IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルコン インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】IOL折り畳みデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021534191
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060786
(87)【国際公開番号】W WO2020128755
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】62/781,862
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】インホイ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ブレント ウェンスリッチ
(72)【発明者】
【氏名】トッド テイバー
(72)【発明者】
【氏名】レン タクズワ マガラ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-325568(JP,A)
【文献】国際公開第2015/070994(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/080191(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0059811(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256316(US,A1)
【文献】特開2006-333980(JP,A)
【文献】特表2014-519887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00;2/02-2/80;3/00-4/00
A61F 9/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ(IOL)折り畳みデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの両側内に配設される一対のIOLストレージ棚であって、各IOLストレージ棚は、折り畳まれていないIOLの一部を支持するよう適合される、一対のIOLストレージ棚と、
前記IOLストレージ棚の間に形成されるIOL折り畳みチャネルであって、各IOLストレージ棚は、リップによって前記IOL折り畳みチャネルに結合され、前記IOL折り畳みチャネルは、IOL注入器のボアと整列するよう適合される長手方向軸を有し、床を形成する底面を有する、IOL折り畳みチャネルと、
前記IOL折り畳みチャネルの上方で軸方向に整列されるIOL折り畳みガイドであって、前記IOL折り畳みガイドは、IOLの上面に接触するよう適合される第1の端部と、前記ハウジング又はレバー又はボタンを備えるユーザ作動可能ハンドルに結合される第2の端部とを有し、前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記IOL折り畳みガイド又は前記IOL折り畳みチャネルに結合される第2の端部とを有する、IOL折り畳みガイドと、を備え、
前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2の可撓性アームを備え、各可撓性アームは第1の端部及び第2の端部を有し、内側フックが前記第1の端部上に配設され、前記内側フックはIOL基部の内縁部に接触するよう適合されており、
前記レバー又はボタンの作動に応答して、前記IOL折り畳みチャネルの前記床及び前記IOL折り畳みガイドは、互いに近付くよう適合され、前記IOL折り畳みガイドは、それによって、折り畳まれていないIOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL折り畳みチャネル内で折り畳まれた形態を取るよう構成される、IOL折り畳みデバイス。
【請求項2】
眼内レンズ(IOL)折り畳みデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの両側内に配設される一対のIOLストレージ棚であって、各IOLストレージ棚は、折り畳まれていないIOLの一部を支持するよう適合される、一対のIOLストレージ棚と、
前記IOLストレージ棚の間に形成されるIOL折り畳みチャネルであって、各IOLストレージ棚は、リップによって前記IOL折り畳みチャネルに結合され、前記IOL折り畳みチャネルは、IOL注入器のボアと整列するよう適合される長手方向軸を有し、床を形成する底面を有する、IOL折り畳みチャネルと、
前記IOL折り畳みチャネルの上方で軸方向に整列されるIOL折り畳みガイドであって、前記IOL折り畳みガイドは、IOLの上面に接触するよう適合される第1の端部と、前記ハウジング又はレバー又はボタンを備えるユーザ作動可能ハンドルに結合される第2の端部とを有し、前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記IOL折り畳みガイド又は前記IOL折り畳みチャネルに結合される第2の端部とを有する、IOL折り畳みガイドと、を備え、
前記レバー又はボタンの作動に応答して、前記IOL折り畳みチャネルの前記床及び前記IOL折り畳みガイドは、互いに近付くよう適合され、前記IOL折り畳みガイドは、それによって、折り畳まれていないIOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL折り畳みチャネル内で折り畳まれた形態を取るよう構成されており、
前記IOL折り畳みチャネルは、ブロック内に配設され、前記ブロックは、前記ハウジングに結合され、その内部で摺動自在に移動可能であり、
前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記ブロックに結合される第2の端部とを有するレバーを備え、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、前記ブロックに結合される第1の端部と前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを備え、
前記レバーの作動に応答して、前記ブロックは、前記IOL折り畳みチャネルの前記床が前記IOL折り畳みガイドに向かって移動し、それによって前記IOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込むように、前記チャネルが前記ボアと整列される静止位置から移動するよう適合され、前記ばねは、前記ブロックを前記静止位置に戻すよう適合される、IOL折り畳みデバイス。
【請求項3】
前記第1の可撓性アーム及び前記第2の可撓性アームの各々の前記第1の端部上に配設されかつハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックをさらに備える、請求項1に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項4】
前記IOLは、前記IOL基部の内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備えるIOL基部を有し、前記内側フックは、前記近位及び遠位切欠きにおいて前記IOL基部に接触するよう適合される、請求項1に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項5】
眼内レンズ(IOL)折り畳みデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの両側内に配設される一対のIOLストレージ棚であって、各IOLストレージ棚は、折り畳まれていないIOLの一部を支持するよう適合される、一対のIOLストレージ棚と、
前記IOLストレージ棚の間に形成されるIOL折り畳みチャネルであって、各IOLストレージ棚は、リップによって前記IOL折り畳みチャネルに結合され、前記IOL折り畳みチャネルは、IOL注入器のボアと整列するよう適合される長手方向軸を有し、床を形成する底面を有する、IOL折り畳みチャネルと、
前記IOL折り畳みチャネルの上方で軸方向に整列されるIOL折り畳みガイドであって、前記IOL折り畳みガイドは、IOLの上面に接触するよう適合される第1の端部と、前記ハウジング又はレバー又はボタンを備えるユーザ作動可能ハンドルに結合される第2の端部とを有し、前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記IOL折り畳みガイド又は前記IOL折り畳みチャネルに結合される第2の端部とを有する、IOL折り畳みガイドと、を備え、
前記レバー又はボタンの作動に応答して、前記IOL折り畳みチャネルの前記床及び前記IOL折り畳みガイドは、互いに近付くよう適合され、前記IOL折り畳みガイドは、それによって、折り畳まれていないIOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL折り畳みチャネル内で折り畳まれた形態を取るよう構成されており、 前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2のカムを備え、各カムは、そこから延在し、梁に回動自在に結合され、トラックに沿って回動自在に移動可能なウェッジ部を有し、前記ウェッジ部はIOL基部の内縁部に接触するよう適合され、前記ユーザ作動可能ハンドルは、前記ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを備え、前記ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記梁に結合される第2の端部とを有し、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、前記ボタンに結合される第1の端部と前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを備え、
前記ボタンの押下に応答して、前記梁は、静止位置から前記IOL折り畳みチャネルの前記床に向かって移動するよう適合され、前記カムは、前記トラックに沿って回転するよう適合され、前記ウェッジ部は、前記IOL基部に接触し、それによって前記IOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL基部を軸方向に伸長させるよう適合され、前記ばねは、前記ボタンを前記静止位置に戻すよう適合される、IOL折り畳みデバイス。
【請求項6】
前記IOL基部は、前記IOL基部の前記内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備え、前記ウェッジ部は、前記近位及び遠位切欠きにおいて前記IOL基部に接触するよう適合される、請求項5に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項7】
眼内レンズ(IOL)折り畳みデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの両側内に配設される一対のIOLストレージ棚であって、各IOLストレージ棚は、折り畳まれていないIOLの一部を支持するよう適合される、一対のIOLストレージ棚と、
前記IOLストレージ棚の間に形成されるIOL折り畳みチャネルであって、各IOLストレージ棚は、リップによって前記IOL折り畳みチャネルに結合され、前記IOL折り畳みチャネルは、IOL注入器のボアと整列するよう適合される長手方向軸を有し、床を形成する底面を有する、IOL折り畳みチャネルと、
前記IOL折り畳みチャネルの上方で軸方向に整列されるIOL折り畳みガイドであって、前記IOL折り畳みガイドは、IOLの上面に接触するよう適合される第1の端部と、前記ハウジング又はレバー又はボタンを備えるユーザ作動可能ハンドルに結合される第2の端部とを有し、前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記IOL折り畳みガイド又は前記IOL折り畳みチャネルに結合される第2の端部とを有する、IOL折り畳みガイドと、を備え、
前記レバー又はボタンの作動に応答して、前記IOL折り畳みチャネルの前記床及び前記IOL折り畳みガイドは、互いに近付くよう適合され、前記IOL折り畳みガイドは、それによって、折り畳まれていないIOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL折り畳みチャネル内で折り畳まれた形態を取るよう構成されており、 前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2の可撓性アームを備え、各可撓性アームは第1の端部及び第2の端部を有し、内側フックが第1の端部上に形成され、前記内側フックはIOL基部の内縁部に接触するよう適合され、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、
前記ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを備えるユーザ作動可能ハンドルであって、前記ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記可撓性アームの前記第2の端部に結合される第2の端部とを有する、ユーザ作動可能ハンドルと、
前記ボタンに結合される第1の端部と、前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねと、を備え、
前記ボタンの押下に応答して、前記可撓性アームは、静止位置から前記IOL折り畳みチャネルの前記床に向かって移動するよう適合され、前記可撓性アームは、前記可撓性アームの前記第1の端部が互いから離間して移動するように、前記IOL基部が前記IOL折り畳みチャネルに入る際に、折り畳まれた構成を取る折り畳まれていないIOL基部の抵抗に応答して、軸方向に屈曲するよう適合され、前記内側フックは、前記IOL基部に接触し、前記IOL基部を軸方向に伸長させるよう適合され、前記ばねは、前記ボタンを前記静止位置に戻すよう適合される、IOL折り畳みデバイス。
【請求項8】
前記可撓性アームのそれぞれの前記第1の端部は、更に、ハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックを備え、
前記IOL基部の軸方向の伸長に応答して、前記外側フックは、前記ハプティックの内縁部を前記IOL基部の外縁部と接触した状態で保持するよう適合される、請求項7に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項9】
前記IOL基部は、前記IOL基部の前記内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備え、
前記内側フックは、前記近位及び遠位切欠きにおいて前記IOL基部に接触するよう適合される、請求項7に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項10】
前記IOL折り畳みガイドは第1の端部及び第2の端部を有する梁を備え、前記梁はIOLの上面に接触するよう適合され、
前記ユーザ作動可能ハンドルは、前記ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを備え、前記ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記梁に結合される第2の端部とを有し、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、前記ボタンに結合される第1の端部と前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを備え、
前記ボタンの押下に応答して、前記梁は、静止位置から前記IOL折り畳みチャネルの前記床に向かって移動し、それによって前記IOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込むよう適合され、前記ばねは、前記ボタンを前記静止位置に戻すよう適合される、
請求項1に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項11】
前記梁の前記第1の端部は、更に、ハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックを備え、
前記梁が前記IOLを前記IOL折り畳みチャネルに押し込むことに応答して、前記外側フックは、前記ハプティックをIOL基部の外縁部又はIOLオプティックと接触した状態で保持するよう適合される、請求項10に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項12】
各棚の前記リップは、前記IOL折り畳みチャネルを部分的に超えて前記棚から延在する張出し部を備え、前記張出し部は、前記IOL折り畳みチャネル内に折り畳まれたIOLを保持するよう構成される、請求項1に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項13】
前記IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器内に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設され、前記IOL注入器は、
注入器本体であって、
近位端及び遠位端を有する本体と、
近位端及び遠位端を有するノズルであって、前記ノズルの前記近位端は前記本体の前記遠位端に結合され、更に、折り畳まれていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、前記IOLストレージ場所の遠位に位置するIOLドウェル場所とを有するノズルと、
前記本体の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端に延在する長手方向軸を有するボアであって、前記ノズル内の前記ボアの遠位部分が供給チャネルを形成する、ボアと、を有する注入器本体と、
前記注入器本体内に移動自在に結合され、前記ボア内に整列されるプランジャであって、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端部を有するプランジャと、を備える、請求項1に記載のIOL折り畳みデバイス。
【請求項14】
前記床は、折り畳まれていないIOLが前記IOLストレージ棚上に位置決めされる場合に、前記折り畳まれていないIOLの重心の下にあるよう構成される、請求項1に記載のIOL折り畳みデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月19日出願の米国仮特許出願第62/781,862号明細書に対する優先権を主張し、その内容の全てを引用し、本明細書中に組み込む。
【0002】
本開示は、眼内レンズ(IOL)注入器のためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、最も簡単に言えば、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過及び屈折させ、更に、水晶体によって眼の後部の網膜上で像に焦点を合わせることによって視覚を提供するよう機能する。焦点の合った像の質は、眼の大きさ、形状、及び長さ、並びに角膜及び水晶体の形状及び透明度を含む多くの要因に依存する。外傷、年齢、又は疾病によって水晶体の透明度が低下すると、網膜に伝達され得る光が減少するため、視力が低下する。眼の水晶体におけるこの欠陥は、医学的に白内障として知られている。この状態の治療は、水晶体の外科的除去及び人工レンズ(IOL)の挿入である。
【0004】
多くの白内障水晶体は、超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれる外科的手法によって除去される。この処置中に、開口部は眼の前嚢に作られ、超音波水晶体乳化吸引切断先端部が、疾患水晶体に挿入され、超音波で振動される。振動切断先端部は、水晶体が眼から吸引されてもよいように、それを液化又は乳化する。罹患した水晶体は、一旦除去されると、IOLに置き換えられる。
【0005】
IOLは、小さい切開部、場合によっては疾患水晶体を除去するために用いた同じ切開部を通して眼に注入されてもよい。IOL注入器は、IOLを眼に供給するために用いられてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
眼内レンズ(IOL)折り畳みデバイスが説明されている。IOL折り畳みデバイスは、ハウジングと、ハウジングの両側内に配設される一対のIOLストレージ棚であって、各IOLストレージ棚は、折り畳まれていないIOLの一部を支持するよう適合される、一対のIOLストレージ棚とを有している。IOL折り畳みデバイスはまた、IOLストレージ棚の間に形成されるIOL折り畳みチャネルであって、各IOLストレージ棚は、リップによってIOL折り畳みチャネルに結合され、IOL折り畳みチャネルは、IOL注入器のボアと整列するよう適合される長手方向軸を有し、床を形成する底面を有する、IOL折り畳みチャネルも有している。IOL折り畳みデバイスはまた、IOL折り畳みチャネルの上方で軸方向に整列されるIOL折り畳みガイドを有し、IOL折り畳みガイドは、IOLの上面に接触するよう適合される第1の端部と、ハウジング又はユーザ作動可能ハンドルに結合される第2の端部とを有する。ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、IOL折り畳みガイド又はIOL折り畳みチャネルに結合される第2の端部とを有する。レバー又はボタンの作動に応答して、IOL折り畳みチャネルの床及びIOL折り畳みガイドは、互いに近付くよう適合され、IOL折り畳みガイドは、それによって、折り畳まれていないIOLをIOL折り畳みチャネル内に押し込み、IOL折り畳みチャネル内で折り畳まれた形態を取るよう構成される。
【0007】
IOL折り畳みチャネルは、ブロック内に配設され、ブロックは、ハウジングに結合され、その内部で摺動自在に移動可能である。ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部とブロックに結合される第2の端部とを有するレバーを含んでいてもよく、IOL折り畳みデバイスは、ブロックに結合される第1の端部とハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを含んでいてもよい。レバーの作動に応答して、ブロックは、IOL折り畳みチャネルの床がIOL折り畳みガイドに向かって移動し、それによってIOLをIOL折り畳みチャネル内に押し込むように、チャネルがボアと整列される静止位置から移動するよう適合されてもよい。ばねは、ブロックを静止位置に戻すよう適合される。
【0008】
IOL折り畳みガイドは第1及び第2のアームを含んでいてもよく、各アームは第1の端部及び第2の端部を有し、内側フックが第1の端部上に配設され、内側フックはIOL基部の内縁部に接触するよう適合される。
【0009】
IOL折り畳みガイドは第1及び第2のアームを含んでいてもよく、各アームは第1の端部及び第2の端部を有し、外側フックが第1の端部上に配設され、外側フックはハプティックの外縁部に接触するよう適合される。
【0010】
IOLは、IOL基部の内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備えるIOL基部を有していてもよく、内側フックは、近位及び遠位切欠きにおいてIOL基部に接触するよう適合されてもよい。
【0011】
IOL折り畳みガイドは第1及び第2のカムを含んでいてもよく、各カムは、そこから延在し、梁に回動自在に結合され、トラックに沿って回動自在に移動可能なウェッジ部を有し、ウェッジ部はIOL基部の内縁部に接触するよう適合される。ユーザ作動可能ハンドルは、ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを含んでいてもよく、ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記梁に結合される第2の端部とを有する。IOL折り畳みデバイスは、ボタンに結合される第1の端部とハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを含んでいてもよい。ボタンの押下に応答して、梁は、静止位置からIOL折り畳みチャネルの床に向かって移動するよう適合されてもよく、カムは、トラックに沿って回転するよう適合されてもよく、ウェッジ部は、IOL基部に接触し、それによってIOLをIOL折り畳みチャネル内に押し込み、IOL基部を軸方向に伸長させるよう適合されてもよく、ばねは、ボタンを静止位置に戻すよう適合されてもよい。
【0012】
IOL基部は、IOL基部の内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを含んでいてもよく、ウェッジ部は、近位及び遠位切欠きにおいてIOL基部に接触するよう適合されてもよい。
【0013】
IOL折り畳みガイドは第1及び第2の可撓性アームを含んでいてもよく、各可撓性アームは第1の端部及び第2の端部を有し、内側フックが第1の端部上に形成され、内側フックはIOL基部の内縁部に接触するよう適合される。IOL折り畳みデバイスは、ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを有するユーザ作動可能ハンドルであって、ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、可撓性アームの第2の端部に結合される第2の端部とを有する、ユーザ作動可能ハンドルと、ボタンに結合される第1の端部と、ハウジングに結合される第2の端部とを有する、ばねとを含んでいてもよい。ボタンの押下に応答して、可撓性アームは、静止位置からIOL折り畳みチャネルの床に向かって移動するよう適合されてもよく、可撓性アームは、可撓性アームの第1の端部が互いから離間して移動するように、IOL基部がIOL折り畳みチャネルに入る際に、折り畳まれた構成を取る折り畳まれていないIOL基部の抵抗に応答して、軸方向に屈曲するよう適合されてもよく、内側フックは、IOL基部に接触し、IOL基部を軸方向に伸長させるよう適合されてもよく、ばねは、ボタンを静止位置に戻すよう適合されてもよい。
【0014】
可撓性アームのそれぞれの第1の端部は、更に、ハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックを含んでいてもよい。IOL基部の軸方向の伸長に応答して、外側フックは、ハプティックの内縁部をIOL基部の外縁部と接触した状態で保持するよう適合されてもよい。
【0015】
IOL基部は、IOL基部の内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを含んでいてもよく、内側フックは、近位及び遠位切欠きにおいてIOL基部に接触するよう適合されてもよい。
【0016】
IOL折り畳みガイドは第1の端部及び第2の端部を有する梁を含んでいてもよく、梁はIOLの上面に接触するよう適合される。ユーザ作動可能ハンドルは、ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを含んでいてもよく、ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、梁に結合される第2の端部とを有し、IOL折り畳みデバイスは、ボタンに結合される第1の端部とハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを含んでいてもよい。ボタンの押下に応答して、梁は静止位置からIOL折り畳みチャネルの床に向かって移動し、それによってIOLをIOL折り畳みチャネル内に押し込むよう適合されてもよく、ばねは、ボタンを静止位置に戻すよう適合されてもよい。
【0017】
梁の第1の端部は、ハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックを含んでいてもよい。梁がIOLをIOL折り畳みチャネルに押し込むことに応答して、外側フックは、ハプティックをIOL基部の外縁部又はIOLオプティックと接触した状態で保持するよう適合されてもよい。
【0018】
各棚のリップは、IOL折り畳みチャネルを部分的に超えて棚から延在する張出し部を含んでいてもよく、張出し部は、IOL折り畳みチャネル内に折り畳まれたIOLを保持するよう構成される。
【0019】
IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器内に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設されてもよい。
【0020】
IOL注入器は、近位端及び遠位端を有する本体と、近位端及び遠位端を有するノズルとを有する注入器本体を含んでいてもよく、ノズルの近位端は本体の遠位端に結合される。ノズルは、折り畳まれていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、IOLストレージ場所の遠位に位置するIOLドウェル場所とを含んでいてもよい。注入器本体は、本体の近位端からノズルの遠位端に延在する長手方向軸を有するボアを含んでいてもよい。ノズル内のボアの遠位部分は、供給チャネルを形成してもよい。IOL注入器はまた、注入器本体内に移動自在に結合され、ボア内に整列されるプランジャであって、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端部を有するプランジャを含んでいてもよい。
【0021】
IOL折り畳みデバイスは、ノズル内に配設されてもよい。
【0022】
IOL折り畳みデバイスは、IOLハウジング場所内に配設されてもよい。
【0023】
IOL折り畳みデバイスは、プランジャがIOL折り畳みチャネルを通って軸方向に移動可能であるように構成されてもよい。
【0024】
IOL折り畳みデバイスは、IOL基部、IOLオプティック、又は両方を別々に折り畳むよう適合されてもよい。
【0025】
IOL折り畳みデバイスは、IOL基部及びIOLオプティックを同時に折り畳むよう適合されてもよい。
【0026】
床は、折り畳まれていないIOLが棚上に位置決めされる場合に、折り畳まれていないIOLの重心の下にあるよう構成されてもよい。
【0027】
本開示をより完全に理解するために、ここで、以下の説明に対して参照が行われ、添付図面と併せて用いられる。添付図面は、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、一例のIOL注入器の斜視図である。
図2図2は、図1の一例のIOL注入器の長手方向断面図である。
図3A図3Aは、一例のワンピースIOLを示す。
図3B図3Bは、基部及びオプティックを含む一例のツーピースIOLを示す。
図4A図4Aは、一例のIOL折り畳みデバイスの略図である。
図4B図4Bは、図4Aの一例の折り畳みデバイスの別の図である。
図4C図4Cは、図4Aの一例の折り畳みデバイスの別の図である。
図5A図5Aは、一例のIOL折り畳みデバイスの略図である。
図5B図5Bは、図5Aの一例の折り畳みデバイスの別の図である。
図5C図5Cは、図5Aの一例の折り畳みデバイスの別の図である。
図6A図6Aは、一例のIOL折り畳みデバイスの略図である。
図6B図6Bは、図6Aの一例の折り畳みデバイスの別の図である。
図6C図6Cは、図6Aの一例の折り畳みデバイスの別の図である。
図6D図6Dは、図6Aの一例の折り畳みデバイスの動作の略図である。
図7図7は、一例のIOL折り畳みデバイスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の原理の理解を促進する目的のため、ここで図面に示す実装を参照し、特定の言語を用いてそれを説明する。それでもやはり、開示の範囲について何の限定も意図していないことが理解されるであろう。説明するデバイス、機器、方法に対する任意の代替形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、開示が関連する技術分野の当業者が通常想到し得るように完全に想定される。特に、1つの実装に関して説明される特徴、構成部品、及び/又はステップは、本開示の他の実装に関して説明される特徴、構成部品、及び/又はステップと組み合わされてもよいことは、完全に想定される。
【0030】
図1及び図2は、ユーザによる手動での力の印加によって作動する一例のIOL注入器10の略図である。IOL注入器10は、注入器本体20と、注入器本体20に形成されるボア40を通って往復運動するよう適合するプランジャ30とを含んでいる。注入器本体20は、近位端50及び遠位端23を有する本体21と、近位端22及び遠位端60を有するノズル25とを有する。ノズル25の近位端22は、本体21の遠位端23に結合されている。ノズル25は、圧縮されておらず且つ折り畳まれていないIOL70を収容するよう構成されるIOLストレージ場所80を有する。
【0031】
ボア40は、本体21の近位端50からノズル25の遠位端60まで延在する。ノズル25内のボア40の遠位部分はテーパ状供給チャネル31を形成し、これを通して、IOLが軸方向に前進され、圧縮され、遠位端60における遠位先端27内の開口部29を介して眼内に供給されてもよい。
【0032】
プランジャ30は、注入器本体20内部に移動可能に結合され、ボア40内部で整列される。プランジャ30は、IOL70と接触するよう適合されるプランジャ先端220を有する。
【0033】
IOL注入器10はまた、長手方向軸75も含んでいる。長手方向軸75は、プランジャ30に沿って延在し、プランジャ30の長手方向軸を画成してもよい。
【0034】
IOLストレージ場所80は、IOLストレージ場所80の内部へのアクセスを提供するドア90を含んでいてもよい。ドア90は、ドア90がヒンジ100を中心として枢動して、IOLストレージ場所80を開放し、例えば、IOL70の設置を可能にしてもよいようなヒンジ100を含んでいてもよい。他の実装において、IOLストレージ場所80は、IOL70を設置するためのドアを除いてもよい。かかる例において、IOL70は、IOL注入器10の組み立て時にIOLストレージ場所80に組み込まれてもよい。従って、かかる例において、IOL注入器10は、予め装填されたIOL注入器であってもよい。かかる例において、IOLストレージ場所80は、ドア90ではなく、開放するよう構成されていないカバーを有していてもよい。IOLストレージ場所80は、IOLストレージ場所80への粘弾性体の添加を可能にするよう適合される穴を含んでいてもよい。
【0035】
注射器本体20はまた、注射器本体20の近位端50に形成されるタブ110を含んでいてもよい。タブ110は、ボア40を通ってプランジャ30を前進させるよう、眼科医、眼科手術助手若しくは看護師、又は他の医療専門家等のユーザの指、親指、又は手によって操作されてもよい。
【0036】
プランジャ30は、プランジャ本体200と、プランジャ本体200から遠位方向に延在するプランジャロッド210と、プランジャロッド210の遠位端230に形成され、例えば、IOL注入器10のIOLストレージ場所80に配設されるIOLに接触するよう適合されるプランジャ先端220とを含んでいてもよい。プランジャ30が軸方向に前進させられ、それによって矢印78の方向にボア40内部で遠位方向に変位させられると、プランジャ30のプランジャ先端220は、IOL70等のIOLに係合し且つそれを前進させるよう適合される。図1及び図2において、IOL70は、IOLストレージ場所80内に位置して示されている。プランジャ30はまた、矢印78の方向に遠位方向にボア40を通ってプランジャ30を変位させることによって、ボア40を通ってプランジャ30を前進させるよう、ユーザの指、親指、又は手によって操作されてもよい、近位端250に形成されるフランジ240を含んでいてもよい。
【0037】
幾つかの実装において、IOL70はワンピースIOLであってもよい。即ち、幾つかの実装において、IOL70は、図3Aに示すように、オプティック460及びハプティック450を含んでいてもよい。各ハプティック450は先端部452を含んでいる。幾つかの実装において、オプティック460及びハプティック450は、材料単体から一体的に形成されてもよい。他の実装において、オプティック460は1つの材料片から形成されてもよく、ハプティック450は別の材料片から形成されてもよく、オプティック460及びハプティック450は眼内への供給の前に互いに結合されてもよい。場合によっては、オプティック460及びハプティック450は、IOL注入器への挿入及び眼内への供給の前に、互いに確実に固定されてもよい。
【0038】
他の実装において、IOL70は、例えば、図3Bに示すようにマルチピースIOLであってもよい。例えば、幾つかの実装において、IOL70は、2つ以上の別個の構成部品を含んでいる。図3Bは、2つの着脱自在に取り付けられる構成部品を含む一例のIOL70である。図3Bに示すように、IOL70は、オプティック460と、ハプティック450を含み且つ上部498及び底部499を有する基部461を形成する中空リングとを含んでいる。オプティック460及び基部461は、共に結合されて一体型IOLを形成するよう適合されている。例えば、場合によっては、オプティック460及び基部461は、眼の内部への挿入前又は挿入後等に、共に結合されて一体型IOLを形成するよう適合される。場合によっては、オプティック460は、必要に応じて基部461から取り外し、交換することができる。場合によっては、例えば、図3Bに示すツーピースIOL70等のマルチピースIOLの1つ以上の構成部品は、別々に患者の眼内に注入可能である。一旦眼に入ると、構成部品は、完全なIOLに組み立てられてもよい。例えば、図3Bに示すツーピースIOL70の場合、オプティック460及び基部461は、別々に眼内に注入可能である。一旦注入されると、オプティック460は、基部461の内縁部471内に配設される溝479内で基部461に結合されるよう適合されている。場合によっては、1つ以上の切欠き15が外縁部8内に配設される。1つ以上の切欠き15は、オプティック460と結合し、それによって基部461上へオプティック460のアセンブリを配向するために構成されてもよい。切欠き15はまた、IOL基部461が折り畳み又は圧縮形態を取り始めるための開始点を提供してもよい。特に、場合によっては、切欠き15は、IOL基部461が圧縮形態を取るように内縁部8内に配設され、ここで、IOL基部461が圧縮形態を取る際に、遠位及び近位ハプティック450はそれぞれ、IOL注入器内の遠位及び近位位置に維持される。場合によっては、例えば、基部461は、内縁部8内で両側に配設される.2つの切欠き15を有することができ、例えば、1つの切欠き15は、遠位ハプティック450の長さの中間点に隣接する位置において内縁部8内に配設され、別の切欠き15は、近位ハプティック450に隣接する位置において内縁部8内に配設される。切欠き15は他の機能を有していてもよい。例えば、場合によっては、ユーザは、挿入中に基部461の位置を操作するために、外科用器具を用いて切欠き15に接触してもよい。
【0039】
時として、患者は、IOLの交換を必要とする可能性があり、IOLを交換する処置は、結果として眼に対する損傷を生じる可能性がある。例えば、ツーピースIOLを用いる場合、交換処置は、基部が眼内の所定の位置に留まることを可能にする、オプティックの交換のみを含む可能性がある。
【0040】
上で説明したように、幾つかの実装において、IOL70は、基部461及びオプティック460が別々に患者の眼内に注入されるツーピースIOLであってもよい。従って、ツーピースIOLの場合、基部461及びオプティック460は、眼内に挿入するために別々のIOL注入器10内に収容されてもよい。他の実装において、ツーピースIOLの2つの構成部品は、単一のIOL注入器を用いて別々に眼内に挿入されてもよい。シングルピースIOLの場合、オプティック460及びハプティック450は一体型IOLを形成し、単一のIOL注入器の使用により同時に眼内に挿入される。
【0041】
従って、幾つかの実装において、ユーザは、例えば、上で説明したIOL注入器のIOLストレージ場所80等のIOL注入器のIOLストレージコンパートメント内にIOLを装填することによって、ワンピースIOLをIOL注入器に載置してもよい。また、説明するように、IOLストレージ場所80は、ドア90等のドアを介してアクセスされてもよい。
【0042】
ツーピースIOLの場合、幾つかの実装において、ユーザは、基部461等の基部を、例えばドアを介して、IOL注入器のIOLストレージコンパートメント内に装填してもよい。オプティック460等のオプティックは、例えばドアを介して、別個のIOL注入器のIOLストレージコンパートメント内に導入されてもよい。場合によっては、IOLストレージコンパートメントは、ドア90等のドアを通してアクセスされてもよい。
【0043】
幾つかの実装において、IOL70は圧縮又は折り畳まれた構成に折り畳まれてもよい。ツーピースIOLの場合、幾つかの実装において、基部461及びオプティック460のうちの一方又は両方は、圧縮又は折り畳まれた構成に折り畳まれてもよい。
【0044】
当業者によって理解されるように、IOLにとって、経時的に恒久的に変形しないように、折り畳まずに保管されることが重要である。従って、IOLは、通常、長期間にわたって、ストレージ内等に折り畳まれた状態で保持されることはない。
【0045】
幾つかの既存のIOL供給デバイスは、ユーザがIOLの基部を折り畳みチャンバ内に配置し、ドアを閉じる手動折り畳み機構を伴う。ドアが閉じられると、その内部の特徴及び寸法形状が基部を折り畳む。しかし、基部を装填し、折り畳むユーザの行為は、それを注入器内に正確に装填する際のユーザエラーの可能性を生じさせ、全ての構成部品がプロセス中に無菌のままであることを確実にしない可能性がある。
【0046】
幾つかの実装において、IOLは、例えば、製造中に、又はそうでなければエンドユーザへの分布前に、IOL注入器のストレージコンパートメント内に予め装填されてもよい。従って、ワンピースIOLの場合、ワンピースIOLは、エンドユーザによって受け取られる前に、IOL注入器にストレージコンパートメント内に予め装填されてもよい。ツーピースIOLの場合、基部は、1つのIOL注入器のストレージコンパートメント内に予め装填されてもよい一方で、オプティックは、別のIOL注入器のIOLストレージコンパートメント内に予め装填されてもよい。本明細書中で用いる「予め装填される」という用語は、ワンピース又はマルチピース構成(例えば、ツーピース構成を含む)のどちらか一方におけるIOLが、ユーザによってIOL注入器に装填されるのではなく、むしろ、IOLは、IOL注入器がユーザによって受け取られる前にIOL注入器に設置され、その場合にIOL注入器内部に既に収容されていることを意味する。IOL注入器(単数又は複数)は、ユーザによって受け取られる場合に、無菌包装内に包装されてもよい。
【0047】
本開示を読んだ当業者によって理解されるように、IOL注入器内に予め装填されるIOLは、ユーザによって行われるIOL注入器内へのIOLの手作業による設置及び折り畳みに勝る利点を有する。例えば、上で説明したように、IOLの手作業による設置及び折り畳みはエラーに対する機会をより多くする可能性があり、これは、既に複雑な処置の間に不必要な二次的操作又は修正を生じる可能性を有する。例えば、IOLの手作業による設置及び折り畳みはまた、ヒューマンエラー又は不十分な滅菌技術等によるIOLの汚染の可能性も導入する可能性がある。IOLの汚染は、患者のための無菌環境を損ない、患者に対する感染又は他の害のリスクを生じる可能性がある。
【0048】
IOL基部461は、中空リング及び2つの突出ハプティックから構成されるため、基部461は、通常、ワンピースIOL70よりも複雑な質量中心を有する。例えば、基部461の中心軸は、外力が印加される場合に変化する可能性があり、これは、基部461を適切に折り畳む際の困難さの増加に関連する可能性がある。例えば、大多数の従来のワンピースIOL注入器は、IOLオプティック又はハプティックの縁部に直接力を印加することによってIOLを前進させる。外力が基部の縁部に印加された場合、基部は時として最適状態に及ばない構成に崩壊する可能性があるため、この技法は中空基部設計にはあまり適していない。
【0049】
従って、ツーピースIOLの複雑な寸法形状は、通常、任意選択的にオプティック460も含む基部461の中空リング上に均等に分散された力の印加を必要とする。加えて、本明細書中に説明する幾つかの実装において、IOL折り畳みは、ハプティック450を折り畳むことを補助するよう、対称的な対向力の印加を含んでいてもよい。
【0050】
従って、本開示は、中空基部を有するIOL、及び場合によっては他のマルチパートIOL若しくは従来のシングルピースIOLにも互換性がある可能性がある折り畳み機構を提供する。本明細書中に説明する内蔵型折り畳み機構はまた、IOLが患者の眼内への挿入まで無菌且つ無傷のままであることを確実にしてもよい。
【0051】
本開示は、IOLを折り畳み、折り畳まれたIOLを眼内に供給するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【0052】
本明細書中に説明する様々な実装において、IOL注入器10は、ツーピースIOL又はワンピースIOL等のIOLを折り畳むよう適合されるIOL折り畳みデバイスを含んでいる。本明細書中で説明する幾つかの実装において、本明細書中に説明するIOL折り畳みデバイスは、折り畳み中に基部461の質量中心のより多くの制御を維持するよう、基部461の内縁部471に対向する外向き軸力を印加することによってIOL基部461の中空リングを伸長させることによって、IOLの最適な折り畳みを提供するよう適合される。幾つかの実装において、本明細書中に説明するIOL折り畳みデバイスはまた、ハプティック450を基部461の外縁部475及び/又はオプティック460に近接して又は接触して維持することによって、IOLの最適な折り畳みを提供するよう適合されてもよい。本明細書中に説明する実装において、IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器10のボア40と整列するよう適合される折り畳みチャネル2にIOLを押し込むことによって、IOLの最適な折り畳みを提供するよう適合される。続いて、IOLが折り畳まれた構造を取った後、IOL折り畳みデバイスを有するIOL注入器は、プランジャ先端220が折り畳まれたIOL70に接触し、それを軸方向に前進させて患者の眼内に供給されてもよいように適合される。
【0053】
図4A図7は、IOL注入器に組み込まれてもよい本開示のIOL折り畳みデバイスの種々の実装例の略図である。場合によっては、IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器の一体部分を形成してもよい。他の例において、IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器に着脱自在に接続されてもよい着脱式構成部品等の別個の構成部品であってもよい。
【0054】
IOL折り畳みデバイスが非作動状態にある場合、IOL折り畳みデバイスは、その内部でIOL(又はその構成部品)が折り畳まれていない状態にあるIOLストレージコンパートメントとして機能してもよい。IOL折り畳みデバイスは、IOLストレージ場所80内に配設されてもよい。
【0055】
IOL折り畳みデバイスは、ワンピースIOL又はマルチピースIOLの1つ以上の構成部品を折り畳むために用いられてもよい。IOL(又はその1つ以上の構成部品)は、ユーザによって手動でIOL折り畳みデバイス内に装填されてもよいか、又はIOL(又はその1つ以上の構成部品)は、製造中又はユーザへの供給前のその他の時点で予め装填されてもよい。
【0056】
様々な実装において、IOL折り畳みデバイスは、IOL折り畳みデバイスハウジング99内に収容される。ハウジング99は、ノズル25、IOLストレージ場所80、又は本体21内に固定して配設され、これらの一体部分を形成する等、IOL注入器本体20の一体部分を形成してもよい。他の例において、IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器に着脱自在に接続されてもよい着脱式構成部品等の、ハウジング99内部に含まれる別個の構成部品であってもよい。IOL折り畳みデバイスのハウジング99は、ノズル25内、IOLストレージ場所80内、又は本体21内等のIOL注入器10の注入器本体20内に着脱自在に配設されるよう適合されてもよい。
【0057】
IOL折り畳みデバイスは、IOL折り畳みデバイスハウジング99の横方向両側内に配設される一対のIOLストレージ棚1を有する。例えば、図4Aは、一例のIOL折り畳みデバイスの切取斜視図を示し、切取図は、長手方向軸に沿って切り取られ、棚1のうちの1つのみを示すのに対して、図4Bは、図4Aの同じ一例のIOL折り畳みデバイスの切取斜視図を示すが、切取図は横方向に切り取られ、棚1の両方を示している。IOL折り畳みデバイスがIOL注入器内に一体化される場合、一対のIOLストレージ棚1は、IOLストレージ場所80の横方向両側内等のIOL注入器本体20の横方向両側内に配設される。各IOLストレージ棚1は、折り畳まれていないIOL70の一部を支持するよう適合される。IOL折り畳みデバイスは、IOLストレージ棚1の間に形成されるIOL折り畳みチャネル2を有している。各IOLストレージ棚1は、リップ3によってIOL折り畳みチャネル2に連結される。IOL折り畳みチャネル2は、IOL折り畳みデバイスがIOL注入器本体20内に配設される場合に、IOL注入器のボア40と整列するよう適合される長手方向軸を有している。従って、用語「横方向に対向する」とは、IOL折り畳みチャネル2によって離間されるIOL折り畳みデバイスの両側を指す。IOL折り畳みデバイスは、例えば、図4Aに示すような、IOL注入器10のボアと軸方向に整列し且つ結合するよう適合されるボア40の一部を含んでいてもよい。IOL折り畳みデバイスは、折り畳まれていないIOL70が棚1上に位置決めされる場合に折り畳まれていないIOL70の重心470の下になるよう構成される床4を形成する底面を有している。本明細書中で用いる用語「重心」とは、折り畳まれていないIOL70の質量中心を指す。ワンピース又はツーピースIOL70等の折り畳まれていないIOL70の重心470の例を、それぞれ図3A及び図3Bに示す。IOL折り畳みデバイスは、IOL折り畳みチャネル2の上方に軸方向に整列するIOL折り畳みガイド5を有している。本明細書中に説明する様々な実装において、IOL折り畳みガイド5は、IOL70の上面に接触するよう適合される第1の端部81と、IOL折り畳みデバイスハウジング99又はユーザ作動可能レバー6若しくはユーザ作動可能ボタン7等のユーザ作動可能ハンドル101に結合されてもよい第2の端部82とを有している。
【0058】
本明細書中に説明するIOL折り畳みデバイスの様々な実装において、ユーザ作動可能レバー6又はボタン7は、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、IOL折り畳みガイド5及び/又はIOL折り畳みチャネル2に結合され、レバー6又はボタン7の作動に応答して、IOL折り畳みチャネル2の床4及びIOL折り畳みガイド5が互いに近付くよう構成される第2の端部とを有している。IOL折り畳みガイド5は、それにより、折り畳まれていないIOL70をIOL折り畳みチャネル2内に押し込むよう構成され、それに応じて、IOL70は、IOL折り畳みチャネル2内で折り畳まれた形態を取る。
【0059】
幾つかの実装において、IOL折り畳みデバイスは、各棚1のリップ3が棚1から部分的にIOL折り畳みチャネル2を超えて延在する張出し部33を含むように、張出し部33が折り畳まれたIOL70をIOL折り畳みチャネル2内に保持するよう構成されるように構成されてもよい。
【0060】
図4A図4Cは、本開示の一例のIOL折り畳みデバイスの略図である。図4A図4Cに示す実施例等の幾つかの実装において、IOL折り畳みチャネル2は、ハウジング99に結合され、その内部で摺動自在に移動可能なブロック8内に配設されてもよい。ユーザ作動可能レバー6は、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、ブロック8に結合される第2の端部とを有していてもよい。IOL折り畳みデバイスは、更に、ブロック8に結合される第1の端部とハウジング99に結合される第2の端部とを有するばね9を含んでいてもよい。例えば図4Aの矢印98の方向に示すようなレバー6のユーザ作動に応答して、ブロック8は、IOL折り畳みチャネル2の床4がIOL折り畳みガイド5に向かって移動するように、例えば図4Aの矢印97の方向に示すような静止位置から移動するよう適合される。従って、折り畳みガイド5の第1の端部81は、次いで、折り畳みチャネル2内部に配設され、それによって、IOL70をIOL折り畳みチャネル2内に押し込む。静止位置は、折り畳みチャネル2がIOL注入器のボア40と整列される位置であってもよい。ばね9は、ブロック8を静止位置に戻すよう適合される。幾つかの実装において、IOL折り畳みデバイスは、例えば図4A図4Cに示すように、ブロック8を静止位置に戻すよう適合される圧縮ばねを含んでいてもよいか、又は、数ある中でも、引張ばね又は捩りばね等のブロック8を静止位置に戻すよう適合される任意の他の種類のばねを含んでいてもよい。静止位置に戻ると、折り畳みチャネル2はボア4と再整列するよう適合され、折り畳みチャネル2が静止位置に戻ると、折り畳みガイド5の第1の端部81は折り畳みチャネル2から出る。従って、静止位置に戻ると、折り畳みガイド5の第1の端部81は、最早、折り畳みチャネル2内に延在しなくなり、プランジャ30がそこを通過することを可能にする。
【0061】
折り畳みチャネル2は、IOL注入器内に配設される場合にボア40の一部を形成してもよく、それによって、ボア40を通るプランジャ30の軸方向移動を可能にして、折り畳まれたIOLを注入器本体を通ってノズル25の遠位端60に向かって軸方向に前進させ、患者の眼内に供給する。
【0062】
例えば、図4A図4Cに示すように、幾つかの実装において、IOL折り畳みガイド5は、IOL基部461の上面498等のIOL70の上面に接触するよう適合される第1の端部81と、IOL折り畳みデバイスハウジング99に結合される第2の端部82とを有していてもよい。折り畳みガイド5は、IOL基部461の上面498に接触するよう適合される第1及び第2のアーム5aを形成してもよい。各アーム5aは、第1の端部81と第2の端部82とを有していてもよく、内側フック90a及び/又は外側フック90bが第1の端部81上に配設されてもよい。例えば、図3Bに示すように、内側フック90aは、IOL基部461の内縁部471に接触するよう適合され、外側フック90bは、ハプティック450の外縁部472に接触するよう適合される。従って、フック90a/bは、IOL基部461が折り畳みチャネル2に押し込まれる際に、IOL基部461の折り畳みを制御するよう適合される。内側フック90aは、基部461の中空リングを安定させ、IOL基部461の内縁部471に均一な対向する軸方向外向きの力を印加して、IOL基部461のより安定した質量中心を維持するよう適合される。外側フック90bは、IOL基部461が折り畳まれる際に、ハプティック450を安定させ、ハプティック450を基部461のリングの外縁部475の近くに保持するよう適合される。
【0063】
図4A図4Cに示すような一例のIOL折り畳みデバイスの幾つかの実装において、内側フック90aは存在していなくてもよく、IOL折り畳みデバイスは、ワンピースIOL70、又はIOL基部461に結合されるオプティック460を有するIOL基部461を折り畳むよう適合されてもよい。内側フック90bは、IOL基部461の中空リングの内縁部471に接触するよう適合されるが、しかし、それらは、幾つかの実装において、ワンピースIOL70又は基部461内に配設されるオプティック460を有するIOL基部461と共に用いることに適さない可能性があることは理解されよう。
【0064】
幾つかの実装において、IOL基部461は、IOL基部461の内縁部471内に配設される近位及び遠位切欠き473を含んでいてもよく、内側フック90aは、切欠き473内に挿入するよう適合される大きさ及び形状を有していてもよく、内側フック90aとIOL基部461との間のより安定した接触又は結合も提供する。従って、切欠き473は、上で説明したように、オプティック460を基部461上に組み付けるための有用性を有し、また、IOL基部461と折り畳みガイド5の内側フック90aとの接触又は結合を可能にする相乗的及び/又は予想外の機能を有していてもよい。
【0065】
図5A図5Cは、本開示の別の例のIOL折り畳みデバイスの略図である。図5A図5Cに示す実施例等の幾つかの実装において、IOL折り畳みガイド5は第1及び第2のカム51を含んでいてもよく、各カム51は、例えば図5Aの矢印96の方向に示すような、それらから延在し、梁53に回動自在に結合されるウェッジ部52を有している。カム51は、トラック54に沿って回動自在に移動可能であり、ウェッジ部52は、IOL基部461の内縁部471に接触するよう適合される。IOL折り畳みデバイスは、ハウジング99の第1の側面内に摺動自在に配設されるユーザ作動可能ボタン7を有していてもよい。ボタン7は、ユーザによってアクセス可能な第1の端部を有してもよく、ボタン7は、図5Aの矢印95の方向等に押下可能であってもよい。ボタン7は、梁53に結合される第2の端部83を有する。IOL折り畳みデバイスは、ボタン7に結合される第1の端部とハウジング99に結合される第2の端部とを有するばね55を含んでいてもよい。IOL折り畳みデバイスは、ボタン7の押下に応答して、梁53が静止位置からIOL折り畳みチャネル2の床4に向かって移動するよう適合され、カム51がトラック54に沿って回動するよう適合され、ウェッジ部52がIOL基部461に接触し、折り畳みチャネル2内に延在するよう適合され、IOL70をIOL折り畳みチャネル2内に押し込む一方で、IOL基部461を軸方向に伸長させるように構成されてもよい。従って、カム51のウェッジ部52は、IOLを折り畳みチャネル2に押し込む間、IOL基部461のより安定した質量中心を維持するよう、IOL基部461の内縁部471に対して均一な対向する軸方向外向きの遠位力及び近位力を印加するよう適合される。ばね55は、ボタン7を静止位置に戻すよう適合される。ボタン7が静止位置に戻ることに応答して、折り畳みガイド5の梁53は静止位置に戻り、これに応答して、折り畳みガイド5のカム51は、図5Aに示すように、カム5が折り畳みチャネル2を出るように、矢印96の方向とは反対の方向に回動するよう適合される。従って、静止位置に戻ると、カム51は、最早、折り畳みチャネル2内に延在しなくなり、プランジャ30がそこを通過することを可能にする。IOLを折り畳んだ後、IOL折り畳みデバイスは、折り畳まれたIOLが折り畳みチャネル2内に保持され、プランジャ30によって軸方向に前進される準備ができているように構成される。
【0066】
幾つかの実装において、IOL基部461は、IOL基部461の内縁部471内に配設される近位及び遠位切欠き473を含んでいてもよく、ウェッジ部53は、切欠き473内に挿入するよう適合される大きさ及び形状を有していてもよく、ウェッジ部53とIOL基部461との間のより安定した結合も提供する。従って、切欠き473は、上で説明したように、オプティック460を基部461上に組み付けるための有用性を有し、また、IOL基部461と折り畳みガイド5のウェッジ部53との接触又は結合を可能にする相乗的及び/又は予想外の機能を有していてもよい。
【0067】
幾つかの実装において、カム51を有するIOL折り畳みガイドは、更に、上で説明した外側フック90b等の、折り畳みガイド5に結合される外側フックを含んでいてもよく、外側フック90bは、ハプティック450の外縁部472に接触するよう適合され、それによって、IOL基部461が折り畳まれる際に、ハプティック450を安定させ、ハプティック450を基部461のリングの外縁部475の近くに保持するよう構成される。
【0068】
図6A図6Dは、本開示の別の例のIOL折り畳みデバイスの略図である。図6A図6Dに示す実施例等の幾つかの実装において、IOL折り畳みガイド5は、第1及び第2の可撓性アーム5bを含んでいる。各可撓性アーム5bは、可撓性アーム5bの第1の端部81に形成される内側フック90aを有している。内側フック90aは、IOL基部461の内縁部471に接触するよう適合されている。IOL折り畳みデバイスは、ハウジング99の第1の側面内に摺動自在に配設されるユーザ作動可能ボタン7を有していてもよく、ボタン7は、ユーザによって押下可能な第1の端部と、可撓性アーム5bの第2の端部82に結合される第2の端部とを有している。IOL折り畳みデバイスは、ボタン7に結合される第1の端部とハウジング99に結合される第2の端部とを有するばね55を有していてもよい。IOL折り畳みデバイスは、ボタン7のユーザによる押下に応答して、可撓性アーム5bが、図5A図5Cに示すIOL折り畳みデバイスによって例示される実装について上で説明したものと同様の方法で、IOL折り畳みチャネル2の上方の静止位置からIOL折り畳みチャネル2の床4に向かって移動するよう適合されるように適合されていてもよい。
【0069】
折り畳まれていないIOL基部461は、折り畳みチャネル2内に押し込まれ、折り畳まれた形態を取ることに対してある程度の抵抗を示してもよい。IOL折り畳みチャネル2の床4に向かう可撓性アーム5bの移動に応答して、可撓性アーム5bは、可撓性アーム5bの第1の端部81が、例えば、図6Dの矢印94の方向に示すように、互いから離間して移動するように、IOL基部461がIOL折り畳みチャネル2に入る際に、折り畳まれた構成を取る折り畳まれていないIOL基部461の抵抗に応答して、軸方向に屈曲するよう適合される。例えば、図6Dの上側パネルは、折り畳みデバイスが作動されていない静止位置等の、屈曲されていない配向にある可撓性アーム5bを示している。図6Dの下側パネルは、矢印95の方向へのボタン7の移動による折り畳みデバイスの作動に応答する等の、軸方向に屈曲した配向にある可撓性アーム5bを示している。例えば、IOL折り畳みデバイスがIOL注入器内に配設される場合、遠位に配向される可撓性アーム5bは、注入器本体20の遠位端60に向かって軸方向に屈曲するよう適合され、近位に配向される可撓性アーム5bは、注入器本体20の近位端50に向かって軸方向に屈曲するよう適合される。所定のIOL基部461について、可撓性アーム5bの可撓性は、可撓性アーム5bがIOL基部461を折り畳みチャネル2に押し込むことができる一方で、IOL基部461の抵抗に応じて屈曲する能力も有するように最適化することができる。可撓性プラスチック等の材料の種類、及びその重量又は厚さは、これらの所望の特性を達成するために可撓性アームの性能を最適化するよう選択することができることは理解されるであろう。
【0070】
図6A図6Dに示すようなIOL折り畳みデバイスの内側フック90aは、図4A図4Cに示す一例の実装に関して上で説明したものと同様に、IOL基部461の内縁部471に接触し、IOL基部461を軸方向に伸長するよう適合される。また、上で説明したものと同様に、図6A図6Dに示す一例のIOL折り畳みデバイスのばね55は、ボタン7を静止位置に戻すよう適合され、これに応答して、可撓性アーム5bは、折り畳みチャネル2を出るよう適合され、それによって、それを通るIOL注入器10のプランジャ30の移動を可能にしている。
【0071】
例えば図6A図6Dに示すような幾つかの実装において、可撓性アーム5bのそれぞれの第1の端部81は、更に、ハプティック450の外縁部472に接触するよう適合される外側フック90bを含んでいてもよい。上で説明したように、IOL基部461の軸方向の伸長に応答して、外側フック90bは、ハプティック450の内縁部474をIOL基部461の外縁部475に近接して又は接触して保持するよう適合される。
【0072】
また、上で説明したように、IOL基部461は、IOL基部461の内縁部471内に配設される近位及び遠位切欠き473を含んでいてもよく、図6A図6Dの一例のIOL折り畳みデバイスの内側フック90aは、近位及び遠位切欠き473においてIOL基部461に接触するよう適合されてもよい。
【0073】
図7は、本開示の更に別の例のIOL折り畳みデバイスの略図である。図7に示す実施例のような幾つかの実装において、IOL70に接触するよう適合される一対のアクチュエータ、例えば一対のアーム5a、又は一対のカム51、又は一対の可撓性アーム5b等を有するのではなく、IOL折り畳みガイド5は、IOL70の上面498に接触するよう適合される梁53等の単一のアクチュエータを含んでいてもよい。IOL折り畳みデバイスは、ハウジング99の第1の側面内に摺動自在に配設されるユーザ作動可能ボタン7を含んでいてもよく、ボタン7は、ユーザによって押下可能な第1の端部と、梁53に結合される第2の端部とを有している。上記のように、IOL折り畳みデバイスは、更に、ボタン7に結合される第1の端部とハウジング99に結合される第2の端部とを有するばね55を含んでいてもよい。IOL注入器は、ボタン7の押下に応答して、梁53が静止位置からIOL折り畳みチャネル2の床4に向かって移動し、それによってIOL70をIOL折り畳みチャネル2内に押し込むよう適合され、ばね55がボタン7を静止位置に戻すよう適合されるように、適合されてもよい。
【0074】
例えば図7のような梁53を有するIOL折り畳みデバイスは、ワンピースIOL70、又はIOL基部461、又はIOL基部461に結合されるオプティック460を有するIOL基部461を折り畳むことに適していることが理解されるであろう。
【0075】
例えば図7に示すような幾つかの実装において、梁53は、更に、梁53の第1及び第2の端部において、ハプティック450の外縁部472に接触するよう適合される外側フック90bを含んでいてもよい。
【0076】
従って、様々な実装において、IOL折り畳みデバイスは、外側フック90bが、ハプティック450の内縁部474を、IOL基部461の外縁部475に近接して若しくは接触して、又はIOLオプティック460に近接して若しくは接触して押し込むよう適合されるように、ハプティック450の内縁部474が、IOL基部461又はIOLオプティック460の外縁部475の外周に実質的に当接し、合致するように、適合されてもよい。
【0077】
幾つかの実装において、外側フック90bは、梁53が基部461のリングの上面498に接触する前に、又は梁53がワンピースIOLのオプティック460に接触する前に、又は梁53が基部461に結合されるオプティック460に接触する前に、ハプティック450の外縁部472に接触するよう適合されてもよい。従って、外側フック90bは、IOLが折り畳みチャネル2内に押し込まれ、折り畳まれた形態を取る前に、ハプティック450の内縁部474をIOL基部461の外縁部475に近接して若しくは接触して、又はIOLオプティック460に近接して若しくは接触して押し込むよう適合されてもよい。
【0078】
IOLを折り畳んだ後、IOL折り畳みデバイスは、折り畳まれたIOLが折り畳みチャネル2内に保持され、プランジャ30によって折り畳まれた構成で軸方向に前進される準備ができており、プランジャ30によって係合され、注入器本体20を通って前進される前に、再度展開されず、及び/又は折り畳みチャネルから出ないように構成される。幾つかの実装において、折り畳みチャネル2は、折り畳みチャネル2内に配設される場合に、折り畳まれたIOLの展開及び/又は折り畳みチャネル2からの折り畳まれたIOLの退出を防止するように、折り畳まれたIOLと接触する十分な摩擦を提供する表面を有していてもよい。
【0079】
幾つかの実装において、IOL折り畳みデバイスは、IOL基部461、IOLオプティック460、又は両方を別々に注入するよう適合されてもよい。幾つかの実装において、IOL折り畳みデバイスは、IOL基部461及びIOLオプティック460を同時に注入するよう適合されてもよい。
【0080】
使用時、様々な実装において、本開示のIOL折り畳みデバイスがIOL注入器内に配設される場合、ユーザは、本明細書中に説明したIOL折り畳みデバイスのレバー6又はボタン7を作動させ、それによってIOL70を折り畳まれた構成にしてもよい。その後、ユーザは、プランジャ先端220が折り畳まれたIOL70に接触し、それによって、供給チャネル31を通ってIOL70を前進させて、IOL注入器10の遠位端60を出て、IOL70を患者の眼内に供給するように、プランジャ30を軸方向に摺動させてもよい。
【0081】
本開示に従って適合されてもよいIOL注入器の非限定的な実施例は、米国特許第7,156,854号明細書及び米国特許出願公開第2016/0256316号明細書に説明されるものを含んでおり、それぞれの開示の全てを参照して本明細書に組み込む。
【0082】
上記で開示された主題は、制限ではなく例示として考えられるべきであり、添付された特許請求の範囲は、本開示の真の思想及び範囲内にある全てのそのような修正、強化、及び他の実施を包含するように意図される。従って、法により許可される最大限の範囲で、本開示の適用範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広範に許容される解釈によって特定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限又は限定すべきではない。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
眼内レンズ(IOL)折り畳みデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの両側内に配設される一対のIOLストレージ棚であって、各IOLストレージ棚は、折り畳まれていないIOLの一部を支持するよう適合される、一対のIOLストレージ棚と、
前記IOLストレージ棚の間に形成されるIOL折り畳みチャネルであって、各IOLストレージ棚は、リップによって前記IOL折り畳みチャネルに結合され、前記IOL折り畳みチャネルは、IOL注入器のボアと整列するよう適合される長手方向軸を有し、床を形成する底面を有する、IOL折り畳みチャネルと、
前記IOL折り畳みチャネルの上方で軸方向に整列されるIOL折り畳みガイドであって、前記IOL折り畳みガイドは、IOLの上面に接触するよう適合される第1の端部と、前記ハウジング又はユーザ作動可能ハンドルに結合される第2の端部とを有し、前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記IOL折り畳みガイド又は前記IOL折り畳みチャネルに結合される第2の端部とを有する、IOL折り畳みガイドと、を備え、
前記レバー又はボタンの作動に応答して、前記IOL折り畳みチャネルの前記床及び前記IOL折り畳みガイドは、互いに近付くよう適合され、前記IOL折り畳みガイドは、それによって、折り畳まれていないIOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL折り畳みチャネル内で折り畳まれた形態を取るよう構成される、IOL折り畳みデバイスである。
第2の態様は、
前記IOL折り畳みチャネルは、ブロック内に配設され、前記ブロックは、前記ハウジングに結合され、その内部で摺動自在に移動可能であり、
前記ユーザ作動可能ハンドルは、ユーザがアクセス可能な第1の端部と、前記ブロックに結合される第2の端部とを有するレバーを備え、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、前記ブロックに結合される第1の端部と前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを備え、
前記レバーの作動に応答して、前記ブロックは、前記IOL折り畳みチャネルの前記床が前記IOL折り畳みガイドに向かって移動し、それによって前記IOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込むように、前記チャネルが前記ボアと整列される静止位置から移動するよう適合され、前記ばねは、前記ブロックを前記静止位置に戻すよう適合される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第3の態様は、
前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2のアームを備え、各アームは第1の端部及び第2の端部を有し、内側フックが前記第1の端部上に配設され、前記内側フックはIOL基部の内縁部に接触するよう適合される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第4の態様は、
前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2のアームを備え、各アームは第1の端部及び第2の端部を有し、外側フックが前記第1の端部上に配設され、前記外側フックはハプティックの外縁部に接触するよう適合される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第5の態様は、
前記IOLは、前記IOL基部の内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備えるIOL基部を有し、前記内側フックは、前記近位及び遠位切欠きにおいて前記IOL基部に接触するよう適合される、第3の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第6の態様は、
前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2のカムを備え、各カムは、そこから延在し、梁に回動自在に結合され、トラックに沿って回動自在に移動可能なウェッジ部を有し、前記ウェッジ部はIOL基部の内縁部に接触するよう適合され、前記ユーザ作動可能ハンドルは、前記ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを備え、前記ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記梁に結合される第2の端部とを有し、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、前記ボタンに結合される第1の端部と前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを備え、
前記ボタンの押下に応答して、前記梁は、静止位置から前記IOL折り畳みチャネルの前記床に向かって移動するよう適合され、前記カムは、前記トラックに沿って回転するよう適合され、前記ウェッジ部は、前記IOL基部に接触し、それによって前記IOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込み、前記IOL基部を軸方向に伸長させるよう適合され、前記ばねは、前記ボタンを前記静止位置に戻すよう適合される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第7の態様は、
前記IOL基部は、前記IOL基部の前記内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備え、前記ウェッジ部は、前記近位及び遠位切欠きにおいて前記IOL基部に接触するよう適合される、第6の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第8の態様は、
前記IOL折り畳みガイドは第1及び第2の可撓性アームを備え、各可撓性アームは第1の端部及び第2の端部を有し、内側フックが第1の端部上に形成され、前記内側フックはIOL基部の内縁部に接触するよう適合され、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、
前記ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを備えるユーザ作動可能ハンドルであって、前記ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記可撓性アームの前記第2の端部に結合される第2の端部とを有する、ユーザ作動可能ハンドルと、
前記ボタンに結合される第1の端部と、前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねと、を備え、
前記ボタンの押下に応答して、前記可撓性アームは、静止位置から前記IOL折り畳みチャネルの前記床に向かって移動するよう適合され、前記可撓性アームは、前記可撓性アームの前記第1の端部が互いから離間して移動するように、前記IOL基部が前記IOL折り畳みチャネルに入る際に、折り畳まれた構成を取る折り畳まれていないIOL基部の抵抗に応答して、軸方向に屈曲するよう適合され、前記内側フックは、前記IOL基部に接触し、前記IOL基部を軸方向に伸長させるよう適合され、前記ばねは、前記ボタンを前記静止位置に戻すよう適合される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第9の態様は、
前記可撓性アームのそれぞれの前記第1の端部は、更に、ハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックを備え、
前記IOL基部の軸方向の伸長に応答して、前記外側フックは、前記ハプティックの内縁部を前記IOL基部の外縁部と接触した状態で保持するよう適合される、第8の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第10の態様は、
前記IOL基部は、前記IOL基部の前記内縁部内に配設される近位及び遠位切欠きを備え、
前記内側フックは、前記近位及び遠位切欠きにおいて前記IOL基部に接触するよう適合される、第8の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第11の態様は、
前記IOL折り畳みガイドは第1の端部及び第2の端部を有する梁を備え、前記梁はIOLの上面に接触するよう適合され、
前記ユーザ作動可能ハンドルは、前記ハウジングの第1の側面内に摺動自在に配設されるボタンを備え、前記ボタンは、ユーザによって押下可能な第1の端部と、前記梁に結合される第2の端部とを有し、
前記IOL折り畳みデバイスは、更に、前記ボタンに結合される第1の端部と前記ハウジングに結合される第2の端部とを有するばねを備え、
前記ボタンの押下に応答して、前記梁は、静止位置から前記IOL折り畳みチャネルの前記床に向かって移動し、それによって前記IOLを前記IOL折り畳みチャネル内に押し込むよう適合され、前記ばねは、前記ボタンを前記静止位置に戻すよう適合される、
第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第12の態様は、
前記梁の前記第1の端部は、更に、ハプティックの外縁部に接触するよう適合される外側フックを備え、
前記梁が前記IOLを前記IOL折り畳みチャネルに押し込むことに応答して、前記外側フックは、前記ハプティックを前記IOL基部の外縁部又はIOLオプティックと接触した状態で保持するよう適合される、第11の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第13の態様は、
各棚の前記リップは、前記IOL折り畳みチャネルを部分的に超えて前記棚から延在する張出し部を備え、前記張出し部は、前記IOL折り畳みチャネル内に折り畳まれたIOLを保持するよう構成される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第14の態様は、
前記IOL折り畳みデバイスは、IOL注入器内に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設され、前記IOL注入器は、
注入器本体であって、
近位端及び遠位端を有する本体と、
近位端及び遠位端を有するノズルであって、前記ノズルの前記近位端は前記本体の前記遠位端に結合され、更に、折り畳まれていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、前記IOLストレージ場所の遠位に位置するIOLドウェル場所とを有するノズルと、
前記本体の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端に延在する長手方向軸を有するボアであって、前記ノズル内の前記ボアの遠位部分が供給チャネルを形成する、ボアと、を有する注入器本体と、
前記注入器本体内に移動自在に結合され、前記ボア内に整列されるプランジャであって、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端部を有するプランジャと、を備える、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
第15の態様は、
前記床は、折り畳まれていないIOLが前記棚上に位置決めされる場合に、前記折り畳まれていないIOLの重心の下にあるよう構成される、第1の態様におけるIOL折り畳みデバイスである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7