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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20250117BHJP
   H01R 41/00 20060101ALI20250117BHJP
   H01R 25/14 20060101ALI20250117BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F21V23/00 160
H01R41/00 D
H01R25/14
F21V21/34 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022084369
(22)【出願日】2022-05-24
(65)【公開番号】P2023172514
(43)【公開日】2023-12-06
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】池永 遼
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138677(JP,A)
【文献】特開2014-023240(JP,A)
【文献】国際公開第2018/128170(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206211238(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
H01R 41/00
H01R 25/00
F21V 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライティングダクトに取り付けられるプラグを備えた照明器具であって、
前記プラグは、
前記ライティングダクトの長手方向に沿った開口部から挿通される筒部と、
前記筒部に配置され、前記ライティングダクトに係合する係合機構と、
前記ライティングダクトに電気接続する接触子と、
前記接触子に電気接続した配線とを備え、
前記照明器具が前記ライティングダクトに取り付けられたときに、前記筒部内側の前記ライティングダクト内に位置する部分に、前記接触子と前記配線との接続部分の少なくとも一部が収容される収容部を設けた、
照明器具。
【請求項2】
前記筒部は、外方に曲がった部分を備え、
前記外方に曲がった部分の内側に前記接続部分が配される、
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記プラグは前記筒部から前記外方に突出する取付爪部を備え、
前記外方に曲がった部分は、前記筒部において前記取付爪部の基端に繋がる部分である、
請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記プラグは、レール部と、
前記プラグを脱着可能なレバーを備え、
前記レバーは、ランナー部を備え、
前記レール部と前記ランナー部が係合することで前記レバーが前記プラグの上下方向に動くことが可能となる、
請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記プラグを前記ライティングダクトに取り付けたときに、前記レバーの外周形状により、前記プラグの回転を妨げ、前記ライティングダクトからの脱落を防止する、
請求項4に記載の照明器具
【請求項6】
前記プラグは、複数のパーツを組み合わせることで形成され、
前記複数のパーツは、前記プラグの上面部に配置されたネジにより固定される、
請求項1記載の照明器具。
【請求項7】
前記プラグは、2つの前記接触子と、
前記接触子の側部に配置された絶縁板部と、
前記接触子の上側に配置された上蓋部を備え、
前記絶縁板部と前記上蓋部は一体成形され、前記接触子相互の絶縁距離を延長する、
請求項1記載の照明器具。
【請求項8】
前記プラグは、
前記配線を収容する配線収容部を備え、
前記筒部及び前記配線収容部は、複数のパーツを組み合わせることで形成され、
前記筒部または前記配線収容部の内壁部に対向した凸状部位を備え、
前記配線は、前記筒部あるいは前記配線収容部に配置され、
前記複数のパーツを組み合わせたときに、前記凸状部位が前記配線を挟み込むことで前記配線の張力止めとなる、
請求項1記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライティングダクトなどに取り付け可能な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、ライティングダクトに着脱自在に装着可能な照明器具が使用されている。特許文献1に、ライティングダクトとこれに装着されるプラグに関する照明器具が開示されている。以下、ライティングダクトは、ダクトレール、ダクト、レールということがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-346961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライティングダクトに照明器具を装着する場合、プラグ(照明器具の一部)を用いることが多い。このプラグは、配線、導電金具、装着機構及び光源部の保持などの機能を備える必要があるため、一定の大きさが必要である。しかしながら、このプラグが大きいとプラグが目立ち、建築空間に馴染まないといった不都合が生じる。
【0005】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、照明器具のプラグを小型化し、空間に馴染む意匠(見映え)を備えた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る照明器具は、ライティングダクトに取り付けられるプラグを備えた照明器具であって、前記プラグは、前記ライティングダクトに電気接続する接触子と、前記接触子に電気接続した配線と、筒部を備え、前記接触子と前記配線の接続部分の少なくとも一部が、前記プラグを前記ライティングダクトに取り付けたときに、前記筒部内の前記ライティングダクト内に位置する部分に配される。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成により、ライティングダクトに取り付けるプラグを、配線、導電金具、装着機構などの必要な機能を備えたうえで小型化し、空間に馴染む意匠を備えた照明器具を提供することができる効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具900を右上方から見た斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るプラグ100の上面図である。(A断面及びB断面を図示)
図3】本発明の第1の実施形態に係る照明器具900をライティングダクトDに取り付けた状態の右側面図である。
図4】(a)ライティングタクトDの正面図である。(b)本発明の第1の実施形態に係る照明器具900をライティングダクトDに取付けた状態のプラグ100周辺の正面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るプラグ100からベース1、レバー3、バネ7及びネジ取り外した状態の前方斜視図である。
図6】(a)本発明の第1の実施形態に係るプラグ100からベース2及びナット6を取り外した状態の後方斜視図である。(b)本発明の第1実施形態に係るプラグ100において、接触子4がベースBに保持された様子を示す断面側面図である。
図7】(a)本発明の第1の実施形態に係る接触子4の上方斜視図である。(b)同接触子4に電線8を接続した状態の上方斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るプラグ100のA断面図である。
図9】(a)本発明の第1実施形態に係るベース1及びレバー3の組立前の上方斜視図である。(b)同B断面斜視図である。(c)ベース1及びレバー3の組立後のB断面斜視図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係るプラグ100のB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る照明器具1ついて図面を参照しながら説明する。なお方向の記載は、特に断りのない限り、図1及び図2の白抜き矢印に示すようにレバー3が配されている側を照明器具の正面とし、各図面における上下左右に準ずる。また、ライティングダクトは天井水平面に設置されているものとする。
【0010】
<1.第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る照明器具900について図面を参照しながら説明する。
照明器具900は、一例として、図3に示すように、ライティングダクトDに取付けられ、床面側を照らす照明器具である。照明器具900は、図1に示すように、ライティングダクトDに係合するプラグ100を備える。ここで、プラグ100は、従来より小型化されており、これにより、照明器具900では、空間に馴染む意匠を実現している。
以下、まず、ライティングダクトDについて説明し、次いで、照明器具900について、詳細に説明する。
【0011】
<1.1.ライティングダクトD>
ライティングダクトは、一般的に天井に直接設置、あるいは天井から吊り下げられ、照明器具などの電気設備を設置するための長尺のレール形状の部材である。ライティングダクトDは、図4(a)及び(b)に示すように、レール部Dr、導体Dc及び開口部Deを備える。
レール部Drは、照明器具1を係合するための長尺のレール形状であり、概ね樹脂製の部材である。接続導体Dcは、外部から供給される電力を照明器具に伝えるための導体であり、ライティングダクトのレール形状に沿って、長尺状に配置されている。ライティングダクトDの下面には、照明器具1を設置するための開口部Deが配置されている。
【0012】
<1.2.照明器具900>
照明器具900は、図1から図3に示すように、器具本体800及びプラグ100を備える。
<1.2.1.器具本体800>
器具本体800は、一般的なスポットライトであり、灯体部81及びアーム部82を備える。灯体部81は、光源等を備えた筒状の金属筐体である。アーム部82は、筒状の金属筐体であり、筒状部分に光源に電力を供給するための配線を備える。
【0013】
<1.2.2.プラグ100>
プラグ100は、ライティングダクトDに取り付けられる部分であり、ベースB、レバー3、接触子4L及び4R並びにネジ5L及びネジ5Rを備える。また、ベースBは、取付爪部111L及び111R(以下、「取付爪部111」と総称する。)を備える。さらに、プラグ100は、図5から図10に示すようにナット6、バネ7、配線8及び半田9を備える。以下、接触子4L及び4Rを接触子4、ネジ5L及び5Rをネジ5ということがある。
図4(b)に示すように、照明器具900のプラグ100の接触子4が導体Dcに電気接続されるように取り付けられる。このとき、取付爪部111がレール部Drに係合し配置されることにより、照明器具900が落下することなくライティングダクトDに保持される。
【0014】
また、図6(a)に示すレバー3の幅方向の端部、すなわちレバー3が備えるランナー部36の端部がライティングダクトDの開口部の幅方向に収まるように配置されることにより、プラグ100が水平方向に不用意に回転し、取付爪部111がレール部Drから外れ、照明器具900が落下するのを防止している。
ネジ5は、ナット6と締結されることで、ベース1及びベース2を組み合わせ固定する部品である。
バネ7は、図10に示すように、レバー3とベース1の間に配置され、レバー3の上面がベース1の上面より、弾性力で突出するように保持する部品である。
配線8は、半田9により接触子4と電気接続され、電源から配線孔WHを通り、灯体部800に電力を供給する電線である。配線8と接触子4を半田9により電気接続した部位を半田接続部9cということがある。
【0015】
<1.2.2.1.ベースB>
ベースBは、樹脂製の筐体であり、図5図6(a)及び図8に示すように、配線8及び接触子4などを収容する。また、配線8及び接触子4などを収容するための、筒部Bc、配線収容部Wc、保持部収容部Hc、半田収容部Sc及び配線孔WHを備える。
筒部Bcは、図8に示すように、上面部Buより上側の筒状の部位であり、半田収容部Scを備える。半田収容部Scは、図8に示すように、半田接続部9cを収容する部位である。
配線収容部Wcは、図8に示すように、配線8を収容する部であり、上面部Buの下側に配されている。配線孔WHは、灯体部からの配線8を通す孔である。
保持部収容部Hcは、接触子4の保持部43を収容する部位である。本実施形態では図8に示すように、大部分は、上面部Buの下側に位置するが、筒部Bcと重なる場合もある。
【0016】
ベースBは、図5に示すベース1、及び図6(a)に示すベース2に分離可能に構成されており、図1に示すように、取付爪部111L、取付爪部111R、及び上蓋部22を備える。
取付爪部111L及び取付爪部111Rは、プラグ100がライティングダクトDcから脱落しないようにレール部Drに係合する略直方形状の部位である。ベースBがベース1及びベース2に分離される場合には、取付爪部111Lは、ベース1側の取付爪要素部11L及びベース2側の取付爪要素部21Lに分離し、取付爪部111Rは、ベース1側の取付爪要素部11R及びベース2側の取付爪要素部21Rに分離する。
上蓋部22は、接触子4の上側に配置され接触子4を保護するとともに、上部の電気的絶縁距離を確保するための平板状の部位である。ベースBがベース1及びベース2に分離される場合に、ベース2側に位置する。
ベース1及び2は、相互に篏合するように成型されており、組み立てた後にネジ5とナット6で固定される。ネジ5はプラグ100の上面側に配置されている。こうすることで、照明器具1をライティングダクトDに取り付けたときに、外観上、ネジ5は見えないため、照明器具1の見映えを良くすることができる。
ベースBの内部構造の詳細は後述する。
【0017】
<1.2.2.2.レバー3>
レバー3は、照明器具900をライティングダクトDから取り外す際に、プラグ100の水平方向の回転防止状態を解除するときに操作する樹脂製の部材である。レバー3は、図9(a)、(b)及び(c)並びに図10に示すようにランナー部36、バネ保持部37及びフック部38を備える。
ランナー部36は、レール部16と篏合し、レバー3が垂直方向に、ずれることなく円滑に可動するための凸状の部位である。バネ保持部37は、図10に示すように、バネ7の内部に突入し、バネ7を保持する凸状の部位である。フック部38は、ベース1のフック部18と相互に係合し、レバー3がベース1から抜けてしまうのを防止するための鉤状の部位である。
【0018】
<1.2.2.3.接触子4>
接触子4は、照明器具900がライティングダクトDに取り付けられた際に、導体Dcに接触することで、器具本体800に電力を供給可能にするための導電性を備えた金属部材であり、バネ性を備えた板状部材を曲げ加工したものである。接触子4は、図7(a)及び(b)に示すように、導体接続部41、挿入孔42及び保持部43並びに平板部41P、42P及び43Pを備える。
【0019】
導体接続部41は、導体Dcと接触する部位であり、挿入孔42は、配線を接続するための孔であり、保持部43は、接触子4の外縁に設けられた窪みであり、ベースに対する被保持部である。平板部41Pは、導体接続部41を含む平板状の部位である。平板部42Pは、挿入孔42が配置された平板状の部位である。平板部43Pは、保持部43が配置された平板状の部位である。
本実施形態では、接触子4と配線8の電気接続は、挿入孔42に配線8を挿入することによるが、電気接続の方法は、これに限らない。いずれかの平板部に配線8が電気接続されれば足りる。
【0020】
<1.2.3.ベースBの内部構造>
ベースBは、上述の通りベース1及びベース2に分離可能に構成されている。
ベース1は、図6図9(a)、(b)及び(c)並びに図10に示すように、取付爪要素部11L及び11R、張力止め部15、接触子保持部14、レール部16、バネ保持部17並びにフック部18を備える。以下、取付爪要素部11L及び11Rを取付爪要素部11ということがある。
張力止め部15は、図10に示すように、配線8に掛かる引張応力が半田接続部9cに掛からないように防止する凸状の部位であり、ベース2が備える張力止め部25とで配線8を挟み込むことにより張力止めの機能を発揮する。
接触子保持部14は、図6(a)及び図6(b)に示すように、凸状の部位であり、保持部43の窪みに嵌り込んで係合し、これにより接触子4はベース1に保持される。
レール部16は、図9(a)に示すように、ランナー部36と篏合し、レバー3がベース1に対してずれることなく円滑に可動するための凹状レール部位である。
バネ保持部17は、図9(b)及び図10に示すように、バネ7の内部に突入してバネ7を保持する凸状の部位である。
フック部18は、図9(b)及び図9(c)に示すように、レバー3のフック部38と相互に係合し、レバー3をベース1に保持する鉤状の部位である。
【0021】
ベース2は、図5及び図8に示すように、取付爪要素部21L及び21R、上蓋部22、絶縁板部23、接触子保持部24、張力止め部25、支点部29u並びに支点部29lを備える。以下、取付爪要素部21L及び21Rを取付爪要素部21、支点部29u及び29lを支点部29ということがある。
取付爪要素部21は、プラグ100がライティングダクトDcから脱落しないようにレール部Drに係合する略直方形状の部位である。
絶縁板部23は、2つの接触子4相互の電気的絶縁を確保するための平板状の部位である。
接触子保持部24は、図8に示すように、凸状の部位であり、保持部43の窪みに嵌り込んで係合し、これにより接触子4がベース1に保持される。接触子保持部24及び保持部43の係合の様子は、図6(a)に示す接触保持部14と保持部43と同様である。
張力止め部25は、図10に示すように、配線8に掛かる引張応力が半田接続部9cに掛からないように防止する凸状の部位であり、張力止め部15とで配線8を挟み込む。
支点部29は、図8に示すように、照明器具1をライティングダクトDに取り付けたときに、接触子4に掛かる応力を受ける支点となる凸状の部位である。
【0022】
ベースBは、図5及び図6に示すように、内部に、配線8、半田9、ナット6を収容する。配線8は、器具本体からの電気配線であり、半田9により接触子4と電気接続されている。半田9と接触子4の電気接続の様子は、図7(a)及び(b)に示すように、配線8の導体を挿入孔42に挿入し、半田で電気接続する。半田9は、円錐台状にフィレット形成されている。この部分を、半田接続部9cということがある。
【0023】
2つの接触子4は、図8に示すように、保持部43を下側に、導体接続部41を外側にして対向した様子でベース2に配置されている。
ここで、保持部43は図6(a)及び図8に示すように、ベースBの保持部収容部Hcに配置され、接触子保持部14及び12の凸状部位が、保持部43の凹みに係合された様子で保持されている。このため接触子4は上下方向にずれることがない。
【0024】
半田収容部Scは、図5図6(a)及び図8に示すように、筒部Bcの内壁が外方に曲がった部分に配置されており、半田収容部Scには、半田接続部9cが配置されている。
ここで、筒部Bcから、取付爪部111(すなわち、取付爪要素部11及び21)が外方に突出した様子で配置されており、その基端と半田収容部Scとが繋がっている。その様子は、取付爪部111の裏面側に配置されているとも言える。
半田収容部Scの形状は、半田接続部9cの円錐台状フィレットに、概ね沿うように成型されている。さらに、半田収容部Scは、保持部収容部Hcを形成する略垂直方向の面(図8のHp)を含んで上側に拡張した面に対して、外側に曲がった様子で成型されている。
このように取付爪要素部11、実質的には取付爪部111の裏面側に、半田接続部9cを収容する半田収容部Scを配置すると、一般的に採用されるような、接触子と配線の接続部をベースBの下側の配線収容部Wcに配置するよりも、プラグの高さ方向(図8に示すh)を低くすることができプラグの小型化に寄与している。このとき、プラグ100をライティングダクトDに取り付けた状態では、半田接続部9c(すなわち接触子4と配線8の接続部分)の少なくとも一部が、筒部Bc内のライティングダクトD内に位置する状態となる。
なお、本実施形態では、半田収容部Scが、筒部Bcの内壁が外方に曲がった部分に配置され、その部分に半田接続部9cを配置しているが、必ずしも筒部Bcの内壁が外方に曲がった部分に半田接続部9cを配置する必要はなく、半田接続部9cの少なくとも一部を取付爪部111の基端の裏面側に配置すれば足りる。一例として、配線を配線挿入孔に通さずに、接触子に直接溶接した配線接続部を設けて、筒部の内壁を外方に曲げることなく、配線接続部を取付爪部の裏面側に配置してもよい。
【0025】
接触子4は、図7(a)及び(b)に示すように、平板部41Pが平板部43Pに対して、略垂直方向に曲げ加工されている。平板部42Pは、平板部41Pに対し鋭角に曲げ加工されており、平板部43Pに対し鈍角に曲げ加工されている。
このように接触子4を曲げ加工することで、2つの接触子4を導体接続部41が外側にある状態で対向してベースBに配置したときに、半田接続部9c及び半田収容部Scを、ベースBのより内側に配置することができる。このように配置することで、図8に示すように、ベースBの取付爪要素部21、実質的には取付爪部111の周辺の外壁厚さを確保することができ効率よく取付爪部111の裏面(ベースB内面側)に配置することができ、プラグの高さ(図8に示すh)を低くして小型化することが可能となる。
【0026】
接触子4、配線8の異極間絶縁は、配置による空間絶縁と、配線の被覆絶縁によるほか、上蓋部22、絶縁板部23により補完されている。絶縁板部23は、下側に延長してもよい。
【0027】
配線は、図10に示すように、張力止め部15及び25で挟持されることで張力止めされ、半田接続部9cなどに応力が掛かることを防止している。この挟持方法は、一般的な配線のラビリンス構造に比べ、配線に係る内部容積を小さくすることができ、プラグ小型化に寄与している。なお、張力止め部15及び25は、配線収容部Wc又は筒部Bcのどちらに配置してもよい。
【0028】
<1.2.4.レバー3の機能>
レバー3は、図1及び図2に示すように、正面方向に配置されており、ちょうど上面視で、取付爪部111と重ならない位置に配置されている。
図9(a)に示すように、レバー3は、ベース1の上面部Buの上方から、ランナー部36がレール部16に沿うように挿入される。ランナー部36及びレール部16が相互に係合しているため、レバー3がベース1に対して、ずれることなく挿入され、さらに、上下方向にスムーズに可動することができる。さらに挿入していくと、鉤状のフック部38がベース1のフック部18と係合され、レバー3がベース1から不用意に脱落することがない。このとき、図10に示すように、バネ7をバネ保持部17及び37に保持された状態で配置することで、ベース1とレバー3の配置は、図9(C)及び図10に示すように、レバー3が、ベース1の上面部Buよりも上側に突出している状態で係合する。以下、この係合状態を「ロック状態」という。
【0029】
照明器具1をライティングダクトDに取り付けた状態では、ロック状態となっており、図4(b)に示すように、ランナー部36が、ちょうど開口部Deに収まる。このロック状態では、レバー3を押し下げない限り、プラグ100を水平方向に回転させることができないために、ライティングダクトDに対し照明器具1を脱着することができず、照明器具1の不用意な脱落を防止することができる。
【0030】
本実施形態では、ランナー部36が凸形状、レール部16が凹形状であるが、これに限らず、双方が係合状態であれば足りる。一例として、ランナー部が凹形状、レール部が凸形状でもよい。
【0031】
本実施形態では、レバー3は、バネ7により押し下げ続けない限りロック状態を維持するが、これに限らず、所要の押下力でロック状態が解除できれば足りる。一例として、レバーとベースの係合をバネを用いずに嵌め込みや摩擦力によってロック状態を維持し、所要の押下力でロック状態が解除できるようにしてもよい。
【0032】
<2.発明の抽出>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明器具の構成及びその変形例と効果について説明する。
【0033】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、ライティングダクトに取り付けられるプラグを備えた照明器具であって、前記プラグは、前記ライティングダクトに電気接続する接触子と、前記接触子に電気接続した配線と、筒部を備え、前記接触子と前記配線の接続部分の少なくとも一部が、前記プラグを前記ライティングダクトに取り付けたときに、前記筒部内の前記ライティングダクト内に位置する部分に配された照明器具である。
【0034】
この構成によれば、プラグ内部の配線、導電金具などをライティングダクト内に位置する部分に収めることで、必要な機能を備えたうえでプラグを小型化し、空間に馴染む意匠を備えた照明器具を提供することができる。
【0035】
(2)前記筒部は、外方に曲がった部分を備え、前記外方に曲がった部分の内側に前記接続部分が配される前記(1)記載の照明器具としてもよい。
としてもよい。
【0036】
この構成によれば、前記(1)の効果を備えながら、電気接続部分を曲がった部分に配置することができ、プラグの高さを低くすることが可能な照明器具を提供することができる。
【0037】
(3)前記プラグは前記筒部から外方に突出する取付爪部を備え、前記外方に曲がった部分は、前記筒部において前記取付爪部の基端に繋がる部分である前記(2)記載の照明器具としてもよい。
【0038】
この構成によれば、前記(2)の効果を備えながら、筒部の外方に曲がった部分と取付爪部の基端につながる部分が共有されていることで、プラグの高さを低くすることが可能な照明器具を提供することができる。
【0039】
(4)ライティングダクトに取り付けられるプラグを備えた照明器具であって、前記プラグは、前記ライティングダクトに電気接続する接触子と、配線と、前記接触子と前記配線とを電気接続した配線接続部を備え、前記接触子は、複数の平板部を備え、前記平板部の一つは、前記ライティングダクトからの電源の供給を受ける導体接続部を備え、前記平板部の別の一つは、前記配線接続部を備え、前記平板部の一つと前記平板部の別の一つのなす角は鋭角である照明器具である。
【0040】
この構成によれば、プラグ内部の接触子を適切に折り曲げることで、導体接続部の収容スペースを確保し、必要な機能を備えたうえでプラグを小型化し、空間に馴染む意匠を備えた照明器具を提供することができる。
【0041】
(5)前記プラグは、レール部と、前記プラグを脱着可能なレバーを備え、前記レバーは、ランナー部を備え、前記レール部と前記ランナー部が係合することで前記レバーが前記プラグの上下方向に可動可能となる前記(1)又は前記(4)記載の照明器具としてもよい。
【0042】
この構成によれば、前記(1)又は前記(4)の効果を備えながら、脱着可能なレバーによりプラグを上下方向に可動可能な状態にすることができ、ライティングダクトにスムーズに脱着可能な照明器具を提供することができる。
【0043】
(6)前記プラグを前記ライティングダクトに取り付けたときに、前記レバーの外周形状により、前記プラグの回転を妨げ、前記ライティングダクトからの脱落を防止する前記(5)記載の照明器具としてもよい。
【0044】
この構成によれば、前記(5)の効果を備えながら、ライティングダクトからの脱落を防止する照明器具を提供することができる。
【0045】
(7)前記プラグは、複数のパーツを組み合わせることで形成され、前記複数のパーツは、前記プラグの上面部に配置されたネジにより固定される前記(1)又は前記(4)記載の照明器具としてもよい。
【0046】
この構成によれば、前記(1)又は前記(4)の効果を備えながら、複数のパーツを固定するネジを、プラグの上面部に配置することで、照明器具をライティングダクトに取り付けたときに、外観上、ネジが見えなくなり、見映えを良くする照明器具を提供することができる。
【0047】
(8)前記プラグは、2つの前記接触子と、前記接触子の側部に配置された絶縁板部と、前記接触子の上側に配置された上蓋部とを備え、前記絶縁板部と前記上蓋部は一体成形され、前記接触子相互の絶縁距離を延長する前記(1)又は前記(4)記載の照明器具としてもよい。
【0048】
この構成によれば、前記(1)又は前記(4)の効果を備えながら、電気接続部の接触子相互の絶縁距離を延長する照明器具を提供することができる。
【0049】
(9)(10)前記プラグは、筒部と、前記配線を収容する配線収容部を備え、前記筒部及び前記配線収容部は、複数のパーツを組み合わせることで形成され、前記筒部または前記配線収容部の内壁部に対向した凸状部位を備え、前記配線は、前記筒部あるいは前記配線収容部に配置され、前記複数のパーツを組み合わせたときに、前記凸状部位が前記配線を挟み込むことで前記配線の張力止めとなる前記(1)又は前記(4)記載の照明器具としてもよい。
【0050】
この構成によれば、前記(1)又は前記(4)の効果を備えながら、複数のパーツを組み合わせたときに、配線の張力止めが可能な照明器具を提供することができる。
【0051】
このように、本発明はここで記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。

【符号の説明】
【0052】
100 プラグ
1、2、B ベース、パーツ
111,111L、111R 取付爪部
11、11L、11R 取付爪要素部
14 接触子保持部
15 張力止め部
16 レール部
17 バネ保持部
18 フック部
21、21L、21R 取付爪要素部
22 上蓋部
23 絶縁板部
24 接触子保持部
25 張力止め部
29、29u、29l 支点部
Bc 筒部
Sc 半田収容部
Hc 保持部収容部
Wc 配線収容部
Bu 上面部
WH 配線孔
3 レバー
36 ランナー部
37 バネ保持部
38 フック部
4、4L、4R 接触子
41 導体接続部
41P 平板部
42 挿入孔、配線挿入孔
42P 平板部
43 保持部
43P 平板部
5、5L、5R ネジ
6 ナット
7 バネ
8 配線
9 半田
9C 半田接続部、配線接続部
800 器具本体
81 灯体部
82 アーム部
900 照明器具
D ライティングダクト
Dr レール部
Dc 導体
De 開口部

図1
図2
図3
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図10