(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】建物用のシャッター装置におけるシャッターケース
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
E06B9/17 W
(21)【出願番号】P 2021108985
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】張 俊偉
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-51177(JP,A)
【文献】特開2016-151151(JP,A)
【文献】実開昭54-15445(JP,U)
【文献】特開2002-194969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の左右両端縁部に設けられるガイドレールと、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンと、開口部上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体と、巻き取り体の左右方向一方側に配設され、該巻き取り体の開閉駆動をする開閉機と、巻き取り体および開閉機を覆蓋するシャッターケースとを備えて構成される建物用シャッター装置において、
前記シャッターケースは、開閉機と該開閉機が配される一方側部位の巻き取り体とを覆蓋する矩形形状をした第一ケース部と、該第一ケース部から延出する巻き取り体を覆蓋するべくケース板が弧状に湾曲された丸形の第二ケース部とに分割され、第一ケース部の左右方向内側の側面ケース板に、第二ケース部の対向する左右方向端縁部が連結されていることを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項2】
第一ケース部と第二ケース部とは、第一ケース部に設けた弧状の延出部と第二ケース部を嵌合することにより連結されることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項3】
第一ケース部は、内側面に骨材が締結具を介して締結され、該骨材同士を溶着することで組み立てられていることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項4】
第二ケース部は、一枚板状のケース板を用い、該ケース板を弧状に湾曲したものの上下両端縁部を躯体側に設けた係止部に係脱自在に係止することで構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項5】
第二ケース部は、一枚板状のケース板の複数枚を左右方向に連続する状態で配して構成されることを特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項6】
隣接するケース板同士の連結は、互いに対向する端縁部同士を積層するものであることを特徴とする請求項5記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターケースの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物用のシャッター装置は、ビル等建物の出入り口等の開口部の開閉をするため建て付けられることになるが、開口部の左右両端縁部に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方の天井部に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体(巻取りドラム、巻取りホイール)を備えて構成されるが、該巻き取り体は、天井部に配したシャッターケースに覆蓋される。
そして該シャッターケースが、ビルの出入り口等の大開口部に建て付けられる重量シャッター装置用のものである場合、適宜形状に加工したケース板を骨材(梁、梁材)に溶着した構造となっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のものは、シャッターケースが全体に亘って長方体形状になって一体型化されているため、該シャッターケースは、シャッター装置が建て付けられる開口部の左右幅に対応して左右方向に長いものとなる結果、特に長尺ものである場合、工場で組み立てしたものを現場搬送する場合、対応するロング荷台を備えたトラックが必要になるため搬送の円滑性が損なわれるだけでなく、建て付け現場において邪魔物があるような場合に、トラックから下ろした長尺のシャッターケースを建て付け現場まで円滑に搬送することが妨げられる場合もあって作業性に劣るという問題がある。
そのうえ前記従来のシャッターケースは、開閉機等の部材装置が配されている部位とは異なる部位についても、開閉機等の部材装置が配された部位と同様、矩形状になっているため、どうしても広い配設スペースが必要になってコンパクト配置ができない等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部の左右両端縁部に設けられるガイドレールと、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンと、開口部上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体と、巻き取り体の左右方向一方側に配設され、該巻き取り体の開閉駆動をする開閉機と、巻き取り体および開閉機を覆蓋するシャッターケースとを備えて構成される建物用シャッター装置において、前記シャッターケースは、開閉機と該開閉機が配される一方側部位の巻き取り体とを覆蓋する矩形形状をした第一ケース部と、該第一ケース部から延出する巻き取り体を覆蓋するべくケース板が弧状に湾曲された丸形の第二ケース部とに分割され、第一ケース部の左右方向内側の側面ケース板に、第二ケース部の対向する左右方向端縁部が連結されていることを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項2の発明は、第一ケース部と第二ケース部とは、第一ケース部に設けた弧状の延出部と第二ケース部を嵌合することにより連結されることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項3の発明は、第一ケース部は、内側面に骨材が締結具を介して締結され、該骨材同士を溶着することで組み立てられていることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項4の発明は、第二ケース部は、一枚板状のケース板を用い、該ケース板を弧状に湾曲したものの上下両端縁部を躯体側に設けた係止部に係脱自在に係止することで構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項5の発明は、第二ケース部は、一枚板状のケース板の複数枚を左右方向に連続する状態で配して構成されることを特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項6の発明は、隣接するケース板同士の連結は、互いに対向する端縁部同士を積層するものであることを特徴とする請求項5記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、シャッターケースを、開閉機と該開閉機が配される部位の巻き取り体を覆蓋する第一ケース部と、巻き取り体の第一ケース部から延出する部位を覆蓋する第二ケース部とを備えた分割型とし、そして第一ケース部は矩形形状をしたものとして開閉機の覆蓋が確実にしたものにしながら、第二ケース部は、シャッターカーテンを巻装する巻き取り体に対応した弧状のものとしてコンパクト化が果たせ、しかも第一、第二ケース部の端縁部同士を連結した分割ものとなって、搬送する際の利便性が図れると共に、シャッターケースの配設スペースも低減できることになる。
請求項2の発明とすることにより、第一、第二ケース部同士の連結が、第一ケース部側に設けた弧状の延出部に、第二ケース部を嵌合する状態での連結となって、溶着やビス等による締結が必要なく、シャッターケースの組み立てが簡単にできることになる。
請求項3の発明とすることにより、矩形形状をした第一ケース部自体も、ケース板内側面に締結具を介して締結された骨材同士を溶着することで組み立てられるものである結果、第一ケース部の組み立ても容易になると共に、外部に溶接痕が出てしまうことを回避できることになって溶接痕の後処理を不要にできて組み立て作業の作業性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、第二ケース部は、ケース板の上下両端縁部を躯体側に係止するだけで組み立てられることになって第二ケース部の構成を簡略化できると共に、該第二ケース部の組み立て、取り外しが容易になって作業性が向上する。
請求項5の発明とすることにより、第二ケース部が左右方向に長いものであっても、該第二ケース板を構成するケース板を複数枚のものに分割したものとなって搬送も容易になるうえ、取り扱いも簡略化されて組み立て作業等の作業性が向上する。
請求項6の発明とすることにより、第二ケース部を複数枚のケース板を用いて分割構成にした場合に、隣接するケース板同士の対向端縁部同士が積層された状態で連結されることになって該連結部位の構造も単純化され、組み立て作業等の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】シャッター装置のシャッターケース部位の縦断側面図である。
【
図3】(A)(B)はシャッターケースの正面図、平面図である。
【
図4】第一ケース部の組み立て状態、およびケース板ユニットが分解された状態を示す斜視図である。
【
図5】(A)(B)(C)は上面ケース板ユニットの底面図、側面図、正面図である。
【
図6】(A)(B)(C)は底面ケース板ユニットの平面図、側面図、正面図である。
【
図7】(A)(B)(C)は左右方向外側面ケース板ユニットの側面図、平面図、正面図である。
【
図8】(A)(B)(C)は左右方向内側面ケース板ユニットの側面図、平面図、正面図である。
【
図9】上面ケース板ユニット、底面ケース板ユニット、左右方向外側面ケース板ユニットを組み立てた状態の側面図である。
【
図10】(A)(B)は各ケース板ユニットの骨材の取り付け状態を示す斜視図、骨材同士を連結材を介して溶着した状態を示す斜視図である。
【
図11】(A)(B)は第一ケース部の縦断側面図、正面ケース板の取り付け状態を示す要部拡大縦断面図である。
【
図12】第一ケース部と第二ケース部とを分解した状態を示すシャッターケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等の建物の出入り口等の開口Eに建て付けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、重量式のものであって、開口Eの左右両端縁部に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に昇降案内されて開口Eの開閉をするシャッターカーテン3、開口E上方の天井部Hに配され、シャッターカーテン3が巻装される巻き取り体4、該巻き取り体4の左右方向一方側部位に配設され、巻き取り体4の開閉駆動をする電動式の開閉機5を備えて構成され、そして巻き取り体4および開閉機5を覆蓋するためのシャッターケース6が設けられたものとなっている。
因みに開閉機5と巻き取り体4とはチエン伝動機構5aにより連動連結され、また開閉機5の近傍には、開閉機5の駆動制御をするための制御部5b等の部材装置が配されているが、これらの配設構造については何れも従来公知のものを採用しているためその詳細および図示については省略する。
【0009】
前記シャッターケース6は、前記開閉機5、チエン伝動機構5a、制御部5b等の部材装置と共に巻き取り体4の該側部位を覆蓋する第一ケース部7と、該第一ケース部7から左右方向に延出する巻き取り体4の残りの長い部位を覆蓋する第二ケース部8とを備えたもので構成されるが、本実施の形態のシャッターケース6は、第一ケース部7が巻き取り体4の一部と共に開閉機5等の各種の部材装置も併せて覆蓋することから、このような部材装置を覆蓋する必要がない第二ケース部8に対して前方および上下方に延出(突出)することで前後幅が幅広(縦断したときの面積が大きいもの)になることで大型、第二ケース部8が小型になっている。この場合に、第一ケース部7は矩形形状に形成されているのに対し、第二ケース部8は、シャッターカーテン3が最大限巻装された巻き取り体4を遊嵌状に覆蓋するものであれば充分であるから、後述するように一枚板状のケース板23の複数枚を弧状に湾曲した状態で左右方向に連結した構成になっており、これによって第一ケース部7が大型、第二ケース部8が小型のものとなっている。
【0010】
前記第一ケース部7は、上面ケース板9a、正面ケース板10、底面ケース板11a、左右方向外側の外側面ケース板12a、内側の内側面ケース板13aとを備えて構成されているが、本実施の形態においては、正面ケース板10を除いた上面ケース板9a、底面ケース板11a、両側面ケース板12a、13aの内面に、それぞれ対応する骨材(梁、梁材)9b、11b、12b、13bが締結具の一例であるリベット14を介して締結されることで各ケース板ユニット9、11、12、13として形成され、これらのケース板ユニット9、11、12、13の骨材同士を溶着することで、正面が開口部Wとなった状態で形成され、そして正面ケース板10を前記開口部Wに着脱自在に取り付けて覆蓋(閉鎖)することで第一ケース部7が構成される。この場合、前記正面ケース板10を取り外すことで開口した開口部Wが点検窓(開口窓、点検口)となって機能するように配慮されている。また第一ケース部7の背面は、躯体壁面に対向するためケース板を用いて覆蓋する必要がなく開口したものとなっているが、覆蓋する必要がある場合には背面ケース板を用いる等して覆蓋できることは言うまでもない。
因みにケース板と骨材とを締結する締結具としてはリベットに限定されず、ビス、ボルト・ナット等の適宜の締結具を必要において採用できることは言うまでもない。
また本実施の形態においては正面ケース板10を開閉自在に取り付けて点検口とする構成にしているが、これに限定されず、底面ケース板11aや外側面ケース板12aを着脱自在に設けて点検口としても良いものであり、また、正面ケース板10を、他のケース板と同様骨材を設けたケース板ユニットとし、そして正面ケース板10に点検口を開閉自在に設けた構成にしても良く、このようなことは必要において適宜実施できるものである。
【0011】
次に、前記第一ケース部7の各ケース板ユニットについて説明をする。
まず上面ケース板ユニット9であるが、このものは、長方形状をした上面ケース板9aの内面(下面)に、四周枠となる前後左右の骨材9b、9c、9d、9eと、左右方向中間位置に配される状態で前後骨材9b、9cに固着される中間骨材9fとを用いて枠組み形成されたものが当てがわれた状態で、該上面ケース板9aとこれら骨材9b~9fとがリベット14を介して一体に締結されたものであり、上面ケース板9aの前端縁部からは、下方に向けて折曲された折曲片部9gが設けられているが、該折曲片部9gは、ケース内側に凹嵌するよう断面逆L字状に折曲されたものになっていて、正面ケース板10をビス10aを介して着脱自在(開閉自在)に取り付けるための取り付け片(当て代)に構成される。
【0012】
また底面(下面)ケース板ユニット11は、長方形状をした底面ケース板11aの内面(上面)に、四角形状に枠組みされた前後左右の骨材11b、11c、11d、11eを用いて枠組み形成されたものが当てがわれた状態で、該底面ケース板11a、骨材11b~11eとがリベット14を介して一体に締結されたものであり、底面ケース板11aの前端縁部からは、上方に向けて折曲された折曲片部11fが設けられているが、該前側の折曲片部11fは、ケース内側に凹嵌するよう断面逆L字状に折曲されたものになっていて、正面ケース板10をビス10aを介して着脱自在(開閉自在)に取り付けるための取り付け片に構成される。
【0013】
また左右方向外側面ケース板ユニット12は、前記同様にして外側面ケース板12aの内面(内側面)の前端縁部および前後方向中間部に上下方向を向いた縦方向に長い一対の前側骨材12b、後側骨材12cがリベット14を介して一体に締結され、かつ外側ケース板12aの前端縁部には、前記同様にして正面ケース板10をビス10aを介して着脱自在(開閉自在)に取り付けるための取り付け片となる折曲片部12dが設けられている。
一方、内側面ケース板ユニット13は、外側面ケース板ユニット12の場合と同様、内側面ケース板13aの内面に、前後一対の前側骨材13b、後側骨材13cが当てがわれた状態でリベット14を介して一体に締結され、かつ内面側ケース板13aの前端縁部には、正面ケース板10の取り付け片となる折曲片部13dが設けられる。
さらに内側面ケース板13aには、巻き取り体4が遊嵌状に貫通するため円弧状の切り欠き部13gが形成されるが、さらに上下および正面側の端縁には、第二ケース部8側に向けて延出した延出片部13fが形成されているが、該延出片部13fは、後述する第二ケース部8の左右方向内側端縁に内嵌することで第一、第二ケース部7、8同士のあいだを封止する状態の連結ができるように構成されている。
【0014】
そしてこのように形成される各ケース板ユニット9、11、12、13を用いて、前面が開口した状態の第一ケース部7を組み立てることになるが、具体的には、左右方向内外面のケース板ユニット12、13の上下に、上面ケース板ユニット9と底面ケース板ユニット11を組み立て固定するかたちになる。
そこで本実施の形態のものは、上面ケース板ユニット9と外側面ケース板ユニット12とのあいだの組み立てについては、上面ケース板ユニット9の左右方向外側骨材9dと、外側面ケース板ユニット12の前後両側の骨材12b、12cとの90度(直角)の角度を存する各コーナー部に筋交いとなるよう傾斜状に架け渡される連結材15を当てがった状態で、連結材15の各先端部を外側骨材9d、前後両側骨材12b、12cに溶着することで上面ケース板ユニット9と外側面ケース板ユニット12とが組み立て固定される。
因みに連結材15と骨材との溶着には、溶接跡が外面(ケース表面)に出ないよう溶接することが必要になり、本実施の形態のように溶接法として肉盛り溶接をするものである場合、例えば
図10(B)に示すように、何れもL字形をした前記骨材12cと骨材11dとの内側面に連結材15を架け渡し状に当てがい、連結材15の骨材12c、11dに対する当接周縁部を溶着Yすればよいことになり、溶接跡が外面(ケース表面)に出ないものであれば溶着位置について特に限定されるものでない。勿論、溶接法として抜き溶接等、各種の溶接法を採用できることは言うまでもない。
また底面ケース板ユニット11と外側面ケース板ユニット12とのあいだについても、前記同様にして底面ケース板ユニット11の左右方向外側骨材11dと、外側面ケース板ユニット12の前後両側の骨材12b、12cとの各コーナー部に傾斜状に架け渡される連結材15を外側骨材11d、前後両側骨材12b、12cに溶着することで底面ケース板ユニット11と外側面ケース板ユニット12とが組み立て固定される。
【0015】
同様にして上面ケース板ユニット9および底面ケース板ユニット11と、内側面ケース板ユニット13とについても、上面ケース板ユニット9、底面ケース板ユニット11の左右方向内側骨材9e、11eと内側面ケース板ユニット13の前後両側の骨材13b、13cとの各対向するコーナー部に傾斜状に架け渡される連結材15を溶着することで上面ケース板ユニット9、底面ケース板ユニット11と内側面ケース板ユニット13とが組み立て固定される。
因みに前記本実施の形態においては、例えば上面ケース板ユニット9と内側面ケース板ユニット13とを組み立て固定するにあたり、上面ケース板ユニット9の左右方向内側骨材9eと内側面ケース板ユニット13の前側骨材13bとを連結材15を介して溶着した構成にしているが、これに限定されず、上面ケース板ユニット9の前側骨材9bと内側面ケース板ユニット13の前側骨材12bとを連結材15を介して溶着しても良く、さらには上面ケース板ユニット9の前側骨材9b、左右方向内側骨材9eの両者と内側面ケース板ユニット13の前側骨材13bとを連結材15を介して溶着するようにしても良く、この様にしたときにはより補強されたものとすることができる。
【0016】
これに対し第二ケース部8は、一枚板状のケース板23の複数枚を弧状に湾曲した丸形状のものとなっていて、第一ケース部7から延出する巻き取り体(シャッターカーテン3が最大限巻装された状態のもの)4の上面、正面、底面を弧状の状態で覆蓋するものであり、前述したように第一ケース部7に対し、上下両側および正面(前面)側が小さい(はみ出すことがない)小型のものに設定されている。
【0017】
具体的には、第一ケース部7の左右方向内側ケース板ユニット13の内側面ケース板13aには、巻き取り体4を遊嵌状に貫通するべく円弧状の切り欠き部13gが形成されると共に、該切り欠き部13gの端縁からは第二ケース部8側に向けて延出片部13fが形成されている。
これに対し第二ケース部8を構成するケース板23は、平板状の鋼板により構成されたものが弧状に湾曲されることの復元力により平板状に復帰する機能を備えたものであって、下端縁部23aが、マグサ部Mに配した下フレーム24(マグサ部Mに設けたマグサ材であっても良い。)に設けた凹溝状をした下側支持部材25のコーナー部25aに係止し、上端縁部23bが躯体側部材Xに設けた上側係止部材26に設けた係止片26aに嵌入係止する状態で組み付けられたものである。そして該組み付けられたケース板23は、前述したように平板状のものを湾曲したことによる復元力を発揮することにより円弧形状に維持され、上下端縁部23b、23aの何れか一方の係止を解除することで取り外すことができるよう設定されている。
【0018】
しかもケース板23は、第一ケース部7側の端縁部が、第一ケース部7の内側面ケース板13aに形成の延出片部13fに積層状(オーバーラップする状態)に外嵌していることで、固定や締結のない状態で連結したものとなってシャッターケース6の組み立て構成が簡略化され、作業性の向上が図れることになる。
そのうえ第二ケース部8は、ケース板23の複数枚を左右方向に連結した分割型になっており、しかも分割部位の連結についても、第一ケース部7との連結の場合と同様、隣接するケース板23を、互いに対向する端縁部同士を表裏積層する状態で連結する構成したものとなっている。
因みに、ケース板23が三枚以上に分割されたものである場合に、
図3に示すように、左右両側のケース板23を、左右方向内側に隣接するケース板23に対して外側(表面側)に積層するようにして連結するようにして取り付けることが好ましく、このようにすることで、第一ケース部7に隣接するケース板23については、正面ケース板10を取り外しただけではメンテナンス作業に狭すぎる場合に、該ケース板23を、隣接するケース板23を取り外すことなく取り外せるという利点があり、また左右方向外端側のケース板23については、巻き取り部4の躯体側への取り付け部位についてのメンテナンスの際に、該ケース板23のみを取り外しての作業ができる、という利点がある。
【0019】
叙述の如く構成された本実施の形態において、建物用のシャッター装置1に設けられるシャッターケース6を、第一、第二ケース部7、8を用いて組み立てることになるが、この場合において、第一ケース部7は、開閉機5等の部材装置も併せて覆蓋するため矩形形状をした大型のものになっているのに対し、第二ケース部8は、開閉機5等の部材装置を覆蓋する必要はなく、シャッターカーテン3が巻装される巻き取り体4を覆蓋するだけで良いため、巻装形状に添うよう円弧状に湾曲したケース板23により構成した小型のものとなってシャッターケース6のコンパクト化が果たせ、しかも第一、第二ケース部7、8が端縁部同士を連結した分割ものとなって、搬送する際の利便性が図れると共に、シャッターケースの配設スペースも低減できることになる。
【0020】
しかも、この場合の第一、第二ケース部7、8同士の連結が、第一ケース部7側に設けた弧状の延出片部13fに、第二ケース部8のケース板23を外嵌状に嵌合する状態での連結でよいことなって、溶着やビス等による締結が必要なく、シャッターケースの組み立てが簡単にできることになる。
そしてこの場合に、矩形形状をした第一ケース部7自体も、対応するケース板内側面にリベット14を介して締結された骨材同士を、連結材15を介して溶着Yすることで組み立てられるものである結果、第一ケース部7の組み立ても容易になると共に、外部に溶接痕が出てしまうことを回避できることになって溶接痕の後処理を不要にできて組み立て作業の作業性が向上する。
【0021】
また第二ケース部8としては、平板状をしたケース板23の上下両端縁部23b、23aのうちの何れか一方の端縁部23bまたは23aを、上下何れか一方の支持部材26または25に係止した状態で弧状に湾曲し、そして他方の端縁部23aまたは23bを他方の支持部材25または26に係止することで組み付けられることになり、この結果、第二ケース部8の構成を簡略化できると共に、該第二ケース部8の組み立て、取り外しが容易になって作業性が向上する。
【0022】
しかも第二ケース部8を構成するケース板23は、一枚ものでなく、複数枚に分割されたものとなっている結果、第二ケース部8が左右方向に長いものであっても、ケース板23を小型コンパクト化することができ、搬送が容易になるうえ、取り扱いも簡略化されて組み立て作業等の作業性が向上する。
そのうえ第二ケース部8を構成する複数枚のケース板23の隣接するもの同士を連結する場合に、隣接するケース板23の互いに対向する端縁部同士を、表裏に積層された重合状態で連結されたものになる結果、連結部位の構造も単純化され、組み立て作業等の作業性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ビル等建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターケースおよびシャッターケースの製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
4 巻き取り体
5 開閉機
6 シャッターケース
7 第一ケース部
8 第二ケース部
9 上面ケース板ユニット
9a 上面ケース板
9b 前側骨材
9c 後側骨材
9d 右外側骨材
9e 左内側骨材
10 正面ケース板
11 底面ケース板ユニット
11a底面ケース板
12 外側面ケース板ユニット
13 内側面ケース板ユニット
13f 延出片部
14 リベット
15 連結材
23 第二ケース部のケース板