対応するプリセット角度範囲内にあるか否かを判断することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが前記対応するプリセット角度範囲内にない場合、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角が前記対応する目標角度に同期していないと決定されることとを含む。
【0047】
いくつかの実施例において、プリセット角度範囲は、目標角度を中心とした範囲であってもよい。例えば、目標角度をAとし、プリセット角度範囲を[A-a、A+b]としてもよく、ここで、aとbは同じでも異なっていてもよく、いずれも正数である。ピッチ角、ロール角、ヨー角は、いずれも対応する目標角度を有していることが分かる。
【0048】
ここで、aとbの値は、必要に応じて設定することができ、これに限定せず、例えば、伝動装置の構造的な柔軟性による過渡的な揺れを考慮してaとbを設定してもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、目標角度は、動力装置が出力する角度であってもよく、例えば、コンパクトモータモジュール(CMD)が出力するピッチ角、ロール角、ヨー角のうちの少なくとも1つである。
【0050】
いくつかの実施例では、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定することは、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角が、対応するプリセット角度範囲内にあれば、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角が対応する目標角度に同期していると決定されることも含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定することは、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角が、対応するプリセット角度範囲内にない場合、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角が対応する目標角度に同期していないと決定されることも含んでもよい。
【0052】
さらに、いくつかの実施例では、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角のいずれも前記対応する目標角度に同期している場合、ロボット装置の動作が正常であると決定される。
【0053】
いくつかの実施例では、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、さらに、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つと、前記対応する目標角度とに基づいて、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つに対応する同期率を算出することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角に対応する同期率が、対応する同期率閾値に達したか否かを判断することと、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の同期率が、対応する同期率閾値に達していない場合、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0054】
いくつかの実施例では、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、さらに、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つに対応する同期率に基づいて、第1プリセット時間帯における前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の同期率の変化が対応する変化閾値を超えているか否かを算出することと、前記第1プリセット時間帯における前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の同期率の変化が対応する変化閾値を超えると、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0055】
ここで、駆動装置の実ピッチ角、実ロール角または実ヨー角の同期率、または同期率の変化を判断することにより、ロボット装置が正常に動作しているか否かを判断することもできる。実ピッチ角、実ロール角または実ヨー角の同期率が対応する同期率閾値に達していない場合、あるいは、実ピッチ角、実ロール角または実ヨー角の同期率の変化が大きすぎる(変化閾値を超える)場合、ロボット装置はいずれも異常動作状態にあり、ロボット装置の破損を防ぐためにロボット装置の動作停止を制御することができる。
【0056】
このように、本発明実施例のロボット装置の制御方法によれば、伝動装置(例えば、平行四辺形機械伝動構造)と駆動装置(例えば、手術器具直線駆動ユニット)のロール角、ピッチ角、ヨー角を同時に検出することで、ロボット装置の多方向変形検出が可能となり、手術ロボット角度同期監視安全システムの全体性を増加する。
【0057】
オプションとして、ステップS420において、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記ロボット装置の制御信号を取得することと、前記少なくとも1つの慣性センシングデータと前記制御信号とをデータフュージョンし、前記フュージョンデータを得ることとを含む。
【0058】
ここで、ロボット装置の制御信号と慣性センサーが検出した慣性センシングデータとをデータフュージョンし、得られたフュージョンデータに含まれる情報はより全面的かつより正確であり、このより全面的かつより正確なフュージョンデータに基づいてロボット装置を状態解析することで、ロボット装置の状態解析の精度を高め、ロボット装置に対する正確な制御により有利となる。
【0059】
いくつかの実施例において、前記ロボット装置の制御信号は、出力角度、出力電流、出力トルク等の動力装置の出力信号(すなわち、伝動装置の入力信号)を含んでもよいし、駆動トルク出力等の駆動装置の出力信号を含んでもよい。なお、制御信号は、ロボット装置における装置やデバイスを制御するためのいかなる信号であってもよく、ここでは制限されないことを理解すべきである。
【0060】
オプションとして、前記ロボット装置は、前記駆動装置に接続され、前記駆動装置を動かすための伝動装置をさらに備え、ステップS420において、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいて前記伝動装置の出力角度を算出することと、使用毎に前記伝動装置の出力角度と前記伝動装置の入力角度との誤差を算出することと、隣接誤差の変動および/または変動率と、前記伝動装置の数学的運動モデルとに基づいて、前記伝動装置の永久消費量を予測することとを含み、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定することは、前記永久消費量に基づいて、前記ロボット装置が正常に動作しているか否かと、伝動装置の残り使用時間または残り使用回数とを判断することを含む。
【0061】
上記実施例において、使用毎に前記伝動装置の出力角度と前記伝動装置の入力角度との誤差を算出する前に、前記伝動装置の入力角度を取得することをさらに含んでもよい。
【0062】
ここで、伝動装置の入力角度は、動力装置の出力角度であり、動力装置は、制御装置によって制御可能であり、すなわち、制御装置は動力装置に相応の制御命令を送信し、動力装置が相応の角度を出力することを制御することができ、これにより、動力装置の出力角度(すなわち、伝動装置の入力角度)を制御信号とすることができる。
【0063】
いくつかの実施例において、前記永久消費量に基づいて、前記ロボット装置が正常に動作しているか否かと、伝動装置の残り使用時間または残り使用回数とを判断することは、前記永久消費量がプリセット消費量を超えた場合、ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記伝動装置の残り使用時間を0とすることを含む。
【0064】
さらに、いくつかの実施例において、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、前記ロボット装置の動作が停止するように制御する。
【0065】
いくつかの実施例において、前記永久消費量に基づいて、前記ロボット装置が正常に動作しているか否かと、伝動装置の残り使用時間または残り使用回数とを判断することは、前記永久消費量がプリセット消費量を超えていない場合、ロボット装置の動作が正常であると決定し、前記伝動装置の残り使用時間または残り使用回数は、永久消費量とプリセット消費量との差分を平均消費量で割ったものであることを含む。
【0066】
いくつかの実施例において、平均消費量は、前記永久消費量と、前記永久消費量に対応する使用時間または使用回数とに基づいて算出することができる。例えば、平均消費量は、永久消費量を対応する使用時間で割ったものであり、または、平均消費量は、永久消費量を対応する使用回数で割ったものである。
【0067】
いくつかの実施例において、プリセット消費量は、予緊または交換が必要となる時間に対応する消費量であってもよい。ここで、プリセット消費量が、予緊が必要な時間を表す場合は、算出された伝動装置の残り使用時間または残り使用回数は、伝動装置が次の予緊を行う残り使用時間または残り使用回数を示す。プリセット消費量が、交換が必要となる時間を表す場合は、算出された伝動装置の残り使用時間または残り使用回数は、伝動装置が交換する残り使用時間または残り使用回数を表す。なお、プリセット消費量は、必要に応じて設定することができ、ここでは限定されない。
【0068】
いくつかの実施例において、伝動装置の入力角度は、動力装置の出力角度であってもよく、例えば、コンパクトモータモジュール(CMD)が出力したピッチ角、ロール角、ヨー角である。
【0069】
ここで、伝動装置は平行四辺形機械伝動構造であってもよく、伝動装置の数学的運動モデルは、平行四辺形機械伝動構造の数学的運動モデルを採用することができる。伝動装置の入出力間の差分値の変動/変動率及び伝動装置の数学的運動モデルに基づいて伝動装置の永久消費量を予測することができ、これにより伝動装置の残り使用時間を得る。永久消費量は、伝動装置における回復不可能な消費量であってもよい。永久消費量とは、伝動装置(PLM)における伝動ベルトを例にとると、伝動ベルトの回復不可能な延長長さを指し、伝動装置(PLM)の使用毎の伝動ベルトの延長値に基づいて当該伝動ベルトの使用可能回数または時間を予測することができる。
【0070】
いくつかの実施例において、ロボット装置の制御方法400は、ロボット装置の出力装置により、前記伝動装置の永久消費量、残り使用時間または残り使用回数のうちの少なくとも1つを報知することをさらに含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施例において、ロボット装置の制御方法400は、前記伝動装置の残り使用時間または残り使用回数の少なくとも一方に応じて、前記伝動装置のメンテナンス必要時間を決定することをさらに含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施例において、ロボット装置の制御方法400は、前記ロボット装置の出力装置により、前記伝動装置のメンテナン必要時間を報知することをさらに含んでもよい。
【0073】
このように、伝動装置の永久消費量、残り使用時間または残り使用回数のうちの少なくとも1つを予測することで、メンテナンス作業を合理的に手配することができ、メンテナンス回数や費用が低減され、メンテナンス効率が向上する。
【0074】
オプションとして、前記少なくとも1つの慣性センシングデータは、加速度データを含み、ステップS420において、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記動力装置の実電流データを取得することと、前記実電流データと前記伝動装置の数学的運動モデルとに基づいて、前記伝動装置の理論加速度データを予測することとを含み、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、前記理論加速度データと前記加速度データとに基づいて、前記ロボット装置の衝突発生を判断することと、前記ロボット装置が衝突したと決定した場合、前記ロボット装置の動作が停止するように制御することとを含む。
【0075】
いくつかの実施例において、前記理論加速度データと前記加速度データとに基づいて前記ロボット装置の衝突発生を判断することは、前記理論加速度データが前記加速度データ以上である場合、前記ロボット装置が衝突したと判断することと、前記理論加速度データが前記加速度データより小さい場合、前記ロボット装置に衝突が発生していないと判断することを含んでもよい。
【0076】
ここで、動力装置は手術用ロボットのロボットアームの関節であってもよく、伝動装置はロボットアームであってもよく、慣性センサーで収集された加速度データは、伝動装置が出力する理論加速度と比較することでき、衝突が発生すると、伝動装置に接続された動力装置は、元の運動速度を維持するためにその入力電流を増加させ、このとき検出された入力電流と伝動装置の数学的運動モデルから得られる理論加速度データは増加するが、実際に慣性センサーで検出された加速度データは、衝突により小さくなるため、衝突が発生すると、理論加速度データは、検出された加速度データよりも大きくなる。これにより、伝動装置(例えば、ロボットアーム)と周囲の物体とが衝突しているか否かを能動的に検出することができ、ロボットアーム同士の衝突及びロボットアームと外界との衝突を主に含んでおり、ロボット装置の安全性が向上する。
【0077】
いくつかの実施例において、制御方法400は、衝突の発生が検出されたときにユーザーに提示することをさらに含んでもよい。例えば、特定の音または音声を発して提示するようにしてもよいし、衝突の発生を指示するために、ロボット装置の出力装置など、ロボット装置の表示装置に提示メッセージを表示するようにしてもよい。
【0078】
いくつかの実施例において、制御方法400は、衝突の発生が検出された後、衝突が発生したロボットアームを停止させることをさらに含んでもよい。この場合、ユーザーが障害物を除去することは容易になります。
【0079】
オプションとして、ステップS420において、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいてデータフュージョンを行い、前記ロボット装置のフュージョンデータを得ることは、前記少なくとも1つの慣性センシングデータに基づいて前記伝動装置の歪みデータを算出することと、前記歪みデータに基づいて、前記駆動装置に対するユーザーの推力の大きさ及び方向を算出することとを含み、ステップS430において、前記フュージョンデータに基づいて前記ロボット装置の動作状態を決定し、前記動作状態に応じて前記ロボット装置を制御することは、前記推力の大きさ及び方向に基づいて、前記調整装置の角度を制御することを含む。
【0080】
具体的には、図3を参照して、手術器具がロボット装置に装着された状態では、伝動装置350(例えば、平行四辺形機械伝動構造)および動力装置360(例えば、コンパクトモータモジュール)が角度維持状態となる。ユーザー(例えば、医療者)が実行装置310(例えば、手術用具の直線駆動ユニット)を押すことにより、伝動装置350(例えば、平行四辺形機械伝動構造)が変形し、少なくとも1つの慣性センサー330によりリアルタイムに検出された伝動装置350(例えば、平行四辺形機械伝動構造)の変形度からユーザーの推力の大きさ及び方向を推定することができる。制御装置は、ロボット装置の後端に位置する調整装置370(例えば、調整アーム(SUJ))の各関節の所要トルク、速度出力を逆運動学的アルゴリズムにより取得し、調整アームの角度制御を実現するよう調整アームに対して相応の命令を送信し、ユーザーが調整アームを容易に動かすことができるようにする。
【0081】
図5、本発明の実施例に係るロボット装置の制御方法の一例を示す。図5に示すように、ロボット装置の制御方法500は以下のステップを含んでいる。
【0082】
ステップS510において、動力装置(例えば、コンパクトモータモジュールCMD)が出力したピッチ角、ヨー角は、伝動装置(例えば、平行四辺形機械伝動構造PLM)と、伝動装置の内部に取り付けられたプリロード金属製ベルトを介して、駆動装置(例えば、手術器具直線駆動ユニットISA)に出力される。
【0083】
ステップS520において、駆動装置に設けられた少なくとも1つの慣性センサーIMUは、駆動装置の加速度データ、角速度データ及び方向データを収集し、駆動装置の実ピッチ角、実ロール角及び実ヨー角を得る。
【0084】
ステップS530において、データフュージョンアルゴリズムを結合して、各センサーの収集データと制御信号とのデータフュージョンおよびロボット装置の動作状態解析を行う。
【0085】
ステップS541において、前記実ピッチ角、前記実ロール角、または前記実ヨー角の少なくとも1つが、対応する目標角度に同期しているか否かを判断し、ピッチ角、ロール角、またはヨー角の少なくとも1つが同期していない場合、前記ロボット装置の動作が異常であると決定し、警報を行う。
【0086】
ステップS542において、シャットダウンしてメンテナンスを待つ。
【0087】
ステップS551において、伝動装置の入出力間の差分と伝動装置の数学的モデルとに基づいて伝動装置の永久消費量および/または残り使用時間を予測し、前記伝動装置の永久消費量および/または残り使用時間に応じて、前記伝動装置のメンテナンスに必要な時間を決定する。
【0088】
ステップS552において、口ボット装置の出力装置を介して前記伝動装置のメンテナンス必要時間を報知する。
【0089】
ステップS561において、少なくとも1つの慣性センサーでリアルタイムに検出された慣性センシングデータから、伝動装置(例えば、平行四辺形機械伝動構造)の変形度を算出し、ユーザーの推力の大きさと方向を推定する。
【0090】
ステップS562において、調整アームの角度制御を実現するように、前記推力の大きさと方向に基づいて調整アームに相応の命令を送信する。
【0091】
ステップS571において、前記フュージョンデータと前記加速度データとに基づいて、前記伝動装置が周囲の物体と衝突したか否かを判断する。
【0092】
ステップS572において、衝突の発生が検出されると、衝突が発生したアームを一時停止する。医療関係者が障害を取り除くのを待つ。
【0093】
以上説明したように、本発明の実施例に係るロボット装置及びその制御方法によれば、慣性センサーで慣性センシングデータを検出し、データフュージョンと解析を行うことで、ロボット装置に対するより高い精度の検出を実現でき、ロボット装置の信頼性を向上させ、複数組の1軸角度センサーを省き、ロボット装置の構造を極めて簡素化し、ロボット装置の重量と体積を減少させ、コストを節約した。
【0094】
当業者にとって、本明細書に開示された実施例に関連して説明された各例のユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせによって実現することができることは明らかである。これらの機能は、ハードウェアによって実行されるか、ソフトウェアによって実行されるかについては、技術案の特定適用および設計制約条件に依存する。専門技術者は、特定の適用毎に異なる方法を用いて記載された機能を実現することができるが、そのような実現は本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0095】
本願が提供する幾つかの実施例では、開示された装置及び方法は、他の方式で実現されてもよいことが理解されるべきである。例えば、上述した装置の実施例は単なる例示的なものであり、例えば、上記ユニットの区分は、単なる論理的な機能区分であり、実際に実現される場合には、複数のユニットまたはコンポーネントが結合してもよく、または別の装置に統合してもよく、あるいはいくつかの特徴が無視されてもよく、実行されなくてもよいなど、別の区分があり得る。
【0096】
なお、本明細書では多くの具体的な細部が説明されているが、本発明の実施例は、これらの具体的な細部なしに実施することができることを理解すべきである。いくつかの例では、本明細書の理解を曖昧にしないために、公知の方法、構造、技術を詳細に示していない。
【0097】
同様に、本発明を簡潔に纏めて1つまたは複数の態様の理解を助けるために、本発明の例示的な各実施例の説明において、本発明の各特徴は、単一の実施形態、図面またはその説明から一括してグループ化される場合があることを理解すべきである。しかしながら、本発明の方法は、請求項毎に明記された特徴よりも、保護を求める本発明の方が多くの特徴を反映していると解釈されるべきではない。より正確には、相応の請求項に反映されているように、その発明のポイントは、ある開示における単一の実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴を用いて対応する技術的問題を解決することができることである。したがって、個々の請求項自体が本発明の別個の実施形態となる、具体的な実施形態に従う特許請求の範囲が具体的な実施形態に明示的に組み込まれる。
【0098】
当業者は、特徴同士が反発することの他に、本明細書(特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された全ての特徴、およびそのように開示された任意の方法又は装置の全ての過程又はユニットを、いかなる組合せでも組み合わせることが可能であることを理解できるであろう。本明細書(請求の範囲、要約書、図面を含む)に開示された各特徴は、特に明記されていない限り、同一、同等または類似の目的を提供する代替的な特徴に置き換えられてもよい。
【0099】
また、当業者にとって、ここで説明したいくつかの実施例は、他の特徴ではなく他の実施形態に含まれる幾つかの特徴を含むが、異なる実施例の特徴を組み合わせたものも、本発明の範囲内であり、異なる実施形態を構成することを意味することを理解することができる。例えば、特許請求の範囲において、保護を求める実施形態のいずれのものも任意の組み合わせで用いることができる。
【0100】
上記の実施例は本発明を限定するものではなく本発明を説明し、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替実施形態が設計可能であることに留意すべきである。特許請求の範囲において、括弧内に位置している任意の参照番号を請求項の制限として構築してはならない。「含む」という単語は、請求項に記載されていない部品やステップの存在を排除するものではない。部品の前にある単語「一」や「1つ」は、そのような部品が複数存在することを排除するものではない。本発明は、いくつかの異なる要素を含むハードウェアおよび適宜プログラムされたコンピュータによって実現され得る。複数の装置を列挙したユニット請求項では、これらの装置のうちのいくつかは、同一のハードウェアにより具現化されてもよい。第1、第2、第3単語の使用は、いかなる順番を示していなく、これらの単語を名称と解釈してもよい。
【0101】
以上に述べたのは、本発明の具体的な実施形態または具体的な実施形態の説明に過ぎず、本発明の保護範囲はそれらに限定されるものではなく、当業者が本発明の保護範囲において容易に想到できる変更や置換は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準ずるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5