(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】光学システム及びヘッドアップディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20250117BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20250117BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2022533320
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2020061269
(87)【国際公開番号】W WO2021111273
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-27
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】パンクラッツ,ステファン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナイスミス,ナサニエル ケー.
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05537144(US,A)
【文献】特開2001-075049(JP,A)
【文献】特開2012-212033(JP,A)
【文献】特開2011-137853(JP,A)
【文献】特開2012-022148(JP,A)
【文献】特開2012-252104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-27/64、30/00-30/60
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って偏光された第1の出力画像と、直交する第2の方向に沿って偏光された第2の出力画像と、を出力するように構成された、ディスプレイシステムであって、
ディスプレイであって、前記ディスプレイ上に互いに点在する複数の第1の表示画素及び第2の表示画素を含み、前記第1の表示画素及び前記第2の表示画素が、前記第1の方向に沿って偏光された異なるそれぞれの第1の画像と第2の画像と
を発出するように構成されている、ディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、かつ前記第1の表示画素及び第2の表示画素とそれぞれ1対1対応で整列して位置合わせされた複数の第1のリターダ画素及び第2のリターダ画素を含む、リターダであって、前記第1のリターダ画素が、前記第1
の画像を受け、前記第1
の画像の偏光方向を変化させず、前記第1
の画像を前記第1の方向に沿って偏光された前記第1の出力画像として透過するように構成され、前記第2のリターダ画素が、前記第2
の画像を受け、前記第2
の画像の前記偏光方向を前記第1の方向から前記第2の方向に変化させ、かつ前記第2
の画像を前記第2の方向に沿って偏光された前記第2の出力画像として透過するように構成されている、リターダと、
を備える、ディスプレイシステムと、
前記第1の出力画像及び前記第2の出力画像を受け、前記第1の出力画像を実質的に透過し、かつ前記第2の出力画像を実質的に反射するように構成された反射偏光子と、
を備え
、
前記反射偏光子が、前記第1の出力画像の少なくとも80%を透過し、かつ前記第2の出力画像の少なくとも80%を反射し、
前記反射偏光子が、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って前記第1の出力画像を透過し、かつ前記第1の方向に沿って前記第2の出力画像を反射する、光学システム。
【請求項2】
第1の方向に沿って偏光された第1の出力画像と、直交する第2の方向に沿って偏光された第2の出力画像と、を出力するように構成された、ディスプレイシステムであって、
ディスプレイであって、前記ディスプレイ上に互いに点在する複数の第1の表示画素及び第2の表示画素を含み、前記第1の表示画素及び前記第2の表示画素が、前記第1の方向に沿って偏光された異なるそれぞれの第1の画像と第2の画像とを発出するように構成されている、ディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、かつ前記第1の表示画素及び第2の表示画素とそれぞれ1対1対応で整列して位置合わせされた複数の第1のリターダ画素及び第2のリターダ画素を含む、リターダであって、前記第1のリターダ画素が、前記第1の画像を受け、前記第1の画像の偏光方向を変化させず、前記第1の画像を前記第1の方向に沿って偏光された前記第1の出力画像として透過するように構成され、前記第2のリターダ画素が、前記第2の画像を受け、前記第2の画像の前記偏光方向を前記第1の方向から前記第2の方向に変化させ、かつ前記第2の画像を前記第2の方向に沿って偏光された前記第2の出力画像として透過するように構成されている、リターダと、
を備える、ディスプレイシステムと、
前記第1の出力画像及び前記第2の出力画像を受け、前記第1の出力画像を実質的に透過し、かつ前記第2の出力画像を実質的に反射するように構成された反射偏光子と、
を備え、
前記反射偏光子によって反射された前記第2の出力画像を受けて反射するように構成されたミラーと、前記反射偏光子と前記ミラーとの間に配置された第2のリターダと、を更に備え、
前記第2のリターダが、1/4波長リターダである、光学システム。
【請求項3】
前記第1のリターダ画素が、ゼロ又は全波長リターダであり、前記第2のリターダ画素が、1/2波長リターダであり、
前記第1のリターダ画素が、前記第2のリターダ画素の2倍の厚さである、請求項1
または2に記載の光学システム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光学システム、特に、観察者が観察するための仮想の第1の出力画像及び第2の出力画像を表示する光学システムに関し、かつ光学システムを含むヘッドアップディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ディスプレイは、デジタル情報を観察者に対してレンダリングするために多くの用途において提供される。ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、HUDの透明な性質により、観察者が、情報だけでなく、HUDを通したビューをもまた観察することを可能にする。したがって、観察者は、HUDを通して現実世界を観察する能力を失うことなく、表示された情報を観察することができる。HUDシステムは、特に航空機などの高速ビークルで使用するために開発されてきたが、現在は、自動車を含む他のビークルの機能としてますます検討されている。より小さい規模では、HUDシステムは、ゴーグルレンズ若しくはヘルメットバイザとして、又は他の多様な仮想現実(VR)用途において使用されている。HUDは、様々な表面及び窓、例えば、ビークルのフロントガラスに実装することができる。したがって、ビークルの乗員のために、ビークルの速度及び/又はナビゲーション方向などのビークル動作情報を、乗員に対して、例えばフロントガラス上で適宜表示することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示のいくつかの態様は、ディスプレイシステムを含む光学システムに関する。ディスプレイシステムは、第1の方向に沿って偏光された第1の出力画像と、直交する第2の方向に沿って偏光された第2の出力画像と、を出力するように構成されている。ディスプレイシステムは、ディスプレイ上に互いに点在する複数の第1の表示画素及び第2の表示画素を有するディスプレイを含む。第1の表示画素及び第2の表示画素は、第1の方向に沿って偏光された異なるそれぞれの第1の画像と第2の画像とを重ね合わさせて発出するように構成されている。ディスプレイシステムはまた、ディスプレイ上に配置されたリターダを含む。リターダは、第1の表示画素及び第2の表示画素とそれぞれ1対1対応で整列して位置合わせされた複数の第1のリターダ画素及び第2のリターダ画素を含む。第1のリターダ画素は、第1の発出画像を受け、第1の発出画像の偏光方向を変化させず、かつ第1の発出画像を第1の方向に沿って偏光された第1の出力画像として透過するように構成されている。第2のリターダ画素は、第2の発出画像を受け、第2の発出画像の偏光方向を第1の方向から第2の方向に変化させ、かつ第2の発出画像を第2の方向に沿って偏光された第2の出力画像として透過するように構成されている。光学システムは、第1の出力画像及び第2の出力画像を受け、第1の出力画像を実質的に透過し、かつ第2の出力画像を実質的に反射するように構成された反射偏光子を含む。
【0004】
本開示のいくつかの他の態様は、ヘッドアップディスプレイに関する。ヘッドアップディスプレイは、観察者が観察するための第1の出力画像及び第2の出力画像をヘッドアップディスプレイが表示する光学システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の様々な態様は、添付の図面を参照してより詳細に論じられる。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、光学システムを概略的に示す。
【
図2】本開示のいくつかの態様による、リターダ画素及び対応する表示画素を概略的に示す。
【
図3】本開示のいくつかの態様による、反射偏光子の構造を概略的に示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、光学システムを含むヘッドアップディスプレイシステムを概略的に示す。
【0006】
これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は同様の構成要素を示す。しかし、特定の図中のある構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0008】
本開示の実施形態は、単一のイメージャを使用して、同じ又は直交する偏光状態のいずれかを有する、2つの異なる画像平面における2つの仮想画像を作成する、システム及び方法を記載する。いくつかの態様では、パターン化されたリターダは、LCDイメージャ上の画像形成画素に位置合わせされて、直交偏光を有する2つのインターリーブ画像を生成することができる。2つのインターリーブ画像は、その後、例えば、高コントラスト反射偏光子を使用して2つの経路に分離される。第2の経路画像の偏光は、第2の経路内のミラーに追加された1/4波長層を通して第1の経路画像の偏光に変換され得る。
【0009】
いくつかの実施形態をここで、
図1~
図3を参照して説明する。
図1に示されるように、光学システム(300)は、ディスプレイ(100)を有するディスプレイシステム(200)を含む。ディスプレイシステム(200)は、第1の出力画像(50)及び第2の出力画像(51)を出力するように構成されている。第1の出力画像(50)は、第1の方向(x軸)に沿って偏光されてもよく、第2の出力画像(51)は、直交する第2の方向(y軸)に沿って偏光されてもよい。
【0010】
ディスプレイ(100)は、ディスプレイ(100)上に互いに点在する複数の第1の表示画素(10)及び第2の表示画素(11)を含む。第1の表示画素(10)及び第2の表示画素(11)は、第1の方向(x軸)に沿って偏光された異なるそれぞれの第1の画像(20)及び第2の画像(21)を発出するように構成され得る。発出された第1の画像(20)と第2の画像(21)とは、互いに重ね合わせることができる。例えば、光学システム(300)は、第1の光路を通って伝播する第1の画像(20)と、第2の光路を通って伝播する第2の画像(21)とを重ね合わせる。第2の光路の光路長(LB)は、第1の光路の光路長(LA)とは異なる場合がある。いくつかの態様では、第2の光路の光路長(LB)は、第1の光路の光路長(LA)よりも長い場合がある。
【0011】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ(100)は、例えば、液晶ディスプレイ(LDC)パネルであってもよい。液晶パネル(100)は、カラーフィルタを備えていないモノクロタイプ、又はRGB画素を有するカラータイプであってもよい。しかしながら、本開示によるLCDパネル(100)は、これらのタイプに限定されない。LCDパネル(100)は、バックライトユニット(図示せず)から発出された光を受け、第1の画像及び第2の画像を生成することができる。LCDパネル(100)は、アクティブマトリックス技術などを採用したTTF液晶モニターなどの、一般的なLCDパネルであってもよい。LCDパネル(100)は、一方向に偏光された光を吸収するための偏光フィルタと、偏光方向を回転させるための液晶層とを含んでもよい。図示された実施形態では、LCDパネル(100)の第1の表示画素(10)及び第2の表示画素(11)によって発出された第1の画像(20)及び第2の画像(21)を運ぶ第1及び第2の画像光は、同じ(第1の)方向(x軸)に偏光される。
【0012】
他の実施例では、ディスプレイ(100)は、OLED(Organic Light Emitting Device;有機発光デバイス)ディスプレイなどの、発光型マイクロディスプレイ、及び/又はLCoS(Liquid Crystal on Silicon;液晶オンシリコン)ディスプレイ若しくはデジタル光処理(digital light processing;DLP)デバイスなどの、反射型マイクロディスプレイを含んでもよい。ディスプレイ(100)は、他の光学構成要素に対して、任意の好適な位置を有し得る。他の実施形態では、ディスプレイ(100)は、プロジェクションディスプレイであってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム(200)は、ディスプレイ(100)上に配置されたリターダ(30)を含む。リターダ(30)は、リターダ画素を含む。いくつかの実施形態では、リターダ画素は、複数の第1のリターダ画素(40)及び第2のリターダ画素(41)を含む。
図2に最良に示されるように、第1のリターダ画素(40)は、第1の表示画素(10)と整列して位置合わせされ、第2のリターダ画素(41)は、第2の表示画素(11)と1対1対応で整列して位置合わせされている。いくつかの態様では、リターダ層(30)は、LCDイメージャ(100)上の表示画素と整列して位置合わせされた、パターン化されたリターダを含んでもよい。パターン化されたリターダは、国際公開第2018/151761号(Wheatleyら)及び国際公開第2019/082106号(Etter,Jo A.ら)の他の箇所に記載されている。多種多様にパターン化されたポリマーリターダは、コーティングステップの組み合わせ、マスク及びエッチングステップの適用を使用して形成され得る。このように形成された、パターン化されたリターダは、ディスプレイ(100)の表面上に適用されてもよく、又は表示画素(10、11)の表面上に適用されると共に更に形成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のリターダ画素(40)は、ゼロ又は全波長リターダであってもよく、第2のリターダ画素(41)は、1/2波長リターダであってもよい。
図2に示されるように、第1のリターダ画素(40)は、第2のリターダ画素(41)の2倍の厚さになるように形成され得る。例えば、リターダ画素の異なる厚さは、第1のリターダ画素(40)の厚さと等しい厚さを有する複数のリターダ画素を形成し、その後、フォトリソグラフィ又は他の同様の技術を使用して、いくつかの画素をエッチングして第2のリターダ画素(41)の厚さを得ることによって、獲得される。
【0015】
一実施形態によれば、第1のリターダ画素(40)は、第1の発出画像(20)を受け、第1の発出画像(20)の偏光方向を変化させることなく、第1の発出画像(20)を第1の出力画像(50)として透過するように構成されている。いくつかの態様では、第1の発出画像(20)は、第1の方向(x軸)に沿って偏光されてもよく、第1のリターダ画素(40)によって透過される第1の出力画像(50)もまた、第1の方向(x軸)に沿って偏光されてもよい。
【0016】
第2のリターダ画素(41)は、第2の発出画像(21)を受け、第2の発出画像(21)の偏光方向を変化させることによって、透過するように構成されている。いくつかの態様では、第2の発出画像(21)は、第1の方向(x軸)に沿って偏光されてもよく、第2のリターダ画素(41)は、第2の発出画像(21)の偏光を第1の方向(x軸)から第2の方向(y軸)に変化させ、第2の発出画像(21)を第2の方向(y軸)に沿って偏光された第2の出力画像(51)として透過する。
【0017】
例えば、いくつかの実施形態では、複数のリターダ画素の約半分は、第1の方向(x軸)に沿って偏光された第1の出力画像(50)として第1の発出画像(20)を透過するように構成され、リターダ画素の約半分は、偏光を変化させ、第2の発出画像(21)を第2の方向(y軸)に沿って偏光された第2の出力画像(51)として透過するように構成されている。
【0018】
いくつかの態様では、光学システム(300)は、反射偏光子(60)を含む。直交偏光状態を有するディスプレイシステム(200)からの画素化された出力は、反射偏光子(60)に向けられる。反射偏光子は一般に、第1の偏光の光を透過し、かつ第2の異なる偏光の光を反射する材料を含む。反射偏光子としては、限定するものではなく、例として、拡散反射偏光子、多層反射偏光子、及びコレステリック反射偏光子が挙げられる。反射偏光子(60)は、広帯域反射偏光子、又はノッチ反射偏光子であってもよい。他の実施例では、反射偏光子(60)は、吸収直線偏光子、多層ポリマー反射偏光子、又は反射偏光子の積層体のうちの1つ以上であってもよく、第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。実質的に一軸配向された反射偏光子は、3M Companyから商品名Advanced Polarizing Film 5又はAPFで入手可能である。他のタイプの多層光学フィルム反射偏光子(例えば、3M Companyより入手可能な、Dual Brightness Enhancement Film又はDBEF)もまた使用されてもよい。他のタイプの反射偏光子(例えば、ワイヤグリッド偏光子)もまた使用されてもよい。
【0019】
特定の態様によれば、反射偏光子(60)は、
図3に示されるように、複数の交互の第1のポリマー層(61)及び第2のポリマー層(62)を含んでもよい。複数のポリマー層の数は、合計で、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、又は少なくとも200であってもよい。第1のポリマー層(61)及び第2のポリマー層(62)の各々は、約500nm未満、約450nm未満、又は約400nm未満の平均厚さを有してもよい。場合によっては、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、等方性層及び異方性層が交互に積層されていてもよい。複数のポリマー層を含む反射フィルム(例えば、反射偏光子)は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、及び同第6,783,349号(Neavinら)に記載されており、それらの各々が、本明細書に矛盾しない限りにおいて、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(glycol-modified polyethylene terephthalate;PETG)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、及びPEN/PETコポリマーのうちの1つ以上を含む。
【0020】
いくつかの態様では、反射偏光子(60)は、複数の交互の第1のポリマー層(61)及び第2のポリマー層(62)の反対側の上面及び下面に配置されたスキン層(63、64)を含んでもよい。スキン層(63、64)は、約1マイクロメートル超の厚さを有してもよい。場合によっては、コアポリマー層の厚さは、約10~300マイクロメートルであってもよく、スキン層の厚さは、50~200マイクロメートルであってもよいが、これらに限定されない。スキン層及びコアポリマー層は、接着剤を使用して互いに接合されてもよい。スキン層(63、64)は、例えば、ポリカーボネート若しくはポリカーボネート合金、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、又はそれらの組み合わせで作製され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、リターダ画素の一方のセットの出力は、反射偏光子(60)から透過されてもよく、一方で、リターダ画素の他方のセットの出力は、反射偏光子(60)から反射されてもよい。例えば、
図1に見られるように、反射偏光子(60)は、それぞれの第1のリターダ画素(40)及び第2のリターダ画素(41)によって透過された第1の出力画像(50)及び第2の出力画像(51)を受け、第1の出力画像(50)を実質的に透過し、かつ第2の出力画像(51)を実質的に反射するように構成されてもよい。図示された実施形態では、反射偏光子(60)は、第1の方向(x軸)及び第2の方向(y軸)に直交する第3の方向(z軸)に沿って第1の出力画像(50)を透過し、第1の方向(x軸)に沿って第2の出力画像(51)を反射する。
【0022】
いくつかの態様では、第1の出力画像(50)の少なくとも60%が反射偏光子(60)から透過される場合、反射偏光子(60)は、第1の方向(x軸)に沿って偏光された第1の出力画像(50)を実質的に透過する、と言うことができる。いくつかの態様では、第1の出力画像(50)の少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%が、偏光子(60)から透過され得る。第2の出力画像(51)の少なくとも60%が反射偏光子(60)から反射される場合、反射偏光子(60)は、第2の直交偏光状態(y軸)を有する第2の出力画像(51)を実質的に反射する、と言うことができる。いくつかの実施形態では、直交偏光状態を有する第2の出力画像(51)の少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%が、偏光子(60)から反射される。
【0023】
いくつかの実施形態では、光学システム(300)は、直交する第2の方向(y軸)に偏光を有し、かつ反射偏光子(60)によって反射される第2の出力画像(51)を受けて反射するように構成されたミラー(70)を含んでもよい。いくつかの態様では、第2のリターダ(80)は、反射偏光子(60)とミラー(70)との間に配置される。いくつかの実施形態では、第2のリターダ(80)は、1/4波長リターダであってもよい。図示された実施形態では、第2の方向(y軸)に偏光を有する第2の出力画像(51)を運ぶ光は、1/4波長リターダ(80)を通過し、当該光のかなりの部分がミラー(70)によって反射される。例えば、ミラーは、99.5%を超える反射率を有する高反射率ミラーであってもよい。ミラー(70)によって反射された光は、第2の方向(y軸)の偏光を第1の方向(x軸)の偏光に変換する1/4波長リターダ(80)を通過する。1/4波長リターダ(80)を通って第2の出力画像(51)を運ぶ光のこの二重通過により、第2の出力画像(51)の偏光状態を第1の出力画像(50)と同じ偏光状態を有するように変換する。
【0024】
特定の実施形態では、第2のリターダ(80)は、反射偏光子(60)上に積層されたフィルムであってもよく、又は反射偏光子(60)に塗布されたコーティングであってもよい。例えば、第2のリターダ層(80)は、反射偏光子(60)に積層された配向ポリマーフィルムであってもよく、又は反射偏光子(60)上の液晶ポリマーコーティングであってもよい。1/4波長リターダを形成するための好適なコーティングとしては、他の箇所で説明されるような、線状光重合性ポリマー(linear photopolymerizable polymer;LPP)材料及び液晶ポリマー(liquid crystal polymer;LCP)材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
ここで、LAは、画像Aを生成する第1の光路の光路長であり、LBは、画像Bを生成する第2の光路の光路長であり、fは、ミラー(70)の焦点距離であり、LA<LB<fは、光学システム(300)によって生成された画像A及び画像Bが両方とも仮想画像であり、画像Bがより長い仮想画像距離(VID)を有することを推測させる。光路LA及び光路LBのミラー焦点距離に対する異なる距離は、それぞれ、近視野仮想画像及び遠視野仮想画像を生成する。
【0026】
図4を参照すると、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システム(400)は、光学システム(300)を含む。光学システム(300)は、
図1~
図3を参照して以前に説明されている。HUDシステム(400)は、第1の出力画像(50)及び第2の出力画像(51)によって生成された仮想画像を、観察者(90)が観察するために表示する。HUDシステム(400)は、ビークル内のHUDであってもよく、観察者(90)は、ビークルの乗員であってもよい。いくつかの態様では、ビークル内のHUD(400)は、ビークルのフロントガラス(110)を含んでもよい。光学システム(300)からの近視野画像及び遠視野画像の両方を含む出力画像は、観察者(90)が観察するために、フロントガラス(110)上に表示され得る。HUD(400)は、ビークル速度などのビークル動作情報、方向及び/又はマップなどのナビゲーション情報、温度などの周囲情報、無線ステーション又はトラックリスト、発信者情報などの通信情報、及び道路標識情報又は実効速度限界などの制限事項などのうちの1つ以上を表示するように構成され得る。
【0027】
特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
なお、各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
第1の方向に沿って偏光された第1の出力画像と、直交する第2の方向に沿って偏光された第2の出力画像と、を出力するように構成された、ディスプレイシステムであって、
ディスプレイであって、前記ディスプレイ上に互いに点在する複数の第1の表示画素及び第2の表示画素を含み、前記第1の表示画素及び前記第2の表示画素が、前記第1の方向に沿って偏光された異なるそれぞれの第1の画像と第2の画像とを重ね合わせて発出するように構成されている、ディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、かつ前記第1の表示画素及び第2の表示画素とそれぞれ1対1対応で整列して位置合わせされた複数の第1のリターダ画素及び第2のリターダ画素を含む、リターダであって、前記第1のリターダ画素が、前記第1の発出画像を受け、前記第1の発出画像の偏光方向を変化させず、前記第1の発出画像を前記第1の方向に沿って偏光された前記第1の出力画像として透過するように構成され、前記第2のリターダ画素が、前記第2の発出画像を受け、前記第2の発出画像の前記偏光方向を前記第1の方向から前記第2の方向に変化させ、かつ前記第2の発出画像を前記第2の方向に沿って偏光された前記第2の出力画像として透過するように構成されている、リターダと、
を備える、ディスプレイシステムと、
前記第1の出力画像及び前記第2の出力画像を受け、前記第1の出力画像を実質的に透過し、かつ前記第2の出力画像を実質的に反射するように構成された反射偏光子と、
を備える、光学システム。
(付記2)
前記反射偏光子が、前記第1の出力画像の少なくとも80%を透過し、かつ前記第2の出力画像の少なくとも80%を反射する、付記1に記載の光学システム。
(付記3)
前記反射偏光子が、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って前記第1の出力画像を透過し、かつ前記第1の方向に沿って前記第2の出力画像を反射する、付記1に記載の光学システム。
(付記4)
前記第1のリターダ画素が、ゼロ又は全波長リターダであり、前記第2のリターダ画素が、1/2波長リターダである、付記1に記載の光学システム。
(付記5)
前記第1のリターダ画素が、前記第2のリターダ画素の2倍の厚さである、付記1に記載の光学システム。
(付記6)
前記反射偏光子によって反射された前記第2の出力画像を受けて反射するように構成されたミラーと、前記反射偏光子と前記ミラーとの間に配置された第2のリターダと、を更に備える、付記1に記載の光学システム。
(付記7)
前記第2のリターダが、1/4波長リターダである、付記6に記載の光学システム。
(付記8)
前記反射偏光子が、合計で少なくとも50個の複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、各第1のポリマー層及び第2のポリマー層が、約500nm未満の平均厚さを有し、前記反射偏光子が、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層の反対側の上面及び下面に配置されたスキン層を更に含み、前記スキン層が、約1マイクロメートル超の厚さを有する、付記1に記載の光学システム。
(付記9)
付記1に記載の光学システムを備えるヘッドアップディスプレイであって、観察者が観察するための前記第1の出力画像及び前記第2の出力画像を表示する、ヘッドアップディスプレイ。
(付記10)
付記9に記載のヘッドアップディスプレイがビークル内のヘッドアップディスプレイであり、前記観察者が前記ビークルの乗客であり、かつ前記ヘッドアップディスプレイが前記ビークルのフロントガラスを含む、ヘッドアップディスプレイ。