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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022000148
(22)【出願日】2022-01-04
(65)【公開番号】P2023099922
(43)【公開日】2023-07-14
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】町井 健太
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 智也
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-284010(JP,A)
【文献】実開昭59-018395(JP,U)
【文献】特開2021-178077(JP,A)
【文献】特開2012-176296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体と、
前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、
前記本体に着脱可能に収容される内釜と、
前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、
前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、
前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、
前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、
を備え、
前記本体の高さ方向を第1方向とすると、
前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、
前記本体の幅方向を第3方向としたとき、
前記底面ケースの前記第3方向の両端部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記本体の内側に向かって凹んだ凹形状に形成された1対の持手部
を備え、
前記本体の奥行き方向を第2方向としたとき、
前記持手部の外面部に配置され、前記持手部の外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設された凸形状を有し、前記凸形状の長手方向が前記第2方向に延びた、リブ部
を備え、
前記第2方向において前記リブ部の両端部と前記持手部の両端部とは互いに接触しておらず、前記リブ部の前記両端部と前記持手部の前記両端部との間には空間が形成されている、
炊飯器。
【請求項2】
記第1凸部材は、前記第3方向に延設された板状部材である、
請求項に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記第1凸部材は、前記底面ケースの前記第3方向の両端部まで延設されている、
請求項に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記第1凸部材は、前記底面ケースの中央部分から前記持手部のそれぞれまで延設されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項5】
記吸気口は、前記第2方向において前記内釜の中心点よりも前記本体の背面側に配置され、
前記排気口は、前記第2方向において前記吸気口よりも前記本体の前面側に配置されている、
請求項1~のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
記第1凸部材の少なくとも一部分は、前記第3方向に対して、前記排気口の前記形成領域に向かって傾斜して配置されている、
請求項1~のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記底面ケースの前記第2領域に配置され、前記内釜の中心点を中心として前記内釜の径方向に放射状に延設され、前記底面ケースの外面から下方向に向かって突設された、第2凸部材
を備えた、
請求項1~のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記底面ケースの前記外面部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設され、上端が前記本体に向けて開口された有底筒状形状のコードリールを備え、
前記コードリールの側面を形成する外周面部から前記コードリールの外側に向かって放射状に延設され、前記底面ケースの前記外面部から下方向に向かって突設された、第2凸部材
を備えた、
請求項1~のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記第1凸部材によって区分された前記第1領域は前記第2領域より広い、
請求項1~のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記底面ケースの前記外面部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設され、上端が前記本体に向けて開口された有底筒状形状のコードリールを備え、
前記第1凸部材の少なくとも一部分は、前記コードリールにオーバーラップして配置されている、
請求項1~のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項11】
筒状の本体と、
前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、
前記本体に着脱可能に収容される内釜と、
前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、
前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、
前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、
前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、
を備え、
前記本体の高さ方向を第1方向とすると、
前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、
前記底面ケースの前記第2領域に配置され、前記内釜の中心点を中心として前記内釜の径方向に放射状に延設され、前記底面ケースの外面から下方向に向かって突設された、第2凸部材
を備えた、
炊飯器。
【請求項12】
筒状の本体と、
前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、
前記本体に着脱可能に収容される内釜と、
前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、
前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、
前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、
前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、
を備え、
前記本体の高さ方向を第1方向とすると、
前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、
前記底面ケースの前記外面部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設され、上端が前記本体に向けて開口された有底筒状形状のコードリールを備え、
前記コードリールの側面を形成する外周面部から前記コードリールの外側に向かって放射状に延設され、前記底面ケースの前記外面部から下方向に向かって突設された、第2凸部材
を備えた、
炊飯器。
【請求項13】
筒状の本体と、
前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、
前記本体に着脱可能に収容される内釜と、
前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、
前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、
前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、
前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、
を備え、
前記本体の高さ方向を第1方向とすると、
前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、
前記底面ケースの前記外面部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設され、上端が前記本体に向けて開口された有底筒状形状のコードリールを備え、
前記第1凸部材の少なくとも一部分は、前記コードリールにオーバーラップして配置されている、
炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、底面ケースに形成された吸気口と排気口とを有する炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、本体内部を冷却するために底面ケースに吸気口と排気口とを設けた炊飯器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の炊飯器は、本体に設けられた内ケースの内部には、米などの被加熱調理物を収容する有底筒状の内釜が着脱可能に収容される。特許文献1に記載の炊飯器は、内釜の底部を加熱する誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルを駆動する電源基板と、を有している。電源基板は、商用電源などの外部電源からの電力を用いて、誘導加熱コイルに電力を供給する。これにより、内釜は、誘導加熱コイルからの誘導電流を受けて、電磁誘導により発熱する。当該発熱により、内釜の内部に収容された被加熱調理物が加熱調理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-75510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の炊飯器においては、本体内部を冷却するために底面ケースに吸気口と排気口とが設けられている。吸気口からは本体内部を冷却するための外気(空気)が取り込まれる。また、排気口からは本体内部によって暖められた空気が放出される。そのため、排気口から放出された暖められた空気が、吸気口から本体内部に取り込まれてしまうという課題があった。これを抑制するために、排気口を吸気口から離れた位置に配置する必要があるが、その結果、十分な冷却性能を得るための排気口および吸気口の開口面積を確保することが困難であった。
【0006】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、排気口から排出された暖められた空気が、吸気口から本体内部に取り込まれることを抑制することで、冷却性能の向上を図ることが可能な、炊飯器を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示に係る炊飯器は、筒状の本体と、前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、前記本体に着脱可能に収容される内釜と、前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、を備え、前記本体の高さ方向を第1方向とすると、前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、前記本体の幅方向を第3方向としたとき、前記底面ケースの前記第3方向の両端部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記本体の内側に向かって凹んだ凹形状に形成された1対の持手部を備え、前記本体の奥行き方向を第2方向としたとき、前記持手部の外面部に配置され、前記持手部の外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設された凸形状を有し、前記凸形状の長手方向が前記第2方向に延びた、リブ部を備え、前記第2方向において前記リブ部の両端部と前記持手部の両端部とは互いに接触しておらず、前記リブ部の前記両端部と前記持手部の前記両端部との間には空間が形成されているものである。
また、本開示に係る炊飯器は、筒状の本体と、前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、前記本体に着脱可能に収容される内釜と、前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、を備え、前記本体の高さ方向を第1方向とすると、前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、前記底面ケースの前記第2領域に配置され、前記内釜の中心点を中心として前記内釜の径方向に放射状に延設され、前記底面ケースの外面から下方向に向かって突設された、第2凸部材を備えたものである。
また、本開示に係る炊飯器は、筒状の本体と、前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、前記本体に着脱可能に収容される内釜と、前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、を備え、前記本体の高さ方向を第1方向とすると、前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、前記底面ケースの前記外面部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設され、上端が前記本体に向けて開口された有底筒状形状のコードリールを備え、前記コードリールの側面を形成する外周面部から前記コードリールの外側に向かって放射状に延設され、前記底面ケースの前記外面部から下方向に向かって突設された、第2凸部材を備えたものである。
また、本開示に係る炊飯器は、筒状の本体と、前記本体の下端部の開口を覆い、吸気口および排気口が形成された底面ケースと、前記本体に着脱可能に収容される内釜と、前記本体に配置され、前記内釜を加熱する加熱部と、前記本体に配置され、前記加熱部を駆動する電源基板と、前記底面ケースの前記吸気口に配置され、前記吸気口から取り込んだ冷却風を前記電源基板に向けて送風する冷却ファンと、前記底面ケースの前記吸気口と前記排気口との間に配置され、前記吸気口の形成領域を含む第1領域と前記排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する、第1凸部材と、を備え、前記本体の高さ方向を第1方向とすると、前記第1凸部材は、前記底面ケースの下面を形成する外面部から前記第1方向の下方向に向けて突設されており、前記底面ケースの前記外面部に配置され、前記底面ケースの前記外面部から前記第1方向の下方向に向かって突設され、上端が前記本体に向けて開口された有底筒状形状のコードリールを備え、前記第1凸部材の少なくとも一部分は、前記コードリールにオーバーラップして配置されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る炊飯器によれば、底面ケースの吸気口と排気口との間に配置され、吸気口の形成領域を含む第1領域と排気口の形成領域を含む第2領域とを区分する第1凸部材が、底面ケースの外面部に設けられている。本体の高さ方向を第1方向とすると、第1凸部材は、底面ケースの下面を形成する外面部から第1方向の下方向に向けて突設されている。そのため、排気口から排出された気流の大部分は、第1凸部材に遮断され、吸気口に向かう方向には流れない。その結果、排気口から排出された空気が吸気口から本体内部に取り込まれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図5】実施の形態1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図6】実施の形態1に係る炊飯器における冷却風の流れる方向を説明する説明図である。
図7】実施の形態1に係る炊飯器における冷却風の流れる方向を説明する説明図である。
図8】実施の形態1に係る炊飯器における冷却風の流れる方向を説明する説明図である。
図9】実施の形態1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図10】実施の形態1の変形例1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図11】第1凸部材が設けられていない場合の参考例に係る炊飯器の底面ケースを示す斜視図である。
図12】第1凸部材が設けられていない場合の参考例に係る炊飯器の底面ケースを示す斜視図である。
図13】実施の形態2に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図14】実施の形態3に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図15図14に対して、空気の流れを示す矢印を追加した図である。
図16】実施の形態4に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。
図17】実施の形態4に係る炊飯器に設けられた底面ケースの左右の持手部を模式的に示した平面図である。
図18】実施の形態4に係る炊飯器の概略構成を示す断面図である。
図19図18の丸枠R部分を示した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る炊飯器の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態およびその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、各図面において、Zは炊飯器の高さ方向であり、Yは炊飯器の奥行き方向である。また、Xは炊飯器の幅方向である。高さ方向Zは、例えば鉛直方向であり、高さ方向Zにおいて、Z1が炊飯器を正常な向きに配置した場合の上方向であり、Z2が下方向である。また、奥行き方向Yにおいて、Y1が炊飯器の前面方向(または前面側)であり、Y2が炊飯器の背面方向(または背面側)である。また、幅方向Xにおいて、X1が炊飯器を正常な向きに配置し、且つ、炊飯器を前面側から見た場合の右方向(または右側)であり、X2が左方向(または左側)である。高さ方向Zは第1方向と呼ばれることがある。奥行き方向Yは第2方向と呼ばれることがある。幅方向Xは第3方向と呼ばれることがある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す断面図である。図2は、YZ平面に平行な面で切断した場合の断面形状を示している。図1または図2に示すように、炊飯器100は、外ケースである本体1と、本体1の内部に固着された内ケース2と、誘導加熱コイル3と、温度センサ4と、底面ケース8と、を有している。炊飯器100は、図2に示すように、床面90の上に置かれて使用される。
【0012】
炊飯器100の側面を形成する本体1は、筒状形状を有している。本体1は、平面視で矩形形状であってもよく、あるいは、円形形状または楕円形状であってもよい。さらに、本体1は、背面側が矩形形状で、前面側が円形または半円形状であってもよい。本体1の上端部および下端部は開口している。また、本体1の下端部には、底面ケース8が設けられている。底面ケース8は、本体1の開口された下端部を覆うように本体1に取り付けられている。本体1と底面ケース8とは、有底筒状形状の炊飯器100の外郭を構成している。底面ケース8は、例えばPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成される。また、本体1は、例えばPC(ポリカボネート)またはABS(アクリルニトリル、ブタジエン、スチレン)などの樹脂から構成される。なお、本体1は、樹脂に限らず、例えばステンレスなどの金属部材で形成されてもよい。
【0013】
内ケース2は、上端部が開口した有底筒状形状を有している。内ケース2は、平面視で、円形形状または略円形形状、あるいは、楕円形状を有している。内ケース2の内部には、後述する内釜5が着脱可能に収容される。
【0014】
誘導加熱コイル3は、内ケース2の外壁部に設けられた電磁誘導加熱用のコイルである。誘導加熱コイル3は、内ケース2の底部および底部寄りの側面部に配置されている。誘導加熱コイル3は、例えばスパイラル状に旋回されている。誘導加熱コイル3は、電源基板20に設けられた例えば整流回路およびインバータ回路を介して高周波電流が供給される。誘導加熱コイル3は、内釜5を加熱する「加熱部」を構成している。「加熱部」は、誘導加熱コイル3に限定されず、内釜5を加熱できるものであれば、他の構成でもよい。
【0015】
温度センサ4は、後述する蓋体7に設けられている。蓋体7は、本体1の開口された上端部を覆うように本体1に開閉可能に取り付けられる。温度センサ4は、内釜5の内部の温度を検出する。温度センサ4は、例えば、蓋体7を構成する内蓋7bに形成された貫通穴を貫通するように配置される。なお、温度センサの個数は1個には限定されず、蓋側の温度センサ4の他に、内ケース2の底部に、釜底側の温度センサを設けてもよい。
【0016】
さらに、炊飯器100は、図2に示すように、内釜5と、ヒンジ部6と、蓋体7と、蓋ヒータ9と、を有している。
【0017】
内釜5は、上端部が開口した有底筒状形状を有している。内釜5は、平面視で、円形形状または略円形形状、あるいは、楕円形状を有している。内釜5は、本体1に設けられた内ケース2内に着脱可能に収容される。内釜5は、米および水などの被加熱調理物を内部に収容する。内釜5は、誘導加熱コイル3からの誘導電流を受けて、電磁誘導により内釜5自体が発熱する。当該発熱により、内釜5内の被加熱調理物が加熱調理される。内釜5の開口部の周縁部には、フランジ部50が設けられている。フランジ部50は、内釜5の開口部の周方向に沿って、開口部の全周にわたって設けられている。フランジ部50は、図2に示すように、L字形状の断面形状を有している。フランジ部50は、内釜5の開口部の周縁部から水平方向に向かって延びる水平部50aと、水平部50aの外周縁部から上方向Z1に向かって立設される垂直部50bと、から構成されている。フランジ部50の水平部50aは、内釜5の開口部の周縁部から、内釜5の外側に向かって、内釜5の径方向に延設されている。すなわち、水平部50aは、XY平面に平行になるように設けられている。水平部50aは、平面視で、ドーナツ型の形状を有している。垂直部50bは、水平部50aの外周縁部に設けられている。垂直部50bは、水平部50aの外周縁部から上方向Z1に向かって立設されている。垂直部50bの延設方向と、水平部50aの延設方向とは、互いに交差しており、例えば直交している。また、垂直部50bは、平面視で、ドーナツ型の形状を有している。
【0018】
ヒンジ部6は、本体1の背面部に設けられている。蓋体7は、ヒンジ部6を介して、本体1に開閉可能に取り付けられている。蓋体7は、外蓋7aと、内蓋7bと、蓋パッキン(図示省略)と、から構成される。
【0019】
外蓋7aは、ヒンジ部6を介して、本体1に開閉可能に設けられている。外蓋7aは、本体1の上端部の開口を覆うように配置される。
【0020】
内蓋7bは、内釜5を覆う蓋であり、外蓋7aの内側に配置される。内蓋7bの周縁部には、シール材である蓋パッキン(図示省略)が取り付けられている。蓋パッキンは、例えばシリコーンゴムなどの弾性部材で構成されている。蓋パッキンは、内釜5のフランジ部50と内蓋7bとの密閉性を確保する。内蓋7bは、外蓋7aが開状態のときに、ユーザによって、外蓋7aの内壁面に取り付けられる。これにより、外蓋7aと内蓋7bとは互いに連結され、外蓋7aの開閉時には、内蓋7bは外蓋7aに連動して同時に開閉される。内蓋7bと外蓋7aとは、内釜5を覆う蓋体7を構成している。内蓋7bは外蓋7aに対して着脱可能に取り付けられ、内蓋7bの洗浄時には、内蓋7bはユーザによって外蓋7aから取り外される。
【0021】
外蓋7aは、内蓋7bを覆うように、内蓋7bの上部に配置される。外蓋7aは、本体1にヒンジ部6を介して開閉可能に設けられている。外蓋7aは、閉状態のときに、本体1の開口部および内釜5の開口部を覆うように配置される。また、外蓋7aが開状態のときに、内釜5内の被加熱調理物の出し入れが可能になる。さらに、外蓋7aが開状態のときには、内釜5自体の本体1からの出し入れも可能になる。
【0022】
蓋ヒータ9は、蓋体7の内部に設けられている。上述したように、誘導加熱コイル3が内釜5の下方に配置されているため、炊飯器100の炊飯動作中および保温動作中には、内釜5の上部の温度が、内釜5の下部の温度に比べて、低くなりやすい傾向がある。そのため、実施の形態1では、蓋ヒータ9は、蓋体7の内部に配置している。蓋ヒータ9は、内釜5の上部を加熱する。誘導加熱コイル3と蓋ヒータ9とを併用することで、内釜5における温度ムラおよび内蓋7bへのつゆ付きを抑えることができる。これにより、ご飯をおいしく調理できるとともに、保温中にもご飯のおいしさを維持することができる。
【0023】
さらに、炊飯器100は、図2に示すように、電源基板20と、冷却ファン21と、放熱フィン32と、を有している。図2に示すように、電源基板20は、本体1の背面部に配置されている。電源基板20は、高さ方向Zに立設されている。電源基板20は、主面(すなわち、実装面)が、高さ方向Zに平行または略平行で、且つ、XY平面に垂直または略垂直になるように配置される。電源基板20は、商用電源等の外部電源からの電力を用いて、誘導加熱コイル3に高周波電流を供給して、誘導加熱コイル3を駆動する。電源基板20は、板状形状を有していてもよいが、箱形形状を有していてもよい。電源基板20が箱形形状の場合、部品205(図7参照)が搭載される実装面が箱形形状の一部を構成している。
【0024】
放熱フィン32は、電源基板20に対して配置される。放熱フィン32は、電源基板20に実装された発熱部品からの熱を放熱させ、電源基板20を冷却させる。放熱フィン32は、幅方向Xに一定間隔で配置された複数の放熱部材32aを有している。放熱部材32aは、例えば矩形の板状形状である。放熱部材32aは、例えばアルミニウムなどの熱伝導性の高い金属から構成される。また、図2に示すように、冷却ファン21は、電源基板20の下方に配置されている。冷却ファン21は、底面ケース8に形成された後述する吸気口30に対して配置される。冷却ファン21は、吸気口30から取り込んだ外気(冷却風)を電源基板20および放熱フィン32に向けて送風し、電源基板20および放熱フィン32を冷却する。
【0025】
底面ケース8には、吸気口30と、排気口31と、コードリール22と、が設けられている。吸気口30は、上述したように、電源基板20および放熱フィン32を冷却する冷却風を外部から取り込む。排気口31は、本体1の内部、特に電源基板20および放熱フィン32を冷却した後の冷却風を外部に排出する。コードリール22には、電源プラグ23に一端が接続された電源コードが収容される。電源コードの他端は、電源基板20に接続されている。電源プラグ23は、商用電源等の外部電源に着脱可能に接続される。
【0026】
また、図1に示すように、蓋体7の上面部には、操作表示部24が設けられている。操作表示部24には、スイッチ、各種ボタン、および、ディスプレイなどの表示画面が、設けられている。ユーザは、操作表示部24の各種ボタンを操作することで、炊飯器100の各動作を実行させることができる。また、表示画面には、加熱調理の状態、および、ユーザの操作によって設定された加熱調理メニューの内容などが表示される。操作表示部24には、操作基板25が接続されている。操作表示部24に対する操作の内容は、操作基板25を介して、制御部(図示省略)に送信される。
【0027】
制御部(図示省略)には、温度センサ4および他のセンサの検出結果が入力される。また、制御部には、操作表示部24にユーザによって入力された加熱調理メニューなどの各種設定が送信される。制御部は、温度センサ4および他のセンサの検出結果、および、操作表示部24に入力された各種設定に基づいて、電源基板20および冷却ファン21などの動作の制御を行う。制御部は、例えば、プロセッサとメモリとから構成される。制御部の各機能は、プロセッサが、メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0028】
次に、炊飯器100の動作について説明する。炊飯器100を動作させる際には、はじめに、ユーザが、米および水等の材料を内釜5内に入れる。これらの材料が、炊飯器100の被加熱調理物である。
【0029】
その後、ユーザが、内釜5のフランジ部50を把持して、内釜5を内ケース2に載置し、外蓋7aを閉めると、内蓋7bの蓋パッキンが内釜5のフランジ部50に圧接されて、炊飯器100の内部空間が密閉シールされる。
【0030】
上述したように、外蓋7aは、ヒンジ部6を起点にして回動可能に設けられており、本体1の上端部の開口を開閉させる。外蓋7aは常に開放方向にヒンジ部6にて付勢されている。閉状態の外蓋7aは、例えば、外蓋7aの前面部に備えられたラッチ部(図示省略)によって本体1に係止されている。ユーザが蓋開放ボタン60(図1参照)を押下することで、外蓋7aと本体1とを係止しているラッチ部の係止が解除され、ヒンジ部6の付勢力により外蓋7aが開状態になる。
【0031】
次に、ユーザが、操作表示部24にて炊飯メニューを選択し、操作表示部24のスイッチをオンすることで、炊飯器100での炊飯調理が開始される。なお、図1においては、操作表示部24が外蓋7aに設置されている例を示しているが、この場合に限定されず、操作表示部24は、本体1の前面部に設置されていてもよい。また、操作表示部24は、本体1以外の他の場所に設けられていてもよい。すなわち、炊飯器100が、リモートコントローラ(図示せず)を有している場合は、リモートコントローラに操作表示部24を設けるようにしてもよい。あるいは、操作表示部24は、ユーザが携帯するスマートフォン等の可搬携帯端末にアプリケーションプログラムとして設けるようにしてもよい。
【0032】
炊飯器100での調理が開始されると、誘導加熱コイル3には、電源基板20から高周波電流が供給される。これにより、誘導加熱コイル3から高周波磁界が発生し、誘導加熱コイル3と磁気結合した内釜5の加熱コイル対向面(すなわち、内釜5の底面部)が励磁され、内釜5の底面部に渦電流が誘起される。この渦電流と、内釜5の持つ抵抗と、により、ジュール熱を生じ、内釜5の底面部が発熱して、被加熱調理物の加熱が行われる。
【0033】
次に、図3図5を用いて、底面ケース8の構成について説明する。図3は、実施の形態1に係る炊飯器の構成を示す斜視図である。図4は、実施の形態1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。図3および図4は、下方向Z2から底面ケース8を見た状態を示している。そのため、図3および図4における上方向Z1と下方向Z2の向きが、図1および図2と逆になっていることに留意されたい。また、図5は、実施の形態1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。図5は、上方向Z1から底面ケース8を見た状態を示している。図5における上方向Z1と下方向Z2の向きは、図1および図2と同じである。
【0034】
底面ケース8は、上述したように、本体1の下端部の開口を覆うように、本体1に取り付けられている。図3および図4に示すように、底面ケース8の中央部分には、上述したコードリール22が設けられている。コードリール22は、底面ケース8の幅方向Xおよび奥行き方向Yのそれぞれの中央部分に配置されている。コードリール22は、底面ケース8の下面を形成する外面部8aから、下方向Z2に向かって突設されている。ここで、底面ケース8の外面部8aとは、図4に示すように、下方向Z2に対向する面全体を意味する。図4および図5に示すように、コードリール22は、少なくとも下端部が閉口した有底筒状形状を有している。コードリール22は、平面視で、略円形形状を有している。なお、コードリール22は、上端部も閉口していてもよい。但し、コードリール22の一部分は開口しており、そこから、コードリール22の外部にコードが引き出され、当該コードの先端には、図5に示す電源プラグ23が接続される。
【0035】
また、底面ケース8の奥行き方向Yにおいて、本体1の背面側(背面方向Y2寄り)の第1領域801には、吸気口30が設けられている。第1領域801は、後述する第1凸部材40を境にした背面側の領域である。第1領域801には、吸気口30が形成された形成領域300が含まれる。吸気口30は、平面視で、矩形であっても、円形であってもよく、特に、形状は限定されない。また、底面ケース8において、本体1の前面側(前面方向Y1寄り)の第2領域802には、排気口31が設けられている。第2領域802は、後述する第1凸部材40を境にした前面側の領域である。第2領域802には、排気口31が形成された形成領域310が含まれる。排気口31は、平面視で、多角形であっても、円形であっても、楕円形であってもよく、特に、形状は限定されない。また、排気口31は、図4の例のように、複数のブロックに分かれていてもよい。図4の例では、排気口31は、3つのブロックに分かれている。形成領域310は、これらのブロックを全て含む領域である。吸気口30および排気口31には、共に、図4に示すように、底面ケース8の板厚を貫通する複数のスリットが形成されている。
【0036】
なお、図3においては、底面ケース8に、後述する持手部82が設けられているが、この場合に限定されない。すなわち、図4に示すように、炊飯器100においては、持手部82を有さない底面ケース8を用いてもよい。
【0037】
吸気口30および排気口31の配置位置について、さらに詳細に説明する。図2に示すように、吸気口30は、本体1内に配置された内釜5の中心点Aよりも本体1の背面側に配置され、排気口31は、吸気口30よりも本体1の前面側に配置されている。すなわち、排気口31は、本体1内に配置された内釜5の中心点Aよりも本体1の前面側に配置されている。ここで、内釜5の中心点Aとは、内釜5が平面視で円形形状を有しているため、その円形形状の中心を意味する。従って、内釜5の幅方向Xおよび奥行き方向Yにおける中心点である。
【0038】
また、図4に示すように、底面ケース8の外面部8aには、第1領域801と第2領域802とを区分する第1凸部材40が設けられている。第1凸部材40は、底面ケース8の外面部8aから、下方向Z2に向けて突出している。第1凸部材40については後述する。第1凸部材40は、図2に示すように、内釜5の中心点Aの下方に設置される。第1凸部材40は、内釜5の中心点Aの真下の位置に配置されていてもよいが、内釜5の中心点Aの真下の位置からずれていてもよい。ただし、第1凸部材40は、吸気口30が設けられた第1領域801の面積が、排気口31が設けられた第2領域の面積よりも広くなる位置に設置されることが望ましい。従って、第1凸部材40は、本体1の奥行き方向Yの中央部よりも前面寄りに配置されることが望ましい。なお、底面ケース8、吸気口30、排気口31、第1凸部材40、コードリール22、および、脚部81は、例えば、射出成形などにより一体成型される。但し、それらは一体成型に限られるものではない。
【0039】
また、図2に示すように、吸気口30の上方には、冷却ファン21が設けられている。また、上述したように、吸気口30および排気口31は、共に、図4に示すように、底面ケース8の板厚を貫通する複数のスリットを有している。底面ケース8の内側と外側とは、これらのスリットを介して連通しており、冷却風の気流は、これらのスリットを介して圧力損失を抑えて流れることができる。吸気口30および排気口31に複数のスリットを設けることで、吸気口30および排気口31を介して外部から埃などの異物が本体1内に侵入することを防ぐことができる。
【0040】
電源基板20に実装された複数の部品の少なくとも1つは、インバータ回路および整流回路を構成する半導体スイッチング素子などの発熱部品である。また、電源基板20に実装された複数の部品の少なくとも他の1つは、熱によってダメージを受け、部品の寿命に熱の影響が出やすい、電解コンデンサなどの消耗部品である。電源基板20の故障は、炊飯器100全体の故障に繋がるため、電源基板20の冷却性能を向上させることは、炊飯器100にとって重要である。そのため、実施の形態1では、冷却ファン21を設けて、吸気口30から冷却風として外気を取り込み、電源基板20を冷却している。
【0041】
次に、図6図7を用いて、基本的な冷却風の流れる方向について説明する。図6および図7は、実施の形態1に係る炊飯器における冷却風の流れる方向を説明する説明図である。図6は、図2に対して、冷却風の流れる方向を示す矢印を追加した図である。図7は、炊飯器100の斜視図であるが、説明のため、一部を切断した状態を示している。
【0042】
図6および図7に示すように、冷却ファン21の駆動によって発生する冷却風は、吸気口30から取り込まれ、本体1の内部を冷却した後に、排気口31から本体1の外部に排出される。
【0043】
図8を用いて、冷却風の流れる方向についてさらに詳細に説明する。図8は、実施の形態1に係る炊飯器における冷却風の流れる方向を説明する説明図である。図8に示すように、冷却ファン21の駆動によって発生する冷却風のうちの半分以上の冷却風が電源基板20内に流れ、残りの冷却風が誘導加熱コイル3側に流れる。電源基板20内に流入した冷却風は、図8の矢印Bで示すように、放熱フィン32の放熱部材32aを冷却しながら、放熱フィン32内を上昇し、放熱フィン32の上端部から電源基板20内に放出される。そして、電源基板20に搭載された部品(図示省略)を冷却しながら電源基板20内を流れ、電源基板20の下方の開口から底面ケース8の中央部分に向かって流れる。その後、冷却風は、底面ケース8に形成された排気口31から炊飯器100の外部に排出される。
【0044】
一方、誘導加熱コイル3側に流れた冷却風は、図8の矢印C1とC2とで示すように、「一部分」が上昇するように流れ、「他の部分」が水平方向に向かって流れる。上昇するように流れる当該「一部分」は、矢印C1で示すように、内ケース2と電源基板20の背面部204との間の空間を風路として上昇し、内蓋7bに当たる。その後、当該冷却風は、炊飯器100の本体1と内ケース2との間の隙間に流入する。そして、当該冷却風は、その隙間に入り込む誘導加熱コイル3からの熱を吸収しながら、底面ケース8に形成された排気口31から炊飯器100の外部に排出される。また、水平方向に向かって流れる「他の部分」の冷却風は、図8の矢印C2で示すように、内ケース2の底面部と底面ケース8との間の空間および内ケース2の底面部周辺に流れ込む。そして、当該冷却風は、誘導加熱コイル3およびコードリール22を冷却しながら、底面ケース8に形成された排気口31から炊飯器100の外部に排出される。
【0045】
図9は、実施の形態1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。図9は、下方向Z2から底面ケース8を見た状態を示している。そのため、図9における上方向Z1と下方向Z2の向きが、図1および図2と逆になっていることに留意されたい。実施の形態1では、図9に示すように、底面ケース8の外面部8aに、第1凸部材40を設けている。第1凸部材40は、吸気口30と排気口31との間に配置されている。第1凸部材40は、底面ケース8の外面部8aから、高さ方向Zの下方向Z2に向かって突設されている。第1凸部材40は、例えば、板状部材である。第1凸部材40の高さ方向Zの長さは、図2に示すように、第1凸部材40が床面90に当接しない長さになっている。底面ケース8の外面部8aには、炊飯器100の脚部81が設けられている。脚部81は、底面ケース8の外面部8aから、高さ方向Zの下方向Z2に向けて立設されている。炊飯器100は、脚部81に支持されて床面90に載置される。炊飯器100に脚部81が設けられていることで、底面ケース8と床面90との間に空隙が確保される。すなわち、脚部81は、底面ケース8と床面90との間に空隙が確保するためにスペーサとして機能する。第1凸部材40の底面ケース8の外面部8aからの高さ方向Zの長さは、図2に示すように、脚部81の底面ケース8の外面部8aからの高さ方向Zの長さよりも短い。従って、第1凸部材40の先端(下端部)は、床面90に当接しない。
【0046】
また、板状部材から構成された第1凸部材40の長手方向は、図9に示すように、幅方向Xに延びている。第1凸部材40の幅方向の長さL1は、本体1の幅方向Xの長さL2よりも短い。すなわち、第1凸部材40は、底面ケース8の幅方向Xの両端部まで形成されておらず、底面ケース8の幅方向Xの両端部よりも内側の位置まで形成されている。排気口31から排出された気流は、図9の矢印E1で示すように、第1凸部材40に衝突して、その後、矢印E2で示すように還流されるか、あるいは、第1凸部材40に衝突して、そのまま、第1凸部材40に沿って第2領域802側を流れる。そのため、排気口31から排出された気流が、吸気口30に取り込まれることを抑制することができる。
【0047】
なお、図9の例では、底面ケース8にコードリール22が設けられているため、第1凸部材40の少なくとも一部分は、コードリール22にオーバーラップして配置されている。すなわち、第1凸部材40の少なくとも一部分は、コードリール22の外面部から、高さ方向Zの下方向Z2に向けて立設されている。コードリール22の外面部から立設された部分の第1凸部材40の高さ方向Zの長さは、コードリール22の外面部と床面90との間の長さよりも短い。すなわち、炊飯器100を床面90に載置したときに、コードリール22の外面部および第1凸部材40は、共に、床面90に当接しない。
【0048】
第1凸部材40は、排気口31から排出された空気が、吸気口30に取り込まれることを抑制するために設けられている。すなわち、第1凸部材40は、底面ケース8の外面部8aにおいて、吸気口30が形成された第1領域801と排気口31が形成された第2領域802とを区分している。そして、第1凸部材40は、排気口31から排出される空気と、吸気口30から取り込まれる空気と、を分流する分流壁として機能している。図9の矢印は、空気の流れを示すものである。矢印Dで示すように、本体1の内部を冷却するための外気(冷却風)は、冷却ファン21の駆動により吸気口30から取り込まれる。一方、本体1の内部を冷却した後の冷却風は、矢印E、矢印E1、矢印E2で示すように、排気口31から本体1の外部に排出される。
【0049】
このとき、排気口31から排出された空気は、気体の一般的な特性により、四方八方に拡散される。そのため、排気口31から排出された空気の一部は、矢印E1で示すように、吸気口30の方向に向かって流れるが、当該空気の大部分は第1凸部材40に当接して、矢印E2で示すように還流してくるため、吸気口30には取り込まれない。このように、第1凸部材40は、排気口31から排出される空気と吸気口30から取り込まれる空気とを分流することで、排気口から排出された空気が吸気口30から本体1の内部に取り込まれることを抑制する。第1凸部材40の働きにより、排気口31から排気される暖められた空気が、吸気口30から取り込まれることを防止できるので、吸気口30には、本体1の内部との温度差が十分にある外気が取り込まれる。これにより、本体1の内部を冷却する冷却性能が向上する。
【0050】
<変形例1>
上記の図9の例では、第1凸部材40の幅方向の長さL1は、本体1の幅方向Xの長さL2よりも短い場合について説明したが、その場合に限定されない。図10は、実施の形態1の変形例1に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。実施の形態1の変形例1では、図10に示すように、第1凸部材40の幅方向の長さL1は、本体1の幅方向Xの長さL2と同じか、ほぼ同じである。そのため、第1凸部材40が、底面ケース8の幅方向Xの両端部まで延設されている。図10の場合は、第1凸部材40が、排気口31から排出される空気と吸気口30から取り込まれる空気とを、より確実に分流することができるので、さらに、冷却性能が向上する。
【0051】
<実施の形態1の効果>
次に、実施の形態1および変形例1の効果について説明する。当該効果を分かりやすく説明するために、はじめに、第1凸部材40が設けられていない場合の参考例について説明する。図11および図12は、第1凸部材が設けられていない場合の参考例に係る炊飯器の底面ケースを示す斜視図である。図11および図12の矢印は、空気の流れを示すものである。図11の矢印P1で示すように、本体1の内部を冷却するための外気(冷却風)は、冷却ファン21の駆動により吸気口30から取り込まれる。一方、本体1の内部を冷却した後の冷却風は、図11の矢印P2で示すように、排気口31から本体1の外部に排出される。
【0052】
このとき、排気口31から排出された空気は、気体の一般的な特性により、四方八方に拡散される。そのため、図12のP3の矢印で示すように、排気口31から排出された空気の一部は、吸気口30の方向に向かって流れ、そのまま、吸気口30に取り込まれる。排気口31から排気される空気は、本体1の内部で暖められた空気である。そのため、吸気口30から取り込まれる外気に、暖められた空気が混入すると、吸気口30から取り込まれる空気の温度と本体1の内部の温度との温度差が低減する。その結果、本体1の内部を冷却する冷却性能が低下する。
【0053】
これに対して、実施の形態1および変形例1では、図9および図10に示すように、底面ケース8の外面部8aに、下方向Z2に突出した第1凸部材40を設けている。そのため、排気口31から排出された空気が、吸気口30から本体1の内部に取り込まれることを抑制することができる。その結果、本体1の内部を冷却した後の暖められた空気が、吸気口30から本体1の内部に再び取り込まれることを防止することができる。従って、吸気口30から取り込まれる空気の温度と本体1の内部の温度との温度差として、本体1の内部を冷却するのに十分な温度差が確保できる。そのため、図11および図12に示した参考例に比べて、本体1の内部を冷却する冷却性能が向上する。
【0054】
また、実施の形態1および変形例1では、図9および図10に示すように、吸気口30が、内釜5の中心点Aよりも本体1の背面側に配置され、排気口31が吸気口30よりも本体1の前面側に配置されている。このように、熱源である電源基板20の近傍に吸気口30を配置することで、吸気口30から取り込まれる冷却風を、電源基板20に効率よく当てることができる。また、排気口31を吸気口30の反対側に配置することで、本体1の内部に取り込まれた冷却風が、図6図8に示すように、本体1の内部全体を通過することができる。以上のことから、炊飯器100の冷却性能が、さらに向上する。
【0055】
また、図9に示すように、第1凸部材40は、底面ケース8の奥行き方向Yの全長に対して、底面ケース8の奥行き方向Yの全長の中心部分よりも、前面方向Y1よりに配置されている。そのため、第1凸部材40によって仕切られる範囲(領域)が、排気口31側の領域よりも、吸気口30側の領域が広くなっている。このように、第1凸部材40によって吸気口30側の領域の方が広くなるように仕切られているため、吸気口30に流れる気流の圧力損失が小さくなり、吸気口30に向かって外気が流れやすくなる。一方、排気口31から排出された気流は、第1凸部材40に沿って本体1の外部に向かって流れる。排気口31側の範囲は狭いため、すぐに、本体1の外部に到達し、迅速に本体1の外部に放出される。これにより、排気口31から排出された気流が、吸気口30側に向かって流れることをさらに抑制できる。その結果、炊飯器100の冷却性能をさらに向上させることができ、また、熱を持った排気空気が、吸気口30から再び炊飯器100の内部に取り込まれることを抑制することができる。
【0056】
また、図10に示した変形例1では、第1凸部材40が、底面ケース8の幅方向Xの左右端部まで配置されている。これにより、第1凸部材40が、排気口31から排出される空気と吸気口30から取り込まれる空気とを、より確実に分流することができるので、さらに、冷却性能が向上する。また、図10に示した変形例1では、排気口31から排出された気流が、第1凸部材40に沿って、底面ケース8の外周部まで流れる。このことで、外気よりも温度が高い放出気流の熱を外気に拡散させることができる。これにより、吸気口30が取り込む吸気口30近傍の外気の温度の上昇を抑制することができる。
【0057】
実施の形態2.
図13は、実施の形態2に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。実施の形態2においても、基本的に、第1凸部材40Aは幅方向Xに延設されているが、図13に示すように、第1凸部材40Aの少なくとも一部分が、幅方向Xに対して、排気口31の形成領域310に向けて、すなわち、奥行き方向Yの前面方向Y1側に向かって傾斜している。すなわち、第1凸部材40Aは、排気口31の近傍に配置され、且つ、排気口31の形成領域310の外周部に沿って配置されている。
【0058】
実施の形態2においては、第1凸部材40Aが、幅方向Xに延びた直線部40aと、直線部40aに接合された傾斜部40bとを有している。傾斜部40bは、直線部40aの幅方向Xの両端に設けられている。傾斜部40bは、幅方向Xを基準としたときに、幅方向Xに対して、奥行き方向Yの前面方向Y1に向かって、すなわち、排気口31に向かって、傾斜している。そのため、2つの傾斜部40bは、図13に示すように、奥行き方向Yの前面方向Y1に向かうにつれて、互いに離れる方向に傾斜している。また、直線部40aは、図13の例では、コードリール22の中央部分にのみ設けられているが、その限りではない。直線部40aは、例えば、コードリール22の幅方向Xの両端まで延びていてもよい。他の構成については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0059】
<実施の形態2の効果>
以上のように、実施の形態2では、第1凸部材40Aの少なくとも一部分である傾斜部40bが、幅方向Xに対して、排気口31の形成領域310に向かって傾斜している。これにより、排気口31から排出された気流が、第1凸部材40Aに沿って、吸気口30から離れる方向に向かって流れる。そのため、排気口31から排出された空気が、吸気口30から本体1の内部に取り込まれることを、さらに抑制することができる。その結果、吸気口30から取り込まれる空気の温度と本体1の内部の温度との温度差として、本体1の内部を冷却するのに十分な温度差が確保できる。そのため、本体1の内部を冷却する冷却性能の向上を図ることができる。
【0060】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。実施の形態3においては、図14に示すように、底面ケース8の外面部8aにおいて、第1凸部材40Bが、排気口31の近傍に配置され、且つ、排気口31の外周部に沿って配置されている。さらに、実施の形態3においては、内釜5の中心点A(図2参照)を中心として、放射状に延設された複数の第2凸部材41が設けられている。第2凸部材41は、板状部材から構成されている。第2凸部材41は、排気口31から排出された気流を、底面ケース8の外周方向に向けて整流する整流壁として機能する。
【0061】
第2凸部材41は、図14に示すように、内釜5の中心点A(図2参照)を中心として、放射状に延設されている。第2凸部材41は、内釜5の中心点A(図2参照)を中心として、内釜5の径方向に内釜5の外側に向かう方向に延びている。但し、第2凸部材41の延設方向は、第2領域802(図9参照)において、底面ケース8の内側から外側に向かって延びていればよい。そのため、第2凸部材41は、必ずしも、内釜5の中心点A(図2参照)を中心として、内釜5の径方向に内釜5の外側に向かう方向に延びていなくてもよい。
【0062】
図14の例では、底面ケース8にコードリール22が設けられているため、第2凸部材41は、コードリール22の側面を形成する外周面部から、底面ケース8の外周部に向かって延びている。第2凸部材41は、底面ケース8の外周部に到達する長さまで延びていてもよいが、図14に示すように、底面ケース8の外周部の近傍に到達する長さまで延びていてもよい。
【0063】
また、実施の形態3においては、第1凸部材40Bが、上記の実施の形態2で説明した第1凸部材40Aの傾斜部40b(図13参照)のように、幅方向Xに対して、排気口31に向かって傾斜している。なお、実施の形態3では、第1凸部材40Bが、コードリール22の側面を形成する外周面部から、底面ケース8の外周部に向かって延びているが、その限りではない。実施の形態3においても、実施の形態1および2と同様に、第1凸部材40Bの少なくとも一部分が、コードリール22とオーバーラップされて配置されていてもよい。
【0064】
他の構成については、実施の形態1または実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0065】
<実施の形態3の効果>
実施の形態3の効果について説明する。図15は、図14に対して、空気の流れを示す矢印を追加した図である。実施の形態3では、第2凸部材41が設けられている。そのため、排気口31から排気された気流は、第2凸部材41に沿って流れる。第2凸部材41は、内釜5の周方向に、複数並んで配置されている。そのため、排気口31から排気された気流は、第2凸部材41同士の間に形成された空隙の中を流れることになる。上記の図13に示した実施の形態2と比較すると、図14および図15では、排気口31から排気された気流が、図15の矢印Fで示すように、第2凸部材41同士の間に形成された狭い空隙の中を流れることになる。そのため、排気口31から排気された気流の風路は、第2凸部材41によって絞られる。その結果、排気口31から排気された気流の速度(風速)が速くなる。このように、実施の形態3では、排気口31から排気された気流の速度(風速)が速くなることで、排気口31から排気された気流が本体1の外部に向かって迅速に流れることになる。これにより、実施の形態3では、実施の形態1および2に比べて、排気口31から排気された気流を本体1の外部に向かって迅速に流すことができるため、さらに、冷却性能が向上する。
【0066】
以上のように、実施の形態3では、第1に、第1凸部材40Bが、排気口31の近傍で排気口31に沿って配置されている。すなわち、第1凸部材40Bは、実施の形態2で示した第1凸部材40Aと同様に、幅方向Xに対して、排気口31の形成領域310に向かって傾斜している。これにより、排気口31から排出された気流が、第1凸部材40Bに沿って流れる。そのため、排気口31から排出された空気が、吸気口30から本体1の内部に取り込まれることを、さらに抑制することができる。その結果、吸気口30から取り込まれる空気の温度と本体1の内部の温度との温度差として、本体1の内部を冷却するのに十分な温度差が確保できる。そのため、本体1の内部を冷却する冷却性能の向上を図ることができる。
【0067】
また、第2に、実施の形態3では、内釜5の中心点A付近から、底面ケース8の外周方向に向かって、第2凸部材41が配置されている。これにより、排気口31から放出された気流の風路が、第2凸部材41によって絞られるため、当該気流の風速が高くなる。これにより、当該気流が、本体1の外部に流れやすくなる。これにより、本体1の内部を冷却する冷却性能の向上を、さらに図ることができる。
【0068】
実施の形態4.
図16は、実施の形態4に係る炊飯器に設けられた底面ケースの構成を示す斜視図である。図16は、底面ケース8を高さ方向Zの下方向Z2から見た状態を示している。そのため、図16における上方向Z1と下方向Z2の向きが、図1および図2と逆になっていることに留意されたい。
【0069】
実施の形態4においては、図16に示すように、底面ケース8に、ユーザが本体1を把持するための1対の持手部82が設けられている。1対の持手部82は、底面ケース8の幅方向Xの両端部に配置されている。持手部82は、底面ケース8の外面部8aから、本体1の内側に向かって凹んだ凹形状に形成されている。すなわち、持手部82は、底面ケース8の外面部8aから、高さ方向Zの上方向Z1に向けて凹んでいる。
【0070】
図17は、実施の形態4に係る炊飯器に設けられた底面ケースの左右の持手部を模式的に示した平面図である。図17は、持手部82を高さ方向Zの下方向Z2から見た状態を示している。図17に示すように、持手部82は、全体として、平面視で、例えば台形形状を有している。持手部82は、本体1の内側に位置する内端部82aと、本体1の左右端に位置する外端部82bと、内端部82aと外端部82bとに接合された奥行き方向Yの両端に配置された1対の端部82cと、を有している。内端部82aと外端部82bとは、奥行き方向Yに延びている。一方、奥行き方向Yの両端に配置された端部82cは、幅方向Xに対して傾斜して配置されている。奥行き方向Yの背面方向Y2寄りに配置された端部82cと、奥行き方向Yの前面方向Y1寄りに配置された端部82cとは、本体1の外側に向かうにつれて、互いに離れる方向に傾斜している。すなわち、1対の端部82cは、それぞれ、内端部82aおよび外端部82bに交差する方向に延びている。なお、1対の端部82cは、それぞれ、内端部82aおよび外端部82bに直交する方向に延びていてもよい。その場合、持手部82は、平面視で、矩形形状になる。
【0071】
持手部82は、底面ケース8の外面部8aよりも上方向Z1に向かって凹んでいる。従って、持手部82の内端部82aおよび奥行き方向Yの両端に配置された1対の端部82cの部分は、図16に示すように、持手部82の外面が、底面ケース8の外面よりも、床面90から遠くなるように段差が形成されている。また、外端部82bの部分は、外側に向かって開口している。
【0072】
また、持手部82の下面を形成する外面部82dには、図16および図17に示すように、複数のリブ部83が設けられている。リブ部83は、ユーザが持手部82により本体1を把持したときのすべり止めとして機能する。リブ部83は、持手部82の外面部82dから、高さ方向Zの下方向Z2に向けて突出した凸形状を有している。すなわち、リブ部83は、床面90(図2参照)に向かう方向に突出している。リブ部83は、図17に示すように、平面視で、奥行き方向Yに延びている。リブ部83は、持手部82の内端部82aおよび外端部82bに平行になるように配置されており、リブ部83の長手方向は奥行き方向Yに延びている。リブ部83は、1つの持手部82に対して、複数個設けられている。図17の例では、1つの持手部82に対して、2つのリブ部83が設けられているが、任意の個数のリブ部83を設けるようにしてもよい。また、リブ部83同士は、予め設定された間隔を開けて、互いに離間して並んで配置されている。
【0073】
図17に示すように、リブ部83の奥行き方向Yの端部83aと持手部82の端部82cとの最短距離を、距離L3または距離L4とすると、リブ部83の端部83aと端部82cとの間には、平面視で、距離L3または距離L4を有する空間84が形成されている。すなわち、リブ部83は、持手部82の奥行き方向Yの前後方向の端部82cのそれぞれに接触していない。そのため、空間84は、気流が流れる風路として機能する。
【0074】
図18は、実施の形態4に係る炊飯器の概略構成を示す断面図である。図18は、炊飯器100の中央部をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面形状を示している。図18は、炊飯器100を、奥行き方向Yの前面側から見た状態を示している。また、図19は、図18の丸枠R部分を示した部分拡大図である。図19に示すように、持手部82の外面は、底面ケース8の外面部8aよりも、高さ方向Zの上方向に凹んでいる。そのため、持手部82と床面90との間の距離H1は、スペーサである脚部81によって形成される底面ケース8の外面部8aと床面90との間の距離H2(図2参照)よりも大きい。
【0075】
このように、実施の形態4では、底面ケース8の幅方向Xの左右端に配置され、底面ケース8の外面部8aから高さ方向Zの上方向に凹んだ凹形状の持手部82を設けている。そのため、持手部82と床面90との距離H1が、持手部82の形成領域以外の他の領域における底面ケース8の外面部8aと床面90との距離H2よりも大きい。そのため、持手部82の下方には、図19に示すように、空間85が形成されている。そのため、図16および図19の矢印Gで示すように、排気口31から放出された排気の気流が、空間85を通って、本体1の外部に向かって流れる。そのため、排気口31から放出された排気が、吸気口30に取り込まれることが、さらに抑制できる。また、持手部82を設けたことで、底面ケース8の外面部8aに対して拡大された空間85が形成されるので、排気口31から放出された空気の熱が拡散しやすくなり、排気の温度が迅速に低下する。そのため、吸気口30付近の温度の上昇を、より抑えることができる。
【0076】
また、実施の形態4では、図16に示すように、第1凸部材40が、底面ケース8の中央部分から幅方向Xに左右の持手部82まで延設されている。すなわち、第1凸部材40が、内釜5の中心点A付近から、左右の持手部82の形成領域に達する位置まで延設されている。そのため、第1凸部材40の働きにより、排気口31からの気流が吸気口30に向かって流れることを抑制できるとともに、吸気口30側に流れようとする気流を持手部82側に向かって整流することができる。これにより、排気口31から排出された排気の熱を拡散することができる。
【0077】
<実施の形態4の効果>
以上のように、実施の形態4では、底面ケース8の幅方向Xの左右端に、高さ方向Zの上方向Z1に向かって凹んだ凹形状の持手部82が設けられている。このように、底面ケース8の左右端に、排気口31が形成された領域と連通する凹形状の持手部82を設けることで、持手部82部分の空間85が拡大され、排気口31から排出された排気の熱が迅速に拡散される。その結果、吸気口30付近の外気の温度が上昇することを防止できる。そのため、吸気口30から暖められた空気が炊飯器100の内部に取り込まれることがないため、炊飯器100の冷却性能がさらに向上する。
【0078】
また、実施の形態4では、図16に示すように、第1凸部材40が、底面ケース8の中央部分から幅方向Xに左右の持手部82まで延設されている。これにより、排気口31から排出された気流が第1凸部材40に沿って流れるので、当該気流が吸気口30に向かって流れることを抑制することができる。また、第1凸部材40に沿って当該気流が流れることで、吸気口30に向かう気流を持手部82の方向に整流することができる。持手部82部分の空間85は大きいため、排気口31から排出された気流の熱を迅速に拡散することができる。
【0079】
さらに、実施の形態4では、持手部82に、奥行き方向Yに延設されたリブ部83が設けられている。リブ部83の奥行き方向の両端は、持手部82の奥行き方向Yの両端の端部82cに接触していない。そのため、リブ部83の奥行き方向の両端は、持手部82の奥行き方向Yの両端の端部82cとの間には、図17に示すように、空間84が形成されている。リブ部83を持手部82の奥行き方向Yの両端の端部82cまで延長させないことで、空間84が排気の風路となる。そのため、排気による熱がリブ部83同士の間などに溜まることを抑制することができる。このように、持手部82に形成されたリブ部83はすべり止めとして機能するとともに、リブ部83の奥行き方向Yの両端に形成された空間84の働きにより、持手部82部分の温度上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 本体、2 内ケース、3 誘導加熱コイル、4 温度センサ、5 内釜、6 ヒンジ部、7 蓋体、7a 外蓋、7b 内蓋、8 底面ケース、8a 外面部、9 蓋ヒータ、20 電源基板、21 冷却ファン、22 コードリール、23 電源プラグ、24 操作表示部、25 操作基板、30 吸気口、31 排気口、32 放熱フィン、32a 放熱部材、40 第1凸部材、40A 第1凸部材、40B 第1凸部材、40a 直線部、40b 傾斜部、41 第2凸部材、50 フランジ部、50a 水平部、50b 垂直部、60 蓋開放ボタン、81 脚部、82 持手部、82a 内端部、82b 外端部、82c 端部、82d 外面部、83 リブ部、83a 端部、84 空間、85 空間、90 床面、100 炊飯器、204 背面部、205 部品、300 形成領域、310 形成領域、801 第1領域、802 第2領域、A 中心点、B 矢印、C1 矢印、C2 矢印、D 矢印、E 矢印、E1 矢印、E2 矢印、F 矢印、G 矢印、H1 距離、H2 距離、L1 長さ、L2 長さ、L3 距離、L4 距離、P1 矢印、P2 矢印、X 幅方向、X1 右方向、X2 左方向、Y 奥行き方向、Y1 前面方向、Y2 背面方向、Z 高さ方向、Z1 上方向、Z2 下方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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