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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】制御装置、飛行体システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 19/02 20060101AFI20250117BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20250117BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20250117BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20250117BHJP
   B64D 9/00 20060101ALI20250117BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20250117BHJP
   B64U 101/60 20230101ALN20250117BHJP
【FI】
B64C19/02
B64C13/20 Z
B64C27/04
B64C39/02
B64D9/00
B64U10/13
B64U101:60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022146109
(22)【出願日】2022-09-14
(65)【公開番号】P2024041350
(43)【公開日】2024-03-27
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古関 明
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-509697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188724(US,A1)
【文献】米国特許第11319069(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0047698(US,A1)
【文献】特開2002-068091(JP,A)
【文献】特開2019-083829(JP,A)
【文献】特表2018-505094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/20
B64C 19/02
B64C 27/04
B64C 39/02
B64D 9/00
B64U 10/13
B64U 101/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を連携して輸送する複数の無人飛行体とは別体に設けられる制御装置であって、
前記無人飛行体と通信を行う通信部と、
複数の前記無人飛行体への荷重をそれぞれ検出するセンサと、
複数の前記無人飛行体にそれぞれ飛行指示を出すことにより、複数の前記無人飛行体の飛行制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記積載物の重心位置、及び、前記センサで検出される複数の前記無人飛行体に加えられる荷重に基づいて前記無人飛行体の飛行制御を行う
制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記積載物とともに複数の前記無人飛行体に支持されており、
前記制御部は、前記制御装置の移動目標又は姿勢目標に基づいて前記無人飛行体に飛行指示を出す
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は飛行能力を有していない
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
記制御部は、前記無人飛行体への荷重が許容積載量を超えないように前記無人飛行体の飛行制御を行う
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
積載物を連携して輸送する複数の無人飛行体と、
複数の前記無人飛行体とは別体に設けられ、複数の前記無人飛行体にそれぞれ飛行指示を出すことにより、複数の前記無人飛行体の飛行制御を行う制御装置と、
を備え
前記制御装置は、
前記無人飛行体と通信を行う通信部と、
複数の前記無人飛行体への荷重をそれぞれ検出するセンサと、
複数の前記無人飛行体にそれぞれ飛行指示を出すことにより、複数の前記無人飛行体の飛行制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記積載物の重心位置、及び、前記センサで検出される複数の前記無人飛行体に加えられる荷重に基づいて前記無人飛行体の飛行制御を行う
飛行体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置、飛行体システムに関し、特に複数の無人飛行体によって積載物を輸送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のヘリコプターで積載物を吊架して輸送するシステムが記載されている。このシステムでは、1機をマスター機、他機をスレーブ機とし、マスター機によってスレーブ機が飛行制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-30431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の無人飛行体(例えばドローン)で積載物を連携して輸送する場合、複数の無人飛行体に対して同一の飛行指示を出すことで、複数の無人飛行体に同一の動作をさせることが考えられる。
しかしながら、現実的には複数の無人飛行体は個体差があるため、同一の飛行指示を出しても同一の動作をするとは限らない。
【0005】
そのため、複数の無人飛行体を別々に制御する必要があるが、各無人飛行体が積載物及び他の無人飛行体の状況を考慮して飛行制御を行うとなると、各無人飛行体での計算負荷が増加してしまい、非効率となってしまうおそれがあった。
【0006】
本提案はこのような背景に基づいて発明されたもので、積載物を連携して運搬する複数の無人飛行体を効率的に飛行制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置は、積載物を連携して支持する複数の無人飛行体とは別体に設けられる制御装置であって、複数の前記無人飛行体と通信を行う通信部と、複数の前記無人飛行体への荷重をそれぞれ検出するセンサと、複数の前記無人飛行体に飛行指示を出すことにより前記無人飛行体の飛行制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記積載物の重心位置、及び、前記センサで検出される複数の前記無人飛行体に加えられる荷重に基づいて前記無人飛行体の飛行制御を行う
これにより、積載物を連携して輸送する複数の無人飛行体を独立した制御装置によって飛行制御することができる。
【発明の効果】
【0008】
このような本発明によれば、積載物を連携して輸送する複数の無人飛行体を効率的に飛行制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の飛行体システムを説明する図である。
図2】ドローンの斜視図である。
図3】ドローンの内部構成を示した図である。
図4】制御装置の内部構成を示した図である。
図5】前進時の制御を説明する図である。
図6】左旋回時の制御を説明する第1の図である。
図7】左旋回時の制御を説明する第2の図である。
図8】変形例の飛行体システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.飛行体システム>
図1は、本実施形態の飛行体システム1を説明する図である。図1に示すように、飛行体システム1は、複数のドローン2を備えている。ドローン2は、無人飛行体としての一例であり、本実施形態では4機設けられている。なお、ドローン2は、複数(2以上)設けられていればよく、その数は問わない。
【0011】
ドローン2の下部には、ワイヤや金属棒等でなる支持機構3が吊り下げられている。支持機構3の下端には、積載物コンテナ4が取り付けられている。本実施形態では、積載物コンテナ4の四隅にそれぞれ支持機構3が取り付けられている。
【0012】
積載物コンテナ4には、輸送対象である積載物5、及び、ドローン2の飛行制御を行う制御装置6が搭載されている。従って、ドローン2は、支持機構3及び積載物コンテナ4を介して積載物5及び制御装置6を支持している。
【0013】
飛行体システム1では、進行方向側(前方)に2機のドローン2が並んで配置され、後退方向側(後方)に2機のドローン2が並んで配置されている。また、各ドローン2もそれぞれ進行方向を向くように制御されている。そして、各ドローン2は、それぞれの配置位置(位置関係)を維持して飛行するようになされている。
【0014】
飛行体システム1では、操縦者によって操作される送信機7からの飛行指示が制御装置6に送信される。
飛行指示には、上昇及び下降を指示するスロットル、旋回を指示するラダー、前進及び後退を指示するエレベーター、左右方向への移動を指示するエルロンの4種類が含まれている。送信機7は、操縦者によって操作子が操作されると、操作された操作子に対応する飛行指示を制御装置6に送信する。
【0015】
制御装置6は、送信機7から操作指示を受信すると、受信した操作指示、及び、後述する各種センサ等(センサ及びモジュール)で取得された情報に基づいて、4機のドローン2に飛行指示を送信する(出す)ことで、4機のドローン2の飛行制御を行う。なお、制御装置6からドローン2に送信される飛行指示は、送信機7から送信される飛行指示と同様に、スロットル、ラダー、エレベーター及びエルロンの4種類が含まれている。
【0016】
飛行体システム1では、複数(4機)のドローン2によって積載物5を支持するため、1機のドローン2によって積載物5を支持する場合と比べ、より重い積載物5を輸送することが可能となる。
【0017】
図2は、ドローン2の斜視図である。公知のとおりドローンと呼ばれる範疇の無人飛行体としては各種の形状、構造が知られており、図2は一例に過ぎない。
【0018】
図2に示すように、ドローン2は、本体部11が中央に配置されている。本体部11の下部は、支持機構3(図1参照)が吊り下げられている。
本体部11には四方に突出する4本のアーム12が取り付けられ、各アーム12の先端付近にモータ13及びモータ13で回転されるプロペラ14が装着されている。
また、各アーム12の先端付近の下方には、スキッド15が取り付けられる。4本のスキッド15は、着地時の脚として機能する。
【0019】
ドローン2は、進行方向側(前方)に2個のプロペラ14が並んで配置され、後退方向側(後方)に2個のプロペラ14が並んで配置されている。
【0020】
図3は、ドローン2の内部構成を示した図である。図3に示すように、ドローン2は、制御構成として、フライトコントローラ21、バッテリー22、電源ユニット23、ESC(Electric Speed Controller)24、GPS(Global Positioning System)モジュール25、状態表示LED(Light Emitting Diode)26、前後表示LED27、6軸ジャイロセンサ28、気圧センサ29、テレメトリモジュール30、磁気センサ31、通信部32、ブザー33等を備えている。
【0021】
フライトコントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等を備えたマイクロコンピュータにより構成され、飛行動作に関して各部を制御する。
フライトコントローラ21は、例えば通信部32を介して受信する制御装置6からの飛行指示に応じてESC24を制御し、機体の姿勢や速度などを制御する。
【0022】
電源ユニット23は、バッテリー22を電源として各部に必要な電源電圧を生成し、動作電源電圧として各部に供給する。なお煩雑化を避けるため各部への電源電圧線の図示は省略している。また、電源ユニット23はバッテリー22の充電動作を行う。
また、電源ユニット23は、給電動作や充電動作をフライトコントローラ21の制御に基づいて実行する。
【0023】
モータ13は、図2に示したように、各アーム12の先端に取り付けられた4つのモータ13をまとめて示しているものである。
モータ13のそれぞれに対してESC24が設けられる。図では4つのESC24もまとめて1つで示している。モータ13は、ESC24によって回転速度制御されながら駆動される。
【0024】
GPSモジュール25は、GPSアンテナ及び受信機を有してなり、位置情報を検出し、位置情報をフライトコントローラ21に通知する。
【0025】
状態表示LED26は、フライトコントローラ21の制御により、点灯、点滅、発光色などによりドローン2の各種の状態を表示する。
前後表示LED27は、フライトコントローラ21の制御に基づく発光でドローン2の前後について表示する。
【0026】
6軸ジャイロセンサ28は、X、Y、Z方向の角速度と、各軸の回転方向の加速度とを検出するセンサであり、検出情報をフライトコントローラ21に通知する。
フライトコントローラ21は、6軸ジャイロセンサ28の検出情報に基づいて機体の姿勢判定や姿勢制御を行う。
【0027】
気圧センサ29は、気圧を検出してフライトコントローラ21に通知する。これにより、フライトコントローラ21は、高度を検出できる。
【0028】
テレメトリモジュール30は、ドローン2の各種状態、センシング情報、画像などを、通信部32を介して制御装置6に送信する処理を行う。これにより制御装置6は、ドローン2の飛行状況、高度、バッテリー状況などを確認することができる。
なお、テレメトリモジュール30は、ドローン2の各種状態、センシング情報、画像などを、通信部32を介して送信機7に送信する処理を行うようにしてもよい。これにより操縦者側でドローン2の飛行状況、高度、バッテリー状況、映像などが確認できるようになる。
また、テレメトリモジュール30からの送信は、制御装置6及び送信機7のいずれか一方又は双方に行われてもよい。
【0029】
磁気センサ31は、磁気により方位を検出してフライトコントローラ21に通知する。
通信部32は、制御装置6と通信を行う。例えば、通信部32は、制御装置6から無線又は有線により飛行指示を受信する。
ブザー33は、フライトコントローラ21の制御によりアラートや通知のためのブザー音を発生させる。
【0030】
図4は、制御装置6の内部構成を示した図である。図4に示すように、制御装置6は、制御構成として、制御部41、バッテリー42、電源ユニット43、GPSモジュール44、6軸ジャイロセンサ45、気圧センサ46、テレメトリモジュール47、磁気センサ48、通信部49等を備えている。
【0031】
制御部41は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を備えたマイクロコンピュータにより構成され、制御装置6の各部を制御する。また、制御部41は、制御装置6の移動目標及び姿勢目標に基づいて複数のドローン2の飛行制御を行う。なお、飛行制御について詳しくは後述する。
【0032】
電源ユニット43は、バッテリー42を電源として上記各部に必要な電源電圧を生成し、動作電源電圧として各部に供給する。なお煩雑化を避けるため各部への電源電圧線の図示は省略している。また、電源ユニット43はバッテリー42の充電動作を行う。
また、電源ユニット43は、給電動作や充電動作を制御部41の制御に基づいて実行する。
【0033】
GPSモジュール44は、GPSアンテナ及び受信機を有してなり、位置情報を検出し、位置情報を制御部41に通知する。
6軸ジャイロセンサ45は、X、Y、Z方向の角速度と、各軸の回転方向の加速度とを検出するセンサであり、検出情報を制御部41に通知する。制御部41は、6軸ジャイロセンサ45の検出情報に基づいて積載物コンテナ4(積載物5、制御装置6)の姿勢判定を行う。
【0034】
気圧センサ46は、気圧を検出して制御部41に通知する。これにより、制御部41は、高度を検出できる。
【0035】
テレメトリモジュール47は、制御装置6の各種状態、センシング情報などを送信機7に通信部49を介して送信する処理を行う。これにより操縦者側で飛行体システム1の飛行状況、高度、バッテリー状況、映像などが確認できるようになる。
【0036】
磁気センサ48は、磁気により方位を検出して制御部41に通知する。
通信部49は、送信機7及びドローン2と通信を行う。例えば、通信部49は、送信機7からの無線により飛行指示を受信する。また、通信部50は、無線又は有線により各ドローン2に飛行指示を送信する。
【0037】
<2.制御装置6による飛行制御>
次に、制御装置6による複数のドローン2の制御について説明する。制御装置6は、制御装置6の目標姿勢としての水平状態を維持するよう各ドローン2を飛行制御する安定化制御を行う。すなわち、安定化制御では、積載物5及び制御装置6が搭載された積載物コンテナ4の姿勢を水平状態で安定させる。
【0038】
制御装置6の制御部41は、6軸ジャイロセンサ45から通知される検出情報に基づいて、制御装置6の姿勢、すなわち、積載物コンテナ4の姿勢を検出する。そして、制御部41は、積載物コンテナ4が水平状態となるように各ドローン2のスロットルを調整する。
【0039】
例えば、積載物コンテナ4が前傾した場合には、制御部41は、前方2機のドローン2に対してスロットルを上げる(上昇する)よう飛行指示を出す。これにより、前方2機のドローン2は、飛行指示に従ってモータ13の回転数を上げて上昇することになり、積載物コンテナ4の前傾を減らして積載物コンテナ4を水平状態に近づける。
なお、積載物コンテナ4が前傾した場合に制御部41は、後方2機のドローン2に対してスロットルを下げる(下降する)よう飛行指示を出すようにしてもよい。また、制御部41は、前方2機のドローン2に対してスロットルを上げるよう飛行指示を出し、後方2機のドローン2に対してスロットルを下げるよう飛行指示を出すようにしてもよい。
【0040】
また、積載物コンテナ4の右前が下方に傾いた場合には、制御部41は、右前方1機のドローン2に対してスロットルを上げるよう飛行指示を出す。これにより、右前方1機のドローン2は、飛行指示に従ってモータ13の回転数を上げて上昇することになり、積載物コンテナ4の傾きを減らして積載物コンテナ4を水平状態に近づける。
なお、積載物コンテナ4の右前が下方に傾いた場合に制御部41は、右前方以外の3機のドローン2に対してスロットルを下げるよう飛行指示を出すようにしてもよい。また、制御部41は、右前方1機のドローン2に対してスロットルを上げるよう飛行指示を出し、他の3機のドローン2に対してスロットルを下げるよう飛行指示を出すようにしてもよい。
【0041】
図5は、前進時の制御を説明する図である。なお、図5において、白抜き矢印は積載物コンテナ4(積載物5及び制御装置6)の移動方向を示しており、黒塗り矢印はドローン2の移動方向を示している。
【0042】
制御装置6は、送信機7から飛行指示を受信した場合、受信した飛行指示に基づいた移動目標を達成するように複数のドローン2の飛行制御を行う。
【0043】
例えば送信機7から前進の飛行指示を受信した場合、制御部41は、移動目標として前進を設定する。そして、制御部41は、全てのドローン2に対して、同速で前進させる飛行指示を出す。これにより、全てのドローン2は、飛行指示に従って後部側のモータ13の回転数を上げて同速で前進することになる。すなわち、複数のドローン2は、積載物コンテナ4を飛行指示に従った速度で移動させる。
【0044】
図6は、左旋回時の制御を説明する第1の図である。なお、図6において、白抜き矢印は積載物コンテナ4(積載物5及び制御装置6)の移動方向を示しており、黒塗り矢印はドローン2の移動方向を示している。また、図6において、黒塗り矢印の長さはドローン2の速度を表している。
【0045】
送信機7から左旋回(ラダー)の飛行指示を受信した場合、制御部41は、受信した飛行指示と、磁気センサ48により検出された方位とに基づいて、移動目標となる方位を決定する。
【0046】
そして、制御部41は、右方2機のドローン2に対して、積載物コンテナ4及びそのドローン2が移動目標となる方位を向くまで、所定速度で前進させるとともに左旋回させる飛行指示を出す。また、制御部41は、左方2機のドローン2に対して、積載物コンテナ4及びそのドローン2が移動目標となる方位を向くまで、右方2機よりも遅い速度で前進させるとともに左旋回させる飛行指示を出す。これにより、飛行体システム1では、ドローン2が進行しながら、積載物コンテナ4が移動目標となる方位に向くとともに、各ドローン2も移動目標となる方位を向くことになる。
【0047】
図7は、左旋回時の制御を説明する第2の図である。なお、図7において、白抜き矢印は積載物コンテナ4(積載物5及び制御装置6)の移動方向を示しており、黒塗り矢印はドローン2の移動方向を示している。
【0048】
送信機7から左旋回(ラダー)の飛行指示を受信した場合の別例として、制御部41は、右方2機のドローン2に対して、積載物コンテナ4及びそのドローン2が移動目標となる方位を向くまで、前進させるとともに左旋回させる飛行指示を出す。また、制御部41は、左方2機のドローン2に対して、積載物コンテナ4及びそのドローン2が移動目標となる方位を向くまで、後退させるとともに左旋回させる飛行指示を出す。これにより、飛行体システム1では、積載物コンテナ4が移動目標となる方位に向くとともに、各ドローン2も移動目標となる方位を向くことになる。
【0049】
このように、制御装置6は、自身の姿勢目標である水平状態を達成させるとともに、送信機7からの飛行指示に基づく移動目標を達成させるように複数のドローン2の飛行制御を行う。これにより、飛行体システム1は、積載物コンテナ4を安定した姿勢(水平状態)で維持したまま、送信機7から飛行指示に基づいた位置に移動することが可能となる。
【0050】
<3.変形例>
なお、実施形態としては上記により説明した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得るものである。
【0051】
図8は、変形例の飛行体システム100の構成を説明する図である。図8に示すように、飛行体システム100は、実施形態の飛行体システム1と比べて、支持機構3それぞれにフォースゲージ101が取り付けられている点で相違する。フォースゲージ101は、制御装置6の構成として設けられている。
フォースゲージ101は、支持機構3に加えられる力、すなわち、ドローン2に加えられる荷重を検出して制御部41に通知する。
【0052】
ここで、ドローン2には、許容積載量(ペイロード)がそれぞれ決められている。
制御部41は、各ドローン2のペイロードを予め取得しておき、フォースゲージ101で検出された荷重に基づき、ドローン2の飛行指示を出す。
【0053】
例えば、全てのドローン2のペイロードが同一である場合、制御部41は、全てのドローン2へ加えられる荷重が同一となるように、荷重が大きいドローン2に対してスロットルを下げる飛行指示を出す。または、制御部41は、荷重が大きいドローン2以外のドローン2に対してスロットルを上げる飛行指示を出す。
これにより、全てのドローン2に加えられる荷重を揃えることができる。
【0054】
また、各ドローン2のペイロードが異なる場合、制御部41は、各ドローン2に加えられる荷重がペイロードを超えないように、各ドローン2に対してスロットルを制御する指示を出す。例えば、制御部41は、ペイロードが小さいドローン2に対する荷重がペイロードを超えないようにスロットルを下げる飛行指示を出したり、ペイロードが大きいドローン2にスロットルを上げる飛行指示を出したりする。
【0055】
また、制御部41は、積載物コンテナ4の既知の重心位置、及び、フォースゲージ101で検出される各ドローン2に加えられる荷重に基づいて、制御装置6が水平となるように、各ドローン2の配置を調整するような飛行指示を出すようにしてもよい。
【0056】
上記の実施形態では、制御装置6は積載物コンテナ4に搭載されるようにした。しかしながら、制御装置6は積載物コンテナ4と一体的に形成されていてもよい。
【0057】
上記の実施形態では、送信機7の飛行指示に基づいてドローン2の飛行制御を行うようにした。しかしながら、例えば、目標となる位置を予め設定しておき、その位置に移動するようにドローン2の飛行制御を行うようにしてもよい。
【0058】
上記の実施形態では、制御部41が制御装置6の移動目標及び姿勢目標に基づいて複数のドローン2の飛行制御を行うようにした。しかしながら、制御部41は、制御装置6の移動目標又は姿勢目標に基づいて複数のドローン2の飛行制御を行うようにしてもよい。
【0059】
<4.まとめ>
以上の実施形態によれば次のような効果が得られる。
【0060】
制御装置6は、積載物5を連携して輸送する複数の無人飛行体とは別体に設けられる制御装置6であって、複数の無人飛行体(ドローン2)と通信を行う通信部50と、複数の無人飛行体にそれぞれ飛行指示を出すことにより、複数の無人飛行体の飛行制御を行う制御部41と、を備える。
これにより、制御装置6は、1機のドローン2では輸送することができない重さの積載物5であっても複数のドローン2によって輸送させることができる。
このとき、例えば操縦者は制御装置6に飛行指示を出すだけで、その飛行指示に基づいて各ドローン2に制御装置6が飛行指示を出すことになるため、複数のドローン2で積載物5を輸送させる際の操作を簡素化することができる。
また、各ドローン2は他のドローン2の状態や積載物5の状態を考慮した飛行制御を行わなくて済むため、連携して積載物5を輸送する複数のドローン2を効率的に飛行制御することができる。
【0061】
制御装置6は積載物5とともに複数の無人飛行体に支持されており、制御部41は、制御装置6の移動目標又は姿勢目標を達成するように無人飛行体に飛行指示を出す。
これにより、制御装置6は、各ドローン2の移動目標又は姿勢目標を考慮することなく、各ドローン2に出す飛行指示を算出することができるため、制御部41の計算負荷を低減することができ、複数のドローン2を効率的に飛行制御することができる。
【0062】
制御装置6は飛行能力を有していない。
これにより、制御装置6は、自身へ飛行指示を出す必要がないため、制御部41の計算負荷をさらに低減することができ、複数のドローン2を効率的に飛行制御することができる。
【0063】
無人飛行体(ドローン2)への荷重を検出するセンサ(フォースゲージ101)を備え、制御部41は、無人飛行体への荷重が許容積載量を超えないように、複数の無人飛行体の飛行制御を行う。
これにより、複数のドローン2が連携して積載物5を輸送する際に、ドローン2がペイロードを超えて飛行不能になってしまうおそれを低減することができる。
【0064】
飛行体システム1は、積載物5を連携して輸送する複数の無人飛行体(ドローン2)と、複数の無人飛行体とは別体に設けられ、複数の無人飛行体にそれぞれ飛行指示を出すことにより、複数の無人飛行体の飛行制御を行う制御装置6と、を備える。
この飛行体システム1は、上記した制御装置6と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 飛行体システム
2 ドローン
3 支持機構
4 積載物コンテナ
5 積載物
6 制御装置
41 制御部
50 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8