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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ドライ電極の製造システム及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20250117BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20250117BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20250117BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 Z
H01G11/86
H01G13/00 381
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021564683
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 US2020013531
(87)【国際公開番号】W WO2020150254
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】62/793,333
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508035757
【氏名又は名称】マックスウェル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521311894
【氏名又は名称】ボーゲンストール フランク
(73)【特許権者】
【識別番号】521311908
【氏名又は名称】ヴォルターズ レニー
(73)【特許権者】
【識別番号】521311919
【氏名又は名称】ランズィング クリストフ
(73)【特許権者】
【識別番号】521311920
【氏名又は名称】ゴッシュキー イヤーク
(73)【特許権者】
【識別番号】521311931
【氏名又は名称】ヴォルターズ ケイ
(73)【特許権者】
【識別番号】521311942
【氏名又は名称】ハックフォート トーマス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲンストール フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルターズ レニー
(72)【発明者】
【氏名】ランズィング クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッシュキー イヤーク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルターズ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ハックフォート トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ポーター
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-027849(JP,A)
【文献】国際公開第2018/210723(WO,A1)
【文献】特開2012-216465(JP,A)
【文献】特開2015-164717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01G 11/86
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵装置のためのドライ電極を製造するシステムにおいて、
第1のドライ電極材料を搬送するように構成された第1のドライ電極材料搬送システムと、
第2のドライ電極材料を搬送するように構成された第2のドライ電極材料搬送システムと、
第1のカレンダーロールと、
第2のカレンダーロールであって、当該第2のカレンダーロールと、隣接する前記第1のカレンダーロールとの間に第1のニップを形成し、当該第1のニップは、前記第1のドライ電極材料搬送システムから前記第1のドライ電極材料を受け取って、当該第1のドライ電極材料から第1のドライ電極フィルムを形成する、第2のカレンダーロールと、
第3のカレンダーロールと、
第4のカレンダーロールであって、当該第4のカレンダーロールと、隣接する前記第3のカレンダーロールとの間に第のニップを形成し、当該第のニップは、前記第2のドライ電極材料搬送システムから前記第2のドライ電極材料を受け取り、第2のドライ電極フィルムを形成するように構成されている、第4のカレンダーロールと、
前記第2のカレンダーロールの回転速度を制御して、前記第1のカレンダーロールの回転速度よりも大きくすると共に、前記第3のカレンダーロールの回転速度を制御して、前記第2のカレンダーロールの回転速度よりも大きくするように構成された制御部と、を備え
前記第2のカレンダーロールと前記第3のカレンダーロールとの間に第3のニップが形成され、
前記第3のニップに集電体を供給する集電体供給源を更に備え、前記第3のニップは、前記集電体を受け取り、前記第1のドライ電極フィルム及び前記第2のドライ電極フィルムを前記集電体に積層して、両面ドライ電極を形成するシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記第1のドライ電極フィルムは、自己支持型ではない、システム。
【請求項3】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記第1及び第2のドライ電極材料は、同じ材料であるシステム。
【請求項4】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記制御部は、前記第3のカレンダーロールの回転速度を制御して、前記第4のカレンダーロールの回転速度よりも大きくするように構成されているシステム。
【請求項5】
エネルギー貯蔵装置に用いるドライ電極の製造方法において、
第1の回転速度で第1のカレンダーロールを回転させることと、
第2の回転速度で第2のカレンダーロールを回転させることと、
第3の回転速度で第3のカレンダーロールを回転させることと、
第4の回転速度で第4のカレンダーロールを回転させることと、
前記第1のカレンダーロールと、隣接する前記第2のカレンダーロールとの間の第1のニップにドライ電極材料を供給し、第1のドライ電極フィルムを形成することと、
前記第3のカレンダーロールと、隣接する前記第4のカレンダーロールとの間の第2のニップにドライ電極材料を供給し、第2のドライ電極フィルムを形成することと、を含み、
前記第2の回転速度は、前記第1の回転速度よりも大きく、
前記第3の回転速度は、前記第2の回転速度よりも大き
前記第2のカレンダーロールと前記第3のカレンダーロールとの間に形成された第3のニップを通して、前記第1のドライ電極フィルム及び前記第2のドライ電極フィルムを集電体に積層し、両面ドライ電極を形成するドライ電極の製造方法。
【請求項6】
請求項の方法において、
前記ドライ電極材料は、自由流動粒子の形である、ドライ電極の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6の方法において、
前記第1のドライ電極フィルムは、形成されたとき前記第2のカレンダーロールに付着する、ドライ電極の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記第1のカレンダーロールはベルトカレンダーロールである、システム。
【請求項9】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記第1のドライ電極材料搬送システムは、前記第1のニップに直接前記ドライ電極材料を搬送するように構成されている、システム。
【請求項10】
請求項5又は6の方法において、
前記集電体は、接着剤により予め被覆されている、方法
【請求項11】
請求項5又は6の方法において、
前記両面ドライ電極は、間欠的に被覆された電極である、方法。
【請求項12】
請求項5又は6の方法において、
前記第1のドライ電極フィルム及び前記第2のドライ電極フィルムの少なくとも一方は、ドライ繊維化されたバインダー粒子を含む、方法。
【請求項13】
請求項5又は6の方法において、
前記第1のドライ電極フィルム及び前記第2のドライ電極フィルムの少なくとも一方は、ドライ活性材料、ドライ導電性粒子及びドライバインダー粒子を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記述される技術は、概してエネルギー貯蔵装置に関し、特に、エネルギー貯蔵装置のためのドライ電極を製造するための単純化されたシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的、電気機械的、電気化学的、及び、他の有用な装置に動力を供給するために広く用いられている電気エネルギー貯蔵セルに、電極を実装できる。このようなセルには、一時化学電池及び二次(再充電可能)電池のようなバッテリー、燃料電池、ウルトラキャパシタを含む種々のキャパシタが含まれる。電極は、浄水システムに実装することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電極製造の運転費用を下げ、効率を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
記述された技術を要約する目的から、記述された技術の特定の目的及び利点を記述する。そのような目的及び利点の全てが、任意の特定の実施形態においても実現するわけではない。従って、例えば、当業者は記述された技術を実現又は実施する際に、ここで教示される1つの利点又は利点のグループを達成又は最適化する形とし、ここで教示又は示唆される他の目的又は利点を必ずしも実現しないでおくことも可能であると認識するであろう。
【0005】
発明の1つの態様は、エネルギー貯蔵装置のドライ電極を製造するためのシステムである。当該システムは、ドライ電極材料を搬送するための第1ドライ電極材料搬送システムと、第1のカレンダーロールと、第2のカレンダーロールと、制御部とを含む。第2のカレンダーロールは、第1のカレンダーロールと第2のカレンダーロールとの間に第1のニップを形成するように構成される。第1のニップは、第1のドライ電極材料搬送システムからドライ電極材料を受け取り、当該ドライ電極材料からドライ電極フィルムを形成するように構成されている。制御部は、第2のカレンダーロールの回転速度が、第1のカレンダーロールの回転速度よりも大きくなるように制御する構成となっている。
【0006】
別の態様では、ドライ電極フィルムは、自己支持型ではない。
【0007】
他の態様では、前記のシステムは、第3のカレンダーロールを更に備え、当該第3のカレンダーロールとその上流側に隣接するカレンダーロールとの間に第2のニップを形成する構成であり、第2のニップは、第1のニップからドライ電極フィルムを受け取るように構成されている。他の態様では、前記上流側に隣接するカレンダーロールは、第2のカレンダーロールである。他の態様では、制御部は更に、第3のカレンダーロールの回転速度を第2のカレンダーロールの回転速度よりも大きくする制御を行う構成である。他の態様では、システムは集電体供給源を備え、第2のニップに集電体を供給し、第2のニップは集電体を受け取ってこれをドライ電極フィルムに積層し、ドライ電極を形成するように構成されている。他の態様では、システムは、第2のドライ電極フィルムを含み、第2のドライ電極材料を搬送するように構成されている。他の態様では、第1のニップは、第2のドライ電極材料搬送システムから第2のドライ電極材料を受け取り、第1のドライ電極材料及び第2のドライ電極材料からドライ電極を形成するように構成されている。他の態様では、第1のドライ電極材料と、第2のドライ電極材料とは同じ材料である。他の態様では、システムは第4のカレンダーロールを更に含み、第4のカレンダーロールと当該第4のカレンダーロールの下流側に隣接するカレンダーロールとの間に第3のニップを形成する構成であり、第3のニップは、第2のドライ電極材料搬送システムから第2のドライ電極材料を受け取り、第2のドライ電極フィルムを形成するように構成されている。他の態様では、前記下流側に隣接するカレンダーロールは、第3のカレンダーロールである。他の態様では、制御部は、第3のカレンダーロールの回転速度を第4のカレンダーロールの回転速度よりも大きくする制御を行う構成である。他の態様では、システムは、第2のニップに集電体を供給する集電体供給源を更に含み、第2のニップは、集電体を受け取り、当該集電体を第1の電極フィルム及び第2のドライ電極フィルムに積層させて、両面ドライ電極を形成する構成である。
【0008】
発明の1つの態様は、間欠電極(intermittent electrode)を製造するためのラミネータである。当該ラミネータは、第1のカレンダーロールと、第2のカレンダーロールと、1つ以上の積層アクチュエータと、1つ以上のギャップ制御アクチュエータとを含む。1つ以上の積層アクチュエータは、間欠電極の積層中に、第1のカレンダーロールと、第2のカレンダーロールとの間に第1の力を供給するように構成される。1つ以上のギャップ制御アクチュエータは、第1及び第2のカレンダーロールに第2の力を供給し、第2の力は第1の力と逆向きであり、対抗するように構成されている。
【0009】
他の態様では、ラミネータは更に、センサと制御部とを含む。センサは、電極フィルムの被覆されていない領域を検知するように構成されている。制御部は、電極フィルムの被覆されていない領域が第1及び第2のカレンダーロールの間を通過する際に、1つ以上のギャップ制御アクチュエータが連動するように構成されている。
【0010】
発明の他の態様は、エネルギー貯蔵装置のためのドライ電極の製造方法を含む。当該方法は、第1のカレンダーロールを第1の回転速度にて回転させること、第2のカレンダーロールを第2の回転速度にて回転させること、及び、第1のカレンダーロールと第2のカレンダーロールとの間のニップにドライ電極材料を供給してドライ電極フィルムを形成することを含み、第2の回転速度は、第1の回転速度よりも大きい。
【0011】
幾つかの実施形態では、ドライ電極材料は、自由流動粒子の形である。幾つかの実施形態では、ドライ電極フィルムは、形成されたときに第2のカレンダーロールに付着する。
【0012】
発明の他の態様は、間欠電極の製造方法を含む。当該方法は、間欠電極フィルム及び集電体を準備すること、間欠電極フィルム及び集電体を第1のカレンダーロールと第2のカレンダーロールとの間に搬送すること、第1のカレンダーロールと第2のカレンダーロールとの間において集電体に第1の力を与えること、第1及び第2のカレンダーロールの間に第2の力を与えることを含み、第2の力は第1の力とは逆向きであって、対抗する。
【0013】
幾つかの実施形態では、第1の力により、間欠電極フィルムが集電体に押しつけられ、且つ、第2の力により、間欠電極フィルムの被覆されていない領域を積層する際に、第1及び第2のロールの間に一定の間隔があるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、エネルギー貯蔵装置のためのドライ電極の製造工程を示すブロック図である。
図2図2は、ドライ電極フィルムを形成する装置を示す。
図3A図3Aは、複数ロールのカレンダーシステムの模式的な側面図である。
図3B図3Bは、前記カレンダーシステムにより形成されたフィルムを示す。
図4図4は、複数ロールのカレンダーシステムの詳細を示す等角図である。
図5A図5Aは、図4に示すシステムの動作ステップを示す。
図5B図5Bは、図4に示すシステムの動作ステップを示す。
図5C図5Cは、図4に示すシステムの動作ステップを示す。
図6図6は、ドライ電極を形成するカレンダー/ラミネータ複合装置の模式的な側面図である。
図7図7は、1つの実施形態に基づく間欠的に被覆されたドライ電極の模式的な側面図である。
図8A図8Aは、ラミネータ配置の側面図である。
図8B図8Bは、ラミネータ配置の前面図である。
図9図9は、漏斗形の充填ホッパーを示す。
図10図10は、スキャッターコート工程、連続カレンダー工程、カレンダー工程及び巻き取り工程を含むカレンダー加工の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
リチウムイオンバッテリーのようなエネルギー貯蔵装置は、数多くの商業用及び工業用の電源として、例えば民生用装置、生産用装置及びバッテリー駆動車両等において信頼されてきた。しかしながら、エネルギー貯蔵装置に求められる要求は、常に、そして急速に、高まっている。例えば、自動車産業は、プラグインハイブリッド車及び純電気自動車のような小型で高効率なエネルギー貯蔵に依存する車両を開発している。リチウムイオンバッテリーは、将来の需要を満たすために良く適している。
【0016】
エネルギー貯蔵装置の蓄積能力の鍵となる要素は、電極である。電極の電気化学的特性、例えばバッテリー電極の容量及び効率は、様々な要因に支配される。例えば、活性材料、バインダー及び添加剤の分散;これらの材料に関する物理的特性、例えば活性材料の粒度及び表面積;活性材料の表面特性;及び電極フィルムの物理特性、例えば密度、多孔性、凝集性及び接着性、である。乾式の処理システム及び方法では、従来、高剪断力及び/又は高圧の処理工程を用いて、電極フィルム材料の粉砕及び混合を行っていた。このようなシステム及び方法は、湿式によるお電極フィルムに対して構造上の利点に貢献していたと思われる。しかし、自己支持型の電極フィルム及びドライ電極を形成するために用いられる高い処理圧力及び大型の設備(その結果としての大きな設置面積)は、改善の余地を残している。
【0017】
ここに提供されるシステム及び方法は、様々なエネルギー貯蔵装置のためのドライ電極フィルム及び電極を製造するために実装できる。ここに提供されるように、エネルギー貯蔵装置は、キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ(lithium ion capacitor :LIC)、ウルトラキャパシタでも良いし、リチウムイオンバッテリーのようなバッテリーでも良いし、これらの2つ以上の態様を組み合わせたハイブリッドエネルギー貯蔵装置であっても良い。
【0018】
本件のシステム及び方法の様々な実施形態により、エネルギー貯蔵装置のためのドライ電極フィルム及びドライ電極の製造に対する改善を提供する。開示された実施形態は、簡素化され且つコストに優れたエネルギー貯蔵装置の製造手順を提供することができる。
【0019】
ここに提供される材料及び方法は、エネルギー貯蔵装置及び/又は浄水のための様々な電極に実装できる。ここに提供される通り、エネルギー貯蔵装置は、キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ(LIC)、ウルトラキャパシタでも良いし、リチウムイオンバッテリーのようなバッテリーでも良いし、これら2つ以上の態様を組み合わせたハイブリッドエネルギー貯蔵装置であっても良い。幾つかの実施形態では、ここに説明されるとおり、ドライ電極フィルム形成のための方法及び装置により、連続型、マルチストライプ型、間欠型のフォームファクタ電極が可能となる。
【0020】
本件のドライ電極フィルムを形成するための方法及び装置に関する実施形態は、以下の1つ以上の利点を提供する。幾つかの実施形態は、様々な形式で、調整可能な密度を有する高精度低公差フィルムを薄膜及び厚膜の両方で製造可能とする。幾つかの実施形態は、ウルトラキャパシタ(UCAP)、バッテリー、Lcap、燃料電池電極、浄水電極、又は電極の組み合わせであるフィルムを可能とする。幾つかの実施形態では、工場における床面積、材料操作の必要及びオペレータ要員数の削減が可能となり、これは、カレンダー加工、ラミネート加工、剥離及びスリット形成を1つの装置に組み合わせることで実現される。幾つかの実施形態では、1つ以上のドライ電極材料供給システム、例えば粉体搬送ホッパーを用いることにより、複数層機能化ウェブを可能とする。幾つかの実施形態では、フィルム及び電極(自己支持型ドライ電極フィルム及びドライ電極等)の製造に用い得る配合処方の利用可能な多様性が増加する。例えば、リチウム金属粉末、シリコン/シリコン酸化物、多孔質導電性カーボンに含浸される陽極及び陰極活性材料、例えば溶融硫黄及び活性炭、固体電解質、又は他の空気/水分感受性材料である。
【0021】
本件の実施形態により提供される追加の特徴又は利点としては、電極形成のための1つ以上の層を巻き取る/巻きを解くこと無しに、原材料(粉末等)から積層電極とする連続工程が含まれる。このシステム/方法により形成されるドライ電極フィルムは、(少なくとも当初、又は、工程全体を通して)自己支持型であることを要求されない。これは、工程各段階のうち全てではないとしても、少なくとも部分的に、カレンダーロールに配置され且つ支持されるからである。例えば、ドライ電極材料と集電体とが積層されてドライ電極が形成されるとき、複数ロールのカレンダー加工システム内の全ての工程を通して、ラミネート工程を含めて、ドライ電極フィルムは少なくとも1つのカレンダーロールによって支持される。
【0022】
本件の複数ロールカレンダーの実施形態は、従来のカレンダー加工には見られない追加の属性を有することができる。カレンダーニップの数は、2つ(ロール3本)から6つ(ロール7本)以上まで可能であるが、工程圧力や力が弱い場合である。各ロールは、個々にモータ及びギアにより駆動可能であり、且つ、個々にアドレス付け可能である。複数ロールカレンダー加工システムにおける線加重は、従来のカレンダーにおけるものよりも大幅に低くすることができ、それでいて、当該システムは、より薄いドライフィルムを実現するように構成可能である。個々のロールの速さは制御可能であり、個々のカレンダーニップ間のギャップは制御可能である。個々のロールの温度も制御可能である。例えば、幾つかの実施形態では、積層複数ロールシステムの最終ロールは、集電体上へのドライ電極フィルムの積層を補助するように制御することができる。ウェブの操作は簡潔で容易となり、ウェブ経路内のアイドラロールを削減又は排除することができる。幾つかの実施形態では、隣接するロールセット(対になったカレンダーニップ間、又は、2つの隣接するニップの間のいずれか)は、異なる速さで回転させることができる。例えば、それぞれの下流側のロールセット(例えばカレンダーニップ)は、1つ前よりも速く回転するように構成することができる。加えて、2ロールニップセット内の個々のロールは、同じ2ロールニップセット内の他のロールとは異なる回転をするように構成できる。これらの異なる速さにより、フィルム内に剪断力を与えることができ、且つ/又は、フィルムが任意のロールにより良く付着するための力を与えることができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、膜厚又は膜厚に対する特性質量の制御/測定のために、ガンマゲージのようなゲージを使用することができる。ローラは、遊びの無いベアリング(playless bearing)により特定の位置に固定されても良い(方向付けられているが捕獲された軸受(orientated but captured bearings)を必要とする場合がある)。望ましい膜厚の低い公差が達成できるのであれば、円錐軸受又は他のデザインの軸受を遊びの無いロールの固定に用いることができる。実施形態は、各ニップ又はニップ内のロールについて、同じ直径のロールを要しない。ロール表面の仕上げは、コーティング(例えばクロム又は硬質表面セラミック)であっても良いし、エンボスロールの場合のようにパターン化されていても良い。
【0024】
幾つかの実施形態では、端と端とを繋ぐように2つのマルチロールカレンダーを並べて、まずフィルムを除去して別の装置に運ぶ必要無しに、ドライ電極フィルムを金属フォイル(例えば集電体)に直接に積層させることができる。従って、同じ装置により、集電体に対して単面又は両面に電極層を積層して、単面電極又は両面電極を形成することができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、積層電極は、連続ウェブ又は間欠的電極設計のいずれであってもよい。積層ウェブから非積層フィルムを剥離することは、連続ウェブ及び間欠的電極設計の両方に使用できる。幾つかの実施形態では、システム内で用いられる集電体が接着剤により予め被覆されていても良い。又は、複数ロールのカレンダーシステム上の個別の粉末ホッパーを通してフィルムの一面に接着剤を供給しても良い。これにより、材料を先にプリコートすること無しに、フォイルに直接積層することが可能となる。積層工程の後にスリッターを追加して、最終的な電極の幅に積層ウェブを切断し、個々の電極ロールを巻き取ることができる。幾つかの実施形態では、装置を自己ウェブ化型(self webbing)に設計することができる。例えば、ロールの下に連続ベルトを用いて、ウェビング中に上昇し、ウェブが次のロールニップに適切に向かうようにしても良い。
【0026】
図1は、エネルギー貯蔵装置用のドライ電極を製造するプロセスを示すブロック図である。本件で用いられる「ドライ」の語は、ここに説明する工程の電極の混合及びコーティング工程において、液相の溶媒及び添加物を用いないことを意味する。但し、最後の電解質含浸工程を除く。図1に示すプロセスは、ドライ混合18により始まり、ドライ活性材料12、ドライ導電性粒子14及びドライバインダー粒子16からドライ混合物を作成する。更に、ドライ導電性粒子21及びドライバインダー粒子23のドライ混合19によってもドライ混合物を作成し、ドライ繊維化26又は29に供給することができる。ドライ混合物は、ドライ繊維化工程20、例えばジェットミル(図示せず)において繊維化される。ドライ繊維化工程20において、ドライ混合物に高い剪断力を加え、物理的に伸ばして、細いウェブ状の繊維のネットワークを形成する。ドライ供給22において、工程19及び20にて形成されたそれぞれ個別のドライ粒子の混合物が、それぞれの容器(図示せず)に供給され、ドライフィルムが形成される。ドライフィルムは、続いてロールミル又はカレンダー24によりドライ圧縮及びカレンダー加工され、埋め込み/相互混合ドライフィルム、又は、自己支持型電極フィルム(又は電気化学的に活性な自立型フィルム)が提供される。埋め込み/相互混合ドライフィルムは、集電体(金属フォイル等)28に取り付けられる。より詳細な、埋め込み/相互混合ドライフィルムの製造プロセスは、ドライフィルムを形成する材料及び集電体を形成する材料の種類を含め、米国特許第7,352,558に開示されており、その全体が、クロスリファレンスとして本願に組み込まれている。
【0027】
上記により製造された自己支持型の電極フィルムは、湿式プロセスを用いて製造される典型的な電極フィルムと比較して、改善された特性を提供し得る。例えば、ここで提供されるドライ電極フィルムは、改善されたフィルム強度、改善された凝集性、改善された接着性、改善された電気的性能、又は、欠陥発生の低減のうち、1つ以上を提供できる。欠陥は、電極フィルムにおける孔、クラック、表面の凹みを含む。電気的性能は、比容量であっても良い。フィルム強度は、引っ張り強度であっても良い。
【0028】
図2は、電極構造を形成するための装置を示す。図2の装置は、3つの互いに接続されたシステム部分100、200及び300を含む。100において、ドライ粒子は当初、各容器に貯蔵されており、自由に流れるドライ粒子としてロールミルの高圧ニップに供給される。ドライ粒子の別々の流れは、互いに混合され、ドライ粒子がニップに供給されるのに連れて、運動の自由を失い始める。互いに混合され、圧縮されたドライ自己支持型フィルムは、構成部分100を出て、構成部分200に入る。圧縮されたドライフィルムは、崩壊せずに部分200に進むために、100を出る時点で自己支持型である必要がある。自己支持型となるためには、部分100のロールを出るフィルムは、実際に望ましい電極フィルムの厚さよりも厚い必要がある。従って、システム部分200において、自己支持型フィルムは、張力制御システムを通してカレンダー加工システム(3つの大きな垂直ロールとして示す)に供給される。当該システムは、ドライフィルムの厚さを繰り返し小さくして、望ましい厚さ/密度に近づける複数のニップを備える。ドライフィルムは、部分200を出て、システム部分300に入る。部分300は、1つ以上のアイドラロール、追加のニップ及び/又は巻き取り/貯蔵ロールを備え、ドライフィルムを更に処理して最終的なドライ電極フィルムとし、これは巻き取りステーションにおいて巻き取られる。最後の巻き取られた電極フィルムは、他の装置に運ばれ、巻きを解いて集電体に積層され、ドライ電極が形成される。
【0029】
図3A及び図3Bは、順に、複数ロールカレンダーシステム310の模式的側面図及び当該カレンダーシステムにより製造されたフィルム320を示す。カレンダーシステムは、1つ以上のドライ電極材料搬送システム、例えば粉末搬送ホッパーを含む。例示の目的から、システムは2つの粉末ホッパーを含み、粉末ホッパー#1及び粉末ホッパー#2として示されている。粒子サイズ、密度、多孔性、及び/又は材料の種類、及び/又は他の材料の特性は、粉末ホッパー#1及び粉末ホッパー#2において、互いに同じであっても良い。粒子サイズ、密度、多孔性、及び/又は材料の種類、及び/又は他の材料の特性は、粉末ホッパー#1及び粉末ホッパー#2において、互いに異なっていても良い。
【0030】
図示されたカレンダー装置は、6つのロール330を備える。しかし、より多く又は少ない数のロールが供えられていても良い。ウェブの経路に沿って下流側のロール330Bは、1つ前の上流側のロール330Aよりも速く回転するように構成されても良い。下流側のロールの速さが大きいことにより、フィルム内に剪断力が発生し、その一方、ロールニップではフィルムを回転が早い方のロールに付着させる。更に下流側のロールは、その前よりも更に速く回転することができ、このようにして、カレンダー装置のウェブ経路全体を通して、フィルムは全てのロールに付着したままとなり得る。このように付着していることにより、図3Aにおいて最初に形成されるフィルムを、ドライ材料から形成することができるが、自己支持型である必要は無い。これは、フィルムはウェブ経路に沿って全てのロールに付着して支持されるからである。このような付着及び支持により、図2を参照して説明したような、ニップの間におけるアイドラロールの必要性を削減又は完全に排除できる。他のドライフィルム装置、例えば図2に示した装置と比較して、ニップ内において増加した剪断力により、フィルムを望ましい厚さにカレンダー加工するために必要な圧力及び力も小さくなる。従って、図2のシステムの場合よりも、複雑さが少なく、より力が小さい(従って、より小さい)装置を用いることができる。図3Aのシステムにおける各ロールの温度も、個別に制御可能にすることができる。図3Bは、図3Aに示すようなカレンダー加工システムにより製造されたフィルム320の側面図を示し、粉末ホッパー#1の粒子が粉末ホッパー#2の粒子とは大きさが異なる場合である。
【0031】
図4は、複数ロールカレンダーシステム400を示す。このシステムは、6つのロール430と1つの粉末ホッパー440を有するが、これは例示目的であって、より多くても、より少なくてもよい。ウェブ経路に沿って、6つのロールのそれぞれは、1つ前のロールよりも速く回転するように構成されており、これは、上記の通りフィルムの付着のためである。図4は、個々のモータ450(例えばサーボモータ)を示し、その速度、加速度、タイミング等は、制御部(図示せず)により個別に制御できる。制御部は、更に、システムの他の態様を制御するように構成しても良く、例えば、ロール間のギャップの距離、各ロールの温度、及び/又は他のシステムパラメータを制御するように構成しても良い。制御部は、本件に記載の他のシステムに同様に実装しても良い。
【0032】
図5A~Cは、図4の複数ロールカレンダーシステム400の動作ステップの幾つかを示す。図5Aでは、カレンダーシステムの1つのロールニップ部分に粉末445が投入されている。図5Bでは、アイドラロールを必要とせずに、フィルム420がロール430間を搬送されている。図5Cでは、ドクターブレード460が最後のロールからフィルムを剥がすのを補助している。フィルムの端はトリミングされ、続いて、フィルムはコア470に巻かれる。
【0033】
図6は、カレンダー/ラミネータ複合システム600を示し、これは2つのドライ電極フィルムを製造し、それらを集電体に積層して、両面電極とすることができる。図6では、粉体ホッパー602及び603として示される2つのドライ電極材料搬送システムと、4つのロール604、605、606及び607がある。集電体610は、集電体供給源608から供給される。第1のドライ電極フィルム620は、粉末搬送ホッパー602からの粒子をロール604及び605の間に形成されるニップを通してカレンダー加工することにより形成されても良い。第2のドライ電極フィルム621は、粉末搬送ホッパー603からの粒子をロール606及び607の間に形成されるニップを通してカレンダー加工することにより形成されても良い。フィルム620及び621の両方は、それぞれ、集電体601の対向する第1及び第2の面に積層されても良い。積層化は、フィルム620及び621と集電体610とを、ロール605及び606の間に形成される第3のニップの間で圧縮(例えばカレンダー加工)することにより行ってもよい。積層化に加えて、この第3のニップは、フィルム620及び621に追加のカレンダー加工を行って膜厚を調製することもできる。ロール605及び606の間における積層化の後、両面電極は更なる処理のために、例えば巻き取りステーション609に集められる。図6に示す通り、ロールニップは順に、互いに近くに配置され、これにより連続的なカレンダー加工及び膜厚の縮小を提供し、アイドラ又はダンサーロールの必要を削減するか又は完全に無くす。ロールのそれぞれは、本件の他の箇所に記載の通り、速度、加速度、速さ等について制御されている。次に続くロールがそれぞれ1つ前のロールよりも速く回転することにより、フィルムがロールに追従して最後の部分にまで達し、フィルムは最後のロールから外れて巻き直しステーション609においてコアに巻き取られる。
【0034】
図6のシステムは、片面電極を製造するように実装することもできる。これには、例えば、ロール607及びホッパー603を除去し、フィルム621を用いない。加えて、ロール604及び607は、図示の通りベルトカレンダーシステムの一部であり、ベルトは、その上にドライ電極材料を塗布するための表面及び支持を提供する。1つ以上のベルトシステム(604及び607のようなローラ)又はベルト無しシステム(605及び606のようなローラ)、あるいはこれらの組み合わせは、本件の実施形態のいずれにおいても実装可能である。
【0035】
図7は、一実施形態による間欠的に被覆された電極を示す図である。間欠電極は、間に被覆のギャップXを挟んだ間欠的被覆部分702を備え、被覆無しフォイル部分704を形成している。少なくとも1つの被覆無しフォイル部分704は、電極を、他の素子、例えば電極タブ等に対して電気的に接続するために用いることができる。
【0036】
図8A~Bは、ラミネータの実施形態の側面図及び正面図を示す。ラミネータは、図6のシステム600のようなシステム内に実装することができる。
図8A~8Bのラミネータにおけるロールは、図6のロール605、606と類似していてもよい。ラミネータは、1つ以上のラミネーションアクチュエータを含むことができ、例えば、電極を形成するためにラミネータに供給される集電体と電極フィルムとを積層化するための主要な力を供給する圧力シリンダ804であっても良い。しかしながら、図7に示すような間欠電極の積層化において、被覆無し(フォイルのみ)部分704を圧縮する際、ロール同士が衝突する。この衝突の影響を低減するために、ラミネータは、1つ以上のギャップ制御アクチュエータを備えても良い。例えば、シリンダ804の力に対向するようシリンダ802を構成して、被覆無し部分の積層化のときもギャップを一定に維持しても良い。センサ(図8A)は、被覆無し領域及び積層無し領域を検知する構成であっても良い。被覆無し領域又は積層無し領域が検知されると、ギャップ制御シリンダ802が連動し、主力シリンダの積層圧力を打ち消す。ギャップは維持され、ロールは被覆無し領域に衝突しないので、これにより、間欠的積層ウェブを変形又は破損しない。
【0037】
図9は、本件で記載されるシステム及び方法の実施形態で実装可能な漏斗型充填ホッパーを示す図である。ホッパーには、吸引又はウォームコンベヤよりバルク材料を供給できる。充填ホッパーの内部では、バルク材料が均一に分散され、スキャッタリング工程において高さが一定に維持される。材料におけるキャビティの形成と分解は、特殊ミキサーを通して回避される。回転計量ローラ(metering roller)が充填ホッパーの底部側に固定されている。計量ローラのセルの大きさは、バルク材料の粒子サイズに応じて選択されている。バルク材料は、計量ローラ2に保持され、柔軟ドクターブレード3によって剥がされる。その後、正確に計量されたバルク材料は、振動ブラシ装置4に搬送される。ブラシ処理の後、バルク材料は検査され、後に続く基板ライン5に搬送される。
【0038】
図10は、散乱被覆工程、連続カレンダー工程、カレンダー工程及び巻き取り工程を含むカレンダー処理1000を示す。散乱被覆装置は、非常に薄い粉末の層をベルト上に堆積させることができ、当該薄い層がカレンダーロールのニップを通してカレンダー加工されると、薄膜が製造される。粉末は主回転ドラムのグローブ(grove)又は毛に集められ、次に、二次回転ブラシがグローブ又は毛から粉末を取り除くと、粉末は移動するベルトの上に堆積される。第1のニップ内において粉末が圧縮されてフィルムとなると、フィルムは後に続くニップを通って移動し、望ましい厚さ及び/又は密度が達成される。
【0039】
本件で提供されるエネルギー貯蔵装置は、任意の望ましい構成であり得る。例えば、平面状、らせん状に巻いた形、ボタン型、互いに噛み合った形状、袋状等。本件で提供されるエネルギー貯蔵装置は、システムの構成要素であり得る。例えば、発電システム、無停電電源システム(UPS:uninterruptible power source systems)、光発電システム、産業機械及び/又は交通機関等にて用いるエネルギー回収システム等。本件で提供されるエネルギー貯蔵装置は、様々な電子装置及び/又は動力車両に電力供給するために用いることができる。例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid electric vehicles)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicles)、及び/又は電気自動車(EV:electric vehicles)等。
【0040】
本件で使用される「バッテリー」及び「キャパシタ」の語は、当業者に通常及び習慣的な意味を与えるものである。「バッテリー」及び「キャパシタ」の語は、互いに排他的なものではない。キャパシタ及びバッテリーは、単独で動作する電気化学セルを指すこともあるし、複数セルシステムの構成要素として動作する電気化学セルを指すこともある。
【0041】
特定の態様、実施形態又は実施例と併せて記載された特徴、材料、特性又はグループは、本明細書の本セクション又は他の箇所で記載された他の任意の態様、実施形態又は実施例にも適用可能と理解される。但し、互換性が無い場合は除く。本明細書(添付の請求項、要約、図面を含む)に開示された全ての特徴、及び/又は、このように開示された任意の方法又はプロセスの全ての工程は、どのような組み合わせにすることもできる。但し、少なくとも幾つかの特徴及び/又は工程が互いに排他的である場合は除く。保護は、前述の実施形態の詳細には限定されない。保護は、本明細書(添付の請求項、要約、図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な特徴又はその任意の組み合わせ、又は、任意の新規な工程又はプロセス、その任意の組み合わせに及ぶ。
【0042】
更に、本開示における別々の実装の文脈において記述された特定のいくつかの特徴についても、単一の実装に組み合わせて実装することができる。逆に、単一の実装の文脈において記述された様々な特徴について、複数の実装において個別に実装することができ、また、任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。更に、特徴が特定の組み合わせにおいて作用するように上述されていても、請求項に記載された組み合わせの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから除外可能である。且つ、組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形として請求項とされ得る。
【0043】
更に、動作は、図面に描かれ、明細書に特定の順序に記述され得る。しかし、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示された順序で、又は、逐次的な順序で実行されることは必須ではないし、全ての動作が実行されることも必須ではない。例示的方法及びプロセスに対し、図示され又は記述されていない他の動作を組み入れることができる。例えば、1つ以上の動作を、記述された動作の前に、後に、同時に、間に、行うコトができる。更に、動作は他の実装において配置し直すか又は順序づけ直してもよい。当業者であれば、いくつかの実施形態において、図示され及び/又は開示されるプロセスにおいて取られる実際の工程は、図に示されるものと異なる場合があることを理解するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうち特定のものが除去され、他のものが追加されても良い。更に、以上に開示した特定の実施形態の特徴及び属性を異なる方法で組み合わせて、追加の実施形態を形成することができ、そのすべてが本開示の範囲に含まれる。また、上述した実施形態におけるシステム構成要素を分離することは、いずれの実施形態においても、そのような分離が必要と理解されるべきではない。上述したシステムの構成要素は、一般に単一の製品に一体化されるか、又は、複数の製品にパッケージ化されることが可能と理解するべきである。例えば、本件で記述したエネルギー貯蔵システムの構成要素のいずれも、個別に提供することができるし、合わせて一体化されて(例えば一緒にパッケージ化される、一緒に取り付けられる)エネルギー貯蔵システムを形成することもできる。
【0044】
本開示の目的で、特定の態様、利点及び新規な特徴を開示する。そのような利点の全てが、いずれの特定の実施形態においても必ず達成されるわけではない。従って、例えば、当業者は、本明細書で教示されるような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または1つの利点群を達成する方法で開示を実施または実施することができることを認識するであろう。
【0045】
条件付きの用語、例えば、「できる」、「し得る」又は「あり得る」等は、具体的に異なる形で明記されない限り、又は、使用された文脈において理解されるのでない限り、特定の特徴、要素及び/又はステップを特定の実施形態が含む一方、他の実施形態が含まないことを伝える意図である。従って、このような条件付きの用語は、一般には、特徴、要素、及び/又はステップが特定の1つ以上の実施形態に必要とされることを示唆する意図ではないし、1つ以上の実施形態が、ユーザーの入力や指示の要否に関わらず、特定の実施形態においてこれらの特徴、要素及び/又はステップが含まれるか実行されるか否かを決めるロジックを含むことを意図するものではない。
【0046】
「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」の句のような接続的な表現は、特にそれ以外であると明記されない限り、項目、用語等がX、Y又はZのいずれであっても良いことを伝えるために一般に使用される文脈において理解される。従って、この接続的な表現は、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、少なくともZの存在を必要とすることを意味する意図ではない。
【0047】
本件で用いられる程度の用語、例えば「近似」「およそ」「一般に」及び「事実上」等は、値、量、特性が記述された値、量、特性に近く、望ましい機能を果たすか又は望ましい結果が実現されることを表すために用いられる。
【0048】
本開示の範囲は、本明細書の本セクション又は他の箇所における実施形態の特定の開示によって限定されることを意図せず、また、本明細書の本セクション又は他の箇所に示されるか、又は、将来示される請求項によって定義されて良い。請求項の言語は、請求項において用いられた言語において広く解釈され、且つ、本明細書に、又は本出願の審査中に記載された実施例には限定されず、これらの例は非排他的に解釈される。
【0049】
特定の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、単なる例として提示されたものであり、開示の範囲を限定することを意図したものではない。実際に、本件に記載される新規な方法およびシステムは、種々の他の形態で具体化されてもよい。更に、本件に記述されたシステムと方法の様々な省略、置換及び変更は、開示の精神から離れること無く実行可能である。添付の請求項及びその等価物は、開示の範囲及び精神に含まれると考えられるそのような形態又は変更を含むことを意図している。従って、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲のみを参照して定義される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10