(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】フィルタケーシング
(51)【国際特許分類】
B01D 46/10 20060101AFI20250117BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20250117BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B01D46/10 E
B01D46/00 E
F24F7/06 101A
(21)【出願番号】P 2021083204
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2021063214
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岸本 宏俊
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-323125(JP,A)
【文献】特開平06-319927(JP,A)
【文献】特開2000-074440(JP,A)
【文献】特開2020-142163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00-18
B01D 46/00-90
F24F 7/00-10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中のオイルミストを捕集するフィルタを着脱可能に装着できるフィルタ取付枠を有するフィルタケーシングであって、
フィルタ取付枠は下縁部に沿うように油受け面を空気流の上流側に有し、フィルタ取付枠の下縁部に沿うように有する油受け面と樋が連結されており、フィルタ取付枠の下縁部に沿うように有する油受け面が樋に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されており、しかもフィルタ取付枠の油受け面がフィルタ取付枠の油受け面の長辺の一方の端部に向かって先細る形状、かつ、フィルタ取付枠の油受け面がフィルタ取付枠から離れる方向に下がり降りる向きに傾斜しており、
前記フィルタケーシングは、天板、一対の側板、及び底板を有し、前記底板が油受け面を有し、
前記フィルタ取付枠の上側が空気流の上流側に近づくようにしてフィルタ取付枠が傾斜して配置され、
前記オイルミストを捕集するフィルタを装着した際に前記フィルタがオイルミストを捕集し、前記
フィルタケーシングの油受け面が、前記フィルタが捕集し重力により流れ落ちたオイルミストを受け止める、フィルタケーシング。
【請求項2】
前記
フィルタケーシングの油受け面が、前記フィルタから重力により流れ落ちたオイルミストを受け止めると共に、フィルタケーシングの側面方向に導くように設けられている、請求項1に記載のフィルタケーシング。
【請求項3】
前記
フィルタケーシングの油受け面とオイルミストを排出する排油口が連結されており、前記
フィルタケーシングの油受け面が排油口に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されている、請求項1又は2に記載のフィルタケーシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中のオイルミストの捕集に好適に用いることのできるフィルタケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
厨房や、食品加工工場などの食用油脂を多く使う環境、及び、工場などの機械油を多く使う環境では、空気中に油が多く含まれる。そこで、フィルタに通して空気中の油(オイルミスト)を捕集して除去することが行われている。
【0003】
空気中の油(オイルミスト)を捕集して除去する方法としては、例えば、特開2020-111616号公報(特許文献1)に開示されているように、オイルミストを捕集するフィルタを着脱可能に支持するフィルタ枠と、排気ダクトの途中又は排気ダクトの端部もしくは集塵機の吸気口に組み合わせる、フィルタ支持装置が開示されている。また、特許文献1には、フィルタ枠が上フレーム、側フレーム、フィルタを支える下フレーム及び樋を有し、前記下フレームに、フィルタを油受け面から浮いた位置に支持するフィルタ受けを油受け面上に有し、油受け面と樋により、油を排出できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたフィルタ支持装置は、オイルミストを捕集するフィルタの空気流の下流側にオイルミストが溜まると、フィルタからオイルミストを排出できず、結果としてフィルタケーシングからオイルミストを排出できないおそれがあり、また、フィルタ支持装置が有するフィルタ受けにより構造が複雑になり、フィルタ枠の取り付け及び取り外しの際に障害になるおそれがあった。
【0006】
本発明は、オイルミストを捕集するフィルタに溜まったオイルミストを速やかに排出するなど、除去することができ、メンテナンス性に優れるフィルタケーシングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1にかかる発明は、「空気中のオイルミストを捕集するフィルタを着脱可能に装着できるフィルタ取付枠を有するフィルタケーシングであって、前記フィルタケーシングは、天板、一対の側板、及び底板を有し、前記底板が油受け面を有し、前記フィルタ取付枠の上側が空気流の上流側に近づくようにしてフィルタ取付枠が傾斜して配置され、前記オイルミストを捕集するフィルタを装着した際に前記フィルタがオイルミストを捕集し、前記油受け面が、前記フィルタが捕集し重力により流れ落ちたオイルミストを受け止める、フィルタケーシング。」である。
【0008】
本発明の請求項2にかかる発明は、「前記油受け面が、前記フィルタから重力により流れ落ちたオイルミストを受け止めると共に、フィルタケーシングの側面方向に導くように設けられている、請求項1に記載のフィルタケーシング。」である。
【0009】
本発明の請求項3にかかる発明は、「前記油受け面とオイルミストを排出する排油口が連結されており、前記油受け面が排油口に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されている、請求項1又は2に記載のフィルタケーシング。」である。
【0010】
本発明の請求項4にかかる発明は、「フィルタケーシングが油受け面を有する他に、フィルタ取付枠は下縁部に沿うように油受け面を有し、フィルタ取付枠の下縁部に沿うように有する油受け面と樋が連結されており、フィルタ取付枠の下縁部に沿うように有する油受け面が樋に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタケーシング。」である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフィルタケーシングは、フィルタケーシングが有するフィルタ取付枠の上側(上縁部)が空気流の上流側に近づくようにしてフィルタ取付枠が傾斜して配置されていることから、フィルタケーシングにオイルミストを捕集するフィルタを取付けた際に、オイルミストを捕集するフィルタが傾斜しており、フィルタが傾斜していることでオイルミストが重力によりフィルタの空気流の下流側からフィルタの空気流の上流側に移動しやすいため、オイルミストがフィルタの空気流の下流側に溜まりにくく、フィルタの空気流の下流側からオイルミストが噴き出しにくいことからメンテナンス性に優れる。オイルミストを捕集するフィルタに溜まったオイルミストは重力によりフィルタの下部へ流れ落ち、流れ落ちたオイルミストはフィルタの下側(フィルタケーシングの底板)に有するフィルタケーシングの油受け面が受け止め、油受け面からオイルミストを外部に排出するなど、フィルタが捕集したオイルミストを容易に除去できる。
【0012】
また、油受け面が、フィルタから流れ落ちて受け止めたオイルミストをフィルタケーシングの側面方向に導くように設けられていると、フィルタケーシングの側面方向にあるフィルタケーシングの側板付近からオイルミストを外部に排出でき、フィルタケーシングの底板(油受け面)にオイルミストが溜まりにくく、オイルミストを捕集するフィルタに溜まったオイルミストを速やかにフィルタケーシングの外部に排出するなど、除去することができ好ましい。
【0013】
更に、フィルタケーシングを構成する油受け面がオイルミストを排出する排油口と連結されており、前記油受け面が排油口に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されていると、効率よく油受け面に溜まったオイルミストを排油口からフィルタケーシングの外部に排出して除去でき、好ましい。
【0014】
更に、フィルタケーシングが油受け面を有する他に、フィルタ取付枠は下縁部に沿うように油受け面を有し、フィルタ取付枠の下縁部に沿うように有する油受け面と樋が連結されており、フィルタ取付枠の下縁部に沿うように有する油受け面が樋に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されていると、効率よくフィルタから落ちたオイルミストを捕集でき、また、オイルミストをフィルタケーシングの油受け面に効率よく集めることができ、フィルタケーシングの外部にオイルミストを排出するなど、除去でき、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のフィルタケーシングにフィルタを装着したものの空気流の上流側(正面側)かつ右側から見た斜視図である。
【
図2】本発明のフィルタケーシングにフィルタを装着したものの、空気流の上流側(正面側)かつ左側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の右側面の側板に扉を有するフィルタケーシングの、右側面図である。
【
図4】本発明の右側面の側板に扉を有し、扉が開いているフィルタケーシングにフィルタを装着したものの、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のフィルタケーシングの実施に好適な形態例について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、この発明の理解が容易になる程度に、具体的な形状、配置関係など特定条件を例示する。
【0017】
この
図1及び
図2に示したフィルタケーシング(1)は、内部にフィルタ取付枠(2)を有しており、フィルタ取付枠(2)には、オイルミストを捕集するフィルタ(3)を着脱可能に装着できる。前記フィルタケーシング(1)は、天板(1a)、一対の側板(1b)、及び底板(1f)を有し、前記底板(1f)が油受け面(1c)を有する。前記油受け面(1c)は、フィルタ(3)が捕集し、重力によりフィルタ(3)から流れ落ちたオイルミストを受け止める。この油受け面(1c)により、オイルミストを外部に排出するなど、除去できることから、フィルタ(3)からオイルミストを容易に排出することができる。なお、
図1及び
図2では、底板(1f)のフィルタ取付枠(2)を有する側(上側)が油受け面(1c)である。
【0018】
また、油受け面(1c)からオイルミストを外部に排出するなど、除去する方法としては、例えば、油受け面(1c)によりオイルミストをフィルタケーシング(1)の一方または両方の側面方向に導き、側面方向にある側板付近から油受け面(1c)と連結された排油口(1d)や油受け面(1c)に設けられた穴により排出する方法や、オイルミストを油受け面(1c)の中央部に導き、中央部から油受け面(1c)と連結された排油口(1d)や油受け面(1c)に設けられた穴により排出する方法、油受け面(1c)をフィルタケーシング(1)から取り外して、油受け面(1c)を洗浄することで油受け面(1c)に溜まったオイルミストを除去する方法、油受け面(1c)にオイルミストを吸収するシートを設け、オイルミストを吸収するシートにオイルミストを吸収させ、オイルミストを吸収したシートを捨てることでオイルミストを除去する方法などであることができる。なお、本発明における「側面方向」とは、フィルタケーシング(1)の両側板(1b)のいずれかに向かう方向をいう。
【0019】
油受け面(1c)によりオイルミストをフィルタケーシング(1)の一方の側面方向に導くことで油受け面(1c)からオイルミストを外部に排出するなど、除去する場合、フィルタ(3)から流れ落ちたオイルミストをフィルタケーシング(1)の一方の側面方向に効率よく導くことができるように、
図1及び
図2に示しているように、油受け面(1c)は、フィルタケーシング(1)の一方の側面方向に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されているのが好ましい。なお、
図1及び
図2では、油受け面(1c)は、フィルタケーシング(1)の空気流の上流側から見て右側の側板(1b)に向かう側面方向に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されている。
【0020】
また、油受け面(1c)によりオイルミストをフィルタケーシング(1)の両方の側面方向に導くことで油受け面からオイルミストを外部に排出するなど、除去する場合、フィルタ(3)から流れ落ちたオイルミストをフィルタケーシング(1)の両方の側面方向に効率よく導くことができるように、油受け面(1c)は、フィルタケーシング(1)の両方の側面方向に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されているのが好ましい。
【0021】
更に、油受け面(1c)によりオイルミストを油受け面(1c)の中央部に導き、油受け面(1c)の中央部からオイルミストを外部に排出するなど、除去する場合、フィルタ(3)から流れ落ちたオイルミストを油受け面(1c)の中央部に効率よく導くことができるように、油受け面(1c)は、中央部に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されているのが好ましい。
【0022】
更に、流れ落ちたオイルミストをより効率よくフィルタケーシング(1)の外部に排出するなど、除去できることから、
図1に示しているように、油受け面(1c)とオイルミストを排出する排油口(1d)が連結されており、かつ、油受け面(1c)が排油口(1d)に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されているのが好ましい。なお、油受け面(1c)と排油口(1d)の連結箇所は、例えば、油受け面(1c)によりオイルミストをフィルタケーシング(1)の側面方向に導くことで油受け面(1c)からオイルミストを外部に排出する場合、油受け面(1c)と一方の側板(1b)の連結部付近であることができる。
【0023】
更に、フィルタケーシング(1)の油受け面(1c)の大きさは、底板(1f)のフィルタ取付枠(2)を有する側の全面であっても、底板(1f)のフィルタ取付枠(2)を有する側の一部のみであってもよいが、
図1及び
図2に示しているように、フィルタケーシング(1)の底板(1f)のフィルタ取付枠(2)を有する側の全面に油受け面(1c)が存在していると、油受け面(1c)が、フィルタ(3)に捕集され流れ落ちたオイルミストを取りこぼすことなく受け止めることができ、特に、フィルタ(3)の空気流の下流側に溜まったオイルミストを油受け面(1c)により受け止めることができ、また、フィルタケーシング(1)と空調ダクトのホッパーが直接接続されている場合、フィルタ(3)を通り抜け空調ダクトのホッパーに付着したオイルミストもフィルタケーシング(1)の底板全面に存在する油受け面(1c)により受け止めることができ、より多くのオイルミストを取りこぼすことなく受け止めることができるため、好ましい。
【0024】
図1及び
図2に示している底板(1f)は、板状でかつ油受け面(1c)を有する本体部(1fa)と、空気流の上流側と空気流の下流側の2箇所で一対の側板(1b)の底部を連結して存在するフレーム部(1fb)で構成されており、ねじ(1e)により本体部(1fa)とフレーム部(1fb)が連結されている。なお、
図1及び
図2において、ねじ(1e)は、底板のフレーム部(1fb)に取り付けられた雄ねじと、雄ねじと螺合している雌ねじ加工を施したノブから構成され、ねじ(1e)は、空気流の上流側に2箇所、空気流の下流側に2箇所の計4箇所に備えている。また、底板の本体部(1fa)には、雄ねじをはめ込むためのくぼみを空気流の上流側に2箇所、空気流の下流側に2箇所の計4箇所に備えている。底板のフレーム部(1fb)に有する雄ねじを底板の本体部(1fa)に備えているくぼみにはめ込み、雌ねじ加工を施したノブを締めることによって、底板の本体部(1fa)と底板のフレーム部(1fb)を連結でき、前記雌ねじ加工を施したノブを緩め、底板の本体部(1fa)に備えているくぼみから雄ねじをずらして外すことで、底板(1f)の本体部(1fa)をフィルタケーシング(1)から取り外すことができる。なお、底板の本体部(1fa)と底板のフレーム部(1fb)を連結する場合、ねじ(1e)の種類形状、及び連結方法は、特に限定するものではない。また、ねじ(1e)以外の方法(パッチン錠など)で底板の本体部(1fa)と底板のフレーム部(1fb)を連結してもよい。
【0025】
本発明のフィルタケーシング(1)を構成するフィルタ取付枠(2)は、フィルタ取付枠(2)の最上部である上縁部、フィルタ取付枠(2)の最下部である下縁部、フィルタ取付枠(2)の上縁部の端部と下縁部の端部を連結する1対の側縁部で構成されている。なお、フィルタ取付枠(2)の上縁部は、フィルタケーシング(1)の天板(1a)に固定されており、フィルタ取付枠(2)の下縁部は、フィルタケーシング(1)の底板(1f)に近接し、また、フィルタ取付枠(2)の下縁部の両端がフィルタケーシング(1)の側板(1b)に固定されており、フィルタ取付枠(2)の側縁部は、フィルタケーシング(1)の側板(1b)に固定されている。
【0026】
本発明のフィルタケーシング(1)を構成するフィルタ取付枠(2)は、フィルタ取付枠(2)の上側(上縁部)が空気流の上流側に近づくようにしてフィルタ取付枠(2)が傾斜して配置されている。これにより、フィルタ取付枠(2)にオイルミストを捕集するフィルタ(3)を装着した際に、オイルミストを捕集するフィルタ(3)が傾斜し、オイルミストがフィルタ(3)を通過する距離が、フィルタ(3)が鉛直方向に直立しているものと比べて長い傾向があり、また、オイルミストが重力によりフィルタ(3)の空気流の下流側からフィルタ(3)の空気流の上流側に移動しやすいため、オイルミストがフィルタ(3)の空気流の下流側に溜まりにくく、フィルタの空気流の下流側からオイルミストが噴き出しにくい。
【0027】
フィルタ取付枠(2)の傾斜角度を、フィルタケーシング(1)の天板(1a)に直交する面と、フィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部を通る面とのなす角と定義した場合、フィルタ取付枠(2)の傾斜角度は、特に限定するものではないが、5~20°が好ましい。傾斜角度が5°未満では、フィルタ(3)が捕集したオイルミストが重力によりフィルタ(3)の空気流の下流側からフィルタ(3)の空気流の上流側に移動しにくくなり、オイルミストがフィルタ(3)の空気流の下流側に溜まりやすく、オイルミストがフィルタ(3)から空気流の下流側に噴き出すおそれがある。また、傾斜角度が20°を超えると、フィルタケーシング(1)の奥行寸法が大きくなってしまい設置が困難になるおそれがある。
【0028】
フィルタ取付枠(2)へのフィルタ(3)の着脱方法としては、例えば、
図3及び
図4に示しているように、フィルタケーシング(1)の右側面の側板(1b)の一部を構成する扉(4)を開けてフィルタ(3)を横からスライドさせて出し入れする方法や、フィルタケーシング(1)の空気流の上流側または下流側からフィルタ(3)をはめ込み、空気流の上流側または下流側から取り外すことで出し入れする方法等が採用できる。
図1及び
図2に示しているように、フィルタ取付枠(2)がフィルタ取付レール(2a)を少なくともフィルタ取付枠(2)の下縁部に有していると、フィルタ(3)のスライドなどの着脱がしやすいため好ましい。フィルタ取付レール(2a)はフィルタ取付枠(2)の下縁部の他、フィルタ(3)をフィルタ取付枠(2)に安定して取り付けるため、フィルタ取付枠(2)の上縁部や、フィルタ(3)をフィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部の間に、上下方向に2個以上取付ける場合、フィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部の中間等に有していてもよい。なお、本発明の
図1及び
図2においては、上下方向に2列あるフィルタ(3)のうち上部のフィルタ(3)を支持するフィルタ取付レール(2a)を、フィルタ取付枠の上縁部(図示なし)とフィルタ取付枠の上縁部と下縁部の中間の2箇所、及び、下部のフィルタ(3)を支持するフィルタ取付レール(2a)を、フィルタ取付枠の上縁部と下縁部の中間(図示なし)とフィルタ取付枠の下端部の2箇所、計4箇所有している。
【0029】
フィルタ取付枠(2)へのフィルタ(3)の取り付け個数は、特に限定するものではなく、1個であっても、2個以上の複数個であってもよい。例えば、
図1及び
図2においては、フィルタ(3)はフィルタ取付枠(2)に上下方向2個×上下方向に直交する左右方向2個の計4個取り付けられている。
【0030】
なお、
図1及び
図2に示しているように、フィルタ(3)に付着したオイルミストを効率よく外部に排出できるように、フィルタ取付枠(2)に付随して、フィルタ取付枠(2)は油受け面(2b)を有しているのが好ましい。フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)は、少なくともフィルタ取付枠(2)の下縁部に沿うように有しているのが好ましいが、そのほかに、フィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部の中間等に有しているフィルタ取付レール(2a)に沿うように油受け面(2b)を有していてもよい。なお、
図1及び
図2において、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)は、フィルタ取付枠(2)の下縁部に沿うように有しているものと、フィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部の中間付近のフィルタ取付レール(2a)に沿うように有しているものの計2つ有している。
【0031】
また、本発明のフィルタ取付枠(2)に油受け面(2b)を有している場合、流れ落ちたオイルミストを効率よく外部に排出できるように、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)と樋(2c)が連結されており、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)が、樋(2c)に向かって下がり降りる向きに傾斜して配置されているのが好ましい。フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)と樋(2c)の連結箇所としては、フィルタケーシング(1)からオイルミストを除去できれば特に限定するものではないが、例えば、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)と一方の側板(1b)の連結部付近や、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)の中央部などであることができる。なお、
図1及び
図2において、フィルタ取付枠(2)の下縁部に沿うように有している油受け面(2b)、フィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部の中間付近に有している油受け面(2b)を樋(2c)が連結しており、フィルタ取付枠(2)の下縁部に沿うように有している油受け面(2b)、及びフィルタ取付枠(2)の上縁部と下縁部の中間付近に有している油受け面(2b)に溜まったオイルミストは、樋(2c)を経由してフィルタケーシング(1)の油受け面(1c)に排出される。
【0032】
また、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)は、フィルタ取付枠(2)の空気流の上流側に有していても、空気流の下流側に有していても、空気流の上流側と下流側の両方に有していてもよい。なお、
図1及び2では、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)は、空気流の上流側と下流側の両方に有している。
【0033】
更に、フィルタ取付枠(2)の油受け面(2b)の形状は、種々の形状であることができるが、
図1及び
図2に示しているように、油受け面(2b)が長辺の一方の端部(
図1及び
図2においては左側)に向かって先細る形状、かつ、油受け面(2b)がフィルタ取付枠(2)から離れる方向に下がり降りる向きに傾斜していると、受け止めたオイルミストを、油受け面(2b)の長辺の油受け面(2b)の先細る方向と逆側の端部(
図1及び
図2においては右側)に速やかに集めることができ、例えば油受け面(2b)に樋(2c)が連結されていると、連結された樋(2c)を経由してオイルミストを速やかにフィルタケーシング(1)の油受け面(1c)に排出できることから好ましい。なお、ここでいう「長辺」とは、油受け面(2b)の最も長い辺のことをいう。
【0034】
更に、本発明のフィルタ取付枠(2)には、
図1及び
図2に示しているように、フィルタ取付枠(2)の強度向上を目的として、フィルタ取付枠(2)の側縁部と平行する方向に支持柱(2d)を有していてもよい。
【0035】
本発明のフィルタケーシング(1)の側板(1b)には、フィルタ(3)の出し入れを目的として、
図1、
図3~4に示しているように、扉(4)を設けてもよい。扉(4)はフィルタケーシング(1)の右側板(1b)の一部を構成し、蝶番(5)によりフィルタケーシング(1)の右側板(1b)に取り付けられている。錠(6)は、扉(4)を閉鎖位置に保持する。
【0036】
本発明のフィルタ(3)は、オイルミストが捕集できれば特に限定するものではなく、不織布、織物、編物や多孔質膜であることができる。また、本発明のフィルタ(3)の構成成分も、オイルミストが捕集できれば特に限定するものではなく、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどの有機樹脂や金属、ガラスなどの無機成分であることができる。更に、本発明のフィルタ(3)は、平板でもよいし、フィルタの表面積を大きくとり、オイルミストの捕集効率の向上を目的として、プリーツ加工されていてもよい。
【0037】
本発明のフィルタケーシング(1)は、厨房や、食品加工工場などの食用油脂を多く使う環境、及び、工場などの機械油を多く使う環境といった空気中に油が多く含まれる環境下に用いる、排気ダクトや集塵機の吸気口、及び排気ダクトの途中または排気口に設置することができる。
【0038】
以上、本発明のフィルタケーシング(1)の実施に好適な形態例について、図面を参照して説明した。本発明は、以上に述べた特定の例示条件のみ限定されるものではなく、この発明の目的の範囲内で任意好適な設計の変更または変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1:フィルタケーシング
1a:天板、1b:側板、1c:油受け面、1d:排油口、1e:ねじ、1f:底板、1fa:本体部、1fb:フレーム部
2:フィルタ取付枠
2a:フィルタ取付レール、2b:油受け面、2c:樋、2d:支持柱
3:フィルタ
4:扉
5:蝶番
6:錠