(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】アクティブスタイラス、電子機器、及びワイヤレス給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20250117BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20250117BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20250117BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20250117BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20250117BHJP
【FI】
H02J50/80
G06F3/03 400
G06F3/041 570
H02J50/10
H02J50/90
(21)【出願番号】P 2020213712
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】110004277
【氏名又は名称】弁理士法人そらおと
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】久野 晴彦
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-221304(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02708978(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0249773(US,A1)
【文献】国際公開第2018/043203(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/060580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/03-3/047
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器との間で信号の送受信を行う
アクティブスタイラスであって、
前記電子機器が送信したアップリンク信号を受信する受信部と、
前記電子機器に対してダウンリンク信号を送信する送信部と、
前記電子機器からワイヤレスで供給される電力を受電する受電部と、
集積回路と、を含み、
前記集積回路は、
前記受電部に対して前記電力が供給されていない場合には、前記受信部が前記アップリンク信号を受信したことに応じて前記送信部に前記ダウンリンク信号を送信させ、
前記受電部に対する前記電力の供給が開始されたことに応じて、前記送信部による前記ダウンリンク信号の送信を停止する、
アクティブスタイラス。
【請求項2】
前記集積回路は、前記
アクティブスタイラスと前記電子機器とが磁力によって接着したことを検出した場合に、前記受電部に対する前記電力の供給が開始されたことを検出する、
請求項1に記載のアクティブスタイラス。
【請求項3】
前記集積回路は、前記受電部内における電圧の上昇を検出することによって、前記受電部に対する前記電力の供給が開始されたことを検出する、
請求項1に記載のアクティブスタイラス。
【請求項4】
前記集積回路は、前記電子機器から前記電力の供給開始を示す信号を受信した場合に、前記受電部に対する前記電力の供給が開始されたことを検出する、
請求項1に記載のアクティブスタイラス。
【請求項5】
前記集積回路は、前記受信部による前記アップリンク信号の受信を停止することにより、前記送信部による前記ダウンリンク信号の送信を停止する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクティブスタイラス。
【請求項6】
前記集積回路は、前記アップリンク信号の受信及び前記ダウンリンク信号の送信を行わないスリープモードにエントリすることにより、前記ダウンリンク信号の送信を停止する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクティブスタイラス。
【請求項7】
アクティブスタイラスの位置を導出する電子機器であって、
前記アクティブスタイラスに対してワイヤレス給電を行う送電部と、
センサパネルを用いてタッチ面上における前記アクティブスタイラスの位置を導出するセンサコントローラと、を含み、
前記センサコントローラは、
前記センサパネルを介してアップリンク信号を送信し、
前記アップリンク信号の受信に応じて前記アクティブスタイラスが送信するダウンリンク信号を前記センサパネルを介して検出し、
前記送電部が前記アクティブスタイラスへのワイヤレス給電を行う状態になったことに応じて、前記アクティブスタイラスへの前記アップリンク信号の送信を停止する、
電子機器。
【請求項8】
前記センサコントローラは、前記
アクティブスタイラスと前記電子機器とが磁力によって接着したことを検出した場合に、前記送電部が前記アクティブスタイラスへのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記センサコントローラは、前記送電部による前記アクティブスタイラスへのワイヤレス給電の開始を検出することによって、前記送電部が前記アクティブスタイラスへのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記センサコントローラは、前記送電部と前記アクティブスタイラスとの間の通信を検出することによって、前記送電部が前記アクティブスタイラスへのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記送電部は、前記センサパネルを介さない通信によって前記アクティブスタイラスと通信可能に構成され、
前記センサコントローラは、前記送電部が第1のアクティブスタイラスと通信しており、かつ、前記第1のアクティブスタイラスと異なる第2のアクティブスタイラスを前記センサパネルを介して検出している場合、前記第2のアクティブスタイラスへの前記アップリンク信号の送信を継続する一方、前記第1のアクティブスタイラスへの前記アップリンク信号の送信を行わない、
請求項7に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブスタイラス、電子機器、及びワイヤレス給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タブレット端末等の電子機器に対してペン入力を行うためのスタイラスにはバッテリを内蔵するものがあるが、近年、この種のバッテリの充電を電子機器からのワイヤレス給電により実現する技術が注目されている。特許文献1,2には、この種の技術の例が開示されている。
【0003】
また、電子機器との間で双方向に信号の送受信を行うアクティブスタイラスが知られている。特許文献3,4には、アクティブスタイラスの例が記載されている。以下では、電子機器からアクティブスタイラスに送信される信号を「アップリンク信号」と称し、アクティブスタイラスから電子機器に送信される信号を「ダウンリンク信号」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第10627923号明細書
【文献】米国特許第10739871号明細書
【文献】国際公開第2016/139861号公報
【文献】国際公開第2017/029836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器からのワイヤレス給電によりアクティブスタイラスの内蔵バッテリを充電するためには、アクティブスタイラスを電子機器の近傍に配置する必要がある。そうすると、アクティブスタイラスを使用していないにも関わらず、アクティブスタイラスがアップリンク信号を受信し、アクティブスタイラスと電子機器の間でペアリングが確立されてしまう事態が発生し得る。ペアリング中状態にあるアクティブスタイラス及びタブレット端末はアップリンク信号とダウンリンク信号の送受信を継続的に実行するため、無駄に電力が消費されてしまうことになり、改善が必要とされていた。
【0006】
したがって、本発明の目的の一つは、電子機器からのワイヤレス給電によりアクティブスタイラスの内蔵バッテリを充電している場合における電力の消費を抑制できるアクティブスタイラス、電子機器、及びワイヤレス給電システムを提供することにある。
【0007】
また、特許文献1には、電子機器に設けられる送電部の両側に磁石を配置するとともに、スタイラスに設けられる受電部の両側にも磁石を配置し、これらを吸着させることによりワイヤレス給電中のスタイラスを電子機器に固定することが記載されている。しかしながら、従来の電子機器及びスタイラスにおいては、これらの磁石は磁化方向がペン軸方向と並行になるように(つまり、N極とS極がペン軸方向に沿って並ぶ向きに)配置されており、そうすると、電子機器に固定するときのスタイラスの向きが一方向に限定されてしまうので、改善が必要とされていた。
【0008】
したがって、本発明の目的の一つは、電子機器に固定するときのアクティブスタイラスの向きの自由度が高いアクティブスタイラス、電子機器、及びワイヤレス給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によるアクティブスタイラスは、電子機器との間で信号の送受信を行うアクティブスタライスであって、前記電子機器が送信したアップリンク信号を受信する受信部と、前記電子機器に対してダウンリンク信号を送信する送信部と、前記電子機器からワイヤレスで供給される電力を受電する受電部と、集積回路と、を含み、前記集積回路は、前記受電部に対して前記電力が供給されていない場合には、前記受信部が前記アップリンク信号を受信したことに応じて前記送信部に前記ダウンリンク信号を送信させ、前記受電部に対する前記電力の供給が開始されたことに応じて、前記送信部による前記ダウンリンク信号の送信を停止する、アクティブスタイラスである。
【0010】
本発明の第1の側面による電子機器は、アクティブスタイラスの位置を導出する電子機器であって、前記アクティブスタイラスに対してワイヤレス給電を行う送電部と、センサパネルを用いてタッチ面上における前記アクティブスタイラスの位置を導出するセンサコントローラと、を含み、前記センサコントローラは、前記センサパネルを介してアップリンク信号を送信し、前記アップリンク信号の受信に応じて前記アクティブスタイラスが送信するダウンリンク信号を前記センサパネルを介して検出し、前記送電部が前記アクティブスタイラスへのワイヤレス給電を行う状態になったことに応じて、前記アクティブスタイラスへの前記アップリンク信号の送信を停止する、電子機器である。
【0011】
本発明の第2の側面によるワイヤレス給電システムは、アクティブスタイラス、及び、前記アクティブスタイラスの位置を導出する電子機器を含むワイヤレス給電システムであって、前記アクティブスタイラスの側面には、前記側面に近い側から第1の磁極と第2の磁極とが前記アクティブスタイラスの半径方向に並ぶように配置された第1の磁石と、前記電子機器からワイヤレスで供給される電力を受電する受電部と、磁石に吸着する磁性体と、がペン軸方向に沿ってこの順で配置され、前記電子機器の表面には、前記表面に近い側から前記第2の磁極と前記第1の磁極とが奥行き方向に並ぶように配置された第2の磁石と、前記アクティブスタイラスに対してワイヤレス給電を行う送電部と、前記表面に近い側から前記第2の磁極と前記第1の磁極とが奥行き方向に並ぶように配置された第3の磁石と、がこの順で配置される、ワイヤレス給電システムである。
【0012】
本発明の第2の側面によるアクティブスタイラスは、電子機器との間で信号の送受信を行うことによりタッチ面内の位置を指示するアクティブスタライスであって、第1の磁極及び第2の磁極を有する第1の磁石と、前記電子機器からワイヤレスで供給される電力を受電する受電部と、磁石に吸着する磁性体と、を含み、前記第1の磁石、前記受電部、前記磁性体は、ペン軸方向に沿ってこの順で前記アクティブスタライスの側面内に配置され、前記第1の磁石は、前記第1の磁極及び前記第2の磁極が前記アクティブスタライスの半径方向に並ぶように配置される、アクティブスタイラスである。
【0013】
本発明の第2の側面による電子機器は、アクティブスタイラスの位置を導出する電子機器であって、第1の磁極及び第2の磁極を有する第1の磁石と、前記アクティブスタイラスに対してワイヤレス給電を行う送電部と、第1の磁極及び第2の磁極を有する第2の磁石と、を含み、前記第1の磁石、前記受電部、前記第2の磁石は、この順で前記電子機器の表面内に並置され、前記第1の磁石及び前記第2の磁石はそれぞれ、前記第1の磁極及び前記第2の磁極が前記電子機器の奥行き方向に並ぶように配置される、電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の側面によれば、電子機器からアクティブスタイラスへのワイヤレス給電が開始されたことに応じて、アクティブスタイラスによるダウンリンク信号の送信、或いは、センサコントローラから当該アクティブスタイラスへのアップリンク信号の送信が停止されるので、電子機器からのワイヤレス給電によりアクティブスタイラスの内蔵バッテリを充電している場合における電力の消費を抑制することが可能になる。
【0015】
本発明の第2の側面によれば、アクティブスタイラスを、第1の磁石と第2の磁石とが吸着し、磁性体と第3の磁石とが吸着する向きで電子機器に固定することもできるし、第1の磁石と第3の磁石とが吸着し、磁性体と第2の磁石とが吸着する向きで電子機器に固定することもできる。したがって、電子機器に固定するときのアクティブスタイラスの向きの自由度が高いワイヤレス給電システムを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態によるワイヤレス給電システム1のシステム構成を示す図である。
【
図3】集積回路20の処理フローを示すフロー図である。
【
図4】集積回路20の処理フローを示すフロー図である。
【
図5】センサコントローラ12が保持している個々のアクティブスタイラス3の状態を示す図である。
【
図6】センサコントローラ12の処理フローを示すフロー図である。
【
図7】本発明の実施の形態の変形例によるワイヤレス給電システム1のシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態によるワイヤレス給電システム1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、ワイヤレス給電システム1は、電子機器2と、アクティブスタイラス3とを含んで構成される。
【0019】
電子機器2は、タッチ面1a内におけるアクティブスタイラス3の位置を導出する位置検出装置であり、例えば、表示面をタッチ面1aとして用いるタブレット端末やパーソナルコンピュータによって構成される。ただし、表示面をタッチ面1aとして用いないデジタイザなどを電子機器2として用いることとしてもよい。以下では、電子機器2はタブレット端末であるとして説明を続ける。
【0020】
図1に示すように、電子機器2は、ホストプロセッサ10、センサパネル/ディスプレイ11、センサコントローラ12、送電部13、磁石14,15、磁気センサ16,17を有して構成される。
【0021】
ホストプロセッサ10は電子機器2の中央処理装置であり、図示しないメモリからプログラムを読み出して実行する機能を有している。ホストプロセッサ10により実行されるプログラムには、電子機器2のオペレーティングシステム、描画アプリケーションを含む各種のアプリケーションなどが含まれる。
【0022】
センサパネル/ディスプレイ11は、タッチ面1a内に配置された複数のセンサ電極と、複数の画素を含むディスプレイとを有する装置である。タッチ面1aは、ディスプレイの表示面を兼ねている。複数のセンサ電極は、センサコントローラ12とアクティブスタイラス3とが通信を行うための導電体であり、タッチ面1aの全体に配置される。ディスプレイ内の複数の画素は、両端に印加される電圧の大きさを変えることによって、明度を制御可能に構成される。ホストプロセッサ10は、複数の画素それぞれの明度を個別に制御することにより、タッチ面1a(表示面)上に各種の映像を表示する。複数のセンサ電極をディスプレイ内の電極の一部(例えば、液晶ディスプレイの共通電極)としても用いることとしてもよく、その場合の電子機器2は「インセル型」と呼ばれる。
【0023】
センサコントローラ12は、センサパネル/ディスプレイ11内の複数のセンサ電極を介してアクティブスタイラス3と双方向に通信を行うことにより、タッチ面1a内におけるアクティブスタイラス3の位置の導出と、アクティブスタイラス3が送信したデータの受信とを行う集積回路である。センサコントローラ12とアクティブスタイラス3の間の通信は、例えばアクティブ静電方式又は電磁誘導方式によって行われる。
【0024】
センサコントローラ12がアクティブスタイラス3に対して送信するアップリンク信号は、アクティブスタイラス3に対してアップリンク信号とダウンリンク信号の送受信スケジュールを通知するとともに、アクティブスタイラス3に対するコマンドを送信する役割を有する。アクティブスタイラス3は、受信したアップリンク信号の受信タイミングに基づいてアップリンク信号とダウンリンク信号の送受信スケジュールを取得するとともに、受信したアップリンク信号に含まれるコマンドに基づいてダウンリンク信号を生成する処理を行う。
【0025】
ダウンリンク信号は、センサコントローラ12がアクティブスタイラス3の位置を導出するために用いられる位置信号と、コマンドによって要求されたデータによって変調されてなるデータ信号とを含む信号である。センサコントローラ12は、センサパネル/ディスプレイ11内の複数のセンサ電極のそれぞれで位置信号の受信を試み、各センサ電極での位置信号の受信強度に基づいて、タッチ面1a内におけるアクティブスタイラス3の位置を導出する。また、センサコントローラ12は、センサパネル/ディスプレイ11内の複数のセンサ電極のいずれか1つを用いてデータ信号を受信することにより、アクティブスタイラス3が送信したデータを取得する。こうして取得されるデータには、アクティブスタイラス3に予め割り当てられているペンID、アクティブスタイラス3のペン先に印加される圧力を示す筆圧値、アクティブスタイラス3の表面に設けられたスイッチのオンオフ状態を示すスイッチ情報などが含まれる。センサコントローラ12は、導出した位置及び受信したデータを逐次ホストプロセッサ10に供給する。ホストプロセッサ10は、こうして供給された位置及びデータに基づいてストロークデータを生成及びレンダリングしてセンサパネル/ディスプレイ11に表示するとともに、生成したストロークデータを含むデジタルインクを生成する処理を行う。
【0026】
送電部13は、アクティブスタイラス3に対してワイヤレス給電を行う機能部である。図示していないが、送電部13が動作するために必要な電力は、電子機器2の動作電源である電池又は商用電源から供給される。
【0027】
典型的な例では、送電部13によるワイヤレス給電は、ワイヤレス充電の国際標準規格である「Qi」に従って実行される。この場合、送電部13は送電コイルを内蔵し、この送電コイルに交流電流を流すことによって後述する受電部24内の受電コイルと磁界結合し、それによって電力を送信するよう構成される。また、送電部13は、受電部24との間で双方向に通信可能に構成される。具体的には、送電部13から受電部24への信号送信は送電部13の動作周波数の変調(周波数偏移変調)によって行われ、受電部24から送電部13への信号送信は受電部24の反射インピーダンスの変調(振幅偏移変調)によって行われる。送電部13は、この通信によって受電部24の存在を検出している場合にワイヤレス給電を行い、受電部24から給電終了を示す信号を受信したことに応じてワイヤレス給電を終了するよう構成される。
【0028】
磁石14,15はそれぞれ、第1の磁極及び第2の磁極を有する永久磁石である。第1及び第2の磁極の一方はS極であり、他方はN極である。
図1に示すように、磁石14,15はそれぞれ、第1の磁極及び第2の磁極が電子機器3の奥行き方向に並ぶように配置される。なお、
図1では、磁石14,15ともにS極が表面寄りに配置される例を示しているが、磁石14,15で揃っていればよく、磁石14,15ともにN極が表面寄りに配置されることとしてもよい。磁石14、送電部13、磁石15は、この順で電子機器2の表面内に並置される。つまり送電部13は、磁石14,15に挟まれている。
【0029】
磁気センサ16,17はそれぞれ磁界を検出するセンサであり、例えばホール素子によって構成される。磁気センサ16は磁石14の近傍に、磁気センサ17は磁石15の近傍に、それぞれ配置される。電子機器2において磁気センサ16,17は、後述する磁石26から発生する磁界を検出する役割を果たす。
【0030】
アクティブスタイラス3は、集積回路20、ペン先電極21、受信部22、送信部23、受電部24、電池25、磁石26、磁性体27、磁気センサ28を有して構成される。
【0031】
集積回路20は、ペン先電極21を介してセンサコントローラ12と双方向に通信を行うことにより、センサコントローラ12が送信するアップリンク信号を受信するとともに、センサコントローラ12に対してダウンリンク信号を送信するように構成される。アップリンク信号及びダウンリンク信号の内容及び役割は上述したとおりである。
【0032】
ペン先電極21は、アクティブスタイラス3のペン先に配置される導電体である。受信部22は、集積回路20とペン先電極21の間に接続される受信回路であり、ペン先電極21に到来したアップリンク信号を受信し、集積回路20に供給する役割を果たす。送信部23は、集積回路20とペン先電極21の間に接続される送信回路であり、集積回路20が生成したダウンリンク信号をペン先電極21に供給することにより、ペン先電極21からダウンリンク信号を送信する役割を果たす。
【0033】
受電部24は、電子機器2の送電部13からワイヤレスで供給される電力を受電する機能部である。ワイヤレス給電の具体的な方法、及び、受電部24と電子機器2内の送電部13とが双方向に通信可能である点については、上述したとおりである。受電部24は、受電した電力を電池25に供給し、それによって電池25を充電する役割を果たす。電池25は電子機器2の内蔵バッテリであり、集積回路20の動作電源として機能する。
【0034】
磁石26は、上述した磁石14,15と同様に、第1の磁極及び第2の磁極を有する永久磁石である。
図1に示すように、磁石26は、第1の磁極及び第2の磁極がアクティブスタイラス3の半径方向に並ぶように配置される。なお、第1の磁極と第2の磁極のいずれを表面寄りの位置に配置するかは、電子機器2内における磁石14,15の配置によって決定される。すなわち、磁石26における第1の磁極及び第2の磁極の配置は、電子機器2内において表面寄りに配置される磁石14,15の磁極と異なる磁極が表面寄りに配置されることとなるように決定される。
【0035】
磁性体27は磁石に吸着する物質であり、典型的には、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性体によって構成される。
図1に示すように、磁石26、受電部24、磁性体27は、ペン軸方向に沿ってこの順で、アクティブスタイラス3の側面内に並置される。つまり、受電部24は、磁石26と磁性体27とによって挟まれている。なお、
図1ではペン先側に磁性体27を配置しているが、磁石26をペン先側に配置することとしてもよい。
【0036】
磁気センサ28は磁界を検出するセンサであり、例えばホール素子によって構成される。磁気センサ28は、磁性体27又は磁石26の近傍に配置される。アクティブスタイラス3において磁気センサ28は、電子機器2の磁石14又は磁石15から発生する磁界を検出する役割を果たす。
【0037】
以上、ワイヤレス給電システム1の基本的な構成について説明した。次に、集積回路20及びセンサコントローラ12それぞれの動作について、
図2~
図6を参照しながら詳しく説明する。
【0038】
図2は、集積回路20の動作モードを示す図である。同図に示すように、集積回路20はスリープモードM1、ディスカバリモードM2、通信モードM3のいずれかで動作するよう構成される。
【0039】
電池25からの電力供給が開始された直後における集積回路20の動作モードは、ディスカバリモードM2である。ディスカバリモードM2にエントリしている集積回路20は、受信部22によるアップリンク信号の受信を監視するとともに、受電部24に対する電力供給の開始を監視する。その結果、アップリンク信号の受信されない状態が所定時間にわたり継続した場合、及び、受電部24に対する電力供給が開始された場合、集積回路20はスリープモードM1に遷移する。一方、受電部24に対する電力供給が開始されることなくアップリンク信号が受信された場合、集積回路20はセンサコントローラ12との間で所定のペアリング処理を実行し、その結果としてペアリングが確立した場合に、通信モードM3に遷移する。
【0040】
スリープモードM1にエントリしている集積回路20は、アップリンク信号の受信及びダウンリンク信号の送信を行わず、受電部24に対する電力供給の状態及び所定時間の経過の監視を行う。受電部24に対する電力供給が継続している間、集積回路20はスリープモードM1での動作を継続する。一方、受電部24に対する電力供給が終了した場合、又は、電力供給のないままスリープモードM1にエントリしてから所定時間が経過した場合、集積回路20はディスカバリモードM2に遷移する。
【0041】
通信モードM3にエントリしている集積回路20は、受信部22によるアップリンク信号の受信を監視するとともに、受電部24に対する電力供給の開始を監視する。アップリンク信号が受信された場合、集積回路20は、受信したアップリンク信号に基づいてダウンリン信号を生成し、受信したアップリンク信号により示されるタイミングで、生成したダウンリン信号の送信を行う。一方、集積回路20は、受信されるはずのタイミングでアップリンク信号が受信されない状態が所定回数にわたり続いた場合、ペアリングを解除してディスカバリモードM2に遷移する。また、集積回路20は、受電部24に対する電力供給が開始された場合、ペアリングを解除してスリープモードM1に遷移する。
【0042】
図3及び
図4は、集積回路20の処理フローを示すフロー図である。以下、これらの図を参照しながら、集積回路20の動作について、より詳しく説明する。
【0043】
処理を開始した集積回路20は、まず初めにディスカバリモードM2にエントリする(ステップS1)。そして、受電部24に対する電力供給の有無を判定し(ステップS2)、電力供給があると判定した場合、スリープモードM1にエントリする(ステップS6)。
【0044】
ここで、ステップS2の判定において集積回路20は、例えば磁気センサ28が電子機器2の磁石14又は磁石15から発生する磁界を検出したことに応じてアクティブスタライス3と電子機器2とが磁力によって接着したことを検出し、その場合に、受電部24に対する電力の供給が開始されたことを検出すればよい。また、集積回路20は、受電部24内における電圧の上昇を検出することによって、受電部24に対する前記電力の供給が開始されたことを検出してもよいし、電子機器2から電力の供給開始を示す信号を受信した場合に、受電部24に対する電力の供給が開始されたことを検出してもよい。なお、電力の供給開始を示す信号は、上述した送電部13と受電部24の間の通信によって送信されることとしてもよいし、センサコントローラ12からのアップリンク信号の一部として送信されることとしてもよいし、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信によって送信されることとしてもよい。
【0045】
ステップS2で電力供給がないと判定した場合、集積回路20は、アップリンク信号の受信動作を行うよう受信部22を制御する(ステップS3)。その結果としてアップリンク信号が受信された場合、集積回路20は、
図4のステップS11に処理を移す(ステップS4)。一方、所定時間が経過してもアップリンク信号が受信されなかった場合、集積回路20はスリープモードM1にエントリする(ステップS5,S6)。
【0046】
スリープモードM1にエントリした集積回路20は、受信部22によるアップリンク信号の受信を停止し(ステップS7)、それによって送信部23によるダウンリンク信号の送信も停止する。後述するステップS14において既に送受信スケジュールを取得している場合、ステップS7の停止は、取得済みの送受信スケジュールを無効にすることによって実行され得る。
【0047】
次に集積回路20は、ステップS2と同様にして受電部24に対する電力供給の有無を判定する(ステップS8)。その結果、電力供給があると判定した集積回路20は、ステップS8の判定処理を繰り返す。一方、電力供給がないと判定した場合、集積回路20は、受電部24に対する電力の供給が終了したか否かを判定する(ステップS9)。その結果、終了したと判定した場合、集積回路20は、ステップS1に戻ってディスカバリモードM2にエントリする。なお、ステップS9の判定は電力供給が終了したか否かの判定であるので、そもそも受電部24に対する電力の供給が開始していない場合には、否定判定となる。
【0048】
ステップS9で否定的な判定結果を得た集積回路20は、スリープモードM1にエントリしてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS10)。その結果、経過していないと判定した場合にはステップS8に戻って処理を繰り返し、経過したと判定した場合には、ステップS1に戻ってディスカバリモードM2にエントリする。
【0049】
図4に移り、処理をステップS11に進めた集積回路20は、現在のモードがディスカバリモードM2と通信モードM3のいずれであるかを判定する(ステップS11)。その結果、ディスカバリモードM2であると判定した場合、集積回路20はさらに、センサコントローラ12とのペアリングが確立したか否かを判定する(ステップS12)。その結果、確立したと判定した場合、通信モードM3にエントリする(ステップS13)。ステップS11で通信モードM3であると判定した場合、ステップS12でペアリングが確立していないと判定した場合、及び、ステップS13で通信モードM3にエントリした場合、集積回路20は、ステップS14に移って処理を続ける。
【0050】
ステップS14において集積回路20は、
図3のステップS3又は後述するステップS19で受信したアップリンク信号に応じた動作を実行する(ステップS14)。この動作には、上述した送受信スケジュールの取得とダウンリンク信号の生成とが含まれる。
【0051】
次に集積回路20は、ステップS2と同様にして受電部24に対する電力供給の有無を判定する(ステップS15)。その結果、電力供給があると判定した場合、集積回路20は、
図3のステップS6に移ってスリープモードM1にエントリする。これにより、アップリンク信号の受信及びダウンリンク信号の送信が停止され、センサコントローラ12とのペアリングも解除されることになる。
【0052】
一方、ステップS15において電力供給がないと判定した場合、集積回路20は、ステップS14で取得した送受信スケジュールに従い、ダウンリンク信号の送信タイミングが到来したか否か(ステップS16)、及び、アップリンク信号の受信タイミングが到来したか否か(ステップS17)を判定する。集積回路20は、以上のステップS15~S17の処理をアップリンク信号を受信するまで、或いは、所定回数にわたりアップリンク信号の未受信状態が継続するまで繰り返す。
【0053】
ステップS16でダウンリンク信号の送信タイミングが到来したと判定した場合、集積回路20は、ステップS14で生成したダウンリンク信号を送信部23に送信させる(ステップS18)。また、ステップS17でアップリンク信号の受信タイミングが到来したと判定した場合、集積回路20は、アップリンク信号の受信動作を行うよう受信部22を制御する(ステップS19)。その結果としてアップリンク信号が受信された場合、集積回路20は、ステップS11に処理を移す(ステップS20)。一方、アップリンク信号が受信されなかった場合の集積回路20は、アップリンク信号の連続未受信回数が所定回数に到達したか否かを判定する(ステップS21)。
【0054】
ステップS21において所定回数に到達したと判定した集積回路20は、センサコントローラ12とのペアリングを解除し、
図3のステップS1に処理を移してディスカバリモードM2にエントリする。一方、ステップS21において所定回数に到達していないと判定した場合の集積回路20は、ステップS15に戻って処理を繰り返す。
【0055】
次に、
図5は、センサコントローラ12が保持している個々のアクティブスタイラス3の状態を示す図である。同図に示すように、センサコントローラ12は、アクティブスタイラス3ごとに、アップリンク信号送信停止状態M11、未検出状態M12、ペアリング中状態M13、通信状態M14のいずれかを保持するよう構成される。このうち未検出状態M12は、センサコントローラ12が当該アクティブスタイラス3の情報を保持していない状態である。その他の状態については、センサコントローラ12は、アクティブスタイラス3の状態を示す状態情報を保持することによって、その状態を保持するよう構成される。
【0056】
あるアクティブスタイラス3についてセンサコントローラ12が最初に保持している状態は、未検出状態M12である。センサコントローラ12は、未検出状態M12にあるアクティブスタイラス3からダウンリンク信号を新規に受信した場合、そのアクティブスタイラス3の状態情報をペアリング中状態M13に書き換える。
【0057】
センサコントローラ12は、ペアリング中状態M13にあるアクティブスタイラス3との間で、所定のペアリング動作を行う。その結果としてペアリングが確立した場合、センサコントローラ12は、そのアクティブスタイラス3の状態情報を通信状態M14に書き換える。これによりセンサコントローラ12は、そのアクティブスタイラス3に関して、位置の導出とデータの受信とを行えるようになる。通信状態M14にあるアクティブスタイラス3からダウンリンク信号が受信されなくなった場合、センサコントローラ12は、そのアクティブスタイラス3について保持している状態情報を削除する。これにより、そのアクティブスタイラス3の状態が未検出状態M12に戻ることになる。
【0058】
また、センサコントローラ12は、送電部13からアクティブスタイラス3への電力供給の状態を監視する。その結果、あるアクティブスタイラス3に対して送電部13がワイヤレス給電を行っていることを検出した場合、給電先のアクティブスタイラス3のペンIDを取得し、そのアクティブスタイラス3とペアリング中であればペアリングを解除したうえで、そのアクティブスタイラス3の状態情報をアップリンク信号送信停止状態M11に書き換える。
【0059】
センサコントローラ12は、アップリンク信号送信停止状態M11を保持しているアクティブスタイラス3に対してはアップリンク信号の送信を行わず、送電部13からの電力供給の状態を引き続き監視する。この監視の結果として送電部13から当該アクティブスタイラス3へのワイヤレス給電の終了を検出した場合、センサコントローラ12は、そのアクティブスタイラス3について保持している状態情報を削除する。これにより、そのアクティブスタイラス3の状態が未検出状態M12に戻ることになる。
【0060】
ここで、センサコントローラ12は、フレームの単位でアップリンク信号の送信とダウンリンク信号の受信とを行うよう構成される。具体的には、フレームを複数のタイムスロットに分割し、フレームの先頭のタイムスロットでアップリンク信号を送信する。フレームの先頭から2番目のタイムスロットは、未検出状態M12にあるアクティブスタイラス3からのダウンリンク信号を受信するために予約されている。
図2に示したディスカバリモードM2にエントリ中のアクティブスタイラス3は、
図3のステップS4にて未ペアリングのセンサコントローラ12から最初にアップリンク信号を受信した場合、ステップS18において、この2番目のタイムスロットを使用してダウンリンク信号の送信を行う。3番目以降のタイムスロットは、ペアリング中状態M13又は通信状態M14となっているアクティブスタイラス3に割り当てられる。
【0061】
図6は、センサコントローラ12の処理フローを示すフロー図である。以下、この
図6を参照しながら、センサコントローラ12の動作について、より詳しく説明する。
【0062】
センサコントローラ12はまず、ダウンリンク信号を新規に受信したアクティブスタイラス3が存在するか否かを判定する(ステップS30)。このステップS33の判定結果は、上述した2番目のタイムスロットでダウンリンク信号が受信された場合に、肯定判定となる。ステップS30で肯定的な判定結果を得たセンサコントローラ12は、そのダウンリンク信号を送信したアクティブスタイラス3の状態情報をペアリング中状態M13に書き換える(ステップS31)。この後のセンサコントローラ12は、アップリンク信号及びダウンリンク信号を用いて、ペアリング中状態M13にあるアクティブスタイラス3との間にペアリングを確立するための処理を行うことになる。
【0063】
次にセンサコントローラ12は、状態情報を保持している各アクティブスタイラス3について、ステップS33~S36の処理を行う(ステップS32)。具体的に説明すると、センサコントローラ12はまず、注目アクティブスタイラス3との間でペアリングが確立したか否かを判定する(ステップS33)。この判定は、例えばセンサコントローラ12がアクティブスタイラス3からペンIDを受信した場合に肯定判定となる。ペアリングが新たに確立したと判定したセンサコントローラ12は、注目アクティブスタイラス3の情報情報を通信状態M14に書き換える(ステップS35)。これにより、センサコントローラ12は、注目アクティブスタイラス3に関して、位置の導出とデータの受信とを行えるようになる。
【0064】
ステップS33においてペアリングが新たに確立してはいないと判定した場合、及び、ステップS35の処理が終了した場合、センサコントローラ12は、注目アクティブスタイラス3からのダウンリンク信号が未受信となっているか否かを判定する(ステップS34)。この判定は、後述するステップS43において、注目アクティブスタイラス3からのダウンリンク信号が受信されるはずのタイムスロットでダウンリンク信号が受信されなかった場合に、肯定判定となる。ダウンリンク信号が未受信になっていると判定したセンサコントローラ12は、注目アクティブスタイラス3について保持している状態情報を削除する(ステップS36)。これにより、注目アクティブスタイラス3の状態は未検出状態M12となる。
【0065】
ステップS34でダウンリンク信号が未受信になっていないと判定した場合、及び、ステップS36の処理が終了した場合、センサコントローラ12は、次のアクティブスタイラス3に処理を移す。状態情報を保持しているすべてのアクティブスタイラス3についてステップS32の処理が終了した場合、センサコントローラ12は、送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になっているか否かを判定する(ステップS37)。
【0066】
ここで、ステップS37の判定においてセンサコントローラ12は、例えば磁気センサ16,17の少なくとも一方がアクティブスタイラス3の磁石26から発生する磁界を検出したことに応じてアクティブスタライス3と電子機器2とが磁力によって接着したことを検出した場合に、送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出すればよい。また、センサコントローラ12は、送電部13との通信を通じて送電部13によるアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電の開始を検出することにより、送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出してもよいし、上述した送電部13とアクティブスタイラス3の受電部24の間で行われる通信を検出することによって、送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出してもよいし、アクティブスタイラス3から受電開始を示す信号を受信した場合に、送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になったことを検出してもよい。なお、受電開始を示す信号は、送電部13と受電部24の間の通信によって送信されることとしてもよいし、アクティブスタイラス3からのダウンリンク信号の一部として送信されることとしてもよいし、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信によって送信されることとしてもよい。
【0067】
ステップS37において、送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になっていると判定したセンサコントローラ12は、電力供給先であるアクティブスタイラス3のペンIDを取得する(ステップS38)。この取得は、上述した送電部13と受電部24の間で行われる通信、又は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信を用いて行うことが好ましい。アクティブスタイラス3がアップリンク信号を受信でき、かつ、アクティブスタイラス3が送信したダウンリンク信号をセンサコントローラ12が受信できる場合には、アップリンク信号及びダウンリンク信号を用いてペンIDを取得することとしてもよい。ペンIDを取得したセンサコントローラ12は、取得したペンIDにより示されるアクティブスタイラス3の状態情報を、アップリンク信号送信停止状態M11に書き換える(ステップS39)。これにより、後述するステップS42で生成するアップリンク信号の宛先から、そのアクティブスタイラス3が除外されることになる。
【0068】
ステップS37において送電部13がアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電を行う状態になっていないと判定した場合、及び、ステップS39の処理を終了した場合、センサコントローラ12は、送電部13による送電が終了したか否かを判定する(ステップS40)。その結果、終了したと判定した場合、センサコントローラ12は、電力供給先であるアクティブスタイラス3のペンIDに対応付けて保持していた状態情報を削除する(ステップS41)。これにより、電力供給先であったアクティブスタイラス3の状態は、未検出状態M12となる。なお、上述したステップS9(
図3を参照)の判定と同様、ステップS40の判定も電力供給が終了したか否かの判定であるので、そもそも送電部13による送電が開始していない場合には、否定判定となる。
【0069】
ステップS40で否定的な判定結果を得た場合、及び、ステップS41の処理を終了した場合、センサコントローラ12はアップリンク信号を生成する(ステップS42)。このステップS42で生成されるアップリンク信号には、少なくとも3つの種類がある。1つ目は、新たなアクティブスタイラス3を探索するときに生成されるもので、新たなアクティブスタイラス3に割り当てるローカルIDと、新たなアクティブスタイラス3に割り当てるタイムスロットを示す情報を含んで構成される。このアップリンク信号の宛先には、任意のアクティブスタイラス3によって受信されるブロードキャストアドレスが設定される。2つ目は、ペアリング中状態M13を保持しているアクティブスタイラス3があるときに生成されるもので、ペアリングのために必要な動作を示すコマンドを含んで構成される。このアップリンク信号の宛先には、ペアリング中のアクティブスタイラス3に割り当てたローカルIDが設定される。3つ目は、通信状態M14を保持しているアクティブスタイラス3があり、そのアクティブスタイラス3に対してコマンドを送信する必要があるときに生成されるもので、送信対象のコマンドを含んで構成される。このアップリンク信号の宛先には、コマンドの送信先となるアクティブスタイラス3に割り当てたローカルIDが設定される。センサコントローラ12は、これらの中から適宜1種類を選択し、選択したアップリンク信号を生成する。
【0070】
ステップS42においてセンサコントローラ12は、アップリンク信号送信停止状態M11を保持しているアクティブスタイラス3(のローカルID)をアップリンク信号の宛先から除外する。言い換えれば、センサコントローラ12は、アップリンク信号送信停止状態M11を保持しているアクティブスタイラス3(のローカルID)を宛先とするアップリンク信号を生成しない。これにより、ワイヤレス給電中のアクティブスタイラス3に対しては、アップリンク信号の送信が停止されることになる。
【0071】
アップリンク信号を生成したセンサコントローラ12は、生成したアップリンク信号を送信し(ステップS43)、続いて、各タイムスロットにてダウンリンク信号を受信する(ステップS44)。その後、センサコントローラ12はステップS30に戻り、処理を続ける。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によるワイヤレス給電システム1によれば、電子機器2からアクティブスタイラス3へのワイヤレス給電が開始されたことに応じて、アクティブスタイラス3によるダウンリンク信号の送信、或いは、センサコントローラ12から当該アクティブスタイラス3へのアップリンク信号の送信が停止されるので、電子機器2からのワイヤレス給電によりアクティブスタイラス3の電池25を充電している場合における電力の消費を抑制することが可能になる。
【0073】
また、本実施の形態によるワイヤレス給電システム1によれば、磁石26と磁石14とが吸着し、磁性体27と磁石15とが吸着する向きでアクティブスタイラス3を電子機器2に固定することもできるし、磁石26と磁石15とが吸着し、磁性体27と磁石14とが吸着する向きでアクティブスタイラス3を電子機器2に固定することもできる。したがって、電子機器2に固定するときのアクティブスタイラス3の向きの自由度が高いワイヤレス給電システム1を得ることが可能になる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0075】
図7は、上記実施の形態の変形例によるワイヤレス給電システム1のシステム構成を示す図である。本変形例においては、磁石26と磁性体27の間の距離D1が磁石14と磁石15の間の距離D2と異なっている。より具体的には、距離D1が距離D2よりも長くなっている。こうすることで、
図7にも示すように、磁石26が例えば磁石14に吸着しているとき、ペン軸方向に見て、磁性体27の側面を磁石15の中央近傍に位置させることが可能になる。磁石26が磁石15に吸着しているときも同様である。したがって、本変形例によれば、距離D1と距離D2が等しい場合に比べて、磁性体27と磁石14又は磁石15との間の磁力による吸着力を高めることが可能になる。
【0076】
なお、
図7には距離D1が距離D2より長い例を示したが、距離D2を距離D1より長くしてもよい。こうしても、磁石26が例えば磁石14に吸着しているとき、ペン軸方向に見て、磁性体27の側面を磁石15の中央近傍に位置させることが可能になるので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、本変形例においては、
図7に示すように、ペン軸方向に見て、磁性体27の幅W1が磁石14,15それぞれの幅W2より短くなっている。言い換えれば、本変形例による磁性体27は、上記実施の形態による磁性体27のペン軸方向の一部が欠落した状態となっている。より好ましくは、幅W1は幅W2の半分(2×W1=W2)とすればよい。こうすることで、磁性体27と磁石14又は磁石15との間の磁力による吸着力をより高めることが可能になる。
【符号の説明】
【0078】
1 ワイヤレス給電システム
1a タッチ面
2 電子機器
3 アクティブスタイラス
10 ホストプロセッサ
11 センサパネル/ディスプレイ
12 センサコントローラ
13 送電部
14,15,26 磁石
16,17,28 磁気センサ
20 集積回路
21 ペン先電極
22 受信部
23 送信部
24 受電部
25 電池
27 磁性体
D1 磁石26と磁性体27の間の距離
D2 磁石14と磁石15の間の距離
M1 スリープモード
M2 ディスカバリモード
M3 通信モード
M11 アップリンク信号送信停止状態
M12 未検出状態
M13 ペアリング中状態
M14 通信状態
W1 磁性体27の幅
W2 磁石14,15,26の幅