(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】疾患の処置のための鼻腔内エピネフリン製剤及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/137 20060101AFI20250117BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250117BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250117BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20250117BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20250117BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20250117BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250117BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20250117BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250117BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250117BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20250117BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61K31/137
A61K47/26
A61K9/08
A61P37/08
A61P11/06
A61P11/00
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/22
A61P43/00 111
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021135018
(22)【出願日】2021-08-20
(62)【分割の表示】P 2020505498の分割
【原出願日】2019-02-06
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520034288
【氏名又は名称】イージス セラピューティクス,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】520034303
【氏名又は名称】エーアールエス ファーマシューティカルズ オペレーションズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローエンタール,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マッジオ,エドワード ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ベル,ロバート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】シャー,プラティック
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0216199(US,A1)
【文献】特表2016-531140(JP,A)
【文献】国際公開第2019/157099(WO,A1)
【文献】Asian Pac. J. Allergy Immunol.,2016年,Vol.34,pp.38-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおいて1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)の処置方法に使用するためのエピネフリン又はその塩および吸収促進剤を含む経鼻噴霧医薬製剤であって、前記方法は必要とするヒトへの前記経鼻噴霧医薬製剤の鼻腔内投与を含み、
前記経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、0.40mg~2.4mgのエピネフリン又はその塩を含み、
前記エピネフリン又はその塩が、前記医薬製剤中で唯一の医薬活性化合物であり、
前記吸収促進剤は、アルキルグリコシドであり、
前記経鼻噴霧医薬製剤は水溶液であり、
前記経鼻噴霧医薬製剤の前記1回量は1回量投与用の経鼻薬物送達デバイスを用いて投与され、
前記経鼻薬物送達デバイスはリザーバを備え、当該リザーバ内の
前記経鼻噴霧医薬製剤の量は125μLより多く、140μL未満であり、
前記リザーバ内の100μLの
前記経鼻噴霧医薬製剤は1回の操作において送達される、
経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項2】
前記1型過敏性反応は、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹、好酸球増加症、薬物アレルギー、及び食物アレルギーから選択され、随意に前記薬物アレルギーは抗生物質アレルギーである、請求項1に記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項3】
ヒトにおいてアナフィラキシーの処置方法に使用するためのエピネフリン又はその塩および吸収促進剤を含む経鼻噴霧医薬製剤であって、前記方法は必要とするヒトへの前記経鼻噴霧医薬製剤の鼻腔内投与を含み、
前記経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、0.40mg~2.4mgのエピネフリン又はその塩を含み、
前記エピネフリン又はその塩が、前記医薬製剤中で唯一の医薬活性化合物であり、
前記吸収促進剤は、アルキルグリコシドであり、
前記経鼻噴霧医薬製剤は水溶液であり、
前記経鼻噴霧医薬製剤の前記1回量は1回量投与用の経鼻薬物送達デバイスを用いて投与され、
前記経鼻薬物送達デバイスはリザーバを備え、当該リザーバ内の
前記経鼻噴霧医薬製剤の量は125μLより多く、140μL未満であり、
前記リザーバ内の100μLの
前記経鼻噴霧医薬製剤は1回の操作において送達される、
経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項4】
ヒトにおいて蕁麻疹の処置方法に使用するためのエピネフリン又はその塩および吸収促進剤を含む経鼻噴霧医薬製剤であって、前記方法は必要とするヒトへの前記経鼻噴霧医薬製剤の鼻腔内投与を含み、
前記経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、0.40mg~2.4mgのエピネフリン又はその塩を含み、
前記エピネフリン又はその塩が、前記医薬製剤中で唯一の医薬活性化合物であり、
前記吸収促進剤は、アルキルグリコシドであり、
前記経鼻噴霧医薬製剤は水溶液であり、
前記経鼻噴霧医薬製剤の前記1回量は1回量投与用の経鼻薬物送達デバイスを用いて投与され、
前記経鼻薬物送達デバイスはリザーバを備え、当該リザーバ内の
前記経鼻噴霧医薬製剤の量は125μLより多く、140μL未満であり、
前記リザーバ内の100μLの
前記経鼻噴霧医薬製剤は1回の操作において送達される、
経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項5】
ヒトにおいてアレルギー性喘息の処置方法に使用するためのエピネフリン又はその塩および吸収促進剤を含む経鼻噴霧医薬製剤であって、前記方法は必要とするヒトへの前記経鼻噴霧医薬製剤の鼻腔内投与を含み、
前記経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、0.40mg~2.4mgのエピネフリン又はその塩を含み、
前記エピネフリン又はその塩が、前記医薬製剤中で唯一の医薬活性化合物であり、
前記吸収促進剤は、アルキルグリコシドであり、
前記経鼻噴霧医薬製剤は水溶液であり、
前記経鼻噴霧医薬製剤の前記1回量は1回量投与用の経鼻薬物送達デバイスを用いて投与され、
前記経鼻薬物送達デバイスはリザーバを備え、当該リザーバ内の経鼻噴霧医薬製剤の量は125μLより多く、140μL未満であり、
前記リザーバ内の100μLの経鼻噴霧医薬製剤は1回の操作において送達される、
経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項6】
ヒトにおいて気管支けいれんの処置方法に使用するためのエピネフリン又はその塩および吸収促進剤を含む経鼻噴霧医薬製剤であって、前記方法は必要とする
ヒトへの前記経鼻噴霧医薬製剤の鼻腔内投与を含み、
前記経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、0.40mg~2.4mgのエピネフリン又はその塩を含み、
前記エピネフリン又はその塩が、前記医薬製剤中で唯一の医薬活性化合物であり、
前記吸収促進剤は、アルキルグリコシドであり、
前記経鼻噴霧医薬製剤は水溶液であり、
前記経鼻噴霧医薬製剤の前記1回量は1回量投与用の経鼻薬物送達デバイスを用いて投与され、
前記経鼻薬物送達デバイスはリザーバを備え、当該リザーバ内の
前記経鼻噴霧医薬製剤の量は125μLより多く、140μL未満であり、
前記リザーバ内の100μLの
前記経鼻噴霧医薬製剤は1回の操作において送達される、
経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項7】
前記医薬製剤の1回量は
、0.5mg
、0.6mg
、0.7mg
、0.8mg
、0.9mg
、1.0mg
、1.1mg
、1.2mg
、1.3mg
、1.4mg
、1.5mg
、1.6mg
、1.7mg
、1.8mg
、1.9mg
、2.0mg
、2.1mg
、2.2mg
、2.3mg
、2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項8】
前記医薬製剤の1回量は
、0.5mg
、1.0mg、又
は2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項9】
前記医薬製剤の1回量は
、1.0mg、又
は2.0mgのエピネフリン又はその塩
を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項10】
前記
アルキルグリコシドは、ウンデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、スクロースモノ-ドデカノエート、スクロースモノ-トリデカノエート、及びスクロースモノ-テトラデカノエートからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか
1つに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項11】
前記
アルキルグリコシドは、ドデシルマルトシドである、請求項1~9のいずれか
1つに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項12】
前記
アルキルグリコシドは
、0.1%(w/v)
~0.5%(w/v)の濃度のドデシルマルトシドである、請求項1~9のいずれか
1つに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項13】
前記医薬製剤は、等張化剤、安定化剤、抗酸化剤、防腐剤、およびpH調整剤からなる群から選択される1つまたは複数の他の薬剤を賦形剤としてさらに含む、請求項1~
12のいずれかに記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項14】
前記等張
化剤は、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、及び塩化ナトリウムからなる群から選択される、請求項
13に記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【請求項15】
前記抗酸化剤は、αトコフェロール、D-α-トコフェロール、ポリエチレングリコール1000コハク酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、クエン酸一水和物、メタ重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、
および亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項
13または
14に記載の経鼻噴霧医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年2月6日出願の米国特許出願第15/890,131号;及び2018年12月21日出願の米国仮特許出願第62/784,057号の利益を主張するものであり;各出願はその全体を引用することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、鼻腔内(IN)エピネフリン製剤、及び疾病又は疾患の処置においてそのような製剤を使用する方法が記載される。
【背景技術】
【0003】
アナフィラキシーは、蘇生手段、例えば気道確保、酸素補給、多量の静脈内輸液、及び緊密なモニタリングなどを必要とし得る医学的緊急事態である。エピネフリンの投与が一般的に好まれる処置である。針を使用せず且つ非侵襲的なエピネフリンの投薬方法が今尚必要とされている。本明細書には、アナフィラキシー及び他の疾病の処置のための方法、製剤、及びデバイスが提供される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、エピネフリンの製剤、及び、1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)、喘息、及び心停止などの疾病の処置における前記製剤の使用方法が提供される。
【0005】
アナフィラキシーは、多くの身体系に影響を及ぼす重度で、場合によっては生命を脅かしかねない1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)であり、典型的には平均で、抗原への静脈内暴露後約5~30分、及び経口曝露後約2時間で急速に発症する。アナフィラキシーは、典型的には免疫反応によるが、時折非免疫機構による、肥満細胞及び好塩基性細胞からの炎症性メディエーター及びサイトカインの放出から生じる。罹患した身体の最も一般的な領域には、皮膚(80-90%)、呼吸器(70%)、胃腸(30-45%)、心臓及び脈管構造(10-45%)、及び中枢神経系(10-15%)が挙げられ、通常は2つ以上が単一のエピソードに関与する。
【0006】
アナフィラキシーは、蘇生手段、例えば気道確保、酸素補給、多量の静脈内輸液、及び緊密なモニタリングなどを必要とし得る医学的緊急事態である。エピネフリンの投与は一般的に好まれる処置であり、抗ヒスタミン剤及びステロイド(例えばデキサメタゾン)が多くの場合に補助剤として使用される。二相性アナフィラキシーの懸念により、2~24時間の院内観察の期間は多くの場合、一度標準に戻った人々に必要とされている。
【0007】
エピネフリン(アドレナリン、(R)-4-(1-ヒドロキシ-2-(メチルアミノ)エチル)ベンゼン-1,2-ジオール)は、アナフィラキシーの主要な処置であり、その使用に対して絶対的な禁忌はない。現在エピネフリンは溶液として投与されており、アナフィラキシーが疑われると直ちに、好ましくは大腿前外側部中央への注射により与えられる。注射は、反応が不十分な場合に5~15分毎に繰り返され得る。第2の投薬は、エピソードの16-35%に必要とされるが、2回より多くの投薬はめったに必要とされない。筋肉内経路は皮下投与に対して好ましく、なぜならば後者はエピネフリン吸収を遅らせるからである。しかし、エピネフリンから軽微な副作用のみが報告されている一方で(震え、不安症、頭痛、及び動悸)、注射の位置(筋肉内又は皮下)、及び肥満度指数(BMI)などの他の要因に応じて注射製品からの高度に可変的な曝露が数多く報告されている。
【0008】
医学界において、院外環境におけるアナフィラキシーの臨床管理の改善を支援するであろう製品を開発することが著しく必要とされている。エピネフリンは筋肉内注射による送達時に有効であるが、薬物動態は、筋肉内又は皮下にかかわらず、注射の部位に応じて大きく変動するという証拠が公開されている。また、複雑な技術を利用する承認済みの自己注入装置に関する重大な製品品質の問題も存在し、その結果、米国においてFDAによりこれら製品に対して多くのリコールが行われている。エピネフリンの自己注入装置、例えばEpiPen(登録商標)など、はまた、場合によっては生命を脅かしかねない事態において適切に投与を行うための訓練を実行し、且つそのような訓練と時間を必要とするには面倒なものでもある。
【0009】
エピネフリンの投薬のための代替的で、針を使用しない、且つ非侵襲的な方法の必要性が十分に文書化されており、なぜならば、多くの患者には注射に対する恐れがあり、結果として、あらゆる種類の自己注入装置に抵抗がある。更に、自己注入装置は大きく手間がかかるので、必要とする多くの患者は常に自分のいる場所にエピネフリン注射器を持たない。公共の環境における自己投薬に対する抵抗も十分に文書化されている。
【0010】
故に、緊急事態におけるエピネフリンの改善された又は代替的な投薬方法の他、改善された又は代替的な製剤及びデバイスが必要とされている。望ましい改善は、個別又は組み合わせでの、利便性(鼻腔内対、筋肉内)、より迅速な投与、より確実且つより一貫した投薬、針の不使用、人前での投薬を行うようにより離散的であること(discrete)、及び、訓練を受けていない個人又は非専門家により投与可能であること、である。
【0011】
従って、本明細書には、アナフィラキシー及び他の疾病の処置のための方法、製剤、及びデバイスが提供され、前記方法は、エピネフリンの鼻腔内製剤を、小さくコンパクトな単位投薬噴霧デバイスを用いて投与する工程を含む。
【0012】
一態様において、本明細書には、約0.40mg~約2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧医薬製剤が記載される。別の態様において、本明細書には、約0.40mg~約2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧医薬製剤が、当該経鼻噴霧医薬製剤の1回量において記載される。別の態様において、本明細書には、約0.40mg~約2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧医薬製剤が、1回量の経鼻噴霧医薬製剤において記載される。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、約0.40mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、約0.40mg~約1.8mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約0.5mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約0.5mg~約0.7mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約1.3mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、被験体への経鼻噴霧医薬製剤の1回量の鼻腔内投与は、急性過敏性反応の処置に有効な血漿エピネフリン濃度をもたらす。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、水溶液、水性懸濁液、水性エマルジョン、非水性溶液、非水性懸濁液、非水性エマルジョン、又は乾燥粉末である。
【0013】
一態様において、本明細書には、デバイスから分注される投与量あたり約0.40mg~約2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載される。幾つかの実施形態において、本明細書には、デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩;デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩;デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約0.7mgのエピネフリン又はその塩;デバイスから分注される投与量あたり約1.0mgのエピネフリン又はその塩;或いはデバイスから分注される投与量あたり約1.3mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載される。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量の鼻腔内は、鼻腔内投与時に、急性過敏性反応の処置に有効な血漿エピネフリン濃度をもたらす。幾つかの実施形態において、エピネフリン又はその塩は、急性過敏性反応の処置に有効な量の医薬製剤に存在する。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、水溶液、水性懸濁液、水性エマルジョン、非水性溶液、非水性懸濁液、又は非水性エマルジョンである。
【0014】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約1mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約5mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約1mg/mL~約20mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約3mg/mL~約20mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約3mg/mL~約15mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、約15mg/mL、約16mg/mL、約17mg/mL、約18mg/mL、約19mg/mL、或いは約20mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤の投与量は、約100μLの本明細書に記載される経鼻噴霧エピネフリン製剤を含む。
【0015】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約1mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約1mg/mL~約20mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約1mg/mL~約18mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、約15mg/mL、約16mg/mL、約17mg/mL、約18mg/mL、約19mg/mL、或いは約20mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約3mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、約10.5mg/mL、約11mg/mL、約11.5mg/mL、約12mg/mL、約12.5mg/mL、約13mg/mL、約13.5mg/mL、約14mg/mL、約14.5mg/mL、或いは約15mg/mlのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は約約10mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約6mg/mL~約8mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される経鼻噴霧製剤は、約13mg/mL~約15mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤の投与量は、約100μLの本明細書に記載される経鼻噴霧エピネフリン製剤を含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、約100μLの本明細書に記載される経鼻噴霧製剤の投与量は、1mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、約100μLの本明細書に記載される経鼻噴霧製剤の投与量は、1mg/mL~20mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、約100μLの本明細書に記載される経鼻噴霧製剤の投与量は、3mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、4.5mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、6.5mg/mL、7mg/mL、7.5mg/mL、8mg/mL、8.5mg/mL、9mg/mL、9.5mg/mL、10mg/mL、10.5mg/mL、11mg/mL、11.5mg/mL、12mg/mL、12.5mg/mL、13mg/mL、13.5mg/mL、14mg/mL、14.5mg/mL、或いは15mg/mlのエピネフリン又はその塩を含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、筋肉内(IM)注射を外側大腿に行う場合にIM注射のような薬物動態、又は皮下(SC)のような吸収、或いはその中間をもたらす。
【0019】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、筋肉内(IM)のような吸収をもたらす。
【0020】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は皮下(SC)のような吸収をもたらし、SC薬物動態プロファイルには少なくとも100pg/mLのCmax及び150h*pg/mLのAUC0-240minがある。
【0021】
幾つかの実施形態において、被験体への経鼻噴霧医薬製剤の1回量の鼻腔内投与は、筋肉内(IM)注射のような吸収をもたらす。
【0022】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、被検体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;又は大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、被検体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;及び大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。
【0023】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、被検体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;又は大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、被検体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;及び大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。
【0024】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、被検体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.5mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.5mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;又は大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、被検体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.5mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.5mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;及び大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。
【0025】
幾つかの実施形態において、エピネフリンの各モルに対して経鼻噴霧製剤は、約0.5~約1.1モル当量の酸を含む。幾つかの実施形態において、酸は、アジピン酸、塩化アンモニウム、クエン酸、酢酸、塩酸、乳酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、又は酒石酸である。幾つかの実施形態において、酸は塩酸である。幾つかの実施形態において、塩基は経鼻噴霧製剤へと、その調製中に添加されない。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約2.0~約6.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約4.0のpHを有する。
【0026】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約5mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.9mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.9mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.75mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.45mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約1.0mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約0.7mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約1.3mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、1つ以上の吸収促進薬;及び随意に、等張剤;安定化剤;防腐剤;矯味剤;粘度改質剤;抗酸化剤;緩衝液及びpH調節剤から選択される1つ以上の薬剤を含み;ここで、経鼻噴霧医薬製剤のpHは約2.0~約6.0である。
【0028】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、約3.0~約5.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、約4.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤はpH調節剤を含む。幾つかの実施形態において、pH調節剤は、酸、塩基、緩衝液、又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、酸は、アジピン酸、塩化アンモニウム、クエン酸、酢酸、塩酸、乳酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、又は酒石酸であり;塩基は水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムであり;及び緩衝液はリン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、又はクエン酸塩緩衝液である。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、エピネフリンの各モルに対して約0.5~約1.1モル当量の酸を含む。幾つかの実施形態において、酸は塩酸である。
【0029】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、ドデシルマルトシド、塩化ベンザルコニウム、オレイン酸又はその塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びラウリル硫酸ナトリウムから選択された1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記製剤は、アルコール、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイル、ジメチルスルホキシド、モノオレイン酸グリセリル、グリコフロール、グリコフロール、グリコシル化スフィンゴシン、グリシレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウレス-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407又はF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、軽油、リノール酸、メントール、ミリスチン酸、ミスリチルアルコール、オレイン酸又はその塩、オレイルアルコール、パルミチン酸、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、キラヤサポニン(quillaia saponin)、サリチル酸、ナトリウム塩、β-シトステロール、β-D-グルコシド、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、チモール、トリカプリン、トリオレイン、及びアルキルサッカライドから選択された1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0031】
幾つかの実施形態において、前記製剤は、ドデシルマルトシド、塩化ベンザルコニウム、オレイン酸又はその塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びラウリル硫酸ナトリウムから選択された1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0032】
幾つかの実施形態において、1つ以上の吸収促進剤は、約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩;又は約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;又は約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせである。
【0033】
幾つかの実施形態において、1つ以上の吸収促進剤は、約0.005%(w/v)~約0.08%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;又は約0.01%(w/v)~約0.06%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;又は約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウムであり;ここで、塩化ベンザルコニウムは、製剤中の唯一の吸収促進薬であり、或いは1つ以上の追加の吸収促進薬を含む製剤に存在する。
【0034】
幾つかの実施形態において、前記製剤は防腐剤を含む。幾つかの実施形態において、防腐剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0035】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は等張剤を含む。幾つかの実施形態において、等張剤は、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、又は塩化ナトリウムである。幾つかの実施形態において、等張剤は塩化ナトリウムである。
【0036】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に安定化剤を含む。幾つかの実施形態において、安定化剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩である。幾つかの実施形態において、EDTAはEDTA二ナトリウムである。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約0.001%(w/v)~約1%(w/v)のEDTA二ナトリウムを含む。
【0037】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に防腐剤を含む。幾つかの実施形態において、防腐剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0038】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、アルキルグリコシド、塩化ベンザルコニウム、オレイン酸又はその塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、シクロデキストリン、中鎖脂肪酸及び高鎖脂肪酸、又はそれらの塩、飽和及び不飽和脂肪酸、又はそれらの塩、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、PEG300/400、及びベンジルアルコールから選択される1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0039】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に抗酸化剤を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に、αトコフェロール、アラキドン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、塩化ベンゼトニウム、臭化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、カプリン酸、カプロン酸、二酸化炭素、塩化セチルピリジニウム、キレート化剤、キトサン誘導体、クエン酸一水和物、ドデシルジメチルアミノプロピオナート、エナント酸、エリソルビン酸、オレイン酸エチル、フマル酸、オレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセリン、ラウリン酸、リモネン、リノレン酸、リジン、リンゴ酸、メントール、メチオニン、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ペラルゴン酸、ハッカ油、リン酸、ポリソルベート、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、デスオキシコール酸ナトリウム、デオキシグリコール酸ナトリウム、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、グリココール酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシベンゾイルアミノカプリル酸塩(sodium hydroxybenzoyal amino caprylate)、ラウリル硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ステアリン酸、二酸化硫黄、及びそれらの組み合わせから選択される抗酸化剤を含む。
【0040】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に、クエン酸一水和物、酒石酸、チモール、トコフェロール(αトコフェロール)、トコフェラゾール(tocopherasol)、ビタミンE及びビタミンEポリエチレングリコールスクシナート、及びそれらの組み合わせから選択される抗酸化剤を含有する協力剤を含む。
【0041】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に、アルコール、アラキドン酸、塩化ベンゼトニウム、臭化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、カプリン酸、カプロン酸、カルボン、塩化セチルピリジウム、キトサン、クエン酸、6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、ジメチルスルホキシド、ドデシルジメチルアミノプロピオナート、1-O-n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、ドデシルポリエチレングリコールエーテル、エデト酸2ナトリウム二水和物、エナント酸、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリン、グリコフロール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ペラルゴン酸、ラノリン、ラウリン酸、軽油、リモネン、リノール酸、リジン、メントール、ミリスチン酸、ミスリチルアルコール、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、ハッカ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、ポリソルベート、ピロリドン、カプリン酸ナトリウム、デスオキシコール酸ナトリウム、デオキシグリコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシベンゾイルアミノカプリル酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ステアリン酸、チモール、トリカプリン、トリオレイン、ウンデシレン酸、及びそれらの組み合わせから選択される浸透増強剤を含む。
【0042】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド;約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩及び約0.001%~1%のメタ重亜硫酸ナトリウムの組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩及び約0.001%~10%のポリソルベート80及び約0.001%~1%のメタ重亜硫酸ナトリウムの組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩及び約0.001%~10%のポリソルベート80及び約0.001%~1%のメタ重亜硫酸ナトリウム及び約0.001%~1%のクエン酸の組み合わせを含む。
【0043】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約0.005%(w/v)~約0.08%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.01%(w/v)~約0.06%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;又は約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウムであり;ここで、塩化ベンザルコニウムは、経鼻噴霧製剤中の唯一の吸収促進薬であり、或いは1つ以上の追加の吸収促進薬を含む製剤に存在する。
【0044】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、本明細書に記載される抗酸化剤の何れか1つの約0.001%から1%、又は本明細書に記載される抗酸化剤の何れか1つの組み合わせを含む。
【0045】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は緩衝剤を含む。緩衝剤には、限定されないが、アジピン酸、ホウ酸、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、三塩基性のクエン酸一水和物、リン酸水素ナトリウム、ジエタノールアミン、グリシン、マレイン酸、リンゴ酸、メチオニン、一塩基リン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グルタミン酸ナトリウム、リン酸、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム及びトリエタノールアミンを含む。
【0046】
一態様において、本明細書にはアドレナリン受容体により媒介される疾病の処置方法が提供され、該方法は、本明細書に記載されるような製剤の何れか1つの鼻腔内投与を含む。幾つかの実施形態において、前記疾病は、1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)、急性喘息発作、心停止、及びストークス-アダムス症候群から選択される。幾つかの実施形態において、前記疾病は1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)である。幾つかの実施形態において、1型過敏性反応は、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹、好酸球増加症、薬物アレルギー、及び食物アレルギーから選択される。幾つかの実施形態において、薬物アレルギー薬は抗生物質アレルギーである。
【0047】
一態様において、本明細書には、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;又は大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。別の態様において、本明細書には、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;及び大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。
【0048】
別の態様において、本明細書には、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;又は大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。別の態様において、本明細書には、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;及び大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。
【0049】
また別の態様において、本明細書には、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が記載され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.5mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;0.5mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;45分未満の平均tmax;又は大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収、の1つ以上をもたらす。
【0050】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は医薬製剤である。
【0051】
幾つかの実施形態において、エピネフリン又はその塩は、急性過敏性反応の処置に有効な量の経鼻噴霧製剤に存在する。
【0052】
幾つかの実施形態において、被験体への経鼻噴霧医薬製剤の1回量の鼻腔内投与は、急性過敏性反応の処置に有効な血漿エピネフリン濃度をもたらす。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約0.5mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約0.5mg~約0.7mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤の1回量は、約1.3mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻医薬製剤は、水溶液、水性懸濁液、水性エマルジョン、非水性溶液、非水性懸濁液、非水性エマルジョン、加圧された計量式吸入器、又は乾燥粉末である。
【0053】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、水溶液、水性懸濁液、水性エマルジョン、非水性溶液、非水性懸濁液、又は非水性エマルジョンである。
【0054】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、筋肉内(IM)注射を外側大腿に行う場合にIM注射のような薬物動態、又は皮下(SC)のような吸収、或いはその中間を有する。
【0055】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は皮下(SC)のような吸収を有し、SC薬物動態プロファイルには少なくとも100pg/mLのCmax及び150h*pg/mLのAUC0-240minがある。
【0056】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、筋肉内(IM)のような吸収を有する。
【0057】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は吸収促進剤を含む。
【0058】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、1つ以上の吸収促進薬;及び随意に、等張剤;安定化剤;防腐剤;矯味剤;粘度改質剤;抗酸化剤;緩衝液及びpH調節剤から選択される1つ以上の薬剤を含み;ここで、経鼻噴霧医薬製剤のpHは約2.0~約6.0である。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、約3.0~約5.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤は、約4.0のpHを有する。
【0059】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧医薬製剤はpH調節剤を含む。幾つかの実施形態において、pH調節剤は、酸、塩基、緩衝液、又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、酸は、アジピン酸、塩化アンモニウム、クエン酸、酢酸、塩酸、乳酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、又は酒石酸であり;塩基は水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムであり;及び緩衝液はリン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、又はクエン酸塩緩衝液である。
【0060】
幾つかの実施形態において、エピネフリンの各モルに対して経鼻噴霧製剤は、約0.5~約1.1モル当量の酸を含む。幾つかの実施形態において、酸は、アジピン酸、塩化アンモニウム、クエン酸、酢酸、塩酸、乳酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、又は酒石酸である。幾つかの実施形態において、酸は塩酸である。幾つかの実施形態において、塩基は経鼻製剤へと、その調製中に添加されない。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約2.0~約6.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約4.0のpHを有する。
【0061】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、投与量あたり約5mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.40mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.9mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.9mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.75mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約0.45mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、デバイスから分注される投与量あたり約1.0mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。
【0062】
幾つかの実施形態において、前記経鼻噴霧製剤は、アルコール、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイル、ジメチルスルホキシド、モノオレイン酸グリセリル、グリコフロール、グリコフロール、グリコシル化スフィンゴシン、グリシレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウレス-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407又はF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、軽油、リノール酸、メントール、ミリスチン酸、ミスリチルアルコール、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、キラヤサポニン、サリチル酸、ナトリウム塩、β-シトステロール、β-D-グルコシド、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、チモール、トリカプリン、トリオレイン、及びアルキルサッカライドから選択された1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0063】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、ドデシルマルトシド、塩化ベンザルコニウム、オレイン酸又はその塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びラウリル硫酸ナトリウムから選択された1つ以上の吸収促進剤を含む。
【0064】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド;約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩及び約0.001~1%の抗酸化剤(例えばメタ重亜硫酸ナトリウム)の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド;約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせである。幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は、約0.005%(w/v)~約0.08%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.01%(w/v)~約0.06%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;又は約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウムであり;ここで、塩化ベンザルコニウムは、経鼻噴霧製剤中の唯一の吸収促進薬であり、或いは1つ以上の追加の吸収促進薬を含む製剤に存在する。
【0065】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に安定化剤を含む。幾つかの実施形態において、安定化剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩である。幾つかの実施形態において、EDTAはEDTA二ナトリウムである。幾つかの実施形態において、EDTAは約0.001%~約1%の量で存在する。
【0066】
幾つかの実施形態において、経鼻噴霧製剤は更に防腐剤を含む。幾つかの実施形態において、防腐剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0067】
一態様において、本明細書にはアドレナリン受容体により媒介される疾病の処置方法が記載され、該方法は、本明細書に記載される製剤の何れか1つの鼻腔内投与を含む。幾つかの実施形態において、前記疾病は、1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)、急性喘息発作、心停止、及びストークス-アダムス症候群から選択される。幾つかの実施形態において、前記疾病は1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)である。幾つかの実施形態において、1型過敏性反応は、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹、好酸球増加症、薬物アレルギー、及び食物アレルギーから選択される。幾つかの実施形態において、薬物アレルギー薬は抗生物質アレルギーである。
【0068】
他の態様において、本明細書にはアナフィラキシーの処置方法が記載され、該方法は約2.0mg未満の量におけるエピネフリンの鼻腔内製剤の鼻腔内投与を含む。幾つかの実施形態において、経鼻医薬製剤は、約0.5mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻医薬製剤は、約0.5mg~約0.7mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻医薬製剤は、約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む。幾つかの実施形態において、経鼻医薬製剤は、約1.3mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む。
【0069】
処置方法の幾つかの実施形態において、鼻腔内製剤は、1つ以上の吸収促進薬;等張剤;安定化剤;防腐剤;随意の抗酸化剤;及び随意のpH調節剤を含む。処置方法の幾つかの実施形態において、1つ以上の吸収促進薬は、ドデシルマルトシド;塩化ベンザルコニウム;オレイン酸又はその塩;ラウリル硫酸ナトリウム;ドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;ドデシルマルトシドとオレイン酸又はその塩の組み合わせ;及び塩化ベンザルコニウムとオレイン酸又はその塩の組み合わせから選択される。処置方法の幾つかの実施形態において、1つ以上の吸収促進薬は、約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド;約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせ;又は約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸或いはその塩の組み合わせである。処置方法の幾つかの実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.005%(w/v)~約0.08%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約0.01%(w/v)~約0.06%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;又は約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含み;ここで、塩化ベンザルコニウムは、製剤中の唯一の吸収促進薬であり、或いは1つ以上の吸収促進薬を含む製剤に存在する。処置方法の幾つかの実施形態において、等張剤は塩化ナトリウムである。処置方法の幾つかの実施形態において、安定化剤はEDTAである。処置方法の幾つかの実施形態において、安定化剤は、約0.001%(w/v)~約1%(w/v)の量のEDTAである。処置方法の幾つかの実施形態において、防腐剤は塩化ベンザルコニウムである。処置方法の幾つかの実施形態において、防腐剤は、約0.001%(w/v)~約1%(w/v)の量の塩化ベンザルコニウムである。
【0070】
包装材料、包装材料内の本明細書に記載される経鼻噴霧製剤、及び、経鼻噴霧製剤が本明細書に記載される疾病の何れか(例えばアナフィラキシー)の処置のために使用されることを示すラベルを含む、製品が提供される。
【0071】
本明細書に記載される組成物及び方法の他の目的、特徴、利点は、後述する詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨と範囲内の様々な変化と修飾が詳細な記載から当業者に明らかとなるため、詳細な記載と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも、一例として与えられるものに過ぎないことが、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】以下に議論されるSrisawat et al., “A preliminary study of intranasal epinephrine administration as a potential route for anaphylaxis treatment,” Asian Pac J Allergy Immunol, 2016 Mar;34(1):38-43に開示されるような、異なる投与量及び投与経路でのエピネフリン吸収の0-120分の時点(AUC
0-120min)での、血漿濃度対時間曲線の下の領域を示す。
【
図2】Srisawat et alに開示されるような、IN生理食塩水、5mgのINエピネフリン、及び0.3mgのIMエピネフリンの投与の後の血漿エピネフリン濃度対時間プロットを示す。
【
図3】0.3mgのエピネフリンIM及びINを比較する実施例2Aに記載される第1の臨床研究からのベースライン(pg/mL)対時間(分)の曲線より高い平均の血漿エピネフリン濃度を示す;正方形付きの曲線はIM、円付きの曲線はINを表す。
【
図4】0.5、1.0、及び2.0mgのエピネフリンINを比較する実施例2Bに記載される第2の臨床研究からのベースライン(pg/mL)対時間(分)の曲線より高い平均の血漿エピネフリン濃度を示す;円付きの曲線は0.5mgを表し;三角形付きの曲線は1.0mg、正方形付きの曲線は2.0mgを表す。
【
図5】0.5、1.0、及び2.0mgのINエピネフリンを比較する実施例2Bに記載される第2の臨床研究からのベースライン(pg/mL)対時間(分)の曲線より高い平均の血漿エピネフリン濃度の、最初の30分を示す;円付きの曲線は0.5mgを表し;三角形付きの曲線は1.0mg、正方形付きの曲線は2.0mgを表す。
【
図6】
図4からのデータを繰り返し、且つこれを、実施例2Aに記載される第1の臨床研究からのIMエピネフリンに関する平均血漿濃度対時間曲線に重ねる。
【
図7】
図5からのデータを繰り返し、且つこれを、実施例2Aに記載される第1の臨床研究からのIMエピネフリンに関する平均血漿濃度対時間曲線の最初の30分に重ねる。
【
図8】1.0mgのエピネフリンIN(曲線w/円)を0.3mgのエピネフリンIM(エピネフリン自己注入装置、曲線w/三角形)と比較する、実施例2Bに記載される第2の臨床研究の比較用生物学的利用能部分からのベースライン(pg/mL)対時間(分)の曲線より高い平均血漿エピネフリン濃度を示す。
【
図9】1.0mgのエピネフリンIN(曲線w/円)を0.3mgのエピネフリンIM(EpiPen(登録商標)、曲線w/三角形)と比較する、実施例2Bに記載される第2の臨床研究の比較用生物学的利用能部分からのベースライン(pg/mL)対時間(分)の曲線より高い平均血漿エピネフリン濃度の最初の30分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本明細書には、アナフィラキシー及び他の疾病の処置に有用な方法及び製剤が開示され、該方法はエピネフリンの鼻腔内製剤を投与する工程を含む。また、患者への医薬製剤の経鼻送達に適合したデバイスも提供され、前記送達は、治療上有効な量のエピネフリン及びその薬学的に許容可能な塩を含む、1回、2回、及び複数回の投与量の送達を含む。
【0074】
鼻腔内エピネフリンには、鼻腔及び鼻の手術において、多くの場合には麻酔薬と組み合わせて製剤される、うっ血除去薬及び血管収縮薬として低用量で長く使用されている歴史がある。歴史的に、エピネフリンは全身送達のための鼻腔内溶液として製剤することが困難であった。例えば、Srisawat C et al., “A preliminary study of intranasal epinephrine administration as a potential route for anaphylaxis treatment,” Asian Pac J Allergy Immunol, 2016 Mar; 34(1):38-43を参照。Srisawatは、IN経路を介したエピネフリンの有意な体内吸収が5mgでのみ観察され(
図1を参照)、5mgでのINエピネフリンの薬物動態パラメータは、IMエピネフリン群のものとは大幅に異なっていなかったことを示した(下記表1を参照)。
【0075】
【0076】
図1はSrisawat C et al.から再生されており、Srisawat et al.が2.5mg以下の鼻腔内の投与量レベルでのエピネフリンの血中濃度を観察しなかったことを実証している。
【0077】
更に、
図2は、5mgの投与量でも、Srisawatが自己注入装置により約60分前の任意の時点において送達される筋肉内のエピネフリンよりも高い血漿中濃度を達成可能な鼻腔内製剤を製造することができず、故に、重大な初期の時点中の吸収は、急速な吸収が全身アレルギー反応(アナフィラキシー)を止めのるに必要な場合に遅らされたことを示す。このことは、アナフィラキシーなどの重篤状態において場合によっては有害であり、その場合は緊急処置、及び故に注射のような薬物動態が望ましい。大腿へのIM注射のPKプロファイルは、脚筋肉のより高い脈管質が、他の投与経路よりもエピネフリンのより急速な吸収及び分散を可能とし、より素早いアナフィラキシー反応の止めるために血漿レベルの急速な増加をもたらすことを考慮して、文献により最適な投薬方法を考慮されている。
図2はまた、Srisawatの5mgの製剤が、自己注入装置により送達された筋肉内エピネフリンとは対照的に、約2時間で血漿からほぼ全体的に除去されたことを示す。最後に、エピネフリンは、筋肉内で0.3~0.5mgもの少ない投与量で、心筋梗塞を含む投与量に関連した心臓の副作用に関連付けられると知られており;従って、5mgもの多くの投与量はおそらく、過度の吸収を可能にしかねない経鼻疾病が存在する場合に一般人口において危険であろう。故に、そのようなリスクを回避する、より少ない投与量の調製物が、より安全な経鼻調製物として好ましい。
【0078】
本明細書には、過去の試みにおける問題を解決する、エピネフリンの鼻腔内製剤、及び該製剤を含む経鼻噴霧デバイスが開示される。様々な態様が、本明細書に開示される製剤、デバイス、及び使用方法の成功に起因し得る。
【0079】
例えば、特定の実施形態において、前記エピネフリンの各モルへのモル当量の酸の適切な添加による水溶液中のエピネフリンの製剤は、エピネフリンを可溶化且つ安定化させるのに役立つ。これにより製剤は、本明細書に開示される経鼻製剤において時折回避される、リン酸塩、酢酸塩、及びクエン酸塩の緩衝液を含む注射用の水性医薬組成物において一般的に使用される緩衝剤の使用を回避することができる。他のエピネフリンの塩、例えば酢酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、酒石酸エピネフリン、酒石酸エピネフリン、酒石酸水素エピネフリン、及びホウ酸エピネフリンなど、も、エピネフリンの水溶液を製剤するために使用可能である。
【0080】
本明細書に開示される製剤、デバイス、及び使用方法の特定の実施形態は、他の方法において製剤されるエピネフリンを超える利点を提供する。エピネフリンは狭い治療指数薬物として考慮される。交感神経様作用のカテコールアミンとして、エピネフリンは狭い治療指数を有し、心血管及び脳血管の反応を含む重篤な有害反応がその使用に関連付けられる場合がある。それにもかかわらず、この示唆のためのエピネフリンの用途は人命救助であり、それを使用する利益は潜在的な安全性リスクよりも重要である。鼻腔内の送達及び製剤は、一貫した含量均一性、送達量、及び吸収により、エピネフリンなどの薬物の安全で無痛の送達に適しており、それにより、注射機構を介した使用に関連付けられ得る心血管及び脳血管の反応を含む重篤な有害反応を最小化する。射出重量には低い変異性があり、一貫して標識された投与量を送達する。
【0081】
1つの態様において、本明細書には医薬組成物が記載され、該医薬組成物は、a)エピネフリン;及びb)アルキルグリコシドを含み;ここで、前記医薬組成物は、鼻腔内、吸入、又は肺といった投与経路を介した被験体の循環系への投与のために製剤される。幾つかの実施形態において、本明細書には医薬組成物が記載され、該医薬組成物は、a)イブルチニブ;及びb)アルキルグリコシドを含み;ここで、医薬組成物は鼻腔内送達のために製剤された液体である。
【0082】
幾つかの実施形態において、アルキルグリコシドには、8~20の炭素を有するアルキル鎖がある。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシドは、ウンデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、スクロースモノ-ドデカノアート、スクロースモノ-トリデカノアート、及びスクロースモノ-テトラデカノアートから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシドはドデシル-β-D-マルトシドである。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシド濃度は約0.001%~10.0%(w/v)である。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシド濃度は約0.05%~0.5%(w/v)である。
【0083】
幾つかの実施形態において、組成物は更に膜浸透増強剤を含む。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は、界面活性剤、胆汁塩、リン脂質、アルコール、エナミン、長鎖両親媒性分子、疎水性小分子、ナトリウム又はサリチル酸の誘導体、アセト酢酸のグリセリンエステル、シクロデキストリン、中鎖又は長鎖脂肪酸、キレート化剤、アミノ酸又はその塩、酵素、又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ヒドロキシキノロン、水酸化ナトリウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は塩化ベンザルコニウム、EDTA、又はそれらの組み合わせである。
【0084】
幾つかの実施形態において、組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以上である、エピネフリンに対するCmaxを被験体に提供する。
【0085】
幾つかの実施形態において、組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以下である、エピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する。
【0086】
幾つかの実施形態において、組成物は、約0.3時間以下のエピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する。
【0087】
幾つかの実施形態において、組成物は約2.0~6.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、組成物は約2.0~5.0のpHを有する。
【0088】
別の態様において、本明細書には被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる方法が記載され、該方法は、エピネフリン及びアルキルグリコシドを含む医薬組成物を被験体に投与する工程であって、それにより被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる、工程を含み;ここで、前記医薬組成物は、鼻腔内、吸入、又は肺といった投与経路を介した被験体の循環系への投与のために製剤される。幾つかの実施形態において、本明細書には被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる方法が記載され、該方法は、エピネフリン及びアルキルグリコシドを含む医薬組成物を被験体に投与する工程であって、それにより被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる、工程を含み;ここで、医薬組成物は鼻腔内送達のために製剤された液体である。
【0089】
幾つかの実施形態において、エピネフリンの生物学的利用能の増大は、より少ない投与量のエピネフリンが鼻内(intrasally)に送達され且つアナフィラキシーの処置に効果的となることを可能にする。幾つかの実施形態において、より多くの投与量のエピネフリンへの暴露は、エピネフリンの過剰投薬をもたらしかねない。エピネフリン自己注入装置により得られるものに等しいエピネフリン血漿濃度をもたらし、様々な投与量において利用可能であり、長期保管可能であり、針に対する不安、投与のエラーの可能性、意図しない注射と損傷をなくす、代替の非侵襲的なエピネフリン剤形を開発する関心と必要性が、増加している。本明細書に記載されるエピネフリン経鼻剤形は、社会環境におけるアナフィラキシーの救急の緊急処置に対する、ユーザーに優しい非侵襲的な代替案である可能性を提示する。
【0090】
幾つかの実施形態において、アルキルグリコシドには、8~20の炭素を有するアルキル鎖がある。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシドは、ウンデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、スクロースモノ-ドデカノアート、スクロースモノ-トリデカノアート、及びスクロースモノ-テトラデカノアートから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシドはドデシル-β-D-マルトシドである。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシド濃度は約0.001%~10.0%(w/v)である。幾つかの実施形態において、アルキルグリコシド濃度は約0.05%~0.5%(w/v)である。
【0091】
幾つかの実施形態において、組成物は更に膜浸透増強剤を含む。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は、界面活性剤、胆汁塩、リン脂質、アルコール、エナミン、中鎖及び/又は長鎖両親媒性分子、疎水性小分子、ナトリウム又はサリチル酸の誘導体、アセト酢酸のグリセリンエステル、シクロデキストリン、中鎖又は長鎖脂肪酸、キレート化剤、アミノ酸又はその塩、酵素、又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は塩化ベンザルコニウム、EDTA、又はそれらの組み合わせである。
【0092】
幾つかの実施形態において、組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以上である、エピネフリンに対するCmaxを被験体に提供する。
【0093】
幾つかの実施形態において、組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以下である、エピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する。
【0094】
幾つかの実施形態において、組成物は、約0.3時間以下のエピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する。
【0095】
幾つかの実施形態において、組成物は約2.0~6.0のpHを有する。幾つかの実施形態において、組成物は約2.0~5.0のpHを有する。
【0096】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は鼻腔内投与に適した液体組成物である。
【0097】
一態様において、本発明は、経鼻、吸入、又は肺といった送達経路を介して、以下を含む組成物を投与することにより、被験体の循環系へのエピネフリンの吸収を増大させる方法を提供する:(a)エピネフリン;(b)親水性サッカライドへの結合により疎水性アルキル基が結合されている、吸収量が増大した、適切な無毒で非イオン性のアルキルグリコシド;及び(c)粘膜送達増強剤。
【0098】
用語「粘膜送達増強剤」は、(例えば製剤送達ビヒクルからの)放出又は溶解度、普及率、浸透性能及びタイミング、取込み、滞留時間、安定性、有効半減期、ピークの又は維持された濃度レベル、化合物(例えば生物学的に活性な化合物)のクリアランス及び他の所望の粘膜送達特徴(例えば、送達部位、又は、血流又は中枢神経系などの活性の選択された標的部位にて測定されるような)を増強する、薬剤を含む。粘膜送達の増強は、様々な機構の何れかにより生じる場合があり、前記機構には、例えば、化合物の核酸、輸送、持続性、又は安定性の増加、膜流動性の増加、細胞内又は傍細胞の浸透を調節するカルシウム及び他のイオンの利用可能性又は活性の調節、粘膜性膜成分(例えば脂質)の安定化、粘膜組織における非タンパク質及びタンパク質のスルフヒドリルレベルの変更、粘膜表面にわたる水分流動の増加、上皮の接合生理機能の調節、粘膜上皮を覆う粘液の粘度の減少、粘膜毛様体クリアランス速度の低下、及び他の機構が挙げられる。
【0099】
典型的な粘膜送達増強剤は、以下の薬剤及びそれらのあらゆる組み合わせを含む:
(a)凝集阻害剤;
(b)電荷調節剤;
(c)pH制御剤;
(d)分解酵素阻害剤;
(e)粘液分解又は粘液除去剤;
(f)線毛制止剤;
(g)以下:
(i)界面活性剤;
(ii)胆汁酸;
(ii)リン脂質添加の混合ミセル、リポソーム、又は担体;
(iii)アルコール;
(iv)エナミン;
(v)NOドナー化合物;
(vi)長鎖両親媒性分子;
(vii)小疎水性透過促進剤;
(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;
(ix)アセト酢酸のグリセリンエステル;
(x)シクロデキストリン又はβシクロデキストリン誘導体;
(xi)中鎖脂肪酸;
(xii)キレート化剤;
(xiii)アミノ酸又はその塩;
(xiv)N-アセチルアミノ酸又はその塩;
(xv)選択された膜成分へと分解する酵素;
(ix)脂肪酸合成の阻害剤;
(x)コレステロール合成の阻害剤;及び
(xi)(i)-(x)に列挙された膜浸透増強剤のあらゆる組み合わせ
から選択される膜浸透増強剤;
(h)上皮接合生理機能の調節剤;
(i)血管拡張薬;
(j)選択的輸送増強剤;及び
(k)化合物が効果的に組み合わされ、会合され、包含され、封入され、又は結合されて、経鼻粘膜送達の増強のために化合物の安定化をもたらし、鼻腔内送達増強剤を用いた化合物の製剤は被験体の血漿における化合物の生物学的利用能を増大させる、安定化送達のビヒクル、担体、粘膜付着剤(mucoadhesive)、支持剤(support)、又は錯体形成種。
【0100】
追加の粘膜送達増強剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられる。例えば、EDTA又はその塩(例えばナトリウム又はカリウム)は、アルキルサッカライド防腐剤を含有する組成物の約0.01重量%~2重量%に及ぶ量で利用される。
【0101】
また別の態様において、本明細書には、以下から選択される粘膜送達増強剤と組み合わせた親水性サッカライドへの結合により疎水性アルキル基が結合されている適切な無毒で非イオン性のアルキルグリコシドを有する医薬組成物が、記載される:
(a)凝集阻害剤;
(b)電荷調節剤;
(c)pH制御剤;
(d)分解酵素阻害剤;
(e)粘液分解又は粘液除去剤;
(f)線毛制止剤;
(g)以下:
(i)界面活性剤;
(ii)胆汁酸;
(ii)リン脂質添加の混合ミセル、リポソーム、又は担体;
(iii)アルコール;
(iv)エナミン;
(v)NOドナー化合物;
(vi)長鎖両親媒性分子;
(vii)小疎水性透過促進剤;
(viii)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;
(ix)アセト酢酸のグリセリンエステル;
(x)シクロデキストリン又はβシクロデキストリン誘導体;
(xi)中鎖又は長鎖脂肪酸;
(xii)キレート化剤;
(xiii)アミノ酸又はその塩;
(xiv)N-アセチルアミノ酸又はその塩;
(xv)選択された膜成分へと分解する酵素;
(ix)脂肪酸合成の阻害剤;
(x)コレステロール合成の阻害剤;及び
(xi)(i)-(x)に列挙された膜浸透増強剤のあらゆる組み合わせ
から選択される膜浸透増強剤;
(h)上皮接合生理機能の調節剤;
(i)血管拡張薬;
(j)選択的輸送増強剤;及び
(k)化合物が効果的に組み合わされ、会合され、包含され、封入され、又は結合されて、経鼻粘膜送達の増強のために化合物の安定化をもたらし、鼻腔内送達増強剤を用いた化合物の製剤は被験体の血漿における化合物の生物学的利用能を増大させる、安定化送達のビヒクル、担体、粘膜付着剤(mucoadhesive)、支持剤(support)、又は錯体形成種。
【0102】
別の実施形態において、本明細書には、約12~約14の炭素原子のアルキル鎖長を有する治療上有効な量の少なくとも1つのアルキルグリコシド、抗菌活性を持つ少なくとも1つのサッカライド、及びエピネフリンを投与することにより、アルキルグリコシド組成物を投与する方法が記載される。
【0103】
一態様において、本明細書には抗菌性のアルキルサッカライド組成物が提供され、該組成物は、n-ドデシル-4-O-α-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシド又はn-テトラデシル-4-O-α-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシドを含む。
【0104】
従って、本明細書には、実施形態1として、デバイスから分注される投与量あたり約0.40mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が提供される。代替的実施形態1.デバイスから分注される投与量あたり約0.40mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤が提供される。
【0105】
実施形態2.前記製剤が医薬製剤である、実施形態1に記載の経鼻噴霧製剤。
【0106】
実施形態3.エピネフリン又はその塩は、急性過敏性反応の処置に有効な量の医薬製剤に存在する、実施形態2に記載の経鼻噴霧製剤。
【0107】
実施形態4.前記製剤は水性である、実施形態1乃至3の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0108】
実施形態5.前記製剤は吸収促進剤を含む、実施形態1乃至4の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的な実施形態5において、前記製剤は1つ以上の吸収促進剤を含む、実施形態1乃至4の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0109】
実施形態6.前記製剤には、筋肉内(IM)注射のような、又は皮下(SQ)のような、又はそれらの間の吸収がある、実施形態1乃至5の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0110】
実施形態7.筋肉内(IM)注射のような吸収を有する、実施形態6に記載の経鼻噴霧製剤。
【0111】
実施形態8.前記製剤は皮下(SC)のような吸収を有する、実施形態6に記載の経鼻噴霧製剤。
【0112】
実施形態9.SC薬物動態プロファイルには、少なくとも100pg/mLのCmax及び150h*pg/mLのAUC0-240minがある、実施形態8に記載の経鼻噴霧製剤。
【0113】
実施形態10.前記製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす、実施形態1乃至9の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0114】
実施形態11.前記製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす、実施形態1乃至9の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0115】
実施形態12.前記製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.5mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.5mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす、実施形態1乃至9の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0116】
実施形態13.前記製剤は、被験体に投与されると、40分未満のtmax、35分未満のtmax、30~45分のtmax、30~40分のtmax、又は30~35分のtmaxをもたらす、実施形態1乃至12の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態13.前記製剤は、被験体に投与されると、40分未満のtmax、35分未満のtmax、15~45分のtmax、20~45分のtmax、25~45分のtmax、30~45分のtmax、30~40分のtmax、30~35分のtmax、15~20分のtmax、15~25分のtmax、又は15~30分のtmaxをもたらす、実施形態1乃至12の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0117】
実施形態14.前記製剤は、エピネフリンの各モルに対して1モル当量未満の酸を含む、実施形態1乃至13の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0118】
実施形態15.前記製剤は、エピネフリンの各モルに対して約0.5~約1.1モル当量の酸を含む、実施形態1乃至13の何れか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態16.前記酸は塩酸である、実施形態14乃至15の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態16.前記酸は、酢酸、アジピン酸、塩化アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、塩酸、乳酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、又は酒石酸である、実施形態14乃至15の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0120】
実施形態17.前記製剤は約3.0~約6.0のpHを有する、実施形態1乃至16の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態17.前記製剤は約2.0~約6.0のpHを有する、実施形態1乃至16の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0121】
実施形態18.前記製剤は約3.5~約5.0のpHを有する、実施形態17に記載の経鼻噴霧製剤。
【0122】
実施形態19.前記製剤は約4.0~約4.5のpHを有する、実施形態17に記載の経鼻噴霧製剤。
【0123】
実施形態20.前記製剤は約4.5のpHを有する、実施形態17に記載の経鼻噴霧製剤。
【0124】
実施形態21.前記製剤は約4.0のpHを有する、実施形態17に記載の経鼻噴霧製剤。
【0125】
実施形態22.前記製剤は、約5mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む、ことを特徴とする実施形態1乃至21の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態22.前記製剤は、約3mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む、ことを特徴とする実施形態1乃至21の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0126】
実施形態23.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.9mg~約2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0127】
実施形態24.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0128】
実施形態25.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.75mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0129】
実施形態26.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.9mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0130】
実施形態27.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の鼻噴霧製剤。
【0131】
実施形態28.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.45mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0132】
実施形態29.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約1.0mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態1乃至22の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0133】
実施形態30.前記製剤は更に安定化剤を含む、実施形態1乃至29の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0134】
実施形態31.前記安定化剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩である、実施形態30に記載の経鼻噴霧製剤。
【0135】
実施形態32.EDTAはEDTA二ナトリウムである、実施形態31に記載の経鼻噴霧製剤。
【0136】
実施形態33.EDTAは、エピネフリンの5%~15%の量である量に存在し、共にmmolで測定される、実施形態31又は32に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態33.EDTAは、0.001%(w/v)~1%(w/v)である量に存在する、実施形態31又は32に記載の経鼻噴霧製剤。
【0137】
実施形態34.EDTAのmmolは、エピネフリンのmmolの約10%である、実施形態31又は32に記載の経鼻噴霧製剤。
【0138】
実施形態35.前記製剤は更に防腐剤を含む、実施形態1乃至34の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0139】
実施形態36.防腐剤は塩化ベンザルコニウムである、実施形態35に記載の経鼻噴霧製剤。
【0140】
実施形態37.前記製剤は更に吸収促進剤を含む、実施形態1乃至34の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0141】
実施形態38.吸収促進剤はアルキルサッカライドである、実施形態37に記載の経鼻噴霧製剤。
【0142】
実施形態39.吸収促進剤はドデシルマルトシドである、実施形態38に記載の経鼻噴霧製剤。
【0143】
実施形態40.前記製剤は約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドを含む、実施形態39に記載の経鼻噴霧製剤。
【0144】
実施形態41.前記製剤は約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)のドデシルマルトシドを含む、実施形態40に記載の経鼻噴霧製剤。
【0145】
実施形態42.前記製剤は約0.25%(w/v)のドデシルマルトシドを含む、実施形態41に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態42.前記製剤は約0.25%(w/v)のドデシルマルトシド、及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む、実施形態41に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態42.前記製剤は約0.25%(w/v)のドデシルマルトシド、及び約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩を含む、実施形態41に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態42.前記製剤は約0.25%(w/v)のドデシルマルトシド、及び約0.001%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム、及び約0.001~約1%(w/v)のオレイン酸又はその塩を含む、実施形態41に記載の経鼻噴霧製剤。
【0146】
実施形態43a.特定の実施形態において、前記製剤は、デバイスから分配された投与量あたり約0.75mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含み、及び、経鼻噴霧として被験体に投与されると、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす。
【0147】
実施形態43b.特定の実施形態において、前記製剤は、デバイスから分配された投与量あたり約0.5mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含み、及び、経鼻噴霧として被験体に投与されると、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす。
【0148】
実施形態43c.特定の実施形態において、前記製剤は、デバイスから分配された投与量あたり約1.0mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含み、及び、経鼻噴霧として被験体に投与されると、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.5mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.5mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす。
【0149】
また、実施形態43a、43b、及び43cの何れかが、実施形態2乃至22及び30乃至42において上述された限定の1つ以上を含む実施形態も、提供される。
【0150】
本明細書にはまた、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤として実施形態44が提供され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.3mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.3mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす。
【0151】
本明細書にはまた、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤として実施形態45が提供され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.15mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.15mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす。
【0152】
本明細書にはまた、エピネフリン又はその塩を含む経鼻噴霧製剤として実施形態46が提供され、該製剤は、被験体への投与時に、以下の薬物動態特徴:
・平均AUC0-20min及びAUC0-tの両方は、0.5mgの筋肉内注射がもたらすAUC0-20min及びAUC0-tの少なくとも80%である;
・0.5mgの筋肉内注射がもたらすCmaxの少なくとも80%、及びCmaxの150%以下である平均Cmax;
・45分未満の平均tmax;及び
・大腿における最適な投薬条件下でのIM注射のような吸収
の1つ以上をもたらす。
【0153】
実施形態47.デバイスから分配される投与量あたり約0.4mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態45乃至46の何れか1つに記載の経鼻噴霧。
【0154】
実施形態48.前記製剤が医薬製剤である、実施形態47に記載の経鼻噴霧製剤。
【0155】
実施形態49.エピネフリン又はその塩は、急性過敏性反応の処置に有効な量の医薬製剤に存在する、実施形態48に記載の経鼻噴霧製剤。
【0156】
実施形態50.前記製剤は水性である、実施形態44乃至49の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0157】
実施形態51.前記製剤には、筋肉内(IM)注射のような又は皮下(SQ)のような吸収がある、実施形態44乃至50の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0158】
実施形態52.前記製剤は筋肉内(IM)注射のような吸収を有する、実施形態51に記載の経鼻噴霧製剤。
【0159】
実施形態53.前記製剤は皮下(SQ)のような吸収を有する、実施形態51に記載の経鼻噴霧製剤。
【0160】
実施形態54.SC薬物動態プロファイルには、少なくとも100pg/mLのCmax及び150h*pg/mLのAUC0-240minがある、実施形態1乃至51の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0161】
実施形態55.前記製剤は、約5mg/mL~約40mg/mLのエピネフリン又はその塩を含む、ことを特徴とする実施形態44乃至54の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0162】
実施形態56.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.9mg~約2.4mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0163】
実施形態57.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0164】
実施形態58.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.75mg~約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0165】
実施形態59.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.9mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0166】
実施形態60.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の鼻噴霧製剤。
【0167】
実施形態61.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.45mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0168】
実施形態62.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0169】
実施形態63.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.5mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の鼻噴霧製剤。
【0170】
実施形態64.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約0.75mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の鼻噴霧製剤。
【0171】
実施形態65.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約1.0mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の鼻噴霧製剤。
【0172】
実施形態66.前記製剤は、デバイスから分配される投与量あたり約1.5mgのエピネフリン又はその塩を含む、実施形態44乃至55の何れか1つに記載の鼻噴霧製剤。
【0173】
実施形態67.前記製剤は、エピネフリンの各モルに対して1モル当量未満の酸を含む、実施形態44乃至66の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0174】
実施形態68.前記製剤は、エピネフリンの各モルに対して約0.5~約1.1モル当量の酸を含む、実施形態44乃至46の何れか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態69.前記酸は強酸である、実施形態66乃至67の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。強酸には塩酸、リン酸、及び硫酸が挙げられる。
【0176】
実施形態70.前記酸は塩酸である、実施形態69に記載の経鼻噴霧製剤。
【0177】
実施形態71.塩基は調製中に製剤に添加されない、実施形態44乃至70の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0178】
実施形態72.前記製剤は約3.0~約6.0のpHを有する、実施形態44乃至71の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態72.前記製剤は約2.0~約6.0のpHを有する、実施形態44乃至71の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0179】
実施形態73.前記製剤は約3.5~約5.0のpHを有する、実施形態72に記載の経鼻噴霧製剤。
【0180】
実施形態74.前記製剤は約4.0~約4.5のpHを有する、実施形態72に記載の経鼻噴霧製剤。
【0181】
実施形態75.前記製剤は約4.5のpHを有する、実施形態72に記載の経鼻噴霧製剤。
【0182】
実施形態76.前記製剤は約4.0のpHを有する、実施形態72に記載の経鼻噴霧製剤。
【0183】
実施形態77.前記製剤は更に安定化剤を含む、実施形態44乃至76の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0184】
実施形態78.前記安定化剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩である、実施形態77に記載の経鼻噴霧製剤。
【0185】
実施形態79.EDTAはEDTA二ナトリウムである、実施形態78に記載の経鼻噴霧製剤。
【0186】
実施形態80.EDTAは、エピネフリンの5%~15%の量である量に存在し、共にmmolで測定される、実施形態78に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態80.EDTAは、約0.001%(w/v)~約1%(w/v)である量に存在する、実施形態78に記載の経鼻噴霧製剤。
【0187】
実施形態81.EDTAのmmolは、エピネフリンのmmolの約10%である、実施形態79に記載の経鼻噴霧製剤。
【0188】
実施形態82.前記製剤は更に防腐剤を含む、実施形態44乃至81の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0189】
実施形態83.防腐剤は塩化ベンザルコニウムである、実施形態82に記載の経鼻噴霧製剤。
【0190】
実施形態84.前記製剤は更に吸収促進剤を含む、実施形態44乃至83の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態84.前記製剤は更に1つ以上の吸収促進剤を含む、実施形態44乃至83の何れか1つに記載の経鼻噴霧製剤。
【0191】
実施形態85.吸収促進剤はアルキルサッカライドである、実施形態84に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態85.前記吸収促進剤はアルキルサッカライド及び/又は塩化ベンザルコニウムである、実施形態84に記載の経鼻噴霧製剤。
【0192】
実施形態86.吸収促進剤はドデシルマルトシドである、実施形態85に記載の経鼻噴霧製剤。代替的実施形態86.前記吸収促進剤は、ドデシルマルトシド、塩化ベンザルコニウム、又はドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせである、実施形態85に記載の経鼻噴霧製剤。
【0193】
実施形態87.前記製剤は約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドを含む、実施形態86に記載の経鼻噴霧製剤。
【0194】
実施形態88.前記製剤は約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)のドデシルマルトシドを含む、実施形態87に記載の経鼻噴霧製剤。
【0195】
実施形態89.前記製剤は約0.25%(w/v)のドデシルマルトシドを含む、実施形態88に記載の経鼻噴霧製剤。また、上記実施形態1乃至89の何れか1つに詳述されるような製剤の鼻腔内投与を含む、アドレナリン受容体により媒介される疾病の処置方法として実施形態90も提供される。
【0196】
実施形態91.前記疾病は、1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)、急性喘息発作、心停止、及びストークス-アダムス症候群から選択される、実施形態90に記載の方法。
【0197】
実施形態92.前記疾病は1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)である、実施形態91に記載の方法。
【0198】
実施形態93.1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)は、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹、好酸球増加症、薬物アレルギー、及び食物アレルギーから選択される、実施形態92に記載の方法。
【0199】
実施形態94.前記薬物アレルギーは抗生物質アレルギーである、実施形態93に記載の方法。
【0200】
実施形態95.また本明細書には、約2.0mg未満の量のエピネフリンの非緩衝化鼻腔内製剤の鼻腔内投与を含む、全身性アレルギー反応及びアナフィラキシーの処置方法も提供される。
【0201】
また、実施形態95が実施形態2乃至22、25乃至28、30乃至55、58乃至61、及び63乃至89において上述された限定の1つ以上を含む、実施形態も提供される。
【0202】
実施形態96.医薬組成物であって、a)イブルチニブ;及びb)アルキルグリコシドを含み;ここで、前記医薬組成物は、鼻腔内、吸入、又は肺といった投与経路を介した被験体の循環系への投与のために製剤される。代替的実施形態96.医薬組成物であって、a)イブルチニブ;及びb)アルキルグリコシドを含み;ここで、前記医薬組成物は鼻腔内送達のために製剤された液体である。
【0203】
実施形態97.アルキルグリコシドには8~20の炭素を有するアルキル鎖がある、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0204】
実施形態98.アルキルグリコシドは、ウンデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、スクロースモノ-ドデカノアート、スクロースモノ-トリデカノアート、及びスクロースモノ-テトラデカノアートから成る群から選択される、実施形態97に記載の医薬組成物。
【0205】
実施形態99.アルキルグリコシドはドデシル-β-D-マルトシドである、実施形態98に記載の医薬組成物。
【0206】
実施形態100.アルキルグリコシド濃度は約0.001%~10.0%(w/v)である、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0207】
実施形態101.アルキルグリコシド濃度は約0.05%~0.5%(w/v)である、実施形態100に記載の医薬組成物。
【0208】
実施形態102.前記組成物は膜浸透増強剤を更に含む、実施形態96に記載の医薬組成物。前記組成物は更に、膜浸透増強剤、pH改質剤、緩衝剤、等張剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0209】
実施形態103.前記膜浸透増強剤は、界面活性剤、胆汁塩、リン脂質、アルコール、エナミン、中鎖及び/又は長鎖両親媒性分子、疎水性小分子、ナトリウム又はサリチル酸の誘導体、アセト酢酸のグリセリンエステル、シクロデキストリン、中鎖又は高鎖脂肪酸、キレート化剤、アミノ酸又はその塩、酵素、又はそれらの組み合わせである、実施形態102に記載の医薬組成物。
【0210】
実施形態104.前記膜浸透増強剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、実施形態102に記載の医薬組成物。
【0211】
実施形態105.前記膜浸透増強剤は塩化ベンザルコニウム、EDTA、又はそれらの組み合わせである、実施形態102に記載の医薬組成物。
【0212】
実施形態106.前記組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以上である、エピネフリンに対するCmaxを被験体に提供する、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0213】
実施形態107.前記組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以下である、エピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0214】
実施形態108.前記組成物は、約0.3時間以下のエピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0215】
実施形態109.前記組成物は約2.0~5.0のpHを有する、実施形態96に記載の医薬組成物。
【0216】
実施形態110.被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる方法であって、該方法は、エピネフリン及びアルキルグリコシドを含む組成物を被験体に投与する工程であって、それにより被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる、工程を含み、ここで、前記組成物は、鼻腔内、吸入、又は経肺といった投与経路を介して被験体の循環系へと投与される。代替的実施形態110.被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる方法であって、該方法は、エピネフリン及びアルキルグリコシドを含む組成物を被験体に投与する工程であって、それにより被験体におけるエピネフリンの生物学的利用能を増大させる、工程を含み、ここで、前記組成物は、鼻腔内に投与される液体組成物である。
【0217】
実施形態111.アルキルグリコシドには8~20の炭素を有するアルキル鎖がある、実施形態110に記載の方法。
【0218】
実施形態112.アルキルグリコシドは、ウンデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、スクロースモノ-ドデカノアート、スクロースモノ-トリデカノアート、及びスクロースモノ-テトラデカノアートから成る群から選択される、実施形態111に記載の方法。
【0219】
実施形態113.アルキルグリコシドはドデシル-β-D-マルトシドである、実施形態112に記載の方法。
【0220】
実施形態114.アルキルグリコシド濃度は約0.001%~10.0%(w/v)である、実施形態110に記載の方法。
【0221】
実施形態115.アルキルグリコシド濃度は約0.05%~0.5%(w/v)である、実施形態114に記載の方法。
【0222】
実施形態116.前記組成物は膜浸透増強剤を更に含む、実施形態110に記載の方法。
【0223】
実施形態117.前記膜浸透増強剤は、界面活性剤、胆汁塩、リン脂質、アルコール、エナミン、長鎖両親媒性分子、疎水性小分子、ナトリウム又はサリチル酸の誘導体、アセト酢酸のグリセリンエステル、シクロデキストリン、中鎖脂肪酸、キレート化剤、アミノ酸又はその塩、酵素、又はそれらの組み合わせである、実施形態116に記載の方法。
【0224】
実施形態118.前記膜浸透増強剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、実施形態117に記載の方法。
【0225】
実施形態119.前記膜浸透増強剤は塩化ベンザルコニウム、EDTA、又はそれらの組み合わせである、実施形態116に記載の方法。
【0226】
実施形態120.前記組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以上である、エピネフリンに対するCmaxを被験体に提供する、実施形態110に記載の方法。
【0227】
実施形態121.前記組成物は、アルキルグリコシド無しの投与と比較して約2倍以下である、エピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する、実施形態110に記載の方法。
【0228】
実施形態122.前記組成物は、約0.3時間以下のエピネフリンに対するtmaxを被験体に提供する、実施形態110に記載の方法。
【0229】
実施形態123.前記組成物は約2.0~6.0のpHを有する、実施形態110に記載の方法。代替的実施形態123.前記組成物は約2.0~5.0のpHを有する、実施形態110に記載の方法。
【0230】
定義
本明細書で使用されるように、以下の用語の意味が示される。
【0231】
値の範囲が開示され、且つ表記法「n1から...n2まで」又は「n1...及びn2の間」が使用されるとき、n1及びn2は数であり、特に指定のない限り、この表記法は、数自体及びそれらの間の数の範囲を含むように意図される。この範囲は、終値の間の、及び終値を含む整数であり、又は連続的であり得る。一例として、「2~6の炭素」の範囲は、炭素が整数の単位で生じることから、2、3、4、5、及び6の炭素を含むように意図される。一例として、「1~3μM(マイクロモル濃度)」の範囲を例えると、これは、1μM、3μM、及びその間のすべての数字から有効数字(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)の任意の数まで含むように意図される。
【0232】
用語「約」は、本明細書に使用されるように、用語が修正する数値を修飾するように意図され、そのような値を許容誤差内の変数として示す。範囲、例えば誤差範囲、又はデータのチャート又は表に提供される平均値に対する標準偏差などが列挙されていない場合、用語「約」は、列挙した値を包含する範囲及び同様にその数を切り上げる又は切り捨てることにより含まれる範囲のうち大きい方、並びに、列挙した値のプラス又はマイナス20%を包含する範囲を意味することを理解されたい。
【0233】
「容積当たりの重量」又は「w/v」は、溶液全体のミリリットルの容積により割られる溶質のグラムの質量を指す。典型的には、容積ごとの重量はパーセンテージとして表される。
【0234】
用語「吸収促進剤」は、本明細書で使用されるように、薬理学的に活性な薬物などの活性薬剤の吸収を改善するために製剤に含まれる機能的な賦形剤を指す。この用語は通常、機能が溶解度の増大ではなく鼻粘膜浸透の増強により吸収を増大させる薬剤を指す。そのため、そのような薬剤は時に浸透促進剤又は透過促進剤と呼ばれる。特に、本明細書に記載される吸収促進剤は、傍細胞輸送(即ち、細胞間隙及び密着帯の通過)、経細胞輸送(即ち、細胞膜にわたる受動拡散又は能動輸送)、又はトランスサイトーシス(即ち、細胞の小胞性の取込み)を改善し得る。Ozsoy et al., Molecules 14:3754-79, 2009。
【0235】
吸収促進剤の例として、アルコール、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイル、ジメチルスルホキシド、モノオレイン酸グリセリル、グリコフロール、グリコフロール、グリコシル化スフィンゴシン、グリシレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウレス-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、ラウリル硫酸ナトリウム、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407又はF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、軽油、リノール酸、メントール、ミリスチン酸、ミスリチルアルコール、オレイン酸又はその塩、オレイルアルコール、パルミチン酸、ポリソルベート80、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、キラヤサポニン、サリチル酸、ナトリウム塩、β-シトステロール、β-D-グルコシド、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、チモール、トリカプリリン、トリオレイン、及びアルキルサッカライド、及びそれらの組み合わせが挙げられ、限定されないが、ドデシルマルトシド、ドデシル-β-D-マルトシド、テトラデシルマルトシド、テトラデシル-β-D-マルトシド、及びスクロースドデカノアートを含む。アルキルサッカライド(例えば、それぞれグリコシド結合又はエステル結合により糖部分に結合される脂肪族炭化水素鎖から成る脂肪酸のアルキルグリコシド及びショ糖エステル類などの非イオン性アルキルサッカライド界面活性剤)、シクロデキストリン(中心窩洞を持つ6以上の単糖ユニットで構成される環状オリゴ糖であり、構成された、疎水性分子との包接複合体を形成し、主に薬物の溶解度及び溶解を増大させ且つ低分子量の薬物吸収を向上させるために使用されている)、キトサン(キチンの脱アセチル化から産生される直鎖カチオン多糖)、並びに胆汁塩及びその誘導体(グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、及びタウロジヒドロフシジン酸ナトリウムなど)は、中でも最も許容された吸収促進剤である傾向がある。例えば、Aungst BJ, AAPS Journal 14(1):10-8, 2011; and Maggio, ET, Excipients and Food Chem. 5(2):100-12, 2014を参照。それらの化学特性のために、特定の吸収促進剤は、製剤中の濃度及び他の要因に応じて、特定の状況において防腐剤及び/又はカチオン界面活性剤として機能することができる。
【0236】
本明細書には、少なくとも1つの吸収促進剤及び/又は防腐剤及び/又は界面活性剤を含む組成物が記載され、ここで、少なくとも1つの吸収促進剤及び/又は防腐剤及び/又は界面活性剤は、少なくとも1つのアルキルグリコシド及び/又は少なくとも1つのサッカライドアルキルエステルを含む。
【0237】
本明細書で使用されるように、用語「アルキルサッカライド」(本明細書では「アルキルグリコシド」としても称される)は、吸収促進剤の一種を指す。本明細書で使用されるように、アルキルサッカライドは、当該技術分野で知られているように、任意の疎水性アルキルへの結合によって連結された任意の糖を指す。アルキルサッカライドとしては、限定されないが以下が挙げられる:アルキルサッカライド、例えば、オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、及びオクタデシル-α-又はβ-D-マルトシド、-グルコシド、又は-スクロシドなど;アルキルチオマルトシド、例えば、ヘプチル-、オクチル-、ドデシル-、トリデシル-、及びテトラデシル-β-D-チオマルトシドなど;アルキルチオグルコシド、例えば、ヘプチル-又はオクチル1-チオα-、又はβ-D-グルコピラノシドなど;アルキルチオスクロース;アルキルマルトトリオシド;スクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸アミド;アルキル鎖へのアミド結合により結合されるパラチノース及びイソマルタミン(isomaltamine)の誘導体;尿素によりアルキル鎖に結合されるイソマルタミンの誘導体;スクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸ウレイド;及びスクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸アミド。疎水性アルキルは、所望される疎水性及び糖類部分の親水性に依存して、あらゆる所望のサイズから選択され得る。例えば、アルキル鎖の1つの好ましい範囲は約9~約24の炭素原子である。より好ましい範囲は、約9~約16又は約14の炭素原子である。同様に、幾つかの好ましいサッカライドは、9、10、12、13、14の、16、18、20、22、又は24の炭素原子のアルキル鎖へのグリコシド結合により結合されるマルトース、スクロース、及びグルコース、例えばノニル-、デシル-、ドデシル-、及びテトラデシルスクロシド、グルコシド、及びマルトシドなどを含む。アルキルサッカライドのアルキル鎖は多くの場合、グリコシド結合を介してサッカライドに結合され、従って、アルキルサッカライドは多くの場合互換的にアルキルグリコシドと称される。
【0238】
あらゆる「適切な」アルキルグリコシドは、本明細書において考慮される特徴を満たすもの、即ち、非毒性及び非イオン性であるアルキルグリコシド、及び、経鼻噴霧経路を介して化合物(例えばエピネフリン)と共に投与されると化合物の吸収を増大させるものを意味する。
【0239】
本明細書で使用されるように、「サッカライド」は、サッカライド鎖を形成するための直鎖形態又は環形態での単糖、オリゴ糖、又は多糖、或いはそれらの組み合わせを含む。オリゴ糖は、2つ以上の単糖類残基を有するサッカライドである。サッカライドは、例えばあらゆる現在市販されているサッカライド種から選択され、或いは合成され得る。使用のための多くの可能なサッカライドの幾つかの例には、グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、スクロース、及びトレハロースが挙げられる。好ましいサッカライドはマルトース、スクロース、及びグルコースを含む。
【0240】
幾つかの実施形態において、本明細書には、少なくとも1つのアルキルグリコシド及び/又はサッカライドアルキルエステル及びエピネフリンを含む組成物、経鼻送達経路を介して化合物を投与及び使用する方法、及び、前記組成物の投与により被験体の疾患状態を改善する方法が記載される。
【0241】
幾つかの実施形態において、本明細書には、エピネフリンと混ぜられ、混合され、或いは融合され、且つ被験体に投与又は送達される少なくとも1つのアルキルグリコシド及び/又はサッカライドアルキルエステルを含有する組成物を投与する方法が記載され、ここで、アルキルは約10~24、10~20、10~16、又は10~14の炭素原子を有し、少なくとも1つのアルキルグリコシド及び/又はサッカライドアルキルエステルは治療薬の安定性及び生物学的利用能を増大させる。
【0242】
幾つかの実施形態において、企図されるアルキルサッカライドは、疎水性アルキル基を親水性サッカライドに結合させたものを含有する。疎水性アルキル基と親水性サッカライドとの結合は、他の可能性の中でとりわけ、グリコシド、チオグリコシド(thioglycosidic)(Horton)、アミド(Carbohydrates as Organic Raw Materials, F. W. Lichtenthaler ed. , VCH Publishers, New York, 1991), VCH Publishers, New York, 1991)、ウレイド(オーストラリア特許第386,414号 (1988); Chem. Abstr. 110:137536p (1989);Gruber, H. and Greber, G., “Reactive Sucrose Derivatives” in Carbohydrates as Organic Raw Materials, pp. 95-116を参照)又は、エステル結合(Sugar Esters: Preparation and Application, J. C. Colbert ed., (Noyes Data Corp., New Jersey), (1974))を含み得る。更に、好ましいグリコシドは、約9-16の炭素原子のアルキル鎖へのグリコシド結合により結合されたマルトース、スクロース、及びグルコース、例えばノニル-、デシル-、ドデシル-、及びテトラデシルスクロシド、グルコシド、及びマルトシドを含み得る。これら組成物は、アルコール及びオリゴ糖へと分解することから、両親媒性であり且つ無毒である。
【0243】
上記の例は、企図されたグリコシドの種類を例示するものであるが、リストは完全ではない。本明細書に記載される基準を満たす上記化合物の誘導体は、アルキルサッカライドの選択時にも企図される。
【0244】
幾つかの実施形態において、膜浸透増強剤は、抗細菌剤として機能すると企図される。薬剤は、薬剤又はその同等物が細菌を破壊する、或いは細菌増殖又は生殖を抑える場合、「抗細菌」剤又は物質である。
【0245】
用語「有効成分」又は「薬学的に活性な化合物」は、「製剤」の観点から定義され、及び、医薬の利益をもたらさないと一般的に認められる「不活性成分」と対照的に、主要な薬学的効果をもたらす医薬製剤の構成成分を意味するように意図される。
【0246】
用語「操作」は、本明細書に使用されるように、医薬製剤が送達されるようなデバイスの操作を指す。
【0247】
用語「抗菌性防腐剤」は、本明細書で使用されるように、医薬製剤に添加されて微生物学的安定性を維持する抗菌性特性を持つ、薬学的に許容可能な賦形剤を指す。抗菌性防腐剤には、限定されないが、抗菌剤、抗真菌剤、抗酸化剤、及び防腐剤が挙げられる。
【0248】
用語「AUC」は、本明細書で使用されるように、薬物血漿濃度時間曲線下面積を指す。用語「AUC0-t」は、本明細書で使用されるように、t=0から最後の測定された又は測定可能な濃度までの薬物血漿濃度時間曲線下面積を指す。用語「AUC0-∞」、又は同様に「AUC0-inf」は、本明細書で使用されるように、無限(∞)に外挿される薬物血漿濃度時間曲線下面積を指す。
【0249】
本明細書で使用されるように、用語「塩化ベンザルコニウム」(「BZK」)は、以下の構造を有する第四級アンモニウム化合物のクラスのメンバーを指す:
【0250】
【化1】
ここで、nは整数である。塩化ベンザルコニウムはアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物であり、そこでは1より多くのnの混合物が使用される。特定の実施形態において、nは、8、10、12、14、16、又は18である。他の実施形態において、nは、10、12、又は14である。幾つかの実施形態において、nの混合物は、主に10、12、及び/又は14である。幾つかの実施形態において、nの混合物は、主に10、12、14、及び/又は16である。幾つかの実施形態において、塩化ベンザルコニウムは、防腐剤(低量でさえ)、防腐剤、消毒薬、可溶化剤及び湿潤剤、及び/又はカチオン界面活性剤として機能する。場合によっては、塩化ベンザルコニウムは吸収促進剤の一種を指す。
【0251】
用語「生物学的利用能(F)」は、本明細書で使用されるように、投与の部位から吸収され且つ不変の形態で体循環に到達する、薬物の投与量の画分を指す。用語「絶対生物学的利用能」は、吸収された薬物の画分がそのIV生物学的利用能に関連する場合に使用される。これは以下の式を使用して算出され得る:
【0252】
【0253】
用語「相対生物学的利用能(Frel)」は、薬物投与の2つの異なる血管外経路を比較するために使用され、以下の式を使用して算出され得る:
【0254】
【0255】
用語「クリアランス(CL)」は、本明細書で使用されるように、薬物がその血漿濃度により分割されて排除される速度を指し、薬物が1つの単位時間当たり完全に取り除かれる血漿の容積を考慮する。CLは、分布容積(Vd)を掛けた消失速度定数(λ)に等しく、ここで、「Vd」は、血漿などにおいて同じ濃度で身体に存在する薬物の量を含むのに必要とされる流体容積である。用語「明らかなクリアランス(CL/F)」は、本明細書で使用されるように、薬物の生物学的利用能を考慮しないクリアランスを指す。これはAUCに対する投与量の比率である。
【0256】
用語「Cmax」は、本明細書で使用されるように、最大に観察された血漿濃度を指す。
【0257】
用語「変動係数(CV)」は、本明細書で使用されるように、サンプル平均に対するサンプル標準偏差の比率を指す。これは多くの場合にパーセンテージとして表される。
【0258】
用語「信頼区間」は、本明細書で使用されるように、時間の特定のパーセンテージのパラメータの真の平均値を含む、値の範囲を指す。
【0259】
用語「デバイス」は、本明細書で使用されるように、必要とする患者に薬物を送達可能な装置を指す。
【0260】
用語「送達時間」は、本明細書で使用されるように、医療従事者、又はエピネフリンの経鼻送達を必要とする訓練されていない個体によってなされた決定と、送達の完了との間に経過する時間の量を指す。
【0261】
用語「疾患」は、本明細書で使用されるように、用語「障害」、「症候群」、及び(内科疾患におけるような)「疾病」と一般に同意語になるように意図され、及びそれらと互換的に使用されるものであり、それらすべては、正常な機能を害する、ヒト又は動物の身体、又はその一部分の異常状態を表し、典型的には兆候及び症状を見分けることによって明らかにされ、ヒト又は動物の寿命が短くなる又は生活の質が落ちる原因となる。
【0262】
本明細書で使用されるように、「デバイスから分配された投与量」は典型的に、本明細書に包含される製剤の投与量を放出するための操作の前後にデバイスの重量の差異により、経鼻噴霧設定において測定される。液体製剤の容積及び本明細書に包含される活性部分のミリグラムにおける重量は、標準計算により判定され得る。
【0263】
用語「消失速度定数(λ)」は、本明細書で使用されるように、身体からの薬物除去の配分率を指す。この速度は一次速度式において一定であり、身体における薬物濃度には依存しない。λは、(対数のyスケール上の)血漿濃度時間線の勾配である。用語「λz」は、本明細書で使用されるように、終末期消失速度定数を指し、ここで薬物血漿濃度時間曲線の「終末期」は、半対数のグラフ上でプロットされた場合に直線である。終末期中に薬物濃度を減少させるための主要な機構が身体からの薬物排出であるため、終末期は多くの場合に「排出期」と称される。終末排出期の判別特徴は、分布の血漿及び末梢容積における薬物の相対的比率が一定のままであるという特徴である。この「終末期」中に、薬物は迅速且つ低速の分布容積から血漿へと戻り、代謝又は腎排泄によって血漿から恒久的に取り除かれる。
【0264】
用語「同等な」は、本明細書で使用されるように、本質的に質量、量、値、程度、又は大きさが同じ(即ち、軽微な差異)ことを意味する。用語「同等な」は、特定の実施形態において「生物学的に同等な」を含み得るが、この用語は同じ範囲内にはない。
【0265】
用語「生物学的に同等な」は、本明細書で使用されるように、基準と推定上の同等物又は代替的な薬物との関係を説明するものであり、21 C.F.R.§ 320.1に従い、医薬的同等物又は医薬的代替物における有効成分又は活性部分が、適切に設計された研究における同様の条件下で同じモル投与量にて投与された場合に薬物作用の部位において利用可能となる速度及び程度において有意差はないことを意味する。吸収の速度及び程度はそれぞれ、Cmax及びAUCから判定され、或いはそれにより知らされる。特定の実施形態において、統計的規準は、例えば、基準値の80%~125%、又は90%のCIで使用され得る。
【0266】
用語「モル当量」は、本明細書で使用されるように、特定の量の酸に対し等モルであるエピネフリンの量を指す。
【0267】
用語「賦形剤」は、本明細書で使用されるように、薬の有効成分と共に製剤された天然又は合成の物質を指す。賦形剤は、様々な理由、例えば限定されないが、長期安定化、固形剤のかさ上げ、又は、薬物吸収の促進、粘度の減少、或いは溶解度の増強などの最終的な剤形における有効成分に対する治療的増強を付与することにより、製剤に含まれる。
【0268】
用語「充填した」は、本明細書で使用されるように、例えば、治療上有効な量のエピネフリンを含有する本明細書に記載の医薬製剤が、本明細書に記載のデバイスの一部を形成するリザーバ内に存在する場合、デバイスと医薬製剤との関連付けを指す。
【0269】
用語「製剤」は、改質「医薬品」の有無に関わらず、本明細書に使用されるように、少なくとも1つの生理活性成分(例えば薬物)を含む組成物を指し;限定されないが、本明細書に記載されるエピネフリン及び関連化合物の塩、溶媒和物、及び水和物が挙げられ、これにより、製剤は哺乳動物(例えば、限定されないがヒト)において特定の効果的な結果のための使用に適している。
【0270】
用語「医薬製剤」は、本明細書で使用されるように、単独又は組み合わせにおいて、被験体の疾患の処置(又は特定の実施形態では予防)のための使用に適している製剤を指す。
【0271】
用語「水和物」は、本明細書で使用されるように、本明細書に記載されるエピネフリン又はその塩を指し、これは更に、非共有結合の分子間力により結合される化学量又は非化学量の水を含む。
【0272】
用語「処置を必要とする」、及び用語「それを必要とする」は、処置に対して言及する場合、互換的に使用され、且つ、介護者(例えば、医師、看護師、ナースプラクティショナー、患者が処置により利益を得る人)によって下された判断を指す。
【0273】
本明細書で使用されるように、エピネフリンの「筋肉内(IM)注射」は典型的に、大腿、例えば外側広筋(本明細書では「大腿の最適な投薬条件」と称される)において自己注入装置により送達されるIMエピネフリンを介して施される。そのため、IMエピネフリン注射によりもたらされた薬物動態パラメータをINエピネフリン投与によってもたらされたものと比較すると、この比較は、あたかもIM注射が大腿におけるものであるかのように仮定される必要があり、これはエピネフリンの最適な投薬方法である。一実施形態において、IMエピネフリン注射は、EpiPen(登録商標)自己注入装置(0.3mg/0.3mLのエピネフリン注射、USP、事前に充填された自己注入装置;Mylan Specialty L.P.)により達成される。
【0274】
本明細書で使用されるように、エピネフリンの「皮下(SQ)注射」は典型的に、上腕における三角筋部の皮下層への注射によって施される。Simons et al. Epinephrine absorption in adults: Intramuscular versus subcutaneous injection. J Allergy. Clin. Immunol. 2001;108:871-3。
【0275】
本明細書で使用されるように、2つの実施形態は、一方が他方と異なるものであると定義される場合に「相互に排他的」である。例えば、エピネフリンの濃度が5mg/mLであると特定される実施形態は、エピネフリンの量が10mg/mLであると特定される実施形態とは相互に排他的である。しかし、エピネフリンの量が5mg/mLであると特定される実施形態は、医薬製剤の約10%未満が鼻咽腔又は外部への排水を介して鼻腔から出る実施形態とは相互に排他的ではない。
【0276】
用語「薬学的に許容可能な」は、本明細書で使用されるように、製剤の構成成分を指し、これは多くの場合に担体又は賦形剤と称され、製剤の他の成分と適合可能であり、そのレシピエントに対して過度に有害ではない。
【0277】
用語「事前にプライミングした(pre-primed)」は、本明細書で使用されるように、噴霧が生じるまでポンプを1回以上操作するなどのスプレーポンプの第1の操作により、即ち、投薬前にポンプに誘い水をする必要なく、必要とする患者へ製剤を送達可能な経鼻スプレーなどのデバイスを指す。
【0278】
用語「腹臥位」は、本明細書で使用されるように、横たわってうつ伏せになっている患者を指す。
【0279】
本明細書で使用されるように、用語「保護包装」は上包を指す。
【0280】
用語「溶媒和物」は、本明細書で使用されるように、本明細書に記載されるエピネフリン又はその塩を指し、これは更に、非共有結合の分子間力により結合される化学量又は非化学量の溶媒を含む。好ましい溶剤は、揮発性であり、非毒性であり、及び/又は微量でのヒトへの投与に許容可能なものである。
【0281】
用語「保存安定性である」は、本明細書で使用されるように、有効成分の少なくとも約90%~115%が、特定の期間にわたり特定の温度及び湿度で、例えば25℃及び60%の相対湿度では少なくとも12ヶ月間、並びに、約40℃及び約75%の相対湿度では約6ヶ月間の製剤の保管後に許容可能な調節の仕様内にとどまる製剤を指す。
【0282】
用語「被験体」は、本明細書で使用されるように、「患者」と同義語となるように意図され、治療上有効な量エピネフリンによる処置から利益を得る可能性がある疾病に罹患したあらゆる哺乳動物(好ましくはヒト)、例えば、アナフィラキシーなどの1型過敏性反応(全身性アレルギー反応)を経験する被験体を指す。
【0283】
用語「仰臥位」は、本明細書で使用されるように、横たわって仰向けになっている患者を指す。
【0284】
用語「鼻孔(nostril)」は、本明細書で使用されるように、「鼻孔(naris)」と同義語である。
【0285】
用語「治療上有効な量」又は「治療上有効な投与量」は、本明細書で使用されるように、研究者、医療サービス提供者、又は個人により求められている組織、系、又は個体における生物学的又は医薬の反応を誘発する、活性化合物又は医薬品の量又は投与量を指す。治療上有効な量は、必ずしもそうとは限らないが、処置されている疾患、障害、又は疾病の1つ、1つ以上、又は全ての症状を排除することができる。治療上有効な量はまた、疾患進行又は更なる症状の出現を予防することができる。
【0286】
用語「t1/2」又は「半減期」は、本明細書で使用されるように、薬物の半分又は対象の他の分析物が身体から排除されるのに必要な時間の量、或いは、薬物濃度が半分に低下するのに必要な時間を指す。
【0287】
用語「等張化剤」は、本明細書で使用されるように、製剤のオスモル濃度を修飾することで、例えば製剤を等張にする化合物を指す。等張化剤には、デキストロース、ラクトース、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、グリシンなどが挙げられる。幾つかの実施形態において、本明細書で企図される製剤は、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、及び塩化ナトリウムから選択される1つ以上の等張化剤を含む。幾つかの実施形態において、本明細書で企図される製剤は、等張化剤として塩化ナトリウムを含む。
【0288】
用語「断層撮影法」は、本明細書で使用されるように、セクションごとの画像化のプロセスを指す。画像は、個別に、一連の二次元のスライス、或いは一体として、コンピュータで生成された三次元表現として見ることができる。
【0289】
用語「tmax」は、本明細書で使用されるように、薬物又は他の分析物の投与から最大の薬物血漿濃度(Cmax)に達するまでの時間を指す。
【0290】
エピネフリン
用語「エピネフリン」は、本明細書で使用されるように、化合物(R)-4-(1-ヒドロキシ-2-(メチルアミノ)エチル)ベンゼン-1,2-ジオールを指し、これはアドレナリンとしても知られており、以下に示され、且つ以下の構造、要素の構造、分子量、及びCAS登録番号を有している:
【0291】
【化2】
この用語は、それらのあらゆる代謝産物、塩、エステル、水和物、無水物、溶媒和物、異性体、同位体、エナンチオマー、遊離酸形態、遊離塩基形態、結晶形態、共結晶形態、複合体、非晶質形態、プロドラッグ(エステルプロドラッグを含む)形態、ラセミ化合物、多形体、キレート化合物、異性体、互変異性体、又は光学的に活性な形態、或いは前述の何れか2つ以上の混合物を含む。
【0292】
製剤及びデバイスを含む、エピネフリンの経鼻送達に適した薬物製品が提供される。エピネフリンは様々なアドレナリン受容体に結合することにより作用する。エピネフリンは、主要な亜型α1、α2、β1、β2、及びβ3を含む、全てのアドレナリン受容体の非選択的アゴニストである。その作用は、アドレナリン受容体の組織型及び組織発現によって変動する。例えば、高レベルのエピネフリンは気道において平滑筋弛緩を引き起こすが、大半の小動脈を並べる平滑筋の収縮を引き起こす。
【0293】
製剤、患者への製剤の経鼻送達に適した提供されたデバイス、前記デバイスを含むキット、及び処置におけるデバイスの使用方法が提供され、それぞれ治療上有効な量のエピネフリンを含む。
【0294】
エピネフリンは、1mg/mL~40mg/mLの濃度、例えば、約5mg/mL、約10mg/mL、又は約20mg/mLの濃度で、本明細書中の投与される製剤に存在し得る。
【0295】
エピネフリンは、0.1mg~0.4mgの投与量、例えば、約0.5mg、約1.0mg、又は約2.0mgの投与量で、本明細書中の投与される製剤に存在し得る。これら投与量は、塩が製剤を調製するために使用される場合、対イオンの分子量に基づいて計られる場合がある。
【0296】
エピネフリンは随意に、無機酸及び有機酸を含む薬学的に許容可能な非毒性の酸から調製された、薬学的に許容可能な酸付加塩を含む薬学的に許容可能な塩として存在し得る。代表的な酸には、限定されないが、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、窒素、蓚酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫黄酸、酒石酸、蓚酸、p-トルエンスルホン酸や、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 66:1-19 (1977)に列挙される薬学的に許容可能な塩などが挙げられる。酸付加塩は化合物合成の直接産物として得られる場合がある。代案において、遊離塩基は、溶剤を蒸発させる又はそうでなければ塩及び溶剤を分離することにより単離された適切な酸及び塩を含有する適切な溶剤において溶解され得る。エピネフリン塩基の不溶性が認められているため、ヘルスケアに使用されるエピネフリンの完成した剤形(溶液、エアロゾルなど)は典型的に、塩、例えば塩酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩である。特定の実施形態において、本明細書中に企図される製剤は、酢酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、酒石酸エピネフリン、酒石酸水素エピネフリン(epinephrine bitartrate)、水素酒石酸エピネフリン(epinephrine hydrogen tartrate)、又はホウ酸エピネフリンである、エピネフリンの塩形態を含む。
【0297】
従って、本明細書には、エピネフリンを含む鼻腔内投与のための医薬製剤が提供される。特定の実施形態において、製剤は水溶液である。特定の実施形態において、製剤は、1投与量あたり約25~250μLの水溶液を含む。特定の実施形態において、製剤は、1投与量あたり約50~250μLの水溶液を含む。特定の実施形態において、製剤は、1投与量あたり約50~200μLの水溶液を含む。特定の実施形態において、製剤は投与量あたり約140μL以下を含む。特定の実施形態において、製剤は投与量あたり約100μL以下を含む。特定の実施形態において、製剤は投与量あたり約100μLを含む。製剤は、投与量あたり約25μL、約50μL、約75μL、約100μL、約125μL、約150μL、約175μL、約200μL、又は約250μLの水溶液を含み得る。
【0298】
本明細書に記載されるエピネフリンを含む鼻腔内投与のための医薬製剤は、胃腸管及び肝臓の初回通過代謝における潜在的な代謝的転換をバイパスし、及び薬理学的に活性な形態において体循環に達する。エピネフリンは、胃腸管におけるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼによる、及び胃腸管と肝臓におけるモノアミンオキシダーゼによる経口投与の後に広範囲に代謝される。初回通過クリアランスの回避は、投与されるエピネフリンのより多くがアナフィラキシーの処置に利用可能であることを確実にする。初回通過肝臓クリアランスの回避により、エピネフリンの生物学的利用能は増大する。
【0299】
<製剤>
エピネフリンを含む医薬製剤がさらに提供される。本開示の特定の実施形態は、エピネフリンと薬学的に許容可能な担体とを混合することを含む、製剤を製造する方法を含む。医薬製剤は、本明細書に記載されるデバイスを使用して、鼻腔に直接投与される。噴霧の場合には、これが、例えば、噴霧剤を用いて又は噴霧剤を用いることなく、定量噴霧ポンプ、例えば、1回投与、2回投与、あるいは複数回投与の噴霧デバイスによって達成され得る。
【0300】
液状製剤は、溶液、懸濁液及びエマルジョン、例えば、水、又は水-エタノール、あるいは水-プロピレングリコール水溶液を含む。典型的には、上記製剤は水溶液である。液状製剤における追加の成分は、防腐剤、安定化剤、等張化剤、吸収促進剤、pH調節剤、抗酸化剤、緩衝液、甘味料/香料/味マスキング剤、及び随意に他の成分を含み得る。液状製剤における成分は、異なる機能を果たす場合もある。特定の成分の機能は、限定されないが、他の成分の有無、濃縮、及び他の要因を含む、多数の要因に依存するだろう。
【0301】
防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、フェニルエチルアルコールなど、及びそれらの混合物が挙げられる。それらの化学的性質により、特定の防腐剤は、製剤中の濃縮及び他の要因に依存して、ある状況では、界面活性剤及び/又は吸収促進剤として機能することができる。
【0302】
他の防腐剤は以下のものを含む:アルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ホウ酸、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチレングリコール、ブチルパラベン、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、二酸化炭素、ベントナイト、セトリミド、塩化セチルピリジウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クエン酸一水和物、クレゾール、ジメチルエーテル、エチルパラベン、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、三ケイ酸マグネシウム、イソプロピルアルコール、乳酸、メチルパラベン、モノチオグリセロール、パラベン(メチル、エチル、及びプロピル)、ペンテト酸、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、カリウム安息香酸塩、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸、スルホブチルエーテル(sulfobutyletherb)-シクロデキストリン、二酸化硫黄、エデト酸、キシリトール。
【0303】
幾つかの実施形態において、防腐剤は、限定されないが、抗菌剤、抗真菌剤、及び抗酸化剤を含む。
【0304】
抗菌剤としては、限定されないが、クロロクレゾール、ジアゾリジニル尿素 、ジメチルスルホキシド、氷酢酸、イミド尿素、ヨウ素/エデト酸、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、水酸化フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、水酸化ナトリウム、ソルビン酸、チモール、防腐剤、及び殺菌剤が挙げられる。
【0305】
抗真菌剤としては、制限されないが、安息香酸、ブチレングリコール、ブチルパラベン、クロロクレゾール、やし油、ジメチルスルホキシド、エチルパラベン、氷酢酸、イミド尿素、メチルパラベン、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、水酸化フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チモール、及びバニリンが挙げられる。
【0306】
界面活性剤としては、限定されないが、ポリソルベート80 NF、ポリオキシエチレン20モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(4)モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン20モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン20モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(4)モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン20トリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(5)モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン20トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン20モノイソステアリン酸、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタンなど、及びそれらの混合物が挙げられる。それらの化学的性質により、特定の界面活性剤は、製剤中の濃縮及び他の要因に応じて、ある状況では、防腐剤及び/又は吸収促進剤として機能することができる。
【0307】
界面活性剤としては、限定されないが、カチオン性、アニオン性、非イオン性、及び双性イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0308】
界面活性剤は以下のものをさらに含む:アニオン界面活性剤(例えば、カルボン酸塩スルホネート、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸塩、硫酸化天然油及び硫酸化油脂、硫酸化エステル、硫酸化アルカノールアミド(sulphated alkanolamides)、アルキルフェノール、エトキシル化された及び硫酸化された)、非イオン界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪族アルコール、ポリオキシエチレン界面活性剤、カルボキシルエステル、ポリエチレングリコールエステル、無水ソルビトールエステル(anhydrosorbitol ester)及びそのエトキシル化誘導体、脂肪酸のグリコールエステル、カルボン酸アミド、モノアルカノールアミン凝縮物ポリオキシエチレン脂肪酸アミド)、カチオン性界面活性剤(例えば、第四級アンモニウム塩、アミド結合、ポリオキシエチレンアルキル及び脂環族アミンを有するアミン、4.n、n、n’、n、テトラキス置換エチレンジアミン、2-アルキル1-ヒドロキシエチル 2-イミダゾリン)、両性界面活性剤(それらの表面、例えば、n-ココ3-アミノプロピオン酸/ナトリウム塩、における酸性と塩基性の両方の親水性部分を含む両性界面活性剤、n-タロ3-イミノジプロピオン酸塩(iminodipropionate)、ジナトリウム塩、n-カルボキシメチル n ジメチル n-9オクタデケニル水酸化アンモニウム、n-ココアミドエチル n ヒドロキシエチルグリシン、ナトリウム塩など)。
【0309】
抗酸化剤としては、限定されないが、トコフェロール、アラキドン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、塩化ベンゼトニウム、臭化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カプリン酸、カプロン酸、二酸化炭素、塩化セチルピリジニウム、キレート化剤、キトサン誘導体、クエン酸一水和物、ドデシルジメチルアミノプロピオナート、エナント酸、エリソルビン酸、オレイン酸エチル、フマル酸、オレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ラウリン酸、リモネン、リノレン酸、リジン、リンゴ酸、メントール、メチオニン、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、オレイン酸、あるいはその塩、パルミチン酸、ペラルゴン酸、ハッカ油、リン酸、ポリソルベート、ピロ亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、デスオキシコール酸ナトリウム、デオキシグリコール酸ナトリウム、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、グリココール酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシベンゾイルアミノカプリル酸塩(sodium hydroxybenzoyal amino caprylate)、ラウリル硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ステアリン酸、二酸化硫黄、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0310】
緩衝液としては、限定されないが、リン酸塩緩衝液、緩衝酢酸溶液、及びクエン酸塩緩衝液が挙げられる。
【0311】
幾つかの実施形態において、鼻内噴霧製剤は緩衝剤を含む。緩衝剤としては、限定されないが、アジピン酸、ホウ酸、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、三塩基性のクエン酸一水和物、リン酸水素ナトリウム、ジエタノールアミン、グリシン、マレイン酸、リンゴ酸、メチオニン、一塩基リン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グルタミン酸ナトリウム、リン酸、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0312】
等張剤は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、スクロース、デキストロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、グリセリン、グリシンなど、及びそれらの混合物を含む。特定の実施形態において、等張剤は、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、及び塩化ナトリウムから選択される。特定の実施形態において、等張剤は塩化ナトリウムである。特定の実施形態において、本明細書に開示される製剤は、最終組成物が、経鼻的に容認可能な重量オスモル濃度、好ましくは、240-350mOsm/kgを有するのに十分な量の塩化ナトリウムを含んでいる。特定の実施形態において、その製剤は0.3-1.9%の塩化ナトリウムを含んでいる。
【0313】
甘味料/香料/味マスキング剤としては、制限されないが、精製白糖、デキストロース、ラクトース、スクラロース、アセスルファム-K、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、クエン酸、アスパラギン酸、ユーカリプトール、マンニトール、グリセリン、キシリトール、メントール、グリシルリジン酸、桂皮油、ウインターグリーン油、ハッカ油、クローバ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、バニラ油、レモン油、オレンジ油、ブドウ油、及びグレープフルーツ油などの柑橘油、リンゴ、モモ、セイヨウナシ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実エキス、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、製剤は、約0.0001パーセント~約1パーセントの甘味料/香料/味マスキング剤を含み、それは、風味に対する効果の効力、風味材料の溶解度、溶解度に対する風味材料の効果、又は他の製剤成分の他の物理化学的特性又は薬物動態学的特性、あるいはそれ以外の要因の1つ以上の要因として、より少ない量又はより多い量で存在する場合がある。
【0314】
特定の実施形態において、医薬製剤は等張剤をさらに含む。鼻腔内製剤は、約0.2%(w/v)~約0.2%(w/v)の間、例えば、約1.2%(w/v)、約0.3%(w/v)、約0.4%(w/v)、約0.5%(w/v)、(約0.6%(w/v)、約0.7%(w/v)、約0.8%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1.0%(w/v)、約1.1%(w/v)、又は約1.2%(w/v)の等張剤を含む。鼻腔内製剤は、約0.1%(w/v)よりも多い等張剤を含み得る。鼻腔内製剤は、約1.2%(w/v)より少ない等張剤を含み得る。他の実施形態では、鼻腔内製剤は、約0.2%(w/v)~約1.9%(w/v)の間、例えば、約0.2%(w/v)、約0.3%(w/v)、約0.4%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.6%(w/v)、約0.7%(w/v)、約0.8%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1.0%(w/v)、約1.1%(w/v)、約1.2%(w/v)、約1.3%(w/v)、約1.4%(w/v)、約1.5%(w/v)、約1.6%(w/v)、約1.7%(w/v)、約1.8%(w/v)、又は約1.9%(w/v)の等張剤を含む。鼻腔内製剤は、約1.9%(w/v)より少ない等張剤を含み得る。
【0315】
特定の実施形態において、その製剤は吸収促進剤をさらに含む。特定の実施形態において、医薬製剤は、約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)の吸収促進剤を含む。特定の実施形態において、医薬製剤は、約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)の吸収促進剤を含む。特定の実施形態において、医薬製剤は、約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)の吸収促進剤を含む。特定の実施形態において、医薬製剤は、約0.25%(w/v)の吸収促進剤を含む。特定の実施形態において、医薬製剤は、約0.18%(w/v)の吸収促進剤を含む。
【0316】
特定の実施形態において、吸収促進剤は、塩化ベンザルコニウム、シクロデキストリン、キトサン、デオキシコール酸、アルキルサッカリド(alkylsaccharide)(例えば、グリコシド又はエステル結合によって糖部に結合された脂肪族炭化水素鎖から成る、アルキルグリコシド及び脂肪酸のスクロースエステルなどの非イオン性アルキルサッカリド界面活性剤)、フシジン酸誘導体、グリココール酸、ラウレス-9、ホスファチジルコリン、タウロコール酸、タウロジヒドロフシジン酸(taurodihydrofusidic acid)、ミクロスフェア及びリポソーム、ならびに胆汁塩から選択される。ある実施形態において、吸収促進剤は塩化ベンザルコニウムである。製剤は、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。ある実施形態において、医薬製剤は、約0.005%(w/v)~約0.015%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。ある実施形態において、医薬製剤は、約0.01%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、又は約0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。ある実施形態において、医薬製剤は約0.01%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。ある実施形態において、医薬製剤は約0.02%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。ある実施形態において、医薬製剤は約0.04%の塩化ベンザルコニウムを含む。
【0317】
ある実施形態において、医薬製剤は、約0.001%(w/v)~約1%(w/v)の量の塩化ベンザルコニウムを含む。ある他の実施形態において、医薬製剤は、約0.001%(w/v)~約0.5%(w/v)の量の塩化ベンザルコニウムを含む。ある他の実施形態において、医薬製剤は、約0.001%(w/v)~約0.2%(w/v)の量の塩化ベンザルコニウムを含む。幾つかの実施形態において、医薬製剤は、0.001%(w/v)、0.003%(w/v)、0.005%(w/v)、0.007%(w/v)、0.009%(w/v)、0.01%(w/v)、0.02%(w/v)、0.03%(w/v)、0.04%(w/v)、0.05%(w/v)、0.06%(w/v)、0.07%(w/v)、0.08%(w/v)、0.09%(w/v)、0.1%(w/v)、0.11%(w/v)、0.12%(w/v)、0.13%(w/v)、0.14%(w/v)、0.15%(w/v)、0.16%(w/v)、0.17%(w/v)、0.18%(w/v)、0.19%(w/v)、0.2%(w/v)、0.31%(w/v)、0.22%(w/v)、0.23%(w/v)、0.24%(w/v)、0.25%(w/v)、0.26%(w/v)、0.27%(w/v)、0.28%(w/v)、0.29%(w/v)、0.3%(w/v)、0.31%(w/v)、0.32%(w/v)、0.33%(w/v)、0.34%(w/v)、0.35%(w/v)、0.36%(w/v)、0.37%(w/v)、0.38%(w/v)、0.39%(w/v)、0.4%(w/v)、0.41%(w/v)、0.42%(w/v)、0.43%(w/v)、0.44%(w/v)、0.45%(w/v)、0.46%(w/v)、0.47% w/v)、0.48%(w/v)、0.49%(w/v)、0.5%(w/v)、0.51%(w/v)、0.52%(w/v)、0.53%(w/v)、0.54%(w/v)、0.55%(w/v)、0.56%(w/v)、0.57%(w/v)、0.58%(w/v)、0.59%(w/v)、0.6%(w/v)、0.61%(w/v)、0.62%(w/v)、0.63%(w/v)、0.64%(w/v)、0.65%(w/v)、0.66%(w/v)、0.67%(w/v)、0.68%(w/v)、0.69%(w/v)、0.7%(w/v)、0.71%(w/v)、0.72%(w/v)、0.73%(w/v)、0.74%(w/v)、0.75%(w/v)、0.76%(w/v)、0.77%(w/v)、0.78%(w/v)、0.79%(w/v)、0.8%(w/v)、0.81%(w/v)、0.82%(w/v)、0.83%(w/v)、0.84%(w/v)、0.85%(w/v)、0.86%(w/v)、0.87%(w/v)、0.88%(w/v)、0.89%(w/v)、0.9%(w/v)、0.91%(w/v)、0.92%(w/v)、0.93%(w/v)、0.94%(w/v)、0.95%(w/v)、0.96%(w/v)、0.97%(w/v)、0.98%(w/v)、0.99%(w/v)、又は1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。
【0318】
ある実施形態において、吸収促進剤はアルキルサッカリドある。ある実施形態において、アルキルサッカリドは、ドデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド(TDM)及びスクロースドデカノアートから選択される。
【0319】
ある実施形態において、アルキルサッカリドは、ドデシルマルトシド(アルキルグリコシド1-O-n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、代替的にラウリル-β-D-マルトピラノシド、ドデシルマルトピラノシド、及びDDM;C24H46Q11とも呼ばれ、多くの場合、商品名Intravail(登録商標)で呼ばれる)である。アルキルサッカリドは、市販食品及びパーソナルケア製品で使用され、食品用途向けに一般的に安全と認められる(GRAS)物質に指定されている。それらは、最大25%の濃度でのドレーズ法において、無臭、無味、非毒性、非変異原性、及び非感作性である経粘膜吸収の非刺激性促進剤である。経上皮電気抵抗の減少によって示されるように、アルキルサッカリドは、傍細胞浸透性を増大することによって吸収を増大させ、トランスサイトーシスも増大させる場合もある。影響は一時的である。他のアルキルサッカリドは、テトラデシルマルトシド(TDM)及びスクロースドデカノアートを含む。
【0320】
ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.15%(w/v)~約0.35%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.15%(w/v)~約0.2%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.18%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.2%(w/v)~約0.3%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は約0.25%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。
【0321】
ある実施形態において、吸収促進剤はIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)である。
【0322】
ある実施形態において、鼻腔内製剤の吸収促進剤は、ドデシルマルトシド及び塩化ベンザルコニウムの組み合わせである。本明細書に記載される鼻腔内製剤の吸収促進剤としてのドデシルマルトシド又は塩化ベンザルコニウムの使用は、鼻腔内エピネフリンの生物学的利用能を提供するが、本明細書に記載される鼻腔内製剤の吸収促進剤としてのドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせは、エピネフリンの筋肉内注射によって得られた薬物動態と厳密に一致する薬物動態を提供する。
【0323】
ある実施形態において、医薬製剤のデバイスから分配される各投与量は、投与量当たり約0.4mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩、及び0.1~0.50mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)を含む。
【0324】
ある実施形態において、製剤のデバイスから分配される各投与量は、投与量当たり約0.5mg~約2.0mgのエピネフリン又はその塩、及び約0.1~約0.50mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)を含む。
【0325】
ある実施形態において、製剤のデバイスから分配される各投与量は、投与量当たり約0.4mg~約2.40mgのエピネフリン又はその塩、及び0.1~0.50mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)を含む。
【0326】
ある実施形態において、製剤のデバイスから分配される各投与量は、投与量当たり約0.9mg~約1.15mgのエピネフリン又はその塩、及び約0.25mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)を含む。
【0327】
特定の実施形態において、製剤のデバイスから分配される各投与量は、投与量当たり約1.0mgのエピネフリン又はその塩、及び約0.25mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)を含む。
【0328】
ある実施形態において、医薬製剤は、安定性を改善するためのキレート剤又は抗酸化剤(安定化剤)をさらに含む。特定の実施形態において、キレート剤/安定化剤はEDTAである。
【0329】
追加の安定化剤の例は以下のものを含む:カルボキシメチルセルロース・アカシア、寒天、アルブミン、アルギン酸、ステアリン酸アルミニウム、アルギン酸アンモニウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベントナイト、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アルギン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ルボキシルメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、セルロース、微晶質、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、セラトニア、コロイド状二酸化ケイ素、シクロデキストリン、ジエタノールアミン、エデト酸塩、エチルセルロース、パルミトステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、グアーガム、ヘクトライト、ヒドロキシプロピルベータデクス(hydroxpropyl betadex)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、イヌリン、転化糖、ラウリン酸、レシチン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、鉱油及びラノリンアルコール、モノエタノールアミン、ペクチン、ペンテト酸、リン脂質、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、カリウムアルギン酸塩、塩化カリウム、ポビドン、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ラフィノース、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ソルビトール、ステアリルアルコール、スルホブチルエーテル b-シクロデキストリン、タガトース、トレハロース、トリエタノールアミン、白ろう、キサンタンガム、キシリトール、黄ろう、及び酢酸亜鉛。
【0330】
追加のキレート化剤の例は以下のものを含む:クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二ナトリウムカルシウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、マルトール、ペンテト酸、エデト酸ナトリウム、及びデト酸三ナトリウム。
【0331】
ある実施形態において、医薬製剤は塩化ベンザルコニウムを含む。ある実施形態において、医薬製剤は、約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含む。
【0332】
界面活性剤としてのその能力において、塩化ベンザルコニウムは、送達された鼻内噴霧プルーム(nasal spray plume)からの液滴の表面張力に影響を与える場合があり、液体製剤の粘度と同様に、狭い液滴粒度分布(DSD)を有する球状、又は実質的に球状の粒子を生成する。
【0333】
ある実施形態において、吸収促進剤は、アルキルサッカリド、例えば、それぞれグリコシド又はエステル結合によって糖部に結合された脂肪族炭化水素鎖から成る、脂肪酸のアルキルグリコシド及びスクロースエステルなどの非イオン性アルキルサッカリド界面活性剤である。ある実施形態において、吸収促進剤は、アルキルマルトシド(alkylmaltoside)(例えば、テトラデシルマルトシド(TDM)、ドデシルマルトシド(DDM)など)である。ある実施形態において、吸収促進剤はスクロースドデカノアートである。アルキルサッカリドは、市販食品及びパーソナルケア製品で使用され、食品用途向けに一般的に安全と認められる(GRAS)物質に指定されている。それらは、最大25%の濃度でのドレーズ法において、無臭、無味、非毒性、非変異原性、及び非感作性である経粘膜吸収の非刺激性促進剤である。いかなる理論にも縛られずに、アルキルサッカリドは、経上皮電気抵抗の減少によって示されるように、傍細胞浸透性を増大させることにより吸収を増大すると考えられ;それらは、トランスサイトーシスも増大させる場合もある。影響は一時的であり得る。吸収促進剤としてのその性能において、アルキルマルトシド(例えば、テトラデシルマルトシド(TDM)、ドデシルマルトシド(DDM)など)は、送達された鼻内噴霧プルームからの液滴の表面張力に影響を与える場合があり、液体製剤の粘度と同様に、狭い液滴粒度分布(DSD)を有する球状、又は実質的に球状の粒子を生成する。
【0334】
ある実施形態において、吸収促進剤は、アルキルサッカリド1-O-n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(代替的にラウリル-β-D-マルトピラノシド、ドデシルマルトピラノシド、ドデシルマルトシド、及びDDM;C24H46Q11;とも呼ばれ、多くの場合、商品名IntravailRで呼ばれる)である。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.01%(w/v)~約2.5%(w/v)のDDMを含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)のDDMを含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.15%(w/v)~約0.35%(w/v)のDDMを含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.15%(w/v)~約0.2%(w/v)のDDMを含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は約0.18%(w/v)のDDMを含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は、約0.2%(w/v)~約0.3%(w/v)のDDMを含む。ある実施形態において、鼻腔内製剤は約0.25%(w/v)のDDMを含む。
【0335】
糖化学において、アノマーは、アノマー炭素又は還元炭素とも呼ばれる糖又はグリコシドの1対の環状立体異性体(α又はβと指定される)のいずれかであり、それらは、ヘミアセタール(又は、ヘミケタール)炭素の構成のみが異なる。上記構造が、グルコースの軸位置におけるアノマー炭素上にヒドロキシル基を有する構造に類似している場合、糖はαアノマーである。しかし、そのヒドロキシルがエクアトリアルの場合、糖はβアノマーである。例えば、α-D-グルコピラノース、β-D-グルコピラノース、グルコースの2つの環状型は、アノマーである。同様に、アルキルグリコシドがアノマーとして発生する。例えば、ドデシルβ-D-マルトシド及びドデシルα-D-マルトシドは、ドデシルマルトシドの2つの環状型である。2つの異なるアノマーは、2つの別個の化学構造であり、したがって、異なる物理的特性及び化学的特性を有する。本発明の一態様では、本発明のアルキルグリコシドはβアノマーである。典型的な態様において、アルキルグリコシドは、テトラデシル-β-D-マルトシド(TDM)などのアルキルマルトシドのβアノマーである。
【0336】
幾つかの実施形態において、使用されるアルキルグリコシドは実質的に純粋なアルキルグリコシドである。本明細書で使用されるように、「実質的に純粋な」アルキルグリコシドとは、別のアノマー型の約2%未満、好ましくは、別のアノマー型の約1.5%未満、より好ましくは別のアノマー型の約1%未満を有するアルキルグリコシド(α又はβのアノマー型のいずれか)の1つのアノマー型を指す。一態様において、実質的に純粋なアルキルグリコシドは、α又はβアノマーのいずれかの98%以上を含んでいる。他の態様では、実質的に純粋なアルキルグリコシドは、α又はβアノマーのいずれかの99%以上を含んでいる。他の態様では、実質的に純粋なアルキルグリコシドは、α又はβアノマーのいずれかの99.5%以上を含んでいる。他の態様では、実質的に純粋なアルキルグリコシドは、α又はβアノマーのいずれかの99.9%以上を含んでいる。
【0337】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;及び、吸収促進剤、キレート剤、抗酸化剤、安定化剤、界面活性剤、等張剤、及びpH調整剤から選択される1つ以上の成分を含む。
【0338】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;及び、アルキルグリコシド、キトサン、アルキルシクロデキストリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、及びEDTAから選択される1つ以上の成分を含む。
【0339】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;及び、ドデシルマルトシド(DDM)、テトラデシルマルトシド (TDM)、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、塩酸、及びEDTAから選択される1つ以上の成分を含む。ある他の実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;及び、ドデシルマルトシド(DDM)、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、及びEDTAから選択される1つ以上の成分を含む。
【0340】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;ドデシルマルトシド(DDM);及び、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、pH調整剤、及びEDTAから選択される1つ以上の成分を含む。
【0341】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;塩化ベンザルコニウム;及び、ドデシルマルトシド(DDM)、塩化ナトリウム、pH調整剤、及びEDTAから選択される1つ以上の成分を含む。
【0342】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;ドデシルマルトシド(DDM)又は塩化ベンザルコニウム、あるいはドデシルマルトシド(DDM)及び塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;ならびに、塩化ナトリウム、pH調整剤、及びEDTAから選択される1つ以上の追加の成分を含む。
【0343】
pH調整剤は、本明細書に記載される酸(例えば、塩酸、クエン酸)、緩衝液(例えば、リン酸塩、酢酸塩、及びクエン酸塩緩衝液)、及び塩基(例えば、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム)を含む。
【0344】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:約0.5%(w/v)~約2.5%(w/v)のエピネフリン;水;及び、以下から選択される1つ以上の成分を含む:約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド(DDM);約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約4.0~約5.0の最終pHにpHを調整するのに十分な量の約0.2%(w/v)~約1.2%(w/v)の塩化ナトリウム、随意の塩酸又は水酸化ナトリウム;ならびに、約0.05%(w/v)~約2.0%(w/v)のEDTA。
【0345】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:i)約0.5%(w/v)~約2.5%(w/v)エピネフリン;ii)水;iii)約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド(DDM)、又は約0.05%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム、あるいは約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド(DDM)と約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;及び、iv)以下から選択される1つ以上の成分を含む:a)約0.2%(w/v)~約1.2%(w/v)の塩化ナトリウム;b)約4.0~約5.0の最終pHにpHを調整するのに十分な量の随意の塩酸又は水酸化ナトリウム;ならびに、c)約0.05%(w/v)~約2.0%(w/v)のEDTA。
【0346】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:i)約0.9%(w/v)~約2.0%(w/v)のエピネフリン;ii)水;iii)約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド(DDM)、又は約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム、あるいは約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド(DDM)と約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;及び、iv)以下から選択される1つ以上の成分を含む:a)約0.2%(w/v)~約1.2%(w/v)の塩化ナトリウム;b)約4.0~約5.0の最終pHにpHを調整するのに十分な量の随意の塩酸又は水酸化ナトリウム塩酸;ならびに、c)約0.05%(w/v)~約2.0%(w/v)のEDTA。
【0347】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:約0.5%(w/v)~約2.5%(w/v)のエピネフリン;水;約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド(DDM);約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;約4.0~約5.0の最終pHにpHを調整するのに十分な量の約0.2%(w/v)~約1.2%(w/v)の塩化ナトリウム、随意の塩酸;ならびに、約0.05%(w/v)~約2.0%(w/v)のEDTAを含む。
【0348】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;1つ以上の吸収促進剤;等張剤;安定化剤;防腐剤;及び、pH3から6にpHを調整するための随意のpH調整剤を含む。ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;1つ以上の吸収促進剤(例えば、ドデシルマルトシド;塩化ベンザルコニウム;又はドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ);等張剤(例えば、塩化ナトリウム);安定化剤(例えば、EDTA又はジナトリウムEDTA);防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム);及びpH3から6にpHを調整するための随意のpH調整剤を含む。ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;1つ以上の吸収促進剤(例えば、ドデシルマルトシド;塩化ベンザルコニウム;又はドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ);等張剤(例えば、塩化ナトリウム);安定化剤(例えば、EDTA又はジナトリウムEDTA);防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム);抗酸化剤;緩衝剤;及びpH3から6にpHを調整するための随意のpH調整剤を含む。
【0349】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:エピネフリン;水;ドデシルマルトシド又は塩化ベンザルコニウム、あるいはドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;塩化ナトリウム;EDTA又はジナトリウムEDTA;及びpH3から6にpHを調整するための随意のpH調整剤を含む。
【0350】
ある実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤が本明細書に記載され、上記水性製剤は:約0.5%(w/v)~約2.5%(w/v)のエピネフリン;水;約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド、約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム、あるいは約0.05%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドと約0.005%(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムの組み合わせ;約0.2%(w/v)~約1.2%(w/v)の塩化ナトリウム;約0.05%(w/v)~約2.0%(w/v)のEDTA又はジナトリウムEDTA;及びpH3から6にpHを調整するための随意のpH調整剤を含む。
【0351】
幾つかの実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤の100μLのサンプルは、約2.5mg未満のエピネフリン含む。幾つかの実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤の100μLサンプルは、約0.5mg~約2.5mgのエピネフリンを含む。幾つかの実施形態において、鼻腔内投与に適した水性製剤の100μLのサンプルは、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2.0mg、約2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、又は約2.5mgのエピネフリンを含む。
【0352】
<経鼻薬物送達デバイス及びキット>
本明細書に記載される製剤を含む経鼻薬物送達デバイスも提供される。ある実施形態において、上記装置は事前にプライミングされる。ある実施形態において、上記デバイスは使用前にプライミングされてもよい。ある実施形態において、片手でデバイスを操作可能である。
【0353】
特に迅速な吸収と効果が望まれる場合、経鼻送達は、針を使用しない全身性の薬物送達のための魅力的で、安全かつ投与が容易な経路であると考えられる。加えて、経鼻送達は、胃腸管における乏しい生物学的利用能、遅い吸収、薬物分解、及び有害事象(AE)に関連する問題に対処し、肝臓における初回通過代謝を回避することを助ける。
【0354】
液体鼻製剤は主に水溶液であるが、懸濁液、エマルジョン、リポソーム、及びミクロスフェアも送達することができる。他の液体製剤は、リポソーム、ミクロスフェア、混合水性有機製剤、非水性製剤、乾燥粉末、及び保製剤(ゲル)を含んでもよい。従来の噴霧ポンプシステムでは、液体製剤において微生物学的安定性を維持するために、抗菌性防腐剤が典型的に必要とされる。定量噴霧ポンプは、導入されて以来、経鼻薬物送達の市場を支配している。上記ポンプは典型的に、1回の噴霧につき100μL(25-250μL)を送達し、インビトロ試験において放射された用量及びプルーム幾可学的形状の高い再現性を提供する。
【0355】
標準の定量噴霧ポンプの例としては、Aptar Pharma, Inc.によって提供される、複数回用量の「古典的技術プラットフォーム(classic technology platform)」の鼻内噴霧デバイスなど、及び、BD Medical-Pharmaceutical Systemsによって提供されるAccuspray(商標)システムなどが挙げられる。そのようなデバイスは、鼻内噴霧製剤の複数回用量(例えば、50、100、150、200、60、又は120用量)を保持するリザーバ、密封物(例えば、ネジ止め、圧着、又はスナップ式)、及び1回用量を含む1回の操作につき45~1000μLの流体(例えば、50、100、140、150、又は200μL)を送達するアクチュエーターを備える。アクチュエーターは、用量の集計、ゲル製剤の送達、上下逆さまの構成での送達などを行うように構成されてもよい。
【0356】
従来の多用途噴霧ポンプシステムでは、液体製剤において微生物学的安定性を維持するために、抗菌性防腐剤が典型的に必要とされる。しかし、防腐剤を使用しないシステム、例えば、AptarからのAdvanced Preservative Free(APF)システムも利用可能であり、それは、通気孔があり、汚染を予防する気流用の濾過膜を備え、製剤を酸化させるための金属を含まない体液経路を有し、任意の配向で使用することができる。Aptarからの追加の鼻内噴霧デバイス及び他のデバイスは、目詰まりを予防するディスペンサー先端(高粘度及び高揮発性の製剤に有用)、長期間使用しなかった場合に再プライミングを必要としないアクチュエーターにより最適化される。追加の鼻内噴霧デバイスは噴霧剤駆動型(propellant driven)である。さらに追加の鼻内噴霧デバイスは乾燥粉末吸入器を備える。
【0357】
粒子サイズとプルームの幾可学的形状は、特定の制限内で変化し、ポンプの特性、製剤、アクチュエーターのオリフィス、及び適用される力に依存する。鼻内噴霧の液滴サイズの分布は、鼻腔における薬物のインビボの堆積に著しく影響を及ぼすために、重要なパラメータである。液滴サイズは、デバイスの操作パラメータ及び製剤によって影響を受ける。一般的な液滴サイズの中央値は約30~約100μmであるべきである。液滴が大きすぎる(>約120μm)場合、堆積は主に鼻の前部で起こり、液滴が小さすぎる(<約10μm)場合、それらは吸入されて、肺及び口腔に到達する可能性があり、これは、安全性の理由のために回避されるべきである。界面活性剤としてのその性能において、塩化ベンザルコニウム(例えば、テトラデシルマルトシド(TDM)、ドデシルマルトシド(DDM)など)は、送達された鼻内噴霧プルームからの液滴の表面張力に影響を与える場合があり、液体製剤の粘度と同様に、狭い液滴粒度分布(DSD)を有する球状、又は実質的に球状の粒子を生成する。
【0358】
噴霧後に送達されたプルームのプルーム幾可学的形状、液滴サイズ、及びDSDは、当技術分野において既知の適切な、検証された及び/又は較正された分析手順によって、特定の実験的及び機器的条件下で測定され得る。これらは、写真、レーザー回折、及びインパクションシステム(カスケードインパクション、NGI)を含む。プルーム幾可学的形状、小滴サイズ、及びDSDは、Cmax、Tmax、及び用量比例などの薬物動態の結果に影響を与える場合がある。
【0359】
液滴サイズ分布は、D10、D50、D90、スパン[(D90-D10)/D50]、及び10mm未満の液滴のパーセンテージの範囲に関して制御することができる。ある実施形態において、上記製剤は狭いDSDを有するだろう。ある実施形態において、上記製剤は、30-70μmのD(v、50)及びD(v、90)<100μmを有する。
【0360】
ある実施形態において、10μm未満の液滴のパーセントは10%未満であるだろう。ある実施形態において、5μm未満の液滴のパーセントは10%未満であるだろう。ある実施形態において、2μm未満の液滴のパーセントは10%未満であるだろう。ある実施形態において、1μm未満の液滴のパーセントは10%未満であるだろう。
【0361】
ある実施形態において、製剤は、デバイスからの操作により分配されると、楕円比が1に近い均一な円形プルームを生成するだろう。楕円比は、噴霧の流れ(例えば「上部」からの)の方向に垂直に取られた噴霧パターンの最大直径(Dmax)及び最小直径(Dmin)の商として算出される。ある実施形態において、楕円比は±2.0未満である。ある実施形態において、楕円比は±1.5未満である。ある実施形態において、楕円比は±1.3未満である。ある実施形態において、楕円比は±1.2未満である。ある実施形態において、楕円比は±1.1未満である。
【0362】
異なるタイプの経鼻エアロゾルデバイスのための粒子生成の詳細と機械的な原理が記載されている。Vidgren and Kublik, Adv. Drug Deliv. Rev. 29:157-77, 1998を参照。従来の噴霧ポンプは放出された液体を空気と取り替えるため、防腐剤は汚染を防ぐために必要とされる。しかしながら、防腐剤の潜在的な負の効果を示唆する試験によって駆り立てられ、ポンプ製造者は、防腐剤の必要性を回避する異なるスプレーシステムを開発してきた。これらのシステムは、放出された液体量を補償するために折り畳み可能なバッグ、移動可能なピストン、あるいは圧縮ガスを使用する(World Wide Web at aptar.com と World Wide Web at rexam.com)。放出された液体量を補う折り畳み可能なバッグと移動可能なピストンを用いる解決策は、空気を浸漬管へ吸い込ませて、その後の噴霧剤を損なうリスクなく、それらを上下逆さまで放出することができるという追加の利点を備える。患者が寝たきりの場合や、頭部を下にした用途が推奨される場合には、これは製品によっては有用であり得る。防腐剤を回避するために使用された他の方法は、放出された液体に取って代わる空気が無菌のエアフィルターを介してフィルタリングされるということである。加えて、幾つかのシステムは、アプリケーター先端の内部での液体の汚染を防ぐために、先端でボール弁を備える。最近では、ポンプは側部操作を有するように設計されている。感受性粘膜表面との接触を避けるために、ポンプは先端を短くして設計された。プライミング及び再プライミングの必要性を減らす新しい設計、及び、用量再現性及び用量カウンターを改善するための組み込む圧点特徴と、増強された用量制御及び安全性のためのロックアウト機構を組み込むポンプが、入手可能である(World Wide Web at rexam.com、とWorld Wide Web at aptar.com)。
【0363】
従来の簡単な1回投与、2回投与、及び複数回投与の定量噴霧ポンプは、用量の標識された回数のために用量の一致を維持するためにプライミングとある程度の過剰充填を必要とする。それらは長期間にわたって毎日投与される薬物に十分に適しているが、プライミング処置と用量の限定された制限により、とりわけ、頻繁に使用されない場合に、デバイスを使用する治療期間窓が狭い薬物には適していない。高価な薬物や、1回投与あるいは散発的な使用を目的として、用量や処方の厳密な制御が重要である薬物に関して、1回投与用(UDS)あるいは2回投与用噴霧(BDS)デバイスが好ましい(World Wide Web at aptar.com)。1回投与用噴霧デバイス(MAD(商標))の簡易な変形は、LMA(LMA、Salt Lake City, UT, USA; World Wide Web at lmana.com)によって提供される。スプレー先端部を有するノーズピースが標準的なシリンジに嵌められる。送達される液剤は最初にシリンジへ引き込まれ、その後、スプレー先端部が注射器に嵌められる。このデバイスは、例えば、慢性副鼻腔炎の患者やワクチン試験でステロイド外用薬を送達するために学術的な試験において使用されてきた。1回あるいは2回投与(Accuspray(商標)、Becton Dickinson Technologies, Research Triangle Park, NC, USA; World Wide Web at bdpharma.com)の同じ原則に基づく、あらかじめ充填されたデバイスは、インフルエンザワクチンFluMist(商標)(World Wide Web at flumist.com)を送達するために使用され、米国市場では成人と子どもの両方について承認されている。2回投与のための同様のデバイスは、別のインフルエンザワクチンの送達のためにスイスの会社から十年前に販売された。
【0364】
事前にプライミングされた1回及び2回投与用デバイスも入手可能であり、リザーバ、ピストン、及び渦流室からなる(例えば、Aptar、かつてのPfeifferのUDS UnitDose(商標)及びBDS BiDose(商標)デバイスを参照)。液体が渦流室を通って外に出されるときに、噴霧が形成される。これらのデバイスはアクチュエーター上に親指をおいて第2指と第3指の間で保持される。幾つかのデバイスで組み込まれた圧点機構は、操作力及び放射されたプルーム特徴の再現性を保証する。現在、Imitrex(登録商標)(World Wide Web at gsk.com)やZomig(登録商標)(World Wide Web at az.com;Pfeiffer/Aptarの1回投与用デバイス)のような市販されている経鼻片頭痛薬、市販されているインフルエンザワクチンFlu-Mist(World Wide Web at flumist.com;Becton Dickinsonの1回投与用噴霧デバイス)、及びオピオイドの過剰服用救済のためのナロキソンの鼻腔内製剤、Narcan Nasal(登録商標)(World Wide Web at narcan.com;Adapt Pharma)は、この種のデバイスで送達される。
【0365】
特定の実施形態において、1回の操作あたり送達された用量の90%の信頼区間は、±約2%である。特定の実施形態において、1回の操作あたり送達された用量の95%の信頼区間は、±約2.5%である。
【0366】
歴史的に、粘膜アトマイザーデバイス(MAD)に適合したシリンジなどからの大量の薬物の鼻腔内投与は、製剤の一部が鼻孔から滴り落ちたり、鼻咽腔に落ちたりする傾向があることが原因で、困難に直面してきた。したがって、特定の実施形態では、上記患者への上記医薬製剤の経鼻送達の際、上記医薬製剤の約20%未満が鼻腔を出て、ドレナージを介して鼻咽腔に入るか外部に出る。特定の実施形態では、上記患者への上記医薬製剤の経鼻送達の際、上記医薬製剤の約10%未満が鼻腔を出て、ドレナージを介して鼻咽腔に入るか外部に出る。特定の実施形態では、上記患者への上記医薬製剤の経鼻送達の際、上記医薬製剤の約5%未満が鼻腔を出て、ドレナージを介して鼻咽腔に入るか外部に出る。
【0367】
吸入噴霧薬物製品のための現在の容器密封システム設計は、噴霧プルームの生成のために機械的な援助あるいはパワー援助及び/又は患者の吸息からのエネルギーを使用して、あらかじめ計量された掲示物とデバイス計量された提示物を含む。あらかじめ計量された提示は、製造中に、あるいは、使用前に患者によって、後にデバイスへと挿入されるあるタイプのユニット(例えば、単一あるいは複数のブリスター、又は他のキャビティ)において、あらかじめ測定された用量あるいは用量画分を含む。典型的なデバイス計量ユニットは、患者によって操作されるとデバイス自体によって計量された噴霧として送達される複数回投与に十分な製剤を含むリザーバを有する。
【0368】
無菌技術により、防腐剤の使用は事前にプライミングされたデバイスでは必要とされないこともあるが、過剰な充填は必要とされ、結果として、定量の複数回用量の噴霧に似た不用な部分が生成される。100μLを放出するために、125μLの容量が鼻腔内片頭痛薬Imitrex(商標)(スマトリプタン)及びゾーミッグ(商標)(ゾルミトリプタン)に使用されるデバイス(Pfeiffer/Aptarの1回投与用デバイス)に充填され、及び2回投与設計ではその約半分が充填される。滅菌した薬物製品は無菌処理又は最終滅菌を使用して生成され得る。最終滅菌は通常、高品質の環境条件下での製品容器の充填と密封を含む。製品がこの種の環境に充填及び密封されることで、製造過程の製品の微生物含有量と微粒子含有量を最小限に抑えて、後の滅菌処理法が確実に成功するのを助ける。ほとんどの場合、製品、容器、及び密封物は、バイオバーデンは低いが、滅菌していない。その後、最終的な容器内の製品は、熱、放射線照射、又は化学的(ガス)などの殺菌工程に晒される。無菌のプロセスにおいて、薬物製品、容器、及び密封物は最初、必要に応じて個別に滅菌方法に晒され、その後、一緒に集められる。最終的な容器内の製品を滅菌するプロセスがないので、容器を効率的な高品質環境で充填及び密封することが重要である。無菌の処理は最終滅菌よりも多くの変数を含む。最終製品への無菌の組み立ての前に、最終製品の個々の部分は一般的に様々な殺菌工程に晒され得る。例えば、ガラス容器は乾熱に晒され;ゴム栓は湿った熱に晒され;及び、液体剤形は濾過に晒される。これらの製造工程の各々は検証及び制御を必要とする。
【0369】
本明細書で詳述されたデバイスは、医薬製剤のいずれかを利用してもよく、本明細書で開示される方法において有用である。
【0370】
したがって、治療上有効な量のエピネフリンを有するリザーバを含む、患者への医薬製剤の経鼻送達に適合したデバイスが本明細書で提供される。
【0371】
特定の実施形態において、エピネフリンは医薬製剤中の唯一の薬学的に活性な化合物である。
【0372】
特定の実施形態において、リザーバ内の医薬製剤の容積は約140μL以下である。
【0373】
特定の実施形態において、リザーバ内の医薬製剤の容積は約125μLを超え、かつ、140μL未満である。
【0374】
特定の実施形態において、リザーバ内の約100μLの医薬製剤は、1回の操作で患者に送達される。
【0375】
幾つかの実施形態において、リザーバ内の約100μLの医薬製剤は、1回の操作で患者に送達され、約2.5mg未満のエピネフリンを含む。幾つかの実施形態において、リザーバ内の約100μLの医薬製剤は、1回の操作で患者に送達され、約0.5mg~2.5mgのエピネフリンを含む。幾つかの実施形態において、リザーバ内の約100μLの医薬製剤は、1回の操作で患者に送達され、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2.0mg、約2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、又は約2.5mgのエピネフリンを含む。
【0376】
特定の実施形態では、医薬製剤はさらに、水、EDTA、及び塩化ナトリウムから選択された1つ以上の賦形剤を含む。ある実施形態では、医薬製剤は塩化ベンザルコニウムをさらに含む。
【0377】
幾つかの実施形態において、リザーバ内の約100μLの水性医薬製剤は、1回の操作で患者に送達され、エピネフリン、ドデシルマルトシド又は塩化ベンザルコニウム、あるいはドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ、EDTA、及びNaClを含む。
【0378】
ある実施形態では、医薬製剤は、抗菌防腐剤を実質的に含まない。
【0379】
ある実施形態では、医薬製剤は、防腐剤、吸収促進剤、及び/又は、カチオン界面活性剤として作用する化合物;等張剤;安定化剤;及び、約3.5~約6.0のpHを達成するのに十分な量の酸又は塩基をさらに含む。アルキルサッカライド、シクロデキストリン、及びキトサンなどの吸収促進剤の使用は、エピネフリンが吸収される速度を増加させ得る。一般的に、吸収促進剤は、吸収促進剤を含有していない鼻腔内製剤と筋肉内製剤の両方と比較して、Cmaxの増加、tmaxの減少、及び用量比例性などの改善された薬物動態結果をもたらす。任意の理論に縛られることなく、そのような吸収促進剤は典型的には、経鼻吸収のための2つの主要なメカニズム:細胞間の密着結合の開口部を介する傍細胞輸送と、小胞担体を介して細胞を通る経細胞輸送又はトランスサイトーシスとに影響を与えることにより作動する。
【0380】
幾つかの吸収促進賦形剤は、傍細胞及び/又は経細胞の経路を変えることができ、他のものは、鼻腔中の滞留時間を延長することができ、あるいは代謝の変化を防ぐことができる。吸収促進剤がなければ、経鼻吸収のための分子量限界は約1kDaであるが、吸収促進剤と協働する薬物の投与は、1-30kDaの分子の吸収を可能にし得る。しかしながら、ほとんどの吸収促進剤の鼻腔内投与は鼻粘膜損傷を引き起こす場合がある。Maggio,J.Excipients and Food Chem.5(2):100-12,2014。吸収促進剤の例としては、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイルカルニチン、EDTA、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコフロール、グリコシル化スフィンゴシン、グリシレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウレス-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、ラウリル硫酸、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407又はF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリソルベート80、プロピレングリコール、キラヤサポニン(quillaia saponin)、サリチル酸、β-シトステロール-β-D-グルコシド、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、チモール、及び、アルキルサッカライド、例えば、ドデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、及びスクロースドデカノアートが挙げられる。
【0381】
エピネフリンは随意に、無機酸と有機酸を含む薬学的に許容可能な非毒性の酸から調製された薬学的に許容可能な酸付加塩を含む薬学的に許容可能な塩として存在し得る。代表的な酸としては、限定されないが、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。酸付加塩は化合物合成の直接的な生成物として得られ得る。代わりに、遊離塩基は、溶剤を蒸発させることによりあるいは、さもなければ塩と溶媒を分離させることにより単離された適切な酸と塩を含む適切な溶媒中に溶解され得る。塩は、当業者に既知の方法を使用して、標準的な低分子量溶媒を有する溶媒和物を形成し得る。
【0382】
ある実施形態では、デバイスは無菌充填を用いて医薬製剤で充填される。
【0383】
ある実施形態では、医薬製剤は、約25°Cと約60%の相対湿度で約12ヶ月間、及び、約40°Cと約75%の相対湿度で約6ヶ月間、化学的に保存安定性である。
【0384】
幾つかの実施形態において、鼻腔内のエピネフリンは、水溶液、水性懸濁液、水性エマルジョン、非水性溶液、非水性懸濁液、非水性エマルジョン、ハロゲン化炭化水素噴射剤を有する溶液として、あるいは乾燥粉末として、送達される。幾つかの実施形態において、水性製剤は鼻孔へ噴霧される。幾つかの実施形態では、水性製剤は、水力又は超音波による微粒化を利用する液体噴霧器によってエアロゾル化される。噴射剤ベースの系は適切な加圧された定量式吸入器(pMDIs)を使用することがある。乾燥粉末には、薬物原料を有効に分散させることができる乾燥粉末吸入器装置(DPI)が使用されることがある。
【0385】
典型的には使用される噴射剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、炭化水素、及び圧縮ガスを含む。
【0386】
幾つかの実施形態において、鼻腔内のエピネフリンは、経鼻定量式吸入器(pMDIs)によって生成された経鼻エアロゾルとして送達される。幾つかの実施形態において、pMDIは、鼻への使用のためのヒドロフルオロアルカン(HFA)-ベースのpMDIである。噴霧ポンプのように、鼻用のpMDIは、鼻前庭の前方の非線毛上皮上と狭い鼻弁の前部内とに局所的な堆積物を生成するが、pMDIで送達された噴霧が迅速に蒸発することにより、目立った「滴り落ち(drip-out)」はさほど問題にはなり得ない。
【0387】
幾つかの実施形態において、エピネフリンは噴霧器で送達される。噴霧器は、圧縮されたガス(空気、酸素、及び窒素)あるいは超音波又は機械的な力を使用して、医療溶液と懸濁液を、鼻へ直接吸入され得る小さなエアロゾル液滴へ分解する。より小さな粒子と霧状のエアロゾルの低速は、中鼻道と上鼻道及び副鼻腔内の標的部位への浸透を増大させる。
【0388】
幾つかの実施形態において、エピネフリンは孔の開いた振動膜によって生成された脈動エアロゾルで送達される。幾つかの実施形態において、脈動膜噴霧器はVibrENT(PARIファーマGmbH)である。幾つかの実施形態において、エピネフリンは息を吹き込む技術と組み合わせて脈動エアロゾルにより送達される。
【0389】
幾つかの実施形態において、エピネフリンは、Bi-Directional(商標)送達技術(例えば、Bi-Directional(商標)Exhalation Delivery Systems(EDS);OptiNose)で送達される。
【0390】
幾つかの実施形態において、エピネフリンはアトマイザーで送達される。幾つかの実施形態において、アトマイザーは経鼻薬物輸送を目的とした携帯型のバッテリー駆動式のアトマイザーである。幾つかの実施形態において、アトマイザーは、液体がデバイスを出る際に液滴上で渦の流れを作ることにより、液体を霧状にする。そのようなデバイスは、ViaNaseTM(商標)アトマイザー(Kurve Technology Inc.,Lynnwood,WA,USA)を含む。幾つかの実施形態において、アトマイザーは、高圧窒素ガスによって駆動される鼻用アトマイザーである。
【0391】
幾つかの実施形態において、鼻腔内のエピネフリンは点鼻粉末デバイスで送達される。幾つかの実施形態において、点鼻粉末デバイスは、点鼻粉末吸入器、点鼻粉末噴霧器、あるいは点鼻粉末散布器である。粉末噴霧器は、圧力を与えるために典型的には圧縮可能なコンパートメントを有する、放出時に、液体噴霧のプルームに極めて似た粉末粒子のプルームを作る。呼吸作動吸入器は、ブリスター又はカプセルから鼻孔へ粉末を吸入するために自分の呼吸を使用することをユーザーに要求する。鼻の散布器デバイスは、流体接続されたマウスピースとノーズピースからなる。被験体が口蓋帆を閉じるためにマウスピースへ息を吹き込む際に送達は生じ、空気の流れはデバイスのノーズピースを介して鼻へと粉末粒子を運ぶ。
【0392】
幾つかの実施形態において、点鼻粉末吸入器はブリスターベースの粉末吸入器である。典型的には、ブリスターは、使用前に貫通させられ、デバイスのノーズピースは1つの鼻孔に入れられる。被験体は指でもう一方の鼻孔を閉じ、粉末を鼻へ吸入する。代表的なデバイスとしては、BiDose(商標)/Prohaler(商標)及びTwin-lizer(商標)が挙げられる。
【0393】
代表的な点鼻粉末噴霧器は、限定されないが、UnidoseDP(商標)、Fit-lizer(商標)、Monopowder(商標)、SoluVent(商標)を含む。
【0394】
幾つかの実施形態において、点鼻粉末噴霧器は、カプセル剤ベースの1回投与用の粉末デバイスである。1つのそのような実施形態において、カプセル剤ベースの1回投与用の粉末デバイスは、挿入時にカプセル剤の上下を切断するチャンバーからなる。プラスチックチャンバーは手によって圧縮され、圧縮された空気は操作中に一方向バルブとカプセル剤を通って流れ、粉末が放出される。
【0395】
幾つかの実施形態において、点鼻粉末噴霧器は、ピンが膜を破って粉末のプルームを放出する圧力を放出するまで圧縮される空気の充填されたコンパートメントからなる。
【0396】
幾つかの実施形態において、点鼻粉末噴霧器は、押されると粉末を放出するために膜を破る正圧を形成するプランジャーからなる。
【0397】
幾つかの実施形態において、点鼻粉末散布器は、被験体が管の一方の端部に吹き込むことを必要とするが、もう1つの端部は鼻孔の前庭に挿入される。
【0398】
幾つかの実施形態において、鼻腔内のエピネフリンは、呼吸を動力とするBi-Directional(商標)送達デバイスで送達される。呼吸を動力源とするBi-Directional(商標)経鼻送達デバイスは、鼻へ薬物を送達するために呼気を利用する。呼吸を動力源とするBi-Directional(商標)送達デバイスは、鼻弁の第1の部分を機械的に拡張する、最適化された円錐台形状と快適な表面を有するマウスピースとシーリングノーズピースからなる。ユーザーは、シーリングノーズピースが鼻孔開口部の柔軟性のある軟部組織を密封するまで、1つの鼻孔にシーリングノーズピースを滑り込ませ、その時点で、それは、三角形の鼻弁の、スリットの形をした細い部分を機械的に広げる。その後、ユーザーは付属のマウスピースを介して息を吐く。デバイスの抵抗に対してマウスピースへ息を吐き出す際に、軟口蓋(あるいは口蓋帆)は正の中咽頭圧力によって自動的に上昇し、呼吸器系の残りから鼻腔を単離する。シーリングノーズピースのおかげで、口からデバイスを介して鼻へと移る動圧は、スリットのような鼻通路を拡張する。この「呼吸を動力源とする」メカニズムは、1つの鼻孔に入り、鼻中隔のまわりを完全に通り、反対の鼻孔から出る空気の流れに、液体あるいは粉末の粒子を放出することを可能にする。このアプローチを用いるデバイスにおける薬物放出の操作は、手動の誘発、あるいは、流れ及び/又は圧力により自動的に誘発されたメカニズムを使用する。
【0399】
1回投与用デバイス
ある実施形態では、デバイスは1回投与用デバイスであり、医薬製剤は1つのリザーバ内にあり、治療上有効な量のエピネフリンは、デバイスの1回の操作によって本質的に送達される。
【0400】
さらに、患者の1つの鼻孔へデバイスの1回の操作によって患者への医薬製剤の経鼻送達に適した使い捨ての事前にプライミングされたデバイスが本明細書で提供され、当該デバイスは、本明細書に開示される100μLの医薬製剤を含む単一リザーバを有する。
【0401】
ある実施形態では、デバイスは片手で操作可能である。
【0402】
ある実施形態では、送達は約30秒未満である。ある実施形態では、送達は約25秒未満である。ある実施形態では、送達は約20秒未満である。ある実施形態では、送達は約15秒未満である。
【0403】
特定の実施形態において、1回の操作あたり送達された用量の90%の信頼区間は、±約2%である。特定の実施形態において、1回の操作あたり送達された用量の95%の信頼区間は、±約2.5%である。
【0404】
ある実施形態では、患者への製剤の経鼻送達時、製剤の約20%未満、約15%未満、約10%未満、あるいは約5%未満が、上で提供されるように、鼻腔を出てドレナージを介して鼻咽腔へ入るか、外に出る。
【0405】
ある実施形態では、上記製剤は、約25°Cと約60%の相対湿度で約12ヶ月間、及び、約40°Cと約75%の相対湿度で約6ヶ月間、化学的に貯蔵安定性である。
【0406】
2回投与用デバイス
ある実施形態では、上記デバイスは2回投与用デバイスであり、第1の体積の上記製剤は第1リザーバ内にあり、第2の体積の上記製剤は第2のリザーバ内にあり、ここで、治療上有効な量は、上記患者の第1の鼻孔へと上記デバイスの第1の操作によって、及び、上記患者の第2の鼻孔へと上記デバイスの第2の操作によって、本質的に送達される。
【0407】
ある実施形態では、上記第1の体積と上記第2の体積を組み合わせると、約380μL以下と等しい。
【0408】
ある実施形態では、100μLの上記第1の体積の上記製剤は、上記第1の操作によって送達される。
【0409】
ある実施形態では、100μLの上記第2の体積の上記製剤は、上記第2の操作によって送達される。
【0410】
ある実施形態では、上記2回投与用デバイスは片手で操作可能である。
【0411】
ある実施形態では、送達は約30秒未満である。ある実施形態では、送達は約25秒未満である。ある実施形態では、送達は約20秒未満である。ある実施形態では、送達は約15秒未満である。
【0412】
特定の実施形態において、1回の操作あたり送達された用量の90%の信頼区間は、±約2%である。特定の実施形態において、1回の操作あたり送達された用量の95%の信頼区間は、±約2.5%である。
【0413】
ある実施形態では、患者への製剤の経鼻送達時、製剤の約20%未満、約15%未満、約10%未満、あるいは約5%未満が、鼻腔を出てドレナージを介して鼻咽腔へ入るか、外に出る。
【0414】
さらに複数の実施形態が提供され、このとき、いずれの実施形態も上記実施形態の1つ以上と組み合わされ得るが、ただし、組み合わせは相互に排他的ではないとする。
【0415】
指標
アドレナリン受容体を媒介とする疾病及び/又はその1つ以上の症状を処置する際に使用される製剤とデバイス、ならびに、製剤を投与する工程と本明細書で開示されるデバイスを使用する工程とを含む上記疾病の処置の方法も本明細書で提供される。
【0416】
ある実施形態では、疾病は、(1)急性の過敏症、例えば、1型過敏性反応(例えば、食物、薬物、動物血清、昆虫の噛み傷と刺し傷、及び他のアレルゲン(以下を参照)に対するアナフィラキシー様反応(全身的なアレルギー反応))の処置、(2)薬物の他の溶液の吸入あるいは皮下投与では制御されなかった気管支痙攣を軽減するための急性の喘息発作の処置、(3)心停止及び/又は失神発作(ストークス-アダムス症候群)を伴う一時的な心房室(A-V)ブロックの発作の処置及び予防、(4)敗血症性ショックに関連付けられる低血圧症の成人患者における平均動脈血圧を増大させること、(5)眼内手術中の散瞳の誘導と維持である。
【0417】
ある実施形態では、1型過敏性反応(全身的なアレルギー反応)は、アレルギー喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹 (hives))、好酸球増加症、抗生物質アレルギー(例えば、ペニシリン又はセファロスポリンに対する)、及び、食物アレルギー(例えば、ピーナッツ又は甲殻類に対する)から選択される。
【0418】
ある実施形態では、1型過敏性反応(全身的なアレルギー反応)はアナフィラキシーである。
【0419】
アナフィラキシーの症状は、蕁麻疹、全身性のかゆみ、鼻づまり、喘鳴、困難呼吸、咳、チアノーゼ、意識朦朧、めまい、錯乱、不明瞭発語、速脈、動悸、悪心嘔吐、腹痛症あるいは筋痙攣、皮膚の発赤又は炎症、鼻翼呼吸、及び肋間陥入を含む。
【0420】
ある実施形態では、1型過敏性反応(全身的なアレルギー反応)の症状は、全身性の蕁麻疹(urticatria)、かゆみ(そう痒症)、潮紅、患部組織の膨潤(血管浮腫)、皮膚の灼熱感(血管浮腫の人々で共通)、舌あるいは咽喉の膨潤、息切れ、喘鳴、あるいは喘音息切れなどの呼吸器症状、冠状動脈攣縮、心筋梗塞、律動不整あるいは心停止(基礎となる冠動脈疾患の人々は心臓への作用のリスクが高い)、頻脈、徐脈、及びベツォルト=ヤーリッシュ反射から選択される。
【0421】
ある実施形態では、1型過敏性反応(全身的なアレルギー反応)は、刺す虫(例えば、ハチ目であって、ハチ、スズメバチ、オオクマバチ、ホホナガスズメバチ、及びヒアリを含む)、咬む虫(例えば、サシガメ、蚊)、アレルゲン免疫療法、食物、薬物、診断検査物質(例えば、放射性造影剤媒体)、及び他のアレルゲン、同様に、特発性のアナフィラキシーあるいは運動誘発性アナフィラキシーにより引き起こされる。
【0422】
ある実施形態では、心停止は院外心停止である。
【0423】
さらに複数の実施形態が提供され、このとき、いずれの実施形態も上記実施形態の1つ以上と組み合わされ得るが、ただし、組み合わせは相互に排他的ではないとする。
【実施例】
【0424】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を制限するものではない。
【0425】
実施例1.臨床使用のためのエピネフリン製剤
臨床使用のための製剤の調製の代表的な手順が記載されている。製剤賦形剤溶液(FES)は、事前に(最大7日)作られ、室温で保存され得る。エピネフリン貯蔵液(ESS)は、投与の72時間以内に新鮮に作られ、光や過度の酸化から保護され、使用の2時間前まで2-8°Cで保存されなければならない。当量の無菌の濾過されたFESとESSの混合物は、以下の臨床プロトコルで使用される生理食塩水中の、エピネフリン、ドデシルマルトシド(DDM)、EDTA、塩化ベンザルコニウム(BZK)の溶液をもたらす。
【0426】
製剤賦形剤溶液(FES)の200mLのバッチは、0.80gのEDTA(0.75-0.85g)を量って200mLのメスフラスコへ入れ、~150mLの無菌の生理食塩水に溶かす;1.00g(0.95-1.05g)のIntravail(登録商標)DDMを量り、EDTA溶液に定量的に移し、及び、溶けるまで混合する(溶液は透明で無色でなければならない);必要に応じて、軽く助剤溶液を加熱し(40~60°C)、その後、いったん溶けるまで室温に冷ますこと;所望の量のBZK溶液を加え(あるいは、固体としてのBZKを加え)、及び混合用のIntravail(登録商標)/EDTA混合物に加えること;pH4に到達するように適切な量の1NのHCl(例えば、およそ20mL)を加え、無菌の生理食塩水を一定の体積になるまで加えて適量(QS)に希釈し、混合物が均一になるまで撹拌すること、によって調製される。FES溶液のpHは測定され記録され得る。
【0427】
エピネフリン貯蔵液(ESS)10mg/mLは新鮮に調製され、光から保護され(例えば、ホイルを用いて、茶色の着色光などを使用して)、及び投与の72時間内に使用から保護されなければならない。最終10mg/mLの生成物の100mLのバッチを製剤化するために:100mLのメスフラスコは、FES溶液の追加前にホイルで確実に包まれるようにする;2つのホイルで包まれた100mLのフラスコ(1個のフラスコ当たり50mL)の各々に50mLのFES溶液を加える;2個の100mLのフラスコの各々に、1.0g(0.95-1.05g)のエピネフリン(E4250 Sigma Aldrich)を量って加える;均一になるまで各々を混合する;各フラスコのpHを測定して記録する。
【0428】
最終的な投与製剤(FDF)は、適切な量のESS(例えば、Aptarの複数回投与用噴霧デバイス用に約5.0mLのESS、あるいは、単数回投与用噴霧デバイス用に約125μLのESS)を用いて、1回の噴霧当たり100μLを送達することができる適切な噴霧器を充填することにより調製される。
【0429】
臨床使用のための代表的なエピネフリン製剤が、表2、表3、及び表4で提示される。
【0430】
【0431】
【0432】
【0433】
実施例2:臨床プロトコル
鼻腔内のエピネフリンの安全性、最適な投与、及び薬物動態学を評価するために、健康なヒト志願者において、以下の臨床プロトコルが実行されたか、あるいは、実行され得る。
【0434】
実施例2A:第1臨床研究。
目的。この試験の主要な目的は、筋肉内のエピネフリンが絶食状態下の健康な志願者において自己注入装置によって送達される際の、鼻腔内投与と筋肉内投与の後のエピネフリンの相対的な生物学的利用能を評価することであった。第2の目的は、健康な志願者において鼻腔内の(IN)エピネフリンの安全性と耐容性を評価することであった。
【0435】
試験デザイン。スクリーニング期間、ベースライン期間、及び非盲検の処置期間からなる、第1相の、非盲検の、無作為化の、1回投与量の、2回処置のクロスオーバー試験が行なわれた。スクリーニング期間では、被験体は、試験の非盲検の処置相へ入る前の21日以内にスクリーニングを受けた。ベースライン期間では、24時間の投与内に、最初の評価が得られた;場合によっては、すべての評価が24時間の投与内に終わる場合には、スクリーニングとベースライン訪問は組み合わされ得る。
【0436】
非盲検の処置期間では、自己注入装置によって送達された鼻腔内のエピネフリンと筋肉内のエピネフリンの1回の0.3mgの用量を受け入れるために、12人の適格の被験体は一晩絶食後に無作為に分けられた。血液サンプルは投与後の360分間に採取された。処置は最小限で24時間の休薬期間によって分けられた。安全性評価は各試験日に行われ、被験体は1日目の退院評価後に解放された。試験薬の最終投与量の投与後6時間、被験体は付き添われた。
【0437】
試験の2つの期間を完了したすべての被験体の血漿サンプルが分析された。エピネフリン、ノルエピネフリン、及びジヒドロキシフェニルグリコール(DHPG)(代謝産物)の血漿濃度の測定のための血液サンプルは、投与前(0、投与前)、及び、投与後の2、4、6、8、10、12.5、15、20、25、45、60、90、120、150、180、240、及び360分に採取された。実際の採血時間は以下のように変動し得る:1)2~20分のサンプルについて±1分、2)25~90分のサンプルについて±2分、及び、3)120~360分のサンプルについて±5分。実際のサンプリング時間が記録された。
【0438】
試験薬及び投与。鼻腔内のエピネフリン製剤の各100μLのIN用量は、0.3mgのエピネフリンに加えて、10mMのpH4.0の緩衝酢酸溶液中に0.25%(w/v)のドデシルマルトシド(0.25mg)、0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウム(BZK)(0.04mg)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいた。自己注入装置によって送達された筋肉内のエピネフリンは、筋肉内注射によって0.3mgのエピネフリンを送達した。
【0439】
被験体は、INあるいはIMのエピネフリンのいずれかの投与の前に絶食した。各100μLの噴霧は、Aptar Pharmaから販売されている市販の複数回投与用鼻内噴霧デバイスを介して左の鼻孔に投与された。デバイスのプライミング(起動5回)は、被験体への投与前の30分以内にフード又はプライミングボックスで行われた。
【0440】
参加者。試験は、書面によるインフォームドコンセントを提出した、18歳~55歳の健康な成人男性の志願者(最大12人)を含んでいた。他の包含基準は:50kgよりも多い体重;18~28kg/(mでの身長)2のボディマス指数(BMI);高血圧症及び循環器疾患の病歴がない;スクリーニング及びベースライン時で正常範囲内の血圧及び心拍数;病歴、身体検査、心電図(QTcF<450ミリ秒)、あるいはスクリーニング中の臨床検査結果において臨床的に有意な異常な発見がない;及び、試験の終了まで自宅に閉じ込められることに同意し、すべての必要とされる試験手順に応じる意志があることを含む。
【0441】
除外基準は以下を含む:臨床的に有意な胃腸、腎臓、肝臓、神経系、血液、内分泌腺、腫瘍、呼吸器系、免疫、精神医学、あるいは循環器の疾患の病歴、重度の季節性あるいは非季節性のアレルギー、鼻ポリープ、鼻ピアスがないこと、あるいは、鼻内噴霧投与を妨げる可能性のある任意の鼻通路の異常、あるいは、主要な調査者の見解において、被験体の安全性を危険にさらすか、試験結果の妥当性に影響を与えることになる他の疾病;スクリーニング前の6ヶ月以内の喫煙;試験スクリーニングの前の30日以内の、深刻な外傷、大がかりな手術、あるいは切開生検;エピネフリンあるいは任意の匹敵する又は類似の製品に対するアレルギー反応又は有害な反応の病歴;試験前の4週間にわたる異常な食事(特定の基礎食品を厳しく制限する[例えば、ケトン食]、カロリーを制限する[例えば、絶食]、及び/又は、食事時間に典型的に食べられる食物の代わりとして栄養補助食品の毎日の使用を必要とする食事など);試験薬の最初の投与の30日以内の献血あるいは血漿の寄付;試験薬の最初の投与前30日以内の臨床試験への参加(容認可能な非介入試験);PKサンプルの品質又はタイミングを危険に晒しかねない不適切あるいは困難な静脈アクセス;HIV、B型肝炎表面抗原(HbSAg)、あるいはC型肝炎に関する陽性の血液スクリーニング、又は、アルコール(唾液検査がベースラインで利用されることもある)、薬物の乱用、あるいはコチニンに関する陽性の尿スクリーニング。
【0442】
加えて、試験中に、被験体は以下のことを許可されなかった:試験前の7日間、ビタミン及びサプリメントを含むOTC製品を摂ること;主要な調査者及び医療モニタによって承認されない限り、試験薬の最初の投与前14日以内あるいは試験中に、いかなる処方薬を使用すること;試験薬の最初の投与前14日以内あるいは試験中に、経口及び/又は鼻腔うっ血除去薬を使用すること;試験薬の最初の投与前6ヶ月間あるいは試験期間中に、喫煙するかタバコ製品を使用すること;あるいは、試験の引きこもり中に激しい運動を行うこと。
【0443】
安全性。有害事象は鼻腔内の(IN)エピネフリンの安全性と耐容性を評価するために採取・調査された。他の安全対策はバイタルサインの測定を含んでいた。鼻の刺激の客観的評価は、6ポイント(0→5)のスコアを使用して、治験薬の各投与後に評価された。スコア化は、投与前(ベースライン)と、投与後30(±5分)分、及び、1(±10分)時間、2(±15分)時間、4(±30分)時間、ならびに6(±30分)時間の鼻粘膜の評価に基づいて訓練された観察者によって行われた。刺激は粘膜炎と出血の程度を調べることにより評価された。被験体は、実際の評価時点の間の出血又は炎症のいかなる事件を報告することを要求された。
【0444】
10cm(100mm)の水平な直線からなる制約のない視覚的アナログスケール(VAS)は、鼻腔内の鼻腔内の(IN)エピネフリン薬物製品のそれぞれの投与後の急性疼痛を評価するために使用された。スケールの両端は、痛みの感覚の両極限として定義された:0=痛みがない、10=激痛がある。被験体は、投与直前(ベースライン)と投与後15(±2分)分と30(±5分)分、及び1(±10分)時間に、痛みと不快感の強さを最も良く表現するスケール上の点をマークするように求められた。各時点のマークの位置が測定され、報告されたスコアとして記録された。
【0445】
薬物動態分析。非コンパートメント分析を使用して計算されるエピネフリン、ノルエピネフリン、及びDHPGの薬物動態パラメータが計算された:最大血漿濃度(Cmax)、Cmax到達時間(tmax)、定量化の下限以上の濃度での最終回までの曲線下面積[AUC(0-t)]及び無限大での曲線下面積[AUC(inf)]、消失速度定数(λz)と半減期(t1/2)、及び、エピネフリンのみに関して、生物学的利用能(F)について補正していないクリアランス(CL/F)と分布容積(Vz/F)。
【0446】
非GCP薬物動態分析は、WinNonlinバージョン7.0を使用して実施された。生物分析の定量化の下限は20pg/mLであった。BLQとして指定された血漿濃度には、20pg/mLの値が与えられた。エピネフリン、ノルエピネフリン、及びDHPGの薬物動態パラメータCmax、AUC(0-t)、及びAUC(inf)は、分散分析(ANOVA)モデルの分析を使用する複数の処置のなかで、データの自然対数を使用する分類変数としての処置、期間、シーケンス、及びシーケンス内の被験体と、比較された。ベースライン補正Cmaxは、補正されていないCmax-PreDose濃度から計算された。ベースライン補正AUC0-tは、補正されていないAUC0-t-PreDose濃度 x tlastから計算された。信頼区間(90%)は、対数変換されたデータと2つの片側t検定処理を用いて、幾何平均比率、すなわち、3つのパラメータの鼻腔内対筋肉内エピネフリンに対して構築された。推定値と信頼限界は元のスケールに指数関数的に戻される。鼻腔内の(IN)エピネフリンと筋肉内のエピネフリンとの間の比較は、3つのパラメータの幾何平均比率と90%の信頼区間から評価された。
【0447】
結果。IN投与からのエピネフリンの平均血漿濃度は、
図3に示されるように、試験の全体にわたって自己注入装置によって送達された筋肉内のエピネフリンからのエピネフリンの平均血漿濃度を大幅に下回ったままであった。上記の鼻腔内のエピネフリン製剤を使用するエピネフリンの鼻腔内投与は、以下の表5で示されるように、自己注入装置によって送達された筋肉内のエピネフリンと比較して、親化合物エピネフリンの有意に低い曝露(C
maxとAUC
0-t)を引き起こした。関連する有害な事象は何も報告されなかった。pHは3と4の間であった。
【0448】
【0449】
実施例2B:第2臨床研究。
目的。この試験の主要な目的は、絶食条件下の健康な志願者において注射(EpiPen(登録商標))による鼻腔内投与と筋肉内投与の後にエピネフリンの相対的な生物学的利用能の試験、及び、上記生物学的利用能を評価するためのその試験で使用される鼻腔内のエピネフリン(IN-Epi)の製剤の最適用量を決定することであった。第2の目的は、健康な志願者において鼻腔内のエピネフリンの製剤の安全性と耐容性を評価することであった。
【0450】
試験デザイン。第1相の、用量漸増の、12人の被験体による、非盲検の、無作為化した、1回投与量の、2回処置の、2期の、クロスオーバー試験が以下のように行われた。
【0451】
3人の被験体における用量漸増はエピネフリンの最適用量を決定するために実施された。スクリーニング期間では、被験体は、試験に入る前の28日以内にスクリーニングを受けた。3人の被験体はその後登録され、一晩絶食した後に、IN投与(pH5.5~6.0で製剤化された)によって、0.5mg、1.0mg、及び2.0mgのエピネフリンのIN-Epi投与を受けた。血液サンプルは投与後の360分間に採取された。処置は最小限で24時間の休薬期間によって分離された。
【0452】
その後、筋肉内注射に対する鼻腔内製剤の相対的な生物学的利用能は、スクリーニング期間、ベースライン期間、及び非盲検の処置期間からなる、非盲検の、無作為化した、1回投与量の、2回処置、2期のクロスオーバー試験において、12の被験体で評価された。スクリーニング期間では、被験体は、試験に入る前の28日以内にスクリーニングを受けた。非盲検の処置期間に、12人の適格の被験体は、1回用量を受け取るために一晩絶食した後にIM投与(EpiPen(登録商標))による1.0mgのIN-Epiあるいは0.3mg用量のエピネフリン注射液に無作為化に分けられた。血液サンプルは投与後の360分間に採取される。処置は最小限で24時間の休薬期間によって分離される。
【0453】
安全性評価は各試験日に実施され、被験体は退院評価後に解放され得る。試験薬の最終投与量の投与後6時間、被験体は付き添われた。
【0454】
上で開示されるように、試験は部分的に行われた。試験のすべての部分については、以下の処置が下記のように実施された。
【0455】
試験薬及び投与。エピネフリン製剤の各100μLのIN用量は、0.5mg、1.0mg、あるいは2.0mg(5mg/mL、10mg/mL、あるいは20mg/mL)のIN-Epiに加えて、pH4.5(3.5~5.0)の緩衝酢酸溶液中に0.25%(w/v)のドデシルマルトシド(0.25mg)、0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウム(BZK)(0.04mg)、及び、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいた。市販のEpiPen(登録商標)は筋肉内注射によって0.3mgのエピネフリンを送達する。
【0456】
被験体は、INあるいはIMのエピネフリンのいずれかの投与の前に絶食した。各100μLの噴霧は、Aptar Pharmaから販売されている市販の複数回投与用鼻内噴霧デバイスを介して左の鼻孔に投与された。デバイスのプライミング(起動5回)は、被験体への投与前の30分以内にフード又はプライミングボックスで行われた。
【0457】
参加者。合計で15人の男性が試験に登録された。試験を終えたすべての被験体の血漿サンプルが分析された。エピネフリンの血漿濃度の測定のための血液サンプルは、投与前(0、投与前)、及び、投与後の2、4、6、8、10、12.5、15、20、25、45、60、90、120、150、180、240、及び360分に採取された。実際の採血時間は以下のように変動し得る:1)2~20分のサンプルについて±1分、2)25~90分のサンプルについて±2分、及び、3)120~360分のサンプルについて±5分。
【0458】
包含基準。参加者:18歳~30歳の男性で;書面のインフォームドコンセントを提出し;50kgを超える体重と18~28kg/m2の間のボディマス指数を有し;過去10年以内に高血圧症と循環器疾患の家族/病歴がなく;スクリーニング時に正常な範囲(つまり<140/90mmHg)内の血圧で;病歴、身体検査、心電図(QTcF<450ミリ秒)、あるいはスクリーニング中の臨床検査結果において臨床的に有意な異常な発見がなく;及び、適切な試験期間、自宅に閉じ込められることに同意し、すべての必要とされる試験手順に応じる意志があることを含む。
【0459】
除外基準:除外基準は、臨床的に有意な胃腸、腎臓、肝臓、神経系、血液、内分泌腺、腫瘍、肺、免疫、精神医学、あるいは循環器の疾患の病歴、重度の季節性あるいは非季節性のアレルギー、鼻ポリープ、あるいは、鼻内噴霧投与を妨げる可能性のある任意の鼻通路の異常、あるいは、主要な調査者の見解において、被験体の安全性を危険にさらすか、試験結果の妥当性に影響を与えることになる任意の他の疾病;スクリーニング前の6ヶ月以内の喫煙;試験スクリーニングの前の30日以内の、深刻な外傷、大がかりな手術、あるいは切開生検;エピネフリンあるいは任意の匹敵する又は類似の製品に対するアレルギー反応又は有害な反応の病歴;試験前の4週間にわたる異常な食事(特定の基礎食品を厳しく制限する[例えば、ケトン食]、カロリーを制限する[例えば、絶食]、及び/又は、食事時間に典型的に食べられる食物の代わりとして栄養補助食品の毎日の使用を必要とする食事など)を摂っていたこと;試験薬の最初の投与の30日以内に献血したか、血漿を提供したこと;試験薬の最初の投与の30日以内の臨床試験への参加;PKサンプルの品質又はタイミングを危険に晒し得る不適切あるいは困難な静脈アクセス;HIV、B型肝炎表面抗原(HbSAg)、あるいはC型肝炎に関する陽性の血液スクリーニング、又は、アルコール、薬物の乱用、あるいはコチニンに関する陽性の尿スクリーニング。
【0460】
加えて、試験中に、被験体は以下のことを許可されなかった:試験前の7日間、ビタミン及びサプリメントを含むOTC製品を摂ること;主要な調査者及び医療モニタによって承認されない限り、試験薬の最初の投与前14日以内あるいは試験中に、いかなる処方薬を使用すること;試験薬の最初の投与前14日以内あるいは試験中に、経口及び/又は鼻腔うっ血除去薬を使用すること;試験薬の最初の投与前6ヶ月間あるいは試験期間中に、喫煙するかタバコ製品を使用すること;あるいは、試験の引きこもり中に激しい運動を行うこと。
【0461】
<安全性>
有害事象が収集され、IN-Epiの安全性及び耐性を評価するために検討された、あるいはされるだろう。他の安全対策はバイタルサイン測定を含むだろう。
【0462】
6点(0→5)のスコアを使用して、治験薬の各投与後に鼻刺激の客観的評価を評価した。スコアリングは、投薬(ベースライン)前、及び投与後30(±5分)分、ならびに1(±10分)、2(±15分)、4(±30分)、及び6(±30分)時間の鼻粘膜の評価に基づいて、医学的に訓練された観察者によって行なわれた。刺激は、粘膜炎及び出血の程度の評価によって評価された。被験体も実際の評価時点の間に、出血又は炎症のいかなる出来事も報告する必要があった。
【0463】
IN-Epi薬物製品の各投与後の急性の痛みを評価するために、10cm(100mm)の水平直線から成る制約なしの視覚的アナログスケール(unconstrained visual analog scale)(VAS)を使用した。スケールの両端は痛覚の両極限として定義された:0=痛みなし、10=激痛がある。被験体は、投薬(ベースライン)の直前、及び投与後15(±2分)及び30(±5分)分、ならびに1(±10分)時間の痛みと不快感の強さを最もよく表現するスケールの点をマークするように求められた。各時点のマークの位置を測定し、報告されたスコアとして記録した。
【0464】
<薬物動態分析>
エピネフリンの薬物動態パラメータを、非コンパートメント分析を使用して算出した:最大血漿濃度(Cmax)、Cmax到達時間(tmax)、定量化の下限以上の濃度での最終回までの曲線下面積[AUC(0-t)]及び無限大での曲線下面積[AUC(inf)]、消失速度定数(λz)と半減期(t1/2)、及び、エピネフリンのみに関して、生物学的利用能(F)について補正していないクリアランス(CL/F)と分布容積(Vz/F)。
【0465】
エピネフリン、ノルエピネフリン、及びDHPGの薬物動態パラメータCmax、AUC(0-t)、及びAUC(inf)は、分散分析(ANOVA)モデルの分析を使用する複数の処置のなかで、データの自然対数を使用する分類変数としての処置、期間、シーケンス、及びシーケンス内の被験体と、比較された。信頼区間(90%)は、対数変換されたデータ及び2つの片側t検定手順を使用して、3つのパラメータの幾何平均値比率、IN-Epi-to-EpiPen(登録商標)に対して構築された。点推定値及び信頼限界を累乗して、元のスケールに戻した。INとIMエピネフリンとの間の比較は、3つのパラメータに対する幾何平均値比率及び90%の信頼区間から評価された。
【0466】
<結果>
試験の用量漸増部分についての結果は、以下の表6、及び
図4、5、6ならびに7で提供される。pH4.0(3.5-5.0、容認可能)の生理食塩水において0.5、1.0、及び2.0mgの投与量で、上に開示されるように製剤されたエピネフリンの鼻腔内製剤を、3人の被験体に投与した。以下の表6は、3つの用量についての平均の薬物動態パラメータを示す。
【0467】
【0468】
以上のように、鼻腔内エピネフリンの全ての用量で、従来の試験よりもTmaxは低く、CmaxとAUCは高かった。これらの傾向は、用量が増えるにつれてより顕著になった。特に、1.0及び2.0mgの製剤はそれぞれ、従来の試験で使用されるような自己注入装置によって送達された筋肉内エピネフリンよりも低いTmax、及び高いCmaxを示した。全ての鼻腔内製剤のAUCは、全ての用量で、自己注入装置によって送達された筋肉内エピネフリンのAUCよりも高かった。
【0469】
図4及び5は、エピネフリンの0.5、1.0、及び2.0mgの鼻腔内製剤についての平均VS濃縮の曲線を示す。
図6及び7は
図4及び5のデータを複製するが、試験2Aからのエピネフリン自己注入装置データにそれを被せて、例えば、エピネフリンと筋肉内エピネフリン自己注入装置との1.0及び2.0mgの鼻腔内投与量間の薬物動態差異を例示する。これらの図はまた、鼻腔内エピネフリンがpH3-4の緩衝酢酸溶液中で製剤された場合の、
図3に対する関連対照を提供する。
【0470】
試験の用量漸増部分からの結果は、従来の試験とは対照的に、エピネフリンを製剤して、有意な生物学的利用能を達成することが可能であること示す。特定の投与量での、製剤された鼻腔内エピネフリンの薬物動態は、自己注入装置によって送達された筋肉内エピネフリンよりも優れているように見え、それは、最初の20分で迅速な、IM注射と同様の吸収速度を達成する。
【0471】
INの生物学的利用能をIM注射と比較する試験の結果の一部が、以下の表7-9c、及び
図8ならびに9で提供される。およそpH4.0の生理食塩水中で1.0mgmの用量で、上に開示されるように製剤された鼻腔内エピネフリンを12人の被験体に投与し;さらに、自己注入装置によって送達される筋肉内エピネフリン(0.3mg)を、12人の被験体の大腿に投与した。以下の表7は、上に開示されるように製剤されたIN及びIMエピネフリンの平均のPKパラメータを示す。
【0472】
【0473】
図8及び9はまた、1.0mgのINエピネフリンについての血漿時間VS濃縮の曲線が、0.3mgのそれと非常に似ていることを示す。大腿に投与されたIMエピネフリン(EpiPen(登録商標))。
【0474】
以下の表8は、IM及びINの経路と比較したCmax及び部分的なAUCデータを示す。AUCの基準のパーセントとしての鼻腔内の割合が提供される。下記のデータは、エピネフリンの0.3mgの筋肉内注射と非常によく似るように、あるいはそれより良くなるように1.0mgの鼻腔内エピネフリンを製剤化することができることを示す。
【0475】
【0476】
以下の表9a-9cは、9a)中央値のtmax、9b)tmax値の分布、及び9c)鼻腔内及び筋肉内のエピネフリン間の所定の条件を満たすtmaxを有する被験体のパーセントを示す。
【0477】
【0478】
【0479】
【0480】
IN-Epiは、安全かつ耐容性が良好であるように思われ、エピネフリン自己注入装置と同等及びある態様においては(例えば、Cmax)、それよりも優れたPKパラメータを示した。
【0481】
加えて、試験全体にわたって、有意なPK差異は、1.0mgのINエピネフリンと0.3mgのIMエピネフリンとの間において観察されなかった。
【0482】
<他の実施形態>
組み合わせが相互に排他的でないという条件で、任意の上記の実施形態をこれらの実施形態のいずれか1つ以上と組み合わすことができる実施形態がさらに提供される。開示された任意の実施形態の範囲に同等の本明細書に開示される適応症又はその1つ以上の症状の処置における使用、及び、本明細書に開示される適応症又はその1つ以上の症状の処置のための薬物の製造における使用、あるいは相互に排他的でないそれらの任意の組み合わせが本明細書でさらに提供される。方法及び使用は、本明細書に開示されるデバイスのいずれか、又は相互に排他的でないそれらの任意の組み合わせ、あるいは本明細書に開示される医薬製剤のいずれか、又は相互に排他的でないそれらの任意の組み合わせを利用することができる。
【0483】
本発明は、上記実施例においてその特定の実施形態の具体的な詳細を参照して説明されているが、変更及び変形が本発明の精神及び範囲内に含まれることが理解されるだろう。