(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】折り目付けツール及び折り目線を生成する方法
(51)【国際特許分類】
B31F 1/10 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B31F1/10
(21)【出願番号】P 2022573566
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021063987
(87)【国際公開番号】W WO2021239783
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522462649
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】レジェ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デュラン ジュリアン
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-042266(JP,A)
【文献】特開昭59-027263(JP,A)
【文献】特開平11-010753(JP,A)
【文献】登録実用新案第3089398(JP,U)
【文献】特開2004-167983(JP,A)
【文献】米国特許第02223503(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31F 1/08 - 1/10
B31B 50/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質基板(35)に折り目線(11、12)を生成するように構成された折り目付けツール(53)であって、
ベース面(57)と、該ベース面(57)から延びる突出パターンとして設けられて前記繊維質基板に対して押圧されるように構成されたレリーフ部分(54)と、を有する接触部分(50)を備え、
前記レリーフ部分(54)は、折り目線形成部分(56)と周囲変形部分(59)とを備え、
前記周囲変形部分は、前記折り目線形成部分(56)の長手方向(L)に対して横断する方向(E)に延びる湾曲横断面区域(58)の形状にある複数の離散セグメントを備え、
前記湾曲横断面区域(58)の外側周囲は、折り目付けツール(57)の外縁(60)に対して凹面である、
ことを特徴とする折り目付けツール(53)。
【請求項2】
前記周囲変形部分(59)は、前記折り目線形成部分(56)に向う方向に前記繊維質基板上に徐々に増大される接触圧力を印加するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の折り目付けツール。
【請求項3】
前記折り目線形成部分(56)及び前記周囲変形部分(59)は接続されることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項4】
前記レリーフ部分(54)は、前記接触部分(50)上の中心に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項5】
前記折り目線形成部分(56)は、連続線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項6】
前記折り目線形成部分(56)は、前記周囲変形部分(59)よりも前記ベース面(57)から更に突出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項7】
前記周囲変形部分(59)は、前記折り目線形成部分(56)からの方向にかつ折り目付けツールの縁部(60)に向けて角度(α)で下方に傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項8】
前記湾曲横断面区域(58)は、前記折り目線形成部分(56)に位置付けられた近位部分(61)と自由端として成形された遠位端(63)とを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項9】
前記折り目線形成部分(56)は、環状隆起(66)を備え、
前記環状隆起は、前記折り目付けツールの外周の周りに延びる線形の直線的な形状を有するとともに、前記湾曲横断面区域(58)の前記近位部分(61)よりも前記ベース面から離れる方向に突出する、
ことを特徴とする請求項8に記載の折り目付けツール。
【請求項10】
前記湾曲横断面区域(58)は、前記折り目線形成部分(56)に位置付けられた近位部分(61)と自由端として成形された遠位端(63)とを有し、それらの遠位部分(63)におけるよりもそれらの近位部分(61)でより大きい断面積を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項11】
前記折り目線形成部分は、前記接触部分で中心に位置付けられ、
前記折り目線形成部分の第1の側及び第2の側の前記湾曲横断面区域は、前記折り目線形成部分(56)によって定められた中心軸(M)の周りで鏡像化され、
前記第1の側の前記湾曲横断面区域は、前記第2の側の該湾曲横断面区域に対してオフセットされる、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項12】
線形要素は、前記折り目線形成部分(56)で収束し、それによって該線形要素の前記近位部分は、前記折り目線形成部分を形成する、
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の折り目付けツール。
【請求項13】
前記折り目付けツールは、折り目付けディスクとして提供され、
前記離散セグメントは、前記折り目線形成部分(56)によって定められた中心軸(M)に対して角度(β)で延びている、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の折り目付けツール。
【請求項14】
変換機械であって、
請求項1に従属する請求項13に記載の前記折り目付けツールを備え、
前記折り目付けディスクは、前記湾曲横断面区域が
前記中心軸(M)に対して角度(β)で且つ前記ディスクの回転方向(R)に横断方向に延びるように前記変換機械に装着され、前記角度は、前記離散セグメントの、前記折り目線形成部分(56)に位置付けられた近位部分の前に
前記湾曲横断面区域の自由端として成形された遠位端がブランクと接触されるように90度未満である、
ことを特徴とする変換機械。
【請求項15】
請求項1に記載の折り目付けツール(53)を用いて繊維質基板(35)に折り目線(11、12)を生成する方法であって、
少なくとも1つの波形層(83)を有する繊維質基板(35)を選択する段階と、
前記少なくとも1つの波形層内の溝(10)間の距離(p1)を測定する段階と、
前記溝(10)間の距離(p1)の50%に等しいか又はそれよりも大きい前記湾曲横断面区域(58)の横断長さ(d
2)を有する折り目付けツール(53)を選択する段階と、
折り目線が得られるように前記繊維質基板に対して前記折り目付けツール(53)を押圧する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱の生成に特に適する折り目付けツールに関する。
【背景技術】
【0002】
包装業界では、段ボール箱は、多くの場合に段ボールシートから製造される。段ボールシートは、それらが印刷され(必要時に)、切断されて折り目付けされ、次に折り畳まれて接着され、多くの場合に「折り畳み箱」とも呼ばれる平坦-折り畳み箱を形成するフォルダ-グルーア配置のようなアセンブリ内で加工される。
【0003】
波形段ボールは、溝付き波形シートと溝付き波形シートの各側に付加された2つのライナーボードとを典型的に備える材料である。波形段ボールは、軽量を高強度と組み合わせ、かつ包装材料として特に適している。
【0004】
段ボールシートを折り畳むために、直角方向に折り目線を生成する必要がある。折り目線の一部は、次に、溝付けの方向と一致することになり、一方で他のものは、横断方向にあることになる。折り目線は、折り目線を生成するために段ボールシートに対して押圧される突出縁部がダイに設けられるプラテン印刷機械内で作ることができる。突出環状折り目付け隆起が設けられた回転折り目付けディスクを使用することによって折り目線を形成することも可能である。折り目付けディスクは、典型的には、フォルダ-グルーア機械に組み込まれる。フォルダ-グルーア機械はまた、変換機械又は変換インライン機械と呼ぶこともできる。変換機械は、材料のウェブ又はシートを中間形態又は完成平坦-折り畳み箱に変換する又は変える。
【0005】
折り畳み加工の精度は、段ボール上に付加された折り目線の品質に、すなわち、折り目の正しい位置、形状の規則性、及び陥没深さに依存する。折り目隆起が鋭くなればなるほど、段ボール上に付加される折り目の品質は良くなる。しかし、鋭い折り目隆起は、段ボールを引き裂く可能性がある。
【0006】
折り目隆起を溝の長手方向に対して横断方向に付加すると、折り目付けツールからの圧縮力は、上紙ライナーと内側溝付き段ボールシートが接続される複数の点にわたって配分される傾向がある。しかし、折り目線が溝の長手方向と一致する方向に形成されることになる場合に、段ボールの曲げ抵抗の大きい変動がある。その結果、上部ライナーボードは、上紙ライナーと内側溝付き波形シートが切断される場所に圧力が印加される場合に破断する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に言及した問題に鑑みて、本発明の目的は、紙ライナーを引き裂くリスクを低減しながら、明確に定義されたかつ正確な折り目線を形成する折り目付けツール及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1に記載の折り目付けツール及び請求項16に記載の方法によって解決される。
【0009】
本発明の第1の態様により、それは、繊維質基板に折り目線を生成するように構成された折り目付けツールに関連し、折り目付けツールは、ベース面とレリーフ部分とを有する接触部分を備え、レリーフ部分は、ベース面から延びる突出パターンとして提供され、かつ繊維質基板に対して押圧するように構成され、レリーフ部分は、折り目線形成部分と周囲変形部分とを備え、周囲変形部分は、折り目線形成部分の長手方向に対して横断する方向に延びる湾曲横断面区域の形状の複数の離散セグメントを備える。
【0010】
繊維質基板は、本発明の関連では、波形段ボール基板とも呼ばれる。折り目付けディスクの形態にある折り目付けツールに関して、長手方向は、折り目付けディスクの回転の方向である。長手方向は、すなわち、折り目付けツールの円周の周りに延びる。
【0011】
本発明は、折り目付けツールからの変形が、紙ライナー及び波形層が切断される弱い区域とそれらの2つの要素が接続されるより強い区域との両方に触れるように繊維質基板にわたって徐々に配分される必要があるという認識に基づいている。これは、どこで折り目付けツール上の折り目線形成部分が繊維質基板に接触するかに関わらず、繊維質基板の上へのより配分された圧力を生成することになる。周囲変形部分は、すなわち、徐々に増大する接触圧力を折り目線形成部分に向う方向に繊維質基板上に印加するように構成される。
【0012】
横断方向に延びる複数の離散セグメントは、繊維質基板の溝付け部上に溝付けが延びる方向に沿ってのみではなく圧力を印加する。換言すると、離散セグメントは、主折り目線の中に徐々に移行するように溝付け部上に作用する。これは、主折り目線の周りのシートの引き裂きを防止するのを補助する。
【0013】
実施形態では、折り目線形成部分及び周囲変形部分は接続される。これは、レリーフ部分が折り目線形成部分から周囲変形部分まで連続していることを意味する。
【0014】
本発明の関連での連続的は、折り目線形成部分が線又はベース面から突出する連続突出レリーフパターンを有する面区域の形状であることを意味する。
【0015】
レリーフ部分は、接触部分上に中心に配置することができる。実施形態では、周囲変形部分は、その少なくとも1つの側で折り目線形成部分の横方向に配置される。
【0016】
好ましくは、周囲変形部分は、折り目線形成部分の両側に配置される。このようにして、周囲変形部分は、繊維質基板上でより大きい距離にわたって延びることができ、かつ折り目線形成部分の両側で破断のリスクを低減する。
【0017】
折り目線形成部分は、連続線とすることができる。この線は、直線とすることができる。これに代えて、線には、ジグザグ形状を設けることができる。
【0018】
実施形態では、折り目線形成部分は、周囲変形部分よりもベース面から更に突出する。この高さの差は、明確に定義された折り目線の形成を可能にする。実施形態では、折り目線形成部分と周囲変形部分の間の接合部に不連続性があり、それによって折り目線形成部分と周囲部分の間の移行は不連続である。換言すると、移行に一定の緩やかな傾斜はない。
【0019】
周囲変形部分は、好ましくは、折り目線形成部分から折り目付けツールの縁部に向う方向にある角度で下方に傾斜する。この角度は、ツールの回転軸に関連して定められる。
【0020】
これは、折り目付けツールが繊維質基板に接触している時に折り目付けツールの中心部分に向けて圧縮深さを徐々に増大する。周囲変形部分は、0°から36°、好ましくは、2°から10°の範囲の角度で下方に傾斜させることができる。折り目付けツールの傾斜した外面は、折り目付けツールと内側ライナーボードの間のより滑らかな接触角度を可能にし、それにより、機械的較正を通して、折り目マークの全幅を管理し、それによって応力又は破断なしに折り畳み角度を増大する可能性を与える。ほとんどの段ボール基板に関して、36°よりも大きい角度は、典型的には、横断セグメント設計の利点を十分に生かすことを可能にしないことになる。更に、それは、機械的圧力を小さい面上に集中させる可能性があり、これは、内側ライナー上の引き裂き現象の増大を生じると考えられる。
【0021】
実施形態では、周囲変形部分内の横断面区域は、直線的形状であり、かつ折り目線形成部分に位置付けられた近位部分と自由端として成形された遠位端とを有する。
【0022】
実施形態では、折り目付けツールは、中央リブを更に備え、中央リブは、横断面区域の近位部分よりもベース面から更に突出する。この高さの差は、明確に定義された折り目線の形成を可能にすることになる。従って、折り目線形成部分と周囲変形部分の間の接合部に不連続性があり、それによって折り目線形成部分と周囲変形部分の間の移行は不連続である(すなわち、移行での一定の緩やかな傾斜を示さない)。
【0023】
横断面区域は、それらの遠位部分におけるよりもそれらの近位部分でより大きい断面積を有する場合がある。これは、それほど鋭くない折り目線を達成することができ、かつより大きい折り畳みゾーンが望ましい時に特に使用することができる。このタイプの横断面区域は、予備紙折り織として使用される折り目付けディスクに対して有利である場合がある。予備折り目付けディスク及び下流に位置付けられる主折り目付けディスクは、2段階折り目線形成工程を提供する。これは、緩やかで滑らかな折り目線形成工程を可能にする。
【0024】
横断面区域は、本発明の関連では、線形要素として定められ、これは、直線又は曲線のいずれかとすることができ、かつ一様又は可変厚みを有することができる。
【0025】
折り目線形成部分は、接触部分上の中心に位置付けることができ、折り目線形成部分の第1の側及び第2の側の横断面区域は、折り目線形成部分によって定められた中心軸の周りに鏡像化され、好ましくは、互いに対してオフセットすることができる。例として、第1の側の横断面区域は、第2の側の横断面区域に対してオフセットすることができる。従って、横断面区域は、それらが交互するように置かれる。従って、折り目付けツールのパターンは、ヘリングボーンに類似することができる。そのような配置は、ライナーボード上に折り目付けツールによって印加される配分された機械的圧力を提供する。これは、繊維質基板に接触する横断セグメントが常にあるように周囲部分からの変形フットプリントを配分する。
【0026】
一実施形態では、横断面区域は、直線とすることができる。これは、横断面区域が仮にそれらが湾曲された場合よりも大きい長さにわたって延びることができるという技術的効果を有する。実施形態では、横断面区域は、それらの長さに沿って一貫した断面積を有することができる。
【0027】
別の実施形態では、横断面区域は、線形要素として成形され、線形要素は、中心折り目線形成部分で収束し、それによって線形要素の近位部分は、折り目線形成部分を形成する。この円弧形状は、横断面区域が繊維質基板上に実質的に直線状の中心折り目線を形成することを可能にする。これは、湾曲縁部としての緩やかな移行部が、溝を変形させる際に滑らかであることが見出されることも可能にする。
【0028】
本発明の折り目付けツールは、平坦-折り畳み式段ボール箱を生成するように構成された変換機械の溝付け器アセンブリに使用することができる。
【0029】
実施形態では、本発明の折り目付けツールは、プラテン印刷機に提供される。折り目付けツールは、上下方向に移動されて繊維質基板に対して垂直方向に押圧するように構成されたダイとすることができる。これに代えて、折り目付けツールは、折り目付けディスクとして提供することができる。
【0030】
離散セグメントは、中心折り目線形成部分によって定められた中心軸に対して傾斜して延びている。
【0031】
折り目付けツールは、ほぼリング形状とすることができる。これは、折り目付けツールを例えば折り目付けデバイスのシリンダ又はシャフト上に容易に装着することを可能にする。このようにして、折り目線は、折り目付けツールを回転させてそれによって折り目付けツールを段ボールに接触させることによって段ボールに印加することができる。実施形態では、折り目付けツールは、それをシャフトの端部を切り離すことなくシャフトの周りに装着することができるように2つの半リング形状部品で提供することができる。2つの部品は、ファスナ(ボルト又はスクリューのような)によって互いに取り付けることができ、かつ任意的に、剛性ディスクアセンブリを形成するためにファスナ及び折り目付けツール部品と協働する取り付けブラケットを設けることができる。
【0032】
第2の態様により、本発明は、本発明の第1の態様による折り目付けディスクとして構成された折り目付けツールを備えるフォルダ-グルーア機械のような変換機械に関連し、折り目付けディスクは、横断面区域が中心軸に対して傾斜した横断方向にかつディスクの回転方向に延びるように変換機械内に装着され、傾斜角度は、横断面区域の遠位端が離散セグメントの近位部分よりも前に繊維質基板と接触されるように90度未満である。
【0033】
第3の態様により、本発明は、本発明の第1の態様による折り目付けツールを用いて折り目線を繊維質基板に生成する方法に関連し、本方法は、
-少なくとも1つの波形層を有する繊維質基板を選択する段階、
-少なくとも1つの波形層内の溝間の距離を測定する段階、
-溝距離の50%に等しいか又はそれよりも大きい横断面区域の横断長さを有する折り目付けツールを選択する段階、及び
-折り目線が得られるようにツールを繊維質基板に対して押圧する段階、
を備える。
【0034】
実施形態では、横断面区域の横断長さは、溝距離に等しいか又はそれよりも大きい。従って、周囲部分内の各離散横断面区域は、ライナーボードを引き裂く又は他に損傷するリスクが低減されるように、折り目の形成中に圧縮力を少なくとも2つの溝上に印加する。
【0035】
折り目付けツールは、可変数の横断面区域を備えることができ、この数は、リニアセンチメートル当たり未満、好ましくはリニアセンチメートル当たり未満でボール紙と同時に接触する横断面区域の数によってもたらされる。横断面区域の数が少ないと、十分に鋭い折り畳み線をもたらさない場合があり、一方で横断面区域の数が多いと、折り目付けツール上に滑らかすぎる外面が生じると考えられ、折り目付けリングが、折り畳み線を十分に定めない周囲部分と比較して十分な圧力差を生じない場合がある。
【0036】
好ましくは、折り目付けツールの折り目線形成部分に沿ったどの位置でも、横断面区域の少なくとも一部は、折り目付けツールの外面上に存在する。
【0037】
更に別の利点及び特徴は、本発明の例示的実施形態の以下の説明から及び類似の特徴が同じ参照番号を用いて示されている添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2a】
図1に示すブランクから得られた平坦-折り畳み及び接着箱の概略斜視図である。
【
図2b】
図2aに示す平坦-折り畳み箱から取得可能な組み立てられた箱の概略斜視図である。
【
図4】
図3の変換機械のスロッティングユニットの断面図である。
【
図5a】従来技術で公知の標準的な折り目付けツールを示す図である。
【
図5b】
図5aの折り目付けツールの詳細図である。
【
図5c】
図5aの折り目付けツールを通した断面を示す図である。
【
図6】段ボール基板に接触している折り目付けツールの概略断面図である。
【
図7】2層波形段ボール基板を備える段ボール基板の概略断面図である。
【
図8a】本発明による折り目付けツールの第1の実施形態を示す図である。
【
図8b】
図8aの折り目付けツールの詳細を示す図である。
【
図8c】
図8aの折り目付けツールを通した断面を示す図である。
【
図8d】
図8aから8cに示す実施形態と類似の折り目付けツールの別の実施形態を示す図である。
【
図8e】
図8aから8cに示す実施形態と類似の折り目付けツールの別の実施形態を示す図である。
【
図9a】本発明による折り目付けツールの第3の実施形態を示す図である。
【
図9b】
図9aの折り目付けツールの詳細図である。
【
図9c】
図9aの折り目付けツールを通した断面を示す図である。
【
図10a】本発明による折り目付けツールの第4の実施形態を示す図である。
【
図11a】本発明による折り目付けツールの第5の実施形態を示す図である。
【
図12a】
図5aに示すような従来技術の折り目付けツールを使用して達成された折り目線を示す図である。
【
図12b】本発明による折り目付けツールを使用して達成された折り目線を示す図である。
【
図13】プラテン印刷機ダイの形態にある折り目付けツールを示す本発明の更に別の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、波形段ボールから製造され、
図2aに示すような折り畳み箱1’の製造に使用される中間ブランク1の例を示している。
【0040】
折り畳み箱1’を製造する時に、段ボールウェブ又はシートの形態の繊維質基板35は、変換機械19内で複数のワークステーションを通過し、複数のワークステーションは、印刷し、切断して成形し、折り畳みのための繊維質基板35を調製し、繊維質基板35を接着して折り畳む。
図1の中間ブランク1は、折り目付けされ、切断されて成形され、折り畳みのために調製されたものである。図示のように、中間ブランク1は、より大きい長さの2つの平行な縁部を有するほぼ矩形の平坦形状を呈することができる。折り畳み箱1’を生成するために、中間ブランク1は、変換機械19の別々の処理モジュールで更に折り畳まれ、接着する必要がある。折り畳み箱1’は、最終工程では、
図2bに示すような3次元箱1’’を形成するよう組み立てることができる。
【0041】
図1に示すように、中間ブランク1は、加工/駆動方向FDに対して前方かつ垂直に配置する必要がある前縁2を備える。
図3に概略的に示すように、前縁2は、典型的には、変換機械19の折り畳み-接着モジュール26に入れられ、次にブランク1を折り畳み、接着する。変換機械19は、シートの長手軸線と駆動方向FDとに沿って位置合わせされた複数のユニットを備える。
【0042】
ブランク1を3次元の箱に折り畳むことを可能にするために、複数の折り目線11、12が必要である。折り畳み箱1’のタイプ及びモデルが異なれば、折り目線11,12の本数及び位置も異なる。図示の中間ブランク1と切断及び折り目線の構成とは、3次元折り畳み箱を形成するのに適する折り畳み箱1’を製造するのに使用することができる多くの異なる中間ブランク1の僅かに一例である。
【0043】
図1に示すように、図示の中間ブランク1の折り目線11,12は、2つの群に区別され、第1の群11は、フォルダ-グルーア機械19の駆動方向FDと一致する平行折り目線11a,11b,11c,11dとして構成される。第2の群の折り目線12は、垂直折り目線12a、12bであり、従って、第1の群の平行折り目線11a、11b、11c、11dに垂直である。
【0044】
より短い長さの2つの側縁は、左縁4と右縁5を定めるように設けられる。左縁4は、左縁4の中心部にフラップ14を定めるようにその2つの末端部分に沿って切り欠きを呈する。折り目線12の第2群の前部12a及び後部折り目線12bは、それぞれ前縁2及び後縁3に平行であり、3次元箱を形成するために組み立てられた時に折り畳み箱1’の周囲面を備えることを意図したブランク1の中心部分1aを定める。中心部分1aは、3次元箱1’’を形成するために組み立てられた時に底面を備えることを意図した後部分1bと、折り畳み箱1’の上面を備えることを意図した前部分1cとの間に配置される。
【0045】
第1の群の平行折り目線11は、典型的には、左右の縁部4、5、並びに段ボールの波形層の溝10と平行である。この群の平行折り目線11は、中心部分1aの全幅に沿って延びることができる。折り目線11の一方は、フラップ14に隣接し、中心折り目と呼ばれる折り目線11cの他方は、長手軸線Aに位置合わせする。折り目線11及び中心折り目11aと一致して、一部の実施形態では、後部分1b及び前部分1cの全幅を延びるスリット13を生成するように、後部分1b及び前部分1cを切断することができる。
【0046】
スリット13は、後部分1b及び前部分1cの各々に、それぞれ2対のパネル、それぞれ第1の対の大後部パネル6b及び6b’、第2の対の大前部パネル6c及び6c’、第1の対の小後部パネル7b及び7b’、第2の対の小前部パネル7c及び7c’を定める。大後部パネル及び前部パネル6b、6c及び6b’、6c’は、大中心パネル6a及び6a’の各側にそれぞれ位置付けられる。同様に、小中心パネル7a、7a’の各側に小後部及び前部パネル7b、7c及び7b’、7c’が、それぞれ位置付けられる。
【0047】
折り目線11、12及びそれらのスリット13は、ブランク1を矩形形状の折り畳み箱1’に折り畳むことを可能にし、各折り目線11、12は、折り畳み線を定める(
図1を参照されたい)。折り畳み工程中に、典型的には、接着剤がフラップ14上に堆積され、大左中心パネル6aは、すなわち、小右中心パネル7a’に接合される。
【0048】
変換機械19の多くの異なる構成が可能である。
図3に概略的に示す例示的変換機械19は、駆動方向FDに上流から下流に向けて連続的に繊維質基板35をシートの形態で自動的に装填する装填器20、給送器21、任意的な複数のフレキソ印刷ユニット22aから22d、少なくとも1つの溝付け器アセンブリ23及び少なくとも1つの切断ユニット24、廃物ストリップ及び任意的な振動ユニット25、折り畳み-接着ユニット26を備える。変換機械19はまた、計数-放出ユニット、結束器、パレット積載器(
図3では部分的に点線で表示)のような任意的モジュール27を更に備えることができる。
【0049】
図4に示すように、溝付け器アセンブリ23は、最終印刷ユニット22dから出る印刷済み繊維質基板35を処理して中間ブランク1(
図1を参照されたい)に変形させる。溝付け器23アセンブリは、エッジカット(
図1に見られる1b、1a、1c)、スリット13、及びフラップ14を横断方向に区切るカットを形成する切断ツール又はナイフ、及び長手方向の折り目線11を形成する折り目付けデバイス又は折り目付け器を備える様々な回転ツールを備える。横断方向の折り目線12は、溝付け器23の上流又は下流(変換機械のタイプ及び構成に依存する)で生成されるか、又は繊維質基板35に最初に設けられていることに注意されたい。
【0050】
回転ツールは、シャフトモータによって回転駆動される横断軸受シャフトに装着される。ツールの回転速度は、好ましくは、作動速度、すなわち、繊維質基板35の駆動速度及び走行速度Tに対応する。
【0051】
図示の実施形態では、溝付け器23は、上流から下流に向けて第1の対のシャフトが互いに上下に位置決めされた予備折り目付けセクション36を備える。予備折り目付けセクション36は、その後の優先折り畳み線の形成のための段ボールを調製する。従って、予備折り目付けセクションは、繊維質基板35上に部分的に変形した区域である予備折り目付け区域を形成するように構成される。下側シャフトには、下側予備折り目付け器37が設けられ、上側シャフトには、下側予備折り目付け器37の片割れである上側予備折り目付け器38が搭載される。予備折り目付けセクション36は、長手方向の折り目線11が2つの連続作動で折り目を付けられるので、第1の初期折り目付け作動を提供する。
【0052】
第2の対のシャフトが互いに上下に位置決めされた第1の溝付けセクション39は、予備折り目付けセクション36の下流に取り付けられる。第1の溝付けセクション39の上側シャフトは、ナイフ41を伴うディスクが設けられ、下側シャフトは、下側カウンターブレード42が設けられる。第1の溝付けセクション39は、ブランク1の後部に位置付けられたスリット13を切断する。
【0053】
第3の対のシャフトが互いに上下に位置決めされた折り目付けセクション43は、第1の溝付けセクション39の下流に装着される。折り目付けセクション43の下側シャフトには、下側折り目付け器44が設けられ、上側シャフトには、下側折り目付け器44の片割れである上側折り目付け器46が設けられる。折り目付けセクション43は、優先折り目線の形成に備える第2の最終の折り目付け作動を提供し、その結果、長手折り目線11の永久的かつ正確なマーク付けを保証する。
【0054】
第4の対のシャフトが互いに上下に位置決めされた第2の溝付けセクション47は、折り目付けセクション43の下流に装着される。第2の溝付けセクション47の上側シャフトには、ナイフ48を伴うディスクが設けられ、下側シャフトには、下側カウンターブレード49が設けられる。第2の溝付けセクション47は、ブランク1の前部に位置付けられたスリット13を切断する。
【0055】
接着剤フラップ14を切り出してフラップ14の後部切断及び前部切断を行うために、加工ユニット43は、繊維質基板35を加工するデバイス51を備えることができる。このデバイス51は、折り目付けセクション内に位置付けられる。ブランク1上のフラップ14の近接位置を考慮すると、デバイス51は、好ましくは、折り目付けセクション43で上側シャフトのオペレータ側端部に装着される。
【0056】
下側予備折り目付け器37及び上側予備折り目付け器38、並びに下側折り目付け器44及び上側折り目付け器46は、折り目付けツール53を有する折り目付けデバイスである。従って、折り目付けツール53は、折り目付けセクション43でそれぞれの折り目付けツール53の支持体として機能するシャフト上に装着される。同じく、予備折り目付け器37及び折り目付け器44を繊維質基板35の上方又は下方に配置することが可能である。
【0057】
図5aから
図5cでは、従来技術で公知の折り目付けツール53が概略的に示されている。折り目付けツール53は、予備折り目付けセクション36及び折り目付けセクション43(
図4を参照されたい)に使用することができる。折り目付けツール53は、リング形状であり、折り目付けツール53の内径がそれぞれのシャフト寸法に従って選択される限り、変換機械19のシャフトに装着することができる。リング形状の折り目付けツール53は、シャフトの周囲に装着することができ、装着された時に完全なリングを構成することができるように2つの半リング形状部品で提供することができる。
【0058】
折り目付けツール53は、折り目線形成部分56が折り目付けツール53の外面上で折り目付け隆起又は中央リブの形態であるレリーフ部分54を備える。このレリーフ部分54を繊維質基板35に押圧することにより、繊維質基板35のライナーボード及び溝10を変形させることによって折り目線11,12を形成することができる。
【0059】
ここで
図8aから
図11cを参照すると、本発明による折り目付けツール53の実施形態が示されている。
図8aに示す実施形態に見ることができるように、ディスク状折り目付けツール53は、全幅Wを有する接触部分50を有し、折り目付けツール53は、それをシャフトの端部を切断することなくシャフトの周りに装着することができるように、2つの部品53a、53bで提供することができる。2つの部品53a,53bは、ディスクが形成されるように接合部55で組み立てることができる。
【0060】
接触部分50は、突出折り目線形成パターンが設けられたレリーフ部分54を備える。
【0061】
レリーフ部分54の横方向には、折り目付けツール53は、ベース部分57として構成された外側部分を備えることができる。ベース部分57は、滑らかな面を備えることができる(すなわち、折り目付けパターンを設けない)。任意的に、ベース部分57は、湾曲とすることができる。レリーフ部分54は、折り目付け作動中に繊維質基板35と接触し、一方でベース部分57は、繊維質基板35から離間して位置決めされる。
【0062】
図8cに最も良く見ることができるように、レリーフ部分54は、折り目線形成部分56及び周囲変形部分59を備える。周囲変形部分59は、折り目線形成部分56の横方向に位置付けられる。
【0063】
折り目線形成部分56は、折り目付けツール53の円周の周りに延びる隆起線である。折り目付けツール53が繊維質基板35に押圧された状態で、折り目線形成部分56は、折り目線の中心部を折り目付けすることになる。折り目線の中心部は、折り目付けするための正確な位置である優先折り畳み線を定める。周囲変形部分59は、折り目付けツール53からの圧縮力を折り目線形成部分56に向う方向に徐々に繊維質基板35全体を通して配分させる。従って、繊維質基板35に作用する圧縮力は、周囲変形59部分から増大し、その結果、折り目付けツール53の折り目線形成部分56に向けて集中する。
【0064】
周囲変形部分59は、ベース面57から延びる離散突出パターンである。例えば、周囲変形部分59は、ベース面57から0.5mmから1.6mm突出するように設計することができる。周囲変形部分59には、複数の横断面区域58が設けられる。横断面区域58は、中心折り目線形成部分56の長手方向Lに対してd2の垂直方向の長さを有する(
図8bを参照されたい)。横断面区域58は、中心折り目線形成部分56の長手方向Lに対して及び折り目付けツール53の中心軸Mに対して横断方向に延びる。これらの横断面区域58は、直線的な形状とすることができる。一部の実施形態では、横断面区域58は、直線又は曲線状とすることができる。横断面区域58は、シェブロン58として又は代わりに折り目線形成部分56と共に見た時にフィッシュボーンとして成形することができる。
【0065】
図8bに最も良く見ることができるように、横断面区域58は、折り目線形成部分56に位置付けられた近位部分61、及びレリーフ部分54の外縁に配置された遠位端(すなわち、自由端)63を有する。従って、遠位端63は、近位部分61よりも更に折り目線形成部分56から離れる方向に位置付けられる。従って、横断面区域58は、折り目線形成部分56から折り目付けツール53の縁部60に向けて延長方向Eに沿って延びる。
【0066】
折り目線形成部分56は連続であり、周囲変形部分59が不連続であるために、変形は、折り目線形成部分56に集中する。その結果、折り目線形成部分56は、鋭くかつ正確な折り目線を生成するように構成される。
【0067】
本発明の折り目付けツール53は、予備折り目付けセクション36及び主折り目付けセクション43の両方に使用することができる。
【0068】
繊維質基板35に形成された折り目線11,12は、折り目線11,12の中心部であって折り目線形成部分56によって設けられた主折り目線部分を備える。折り目線11,12が主折り目付けツール53によって設けられる場合に、主折り目線部分は、優先折り畳み線に対応する。別の例では、折り目線11,12が予備紙折り織によって設けられる場合に、主折り目線部分は、予備折り目付け区域の主要部分を形成する。折り目線11,12にはまた、周囲折り目線部分によって設けられる周囲変形部分58が設けられる。
【0069】
図8aから
図8cに示す実施形態では、折り目線形成部分56の第1の側の横断面区域58の近位部分61は、折り目線形成部分56の第2の反対側の横断面区域58に接する。
【0070】
ここで
図8cを参照すると、
図8aの折り目付けツール53の断面の形状が更に示されている。折り目付けツール53のレリーフ部分54は、折り目線形成部分56から折り目付けツール53の縁部60に向う方向に角度αだけ下方に傾斜させることができる。周囲変形部分59は、すなわち、折り目線形成部分56からの方向に対してかつ折り目付けツール53の回転軸Xrに対して角度αだけ下方に傾斜させることができる。それによって中心折り目線形成部分56に向う方向に繊維質基板35上の折り目付けツール53からの圧縮深さが徐々に増大する。折り目付けツール53の回転中に、各横断面区域58から生じる繊維質基板35への圧縮深さは、横断面区域58の高さが回転方向Rに増大する時に徐々に増大する。
【0071】
角度αは、有利には0°から36°の範囲、好ましくは2°から10°の範囲である。角度αは、中心折り目線形成部分56の位置に対して決定される。この範囲は、応力なしに折り畳み角度を増加させ、二重折り(すなわち、4つ折り)現象を制限することが公知である。この傾斜は、横断面区域58の延長線Eに沿って一定とすることができる。
【0072】
折り目付けツール53(
図8Aを参照されたい)の回転方向Rは、横断面区域58の遠位端63が回転方向Rの前方を向き、従って、横断面区域58の近位部分61の前に繊維質基板35と接触するように選択することができる。これは、中心折り目線形成部分56が折り目線の中心部を繊維質基板に印加する前に、繊維質基板35のいくつかの溝との即時の接触を生成するという効果を有する。
【0073】
図8a及び8bに示すように、近位部分61は、近位部分61が中心軸Mの反対側の横断面区域58に接触するように配置することができる。これに代えて、
図8d及び8eに示す実施形態では、近位部分61は、近位部分61が反対側の横断面区域58の中に貫通するように中心軸Mの反対側で横断面区域に接続するように配置することができる。両方の代替実施形態に対して共通して、中心軸Mの一方の側の横断面区域58は、好ましくは、その延長線Eに沿った中間に中心軸の反対側で対向する横断面区域58に接触又はそれを貫通する。
【0074】
図6に示すように、波形繊維質基板35は、上紙ライナー81、下紙ライナー82、及びその間に位置付けられた波形溝付き層83という構成を有することができる。上述のように、繊維質基板35の破断は、折り目線形成部分56が、上紙ライナー81及び波形溝付き層83が切り離された位置で波形繊維質基板35に接触している場合に発生することが多い。この状況を
図6に示している。波形繊維状段ボール基板35の紙ライナー81は、この発明の関連内では「層」とも呼ばれる。
【0075】
図8bで最も良く見ることができるように、横断面区域58の横断長さd2(
図8bを参照されたい)は、従って、有利なことに波形繊維状段ボール基板35の形状、特に溝の距離p1に基づいて選択される。従って、横断面区域58の横断長さd2は、波形繊維質基板35での溝のピーク間距離p1の50%に等しいか又はそれよりも大きいように選択される。これに代えて、ピーク間距離p1の100%の距離を選択することができる。それによって横断面区域58は、折り目付けツール53が溝の中心に位置付けられていない場合でも溝と接触することが保証される。複数の波形溝付き層83a、83bを有する波形繊維状段ボール基板の場合に、
図7に示すように、横断面区域58の横断長さd2は、同様に、波形層83a、84bの最大ピーク間距離p1の50%に等しいか又はそれよりも大きい又は波形層83a、84bの最大ピーク間距離p1の100%に対応するように選択することができる。これに代えて、横断長さd2は、上側波形層のピーク間距離p1から選択することができる。
【0076】
横断面区域58の延長方向Eは、直線とすることができ、特に、環状で連続した環状隆起66との組合せとすることができる。しかし、
図8aから
図8eに示すように、横断面区域58は、それらの近位部分61が収束して連続的な中心折り目線形成部分56を形成するように、湾曲形状を設けることができる。横断面区域58は、それらの近位部分61からそれらの遠位端63まで湾曲している。湾曲形状は、単一半径、又は横断面区域58の延長線Eに沿ったいくつかの異なる半径の組合せによって設けることができる。複数の異なる半径がある場合に、横断面区域58は、異なる半径を各々有する異なるセクションを有することができる。この湾曲した形状により、横断面区域58は、連続した折り目線形成部分56及び周囲変形部分59の両方を形成することができる。
【0077】
横断方向面区域58は、すなわち、繊維質基板35上の変形を徐々に増加させ、中心の主折り目線部分に誘導するように構成される。従って、横断面区域58の近位部分61は、折り目線形成部分56を形成する。湾曲横断面区域58の外側周囲は、折り目付けツール57の外縁60に対して凹面である。その結果、横断面区域58の凸側は、凹側よりも中心軸Mの近くに位置付けられる。
【0078】
環状隆起66の反対側のその後の横断面区域58の延長方向Eは、中心折り目線形成部分56によって定められた中心軸Mに沿って鏡像化され、好ましくは、距離d3でオフセットされる。この結果、横断面区域58の交互パターンが得られる。
【0079】
離散セグメント又は横断面区域58は、中心軸Mに対してディスクRの回転方向に角度βで横断方向に延び、角度βは、離散セグメント又は横断面区域58の遠位端63が離散横断面区域58の近位部分61よりも前に繊維質基板1に接触するように90度未満である。
【0080】
湾曲横断面区域58に関して、従って、折り目線形成部分56に対して遠位端63から近位部分61への延長部Eの角度βが徐々に低減される。それによって折り目線形成部分56と周囲変形部分59の間の緩やかな移行が得られる。
【0081】
折り目線形成部分56の第1の側の横断面区域58及び折り目線形成部分56の第2の側の横断面区域は、横断面区域58が離散的に位置付けられていても、繊維質基板35の溝10に圧力を印加する周囲変形部分59に連続した横断方向成分があるように協働する。それによって横断方向での繊維質基板35に対する圧縮力が連続的に保証され、折り目付けツール53の外面上の横断面区域58の密な配置が保証される。
【0082】
図8bで最も良く見ることができるように、横断面区域58は、折り目付けツール53の外面上に等距離に配置することができ、横断面区域58の遠位端63は、距離d4で離間している。横断面区域58が全て同じ大きさである場合に、近位部分61間の距離d4は、折り目付けツール53の外周の周りで同じ(すなわち、一定)である。
【0083】
図9aから
図9cに示す第3の実施形態では、折り目付けツール53は、第1の実施形態と同様に位置付けられるが、更に、折り目線形成部分56での連続した環状隆起66を備える。環状隆起66は、中心軸Mに沿って延びる線形の直線的な形状を有する。環状隆起66は、すなわち、折り目付けディスク53の外周の周りに延びる。
【0084】
環状隆起66は、折り目付けツール53の縁部60と平行に位置付けられる。環状隆起66は、好ましくは、中央リブ56が折り目付けツール53の中心に位置決めされるように、好ましくは、折り目付けツール53の全幅Wの約50%に対応するように選択される縁部60からの距離d1に位置付けられる。
【0085】
従って、延長方向Eが環状隆起66から折り目付けツール53の縁部60に向けて延びる横断面区域58は、環状折り目付け隆起66に接触する。環状隆起66は、好ましくは、横断面区域58の近位部分61よりもベース面57から更に突出することができる。
【0086】
環状折り目付け隆起66は、第1の実施形態の折り目付けツールと比較して折り目付けツール53の外面からのより鋭い突出をもたらし、従って、折り目付けツール53によって形成された折り目線11,12の鋭さが更に増大する。しかし、横断面区域58は、依然として繊維質基板1が引き裂かれることを防止するために徐々に増加する変形を繊維質基板35の面に与える。
【0087】
図10aから
図10cでは、折り目付けツール53の第4の実施形態が示されている。第4の実施形態では、折り目付けツール53は、第1の実施形態と同様に位置付けられるが、折り目線形成部分56及び周囲変形部分59は、単一の連続したセグメントから形成される。周囲変形部分59での横断面区域58には、遠位部分63よりも広い近位部分61が設けられる。
【0088】
これは、変形が遠位部分61でよりも中心の折り目線形成部分56でより広い範囲にわたって配分されるという効果を有する。このようにして、上述の実施形態の折り目付けツール53を使用するよりも、広い(すなわち、鋭くない)折り目線をもたらすことができる。
【0089】
更に、横断面区域58の遠位端63のみが互いに分離され、近位部分61は、融合して融合中央リブ56を形成するように広げられる。従って、先行する横断面区域58とその後の横断面区域58の近位部分61は融合する。更に、反対側の横断面区域58の近位部分61は、中心軸Mにわたって融合する。
【0090】
このタイプの折り目付けツール53は、その後の折り目付けツール53の鋭い隆起のために繊維質基板35の折り目を調製する時に予備折り目付け作動を行うために有利に使用することができる。
【0091】
この実施形態では、傾斜角αは、融合中央リブ56から遠位端分61までの周囲変形部分59の傾斜を回転軸Xrとの関係で説明する。
【0092】
図11aから
図11cでは、折り目付けツール53の第5の実施形態が示されている。第5の実施形態では、折り目付けツール53は、
図10aから
図10cに示す第4の実施形態と同様に位置付けられるが、横断面区域58の近位部分61よりも更にベース面57から離れる方向に突出する追加の環状折り目付け隆起66を更に備える。環状折り目付け隆起66は、折り目線形成部分56に沿って延びる。
【0093】
第4の実施形態と同様に、横断面区域58の近位部分61は、折り目線形成部分56に向う方向に拡幅される。
【0094】
環状折り目付け隆起66は、第3の実施形態の折り目付けツール53と比較して折り目付けツール53の外面からのより鋭い突出をもたらし、従って、折り目付けツール53によって形成された折り目線の精度が更に増大する。しかし、横断面区域58は、依然として段ボールが引き裂かれるのを防止するのに十分な配分面をもたらす。
【0095】
本発明の折り目付けツール53に関していくつかの試験を完了した。これらの試験は、本発明による折り目付けツール53を使用した時に繊維質波形基板35の破断現象の有意な減少を示している。その結果を
図12a及び
図12bに示しており、
図12aは、従来技術の折り目付けツールが接触した繊維質基板35を示している(
図5aに示す)。
図12bは、
図8bに示すタイプの本発明の折り目付けツール53が接触した繊維質基板35を示している。従って、本発明の折り目付けツール53は、繊維質基板35に対して引き裂き低減効果を明らかにすることができる。
【0096】
本発明は、更に、折り目線の生成に適する他のツールに適用することができる。例えば、
図13に示すように、折り目付けツール53は、プラテン印刷機のためのダイ53とすることができる。ダイ53には、
図8Aから
図11Cの実施形態に示すように、レリーフ部分54に対応するパターンを有する折り目形成縁部(ルールとも呼ばれる)を設けることができる。
【0097】
ダイ53は、切断エッジ94及び折り目付けエッジ96のパターンが設けられたダイボード90を備える。切断エッジ94は、ダイボード90の周囲に位置付けられ、中間ブランク1の外側輪郭を定めることになる。
【0098】
従って、
図13の実施形態では、折り目付けツールは、切断エッジを更に備える。これは、折り目付けツール53が、それが繊維質基板35に押圧される時に追加の切断作動を行うことを可能にする。以前の実施形態では、切断は、
図3に示した溝付け器24のような個別のユニットによって達成される。