IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立住友重機械建機クレーン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図1
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図2
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図3
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図4
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図5
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図6
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図7
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図8
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図9
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図10
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図11
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図12
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図13
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図14
  • 特許-表示装置及び経路表示プログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】表示装置及び経路表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B66C13/00 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021058958
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155628
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】戸井田 実
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宏典
(72)【発明者】
【氏名】釜島 勝顕
(72)【発明者】
【氏名】池田 勇
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏之
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138162(JP,A)
【文献】特開2021-012721(JP,A)
【文献】特開2020-147141(JP,A)
【文献】特開2003-130675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
配置状態を変化可能に動作可能なクレーンの周囲を撮影しつつ飛行する飛行体の飛行経路を前記表示部に表示させる制御手段と、を備える表示装置であって、
前記飛行経路は、前記クレーンの配置状態に応じて設定され、
前記制御手段は、
前記クレーン及び前記飛行経路を前記表示部に表示させるとともに、
互いに異なる少なくとも2つの方向から見た表示態様で、前記飛行経路を表示可能に構成され
前記表示態様は、
前記飛行経路のうちの部分経路が表示される第1の表示態様と、
前記クレーンと、複数の部分経路で構成された飛行経路と、が表示される第2の表示態様と、を含み、
前記制御手段は、前記第2の表示態様において、前記複数の部分経路のうち特定の部分経路がユーザによって選択された場合に、前記第1の表示態様で前記飛行経路のうちの前記特定の部分経路に対応する部分経路を表示させる、
表示装置。
【請求項2】
前記飛行経路の表示態様は、前記飛行経路のうちの部分経路を表示させる表示態様を含み、
前記制御手段は、前記部分経路を前記表示部に表示させた状態で、ユーザ操作に基づいて前記部分経路を変更可能に構成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記部分経路を前記表示部に表示させたときに、前記飛行体が進入可能な領域と進入不可能な領域とを識別可能に表示させる、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記飛行経路の表示態様は、前記飛行経路のうちの部分経路を表示させる表示態様を含み、
前記制御手段は、前記部分経路を前記表示部に表示させた状態で、当該部分経路上で前記飛行体が撮影を行う撮影位置を、ユーザ操作に基づいて設定可能に構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
表示部と、
配置状態を変化可能に動作可能なクレーンの周囲を撮影しつつ飛行する飛行体の飛行経路を前記表示部に表示させる制御手段と、を備える表示装置であって、
前記飛行経路は、前記クレーンの配置状態に応じて設定され、
前記制御手段は、
前記クレーン及び前記飛行経路を前記表示部に表示させるとともに、
互いに異なる少なくとも2つの方向から見た表示態様で、前記飛行経路を表示可能に構成され、
前記飛行経路の表示態様は、
前記クレーンの断面と、当該断面と同じ平面内の前記飛行経路のうちの部分経路と、が表示される第1の表示態様と、
前記クレーンと、複数の前記平面をそれぞれ表す複数の線と、が表示される第2の表示態様と、
をさらに含み、
前記制御手段は、前記第2の表示態様において、前記複数の線のうち特定の線がユーザによって選択された場合に、前記特定の線に対応する平面を前記クレーンの断面とする前記第1の表示態様で前記飛行経路を表示させる、
示装置。
【請求項6】
前記飛行経路の表示態様は、前記クレーン及び前記飛行経路を地図情報とともに前記表示部に表示させる第3の表示態様をさらに含む、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記飛行経路の表示態様は、前記飛行経路の三次元表示を含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記飛行経路を三次元表示させた状態で、前記クレーン及び前記飛行経路を前記表示部上で一体的に動作可能に構成されている、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
配置状態を変化可能に動作可能なクレーンの周囲を撮影しつつ飛行する飛行体の飛行経路を表示部に表示させる経路表示プログラムであって、
コンピュータを、
前記クレーンの配置状態に応じて前記飛行経路を設定する設定手段、
前記クレーン及び前記飛行経路を前記表示部に表示させるときに、互いに異なる少なくとも2つの方向から見た表示態様で、前記飛行経路を表示させる表示制御手段、
として機能させ
前記表示態様は、
前記飛行経路のうちの部分経路が表示される第1の表示態様と、
前記クレーンと、複数の部分経路で構成された飛行経路と、が表示される第2の表示態様と、を含み、
前記表示制御手段は、前記第2の表示態様において、前記複数の部分経路のうち特定の部分経路がユーザによって選択された場合に、前記第1の表示態様で前記飛行経路のうちの前記特定の部分経路に対応する部分経路を表示させる、
経路表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び経路表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンの周囲にドローンなどの飛行体を飛行させてクレーンの点検を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/218433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クレーンは、建物などの構造物と比較して、ロープやブームなど複雑に入り組んだ部材を多く備える複雑な構造となっている。そのため、その周囲を飛行する飛行体の飛行経路を正確に確認することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来に比べ、飛行体の飛行経路を容易かつ正確に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
表示部と、
配置状態を変化可能に動作可能なクレーンの周囲を撮影しつつ飛行する飛行体の飛行経路を前記表示部に表示させる制御手段と、を備える表示装置であって、
前記飛行経路は、前記クレーンの配置状態に応じて設定され、
前記制御手段は、
前記クレーン及び前記飛行経路を前記表示部に表示させるとともに、
互いに異なる少なくとも2つの方向から見た表示態様で、前記飛行経路を表示可能に構成され
前記表示態様は、
前記飛行経路のうちの部分経路が表示される第1の表示態様と、
前記クレーンと、複数の部分経路で構成された飛行経路と、が表示される第2の表示態様と、を含み、
前記制御手段は、前記第2の表示態様において、前記複数の部分経路のうち特定の部分経路がユーザによって選択された場合に、前記第1の表示態様で前記飛行経路のうちの前記特定の部分経路に対応する部分経路を表示させるものとした。
【0007】
また本発明は、
配置状態を変化可能に動作可能なクレーンの周囲を撮影しつつ飛行する飛行体の飛行経路を表示部に表示させる経路表示プログラムであって、
コンピュータを、
前記クレーンの配置状態に応じて前記飛行経路を設定する設定手段、
前記クレーン及び前記飛行経路を前記表示部に表示させるときに、互いに異なる少なくとも2つの方向から見た表示態様で、前記飛行経路を表示させる表示制御手段、
として機能させ
前記表示態様は、
前記飛行経路のうちの部分経路が表示される第1の表示態様と、
前記クレーンと、複数の部分経路で構成された飛行経路と、が表示される第2の表示態様と、を含み、
前記制御手段は、前記第2の表示態様において、前記複数の部分経路のうち特定の部分経路がユーザによって選択された場合に、前記第1の表示態様で前記飛行経路のうちの前記特定の部分経路に対応する部分経路を表示させるものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来に比べ、飛行体の飛行経路を容易かつ正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るクレーンの点検システムの概略を示す図である。
図2】移動体の制御系を示すブロック図である。
図3】クレーンの側面図である。
図4】クレーンの制御系を示すブロック図である。
図5】管理サーバの構成を示すブロック図である。
図6】情報端末の概略の制御系を示すブロック図である。
図7】経路表示処理の流れを示すフローチャートである。
図8】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図9】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図10】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図11】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図12】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図13】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図14】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
図15】経路表示処理におけるディスプレイの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[クレーン点検システムの概略]
図1は、本発明の実施形態に係るクレーン点検システム(以下、単に「点検システム」という。)100の概略を示す図である。
図1に示すように、点検システム100は、点検対象であるクレーン20と、クレーン20の周囲を移動する移動体40と、移動体40が取得したデータに対して所定の処理を施す情報端末60,70及び管理サーバ50と、リモコン80とを備えている。
【0012】
管理サーバ50は、一般公衆回線網等であるネットワーク130に接続されている。
ネットワーク130には、管理サーバ50の他に、基地局120,150と情報端末60,70等とが接続されている。管理サーバ50は、ネットワーク130に接続されたこれらのノード、すなわち基地局120,150、移動体40及び複数の情報端末60,70と、データの授受を行うことができる。
リモコン80は、移動体40及び情報端末60と通信可能に構成され、これらの間で情報(例えば移動体40が取得した画像情報)の送受信を媒介する。また、リモコン80は、移動体40の動作を制御可能に構成されており、例えば移動体40を手動操作できる。
【0013】
基地局120は、衛星110を介して電波の送受信が可能な衛星通信回線の基地局であり、基地局150は、いわゆる携帯電話通信回線の基地局である。
基地局120,150は、移動体40やクレーン20等から各種のデータを受信すると、ネットワーク130を介して管理サーバ50に送信する。
【0014】
クレーン20は、後述するように、クレーン20自身の各部の状態を検出する種々のセンサと、コントローラ31とを有している(図4参照)。コントローラ31は、第一通信部351及び第二通信部352(図4参照)により、種々のセンサで検出された情報を基地局120,150に送信したり、所定の情報を受信したりする。
【0015】
管理サーバ50には、検査情報データベース140と、顧客情報データベース160とが接続されている。管理サーバ50が有する制御装置51(図5参照)は、基地局120,150を経由して移動体40及びクレーン20から受信した後述の診断情報データと、当該診断情報データから生成した状態情報データとを、検査情報データベース140に格納する。
管理サーバ50が有する制御装置51は、検査情報データベース140に格納された状態情報データを、ネットワーク130を介して所定の情報端末60,70に送信する。管理サーバ50が有する制御装置51は、情報の送信先を、顧客情報データベース160の内容に基づいて決定する。情報は、例えば、クレーン20のユーザである現場監督者やクレーンメーカのサービスマン等が利用する情報端末60や、現場から離れたところでクレーン20を利用した業務に関わるユーザである管理者が利用する情報端末70に送信され、情報端末60,70の表示画面に表示される。
なお、図1においては、クレーン20、情報端末60、70がそれぞれ1台のみ示されているが、実際には、管理サーバ50は、多数のクレーン20や多数の情報端末60、70との間で情報の送受信を行うように構成されている。
【0016】
[移動体]
ここで、移動体40について説明する。
図2は移動体40の制御系を示すブロック図である。
【0017】
移動体40は、複数のロータを有し、各ロータの駆動源となるモータの出力を制御することにより飛行し、昇降動作、前後左右の移動、正逆の旋回等を自在に行うことが可能ないわゆるドローンと呼ばれる飛行体(無人航空機)である。
移動体40は、点検対象となるクレーン20の周囲を移動して、その各部を撮像し、取得した撮像画像データを所定の情報端末60,70及び管理サーバ50に送信する。
【0018】
図2に示すように、移動体40は、撮像手段としてのカメラ41、測位部421、方位センサ422、高さセンサ423、姿勢センサ424、マイク(音検出センサ)425、温度センサ426、駆動部43、制御部44、データ記憶部45、メモリ46、第一通信部471及び第二通信部472を備えている。
なお、上述した測位部421、方位センサ422、高さセンサ423、姿勢センサ424、マイク425、温度センサ426などのセンサ類は、これら全てが移動体40に搭載されていなくともよい。移動体40は、このうち少なくともカメラ41を備えていればよい。
【0019】
カメラ41は、移動体40の機体から所定方向に向けられて支持されており、機体の向きに応じて視線の先の光景を撮像する。上記カメラ41は、一定のフレームレートで連続的に撮像画像を取得することができる。これにより、点検箇所を含む複数箇所の撮像を行うことができる。撮像によって得られた画像信号は、カメラ41に接続された画像処理部411に出力され、画像処理部411により所定形式の撮像画像データが生成されてメモリ46内に記録される。
上記カメラ41は、可視光線の画像を取得するものに限らず、赤外線を撮像する赤外線カメラを使用しても良い。赤外線カメラを使用した場合、位相差法等により、距離画像データを得ることが可能となる。
また、カメラ41は単眼カメラに限定されず、ステレオカメラを使用しても良い。この場合も、距離画像データを得ることが可能となる。
【0020】
測位部421は、GNSS(Global Navigation Satelite System:全球測位衛星システム)受信機であり、移動体40の現在位置を測定する。本実施形態の測位部421には、GPS(Global Positioning System)よりも高精度なRTK(Real Time Kinematic)が適用されている。
方位センサ422は、三軸のジャイロ方位角センサであり、移動体40の進行方向及び機体の傾斜角度を検出する。
高さセンサ423は、例えば光学式であり、下方に投光し、その反射光に生じる位相差から機体の高さを検出する。
姿勢センサ424は、三次元の加速度センサからなり、移動体40に定められたX軸、Y軸、Z軸の各方向の加速度を検出する。これら各軸について検出される重力加速度から機体の姿勢を検出することができる。
マイク425は、指向性を有するものであり、カメラ41の視線と同方向の先にある対象物の音声を検出する。
温度センサ426は、非接触式のいわゆる放射温度計であり、カメラ41の視線と同方向の先にある対象物の温度を検出する。
なお、これらの各センサは所望の情報を検出できるものであればよく、そのセンサ種別や検出原理等は上述したものに限定されない。
【0021】
第一通信部471は、衛星110を介して基地局120とのデータ通信を行う。
第二通信部472は、直接的に基地局150とのデータ通信を行う。
【0022】
駆動部43は、移動体40の移動動作のための推力を出力する構成であり、複数のロータと、各ロータに設けられた複数の回転駆動源であるモータとを有する。当該駆動部43は、機体が目標の移動方向に向かって移動するように、制御部44によって制御される。
【0023】
データ記憶部45は、移動体40の制御プログラムや制御に関する各種の情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。
メモリ46は、カメラ41の撮像による撮像画像データや、マイク425及び温度センサ426によって検出された検出データ等を記憶する。
なお、メモリ46は不揮発性の記憶装置から構成しても良い。また、メモリ46は、取り外し可能な記録メディアから構成してもよい。その場合、取り外した記録メディアを用いて、外部の情報端末60,70及び管理サーバ50等に対して、ネットワーク130を介さずに撮像画像データ及び検出データの受け渡しを行うことができる。
【0024】
制御部44は、データ記憶部45に記憶された制御プログラムや、情報端末60,70から送信された制御指令等に基づいて、移動体40の各部を統括的に制御する。
例えば、制御部44は、撮像及び検出時の移動体40の位置及び姿勢の情報を方位センサ422及び姿勢センサ424から取得し、撮像画像データ及び検出データに関連付けてメモリ46に記録する(以下、撮像及び検出時の移動体40の位置及び姿勢の情報を関連付けた撮像画像データ及び検出データを「診断情報データ」という)。また、制御部44は、この診断情報データを、第一通信部471及び第二通信部472により情報端末60,70及び管理サーバ50に送信する。
【0025】
[クレーン]
続いて、クレーン20について説明する。
図3は、クレーン20の側面図である。
本実施形態では、クレーン20として、いわゆる移動式のタワークレーンを例示する。以下のクレーン20の記載に関して、クレーン20の前進方向(上部旋回体22の向いている方向とは関係なく、下部走行体21の予め定められた前進方向)を「前」、後退方向を「後」、前を向いた状態で左手側を「左」、前を向いた状態で右手側を「右」とする。
【0026】
図3に示すように、クレーン20は、自走可能なクローラ式の下部走行体21と、下部走行体21上に旋回可能に搭載された上部旋回体22と、上部旋回体22の前側に起伏可能に取付けられたフロントアタッチメント23とを含んで構成されている。
【0027】
上部旋回体22は、クレーン20の本体を構成するもので、前後方向に延びる旋回フレーム221を有している。旋回フレーム221の前側にはブーム取付部222が設けられ、このブーム取付部222には、後述するタワーブーム24の基端249が起伏可能に取付けられている。
【0028】
また、旋回フレーム221のうち、ブーム取付部222の後側近傍には、マスト取付部223が設けられている。このマスト取付部223には、後述するマスト224の基端が回動可能に取付けられている。さらに、旋回フレーム221のうち、マスト取付部223よりも後側には、後述するバックストップ225の基端が回動可能に取付けられている。
【0029】
旋回フレーム221の後側には、フロントアタッチメント23および吊荷との重量バランスをとるカウンタウエイト226が配設されている。また、旋回フレーム221の後側には、ブーム起伏ウインチ等(図示せず)が配設されている。一方、旋回フレーム221の前部右側には、運転席、各種の操作装置(いずれも図示せず)が配置されたキャブ227が設けられている。
【0030】
フロントアタッチメント23は、上部旋回体22に設けられ、地上と高所との間で資材等の荷物を運搬するものである。フロントアタッチメント23は、タワーブーム24、タワージブ25、タワーストラット26を含んで構成されている。
【0031】
タワーブーム24は、上部旋回体22に起伏可能に取付けられている。タワーブーム24は、基端(フート部)249が旋回フレーム221のブーム取付部222に起伏可能に取付けられた下部ブーム241と、基端が下部ブーム241の先端に取付けられた複数(例えば3段)の中間ブーム242と、最も先端側に位置する中間ブーム242の先端に取付けられた上部ブーム243とにより構成されている。下部ブーム241には、後述するジブ起伏ウインチ244、主巻ウインチ245が取付けられている。
【0032】
図示のように、長さ方向で隣り合う中間ブーム242の各柱材は、それぞれ連結ピンを用いて連結されている。また、最も下側に位置する中間ブーム242と下部ブーム241との間、最も上側に位置する中間ブーム242と上部ブーム243との間も、それぞれ連結ピンを用いて連結されている。
【0033】
上部ブーム243は、タワーブーム24が起立した姿勢(図3に示す姿勢)にあるときに上部が前側に突出した形状をなし、上部ブーム243の下辺部は、最も上側に位置する中間ブーム242の先端(上端)に取付けられている。上部ブーム243の前端側には後述のタワージブ25が起伏可能に取付けられ、上部ブーム243の上端側には後述のタワーストラット26が揺動可能に取付けられている。また、上部ブーム243には、三角形状のシーブブラケット246が後方に向けて突設されている。このシーブブラケット246には、タワーガイドシーブ247とガイドシーブ248が回転可能に取付けられている。
【0034】
タワージブ25は、タワーブーム24の上部ブーム243の先端に起伏可能に取付けられている。タワージブ25は、基端が上部ブーム243に起伏可能に取付けられた下部ジブ251と、下部ジブ251の先端に取付けられた中間ジブ252と、中間ジブ252の先端に設けられた上部ジブ253とにより構成されている。上部ジブ253の先端側には、ガイドシーブ254とポイントシーブ255が回転可能に取付けられている。ガイドシーブ254とポイントシーブ255は、後述の主巻ロープ256が巻回されるものである。
【0035】
タワーストラット26は、タワーブーム24の上部ブーム243の上端側に揺動可能に取付けられている。タワーストラット26は、第1のストラット261、第2のストラット262、第3のストラット263を、第1の連結部264、第2の連結部265、第3の連結部266によって連結することにより、三角形状の構造体として構成されている。
【0036】
ここで、タワーストラット26の第1の連結部264は、上部ブーム243の上端側に取付けられている。これにより、タワーストラット26は、タワーブーム24の上端に第1の連結部264を支点として揺動可能に取付けられている。また、第2の連結部265にはペンダントロープ267の一端が接続され、ペンダントロープ267の他端はタワージブ25の上部ジブ253の先端側に接続されている。さらに、第3の連結部266には、後述するブーム側ペンダントロープ274が接続されている。
【0037】
ジブ起伏ウインチ244は、タワーブーム24の下部ブーム241に取付けられている。ジブ起伏ウインチ244は、タワーストラット26を介してタワージブ25を起伏させるものである。ジブ起伏ウインチ244とタワーストラット26の第3の連結部266との間は、ジブ起伏ロープ27によって接続されている。
【0038】
ジブ起伏ロープ27は、ジブ起伏ウインチ244とタワーストラット26との間に設けられている。ジブ起伏ロープ27は、タワーブーム24の中間ブーム242に取付けられた複数枚のシーブを有する下部スプレッダ271と、下部スプレッダ271に対向して設けられた複数枚のシーブを有する上部スプレッダ272と、下部スプレッダ271のシーブと上部スプレッダ272のシーブに順次巻回された状態でジブ起伏ウインチ244に巻取られる巻回ロープ273と、一端が上部スプレッダ272に接続され、他端がタワーストラット26の第3の連結部266に接続されたブーム側ペンダントロープ274とにより構成されている。
【0039】
従って、ジブ起伏ウインチ244によって巻回ロープ273を巻取り、巻出すことにより、上部スプレッダ272が下部スプレッダ271に対して接近、離間し、タワーストラット26は、第1の連結部264を支点として揺動する。このタワーストラット26の揺動がペンダントロープ267を介してタワージブ25に伝わることにより、タワーブーム24の先端側でタワージブ25が起伏する構成となっている。
【0040】
主巻ウインチ245は、ジブ起伏ウインチ244の上側近傍に位置してタワーブーム24の下部ブーム241に取付けられている。主巻ウインチ245には主巻ロープ256の一端側が巻回されている。主巻ロープ256の他端側は、シーブブラケット246のガイドシーブ248、タワージブ25のガイドシーブ254、ポイントシーブ255を介して吊荷フック28に取付けられている。従って、主巻ウインチ245によって主巻ロープ256を巻取り、巻出すことにより、吊荷フック28を昇降させることができる。
【0041】
バックストップ225は、旋回フレーム221とタワーブーム24の下部ブーム241との間に設けられている。このバックストップ225は、起立したタワーブーム24を背後から支えるものである。
【0042】
マスト224は、その基端が旋回フレーム221のマスト取付部223に回動可能に取付けられている。マスト224の先端は、上下方向ないし前後方向に回動可能な自由端となっている。
マスト224の先端にはブーム用スプレッダ228が設けられ、このブーム用スプレッダ228とタワーブーム24の上部ブーム243との間は、一定の長さを有するペンダントロープ229を介して接続されている。また、ブーム用スプレッダ228と旋回フレーム221側のスプレッダ(図示せず)とに亘って順次巻回されたブーム起伏ロープ291は、旋回フレーム221に設けられたタワーブーム起伏ウインチ(図示せず)に巻回されている。
【0043】
従って、タワーブーム起伏ウインチによってブーム起伏ロープ291を巻取り又は巻出すことにより、ペンダントロープ229を介してタワーブーム24を起伏(起立又は倒伏)させることができる。
【0044】
図4は、クレーン20の制御系を示すブロック図である。
この図に示すように、クレーン20は、当該クレーン20の各部を統括的に制御するコントローラ31を備える。より詳しくは、コントローラ31は、クレーン20の走行、旋回、吊荷等の各種動作の制御及び異常検出の処理等を実行する。コントローラ31は、CPUや記憶装置であるROM及びRAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。
【0045】
また、クレーン20は、当該クレーン20各部の状態に関する情報を取得するセンサ類として、ロードセル321、ブーム角度センサ322、操作量センサ323、ジブ角度センサ324、傾斜センサ325、揚程計326等を備えている。
【0046】
ロードセル321は、ブーム用スプレッダ228に取り付けられており、タワーブーム24を起伏させるブーム起伏ロープ291に作用する張力を検出し、検出した張力に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。
【0047】
ブーム角度センサ322は、タワーブーム24の基端側に取り付けられており、タワーブーム24の起伏角度(以下、ブーム角度とも記す)を検出し、検出したブーム角度に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。ブーム角度センサ322は、例えば、水平面に対する角度である対地角をブーム角度として検出する。
【0048】
ジブ角度センサ324は、タワージブ25の基端側に取り付けられており、タワージブ25の起伏角度(以下、ジブ角度とも記す)を検出し、検出したジブ角度に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。ジブ角度センサ324は、例えば、水平面に対する角度である対地角をジブ角度として検出する。
【0049】
操作量センサ323は、例えば、油圧パイロット式操作レバーの操作量を検出し、検出した操作量に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。
【0050】
傾斜センサ325は、クレーン20の傾斜、すなわちクレーン20が位置する地盤の傾斜を検出し、コントローラ31に出力する。
揚程計326は、吊荷フック28の高さ位置を検出し、コントローラ31に出力する。
【0051】
また、クレーン20は、入力部331、表示装置332、警報器341、停止装置342、第一通信部351、第二通信部352、操作レバー37、コントロールバルブ38を備えている。
【0052】
入力部331は、例えばタッチパネルであり、作業者からの操作に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。作業者は、入力部331を操作して主巻ロープ256の掛け数、タワーブーム長さや吊荷フック28の質量等を設定できる。
表示装置332は、例えば、入力部331としても利用されるタッチパネル式のディスプレイを備え、コントローラ31から出力される制御信号に基づいて、表示画面に吊荷重の情報や作業姿勢の情報等を表示する。
【0053】
警報器341は、コントローラ31から出力される制御信号に基づいて、警報を発生する。
停止装置342は、コントローラ31から出力される制御信号に基づいて、主巻ウインチ245およびジブ起伏ウインチ244のそれぞれに連結された油圧モータ(不図示)の駆動を停止させる。停止装置342は、例えば、油圧ポンプから油圧モータへの圧油の供給を絶つことが可能な電磁切換弁である。
【0054】
第一通信部351は、衛星110を介して基地局120とのデータ通信を行う。
第二通信部352は、直接的に基地局150とのデータ通信を行う。
【0055】
コントロールバルブ38は、コントローラ31からの制御信号に応じて切り替えが可能な複数のバルブから構成されている。
例えば、コントロールバルブ38は、クレーン本体20が備える油圧ポンプから下部走行体21の駆動輪の回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、上記油圧ポンプから上部旋回体22の旋回動作を行う油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、上記油圧ポンプからタワーブーム起伏ウインチの回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、上記油圧ポンプからジブ起伏ウインチ244の回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、上記油圧ポンプから主巻ウインチ245の回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ等を含んでいる。
【0056】
操作レバー37は、コントローラ31を通じてコントロールバルブ38の各種のバルブに対して個別に切り替えを行う制御信号を入力する複数のレバーから構成されている。
例えば、操作レバー37の一つである走行レバーは、前述した下部走行体21の駆動輪の回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つである旋回レバーは、前述した油圧ポンプから上部旋回体22の旋回動作を行う油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つであるブーム起伏レバーは、前述した油圧ポンプからタワーブーム起伏ウインチの回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つであるジブ起伏レバーは、前述した油圧ポンプからジブ起伏ウインチ244の回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つである巻き上げレバーは、前述した油圧ポンプから主巻ウインチ245の回転駆動を行う油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
【0057】
コントローラ31は、操作レバー37を構成する各種のレバーの操作に応じて、対応するコントロールバルブ38を構成する各々のバルブに対して油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えに対応する制御信号を入力し、各油圧モータの制御を実行する。
これにより、作業者は、操作レバー37を操作することによって、クレーン本体20の走行動作、上部旋回体22の旋回動作、タワーブーム24の起伏動作、タワージブ25の起伏動作、吊荷フック28の昇降動作を実行することができる。
【0058】
[管理サーバ]
図5は、管理サーバ50の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、管理サーバ50は、制御装置51と、記憶部52と、通信部53とを有している。
制御装置51は、CPUや周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。制御装置51は、記憶部52に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、管理サーバ50の各部を制御する。
記憶部52は、例えば不揮発性の記憶装置である。
通信部53は、所定の手順に則ってネットワーク130を介したデータ通信(送信および受信)を行う。
制御装置51には表示装置54が接続されており、制御装置51は記憶部52や検査情報データベース140、顧客情報データベース160に格納された情報を表示装置54の表示画面に表示させる。
【0059】
制御装置51には、検査情報データベース140および顧客情報データベース160が接続されている。
検査情報データベース140には、移動体40から基地局120,150(クレーン20を介する場合を含む)を介して制御装置51が受信した、日時情報、クレーン20の作業機ID、診断結果等が関連付けられて記憶される。
顧客情報データベース160には、クレーン20の作業機IDと、クレーン20を保有する顧客に関する顧客情報と、顧客の送付先アドレスとが関連付けられて格納されている。なお、一の作業機IDに対応する顧客の送付先アドレスは、任意に設定できる。
これにより、制御装置51は、特定のクレーン20についてクレーンの検査情報データベース140の情報が更新された場合などに、顧客とその送付先を特定し、更新されたクレーン20の情報を送信するか、あるいは更新を通知する。また、制御装置51は、顧客側からアクセスがあった場合に、顧客のクレーン20に関するクレーンの検査情報データベース140に記録された各種の情報を送信又は閲覧許可を行ってもよい。その場合、顧客情報データベース160に顧客ごとにパスワード等を設定し、顧客側からアクセス時にパスワードを要求してもよい。そのパスワードも顧客情報データベース160に登録することが好ましい。
【0060】
制御装置51は、移動体40から取得した撮像画像データ及び検出データを含む診断情報データに基づいて、クレーン20の点検箇所について、以下の検査項目に関して、異常が生じているか否かを判断する診断処理を行う。
検査項目は、例えば以下の通りである。
(1)タワーブーム、タワージブの亀裂、変形、損傷、腐食
(2)フートピン、ジョイントピン、ブッシュの摩耗、損傷
(3)ワイヤロープの摩耗、損傷、乱巻、端末状態、腐食
(4)ペンダントロープの損傷、腐食
(5)各スプレッダ、ハンガ、タワーストラットの亀裂、変形、損傷、腐食
(6)吊荷フックの亀裂、変形、摩耗、腐食
(7)吊荷フックのワイヤ外れ止めの作動状態、変形、損傷
(8)吊荷フックのナットの緩み、ネジ部の損傷、腐食
(9)各シーブの摩耗、変形、損傷、腐食
(10)吊荷フック、タワーブーム、タワージブの過巻防止装置の作動状態
(11)ロードセル、ブーム角度センサの作動状態
(12)バックストップの変形、損傷、腐食
(13)アタッチメントの正規位置への取付有無、取付状態(ボルト締め忘れ、脱落など)
【0061】
[情報端末]
図6は、情報端末60、70の概略の制御系を示すブロック図である。なお、本実施形態の情報端末60、70は略同様に構成されているため、以下では情報端末60について説明し、情報端末70についての説明は省略する。
情報端末60は、例えばパソコンやスマートフォン、タブレット端末などの端末装置であり、図6に示すように、入力部61、表示部62、通信部63、記憶部64、制御部65を備えている。情報端末60は、本発明に係る表示装置の一例に相当する。
【0062】
入力部61は、例えばタッチパネルを備えており、ユーザによる当該タッチパネルへの操作内容に対応する入力信号を制御部65に出力する。
表示部62は、例えばタッチパネル式のディスプレイ620(図8等参照)を備えており、制御部65から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ620に表示する。
通信部63は、ネットワーク130を介して、クレーン20、移動体40及び管理サーバ50等とデータ通信(送信および受信)が可能となっている。なお、通信部63は、クレーン20、移動体40及び管理サーバ50と、直接通信が可能に構成されていてもよい。
【0063】
記憶部64は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部65の作業領域としても機能する。
本実施形態では、記憶部64は、後述の経路表示処理(図7参照)を実行するための経路表示プログラム641を予め記憶している。
【0064】
また、記憶部64は、クレーンに関する各種情報が格納されたクレーン情報データベース(DB)642を有している。クレーン情報DB642には、複数の機種情報(機種名)と、各機種の構造に関する情報(形状及び各部主要寸法を含む)とが対応付けられて記憶されている。クレーンの構造に関する情報とは、例えば、起伏方式(Aフレーム、ライブマスト、両方あり)、タワージブ起伏方式(スイングレバー、ラッファー)、フロント仕様(クレーンのみ、タワーのみ、両方あり)等の種別を含む。
また、記憶部64には、クレーン20の三次元CAD(3D-CAD)データ643が格納されている。
なお、クレーン情報DB642と三次元CADデータ643は、情報端末60が通信可能(情報を読み出し可能)な他の装置(例えば管理サーバ50等)に記憶されていてもよい。
【0065】
制御部65は、ユーザ操作等に基づいて、情報端末60を統括的に制御する。具体的に、制御部65は、入力部61から入力される操作信号等に応じて記憶部64から各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って所定の処理を実行し、その処理結果を記憶部64に一時保存するとともに表示部62に適宜出力させる。
【0066】
[移動体の飛行経路表示]
続いて、クレーン20の点検時における移動体40の飛行経路(移動経路)を設定して表示する経路表示処理について説明する。
図7は、経路表示処理の流れを示すフローチャートである。図8図14は、経路表示処理におけるディスプレイ620の表示例を示す図である。
【0067】
ここでは、ユーザが情報端末60を操作して経路表示処理を実行し、移動体40の飛行経路を設定・表示する場合について説明する。経路表示処理は、情報端末60の制御部65が記憶部64から経路表示プログラム641を読み出して展開することで実行される。
なお、ここでは、クレーン20が組み立てられた状態で静止しているものとする。また、以下の説明では、経路表示処理において、飛行経路の設定後に当該飛行経路に沿って移動体40を飛行させるものとしたが、移動体40の飛行は当該経路表示処理に含まれなくともよい。
【0068】
図7に示すように、経路表示処理が実行されると、まず制御部65は、クレーン20の配置状態のデータ(以下、「配置状態データ」という。)を取得する(ステップS1)。
ここで、クレーン20の「配置状態」とは、クレーン20の構造(大きさ及び形状を含む)、姿勢、位置及び向きに関する状態をいう。
【0069】
具体的に、このステップS1では、まず制御部65は、ユーザ操作に基づいて、クレーン20の機種を設定する。ユーザが入力部61によりクレーン20の機種を選択すると、制御部65は、クレーン情報DB642から当該機種の構造(大きさ及び形状を含む)に関する情報を読み出して設定する。また、機種の選択だけでは特定できない寸法(例えばブームの長さ)がある場合、制御部65は、ユーザ操作に基づいて当該寸法を設定する。
またステップS1では、制御部65は、通信部63を介し、クレーン20自体から当該クレーン20の姿勢に関する情報を取得する。具体的に、制御部65は、クレーン20のブーム角度センサ322、ジブ角度センサ324、傾斜センサ325、揚程計326によって測定された、ブーム角度、ジブ角度、クレーン20の傾斜、吊荷フック28の高さを、クレーン20の姿勢に関する情報として取得する。なお、測定されたブーム角度、ジブ角度、クレーン20の傾斜、吊荷フック28の高さがクレーン20の表示装置332に表示され、ユーザが当該表示を見ながら情報端末60に測定値を入力することとしてもよい。
またステップS1では、制御部65は、移動体40の測位部421及び方位センサ422により、クレーン20の位置及び向きに関する情報を取得する。具体的には、移動体40をクレーン20の所定位置(例えばクローラ上)に停止させ、測位部421及び方位センサ422で位置及び向きを測定することにより、クレーン20の位置及び向きに関する情報を取得する。なお、クレーン20に測位部及び方位センサを設け、当該測位部及び方位センサによりクレーン20の位置及び向きを測定してもよい。また、ユーザの直接入力(数値入力)によりクレーン20の位置及び向きを取得してもよい。
こうして、クレーン20の構造、姿勢、位置及び向きに関する配置状態データが取得され、当該配置状態データによってクレーン20の配置状態が特定される。
【0070】
次に、制御部65は、移動体40の飛行条件(飛行情報)を設定する(ステップS2)。
本実施形態では、移動体40の飛行条件として、飛行時における移動体40とクレーン20との距離の下限(飛行禁止距離)が設定される。この場合の「距離」とは、特に限定はされないが、水平面内での距離をいう。
【0071】
次に、制御部65は、ステップS1で取得したクレーン20の配置状態データと、ステップS2で設定された飛行条件とに基づいて、移動体40の飛行経路Rを設定し、ディスプレイ620に表示させる(ステップS3)。
このステップでは、図8(a)に示すように、クレーン20全高に亘る飛行経路Rの全体が表示された全体経路表示画面810が、ディスプレイ620に表示される。この飛行経路Rは、水平面内でクレーン20の周囲を周回(1周)する部分経路R1が、クレーン20の全高に亘り所定の鉛直距離を介して複数階層設定されて構成される(図13(a) 参照)。ただし、本実施形態の全体経路表示画面810では、飛行経路Rのうち、各部分経路R1の高さ位置のみが示される。部分経路R1間の鉛直距離は、所定のデフォルト値であってもよいし、ステップS2で設定することとしてもよい。
【0072】
本実施形態の全体経路表示画面810では、ディスプレイ620のメインウィンドウ811に、クレーン20全体(側面視外観)が模式的に二次元表示されるとともに、飛行経路Rを構成する複数の部分経路R1(の高さ位置)がクレーン画像上に併せて表示される。クレーン画像では、クレーン20の主要各部が識別可能に表示される。部分経路R1は、編集等を行うために選択可能となっており、選択された部分経路R1はアクティブ表示(図では大きい破線で表示)される。また、メインウィンドウ811右隅のサブウィンドウ812には、クレーン20の主要な情報(例えば、機種、フロント仕様、ブーム長さ、ブーム角度等)が表示される。
メインウィンドウ811の右側には、選択された部分経路R1の高さを移動させる移動ボタン813、部分経路R1を編集するための編集ボタン814、後述の飛行地点選択を行うための飛行地点選択ボタン815、全体経路表示画面810での操作を終了する完了ボタン816が表示される。
【0073】
次に、制御部65は、部分経路R1を編集する操作がなされるか否かを判定する(ステップS4)。ここで、部分経路R1の「編集」とは、後述する経路の「変更」を含む、当該部分経路R1に関する様々な操作を含むものとする。
ここでは、ユーザにより、いずれかの高さの部分経路R1が選択された状態で編集ボタン814が操作されると、制御部65は、部分経路R1を編集する操作がなされたと判定し(ステップS4;Yes)、選択された高さ(階層)の部分経路R1をディスプレイ620に詳細表示させる(ステップS5)。そして、制御部65は、ディスプレイ620の表示内容を、全体経路表示画面810から,選択された部分経路R1を詳細表示させた部分経路表示画面820に切り替える。
【0074】
本実施形態の部分経路表示画面820では、図8(b)に示すように、ディスプレイ620のメインウィンドウ821に、選択された高さのクレーン20断面と、その周囲を周回する部分経路R1とが平面表示される。このメインウィンドウ821では、クレーン20各部が全体経路表示画面810と同様に識別表示される。クレーン20の周囲には、ステップS2で設定された飛行禁止距離の範囲が、飛行禁止エリアFとして識別表示される。
部分経路R1は、飛行禁止距離を介して水平面内でクレーン20の周囲を周回するように設定(自動生成)される。より詳しくは、飛行禁止エリアF外でクレーン20の周囲を周回するように複数のウェイポイントWPが設定され、この複数のウェイポイントWPを通過するように部分経路R1が設定される。ウェイポイントWPは、カメラ41による撮影を行う複数の撮影ポイントでもある。また、部分経路R1上には、隣接する2つのウェイポイントWP間に、ウェイポイントWP(撮影ポイント)を追加するための撮影点追加ボタンSPが表示される。
また、ディスプレイ620左隅のサブウィンドウ822には、クレーン外観と、メインウィンドウ821に表示中の部分経路R1の高さ位置とが表示される。このサブウィンドウ822は、その角部に表示されたトグルボタン823を操作することにより、表示・非表示を切り替えることができる(図10等参照)。
なお、メインウィンドウ821では、図9(a)に示すように、前後方向(図中の左右方向)に長いクレーン断面でも画面に収まるように、クレーン断面の端から端+所定値を画面の横サイズとし、縦サイズを可変させる。ただし、図9(b)に示すように、横の幅(図中の上下方向の幅)の方が大きいクレーン断面の場合、その横幅+所定値を画面の縦サイズとし、横サイズを可変させる。
【0075】
次に、制御部65は、部分経路R1を変更する操作がなされるか否かを判定する(ステップS6)。
そして、部分経路R1を変更する操作がなされたと判定した場合(ステップS6;Yes)、制御部65は、その操作にしたがって部分経路R1を変更する(ステップS7)。その後、制御部65は、上述のステップS5に処理を移行し、当該変更された部分経路R1を表示させる。
【0076】
本実施形態では、例えば以下のユーザ操作により、部分経路R1が変更される。
まず、ユーザにより撮影点追加ボタンSPが操作されると、図10(a)に示すように、操作された撮影点追加ボタンSPの位置にウェイポイントWPが配置され、その両側に撮影点追加ボタンSPが追加配置される。
また、ユーザがウェイポイントWPを例えば長押し操作すると、図10(b)に示すように、当該ウェイポイントWPが反転表示され、移動可能なアクティブ状態となる。そして、ユーザがこのウェイポイントWPを移動させてから離すと、当該ウェイポイントWPが非アクティブ状態に戻って固定され、反転表示も元に戻る。ただし、飛行禁止エリアF内にはウェイポイントWPを配置(移動)できないようになっている。また、ウェイポイントWPをアクティブ状態にすると、撮影ポイント編集ウィンドウ825がポップアップ表示される。この撮影ポイント編集ウィンドウ825については後述する。
このような操作により、ユーザは部分経路R1を適宜変更することができる。
【0077】
また、ステップS6において、部分経路R1を変更する操作がなされないと判定した場合(ステップS6;No)、制御部65は、撮影条件を編集する操作がなされるか否かを判定する(ステップS8)。
そして、撮影条件を編集する操作がなされたと判定した場合(ステップS8;Yes)、制御部65は、その操作にしたがって撮影条件を編集する(ステップS9)。その後、制御部65は、上述のステップS5に処理を移行する。
【0078】
本実施形態では、撮影ポイントでもあるウェイポイントWPをアクティブ状態にすることにより、当該ウェイポイントWPでの撮影条件を編集することができる。具体的には、図11(a)に示すように、ウェイポイントWPをアクティブ状態にすると、当該ウェイポイントWPの撮影条件を示す撮影ポイント編集ウィンドウ825がポップアップ表示される。この撮影ポイント編集ウィンドウ825を操作することにより、所望のウェイポイントWPの撮影条件を編集することができる。本実施形態の撮影ポイント編集ウィンドウ825では、例えば、撮影方向の設定(1~3方向)、撮影時の機首方向の設定、撮影ポイントの設定(上下左右への調整)、撮影ポイントの削除を行うことができる。また、撮影ポイントの追加及び移動は、上述したウェイポイントWPの変更操作と同様に行えばよい。
なお、撮影ポイント編集ウィンドウ825は、編集するウェイポイントWPに重ならないように表示される。例えば画面下側のウェイポイントWPをアクティブ状態にした場合には、図11(b)に示すように、撮影ポイント編集ウィンドウ825が画面上側に表示される。
【0079】
また、ステップS8において、撮影ポイントを変更する操作がなされないと判定した場合(ステップS8;No)、制御部65は、上述のステップS3に処理を移行し、ディスプレイ620の表示内容を全体経路表示画面810に遷移させる(図8(a)参照)。
本実施形態では、部分経路表示画面820でOKボタン824または戻るボタンBが操作されると、全体経路表示画面810に切り替わる。
【0080】
一方、上述のステップS4において、部分経路R1を編集する操作がなされないと判定した場合(ステップS4;No)、制御部65は、全体経路表示画面810において飛行地点選択操作がなされるか否かを判定する(ステップS10)。
そして、ユーザにより飛行地点選択ボタン815が操作されると、制御部65は、飛行地点選択操作がなされたと判定し(ステップS10;Yes)、図12(a)に示すように、全体経路表示画面810上に飛行地点選択ウィンドウ817をポップアップ表示させる(ステップS11)。飛行地点選択ウィンドウ817では、飛行地点(部分経路R1)の高度が、その選択表示(図ではチェックマーク)と併せてリスト表示される。
【0081】
次に、制御部65は、飛行地点を変更(選択又は選択解除)する操作がなされるか否かを判定する(ステップS12)。
そして、飛行地点を変更する操作がなされたと判定した場合(ステップS12;Yes)、制御部65は、その操作にしたがって飛行地点(部分経路R1)を選択又は選択解除する(ステップS13)。その後、制御部65は、上述のステップS11に処理を移行する。
例えば図12(b)に示すように、飛行地点選択ウィンドウ817において、ユーザにより或る飛行地点のチェックマークが外されると、この飛行地点に対応する部分経路R1が飛行経路Rから削除され、メインウィンドウ811から消去される。
【0082】
また、ステップS12において、飛行地点を変更する操作がなされないと判定した場合(ステップS12;No)、制御部65は、上述のステップS3に処理を移行して、全体経路表示画面810を表示させる(図8(a)参照)。
本実施形態では、ユーザにより飛行地点選択ウィンドウ817のOKボタン818が操作されると、飛行地点選択ウィンドウ817が閉じられ、全体経路表示画面810が表示される。
【0083】
一方、上述のステップS10において、飛行地点選択操作がなされないと判定した場合(ステップS10;No)、制御部65は、ユーザ操作に基づいて飛行計画を確認する(ステップS14)。
本実施形態では、ユーザにより全体経路表示画面810の完了ボタン816が操作されると、制御部65は、ディスプレイ620の表示内容を全体経路表示画面810から飛行計画確認画面(図示省略)に切り替える。
ここでは、飛行計画として、例えば撮影枚数や撮影時間等がユーザにより設定される。
【0084】
次に、制御部65は、ユーザによる飛行開始操作を受け付けて、移動体40の飛行を開始させ(ステップS15)、設定された飛行経路Rに沿って移動体40を飛行させる。
飛行経路Rの飛行順序は、最初に最下階層の部分経路R1を飛行した後に、最上階層まで上昇し、最上階層の部分経路R1から、最下階層から2番目の部分経路R1まで、順次周回しつつ降下してくるのが好ましい(図13(a)参照)。このように、まず最下階層の部分経路R1を1周飛行して距離を確認し、次に最上階層(クレーン20上空)を飛行することで、飛行経路Rがクレーン20と接触しないことを確認できる。最下階層と最上階層で確認すれば、中心位置や、設定内容に間違いないかを確認できる。また、最下階層の安全を確認した後に、移動体40の動力源(例えばバッテリー)残量が多い早めの段階で高所を回ることにより、飛行中に動力源残量が枯渇するなどして移動体40が落下した場合でも、その落下高度を低く抑えることができる。
【0085】
このとき、移動体40の制御部44は、飛行中に撮像画像データ及び検出データを取得し、当該撮像画像データ及び検出データを含む診断情報データを、情報端末60,70及び管理サーバ50に送信する。管理サーバ50は、受信した診断情報データに基づいて、クレーン20の所定の点検箇所について異常の有無を判断する診断処理を行う。なお、この診断処理は、情報端末60,70が実行してもよい。
【0086】
またこのとき、制御部65は、図14(b)に示すように、ディスプレイ620にライブビュー画面850を表示し、カメラ41による撮影映像をライブビュー表示させる。ライブビュー画面850では、カメラ41による撮影映像がメインウィンドウ851にライブビュー表示されるとともに、飛行中の部分経路R1の設定画面(部分経路表示画面)がディスプレイ620右隅のサブウィンドウ852に表示される。サブウィンドウ852内の第2サブウィンドウ853には、クレーン外観と、飛行中の部分経路R1の高さ位置とが表示される。この第2サブウィンドウ853は、サブウィンドウ852外の別ウィンドウとして表示されてもよい。
【0087】
その後、制御部65は、飛行経路Rに沿った移動体40の飛行が終了すると(ステップS16)、移動体40を所定の位置に停止させ、経路表示処理を終了させる。
【0088】
なお、上述のステップS3では、全体経路表示画面810において、クレーン外観と飛行経路Rが二次元表示されることとしたが、図13(a)に示すように、クレーン外観と飛行経路Rを三次元表示させてもよい。
この場合、制御部65は、記憶部64からクレーン20の三次元CADデータ643を読み出して、メインウィンドウ811にクレーン外観を三次元表示させる。表示されたクレーン20及び飛行経路Rは、ユーザ操作により一体的な動作(拡大・縮小や、任意の軸回りの回転等)が可能となっている。
ここで、ユーザがいずれかの部分経路R1を選択すると、図13(b)に示すように、制御部65は、上述のステップS5で表示される部分経路表示画面820と同様に、選択された部分経路R1の高度でのクレーン断面を平面表示させる。この画面では、選択された部分経路R1を併せて表示させてもよい。
【0089】
また、クレーン外観と飛行経路Rを三次元表示させた場合、追加の撮影ポイントを詳細に設定できるようにしてもよい。
例えば図14(a)に示すように、タワージブ25先端に設置されたカメラの基端部は、クレーン周囲を周回する自動生成の部分経路R1からでは、死角となって視認(撮影)できない。このような場合に、クレーン20の三次元モデルを拡大して該当箇所を表示させ、撮影方向マークMにより所望の撮影ポイント(撮影方向)を設定する。設定された撮影ポイントは、例えば最も近い部分経路R1に適宜組み込まれる。
これにより、図14(b)に示すように、例えば飛行時のライブビュー画面850に、撮影方向マークMで設定された撮影ポイント(撮影方向)の映像が表示される。したがって、単純にクレーン周囲を周回する部分経路R1からでは死角となる位置でも、好適に視認(撮影)することができる。
【0090】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、クレーン20及び飛行経路Rをディスプレイ620に表示させるときに、互いに異なる2つの方向から見た表示態様(本実施形態では、例えば全体経路表示画面810と部分経路表示画面820)で、飛行経路Rが表示可能となっている。
これにより、飛行経路を単純に一方向から見ていた従来に比べ、移動体40の飛行経路Rを容易かつ正確に確認・把握することができる。
【0091】
また本実施形態によれば、飛行経路Rのうちの部分経路R1を表示させた表示態様(部分経路表示画面820)において、ユーザ操作に基づいて当該部分経路R1を変更(設定)可能となっている。
これにより、ユーザは、部分経路R1が詳細表示された部分経路表示画面820において、所望の部分経路R1をより正確に設定することができる。
【0092】
また本実施形態によれば、部分経路R1を表示させた部分経路表示画面820において、移動体40が進入不可能な領域(飛行禁止エリアF)と、進入可能な領域(例えば飛行禁止エリアF以外の領域)とが識別可能に表示される。
これにより、ユーザは、安全な部分経路R1を容易に設定することができる。
【0093】
また本実施形態によれば、部分経路R1を表示させた部分経路表示画面820において、当該部分経路R1上で移動体40が撮影を行う撮影ポイントを、ユーザ操作に基づいて変更(設定)可能となっている。
これにより、ユーザは、部分経路R1が詳細表示された部分経路表示画面820において、所望の撮影ポイントをより正確に設定することができる。
【0094】
また本実施形態によれば、部分経路R1を表示させる部分経路表示画面820では、当該部分経路R1を含む面が平面表示される。
これにより、ユーザは、部分経路R1を詳細に確認・把握することができる。
【0095】
また本実施形態によれば、クレーン20及び飛行経路Rを三次元表示させた状態で、当該クレーン20及び飛行経路Rをディスプレイ620上で一体的に動作可能となっている。
これにより、ユーザはクレーン20及び飛行経路Rの表示方向を任意に変更でき、所望の方向からクレーン20及び飛行経路Rを確認することができる。
【0096】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、クレーン20及び飛行経路Rの表示態様として、全体経路表示画面810(二次元及び三次元)と、部分経路表示画面820とを例に挙げて説明した。しかし、互いに異なる少なくとも2つの方向から見た表示態様で飛行経路が表示可能であればよく、その表示態様は上記実施形態のものに限定されない。
例えば図15に示すように、クレーン20及び飛行経路Rが地図上に平面表示された表示態様が表示可能であってもよい。この図の例は位置確認画面830であり、クレーン20及び飛行経路Rの位置や方位(向き)を確認することができる。また、地図上に表示されることにより、例えばクレーン20及び飛行経路Rが所定の敷地外に出ていないかなどを確認することができる。地図情報は、予め記憶部64に記憶させておいてもよいし、ネットワーク130を介して他の端末等から取得することとしてもよい。
また、互いに異なる2つの方向から見た表示態様には、二次元表示と三次元表示の違いを問わない。つまり、当該表示態様には、例えば部分経路R1を二次元表示させた表示態様だけでなく、部分経路R1を三次元表示させた表示態様も含まれる。
【0097】
また上記実施形態では、移動体40の飛行経路Rが、水平面内における部分経路R1を複数階層分有するものとした。しかし、点検時における移動体40の飛行経路は特に限定されず、例えば、鉛直面内を周回する経路や、ブーム又はジブに沿った経路を含むものであってもよい。
【0098】
また、経路表示処理のステップS1では、クレーン20の配置状態データをクレーン20からリアルタイムで取得することとし、その後のステップS3では、このリアルタイムで取得された配置状態データに基づいて移動体40の飛行経路を設定してもよい。すなわち、ステップS1、S3の処理が随時(例えば一定時間間隔で)行われることとしてもよい。これにより、クレーン20の動作中であっても、好適に飛行経路を設定(変更)することができる。
さらに、このリアルタイムの経路表示は、ステップS15における移動体40の飛行中に行ってもよい。
【0099】
また上記実施形態では、情報端末60において経路表示プログラム641による経路表示処理が実行されることとした。しかし、当該経路表示処理は、クレーン20の配置状態データを取得可能であって演算能力を備える装置であれば実行可能である。したがって、本発明に係る表示装置は、情報端末60,70及び管理サーバ50のほか、クレーン20自体を含む。
【0100】
また上記実施形態では、クレーン20の一例として移動式のタワークレーンを例示した。しかし、本発明は、これに限らず、ホイールクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン等の他の移動式クレーンに加えて、タワークレーン、天井クレーン、ジブクレーン、引込みクレーン、スタッカークレーン、門型クレーン、アンローダ等のあらゆるクレーンに適用可能である。
さらに、本発明は、吊荷フックを備えるクレーンに限らず、マグネット、アースドリルバケット等のアタッチメントを吊下するクレーンにも適用可能である。
【0101】
また上記実施形態では、クレーン20を移動体40の点検(撮影)対象としたが、本発明は、クレーン以外の種々の撮影対象にも好適に適用可能である。このような撮影対象としては、クレーンのほか、観覧車やジェットコースターなどの遊具、風車、ショベル、飛行機、船舶などが挙げられる。また、本発明は、既存の建造物の点検にも適用可能である。
また、本発明は、画像に基づく点検(診断処理)を行うものに限定されず、例えば点検オペレータに対して撮像画像を表示する場合等、点検を目的としない撮影にも適用可能である。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 クレーン
40 移動体(飛行体)
41 カメラ
50 管理サーバ(表示装置)
60 情報端末(表示装置)
62 表示部
64 記憶部
65 制御部(制御手段)
70 情報端末(表示装置)
100 クレーン点検システム
421 測位部
422 方位センサ
620 ディスプレイ(表示部)
641 経路表示プログラム
643 三次元CADデータ
810 全体経路表示画面
817 飛行地点選択ウィンドウ
820 部分経路表示画面
825 撮影ポイント編集ウィンドウ
830 位置確認画面
850 ライブビュー画面
F 飛行禁止エリア
M 撮影方向マーク
R 飛行経路
R1 部分経路
WP ウェイポイント(撮影ポイント)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15