(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】透光性加飾成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20250117BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20250117BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B3/30
C23C28/00 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023093500
(22)【出願日】2023-06-06
【審査請求日】2023-06-06
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2022-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519098556
【氏名又は名称】金亞典科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Jin Ya Dian Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】6F., No.5-2, Qingnian Rd., Yangmei Dist., Taoyuan City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】余 澤民
(72)【発明者】
【氏名】應 國良
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3236042(JP,U)
【文献】特開2021-137719(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098359(WO,A1)
【文献】特開平5-305763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B05D 1/00-7/26
C23C 24/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含むコーティングを提供することと、
塗布法または印刷法を使用して、基材上に前記コーティングを形成することと、
第1硬化工程を実行して、
複合層構造を形成することと、
ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルムを形成することと、
第2硬化工程を実行して、前記成形フィルムの硬度を高めることと、
レーザー彫刻プロセスを実行して、凹溝を形成することと、
前記凹溝内に保護層を形成
し、前記保護層は、均一に混合された前記保護材料、前記インク材料、および前記接合材料を少なくとも含み、前記保護層中の前記保護材料の含有量は、前記コーティング中の前記保護材料の含有量よりも高いことと、
前記成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することと、
を含む加飾成形品の製造方法。
【請求項2】
前記保護材料が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、脂肪族ウレタンジアクリレート、エポキシアクリレート(EA)、ポリエステルポリオール、またはそれらの組み合わせを含み、前記インク材料が、ポリウレタン(PU)を含み、前記接合材料が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、芳香族ウレタンジアクリレート、またはそれらの組み合わせを含む請求項1に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項3】
前記保護層が、3D印刷法またはジェット印刷法を使用して形成された請求項1に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項4】
前記成形フィルムを前記ワークピースの前記表面に貼り付ける前記ステップが、
前記ブリスター成形プロセスを実行した後、前記成形フィルムにインモールド加飾またはアウトモールド加飾技術を行い、前記成形フィルムを前記ワークピースの外表面に貼り付けて、前記加飾成形品を形成することを含む請求項1に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項5】
前記成形フィルムを前記ワークピースの前記表面に貼り付ける前記ステップが、
前記ブリスター成形プロセスを実行した後、前記成形フィルムにインモールド加飾またはアウトモールド加飾技術を行い、前記成形フィルムを前記ワークピースの内表面に貼り付けて、前記加飾成形品を形成することを含む請求項1に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項6】
互いに対向する第1表面および第2表面を有する基材を提供することと、
塗布法または印刷法を使用して、前記基材の前記第2表面に第2コーティングを形成することと、
塗布法または印刷法を使用して、前記第2コーティング上に前記第1コーティングを形成することと、
第1硬化工程を実行して、
前記基材と、
前記基材の前記第2表面に配置された第1加飾層と、
前記基材の前記第2表面と前記第1加飾層の間に配置された第2加飾層と、
を少なくとも含む複合層構造を形成することと、
ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルムを形成することと、
レーザー彫刻プロセスを実行して、凹溝を形成することと、
前記凹溝内に保護層を形成
し、前記保護層は、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含み、前記保護層中の前記接合材料の含有量は、前記第1コーティング又は前記第2コーティング層中の前記接合材料の含有量よりも高いことと、
前記成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することと、
を含む加飾成形品の製造方法。
【請求項7】
前記第1コーティングおよび前記第2コーティングが、それぞれ均一に混合された
前記保護材料、
前記インク材料、および
前記接合材料を含む請求項6に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項8】
前記保護層が、3D印刷法またはジェット印刷法を使用して形成された請求項6に記載の加飾成形品の製造方法。
【請求項9】
均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含むコーティングを提供することと、
塗布法または印刷法を使用して、基材上に前記コーティングを形成することと、
第1硬化工程を実行して、複合層構造を形成することと、
ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルムを形成することと、
第2硬化工程を実行して、前記成形フィルムの硬度を高めることと、
前記複合層構造上にマスク層を形成することと、
レーザー彫刻プロセスを実行して、前記マスク層および前記複合層構造内に凹溝を形成することと、
蒸着法またはスパッタリング法を使用して、前記マスク層上にめっき層を形成し、前記めっき層の一部が、前記凹溝に充填されることと、
前記マスク層およびその上の前記めっき層を除去することと、
前記凹溝内に保護層を形成し、前記保護層が、前記めっき層を覆うことと、
前記成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することと、
を含む加飾成形品の製造方法。
【請求項10】
前記保護層が、3D印刷法またはジェット印刷法を使用して形成された請求項9に記載の加飾成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性加飾成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、物体シェルの表面に形成されるパターンやテキスト等の加飾は、特定の視覚効果を与えて、物体の外観のバリエーションを増やすために、主に、スプレー(spraying)または印刷(printing)プロセスにより形成される。従来の形成方法は、関連製品のシェルが完成した後に、シェルの表面に硬化層をスプレーする方法である。この方法は、プロセスが煩雑で、歩留まりが悪く、有機溶剤ガスの汚染を引き起して、多くの汚染問題をもたらす可能性がある。一方、スプレープロセスは、時間がかかる、プロセスが複雑である、厚さの均一性が低いといった欠点を有するため、全体的な生産歩留まりとコストの改善を急ぐ必要がある。これらの問題を解決するために、加飾フィルムを使用した様々な特定の加飾プロセスが提案されている。例えば、インモールド加飾(in mold decoration, IMD)またはアウトモールド加飾(out mold decoration, OMD)は、表面グラフィックスを形成するための代替手段となっている。
【0003】
現在、インモールド加飾において一般的に使用されるポリマー基材材料には、ポリカーボネート(polycarbonate, PC)、ポリメチルメタクリレート(別名、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methyl methacrylate), PMMA))、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate, PET)、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(acrylonitrile butadiene styrene, ABS)が含まれる。しかしながら、PCおよびABSを含む基材は、硬度が低く、基材の表面が損傷しやすい。そのため、一般的に、基材を保護層でコーティングして、基材表面の硬度および耐擦傷性を向上させる。一方、PMMAを含む基材は、硬度が高いが、成形中に割れやすいため、ホットプレス工程を行うのが困難である。
【0004】
具体的に説明すると、インモールド加飾(IMD)は、表1に示すように、インモールドラベリング(in mold labeling, IML)、インモールドフィルム(in mold film, IMFまたはINS)、インモールド転写(in mold roller, IMR)を含むことができる。インモールドラベリング(IML)は、表面の硬化した透明フィルム、中間の印刷されたパターン層、裏面のプラスチック層を特徴とする。硬化した透明フィルムとプラスチック層の間にインクが挟まれているため、製品の表面が傷つくのを防ぐことができ、耐摩耗性があり、色の明るさを長持ちさせることができ、長期間色褪せしにくい。IMLのプロセスフローは、以下の通りである:
(1)切断:ロール状のフィルム基材(通常、PMMA/PCまたはPETまたはハードコーティング付きPC基材)を取り、印刷およびブリスタ成形用に設計されたサイズに切断する。
(2)平面印刷:通常、スクリーン印刷(シルクスクリーン印刷)、インクジェット印刷プロセスを行って、グラフィック、テキスト効果、および最終的に耐衝撃接着材を提供する。一般的に、印刷回数は、製品設計の効果に応じて決定されるが、特に、耐衝撃接着材は、高温高圧の射出成形プラスチック材料(一般的に、射出成形温度は約200℃またはそれ以上)と一致させる必要があるため、通常、複数のスタックを印刷する必要があり、その結果、コストが増加し、フィルムの使用効率が低下し、全体の歩留まりが低下する。
(3)インク乾燥:印刷されたインクを高温で焼成し、乾燥させることで、インクの物理特性を確保する。
(4)保護フィルムの接着:ポストパンチング位置決め穴が印刷されたフィルムの表面を傷つけるのを防ぐため、保護フィルムを貼り付けて、表面を保護する必要がある。
(5)位置決め穴の打ち抜き加工:成形および加熱プロセス中にフィルムが収縮するため、位置決め穴設計を打ち抜いて、印刷フィルムに合わせる製品との位置決めの精度を確保する必要がある。
(6)高温高圧成形:印刷されたフィルムが高温高熱工程を経た後、成形機を用いて予熱状態でブリスタ成形を行う。
(7)形状切り抜き:ブレード切断またはレーザー切断を使用して、ブリスタ成形後の立体フィルムの廃棄物を切り取る。
(8)射出成形:最後に、切り取った立体フィルムを射出成形機にセットし、最終製品を形成して、出荷の関連物理検査を行う。
【0005】
インモールド転写(IMR)は、フィルムにパターンを印刷し、フィルムフィーダーを介して型穴にフィルムを貼り付けてから、射出するものである。射出後、パターン化されたインク層をフィルムから分離して、インク層をプラスチック部品に残し、表面に加飾パターンを有するプラスチック部品を得る。したがって、インモールド転写で加工された最終製品の表面には、透明な保護フィルムがなく、フィルムは、生産過程におけるキャリアに過ぎない。つまり、インモールドラベリング(IML)とインモールド転写(IMR)の間の最大の違いは、製品の表面に透明な保護フィルムがあるかどうかである。また、インモールドフィルム(IMF)は、インモールドラベリング(IML)と類似している。
【0006】
【0007】
アウトモールド加飾(OMD)は、高圧転写印刷とも呼ばれる。透明フィルムにパターンを印刷した後、高/中/低圧および真空転写を用いて、プラスチックシェルに直接パターンを転写する。主な特徴は、触感製品であることであり、3C、家電、および自動車に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、IMDまたはOMDフィルムに関係なく、透光性加飾成形品の加工には、印刷および積層が使用される。ブリスター、切断、および射出成形プロセスが顧客によって行われることにより、位置合わせが難しい、材料の損失が過剰である、コストが高いといった欠点を引き起こす可能性があり、また、後続のレーザー彫刻プロセスの難しさも、透光性パターンのような製品の加工を不可能にしている。
【0009】
表2は、様々な従来の加飾技術の特性および利点を示したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、加飾成形品の製造方法を提供する。この方法は、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含むコーティングを提供することと、塗布法または印刷法を使用して、基材上にコーティングを形成することと、第1硬化工程を実行して、複合層構造を形成し、前記複合層構造が、基材上に配置された光硬化層を少なくとも含むことと、ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルムを形成することと、第2硬化工程を実行して、成形フィルムの硬度を高めることと、レーザー彫刻プロセスを実行して、凹溝を形成することと、凹溝内に保護層を形成することと、成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することを含む。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、保護材料は、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate, PMMA)、脂肪族ウレタンジアクリレート、エポキシアクリレート(epoxy acrylate, EA)、ポリエステルポリオール、またはそれらの組み合わせを含み、インク材料は、ポリウレタン(polyurethane, PU)を含み、接合材料は、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane, TPU)、芳香族ウレタンジアクリレート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、保護層は、3D印刷法またはジェット印刷法を使用して形成される。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けることは、ブリスター成形プロセスを実行した後、成形フィルムにインモールド加飾またはアウトモールド加飾技術を実行することにより、成形フィルムをワークピースの外表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することを含む。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けるステップは、ブリスター成形プロセスを実行した後、成形フィルムにインモールド加飾またはアウトモールド加飾技術を実行し、成形フィルムをワークピースの内表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することを含む。
【0016】
本発明は、加飾成形品の製造方法を提供する。この方法は、互いに対向する第1表面および第2表面を有する基材を提供することと、塗布法または印刷法を使用して、基材の第2表面に第2コーティングを形成することと、塗布法または印刷法を使用して、第2コーティング上に第1コーティングを形成することと、第1硬化工程を実行して、複合層構造を形成し、複合層構造が、基材、基材の第2表面に配置された第1加飾層、および基材の第2表面と第1加飾層の間に配置された第2加飾層を少なくとも含むことと、ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルムを形成することと、レーザー彫刻プロセスを実行して、凹溝を形成することと、凹溝内に保護層を形成することと、成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することを含む。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、第1コーティングおよび第2コーティングは、それぞれ均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を含む。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、保護層は、3D印刷法またはジェット印刷法を使用して形成される。
【0019】
本発明は、加飾成形品の製造方法を提供する。この方法は、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含むコーティングを提供することと、塗布法または印刷法を使用して、基材上にコーティングを形成することと、第1硬化工程を実行して、複合層構造を形成することと、ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルムを形成することと、第2硬化工程を実行して、成形フィルムの硬度を高めることと、複合層構造上にマスク層を形成することと、レーザー彫刻プロセスを実行して、マスク層および複合層構造内に凹溝を形成することと、蒸着法またはスパッタリング法を使用して、マスク層上にめっき層を形成し、めっき層の一部が、凹溝に充填されることと、マスク層およびその上のめっき層を除去することと、凹溝内に保護層を形成し、保護層が、めっき層を覆うことと、成形フィルムをワークピースの表面に貼り付けて、加飾成形品を形成することを含む。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、保護層は、3D印刷法またはジェット印刷法を使用して形成される。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明は、基板上にオールインワン(all-in-one)コーティングを形成して、硬化工程を行い、保護効果、着色効果、接合効果を有する複合層構造を形成する。この複合層構造は、ブリスタ成形プロセス後に、物理特性に優れた(例えば、硬度が高い、保護効果が良い)成形フィルムを形成することができる。したがって、本実施形態の成形フィルムは、レーザー彫刻プロセスに適用され、様々な透光性加飾成形品を形成することができる。また、本発明は、凹溝内にさらに保護層を部分的に形成して、レーザー彫刻後のテクスチャを損傷から保護することにより、複合層構造の保護効果を向上させ、寿命を延ばす。さらに、本発明は、レーザー彫刻プロセスをブリスタ成形プロセスの後に行う。したがって、本発明は、従来技術の位置合わせの問題を解決することができ、それにより、歩留まりを向上させ、製造コストを削減することができる。
【0022】
一方で、従来のINSがインク層や印刷層を基材の接合プロセスに合わせる必要があるのに対し、本実施形態における複数の積層された加飾層は、多様な着色効果を提供するだけでなく、保護効果および接合効果も有し、追加の接合プロセスが不要である。さらに、従来のIML技術がワークピースに貼り付けるために追加で3~10層の接着層を形成する必要があるのに対し、本実施形態は、追加の接着層を形成する必要がない。すなわち、本発明は、複合層構造の製造工程を効果的に簡易化し、より優れた保護効果および接合効果を有する複合層構造を提供することができる。さらに、従来のスプレー技術、INS技術、またはIML技術と比較して、本発明の加飾成形品は、製造工程をさらに簡易化することができるため、それにより、製造コストを効果的に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2A】本発明の第1実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図2B】本発明の第1実施形態に係る別の加飾成形品の概略的断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図8】本発明の第5実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図9】本発明の1つの実施形態に係るインモールド加飾技術を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の1つの実施形態に係るアウトモールド加飾技術を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第6実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図12A】本発明の第7実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図13A】本発明の第8実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【
図14】本発明の第9実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
【
図15A】本発明の第9実施形態に係る加飾成形品を製造する時の概略的断面図である。
【
図15B】本発明の第9実施形態に係る加飾成形品を製造する時の概略的断面図である。
【
図15C】本発明の第9実施形態に係る加飾成形品を製造する時の概略的断面図である。
【
図15D】本発明の第9実施形態に係る加飾成形品を製造する時の概略的断面図である。
【
図15E】本発明の第9実施形態に係る加飾成形品を製造する時の概略的断面図である。
【
図16】本発明の代替の実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の段落において、添付図面を参照しながら本発明を全体的に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されるものであり、本文に示された実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態で述べられる方向性の用語、例えば「上」、「下」等は、説明される図面の向きを基準に使用される。したがって、使用される方向性の用語は、本発明を説明するためのものであり、限定するものではない。また、明確にするため、各フィルム層および領域の厚さが拡大されることがある。同じ、または類似する要素には、同じ、または類似する参照番号を付与し、その説明については、以降の段落において省略される。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
図2Aは、本発明の第1実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0026】
図1および
図2Aを参照すると、本発明の第1実施形態は、以下のような加飾成形品10の製造方法S10を提供する。ステップS100を実行して、複合層構造110(
図2Aに示す)を形成する。具体的に説明すると、複合層構造110を形成するステップは、以下のステップを含む。ステップS102を実行する。塗布法または印刷法を使用して、基材102(
図2Aに示す)上に第1コーティングを形成する。1つの実施形態において、基材102の材料は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはそれらの組み合わせを含み、これらを形成する方法は、押出成形法等を含む。例えば、ABS固体プラスチックを加熱、溶融、押出、および冷却し、押出成形法によりABS基材102を形成することができる。また、ABS固体プラスチックをカラーマスターバッチ、顔料、パールパウダー、および関連添加剤と混合して、混合物を形成する。次に、押出成形法により混合物を押し出して、別のABS基材を形成し、それにより、ABS基材に色、パール光沢、明るい表面、鏡面、無光沢マット表面等の視覚効果をもたらすことができる。代替の実施形態において、基材102の材料は、木目シート、アルミニウムシート、鋼板、その他の類似物、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0027】
具体的に説明すると、塗布法は、コーティング装置内にコーティング材料を分散し、コーティング装置のコーティングヘッドを介して基板102上にコーティング材料を均一に塗布する。1つの実施形態において、コーティングヘッドの開口部は、平坦であってもよく、それにより、基板102上に塗布したコーティング材料に明るい表面効果をもたらすことができる。別の実施形態において、コーティングヘッドの開口部は、複数の微細構造(例えば、微細な凹部)を有してもよく、それにより、基板102上に塗布したコーティング材料にマット効果をもたらすことができる。また、代替の実施形態において、コーティングヘッドの開口部は、複数の凹凸構造を有してもよく、それにより、基板102上に塗布したコーティング材料にヘアライン効果をもたらすことができる。一方、印刷法は、グラビア印刷(gravure printing)法、スクリーン印刷(screen printing)法、オフセット印刷(offset printing)法、リバース印刷(reverse printing)法、転写印刷(transfer printing)法、インクジェット印刷法等の適切な印刷法を含むことができる。塗布法と比較して、印刷法は、より薄いフィルム層を形成することができる。
【0028】
1つの実施形態において、第1コーティングは、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含む。保護材料は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、脂肪族ウレタンジアクリレート(aliphatic urethane diacrylate)、エポキシアクリレート(epoxy acrylate, EA)、ポリエステルポリオール(polyester polyol)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。インク材料は、ポリウレタン(PU)および類似する材料を含むことができる。接合材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、芳香族ウレタンジアクリレート(aromatic urethane diacrylate)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。また、第1コーティングは、さらに、耐熱材料、溶剤、および硬化剤を含む。1つの実施形態において、耐熱材料は、ポリカーボネート(PC)および類似する材料を含むことができる。溶剤は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。硬化剤は、ポリイソシアネートおよび類似する材料を含むことができる。ただし、本発明は、これに限定されない。別の実施形態において、第1コーティングは、マットパウダー、パールパウダー等の他の添加物も含んでもよく、それにより、後続のプロセスで形成される第1加飾層104(
図2Aに示す)にマット表面やパール光沢のような異なる視覚効果をもたらすことができる。
【0029】
次に、ステップS104に進む。塗布法または印刷法を使用して、第1コーティング上に第2コーティングを形成する。1つの実施形態において、第2コーティングは、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含む。また、塗布法、印刷法、保護材料、インク材料、および接合材料については、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。注意すべきこととして、
図2Aに示すように、第1コーティングは、第1加飾層104を形成するために使用され、第2コーティングは、第2加飾層106を形成するために使用される。本実施形態において、第1コーティングと第2コーティングは、異なる組成を有し、異なる視覚効果を実現する。別の実施形態において、加飾層104または106は、蒸着またはスパッタリングを使用して、金属化された加飾効果を実現してもよい。例えば、第1コーティングによって形成された第1加飾層104は、木目層であってもよく、第2コーティングによって形成された第2加飾層106は、マットシルバー色を有するため、それにより、複合層構造110は、木目模様のマットシルバー色を表示することができる。
【0030】
次に、ステップS106に進む。塗布法または印刷法を使用して、第2コーティング上に第3コーティングを形成する。1つの実施形態において、第3コーティングは、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含む。また、塗布法、印刷法、保護材料、インク材料、および接合材料については、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。注意すべきこととして、第3コーティングは、光硬化層108を形成するために使用される。本実施形態において、第3コーティング中の保護材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティング中の保護材料の含有量より高くてもよい。
【0031】
その後、ステップS108に進む。第1硬化工程を実行して、複合層構造110を形成する。
図2Aに示すように、複合層構造110は、第1加飾層104、第2加飾層106、および光硬化層108を含む。第1加飾層104は、基板102の第1表面102aに配置することができる。第2加飾層106は、第1加飾層104上に配置することができる。光硬化層108は、第2加飾層106上に配置することができるため、第2加飾層106は、基板102の第1表面102aと光硬化層108の間に配置される。
図2Aは、加飾層104および106を2つのみ示しているが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、複合層構造110は、積層された複数の(例えば、3つ、4つ、またはそれ以上の層の)加飾層を有することもできる。さらに、塗布法の他に、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して、光硬化層108を第2加飾層106上に形成することができる。代替の実施形態において、光硬化層108の材料は、UV材料または熱硬化材料であってもよい。
【0032】
1つの実施形態において、第1硬化工程は、熱硬化工程、紫外線(UV)硬化工程、それらの組み合わせ、または他の適切な硬化工程を含むことができる。この第1硬化工程により、接合材料が架橋反応を起こし、基板102に接合される。本実施形態において、コーティング材料は、オールインワンコーティング材料とみなすことができ、硬化後の複合層構造110に保護効果、着色効果、および接合効果の全てをもたらすことができる。この場合、複合層構造110は、オールインワン複合層構造とも呼ばれる。保護層の購入が必要で、且つ印刷および接合プロセスにより接着フィルム構造を形成する先行技術の工程と比較して、本発明は、製造工程を効果的に促進し、製造コストを削減し、接着フィルムによって引き起こされる汚染の問題を防ぐことができる。
【0033】
従来のINSがインク層や印刷層を基材の接合プロセスに合わせる必要があるのに対し、本実施形態における複数の積層された加飾層は、多様な着色効果を提供するだけでなく、保護効果および接合効果も有し、追加の接合プロセスが不要である。すなわち、本発明は、複合層構造の製造工程を効果的に簡易化し、より優れた保護効果および接合効果を有する複合層構造を提供することができる。さらに、従来のスプレー技術やINS技術と比較して、本発明の複合層構造は、製造工程をさらに簡易化することができるため、それにより、製造コストを効果的に削減することができる。
【0034】
複合層構造110を形成した後、ステップS120に進む。ブリスタ成形プロセスを実行して、成形フィルム100Aを形成する。1つの実施形態において、ブリスタ成形プロセスは、複合層構造110および基材102を加熱して、複合層構造110および基材102を軟化させることと、軟化させた複合層構造110および基材102を金型に入れて加圧することにより、軟化させた複合層構造110および基材102を所望の形状に成形することと、冷却工程を実行することと、余分な部分を切断して、成形フィルム100Aを形成することを含む。
【0035】
次に、ステップS130に進む。インモールド加飾技術またはアウトモールド加飾技術を実行し、成形フィルム100Aをワークピース200の外表面200aに貼り付けて、
図2Aに示した加飾成形品10を形成する。1つの実施形態において、基材102は、互いに対向する第1表面102aおよび第2表面102bを有する。
図2Aに示すように、基材102の第2表面102bは、ワークピース200の外表面200aに接触し、基材102の第1表面102aは、第1加飾層104に接触し、複合層構造110の上面110aは、上方に露出する。本実施形態では、複合層構造110の上面110aが視覚面であってもよいため、消費者は、複合層構造110の上面110aから成形フィルム100Aの視覚効果を見ることができる。
【0036】
図9は、本発明の1つの実施形態に係るインモールド加飾技術を示すフローチャートである。
図10は、本発明の1つの実施形態に係るアウトモールド加飾技術を示すフローチャートである。
【0037】
図9を参照すると、インモールド加飾技術のステップS200は、以下の通りである。まず、ステップS202を実行して、成形フィルムを提供する。この成形フィルムは、例えば、成形フィルム100Aであってもよい。成形フィルム100Aの組成は、上述した段落で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0038】
次に、ステップS204に進む。成形フィルム100Aをインモールド加飾金型内に配置する。具体的に説明すると、インモールド加飾金型は、中空の金型キャビティを含む。金型キャビティは、表面を有する。続いて、成形フィルム100Aが金型キャビティの表面の少なくとも一部を覆うように、成形フィルム100Aを金型キャビティの表面に貼り付ける。代替の実施形態において、ステップS206の前に、加熱プリフォーム(heating pre-forming)プロセスを選択的に実行して、型抜き、レーザー切断、またはウォータージェット切断により余分なフィルムを除去してもよい。
【0039】
次に、ステップS206に進む。成形材料をインモールド加飾金型の金型キャビティに注入して、成形材料と成形フィルム100Aを互いに結合させる。1つの実施形態において、成形材料は、プラスチック材料、樹脂材料、金属材料、炭素繊維材料、ガラス等の成形に適した材料であってもよい。
【0040】
その後、ステップS208に進む。成形材料を冷却して、ワークピース200を形成する。ワークピース200は、本発明の加飾成形品の応用によって決まるが、電子機器の筐体または部品、車両の筐体または部品、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ワークピース200は、携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報端末(personal digital assistant, PDA)、ノートパソコン、デスクトップコンピュータ、タッチパネル、テレビ、全地球測位システム(globe position system, GPS)デバイス、カーモニター、ナビゲーションデバイス、ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、DVDプレーヤー、自動車内装トリムパネル(例えば、ハンドル、トリムストリップ、タッチフロントバンパー等)、自動車外装加飾パネル(例えば、外装ハンドル、バックドア加飾ストリップ、ウェルカムペダル等)、自動車ダッシュボード、自動車ロゴ、インテリジェントキー(intelligent key, I-key)、エンジンスタートボタン、時計、ラジオ、おもちゃ、時計、または電力が必要な電子製品に使用される他の筐体または部品であってもよい。ただし、本発明は、ワークピース200の形状および構造を限定せず、ワークピース200の形状および構造がインモールド加飾技術によって実装可能である限り、本発明の範囲内である。
【0041】
次に、ステップS210に進む。成形加飾品10をインモールド加飾金型から取り出す。得られた成形加飾品10は、
図2Aにおいて詳細に示しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0042】
一方、加飾成形品10は、アウトモールド加飾技術によって製造することもできる。
図10を参照すると、アウトモールド加飾技術のステップS200は、以下の通りである。まず、ステップS302を実行して、ワークピース200を提供する。1つの実施形態において、ワークピース200は、本発明の加飾成形品の応用によって決まるが、電子機器の筐体または部品、車両の筐体または部品、またはそれらの組み合わせであってもよい。別の実施形態において、ワークピース200の外表面200aの材料は、プラスチック、樹脂、金属、炭素繊維、ガラス、または既に成形されたその他の様々なシェル材料であってもよく、例えば、適切な前処理プロセスを経た後に、所要の特性を有するワークピースを製造することができる。例えば、ワークピースの材料がプラスチックの時、射出成形プロセスによる射出成形金型を介してプラスチックワークピース(例えば、プラスチック筐体等)を得ることができ、あるいは、ワークピースの材料が金属の時、金属を表面処理した後に、金属ワークピース(例えば、金属筐体等)を得ることができる。
【0043】
次に、ステップS304に進む。成形フィルムを提供する。例えば、成形フィルムは、
図2Aに示した成形フィルム100Aである。成形フィルム100Aの組成は、上述した段落で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0044】
その後、ステップS306に進む。ワークピース200および成形フィルム100Aを治具内に配置する。注意すべきこととして、ステップS306の前に、治具を最終製品の要求に応じて選択的に設計し、治具を準備してもよい。
【0045】
次に、ステップS308に進む。高圧加飾成形プロセスを実行して、成形フィルム100Aをワークピース200の外表面200aに貼り付ける。具体的に説明すると、高圧加飾成形プロセスにおいて、まず、成形フィルム100Aに対して、例えば、加熱軟化工程を行う。1つの実施形態において、加熱軟化工程の温度は、80℃~150℃の範囲であってもよく、加熱軟化工程の時間は、30秒~180秒の範囲であってもよい。次に、成形フィルム100Aをワークピース200に接触させて、プレス工程を行う。その後、成形フィルム100Aに対して高圧真空成形工程を行い、成形フィルム100Aをワークピース200に貼り付ける。最後に、型抜き、レーザ切断、またはウォータージェット切断により残った複合層構造を選択的に除去する。要するに、本実施形態において、成形フィルム100Aは、アウトモールド加飾技術により、ワークピース200の外表面200aの一部に密着して貼り付けることができる。
【0046】
再度
図1を参照すると、加飾成形品10を形成した後、ステップS140に進む。第2硬化工程を実行して、複合層構造110の硬度を高める。1つの実施形態において、第2硬化工程は、熱硬化工程、紫外線(UV)硬化工程、それらの組み合わせ、または他の適切な硬化工程を含むことができる。本実施形態において、第1硬化工程は、第2硬化工程とは異なる。例えば、第1硬化工程は、熱硬化工程であってもよく、第2硬化工程は、UV硬化工程であってもよく、その逆も同様である。代替の実施形態において、第1硬化工程と第2硬化工程が両方とも熱硬化工程である時、第2硬化工程の硬化温度は、第1硬化工程の硬化温度より高くてもよい。注意すべきこととして、この第2硬化工程により、保護材料が架橋反応を起こし、光硬化層108の上面108aの硬度を高めるため、それにより、保護効果が向上する。すなわち、インモールド加飾またはアウトモールド加飾技術(すなわち、ステップS130)を実行する際、光硬化層108は、まだ完全に硬化しておらず、延性があるため、ワークピース200の外表面200aに完全に貼り付いている。第2硬化工程(すなわち、ステップS140)の後、光硬化層108は、完全に硬化して、全体的な保護効果を有する。本実施形態において、光硬化層108の硬度は、段階的な変化を有することができる。具体的に説明すると、光硬化層108の硬度は、底面108bから上面108aに向かって増加することができる。すなわち、光硬化層108の上面108aの硬度は、光硬化層108の底面108bの硬度より高くてもよい。また、第2硬化工程は、第1加飾層104および第2加飾層106の高度を高めることで、後続のレーザー彫刻プロセス(すなわち、ステップS150)を容易にすることができる。
【0047】
次に、ステップS150に進む。レーザー彫刻プロセスを実行して、複合層構造110に凹溝105を形成する。
図2Aに示すように、凹溝105は、複合層構造110の上面110aから下方に延伸し、第1加飾層104の上面104tを露出させることができる。ただし、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、凹溝105は、異なる深さを有してもよい。すなわち、凹溝105の底面105btは、第1加飾層104の上面104tより高くても、低くてもよく、あるいは凹溝105の底面105btは、第2加飾層106の上面106tより高くても、低くてもよく、またはそれに等しくてもよい。さらに、
図2Aは、凹溝105を1つのみ示しているが、本発明はこれに限定されない。代替の実施形態において、加飾成形品10は、複数の凹溝を有し、様々なレーザー彫刻パターンを形成してもよく、それにより、消費者の視知覚を向上させることができる。
【0048】
その後、ステップS160に進む。凹溝105内に保護層112Aを形成する。具体的に説明すると、保護層112Aは、立体(3D)印刷技術によって形成される。1つの実施形態において、3D印刷技術は、エアロゾルジェット印刷(aerosol jet printing, AJP)プロセスを含む。エアロゾルジェット印刷プロセスは、エアロゾルジェット堆積ヘッド(aerosol jet deposition head)を使用して、外部のシースフロー(outer sheath flow)と内部のエアロゾル充満キャリアフロー(inner aerosol-laden carrier flow)で構成された環状伝播ジェットを形成する。環状エアロゾルジェット印刷プロセス中に、堆積したい材料のエアロゾル流(aerosol stream)を集中させ、形成したい表面に堆積する。上記の工程は、マスクレス・メソスケール・マテリアル・デポジション(maskless mesoscale material deposition, M3D)とも呼ばれる。すなわち、堆積工程は、マスクを使用せずに実行することができる。代替の実施形態において、保護層112Aは、ジェット印刷技術によって形成されてもよい。
【0049】
本実施形態において、
図2Aに示すように、3D印刷装置のノズルを介して凹溝105に充填インクを充填する。1つの実施形態において、充填インクは、上述した第3コーティングと類似したものであってもよく、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含み、充填インク中の保護材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティング中の保護材料の含有量より高くてもよい。また、凹溝105に充填インクを充填した後、追加の硬化工程を実行してもよく、それにより、充填インク中の保護材料が架橋反応を起こし、保護層112Aの硬度を高めることができる。この場合、保護層112Aは、レーザー彫刻されたテクスチャを部分的に保護することができる。すなわち、凹溝105によって露出した第1加飾層104および第2加飾層106が損傷するのを防ぐことができるため、複合層構造110の保護効果をさらに向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0050】
注意すべきこととして、本実施形態において、3D印刷技術で使用されるノズルは、十分に小さいため、充填インクを凹溝に正確に充填して、保護層を局所的に形成し、レーザー彫刻されたテクスチャを保護することができる。大量のコーティングを空気に揮発する一般的なスプレー技術と比較して、本実施形態における3D印刷技術を使用することによって、材料の消費を効果的に減らし、製造コストを削減することができる。また、一般的なスプレー技術のノズルは、比較的大きいため、スプレー層が点状に分布して、連続性がなく、それにより、スプレー効果が粗雑で不均一になる。一方、本実施形態の3D印刷技術ノズルは、十分に小さく、狭い凹溝に充填インクを完全に充填して、物体の表面に充填インクを連続的に分布させることができるため、保護層は、より滑らかで美しい。さらに、本実施形態の3D印刷技術は、局所的に調色することもできる。つまり、本実施形態では、顧客の要求に応じて、異なる色の保護層を異なる凹溝位置に充填することができるため、視聴者の視覚体験を向上させることができる。
【0051】
さらに、
図2Aに示した保護層112Aは、凹溝105内にのみ位置する。つまり、保護層112Aの上面は、光硬化層108の上面108aと同一平面であるが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、
図2Bに示すように、保護層112Bは、光硬化層108の上面108aを覆うように凹溝105から延伸してもよい。保護層112Bは、設計の要求に応じて、延伸部分の範囲または面積を調整することができる。
【0052】
次に、再度
図2Aを参照すると、加飾成形品10を光源300上に配置し、凹溝105内の保護層112Aを介して様々な色の光を放射することができる。例えば、光源300は、青色光であってもよく、保護層112Aは、白色透光性材料であり、第2加飾層106は、木目層であってもよい。光源300をオフにした時、消費者は、視覚面110aから木目層上に白色光透過性のレーザー彫刻パターンを見ることができる。一方、光源300をオンにした時、消費者は、凹溝105内の保護層112Aを介して視覚面110aから青色光効果のレーザー彫刻パターンを見ることができる。1つの実施形態において、光源300は、LEDポイント光源、LEDライトバー、ミニLED等を含むことができる。また、保護層112Aは、光源300と組み合わせて異なる色混合効果を生み出すために、様々な色を有することができる。例えば、光源300が青色光であり、保護層112Aが赤色透光性材料である場合、光源300をオンにした時、消費者は、凹溝105内の保護層112Aを介して視覚面110aから紫色光効果のレーザー彫刻パターンを見ることができる。代替の実施形態において、保護層112Aは、半透明材料または不透明材料で作られてもよい。
【0053】
従来のスプレー技術では、多色フィルムを形成するために、複数のスプレー工程および複数のレーザー彫刻工程が必要である。この技術には、製造工程が複雑である、加工が困難である、コストが高い、環境汚染が大きいといった欠点がある。また、従来の加飾プロセス(例えば、IMDまたはOMD)では、多色フィルムを形成するために、通常、透かし彫り印刷(hollow printing)法が用いられる。しかしながら、この技術は、顧客がブリスター成形、切断、射出成形等のプロセスを行った後に、位置合わせが難しい、歩留まりが低い、材料消費が多い、コストが高いという欠点がある。さらに、IMDフィルムやOMDフィルムは、比較的薄いため、レーザー彫刻プロセスには適していない。つまり、レーザー彫刻プロセスを行っても、表面の物理特性が悪いため、レーザー彫刻フィルムが剥がれたり、損傷したりする可能性があり、その結果、フィルムを保護するための追加の保護コーティングが必要となるため、コストが高くなる。
【0054】
この問題を解決するために、本発明の実施形態において、基板上にオールインワンコーティングを形成して、硬化工程を実行することにより、保護効果、着色効果、および接合効果を有する複合層構造を形成する。複合層構造は、ブリスタ成形プロセス後に、物理特性に優れた(例えば、硬度が高い、保護効果が良い)成形フィルムを形成することができる。また、従来のスプレー技術やINS技術と比較して、本発明の複合層構造は、製造工程をさらに簡易化することができるため、それにより、製造コストを効果的に削減することができる。したがって、本実施形態の成形フィルムは、レーザー彫刻プロセスに適用され、様々な透光性加飾成形品を形成することができる。さらに、本発明は、保護層112Aまたは112Bを凹溝105内に部分的に形成して、レーザー彫刻されたテクスチャを損傷から保護することにより、複合層構造110の保護効果を向上させ、寿命を延ばす。
【0055】
また、従来のインモールドラベリング(IML)技術は、基材(例えば、PC、PMMA、ABS等)の裏面にスクリーン印刷を行って、3~5層の加飾層を形成し、その後、3~10層の接着層を形成して、ワークピースに貼り付ける。従来のIML技術と比較して、本実施形態の基材102は、射出成形プロセス中の高温高圧によって溶融させてから、ワークピース200の外表面200aの一部に直接接合することができる。つまり、従来のIML技術と比較して、本発明は、追加の接着層を形成する必要がないため、加飾成形品の製造工程を簡易化し、製造コストを削減することができる。
【0056】
図3は、本発明の第2実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
図4は、本発明の第2実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0057】
図3および
図4を参照すると、本発明の第2実施形態は、以下のような加飾成形品20の製造方法S20を提供する。ステップS100を実行して、複合層構造120(
図4に示す)を形成する。具体的に説明すると、複合層構造120を形成するステップは、ステップS102を実行し、塗布法または印刷法を使用して、基材102(
図4に示す)上に第1コーティングを形成することを含む。次に、ステップS104を実行し、塗布法、印刷法、または3D印刷法を使用して、第1コーティング上に第2コーティングを形成する。さらに、ステップS107を実行し、塗布法、印刷法、または3D印刷法を使用して、第2コーティング上に第4コーティングを形成する。1つの実施形態において、第4コーティングは、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含む。また、塗布法、印刷法、保護材料、インク材料、および接合材料は、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。注意すべきこととして、第4コーティングは、耐衝撃接着層118(
図4に示す)を形成するために使用される。本実施形態において、第4コーティング中の接合材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティング中の接合材料の含有量より高くてもよく、それにより、複合層構造120とその後に形成されるワークピース200の間の接着性を向上させ、複合層構造120を形成することができる。
図4に示すように、複合層構造120は、第1加飾層104、第2加飾層106、および耐衝撃接着層118を含む。第1加飾層104は、基材102の第1表面102aに配置することができる。第2加飾層106は、第1加飾層104上に配置することができる。耐衝撃接着層118は、第2加飾層106上に配置することができるため、第2加飾層106は、基材102の第1表面102aと耐衝撃接着層118の間に配置される。さらに、塗布法の他に、耐衝撃接着層118は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して、第2加飾層106上に形成してもよい。従来のINSがインク層や印刷層を基材の接合プロセスに合わせる必要があり、従来のIML技術がワークピースに貼り付けるために追加で3~10層の接着層を形成する必要があるのに対し、本実施形態の耐衝撃接着層118は、着色効果を提供するだけでなく、高温耐性、保護効果、および接合効果も有し、同時に、追加の接着プロセスや追加の接着層を必要としない。つまり、本発明は、複合層構造120の製造工程を効果的に簡易化し、より優れた高温耐性、保護効果、および接合効果を複合層構造120に提供することができる。さらに、従来のスプレー技術、INS、またはIML技術と比較して、本発明の複合層構造は、製造工程をさらに簡易化することができるため、それにより、製造コストを効果的に削減することができる。
【0058】
複合層構造120を形成した後、ステップS120に進む。ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルム100Bを形成する。
【0059】
次に、ステップS150に進む。レーザー彫刻プロセスを実行して、複合層構造120に凹溝105を形成する。
図4に示すように、凹溝105は、複合層構造120の上面120aから下方に延伸し、第1加飾層104の上面104tを露出させることができる。ただし、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、凹溝105は、異なる深さを有してもよい。
【0060】
その後、ステップS160に進む。凹溝105内に保護層212を形成する。1つの実施形態において、保護層212は、3D印刷技術によって形成することができる。具体的に説明すると、3D印刷装置のノズルを介して凹溝105に充填インクを充填する。1つの実施形態において、充填インクは、上述した第4コーティングと類似したものであってもよく、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含み、充填インク中の接合材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティング中の接合材料の含有量より高くてもよい。また、充填インクを凹溝105に充填した後、追加の硬化工程を実行してもよく、それにより、複合層構造120と後に形成されるワークピース200の間の密着性を向上させることができる。この場合、保護層212は、レーザー彫刻されたテクスチャを部分的に保護することができる。すなわち、凹溝105によって露出した第1加飾層104および第2加飾層106が損傷するのを防ぐことができるため、複合層構造120の保護効果をさらに向上させ、寿命を延ばすことができる。代替の実施形態において、保護層212は、ジェット印刷技術で形成されてもよい。
【0061】
代替の実施形態において、3D印刷技術は、保護層をレーザー彫刻された透光性領域(例えば、凹溝105)にバックフィルするために使用することができ、同時に、3D印刷技術は、レーザー彫刻されていない透光性領域において異なる効果をもたらし、例えば、ロゴ、グラデーション、または他の類似する不透明フィルム効果を形成することもできる。その後、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法により、追加の光硬化層を選択的に形成してもよい。
【0062】
その後、ステップS170に進む。インモールド加飾技術またはアウトモールド加飾技術を実行し、成形フィルム100Bをワークピース200の内表面200bに貼り付けて、
図4に示した加飾成形品20を形成する。具体的に説明すると、ワークピース200の内表面200bは、複合層構造120の上面120aおよび保護層212の上面に接触してもよい。本実施形態では、ワークピース200の外表面200aが視覚面であってもよいため、消費者は、深い結晶状の厚さの質感を持つワークピース200の外表面200aから成形フィルム100Bの視覚効果を見ることができる。また、インモールド加飾およびアウトモールド加飾技術は、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0063】
図5は、本発明の第3実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
図6は、本発明の第3実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0064】
図5および
図6に示すように、本発明の第3実施形態は、以下のような加飾成形品30の製造方法S30を提供する。まず、ステップS100を実行して、複合層構造130(
図6に示す)を形成する。具体的に説明すると、複合層構造130を形成するステップは、ステップS101を実行し、塗布法または印刷法を使用して、基材(
図6に示す)に第2コーティングを塗布することを含む。次に、ステップS103を実行し、塗布法または印刷法を使用して、第2コーティング上に第1コーティングを塗布する。1つの実施形態において、
図6に示すように、第1コーティングは、第1加飾層104を形成するために使用され、第2コーティングは、第2加飾層106を形成するために使用される。本実施形態において、第1コーティングおよび第2コーティングは、第1加飾層104および第2加飾層106を形成するために追加の硬化工程(すなわち、室温で)を必要とせず、そのため、複合層構造130が形成される。
図6に示すように、複合層構造130は、第1加飾層104および第2加飾層106を含む。第2加飾層106は、基材102の第2表面102bに配置することができる。第1加飾層104は、第2加飾層106の下方に配置することができるため、第2加飾層106は、基材102の第2表面102bと第1加飾層104の間に挟まれる。
【0065】
複合層構造130を形成した後、ステップS120に進む。ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルム100Cを形成する。
【0066】
次に、ステップS150に進む。レーザー彫刻プロセスを実行して、複合層構造130に凹溝105を形成する。
図6に示すように、凹溝105は、複合層構造130の底面130bから上方に延伸し、第2加飾層106の底面106bを露出させることができる。ただし、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、凹溝105は、異なる深さを有してもよい。
【0067】
次に、ステップS160に進む。凹溝105内に保護層312を形成する。1つの実施形態において、保護層312は、3D印刷技術によって形成することができる。具体的に説明すると、3D印刷装置のノズルを介して凹溝105に充填インクを充填する。1つの実施形態において、充填インクは、上述した第4コーティングと類似したものであってもよく、均一に混合された保護材料、インク材料、および接合材料を少なくとも含み、充填インク中の接合材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティング中の接合材料の含有量より高くてもよい。また、凹溝105に充填インクを充填した後、追加の硬化工程を実行してもよく、それにより、複合層構造130と光源300の間の密着性を向上させることができる。この場合、保護層312は、レーザー彫刻されたテクスチャを部分的に保護することができる。すなわち、凹溝105によって露出した第1加飾層104および第2加飾層106が損傷するのを防ぐことができるため、複合層構造130の保護効果をさらに向上させ、寿命を延ばすことができる。代替の実施形態において、保護層312は、ジェット印刷技術によって形成されてもよい。
【0068】
その後、ステップS160に進む。インモールド加飾技術またはアウトモールド加飾技術を実行し、成形フィルム100Cをワークピース200の内表面200bに貼り付けて、
図6に示した加飾成形品30を形成する。具体的に説明すると、ワークピース200の内表面200bは、基材102の第1表面102aに接触する。光源300は、複合層構造130の底面130bおよび保護層312の底面に接触してもよい。本実施形態では、ワークピース200の外表面200aが視覚面であってもよいため、消費者は、ワークピース200の外表面200aから成形フィルム100Cの視覚効果を見ることができる。また、インモールド加飾およびアウトモールド加飾技術は、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0069】
本実施形態において、
図6に示すように、加飾成形品30は、凹溝105内の保護層312を介して様々な色の光を放射することができる。例えば、光源300は、青色光であってもよく、保護層312は、白色の透光性材料であり、第2加飾層106は、幾何学的なパターン層であってもよい。光源300をオフにした時、消費者は、視覚面200aから幾何学的なパターン全体を見ることができる。一方、光源300をオンにした時、消費者は、凹溝105内の保護層312を介して、視覚面200aから青色の幾何学的なパターン効果を有するレーザー彫刻パターンを見ることができる。また、保護層312は、光源300と組み合わせて異なる色混合効果を生み出すために、様々な色を有することができる。
【0070】
図7は、本発明の第4実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0071】
図7を参照すると、第4実施形態の加飾成形品40は、ワークピース200および成形フィルム100Dを含むことができる。成形フィルム100Dは、ワークピース200の外表面200aに配置することができ、光源300は、ワークピース200の内表面200bに配置することができる。具体的に説明すると、成形フィルム100Dは、基材102、光硬化層108、および複合層構造140を含むことができる。基材102は、互いに対向する第1表面102aおよび第2表面102bを有する。光硬化層108は、基材102の第1表面102aに配置することができるる。本実施形態において、光硬化層108は、第3コーティングで形成されてもよく、保護材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティングの保護材料の含有量より高くてもよい。本実施形態において、光硬化層108は、オールインワンハードコーティングとも呼ばれる。本実施形態では、光硬化層108の上面108aが視覚面であってもよいため、消費者は、光硬化層108の上面108aから成形フィルム100Dの視覚効果を見ることができる。さらに、塗布法の他に、光硬化層108は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して、基材102の第1表面102aに形成してもよい。
【0072】
また、複合層構造140は、基板102の第2表面102bに配置することができる。具体的に説明すると、複合層構造140は、下から上に向かって順番に耐衝撃接着層118、緩衝層142(または加飾層)、第3加飾層144、および第4加飾層146を含むことができる。本実施形態において、耐衝撃接着層118は、第4コーティングで形成されてもよく、接合材料の含有量は、第1コーティングまたは第2コーティングの接合材料の含有量より高くてもよい。さらに、塗布法の他に、耐衝撃接着層118は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して形成されてもよい。1つの実施形態において、緩衝層142の材料は、ポリウレタン(PU)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むため、インクの色落ちを防いで、レーザー彫刻の解像度を向上させる効果がある。1つの実施形態において、第3加飾層144は、第1コーティングで形成されてもよく、1回または複数回印刷して、木目や幾何学パターン等の異なる加飾パターンを表示することができる。1つの実施形態において、第4加飾層146は、第2コーティングで形成されてもよく、物理気相成長法(例えば、蒸着法、スパッタリング法等)、電気めっき法等により基板102の第2表面102bに形成することができる。例えば、第3加飾層144は、木目層であってもよく、第4加飾層146は、透明度が50%の蒸着金属層を有してもよく、それにより、複合層構造140は、透明度が50%の金属色の木目パターンを表示することができる。また、
図7は、加飾層144および146を2つのみ示しているが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、異なる効果の要求に応じて、交互に積層された複数の加飾層を形成してもよい。
【0073】
注意すべきこととして、加飾成形品40は、さらに、耐衝撃接着層118および緩衝層142に形成された凹溝105を含み、3D印刷技術またはジェット印刷技術を使用して、凹溝105に保護層412を充填することができる。保護層412の材料および形成方法は、上述した保護層212および312と同じであるため、ここでは繰り返し説明しない。別の実施形態において、保護層412は、異なる深さを有してもよい。すなわち、保護層412は、第3加飾層144および/または第4加飾層146の中に上方に延伸してもよい。ワークピース200の外表面200aは、複合層構造140の底面140bおよび保護層412の底面と接触してもよい。
【0074】
本実施形態において、
図7に示すように、加飾成形品40は、凹溝105内の保護層412を介して様々な色の光を放射することができる。例えば、光源300は、青色光であってもよく、保護層412は、白色の透光性材料であり、第4加飾層146は、透明度が50%の蒸着金属層であってもよい。光源300をオフにした時、消費者は、視覚面108aから蒸着金属層全体を見ることができる。一方、光源300をオンにした時、消費者は、凹溝105内の保護層412を介して視覚面108aから青色金属効果のレーザー彫刻パターンを見ることができる。また、保護層412は、光源300と組み合わせて異なる色混合効果を生み出すために、様々な色を有することができる。
【0075】
図8は、本発明の第5実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0076】
図8を参照すると、第5実施形態の加飾成形品50は、ワークピース200および成形フィルム100Eを含むことができる。成形フィルム100Eは、ワークピース200の外表面200aに配置することができ、光源300は、ワークピース200の内表面200bに配置することができる。具体的に説明すると、成形フィルム100Eは、基材102、第1複合層構造150、および第2複合層構造160を含むことができる。基材102は、互いに対向する第1表面102aおよび第2表面102bを有する。第1複合層構造150は、基材102の第1表面102aに配置することができる。第1複合層構造150は、光硬化層108および透光層154を含むことができる。透光層154の材料は、化学耐性を有する加飾層効果を持つポリメタクリル樹脂を含む。透光層154は、基材102の第1表面102aに接触してもよく、光硬化層108は、透光層154上に配置される。本実施形態では、光硬化層108の上面108aが視覚面であってもよいため、消費者は、光硬化層108の上面108aから成形フィルム100Eの視覚効果を見ることができる。さらに、塗布法の他に、光硬化層108は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して形成されてもよい。
【0077】
さらに、第2複合層構造160は、基板102の第2表面102bに配置することができる。具体的に説明すると、第2複合層構造160は、耐衝撃接着層118および第4加飾層146を含むことができる。第4加飾層146は、基板102の第2表面102bに接触してもよく、耐衝撃接着層118は、第4加飾層146の下方に配置することができるため、第4加飾層146は、基板102の第2表面102bと耐衝撃接着層118との間に挟まれる。本実施形態において、第4加飾層146は、第2コーティングで形成されてもよく、物理気相成長法(例えば、蒸着法、スパッタリング法等)、電気めっき法等により基板102の第2表面102bに形成することができる。例えば、透光層154は、半透明の黒色層であってもよく、第4加飾層146は、透明度が25%の蒸着金属層を有してもよく、それにより、成形フィルム100Eは、透明度が25%の黒色金属色を表示する。さらに、塗布法の他に、耐衝撃接着層118は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、ジェット印刷法を使用して形成されてもよい。
【0078】
注意すべきこととして、加飾成形品50は、さらに、第1複合層構造150内に形成された凹溝105を含み、3D印刷技術またはジェット印刷技術を使用して、凹溝105に保護層512を充填することができる。保護層512の材料および形成方法は、上述した保護層112Aおよび112Bと同じであるため、ここでは繰り返し説明しない。本実施形態において、保護層512は、光硬化層108の上面108aから透光層154の中に下方に延伸してもよい。第2複合層構造160の底面160bは、ワークピース200の外表面200aに接触してもよく、それにより、耐衝撃接着層118を介してワークピース200の外表面200aに貼り付けることができる。
【0079】
図11は、本発明の第6実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0080】
図11を参照すると、第6実施形態の加飾成形品60は、ワークピース200および成形フィルム100Fを含むことができる。成形フィルム100Fは、ワークピース200の外表面200aに配置することができ、光源300は、ワークピース200の内表面200bに配置することができる。具体的に説明すると、成形フィルム100Fは、基材102および複合層構造170を含むことができる。基材102は、互いに対向する第1表面102aおよび第2表面102bを有する。複合層構造170は、基材102の第1表面102aに配置することができる。複合層構造170は、第4加飾層146および光硬化層108を含むことができる。第4加飾層146は、基材102の第1表面102aに接触してもよく、光硬化層108は、第4加飾層146上に配置される。本実施形態では、光硬化層108の上面108aが視覚面であってもよいため、消費者は、光硬化層108の上面108aから成形フィルム100Fの視覚効果を見ることができる。本実施形態において、第4加飾層146は、第2コーティングで形成されてもよく、物理気相成長法(例えば、蒸着法、スパッタリング法等)、電気めっき法等により基材102の第1表面102aに形成することができる。光硬化層108は、保護効果を有し、第4加飾層146を傷や損傷から防ぐことができる。さらに、塗布法の他に、光硬化層108は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、ジェット印刷法を使用して形成されてもよい。
【0081】
注意すべきこととして、加飾成形品60は、複合層構造170に形成された凹溝105をさらに含み、3D印刷技術またはジェット印刷技術を使用して、凹溝105に保護層612を充填することができる。保護層612の材料および形成方法は、上述した保護層112Aおよび112Bと同じであるため、ここでは繰り返し説明しない。本実施形態において、保護層512は、光硬化層108の上面108aから第4加飾層146の中に下方に延伸してもよい。
【0082】
図12Aは、本発明の第7実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
図12Bおよび
図12Cは、それぞれ光源がオフの状態および光源がオンの状態の時の
図12Aの構造の概略的上面図である。
【0083】
図12Aを参照すると、第7実施形態の加飾成形品70は、ワークピース200および成形フィルム100Gを含むことができる。成形フィルム100Gは、ワークピース200の外表面200aに配置することができ、光源300は、ワークピース200の内表面200bに配置することができる。具体的に説明すると、成形フィルム100Gは、基材102、複合層構造180、および耐衝撃接着層118を含むことができる。基材102は、互いに対向する第1表面102aおよび第2表面102bを有する。複合層構造180は、基材102の第1表面102aに配置することができる。複合層構造180は、第3加飾層144、第4加飾層146、および光硬化層108を含むことができる。第4加飾層146は、基材102の第1表面102aに接触してもよい。光硬化層108は、第4加飾層146上に配置することができる。第3加飾層144は、第4加飾層146と光硬化層108の間に配置することができる。本実施形態では、光硬化層108の上面108aが視覚面であってもよいため、消費者は、光硬化層108の上面108aから成形フィルム100Gの視覚効果を見ることができる。本実施形態において、第3加飾層144は、第1コーティングで形成されてもよく、1回または複数回印刷して、木目や幾何学パターン等の異なる加飾パターンを表示することができる。第4加飾層146は、第2コーティングで形成されてもよく、物理気相成長法(例えば、蒸着法、スパッタリング法等)、電気めっき法等により基材102の第1表面102aに形成することができる。光硬化層108は、保護効果を有し、第3加飾層144を傷や損傷から防ぐことができる。一方、耐衝撃接着層118は、基材102の第2表面102bに配置され、且つ基材102の第2表面102bに接触してもよい。本実施形態において、成形フィルム100Gは、耐衝撃接着層118を介してワークピース200の外表面200aに貼り付けることができる。さらに、塗布法の他に、光硬化層108および耐衝撃接着層118は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して形成されてもよい。
【0084】
注意すべきこととして、加飾成形品70は、さらに、第1凹溝105aおよび第2凹溝105bを含み、3D印刷技術またはジェット印刷技術を使用して、第1凹溝105aに第1保護層712Aを充填し、第2凹溝105bに第2保護層712Bを充填することができる。1つの実施形態において、第1保護層712Aおよび第2保護層712Bは、異なる材料組成を有する。具体的に説明すると、第1保護層712Aの材料は、上述した第3コーティングと類似したものであってもよく、第2保護層712Bは、上述した第4コーティングと類似したものであってもよい。第1保護層712Aの保護材料の含有量は、第2保護層712Bの保護材料の含有量より高くてもよく、第2保護層712Bの接合材料の含有量は、第1保護層712Aの接合材料の含有量より高くてもよい。
図12Aからわかるように、第1保護層712Aは、複合層構造180内に形成される。すなわち、第1保護層712Aは、光硬化層108の上面108aから第3加飾層144の中に下方に延伸する。第2保護層712Bは、耐衝撃接着層118に形成される。すなわち、第1保護層712Aおよび第2保護層712Bは、それぞれ本実施形態の加飾成形品70の反対側(すなわち、上側および下側)に形成され、異なる光透過領域を増やすため、それにより、消費者の視知覚を向上させる。
【0085】
本実施形態において、
図12Bおよび
図12Cに示すように、加飾成形品70は、凹溝105aおよび105b内の第1保護層712Aおよび第2保護層712Bを介して様々な色の光を放射することができる。例えば、光源300は、青色光であってもよく、保護層712A、712Bは、白色の透光性材料であり、第3加飾層144は、木目層であってもよく、第4加飾層146は、透明度が50%の蒸着金属層であってもよい。光源300をオフにした時、
図12Bに示すように、消費者は、第1凹溝105a内の第1保護層712Aを介して、視覚面108aから金属縁のある木目層を見ることができる。一方、光源300をオンにした時、消費者は、第1凹溝105a内の第1保護層712Aおよび第2凹溝105b内の第2保護層712Bを介して、視覚面108aから金属縁および青色文字のある木目層を見ることができる。また、保護層712A、712Bは、光源300と組み合わせて異なる色混合効果を生み出すために、様々な色を有することができる。
【0086】
図13Aは、本発明の第8実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
図13Bおよび
図13Cは、それぞれ光源がオフの状態および光源がオンの状態の時の
図13Aの構造の概略的上面図である。
【0087】
図13Aに示すように、第8実施形態の加飾成形品80は、ワークピース200および成形フィルム100Hを含むことができる。成形フィルム100Hは、ワークピース200の内表面200bに配置することができ、光源300は、成形フィルム100Hの下方に配置することができるため、成形フィルム100Hは、ワークピース200と光源300の間に挟まれる。具体的に説明すると、成形フィルム100Hは、基材102および複合層構造190を含むことができる。基材102は、互いに対向する第1表面102aおよび第2表面102bを有する。複合層構造190は、基材102の第1表面102aに配置することができる。複合層構造190は、第3加飾層144、第4加飾層146、および耐衝撃接着層118を含むことができる。第4加飾層146は、基材102の第1表面102aに接触してもよい。耐衝撃接着層118は、第4加飾層146上に配置することができる。第3加飾層144は、第4加飾層146と耐衝撃接着層118との間に配置することができる。本実施形態では、ワークピース200の外表面200aが視覚面であってもよいため、消費者は、ワークピース200の外表面200aから成形フィルム100Hの視覚効果を見ることができる。本実施形態において、第3加飾層144は、第1コーティングで形成されてもよく、1回または複数回印刷して、木目や幾何学パターン等の異なる加飾パターンを表示することができる。第4加飾層146は、第2コーティングで形成されてもよく、物理気相成長法(例えば、蒸着法、スパッタリング法等)、電気めっき法等により基材102の第1表面102aに形成することができる。耐衝撃接着層118は、接着機能を有することができるため、耐衝撃接着層118を介して成形フィルム100Hをワークピース200の内表面200bに貼り付けることができる。さらに、塗布法の他に、耐衝撃接着層118は、ラミネート法、エンボス法、3D印刷法、またはジェット印刷法を使用して形成されてもよい。
【0088】
注意すべきこととして、加飾成形品80は、第1凹溝105aおよび第2凹溝105bをさらに含み、3D印刷技術またはジェット印刷技術を使用して、第1凹溝105aに第1保護層812Aを充填し、第2凹溝105bに第2保護層812Bを充填することができる。1つの実施形態において、第1保護層812Aおよび第2保護層812Bは、同じ材料組成を有する。具体的に説明すると、第1保護層812Aおよび第2保護層812Bの材料は、耐衝撃接着層を形成するための上述した第4コーティングと類似したものであってもよいため、ここでは繰り返し説明しない。
図13Aからわかるように、第1保護層812Aは、複合層構造190内に形成される。すなわち、第1保護層812Aは、耐衝撃接着層118の上面118aから第3加飾層144の中に下方に延伸する。第2保護層812Bは、基材102内に形成され、第1表面102aから第2表面102bに向かって延伸する。すなわち、本実施形態の加飾成形品80は、反対側(すなわち、上側および下側)に凹溝が形成され、異なる光透過領域を増やすことができるため、それにより、消費者の視知覚を向上させることができる。
【0089】
本実施形態において、
図13Bおよび
図13Cに示すように、加飾成形品80は、凹溝105aおよび105b内の第1保護層812Aおよび第2保護層812Bを介して、様々な色の光を放射することができる。例えば、光源300は、青色光であってもよく、保護層812A、812Bは、白色の透光性材料であり、第3加飾層144は、木目層であってもよく、第4加飾層146は、透明度が50%の蒸着金属層であってもよい。光源300をオフにした時、
図13Bに示すように、消費者は、第1凹溝105a内の第1保護層812Aを介して、視覚面200aから金属縁のある木目層を見ることができる。一方、光源300をオンにした時、消費者は、第1凹溝105a内の第1保護層812Aおよび第2凹溝105b内の第2保護層812Bを介して、視覚面200aから金属縁と青色の文字がある木目層を見ることができる。また、保護層812A、812Bは、光源300と組み合わせて異なる色混合効果を生み出すために、様々な色を有することができる。
【0090】
図14は、本発明の第9実施形態に係る加飾成形品の製造方法を示すフローチャートである。
図15Aから
図15Eは、本発明の第9実施形態に係る加飾成形品を製造する時の概略的断面図である。
【0091】
図14および15Aを参照すると、本発明の第9実施形態は、以下のような加飾成形品90の製造方法S40を提供する。まず、ステップS100を実行して、複合層構造110(
図15Aに示す)を形成する。ステップS100は、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。複合層構造110を形成した後、ステップS120を実行する。ブリスター成形プロセスを実行して、成形フィルム100Iを形成する。
【0092】
次に、ステップS130に進む。インモールド加飾技術またはアウトモールド加飾技術を実行し、成形フィルム100Iをワークピース200の外表面200aに貼り付けて、
図15Aに示した加飾成形品90を形成する。インモールド加飾技術およびアウトモールド加飾技術は、上述した段落で詳細に説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0093】
再度
図14を参照すると、加飾成形品90を形成した後、ステップS140に進む。第2硬化工程を実行して、複合層構造110の硬度を高める。
【0094】
次に、ステップS142に進む。複合層構造110上にマスク層902を形成する。1つの実施形態において、
図15Aに示すように、マスク層902は、複合層構造110の上面110aを覆う。
【0095】
次に、ステップS150に進む。レーザー彫刻プロセスを実行して、マスク層902および複合層構造110内に凹溝905を形成する。
図15Bに示すように、凹溝905は、マスク層902を貫通し、第1加飾層104の上面104tを露出させるまで複合層構造110の上面110aから下方に延伸することができる。ただし、本発明はこれに限定されず、別の実施形態において、凹溝905は、異なる深さを有してもよい。すなわち、凹溝905の底面905btは、第1加飾層104の上面104tより高くても、低くてもよく、または凹溝905の底面905btは、第2加飾層106の上面106tより高くても、低くても、またはそれに等しくてもよい。また、
図15Bは、凹溝905を1つのみ示しているが、本発明はこれに限定されない。代替の実施形態において、加飾成形品90は、複数の凹溝を有し、レーザー彫刻パターンを形成してもよく、それにより、消費者の視知覚を向上させることができる。
【0096】
その後、ステップS152に進む。蒸着法またはスパッタリング法を使用して、めっき層904を形成する。具体的に説明すると、めっき層904は、凹溝905に充填され、マスク層902の上面を覆うことができる。注意すべきこととして、めっき層904は、凹溝905を埋め尽くさない。つまり、めっき層904は、
図15Cに示すように、凹溝905の底面905btを覆い、同時に、凹溝905の側壁905swの一部を露出させる。1つの実施形態において、めっき層904の材料は、金属材料を含む。本実施形態において、めっき層904は、スパッタリングされた金属層であってもよい。
【0097】
次に、ステップS154に進む。マスク層902を除去する。具体的に説明すると、マスク層902を除去し、同時に、マスク層902上のめっき層904も除去することができる。つまり、マスク層902を除去した後、残っためっき層904は、
図15Dに示すように、凹溝905内にのみ配置される。
【0098】
その後、ステップS160に進む。保護層912を凹溝905内に形成するため、保護層912は、めっき層904を覆い、密封する。具体的に説明すると、保護層912は、3D印刷技術により形成されてもよい。保護層912の材料および形成方法は、上述した保護層112Aおよび112Bと同じであるため、ここでは繰り返し説明しない。注意すべきこととして、本実施形態において、保護層912は、レーザー彫刻されたテクスチャを部分的に保護することができる。すなわち、凹溝905によって露出しためっき層904および第2加飾層106が損傷するのを防ぐことができるため、それにより、複合層構造110の保護効果をさらに向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0099】
また、
図15Eに示した保護層912は、凹溝905内にのみ位置しているが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、保護層(図示せず)は、凹溝905から延伸して、光硬化層108の上面108aを覆ってもよい。保護層は、設計の要求に応じて、延伸部分の範囲または面積を調整することができる。
【0100】
再度
図15Eを参照すると、加飾成形品90を光源300上に配置し、凹溝905内の保護層912を介して様々な色の光を放射することができる。例えば、光源300は、青色光であってもよく、めっき層904は、透明度が50%のスパッタリングされた銀層であり、保護層912は、白色の透光性材料であり、第2加飾層106は、木目層であってもよい。光源300をオフにした時、消費者は、視覚面110aから木目層上の金属銀色のレーザー彫刻パターンを見ることができる。一方、光源300をオンにした時、消費者は、凹溝905内の保護層912を介して、視覚面110aから銀青色の金属効果のレーザー彫刻パターンを見ることができる。
【0101】
図16は、本発明の代替の実施形態に係る加飾成形品の概略的断面図である。
【0102】
図16に示すように、加飾成形品70’は、ワークピース200および成形フィルム100G’を含むことができる。成形フィルム100G’は、ワークピース200の外表面200aに配置することができ、光源300は、ワークピース200の内表面200bに配置することができる。具体的に説明すると、成形フィルム100G’は、基材102、複合層構造780、および耐衝撃接着層118を含むことができる。基本的に、
図16の加飾成形品70’は、
図12Aの加飾成形品70と類似しており、類似する構成要素については、上述した実施形態において説明しているため、ここでは詳細を省略する。両者の主な相違点は、複合層構造780が不織布層744、本物の木目シート層746、および光硬化層108を含むことである。不織布層744は、接着層742を介して基材102の第1表面102aに接着することができる。本物の木目シート層746は、不織布層744と光硬化層108の間に配置することができる。本実施形態では、光硬化層108の上面108aが視覚面であってもよいため、消費者は、光硬化層108の上面108aから成形フィルム100G’の視覚効果を見ることができる。
【0103】
注意すべきこととして、加飾成形品70’は、第1凹溝105aおよび第2凹溝105bも含み、3Dプリント技術またはジェットプリント技術を使用して、第1凹溝105aに第1保護層712Aを充填し、第2凹溝105bに第2保護層712Bを充填することができる。1つの実施形態において、第1保護層712Aおよび第2保護層712Bは、異なる材料組成を有する。
図16からわかるように、第1保護層712Aは、複合層構造780内に形成される。すなわち、第1保護層712Aは、光硬化層108の上面108aから本物の木目シート層746の中に下方に延伸する。第2保護層712Bは、耐衝撃接着層118内に形成される。すなわち、第1保護層712Aおよび第2保護層712Bは、それぞれ本実施形態の加飾成形品70’の反対側(すなわち、上側および下側)に形成され、異なる光透過領域を増やすため、それにより、消費者の視知覚を向上させる。この場合、加飾成形品70’は、凹溝105aおよび105b内の第1保護層712Aおよび第2保護層712Bを介して、様々な色の光を放射することができる。
【0104】
ステップS142~S160を実行して凹溝内にめっき層および保護層を部分的に形成するプロセスは、上述した加飾成形品20、30、40、50、60、70、70’、80のいずれにも適用することができる。例えば、ステップS142~ステップS160を実行して、凹溝内にめっき層および保護層を形成した後、ステップS170を実行して、すなわち、インモールド加飾技術またはアウトモールド加飾技術を実行して、成形フィルムをワークピースの内表面に貼り付ける。このような実施形態では、保護層をワークピースの内表面に貼り付けるため、保護層の材料は、耐衝撃接着層を形成するための第4コーティングと類似した材料である。つまり、凹溝内にめっき層および保護層を部分的に形成するプロセスは、製品の要件に応じて、様々な加飾成形品の構造に適用することができる。
【0105】
また、加飾成形品10、20、30、40、50、60、70、70’、80、90のいずれか1つを車両用照明に適用することができる。すなわち、加飾成形品10、20、30、40、50、60、70、70’、80、90のいずれか1つを車のランプのプラスチックシェルに貼り付けて、レーザー彫刻パターン(例えば、凹溝105)により様々な異なる色効果を表示することができる。例えば、本発明は、複数の凹溝105を異なる色のランプ本体に対応することができるため、第1凹溝を介してブレーキランプを赤色の光で示し、第2凹溝を介して左折ランプを黄色の光で示し、第3凹溝を介してヘッドランプを白色の光で示すことができる。
【0106】
開示された
図14の方法S40は、一連の行為および事象として示され説明されているが、これらの行為および事象の順序によって限定されないことに留意されたい。つまり、いくつかの動作は、本明細書で示され、および/または記載されたものとは異なる順序で、および/または他の動作または事象と同時に発生してもよい。例えば、マスク層の形成、レーザー彫刻プロセス、および3D印刷のステップは、プロセスの順序に関係なく、本発明によって保護されている。また、本明細書の1つまたはそれ以上の態様または実施形態を実施するために、必ずしも示された全ての行為が必要とされる訳ではない。さらに、本明細書において記載された1つまたはそれ以上の行為は、1つまたはそれ以上の別々の行為および/または段階において実行してもよい。
【0107】
以上のように、本発明は、基板上にオールインワンコーティングを形成して、硬化工程を実行し、保護効果、着色効果、接合効果を有する複合層構造を形成する。この複合層構造は、ブリスタ成形プロセス後に、物理特性に優れた(例えば、硬度が高い、保護効果が良い)成形フィルムを形成することができる。したがって、本実施形態の成形フィルムは、レーザー彫刻プロセスに適用され、様々な透光性加飾成形品を形成することができる。また、本発明は、凹溝内にさらに保護層を部分的に形成して、レーザー彫刻後のテクスチャを損傷から保護することにより、複合層構造の保護効果を向上させ、寿命を延ばす。さらに、本発明は、レーザー彫刻プロセスをブリスタ成形プロセスの後に行う。したがって、本発明は、従来技術の位置合わせの問題を解決することができ、それにより、歩留まりを向上させ、製造コストを削減することができる。
【0108】
一方で、従来のINSがインク層や印刷層を基材の接合プロセスに合わせる必要があるのに対し、本実施形態における複数の積層された加飾層は、多様な着色効果を提供するだけでなく、保護効果および接合効果も有し、追加の接合プロセスが不要である。さらに、従来のIML技術がワークピースに貼り付けるために追加で3~10層の接着層を形成する必要があるのに対し、本実施形態は、追加の接着層を形成する必要がない。すなわち、本発明は、複合層構造の製造工程を効果的に簡易化し、より優れた保護効果および接合効果を有する複合層構造を提供することができる。さらに、従来のスプレー技術、INS技術、またはIML技術と比較して、本発明の加飾成形品は、製造工程をさらに簡易化することができるため、それにより、製造コストを効果的に削減することができる。