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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】内窓
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20250117BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E05D13/00 A
E06B1/56 A
E05D13/00 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020184902
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074662
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山田 正謙
(72)【発明者】
【氏名】杉本 みく
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116770(JP,A)
【文献】特開2013-011059(JP,A)
【文献】特開2016-217122(JP,A)
【文献】実開昭57-077463(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
E06B 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外窓の屋内側に配置される内窓であって、
上枠を有する枠体と、
前記枠体内に配置され、屋内側に配置され横方向にスライド移動可能な内障子と、屋外側に配置され横方向にスライド移動可能な外障子と、を備え、
前記上枠は、前記内障子の上部側に設けられ下方に突出する下方突出レールと、前記内障子よりも屋内側において下方に延出する屋内側下方延出壁部と、を有し、
前記内障子は、上方に向けて開放すると共に前記下方突出レールの少なくとも一部を収容して前記内障子の横方向へのスライド移動をガイドするレール収容ガイド部を有し、
前記内障子は、見込方向における前記下方突出レールと前記屋内側下方延出壁部との間において、前記内障子の上端部よりも上方側に突出する突出位置に移動可能な移動突出部を備え、
前記移動突出部は、前記内障子の上端部よりも上方側にスライド移動可能に前記内障子に設けられる、内窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内窓に関する。詳しくは、二重窓における外窓の屋内側に配置される内窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に、内窓と外窓とが二重に設けられて構成される二重窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。二重窓は、窓を二重にすることで、断熱性能を高めることができると共に、防音性を高くすることができる。二重窓は、新築時に外窓と内窓とを同時に設けることや、既設の窓の屋内側に、リフォームにより内窓を追加することで設けることもできる。
【0003】
屋内側に配置される内窓は、上枠を有する枠体と、枠体内に配置される障子と、を有する。上枠には、下方に突出する下方突出レールが形成されている。障子の上端部には、上枠の下方突出レールを収容するレール収容ガイドが形成されている。上枠の下方突出レールが、障子のレール収容ガイドに収容されてガイドされることで、障子は、枠体内を見付方向の左右方向にスライド移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-152002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内窓は、リフォームにより、既存の窓の内側に追加で取り付ける場合がある。この場合、施工時の調整不足・経年劣化による取付面の変形等により、上枠の下方突出レールと障子のレール収容ガイドとの掛かりが少なくなり、障子が脱落し、内窓の障子が倒れてしまう可能性がある。そのため、内窓の障子の脱落に対する対策が望まれている。
【0006】
本開示は、障子の脱落を防止できる内窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、外窓の屋内側に配置される内窓であって、上枠を有する枠体と、前記枠体内に配置され、横方向にスライド移動可能な障子と、を備え、前記上枠は、下方に突出する下方突出レールを有し、前記障子は、上方に向けて開放すると共に前記下方突出レールの少なくとも一部を収容して前記障子の横方向へのスライド移動をガイドするレール収容ガイド部を有し、前記障子は、前記障子の上端部よりも上方側に突出する突出位置に移動可能な移動突出部を備える、内窓に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る内窓を屋内側から見た正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図である。
図4】第1実施形態の倒れ防止機構を示す斜視図である。
図5】第2実施形態の倒れ防止機構を示す断面図である。
図6】第2実施形態の倒れ防止機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた内窓1におけるガラスの面方向を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。図面において、屋外側を「OUTSIDE」と記載し、屋内側を「INSIDE」と記載する。
【0010】
本実施形態の内窓1は、二重窓のうちの屋内側の窓を構成する。二重窓は、建物の壁に形成された開口部に納められる。二重窓は、建物の開口部に設けられた枠部に外窓(図示せず)を設置し、外窓の屋内側に内窓1を設置することで、二重の窓となる。
【0011】
外窓(図示せず)は、二重窓のうちの屋外側の窓を構成する。外窓は、内窓1よりも屋外側に配置される。外窓は、いわゆる引き違い窓であり、図示を省略するが、方形状に枠組みされた窓枠内に、内障子と外障子とを開閉可能に嵌め込んで構成される。
【0012】
内窓1は、外窓の屋内側に配置される。本実施形態においては、例えば、内窓1は、外窓が取り付けられた後において、リフォームにより、外窓の屋内側に設置される。なお、二重窓は、リフォームにより内窓を外窓の屋内側に追加して設ける場合に限られず、新築時に外窓と内窓とを同時に設けてもよい。
【0013】
内窓1は、いわゆる引き違い窓であり、図1及び図2に示すように、窓枠2(枠体)と、窓枠2内に開閉可能に配置された内障子3(障子)及び外障子4(障子)と、を備える。
【0014】
窓枠2の内側には、内障子3及び外障子4が組み付けられる。窓枠2は、いずれも長尺状の上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。窓枠2は、例えば、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂の押出し成形品により形成された樹脂製の樹脂枠で構成される。上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24は、例えば額縁部材(図示省略)の内周面にそれぞれ固定される。
【0015】
上枠21は、図1に示すように、窓枠2の上部において、見付方向の左右方向(横方向)に延びる。上枠21は、図2に示すように、上枠上面板部211と、内障子用上枠下方突出レール212(下方突出レール)と、外障子用上枠下方突出レール213(下方突出レール)と、上枠屋内側下方延出壁部214と、を有する。
【0016】
上枠上面板部211は、上枠21の上部に配置され、見込方向に延びる板状に形成される。
【0017】
内障子用上枠下方突出レール212は、上枠上面板部211の屋内側の下面から下方に突出する。外障子用上枠下方突出レール213は、上枠上面板部211の外窓側(屋外側)の下面から下方に突出する。内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213は、断面形状が縦長の長方形状に形成される。内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213は、見付方向の左右方向(横方向)に延びて形成され、上枠21の長手方向の全域に亘って形成される。
【0018】
内障子3は、内障子用上枠下方突出レール212が、内障子3の上端部に形成された上部レールガイド312(レール収容ガイド部)(後述)にガイドされて移動することで、窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能である。外障子4は、外障子用上枠下方突出レール213が、外障子4の上端部に形成された上部レールガイド412(レール収容ガイド部)(後述)にガイドされて移動することで、窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能である。
【0019】
上枠屋内側下方延出壁部214は、内障子3の屋内側に配置され、上枠上面板部211における屋内側の見込方向の端部から、下方に所定長さ延出する。本実施形態においては、上枠屋内側下方延出壁部214の下端部214aは、内障子用上枠下方突出レール212の下端部212a及び外障子用上枠下方突出レール213の下端部213aよりも上方側に位置する。
【0020】
下枠22は、図1に示すように、窓枠2の下部において、見付方向の左右方向(横方向)に延びる。下枠22は、図2に示すように、内障子用下部レール221と、外障子用下部レール222と、を有する。
【0021】
内障子用下部レール221は、下枠22の屋内側の上面において、上方に立設される。内障子用下部レール221には、内障子3の下框32の下端部に配置された戸車321が係合する。これにより、内障子3が窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能となっている。
【0022】
外障子用下部レール222は、下枠22の外窓側(屋外側)の上面において、上方に立設される。外障子用下部レール222には、外障子4の下框42の下端部に配置された戸車421が係合する。これにより、外障子4が窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能となっている。
【0023】
左右の縦枠23,24は、図1に示すように、上枠21及び下枠22の見付方向の左右方向の両端部において上下方向に延びる。左右の縦枠23,24は、窓枠2の側部を構成する。
【0024】
内障子3及び外障子4は、いずれも引き戸であり、これらを見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能に構成されることで、窓枠2の開口部が閉鎖又は開放される、いわゆる引き違い窓を構成する。
【0025】
内障子3は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框31、下框32および左右の縦框である召内框33,戸先框34により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラス36と、を含んで構成される。外障子4は、いずれも長尺状の上框41、下框42および左右の縦框である召外框43,戸先框44により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラス46と、を含んで構成される。
【0026】
框体35,45は、例えば、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂の押出し成形品により形成された樹脂製の樹脂框体で構成される。ガラス36,46は、本実施形態においては、例えば、2層ガラスで構成される。内障子3の召内框33の見込面には、戸締り用のクレセント錠331が設けられている。
【0027】
下框32,42の内部の下部には、図2に示すように、戸車321,421が設けられる。戸車321,421の見付方向の左右方向への移動は、内障子用下部レール221,外障子用下部レール222によりガイドされる。
【0028】
上框31,41は、図2に示すように、下部に形成される下部ガラス溝311,411と、上部に形成される上部レールガイド312,412(レール収容ガイド部)と、を有する。下部ガラス溝311,411は、下方に開放する溝状に形成される。下部ガラス溝311,411には、ガラス36,46の上端部が配置される。
【0029】
上部レールガイド312,412は、上方に向けて開放する。上部レールガイド312,412には、内障子用上枠下方突出レール212の下部側及び外障子用上枠下方突出レール213の下部側が収容(配置)される。上部レールガイド312,412は、内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213の少なくとも一部を収容して、内障子3,外障子4の左右方向(横方向)へのスライド移動をガイドする。
【0030】
上部レールガイド312,412の上端の開口縁には、見込方向に離間して配置される一対の気密材51が設けられている。気密材51は、上枠21の内障子用上枠下方突出レール212又は外障子用上枠下方突出レール213の側面に当接する。
【0031】
図1に示すように、内障子3の召内框33の上部、内障子3の戸先框34の上部、外障子4の召外框43及び戸先框44の上部には、それぞれ、振れ止め部材6と、突出移動機構部7と、が配置される。
【0032】
以下の説明においては、内障子3の戸先框34の上部に配置される振れ止め部材6及び突出移動機構部7の詳細について説明する。内障子3の召内框33の上部に配置される振れ止め部材6の構成は、内障子3の戸先框34の上部に配置される振れ止め部材6を左右の向きを反対にした構成と同様であるため、その説明を省略する。外障子4の戸先框44の上部及び召外框43の上部に配置される振れ止め部材6の構成は、内障子3の戸先框34の上部及び召内框33の上部に配置される振れ止め部材6の構成と同様であるため、その説明を省略する。突出移動機構部7の構成は、全て同じ構成であるため、内障子3の戸先框34の上部に配置される突出移動機構部7について説明し、その他の部分に配置される突出移動機構部7の説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、内障子3の戸先框34の上部に配置される振れ止め部材6は、内障子3の戸先框34の上部に形成される上方に向けて開放する開口37に配置される。振れ止め部材6は、内障子3のスライド移動の移動方向の端部の上端に設けられる。振れ止め部材6は、内障子3の振れを抑制する。振れ止め部材6は、内障子用上枠下方突出レール212(下方突出レール)を収容してガイドする。
【0034】
図3及び図4に示すように、振れ止め部材6は、上方が開放して形成される断面視U字状の振れ止め部材本体61と、板状の係合パッキン板63と、を有する。振れ止め部材本体61と係合パッキン板63とは、一体で形成される。振れ止め部材本体61は、一対の上部板62,62を有する。一対の上部板62,62は、それぞれ、振れ止め部材本体61の上端から見込方向の外側に延びる。
【0035】
振れ止め部材本体61は、戸先框34の開口37内に配置される。振れ止め部材本体61は、見込方向に沿って切断した場合の断面形状が、上方に向けて開放する断面視U字状に形成される。振れ止め部材本体61は、底面部611と、U字状の下部において見込方向の間隔が同じ間隔で上方に延びる一対の垂直面部612と、U字状の上部において下方側から上方側に向かうに従って見込方向の中央に向かって見込方向の間隔が狭くなるように傾斜する一対の傾斜面部613と、を有する。
【0036】
係合パッキン板63は、板状に形成され、内障子3の見付方向の左右方向の外側の端部に配置される。係合パッキン板63は、振れ止め部材本体61の見付方向の左右方向の外側の端部の端面に取り付けられている。係合パッキン板63は、例えば、樹脂材料で形成される。係合パッキン板63は、上部において下方に窪む凹部631が形成される。凹部631には、内障子用上枠下方突出レール212の下部が配置される。
【0037】
係合パッキン板63には、凹部631におけるU字状の縁において、内障子用上枠下方突出レール212が接触する。これにより、内障子3が見付方向の左右方向に移動する際に、内障子用上枠下方突出レール212が係合パッキン板63に接触しながら移動することで、係合パッキン板63は、気密部材として機能する。
【0038】
振れ止め部材6には、振れ止め部材本体61の一対の垂直面部612又は一対の傾斜面部613の間に内障子用上枠下方突出レール212が配置されることで、内障子用上枠下方突出レール212が配置される。これにより、内障子3が窓枠2内を見付け方向にスライド移動する際において、内障子3の屋内外方向の移動が規制され、内障子3と窓枠2とのガタつきが抑制される。
【0039】
突出移動機構部7は、図3及び図4に示すように、内障子3の上端部よりも上方側に突出する突出位置に移動可能に構成される。突出移動機構部7は、振れ止め部材6が設けられる内障子3の戸先框34の上端の屋内側の見込面に配置される。突出移動機構部7は、上下方向移動板71と、一対のガイド部72,72と、2つのネジ73,73と、を備える。
【0040】
上下方向移動板71は、内障子3の戸先框34の上端の屋内側の見込面に沿って延びる板状に形成される。上下方向移動板71は、内障子3の上端よりも上方側の突出位置(図4における実線の位置)と、突出位置よりも下方側の位置であって内障子3を窓枠2に建て込む際に位置させる退避位置(図4における二点鎖線の位置)と、に移動可能に構成される。上下方向移動板71には、上下方向に延びるスリット状のスリット開口711が形成される。
【0041】
一対のガイド部72、72は、上下方向移動板71の上下方向の移動をガイドする。一対のガイド部72,72は、上下方向移動板71の左右方向の両端部において、戸先框34の屋内側の見込面から突出して形成され、上下方向に延びる。一対のガイド部72、72は、開放側を内側に位置した状態で互いに向い合う断面視L字形状に形成される。
【0042】
2つのネジ73,73は、上下方向移動板71のスリット開口711に貫通して配置され、上下方向移動板71と内障子3の戸先框34の上端とを固定する。2つのネジ73,73を緩めることで、上下方向移動板71をスリット開口711に沿って上下方向にスライド移動させることができ、上下方向移動板71を突出位置や退避位置において、2つのネジ73を締めることで固定できる。このようにして、突出移動機構部7は、内障子3の上端部よりも上方側にスライド移動可能に内障子3に設けられる。
【0043】
次に、内窓1の施工手順について説明する。内窓1の施工時において、内障子3及び外障子4を窓枠2に組み込む場合について説明する。内障子3及び外障子4を、突出移動機構部7の上下方向移動板71を退避位置(図4における二点鎖線の位置)に位置させた状態で、窓枠2内に、いわゆるケンドン式にて組み込んで建て込む。
【0044】
外障子4をケンドン式で窓枠2に組み込む場合には、外障子4の上部を内窓1の窓枠2の内部側に傾けて、外障子4を徐々に立てながら、上方側に持ち上げて、外障子4の上部レールガイド412を上枠21の外障子用上枠下方突出レール213に挿入して、上方側に更に持ち上げた後に、下方側に下ろすことで、外障子4の戸車321を下枠22の外障子用下部レール222に挿入する。内障子3をケンドン式で窓枠2に組み込む場合には、内障子3の上部を内窓1の窓枠2の内部側に傾けて、内障子3を徐々に立てながら、上方側に持ち上げて、内障子3の上部レールガイド312を上枠21の内障子用上枠下方突出レール212に挿入して、上方側に更に持ち上げた後に、下方側に下ろすことで、内障子3の戸車321を下枠22の内障子用下部レール221に挿入する。
【0045】
その後、内障子3の上端の左右方向の端部において、振れ止め部材6を、内障子3と上枠21の内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが適正になるよう調整を行う。外障子4の上端の左右方向の端部において、振れ止め部材6を、外障子4と上枠21の外障子用上枠下方突出レール213との掛かりが適正になるよう調整を行う。
【0046】
続けて、突出移動機構部7の2つのネジ73,73を緩めて、上下方向移動板71を、スリット開口711に沿って上方側に移動させて突出位置で固定する。これにより、図3に示すように、上下方向移動板71を、上枠21の上枠屋内側下方延出壁部214や内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かる位置まで上方側に移動させることができる。
【0047】
上下方向移動板71の上端部712の位置は、内障子3の上端よりも所定高さ上部側に位置する。上下方向移動板71の上端部712の位置は、経年劣化などで、窓枠2の内障子用上枠下方突出レール212と内障子3との掛かりが少なくなったとしても、上下方向移動板71の上端部712が窓枠2の内障子用上枠下方突出レール212の下端部212a又は上枠屋内側下方延出壁部214の下端部214aに引っ掛かって、内障子3が窓枠2から外れることを防止できる位置が設定される。
【0048】
そのため、経年劣化などで、内障子3の掛かりが少なくなったとしても、上下方向移動板71は、上枠21の上枠屋内側下方延出壁部214や内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かりやすく、内障子3が倒れることを防止できる。
【0049】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の内窓1は、窓枠2内に配置され横方向にスライド移動可能な障子(内障子3,外障子4)と、を備え、上枠21は、下方に突出する下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)を有し、障子(内障子3,外障子4)は、上方に向けて開放すると共に下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の少なくとも一部を収容して障子(内障子3,外障子4)の横方向へのスライド移動をガイドするレール収容ガイド部(上部レールガイド312,412、振れ止め部材6)を有し、障子(内障子3,外障子4)は、障子(内障子3,外障子4)の上端部よりも上方側に突出する突出位置に移動可能な突出移動機構部7を備える。
【0050】
これにより、上下方向移動板71を、上枠21の上枠屋内側下方延出壁部214や内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かる位置まで上方側に移動させることができる。上下方向移動板71の上端部712は、内障子3の上端よりも上部側に位置する。そのため、経年劣化などで、窓枠2の内障子用上枠下方突出レール212と内障子3との掛かりが少なくなったとしても、上下方向移動板71は、上枠21の上枠屋内側下方延出壁部214や内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かりやすく、内障子3が倒れることを防止できる。
【0051】
本実施形態においては、突出移動機構部7は、障子(内障子3,外障子4)の上端部よりも上方側にスライド移動可能に障子(内障子3,外障子4)に設けられる。これにより、突出移動機構部7の上下方向移動板71をスライド移動させることで、突出移動機構部7の上下方向移動板71を容易に上方側に移動させて、内障子3が倒れることを容易に防止できる。
【0052】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の変形形態であり、第1実施形態の突出移動機構部7に代えて、突出移動機構部8を備える。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0053】
第2実施形態の突出移動機構部8について説明する。図5及び図6に示すように、第2実施形態の突出移動機構部8は、内障子3に設けられた振れ止め部材6の一対の上部板62,62のうちの屋外側の上部板62aの上面に設けられる。
【0054】
突出移動機構部8は、固定板81と、上側移動板82と、付勢部83と、を備える。固定板81は、振れ止め部材6の一対の上部板62,62のうちの屋外側の上部板62aの上面に沿って形成された板状に形成される。固定板81は、振れ止め部材6の屋外側の上部板62aの上面に固定される。
【0055】
上側移動板82は、固定板81の見付方向の左右方向の外側の端部に付勢部83を介して接続される。上側移動板82は、内障子3の上端よりも上方側の突出位置(図6における実線の位置)と、突出位置よりも下方側の位置であって内障子3を窓枠2に建て込む際に位置させる退避位置(図5における二点鎖線の位置)と、に移動可能に構成される。
【0056】
付勢部83は、上側移動板82を突出位置側に付勢する。内障子3を窓枠2に建て込む場合には、上側移動板82を付勢部83の付勢力に抗して固定板81側へ手で押圧しながら建て込む。そして、内障子3を窓枠2に建て込んだ後に、上側移動板82から手を離すことで、上側移動板82を付勢部83の付勢力により、突出位置に移動させることができる。これにより、突出移動機構部8は、内障子3の上端部よりも上方側に突出する側に立ち上がるように付勢される。
【0057】
第2実施形態においては、内障子3及び外障子4を窓枠2に組み込む場合に、突出移動機構部8の上側移動板82を手で押さえた状態で、内障子3及び外障子4を、第1実施形態と同様に、窓枠2内に、いわゆるケンドン式にて組み込む。そして、突出移動機構部8の上側移動板82から手を離す。これにより、上側移動板82は、付勢力により上方側に突出する突出位置に移動される。
【0058】
このようにして、図5に示すように、上側移動板82を、上枠21の内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かる位置まで上方側に移動させることができる。上側移動板82の上端部821は、内障子3の上端よりも上部側に位置する。そのため、経年劣化などで、内障子3の掛かりが少なくなったとしても、上側移動板82は、上枠21の内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かりやすく、内障子3が倒れることを防止できる。
【0059】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。具体的には、上側移動板82を、上枠21の内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かる位置まで上方側に移動させることができる。そのため、経年劣化などで、窓枠2の内障子用上枠下方突出レール212と内障子3との掛かりが少なくなったとしても、上側移動板82は、上枠21の内障子用上枠下方突出レール212に引っ掛かりやすく、内障子3が倒れることを防止できる。
【0060】
本実施形態においては、突出移動機構部8は、内障子3の上端部よりも上方側に突出する側に立ち上がるように付勢される。これにより、内障子3及び外障子4を窓枠2に組み込んだ後に、上側移動板82を押さえた状態から手を離すだけで、上側移動板82を容易に上方側に移動させて、内障子3が倒れることを容易に防止できる。
【0061】
本実施形態においては、突出移動機構部8は、振れ止め部材6に設けられる。これにより、振れ止め部材6において内障子3の振れを抑制しつつ、振れ止め部材6に設けられた突出移動機構部8において内障子3が倒れることを防止できる。
【0062】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0063】
例えば、前記第1実施形態においては、突出移動機構部7(移動突出部)を、内障子3の召内框33,戸先框34、外障子4の召外框43,戸先框44に設けた場合について説明した。前記第2実施形態においては、突出移動機構部8(移動突出部)を振れ止め部材6に設けた場合について説明した。しかし、これに限定されない。前記第1実施形態の突出移動機構部7(移動突出部)を振れ止め部材6に設けてもよいし、前記第2実施形態の突出移動機構部8(移動突出部)を、内障子3の召内框33,戸先框34、外障子4の召外框43,戸先框44に設けてもよい。また、例えば、突出移動機構部7,8(移動突出部)を、内障子3の上框31や、外障子4の上框41に設けてもよい。
【0064】
前記第1実施形態においては、突出移動機構部7(移動突出部)を、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212、外障子用上枠下方突出レール213)の屋内側に設け、前記第2実施形態においては、突出移動機構部8(移動突出部)を、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212、外障子用上枠下方突出レール213)の屋外側に設けた。しかし、これに限定されない。突出移動機構部7(移動突出部)を、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212、外障子用上枠下方突出レール213)の屋外側に設けてもよいし、屋内側及び屋外側の両方に設けてもよい。突出移動機構部8(移動突出部)を、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212、外障子用上枠下方突出レール213)の屋内側に設けてもよいし、屋内側及び屋外側の両方に設けてもよい。
【0065】
前記実施形態においては、内窓1の窓枠2を樹脂製の枠で構成したが、これに限定されない。内窓1の窓枠を、例えば、金属製の枠で構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 内窓、2 窓枠(枠体)、3 内障子(障子)、4 外障子(障子)、6 振れ止め部材、7,8 突出移動機構部(移動突出部)、21 上枠、212 内障子用上枠下方突出レール(下方突出レール)、213 外障子用上枠下方突出レール(下方突出レール)、312,412 上部レールガイド(レール収容ガイド部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6