(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62J 17/10 20200101AFI20250117BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B62J17/10
B62J23/00 A
B62J23/00 C
(21)【出願番号】P 2022192839
(22)【出願日】2022-12-01
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 朋弥
(72)【発明者】
【氏名】田辺 元
(72)【発明者】
【氏名】細川 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】脇田 展孝
(72)【発明者】
【氏名】阿部 覚
(72)【発明者】
【氏名】井上 健志
(72)【発明者】
【氏名】清水 健児
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189089(JP,A)
【文献】特開2022-047384(JP,A)
【文献】特開2020-116979(JP,A)
【文献】特開2013-203083(JP,A)
【文献】特開2014-076732(JP,A)
【文献】特開2014-210485(JP,A)
【文献】特開2021-155026(JP,A)
【文献】国際公開第2022/059679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/10
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行風を受け
、車体前部側方を覆うミドルカウル(50)と、
前記ミドルカウル(50)側面から車幅方向外方に延びるウイングレット(60)と、を備える車両(1)において、
前記ウイングレット(60)の外面は、車両後方に向けて車両上方に傾斜し、車両上方に臨む一面(71)を含み、
前記ミドルカウル(50)側面と前記ウイングレット(60)の車幅方向内側部とが接合される接合部(65)は、車体後方かつ車幅方向外方に向けて延び、
前記ウイングレット(60)における前記一面(71)には、前記接合部(65)の後端よりも車両前方において段差部(70)を備え、
前記段差部(70)は、
前記接合部(65)に沿って延び、車両前後方向に対して傾斜する傾斜部(72)と、
前記傾斜部(72)の前端から前記接合部(65)に向かって鋭角に交わるように延びる前縁部(73)と、を有する、
車両。
【請求項2】
前記傾斜部(72)は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が低くなるように傾斜している、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記傾斜部(72)は、直線状に延びる前記接合部(65)と略平行に設けられている、
請求項
1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記段差部(70)は、
前記ウイングレット(60)の
前記一面(71)から突出する凸部である、
請求項1
又は2に記載の車両。
【請求項5】
前記ウイングレット(60)は、
前記段差部(70)が設けられる外側部材(80)と、
前記外側部材(80)に取り付けられる内側部材(90)と、を備え、
前記外側部材(80)は、
前記段差部(70)よりも走行風流路上流に設けられ、車両前方に向かって湾曲する前側湾曲部(81)と、
前記段差部(70)よりも走行風流路下流に設けられ、車両後方に向かって湾曲する後側湾曲部(82)と、を備え、
前記内側部材(90)は、前記前側湾曲部(81)との前側合わせ部(85)と前記後側湾曲部(82)との後側合わせ部(87)とにわたって車両下方に向かって湾曲する下側湾曲部(91)を備える、
請求項1
又は2に記載の車両。
【請求項6】
前記前側湾曲部(81)の下端縁は、前記前側合わせ部(85)に沿う前記内側部材(90)の前側下端縁よりも車両下方に設けられている、
請求項
5に記載の車両。
【請求項7】
前記後側湾曲部(82)の下端縁は、前記後側合わせ部(87)に沿う前記内側部材(90)の後側下端縁よりも車両上方に設けられている、
請求項
5に記載の車両。
【請求項8】
前記ミドルカウル(50)と前記ウイングレット(60)との間には、隙間(66)が形成されている、
請求項1
又は2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車体の前部を覆うように設けられたカウル構造を備える鞍乗型車両が開示されている。カウル構造は、フロントカウルとサイドカウルとによって構成された空力デバイスを備える。空力デバイスは、走行風を用いて下向きの揚力であるダウンフォースを発生させる揚力発生部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カウルと揚力発生部との接合部で乱流が発生し、空力性能が低下する可能性がある。そのため、外装部品の接合部で乱流が生じることを抑制することが望まれている。
【0005】
本願は上記課題の解決のため、外装部品の接合部で乱流が生じることを抑制することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係る車両は、走行風を受け、車体前部側方を覆うミドルカウル(50)と、前記ミドルカウル(50)側面から車幅方向外方に延びるウイングレット(60)と、を備える車両(1)において、前記ウイングレット(60)の外面は、車両後方に向けて車両上方に傾斜し、車両上方に臨む一面(71)を含み、前記ミドルカウル(50)側面と前記ウイングレット(60)の車幅方向内側部とが接合される接合部(65)は、車体後方かつ車幅方向外方に向けて延び、前記ウイングレット(60)における前記一面(71)には、前記接合部(65)の後端よりも車両前方において段差部(70)を備え、前記段差部(70)は、前記接合部(65)に沿って延び、車両前後方向に対して傾斜する傾斜部(72)と、前記傾斜部(72)の前端から前記接合部(65)に向かって鋭角に交わるように延びる前縁部(73)と、を有する。
【0007】
(2)上記(1)に記載の車両では、前記傾斜部(72)は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が低くなるように傾斜していてもよい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の車両では、前記傾斜部(72)は、直線状に延びる前記接合部(65)と略平行に設けられていてもよい。
【0010】
(4)上記(1)から(3)の何れかに記載の車両では、前記段差部(70)は、前記ウイングレット(60)の前記一面(71)から突出する凸部であってもよい。
【0012】
(5)上記(1)から(4)の何れかに記載の車両では、前記ウイングレット(60)は、前記段差部(70)が設けられる外側部材(80)と、前記外側部材(80)に取り付けられる内側部材(90)と、を備え、前記外側部材(80)は、前記段差部(70)よりも走行風流路上流に設けられ、車両前方に向かって湾曲する前側湾曲部(81)と、前記段差部(70)よりも走行風流路下流に設けられ、車両後方に向かって湾曲する後側湾曲部(82)と、を備え、前記内側部材(90)は、前記前側湾曲部(81)との前側合わせ部(85)と前記後側湾曲部(82)との後側合わせ部(87)とにわたって車両下方に向かって湾曲する下側湾曲部(91)を備えていてもよい。
【0013】
(6)上記(5)に記載の車両では、前記前側湾曲部(81)の下端縁は、前記前側合わせ部(85)に沿う前記内側部材(90)の前側下端縁よりも車両下方に設けられていてもよい。
【0014】
(7)上記(5)又は(6)に記載の車両では、前記後側湾曲部(82)の下端縁は、前記後側合わせ部(87)に沿う前記内側部材(90)の後側下端縁よりも車両上方に設けられていてもよい。
【0015】
(8)上記(1)から(7)の何れかに記載の車両では、前記ミドルカウル(50)と前記ウイングレット(60)との間には、隙間(66)が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記(1)に記載の車両によれば、走行風を受け、車体前部側方を覆うミドルカウルと、ミドルカウル側面から車幅方向外方に延びるウイングレットと、を備える車両において、ウイングレットの外面は、車両後方に向けて車両上方に傾斜し、車両上方に臨む一面を含み、ミドルカウル側面とウイングレットの車幅方向内側部とが接合される接合部は、車体後方かつ車幅方向外方に向けて延び、ウイングレットにおける一面には、接合部の後端よりも車両前方において段差部を備え、段差部は、接合部に沿って延び、車両前後方向に対して傾斜する傾斜部と、傾斜部の前端から接合部に向かって鋭角に交わるように延びる前縁部と、を有することで、以下の効果を奏する。
段差部により走行風を剥離させることができるため、走行風がミドルカウルとウイングレットとの接合部へ流入することを抑制することができる。したがって、ミドルカウルとウイングレットとの接合部で乱流が生じることを抑制することができる。
また、段差部の傾斜部に加えて前縁部でも走行風の剥離を行うことができるため、走行風がミドルカウルとウイングレットとの接合部へ流入することをより効果的に抑制することができる。これにより、接合部に沿う領域に空気溜まりを形成しやすくなる。したがって、ミドルカウルとウイングレットとの接合部で乱流が生じることをより効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明の上記(2)に記載の車両によれば、傾斜部は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が低くなるように傾斜していることで、以下の効果を奏する。
傾斜部が走行風流路下流に向かうにつれて段差が高くなるように傾斜している場合と比較して、空気抵抗を最小限に抑えつつ、より効果的に走行風の剥離を行うことができる。
したがって、空気抵抗を最小限に抑えつつ、ミドルカウルとウイングレットとの接合部で乱流が生じることをより効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明の上記(3)に記載の車両によれば、傾斜部は、直線状に延びる接合部と略平行に設けられていることで、以下の効果を奏する。
傾斜部が直線状に延びる接合部と交差するように設けられている場合と比較して、接合部に沿う領域に空気溜まりをより安定して形成することができる。したがって、ミドルカウルとウイングレットとの接合部で乱流が生じることをより効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の上記(4)に記載の車両によれば、段差部は、ウイングレットの一面から突出する凸部であることで、以下の効果を奏する。
段差部が凸部である構成により走行風を剥離させることができるため、走行風がミドルカウルとウイングレットとの接合部へ流入することを抑制することができる。したがって、ミドルカウルとウイングレットとの接合部で乱流が生じることを抑制することができる。
【0022】
本発明の上記(5)に記載の車両によれば、ウイングレットは、段差部が設けられる外側部材と、外側部材に取り付けられる内側部材と、を備え、外側部材は、段差部よりも走行風流路上流に設けられ、車両前方に向かって湾曲する前側湾曲部と、段差部よりも走行風流路下流に設けられ、車両後方に向かって湾曲する後側湾曲部と、を備え、内側部材は、前側湾曲部との前側合わせ部と後側湾曲部との後側合わせ部とにわたって車両下方に向かって湾曲する下側湾曲部を備えることで、以下の効果を奏する。
段差部よりも前後下側の部分(前側湾曲部、後側湾曲部及び下側湾曲部)によって走行風を整流することができる。
【0023】
本発明の上記(6)に記載の車両によれば、前側湾曲部の下端縁は、前側合わせ部に沿う内側部材の前側下端縁よりも車両下方に設けられていることで、以下の効果を奏する。
前側湾曲部の下端縁が前側合わせ部に沿う内側部材の前側下端縁よりも車両上方に設けられている場合と比較して、走行風が前側合わせ部へ流入することを抑制することができる。したがって、走行風をより効果的に整流することができる。
【0024】
本発明の上記(7)に記載の車両によれば、後側湾曲部の下端縁は、後側合わせ部に沿う内側部材の後側下端縁よりも車両上方に設けられていることで、以下の効果を奏する。
後側湾曲部の下端縁が後側合わせ部に沿う内側部材の後側下端縁よりも車両下方に設けられている場合と比較して、走行風が後側合わせ部へ流入することを抑制することができる。したがって、走行風をより効果的に整流することができる。
【0025】
本発明の上記(8)に記載の車両によれば、ミドルカウルとウイングレットとの間には、隙間が形成されていることで、以下の効果を奏する。
ミドルカウルとウイングレットとの間の隙間により、ミドルカウル及びウイングレットの寸法バラツキを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【
図3】実施形態に係る自動二輪車の車両前部の上面図である。
【
図4】実施形態に係るカウル構造の左側部の斜視図である。
【
図5】実施形態に係る段差部による走行風の剥離の説明図である。
【
図6】
図5とは異なる視点で見た段差部による走行風の剥離の説明図である。
【
図8】
図3のVIII-VIII断面を含む前面図である。
【
図9】
図3のIX-IX断面を含む右側面図である。
【
図11】実施形態に係るCFD解析の説明図である。
図11(a)は段差部ありの形状を示す斜視図、
図11(b)は段差部ありの形状のCFD解析画像である。
【
図12】比較例に係るCFD解析の説明図である。
図12(a)は段差部なしの形状を示す斜視図、
図12(b)は段差部なしの形状のCFD解析画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、車両の一例として自動二輪車(鞍乗型車両の一例)を挙げて説明する。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中心位置を示す車体左右中心線CLが示されている。
【0028】
<自動二輪車>
図1に示すように、自動二輪車1は、レーサータイプの自動二輪車である。自動二輪車1は、前輪2および後輪3と、前輪2を支持するフロントフォーク4と、後輪3を支持するスイングアーム5と、フロントフォーク4およびスイングアーム5を支持する車体フレーム6と、車体フレーム6に支持されるエンジン7(内燃機関、原動機)と、車体カバー8と、を備える。
【0029】
左右一対のフロントフォーク4の上部は、ステアリングステム10を介して車体フレーム6のヘッドパイプ11に操舵可能に支持されている。ステアリングステム10のトップブリッジ上には、バータイプのハンドル12が取り付けられている。左右フロントフォーク4の間には、フロントフェンダ20が設けられている。
【0030】
車体フレーム6は、ヘッドパイプ11と、左右一対のメインフレーム15と、左右一対のピボットフレーム16と、シートフレーム17と、を備える。
【0031】
ヘッドパイプ11は、車両側面視において、ヘッドパイプ11の上端がヘッドパイプ11の下端よりも車両後方に位置するように傾斜している。
メインフレーム15は、車両側面視において、ヘッドパイプ11の後上部から後下がりに傾斜している。メインフレーム15の後端部は、車体前後中間部においてピボットフレーム16の上端部に連なっている。
【0032】
ピボットフレーム16は、車両側面視において、メインフレーム15の後端部から下方へ延びている。
シートフレーム17は、メインフレーム15の後部に接続されている。シートフレーム17は、車両側面視において、メインフレーム15の後部から後上がりに傾斜している。
【0033】
ピボットフレーム16の上下中央部には、スイングアーム5の前端部が上下揺動可能に支持されている。スイングアーム5の後端部には、後輪3が支持されている。
【0034】
エンジン7は、車体フレーム6の内側部に搭載されている。例えば、エンジン7は、車幅方向(車両左右方向)に平行なクランク軸を有する直列4気筒エンジンである。
エンジン7の上方であって左右メインフレーム15の間には、燃料タンク30が設けられている。メインフレーム15の後方であってシートフレーム17上には、シート31が設けられている。
【0035】
車体カバー8は、自動二輪車1の構成部品(例えば、車体フレーム6及びエンジン7等)を外側から覆うように設けられている。車体カバー8は、自動二輪車1の車体前部を覆うように設けられたカウル構造40を備える。
【0036】
<カウル構造>
図2及び
図3を併せて参照し、カウル構造40は、車両前面視において車両前方に露出している。カウル構造40の外形形状は、車両前端側から車両後方に向かうにつれて車両上下方向に離間するとともに車幅方向に離間する形状を有する。カウル構造40は、車体前側上部を覆うフロントカウル41と、走行風を受ける第1外装部品50と、第1外装部品50に取り付けられる第2外装部品60と、を備える。
【0037】
フロントカウル41は、車体前側上部の構成部品(例えば、左右フロントフォーク4の上部及びステアリングステム10等)を車両前方から覆っている。フロントカウル41の外面は、車両後方に向かうにつれて車両上方に位置するように傾斜している。フロントカウル41の外面は、車両前方かつ車両上方に向かって湾曲している。
【0038】
フロントカウル41の前部には、車両前方に開口する前方開口部42が形成されている。車両前面視において、前方開口部42は、車体左右中心線CLと重なるように設けられている。車両前面視において、前方開口部42の外形形状は、車体左右中心線CLを対称軸として線対称の形状を有する。
【0039】
フロントカウル41の前部には、吸気口43が設けられている。吸気口43は、前方開口部42に面するように設けられている。例えば、前方開口部42から吸気口43に取り込まれた空気は、不図示のエアクリーナ等を介して、エンジン7に供給される。
【0040】
フロントカウル41の前部には、左右一対のライト開口部44が形成されている。左右ライト開口部44は、左右一対のヘッドライトに対応するように開口している。左右ライト開口部44は、前方開口部42を介して互いに離間している。ライト開口部44は、ヘッドライトを車両前方に露出させている。車両前面視において、左右ライト開口部44の外形形状は、車体左右中心線CLを対称軸として線対称の形状を有する。
【0041】
車両上面視において、フロントカウル41の車幅方向外縁は、前方開口部42に隣接する部分(フロントカウル41の前端部)から車両後方に向かうにつれて車幅方向外方に位置するように傾斜している。車両上面視において、フロントカウル41の車幅方向外縁は、車両前方かつ車幅方向外方に向かって湾曲している。
【0042】
<第1外装部品>
第1外装部品50は、フロントカウル41に繋がるミドルカウルである。第1外装部品50は、車体前側上下中央部の構成部品(例えば、ステアリングステム10等)を車両前方から覆っている。第1外装部品50は、フロントカウル41の左右側部に繋がるように左右一対設けられている。
【0043】
第1外装部品50は、車両前面視においてフロントフォーク4と重なる部分(第1外装部品50の前端部51)から、車両後方に向かうにつれて車幅方向外方に滑らかに膨らむように形成されている。車両前面視において、第1外装部品50の車幅方向外縁は、ハンドル12に設けられたグリップ13の近傍でフロントカウル41の車幅方向外縁と繋がっている。車両前面視において、第1外装部品50の車幅方向外縁の一部は、第2外装部品60の車幅方向外端よりも外側に位置するように車幅方向外方へ向かって膨らんでいる。
【0044】
<第2外装部品>
第2外装部品60は、第1外装部品50から車幅方向外方に向かって延びるウイングレットである。第2外装部品60は、走行風を用いて車両下向きの揚力であるダウンフォースを発生させる。第2外装部品60は、走行風を用いて車体前部を押さえつける機能を持つ。例えば、第2外装部品60は、自動二輪車1の急加速時にフロントタイヤのリフトを抑えることで、加速性能を向上させる。
【0045】
第2外装部品60は、ミドルカウルを構成する左右の第1外装部品50に対応するように左右一対設けられている。車両前面視において、左右の第2外装部品60の外形形状は、車体左右中心線CLを対称軸として線対称の形状を有する。
【0046】
第2外装部品60は、第1外装部品50の前端部51(車両前面視においてフロントフォーク4と重なる部分)から車幅方向外方かつ車両後方に向かって延びる第2外装本体部61と、第2外装本体部61の後端部と第1外装部品50の車幅方向外側部とを繋ぐように車幅方向に延びる第2外装連結部62と、を備える。
【0047】
車両前面視において、第2外装本体部61は、第1外装部品50の前端部51から車幅方向外方かつ車両後方に向かって延びた後に湾曲して車両下方かつ車両後方に向かって延びている。車両上面視において、第2外装本体部61の外縁は、前方開口部42の近傍で第1外装部品50の外縁と繋がっている。車両上面視において、第2外装本体部61の外縁は、車両前方かつ車幅方向外方に向かって湾曲している。車両上面視において、第2外装本体部61の外縁は、フロントカウル41の外縁よりも外方に向かって湾曲している。
【0048】
第1外装部品50の車幅方向外側面と第2外装部品60との間には、車両前方及び車両後方に開口する前後開口部55が形成されている。前後開口部55は、左右の第1外装部品50及び左右の第2外装部品60に対応するように左右一対形成されている。前後開口部55は、第1外装部品50の車幅方向外側面と、第2外装部品60において第1外装部品50に臨む面(第2外装本体部61の車幅方向内側面及び第2外装連結部62の上面)と、によって囲まれている。
【0049】
<接合部>
図4から
図9を併せて参照し、第2外装部品60は、ライト開口部44の下部近傍で第1外装部品50と接合されている。第2外装部品60は、第2外装本体部61の車幅方向内側部において第1外装部品50と接合されている。
【0050】
車両前面視において、第2外装部品60と第1外装部品50との接合部65は、フロントフォーク4の車幅方向内縁近傍と重なる部分から車両上方かつ車幅方向外方に向かって傾斜して延びている。接合部65は、車両前面視において直線状に延びている。車両前面視において、接合部65の車幅方向外端は、ライト開口部44の車幅方向外端よりも車幅方向内側に配置されている。
【0051】
接合部65には、隙間66が形成されている。隙間66は、車両前面視において直線状に形成されている。例えば、隙間66の大きさ(車両上下方向の間隔)は、第1外装部品50及び第2外装部品60の寸法バラツキを吸収可能な大きさに設定されている。
【0052】
<段差部>
第2外装部品60は、第1外装部品50との接合部65の少なくとも一部の走行風流路における上流に段差部70を備える。走行風流路は、自動二輪車1の走行中に第1外装部品50が受ける走行風の流路を意味する。段差部70は、自動二輪車1の直進時及び旋回時において走行風を
図5及び
図6に示す矢印方向に剥離させる機能を持つ。
【0053】
走行風流路の一部は、第1外装部品50の前端部51から車両後方に向かって第1外装部品50の車幅方向外側面に沿うように形成される。走行風流路上流は、車両前方に相当する。段差部70は、第2外装部品60において接合部65の後端よりも車両前方に設けられている。
【0054】
段差部70は、第2外装部品60の一面71から突出する凸部である。第2外装部品60の一面71は、第2外装部品60の外面のうち車両前方かつ車両上方に臨む面である。第2外装部品60の一面71は、車両前面視において、フロントフォーク4の車幅方向内縁近傍と重なる部分から車幅方向外方に向かうにつれて車両上下方向に広がる領域を含む面に相当する。第2外装部品60の一面71は、車両前面視において、接合部65の上縁から車幅方向外方かつ車両下方に広がる領域を含む面に相当する。
【0055】
第2外装部品60の一面71は、走行風流路下流に向かうにつれて高くなるように傾斜している。第2外装部品60の一面71は、車両後方に向かうにつれて車両上方に位置するように傾斜するとともに、車幅方向外方に向かうにつれて車両下方に位置するように傾斜している。
【0056】
段差部70は、ハンドル12に設けられたグリップ13の車幅方向外端よりも車幅方向内側であって、前輪2よりも車両上方に配置されている。車両前面視において、段差部70の一部は、フロントフォーク4と重なっている。車両前面視において、段差部70の一部は、吸気口43の下縁と同じ高さ(車両上下方向の位置)に配置されている。
【0057】
段差部70は、車両前後方向に対して傾斜する傾斜部72を備える。傾斜部72は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が低くなるように傾斜している。傾斜部72の高さ(車両上下方向の高さ)は、傾斜部72の前端から車両後方に向かうにつれて低くなっている。
【0058】
傾斜部72は、直線状に延びる接合部65と略平行に設けられている。略平行には、直線状に延びる接合部65と完全に平行な場合と、直線状に延びる接合部65と実質的に平行な場合と、が含まれる。車両前面視において、傾斜部72の上縁は、直線状に延びる接合部65と実質的に平行に設けられている。車両前面視において、傾斜部72の上縁と下縁との間隔は、車幅方向外方に向かうにつれて小さくなっている。
【0059】
段差部70は、車幅方向において傾斜部72の前端から接合部65へ向かう前縁部73を備える。前縁部73の高さ(車両上下方向の高さ)は、傾斜部72の前端から接合部65に向かうにつれて低くなっている。
【0060】
前縁部73は、直線状に延びる接合部65と交差するように設けられている。車両前面視において、前縁部73の上縁は、直線状に延びる接合部65と鋭角をなすように傾斜している。車両前面視において、前縁部73の上縁と下縁との間隔は、車幅方向内方(接合部65の方向)に向かうにつれて小さくなっている。
【0061】
段差部70は、傾斜部72の上縁と前縁部73の上縁とに連なる段差上面74を備える。段差上面74は、平面状に形成されている。段差上面74は、第2外装部品60の一面71に対して一段高い場所に設けられている。段差上面74は、走行風流路下流に向かうにつれて高くなるように傾斜している。
【0062】
段差上面74は、第2外装部品60の一面71よりも急峻に車両後方に向かうにつれて車両上方に位置するように傾斜している。段差上面74は、第2外装部品60の一面71よりも緩やかに車幅方向外方に向かうにつれて車両下方に位置するように傾斜している。
【0063】
<外側部材及び内側部材>
図10を併せて参照し、第2外装部品60は、段差部70が設けられる外側部材80と、外側部材80に取り付けられる内側部材90と、を備える。外側部材80は、段差部70よりも走行風流路上流に設けられ、車両前方に向かって湾曲する前側湾曲部81と、段差部70よりも走行風流路下流に設けられ、車両後方に向かって湾曲する後側湾曲部82と、を備える。内側部材90は、前側湾曲部81との前側合わせ部85と後側湾曲部82との後側合わせ部87とにわたって車両下方に向かって湾曲する下側湾曲部91を備える。
【0064】
前側湾曲部81が車両前方に向かって湾曲していることで、車両上方かつ車両後方及び車両下方かつ車両後方へ向けて走行風を滑らかに整流することができる。車両上方かつ車両後方へ向かう走行風の一部は、外側部材80の上面(第2外装部品60の一面71)に沿って矢印W1方向に流れる。車両下方かつ車両後方へ向かう走行風の一部は、内側部材90の下面に沿って流れる。
【0065】
前側合わせ部85には、隙間86(以下「前側隙間86」ともいう。)が形成されている。例えば、前側隙間86の大きさ(車両前後方向の間隔)は、外側部材80及び内側部材90の寸法バラツキを吸収可能な大きさに設定されている。
【0066】
後側合わせ部には、隙間88(以下「後側隙間88」ともいう。)が形成されている。例えば、後側隙間88の大きさ(車両前後方向の間隔)は、外側部材80及び内側部材90の寸法バラツキを吸収可能な大きさに設定されている。
【0067】
前側湾曲部81の下端縁は、前側合わせ部85に沿う内側部材90の前側下端縁よりも車両下方に設けられている。前側湾曲部81の下端縁は、前側合わせ部85に沿う内側部材90の前側下端縁よりも車両前方に設けられている。前側合わせ部85において内側部材90よりも走行風流路上流にある外側部材80側を高く設定することで、前側合わせ部85に走行風が干渉しないように構成されている。
【0068】
後側湾曲部82の下端縁は、後側合わせ部87に沿う内側部材90の後側下端縁よりも車両上方に設けられている。後側湾曲部82の下端縁は、後側合わせ部87に沿う内側部材90の後側下端縁よりも車両前方に設けられている。後側合わせ部87において外側部材80よりも走行風流路上流にある内側部材90側を高く設定することで、後側合わせ部87に走行風が干渉しないように構成されている。
【0069】
<CFD解析の結果>
図11は、実施形態に係るCFD解析の説明図である。
図11(a)は段差部ありの形状を示す斜視図、
図11(b)は段差部ありの形状のCFD解析画像である。
図12は、比較例に係るCFD解析の説明図である。
図12(a)は段差部なしの形状を示す斜視図、
図12(b)は段差部なしの形状のCFD解析画像である。
本発明者は、接合部65への空気流入抑制効果と走行抵抗を確認する数値流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)解析により、第2外装部品60(本実施形態のウイングレット)が備えた段差部70(本実施形態の凸部)の効果を確認した。
【0070】
CFD解析では、レーサータイプの車両(本実施形態の自動二輪車1)を用いた。このような車両に対して、車両前方から車両後方へ向けて風を流した。
図11及び
図12において、風の流れの速さ(強弱)を白黒で示す。風の流れは、白色から黒色に近づくに従って速くなる(強くなる)。なお、カウル表面においては、圧力の大小(高低)を白黒で示す。カウル表面の圧力は、白色から黒色に近づくに従って大きくなる(高くなる)。
【0071】
CFD解析の結果、段差部70(本実施形態の凸部)により、乱流を抑制するため流速が高いことで、接合部65への風の流入が抑えられていることが分かった。これにより、接合部65への風流入量が減少していることを確認できた。本実施形態によれば、接合部65の空気溜まりを比較例よりも少なくできるため、ハンドリングが向上する。
【0072】
<作用効果>
以上説明したように、上記実施形態の自動二輪車1は、走行風を受ける第1外装部品50と、第1外装部品50に取り付けられる第2外装部品60と、を備える。第2外装部品60は、第1外装部品50との接合部65の少なくとも一部の走行風流路における上流に段差部70を備える。
この構成によれば、段差部70により走行風を剥離させることができるため、走行風が第1外装部品50と第2外装部品60との接合部65へ流入することを抑制することができる。したがって、外装部品50,60の接合部65で乱流が生じることを抑制することができる。
【0073】
上記実施形態では、段差部70は、車両前後方向に対して傾斜する傾斜部72を備える。傾斜部72は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が低くなるように傾斜している。
この構成によれば、傾斜部72が走行風流路下流に向かうにつれて段差が高くなるように傾斜している場合と比較して、空気抵抗を最小限に抑えつつ、より効果的に走行風の剥離を行うことができる。したがって、空気抵抗を最小限に抑えつつ、外装部品50,60の接合部65で乱流が生じることをより効果的に抑制することができる。
【0074】
上記実施形態では、段差部70は、車幅方向において傾斜部72の前端から接合部65へ向かう前縁部73を備える。
この構成によれば、段差部70の傾斜部72に加えて前縁部73でも走行風の剥離を行うことができるため、走行風が第1外装部品50と第2外装部品60との接合部65へ流入することをより効果的に抑制することができる。これにより、接合部65に沿う領域に空気溜まりを形成しやすくなる。したがって、外装部品50,60の接合部65で乱流が生じることをより効果的に抑制することができる。
【0075】
上記実施形態では、傾斜部72は、直線状に延びる接合部65と略平行に設けられている。
この構成によれば、傾斜部72が直線状に延びる接合部65と交差するように設けられている場合と比較して、接合部65に沿う領域に空気溜まりをより安定して形成することができる。したがって、外装部品50,60の接合部65で乱流が生じることをより効果的に抑制することができる。
【0076】
上記実施形態では、段差部70は、第2外装部品60の一面71から突出する凸部である。
この構成によれば、段差部70が凸部である構成により走行風を剥離させることができるため、走行風が第1外装部品50と第2外装部品60との接合部65へ流入することを抑制することができる。したがって、外装部品50,60の接合部65で乱流が生じることを抑制することができる。
【0077】
上記実施形態では、第2外装部品60は、第1外装部品50から車幅方向外方に向かって延びるウイングレットである。
この構成によれば、ウイングレットが備えた段差部70により走行風を剥離させることができるため、走行風が第1外装部品50とウイングレットとの接合部65へ流入することを抑制することができる。したがって、ウイングレットの接合部65で乱流が生じることを抑制することができる。
【0078】
上記実施形態では、第2外装部品60は、段差部70が設けられる外側部材80と、外側部材80に取り付けられる内側部材90と、を備える。外側部材80は、段差部70よりも走行風流路上流に設けられ、車両前方に向かって湾曲する前側湾曲部81と、段差部70よりも走行風流路下流に設けられ、車両後方に向かって湾曲する後側湾曲部82と、を備える。内側部材90は、前側湾曲部81との前側合わせ部85と後側湾曲部82との後側合わせ部87とにわたって車両下方に向かって湾曲する下側湾曲部91を備える。
この構成によれば、段差部70よりも前後下側の部分(前側湾曲部81、後側湾曲部82及び下側湾曲部91)によって走行風を整流することができる。
【0079】
上記実施形態では、前側湾曲部81の下端縁は、前側合わせ部85に沿う内側部材90の前側下端縁よりも車両下方に設けられている。
この構成によれば、前側湾曲部81の下端縁が前側合わせ部85に沿う内側部材90の前側下端縁よりも車両上方に設けられている場合と比較して、走行風が前側合わせ部85へ流入することを抑制することができる。したがって、走行風をより効果的に整流することができる。
【0080】
上記実施形態では、後側湾曲部82の下端縁は、後側合わせ部87に沿う内側部材90の後側下端縁よりも車両上方に設けられている。
この構成によれば、後側湾曲部82の下端縁が後側合わせ部87に沿う内側部材90の後側下端縁よりも車両下方に設けられている場合と比較して、走行風が後側合わせ部87へ流入することを抑制することができる。したがって、走行風をより効果的に整流することができる。
【0081】
上記実施形態では、段差部70は、ハンドル12に設けられたグリップ13の車幅方向外端よりも車幅方向内側であって、前輪2よりも車両上方に配置されている。
この構成によれば、段差部70により外装部品50,60の接合部65で乱流が生じることを抑制することができるため、空力性能が低下することを抑制することができる。
【0082】
上記実施形態では、接合部65には、隙間66が形成されている。
この構成によれば、接合部65の隙間66により、第1外装部品50及び第2外装部品60の寸法バラツキを吸収することができる。
【0083】
<変形例>
上記実施形態では、段差部は、車両前後方向に対して傾斜する傾斜部を備え、傾斜部は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が低くなるように傾斜している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、傾斜部は、走行風流路下流に向かうにつれて段差が高くなるように傾斜していてもよい。例えば、傾斜部の傾斜態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0084】
上記実施形態では、段差部は、車幅方向において傾斜部の前端から接合部へ向かう前縁部を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、車幅方向において傾斜部の前端は接合部に隣接していてもよい。例えば、段差部は、車幅方向において傾斜部の前端から接合部へ向かう前縁部を備えていなくてもよい。例えば、前縁部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0085】
上記実施形態では、傾斜部は、直線状に延びる接合部と略平行に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、傾斜部は、直線状に延びる接合部と交差するように設けられていてもよい。例えば、接合部に対する傾斜部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0086】
上記実施形態では、段差部は、第2外装部品の一面から突出する凸部である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、段差部は、第2外装部品の一面において凹む凹部であってもよい。例えば、段差部は、凸部及び凹部の少なくとも一方を含んで構成されていてもよい。例えば、段差部の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0087】
上記実施形態では、第2外装部品は、第1外装部品から車幅方向外方に向かって延びるウイングレットである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1外装部品がインナーカウルである場合、第2外装部品は、インナーカウルに取り付けられるアウターカウルであってもよい。例えば、第2外装部品は、ウイングレットやアウターカウル以外の外装部品であってもよい。例えば、第2外装部品の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0088】
上記実施形態では、第2外装部品は、段差部が設けられる外側部材と、外側部材に取り付けられる内側部材と、を備え、外側部材は、段差部の走行風流路における上流に設けられ、車両前方に向かって湾曲する前側湾曲部と、段差部よりも走行風流路下流に設けられ、車両後方に向かって湾曲する後側湾曲部と、を備え、内側部材は、前側湾曲部との前側合わせ部と後側湾曲部との後側合わせ部とにわたって車両下方に向かって湾曲する下側湾曲部を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2外装部品は、一体物であってもよい。例えば、第2外装部品は、複数の部材が組み合わされて構成されていなくてもよい。例えば、第2外装部品の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0089】
上記実施形態では、前側湾曲部の下端縁は、前側合わせ部に沿う内側部材の前側下端縁よりも車両下方に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、前側湾曲部の下端縁は、前側合わせ部に沿う内側部材の前側下端縁よりも車両上方に設けられていてもよい。例えば、前側湾曲部の下端縁の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0090】
上記実施形態では、後側湾曲部の下端縁は、後側合わせ部に沿う内側部材の後側下端縁よりも車両上方に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、後側湾曲部の下端縁は、後側合わせ部に沿う内側部材の後側下端縁よりも車両下方に設けられていてもよい。例えば、後側湾曲部の下端縁の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0091】
上記実施形態では、段差部は、ハンドルに設けられたグリップの車幅方向外端よりも車幅方向内側であって、前輪よりも車両上方に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、段差部は、ハンドルに設けられたグリップの車幅方向外端よりも車幅方向外側に配置されていてもよい。例えば、段差部は、前輪の上端よりも車両下方に配置されていてもよい。例えば、段差部の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0092】
上記実施形態では、接合部には、隙間が形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、接合部の隙間には、多孔質の柔軟な部材(例えば、スポンジ)が設けられていてもよい。例えば、ウイングレット(第2外装部品)とミドルカウル(第1外装部品)とが一体化されていてもよい。例えば、接合部の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0093】
上記実施形態では、エンジンが直列4気筒エンジンである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、エンジンは、単気筒エンジンであってもよい。例えば、エンジンの態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0094】
上記実施形態では、車両の一例としての自動二輪車を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、本発明は、自動二輪車以外の鞍乗型車両に適用してもよい。例えば、前記鞍乗型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪且つ後二輪の他に、前二輪且つ後一輪の車両も含む)の車両も含まれる。また、本発明は、自動二輪車のみならず、自動車等の四輪(四輪バギー等)の車両にも適用可能である。
また、本発明は、原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。また、鞍乗型車両以外の車両(乗用車、バス、トラック等)に適用してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 自動二輪車(車両)
2 前輪
12 ハンドル
13 グリップ
50 第1外装部品
60 第2外装部品
65 接合部
66 隙間
70 段差部
71 第2外装部品の一面
72 傾斜部
73 前縁部
80 外側部材
81 前側湾曲部
82 後側湾曲部
85 前側合わせ部
87 後側合わせ部
90 内側部材
91 下側湾曲部