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特許7621114識別形態割り当て方法、識別形態割り当て制御装置、識別形態割り当て制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】識別形態割り当て方法、識別形態割り当て制御装置、識別形態割り当て制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20250117BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20250117BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/13
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020215773
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101286
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 聡子
(72)【発明者】
【氏名】川上 沢馬
(72)【発明者】
【氏名】王 強
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 昌
(72)【発明者】
【氏名】樫村 圭亮
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004703(JP,A)
【文献】国際公開第2019/117409(WO,A1)
【文献】特開2003-178614(JP,A)
【文献】特開2017-167976(JP,A)
【文献】国際公開第2016/108287(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0050448(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる識別形態割り当て制御装置を用いた識別形態割り当て方法であって、
前記識別形態割り当て制御装置が、
適用される識別形態全体では、要求される意匠に基づいて前記識別形態を割り当てる第1条件での割り当て処理を実行しつつ、
前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、設定される前記単位個体の最小間隔を維持するように、前記識別形態を割り当てる第2条件での割り当て処理を実行すると共に、
前記第1条件及び前記第2条件に基づく割り当て処理を、前記単位個体への割り当て数が所定数に達するまで繰り返し実行する、
識別形態割り当て方法。
【請求項2】
前記所定数が、前記単位個体の全数であり、予め定めた回数の前記割り当て処理で、割り当て数が全数に達しない場合は、前記第1条件又は前記第2条件を調整する、請求項1記載の識別形態割り当て方法。
【請求項3】
単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体において、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる識別形態割り当て制御装置であって、
前記集合構造体の配列パターンの意匠を受け付ける第1受付部と、
前記単位個体の最小間隔を受け付ける第2受付部と、
適用される識別形態全体では、前記第1受付部で受け付けた意匠に基づいて、前記識別形態を前記単位個体に割り当てる第1条件、及び、前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、前記第2受付部で受け付けた前記最小間隔を維持するように、前記識別形態を前記単位個体に割り当てる第2条件に基づく割り当て処理の実行を制御する処理制御部とを有し、
前記処理制御部が、
前記第1条件及び前記第2条件に基づく割り当て処理を、前記単位個体への割り当て数が所定数に達するまで繰り返し実行する、識別形態割り当て制御装置。
【請求項4】
前記所定数が、前記単位個体の全数であり、予め定めた回数の前記割り当て処理で、割り当て数が全数に達しない場合は、前記第1条件又は前記第2条件を調整する、請求項3記載の識別形態割り当て制御装置。
【請求項5】
コンピュータを、
請求項3又は請求項4記載の識別形態割り当て制御装置として動作させる、
識別形態割り当て制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態の何れかが割り当てられる複数の単位個体が、予め定めた配列パターンで配列させるための識別形態割り当て方法、識別形態割り当て制御装置、識別形態割り当て制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器を設置する候補となる場所がそれぞれどの程度適切であるかを直感的に分かり易く示すためのレイアウト支援システムについて記載されている。特許文献1では、機器を配置する配置対象エリアの形状および大きさを示すマップデータと、配置対象エリア内の複数の座席位置を示す座席データとを記憶しておき、配置対象エリアを所定の基準に従って複数の領域に分割し、各領域に対し、複数の座席位置からの影響に基づいて重みを算出し、複数の領域の表示内容を重みに応じて変更した配置対象エリアのマップ上の複数の座席位置に座席アイコンを重畳したレイアウト支援画像を生成し、レイアウト支援画像を表示装置に表示させることで、機器を設置する候補となる場所がそれぞれどの程度適切であるかを直感的に分かり易くすることができる。
【0003】
特許文献1は、重みが付与された各座席位置から機器の設置候補を視覚的に報知するものであり、座席を所定条件に基づいて分類するような技術とは異なる。
【0004】
特許文献2には、顧客の配色イメージを要因にして円滑な配色提案を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-167976号公報
【文献】特開2008-83443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、特許文献1と特許文献2との組み合わせにおいて、座席を色分けすること自体は技術的に可能であるが、座席を所定条件に基づいて分類するような要素はない。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2は、所定条件の中に、実用性を備えるような概念は記載されていないし、示唆もされていない。
【0008】
本発明は、単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる場合に、実用性を備える割り当てを容易に実現することができる識別形態割り当て方法、識別形態割り当て制御装置、識別形態割り当て制御プログラムを得ることが目的である。
【0009】
上記目的に加え、本発明は、実用性のみならず、意匠性を兼ね備える配列パターンとすることができる識別形態割り当て方法、識別形態割り当て制御装置、識別形態割り当て制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る集合構造体は、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態の何れかが、各々に割り当てられる複数の単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体において、同一種類の識別形態毎に、設定される前記単位個体の最小間隔を維持するように前記識別形態を割り当てるように構成されたことを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、単位個体の最小間隔が、例えば、互いの干渉を回避するためのソーシャルディスタンスであった場合、識別形態の割り当てにより、ソーシャルディスタンスを視覚的、かつ直感的に認識することができる。識別形態の割り当てが結果的に、ランダムに配置されるため、意匠性及び実用性を兼ね備える割り当てを容易に実現することができる。
【0012】
本発明の集合構造体は、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態の何れかが、各々に割り当てられる複数の単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体において、適用される識別形態全体では、要求される意匠に基づいて前記識別形態を割り当てる第1条件と、前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、設定される前記単位個体の最小間隔を維持するように前記識別形態を割り当てる第2条件との双方が成立するように構成されたことを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、第1条件として、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体において、適用される識別形態全体では、要求される意匠に基づいて前記識別形態を割り当てることとする。
【0014】
第2条件として、同一種類の識別形態単位では、設定される前記単位個体の最小間隔を維持するように前記識別形態を割り当てることとする。
【0015】
この第1条件と第2条件との双方が成立するように識別形態を割り当てることで、単位個体の最小間隔が、例えば、互いの干渉を回避するためのソーシャルディスタンスであった場合、意匠性を持ち、かつ、実用性(ソーシャルディスタンスの確保)を持たせることができる。
【0016】
本発明の集合構造体において、前記単位個体が予め定めた規則性を持って配列された座席であることを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、例えば、単位個体が、ホールに設置される座席とした場合、座席は予め横列方向及び横列方向に規則性を持って配列されている。
【0018】
本発明は、このような座席に対して、隣接する座席までの距離が、最小間隔が維持されていない場合に有効となる。
【0019】
本発明の集合構造体において、前記識別形態が色であり、前記割り当て処理により割り当てられた色を、各々の前記単位個体に配色することを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、識別形態を色とすることで、視覚的に、かつ直感的に識別が可能となる。
【0021】
本発明に係る識別形態割り当て方法は、単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる識別形態割り当て制御装置を用いた識別形態割り当て方法であって、前記識別形態割り当て制御装置が、適用される識別形態全体では、要求される意匠に基づいて前記識別形態を割り当てる第1条件での割り当て処理を実行しつつ、前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、設定される前記単位個体の最小間隔を維持するように、前記識別形態を割り当てる第2条件での割り当て処理を実行すると共に、前記第1条件及び前記第2条件に基づく割り当て処理を、前記単位個体への割り当て数が所定数に達するまで繰り返し実行する、ことを特徴としている。
【0022】
本発明によれば、適用される識別形態全体では、要求される意匠に基づいて前記識別形態を割り当てる第1条件での割り当て処理を実行しつつ、前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、設定される単位個体の最小間隔を維持するように、識別形態を割り当てる第2条件での割り当て処理を実行することで、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる場合に、意匠性及び実用性を兼ね備える割り当てを容易に実現することができる。
【0023】
本発明に係る識別形態割り当て制御装置は、単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体において、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる識別形態割り当て制御装置であって、前記集合構造体の配列パターンの意匠を受け付ける第1受付部と、前記単位個体の最小間隔を受け付ける第2受付部と、適用される識別形態全体では、前記第1受付部で受け付けた意匠に基づいて、前記識別形態を前記単位個体に割り当てる第1条件、及び、前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、前記第2受付部で受け付けた前記最小間隔を維持するように、前記識別形態を前記単位個体に割り当てる第2条件に基づく割り当て処理の実行を制御する処理制御部とを有し、前記処理制御部が、前記第1条件及び前記第2条件に基づく割り当て処理を、前記単位個体への割り当て数が所定数に達するまで繰り返し実行する、ことを特徴としている。
【0024】
本発明によれば、第1受付部では、集合構造体の配列パターンの意匠を受け付ける。第2受付部では、単位個体の最小間隔を受け付ける。
【0025】
処理制御部では、適用される識別形態全体では、前記第1受付部で受け付けた意匠に基づいて、前記識別形態を前記単位個体に割り当てる第1条件、及び、前記適用される識別形態全体の中の同一種類の識別形態単位では、前記第2受付部で受け付けた前記最小間隔を維持するように、前記識別形態を前記単位個体に割り当てる第2条件に基づく割り当て処理の実行を制御する。
【0026】
これにより、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる場合に、意匠性及び実用性を兼ね備える割り当てを容易に実現することができる。
【0028】
本発明の識別形態割り当て方法及び識別形態割り当て制御装置において、前記所定数が、前記単位個体の全数であり、予め定めた回数の前記割り当て処理で、割り当て数が全数に達しない場合は、第1条件又は第2条件を調整することを特徴としている。
【0029】
本発明によれば、第1条件及び第2条件を維持しつつ、識別形態の割り当てが単位個体の全数となることが好ましいが、割り当てしきれなかった単位個体は、他の種類の識別形態で識別するようにしてもよい。しかし、割り当て数の目標(所定数)を全数とする場合は、予め定めた回数の前記割り当て処理で、割り当て数が全数に達しないときは、第1条件又は第2条件を調整すればよい。
【0030】
本発明に係る識別形態割り当て制御プログラムは、コンピュータを、上記の識別形態割り当て制御装置として動作させることを特徴としている。
【0031】
本発明によれば、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる場合に、意匠性及び実用性を兼ね備える割り当てを容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した如く本発明では、単位個体が、予め定めた配列パターンで配列された集合構造体に対して、前記単位個体の各々に、視覚的に識別可能な複数種類の識別形態を割り当てる場合に、意匠性及び実用性を兼ね備える割り当てを容易に実現することができるという効果を奏する。
【0033】
上記効果に加え、本発明では、実用性を備えて割り当てられた識別形態の配列パターンが、意匠性をさらに備える割り当てを容易に実現することができる
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本実施の形態に係る割り当て制御装置のハード構成を示すブロック図である。
図2】本実施の形態に係る割り当て制御装置の機能ブロック図である。
図3】本実施の形態において配色パターンに適用される色のグルーピングを示すパターン図である。
図4】本実施の形態に係る多目的ホールであり、(A)は平面図、(B)側面図である。
図5】本実施の形態の第1条件及び第2条件に基づいて実行される配色アルゴリズムの実行例を説明する配色パターン図である
図6】(A)は本実施の形態に係る座席の平面図、(B)は条件(ランダム+ディスタンス)に基づく配色パターン結果(記号表記)のパターン図、(C)は適用される色及び色のグルーピングを示す図表である。
図7】本実施の形態に係る配色アルゴリズムに基づく処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第1条件に対する変形例1に係る座席の配色パターンであり、(A)はシンボル、(B)は木の葉模様に基づく配色パターン図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本実施の形態に係る識別形態としての色を、単位個体である座席22(図4(A)において、350席図示したが、番号は一部に指標)の各々に割り当てるための割り当て制御装置10の概略図である。割り当て制御装置10は、マイクロコンピュータ12を備えている。
【0036】
マイクロコンピュータ12は、CPU12A、RAM12B、ROM12C、入出力装置(I/O)12D、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス12Eを有している。
【0037】
I/O12Dには、大規模記憶装置14が接続されており、配色対象である座席22が設置される対象情報(集合体としての座席22の数、配列状態等)、座席22への配色条件を記憶すると共に、前記配色条件に基づいて実行される配色アルゴリズム(プログラム)、及び、配色アルゴリズムを実行するために必要な情報(色情報、色グルーピング情報等)を記憶するデータベースとして機能する。
【0038】
すなわち、本実施の形態の大規模記憶装置14には、視覚的に識別可能な識別形態として適用される、図3に示される色情報、色グルーピング情報が記憶されている。
【0039】
(色情報、色グルーピング情報の詳細「一例」)
【0040】
少なくとも、配色アルゴリズムを実行するために必要な情報(色情報、色グルーピング情報等)は、予め大規模記憶装置14に記憶されていることが好ましい。
【0041】
色情報としては、全17色であり、この17色の色情報が、10グループ(G0~G9)の系統毎に分類されている(表1参照)。各グループの色が、予め定めた条件が設定された配色アルゴリズムに基づき、座席22に割り当てられることになる。
【0042】
【表1】
【0043】
大規模記憶装置14に適用可能なデバイスとしては、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ等が挙げられる。なお、対象情報の記憶は、マイクロコンピュータ12のRAM12B、ROM12Cを利用してもよい。また、配色アルゴリズム(プログラム)をROM12Cに記憶し、マイクロコンピュータ12を割り当て制御専用としてもよい。
【0044】
また、I/O12Dには、入力デバイス18及び出力デバイス20が接続されている。入力デバイス18は、例えば、キーボード、マウス等で構成され、オペレータの操作で情報が入力可能となっている。出力デバイス20は、例えば、モニタ、プリンタ等で構成され、オペレータが認識可能な状態で情報を出力可能となっている。
【0045】
なお、入力デバイス18及び出力デバイス20の両方の機能を兼ね備えたタッチパネル等を用いてもよい。
【0046】
図2には、本実施の形態に係る割り当て制御装置10のCPU12Aで実行される、配色アルゴリズム(識別形態割り当て制御)を、機能別に分類したブロック図が示されている。なお、図2に示す各ブロックは、機能別に分類したものであり、割り当て制御装置10のハード構成を限定するものではない。
【0047】
入力デバイス18は、配色対象施設情報受付部50、配色条件受付部52、及び実行指示受付部54に接続されている。
【0048】
配色対象施設情報受付部50では、入力デバイス18から入力される配色対象施設情報を受け付ける。
【0049】
図4は、配色対象施設の一例として、多目的ホール24が記載されている。
【0050】
(多目的ホール24の構造)
【0051】
図4(A)に示される如く、多目的ホール24の前方壁側(図4(A)の左側)には、ステージ26が設置されており、ステージ26に対峙するようにフロア面28には、複数の縦列及び複数の横列に座席22が配列され、集合構造体としての座席群23を構成している。ステージ26には、例えば、目的が講演の場合に、講演者が立ち、講演することになる。
【0052】
図4に示す多目的ホール24は、ステージ26に対して横列(=25席)×縦列(=14席)の合計350席の座席22が配置されている。
【0053】
図4(B)に示される如く、座席22は、縦列方向に階段状とされ、ステージ26から遠くなるにつれて高位となっている。このため、前方の座席22に着席する者が、前方に着席する者のステージ26に向けての視線の邪魔をすることがない。
【0054】
多目的ホール24の後方(フロア面28の後方壁側(図4(A)の右側)には、座席格納部30が設けられている。階段状に設けられた各高さの座席22の床面は、座席格納部30の方向に水平移動する構造となっている。このため、全ての座席22は、高さ方向が縮まるように折り畳まれた状態で、座席格納部30に格納可能となる。格納状態では、多目的ホール24はフロア面28に座席22が存在しない空間となり、講演等以外の目的(スポーツ等)として利用可能となる。
【0055】
図2に示す配色対象施設情報受付部50では、配色対象施設が、上記多目的ホール24の場合、座席数、座席22の配列状態(座席22が配列された領域の平面図や画像情報等)を受け付ける。
【0056】
また、配色条件受付部52では、配色条件を受け付ける。本実施の形態では、配色条件として、2種類条件を設定した。
【0057】
第1条件は、適用される色全体では、要求されるデザイン(意匠)に基づいて、各座席に色を割り当てることである。
【0058】
第2条件は、同一種類の色単位の座席22同士が、設定されるピッチ(ソーシャルディスタンス)を維持するように色を割り当てることである。
【0059】
本実施の形態における第1条件は、色のランダム配置としている。ランダム配置の場合は、同一色間、異なる色間のそれぞれにおいて、規則性はなく、同一色が隣接することも許容することになる。
【0060】
一方、第2条件は、この第1条件であるランダム配置に、何等か(第2条件)の規則性を持たせることになる。
【0061】
なお、第1条件は任意であり、第2条件は必須であるが、第1条件を設定した場合は、第1条件及び第2条件の双方を成立させることが条件となる。
【0062】
配色対象施設情報受付部50で受け付けた配色対象施設情報、及び、配色条件受付部52で受け付けた条件(第1条件及び第2条件)は、それぞれ、大規模記憶装置14に記憶されるようになっている。
【0063】
入力デバイス18では、配色対象施設情報及び条件が大規模記憶装置14に記憶された状態で、配色アルゴリズムの実行指示が入力されることになる。この入力デバイス18からの実行指示は、実行指示受付部54で受け付ける。
【0064】
実行指示受付部54は、情報送出指示部56に接続され、実行指示を情報送出指示部56へ送出する。
【0065】
情報送出指示部56は、実行指示を受けると、大規模記憶装置14に対して、実行指示に対応する配色対象施設情報及び条件の送出を指示する。
【0066】
なお、図示は省略したが、実行指示に対応する配色対象施設情報及び条件が大規模記憶装置14に記憶されていない場合は、出力デバイス20に対して、配色対象施設情報及び条件の入力を促す報知情報を出力すればよい。
【0067】
大規模記憶装置14は、座席座標生成部58及び配色アルゴリズム実行部60に接続されている。
【0068】
大規模記憶装置14は、情報送出指示部56から送出指示を受けると、当該実行指示に対応する配色対象施設情報及び条件を、座席座標生成部58及び配色アルゴリズム実行部60に送出する。
【0069】
より詳細には、座席座標生成部58には、座席22の配列状態(座席22が配列された領域の平面図や画像情報等)を送出する。また、配色アルゴリズム実行部60には、座席数、第1条件(意匠情報)、及び第2条件(ディスタンス情報)を送出される。
【0070】
座席座標生成部58では、各座席22の位置に基づき、二次元の座標(例えば、図4(A)の平面図上のx-y座標)を生成し、及び座席ピッチ計算部64へ送出する。
【0071】
初期座標設定部62では、配色アルゴリズムの実行の際の起点である初期座標を設定し、配色アルゴリズム実行部60へ送出する。
【0072】
座席ピッチ計算部64では、隣接する座席22同士の座席ピッチを計算し(本実施の形態では、縦横それぞれ1.0m)、計算した座席ピッチは、配色アルゴリズム実行部60へ送出する。
【0073】
配色アルゴリズム実行部60は、全ての情報(座席数、第1条件、第2条件、初期座標、及び座席ピッチ)が揃うと、予めプログラムされた配色アルゴリズム(マイクロコンピュータ12を用いたプログラミング処理)を実行し、各座席22に対して色を割り当てる。
【0074】
(配色アルゴリズムの実行過程)
【0075】
図5は、配色アルゴリズムの実行過程例の一部であり、配色アルゴリズム実行部60が起動すると、座席22に対応した数のマスで生成された図表32を設定する。本実施の形態では、25×14=350マスの図表32となる。
【0076】
初期は、初期座標設定部62で設定した座標に対応するマス32A1(図5の斜線マス参照)を特定し、第1条件に基づいて、次の候補のマス(次候補マス32A2)を選択する(図5の点線マス参照)。
【0077】
この選択した次候補マス32A2が、第2条件に該当しない場合は、改めて次の候補のマスを選択することを繰り返す。
【0078】
本実施の形態では、次の候補のマスの選択を、予め指定した回数まで繰り返す、このとき、全マス(350マス)に色が割り当てられる場合、割り当てられない場合があり得る。
【0079】
本実施の形態では、全マス(350マス)に色が割り当てられない場合に、第2条件を変更し、最終的に全マス(350マス)に色が割り当てられるまで実行するようにした(以下に示す、CASE1~CASE4までの実行)。
【0080】
(CASE1) 8種類のグループ色+同一グループ色の座席22のディスタンスが2mで配色アルゴリズム実行
【0081】
結果:216マス(216席)を確保
【0082】
(CASE2) 8種類のグループ色+同一グループ色の座席22のディスタンスが1.1mで配色アルゴリズム実行
【0083】
結果:334マス(334席)を確保
【0084】
(CASE3) 9種類のグループ色+同一グループ色の座席22のディスタンスが1.1mで配色アルゴリズム実行
【0085】
結果:345マス(345席)を確保
【0086】
(CASE4) 10種類のグループ色+同一グループ色の座席22のディスタンスが1.1mで配色アルゴリズム実行
【0087】
結果:350マス(350席)を確保(全マス確保)
【0088】
本実施の形態では、CASE4の結果が出るまで配色アルゴリズムを繰り返すことになる。
【0089】
なお、本発明は、CASE1~CASE3の結果を否定するものではなく、確保された座席22に対してのみ、特に、第2条件(ディスタンス)を維持した色配分としてもよい(詳細は、変形例にて説明)。
【0090】
図2に示される如く、配色アルゴリズム実行部60は、可視化部66に接続されており、配色アルゴリズムの実行結果を、可視化部66へ送出する。
【0091】
可視化部66では、図6(A)に示される如く、座席22の配列図34に見立てた図表36に配色パターンを割り当てる(図6(B)参照)。
【0092】
図6(B)に示す配色パターンは、グループ1(黄系)と、グループ8(白系)との間(黄-黄、白-白、黄-白)において、第2条件として、2mのディスタンスを確保し、その他の色間では、第2条件として、1.1mのディスタンスを確保しており、複合的な配色パターンを例示している。
【0093】
なお、図6(B)では、配色パターンを、図6(C)に示す配色識別記号で表記したが、各識別記号に相当する色そのもので、図表36の各マスを塗色してもよい。
【0094】
この図表36は、出力デバイス20によって出力され(モニタへの表示、プリントによる紙面)、オペレータ(配色設計者)は、視覚を通じて、配色アルゴリズムに基づく配色パターンを確認することができる。
【0095】
以下、本実施の形態の作用を図7のフローチャートに従い説明する。
【0096】
図7は、本実施の形態に係る配色アルゴリズムに基づく処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
なお、このフローチャートは、配色対象施設情報受付部50で受け付けた配色対象施設情報、及び、配色条件受付部52で受け付けた条件(第1条件及び第2条件)は、それぞれ、大規模記憶装置14に記憶されている状態で、入力デバイス18からの実行指示が入力された時点で起動する。
【0098】
ステップ100では、座席22の配列パターン情報を取得し、次いで、ステップ102へ移行して座席22の配列座標を生成し、ステップ104へ移行する。
【0099】
ステップ104では、配色アルゴリズムの起動時に選択される座標である、初期座標位置を決定し、ステップ106へ移行する。
【0100】
次のステップ106では、座席数、色数、色のグルーピング条件、第1条件(本実施の形態では、座席22を1ピクセルとしたランダム配置)、及び、第2条件(座席22間のディスタンス)をパラメータとした、配色アルゴリズムを策定し、ステップ108へ移行する。
【0101】
ステップ108では、策定した配色アルゴリズムに基づく、各座席22への色の割り当て処理を実行する。この配色アルゴリズムの実行過程は、図5に基づく、上記説明のとおりである。
【0102】
すなわち、初期座標に対応するマス32A1(図5の斜線マス参照)を特定し、第1条件に基づいて、次の候補のマス(次候補マス32A2)を選択し(図5の点線マス参照)、選択した次候補マス32A2が、第2条件に該当しない場合は、改めて次の候補のマスを選択することを、予め指定した回数まで繰り返し、全マス(350マス)に色が割り当てられない場合に、第2条件を変更し、最終的に全マス(350マス)に色が割り当てられるまで実行する(前述のCASE1~CASE4の条件での実行)。
【0103】
結果として、全ての座席(350席)に色を割り当てることができる(図6(B)参照)。
【0104】
次のステップ110では、割り当て結果の報知を行なう。例えば、座席配列を模した図表36(図6(B)参照)に色の識別記号を割り当てる、或いは、色そのもので塗りつぶすことで、視覚を通じて、座席22の配色パターンを認識することができる。
【0105】
なお、本実施の形態では、多目的ホール24に設置された座席22が、ステージ26から見て、横方向に25列、縦方向に14列の、所謂格子状に配列された例を示したが、座席22は、前後方向で1/2幅寸法ずつずらして配置されている場合等がある(例えば、周囲4席の重心を結ぶ線がひし形となる配置)。また、座席22が通路を挟んで、複数の島状に分かれている場合もある。
【0106】
そこで、本実施の形態では、座席22が設置された多目的ホール24(フロア面28)の平面図から各座席22を座標として捉えるようにした。このため、座席22がランダムに置かれたといった極端な配置であっても、本実施の形態の配色アルゴリズムを適用することが可能となる。
【0107】
以上説明した如く、本実施の形態では、座席22の全体としての配置パターン(第1条件)と、座席22間のディスタンス(第2条件)と、を設定した上で、座席数、色数、色のグルーピングをパラメータとして、配色アルゴリズムを策定し、座席22に色を割り当てて、その結果を、視覚を通じて直感的に認識可能な状態、すなわち、座席22に見立てたマスに、色の識別記号を記載する、或いは、それぞれのマスの配色した色で塗りつぶすことで、オペレータ(配色設計者)は、直感的に座席22の配色パターンを認識することができる。
【0108】
すなわち、第1条件を維持しつつ、第2条件が成立するように配色することで、見掛け上は意匠性に優れた座席22の配置であり、かつ、潜在的にはソーシャルディスタンスを確保した色分け配置であるという、意匠性及び実用性に優れた座席配列を実現することができる。
【0109】
(変形例1)
【0110】
本実施の形態では、配色アルゴリズムの実行により、主として第2条件(ディスタンス)を変更しつつ、CASE1~CASE4を実行して、全ての座席(350席)に配色するようにした。
【0111】
すなわち、全席に割り当てられるまで、変更可能なパラメータ(色種、グルーピング、ディスタンス等)を変更して、繰り返し割り当て処理を実行するようにした。
【0112】
これは、第1条件(意匠)及び第2条件(全席ディスタンス対応)を原則としている。
【0113】
これに対して、変形例1では、第2条件を固定、例えば、第2条件であるディスタンス(2m)を変更しないようにした。この結果、CASE1のように、条件に座席(216席)には、ディスタンスを維持する色を割り当てられることになる。一方、割り当てから外れた座席(残り座席)は、アルゴリズム処理で使用していない色(又はモノクロの模様等)を割り当てる。
【0114】
(変形例2)
【0115】
本実施の形態では、識別形態として色を適用したが、座席の模様、及びマーキング等を識別形態としてもよい。
【0116】
(変形例3)
【0117】
本実施の形態では、意匠とディスタンスの2つの条件が成立するように色を割り当てたが、ディスタンスのみの条件で色を割り当ててもよい。ディスタンスのみの条件での色の割り当て後の座席22の集合体は、結果的に意匠的要素があるので(ランダム配色)、制御上、あえて意匠を条件としなくてもよい。
【0118】
(変形例4)
【0119】
本実施の形態では、第1条件(意匠情報)として、ランダム配置としたが、図8(A)に示される如く、視覚的に文字、記号等が認識可能な配色を第1条件としてもよいし(図8A)では、アルファベットの「C」をモチーフとして意匠)、図8(B)に示される如く、視覚的に木の葉模様が認識可能な配色を第1条件としてもよい。
【0120】
(変形例5)
【0121】
本実施の形態では、配色パターンを示す識別記号(数字、色)は、自動的にランダムかつディスタンスを確保した配列されていることを示すものであるが、自動設定後、手動による変更(色相)及び調整(明度、色彩)を可能としてもよい。
【0122】
例えば、同一グループ(色種)に含まれる範囲内で、色の調整(明度、彩度)、変更(色相)を行えば、ディスタンスのパターンを維持することが可能である。
【0123】
(変形例6)
【0124】
本実施の形態では、配色対象施設として多目的ホール24を適用し、かつ、座席22が可動式で収容可能としたが、配色対象施設は、多目的ホール24や可動式の座席22に限定されるものではなく、座席が固定された劇場、スポーツ観戦のための観客席が設けられた競技場等、他の施設であってもよい。
【0125】
(変形例7)
【0126】
本実施の形態では、単位個体として座席22を例にとり説明したが、座席22以外に、立ち位置にマーキングする目印部材(カラーテープ、風船、置き石等)、単位個体は、人がその目印部材を目標に移動することを含むものとする。
【符号の説明】
【0127】
10 割り当て制御装置
12 マイクロコンピュータ
12A CPU
12B RAM
12C ROM
12D 入出力装置(I/O)
12E バス
14 大規模記憶装置
22 座席(単位個体)
23 座席群(集合構造体)
18 入力デバイス
20 出力デバイス
50 配色対象施設情報受付部
52 配色条件受付部(第1受付部、第2受付部)
54 実行指示受付部
56 情報送出指示部
58 座席座標生成部
60 配色アルゴリズム実行部(処理制御部)
62 初期座標設定部
64 座席ピッチ計算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8