(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】EGRクーラおよび車両用廃熱回収器
(51)【国際特許分類】
F02M 26/29 20160101AFI20250117BHJP
F01N 5/02 20060101ALI20250117BHJP
F28F 9/22 20060101ALI20250117BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F02M26/29
F01N5/02 B
F01N5/02 G
F28F9/22
F28D7/16 A
(21)【出願番号】P 2021094272
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220217
【氏名又は名称】東京ラヂエーター製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅田 征二
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-54707(JP,A)
【文献】特開2005-315507(JP,A)
【文献】特開2008-128611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F28D 7/16
F28F 9/22
F02M 26/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを冷却するための冷却水が中を流れる角筒状のケーシングと、
前記ケーシングに対して冷却水の流路の下流側に接続するアダプタと、を有するEGRクーラであって、
前記アダプタは、
前記ケーシング内の冷却水を前記アダプタ内に導入する導入口と、
前記導入口と連続して、内径φを有する筒状の渡し部と、
前記渡し部に対して冷却水の流路の下流側に設けられ、前記EGRクーラの通水抵抗を調節するφより小さい任意の内径に加工できるように構成された絞り部とを有し、
前記導入口の開口から前記絞り部までの距離aは、前記渡し部の内径φの0.15倍以上であ
り、
前記導入口にはテーパ部が設けられており、
前記導入口の中心線に沿った断面において、前記テーパ部の面取部の長さをcとし、前記面取部と前記中心線とがなす角度をθとしたとき、以下の式を満たすEGRクーラ。
【数5】
【請求項2】
テーパ部の両端がR面取りされている、請求項
1に記載のEGRクーラ。
【請求項3】
排気ガスを冷却するための冷却水が中を流れる角筒状のケーシングと、
前記ケーシングに対して冷却水の流路の下流側に接続するアダプタと、を有する車両用廃熱回収器であって、
前記アダプタは、
前記ケーシング内の冷却水を前記アダプタ内に導入する導入口と、
前記導入口と連続して、内径φを有する筒状の渡し部と、
前記渡し部に対して冷却水の流路の下流側に設けられ、前記車両用廃熱回収器の通水抵抗を調節するφより小さい任意の内径に加工できるように構成された絞り部とを有し、
前記導入口の開口から前記絞り部までの距離aは、前記渡し部の内径φの0.15倍以上であ
り、
前記導入口にはテーパ部が設けられており、
前記導入口の中心線に沿った断面において、前記テーパ部の面取部の長さをcとし、前記面取部と前記中心線とがなす角度をθとしたとき、以下の式を満たす車両用廃熱回収器。
【数6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRクーラおよび車両用廃熱回収器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、自動車などの排気ガスを冷却するEGRクーラが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関および内燃機関の補器類には冷却水が流れている。内燃機関および補器類を流れる冷却水の流量は、それぞれの部品の通水抵抗によって決定される。
近年、量産化の段階で、車両の開発当初のEGRクーラから別のEGRクーラに載せ替える需要がある。しかし、通常、EGRクーラの通水抵抗は製品によって異なるので、単にEGRクーラを乗せ換えると、内燃機関および補器類を流れる冷却水の流量バランスが乱れる可能性があった。
車両の開発当初のEGRクーラと等しい通水抵抗を実現するため、EGRクーラの出口部にオリフィス等を設けることが考えられる。しかし、出口部においてオリフィスを設けることは、場合によっては、EGRクーラ内部の流れに影響を及ぼす可能性があった。
【0005】
そこで本発明は、通水抵抗を調節できるとともに、EGRクーラおよび車両用廃熱回収器の内部の流れへの影響を低減したEGRクーラおよび車両用廃熱回収器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るEGRクーラは、
排気ガスを冷却するための冷却水が中を流れる角筒状のケーシングと、
前記ケーシングに対して冷却水の流路の下流側に接続するアダプタと、を有するEGRクーラであって、
前記アダプタは、
前記ケーシング内の冷却水を前記アダプタ内に導入する導入口と、
前記導入口と連続して、内径φを有する筒状の渡し部と、
前記渡し部に対して冷却水の流路の下流側に設けられ、前記EGRクーラの通水抵抗を調節するφより小さい任意の内径に加工できるように構成された絞り部とを有し、
前記導入口の開口から前記絞り部までの距離aは、前記渡し部の内径φの0.15倍以上である。
【0007】
本発明の一側面に係る車両用廃熱回収器は、
排気ガスを冷却するための冷却水が中を流れる角筒状のケーシングと、
前記ケーシングに対して冷却水の流路の下流側に接続するアダプタと、を有する車両用廃熱回収器であって、
前記アダプタは、
前記ケーシング内の冷却水を前記アダプタ内に導入する導入口と、
前記導入口と連続して、内径φを有する筒状の渡し部と、
前記渡し部に対して冷却水の流路の下流側に設けられ、前記車両用廃熱回収器の通水抵抗を調節するφより小さい任意の内径に加工できるように構成された絞り部とを有し、
前記導入口の開口から前記絞り部までの距離aは、前記渡し部の内径φの0.15倍以上である。
【0008】
本発明によれば、通水抵抗を調節できるとともに、EGRクーラおよび車両用廃熱回収器の内部の流れへの影響を低減したEGRクーラおよび車両用廃熱回収器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るEGRクーラの斜視図である。
【
図4】
図3におけるIV-IV断面における断面図である。
【
図5】
図3におけるV-V断面における断面図である。
【
図8】実施例1における解析モデルの模式断面図である。
【
図9】実施例1における解析結果を説明する図である。
【
図10】実施例2における解析モデルの模式断面図である。
【
図11】実施例2における解析結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。以降に説明する図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。なお、EGRクーラを車両に取り付けたときにこれらの方向が車両について設定される各々の方向と一致するとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るEGRクーラ1の斜視図である。
図1に示したようにEGRクーラ1は、熱交換部10と、熱交換部10へ排気ガスを導入するガス入口部20と、熱交換部10から排気ガスを排出するガス出口部30と、熱交換部10へ冷却水を導入する水入口部40と、熱交換部10から冷却水を排出する水出口部50(
図2参照)と、を有している。
【0013】
図1に示した例においては、熱い排気ガスが前方からガス入口部20を通って熱交換部10へ流れ込み、熱交換部10の内部で冷却水と熱交換が行われ、冷却された排気ガスは熱交換部10からガス出口部30を通って後方へ排出される。また、冷たい冷却水は下方から熱交換部10の後部の水入口部40を通って熱交換部10へ流れ込み、熱交換部10の内部で排気ガスと熱交換を行い、加熱された冷却水は熱交換部10の前部の水出口部50を通って下方へ排出される。図示したEGRクーラ1は、熱交換部10において排気ガスの流れる向きと冷却水の流れる向きが向かい合っている、いわゆる対向流タイプのEGRクーラである。
【0014】
図2は、EGRクーラ1の分解斜視図である。
図2に示したように、熱交換部10は、複数のチューブ11と、これらのチューブ11を収容するケーシング12を有している。チューブ11は前後方向に長い偏平な中空の板状部材である。排気ガスはチューブ11の内部を流れる。冷却水はケーシング12の内部でチューブ11の間の空間を流れる。チューブ11の内部にはフィン17が設けられており、排気ガスと冷却水との熱交換を助けている。チューブ11の外面には、冷却水に乱流を引き起こして熱交換を促進するディンプル13が設けられている。
【0015】
ケーシング12は前後方向に長い角筒状の部材である。ケーシング12の前方の端部には前エンドプレート14が取り付けられている。ケーシング12の後方の端部には後エンドプレート15が取り付けられている。ガス入口部20は前エンドプレート14を介してケーシング12に取り付けられている。ガス出口部30は後エンドプレート15を介してケーシング12に取り付けられている。チューブ11はこれら前エンドプレート14と後エンドプレート15に取り付けられている。
【0016】
図3は、上方から見たEGRクーラ1の断面図である。
図4は
図3のIV-IV断面における断面図である。
図3および
図4に示すように、複数のチューブ11はケーシング12内に左右方向に配列されている。前エンドプレート14のチューブ11の開口に対応する位置に開口14aが設けられており、排気ガスをチューブ11内に取り込むことができる。後エンドプレート15のチューブ11の開口に対応する位置に開口が設けられており、排気ガスをチューブ11から外に排出することができる。前エンドプレート14の開口の間、および、後エンドプレート15の開口の間は閉塞されており、ケーシング12とチューブ11と前エンドプレート14と後エンドプレート15の間に密閉された空間が形成されている。冷却水はこの密閉された空間内を流れる。
【0017】
図5は、
図3におけるV-V断面における断面図である。本実施形態において、ケーシング12の下面に水入口部40および水出口部50が設けられている。
図6は、
図5のVI部の拡大図である。
図5、
図6に示すように、本実施形態において水出口部50は、ケーシング12の開口に取り付けられるアダプタ51として形成されている。アダプタ51の内部には、冷却水が通過する冷却水通路が設けられている。アダプタ51は、ケーシング12に設けられた開口に嵌合され、開口縁において溶接等により接合されることによって、ケーシング12に対して固定される。
【0018】
アダプタ51は、導入口52と、渡し部53と、絞り部54と、接続部55と、を有する。導入口52はケーシング内の冷却水をアダプタの内部に流入させるように構成されている。渡し部53は、導入口52と連続して設けられる冷却水流路である。
【0019】
絞り部54は、渡し部53よりも小さい内径を持つ冷却水流路である。絞り部54の内径が小さければ小さいほど、EGRクーラ1の通水抵抗は上昇する。絞り部54の内径は、加工等によって任意の大きさに調節される。絞り部54を任意の内径に調節することにより、EGRクーラ1の通水抵抗を調節する。なお、絞り部54の内径φOは、渡し部53の内径φの40%~90%であることが好ましい。
【0020】
接続部55は、冷却水をEGRクーラ1の下流側の機器に導くパイプ2と接続する。本実施形態においては、接続部55の内部にパイプ2の一部を挿入することで、接続部55とパイプ2とが接続されている。また冷却水漏れを防止するために、接続部55とパイプ2の間にOリング3が設けられていてもよい。
【0021】
なお本実施形態においては、接続部55の内部にパイプ2の一部が挿入されているが、パイプの内部に接続部が挿入されることで、接続部とパイプとが接続されるように構成されても良い。
また、パイプではなく、内燃機関などのEGRクーラ1の下流側の機器と接続部とが直接接続されるように構成されても良い。別の例としては、接続部またはアダプタの外壁面を覆うようにゴムホースが被せられ、ホースバンド等によって連結されても良い。
【0022】
さらに、接続部は必ずしも設けられる必要はなく、アダプタの外壁面とパイプとが接続されるように構成されても良い。このとき、アダプタの下流側末端に、絞り部54が設けられる。
【0023】
次に、導入口52の開口から絞り部54までの距離と渡し部53の内径との関係について説明する。
図6に示すように、導入口52の開口から絞り部54までの距離をaとする。ここで、開口とは、アダプタ51の内部に設けられる冷却水流路における上流側の端部を意味するものとする。つまり、導入口52の開口とは、導入口52における冷却水の上流側端部を表している。
【0024】
このとき、渡し部53の内径φに対する導入口52の開口から絞り部54までの距離aの割合bが次式を満たすように構成されている。
【数1】
【0025】
アダプタが、EGRクーラの通水抵抗を調節する任意の内径を持つ絞り部を有する場合、絞り部の内径を調節することで、EGRクーラの通水抵抗を自在に設定できる。しかし、単に絞り部を設けると、ケーシング内部で不均一な流れが発生するなど、絞り部による影響がEGRクーラの冷却性能を変えてしまったり、EGRクーラを含む冷却水の循環路全体の流れ方が変わってしまったりするなどの不都合が生じてしまう。
上記構成のEGRクーラによれば、渡し部53の内径φに対する導入口52の開口から絞り部54までの距離aの割合bが0.15以上であれば、ケーシング12の内部から均一に冷却水が流出でき、EGRクーラの内部の流れへの影響を低減することができることを、本発明者は見出した。
【0026】
図7はアダプタ51の拡大図である。導入口52には、開口において面取り加工されたテーパ部520が設けられている。渡し部53の中心軸Axを通るように切断した断面視において、テーパ部520の長さ(面取り長さ)をcとする。また、テーパ部520のうち前後方向成分の長さをc
1、上下方向成分の長さをc
2とする。さらに、テーパ部520の延長線と渡し部53の中心軸Axとがなす角をθとする。
【0027】
このとき、導入口52において面取りを設けることによって欠損した面積である面取り面積Sは次式で得られる。
【数2】
【0028】
ここで、本実施形態にかかるEGRクーラは、渡し部53の内径φと面取り面積Sとの関係について、次式が成立するように構成されている。
【数3】
【0029】
上記構成のEGRクーラによると、アダプタ51の導入口52に面取りされたテーパ部520が設けられているので、導入口52はより広い範囲のケーシング12内の冷却水を吸い込むことができる。このとき、渡し部53の断面の中心線を通る断面において、面取り面積Aを渡し部の内径φの1.8乗で除した数が0.001よりも大きいと、ケーシング12の内部の流れの影響をより低減できることを発明者は見出した。
【0030】
さらに、テーパ部520の上流側端部と下流側端部とにR面取り部R1,R2が設けられている。
上記構成のEGRクーラによると、テーパ部520の両端にR面取り部R1,R2が設けられているので、R面取り部が設けられていないときと比べて、面取り面積Sをさらに大きくすることができる。さらに、R面取り部R1,R2によって流路が滑らかになるので、ケーシング12内部の冷却水をよりスムーズにアダプタ51内部に導入できる。これにより、ケーシング12内部の流れの影響をより低減できる。
【0031】
(実施例1)
EGRクーラとアダプタとを流れる冷却水の流れについて調べるため、解析モデルを用いて解析を行った。
図8は実施例1において用いた解析モデルの模式断面図である。
図8に示すように、解析モデルは、大きさの異なる3つの円筒が連なって形成される。解析モデルにおいて、最も上流側にある最も内径が大きい円筒は本実施形態におけるケーシング12を模している(ケーシング円筒)。2番目に大きい円筒であり、ケーシング円筒の下流側に連なっている円筒は、本実施形態における渡し部53を模している(渡し部円筒、内径はφ)。最も小さい円筒であり、渡し部円筒の下流側に連なっている円筒は、本実施形態における絞り部54を模している(絞り部円筒、内径φ
O)。
また、渡し部円筒の長手方向の長さaは、本実施形態における導入口52の開口から絞り部54までの距離に相当する。
【0032】
このとき、ケーシング円筒において、渡し部円筒の上流側端部から5mm上流側の断面Zにおける流速分布を調べ、該流速分布の標準偏差SDを算出した。標準偏差SDが大きいほどケーシング円筒内の流れが不均一であることを示し、標準偏差SDが小さいほど、ケーシング円筒内の流れが均一であることを示す。
【0033】
渡し部円筒の内径φ=20,30,50mmにおいて、渡し部円筒の長手方向の長さをaの距離を変化させて、断面Zにおける標準偏差SDを調べた。
図9に解析によって得られた結果を示す。渡し部円筒の内径φに対する渡し部円筒の長手方向の長さaの割合bが0.15以上において、渡し部の内径φや割合bが変化しても標準偏差SDは約0.35である。一方、割合bが0.15未満の時、標準偏差SDは0.35を10%以上も上回る。したがって、割合bが0.15以上のとき標準偏差SDを低減できるので、割合bが0.15以上のアダプタにおいてケーシング内部の流れの影響を抑制できることが確認された。
【0034】
(実施例2)
次に、面取りによる効果について、解析モデルを用いて解析を行った。
図10は実施例2において用いた解析モデルの模式断面図である。
図10に示すように、実施例2において用いられた解析モデルは、実施例1で用いられた解析モデルと比較して、渡し部円筒の上流側端部にテーパ部を有する点が異なっている。渡し部円筒の中心軸を通る断面において、テーパ部の長さをcとし、テーパ部の延長線と中心軸とのなす角をθとすると、面取り面積Sは次式によって得られる。
【数4】
【0035】
渡し部円筒の内径φ=20,30,50mmにおいて、面取り面積Sを変化させて、断面Zにおける標準偏差SDを調べた。本発明者は、面取り面積Sを渡し部円筒の内径φの1.8乗で除すことによって、結果を有意に整理できることを見出した。
図11に解析によって得られた結果を示す。
【0036】
面取り面積Sが大きければ大きいほど、標準偏差SDは減少することがわかる。ところで、
図11に示すように、面取り面積Sが増大したときにおいて、面取り面積Sを渡し部円筒の内径φの1.8乗で除した値が0.001以下のときには、面取り面積Sを渡し部円筒の内径φの1.8乗で除した値が0.001を超えるときよりも、標準偏差SDが急激に減少することがわかる。逆に言えば、面取り面積Sを渡し部円筒の内径φの1.8乗で除した値を徐々に減少させるとき、面取り面積Sを渡し部円筒の内径φの1.8乗で除した値が0.001を下回ると、急激に標準偏差SDが増加する。
したがって、面取り面積Sを渡し部円筒の内径φの1.8乗で除した値は0.001よりも大きいことが好ましいことが確認された。
【0037】
以上、実施形態および実施例に基づいて本発明を説明した。本実施形態は本発明の一例であって、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0038】
例えば、本実施例においては、水入口部が水出口部よりも後方にある対向流タイプのEGRクーラを例に挙げて説明したが、水入口部が水出口部よりも前方にあって、冷却水が流れる方向と排気ガスが流れる方向とが同じ方向である並行流タイプのEGRクーラであってもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、本発明をEGRクーラに適用した例を説明したが、本発明は車両用廃熱回収器に適用してもよい。車両用廃熱回収器とは、ヒートコレクタとも呼ばれる、車両に搭載される部品である。車両用廃熱回収器は、排気ガスと冷却水とで熱交換を行い、温められた冷却水によってエンジンを温めて燃費を向上させるためなどに用いられる。このような車両用廃熱回収器も、チューブ、ケーシングなどを備え、上述した構成と同様に構成することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 EGRクーラ
2 パイプ
3 Oリング
10 熱交換部
11 チューブ
12 ケーシング
13 ディンプル
14 前エンドプレート
14a 開口
15 後エンドプレート
16 装着孔
17 フィン
20 ガス入口部
30 ガス出口部
40 水入口部
50 水出口部
51 アダプタ
52 導入口
53 渡し部
54 絞り部
55 接続部
520 テーパ部
AX 中心軸
R1,R2 R面取り部